JP2023124702A - 脂質酸化度測定方法、脂質酸化度測定用シート、脂質酸化度測定用試薬 - Google Patents

脂質酸化度測定方法、脂質酸化度測定用シート、脂質酸化度測定用試薬 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、簡便な方法で試料の調製が可能な脂質酸化度測定方法を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、被検体中の油分の脂質酸化度を測定する脂質酸化度測定方法において、厚さが100μm以下の油分吸着シートに被検体中の油分を吸着する吸着ステップと、前記油分吸着シートに前記油分を吸着した状態で、前記油分中の過酸化脂質と発色試薬との呈色反応を行う反応ステップを備えることを特徴とする、脂質酸化度測定方法を提供する。本発明の脂質酸化度測定用法によれば、厚さが100μm以下の油分吸着シートに被検体中の油分を吸着させた後に、油分吸着シートに油分を吸着した状態で呈色反応を行うため、簡便な操作で脂質酸化度を測定することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、被検体中の油分の脂質酸化度を測定する脂質酸化度測定方法に関するものである。また、本発明は、脂質酸化度測定方法に使用する脂質酸化度測定用シート及び脂質酸化度測定用試薬に関するものである。
食肉加工食品や油脂加工食品などの油脂含有食品では、油脂が酸化すると風味が劣化するため、製品や原料の脂質の酸化度を測定して品質を管理している。脂質の酸化度の測定方法としては、過酸化脂質の含量を呈色反応により測定する方法が知られている。例えば、特許文献1には、不揮発性酸及び二価の鉄塩を含む2-チオバルビツール酸(TBA)試薬を含浸させた乾燥繊維片又は布片からなるTBA試験紙が開示されている。このTBA試験紙では、被検体の油脂を載せ、その上に水を滴下したのちに、赤外線ランプで10分間加熱することにより、TBAと過酸化脂質の呈色反応を行うものである。
また、非特許文献1には、TBA試験紙を用いて食肉の脂質酸化度を測定する方法が開示されている。この方法では、ミンチ試料に塩化カリウム水溶液を加えて、ホモジネートを調製し、このホモジネート試料にTBA試験紙を浸潤させている。この文献の考察では、食肉などの固形試料を液状に調製することによりTBA試験紙を用いて脂質酸化度を測定することが可能であると記載されている。
実公昭58-20932号公報
今成麻衣ら、「油脂TBA試験紙を用いた牛肉脂質過酸化度の測定と脂質安定性の予測」、日本畜産学会報、2014年、85(4)、549-552頁
特許文献1に記載された発明では、TBA試験紙に適用する試料として液状の油脂を使用する。非特許文献1に記載された発明では、ミンチにしたのちに、抽出溶媒と共にホモジナイズすることにより液状の試料を調製している。そのため、固形状の被検体に含まれる油分の脂質酸化度を測定する場合には、試料の調製が煩雑であるという問題がある。
そこで、本発明の課題は、簡便な方法で試料の調製が可能な脂質酸化度測定方法を提供することである。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、TBA試験紙に固形状の被検体に含まれる油分(脂肪)を適用すると、発色にムラが生じてしまい、検査結果が安定しないということに着目した。そして、厚さが100μm以下の油分吸着シートを付着させることにより、油分吸着シートに均等に油分が吸着するため、ムラの無い発色が認められ、脂質酸化度を測定することができるという知見に至り、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の脂質酸化度測定用シート、脂質酸化度測定用試薬、脂質酸化度測定方法である。
上記課題を解決するための本発明の脂質酸化度測定用シートは、油分を吸着するための油分吸着シートからなる脂質酸化度測定用シートであって、前記油分吸着シートの厚さが100μm以下であることを特徴とする。
本発明の脂質酸化度測定用シートによれば、厚さが100μm以下であるため、固形状の被検体に油分吸着シートを付着させると、油分吸着シートに均等に油分が吸着する。そして、油分吸着シートに均等に油分が吸着することにより、ムラの無い発色が認められ、検査結果が安定するという効果を奏する。また、固形状の脂質を液状の試料に調製しなくても脂質酸化度を測定することが可能となることから、簡便な方法で試料の調製が可能な脂質酸化度測定方法を提供することができる。さらには、測定時間も大幅に短縮することが可能となる。
また、本発明の脂質酸化度測定用試薬は、2-チオバルビツール酸及び尿素を含有することを特徴とする。
本発明の脂質酸化度測定用試薬によれば、尿素を含有するため、TBAと過酸化脂質の呈色反応の発色を増強することができる。そして、呈色反応の発色を増強することにより、分析精度が向上するという効果を奏する。また、油分吸着シートに油分を吸着させた状態でTBAと過酸化脂質の呈色反応を行う場合には、発色が弱いという問題があることから、発色を増強するという効果が一層発揮される。
本発明の脂質酸化度測定用試薬の一実施態様としては、トレハロースを含有し、固体状であることを特徴とする。
TBAを含有する発色試薬に含まれる亜硫酸ナトリウムと硫酸第一鉄は、溶液として保存すると、反応して緑色に変色してしまうという課題がある。しかし、脂質酸化度測定用試薬を固体状とすることにより、変色が抑制され、保存安定性に優れるという効果を奏する。さらに、トレハロースを含有することにより、固体状の脂質酸化度測定用試薬の吸湿を抑制し、保存安定性に特に優れる脂質酸化度測定用試薬を提供することができる。
本発明の脂質酸化度測定方法は、被検体中の油分の脂質酸化度を測定する脂質酸化度測定方法において、厚さが100μm以下の油分吸着シートに被検体中の油分を吸着する吸着ステップと、前記油分吸着シートに前記油分を吸着した状態で、前記油分中の過酸化脂質と発色試薬との呈色反応を行う反応ステップを備えることを特徴とする。
本発明の脂質酸化度測定用法によれば、厚さが100μm以下の油分吸着シートに被検体中の油分を吸着させた後に、油分吸着シートに油分を吸着した状態で呈色反応を行うため、簡便な操作で脂質酸化度を測定することができる。
本発明の脂質酸化度測定方法は、被検体中の油分の脂質酸化度を測定する脂質酸化度測定方法において、2-チオバルビツール酸及び尿素を含有する脂質酸化度測定用試薬を準備する発色試薬準備ステップを備えることを特徴とする。
本発明の脂質酸化度測定方法によれば、TBA及び尿素を含有する脂質酸化度測定用試薬を調製するため、TBAと過酸化脂質の呈色反応の発色を増強することができる。そして、呈色反応の発色を増強することにより、分析精度が向上するという効果を奏する。
本発明の発色増強方法は、過酸化脂質と2-チオバルビツール酸との呈色反応における発色増強方法であって、尿素を添加することを特徴とする。
本発明の発色増強方法によれば、尿素を添加することによりTBAと過酸化脂質との呈色反応の発色を増強するため、分析精度を向上するという効果を奏する。
本発明によれば、簡便な方法で試料の調製が可能な脂質酸化度測定方法を提供することができる。
本発明の実施態様の脂質酸化度測定方法を示す概略説明図である。図1(A)は、油分吸着シートを準備するシート準備ステップを示す。図1(B)は、油分吸着シートに食肉原料に含まれる油分を吸着する吸着ステップを示す。 本発明の実施態様の脂質酸化度測定方法を示す概略説明図である。図2(C)は、油分吸着シートに油分を吸着した状態で、油分中の過酸化脂質と発色試薬との呈色反応を行う反応ステップを示す。図2(D)は、油分と発色試薬が吸着した油分吸着シートを加熱する加熱ステップを示す。図2(E)は、油分中の過酸化脂質と発色試薬との呈色反応による呈色度合いを評価する評価ステップを示す。 本発明の「脂質酸化度測定用シートを使用する脂質酸化度測定方法」と、官能評価との関係を示すグラフである。 本発明の「尿素を含有する脂質酸化度測定用試薬を使用する脂質酸化度測定方法」における尿素の発色増強効果を示すグラフである。 本発明の「尿素を含有する脂質酸化度測定用試薬を使用する脂質酸化度測定方法」により作成された検量線を示すグラフである。
以下、本発明の脂質酸化度測定方法、脂質酸化度測定用シート、脂質酸化度測定用試薬、発色増強方法について詳細に説明する。なお、実施態様に記載する事項については、本発明を説明するために例示したに過ぎず、これらに限定されるものではない。また、各発明の構成についての説明は、実質的に同一とみなせる他の発明の構成についての説明に置き換えるものとする。
[脂質酸化度測定方法]
本発明の脂質酸化度測定方法は、被検体中の油分の脂質酸化度を測定する脂質酸化度測定方法である。脂質酸化度とは、脂質が酸化すると発生する過酸化脂質の含量に基づく脂質酸化の程度を表すものであり、例えば、過酸化脂質であるペルオキシドやアルデヒドの含量の測定値や、過酸化脂質の呈色反応における呈色度合いなどが挙げられる。
被検体は、油分を含有するものであれば特に制限されないが、例えば、食肉加工食品、乳加工食品、油脂加工食品などの油脂含有食品、又はそれらの原料などが挙げられる。食肉加工食品は、例えば、ハム、生ハム、ベーコン、サラミなどの畜肉加工食品や、魚肉ソーセージ、ちくわ、はんぺんなどの魚肉加工食品などが挙げられ、それらの原料としては、食肉原料、魚肉原料などが挙げられる。また、乳加工食品は、例えば、チーズ、バターなどが挙げられる。油脂加工食品は、例えば、マーガリン、ショートニングなどが挙げられ、それらの原料としては、食用油、脂肪などが挙げられる。食品産業又は飼料産業における製品や原料の品質確認試験に利用されることが好ましい。
このほかにも、化粧品産業における研究開発や、医薬品産業における研究開発、生化学分野の研究開発などに利用することもできる。例えば、化粧品産業の研究開発において、被検体としてヒトに適用し、皮脂の脂質酸化度測定方法に利用することもできる。
被検体の形状は、特に制限されず、固形状でも液状でもよい。脂質酸化度測定方法に適用する試料の調製が簡便な方法で可能となるという本発明の効果を鑑みると、固形状であることが好ましい。
被検体中の油分とは、厚さが100μm以下の油分吸着シートに吸着する脂質であれば、特に制限されず、例えば、液状油でも固形脂(脂肪)でもよい。
本発明の脂質酸化度測定方法について、図面を参照しながら説明する。図1、2は、本発明の実施態様の脂質酸化度測定方法を示す概略説明図である。図1(A)は、油分吸着シートを準備するシート準備ステップ、図1(B)は、油分吸着シートに食肉原料に含まれる油分を吸着する吸着ステップ、図2(C)は、油分吸着シートに油分を吸着した状態で、油分中の過酸化脂質と発色試薬との呈色反応を行う反応ステップ、図2(D)は、油分と発色試薬が吸着した油分吸着シートを加熱する加熱ステップ、図2(E)は、油分中の過酸化脂質と発色試薬との呈色反応による呈色度合いを評価する評価ステップを示す。また、図示しないが、図2(C)反応ステップの前段には、発色試薬準備ステップを備える。
<シート準備ステップ>
図1(A)に示すシート準備ステップは、油分吸着シート4を準備するステップである。油分吸着シート4は、厚さが100μm以下のシートであり、被検体中の油分を吸着させるための部材である。油分吸着シート4の材質は、特に制限されないが、例えば、パルプ繊維、ガラス繊維、ポリプロピレンなどが挙げられる。
油分吸着シート4の厚さは、100μm以下であり、好ましくは80μm以下であり、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下であり、特に好ましくは30μm以下である。油分吸着シート4の厚さは、日本工業規格(JIS)P8118:2014「紙及び板紙-厚さ,密度及び比容積の試験方法」に準じて測定することができる。
なお、油分吸着シート4の厚さは、実質的な油分の吸着層の厚さの意味であり、例えば、積層体の場合には、使用面側の最外層の厚さを意味する。
シート準備ステップは、パルプなどの材料を公知の手段により100μm以下の厚さに加工してもよいし、一般的に流通するあぶらとり紙を使用してもよい。
<吸着ステップ>
図1(B)に示す吸着ステップは、厚さが100μm以下の油分吸着シートに被検体中の油分を吸着するステップである。図1(B)に示すように、実施態様における被検体は、赤身2の表面の一部に脂身3を有する食肉原料1(豚肉)であり、吸着ステップでは、油分吸着シートであるあぶらとり紙4を、被検体である食肉原料1の脂身3に押し付けて貼付する。これにより、被検体中の油分をあぶらとり紙4に吸着させることができる。
<発色試薬準備ステップ>
発色試薬準備ステップは、図2(C)に示す脂質酸化度測定用試薬6を準備するステップである。脂質酸化度測定用試薬6は、過酸化脂質と反応して発色する呈色反応を生じる発色試薬を含有する。発色試薬としては、例えば、2-チオバルビツール酸(TBA)や、ヨウ化カリウム及びデンプンなどが挙げられる。
TBAを含有する脂質酸化度測定用試薬には、TBAの他にも、例えば、pH調整剤としてクエン酸などの有機酸、偽反応を抑制するため試薬として亜硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、硫酸第一鉄などの二価鉄イオンや尿素などの発色増強剤を含有してもよい。
脂質酸化度測定用試薬は、発色試薬、pH調整剤などの各種材料を水などの溶媒に溶解して発色試薬溶液として使用する。脂質酸化度測定用試薬は、使用時に容易に準備できるように事前に調製し、保存することが好ましい。脂質酸化度測定用試薬を事前に調製する場合には、保存安定性に優れた形態や保存条件で保存する。例えば、発色試薬溶液(液体状の脂質酸化度測定用試薬)として冷凍保存してもよいし、固体状の脂質酸化度測定用試薬として保存してもよい。保存安定性に特に優れるという観点から固体状の脂質酸化度測定用試薬とすることが好ましい。
固体状の脂質酸化度測定用試薬とする場合には、トレハロースを含有することが好ましい。トレハロースを含有することにより、固体状の脂質酸化度測定用試薬の吸湿が抑制され、保存安定性がより向上するという効果を奏する。脂質酸化度測定用試薬の固形分に対するトレハロースの含有量は、特に制限されないが、例えば、トレハロース純分として10~90質量%である。下限値としては、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上である。上限値としては、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である。
固体状の脂質酸化度測定用試薬の調製方法は、特に制限されないが、例えば、固体状の各種材料を混合する方法や、発色試薬溶液を乾燥して固体状の脂質酸化度測定用試薬とする方法などが挙げられる。乾燥手段は、特に制限されないが、凍結乾燥方法が好ましい。凍結乾燥により得られた固体状の脂質酸化度測定用試薬は、水に溶解しやすいため、発色試薬溶液を再調製しやすいという効果がある。
固体状の脂質酸化度測定用試薬は、小分けして保存することが好ましい。小分けをする場合には、凍結乾燥をする前に、発色試薬溶液としてバイアル等に分注することにより容易に小分けすることができる。
また、脂質酸化度測定用試薬は、油分吸着シートに事前に吸着させてもよい。脂質酸化度測定用試薬を油分吸着シートに吸着させておくことにより、油分吸着シートに被検体の油分を吸着させた後、反応に必要な溶媒を滴下するだけで呈色反応を行うことができる。よって、発色試薬溶液を調製する作業を省略すること可能となり、極めて簡便な方法で脂質酸化度を測定することができる。
<反応ステップ>
図2(C)に示す反応ステップは、油分吸着シートに油分を吸着した状態で、油分中の過酸化脂質と発色試薬との呈色反応を行うステップである。図2(C)に示すように、油分吸着シートに脂質酸化度測定用試薬6を滴下することにより、油分吸着シートに吸着した油分と脂質酸化度測定用試薬6を混合する。
TBAを発色試薬として使用する場合には、TBAが脂肪の酸化生成物であるマロンジアルデヒドと反応して赤色の縮合物(赤色色素)を生成する。また、TBAは、赤色色素を生成する反応の他、リノール酸酸化物と反応して黄色色素を生成する。脂質酸化度測定用試薬に亜硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)を添加すると、黄色色素を生成する反応を抑制し、赤色色素の生成が増加するという効果がある。
また、脂質酸化度測定用試薬に尿素を添加すると、赤色の発色を増強するという効果や、発色試薬溶液中における試薬の析出を抑制するという効果が認められる。発色試薬溶液中における尿素の含有量は、特に制限されないが、例えば、0.05~1.0g/10mLである。この範囲では、赤色の発色を増強する効果が十分に認められる。下限値としては、好ましくは0.1g/10mL以上であり、より好ましくは0.2g/10mL以上であり、さらに好ましくは0.3g/10mL以上である。上限値としては、好ましくは0.8g/10mL以下であり、より好ましくは0.5g/10mL以下である。
また、発色試薬溶液中における試薬の析出を抑制するという観点では、尿素の含有量の下限値は、好ましくは0.1g/10mL以上であり、より好ましくは0.2g/10mL以上であり、さらに好ましくは0.3g/10mL以上である。
<加熱ステップ>
図2(D)に示す加熱ステップは、被検体中の油分と脂質酸化度測定試薬を吸着した油分吸着シートを加熱するステップである。加熱することにより、油分中の過酸化脂質と発色試薬との呈色反応が促進され、迅速に脂質酸化度を測定することができる。
加熱手段は、油分吸着シートが燃焼しない状態で加熱することができれば、特に限定されない。例えば、図2(D)に示すように、油分吸着シート4をホットプレート7などの電気加熱器に載せて加熱することができる。その他、アルミホイルで蓋をした容器内で水を沸騰させ、油分吸着シートをアルミホイルの上に載せて加熱する方法などがある。発色時の色ムラの発生を抑制するという観点から、好ましくは電気加熱器である。
加熱温度は、例えば、60~150℃である。加熱温度の下限値として、好ましくは70℃以上であり、より好ましくは80℃以上であり、さらに好ましくは90℃以上である。加熱温度の上限値として、好ましくは130℃以下であり、より好ましくは120℃以下であり、さらに好ましくは110℃以下である。
<評価ステップ>
図2(E)に示す評価ステップは、油分吸着シート上で生じた呈色反応の呈色度合いを評価するステップである。評価ステップにより、被検体中の油分に含まれる過酸化脂質の含量に関する情報が得られることから、被検体中の油分の脂質酸化度を測定することができる。
呈色度合いの評価方法は、図2(E)に示すように、色差計8Aを用いて色度(a*、b*)、明度(L*)の値により評価する方法や、既知濃度の過酸化脂質を発色させた色見本8Bを用いて目視により評価する方法などが挙げられる。例えば、発色試薬としてTBAを用いた呈色反応において、色差計を用いて呈色度合いを評価する場合には、赤色に呈色するためa*値を指標として脂質酸化度を測定することができる。
[脂質酸化度測定用シート]
本発明の脂質酸化度測定用シートは、油分を吸着するための油分吸着シートからなる脂質酸化度測定用シートであって、前記油分吸着シートの厚さが100μm以下であることを特徴とするものである。なお、油分吸着シートの特徴や使用方法については、上記「脂質酸化度測定方法」にて記載したとおりである。
本発明の脂質酸化度測定用シートによれば、脂質酸化度を簡便に測定するための脂質酸化度測定用キットを提供することができる。
本発明の脂質酸化度測定用シートは、脂質酸化度測定用試薬を吸着させておいてもよい。脂質酸化度測定用試薬を吸着させておくことにより、被検体の油分を吸着させるだけで、呈色反応を行うことができるため、極めて簡便な方法で脂質酸化度を測定することができる。
[脂質酸化度測定用試薬]
本発明の脂質酸化度測定用試薬は、2-チオバルビツール酸及び尿素を含有することを特徴とするものである。
また、本発明の脂質酸化度測定用試薬は、トレハロースを含有し、固体状であることが好ましい。
なお、脂質酸化度測定用試薬の特徴、調製方法、使用方法については、上記「脂質酸化度測定方法」にて記載したとおりである。
本発明の脂質酸化度測定用試薬によれば、TBAの発色が増強され、分析精度の向上した脂質酸化度測定用キットを提供することができる。
[発色増強方法]
本発明の発色増強方法は、過酸化脂質と2-チオバルビツール酸との呈色反応における発色増強方法であって、尿素を添加することを特徴とする。
なお、過酸化脂質と2-チオバルビツール酸との呈色反応や、尿素の添加量などについては、上記「脂質酸化度測定方法」にて記載したとおりである。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[試験1:脂質酸化度測定用シートを使用する脂質酸化度測定方法]
<脂質酸化度測定用試薬の調製>
2-チオバルビツール酸0.7gを温水の超純水100gに加えチオバルビツール酸溶液とし、これを常温に戻した。クエン酸2.0g、亜硫酸ナトリウム0.2g、硫酸第一鉄0.1g、尿素3.0g、トレハロース二水和物5.0gを秤量し、チオバルビツール酸溶液に加え、発色試薬溶液とした。次に、発色試薬溶液を1mLずつ分注し、凍結乾燥し、固形状の脂質酸化度測定用試薬を得た。固形状の脂質酸化度測定用試薬は、使用時に超純水1mLを添加して発色試薬溶液を再調製した。
<脂質酸化度測定>
上記脂質酸化度測定用試薬を用いて、図1、2に示したとおりに脂質酸化度を測定した。あぶらとり紙は、資生堂製の「くすみのもとになる皮脂もスッキリあぶらとり紙」を使用した。油分を吸着した油分吸着シートには、脂質酸化度測定用試薬1mLを滴下した。また、ホットプレートによる加熱の条件は、100℃で2分間とした。脂質酸化度の評価は、色差計「分光測色計CM―700d」(コミカミノルタ製)を使用し、a*値にて評価した。
<豚肉の評価>
被検体として脂身がやや黄変した豚肉17検体について、官能評価(パネラー1名)により脂質酸化度を確認し、「酸化臭なし又は微弱な酸化臭を感じる」6検体、「弱い酸化臭がある」3検体、「強い酸化臭がある」8検体に分けた。
また、豚肉17検体について、上記脂質酸化度測定方法により評価した。その結果を図3に示す。
図3に示すとおり、官能評価により「酸化臭なし又は微弱な酸化臭を感じる」と評価された検体は、いずれもa*値は低い値となった。官能評価により「弱い酸化臭がある」又は「強い酸化臭がある」と評価された検体は、a*値にばらつきはあったが、多くの検体にて高いa*値が認められた。この結果から、本発明の脂質酸化度測定方法による評価結果により酸化臭の程度をおおむね把握できることがわかった。
[試験2:尿素を含有する脂質酸化度測定用試薬を使用する脂質酸化度測定方法]
<脂質酸化度測定用試薬の調製>
尿素の添加量を0g/10mL、0.1g/10mL、0.3g/10mL、0.4g/10mLとし、硫酸第一鉄を除いた以外は試験1の脂質酸化度測定用試薬の調製方法と同様に、脂質酸化度測定用試薬を調製した。
<脂質酸化度測定>
試験1の「豚肉の評価」にて、「酸化臭なし」と評価された1検体、「強い酸化臭がある」と評価された1検体に対して、尿素の添加量を変えた各脂質酸化度測定用試薬を用いて、脂質酸化度を測定した。脂質酸化度の測定は、試験1と同様に行った。但し、脂質酸化測定用試薬については、硫酸第一鉄を除外して作製した。
結果を図4に示す。なお、結果は1検体あたり3回ずつ測定した数値の平均値であり、グラフ中に示すエラーバーは、標準偏差を示す。
図4を参照すると、TBAを発色試薬として使用する脂質酸化度測定用試薬に尿素を添加すると、発色が増強されることが認められた。
<検量線の作成>
尿素の添加量を0.3g/mLとして調製した脂質酸化度測定用試薬、及び、既知濃度のテトラエトキシプロパン水溶液を用いて、検量線を作成した。
既知濃度のテトラエトキシプロパン水溶液は、テトラエトキシプロパンを超純水で0.02質量%に調製したものを、1/2ずつ希釈し、計7点を作製した。
脂質酸化度測定では、凍結乾燥した脂質酸化度測定用試薬に1mLの超純水を加え、さらに既知濃度のテトラエトキシプロパン水溶液100μLを添加後、ボルテックスミキサーにより混合した。この混合液1mLを濾紙「GA-200」(ADVANTEC社製)の全面に付着するように滴下した。次いで、蒸気加熱により濾紙を2分間加熱した。蒸気加熱では、水を加えた三角フラスコにアルミホイルで封をして、加熱して水を沸騰させ、アルミホイルの上に濾紙を載せて加熱した。
脂質酸化度の評価は、色差計を用いてa*値を測定した。結果を図5に示す。測定は3回行い、3回の平均値とし、グラフ中のエラーバーは、標準偏差を示す。
図5を参照すると、尿素を含有する脂質酸化度測定用試薬を用いる脂質酸化度測定により、直線状の検量線を作成することが可能であることが確認された。
[試験3:尿素の析出防止試験]
<脂質酸化度測定用試薬の調製>
試験1の脂質酸化度測定用試薬の調製方法と同様に、脂質酸化度測定用試薬を調製した(「脂質酸化度測定用試薬(尿素+)」という。尿素濃度:0.3g/10mL。)。また、対照試薬として、尿素を添加しないこと以外は試験1と同様に調製した脂質酸化度測定用試薬を準備した(対照試薬を「脂質酸化度測定用試薬(尿素-)」という。)。
<保存試験>
常温(25℃)で24時間保存した結果、脂質酸化度測定用試薬(尿素+)では、析出が認められなかったが、脂質酸化度測定用試薬(尿素-)では、析出が認められた。尿素を添加することにより、脂質酸化度測定用試薬の析出が抑制されることがわかった。
[試験4:尿素による析出防止効果の検討]
試験1と同様にして、尿素の添加量を0g/10mL、0.05g/10mL、0.1g/10mL、0.3g/10mL、0.5g/10mL、0.8g/10mLとして脂質酸化度測定用試薬を準備した。これらの試薬を、常温(25℃)で24時間保存した結果、0g/10mL、0.05g/10mLでは析出が認められ、0.1g/10mLでは析出がわずかに認められた。0.3g/10mL、0.5g/10mL、0.8g/10mLでは、析出が発生しなかった。
本発明の脂質酸化度測定用シート、脂質酸化度測定用試薬、脂質酸化度測定方法は、過酸化脂質と発色試薬との呈色反応により脂質の酸化度を測定する方法に好適に利用することができる。例えば、食肉加工食品や油脂加工食品などの油脂含有食品、又はそれらの原料の脂質酸化度測定方法などに特に好適に利用することができる。
その他、化粧品や医薬品の開発、生化学分野の研究開発などの分野に利用することができる。例えば、皮脂の脂質酸化度測定方法に好適に利用することができる。
また、本発明の脂質酸化度測定用シート及び本発明の脂質酸化度測定用試薬は、それぞれ独立して又は組み合わせて、脂質酸化度測定用キットとして利用することができる。脂質酸化度測定用キットは、簡易的に脂質酸化度を測定することができるため、食品の品質確認試験や、研究分野の過酸化脂質の含有量の測定において好適に利用することができる。
1:食肉原料(被検体)、2:赤身、3:脂身、4:あぶらとり紙(油分吸着シート)、5:油分、6:脂質酸化度測定用試薬、7:ホットプレート(加熱器)、8A:色差計、8B:色見本

Claims (6)

  1. 油分を吸着するための油分吸着シートからなる脂質酸化度測定用シートであって、
    前記油分吸着シートの厚さが100μm以下であることを特徴とする、脂質酸化度測定用シート。
  2. 2-チオバルビツール酸及び尿素を含有することを特徴とする、脂質酸化度測定用試薬。
  3. トレハロースを含有し、固体状であることを特徴とする、請求項2に記載の脂質酸化度測定用試薬。
  4. 被検体中の油分の脂質酸化度を測定する脂質酸化度測定方法において、
    厚さが100μm以下の油分吸着シートに被検体中の油分を吸着する吸着ステップと、
    前記油分吸着シートに前記油分を吸着した状態で、前記油分中の過酸化脂質と発色試薬との呈色反応を行う反応ステップを備えることを特徴とする、脂質酸化度測定方法。
  5. 被検体中の油分の脂質酸化度を測定する脂質酸化度測定方法において、
    2-チオバルビツール酸及び尿素を含有する脂質酸化度測定用試薬を準備する発色試薬準備ステップを備えることを特徴とする、脂質酸化度測定方法。
  6. 過酸化脂質と2-チオバルビツール酸との呈色反応における発色増強方法であって、尿素を添加することを特徴とする、発色増強方法。

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