JP2023124063A - 光ファンクションジェネレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】任意の時間波形を有する高出力、高品質且つチャープのないフーリエ限界光パルスを、FMモード同期レーザから直接生成することができる光ファンクションジェネレータを提供する。【解決手段】レーザ共振器内に、光位相変調器と、光増幅器と、光フィルタとを備えるFMモード同期レーザを有している。光フィルタは、その振幅および位相特性が可変であり、出力したい光パルスの形状に応じて振幅および位相特性を設定することにより、任意の形状を有する光パルスを発生するよう構成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、光ファンクションジェネレータに関する。
超短光パルスは、超高速光通信、光計測、光信号処理などの用途に広く用いられている。モード同期レーザは、そのような超短光パルス用の光源として広く用いられている。モード同期には、受動モード同期および強制(能動)モード同期の2種類がある。受動モード同期レーザは、共振器内に可飽和吸収体を挿入したり、非線形偏波回転を生じさせたりすることにより、フェムト秒領域の超短パルスを容易に発生することができる。しかし、その繰り返し周波数は、一般に数十~百MHz程度と低速である。一方、能動(強制)モード同期レーザは、共振器内に光変調器を挿入し、外部から供給される変調信号に同期してパルスを生成することができ、パルス幅はピコ~サブピコ秒程度であるが、繰り返し周波数を数十GHzまで高速化することができる。
強制モード同期において、振幅変調器を用いる場合はAM(Amplitude Modulation)モード同期、位相変調器を用いる場合はFM(Frequency Modulation)モード同期と呼ばれる。FMモード同期は、位相変調器により線形チャープを発生させ、パルスの裾野に対応するスペクトルの高周波成分を光フィルタで除去することにより、パルスを発生させる。ここでチャープとは、周波数変調を時間に対して線形に変化させることを言う。AMモード同期では、強度変調器で得られる変調度は1が上限である一方、FMモード同期では、位相変調器で1を上回る変調度が容易に得られるため、FMモード同期は短パルスの発生に特に有用である。
FMモード同期レーザから発生するパルス形状は、一般にガウスパルスとなることが知られている(例えば、非特許文献1または2参照)。また、共振器内にソリトン効果と呼ばれる非線形光学効果を用いることにより、sechパルスを発生することが出来る(例えば、非特許文献3参照)。FMモード同期レーザから出力されるパルスは、一般にその周波数がチャープしている。そのため、チャープのないフーリエ限界パルスを得るには、周波数チャープを補償するための分散補償素子をレーザ外部に挿入する必要がある。
一方、ガウス、sech以外のパルスを発生するには、レーザの外部で波形を整形する手法が用いられる。レーザから直接出力されるパルスの波形を u(t)、生成したい波形を a(t)とする。u(t), a(t)の周波数スペクトルをそれぞれ U(ω), A(ω)とすると、レーザの外部に、伝達関数が F(ω)=A(ω)/U(ω)で与えられる光フィルタを挿入することにより、フィルタの出力で波形が a(t)で与えられる光パルスを得ることができる。このように、伝達関数を自由に設計可能な光フィルタは、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)素子を用いて容易に実現することができる(例えば、非特許文献4参照)。
なお、本発明者らは、AMモード同期について、振幅変調に伴う光パルスa(t)のスペクトル形状A(ω)の変化(A(ω)から正負に繰り返し角周波数Ωm分シフトしたA(ω+Ωm)およびA(ω-Ωm)の生成)を考慮して光フィルタの伝達関数を設計することにより、所望の波形を有する光パルスが発生できることを提案している。しかし、AMモード同期で用いられる強度変調器は、パルスの振幅を変調することから、矩形波のように振幅が一定なパルスをAMモード同期レーザで発生することは困難であることを指摘している。同様に、強度(電界の2乗)が三角形やパラボラ(放物線)の形状をもつパルスも、振幅が垂直に立ち上がる成分が存在し、そのような急峻な振幅変化は正弦波の強度変調器では実現が困難であるため、AMモード同期レーザでは実現が困難であることも指摘している(例えば、非特許文献5参照)。
D. Kuizenga and A. Siegman, "FM and AM mode locking of the homogeneous laser - Part I: Theory", IEEE J. Quantum Electron., November 1970, vol. 6, no. 11, pp. 694-708
H. A. Haus, "A theory of forced mode locking", IEEE J. Quantum Electron., July 1975, vol. QE-11, no. 7, pp. 323-330
M. Nakazawa and E. Yoshida, "A 40-GHz 850-fs regeneratively FM mode-locked polarization-maintaining erbium fiber ring laser", IEEE Photonics Technology Letters, Dec. 2000, vol. 12, no. 12, pp. 1613-1615
G. Baxter, S. Frisken, D. Abakoumov, H. Zhou, I. Clarke, A. Bartos, and S. Poole, "Highly programmable wavelength selective switch based on liquid crystal on silicon switching elements", in OFC 2006, OTuF2
M. Nakazawa and T. Hirooka, "Theory of AM Mode-Locking of a Laser as an Arbitrary Optical Function Generator", IEEE J. Quantum Electron., December 2021, vol. 57, no. 6, 1300320
しかしながら、非特許文献4に記載のような波形整形法は、光フィルタ自身の挿入損失に加え、スペクトル形状の整形に伴い、元の光信号がもっていたパワーの多くが削られてしまう。そのため、整形後に光増幅器でこれらの光損失を補う必要があり、その結果、パルスに自然放出光雑音が重畳され、光信号対雑音比(OSNR: Optical Signal to Noise Ratio)が劣化してしまうという問題があった。即ち、従来の波形整形法では、高出力且つOSNRの高い高品質の光パルスを生成することが困難であるという課題があった。
また、非特許文献1乃至3に記載のような、従来のFMモード同期レーザで直接生成可能なガウスパルス、sechパルスにおいても、レーザ出力の直後では、一般にその周波数はチャープしている。そのため、フーリエ限界パルスを得るには、周波数チャープを補償するための分散補償用の光学素子をレーザ外部に挿入する必要があるという課題があった。
本発明は、このような課題を解決するためのものであり、任意の時間波形を有する高出力、高品質且つチャープのないフーリエ限界光パルスを、FMモード同期レーザから直接生成することができる光ファンクションジェネレータを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明に係る光ファンクションジェネレータは、レーザ共振器内に光位相変調器(周波数変調器)と、光増幅器と、光フィルタとを備えるFMモード同期レーザを有し、前記光フィルタは、その振幅および位相特性が可変であり、出力したい光パルスの形状に応じて前記振幅および位相特性を設定することにより、任意の形状を有する光パルスを発生することを特徴とする。
また、本発明に係る光ファンクションジェネレータで、前記光位相変調器は、繰り返し角周波数Ωmの正弦波で駆動可能に設けられ、前記光フィルタは、前記振幅および位相特性は、前記光位相変調器の変調度、および出力したい光パルスのスペクトルA(ω)、ならびにA(ω)をΩmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)(n:整数)から成ることが好ましい。さらに、前記光フィルタは、出力したい光パルスのスペクトル幅に応じて、前記振幅および位相特性に帯域制限を設け、TL (Transform-limted)パルスを得るよう構成されていてもよい。
また、本発明に係る光ファンクションジェネレータで、前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、ガウス関数A(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、ガウスパルスを発生可能に設けられていてもよい。また、前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、sech関数A(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、sechパルスを発生可能に設けられていてもよい。また、前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、ローレンツ関数A(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、両指数関数の形状をもつパルスを発生可能に設けられていてもよい。
また、前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、sinc関数の2乗の関数A(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、電界振幅が三角形の形状をもつパルスを発生可能に設けられていてもよい。また、前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、第1種ベッセル関数J2k(ω)(k: 整数)の級数で与えられるA(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、強度(電界の2乗)が三角形の形状をもつパルスを発生可能に設けられていてもよい。また、前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、関数sin ω/ω3とcos ω/ω2との和で与えられるA(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、電界振幅がパラボラ(放物線)の形状をもつパルスを発生可能に設けられていてもよい。
また、前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、関数J1(ω)/ω(J1(ω): 1次の第1種ベッセル関数)で与えられるA(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、強度(電界の2乗)がパラボラ(放物線)の形状をもつパルスを発生可能に設けられていてもよい。また、前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、sinc関数A(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、矩形の形状をもつパルスを発生可能に設けられていてもよい。
本発明に係る光ファンクションジェネレータは、モード同期レーザの共振器内に挿入した光フィルタの振幅・位相特性に応じて、任意の時間波形をもつパルス列を、高いOSNRで発生することができる。従って、本発明によれば、任意の時間波形を有する高出力、高品質且つチャープのないフーリエ限界光パルスを、FMモード同期レーザから直接生成することができる光ファンクションジェネレータを提供することができる。
以下、図面等に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図35は、本発明の実施の形態の光ファンクションジェネレータを示している。
本発明の実施形態における光ファンクションジェネレータの構成を、図1に示す。光ファイバ1がレーザリング共振器を構成しており、共振器は、利得媒質として用いる光増幅器2と、モードロッカとして用いる光位相変調器3と、および振幅・位相特性を任意に設定可能な光フィルタ4とを備える。光増幅器2には、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA: Erbium-Doped Fiber Amplifier)、半導体光増幅器(SOA: Semiconductor Optical Amplifier)、固体レーザ素子等を用いる。光位相変調器3には、LN (LiNbO3)結晶を用いたMach-Zehnder変調器等を用い、外部から周波数fm(角周波数Ωm = 2πfm)、変調度MPMの正弦波MPM cos(Ωmt)で駆動する。光フィルタ4には、LCoS等で構成されるプログラマブル光フィルタを用いる。後述するように、形状が非対称なパルス波形の生成を想定し、光フィルタ4は、振幅(透過)特性だけでなく、位相特性も制御できることが望ましい。
図1乃至図35は、本発明の実施の形態の光ファンクションジェネレータを示している。
本発明の実施形態における光ファンクションジェネレータの構成を、図1に示す。光ファイバ1がレーザリング共振器を構成しており、共振器は、利得媒質として用いる光増幅器2と、モードロッカとして用いる光位相変調器3と、および振幅・位相特性を任意に設定可能な光フィルタ4とを備える。光増幅器2には、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA: Erbium-Doped Fiber Amplifier)、半導体光増幅器(SOA: Semiconductor Optical Amplifier)、固体レーザ素子等を用いる。光位相変調器3には、LN (LiNbO3)結晶を用いたMach-Zehnder変調器等を用い、外部から周波数fm(角周波数Ωm = 2πfm)、変調度MPMの正弦波MPM cos(Ωmt)で駆動する。光フィルタ4には、LCoS等で構成されるプログラマブル光フィルタを用いる。後述するように、形状が非対称なパルス波形の生成を想定し、光フィルタ4は、振幅(透過)特性だけでなく、位相特性も制御できることが望ましい。
本光ファンクションジェネレータ(FMモード同期レーザ)の動作特性および光フィルタ4の設計方法を、図2のブロック図を用いて説明する。図1において、共振器の損失をL、利得をGとし、光フィルタ4の伝達関数をFF(ω)とする。共振器を周回する光の電界振幅をa(t)、そのスペクトルをA(ω)とすると、定常状態ではA(ω)は以下の方程式(1)を満たす。
その結果、マスター方程式(2)は、式(4)で表される。GL = 1とおき、式(4)をFF(ω)について解くと、式(5)が得られる。従って、FMモード同期レーザを用いて所望のパルス波形a(t)を発生させたい場合、そのスペクトルA(ω)を用いて光フィルタ4の伝達関数FF(ω)を式(5)のように設計すればよい。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態では、チャープのないフーリエ限界ガウスパルスを発生することが出来る。ガウスパルスの波形a(t)は、式(6)で与えられる。式(6)のフーリエ変換より、ガウスパルスのスペクトルA(ω)は、式(7)で与えられる。このガウスパルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(7)を式(5)に代入し、式(8)で与えられる。この光フィルタ4を共振器内に挿入することにより、ガウスパルスを生成することが出来る。
本発明の第1の実施形態では、チャープのないフーリエ限界ガウスパルスを発生することが出来る。ガウスパルスの波形a(t)は、式(6)で与えられる。式(6)のフーリエ変換より、ガウスパルスのスペクトルA(ω)は、式(7)で与えられる。このガウスパルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(7)を式(5)に代入し、式(8)で与えられる。この光フィルタ4を共振器内に挿入することにより、ガウスパルスを生成することが出来る。
本実施形態に用いる光フィルタ4の伝達関数FF(ω)の形状の一例を、図3に示す。ここで、パルス幅T = 6 ps(a2(t)の半値全幅Wp = 10 ps)、変調角周波数Ωm = 2π×10 GHz、変調指数MPM = 1としている。同図の黒い点は、光スペクトルの縦モード(10 GHz間隔)が存在する周波数を表している。FF(ω)は複素関数で与えられ、図3(a)はその絶対値|FF(ω)|を、図3(b)は位相arg FF(ω)を示している。FF(ω)の裾野は緩やかに減衰しているが、波形を損なわない程度まで帯域制限を設けてもよい。図3(a)、(b)において、200 GHz(±100 GHz)の帯域制限を与えたフィルタの形状を、図3(c)、(d)に示す。本フィルタを用いてレーザの定常解を計算機解析により求めた結果を、図4に示す。図4(a)は定常パルスの波形(振幅の絶対値|a(t)|)、図4(b)はその位相arg a(t)を示している。図4(c)は、定常パルスのスペクトルを実線で、ガウスパルスの理想的なスペクトル形状(式(7)のA(ω))を破線で示している。図4(b)において、定常パルスの位相はほぼ一定であり、チャープのないガウスパルスが出力できることが判る。通常、FMモード同期で得られるガウスパルスにはチャープが不可避であるが、本実施形態では、チャープのないフーリエ限界(TL: Transform limited)のガウスパルスが得られる点が特徴である。これは、光位相変調器で生じるチャープが、光フィルタFF(ω)の位相特性によって共振器内で相殺されているためである。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態では、sechパルスを発生することが出来る。sechパルスの波形a(t)は、式(9)で与えられる。式(9)のフーリエ変換より、sechパルスのスペクトルA(ω)は、式(10)で与えられる。このsechパルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(10)を式(5)に代入し、式(11)で与えられる。
本発明の第2の実施形態では、sechパルスを発生することが出来る。sechパルスの波形a(t)は、式(9)で与えられる。式(9)のフーリエ変換より、sechパルスのスペクトルA(ω)は、式(10)で与えられる。このsechパルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(10)を式(5)に代入し、式(11)で与えられる。
本実施形態に用いる光フィルタ4の伝達関数FF(ω)の形状の一例を、図5に示す。ここでパルス幅T = 6 ps(a2(t)の半値全幅Wp = 10.6 ps)、変調角周波数Ωm = 2π×10 GHz、変調指数MPM = 1としている。同図の黒い点は、光スペクトルの縦モード(10 GHz間隔)が存在する周波数を表している。図5(a)はFF(ω)の絶対値|FF(ω)|を、図5(b)は位相arg FF(ω)を示している。|FF(ω)|は裾野が平坦に続く形状を有しているため、帯域制限を設ける必要がある。図5(a)、(b)において、200 GHz(±100 GHz)の帯域制限を与えたフィルタの形状を、図5(c)、(d)に示す。本フィルタを用いてレーザの定常解を計算機解析により求めた結果を、図6に示す。図6(a)、(b)は、定常パルスの波形(振幅の絶対値|a(t)|)および位相arg a(t)を、図6(c)は、定常パルスのスペクトルおよび理想的なスペクトル形状(式(10)のA(ω))をそれぞれ示している。図6(b)において、定常パルスの位相はほぼ一定であり、チャープのないsechパルスが出力できることが判る。通常のモード同期レーザでsechパルスを出力するには、光学的非線形性(ソリトン効果)が不可欠であるが、本実施形態では光学的非線形性を必要としない点が特徴である。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態では、両指数関数パルスを発生することが出来る。両指数関数パルスの波形a(t)は、式(12)で与えられる。式(12)のフーリエ変換より、両指数関数パルスのスペクトルA(ω)は、式(13)で与えられる。この両指数関数パルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(13)を式(5)に代入し、式(14)で与えられる。
本発明の第3の実施形態では、両指数関数パルスを発生することが出来る。両指数関数パルスの波形a(t)は、式(12)で与えられる。式(12)のフーリエ変換より、両指数関数パルスのスペクトルA(ω)は、式(13)で与えられる。この両指数関数パルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(13)を式(5)に代入し、式(14)で与えられる。
本実施形態に用いる光フィルタ4の伝達関数FF(ω)の形状の一例を、図7に示す。ここで、パルス幅T = 6.25 ps(a2(t)の半値全幅Wp = 4.33 ps)、変調角周波数Ωm = 2π×10 GHz、変調指数MPM = 1としている。同図の黒い点は、光スペクトルの縦モード(10 GHz間隔)が存在する周波数を表している。図7(a)はFF(ω)の絶対値|FF(ω)|を、図7(b)は位相arg FF(ω)を示している。|FF(ω)|は裾野が平坦に続く形状を有しているため、帯域制限を設ける必要がある。定常パルスのスペクトル形状A(ω)の裾野における広がりを考慮し、440 GHz(±220 GHz)の帯域制限を図7(a)、(b)に与えたフィルタの形状を図7(c)、(d)に示す。本フィルタを用いてレーザの定常解を計算機解析により求めた結果を、図8に示す。図8(a)、(b)は、定常パルスの波形(振幅の絶対値|a(t)|)および位相arg a(t)を、図8(c)は、定常パルスのスペクトルおよび理想的なスペクトル形状(式(13)のA(ω))をそれぞれ示している。図8(b)において、定常パルスの位相はほぼ一定であり、チャープのない指数関数パルスが出力できることが判る。
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態では、電界振幅が三角形で与えられる光パルスを発生することが出来る。三角パルスの波形a(t)は、式(15)で与えられる。式(15)のフーリエ変換より、三角パルスのスペクトルA(ω)は、式(16)で与えられる。この三角パルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(16)を式(5)に代入し、式(17)で与えられる。
本発明の第4の実施形態では、電界振幅が三角形で与えられる光パルスを発生することが出来る。三角パルスの波形a(t)は、式(15)で与えられる。式(15)のフーリエ変換より、三角パルスのスペクトルA(ω)は、式(16)で与えられる。この三角パルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(16)を式(5)に代入し、式(17)で与えられる。
本実施形態に用いる光フィルタ4の伝達関数FF(ω)の形状の一例を、図9に示す。ここで、パルス幅T = 25 ps、変調角周波数Ωm = 2π×10 GHzとし、変調指数MPM は三角波の生成に必要な高調波成分を得るために、MPM = 2.4としている。同図の黒い点は、光スペクトルの縦モード(10 GHz間隔)が存在する周波数を表している。図9(a)はFF(ω)の絶対値|FF(ω)|を、図9(b)は位相arg FF(ω)を示している。|FF(ω)|は、周波数が高くなっても減衰せず一定の大きさを保持しているため、帯域制限を設ける必要がある。定常パルスのスペクトル形状A(ω)の裾野における広がりを考慮し、240 GHz(±120 GHz)の帯域制限を図9(a)、(b)に与えたフィルタの形状を、図9(c)、(d)に示す。ここで、帯域制限にはロールオフ率α = 0.5のナイキストフィルタを用いている。本フィルタを用いてレーザの定常解を計算機解析により求めた結果を、図10に示す。図10(a)、(b)は、定常パルスの波形(振幅の絶対値|a(t)|)および位相arg a(t)を、図10(c)は、定常パルスのスペクトルおよび理想的なスペクトル形状(式(16)のA(ω))をそれぞれ示している。図10(b)において、定常パルスの位相はほぼ一定であり、チャープのない三角パルスが出力できることが判る。
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態では、第4の実施形態における電界振幅で定義した三角パルスではなく、強度(電界の2乗)が三角形で与えられる光パルスを発生することが出来る。本パルスの波形(電界振幅)a(t)は、式(18)で与えられる。このとき、|a(t)|2が三角形を表している。式(18)のフーリエ変換より、a(t)のスペクトルA(ω)は、式(19)で与えられる。ここで、J2n(ωT)は2n次の第1種ベッセル関数であり、F(n)は式(20)で与えられる関数である。このパルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(19)を式(5)に代入し、式(21)で与えられる。
本発明の第5の実施形態では、第4の実施形態における電界振幅で定義した三角パルスではなく、強度(電界の2乗)が三角形で与えられる光パルスを発生することが出来る。本パルスの波形(電界振幅)a(t)は、式(18)で与えられる。このとき、|a(t)|2が三角形を表している。式(18)のフーリエ変換より、a(t)のスペクトルA(ω)は、式(19)で与えられる。ここで、J2n(ωT)は2n次の第1種ベッセル関数であり、F(n)は式(20)で与えられる関数である。このパルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(19)を式(5)に代入し、式(21)で与えられる。
本実施形態に用いる光フィルタ4の伝達関数FF(ω)の形状の一例を、図11に示す。ここで、パルス幅T = 25 ps、変調角周波数Ωm = 2π×10 GHzとし、変調指数MPM は三角波の生成に必要な高調波成分を得るために、MPM = 2.0としている。同図の黒い点は、光スペクトルの縦モード(10 GHz間隔)が存在する周波数を表している。図11(a)はFF(ω)の絶対値|FF(ω)|を、図11(b)は位相arg FF(ω)を示している。|FF(ω)|は、周波数が高くなっても減衰せず一定の大きさを保持しているため、帯域制限を設ける必要がある。定常パルスのスペクトル形状A(ω)の裾野における広がりを考慮し、640 GHz(±320 GHz)の帯域制限を図11(a)、(b)に与えたフィルタの形状を、図11(c)、(d)に示す。本フィルタを用いてレーザの定常解を計算機解析により求めた結果を、図12に示す。図12(a)、(b)は、定常パルスの波形(振幅の絶対値|a(t)|および強度|a(t)|2)および位相arg a(t)を、図12(c)は、定常パルスのスペクトルおよび理想的なスペクトル形状(式(19)のA(ω))をそれぞれ示している。図12(a)の右の縦軸で示すように、電界強度が三角形の光パルスが得られており、図12(b)において、定常パルスの位相はほぼ一定であることから、チャープのないパルスが出力できることが判る。
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態では、電界振幅がパラボラ(放物線)で与えられる光パルスを発生することが出来る。パラボラパルスの波形a(t)は、式(22)で与えられる。式(22)のフーリエ変換より、パラボラパルスのスペクトルA(ω)は、式(23)で与えられる。このパラボラパルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(23)を式(5)に代入し、式(24)で与えられる。
本発明の第6の実施形態では、電界振幅がパラボラ(放物線)で与えられる光パルスを発生することが出来る。パラボラパルスの波形a(t)は、式(22)で与えられる。式(22)のフーリエ変換より、パラボラパルスのスペクトルA(ω)は、式(23)で与えられる。このパラボラパルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(23)を式(5)に代入し、式(24)で与えられる。
本実施形態に用いる光フィルタ4の伝達関数FF(ω)の形状の一例を、図13に示す。ここで、パルス幅T = 25.0 ps、変調角周波数Ωm = 2π×10 GHz、変調指数MPM = 1としている。同図の黒い点は、光スペクトルの縦モード(10 GHz間隔)が存在する周波数を表している。図13(a)はFF(ω)の絶対値|FF(ω)|を、図13(b)は位相arg FF(ω)を示している。|FF(ω)|は、周波数が高くなっても減衰せず一定の大きさを保持しているため、帯域制限を設ける必要がある。定常パルスのスペクトル形状A(ω)の裾野における広がりを考慮し、640 GHz(±320 GHz)の帯域制限を図13(a)、(b)に与えたフィルタの形状を、図13(c)、(d)に示す。本フィルタを用いてレーザの定常解を計算機解析により求めた結果を、図14に示す。図14(a)、(b)は、定常パルスの波形(振幅の絶対値|a(t)|)および位相arg a(t)を、図14(c)は、定常パルスのスペクトルおよび理想的なスペクトル形状(式(23)のA(ω))をそれぞれ示している。図14(b)において、定常パルスの位相はほぼ一定であり、チャープのないパラボラパルスが出力できることが判る。
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態では、第6の実施形態における電界振幅で定義したパラボラパルスではなく、強度(電界の2乗)がパラボラ(放物線)で与えられる光パルスを発生することが出来る。本パルスの波形(電界振幅)a(t)は、式(25)で与えられる。このとき|a(t)|2がパラボラを表している。式(25)のフーリエ変換より、a(t)のスペクトルA(ω)は、式(26)で与えられる。ここで、J1(ωT)は1次の第1種ベッセル関数である。このパルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(26)を式(5)に代入し、式(27)で与えられる。
本発明の第7の実施形態では、第6の実施形態における電界振幅で定義したパラボラパルスではなく、強度(電界の2乗)がパラボラ(放物線)で与えられる光パルスを発生することが出来る。本パルスの波形(電界振幅)a(t)は、式(25)で与えられる。このとき|a(t)|2がパラボラを表している。式(25)のフーリエ変換より、a(t)のスペクトルA(ω)は、式(26)で与えられる。ここで、J1(ωT)は1次の第1種ベッセル関数である。このパルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(26)を式(5)に代入し、式(27)で与えられる。
本実施形態に用いる光フィルタ4の伝達関数FF(ω)の形状の一例を、図15に示す。ここで、パルス幅T = 25 ps、変調角周波数Ωm = 2π×10 GHzとし、変調指数はMPM = 1.0としている。同図の黒い点は、光スペクトルの縦モード(10 GHz間隔)が存在する周波数を表している。図15(a)はFF(ω)の絶対値|FF(ω)|を、図15(b)は位相arg FF(ω)を示している。|FF(ω)|は、周波数が高くなっても減衰せず一定の大きさを保持しているため、帯域制限を設ける必要がある。定常パルスのスペクトル形状A(ω)の裾野における広がりを考慮し、640 GHz(±320 GHz)の帯域制限を図15(a)、(b)に与えたフィルタの形状を図15(c)、(d)に示す。本フィルタを用いてレーザの定常解を計算機解析により求めた結果を、図16に示す。図16(a)、(b)は、定常パルスの波形(振幅の絶対値|a(t)|および強度|a(t)|2)および位相arg a(t)を、図16(c)は、定常パルスのスペクトルおよび理想的なスペクトル形状(式(26)のA(ω))をそれぞれ示している。図16(a)の右の縦軸で示すように、電界強度がパラボラの光パルスが得られており、図16(b)において、定常パルスの位相はほぼ一定であることから、チャープのないパルスが出力できることが判る。
[第8の実施形態]
本発明の第8の実施形態では、矩形パルスを発生することが出来る。パラボラパルスの波形a(t)は、式(28)で与えられる。式(28)のフーリエ変換より、矩形パルスのスペクトルA(ω)は、式(29)で与えられる。この矩形パルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(29)を式(5)に代入し、式(30)で与えられる。
本発明の第8の実施形態では、矩形パルスを発生することが出来る。パラボラパルスの波形a(t)は、式(28)で与えられる。式(28)のフーリエ変換より、矩形パルスのスペクトルA(ω)は、式(29)で与えられる。この矩形パルスを生成するための光フィルタ4の形状は、式(29)を式(5)に代入し、式(30)で与えられる。
本実施形態に用いる光フィルタ4の伝達関数FF(ω)の形状の一例を、図17に示す。ここで、パルス幅T = 25.0 ps、変調角周波数Ωm = 2π×10 GHz、変調指数MPM = 1としている。同図の黒い点は、光スペクトルの縦モード(10 GHz間隔)が存在する周波数を表している。図17(a)はFF(ω)の絶対値|FF(ω)|を、図17(b)は位相arg FF(ω)を示している。|FF(ω)|は、周波数が高くなっても減衰せず一定の大きさを保持しているため、帯域制限を設ける必要がある。定常パルスのスペクトル形状A(ω)の裾野における広がりを考慮し、640 GHz(±320 GHz)の帯域制限を図17(a)、(b)に与えたフィルタの形状を図17(c)、(d)に示す。本フィルタを用いてレーザの定常解を計算機解析により求めた結果を、図18に示す。図18(a)、(b)は、定常パルスの波形(振幅の絶対値|a(t)|)および位相arg a(t)を、図18(c)は、定常パルスのスペクトルおよび理想的なスペクトル形状(式(29)のA(ω))をそれぞれ示している。図18(b)において、定常パルスの位相はほぼ一定であり、チャープのない矩形パルスが出力できることが判る。AMモード同期レーザは、強度変調器でパルスの振幅を変調することから、振幅が一定なパルスを発生することは困難であるため、矩形波のように振幅が一定のパルスは、本発明により初めて得られるパルスである。
以下では、具体的な実験例を示す。実験では、図19に示すように、波長1.56 μmで発振する、繰り返し周波数10 GHzの高調波FMモード同期エルビウムファイバレーザを用い、共振器(共振器長15 m)内にLCoS素子を挿入している。第1~8の実施形態で示したフィルタ関数FF(ω)の振幅・位相特性を、ソフトウェアを用いてLCoS素子に実装している。LCoS素子の周波数分解能は1 GHzである。
本発明の第1の実施形態における、ガウスパルスの発生に用いた光フィルタの形状を、図20に示す。同図(a)は振幅特性、(b)は位相特性を示している。実線は、式(5)のFF(ω)を200 GHzで帯域制限したフィルタ(図3(c))、破線は、これを10 GHzごとにステップ関数で近似してLCoS素子に実装したフィルタ形状である。実験に用いたLCoS素子は、本来1 GHzの周波数分解能を有するものの、レーザの縦モード周波数の揺らぎを考慮して、縦モード間隔である10 GHzごとにFF(ω)をステップ状に近似し、これを実装している。
このフィルタを使って発生させたガウスパルスの波形および光スペクトルを、図21に示す。同図(a)は、光サンプリングオシロスコープで観測した強度波形a2(t)、(b)は、その平方根をとり、振幅a(t)に換算したもの、(c)は、光スペクトラムアナライザで観測した光スペクトルA(ω)を、dB表示(20 log|A(ω)|)したものである。実線は実験結果、破線は図4(a)、(c)に示した計算機解析結果である。両者はよく一致しており、図20の光フィルタを用いて、設計通りガウスパルスが発生できていることがわかる。また、その時間バンド幅積は 0.44となっており、通常のFMモード同期レーザのようにレーザ外部でチャープ補償を行うことなく、レーザから直接TLパルスが得られていることが判る。
本発明の第2の実施形態における、sechパルスの発生に用いた光フィルタの形状を、図22に示す。同図(a)は振幅特性、(b)は位相特性を示している。実線は、式(11)のFF(ω)を200 GHzで帯域制限したフィルタ(図5(c))、破線は、これを10 GHzごとにステップ関数で近似してLCoS素子に実装したフィルタ形状である。
このフィルタを使って発生させたsechパルスの波形および光スペクトルを、図23に示す。同図(a)は、光サンプリングオシロスコープで観測した強度波形a2(t)、(b)は、その平方根をとり、振幅a(t)に換算したもの、(c)は、光スペクトラムアナライザで観測した光スペクトルA(ω)を、dB表示(20 log|A(ω)|)したものである。実線は実験結果、破線は図6(a)、(c)に示した計算機解析結果である。両者はよく一致しており、図22の光フィルタを用いて、設計通りsechパルスが発生できていることがわかる。また、その時間バンド幅積は 0.32となっており、レーザから直接TLのsechパルスが得られていることが判る。
本発明の第3の実施形態における、両指数関数パルスの発生に用いた光フィルタの形状を、図24に示す。同図(a)は振幅特性、(b)は位相特性を示している。実線は、式(14)のFF(ω)を440 GHzで帯域制限したフィルタ(図7(c))、破線は、これを10 GHzごとにステップ関数で近似してLCoS素子に実装したフィルタ形状である。
このフィルタを使って発生させた両指数関数パルスの波形および光スペクトルを、図25に示す。同図(a)は、光サンプリングオシロスコープで観測した強度波形a2(t)、(b)は、その平方根をとり、振幅a(t)に換算したもの、(c)は、光スペクトラムアナライザで観測した光スペクトルA(ω)を、dB表示(20 log|A(ω)|)したものである。実線は実験結果、破線は図8(a)、(c)に示した計算機解析結果である。両者はよく一致しており、図24の光フィルタを用いて、設計通り両指数関数パルスが発生できていることがわかる。
本発明の第4の実施形態における、電界振幅で定義した三角パルスの発生に用いた光フィルタの形状を、図26に示す。同図(a)は振幅特性、(b)は位相特性を示している。実線は、式(17)のFF(ω)を240 GHzで帯域制限したフィルタ(図9(c))、破線は、これを10 GHzごとにステップ関数で近似してLCoS素子に実装したフィルタ形状である。
このフィルタを使って発生させた、電界振幅で定義した三角パルスの波形および光スペクトルを、図27に示す。同図(a)は、光サンプリングオシロスコープで観測した強度波形a2(t)、(b)は、その平方根をとり、振幅a(t)に換算したもの、(c)は、光スペクトラムアナライザで観測した光スペクトルA(ω)を、dB表示(20 log|A(ω)|)したものである。実線は実験結果、破線は図10(a)、(c)に示した計算機解析結果である。両者はよく一致しており、図26の光フィルタを用いて、設計通り電界振幅で定義した三角パルスが発生できていることがわかる。
本発明の第5の実施形態における、強度(電界の2乗)で定義した三角パルスの発生に用いた光フィルタの形状を、図28に示す。同図(a)は振幅特性、(b)は位相特性を示している。実線は、式(21)のFF(ω)を640 GHzで帯域制限したフィルタ(図11(c))、破線は、これを10 GHzごとにステップ関数で近似してLCoS素子に実装したフィルタ形状である。
このフィルタを使って発生させた、強度(電界の2乗)で定義した三角パルスの波形および光スペクトルを、図29に示す。同図(a)は、光サンプリングオシロスコープで観測した強度波形a2(t)、(b)は、その平方根をとり、振幅a(t)に換算したもの、(c)は、光スペクトラムアナライザで観測した光スペクトルA(ω)を、dB表示(20 log|A(ω)|)したものである。実線は実験結果、破線は図12(a)、(c)に示した計算機解析結果である。両者はよく一致しており、図28の光フィルタを用いて、設計通り強度で定義した三角パルスが発生できていることがわかる。
本発明の第6の実施形態における、電界振幅で定義したパラボラパルスの発生に用いた光フィルタの形状を、図30に示す。同図(a)は振幅特性、(b)は位相特性を示している。実線は、式(24)のFF(ω)を640 GHzで帯域制限したフィルタ(図13(c))、破線は、これを10 GHzごとにステップ関数で近似してLCoS素子に実装したフィルタ形状である。
このフィルタを使って発生させた、電界振幅で定義したパラボラパルスの波形および光スペクトルを、図31に示す。同図(a)は、光サンプリングオシロスコープで観測した強度波形a2(t)、(b)は、その平方根をとり、振幅a(t)に換算したもの、(c)は、光スペクトラムアナライザで観測した光スペクトルA(ω)を、dB表示(20 log|A(ω)|)したものである。実線は実験結果、破線は図14(a)、(c)に示した計算機解析結果である。両者はよく一致しており、図30の光フィルタを用いて、設計通り電界振幅で定義したパラボラパルスが発生できていることがわかる。
本発明の第8の実施形態における、強度(電界の2乗)で定義したパラボラパルスの発生に用いた光フィルタの形状を、図32に示す。同図(a)は振幅特性、(b)は位相特性を示している。実線は、式(27)のFF(ω)を640 GHzで帯域制限したフィルタ(図15(c))、破線は、これを10 GHzごとにステップ関数で近似してLCoS素子に実装したフィルタ形状である。
このフィルタを使って発生させた、強度(電界の2乗)で定義したパラボラパルスの波形および光スペクトルを、図33に示す。同図(a)は、光サンプリングオシロスコープで観測した強度波形a2(t)、(b)は、その平方根をとり、振幅a(t)に換算したもの、(c)は、光スペクトラムアナライザで観測した光スペクトルA(ω)を、dB表示(20 log|A(ω)|)したものである。実線は実験結果、破線は図16(a)、(c)に示した計算機解析結果である。両者はよく一致しており、図32の光フィルタを用いて、設計通り電界強度で定義したパラボラパルスが発生できていることがわかる。
本発明の第8の実施形態における、矩形パルスの発生に用いた光フィルタの形状を、図34に示す。同図(a)は振幅特性、(b)は位相特性を示している。実線は、式(30)のFF(ω)を640 GHzで帯域制限したフィルタ(図17(c))、破線は、これを10 GHzごとにステップ関数で近似してLCoS素子に実装したフィルタ形状である。
このフィルタを使って発生させた矩形パルスの波形および光スペクトルを、図35に示す。同図(a)は、光サンプリングオシロスコープで観測した強度波形a2(t)、(b)は、その平方根をとり、振幅a(t)に換算したもの、(c)は、光スペクトラムアナライザで観測した光スペクトルA(ω)を、dB表示(20 log|A(ω)|)したものである。実線は実験結果、破線は図18(a)、(c)に示した計算機解析結果である。両者はよく一致しており、図34の光フィルタを用いて、設計通り両指数関数パルスが発生できていることがわかる。
以上詳細に説明したように、本発明は、レーザ共振器内に挿入した光フィルタの振幅・位相特性を適切に設計することによって、任意の時間波形を有するパルスを容易に発生することができる。本発明によって得られる指数関数、三角波、矩形波、パラボラなどの時間波形を有するパルス列は、超高速時分割多重光通信用の信号パルスや超高速計測におけるサンプリングパルスをはじめとする幅広い用途に利用することができる。
1 光ファイバ
2 光増幅器
3 光位相変調器
4 光フィルタ
5 偏波保持エルビウムファイバ
6 励起LD
7 WDMカプラ
8 位相変調器
9 エタロン
10 PZT素子
11 カプラ
12 アイソレータ
13 LCoS素子
14 アンプ
15 位相シフタ
16 10 GHzシンセサイザ
2 光増幅器
3 光位相変調器
4 光フィルタ
5 偏波保持エルビウムファイバ
6 励起LD
7 WDMカプラ
8 位相変調器
9 エタロン
10 PZT素子
11 カプラ
12 アイソレータ
13 LCoS素子
14 アンプ
15 位相シフタ
16 10 GHzシンセサイザ
Claims (11)
- レーザ共振器内に光位相変調器と、光増幅器と、光フィルタとを備えるFMモード同期レーザを有し、
前記光フィルタは、その振幅および位相特性が可変であり、
出力したい光パルスの形状に応じて前記振幅および位相特性を設定することにより、任意の形状を有する光パルスを発生することを
特徴とする光ファンクションジェネレータ。 - 前記光位相変調器は、繰り返し角周波数Ωmの正弦波で駆動可能に設けられ、
前記光フィルタは、前記振幅および位相特性が、前記光位相変調器の変調度、および出力したい光パルスのスペクトルA(ω)、ならびにA(ω)をΩmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)(n:整数)から成ることを
特徴とする請求項1記載の光ファンクションジェネレータ。 - 前記光フィルタは、出力したい光パルスのスペクトル幅に応じて、前記振幅および位相特性に帯域制限を設け、TL (Transform-limted)パルスを得るよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の光ファンクションジェネレータ。
- 前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、ガウス関数A(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、ガウスパルスを発生可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ファンクションジェネレータ。
- 前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、sech関数A(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、sechパルスを発生可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ファンクションジェネレータ。
- 前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、ローレンツ関数A(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、両指数関数の形状をもつパルスを発生可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ファンクションジェネレータ。
- 前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、sinc関数の2乗の関数A(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、電界振幅が三角形の形状をもつパルスを発生可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ファンクションジェネレータ。
- 前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、第1種ベッセル関数J2k(ω)(k: 整数)の級数で与えられるA(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、強度が三角形の形状をもつパルスを発生可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ファンクションジェネレータ。
- 前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、関数sin ω/ω3とcos ω/ω2との和で与えられるA(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、電界振幅がパラボラの形状をもつパルスを発生可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ファンクションジェネレータ。
- 前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、関数J1(ω)/ω(J1(ω): 1次の第1種ベッセル関数)で与えられるA(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、強度がパラボラの形状をもつパルスを発生可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ファンクションジェネレータ。
- 前記光フィルタは、前記振幅および位相特性を、sinc関数A(ω)、ならびにA(ω)を繰り返し角周波数Ωmの整数倍だけ正負にシフトした関数A(ω-nΩm)、A(ω+nΩm)で与えることにより、矩形の形状をもつパルスを発生可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ファンクションジェネレータ。
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