JP2023122285A - 無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 データ伝送の高速化と無線通信装置の低背化とを両立することを目的とする。【解決手段】 無線通信装置であって、電磁界結合による無線通信を行うための第1アンテナと、第1アンテナにおいて信号を送信または受信するための通信制御手段と、を有し、第1アンテナは、所定の軸を中心に弧状に沿った形状をなす第1導体と、所定の軸と平行な基準方向の視点において、所定の軸に対して第1導体より内側に配置され、所定の軸を中心に弧状に沿った形状をなす第2導体とを含み、第1導体の一方の端部に給電される第1信号に対して、第2導体の一方の端部に給電される第2信号は、所定の遅延量を有して給電される。【選択図】 図1

Description

本発明は、無線通信技術に関する。
近年、ロボットアームやネットワークカメラなどの回転可動部を介して通信を行うシステムが開発されている。特許文献1は、差動伝送線路とプローブとの間で電磁場を用いたデータ伝送を行う技術を開示している。
特表2017-503412号公報
近年、無線通信により伝送されるデータ量は増大しており、無線通信装置におけるデータ伝送の高速化が求められている。さらに、機器の低背化(薄型化)に伴い、機器に含まれる無線通信装置自体の低背化も望まれている。特許文献1の無線通信装置を低背化することを目的に、差動伝送線路を誘電体基板などの平面上に設ける場合、差動伝送線路の差動ペア間の配線長に差が生じてしまい、高速化が制限されるという課題があった。
本発明は、データ伝送の高速化と無線通信装置の低背化とを両立することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る無線通信装置は、電磁界結合による無線通信を行うための第1アンテナと、前記第1アンテナにおいて信号を送信または受信するための通信制御手段と、を有し、前記第1アンテナは、所定の軸を中心に弧状に沿った形状をなす第1導体と、前記所定の軸と平行な基準方向の視点において、前記所定の軸に対して前記第1導体より内側に配置され、前記所定の軸を中心に弧状に沿った形状をなす第2導体とを含み、前記第1導体の一方の端部に給電される第1信号に対して、前記第2導体の一方の端部に給電される第2信号は、所定の遅延量を有して給電されることを特徴とする。
本発明によれば、データ伝送の高速化と無線通信装置の低背化とを両立することができる。
第1実施形態における無線通信システムの構成例を示すブロック図 従来技術の課題について説明するための図 遅延経路の挿入による効果について説明するための図 差動伝送路及び結合器の構造の一例を示す図 シミュレーション結果の一例を示す図 第2実施形態における無線通信システムの構成例を示すブロック図 第3実施形態における無線通信システムの構成例を示すブロック図 第4実施形態における無線通信システムの構成例を示すブロック図
以下、各実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態は本発明を必ずしも限定するものではない。また、各実施形態において説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態における無線通信システム1の構成例を示す図である。無線通信システム1は、無線通信装置10と、無線通信装置10と無線通信を行う無線通信装置20とを含む。無線通信装置10は、差動伝送路101,101’、遅延経路105,105’、差動増幅回路106,106’、送信回路107を有する。無線通信装置20は、結合器200、整形回路201、受信回路202を有する。尚、差動伝送路101,101’は、低背化を目的として、誘電体基板上に設けられる。差動伝送路101,101’及び結合器200は、電磁界結合による無線通信を行うためのアンテナとして機能する。差動増幅回路106,106’及び送信回路107は、アンテナにおける無線通信を制御するための通信制御部として機能する。
<無線通信装置10の構成>
まず、無線通信装置10の構成について説明する。差動伝送路101は、回転軸30を中心として弧状に形成される導体111,112により構成され、各々の導体へは差動のベースバンド信号である差動信号プラスと差動信号マイナスとが入力される。尚、導体112は、図示のように、回転軸30と平行な基準方向の視点において導体111より内側に配置される。導体111,112の一方の端部である給電部102は、線路121,122を介して、差動増幅回路106に接続される。また、導体111,112の他方の端部である終端部104には、差動伝送路101の特性インピーダンスに対して略等しい終端抵抗が実装される。
差動伝送路101’も差動伝送路101と同様に構成される。差動伝送路101の説明における符号にダッシュ記号「’」をつけた符号の構成で、差動伝送路101’を差動伝送路101と同様に説明できるため、説明を省略する。
尚、差動伝送路101,101’は、回転軸30を中心に相対的に回転する結合器200と、全ての回転角度において通信可能な結合を確保できる必要がある。そのため、給電部102,102’と終端部104,104’は、図示のように隣接して配置される。また、終端部104から104’(またはその逆)の間を結合器200が移動する場合においても結合器200へ伝達される信号の位相が連続するように、導体111,111’の配線長と導体112,112’の配線長とが略同一となるよう配線される。尚、配線長は電気長とも呼ばれる。
ここで線路122,122’には、遅延経路105,105’が挿入される。遅延経路105,105’は、導体111と導体112(または導体111’と導体112’)との配線長の差によって生じる伝搬遅延差による通信への影響を抑制するための遅延経路である。ここで伝搬遅延差は、具体的には、導体111における給電部102から終端部104までの伝搬遅延量T1と、導体112における給電部102から終端部104までの伝搬遅延量T2との差分ΔT(=T1-T2)である。理由については後述するが、遅延経路105の遅延量は、ΔT×0.1~ΔT×0.9の間に設定される。好適にはΔT×0.5に設定される。尚、遅延経路105は、メアンダなどの既知の方法により構成される。線路121及び122が差動伝送路である場合は、特性インピーダンスを均一化する観点から給電部102近傍に配置されることが望ましい。遅延経路105’も遅延経路105と同様である。
差動増幅回路106,106’は、送信回路107から送信されるデータを差動信号に変換し、差動伝送路101,101’へ出力する。尚、図1において送信回路107と差動増幅回路106,106’とは模式的に単線で接続しているが、高周波信号を分割する抵抗分割器やウィルキンソン分波器などの分割器などが間に挿入される。また、他の方法としては、差動増幅回路106,106’にはファン・アウト回路を用いてもよい。
<無線通信装置20の構成>
続いて、無線通信装置20の構成について説明する。結合器200は、導体211,212により構成され、上述したように差動伝送路101,101’と電磁界結合するように配置される。具体的には、導体211は導体111または導体111’と、導体212は導体112または導体112’と、互いに対向するように配置され、電磁界結合により結合する。無線通信システム1は電磁界結合を用いて、無線通信装置10と無線通信装置20との間の無線通信を実現する。
本実施形態においては、整形回路201の入力インピーダンスは数十kΩなどの高いインピーダンスRrpに設定されている。これにより差動伝送路101,101’と結合器200との結合によって生じる容量成分より、入力インピーダンスRrpの方が低域でも大きくなり、低い周波数帯の成分も整形回路201まで伝達される。そのため、整形回路201の入力端に生じる受信波形は矩形を保ったまま伝送される。整形回路201においては、後段にある受信回路202が検知可能な電圧レベルまで受信波形を増幅する。尚、整形回路201は、増幅だけでなく、クロック・データ・リカバリによるリクロック機能を有していてもよい。
<無線通信システム1の構成>
無線通信システム1は、回転軸30を中心に、結合器200と差動伝送路101,101’とが対向した状態を保ったまま、無線通信装置10と無線通信装置20とを相対的に回転させる回転制御部を有する。
以上で説明した構成により、本実施形態における無線通信システム1は、回転軸30周りの回転の間、無線通信装置10から無線通信装置20へ高速かつ低背化が可能な無線通信を実現する。
<遅延経路の挿入による効果>
続いて、遅延経路105,105’を設けることによる効果について説明する。まず、図2を用いて、遅延経路105,105’を設けない場合(従来技術)の課題について説明する。図2は、導体111に給電される差動信号プラスと、導体112に給電される差動信号マイナスと、差動信号(=差動信号プラス-差動信号マイナス)との信号波形を示している。図2(a)は給電部102における信号波形、図2(b)は中央部103における信号波形、図2(c)は終端部103における信号波形を示す。
図2(a)に示す給電部102では、差動信号プラスの位相と差動信号マイナスの位相とは一致している。しかしながら、図2(b)に示す中央部103ではΔT×0.5の位相ずれが発生し、図2(c)に示す終端部103ではΔTの位相ずれが発生する。尚、ΔTは上述したように、導体111と導体112との配線長の差によって生じる伝搬遅延差である。発生した位相ずれにより、差動信号の波形は、終端部104に向かうにつれて図示のように崩れていく。この課題は差動信号の伝送が高速になるほど顕著になることが推測される。尚、図2では説明の便宜上、伝搬遅延量の差分ΔTとベースバンド信号の1ビットの時間長とが一致するケースを説明したが、このケースには限られない。
続いて図3を用いて、本実施形態における遅延経路105を挿入することによる効果について説明する。尚、遅延経路105’も同様である為、説明は省略する。図3は、図2と同様、導体111に給電される差動信号プラスと、導体112に給電される差動信号マイナスと、差動信号(=差動信号プラス-差動信号マイナス)との信号波形を示している。図3(a)は給電部102における信号波形、図3(b)は中央部103における信号波形、図3(c)は終端部103における信号波形を示す。尚、遅延経路105の遅延量はΔT×0.5に設定している。図3(a)に示す給電部102では、差動信号プラスの位相と差動信号マイナスの位相とは遅延経路105において設定したΔT×0.5だけ位相ずれが発生する。図3(b)に示す中央部103では位相が一致し、図3(c)に示す終端部103ではΔT×0.5の位相ずれに抑制される。つまり遅延経路105を挿入することにより、位相ずれの最大値は従来と比較して半分までに抑制することができる。これにより、従来と比較して2倍のデータ伝送の高速化が可能となる。
<シミュレーションによる効果の確認>
図4は、差動伝送路101,101’及び結合器200の構造の具体例を示す。図4(a)は差動伝送路101,101’及び結合器200に対する斜視図であり、図4(b)は上面図であり、図4(c)は側面図である。尚、図1で説明した構成については同一符号を付与している。差動伝送路101,101’は誘電体基板400上に銅パターンとして形成され、結合器200は差動伝送路101,101’からZ方向に所定距離dZ離れた位置に配置される。差動伝送路101,101’はマイクロストリップ線路であり、導体401は基準電位を成すGND導体である。尚、誘電体基板400は、図4に示すように中空構造を成しており、中央の穴には機構的な回転軸や、電力伝送や低速通信用途に用いる軸型のスリップリング等が挿入される。
図5は、本実施形態の効果について説明するためのシミュレーションのグラフである。図5に示すグラフは、図4に示した構造における差動伝送路101(または101’)の給電部102(または102’)から結合器200までの伝達特性(Sパラメータ,Sdd21)のシミュレーション結果を示している。グラフの横軸は周波数、縦軸はゲインを示している。図5(a)は遅延経路105を挿入しない場合(従来の場合)の伝達特性である。図5(b)は遅延量ΔT×0.5の遅延経路105を挿入する場合(好適な場合)の伝達特性である。図5(c)は遅延量ΔT×0.833の遅延経路105を挿入する場合の伝達特性である。尚、図5は、図4(b)に示す角度30度、角度90度、角度150度の位置に結合器200が移動した場合における伝達特性をそれぞれ示している。実線は角度30度の伝達特性、点線は角度90度の伝達特性、破線は角度150度の伝達特性を示す。尚、図4(b)では、角度90度の位置に結合器200が配置された場合について図示している。
シミュレーションにおける各パラメータについて説明する。導体111,111’の内径Aは19.0[mm]であり、導体112,112’の内径Bは26.1[mm]である。配線幅Wは3.9[mm]であり、伝送距離dZは1.0[mm]であり、誘電体基板の厚さは3.2[mm]である。差動伝送路101,101’の差動インピーダンスは100[Ω]であり、給電部102,102’の差動インピーダンスは100[Ω]である。終端部104,104’の差動インピーダンスは100[Ω]であり、結合器200の差動インピーダンスは22[kΩ]である。
図5(a)に示す従来の場合、給電部102(または102’)に近い角度30度では5GHz程度までおよそフラットな伝達特性を示している。しかし、角度90度、150度と終端部104(または104’)側に進むにつれて、1GHz以上の周波数のゲインが急激に減衰してしまうことがわかる。例えば、角度150度において1GHzと5GHzとのゲインの差は約6.5dBまで広がってしまう。一方、図5(b)に示す遅延経路105(遅延量ΔT×0.5)を挿入した場合、角度30度、90度、150度の全ての角度において、およそフラットな伝達特性が維持される。例えば、角度150度において1GHzと5GHzとのゲインの差は1dB以下にとどまっている。図5(c)に示す遅延経路105(遅延量ΔT×0.833)を挿入した場合(角度150度において差動ペア間の位相が一致する場合)、角度90度、150度ではおよそフラットな伝達特性が維持されている。しかし、角度30度では1GHz以上の周波数帯におけるゲインが減衰してしまうことがわかる。例えば、角度30度において1GHzと5GHzとのゲインの差は約3.3dBとなっている。上述の結果から、遅延経路105を挿入することにより、高周波成分の伝達特性の劣化を抑制することができ、遅延経路105の遅延量としてはΔT×0.5に設定することが好適であると言える。以上で説明した構成により、従来よりも高速なデータ伝送及び低背化が可能な回転可動部に適用される無線通信装置を提供することができる。
尚、本実施形態における整形回路201の入力インピーダンスRrpは数十kΩと高いインピーダンスに設定する構成として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば差動100Ωなどの低いインピーダンスに設定してもよい。この場合、差動伝送路101,101’から結合器200への伝達特性は、低い周波数帯では結合度が弱く、高い周波数帯では結合度が高くなるHPF(ハイパスフィルタ)に似た特性となる。そのため、差動伝送路101,101’から結合器200への信号は、高周波成分のみが伝達される。具体的には、差動伝送路101,101’へ入力される信号の不完全微分波形(差動伝送路101,101’へ入力されるベースバンド信号の立ち上がり、立ち下がり時に生じるエッジ信号)が結合器200に生じる。そのため、整形回路201は、単純な増幅回路ではなく、上述の微分波形を“1”または“0”の2値のベースバンド信号へ復元するための回路、例えばヒステリシスコンパレータによって実現される。
[第2実施形態]
続いて図6を用いて第2実施形態における無線通信システム6について説明する。本実施形態においては、第1実施形態とは逆に、結合器200から差動伝送路101,101’へ信号を伝送する無線通信システムについて説明する。尚、第1実施形態で説明した構成と同じ構成については同一符号を付与しており、詳細な説明については省略する。無線通信装置61は、差動伝送路101,101’、遅延経路105,105’、整形回路616,616’、受信回路617を有する。無線通信装置62は、結合器200、差動増幅回路621、送信回路622を有する。尚、差動伝送路101,101’は、低背化を目的として誘電体基板上に設けられる。無線通信システム6の具体的な構造については図4と同一である。また、第1実施形態と同様、無線通信システム6は、回転軸30を中心に、結合器200と差動伝送路101,101’とが対向した状態を保ったまま相対的に回転する回転制御部を有する。差動伝送路101,101’及び結合器200は、電磁界結合による無線通信を行うためのアンテナとして機能する。整形回路616,616’及び受信回路617は、アンテナにおける無線通信を制御するための通信制御部として機能する。
まず、無線通信装置62の構成について説明する。差動増幅回路621は、送信回路622から送信されるデータを差動信号に変換し、結合器200へ出力する。導体211へは差動信号プラスが、導体212へは差動信号マイナスがそれぞれ入力される。
続いて、無線通信装置61の構成について説明する。整形回路616,616’は、経路121,121’,122,122’を介して各々差動伝送路101,101’へ接続される。また、整形回路616,616’は、結合器200から差動伝送路101,101’へ伝送される信号を、後段の受信回路617が受信可能な信号波形に波形整形して出力する。本実施形態においては、整形回路616,616’の入力部には、差動伝送路101,101’の特性インピーダンスに略等しい終端抵抗が実装される。経路121,121’についても、差動伝送路101,101’の特性インピーダンスに略等しい特性インピーダンスで配線される。
結合器200から差動伝送路101,101’への伝達特性は、低域では結合度が弱く、高域で結合度が高くなるHPF(ハイパスフィルタ)に似た特性となる。そのため、結合器200から差動伝送路101,101’への信号は、高周波成分のみが伝達される。具体的には、結合器200へ入力される信号の不完全微分波形が差動伝送路101,101’に生じる。そのため、整形回路616,616’は、上述の微分波形を“1”または“0”の2値のベースバンド信号へ復元するための回路、例えばヒステリシスコンパレータによって実現される。
本実施形態においても第1実施形態と同様に、経路122,122’には遅延経路105,105’が挿入される。遅延経路105,105’は、導体111と導体112(または導体111’と導体112’)との配線長の差によって生じる伝搬遅延差による通信への影響を抑制するための遅延経路である。遅延経路105,105’の遅延量はΔT×0.1~ΔT×0.9の間に設定され、好適にはΔT×0.5に設定される。以上で説明した構成により、無線通信装置62から無線通信装置61へ相対的に回転しながら、従来よりも高速なデータ伝送及び装置の低背化を実現することができる。
[第3実施形態]
続いて図7を用いて第3実施形態における無線通信システム7について説明する。本実施形態においては、同時並列的に送られる異なるパラレル信号を伝送する無線通信システムについて説明する。具体的には、低背化を目的として誘電体基板上にパラレル信号を伝送する結合用伝送路を設置した場合における、各結合用伝送路の伝送路長の差によって生じるスキュー(受信回路へ到着する時間差)を改善するためのシステムである。尚、第1実施形態で説明した構成と同じ構成については同一符号を付与しており、詳細な説明については省略する。
無線通信装置71は、結合用伝送路111,111’,112,112’、遅延経路105,105’、増幅回路716_1,716’_1,716_2,716’_2、送信回路717を有する。無線通信装置72は、結合器211、結合器212、整形回路721_1,721_2、受信回路722を有する。尚、本実施形態では説明の便宜上、第1実施形態における導体211,212と同一の構造を、結合器211,212と呼ぶ。尚、結合用伝送路111,111‘,112,112’は低背化を目的として誘電体基板上に設けられる。無線通信システム7の具体的な構造については図4と同一である。また、第1実施形態と同様、無線通信システム7は、結合器211及び結合用伝送路111,111’と、結合器212及び結合用伝送路112,112’とが対向した状態を保ったまま相対的に回転する回転制御部を有する。
まず、無線通信装置71の構成について説明する。送信回路717は、CH1とCH2の出力端を有し、同時並列的に送られる2つのパラレル信号を出力する。増幅回路716_1,716’_1は、送信回路717から出力されるCH1のデータをシングルエンド信号として増幅し、結合用伝送路111,111’へ出力する。増幅回路716_2,716’_2は、送信回路717から出力されるCH2のデータをシングルエンド信号として増幅し、結合用伝送路112,112’へ出力する。
続いて、無線通信装置72の構成について説明する。本実施形態においては、第1実施形態と同様、整形回路721_1,721_2の各入力インピーダンスは数kΩ~数十kΩなどの高いインピーダンスRrpに設定される。これにより、結合用伝送路111と結合器211、結合用伝送路112と結合器212の各々の結合によって生じる容量成分より、入力インピーダンスRrpの方が低域でも大きくなり、低い周波数帯の成分も整形回路まで伝達される。その結果、整形回路721_1,721_2の入力端に生じる受信波形は矩形を保ったまま伝送される。整形回路721_1,721_2は、後段にある受信回路722が検知可能な電圧レベルまで受信波形を増幅する。尚、整形回路721_1,721_2は、増幅だけでなく、クロック・データ・リカバリによるリクロック機能を有しても良い。
受信回路722はCH1とCH2の入力端を有し、CH1は整形回路721_1の出力を受信し、CH2は整形回路721_2の出力を受信する。本実施形態においても第1実施形態と同様、経路122,122’には遅延経路105,105’が挿入される。遅延経路105,105’は、導体111と導体112(または導体111’と導体112’)との配線長の差によって生じる伝搬遅延差によるパラレル信号間のスキューを抑制するための遅延経路である。遅延経路105,105’の遅延量はΔT×0.1~ΔT×0.9の間に設定され、好適にはΔT×0.5に設定される。遅延量の理由については第1実施形態と同様であるため説明については省略するが、従来の構成で最大ΔT発生してしまうスキューを、好適な遅延量ではΔT×0.5まで抑制することができる。その結果、スキューが改善されるため、従来と比較してパラレル信号伝送の高速化が可能となる。以上で説明した構成により、無線通信装置71から無線通信装置72へパラレル信号を相対的に回転しながら高速に伝送すること、および、装置の低背化を実現することができる。
尚、本実施形態では説明の便宜上、2CHのパラレル信号を伝送する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、3CH以上の場合にも適用可能である。一例として3CHの場合について説明する。3CHの場合、結合用伝送路は回転軸を中心として3レーン配置される。最外周に配置される結合用伝送路を第一の結合用伝送路、中央部に配置される結合用伝送路を第二の結合用伝送路、最内周に配置される結合用伝送路を第三の結合用伝送路とする。第一の結合用伝送路の給電部から終端部までの伝搬遅延量をTmax、第二の結合用伝送路の給電部から終端部までの伝搬遅延量をTmid、第三の結合用伝送路の給電部から終端部までの伝搬遅延量をTminとする。この場合、第二の結合用伝送路には(Tmax-Tmid)/2の遅延経路を、第三の結合用伝送路には(Tmax-Tmin)/2の遅延経路が好適には挿入される。尚、第二の結合用伝送路の遅延経路については、挿入する必要が無ければ(通信品質上問題が無ければ)挿入しなくてもよい。つまり、伝搬遅延量が最小となる結合用伝送路のみに、伝搬遅延量が最大となる結合用伝送路との伝搬遅延差を抑制する遅延経路を挿入する構成としても良い。
また、本実施形態において各パラレル信号はシングルエンド信号として説明したが、差動信号であっても良い。その場合、結合用伝送路は第1実施形態の差動伝送路101,101’と同様に、1CHあたり2つの導体で構成される。また、本実施形態においては無線通信装置71から無線通信装置72へ信号を伝送する無線通信システム7について説明したが、無線通信装置72から無線通信装置71へ信号を伝送する構成であっても良い。この場合、第1実施形態から第2実施形態への構成変更と同様の考え方が適用される。
[第4実施形態]
続いて図8を用いて第4実施形態における無線通信システム8について説明する。本実施形態の無線通信システム8は、第1実施形態の無線通信システム1から、差動伝送路101’側の構成を排除した構成となっている。尚、第1実施形態で説明した構成と同じ構成については同一符号を付与しており、詳細な説明については省略する。無線通信システム8は、回転軸30を中心に、結合器200と差動伝送路101とが対向した状態を保つことができる区間である角度0度~180度において、相対的に往復回転する回転制御部を有している。本実施形態における無線通信装置は、例えばパン・チルトカメラのチルト部など、往復回転が前提となる(無限回転が不要な)回転可動部への適用に好適である。以上で説明した構成により、無線通信装置80と無線通信装置20とが相対的に回転しながら、従来よりも高速なデータ伝送及び装置の低背化を実現することができる。
尚、本実施形態における回転制御部は角度0度~180度における往復回転を可能にしたが、差動伝送路101の伝送路長の調整により、自由な角度に設定することができる。
[その他の実施形態]
上述の実施形態における遅延経路105,105’は、メアンダなどの経路として経路122へ挿入されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、経路121、経路122の伝送路における周辺部材の誘電率やGND構造を工夫することで遅延差を生じさせる方法でも良い。また、差動増幅回路106,106’において出力される差動信号プラスと差動信号マイナスとが、所望の位相差を持った状態で出力される方法を用いても良い。
また、上述の実施形態における差動伝送路101,101’は、回転軸30を中心として弧状に形成される形状として説明したが、この形状に限定されるものではない。例えば十二角形など、差動伝送路101,101’と結合器200とで通信可能な結合が確保できる形状であればどのような形状であっても良い。
また、上述の実施形態における差動伝送路101,101’は、マイクロストリップ線路として説明したが、これに限定されるものではない。例えばコプレーナ線路やグランドガード付きのマイクロストリップ線路(GSSG構造)であっても良い。
また、上述の実施形態における差動伝送路101,101’は、誘電体基板上に設けられるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えばフレキシブル基板や板金などで差動伝送路または結合伝送路を形成しても良い。
また、上述の実施形態において伝達する信号はベースバンド信号として説明したが、これに限定されるものではなく、搬送波に対して振幅、周波数、位相を変化させる変調信号であっても良い。
また、上述の実施形態においては、差動増幅回路または増幅回路が挿入される構成について説明したが、必須の構成ではない。例えば、第1実施形態であれば、送信回路107の出力を直接、差動伝送路101,101’に入力する構成であっても良い。
また、上述の実施形態においては、差動伝送路101,101’の給電部102,102’は隣接して分離される構造について説明したが、これに限定されるものではなく、給電部102,102’は電気的に接続される構成であっても良い。例えば、第1実施形態であれば、差動増幅回路106’、経路121’、経路122’を排除し、差動伝送路101,101’の給電部102,102’を電気的に接続する。また、経路121,122の特性インピーダンスを、差動伝送路101,101’の特性インピーダンスの1/2の特性インピーダンスに設定する。
また、上述の実施形態における回転制御部または往復回転制御部については必須ではなく、例えば人手などの外部の動力源で回転駆動するシステムにも適用可能である。
1 無線通信システム
10 無線通信装置
101 差動伝送路
105 遅延経路

Claims (11)

  1. 電磁界結合による無線通信を行うための第1アンテナと、
    前記第1アンテナにおいて信号を送信または受信するための通信制御手段と、を有し、
    前記第1アンテナは、所定の軸を中心に弧状に沿った形状をなす第1導体と、前記所定の軸と平行な基準方向の視点において、前記所定の軸に対して前記第1導体より内側に配置され、前記所定の軸を中心に弧状に沿った形状をなす第2導体とを含み、
    前記第1導体の一方の端部に給電される第1信号に対して、前記第2導体の一方の端部に給電される第2信号は、所定の遅延量を有して給電されることを特徴とする無線通信装置。
  2. 前記所定の遅延量は、前記第1導体の一方の端部から他方の端部までの電気長と、前記第2導体の一方の端部から他方の端部までの電気長との差分によって生じる伝搬遅延差をΔTとする場合、0.1×ΔTから0.9×ΔTの間の値に設定されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
  3. 前記所定の遅延量は、0.5×ΔTに設定されることを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
  4. 前記第1アンテナと、前記第1アンテナとの電磁界結合による無線通信を行うための第2アンテナとの少なくとも何れかを前記所定の軸を中心に回転させる回転制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の無線通信装置。
  5. 前記第1導体の他方の端部と前記第2導体の他方の端部とには終端抵抗を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の無線通信装置。
  6. 前記第1信号と前記第2の信号とは、互いの位相が逆である差動信号であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の無線通信装置。
  7. 前記第1の信号と前記第2信号とは、同時並列的に送られる異なる信号であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の無線通信装置。
  8. 他の無線通信装置が有する第2アンテナと電磁界結合による無線通信を行うための第3アンテナをさらに有し、
    前記通信制御手段は、前記第3アンテナにおいて信号を送信または受信するための制御を行い、
    第3アンテナは、所定の軸を中心に弧状に沿った形状をなす第3導体と、前記所定の軸と平行な基準方向の視点において、前記所定の軸に対して前記第3導体より内側に配置され、前記所定の軸を中心に弧状に沿った形状をなす第4導体とを含み、
    前記第3導体の一方の端部に給電される第3信号に対して、前記第4導体の一方の端部に給電される第4信号は、所定の遅延量を有して給電され、
    前記第3導体の他方の端部は前記第1導体の他方の端部の近傍に配置され、前記第4導体の他方の端部は前記第2導体の他方の端部の近傍に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の無線通信装置。
  9. 前記第1アンテナと前記第3アンテナとの少なくとも一方は、誘電体基板の銅パターンにより形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の無線通信装置。
  10. 前記第1信号及び前記第2信号は、ベースバンド信号であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の無線通信装置。
  11. 前記第1信号及び前記第2信号は、変調信号であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の無線通信装置。
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