JP2023121167A - 一次元導体によるパターンの形成方法 - Google Patents

一次元導体によるパターンの形成方法 Download PDF

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Lingying Li
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Takeo Mitsunari
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Abstract

【課題】閉ループ形状を含む様々な形状のパターンの形成を容易に行うことができる、一次元導体によるパターンの形成方法を提供する。【解決手段】基材表面の、パターン形成領域および非パターン形成領域のいずれか一方または両方を処理し、パターン形成領域の表面エネルギーγAを非パターン形成領域の表面エネルギーγBより小さくし、かつ、パターン形成領域の表面エネルギーγAと非パターン形成領域の表面エネルギーγBとの差[γB-γA]を、5mJ/m2以上25mJ/m2以下の範囲とすることと、基材表面に、一次元導体を含有する水性分散液を適用し、パターン形成領域と非パターン形成領域を含む範囲に一次元導体水性分散液の液膜を形成することとを包含し、液膜中の微細な流れを制御して液膜中の対流で移動するナノワイヤをパターン形成領域に自己集合させ、所定のパターンを形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、一次元導体によるパターンの形成方法に関する。
近年、従来の切削加工のように材料を切削、切断して除去する製造方法(サブトラクティブ・マニュファクチャリング)に代替し、材料を付け加えて製造するアディティブ・マニュファクチャリング(付加製造)が注目されている。例えば、フレキシブル基板上に導体インク(機能性インク)を用いてパターンを形成する際に、アディティブ・マニュファクチャリングの手法を用いることで、材料の無駄を省いたり、従来のサブトラクティブ・マニュファクチャリングの手法では作ることが難しかった形状のパターンを形成したりすることができる。
特許文献1には、金属ナノワイヤを導電材料として用いて透明な基材上に微細な透明導電配線パターンを形成する方法が提案されている。
特開2018-181677号公報
上記特許文献1に記載の方法では、基材の少なくとも一方の主面の全部または一部に、金属ナノワイヤを含む懸濁液に対する撥液性を有する撥液層を形成し、この撥液層表面の所定の配線パターン形成用領域を、金属ナノワイヤを含む懸濁液に対して親液性に変化させる親液化処理を行い、これにより、基材表面に基材に対する金属ナノワイヤを含む懸濁液の濡れ性(接触角)が異なる領域を形成し、基材に対する金属ナノワイヤを含む懸濁液の濡れ性(接触角)が良好な領域に選択的に金属ナノワイヤを含む懸濁液を付着させ、分散媒を乾燥除去することで金属ナノワイヤを堆積させることを特徴としている。
上記特許文献1のように、従来、基材上に形成された親水性と疎水性の領域を利用したパターンの形成技術が種々提案されているが、とりわけ閉ループ形状のパターンの形成が困難であった。実際に、特許文献1には、配線の形状として、直線パターン(図1(a))、曲線パターン(図1(b))の他、折れ線パターン(屈曲部を有する)、ハニカムパターン、リングパターン等が挙げられているが、その実施例では、線幅が20μm、50μm、100μm、150μmの直線パターンに対応する開口部を有するフォトマスクを用いて直線状パターンの配線を得たことが記載されているのみである。
このような従来技術の課題に鑑み、本発明は、閉ループ形状を含む様々な形状のパターンの形成を容易に行うことができる、一次元導体によるパターンの形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは、基材表面とこれに接する流体との摩擦力に着目し、この摩擦力を適切に調整することで、基材表面にナノワイヤやナノチューブなどの一次元導体を含む液体がコーティングされた際に形成される液膜中の微細な流れ(内部マイクロフロー)を制御し、液膜中に含まれる一次元導体を所定の位置に導くことを着想した。そして、本発明者らが鋭意検討した結果、上記目的は、以下の態様を有する方法により解決可能となった。
[1] 基材表面の、パターン形成領域および非パターン形成領域のいずれか一方または両方を処理し、パターン形成領域の表面エネルギーγを非パターン形成領域の表面エネルギーγより小さくし、かつ、パターン形成領域の表面エネルギーγと非パターン形成領域の表面エネルギーγとの差[γ-γ]を、5mJ/m以上25mJ/m以下の範囲とすることと、基材表面に、一次元導体を含有する水性分散液を適用し、パターン形成領域と非パターン形成領域を含む範囲に一次元導体水性分散液の液膜を形成することとを包含し、前記液膜中の微細な流れを制御して前記液膜中の対流で移動する一次元導体を前記パターン形成領域に自己集合させ、所定のパターンを形成する、一次元導体によるパターンの形成方法。
[2] 前記処理が、真空紫外光を照射することを含む、[1]の方法。
[3] 未処理の状態で疎水性である基材表面に、非パターン形成領域に対応する開口部を有するフォトマスクを配置し、非パターン形成領域に真空紫外光を照射する、[2]の方法。
[4] 真空紫外光を照射した後、パターン形成領域および非パターン形成領域のいずれか一方または両方をさらにアルカリ溶液で処理する、[2]または[3]の方法。
[5] 前記パターンが形成された基材を加熱し、前記一次元導体を焼結することをさらに包含する、[1]から[4]のいずれかの方法。
[6] 前記一次元導体の長さが10μm以上250μm以下の範囲である、[1]から[5]のいずれかの方法。
[7] 前記一次元導体を含有する水性分散液の表面張力γが25mJ/m以上50mJ/m以下の範囲である、[1]から[6]のいずれかの方法。
[8] 前記一次元導体が金属ナノワイヤ、金属酸化物ナノワイヤ、高分子ナノワイヤ、シリコンナノワイヤ、カーボンナノチューブ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、[1]から[7]のいずれかの方法。
[9] 前記基材がシクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、およびポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる群より選択される、[1]から[8]のいずれかの方法。
[10] 前記基材表面に、ディップコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、およびスリットコーティングからなる群より選択される方法を用いて、前記一次元導体を含有する水性分散液を適用する、[1]から[9]のいずれかの方法。
[11] 前記基材表面に、スリットコーティング法を用いて、0.5cm/s以上30cm/s以下の範囲のコーティング速度で、前記一次元導体を含有する水性分散液を適用する、[10]の方法。
[12] 表面に、表面エネルギーが低いパターン形成領域と、表面エネルギーが高い非パターン形成領域を有し、前記パターン形成領域に、一次元導体によるパターンが形成された、基材。
[13] 前記一次元導体が金属ナノワイヤ、金属酸化物ナノワイヤ、高分子ナノワイヤ、シリコンナノワイヤ、カーボンナノチューブ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、前記基材がシクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、およびポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる群より選択される、[12]の基材。
[14] 前記一次元導体が銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、金ナノワイヤ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される金属ナノワイヤである、[13]の基材。
[15] 前記金属ナノワイヤが銀ナノワイヤであり、前記基材がシクロオレフィンポリマー(COP)である、[14]の基材。
本発明によれば、閉ループ形状を含む様々な形状のパターンの形成を容易に行うことができる、一次元導体によるパターンの形成方法が提供される。
また、本発明によれば、一次元導体によるパターンが形成された基材が提供される。
本発明の一実施形態に係る一次元導体によるパターンの形成方法を示すフローチャートである。 実施例で作製した、表面に、銀ナノワイヤからなるハニカム形状のパターンが形成されたCOP基材(例2)の外観を撮影した写真画像(スケールバー:1cm)である。 実施例で作製した、例2の基材のSEM像(スケールバー:100μm)である:(a)銀ナノワイヤを含有する水性分散液のコーティング方向に対して斜め方向に延びる部分;(b)銀ナノワイヤを含有する水性分散液のコーティング方向に対して水平方向に延びる部分;(c)パターンの分岐部分。 実施例で作製した、表面に、銀ナノワイヤからなるパターンが形成されたCOP基材の光学顕微鏡像(スケールバー:200μm)である:(a)例4の基材(銀ナノワイヤを含有する水性分散液中の銀ナノワイヤの濃度:5wt%);(b)例2の基材(銀ナノワイヤを含有する水性分散液中の銀ナノワイヤの濃度:20wt%)。 実施例において、インテンス・パルス・ライト(IPL)によるCOP基材に対する付与エネルギーを変化させて作製した6種類の基材について、(a)シート抵抗率、(b)全光線透過率、および(c)ヘイズ値を測定した結果を示す図である。 実施例において、開口部の割合が異なる6種類のフォトマスクを用いて作製した基材について、表面に形成されたパターンの光学顕微鏡像(低倍率像および高倍率像)を示す図である:(a)96.2%;(b)89.1%;(c)95.3%;(d)92.0%;(e)90.2%;(f)95.7%。 図6に示す6種類の基材について、波長550nmでのヘイズ値を測定した結果を示す図である。 (a)実施例で作製したCOP基材上の、銀ナノワイヤからなる幾何学模様のパターンの光学顕微鏡像である;(b)(a)のCOP基材の両端に一定の電圧を付与する様子を示す写真画像、およびCOP基材表面の温度分布を測定したサーモグラフィ画像である;(c)(b)のサーモグラフィ画像中の任意の2つの直線領域における温度分布の詳細を示すグラフである。 比較例1において、従来技術による、VUV照射によって形成される親水性領域へのパターンの形成を試みた場合の光学顕微鏡像を示す図(スケールバー:2mm)である。 実施例の態様によるパターン形成方法のプロシージャを示す模式図である。 実施例の態様によるパターン形成方法における、基材表面での銀ナノワイヤ水性分散液の液膜の形成について示す模式図である。 実施例の態様によるパターン形成方法における、基材表面に形成された銀ナノワイヤ水性分散液の液膜中の微細な流れ、および、銀ナノワイヤの定着・定置について示す模式図である。 実施例の態様によるパターン形成方法における、基材表面に形成された銀ナノワイヤ水性分散液の液膜中の対流で移動する銀ナノワイヤの自発的な集合について示す模式図である。 基材表面での一次元導体水性分散液の液膜の形成に関し、基材表面に対するVUV照射時間と銀ナノワイヤの長さとの関係を示した図である。 COP基材に対するVUV照射時間を変化させ、水(2.0μL)を滴下した際のCOP基材上の水滴の接触角θを測定した結果を示すグラフである。 本発明に係るパターン形成方法による、基材表面のパターン形成領域に対する一次元導体の配向性について示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る一次元導体によるパターンの形成方法を示すフローチャートである。
本実施形態に係る一次元導体によるパターンの形成方法(以下、単に「パターン形成方法」とも称する。)は、以下のステップS110およびステップS120を包含する。
ステップS110:基材表面の、パターン形成領域および非パターン形成領域のいずれか一方または両方を処理し、パターン形成領域の表面エネルギーγを非パターン形成領域の表面エネルギーγより小さくし、かつ、パターン形成領域の表面エネルギーγと非パターン形成領域の表面エネルギーγとの差[γ-γ]を、5mJ/m以上25mJ/m以下の範囲とする。
ステップS120:基材表面に、一次元導体を含有する水性分散液を適用し、パターン形成領域と非パターン形成領域を含む範囲に一次元導体水性分散液の液膜を形成する。
本明細書において、「一次元導体」とは、ファイバー状、ワイヤ状、ロッド状、チューブ状などの一次元構造を有する導電材料が意図される。なお、一次元導体の構造(形状)としては上で例示した態様に限定されないが、本発明においては、粒子状、ドット状などはゼロ次元構造として扱い、シート状、プレート状などは二次元構造として扱うこととする。
一次元導体は、ナノ構造体であることが好ましい。本明細書において、「ナノ構造体」とは、当該構造体の形状に応じて通常用いられる大きさの指標(長さ、幅、直径など)のうちの少なくとも一つが、ナノオーダー(1nm~1000nmの範囲)であるものを意味する。ナノ構造体としては、例えば、ナノファイバー、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、ナノ構造体の形状は、一種類であってもよく、複数種類であってもよい。
本実施形態に係るパターン形成方法の好ましい一態様では、一次元導体は、ナノワイヤ、ナノチューブ、またはこれらの組み合わせであることが好ましい。本明細書において、「ナノワイヤ」とは、その直径が1nm~1000nmの範囲であり、ワイヤ状の形状を有する物質が意図される。ナノワイヤの長さは特に制限されないが、典型的には、直径の50倍以上であるものが意図される。好ましくは、ナノワイヤの長さは、直径の100倍以上である。より狭義には、ナノワイヤとしては、直径が1nm~500nmの範囲であり、長さが直径の100倍以上のワイヤ状物質が意図される。また、本態様では、ナノワイヤと共に、あるいは、ナノワイヤに代えて、チューブ状の形状を有するナノチューブを使用してもよい。
上述した好ましい態様において、一次元導体の具体例としては、金属ナノワイヤ(銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、金ナノワイヤなど)、金属酸化物ナノワイヤ(光触媒機能を有するものなど)、高分子ナノワイヤ(ポリアセチレンナノワイヤ、PEDOT:PSSナノワイヤなど)、シリコンナノワイヤ、カーボンナノチューブなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、本態様において、一次元導体は一種類であってもよく、複数種類を組み合わせてもよい。
本実施形態に係るパターン形成方法で用いられる基材としては、その表面に形成されるパターンの機能を妨げないものであれば、その種類や材質などは特に制限されない。基材は、リジットであってもよく、フレキシブルであってもよい。また、基材は、透明であってもよく、半透明であってもよく、不透明(遮光性)であってもよい。例えば、基材としてシクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの、耐熱性・透明性に優れた樹脂で作製されたものを使用すると、近年世界的に需要が高まっている透明エレクトロニクス材料としての応用が可能である。なお、基材としては、上記樹脂など、その表面にパターンが形成されることが意図される材料単体であってもよく、当該材料が任意の基体(ベース基材)にコーティングされた複合基材であってもよい。
基材は、後述する基材表面の処理手段に応じて選択されてもよい。具体的には、基材表面の処理が、当該表面に真空紫外光(VUV)を照射することを含む態様では、基材としては、その表面が疎水性の性質を有することが好ましい。より具体的には、本態様では、未処理の状態で疎水性である基材表面に、非パターン形成領域に対応する開口部を有するフォトマスクを配置し、非パターン形成領域にVUVを照射することが好ましい。
一般に、固体表面が疎水性の性質を有すると、表面エネルギーγは小さく、固体表面上の水滴の接触角θが大きくなることが知られている。例えば、予備実験として、後述する実施例で使用したシクロオレフィンポリマー(COP)基材について、表面が未処理の状態で水(2.0μL)を滴下した際のCOP基材上の水滴の接触角θを測定したところ、約96.7°であった。そして、真空紫外光照射装置を用いてこのCOP基材表面にVUVを一定時間照射したところ、VUVの照射時間を60秒間、90秒間、150秒間、300秒間、450秒間、15分間、20分間と長くするにつれて、COP基材表面に滴下した水滴の接触角θは徐々に小さくなる、即ち、VUVが照射された部分の表面エネルギーγは大きくなることが確認された(後述する図13参照)。
上記の結果は、VUVの照射により、COP基材表面が親水化することを示している。また、XPSを用いてCOP基材表面を分析した結果、未処理のCOP基材では、酸素を含まないC-C結合やC-H結合が確認されたのに対して、VUV照射によって親水化した表面では、ヒドロキシ基(OH)、カルボキシ基(COOH)、カルボニル基(C=O)などの酸素含有官能基が形成されていることが確認された。加えて、VUV照射時間が長いほど、より多くの酸素含有官能基が形成される傾向が認められた。即ち、未処理の状態で疎水性である基材表面に対するVUV照射により、当該表面を酸化し、親水化することができる。言い換えると、COP基材表面の一部を選択的にVUV照射することにより、照射部を、表面エネルギーが高くなった(活性化された)状態に改質することができ、その改質の程度は、VUV照射時間をパラメータとして調節することが可能である。
このような表面改質反応を利用して、基材表面の、パターン形成領域および非パターン形成領域のいずれか一方または両方を処理することで、各々の領域の表面エネルギーγを制御することができる。
なお、本明細書では、基材の表面エネルギーに関して一般的な説明を行う場合に記号γを用いることとし、パターン形成領域(一次元導体によるパターンの形成が意図される領域)の表面エネルギーと、非パターン形成領域(上記パターンの形成が意図されない領域)の表面エネルギーとを区別して説明する場合には、前者を記号γで表し、後者を記号γで表すこととする。加えて、一般的な説明として、基材表面における表面エネルギーの高い場所と低い場所に言及する場合には、前者を記号γ で表し、後者を記号γ で表す場合がある。さらに、後述する一次元導体を含有する水性分散液の表面張力は、記号γで表す。
以下で詳述するように、本実施形態に係るパターン形成方法では、パターン形成領域は、基材表面における表面エネルギーの低い場所であり、非パターン形成領域は、基材表面における表面エネルギーの高い場所である。即ち、パターン形成領域の表面エネルギーγは、γ であり、非パターン形成領域の表面エネルギーγは、γ である。
ここで、上記特許文献1に記載されるような従来技術では、VUVを照射することで基材上に親水性(親液性)の領域、即ち、表面エネルギーが相対的に高い領域(γ )を形成し、この親水性(親液性)領域に、目的の材料を選択的に堆積させることを特徴としている。しかしながら、本実施形態に係るパターン形成方法の一態様では、そのような従来技術とは異なり、VUVが照射されていない領域、即ち、表面エネルギーが相対的に低い領域(γ )に、目的の一次元導体を自己集合させることを特徴としている。言い換えると、基材表面の処理が、当該表面にVUVを照射することを含む態様において、基材表面に対するVUVの照射という点では、従来技術と共通点を有していても、その目的や効果の観点では、技術的な意義が全く異なっていることに留意されたい。
従来技術では、基材(固体)表面の親水性・疎水性に着目し、目的の材料を含む液体の濡れ性の違い(変化)を利用して当該液体を疎水性領域から親水性領域へと移動させることを志向しているのに対して、本実施形態に係るパターン形成方法では、基材(固体)表面において、表面エネルギーγが異なる領域を形成し、そこに適用された液体の膜(液膜)中に生じる微細な流れ(内部マイクロフロー)を制御することで、液膜中に存在する分散質(一次元導体)を所定の領域、即ち、表面エネルギーが低い領域(γ )に自発的に集積させることで、所望のパターンを得るものである。
本明細書において、基材表面に関して用いられる「処理」との用語は、基材の表面エネルギーγを変化させることを目的として行われるものが意図される。より具体的には、基材表面の処理は、基材表面の、パターン形成領域の表面エネルギーγおよび非パターン形成領域の表面エネルギーγのいずれか一方または両方を変化させることを目的として行われる。
基材表面の処理手段としては、上記目的に沿うものであれば特に限定されない。例えば、VUVの照射は、上述したように、COP基材などの、疎水性表面を有する高分子材料の表面を改質し、親水化することができるため、本実施形態に係るパターン形成方法における基材表面の処理手段として採用するのに好適である。また、VUV照射は、照射時間をパラメータとすることで比較的容易に表面改質の程度を調節することができるため、好ましい。加えて、VUV照射のパラメータとしては、照射時間のほかに、照射距離、照射雰囲気などがあるため、これらのパラメータを様々に組み合わせることで、基材表面の改質の程度をより細かく調節することも可能である。なお、基材表面の改質の程度の指標としては、当該表面上に一定量の液体(例えば、水)を滴下した際の、当該液滴(水滴)の接触角θを用いてもよいし、任意のソフトウェアプログラムなどを利用して表面エネルギーγを見積もってもよい。
本実施形態に係るパターン形成方法では、基材表面の、パターン形成領域および非パターン形成領域のいずれか一方または両方を処理し、パターン形成領域の表面エネルギーγを非パターン形成領域の表面エネルギーγより小さくし、かつ、パターン形成領域の表面エネルギーγと非パターン形成領域の表面エネルギーγとの差[γ-γ]を、5mJ/m以上25mJ/m以下の範囲とする(ステップS110)。
具体的には、基材表面の処理が、当該表面にVUVを照射することを含む態様では、例えば、未処理の状態で疎水性である基材表面に、非パターン形成領域に対応する開口部を有するフォトマスクを配置し、非パターン形成領域にVUVを照射する。これにより、非パターン形成領域は、VUV照射により親水化し、非パターン形成領域の表面エネルギーγは、VUV照射されていない領域(パターン形成領域)の表面エネルギーγより大きくなる。つまり、パターン形成領域の表面エネルギーγは、非パターン形成領域の表面エネルギーγより小さくなる。このとき、VUVの照射時間、および/または、照射距離、照射雰囲気などを調節することにより、パターン形成領域の表面エネルギーγと非パターン形成領域の表面エネルギーγとの差[γ-γ]を、5mJ/m以上25mJ/m以下の範囲とする。
上記表面エネルギーの差[γ-γ]は、一次元導体の長さを考慮して調整することが好ましい。言い換えると、当該差[γ-γ]の値に応じて、使用する一次元導体の長さを調整(選択)することが好ましい。具体的には、本実施形態に係るパターン形成方法の好ましい一態様では、一次元導体の長さが10μm以上250μm以下の範囲であることが好ましく、一次元導体の長さが10μm以上150μm以下の範囲であることがより好ましい。ここで、本態様における、一次元導体の長さと表面エネルギーの差[γ-γ]の好ましい関係について例示すると、以下の通りである。
・一次元導体の長さが10μm以上20μm以下であり、表面エネルギーの差[γ-γ]が5mJ/m以上10mJ/m以下である。
・一次元導体の長さが20μm以上50μm以下であり、表面エネルギーの差[γ-γ]が10mJ/m以上12mJ/m以下である。
・一次元導体の長さが50μm以上100μm以下であり、表面エネルギーの差[γ-γ]が12mJ/m以上14mJ/m以下である。
・一次元導体の長さが100μm以上150μm以下であり、表面エネルギーの差[γ-γ]が14mJ/m以上18mJ/m以下である。
・一次元導体の長さが150μm以上200μm以下であり、表面エネルギーの差[γ-γ]が18mJ/m以上22mJ/m以下である。
・一次元導体の長さが200μm以上250μm以下であり、表面エネルギーの差[γ-γ]が22mJ/m以上24mJ/m以下である。
なお、これらの条件は、一次元導体が銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、金ナノワイヤ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される金属ナノワイヤである態様において特に好適である。
このように、一次元導体の長さが比較的短い場合には、表面エネルギーの差[γ-γ]は比較的小さい値であってよく、一方、一次元導体の長さが比較的長い場合には、表面エネルギーの差[γ-γ]は比較的大きい値であることが好ましい。この点に関しては、後述する実施例において、金属ナノワイヤ(銀ナノワイヤ)を使用して得られた結果からも示唆されている。
また、上記表面エネルギーの差[γ-γ]は、一次元導体の種類を考慮して調整することも可能である。例えば、一次元導体がナノワイヤである態様において、ナノワイヤの長さが同じであっても、金属ナノワイヤと他の種類のナノワイヤ(例えば、高分子ナノワイヤ)とでは、質量や、溶媒に対する分散性が異なる場合があり得る。この点に関し、後述する実施例では、金属ナノワイヤ(銀ナノワイヤ)を使用する場合について示しており、他の種類のナノワイヤの場合には、上述した態様に関して例示した関係とは異なる場合があり得るが、当業者であれば、使用するナノワイヤと表面エネルギーの差[γ-γ]の好ましい関係を見出すことは可能であろう。
本実施形態に係るパターン形成方法において、基材表面の処理が、当該表面にVUVを照射することを含む態様では、VUV照射の後、基材表面を(パターン形成領域および非パターン形成領域のいずれか一方または両方を)さらにアルカリ溶液で処理してもよい。アルカリ溶液で処理することにより、VUV照射によって親水化した表面に形成されたヒドロキシ基(OH)、カルボキシ基(COOH)、カルボニル基(C=O)などがイオン化し、その表面に適用(コーティング)される溶液との相互作用をより大きくした状態とすることができる。また、アルカリ溶液で処理することにより、VUV照射後の基材表面上の残渣を除去し、当該表面をより清浄化することができる。
アルカリ溶液による処理に使用するアルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物水溶液や、有機アミン水溶液などが挙げられる。
このようにしてパターン形成領域の表面エネルギーγと非パターン形成領域の表面エネルギーγが調節された基材表面に、一次元導体を含有する水性分散液を適用し、パターン形成領域と非パターン形成領域を含む範囲に一次元導体水性分散液の液膜を形成する(ステップS120)。
一次元導体を含有する水性分散液の溶媒は水である。当該溶媒には、一次元導体を分散しやすくする目的で、界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。また、分散液の調製の過程で不可避的に混入し得る成分の含有は許容される。
一次元導体を含有する水性分散液の濃度としては特に制限されず、パターン形成領域の大きさ(面積)、目的のパターンの形状などに応じて適宜調整することができる。なお、一次元導体の長さのばらつきが小さいと、分散液中で一次元導体が均一に分散しやすいので、好ましい。また、基材表面へ適用する前に、超音波分散機などを用いることで、分散液中での一次元導体の凝集を抑制することも好ましい。
基材表面に一次元導体を含有する水性分散液を適用する方法は特に制限されず、例えば、フォトリソグラフィ工程において所定の基材に液体材料をコーティングする際に使用されるコーター装置を使用する方法を採用することができる。具体的には、ディップコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、スリットコーティングなどが挙げられる。
本実施形態に係るパターン形成方法では、パターン形成領域と非パターン形成領域を含む範囲に一次元導体水性分散液の液膜を形成する。このとき、分散液の適用条件(通常は室温)下で液膜中の微細な流れ(内部マイクロフロー)が制御される。より具体的には、パターン形成領域の表面エネルギーγと非パターン形成領域の表面エネルギーγが適切に調節されていることにより、基材表面と分散液との摩擦力の違いによって発生する液膜の内部マイクロフロー(流体力学的挙動)が、パターン形成領域と非パターン形成領域とで異なることによって、液膜中に発生する速度ベクトル分布が変化する。この速度ベクトル分布の変化により、液膜中の一次元導体の配向が決定され、パターン形成領域に一次元導体が自己集合し、所定のパターンが形成される。
言い換えると、本実施形態に係るパターン形成方法では、基材表面に一次元導体を含有する水性分散液を適用する前に、基材表面を処理し、パターン形成領域の表面エネルギーγと非パターン形成領域の表面エネルギーγを適切に調節することで、パターン形成領域と非パターン形成領域を含む範囲に形成された、一次元導体水性分散液の液膜において発生する対流の速度ベクトル(流体内速度ベクトル)の分布を制御する。
このように、パターン形成領域および非パターン形成領域と分散液の溶媒との摩擦によって発生する内部マイクロフローを利用すると、液膜中に分散する(液膜中の対流で移動する)一次元導体は、パターン形成領域に対して単純に一定の方向に沿って集合する(一方向に配向する)のではなく、一定の配向性を有する一次元導体の層が複数積層して構成され、かつ、これらの層中の一次元導体が互いに連結した構造を形成することができる。
これにより、本実施形態に係るパターン形成方法では、基材表面のパターン形成領域において、一次元導体からなるパターンを、精度良く形成することができる。パターンを構成する個々の一次元導体は、隣接する一次元導体と互いに部分的に接触しており、一次元導体からなるパターンは、全体として導電性を有している。そして、このようにして得られたパターンが形成された基材は、通常の大気雰囲気下で乾燥させてもよいし、当該基材に対して、さらに加熱を行うことで、一次元導体の焼結を行ってもよい。例えば、インテンス・パルス・ライト(IPL)の照射などによる光焼結を行うことで、残留した溶媒が蒸発し一次元導体同士が焼結し、一次元導体からなるパターンはより確実なものとなり、これを導電性基材として使用することができる。このように一次元導体を焼結する方法の別の例としては、ヒーターによる加熱、近赤外レーザー(NIL)による加熱などを挙げることができる。また、圧力を加えることでも、同様な目的が達成される。
ここで、本実施形態に係るパターン形成方法の好ましい一態様では、一次元導体を含有する水性分散液の表面張力γが25mJ/m以上50mJ/m以下の範囲である。一次元導体を含有する水性分散液の表面張力γがこの範囲内であると、基材表面に適用された際に分散液がパターン形成領域と非パターン形成領域を含む範囲に広がりやすく、一次元導体水性分散液の液膜がより効率的に形成されやすい。ここで、分散液中に含まれる一次元導体の長さが長いほど、分散液の表面張力γはより小さくなる傾向があるので、分散液の表面張力γは、一次元導体の長さ、および/または、分散液の濃度によって調節することができる。
また、本実施形態に係るパターン形成方法の別の好ましい一態様では、基材表面に、スリットコーティング法を用いて、0.5cm/s以上30cm/s以下の範囲のコーティング速度で、一次元導体を含有する水性分散液を適用する。分散液を適用する方法としてスリットコーティング法を用い、コーティングバーの移動速度を上記範囲内に調節することで、基材表面に適用された際に分散液がパターン形成領域と非パターン形成領域を含む範囲に広がりやすく、一次元導体水性分散液の液膜がより効率的に形成されやすい。具体的には、本態様では、分散液中の一次元導体の長さに応じて、コーティング速度(コーティングバーの移動速度)を調節することが好ましい。ここで、本態様における、一次元導体の長さとコーティング速度の好ましい関係について例示すると、以下の通りである。
・一次元導体の長さが10μm以上20μm以下であり、コーティング速度が0.5cm/s以上5cm/s以下である。
・一次元導体の長さが20μm以上50μm以下であり、コーティング速度が5cm/s以上10cm/s以下である。
・一次元導体の長さが50μm以上100μm以下であり、コーティング速度が10cm/s以上15cm/s以下である。
・一次元導体の長さが100μm以上150μm以下であり、コーティング速度が15cm/s以上20cm/s以下である。
・一次元導体の長さが150μm以上200μm以下であり、コーティング速度が20cm/s以上25cm/s以下である。
・一次元導体の長さが200μm以上250μm以下であり、コーティング速度が25cm/s以上30cm/s以下である。
なお、これらの条件は、一次元導体が銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、金ナノワイヤ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される金属ナノワイヤである態様において特に好適である。
このようにして得られるパターンは、さらに適切な条件で一次元導体を焼結することで、一次元導体の光学特性を損なうことなく、パターンの電気特性を向上させることができる。
一般的に、基材表面上に形成されたパターンは、この焼結工程を経ることで、残留した溶媒が蒸発し材料同士が焼結し、パターンがより確実なものになる。また、焼結により、パターンの形成に用いた溶媒の残渣が取り除かれることも、パターンの導電性の向上に有用である。
本実施形態に係るパターン形成方法で適用できる焼結の手段および条件としては特に制限されないが、例えば、インテンス・パルス・ライト(IPL)の照射を挙げることができる。
IPL照射の条件としては、印加電圧(V)および照射時間(μs)をパラメータとすることで、照射対象物に付与されるエネルギー(J/cm)を調節することができる。この付与エネルギーが適切であると、焼結後の一次元導体がしっかりと連結した構造を保持することができる。反対に、付与エネルギーが低すぎる、または高すぎると、焼結が不十分であったり、一次元導体が連結したが損なわれたりするなどの欠陥が生じ得る。また、付与エネルギーが同じ値であっても、印加電圧が高すぎると、短い照射時間であっても上述した欠陥が生じ得るため、使用するナノワイヤの種類や性質等を考慮して、適切な印加電圧と照射時間を設定することが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[金属ナノワイヤを含有する水性分散液の調製]
銀ナノワイヤ(Guangzhou Nano Chemical Technology Co.)を、20wt%の濃度で超純水(ELGA製PURELAB Chorusにて精製)中に分散させ、銀ナノワイヤを含有する水性分散液(導体インク)を調製した。
本実施例で使用した銀ナノワイヤは、平均径が50nmであり、平均長さは、20μm(例1)、50μm(例2)、および100μm(例3)のものを用いた。
銀ナノワイヤを含有する水性分散液は、使用前に2分間穏やかに超音波処理することで銀ナノワイヤの凝集を抑制し、液中に銀ナノワイヤを均一に分散させた。
なお、各々の銀ナノワイヤを含有する水性分散液の表面張力γを測定した結果を表1に示した。
[基材表面の処理]
基材として、シクロオレフィンポリマー(COP)製の基材(厚さ100μm)を用いた。この基材は、表面が疎水性であるので、未処理の状態では表面エネルギーは比較的低い。
この基材を、4×4cmの大きさにカットし、ウシオ電機製VUVランプ(SUS740、波長150~200nm)を搭載したマスクアライナーの照射台に載置した。
このとき、真空紫外光が照射される基材表面には、六角形の開口部を有するフォトマスクを設置した。
窒素雰囲気下でフォトマスクを介して基材表面に真空紫外光を照射した。
照射時間は、例1では120秒、例2では150秒、例3では200秒に設定することで、真空紫外光が照射された領域で生じる改質(酸化)の程度を調節した。
その後、装置から基材を取り出し、基材表面からフォトマスクを外してアルカリ溶液(有機アミン水溶液)で処理することで、真空紫外光が照射された領域を洗浄し、次いで、脱イオン水(ELGA water purification system, VWS (UK))で洗浄した。これにより、真空紫外光が照射された領域(フォトマスクに形成された六角形の孔に対応する領域)の表面エネルギーを、真空紫外光が照射されていない領域(フォトマスクにより保護されていた領域)の表面エネルギーよりも高くした。
次いで、基材に窒素ガスを吹き付けて表面を十分に乾燥させた。
[基材表面へのパターン形成]
銀ナノワイヤを含有する水性分散液5μLを基材上に滴下し、通常のスリットコーティング手法により掃引した。コーティングバーの掃引速度は、銀ナノワイヤの長さに応じて調節した。具体的には、銀ナノワイヤの長さが20μm、50μm、および100μmの場合に、それぞれ、コーティングバーの掃引速度を5cm/s、10cm/s、および15cm/sとした。
このとき、銀ナノワイヤを含有する水性分散液のコーティング方向(即ち、コーティングバーの掃引方向)は、ハニカム形状を構成する六辺の対向する二辺が延びる方向と水平(平行)になるようにした。なお、銀ナノワイヤを含有する水性分散液のコーティング方向はこれに限定されず、ハニカム形状を構成する六辺の対向する二辺が延びる方向と直角に交差するようにしてもよい。
コーティング後の銀ナノワイヤ水性分散液は、基材上に均一な液膜を形成することが確認された。
さらに、一旦均一な膜が形成されると直ぐに、液膜中の銀ナノワイヤは、真空紫外光が照射されていない、パターン形成領域に自発的に集積した。
このパターン形成領域上への銀ナノワイヤの自己集合により、ハニカム形状を有する、銀ナノワイヤからなるパターン(閉ループ形状のパターン)が得られた。
なお、上述した基材表面へのパターン形成の一連の様子を、光学顕微鏡を用いて経時的に観察したところ、基材表面に銀ナノワイヤを含有する水性分散液をコーティングした時点を0秒とすると、それから約2秒以内に、パターン形成領域上に銀ナノワイヤが定着・定置する様子が見られ、約6秒後には、定着・定置した銀ナノワイヤに対する、別の銀ナノワイヤの定着・定置が起こった。そして、約80秒後には、更なる銀ナノワイヤの集積による銀ナノワイヤのスタッキングが生じ、約100秒後には、銀ナノワイヤの自己集合によって形成されたパターンが確認された。
次いで、200nm~1500nmの波長範囲でインテンス・パルス・ライト(IPL)(NovaCentrix製、光焼成装置 PulseForge(登録商標) Invent)を照射し、基材表面に残った水分を乾燥させ、パターン形成領域上の銀ナノワイヤ同士を焼結した。
以下の表1には、本実施例で作製した銀ナノワイヤからなるパターンの主な作製条件を示した。
加えて、銀ナノワイヤを含有する水性分散液中の銀ナノワイヤの濃度を5wt%とし、それ以外の作製条件は例2と同様にして、表面にパターンが形成された基材(例4)を作製した。
図2は、例2で得られた基材の外観を撮影した写真画像である。
図2中の濃い色の部分は、COP基材を保持している手にはめられた手袋の色が、透明なCOP基材を介して透けて見えているものである。
この図から分かるように、本発明に係るパターン形成方法により、COP基材上に、銀ナノワイヤからなるハニカム形状の規則的なパターンが形成された。
また、例2の基材の表面を光学顕微鏡を用いて観察したところ、非パターン形成領域には銀ナノワイヤの堆積は見られず、目的のパターン形成領域上に銀ナノワイヤが集積した様子が確認され、パターン形成領域と非パターン形成領域との境界も明瞭であった。
さらに、例2の基材の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察した結果、図3に示すように、銀ナノワイヤを含有する水性分散液のコーティング方向に対して斜め方向に延びる部分(図3(a))、銀ナノワイヤを含有する水性分散液のコーティング方向に対して水平方向に延びる部分(図3(b))、および、パターンの分岐部分(図3(c))のいずれにおいても、目的のパターン形成領域上に銀ナノワイヤが集積した様子がはっきりと確認された。なお、いずれも図中のスケールバーは100μmである。
なお、例1、例3および例4の基材についても、例2と同様に、外観観察および光学顕微鏡観察により、COP基材上に、銀ナノワイヤからなるハニカム形状の規則的なパターンが形成されたことが確認された。
図4(a)および図4(b)は、それぞれ、例4および例2の基材の光学顕微鏡像(スケールバー:200μm)である。
図4(a)および図4(b)は、いずれも、パターンの分岐部分の観察像である。これらを比べると、銀ナノワイヤの濃度が5wt%(例4)の場合には、パターン形成領域上へ集積した銀ナノワイヤの密度が低く、銀ナノワイヤの濃度が20wt%(例2)の場合は集積した銀ナノワイヤの密度が高い。しかしながら、両者ともにパターン形成領域のみに銀ナノワイヤが集積した様子が明確に確認された。言い換えると、例2および例4で使用した、平均径(50nm)および平均長さ(50μm)を有する銀ナノワイヤの場合、図4(a)、(b)に示した光学顕微鏡像では、銀ナノワイヤの集積度合いは、銀ナノワイヤを含有する水性分散液中の銀ナノワイヤの濃度の違いを反映している。つまり、本発明に係るパターン形成方法は、使用する一次元導体を含有する水性分散液(導体インク)中の一次元導体の濃度によらずに良好に実施することができると言える。
[表面に銀ナノワイヤからなるパターンが形成された基材の分析]
例1~例3の基材について、シート抵抗率および全光線透過率を測定した結果、シート抵抗率は、それぞれ、30.1、29.7、28.4Ω/□であり、波長550nmでの透過率は、それぞれ、98.7、98.2、97.9%であった(表2参照)。
ここで、IPL照射による基材に対する付与エネルギーの違いによる、パターンが形成された基材の特性への影響を調べるために、付与エネルギーを、0.0J/cm(非照射)、0.6J/cm、0.8J/cm(例2)、1.0J/cm、1.2J/cm、および1.5J/cmに設定し、それ以外の作製条件は例2と同様にして、表面にパターンが形成された基材(例2を含めて計6種類)を作製した。
図5(a)、図5(b)、および図5(c)は、それぞれ、上述した6種類の基材について、シート抵抗率(Ω/□)、全光線透過率(%)、およびヘイズ値(%)を測定した結果を示す図である。なお、図5(b)の右下、および図5(c)の右上には、それぞれ、波長550nmでの透過率およびヘイズ値の測定結果を示した。また、図5(a)~(c)において、付与エネルギーが、0.0J/cm、0.6J/cm、0.8J/cm、1.0J/cm、1.2J/cm、および1.5J/cmの場合の結果を、それぞれ、プロット図形を四角形、丸形、上向き三角形、下向き三角形、菱形、および左向き三角形で示した。
図5(b)に示すように、本実施例で用いた作製条件では、IPL照射による基材に対する付与エネルギーの違いによる、基材の全光線透過率への影響はほとんど認められず、付与エネルギーが1.0J/cmを超えると、波長550nmでの透過率がやや低下する傾向が見られた(図5(b)右下)。
一方、シート抵抗率(図5(a))の測定結果からは、IPL非照射(付与エネルギー0.0J/cm)の場合よりも、一定の付与エネルギーでIPLを照射することにより、基材のシート抵抗率が約1/2以下に低下することが分かった。特に、付与エネルギーが0.8J/cm(例2)の場合のシート抵抗率(29.7Ω/□)は、IPL非照射での値(約200Ω/□)と比べて約85%の減少であることが分かった。
加えて、ヘイズ値(図5(c))の測定結果からは、波長550nmでの結果(図5(c)右上)では、付与エネルギーが1.2J/cmの場合にIPL非照射の場合よりヘイズ値が若干高いものの、測定した波長範囲においては、IPL非照射の場合よりも、一定の付与エネルギーでIPLを照射することにより、基材のヘイズ値が小さくなる傾向が見られた。また、付与エネルギーが0.8J/cm(例2)の場合には、波長550nmだけでなく(ヘイズ値2.8%)、測定した波長範囲の全体に渡って、他の条件でのヘイズ値よりも小さいことが分かった。
これらの結果から、本発明に係るパターン形成方法において、一次元導体からなるパターンが形成された基材に対して、IPL照射による光焼結を行うことで、基材の元々の光学特性を損なうことなく、表面に形成されたパターンの電気特性を向上させることができることが分かった。さらに、IPL照射による基材に対する付与エネルギーを調節することで、パターンの電気特性をより効果的に発揮させることができることが分かった。
実際に、上記6種類の基材に形成されたパターンをSEM観察した結果、IPL非照射(付与エネルギー0.0J/cm)の場合には、部分的に、銀ナノワイヤ同士の重なり(接触)が十分でない箇所が見られ、付与エネルギーが0.6J/cmの場合には、部分的に、銀ナノワイヤの焼結が十分でない箇所が見られた。また、付与エネルギーが1.2J/cm、および1.5J/cmの場合には、部分的に、ナノワイヤの連結構造が損なわれた箇所や銀ナノワイヤにクラックが生じた箇所が見られた。一方、付与エネルギーが0.8J/cm(例2)、および1.0J/cmの場合には、上述したような部分的な欠陥はほとんど見られず、特に、例2の基材では、光焼結によって銀ナノワイヤからなるパターンがより確実なものとなっている様子が確認された。
次に、以下の手順に従って曲げ試験を行い、パターンが形成された基材の機械的特性を分析した。
上記6種類の基材について、クランプを用いて基材の両端を挟んだ状態で電動ステージ上に載置し、一方の端部を他方の端部に向けて動かすことで基材を湾曲させる動作を、10r/minの速度で繰り返し行った。このとき、基材が最も湾曲した状態での曲率半径は、7.5mmであった。この湾曲動作を計5000回繰り返しながら、基材の抵抗率Rの経時変化を測定し、試験前の抵抗率Rと比較した。
その結果、IPL非照射(付与エネルギー0.0J/cm)の基材では、試験中、最大で、R/Rの値が9程度にまで上昇した。これは、パターンを構成する銀ナノワイヤ同士の接触抵抗が高いことに起因していると考えられる。
一方、付与エネルギーが1.5J/cmの場合には、湾曲動作の回数が2000回を超えると、R/Rの値が1を超える傾向が見られ、さらに3000回を超えると、最大で、R/Rの値が5程度にまで上昇した。
これに対して、付与エネルギーが0.8J/cm(例2)の場合には、試験中、R/Rの値はほぼ1で一定しており、Rの変化量は、最も高い場合でも0.5未満であった。
これらの結果から、機械特性の観点においても、一次元導体からなるパターンが形成された基材に対して、IPL照射による光焼結を行うことの有意性が確認された。また、IPL照射による基材に対する付与エネルギーを調節することで、パターンの電気特性をより効果的に発揮させることができるだけでなく、機械特性にも優れた基材とすることができることが分かった。
[開口部の面積割合が異なるフォトマスクを用いたパターンの形成例]
上述した例1、例2、および例3の基材の作製では、フォトマスクとして、フォトマスクの面積に対する開口部の割合(Open area ratio)が92.0%であるものを用いた。ここで、六角形の開口部の面積を様々に変化させることで、フォトマスクの面積に対する開口部の割合を、89.1%、90.2%、92.0%(例2)、95.3%、95.7%、および96.2%として、それ以外の作製条件は例2と同様にして、表面にパターンが形成された基材(例2を含めて計6種類)を作製した。
図6(a)~図6(f)は、それぞれ、上述した6種類の基材について、表面に形成されたパターンの光学顕微鏡像を示す図である。各図の上段には低倍率像(スケールバー:2mm)を示し、下段には高倍率像(スケールバー:200μm)を示した。また、各図の上段の像の左上には、フォトマスクの面積に対する開口部の割合(図6(a)~図6(f)の順に、96.2%、89.1%、95.3%、92.0%、90.2%、95.7%)を記載した。各図の下段の像中には、パターンの幅(即ち、パターン形成領域の幅)を示す数値(図6(a)~図6(f)の順に、200μm、200μm、100μm、100μm、100μm、50μm)を記載した。
図6(a)~図6(f)に示すように、いずれのフォトマスクを使用した場合でも、目的のパターン形成領域に、銀ナノワイヤからなるハニカム形状のパターンが形成されたことが確認された。
さらに、得られた6種類の基材について、波長550nmでのヘイズ値を測定した。結果を図7に示す。
図7に示すように、使用するフォトマスクによって、波長550nmでのヘイズ値が異なる結果が得られた。このことは、本発明に係るパターン形成方法によって所望のパターンが形成された基材が、高いヘイズ値が求められる太陽電池用途やセンサー用途、および、低いヘイズ値が求められるディスプレイ用途や透明フィルムヒーター用途など、多種多様な用途に適用するのに好適であり得ることを示唆している。例えば、実際に、六角形の開口部を有するフォトマスクに代えて、幾何学模様(任意のロゴマーク)に対応する開口部を有するフォトマスクを用いて、上述した作製例と同様に、COP基材上に銀ナノワイヤからなるパターンを形成し、適切な条件でIPL照射による光焼結を行って得られた基材について、その両端に一定の電圧(2V)を付与したところ、パターンが形成された領域(パターン形成領域)が発熱し、サーモグラフィ画像でもパターン形成領域と非パターン形成領域との温度差が明確に見られたことから、透明フィルムヒーターとして機能し得ることが確認された。
図8(a)は、上述した、銀ナノワイヤからなる幾何学模様のパターンの光学顕微鏡像である。図8(a)の左上および左下は、それぞれ、形成した二種類の幾何学模様(ロゴマーク)の全体像(スケールバー:2mm)であり、同図の右上および右下は、それぞれ、その左側に示した像中に白色点線で囲んで示した部分の拡大像(スケールバー:500μm)である。図8(a)において、濃淡の濃い部分が非パターン形成領域であり、濃淡の薄い部分がパターン形成領域(即ち、銀ナノワイヤが集積した部分)である。
図8(b)の上段は、図8(a)に示した二種類の幾何学模様の透明パターンが形成されたCOP基材の両端に一定の電圧を付与する様子を示す写真画像(スケールバー:1cm)であり、図8(b)の下段は、このときのCOP基材表面の温度分布を測定したサーモグラフィ画像(スケールバー:1cm)である。このサーモグラフィ画像より、銀ナノワイヤが集積したパターン形成領域が発熱することでパターン形成領域の温度が非パターン形成領域よりも高くなり、COP基材上に形成された幾何学模様がはっきりと識別できていることが分かる。
図8(c)は、図8(b)の下段のサーモグラフィ画像中に点線と共に数字で「1」および「2」と記した、任意の2つの直線領域(Line 1、および、Line 2)における温度分布の詳細を示すグラフである。横軸は、直線領域(長さ1cm)の左端をゼロとしたときの測定位置(左端からの距離(cm))であり、縦軸は、当該測定位置の温度(℃)である。図8(c)のグラフからも、通電時のパターン形成領域と非パターン形成領域の温度差が明確であり、パターン形成領域のみを均一に発熱させることができていることが分かる。
(比較例1)
ゼロ次元構造体を用いる従来技術によって、VUV照射によって形成される親水性領域へのパターンの形成を試みた。
具体的には、上記の実施例で用いたフォトマスクとは開口部と遮光部が逆転したマスクを用い、COP基材表面に、六角形の疎水性領域と、この疎水性領域の周縁にハニカム形状の親水性領域を形成し、スリットコーティング法により銀ナノ粒子の水性分散液を適用することで、パターンの形成を試みた。
しかしながら、銀ナノ粒子の水性分散液は基材表面に均一には広がらず、部分的に、六角形の疎水性領域とその周縁の親水性領域を覆うような液膜が形成されるなどした結果、パターンの形成が意図されない疎水性領域にも銀ナノ粒子が堆積するなどし、ハニカム形状を有する閉ループ形状のパターンをうまく形成することはできなかった(図9参照)。
(比較例2)
分散液の溶媒として、超純水に代えてエタノールを用いたこと以外は上記実施例の通りの手順に従ってハニカム形状を有するパターンの形成を試みた。
しかしながら、目的のハニカム形状を有する閉ループ形状のパターンは形成されなかった。
[パターン形成のメカニズムの分析]
次に、図10~図14を参照しながら、上記実施例の態様によるパターン形成のメカニズムについて説明する。これにより、本発明に係るパターン形成方法による、一次元導体からなるパターン形成のメカニズムがより明らかとなる。但し、本発明に係るパターン形成方法の好ましい態様としては、実施例で使用した基材、金属ナノワイヤ、基材表面の処理手段などに限定されない点に留意されたい。
図10は、上記実施例の態様によるパターン形成方法のプロシージャを示す模式図である。
まず、図10の上段左側(i)において、基材表面に、パターン形成領域に対応する遮光部と非パターン形成領域に対応する開口部を有するフォトマスクが配置され、非パターン形成領域に真空紫外光が照射される。実施例で使用したCOP基材は、表面が疎水性であり、未処理の状態では表面エネルギーは比較的低い、即ち、表面エネルギーが低い高分子フィルム(Low-surface-energy polymer film)である。この基材表面は、VUVが照射されない部分がパターン形成領域となり、かつ、VUVが照射された部分が改質されることでパターン形成領域の表面エネルギーは非パターン形成領域の表面エネルギーよりも小さくなるため、図中では、基材の表面エネルギーは括弧書きで記号γ で表されている。フォトマスク(Photomask)は、パターン形成領域に対応する遮光部と非パターン形成領域に対応する六角形の開口部を有する。このフォトマスクを通して、VUVが照射される(VUV exposure)。これにより、基材表面に、六角形の非パターン形成領域(親水性のパターン:Hydrophilic pattern)が形成される。
次に、図10の上段中央(ii)において、基材は、アルカリ溶液で処理される。図中では、容器内に収容されたアルカリ溶液(Alkaline solution)に、基材(Polymer film)を左側から右側の方向に浸漬させて、基材表面をリンスする(Rinse)様子を模式的に示している。このアルカリ溶液処理により、VUV照射によって形成された非パターン形成領域の表面エネルギーがより高くなる(活性化される)、即ち、非パターン形成領域は、パターン形成領域より表面エネルギーが高い領域(High-surface-energy regions)となり、括弧書きで記号γ で表されている。
次に、図10の上段右側(iii)において、基材表面に、銀ナノワイヤを含有する水性分散液を適用する。図中では、スリットコーティング法を用いて、銀ナノワイヤを含有する水性分散液(Aqueous AgNW solution)を、コーティングバー(Coating bar)を左側から右側に移動させることで、パターン形成領域と非パターン形成領域を含む範囲に銀ナノワイヤを含有する水性分散液の液膜を形成する(Cross-border overlay)様子を模式的に示している。
次に、図10の下段右側(iv)において、分散液の液膜中の微細な流れ(内部マイクロフロー)が制御されることで、液膜中の銀ナノワイヤが、パターン形成領域に自己集合する(AgNW alignment on γ regions)。
次に、図10の下段中央(v)において、インテンス・パルス・ライト(IPL)の照射(IPL irradiation)により、基材表面が十分に乾燥すると共に、パターン形成領域に形成されたパターンを構成する銀ナノワイヤ同士が選択的に焼結される(Selective sintering)。
ここで、上述した図10の上段右側(iii)および下段右側(iv)における、基材表面での銀ナノワイヤ水性分散液の液膜の形成、および、銀ナノワイヤの自発的な集合に関し、さらに図11A、図11B、および図11Cを参照しながら、3つのフェーズに分けて説明する。
〔フェーズ1〕
基材表面に適用された銀ナノワイヤを含有する水性分散液が、パターン形成領域と非パターン形成領域をまたぐように均一な液膜を形成する。
図11Aは、上記実施例の態様によるパターン形成方法における、基材表面での銀ナノワイヤ水性分散液の液膜の形成について示す模式図である。
図11Aの左側(i)において、コーティングバー(Coating bar)は上側から下側に移動するものとする。即ち、基材(Substrate)表面に対する、銀ナノワイヤを含有する水性分散液の適用方向(コーティング方向:Coating direction)は、上側から下側の向きである。このとき、基材表面の濡れ性と分散液の表面張力を考慮すると、未処理の状態で疎水性であるパターン形成領域(γ )から、VUV照射によって改質された親水性の非パターン形成領域(γ )に、分散液の分離・分流(Fluid separation)が起こると考えられる。
一方、図11Aの中央(ii)において、分散液には銀ナノワイヤが分散しており、当該分散した銀ナノワイヤ(Dispersed AgNWs)間に毛管力(キャピラリーフォース:Capillary force)が作用することにより、パターン形成領域を介して隣接する非パターン形成領域間で、分散液の合体(Fluid coalescence)が生じる。
これにより、図11Aの右側(iii)において、基材表面に適用された銀ナノワイヤを含有する水性分散液は、パターン形成領域と非パターン形成領域を含む範囲に略均一に広がり、銀ナノワイヤ水性分散液の液膜が形成される(Fluid overlay)。また、このとき、液膜中には、水性分散液のコーティング方向に、本発明者らが瞬時流れ(Instantaneous flow)と呼ぶ流れ(後述する図11Bの(iii)参照)が発生し、液膜中の銀ナノワイヤは概ねこの流れの方向に整列した状態にある(Aligned AgNWs)。
〔フェーズ2〕
流れ場の分散(分布)により銀ナノワイヤの定着・定置が生じる。
ここで、基材表面に形成された銀ナノワイヤ水性分散液の液膜中の微細な流れ(流体力学的挙動)を分析するために、本発明者らは、流体解析ソフトウェア(ANSYS FLUENT 2021 R1)を用いたシミュレーションを行った。
流体シミュレーションの計算領域(液体ドメイン:Liquid domain)としては、パターン形成領域(γ )を挟んで両側に非パターン形成領域(γ )が存在する基材表面に形成された液膜を想定した。
また、実測したコーティング速度と液膜の厚さから計算し、質量流量(mass flow rate)が0.5g/sであるとした。性状が規則的に変化する基材表面上を液体が流れることを考慮し、並進対称性の周期的境界条件として、この質量流量の実測値を用いた。
図11Bは、上記実施例の態様によるパターン形成方法における、基材表面に形成された銀ナノワイヤ水性分散液の液膜中の微細な流れ、および、銀ナノワイヤの定着・定置について示す模式図である。
図11Bの上段左側(i)および上段右側(ii)は、それぞれ、上述したシミュレーション領域について得られた速度の大きさ(Amplitude of Velocity)および圧力の大きさ(Amplitude of Pressure)の分布を示す図である。各図において、濃淡の濃い部分は、速度または圧力が低く、濃淡の薄い部分は、速度または圧力が高いことを示している。
なお、図11Bの(i)および(ii)の図では、シミュレーション領域の一部分を抜き出して示している。具体的には、x方向は、パターン形成領域の中央をゼロとして左右50μmの範囲がパターン形成領域であり、このパターン形成領域の両端から150μmの範囲が非パターン形成領域である。即ち、x軸の範囲は、中央のゼロを基準として左右200μmの範囲である。また、y方向は、液膜の高さ(厚さ)が250μmである場合のシミュレーション結果であることを意味する。加えて、図11Bにおいて、コーティング方向に誘起される液膜中の流れの方向(Flow direction)は、左側から右側である(図11Aで示したコーティング方向とは異なる)点に留意されたい。
図11Bの(i)および(ii)の図より、非パターン形成領域(γ )上を流れた分散液がパターン形成領域(γ )に到達すると、パターン形成領域に近い(yの値が小さい)部分の圧力が高くなり、パターン形成領域上では分散液中の流れの速度が低くなることが分かる。さらに、パターン形成領域(γ )上を流れた分散液が再び非パターン形成領域(γ )に到達すると、非パターン形成領域(γ )に近い(yの値が小さい)部分の圧力が小さくなり、非パターン形成領域上では分散液中の流れの速度が高くなることが分かる。
図11Bの下段(iii)には、これら一連の分散液の局所的な流れによって生じる、分散液中の銀ナノワイヤの挙動を模式的に示した。
この図に示すように、分散液の適用方向(コーティング方向)に沿って分散液が移動する際に、基材(Substrate)表面の非パターン形成領域(γ )では、分散液(図中では便宜上、インク(Ink)と記している)中の銀ナノワイヤ(AgNW)には、下方向の重力(Gravitational force)よりも大きな速度場誘起慣性力(Velocity-field-induced inertia force)が横方向に(図中では右方向に)作用することで、銀ナノワイヤは非パターン形成領域を通過する。一方、パターン形成領域(γ )では、その表面に近い部分の液体に高い圧力がかかる結果、当該部分にある(もしくは近い)銀ナノワイヤの速度場誘起慣性力は小さくなり、相対的に重力ベクトルが大きくなることで、銀ナノワイヤがパターン形成領域上に導かれ、定着・定置する(Anchored)。この現象が、パターン形成領域における、銀ナノワイヤの定着・定置(Anchoring)である。但し、分散液中を分散する無数の銀ナノワイヤの中には、パターン形成領域をそのまま通過するものもあるが、それらは次の、もしくはさらに別のパターン形成領域に到達した際に、定着・定置を生じ得る。
〔フェーズ3〕
分散液の溶媒の蒸発によって生じる対流によって輸送される銀ナノワイヤが、パターン形成領域に定着・定置した銀ナノワイヤに対し定着・定置する。
図11Bの(iii)を参照して説明したようにして銀ナノワイヤの定着・定置が生じたパターン形成領域、および、これに隣接する非パターン形成領域では、分散液の適用条件(通常は室温)下で分散液の溶媒が蒸発する。
図11Cは、このような分散液の溶媒が蒸発する際に起こる液膜中の現象、より具体的には、上記実施例の態様によるパターン形成方法における、基材表面に形成された銀ナノワイヤ水性分散液の液膜中の対流で移動する銀ナノワイヤの自発的な集合について示す模式図である。
図11Cの左側(i)に示すように、基材(Substrate)表面に適用された分散液(Ink)の溶媒が蒸発する(大気(Air)中に拡散する)と、液膜(流体)の密度の低い部分から高い部分に向けて作用する浮力(Buoyancy force)による駆動力が生じ、レイリー・ベナール対流(Rayleigh-Benard convection)が起こる。このとき、液膜中を漂う(対流によって輸送される)銀ナノワイヤは、既にパターン形成領域(γ )に定着・定置した銀ナノワイヤによって捕獲される。これにより、パターン形成領域上に銀ナノワイヤの更なる集積(集合)が起こる。なお、図中では模式的に示しているが、レイリー・ベナール対流は既に定着・定置した銀ナノワイヤに対して異なる角度に生じるため、定着・定置した銀ナノワイヤによる別の銀ナノワイヤの捕獲は、定着・定置した銀ナノワイヤの長さ方向に対して、別の銀ナノワイヤが交差するような様式で起こる傾向がある。
次に、図11Cの右側(ii)に示すように、分散液(Ink)の溶媒がさらに蒸発すると、表面張力の不均一が生じ、表面張力が相対的に低い部分から高い部分に向けて表面張力の差に起因する力(Surface tension force)が働き、マランゴニ効果による対流現象(Marangoni convection)が生じる。このとき、液膜中を漂う(対流によって輸送される)銀ナノワイヤは、定着・定置した銀ナノワイヤ上に集積した銀ナノワイヤによってさらに捕獲される。これにより、パターン形成領域上に銀ナノワイヤの更なる集積(集合)が起こる。なお、図中では模式的に示しているが、上記集積した銀ナノワイヤによる銀ナノワイヤの更なる捕獲は、レイリー・ベナール対流によって集積した銀ナノワイヤの長さ方向と略平行に、銀ナノワイヤが更に集積するような様式で起こる傾向がある。加えて、一連の銀ナノワイヤの集積過程をシミュレーションすると、上記レイリー・ベナール対流に伴って銀ナノワイヤが集積する方向と、マランゴニ対流に伴って更なる銀ナノワイヤが集積する方向とは、逆向きであり得る。このような現象は、上記実施例で行った実際の実験においても確認された。
上述したように、本発明に係るパターン形成方法では、基材上に、一次元導体を含有する水性分散液が適用された際に、基材上に形成されたパターン形成領域と非パターン形成領域の表面エネルギーが異なることにより、パターン形成領域への一次元導体の自己集合が引き起こされる。
ここで、本発明者らは、上述した流体解析ソフトウェアを用いた別のシミュレーションとして、分散液中の溶質(分散質)の存在を考慮しない、単純化したモデルを用いた分析を行った。なお、当該モデルでは、スリットコーティング法によって基材表面に適用される分散液は層流であるとし、コーティング速度(コーティングバーの移動速度)は一定(10cm/s)であるとした。その結果、パターン形成領域の表面エネルギーγと非パターン形成領域の表面エネルギーγとの差[γ-γ]が一定の範囲内である場合に、非パターン形成領域での分散液中の流れの速度勾配(Velocity gradient)がほぼゼロとなり、すべてのパターン形成領域において速度が等しく最も低くなることが示唆された(データ示さず)。このことは、この状態で作製したサンプルは、最もきれいなパターンとなる、即ち、実質的にパターン形成領域のみに一次元導体が集積して形成されたパターンが得られることを意味する。そこで、本発明者らは、便宜上、この状態で作製したサンプルを、オンサイド・パターン・フィルム(Onside-Pattern Film:OPF)と称することとした。
また、この単純化したモデルでは、パターン形成領域の表面エネルギーγと非パターン形成領域の表面エネルギーγとの差[γ-γ]が所望の範囲外であると、パターン形成領域において分散液中の流れの速度が最も低くなる状態を得られにくい。詳しくは、[γ-γ]が所望の範囲より小さい場合は、コーティングバーの移動に伴って分散液が移動する際に、パターン形成領域よりも手前の位置で分散液中の局所流れの速度が最も低くなり、[γ-γ]が所望の範囲より高い場合は、パターン形成領域よりも先の位置で分散液中の流れの速度が最も低くなる。このことから、これらの状態でサンプルを作製すると、非パターン形成領域においても一次元導体が定着・定置するため、所望のパターンが描けなくなることが示唆された。そこで、このような状態を表現するための用語として、本発明者らは、上記OPF条件の範囲の下限値を下回る状態、上限値を上回る状態で作製したサンプルを、それぞれ、ビギン・トゥ・パターン・フィルム(Begin-to-Pattern Film:BPF)、ビギン・トゥ・オーバーコート・フィルム(Begin-to-Overcoat Film:BOF)と称し、下限値を大きく下回る状態および上限値を大きく上回る状態で作製したサンプルを、オーバーコーテッド・フィルム(Overcoated Film:OF)と称することとした。
一方、上述したように、この単純化したモデルでは、流体中に含まれる分散質(一次元導体)の存在による影響までは精密に考慮されておらず、実際の一次元導体を含有する水性分散液の挙動とは誤差が生じ得ることにも注意する必要がある。本発明者らの予備実験によれば、銀ナノワイヤを含有する水性分散液に含まれる銀ナノワイヤの長さが長くなるほど、分散液の表面張力γは小さくなる傾向があり、また、これに伴って、任意の基材表面上に滴下した液滴の接触角θも小さくなる傾向があることが分かっている。そのため、この単純化したモデルで得られた結果は、パターン形成領域の表面エネルギーγと非パターン形成領域の表面エネルギーγとの差[γ-γ]を適切に調節することによって、使用する一次元導体を含有する水性分散液に合ったOPF条件を設定することができることを示唆していると理解することができる。
例えば、上記実施例の態様のように、基材表面の処理手段としてVUV照射を含む態様において、一次元導体が銀ナノワイヤであり、その長さが20μm~100μmの範囲である場合を想定すると、VUVの照射時間と銀ナノワイヤの長さとの関係は、図12のように表すことができる。ここで、図12の横軸は、VUVの照射時間(Exposure time、単位:秒)であり、縦軸は、銀ナノワイヤの長さ(LAgNW、単位:μm)である。
図12に示すように、例えば、銀ナノワイヤの長さが50μmである場合にOPF条件となるVUVの照射時間は、約100秒~約250秒の範囲であり得、この範囲内で、銀ナノワイヤを含有する水性分散液の濃度などのその他の条件を考慮して適宜調節することができる。また、銀ナノワイヤの長さが20μmである場合には、50μmである場合に比べて短いVUV照射時間の範囲で、OPF条件を得ることができる。これは、銀ナノワイヤの長さが短い場合には、銀ナノワイヤの質量が軽く表面積が小さいため、パターン形成領域の表面エネルギーと非パターン形成領域の表面エネルギーとの差が比較的小さくても、銀ナノワイヤを所定のパターン形成領域に導くための駆動力を得ることができると考えることができる。一方、銀ナノワイヤの長さが100μmである場合には、50μmである場合に比べて長いVUV照射時間の範囲で、OPF条件を得ることができる。この場合は、銀ナノワイヤの質量が比較的重いため、VUV照射時間を長くすることで、銀ナノワイヤを所定のパターン形成領域に導くために十分な程度に、パターン形成領域の表面エネルギーと非パターン形成領域の表面エネルギーとの差を生じさせることができると言える。
なお、図13は、上述した予備実験に関連するデータとして、COP基材に対するVUV照射時間を変化させ、水(2.0μL)を滴下した際のCOP基材上の水滴の接触角θを測定した結果である。
図13に示す水の接触角θを用いてOPF条件を説明すると、θの値が約60°~約70°の範囲となるように、VUV照射時間を設定することが好ましいと言える。一方、θの値が70°を超える場合、および、60°を下回る場合には、OPF条件を外れる結果、銀ナノワイヤが意図する位置で定着・定置しにくくなり、パターン形成領域上での目的のパターンの形成が困難となる。
ここで、上述した一次元導体の配向性について、図14を参照して説明する。
ここでは、一次元導体を含有する水性分散液が適用される際の流体の流れ、即ち、分散液の適用方向に対して、この方向と同じ方向に延びるパターン形成領域(幅方向の長さは任意である)が存在する場合を考える。
本発明に係るパターン形成方法では、興味深いことに、上述したフェーズ2に対応する一次元導体の定着・定置は、分散液の適用方向(Coating direction)と同じ方向、つまり、パターン形成領域が延びる方向と平行な向きに一次元導体が配向した状態で起こる(Parallel alignment)(図14の左側(i)参照)。このことは、上述した、コーティング方向に発生する瞬時流れ場(Instantaneous flow field)の分散(分布)によって説明することができる(図14の右側(ii)下段参照)。
また、このような一次元導体の配向性について、言い換えると、形成されたパターンの微細構造を分析し、基板表面に近い部分にある一次元導体の配向状態を確認することで、製造過程における一次元導体を含有する水性分散液の流れの方向を推定できると言える。
さらに、上述したフェーズ3に対応する一次元導体の定着・定着は、大きく2つの段階に分けて説明することができる。
第1の段階では、先に定着・定置した一次元導体に捕獲された一次元導体が、定着・定置した一次元導体の向きに対して交差するように配向する(図14の(i)では便宜上、上述した「Parallel alignment」と対比する表現として「Perpendicular alignment」と記している。)。これは、上述したように、分散液の溶媒の蒸発(Evaporation)によって生じるレイリー・ベナール(Rayleigh-Benard convection)対流が先に定着・定置した銀ナノワイヤに対して異なる角度に生じることによって、液膜中を漂う(対流によって輸送される)一次元導体に発生する速度ベクトルの向きが、定着・定置した一次元導体の向きに対して交差するためであると説明することができる(図14の(ii)中段参照)。
これに続く第2の段階では、分散液の溶媒の蒸発(Evaporation)がより進行した状態で生じる一次元導体の更なる集積(集合)であり、これは、マランゴニ対流(Marangoni convection)に伴う、上記第1の段階で捕獲された一次元導体の整列方向とは約180°反対方向からの、一次元導体の流れによって起こる。その結果、ナノワイヤが集積した状態では、第1の段階と第2の段階とで、ナノワイヤの配向性は同じ(Perpendicular alignment)であるように見えるが、そのプロセスは全く異なっていると言える。これは、第1の段階でのレイリー・ベナール対流に代わって生じるマランゴニ対流との関係で、液膜中の一次元導体に発生する速度ベクトルの向きが逆転するためであると説明することができる(図14の(ii)上段参照)。
なお、図14の(i)の上部に挿入されている画像は、上述した実施例で得られたパターン(例2)中で銀ナノワイヤが交差するように整列した様子(Cross-linked alignment)を示したSEM像(スケールバー:2μm)である。本発明に係るパターン形成方法で形成されるパターンでは、パターン形成領域上に一次元導体が自己集合する過程で一次元導体の配向性が制御され、所望のパターンが形成されるため、一次元導体の特性が十分に発揮されやすいパターンを得ることができる。
本発明に係るパターン形成方法によれば、任意の基材上に、従来技術では難しかった閉ループ形状を含む様々な形状のパターンの形成を容易に行うことができる。例えば、フレキシブルでありかつ透明な基材を用いると、本発明によって一次元導体からなるパターンが形成された基材は、高性能なフレキシブル透明導体としての応用が可能である。また、使用する一次元導体の種類や性質などを適宜変更することで、高効率太陽電池やタッチパネル、スマートウィンドウ等への応用が実現される。

Claims (15)

  1. 基材表面の、パターン形成領域および非パターン形成領域のいずれか一方または両方を処理し、パターン形成領域の表面エネルギーγを非パターン形成領域の表面エネルギーγより小さくし、かつ、パターン形成領域の表面エネルギーγと非パターン形成領域の表面エネルギーγとの差[γ-γ]を、5mJ/m以上25mJ/m以下の範囲とすることと、
    基材表面に、一次元導体を含有する水性分散液を適用し、パターン形成領域と非パターン形成領域を含む範囲に一次元導体水性分散液の液膜を形成することと
    を包含し、
    前記液膜中の微細な流れを制御して前記液膜中の対流で移動する一次元導体を前記パターン形成領域に自己集合させ、所定のパターンを形成する、
    一次元導体によるパターンの形成方法。
  2. 前記処理が、真空紫外光を照射することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 未処理の状態で疎水性である基材表面に、非パターン形成領域に対応する開口部を有するフォトマスクを配置し、非パターン形成領域に真空紫外光を照射する、請求項2に記載の方法。
  4. 真空紫外光を照射した後、パターン形成領域および非パターン形成領域のいずれか一方または両方をさらにアルカリ溶液で処理する、請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記パターンが形成された基材を加熱し、前記一次元導体を焼結することをさらに包含する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記一次元導体の長さが10μm以上250μm以下の範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記一次元導体を含有する水性分散液の表面張力γが25mJ/m以上50mJ/m以下の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記一次元導体が金属ナノワイヤ、金属酸化物ナノワイヤ、高分子ナノワイヤ、シリコンナノワイヤ、カーボンナノチューブ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記基材がシクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、およびポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる群より選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記基材表面に、ディップコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、およびスリットコーティングからなる群より選択される方法を用いて、前記一次元導体を含有する水性分散液を適用する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記基材表面に、スリットコーティング法を用いて、0.5cm/s以上30cm/s以下の範囲のコーティング速度で、前記一次元導体を含有する水性分散液を適用する、請求項10に記載の方法。
  12. 表面に、表面エネルギーが低いパターン形成領域と、表面エネルギーが高い非パターン形成領域を有し、前記パターン形成領域に、一次元導体によるパターンが形成された、基材。
  13. 前記一次元導体が金属ナノワイヤ、金属酸化物ナノワイヤ、高分子ナノワイヤ、シリコンナノワイヤ、カーボンナノチューブ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、
    前記基材がシクロオレフィンポリマー(COP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、およびポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる群より選択される、請求項12に記載の基材。
  14. 前記一次元導体が銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、金ナノワイヤ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される金属ナノワイヤである、請求項13に記載の基材。
  15. 前記金属ナノワイヤが銀ナノワイヤであり、前記基材がシクロオレフィンポリマー(COP)である、請求項14に記載の基材。
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