JP2023120457A - 複合材料の検査装置、複合材料の検査方法、複合材料の検査プログラム - Google Patents

複合材料の検査装置、複合材料の検査方法、複合材料の検査プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2023120457A
JP2023120457A JP2020118106A JP2020118106A JP2023120457A JP 2023120457 A JP2023120457 A JP 2023120457A JP 2020118106 A JP2020118106 A JP 2020118106A JP 2020118106 A JP2020118106 A JP 2020118106A JP 2023120457 A JP2023120457 A JP 2023120457A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
information
mechanical property
composite material
inspection
destructive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020118106A
Other languages
English (en)
Inventor
伸吾 岡本
Shingo Okamoto
香織 三浦
Kaori Miura
千緒 野見山
Kazuo Nomiyama
千博 今中
Chihiro Imanaka
章太 永田
Shota NAGATA
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ehime University NUC
Teijin Ltd
Original Assignee
Ehime University NUC
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ehime University NUC, Teijin Ltd filed Critical Ehime University NUC
Priority to JP2020118106A priority Critical patent/JP2023120457A/ja
Priority to PCT/JP2021/022001 priority patent/WO2022009596A1/ja
Publication of JP2023120457A publication Critical patent/JP2023120457A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N3/00Investigating strength properties of solid materials by application of mechanical stress
    • G01N3/02Details
    • G01N3/06Special adaptations of indicating or recording means

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)
  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

【課題】機械物性を測定することなく、複合材料の機械物性を推測して複合材料の評価に役立てることのできる複合材料の検査装置を提供する。【解決手段】検査装置は、強化繊維で強化され且つ機械物性情報及び非破壊検査情報が既知の第一複合材料の当該機械物性情報及び当該非破壊検査情報に基づく機械学習によって生成された機械物性推測モデルであって、強化繊維で強化され且つ機械物性情報が未知の第二複合材料の非破壊検査情報を入力として前記第二複合材料の機械物性情報を推測する機械物性推測モデルを記憶する記憶部と、前記第二複合材料の非破壊検査情報を取得し、当該非破壊検査情報を前記機械物性推測モデルに入力して、前記機械物性推測モデルから当該第二複合材料の機械物性情報を取得し、当該機械物性情報に基づく出力を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化された複合材料の検査装置、検査方法、及び検査プログラムに関する。
炭素繊維によって繊維補強された複合材料は、マトリックス樹脂の脆弱性を強度の高い繊維によって補強することができる。このため、軽量、高物性の優れた材料として広く採用されている。
従来、繊維強化された複合材料の生産工程では、複合材料の製造時の不良品を検査するための非破壊検査が行われている。例えば、特許文献1では、熱可塑性樹脂を炭素繊維へ含浸させる工程において、次のような検査が行われる。まず、被検査物(熱可塑性樹脂を炭素繊維へ含浸させた複合材料)に一定の距離を隔てて指向性を有する超音波送波器と受波器を対向させる。そして、一方の超音波送波器から超音波を発射し、被検査物をその対向した受波器で超音波を受け、信号処理回路によりその超音波の伝播時間を測定し、これらにより被検査物の内部欠陥を非接触で検出する。ここでの超音波を用いた検査のデータは画像に変換されることで、当該画像に基づき、被検査物の合否判定を行うことができる。
特許文献2、3には、加工食品の生産工程で効率的に血合いや羽などの選別を行うため、高精度の検索を自動的に行う装置が開示されている。
特開2019-158459号公報 国際公開第2019/151393号 国際公開第2019/151394号
近年、原材料価格や人件費の高騰などもあり、高い品質を維持しながら生産コストを抑えることが課題となっており、繊維強化された複合材料に対し、低コスト且つ高精度な検査を実現することが求められている。
特許文献1に記載の非破壊検査における複合材料の選別作業は、得られた画像の目視検査に頼っている。このため、複合材料の状態を詳細に把握することは難しい。特に、画像を目視して行う合否判定では、客観的な評価基準を設けるのが難しく、何をもって材料の合否基準を算出するのかが定まりにくい。
また、特許文献2、3に記載の食品検査システムは、人間が硬骨の位置を探すための装置であり、複合材料の検査を行う技術とは異なる。この食品検査システムは、あくまで画像や測定対象物の良否を人間が見れば判断できるものを、ニューラルネットワークに代替させているに過ぎない。
本発明は、機械物性を測定することなく、複合材料の機械物性を推測して複合材料の評価に役立てることのできる複合材料の検査装置、検査方法、及び検査プログラムを提供することを目的とする。
上記目的は以下の各態様によって解決できる。
本発明の一態様の検査装置は、機械物性情報及び非破壊検査情報が既知の、繊維強化された第一複合材料の当該機械物性情報及び当該非破壊検査情報に基づく機械学習によって生成された機械物性推測モデルであって、
機械物性情報が未知の、繊維強化された第二複合材料の非破壊検査情報を入力として前記第二複合材料の機械物性情報を推測する機械物性推測モデルを記憶する、モデル記憶部にアクセス可能なプロセッサを備え、
前記プロセッサは、前記第二複合材料の非破壊検査情報を取得し、当該非破壊検査情報を前記機械物性推測モデルに入力して、前記機械物性推測モデルから当該第二複合材料の機械物性情報を取得し、当該機械物性情報に基づく出力を行うものである。
本発明の一態様の検査方法は、機械物性情報及び非破壊検査情報が既知の、繊維強化された第一複合材料の当該機械物性情報及び当該非破壊検査情報を機械学習させることで、機械物性情報が未知の、繊維強化された第二複合材料の非破壊検査情報を入力として前記第二複合材料の機械物性情報を推測する機械物性推測モデルを生成するステップと、前記第二複合材料の非破壊検査情報を取得するステップと、前記取得した前記非破壊検査情報を前記機械物性推測モデルに入力して、前記機械物性推測モデルから前記第二複合材料の機械物性情報を取得し、当該機械物性情報に基づく出力を行うステップと、を備えるものである。
本発明の一態様の検査プログラムは機械物性情報及び非破壊検査情報が既知の、繊維強化された第一複合材料の当該機械物性情報及び当該非破壊検査情報を機械学習させることで、機械物性情報が未知の、繊維強化された第二複合材料の非破壊検査情報を入力として前記第二複合材料の機械物性情報を推測する機械物性推測モデルを生成するステップと、前記第二複合材料の非破壊検査情報を取得するステップと、前記取得した前記非破壊検査情報を前記機械物性推測モデルに入力して、前記機械物性推測モデルから前記第二複合材料の機械物性情報を取得し、当該機械物性情報に基づく出力を行うステップと、をプロセッサに実行させるものである。
本発明によれば、機械物性を測定することなく、非破壊検査情報のみによって複合材料の機械物性を推測して複合材料の評価に役立てることができる。本発明によれば、非破壊検査情報からでは人がどのように頑張っても推測することが出来ない機械物性情報を、高い精度にて瞬時に推測することができる。これにより、複合材料の生産における廃棄ロスを低減し、高品質な複合材料を低コストで提供できる。
検査システムの構成例を示す図。 学習処理のフローチャート。 3つの反応値を出力するニューラルネットワークの例を示す図。 ニューラルネットワークのユニット間の演算処理を示す図。 推測処理のフローチャート。 活性化関数にRBFを使ったときの識別曲面と反応値の分布。 活性化関数にシグモイド関数を使ったときの識別曲面と反応値の分布。 超音波探傷検査画像を示す模式図。
以下に、本発明の一実施形態である検査装置を含む検査システムについて説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
[検査システムの概略]
本実施形態の検査システムは、機械物性情報が未知の繊維強化された複合材料(第二複合材料)を被検査物とし、この第二複合材料の機械物性情報を、実測することなく、推測するものである。
複合材料の機械物性情報とは、複合材料の機械的な物性を示す情報であり、例えば、複合材料の強度などの破壊又は弾性に関する情報である。機械物性情報としては、引張強度又は曲げ強度などの破壊強度に関する情報や、破壊強度、圧縮強度、又はせん断強度等のそれぞれに関連する弾性率に関する情報が例示できる。
弾性率に関する情報は、弾性率(例えば引張弾性率又は曲げ弾性率)そのものであってもよいし、弾性率(例えば引張弾性率又は曲げ弾性率)をランク分けした場合のそのランク(以下、機械物性ランクと記載)であってもよい。弾性率に関する情報には、弾性率(又はそのランク)が不良品に該当することを示す情報、弾性率(又はそのランク)が良品に該当することを示す情報、弾性率(又はそのランク)が推測困難であったことを示す情報のいずれかが更に含まれるようにするとよい。
破壊強度に関する情報は、破壊強度(例えば引張強度、又は降伏強度)そのものであってもよいし、破壊強度(例えば引張強度又は降伏強度)をランク分けした場合のそのランク(以下、機械物性ランクと記載)であってもよい。破壊強度に関する情報には、破壊強度(又はそのランク)が不良品に該当することを示す情報、破壊強度(又はそのランク)が良品に該当することを示す情報、破壊強度(又はそのランク)が推測困難であったことを示す情報のいずれかが更に含まれるようにするとよい。
検査システムに含まれるコンピュータは、第二複合材料の非破壊検査情報を取得し、この非破壊検査情報を、事前に生成してモデル記憶部に記憶しておいた機械物性推測モデルに入力し、この機械物性推測モデルによって、その第二複合材料の機械物性情報の推測を行い、その推測結果に基づく出力を行う。出力方法としては、表示部に情報(例えば機械物性ランク、良品又は不良品であることの情報、推測困難であることの情報等)を表示する、スピーカから該情報をメッセージとして流す、プリンタに該情報を印刷させる、等が挙げられる。
非破壊検査情報とは、複合材料の内部の状態を放射線、赤外線、又は超音波等によって非破壊にて検査して得られる情報である。非破壊検査情報としては、振動又は音響を利用した検査の画像であっても良いし、数値データでも良い。画像の場合、例えば、放射線画像、赤外線画像、又は超音波画像等の画像が例示できる。なお、後述する実施形態の一つでは、超音波画像を例にして説明するが、本発明はこれに限定されない。
機械物性推測モデルは、機械物性情報及び非破壊検査情報のデータが既知の、繊維強化された複合材料(第一複合材料)、の当該データを機械学習(教師あり学習、又は教師無し学習のディープラーニングを含む)させることで生成された、非破壊検査情報を入力として機械物性情報を出力するモデルである。機械物性推測モデルは、例えばニューラルネットワーク又はサポートベクターマシン等が用いられる。
検査システムのコンピュータは、検査装置を構成する。このコンピュータは、プロセッサと、ハードディスク装置又はSSD(Solid State Drive)等の情報を記憶可能な装置からなる記憶部と、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)と、を備える。このプロセッサは、ROMに記憶された検査プログラムを実行することにより、被検査物の複合材料の非破壊検査情報の取得、取得した非破壊検査情報の機械物性推測モデルへの入力、機械物性推測モデルからの機械物性情報の取得、取得した機械物性情報に基づく出力、等の処理を行う。
複合材料の非破壊検査情報は、通常、複合材料の内部に欠陥、空隙、又は異物が存在しているか、存在している場合にはどの存在度合がどの程度であるか、といったことを判断するために用いられる。しかし、複合材料の内部に欠陥、空隙、又は異物が多く存在していても、欠陥、空隙、又は異物の分布状態によっては、機械物性が良好となっている場合もある。このような場合、非破壊検査情報を目視にて確認して、欠陥、空隙、又は異物が多いから不良品であると判断してしまうと、良品であったはずの複合材料を破棄することになってしまい、生産効率が下がることになる。一方、その逆もあり得る。つまり、非破壊検査情報を目視にて確認して、欠陥、空隙、又は異物が少ないから良品であると判断しても、機械物性は不良品に該当する状態となっている場合がある。
本発明者らは、上記の観点に基づき検証を行った結果、非破壊検査情報と機械物性情報には相関性があることを見出し、非破壊検査情報及び機械物性情報の多数の実測データを、ニューラルネットワーク又はサポートベクターマシン等のモデルに機械学習させることで、複合材料の非破壊検査情報から、高い確度で、その複合材料の機械物性情報を推測することに成功した。非破壊検査情報から機械物性情報を求めることは従来考えられていない。このため、非破壊検査情報を入力として機械物性情報を出力する機械学習モデルを構築することは、当業者にとって容易なことではなかった。
以下、検査システムの詳細例について説明する。なお、以下では、機械物性推測モデルがニューラルネットワークである例について説明する。
[強化繊維]
本発明に用いられる強化繊維の種類は、被検査物である複合材料a(機械物性情報が未知の第二複合材料)の用途等に応じて適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではない。強化繊維としては、無機繊維又は有機繊維のいずれであっても好適に用いることができる。
上記無機繊維としては、例えば、炭素繊維、活性炭繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、タングステンカーバイド繊維、シリコンカーバイド繊維(炭化ケイ素繊維)、セラミックス繊維、アルミナ繊維、天然鉱物繊維(玄武岩繊維など)、ボロン繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ホウ素繊維、及び金属繊維等を挙げることができる。
[炭素繊維]
繊維として炭素繊維を用いる場合、炭素繊維としては、一般的にポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油・石炭ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、気相成長系炭素繊維などが知られているが、本発明においてはこれらのいずれの炭素繊維であっても好適に用いることができる。
[強化繊維の形態]
本発明において、強化繊維の形態に特に限定は無いが、以下、本発明者らが具体例として行った、連続繊維について説明する。ただし、本発明は連続繊維に限定されるものではない。
連続繊維とは、強化繊維を短繊維の状態に切断することなく、強化繊維束を連続した状態で引き揃えた強化繊維を意味する。力学特性に優れる複合材料aを得る目的からは、連続強化繊維を用いることが好ましい。より具体的には、連続繊維とは好ましくは長さが1m以上の繊維のことで、織物や編み物等の織布に加工した後樹脂をハンドレイアップなどで含浸させて用いたり、連続繊維に未硬化の樹脂を含浸させたプリプレグとして用いられたりする。
[複合材料a]
複合材料aは、強化繊維で強化されたものである。以下、本発明らが行った実施態様の一例を説明するが、本発明は下記に記載の複合材料aに限定されない。
1.成形体
複合材料aは、成形後の成形体であることが好ましく、熱可塑性樹脂を用いた成形体であっても良いし、熱硬化性のプリプレグを用いた成形体であっても良い。プリプレグとは、連続した炭素繊維を一方向に並べシート状にしたものや炭素繊維織物などの炭素繊維から成る基材に熱硬化性樹脂を含浸させたもの、または熱硬化性樹脂の一部を含浸させ、残りの部分を少なくとも片方の表面に配置した成形中間材料である。
2.一方向性材料
複合材料aは、一方向性材料であることが好ましい。一方向性材料とは、長さ100mm以上の連続した強化繊維が複合材料aの内部に一方向にそろえて配置されているものをいう。一方向材料としては、複数の連続強化繊維を積層したものであっても良い。特に、複合材料aが一方向性材料であって、熱硬化性のプリプレグを用いた成形体である場合、繊維配向による機械物性への影響が少ない。このため、後述のモデルによる機械物性情報の推測の精度を高めることができる。
[好ましい複合材料]
前記複合材料は必須成分として強化繊維とマトリクス樹脂とを含み、任意成分としてその他の成分を含み、下記式(A)(B)で求められる複合材料の空孔率Vrが10%以下である。
Vr=(t2-t1)/t2×100 ・・・ 式(A)
t1=(Wf/Df+Wm/Dm+Wz/Dz)÷単位面積(mm) ・・・ 式(B)
t1:複合材料の理論厚み mm
t2:複合材料の実測厚み mm
Df:強化繊維の密度(mg/mm
Dm:マトリクス樹脂の密度(mg/mm
Dz:その他の成分の密度 (mg/mm
Wf:強化繊維の質量割合(%)
Wm:マトリクス樹脂の質量割合(%)
Wz:その他の成分の質量割合(%)
空孔率Vrは5%以下がより好ましく、3%以下が更に好ましい。空孔率が当該範囲内であれば、本発明の機械物性予測の精度が向上する。
[複合材料aの製造]
例えば、複合材料aは以下のように準備できる。
1.材料
・強化繊維:炭素繊維“テナックス(登録商標)”STS40-24K(引張強度4,300MPa、引張弾性率240GPa、フィラメント数24,000本、繊度1,600tex、伸度1.8%、密度1.78g/cm、帝人(株)製)
・母材樹脂:エポキシ樹脂を主成分とした熱硬化性樹脂組成物
2.一方向プリプレグの作成
一方向プリプレグは次のようにホットメルト法により作製した。まず初めに、コーターを用いて上記熱硬化性樹脂組成物を離型紙上に塗布し、樹脂フィルムを作製した。次に、クリールから上記炭素繊維束を送り出し、コームに通過させ、炭素繊維束間のピッチを揃えた後、開繊バーを通して拡幅し、単位面積あたりの繊維目付が100g/mのシート状となるように一方向に整列させた。その後、上記樹脂フィルムを炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧して熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、ワインダーで巻き取り、一方向プリプレグを作製した。得られた一方向プリプレグの樹脂含有率は30wt.%とした。
3.複合材料aの作成
一方向プリプレグを人手により0°方向に11枚積層し、積層構成[011]のプリプレグ積層体を得た。上記プリプレグ積層体をバッグフィルム内に入れ、これをオートクレーブ内で昇温し、130℃にて120分間加熱し、硬化させて厚さ1mmのCFRP成形体(一方向炭素繊維強化熱硬化性樹脂複合材料である、複合材料a)を作製した。
[引張弾性率、引張強度の測定]
本発明の破壊強度、又は弾性率の具体例として、本発明者らは次に述べるように複合材料aの引張弾性率と引張強度を測定した。
上記CFRP成形体をウォータージェットにより試験片形状(長さ250mm×幅15mm)に加工し、ガラス繊維強化樹脂基複合材料製のタブを接着した。ASTM D3039法に準拠し、万能試験機を用いて、試験速度2mm/minの条件にて0°方向引張試験を行い、CFRP成形体(複合材料a)の引張弾性率および引張強度を算出した。
[非破壊検査情報]
非破壊検査情報の生成に用いられる非破壊検査の方法に特に限定は無く、複合材料aの内部欠陥、空隙、又は異物を、複合材料aを破壊することなく検出する検査方法であればよい。非破壊検査には、放射線、超音波、又は赤外線等が用いられる。非破壊検査情報は、検査データを画像に変換したものが好ましく用いられ、変換後の画像が超音波探傷検査画像であることが特に好ましい。また、振動又は音響を利用した検査の画像であっても良い。検査データを画像化する手法は特に制限されない。多くの場合、超音波検査装置を購入すると、データ処理用コンピュータ端末とともに画像化ソフトウェアも提供される。
[超音波探傷検査画像]
一般的に、材料の非破壊検査方法として代表的なものとして、超音波を用いる検査方法が挙げられる。被検査物である複合材料aの両側に一定の距離を隔てて指向性を有する超音波送波器と受波器を対向させ、一方の送波器からパルス変調した超音波を発射し、その対向した受波器で超音波を受け、信号処理回路により超音波の伝播時間(エコー強度)を測定する。被検査物である複合材料aに空隙や異物が含まれている場合には、この伝播時間が変化する。このため、複合材料aの内部状態を超音波によって非接触で検出することが出来る。
次に、非破壊検査情報としての超音波探傷検査画像の取得方法の具体例について述べる。ここでは、複合材料aとしてのCFRP成形体を超音波探傷装置(SDS-3600:日本クラウトクレイマー社製)を用いて測定し、CFRP成形体の内部欠陥を評価した超音波探傷検査画像を得る。
より詳細には、被検査物である複合材料aを、超音波探触子を配置した後、周波数600kHzの超音波を用いて超音波検査を行う。送信用探触子は被検査物の上側表面から垂直距離で30mm、受信用探触子は被検査物の下側表面から垂直距離30mmそれぞれ離し、送信用探触子の軸部から鉛直方向に受信用探触子の軸部が来るように両探触子を配置する。
受信用探触子にて受信された超音波から変換された電気信号の画像化には、超音波探触子におけるある深さの受信エコー強度を輝度変調して、被検査物上における位置(2次元)を直角座標として表示したCスキャンを用いた。得られたCスキャン画像では、超音波の伝播挙動の違いが色彩や濃淡の違いにより示される。
具体的に得られたCスキャン画像を図8に示す。なお、図8に示したCスキャン画像は、超音波の伝播挙動、エコー強度に応じて色を変えることができるが、以下で述べる学習に用いる画像と、被検査物の機械物性情報の推測に用いる画像は、全て同じ条件で画像を取得するものとする。
[検査システム]
以下では、ニューラルネットワークの入力層へ入力可能な形式に変換されたデータを入力データと記載する。検査システムでは、複合材料aのサンプル(以下、複合材料サンプルbと記載)の非破壊検査情報(以下、非破壊検査情報サンプルと記載)と、複合材料サンプルbから実測して得た機械物性情報(以下、機械物性情報サンプルと記載)と、を取得して第2入力データとし、この第2入力データを使ってニューラルネットワークの学習を行う。ニューラルネットワークの学習が完了したら、複合材料aの非破壊検査情報を第1入力データとしてニューラルネットワークに入力し、ニューラルネットワークからの出力層における反応値に基づき、複合材料aの機械物性情報を推測する。推測された機械物性情報に基づき、複合材料aの良品と不良品の仕分けを行ってもよい。
検査システムは効果的な学習や高い精度の推測を行うため、学習処理と推測処理に最適化された非破壊検査情報(好ましくは超音波探傷画像)を使うことができる。例えば、超音波探傷画像の検出が容易になるよう、超音波探傷画像に各種画像処理を行ってもよい。
[検査装置]
検査装置1は、画像処理、入力データの生成、ニューラルネットワークの学習、ニューラルネットワークを使った機械物性情報の推測などを行う。検査装置1は、CPU(Central Processing Unit)等で構成された1つ又は複数のプロセッサと、記憶部と、通信部を備え、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションが動作する計算機などの情報処理装置である。検査装置1は、物理的な計算機であってもよいし、仮想計算機(Virtual Machine:VM)、コンテナ(container)またはこれらの組み合わせにより実現されるものであってもよい。プロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
検査装置1は、非破壊検査情報と非破壊検査情報サンプルを記憶する画像記憶部11と、非破壊検査情報と非破壊検査情報サンプルを処理する処理部12と、入力データ生成部13と、学習データ記憶部14と、学習部15と、モデル記憶部16と、推測部17と、表示部18と、操作部19とを備えている。処理部12、入力データ生成部13、学習部15、及び推測部17は、それぞれ、検査装置1のプロセッサがプログラムを実行することで実現される機能ブロックである。このプログラムには、複合材料の検査プログラムが含まれる。
画像記憶部11は、好ましくは超音波探傷画像を保存する記憶領域である。画像記憶部11は、SRAM、DRAMなどの揮発性メモリでも、NAND、MRAM、FRAM(登録商標)などの不揮発性メモリでもよい。
処理部12は、好ましくは超音波探傷画像に対して画像処理を行い、画像処理が行われた後の画像を画像記憶部11に保存する。画像処理の例としては、画像中のピクセルにおける赤、緑、青(RGB)の各色の輝度をそれぞれ抽出した画像の生成、各ピクセルにおける赤(R)の輝度から緑(G)の輝度を減算した画像の生成、HSV色空間への変換後、赤の成分のみを抽出した画像の生成などが挙げられるが、他の種類の画像処理を行ってもよい。
処理部12は、他に画像の拡大、縮小、切り取り、ノイズ除去、回転、反転、色深度の変更、コントラスト調整、明るさ調整、シャープネスの調整、色補正などを行ってもよい。
入力データ生成部13は、画像記憶部11に記憶された非破壊検査情報又は非破壊検査情報サンプルから、ニューラルネットワークの入力層に入力される、入力データを生成する。例えば、超音波探傷画像を用いて後述の学習を行う場合には、超音波探傷画像から所望の部位を切り取り、あるいは余分な部位を除去して第2入力データとするのが好ましい。
検査装置1が学習処理を実行している場合、入力データ生成部13は入力データを学習データ記憶部14に保存する。検査装置1が複合材料aの検査を行っている場合、入力データは推測部17に転送される。
なお、学習処理を行う際、入力データ生成部13は、例えば、外部の装置やシステムによって撮影された画像(非破壊検査情報サンプル)を使って入力データを生成してもよい。
学習データ記憶部14は、ニューラルネットワークの学習に用いられる複数の入力データを保存する記憶領域である。学習データ記憶部14に保存された入力データは、学習部15の学習データとして用いられる。学習データとして使われる入力データ(第2入力データ)には、その入力データの取得元である複合材料サンプルbから測定して得られた機械物性情報サンプルが対応付けて記憶される。この機械物性情報サンプルは、複合材料サンプルbの機械物性ランクと機械物性値(例えば弾性率)の少なくとも一方に加えて、機械物性値が良品に相当することを示す情報、機械物性値が不良品に相当することを示す情報、機械物性値の推測が困難であることを示す情報、等が含まれているとよい。
例えば、複合材料サンプルbから得た第2入力データへの機械物性情報サンプルの対応付け(以下、この対応付けをラベル付けとも記載する)は、その複合材料サンプルbの機械物性値(例えば弾性率)を、ユーザが操作部19を操作することによって、直接入力することができる。入力後、検査装置1は、機械物性値を機械物性ランクに区分けする。例えば、引張弾性率を以下の機械物性ランクに分けることができる。
機械物性ランク1:複合材料の引張弾性率が30GPa以上
機械物性ランク2:複合材料の引張弾性率が25~30GPa
機械物性ランク3:複合材料の引張弾性率が25GPa以下
この機械物性ランクは、上記のような5GPaごとではなく、3GPaや、1GPa単位で機械物性ランクを出力しても良い。なお、複合材料サンプルbから得た第2入力データに対応する機械物性情報サンプルが既知なのであれば、プログラムやスクリプトなどによって、ユーザ操作ではなく、自動的に機械物性ランクのラベル付けを行ってもよい。機械物性ランクのラベル付けは、複合材料サンプルbから得た非破壊検査情報サンプルの第2入力データへの変換前に行ってもよいし、第2入力データへの変換後に行ってもよい。
学習部15は、学習データ記憶部14に保存された入力データ(第2入力データ)を使い、ニューラルネットワークの学習を行う。学習部15は、学習したニューラルネットワークをモデル記憶部16に保存する。学習部15は、例えば入力層と、隠れ層と、出力層の3層のニューラルネットワークを学習することができる。3層のニューラルネットワークを学習することにより、複合材料aの検査時におけるリアルタイムの応答性能を確保することができる。入力層、隠れ層、出力層のそれぞれに含まれるユニット数については特に限定しない。各層に含まれるユニット数は、求められる応答性能、推測対象、識別性能などに基づいて決定することができる。
なお、3層のニューラルネットワークは一例であり、これより層の数が多い多層のニューラルネットワークを用いることを妨げるものではない。多層のニューラルネットワークを用いる場合、畳み込みニューラルネットワークなど各種のニューラルネットワークを使うことができる。
モデル記憶部16は、学習部15により学習されたニューラルネットワークを保存する、記憶領域である。モデル記憶部16には、検査対象とする複合材料aの種類に応じて複数のニューラルネットワークを保存してもよい。モデル記憶部16は推測部17より参照可能に設定されているため、推測部17はモデル記憶部16に保存されているニューラルネットワークを使って複合材料aの検査(機械物性情報の推測)を行うことができる。モデル記憶部16は、RAM、DRAMなどの揮発性メモリでも、NAND、MRAM、FRAM(登録商標)などの不揮発性メモリでもよい。なお、モデル記憶部16は、検査装置1のプロセッサがアクセス可能な場所にあればよく、検査装置1に内蔵されたものでなくてもよい。例えば、モデル記憶部16は、検査装置1に外付けされたストレージであってもよいし、検査装置1からアクセス可能なネットワークに接続されているネットワークストレージであってもよい。
推測部17は、モデル記憶部16に保存されたニューラルネットワークを使って、複合材料aの機械物性情報の推測を行う。推測部17は、出力層のユニットから出力される反応値に基づいて複合材料aの機械物性ランクを推測する。出力層のユニットの例としては、機械物性ランク1のユニット、機械物性ランク2のユニット、機械物性ランク3のユニット、推測困難のユニットなどがあるが、その他の種類のユニットを用意してもよい。例えば、推測された機械物性ランクが低いものには、異物などが多く混入している可能性がある。複数のユニットの反応値の差や比を使って複合材料aの機械物性ランクを推測してもよい。
表示部18は、画像やテキストを表示するディスプレイである。表示部18には、撮影された画像や画像処理後の画像、推測部17による推測結果を表示してもよい。
操作部19は、利用者による検査装置1の操作手段を提供する装置である。操作部19は、例えば、キーボード、マウス、ボタン、スイッチ、音声認識装置などであるが、これに限られない。
[学習処理]
検査装置1による複合材料aの機械物性ランクの推測を行う前に、複合材料aと同一種類の複合材料サンプルbの非破壊検査情報サンプル及び機械物性情報サンプルを使って、ニューラルネットワークの学習を行う必要がある。図2は、学習処理のフローチャートである。
まず、検査装置1のプロセッサは、複数の複合材料サンプルbの各々の非破壊情報サンプルを取得する(ステップS201)。ここでの非破壊検査情報サンプルには、機械物性ランクの高いものや低いものが含まれるようにする。ニューラルネットワークの出力層に推測困難の反応値を出力するユニットを設ける場合には、機械物性情報が推測困難な非破壊検査情報サンプルを用意してもよい。推測困難な非破壊検査情報サンプルの例としては、非破壊検査情報サンプルが画像の場合、複合材料サンプルbが充分に写っていない画像、照明や露光による明るさ調整が不適切で複合材料サンプルbが鮮明に写っていない画像などが挙げられる。
検査装置1のプロセッサは、取得した各非破壊検査情報サンプルから第2入力データを生成する(ステップS201)。次に、検査装置1のプロセッサは、この複数の複合材料サンプルbの各々の機械物性情報サンプルを取得し、取得した機械物性情報サンプルを、各第2入力データに対応付けて記憶する(ステップS203)。
なお、ステップS203は、ステップS202の前に行ってもよい。この場合、各非破壊検査情報サンプルが第2入力データに変換された後も、当該非破壊検査情報サンプルに対応付けられた機械物性情報サンプルは、その第2入力データに引き継がれるものとすればよい。
次に、検査装置1のプロセッサは、第2入力データに基づき、ニューラルネットワークによる学習を開始させる(ステップS204)。
図3は、3つの反応値を出力するニューラルネットワークの例を示している。図3のニューラルネットワーク301は入力層302、隠れ層303、出力層304の3層を有するニューラルネットワークである。出力層304は機械物性ランクを推測するユニット311、312、313を含む。ユニット311、312、313は図3では3個であるが、機械物性のランクに応じて適宜増減することができる。
ニューラルネットワークでは、入力層に入力された値が、隠れ層、出力層と伝播され、出力層の反応値が得られる。ステップS204では、第2入力データをニューラルネットワークに入力した場合に、この第2入力データに対応付けられた機械物性情報サンプル又はこれに近い情報が高い確率でニューラルネットワークから出力されるように、隠れ層303の数、入力層302及び隠れ層303の各々に含まれるユニット数、入力層302及び隠れ層303の各々に含まれるユニット間の結合係数等の、ニューラルネットワークの各パラメータや構造が調整される。このようにして、機械物性推測モデルが生成されて、モデル記憶部16に記憶される。
図4はニューラルネットワークのユニット間の演算処理を示している。図4には、第m-1層のユニットと、第m層のユニットが示されている。説明のため、図4にはニューラルネットワークの一部のユニットのみが示されているものとする。第m-1層におけるユニット番号はk=1、2、3・・・である。第m層におけるユニット番号はj=1、2、3・・・である。
第m-1層のユニット番号kの反応値をa m-1とすると、第m層のユニット番号jの反応値a は、下記の式(2)を使って求められる。
Figure 2023120457000002
ここで、Wjk は重みであり、ユニット間の結合の強さを示している。b はバイアスである。f(・・・)は活性化関数である。式(2)より、第m層における任意のユニットの反応値は、第m-1層にあるすべてのユニット(k=1、2、3・・・)の反応値を重み付け加算し、活性化関数の変数として入力したときの出力値であることがわかる。
次に活性化関数の例について説明する。下記の式(3)は正規分布関数である。
Figure 2023120457000003
ここで、μは平均値であり、正規分布関数が描く釣鐘状のピークの中心位置を示している。σは標準偏差でありピークの幅を示している。式(3)の値は、ピークの中心からの距離のみに依存するため、ガウス関数(正規分布関数)は放射基底関数(radial basis function:RBF)の一種であるといえる。ガウス関数(正規分布関数)は一例であり、これ以外のRBFを使ってもよい。
下記の式(4)はシグモイド関数である。シグモイド関数はx→∞の極限で1.0に漸近する。また、x→-∞の極限で0.0に漸近する。すなわち、シグモイド関数は(0.0,1.0)の範囲の値をとる。
Figure 2023120457000004
なお、活性化関数としてガウス関数やシグモイド関数以外の関数を用いることを妨げるものではない。例えば、本発明者らは、畳み込み層ではRelu、出力層ではsoftmaxを用いた。
ニューラルネットワークの学習は、入力データを入力層に入力したら、正しい出力が得られるよう、ユニット間の結合の強さである重みWjkの調整を行う。ニューラルネットワークにおいてある機械物性ランクをラベル付けされた入力データを入力したときに期待される、正しい出力(出力層のユニットの反応値)は教師信号ともよばれる。
例えば、機械物性ランクが311とラベル付けした入力データを、ニューラルネットワーク301に入力したら、教師信号ではユニット311の反応値が1、ユニット312の反応値が0、ユニット313の反応値が0となる。機械物性ランクが312とラベル付けされた入力データをニューラルネットワーク301に入力したら、教師信号ではユニット311の反応値が0、ユニット312の反応値が1、ユニット313の反応値が0となる。
例えば、重みWjkの調整はバックプロパゲーション法(誤差逆伝播法:Back Propagation Method)を使って実行することができる。バックプロパゲーション法では、ニューラルネットワーク310の出力と教師信号のずれが小さくなるよう、出力層側から順番に、重みWjkを調整する。下記の式(5)は改良型バックプロパゲーション法を示している。
Figure 2023120457000005
なお、活性化関数としてガウス関数を用いた場合には重みWjkだけでなく、式(3)のσとμも、改良型バックプロパゲーション法におけるパラメータとして調整対象とする。パラメータσ、μの値を調整することにより、ニューラルネットワークの学習収束を補助する。下記の式(6)はパラメータσについて行われる値の調整処理を示している。
Figure 2023120457000006
下記の式(7)はパラメータμについて行われる値の調整処理を示している。
Figure 2023120457000007
ここで、tは学習回数、ηは学習定数、δは一般化誤差、Oはユニット番号jの反応値、αは感性定数、βは振動定数である。ΔWjk、Δσjk、Δμjkは重みWjk、σ、μのそれぞれの修正量を示す。
ここでは、改良型バックプロパゲーション法を例に重みWjkやパラメータの調整処理を説明したが、代わりに一般のパックプロパゲーション法を使ってもよい。以降で単にバックプロパゲーション法と述べた場合、改良型バックプロパゲーション法を一般のバックプロパゲーション法の双方を含むものとする。
パックプロパゲーション法による重みWjkやパラメータの調整回数は一回でもよいし、複数回でもよく、特に限定しない。一般に、テストデータを使ったときの機械物性ランクの推測精度に基づいてバックプロパゲーション法による重みWjkやパラメータの調整の繰り返しを行うのか否かを判断することができる。重みWjkやパラメータの調整を繰り返すと、機械物性ランクの推測精度が向上する場合がある。
上述の方法を使うことにより、ステップS204においうて、重みWjk、パラメータσ、μの値を決定することができる。重みWjk、パラメータσ、μの値が決まると、ニューラルネットワークを使った推測処理を行うことが可能となる。
図5は、複合材料の検査プログラムにしたがって動作する検査装置1による機械物性情報の推測動作を説明するためのフローチャートである。検査装置1のプロセッサは、複合材料aの非破壊検査情報を取得する(好ましくは超音波探傷検査画像を撮影する)(ステップS501)。超音波探傷画像を非破壊検査情報とする場合、ステップS501とステップS502との間に、超音波探傷画像に対し画像処理をするステップがあっても良い。
次に、検査装置1のプロセッサは、非破壊検査情報から第1入力データを生成する(ステップS502)。第1入力データはニューラルネットワークの入力層のユニット数に等しいN個の要素を有し、ニューラルネットワークへ入力可能な形式となっている。
次に、検査装置1のプロセッサは、第1入力データをニューラルネットワークへ入力する(ステップS503)。第1入力データは入力層、隠れ層、出力層の順番に伝達される。検査装置1のプロセッサは、ニューラルネットワークの出力層における反応値に基づき、機械物性ランクの推測を行う(ステップS504)。
ニューラルネットワークを使った推測処理は、第1入力データの識別空間内における位置を見つける処理と等価である。図6は、活性化関数にガウス関数を使ったときの識別空間の例を示している。活性化関数にガウス関数などのRBFを使うと、識別空間を機械物性のランクごとの領域に分ける識別曲面が閉曲面になる。また、機械物性ランクのそれぞれのカテゴリについて、高さ方向の指標を追加することにより、識別空間において各カテゴリに係る領域を局所化することができる。
図7は、活性化関数にシグモイド関数を使ったときの識別空間の例を示している。活性化関数がシグモイド関数である場合、識別曲面は開曲面となる。なお、上述のニューラルネットワークの学習処理は、識別空間で識別曲面を学習する処理にあたる。図6、図7における領域には機械物性ランク311と機械物性ランク312のみ示しているが、3個以上の複数の機械物性ランクの分布があっても良い。
以上のように、本実施形態の検査システムを用いれば、複合材料aの非破壊検査情報(好ましくは超音波探傷画像)から、その複合材料aの機械物性情報を推測できる。特許文献2(国際公開第2019/151393号)や特許文献3(国際公開第2019/151394号)に記載の発明では、あくまで画像や測定対象物を人間が見れば判断できるものを、ニューラルネットワークに代替させているに過ぎない。つまり、これら発明では、検査対象が写真撮影された食品であるため、その食品における異物などの有無を人間が容易に判断できる。
一方、機械物性情報は、数値又はこれに準じたランク等であり、非破壊検査情報(好ましくは超音波探傷画像)は、複合材料の内部の状態を可視化又は数値化したものである。つまり、非破壊検査情報を熟練工が見ても、ここから機械物性情報を推測することはできない。例えば、人間がいくら頑張っても、図8(a)~(d)の超音波探傷画像から、機械物性情報を推測できないことは明らかである。本実施形態の検査装置1を利用すれば、熟練工がどのように頑張っても推測することが出来ない機械物性情報を、実測することなく、瞬時に推測することができる。
11:画像記憶部
12:処理部
13:入力データ生成部
14:学習データ記憶部
15:学習部
16:モデル記憶部
17:推測部
18:表示部
19:操作部
301:ニューラルネットワーク
302:入力層
303:隠れ層
304:出力層
311、312、313 ユニット

Claims (10)

  1. 機械物性情報及び非破壊検査情報が既知の、繊維強化された第一複合材料の当該機械物性情報及び当該非破壊検査情報に基づく機械学習によって生成された機械物性推測モデルであって、
    機械物性情報が未知の、繊維強化された第二複合材料の非破壊検査情報を入力として前記第二複合材料の機械物性情報を推測する機械物性推測モデルを記憶する、モデル記憶部にアクセス可能なプロセッサを備え、
    前記プロセッサは、前記第二複合材料の非破壊検査情報を取得し、当該非破壊検査情報を前記機械物性推測モデルに入力して、前記機械物性推測モデルから当該第二複合材料の機械物性情報を取得し、当該機械物性情報に基づく出力を行う複合材料の検査装置。
  2. 請求項1記載の検査装置であって、
    前記非破壊検査情報は、画像又は数値データである検査装置。
  3. 請求項1又は2記載の検査装置であって、
    前記機械物性情報は、複合材料の弾性率、又は破壊強度に関する情報である検査装置。
  4. 請求項3記載の検査装置であって、
    前記弾性率に関する情報は、弾性率、又は弾性率をランク分けした場合のランクを含み、
    前記破壊強度に関する情報は、破壊強度、又は破壊強度をランク分けした場合のランクを含む検査装置。
  5. 請求項4記載の検査装置であって、
    前記弾性率、又は破壊強度に関する情報は、前記弾性率、又は破壊強度が推測困難であることを示す情報、前記弾性率、又は破壊強度が不良品に相当することを示す情報、及び、前記弾性率、又は破壊強度が良品に相当することを示す情報の少なくとも1つを含む検査装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項記載の検査装置であって、
    前記繊維が炭素繊維である検査装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項記載の検査装置であって、
    前記第一複合材料及び前記第二複合材料は、それぞれ、熱硬化性のプリプレグを用いた成形体である検査装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項記載の検査装置であって、
    前記第一複合材料及び前記第二複合材料は、それぞれ、一方向性材料である検査装置。
  9. 機械物性情報及び非破壊検査情報が既知の、繊維強化された第一複合材料の当該機械物性情報及び当該非破壊検査情報を機械学習させることで、機械物性情報が未知の、繊維強化された第二複合材料の非破壊検査情報を入力として前記第二複合材料の機械物性情報を推測する機械物性推測モデルを生成するステップと、
    前記第二複合材料の非破壊検査情報を取得するステップと、
    前記取得した前記非破壊検査情報を前記機械物性推測モデルに入力して、前記機械物性推測モデルから前記第二複合材料の機械物性情報を取得し、当該機械物性情報に基づく出力を行うステップと、を備える複合材料の検査方法。
  10. 機械物性情報及び非破壊検査情報が既知の、繊維強化された第一複合材料の当該機械物性情報及び当該非破壊検査情報を機械学習させることで、機械物性情報が未知の、繊維強化された第二複合材料の非破壊検査情報を入力として前記第二複合材料の機械物性情報を推測する機械物性推測モデルを生成するステップと、
    前記第二複合材料の非破壊検査情報を取得するステップと、
    前記取得した前記非破壊検査情報を前記機械物性推測モデルに入力して、前記機械物性推測モデルから前記第二複合材料の機械物性情報を取得し、当該機械物性情報に基づく出力を行うステップと、をプロセッサに実行させる複合材料の検査プログラム。
JP2020118106A 2020-07-08 2020-07-08 複合材料の検査装置、複合材料の検査方法、複合材料の検査プログラム Pending JP2023120457A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020118106A JP2023120457A (ja) 2020-07-08 2020-07-08 複合材料の検査装置、複合材料の検査方法、複合材料の検査プログラム
PCT/JP2021/022001 WO2022009596A1 (ja) 2020-07-08 2021-06-09 複合材料の検査装置、複合材料の検査方法、複合材料の検査プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020118106A JP2023120457A (ja) 2020-07-08 2020-07-08 複合材料の検査装置、複合材料の検査方法、複合材料の検査プログラム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023120457A true JP2023120457A (ja) 2023-08-30

Family

ID=79552465

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020118106A Pending JP2023120457A (ja) 2020-07-08 2020-07-08 複合材料の検査装置、複合材料の検査方法、複合材料の検査プログラム

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2023120457A (ja)
WO (1) WO2022009596A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116958739B (zh) * 2023-06-25 2024-06-21 南京矩视科技有限公司 一种基于注意力机制的碳纤维丝道实时动态编号方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6692380B2 (ja) * 2018-03-09 2020-05-13 帝人株式会社 超音波を用いる検査方法
US11225039B2 (en) * 2018-06-08 2022-01-18 Aurora Flight Sciences Corporation Systems and methods to automate composite manufacturing quality checks
US20200023537A1 (en) * 2018-07-20 2020-01-23 Aurora Flight Sciences Corporation Composite manufacturing system and method
EP3853598A4 (en) * 2018-09-18 2022-04-13 The University of British Columbia ULTRASOUND ANALYSIS OF A SUBJECT

Also Published As

Publication number Publication date
WO2022009596A1 (ja) 2022-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Caminero et al. Internal damage evaluation of composite structures using phased array ultrasonic technique: Impact damage assessment in CFRP and 3D printed reinforced composites
Oz et al. Multi-instrument in-situ damage monitoring in quasi-isotropic CFRP laminates under tension
Godin et al. Clustering of acoustic emission signals collected during tensile tests on unidirectional glass/polyester composite using supervised and unsupervised classifiers
Crivelli et al. Localisation and identification of fatigue matrix cracking and delamination in a carbon fibre panel by acoustic emission
Sayar et al. Clustering effect on damage mechanisms in open-hole laminated carbon/epoxy composite under constant tensile loading rate, using acoustic emission
Wildemann et al. Research of the damage and failure processes of composite materials based on acoustic emission monitoring and method of digital image correlation
US9042516B2 (en) Nondestructive examination of structures having embedded particles
JP7358648B2 (ja) 成形体領域の検査プログラム、成形体領域の検査方法、成形体領域の検査装置
Al-Jumaili et al. Characterisation of fatigue damage in composites using an Acoustic Emission Parameter Correction Technique
Godin et al. Influence of hydrolytic ageing on the acoustic emission signatures of damage mechanisms occurring during tensile tests on a polyester composite: Application of a Kohonen’s map
WO2022009596A1 (ja) 複合材料の検査装置、複合材料の検査方法、複合材料の検査プログラム
Caminero et al. Using digital image correlation techniques for damage detection on adhesively bonded composite repairs
Liu et al. Cluster-based acoustic emission signal processing and loading rate effects study of nanoindentation on thin film stack structures
Chen et al. Ultrasonic signal classification and porosity testing for CFRP materials via artificial neural network
Liu et al. Cross-scale data-based damage identification of CFRP laminates using acoustic emission and deep learning
Samanta et al. Application of ANN in identifying defects in impacted composite
WO2023120257A1 (ja) 複合材料の検査装置、複合材料の検査方法、複合材料の検査プログラムおよび記録媒体
Lee et al. De-bonding detection on a CFRP laminated concrete beam using self sensing-based multi-scale actuated sensing with statistical pattern recognition
Oliver et al. Wavelet transform-based damage identification in laminated composite beams based on modal and strain data
WO2023120256A1 (ja) 成形体領域の検査プログラム、成形体領域の検査方法、成形体領域の検査装置および記録媒体
Liv A contribution to the understanding of compression after impact of composite laminates
Han et al. Non-destructive testing and structural health monitoring technologies for carbon fiber reinforced polymers: a review
Gao et al. Damage extension diagnosis method for typical structures of composite aircraft based on lamb waves
Diakhate et al. Cracking and durability of composites in a marine environment
Staroverov et al. Influence of Proportional Multiaxial Fatigue Loading on the Residual Mechanical Properties of Glass-Reinforced Plastic Pipes