JP2023118116A - 結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子、結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体及びその製造方法 - Google Patents

結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子、結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体及びその製造方法 Download PDF

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Takumi Sakamura
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Abstract

【課題】養生工程を省略しても、所望の形状を有し、外観及び剛性に優れた発泡粒子成形体を得ることができる結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子、この発泡粒子からなる結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体及びその製造方法を提供する。【解決手段】発泡粒子1は結晶性熱可塑性樹脂を基材樹脂とする発泡層2を有する。発泡粒子1の嵩倍率が15~90倍であり、独立気泡率が90%以上である。発泡粒子1が、貫通孔を有さない柱状形状を有するとともに、その側周面に少なくとも1つの溝3を有している。発泡粒子1の所定の切断面における平均断面積Aと溝1つ当たりの平均断面積Caとの比Ca/Aが0.01~0.20であり、平均断面積Aと溝の合計断面積Ctとの比Ct/Aが0.02~0.20であり、発泡粒子1の平均外径Dが0.5~10mmであり、平均外径Dに対する発泡粒子1の平均長さLの比L/Dが0.5~1.5である。【選択図】図1

Description

本発明は、結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子、結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体及びその製造方法に関する。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、軽量で、緩衝性、剛性等に優れるため種々の用途に用いられている。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、例えば、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を成形型内に充填した後、成形型内にスチームを供給して加熱する、型内成形法と呼ばれる方法により製造される。型内成形法においては、成形型内にスチームを供給すると発泡粒子が二次発泡すると共にその表面が溶融する。これにより、成形型内の発泡粒子が相互に融着し、成形型のキャビティの形状に対応する形状を備えた成形体を得ることができる。成形直後の成形体は、二次発泡により膨らみやすいため、成形型内で水や空気等で冷却された後に成形型から離型される。
前述した成形体の製造過程において、成形型から離型した後の発泡粒子成形体を常温で保管すると、型内成形時に発泡粒子成形体の気泡内へ流入していたスチームが気泡中で凝縮し、気泡内が負圧となる。その結果、発泡粒子成形体に体積収縮が生じて成形体が大きく変形することがある。したがって、発泡粒子成形体を成形型から離型した後に、たとえば60℃から80℃程度の温度に調整された高温雰囲気下で所定時間静置させて発泡粒子成形体の形状を回復させる養生工程が行われている。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の型内成形において、養生工程は、設備投資が必要であることやその工程に手間を要するため、養生工程を省略して発泡粒子成形体の生産性を大幅に向上することが望まれている。そこで、たとえば、特許文献1には、発泡層と融着層とからなる発泡粒子を粒子間に空隙を維持したまま融着させる技術が開示されている。また、特許文献2には、融点、メルトフローインデックス、及びZ平均分子量等が特定の範囲に調整されたポリプロピレン系樹脂を用いた発泡粒子を型内成形する技術が開示されている。
特開2003-39565号公報 特開2000-129028号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、養生工程を省略できるものの、成形体の発泡粒子間に多数の空隙が形成されるため、発泡粒子成形体の外観が著しく悪く、その用途によっては剛性が不十分であった。特許文献2に記載された技術では、養生工程を短縮できるものの依然として養生工程が必要であり、養生工程を省略した場合には、発泡粒子成形体が著しく収縮、変形してしまい、所望形状を有する発泡粒子成形体を得ることが困難であった。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、養生工程を省略しても、所望の形状を有し、外観及び剛性に優れた発泡粒子成形体を得ることができる結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子、この発泡粒子からなる結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、以下の〔1〕~〔9〕に係る結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子にある。
〔1〕結晶性熱可塑性樹脂を基材樹脂とする発泡層を有し、嵩倍率が15倍以上90倍以下である型内成形用の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子であって、
前記発泡粒子の独立気泡率が90%以上であり、
前記発泡粒子が、貫通孔を有さない柱状形状を有するとともに、その側周面に少なくとも1つの溝を有しており、
前記発泡粒子を軸方向の中央において軸方向に垂直な面で切断して得られる切断面における、前記発泡粒子の平均断面積Aに対する前記溝1つ当たりの平均断面積Caの比Ca/Aが0.01以上0.20以下であり、前記発泡粒子の平均断面積Aに対する前記溝の合計断面積Ctの比Ct/Aが0.02以上0.20以下であり、前記発泡粒子の平均外径Dが0.5mm以上10mm以下であり、
前記発泡粒子の平均外径Dに対する前記発泡粒子の軸方向における平均長さLの比L/Dが0.5以上1.5以下である、結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
〔2〕前記発泡粒子の前記切断面における、前記溝1つ当たりの平均断面積Caが0.05mm2以上1.2mm2以下である、〔1〕に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
〔3〕前記発泡粒子の前記切断面における、前記発泡粒子の平均外径Dに対する前記溝1つ当たりの平均深さHの比H/Dが0.20以下である、〔1〕または〔2〕に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
〔4〕前記発泡粒子の平均外径Dを直径とする仮想真円の面積Bに対する、前記発泡層の平均断面積Aの比A/Bが0.55以上0.90以下である、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
〔5〕前記発泡粒子の嵩密度に対する見掛け密度の比が1.7以上1.9以下である、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
〔6〕前記発泡粒子の平均外径Dに対する前記発泡粒子の軸方向における平均長さLの比L/Dが0.7を超え1.3未満である、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
〔7〕前記発泡粒子が2本以上6本以下の溝を有している、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
〔8〕前記結晶性熱可塑性樹脂が0.5質量%以上3.5質量%以下のエチレン成分を含むエチレン-プロピレンランダム共重合体である、〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
〔9〕前記発泡粒子が前記発泡層を被覆する被覆層を有しており、前記被覆層の基材樹脂は前記結晶性熱可塑性樹脂の融点よりも低い融点または低い軟化点を有する熱可塑性樹脂である、〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
本発明の他の態様は、以下の〔10〕~〔11〕に係る結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体にある。
〔10〕〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子を型内成形してなる結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体。
〔11〕前記発泡粒子成形体の開放気泡率が2%以上12%以下である、〔10〕に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体。
本発明のさらに他の態様は、以下の〔12〕~〔13〕に係る結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の製造方法にある。
〔12〕〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子を成形型内に充填し、
その後、前記成形型内に加熱媒体を供給して型内成形を行う、結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
〔13〕前記発泡粒子に内圧を付与せずに、または、前記発泡粒子に0.1MPa(G)以下の内圧を付与した後に前記発泡粒子を前記成形型内に充填する、〔12〕に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
前記の態様によれば、養生工程を省略しても、所望の形状を有し、外観及び剛性に優れた発泡粒子成形体を得ることができる結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子(以下、「発泡粒子」という。)、この発泡粒子からなる結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(以下、「発泡粒子成形体」または「成形体」という。)及びその製造方法を提供することができる。
図1は、断面形状が十字状である柱状の発泡粒子の斜視図である。 図2は、図1のII-II線矢視断面図(発泡粒子の切断面の平面図)である。 図3は、円柱状の発泡粒子の斜視図である。 図4は、図3のIV-IV線矢視断面図(発泡粒子の切断面の平面図)である。 図5は、三角柱状の発泡粒子の斜視図である。 図6は、図5のVI-VI線矢視断面図(発泡粒子の切断面の平面図)である。 図7は、四角柱状の発泡粒子の斜視図である。 図8は、図7のVIII-VIII線矢視断面図(発泡粒子の切断面の平面図)である。 図9は、高温ピークの面積の算出方法を示す説明図である。 図10は、実施例1における発泡粒子の斜視図である。 図11は、図10のXI-XI線矢視断面図(発泡粒子の切断面の平面図)である。
(結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子)
前記発泡粒子は、貫通孔を有さない柱状形状を有するとともに、その側周面に少なくとも1つの溝を有している。例えば、発泡粒子は、図1に示すように、底面11と、底面11の上方に配置され、底面11と概ね同一の形状を備えた頂面12と、底面11の端縁と頂面12の端縁とを接続する側周面13とによって囲まれた立体形状を有している。このような柱状形状を有する発泡粒子1においては、底面11の中央と頂面12の中央とを結ぶ線分(つまり、発泡粒子1の中心軸)上の種々の位置において当該線分に対して垂直な面で発泡粒子1を切断して得られる断面形状が概ね同一となる。
また、前述した「溝」とは、発泡粒子の側周面に設けられ、発泡粒子の軸方向に沿って延在する凹部をいう。より具体的には、発泡粒子1の溝3は、図2に示すような発泡粒子1の軸方向に垂直な面で切断した場合に、断面における発泡粒子の輪郭が内方に陥没している部分として観察される。
発泡粒子1は、貫通孔を有しない柱状形状であり、かつ、その側周面に1本以上の溝3を有していれば、種々の形状を取り得る。例えば、発泡粒子1は、図1及び図2に示すように軸方向に垂直な断面が十字状となる柱状であってもよい。このような立体形状を有する発泡粒子1は、その側周面13に4本の溝3を有している。軸方向に垂直な断面における発泡粒子1の断面形状は、図1及び図2の形状に限定されることはなく、例えば図3及び図4に示すような円形を基本とした形状や、図5及び図6に示すような三角形を基本とした形状、図7及び図8に示すような四角形を基本とした形状などの種々の態様をとり得る。
発泡粒子1に設けられた溝3の数は、図3及び図4に示すように1本であってもよいし、図1、図2及び図5~図8に示すように2本以上であってもよい。また、発泡粒子1の軸方向に垂直な断面における溝3の断面形状は図1及び図2に示すV字状に限定されることはなく、半円状(図3及び図4参照)、四角形状(図5及び図6参照)、及びU字状(図7及び図8参照)などの種々の態様をとり得る。発泡粒子1が2本以上の溝3を有する場合、全ての溝3が同一の断面形状を有していてもよいし、互いに異なる断面形状を有していてもよい。
発泡粒子は2本以上6本以下の溝を有していることが好ましい。この場合には、成形体に後述する開放気泡構造がより形成されやすくなる。そのため、養生工程を省略した場合においても成形体がより変形しにくくなる。
また、発泡粒子が2本以上の溝を有する場合、これらの溝は、発泡粒子の側周面上において等間隔に配置されていることが好ましい。換言すると、発泡粒子が複数の溝を有する場合、これらの溝は、発泡粒子の中心軸に対して対称な位置に配置されていることが好ましい。このような発泡粒子を型内成形すると、成形体に後述する開放気泡構造がより均一に形成されやすくなる。そのため、養生工程を省略した場合においても成形体の収縮や変形をより確実に抑制することができる。
前記発泡粒子を軸方向の中央において軸方向に垂直な面で切断して得られる発泡粒子の切断面における、前記発泡粒子の平均断面積Aに対する前記溝1つ当たりの平均断面積Caの比Ca/Aが0.01以上0.20以下であり、前記発泡粒子の平均断面積Aに対する前記溝の合計断面積Ctの比Ct/Aが0.02以上0.20以下であり、前記発泡粒子の平均外径Dが0.5mm以上10mm以下である。また、前記発泡粒子の平均外径Dに対する前記発泡粒子の軸方向における平均長さLの比L/Dが0.5以上1.5以下である。さらに、前記発泡粒子の独立気泡率は90%以上である。
このように、各部の寸法が前記特定の範囲を満たす形状を備え、かつ、独立気泡率が前記特定の範囲内である発泡粒子を用いて型内成形を行うことにより、養生工程を省略しても、著しい収縮、変形等が抑制され、所望形状を有する、外観及び剛性に優れた成形体を製造することができる。
前記発泡粒子によりこのような効果が得られる理由は、例えば以下の通りであると考えられる。すなわち、前記発泡粒子を型内成形すると、成形体に開放気泡からなる開放気泡構造、つまり、成形体の外部と連通した微小な空間部分が形成される。開放気泡構造は、具体的には複数の発泡粒子の溝が相互に連通して形成される空隙、発泡粒子の溝が発泡粒子間に形成される空隙と連通して形成される空隙、発泡粒子間の空隙が連通して形成される空隙、成形体を構成する発泡粒子の連続気泡部分などが、複雑につながって形成される。
開放気泡構造は成形体の外部と連通しているため、適度な開放気泡率を有する成形体を成形型から離型すると、外気が開放気泡構造を通じて成形体内部の気泡まで速やかに流入すると考えられる。そして、成形体内部の気泡に外気が流入することにより、成形体全体の内圧が成形体外部の雰囲気の圧力と速やかに均衡しやすくなる。以上の結果、成形体の寸法が早期に安定化しやすくなり、養生工程を行わない場合においても成形体の著しい収縮や変形を抑制することができると考えられる。
また、前記発泡粒子は軸方向に沿って延在する溝を有しているため、成形型内にスチームが供給された際に、スチームが溝を通過することができると考えられる。これにより、成形型の内部までスチームが到達しやすくなり、成形型内の発泡粒子全体を容易に加熱することができると考えられる。そのため、型内成形時の成形加熱温度が低い条件であっても融着性に優れ、良好な外観を有する成形体を得ることができる。その結果、型内成形時にスチームにより発泡粒子が受ける熱量を低く抑えることができる。また、離型後の成形体の内部温度が過度に高くなることが抑制される。これらの結果、型内成形後の成形体の寸法が早期に安定化しやすくなると考えられる。
前記成形体の製造に用いる発泡粒子は、貫通孔を有しない柱状形状を有している。発泡粒子が内部に貫通孔を有さないことにより、型内成形時の二次発泡により発泡粒子が外方に膨張しやすく、二次発泡性が高い。それ故、発泡粒子に貫通孔を設けないことにより、後述する成形体の開放気泡率の過度の上昇を容易に抑制し、外観や剛性に優れる成形体を容易に製造することができる。
発泡粒子の平均断面積Aに対する溝1つ当たりの平均断面積Caの比Ca/A及び/または発泡粒子の平均断面積Aに対する溝の合計断面積Ctの比Ct/Aが低すぎる場合には、型内成形の際にスチームが成形型内に行き渡りにくくなり、成形性の悪化を招くおそれがある。また、この場合には、成形体に開放気泡構造が形成されにくくなり、成形体の著しい収縮や変形を抑制するために養生工程が必要となるおそれがある。前記比Ca/Aを0.01以上かつ前記比Ct/Aを0.02以上とすることにより、これらの問題を容易に回避し、養生工程を行わない場合においても成形体の著しい収縮や変形を抑制することができる発泡粒子を得ることができる。また、前記比Ca/Aを0.01以上かつ前記比Ct/Aを0.02以上とすることにより、成形時の水冷時間を短縮することができる。これらの作用効果をより確実に得る観点から、前記比Ca/Aは0.02以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましい。同様の観点から、前記比Ct/Aは0.05以上であることが好ましく、0.08以上であることがより好ましく、0.10以上であることがさらに好ましい。
一方、発泡粒子の平均断面積Aに対する溝1つ当たりの平均断面積Caの比Ca/A及び/または発泡粒子の平均断面積Aに対する溝の合計断面積Ctの比Ct/Aが高すぎる場合には、成形体の剛性の低下や外観の悪化を招くおそれがある。また、この場合には、成形体の開放気泡率が過度に高くなるおそれがある。前記比Ca/Aを0.20以下かつ前記比Ct/Aを0.20以下とすることにより、これらの問題を容易に回避し、成形体の剛性及び外観を向上させることができる。かかる作用効果をより確実に得る観点から、前記比Ca/Aは0.15以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。同様の観点から、前記比Ct/Aは0.18以下であることが好ましい。
前述した発泡粒子の平均断面積Aの算出方法は以下の通りである。まず、発泡粒子1をその軸方向における中央において軸方向に垂直な面で切断し、図2等に示すような発泡粒子の切断面(つまり、発泡粒子を切断した際に生じる切り口の面)を露出させる。この切断面における発泡粒子1の断面積を計測する。例えば、図2に示すように発泡粒子1が発泡層2のみからなる場合、発泡粒子1の断面積は、前記切断面における発泡層2の断面積と等しい。また、図11に示すように発泡粒子1が発泡層2と発泡層2を被覆する被覆層4とを有する場合、発泡粒子1の断面積は、前記切断面における発泡層2の断面積と被覆層4の断面積との合計である。なお、前記切断面における発泡粒子1の断面積の計測は、例えば、発泡粒子の切断面の写真を撮影し、画像解析することにより行うことができる。
以上の操作を100個以上の発泡粒子について行い、得られた発泡粒子の断面積の算術平均値を前記切断面における発泡粒子の平均断面積Aとする。
また、溝1つ当たりの平均断面積Ca及び溝の合計断面積Ctの算出方法は以下の通りである。図2等に示すように、切断面における個々の溝3の外方に、発泡粒子1の輪郭と2つの点P1、P2で接し、発泡粒子1の内部を通らない接線L1を引く。そして、発泡粒子1の輪郭と接線L1とによって囲まれた領域の面積を算出し、この面積を個々の溝3の断面積Cとする。すなわち、個々の溝3の断面積Cは、図2において斜線で示した領域の面積である。上記の操作を全ての溝3について行い、これらを合計することにより個々の発泡粒子1における溝3の断面積Cの合計を算出する。また、このようにして得られた溝3の断面積Cの合計を溝3の本数で除し、個々の発泡粒子1における溝1つあたりの断面積を算出する。
以上の操作を100個以上の発泡粒子について行い、得られた溝の断面積の合計の算術平均値を溝の合計断面積Ctとする。また、得られた溝1つ当たりの断面積の平均値を溝1つ当たりの平均断面積Caとする。
前記発泡粒子の平均外径Dが小さすぎる場合には、養生工程を省略した際に成形体の変形や収縮が生じやすくなり、寸法安定性の低下を招くおそれがある。発泡粒子の平均外径Dを0.5mm以上、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上とすることにより、かかる問題を容易に回避することができる。
一方、発泡粒子の平均外径Dが大きすぎる場合には、成形型への充填性の低下を招くおそれがある。発泡粒子の平均外径Dを10mm以下、好ましくは8.0mm以下、より好ましくは5.0mm以下とすることにより、かかる問題を容易に回避することができる。
また、発泡粒子の平均外径Dに対する発泡粒子の軸方向における平均長さLの比L/Dが高すぎる場合には、成形体の開放気泡率が大きくなりすぎるおそれがある。また、この場合には、成形体の表面性の悪化や剛性の低下を招くおそれがある。また、用途によっては成形体の漏水防止性が不足するおそれがある。比L/Dの値を1.5以下とすることにより、これらの問題を容易に回避することができる。かかる観点から、前記発泡粒子の平均外径Dに対する前記発泡粒子の軸方向における平均長さLの比L/Dは、1.3以下であることが好ましく、1.3未満であることがより好ましい。
一方、発泡粒子の平均外径Dに対する発泡粒子の軸方向における平均長さLの比L/Dが低すぎる場合には、型内成形時の水冷時間が長くなるおそれがある。また、この場合には、成形体の開放気泡率が小さくなりすぎる結果、養生工程を省略した場合の成形体の変形を抑制することが難しくなるおそれがある。比L/Dの値を0.5以上とすることにより、かかる問題を容易に回避することができる。かかる観点から、前記発泡粒子の平均外径Dに対する前記発泡粒子の軸方向における平均長さLの比L/Dは0.7以上であることが好ましく、0.7を超えることがより好ましい。
前述した発泡粒子の平均外径Dの算出方法は以下の通りである。まず、発泡粒子1をその軸方向における中央において軸方向に垂直な面で切断し、図2等に示すような発泡粒子の切断面を露出させる。この切断面における発泡粒子1の輪郭上に互いの距離が最も長くなるような2つの点P3、P4を定め、これらの2点間の距離(つまり、前記切断面における発泡粒子の最大外径)を個々の発泡粒子1の外径dとする。そして、100個以上の発泡粒子1について測定した外径dの算術平均値を発泡粒子の平均外径Dとする。なお、前記切断面における発泡粒子1の外径の計測は、例えば、発泡粒子の切断面の写真を撮影し、画像解析することにより行うことができる。
また、前述した発泡粒子の平均長さLは、100個以上の発泡粒子について測定した、発泡粒子の軸方向における最大長さの算術平均値である。発泡粒子の軸方向における最大長さは、例えば、ノギスを使用して計測することができる。
発泡粒子の独立気泡率が低すぎる場合には、成形体の開放気泡率が大きくなりすぎるおそれがある。また、この場合には、成形体の表面性の悪化や剛性の低下を招くおそれがある。発泡粒子の独立気泡率を90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上とすることにより、かかる問題を容易に回避するとともに、成形型への充填率が比較的低い場合であっても、成形体に適度な開放気泡構造を形成するとともに、表面性及び剛性に優れた成形体をより容易に得ることができる。
発泡粒子の独立気泡率は、ASTM-D6226-10に基づき空気比較式比重計を用いて測定することができる。具体的には、次のようにして測定される。まず、発泡粒子を相対湿度50%、温度23℃、気圧1atmの環境下で24時間以上静置し、発泡粒子の状態を調節する。状態調節後の発泡粒子から嵩体積、つまり、メスシリンダー内に自然に堆積させたときの標線の値が約20cm3となるように測定用サンプルを採取した後、測定用サンプルの見掛け体積を測定する。なお、測定用サンプルの見掛け体積は、具体的には、温度23℃のエタノールが入ったメスシリンダーに測定用サンプルを沈めた際の液面の上昇量に相当する体積である。
見掛けの体積を測定した測定用サンプルを十分に乾燥させた後、ASTM-D6226-10に記載されている手順に準じ、島津製作所社製アキュピックII1340により測定される測定用サンプルの真の体積の値を測定する。なお、前記真の体積Vxの測定では、パージ工程(purging step)及び試験工程(testing step)において適用される圧力は5kPaとする。また、手順9.13及び9.14において、圧力の変化率が0.100kPa/min以下となるまで待機し、圧力を記録する。そして、これらの体積の値を用い、下記の式(1)に基づいて測定用サンプルの独立気泡率(単位:%)を計算する。
独立気泡率=(Vx-W/ρ)×100/(Va-W/ρ)・・・(1)
ただし、上記式(1)におけるVx(単位:cm3)は発泡粒子の真の体積(つまり、発泡粒子を構成する樹脂の容積と、発泡粒子内の独立気泡部分の気泡全容積との和)であり、Va(単位:cm3)は発泡粒子の見掛けの体積(つまり、発泡粒子をエタノールの入ったメスシリンダーに沈めた際の液面の上昇分から測定される体積)であり、W(単位:g)は測定用サンプルの質量であり、ρ(単位:g/cm3)は発泡層を構成する結晶性熱可塑性樹脂の密度である。
以上の操作を異なる測定用サンプルを用いて5回行い、これら5回の測定により得られる独立気泡率の算術平均値を発泡粒子の独立気泡率とする。
前記発泡粒子の嵩倍率は15倍以上90倍以下である。嵩倍率が上記範囲内である発泡粒子を用いて型内成形を行うことにより、軽量で剛性に優れる成形体を容易に得ることができる。また、前記発泡粒子は、前記特定の形状を有するとともに独立気泡率を前記特定の範囲とすることにより、15倍以上90倍以下という嵩倍率の範囲において養生工程を省略した場合にも成形体の収縮や変形を抑制することができる。
発泡粒子の嵩倍率が低すぎる場合には、成形体密度が高くなりやすく、軽量な成形体を得ることが難しい。かかる問題をより容易に回避する観点から、発泡粒子の嵩倍率は20倍以上であることが好ましく、25倍以上であることがより好ましく、30倍以上であることがさらに好ましい。一方、発泡粒子の嵩倍率が高すぎる場合には、成形体の剛性の低下を招くおそれがある。かかる問題をより容易に回避する観点から、発泡粒子の嵩倍率は、75倍以下であることが好ましく、55倍以下であることがより好ましい。なお、発泡粒子の嵩倍率が低すぎる場合には、成形体の剛性が高くなるため、型内成形後の成形体の収縮や変形に伴う寸法変化を回復する目的で養生工程を行う必要がない。
発泡粒子の嵩倍率は、発泡層を構成する結晶性熱可塑性樹脂の密度(単位:kg/m3)を発泡粒子の嵩密度(単位:kg/m3)で除した値である。発泡粒子の嵩密度の算出方法は以下の通りである。まず、発泡粒子を相対湿度50%、温度23℃、気圧1atmの環境下で24時間以上静置し、発泡粒子の状態を調節する。次に、状態調節後の発泡粒子をメスシリンダー内に自然に堆積するようにして充填し、メスシリンダーの目盛から発泡粒子群の嵩体積(単位:L)を読み取る。そして、メスシリンダー内の発泡粒子群の質量(単位:g)を前述した嵩体積で除した値を単位換算することにより、発泡粒子の嵩密度(単位:kg/m3)を得ることができる。
前記発泡粒子の切断面における溝1つ当たりの平均断面積Caは0.05mm2以上1.2mm2以下であることが好ましい。前述した発泡粒子の平均断面積Aに対する溝1つ当たりの平均断面積Caの比Ca/Aを前記特定の範囲とした上で、さらに溝1つ当たりの平均断面積Caを前記特定の範囲とすることにより、前述した溝による効果をより確実に得ることができる。同様の観点から、溝1つ当たりの平均断面積Caは0.1mm2以上1.0mm2以下であることがより好ましく、溝1つ当たりの平均断面積Caは0.2mm2以上0.8mm2以下であることがさらに好ましい。
前記発泡粒子の切断面における、前記発泡粒子の平均外径Dに対する前記溝1つ当たりの平均深さHの比H/Dは0.20以下であることが好ましい。この場合には、成形体に開放気泡構造が適度に形成されやすくなり、養生工程を省略した場合における成形体の収縮や変形をより効果的に抑制することができる。さらに、この場合には、前述した効果に加え、成形体の剛性を高めることもできる。かかる作用効果をより高める観点からは、前記発泡粒子の平均外径Dに対する前記溝1つ当たりの平均深さHの比H/Dは0.18以下であることがより好ましく、0.15以下であることがさらに好ましい。
同様の観点から、前記発泡粒子の切断面における溝1つ当たりの平均深さHは、1.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましい。
また、成形体の開放気泡率が過度に低下することを抑制する観点からは、前記発泡粒子の切断面における、前記発泡粒子の平均外径Dに対する前記溝1つ当たりの平均深さHの比H/Dは0.02以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましい。同様の観点から、前記発泡粒子の切断面における溝1つ当たりの平均深さHは、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。
前記発泡粒子の切断面における溝1つ当たりの平均深さHの算出方法は以下の通りである。まず、発泡粒子1をその軸方向における中央において軸方向に垂直な面で切断し、図2等に示すような切断面を露出させる。次に、前記切断面における個々の溝3の外方に、発泡粒子1の輪郭と2つの点P1、P2で接し、発泡粒子1の内部を通らない接線L1を引く。この接線L1に対して垂直な方向における、接線L1から溝3の周縁(つまり、発泡粒子の輪郭)までの距離の最大値hを測定する。そして、全ての溝3について前述した距離の最大値hを測定し、これらの算術平均値を個々の発泡粒子の溝の深さとする。なお、切断面における個々の発泡粒子の溝の深さの計測は、例えば、発泡粒子の切断面の写真を撮影し、画像解析することにより行うことができる。
そして、100個以上の発泡粒子1について測定した溝の深さの算術平均値を発泡粒子の溝の深さHとする。
前記発泡粒子の平均外径Dを直径とする仮想真円の面積Bに対する、前記発泡粒子の面積Aの比A/Bは0.55以上0.90以下であることが好ましい。この場合には、成形体の開放気泡率をより容易に適正な範囲にし、成形体の剛性及び外観をより容易に向上させるとともに、養生工程を行わない場合に成形体の収縮や変形を抑制する効果をより確実に得ることができる。成形体の剛性及び外観をさらに容易に向上させる観点からは、前記比A/Bを0.60以上とすることがより好ましく、0.65以上とすることがさらに好ましく、0.70以上とすることが特に好ましい。また、成形体の収縮や変形を抑制する効果をさらに確実に得る観点からは、前記比A/Bを0.85以下とすることがより好ましく、0.80以下とすることがさらに好ましい。
前記発泡粒子の嵩密度に対する見掛け密度の比は1.7以上1.9以下であることが好ましい。この場合には、成形体の開放気泡率をより容易に適正な範囲にし、成形体の剛性及び外観をより容易に向上させるとともに、養生工程を行わない場合に成形体の収縮や変形を抑制する効果をより確実に得ることができる。
成形体の軽量性と剛性とのバランスの観点から、発泡粒子の見掛け密度は、10kg/m3以上150kg/m3以下であることが好ましく、15kg/m3以上100kg/m3以下であることがより好ましく、20kg/m3以上80kg/m3以下であることがさらに好ましく、25kg/m3以上45kg/m3以下であることが特に好ましい。このように、見掛け密度の小さい発泡粒子を用いて型内成形を行うことにより、より軽量な成形体を容易に得ることができる。また、従来、特に密度の小さい成形体(つまり、成形体倍率の大きな成形体)を製造する場合には、成形体が離型後に著しく変形しやすく、養生工程を省略することは困難であった。これに対し、前記発泡粒子は、見掛け密度が小さい場合であっても養生工程を省略することが可能であるため、無養生でも所望の形状を有する軽量な成形体を製造することができる。
発泡粒子の見掛け密度の算出方法は以下の通りである。まず、相対湿度50%、温度23℃、気圧1atmの環境下で発泡粒子群を1日間静置し、発泡粒子の状態を調節する。この発泡粒子群の質量(単位:g)を測定した後、23℃のアルコール(例えばエタノール)を入れたメスシリンダー内に金網などを使用して沈め、液面の上昇分から発泡粒子群の体積(単位:L)を求める。その後、発泡粒子群の質量を発泡粒子群の体積で除した値を単位換算することにより、発泡粒子の見掛け密度(単位:kg/m3)を算出することができる。
前記発泡粒子は、結晶性熱可塑性樹脂を基材樹脂とする発泡層を有している。結晶性熱可塑性樹脂とは、結晶性を有する熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、結晶性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。なお、本明細書において、ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレン単量体の単独重合体及びプロピレンに由来する構成単位を50質量%以上含むプロピレン系共重合体をいう。また、ポリエチレン系樹脂とは、エチレン単量体の単独重合体及びエチレンに由来する構成単位を50質量%以上含むエチレン系共重合体をいう。
本明細書において、「結晶性を有する」とは、JIS K7122(1987)に記載の「一定の熱処理を行った後、融解熱を測定する場合」(試験片の状態調節における加熱速度と冷却速度は、いずれも10℃/分とする。)を採用し、熱流束示差走査熱量測定装置を使用し、加熱速度10℃/分で得られるDSC曲線に基づく樹脂の融解に伴う吸熱ピーク熱量が5J/g以上であることをいう。前記吸熱ピーク熱量は15J/g以上であることが好ましく、30J/g以上であることがより好ましい。
発泡層には、前述した効果を阻害しない範囲で結晶性熱可塑性樹脂以外の他の重合体が含まれていてもよい。他の重合体としては、ポリスチレン系樹脂等の非結晶性熱可塑性樹脂やエラストマー等が例示される。発泡層中の他の重合体の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、0、つまり、発泡層は、重合体として実質的に結晶性熱可塑性樹脂のみを含むことが特に好ましい。
また、発泡層の基材樹脂である結晶性熱可塑性樹脂中には、前述した作用効果を損なわない範囲で、気泡調整剤、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、導電性フィラー、抗菌剤、着色剤等の添加剤が含まれていてもよい。発泡層中の添加剤の含有量は、例えば、結晶性熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
発泡層を構成する結晶性熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂であることが好ましく、プロピレンと他のモノマーとが共重合したプロピレン系共重合体であることがより好ましい。プロピレン系共重合体としては、エチレン-プロピレン共重合体、ブテン-プロピレン共重合体、ヘキセン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体等のプロピレンと炭素数4~10のα-オレフィンとの共重合体が好ましく例示される。これらの共重合体は、例えば、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体等であってもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。また、発泡層中には、1種類のポリプロピレン系樹脂が含まれていてもよく、2種類以上のポリプロピレン系樹脂が含まれていてもよい。
発泡層を構成する結晶性熱可塑性樹脂は、これらのポリプロピレン系樹脂の中でも0.5質量%以上3.5質量%以下のエチレン成分を含むエチレン-プロピレンランダム共重合体であることが特に好ましい。このような発泡層を備えた発泡粒子によれば、型内成形性に優れるとともに、剛性及び表面性に優れ、養生工程を省略した場合にも変形や収縮を抑制できる成形体をより容易に得ることができる。
より剛性に優れるとともに、養生工程を省略した場合における変形や収縮の小さい成形体を得る観点からは、エチレン-プロピレンランダム共重合体中に含まれるエチレン成分の含有量は、0.5質量%以上2.0質量%未満であることが好ましい。一方、発泡粒子の成形性を高めるとともに、エネルギー吸収特性に優れた成形体を得る観点からは、エチレン-プロピレンランダム共重合体中に含まれるエチレン成分の含有量は、2.0質量%以上3.5質量%以下であることが好ましい。
なお、前述した「エチレン成分」及び「プロピレン成分」は、それぞれ、エチレン-プロピレン共重合体におけるエチレン由来の構成単位及びプロピレン由来の構成単位を意味する。また、エチレン成分の含有量は、エチレン成分とプロピレン成分との合計を100質量%とした場合におけるエチレン成分の質量比率である。エチレン-プロピレン共重合体中の各成分の含有量は、IRスペクトル測定の結果に基づいて求めることができる。
発泡層の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、ポリプロピレン系樹脂の融点Tmcは、155℃以下であることが好ましい。この場合には、より低い成形温度(つまり、低い成形圧)で外観や剛性に優れる成形体を成形することができる。この効果が向上するという観点から、発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂の融点Tmcは152℃以下であることが好ましく、148℃以下であることがより好ましい。一方、成形体の耐熱性や機械的強度等がより向上するという観点からは、発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂の融点Tmcは、135℃以上であることが好ましく、138℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることがさらに好ましい。
発泡層を構成する結晶性熱可塑性樹脂の融点は、JIS K7121-1987に基づいて示差走査熱量測定(つまり、DSC)を行い、取得したDSC曲線に基づいて決定することができる。具体的には、まず、「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を測定する場合」に従って試験片の状態調節を行う。状態調節された試験片を10℃/分の加熱速度で30℃から200℃まで昇温することによりDSC曲線を取得し、DSC曲線に現れた融解ピークの頂点温度を結晶性熱可塑性樹脂の融点Tmcとする。なお、DSC曲線に複数の融解ピークが現れる場合は、最も面積の大きな融解ピークの頂点温度を融点Tmcとする。
発泡層の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、ポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレイト(つまり、MFR)は5g/10分以上であることが好ましく、6g/10分以上であることがより好ましく、7g/10分以上であることがさらに好ましい。この場合には、発泡性や成形性をより高めることができる。一方、成形体の剛性をより高めるという観点から、ポリプロピレン系樹脂のMFRは12g/10分以下であることが好ましく、10g/10分以下であることがより好ましい。なお、ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210-1:2014に基づき、試験温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される値である。
発泡層の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、ポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率は800MPa以上1600MPa以下であることが好ましい。成形体の剛性を高めるという観点、養生工程を省略した場合の寸法変化をより確実に抑制するという観点から、発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率は、800MPa以上であることが好ましく、850MPa以上であることがより好ましく、900MPa以上であることがさらに好ましく、1200MPa以上であることが特に好ましい。一方、より低い成形温度(つまり、低い成形圧)で外観や剛性に優れる成形体を成形することができるという観点、エネルギー吸収特性に優れる発泡粒子成形体を得る観点から、発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率は、1200MPa未満であることが好ましく、1100MPa以下であることがより好ましく、1000MPa以下であることがさらに好ましい。なお、ポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率は、JIS K7171:2008に基づき、求めることができる。
従来、特に曲げ弾性率1200MPa未満のポリプロピレン系樹脂から構成される発泡粒子を型内成形した場合には、離型後の収縮・変形に対する抵抗力が小さいためか、養生工程を省略すると離型後の成形体が著しく収縮・変形する傾向があった。これに対し、前述した成形体の製造方法によれば、たとえば1200MPa未満の曲げ弾性率を有するポリプロピレン系樹脂から構成される発泡粒子を用いた場合であっても、養生工程を省略することができる。
発泡粒子は、発泡層と、発泡層を被覆する被覆層とを有する多層構造を有していてもよい。この場合、被覆層は、発泡層の全面を被覆していてもよいし、発泡層の一部を被覆していてもよい。被覆層の基材樹脂は、前記発泡層の基材樹脂である前記結晶性熱可塑性樹脂の融点よりも低い融点または低い軟化点を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、被覆層の基材樹脂が発泡層の基材樹脂と同種の結晶性熱可塑性樹脂である場合、被覆層の基材樹脂は、前記発泡層の基材樹脂である結晶性熱可塑性樹脂の結晶化度よりも低い結晶化度を有していることが好ましい。このような熱可塑性樹脂で発泡層を被覆することにより、型内成形においてより低い成形温度(つまり、低い成形圧)で発泡粒子を融着させることができる。その結果、養生工程を省略した場合における成形体の変形や収縮をより確実に抑制することができる。
被覆層を構成する熱可塑性樹脂は、結晶性熱可塑性樹脂であってもよく、非結晶性熱可塑性樹脂であってもよい。被覆層に用いられる結晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、発泡層を構成する結晶性熱可塑性樹脂と同じ種類の結晶性熱可塑性樹脂を用いることができる。また、被覆層に用いられる非結晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、非結晶性ポリエステル系樹脂等が例示される。発泡層がポリプロピレン系樹脂から構成されている場合、被覆層の基材樹脂は、発泡層との接着性の観点からポリオレフィン系樹脂であることが好ましく、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂であることがより好ましく、ポリプロピレン系樹脂であることがさらに好ましい。被覆層の基材樹脂として用いられるポリプロピレン系樹脂としては、例えばエチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体及びプロピレン単独重合体等が挙げられる。これらの中でも、被覆層の基材樹脂としてはエチレン-プロピレン共重合体及びエチレン-プロピレン-ブテン共重合体からなる群より選択される1種以上の共重合体を用いることが特に好ましい。
被覆層を構成する熱可塑性樹脂が結晶性熱可塑性樹脂である場合、発泡層を構成する結晶性熱可塑性樹脂の融点Tmcと被覆層を構成する結晶性熱可塑性樹脂の融点Tmsとの差Tmc-Tmsは5℃以上であることが好ましく、6℃以上であることがより好ましく、8℃以上であることがさらに好ましい。この場合には、発泡粒子の融着性をより向上させ、成形温度をより低くすることができる。一方、発泡層と被覆層との剥離や、発泡粒子間の互着等を抑制する観点からは、融点Tmcと融点Tmsとの差Tmc-Tmsは35℃以下であることが好ましく、20℃以下であることがより好ましく、15℃以下であることがさらに好ましい。被覆層に用いられる結晶性熱可塑性樹脂の融点は、JIS K7121:1987に基づき求められる。より具体的には、上述の発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂と同様の条件、方法により被覆層に用いられる結晶性熱可塑性樹脂の融点を求めることができる。
また、被覆層を構成する熱可塑性樹脂が非結晶性熱可塑性樹脂である場合、発泡層を構成する結晶性熱可塑性樹脂の融点Tmcと被覆層を構成する非結晶性熱可塑性樹脂の軟化点Tssとの差Tmc-Tssは5℃以上であることが好ましく、6℃以上であることがより好ましく、8℃以上であることがさらに好ましい。この場合には、発泡粒子の融着性をより向上させ、成形温度をより低くすることができる。一方、発泡層と被覆層との剥離や、発泡粒子間の互着等を抑制する観点からは、融点Tmcと軟化点Tssとの差Tmc-Tssは35℃以下であることが好ましく、20℃以下であることがより好ましい。被覆層に用いられる非結晶性熱可塑性樹脂の軟化点は、JIS K7206:1999に基づいて、A50法で測定される、ビカット軟化点である。
被覆層を構成する熱可塑性樹脂中には、前述した作用効果を損なわない範囲で、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、導電性フィラー、抗菌剤、着色剤等の添加剤が含まれていてもよい。被覆層中の添加剤の含有量は、例えば、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
発泡粒子の被覆層は発泡状態であってもよく、非発泡状態であってもよいが、実質的に非発泡状態であることが好ましい。なお、「実質的に非発泡」とは、被覆層が発泡せず、気泡が含まれない状態と、発泡後に気泡が消失した状態とを含み、被覆層にほとんど気泡構造がないことを意味する。被覆層の厚みは、例えば0.5μm以上100μm以下である。また、発泡層と被覆層との間にさらに中間層を設けてもよい。
発泡層を構成する樹脂と被覆層を構成する樹脂との質量比(質量%の比)は、成形体の剛性を維持しつつ、成形性を高める観点から、発泡層:被覆層=99.5:0.5~80:20であることが好ましく、99:1~85:15であることがより好ましく、97:3~88:12であることがさらに好ましい。
発泡粒子は、加熱速度10℃/分で23℃から200℃まで加熱した際に得られるDSC曲線に、発泡層を構成する結晶性熱可塑性樹脂固有の融解による吸熱ピークと、この吸熱ピークよりも高温側に位置する1以上の融解ピークとが現れる結晶構造を有することが好ましい。このような結晶構造を備えた発泡粒子は、機械的強度に優れるとともに成形性にも優れている。なお、以下において、前記DSC曲線に現れる結晶性熱可塑性樹脂固有の融解による吸熱ピークを「樹脂固有ピーク」といい、樹脂固有ピークよりも高温側に現れる融解ピークを「高温ピーク」という。樹脂固有ピークは、発泡層を構成する結晶性熱可塑性樹脂が本来有する結晶の融解時の吸熱によって生じる。一方、高温ピークは、発泡粒子の製造過程で発泡層を構成する結晶性熱可塑性樹脂中に形成された二次結晶の融解によって生じると推定される。すなわち、DSC曲線に高温ピークが現れた場合、結晶性熱可塑性樹脂中に二次結晶が形成されていると推定される。
発泡粒子が前述した結晶構造を有するか否かは、JIS K7121:1987に準拠し、前述した条件により示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより得られるDSC曲線に基づいて判断すればよい。また、DSCを行うにあたっては、発泡粒子1~3mgを試料として用いればよい。
なお、上記のように10℃/分の加熱速度で23℃から200℃までの加熱(つまり、第1回目の加熱)を行った後、10℃/分の冷却速度で200℃から23℃まで冷却し、その後再び10℃/分の加熱速度で23℃から200℃までの加熱(つまり、第2回目の加熱)を行ったときに得られるDSC曲線においては、発泡層を構成する結晶性熱可塑性樹脂に固有の融解による吸熱ピークのみが見られる。従って、第1回目の加熱時に得られるDSC曲線と第2回目の加熱時に得られるDSC曲線とを比較することにより、樹脂固有ピークと高温ピークとを見分けることができる。この樹脂固有ピークの頂点の温度は、第1回目の加熱と第2回目の加熱とで多少異なる場合があるが、通常、その差は5℃以内である。
発泡粒子の高温ピークの融解熱量は、発泡粒子の成形性をより向上させるという観点、及び剛性により優れる成形体を得るという観点から、5J/g以上40J/g以下であることが好ましく、7J/g以上30J/g以下であることがより好ましく、10J/g以上20J/g以下であることがさらに好ましい。
前述した高温ピークの融解熱量は、次のようにして求められる値である。まず、状態調節を行った後の発泡粒子1~3mgを試料として用い、加熱速度10℃/分で23℃から200℃まで加熱するという条件で示差走査熱量測定を行うことによりDSC曲線を得る。図9にDSC曲線の一例を示す。発泡粒子が高温ピークを有する場合、DSC曲線には、図9に示すように、樹脂固有ピークΔH1と、樹脂固有ピークΔH1の頂点よりも高温側に頂点を有する高温ピークΔH2とが現れる。
次に、DSC曲線上における80℃に相当する点αと、発泡粒子の融解終了温度Tに相当する点βとを結ぶ直線L2を引く。なお、融解終了温度Tは、高温ピークΔH2における高温側の端点、つまり、DSC曲線における、高温ピークΔH2と、高温ピークΔH2よりも高温側のベースラインとの交点である。
直線L2を引いた後、樹脂固有ピークΔH1と高温ピークΔH2との間に存在する極大点γを通り、グラフの縦軸に平行な直線L3を引く。この直線L3により樹脂固有ピークΔH1と高温ピークΔH2とが分割される。高温ピークΔH2の吸熱量は、DSC曲線における高温ピークΔH2を構成する部分と、直線L2と、直線L3とによって囲まれた部分の面積に基づいて算出することができる。
(発泡粒子の製造方法)
前記発泡粒子は、たとえば、結晶性熱可塑性樹脂を基材樹脂とする結晶性熱可塑性樹脂粒子(以下、「樹脂粒子」という。)を分散媒に分散させるとともに、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、発泡剤を含む樹脂粒子を分散媒とともに低圧下に放出する方法により製造することができる。なお、このような発泡方法は「ダイレクト発泡法」と呼ばれることがある。
樹脂粒子は、例えばストランドカット法により作製することができる。ストランドカット法では、まず、押出機内に、発泡層の基材樹脂となる結晶性熱可塑性樹脂と、必要に応じて供給される気泡核剤等の添加剤を供給し、加熱、混練して樹脂溶融混練物とする。その後、押出機先端に付設されたダイの小孔から、樹脂溶融混練物を押し出して溝を有する柱状の押出物を形成する。この押出物を冷却した後、所望の長さに切断することにより、結晶性熱可塑性樹脂を基材樹脂とする芯層からなる単層構造の樹脂粒子を得ることができる。
発泡層と被覆層とを備えた多層構造の発泡粒子を得ようとする場合には、芯層形成用押出機と、被覆層形成用押出機と、これら2台の押出機に接続された共押出ダイとを備えた共押出装置を用いて多層構造の樹脂粒子を作製すればよい。この場合、芯層形成用押出機では、発泡層の基材樹脂となる結晶性熱可塑性樹脂と、必要に応じて添加される添加剤等とを溶融混練し、芯層形成用樹脂溶融混練物を作製する。また、被覆層形成用押出機では、被覆層の基材樹脂となる熱可塑性樹脂と、必要に応じて添加される添加剤等とを溶融混練し、被覆層形成用樹脂溶融混練物を作製する。
これらの溶融混練物を共押出し、ダイ内で合流させることにより、非発泡状態の柱状の芯層と、芯層の外側表面を被覆する非発泡状態の被覆層とからなる多層構造の複合体を形成する。この複合体をダイの小孔から押し出して溝を有する柱状の押出物を形成する。この押出物を冷却した後、所望の長さに切断することにより、多層構造の樹脂粒子を得ることができる。なお、樹脂粒子の製造方法は前述した方法に限定されることはなく、ホットカット法や、水中カット法等を採用してもよい。
ダイレクト発泡法においては、樹脂粒子の形状を概ね保った状態で樹脂粒子が発泡する。それ故、ダイレクト発泡法により得られる発泡粒子の形状は、概ね樹脂粒子の形状を拡大した形状となる。従って、例えば、前記切断面における断面形状が十字状である発泡粒子を得ようとする場合には、樹脂粒子を軸方向に垂直な面で切断した際に生じる、切断面における断面形状が十字状である柱状の樹脂粒子を発泡させればよい。このような切断面における断面形状が十字状である樹脂粒子は、たとえば上記ストランドカット法において、所望する樹脂粒子の切断面の形状に対応する十字状の小孔を備えたダイを使用することにより製造することができる。この場合、樹脂粒子製造時の押出方向は、発泡粒子の軸方向に対応する。
上記のようにして樹脂粒子を作製した後、樹脂粒子を分散媒中に分散させる。樹脂粒子を分散媒中に分散させる作業は、後に行う発泡工程において用いる密閉容器内で行ってもよいし、発泡工程において用いる密閉容器とは別の容器内で行ってもよい。製造工程の簡素化の観点からは、分散工程を発泡工程において用いる密閉容器内で行うことが好ましい。
分散媒としては、水を主成分とする水性分散媒が用いられる。水性分散媒中には、水の他に、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等の親水性の有機溶媒が含まれていてもよい。水性分散媒における水の割合は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
分散媒中には分散剤を添加することが好ましい。分散媒中に分散剤を添加することにより、発泡工程において、容器内で加熱された樹脂粒子同士の融着を抑制することができる。分散剤の添加量は、樹脂粒子100質量部当たり0.001質量部以上5質量部以下であることが好ましい。分散剤としては、有機系分散剤や無機系分散剤を使用することができるが、取り扱いの容易さから微粒状無機物を分散剤として使用することが好ましい。より具体的には、分散剤としては、例えば、アムスナイト、カオリン、マイカ、クレー等の粘土鉱物や、酸化アルミニウム、酸化チタン、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、酸化鉄等を使用することができる。これらの分散剤は、単独で使用されてもよく、2種以上の分散剤が併用されてもよい。これらの中でも分散剤としては粘土鉱物を用いることが好ましい。粘土鉱物は、天然のものであっても、合成されたものであってもよい。
なお、分散剤を使用する場合、分散助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤を併用することが好ましい。分散助剤の添加量は、樹脂粒子100質量部当たり0.001質量部以上1質量部以下であることが好ましい。
樹脂粒子を分散媒中に分散させた後、密閉容器内において樹脂粒子に発泡剤を含浸させる。樹脂粒子に含浸させる発泡剤は物理発泡剤であることが好ましい。物理発泡剤としては、二酸化炭素、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン等の無機物理発泡剤や、プロパン、ブタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、クロロフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1-ジフルオロメタン、1-クロロ-1,1-ジクロロエタン、1,2,2,2-テトラフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素等の有機物理発泡剤が挙げられる。これらの物理発泡剤は単独で使用されていてもよく、二種以上の物理発泡剤が併用されていてもよい。また、無機物理発泡剤と有機物理発泡剤とを混合して用いることもできる。環境に対する負荷や取扱い性の観点から、好ましくは無機物理発泡剤、より好ましくは二酸化炭素が用いられる。
樹脂粒子100質量部に対する発泡剤の添加量は、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
発泡粒子の製造工程において、樹脂粒子に発泡剤を含浸させる方法としては、密閉容器内に発泡剤を供給し、密閉容器内の圧力を上昇させて分散媒中の樹脂粒子に発泡剤を含浸させる方法を採用することができる。この際、樹脂粒子を分散媒とともに加熱することにより、樹脂粒子への発泡剤の含浸をより促進することができる。
発泡時の密閉容器内の圧力はゲージ圧において0.5MPa(G)以上であることが好ましい。一方、密閉容器内の圧力はゲージ圧において4.0MPa(G)以下であることが好ましい。上記範囲内であれば、密閉容器の破損や爆発等のおそれがなく安全に発泡粒子を製造することができる。
また、分散媒を加熱する場合には、分散媒の昇温速度を1~5℃/分とすることで、発泡時の温度も適切な範囲とすることができる。
樹脂粒子への発泡剤の含浸が完了した後に、密閉容器の内容物を密閉容器よりも低圧の環境へ放出する。これにより、樹脂粒子の芯層が発泡して気泡構造が形成されるとともに、外気によって冷却されて気泡構造が安定化し、発泡粒子が得られる。
芯層の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、発泡剤を含浸させる際に以下の態様で加熱及び発泡を行うことが好ましい。すなわち、まず、(ポリプロピレン系樹脂の融点-20℃)以上、(ポリプロピレン系樹脂の融解終了温度)未満の温度で十分な時間、好ましくは10~60分程度保持する一段保持工程を行い、その後、(ポリプロピレン系樹脂の融点-15℃)から(ポリプロピレン系樹脂の融解終了温度+10℃)未満の温度に調節する。そして、必要により、その温度でさらに十分な時間、好ましくは10~60分程度保持する二段保持工程を行う。その後、密閉容器内の温度を(ポリプロピレン系樹脂の融点-10℃)以上とした状態で密閉容器の内容物を外部へ放出させ、樹脂粒子を発泡させることが好ましい。発泡時における密閉容器内の温度は、(ポリプロピレン系樹脂の融点)以上(ポリプロピレン系樹脂の融点+20℃)以下であることがより好ましい。このようにして樹脂粒子を加熱して発泡させることにより、発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂中に二次結晶を形成し、機械的強度に優れるとともに成形性にも優れた発泡粒子を容易に得ることができる。
成形体の作製には、以上により得られた発泡粒子をそのまま用いてもよい。また、前述したダイレクト発泡法により得られた発泡粒子をさらに発泡させ、嵩倍率を高めた発泡粒子を用いて成形体を作製することもできる。なお、このように樹脂粒子の発泡を二段階で行う場合、一段階目の発泡工程を一段発泡工程といい、一段発泡工程により得られる発泡粒子を一段発泡粒子という。また、二段階目の発泡工程を二段発泡工程という。二段発泡工程により得られる発泡粒子は、二段発泡粒子と呼ばれることもある。
二段発泡により発泡粒子の嵩倍率を高める方法は、例えば以下の通りである。まず、一段発泡工程として前述したダイレクト発泡法により樹脂粒子を発泡させ、一段発泡粒子を得る。その後、一段発泡粒子に内圧を付与する。より具体的には、一段発泡粒子を耐圧容器内に入れた後、耐圧容器内を空気や二酸化炭素等の無機ガスで加圧して発泡粒子に無機ガスを含浸させる。これにより、一段発泡粒子の気泡内の圧力を大気圧以上とする。その後、耐圧容器から取り出した一段発泡粒子を、その気泡内の圧力よりも低圧の環境下でスチームや加熱空気などの加熱媒体を用いて加熱することにより一段発泡粒子を二段発泡させる。
(発泡粒子成形体)
前記発泡粒子を型内成形することにより、発泡粒子成形体を得ることができる。成形体は、開放気泡構造を有する。開放気泡構造は、成形体の外部と連通した微小な空間部分である。開放気泡構造は、複数の発泡粒子の溝が相互に連通して形成される空隙、発泡粒子の溝が発泡粒子間に形成される空隙と連通して形成される空隙、発泡粒子間の空隙が連通して形成される空隙、成形体を構成する発泡粒子の連続気泡部分などが、複雑につながって形成される。
成形体の開放気泡率は2%以上12%以下である。成形体の開放気泡率を前記特定の範囲とすることにより、養生工程を省略しても、成形体の著しい収縮、変形等を抑制するとともに、成形体の外観及び剛性を向上させることができる。これは、成形体が上記特定の割合で開放気泡構造を有することにより、離型後、速やかに成形体内部の気泡まで空気が流入し、成形体全体の内圧が高められる結果、成形体の寸法が早期に安定化しやすくなるためであると考えられる。
成形体の開放気泡率が低すぎる場合には、養生工程を省略すると、成形体が著しく収縮、変形し、所望の形状の成形体が得られなくなるおそれがある。養生工程を省略しても、成形体の著しい収縮、変形等をより抑制することができる観点から、成形体の開放気泡率は、2%以上とする。同様の観点から、成形体の開放気泡率は、2.5%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、4%以上であることが更に好ましい。一方、成形体の開放気泡率が高すぎる場合には、成形体の外観が悪くなると共に、剛性が低下するおそれがある。また、用途によっては漏水防止性が不足するおそれがある。成形体の外観、剛性及び漏水防止性をより向上させることができるという観点から、成形体の開放気泡率は、12%以下とする。同様の観点から、成形体の開放気泡率は、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、7.5%以下であることが特に好ましく、6%以下であることが最も好ましい。
成形体の開放気泡率は、ASTM-D6226-10に準拠し、同規格の補足X1.3に記載の手順2に従い、測定用サンプルの切り出し時に破壊される独立気泡の影響の補正を行うことにより測定される。具体的には、まず、成形体を23℃の温度で12時間静置して成形体の状態を調節する。次いで、成形体の中心部から、縦2.5cm×横2.5cm×高さ2.5cmの立方体形状の第1試験片を切り出し、その幾何学的体積Va(単位:cm3)、つまり、縦寸法(単位:cm)と横寸法(単位:cm)と高さ寸法(単位:cm)との積を算出する。次に、乾式自動密度計(具体的には、島津製作所社製アキュピックII1340)を使用して第1試験片の真の体積V1(単位:cm3)を測定する。この際、パージ工程(purging step)及び試験工程(testing step)において適用される圧力は5kPaとする。また、手順9.13及び9.14において、圧力の変化率が0.100kPa/min以下となるまで待機し、圧力を記録する。
その後、第1試験片を8等分にし、縦1.25cm×横1.25cm×高さ1.25cmの立方体形状の第2試験片を作製する。そして、第1試験片の真の体積V1の測定方法と同様の方法により、個々の第2試験片の真の体積(単位:cm3)を測定する。その後、個々の第2試験片の真の体積を合計し、第2試験片の真の体積V2を求める。
このようにして得られた第1試験片の幾何学的体積Vaと、第1試験片の真の体積V1と、第2試験片の真の体積V2(単位:cm3)とを用い、下記式(2)に基づいて第1試験片の開放気泡率(単位:%)を算出する。なお、このようにして測定される開放気泡率は、第1試験片から第2試験片を切り出す際に破壊される独立気泡の影響を補正した値であり、補正連続気泡率とも呼ばれる。
開放気泡率=(Va-2V1+V2)×100/Va ・・・(2)
以上の操作を5個の第1試験片について行い、各第1試験片の開放気泡率を算出する。そして、5個の第1試験片における開放気泡率の算術平均値を成形体の開放気泡率Coとする。
なお、本明細書における開放気泡率Coは上記のようにASTM-D6226-10に準拠し、補足X1.3に記載の手順2に従ってサンプルの切り出しの影響を補正して測定される物性値であり、ASTM-D6226-10に準拠して測定される成形体の独立気泡率をもとに算出することはできない物性値である。すなわち、前述の方法により測定される成形体の開放気泡率Coは、ASTM-D6226-10に準拠して測定される成形体の独立気泡率Bpとは下記式(3)に示す関係を有している。
Co≠100-Bp ・・・(3)
前記方法により測定される開放気泡率Coは、試験片を切り出した際に破壊される独立気泡の影響を補正しているのに対し、ASTM-D6226-10に記載された方法に準拠して測定される成形体の独立気泡率Bpは、試験片を切り出した際に破壊される独立気泡の影響が補正されていない。従って、成形体の開放気泡率Coは、独立気泡率Bpとは異なる概念を有する物性値である。また、試験片を切り出した際に破壊される独立気泡の割合は、発泡粒子成形体を構成する発泡粒子の形状(つまり、溝の有無や溝の断面積等)や発泡粒子の独立気泡率の影響を大きく受ける。さらに、試験片を切り出した際に破壊される独立気泡の割合は、発泡粒子成形体の成形条件(つまり、成形圧、発泡粒子の内圧、充填方法等)等によっても影響を受ける。したがって、開放気泡率Coの値は、ASTM-D6226-10に準拠して測定される成形体の独立気泡率の値をもとに推定することも困難である。なお、ASTM-D2856-70手順Cに準拠して測定される成形体の独立気泡率は、ASTM-D6226-10に準拠して測定される成形体の独立気泡率Bpと技術的に等価であるため、開放気泡率Coの値は、ASTM-D2856-70手順Cに準拠して測定される成形体の独立気泡率の値をもとに推定することも困難である。
また、本明細書における開放気泡率Coは、成形体の空隙率とも異なる概念を有する物性値である。成形体の空隙率は、例えば次のようにして測定、算出される。具体的には、まず、成形体の中心部から直方体形状(例えば、縦20mm×横100mm×高さ20mm)の試験片を切り出す。次いで、エタノールを入れたメスシリンダー中にこの試験片を沈め、エタノールの液面の上昇分から試験片の真の体積Vc(単位:L)を求める。また、試験片の外形寸法から見掛けの体積Vd(単位:L)を求める。成形体の空隙率(単位:%)は、以上により得られる試験片の真の体積Vcと見掛けの体積Vdを用い、下記式(4)により表される。
空隙率=[(Vd-Vc)/Vd]×100・・・(4)
このように、成形体の空隙率の測定においても、試験片を切り出した際に破壊される独立気泡は考慮されていない。また、測定のための媒体としてエタノール等の液体を用いる点で上記開放気泡率Coの測定方法とは異なる。したがって、開放気泡率Coの値は、成形体の空隙率の値をもとに推定することも困難である。なお、成形体の空隙率は、開放気泡率Coよりも必ず大きな値となる。
成形体の独立気泡率は、90%以上であることが好ましく、91%以上であることがより好ましく、92%以上であることがさらに好ましい。この場合には、成形体の外観や剛性をより向上させることができる。
成形体の独立気泡率は、ASTM-D6226-10に準じて測定される。具体的には、まず、成形体の中心部から縦25mm×横25mm×高さ25mmの試験体を切り出し、試験体の幾何学的体積Va(単位:cm3)、つまり、縦寸法(単位:cm)と横寸法(単位:cm)と高さ寸法(単位:cm)との積を算出する。次に、ASTM-D6226-10に記載されている手順に準じ、空気比較式比重計(具体的には、島津製作所社製のアキュピックII1340)により、試験体の真の体積の値Vxを測定する。この際、パージ工程(purging step)及び試験工程(testing step)において適用される圧力は5kPaとする。また、手順9.13及び9.14において、圧力の変化率が0.100kPa/min以下となるまで待機し、圧力を記録する。なお、空気比較式比重計により得られる真の体積の値Vxは、測定用サンプルを構成する樹脂の容積と、測定用サンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和(単位:cm3)である。
試験体の独立気泡率(単位:%)は、試験体の質量W(単位:g)と、発泡粒子を構成する樹脂の密度ρ(単位:g/cm3)と、前述した方法により得られる試験体の幾何学的体積Va及び試験体の真の体積Vxとを用い、下記式(5)により表される。
独立気泡率=(Vx-W/ρ)×100/(Va-W/ρ)・・・(5)
以上の操作を5個の試験体について行い、各試験体の独立気泡率を算出する。そして、これら5個の試験体における独立気泡率の算術平均値を成形体の独立気泡率とする。
養生工程を省略しても寸法変化をより十分に抑制することができるという観点から、成形体の空隙率は4%以上であることが好ましく、4.5%以上であることがより好ましく、5%以上であることがさらに好ましい。一方、剛性や外観がより向上するという観点から、成形体の空隙率は12%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、8%以下であることがさらに好ましい。成形体の空隙率は、上述の測定方法により測定することができる。
成形体密度は10kg/m3以上60kg/m3以下であることが好ましい。この場合には、成形体の軽量性と剛性とをバランスよく向上させることができる。成形体の剛性がより向上するという観点から、成形体密度は15kg/m3以上であることがより好ましく、20kg/m3以上であることがさらに好ましい。成形体の軽量性がより向上するという観点から、成形体密度は50kg/m3以下であることがより好ましく、45kg/m3以下であることがさらに好ましい。成形体密度は、成形体の質量(単位:g)を成形体の外形寸法から求められる体積(単位:L)で除し、単位換算することにより算出される。なお、例えば成形体が少なくとも部分的に複雑形状を有し、成形体の外形寸法から体積を求めることが容易でない場合には、水没法により成形体の体積を求めることができる。
従来、密度の小さい成形体を製造する場合、離型後に成形体が著しく変形しやすいため、養生工程を省略することは特に困難であった。これに対し、前記発泡粒子成形体は、密度が小さい場合であっても養生工程を省略することが可能であり、無養生でも所望形状で、外観、剛性に優れている。この効果を有効に発揮するという観点からも、成形体密度を上記範囲にすることが好ましい。
成形体は、例えば、自動車などの車両分野、建築分野等の種々の分野における吸音材、衝撃吸収材、緩衝材等にも用いられる。
(発泡粒子成形体の製造方法)
前記発泡粒子成形体を作製するに当たっては、例えば、前記発泡粒子を成形型内に充填した後、成形型内に加熱媒体としてのスチームを供給して型内成形を行えばよい。具体的には、まず、所望する成形体の形状に対応したキャビティを有する成形型内に、発泡粒子を充填する。発泡粒子の充填が完了した後、成形型内にスチームを供給して発泡粒子を加熱する。成形型内の発泡粒子は、スチームによって加熱され、二次発泡しつつ相互に融着する。これにより、成形型内の発泡粒子を一体化させ、成形体を形成することができる。
発泡粒子の加熱が完了した後、成形型内の成形体を冷却して形状を安定させる。その後、成形型から成形体を取り出すことにより、型内成形が完了する。前記製造方法においては、必要に応じて、離型後の成形体を例えば60℃から80℃程度の温度に調整された高温雰囲気下で所定時間静置させる養生工程を行ってもよいが、離型後の成形体に高温雰囲気下での養生工程を行わない場合にも成形体の収縮や変形を抑制することができる。養生工程を省略する場合には、例えば、離型後の成形体をたとえば23℃の環境中で12時間静置することにより、成形体の形状を安定させることができる。
前記製造方法においては、例えば以下の方法により成形体の開放気泡率を2%以上12%以下の範囲内に調整することができる。
まず、発泡粒子として、前記特定の形状を備え、独立気泡率が前記特定の範囲内である発泡粒子を使用する。発泡粒子が溝を有しない場合には、成形体の開放気泡率の値を2%以上とすることが困難となる。
また、成形体の開放気泡率は、発泡粒子における発泡粒子の平均断面積Aに対する溝1つ当たりの平均断面積Caの比Ca/A及び発泡粒子の平均断面積Aに対する溝の合計断面積Ctの比Ct/Aが高いほど大きくなる傾向がある。従って、比Ca/A及び/または比Ct/Aが低すぎる場合には開放気泡率が2%未満となりやすく、比Ca/A及び/または比Ct/Aが高すぎる場合には開放気泡率が12%よりも高くなりやすい。
また、成形体の開放気泡率は、発泡粒子の平均外径Dに対する前記発泡粒子の軸方向における平均長さLの比L/Dが高くなるほど大きくなる傾向がある。それ故、比L/Dが高すぎる場合にも、開放気泡率が12%よりも高くなりやすい。
さらに、発泡粒子の独立気泡率が低い場合には、発泡粒子自体に含まれる開放気泡が多くなるため、成形体の開放気泡率が高くなりやすい。従って、独立気泡率が90%以上である発泡粒子を用いて型内成形を行うことにより、成形体の開放気泡率の過度な上昇を容易に回避することができる。
また、このような特定の発泡粒子を用いて型内成形することに加えて、例えば、型内成形における条件を以下のように制御することによって、成形体の開放気泡率を2%以上12%以下の範囲内により容易に調整することができる。
成形型内に充填する前の発泡粒子に内圧を付与すると、成形時に二次発泡し易くなるため開放気泡率が小さくなる傾向がある。また、発泡粒子の内圧を高くすると、成形時により膨らみ易くなるため開放気泡率が小さくなる傾向がある。開放気泡率が小さくなりすぎることをより容易に回避し、開放気泡率2%以上である成形体をより安定して製造する観点、成形体の生産効率の観点からは、成形型内に充填する発泡粒子の内圧は、0.1MPa(G)(G:ゲージ圧)以下であることが好ましく、0.05MPa(G)以下であることがより好ましく、0.03MPa(G)以下であることがさらに好ましく、0MPa(G)、つまり、発泡粒子に内圧を付与せずに成形することが特に好ましい。なお、気泡内の圧力(内圧)は、例えば特開2003-201361号公報に記載された方法により測定することができる。
また、充填が完了した時点における成形型内の発泡粒子が圧縮された状態となるように充填を行うと、発泡粒子間の間隙が埋まり易くなる。例えば、充填完了時に成形型内に充填された発泡粒子の充填率を高めると開放気泡率が小さくなる傾向があり、充填率を低めると開放気泡率が大きくなる傾向がある。従って、発泡粒子の充填率を調整することにより、開放気泡率を所望の範囲に調整することができる。
発泡粒子を圧縮する方法としては、例えば、クラッキング充填法を採用することができる。クラッキング充填法とは、発泡粒子を成形型内に充填する際に、成形型内の体積を超える量の発泡粒子を効率よく充填するために、成形型を完全に閉鎖させないようにする成形型の開き部分を設ける方法である。この開き部分をクラッキングと呼び、成形型内の体積に対する開き部分の体積の比率(単位:%)をクラッキング量という。なお、クラッキングは、成形型内に発泡粒子を充填後、スチームを導入する際には最終的に閉じられており、その結果充填された発泡粒子は機械的に圧縮される。クラッキング充填法により発泡粒子を成形型内に充填する場合、クラッキング量は、通常5%以上35%以下の範囲内にすることが好ましく、8%以上30%以下の範囲内にすることがより好ましく、10%以上25%以下の範囲内にすることがさらに好ましい。
なお、前述したクラッキング充填法に替えて、加圧気体等により予め圧縮された状態の発泡粒子を成形型に充填する、圧縮充填法(例えば、特公平4-46217号公報に記載の方法)等の方法を採用することもできる。
また、型内成形時の成形温度(具体的には、成形圧)を高くすると、開放気泡率が小さくなる傾向があり、成形温度(具体的には、成形圧)を低くすると、開放気泡率が大きくなる傾向がある。ただし、成形体の生産効率の観点からは、低い成形圧で成形することが好ましい。かかる観点から、成形圧は、例えばゲージ圧において0.18MPa(G)以上0.30MPa(G)以下の範囲にすることが好ましく、0.22MPa(G)以上0.28MPa(G)以下の範囲にすることがより好ましい。
なお、前述した製造条件は一例であり、最終的に得られる成形体の開放気泡率が2%以上12%以下となるように発泡粒子を成形すれば、無養生成形でありながら、所望形状を有し、外観、剛性に優れた成形体を製造することができる。
前記発泡粒子、発泡粒子成形体及びその製造方法の実施例を説明する。
(ポリプロピレン系樹脂)
表1に、発泡粒子の製造に使用した結晶性熱可塑性樹脂としてのポリプロピレン系樹脂の性状等を示す。なお、本例において使用したエチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体は、いずれもランダム共重合体である。また、表1に示すPP1及びPP2の密度は、900kg/m3である。
Figure 2023118116000002
<ポリプロピレン系樹脂のモノマー成分含有量>
ポリプロピレン系樹脂(具体的には、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体)のモノマー成分含有量は、IRスペクトルにより決定する公知の方法により求めた。具体的には、高分子分析ハンドブック(日本分析化学会高分子分析研究懇談会編、出版年月:1995年1月、出版社:紀伊国屋書店、ページ番号と項目名:615~616「II.2.3 2.3.4 プロピレン/エチレン共重合体」、618~619「II.2.3 2.3.5 プロピレン/ブテン共重合体」)に記載されている方法、つまり、エチレン及びブテンの吸光度を所定の係数で補正した値とフィルム状の試験片の厚み等との関係から定量する方法により求めた。
より具体的には、まず、ポリプロピレン系樹脂を180℃の環境下でホットプレスしてフィルム状に成形し、厚みの異なる複数の試験片を作製した。次いで、各試験片のIRスペクトルを測定することにより、エチレン由来の722cm-1及び733cm-1における吸光度(A722、A733)と、ブテン由来の766cm-1における吸光度(A766)とを読み取った。次いで、各試験片について、以下の式(6)~(8)を用いてポリプロピレン系樹脂中のエチレン成分含有量(単位:質量%)を算出した。各試験片について得られたエチレン成分含有量を算術平均した値をポリプロピレン系樹脂中のエチレン成分含有量(単位:質量%)とした。
(K´733c=1/0.96{(K´733a-0.268(K´722a}・・・(6)
(K´722c=1/0.96{(K´722a-0.150(K´733a}・・・(7)
エチレン成分含有量=0.575{(K´722c+(K´733c}・・・(8)
ただし、式(6)~(8)におけるK´aは各波数における見かけの吸光係数(K´a=A/ρt)であり、K´cは補正後の吸光係数であり、Aは吸光度であり、ρは樹脂の密度(単位:g/cm3)であり、tはフィルム状の試験片の厚み(単位:cm)である。なお、上記式(6)~(8)はランダム共重合体に適用することができる。
また、各試験片について、以下の式(9)を用いてポリプロピレン系樹脂中のブテン成分含有量を算出した。各試験片について得られたブテン成分含有量を算術平均した値をポリプロピレン系樹脂中のブテン成分含有量(単位:質量%)とした。
ブテン成分含有量=12.3(A766/L)・・・(9)
ただし、式(9)におけるAは吸光度であり、Lはフィルム状の試験片の厚み(単位:mm)である。
<ポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率>
ポリプロピレン系樹脂を230℃でヒートプレスして4mmのシートを作製し、このシートから長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を切り出した。この試験片の曲げ弾性率を、JIS K7171:2008に準拠して求めた。なお、圧子の半径R1及び支持台の半径R2は共に5mmであり、支点間距離は64mmであり、試験速度は2mm/分である。
<ポリプロピレン系樹脂の融点>
ポリプロピレン系樹脂の融点は、JIS K7121:1987に基づき求めた。具体的には、まず、JIS K7121:1987に記載の「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を測定する場合」に基づいてポリプロピレン系樹脂からなる試験片の状態を調節した。状態調節後の試験片を10℃/分の加熱速度で30℃から200℃まで昇温することによりDSC曲線を取得した。そして、DSC曲線に現れた融解ピークの頂点温度を融点とした。なお、測定装置としては、熱流束示差走査熱量測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製、型番:DSC7020)を用いた。
<ポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレイト>
ポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレイト(つまり、MFR)は、JIS K7210-1:2014に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
次に、本例において用いた発泡粒子の構成及び製造方法を説明する。
(発泡粒子A)
発泡粒子Aは、表2に示すように、PP1(表1参照)を基材樹脂とする発泡層と、PP3(表1参照)を基材樹脂とし、発泡層を被覆する非発泡状態の被覆層とを備えた多層構造を有している。発泡粒子Aは、図10及び図11に示すように、その軸方向、つまり、底面11と頂面12とを結ぶ方向に対して垂直な断面の形状(つまり、発泡粒子の切断面の形状)が十字状となる柱状形状を有している。発泡粒子Aの側周面13は被覆層4に覆われており、被覆層4の内側は発泡層2から構成されている。また、発泡粒子Aの側周面13には、4本の溝3が等間隔に配置されている。発泡粒子Aの溝3は、V字状の断面形状を有している。発泡粒子Aは、貫通孔を有していない。
発泡粒子Aを作製するに当たっては、まず、芯層形成用押出機と、被覆層形成用押出機と、これら2台の押出機に接続された共押出ダイとを備えた共押出装置を用い、共押出装置から押し出された押出物をストランドカット法により切断して多層樹脂粒子を作製した。具体的には、芯層形成用押出機において、基材樹脂としてのPP1と気泡調整剤としてのホウ酸亜鉛とを溶融混練し、芯層形成用樹脂溶融混練物を得た。なお、芯層形成用押出機における最高設定温度は245℃とし、ホウ酸亜鉛の配合量はポリプロピレン系樹脂の質量に対して500質量ppmとした。また、これと並行して、被覆層形成用押出機において、基材樹脂としてのPP3を最高設定温度245℃にて溶融混練して被覆層形成用樹脂溶融混練物を得た。
これらの樹脂溶融混練物を共押出し、ダイ内で合流させることにより、非発泡状態の芯層と、芯層の側周面を被覆する非発泡状態の被覆層とからなる複合体を形成した。この複合体をダイから押出した後、押出物を引き取りながら水中で冷却し、ペレタイザーを用いて適当な長さに切断することにより、押出方向に垂直な断面の断面形状が十字状であり、芯層と該芯層の側周面を被覆する被覆層とからなる多層樹脂粒子を得た。多層樹脂粒子における、芯層と被覆層との質量比は、芯層:被覆層=95:5(つまり、被覆層の質量比が5%)とした。また、多層樹脂粒子1個当たりの質量は約1.5mgとした。
次に、ダイレクト発泡法により多層樹脂粒子を発泡させて発泡粒子Aを得た。具体的には、多層樹脂粒子1kgを、分散媒としての3Lの水とともに5Lの密閉容器内に投入した。次いで、密閉容器内に、多層樹脂粒子100質量部に対して0.3質量部の分散剤と、0.004質量部の分散助剤とを添加し、多層樹脂粒子を分散媒中に分散させた。分散剤としてはカオリンを使用した。また、分散助剤としては界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。
その後、発泡剤としての二酸化炭素を密閉容器内に添加した後、密閉容器を密閉し、密閉容器内を攪拌しながら表2に示す発泡温度まで加熱した。このときの容器内圧力(含浸圧力または二酸化炭素圧力ともいう)は表2に示す通りであった。表2に示す発泡温度を15分保持した後、容器の内容物を大気圧下に放出することにより、芯層が発泡してなる発泡層と、発泡層を被覆する非発泡状態の被覆層とを備えた発泡粒子Aを得た。発泡粒子Aの嵩倍率は36.7倍であった。なお、嵩倍率の測定方法については後述する。
(発泡粒子B)
発泡粒子Bの製造方法は、芯層の基材樹脂としてPP2を使用し、発泡時の発泡温度及び容器内圧力を表2に示す値に変更した以外は発泡粒子Aの製造方法と同様である。発泡粒子Bの嵩倍率は36.0倍であった。
(発泡粒子C)
発泡粒子Cを作製するに当たっては、発泡粒子Aの作製に用いた樹脂粒子と同様の樹脂粒子を二段階で発泡させた。具体的には、発泡粒子Aの作製時と同様の条件により樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子を表2に示す条件でダイレクト発泡法により発泡させ、嵩倍率15.0倍の一段発泡粒子を得た。その後、一段発泡粒子を23℃で24時間乾燥させた。
次に、乾燥後の一段発泡粒子を耐圧容器内に入れ、耐圧容器内を空気で加圧することにより、空気を気泡内に含浸させて発泡粒子の気泡内の内圧を高めた。耐圧容器から取り出した一段発泡粒子における気泡内の圧力は表2に示す通りであった。耐圧容器から取り出した一段発泡粒子を金属製のドラムに入れた後、表2の「ドラム圧力」欄に示す圧力を有するスチームをドラム内に供給し、一段発泡粒子を大気圧下で加熱した。以上により、一段発泡粒子をさらに発泡させて発泡粒子C(二段発泡粒子)を得た。発泡粒子Cの嵩倍率は36.7倍であった。
(発泡粒子D)
発泡粒子Dは貫通孔を有しない柱状形状を有している。また、発泡粒子Dの切断面は十字状である。発泡粒子Dにおける発泡粒子の平均断面積Aに対する溝の合計断面積の比Ct/Aは、表2に示すように発泡粒子Aに比べて大きい。発泡粒子Dの製造方法は、樹脂粒子における溝の断面積が大きくなるようダイの形状を変更するとともに、発泡条件を表2に示すように変更した以外は発泡粒子Aの製造方法と同様である。
(発泡粒子E)
発泡粒子Eは、貫通孔を有さず、側周面に溝を有さない円柱形状を有している。発泡粒子Eを作製するに当たっては、まず、PP1を基材樹脂とする芯層と、PP3を基材樹脂とする被覆層とを備えた円柱状の樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子に、表2に示す条件で一段発泡工程を行い、嵩倍率15.0倍の一段発泡粒子を得た。そして、一段発泡粒子に表2に示す条件で二段発泡工程を行い、一段発泡粒子をさらに発泡させて発泡粒子E(二段発泡粒子)を得た。発泡粒子Eの嵩倍率は35.7倍である。
(発泡粒子F)
発泡粒子Fは、側周面に溝を有さず、中心軸に沿って貫通孔が設けられた円筒形状を有している。なお、発泡粒子Fの軸方向に対して垂直な切断面における貫通孔の断面形状は略円形であり、その平均孔径は1.55mmである。発泡粒子Fを作製するに当たっては、まず、PP1を基材樹脂とする芯層と、PP3を基材樹脂とする被覆層とを備えた円筒状の樹脂粒子(表2参照)を作製した。この樹脂粒子を表2に示す条件で発泡させた。発泡粒子Fの嵩倍率は36.2倍である。
(発泡粒子G)
発泡粒子Gの製造方法は、芯層の基材樹脂をPP2として樹脂粒子を作製したこと、及びこの樹脂粒子を表2に示す条件で発泡させたことを除いては発泡粒子Fの製造方法と同様である。発泡粒子Gの嵩倍率は36.0倍である。
(発泡粒子H)
発泡粒子Hは貫通孔を有しない柱状形状を有している。また、発泡粒子Hの軸方向に対して垂直な切断面は十字状である。発泡粒子Hにおける発泡粒子の平均外径Dに対する発泡粒子の軸方向における平均長さLの比L/Dは、表2に示すように発泡粒子Aに比べて大きい。発泡粒子Hの製造方法は、樹脂粒子における比L/Dが大きくなるよう樹脂粒子を切断したこと、及び発泡条件を表2に示すように変更した以外は発泡粒子Aの製造方法と同様である。
次に、前述した発泡粒子A~発泡粒子Hを用いて以下の方法により成形体を作製した。
(実施例1~3、実施例5、比較例1~3及び比較例5~6)
まず、表3及び表4に示す発泡粒子を23℃で24時間乾燥させた後、空気を含浸させて内圧、つまり気泡内の圧力を表3及び表4の「粒子内圧」欄に示す値まで高めた。なお、発泡粒子の内圧は、以下のようにして測定される値である。成形型内に充填する直前の、内圧が高められた状態の発泡粒子群の質量Q(単位:g)及び48時間経過後の発泡粒子群の質量U(単位:g)を測定し、QとUとの差を増加空気量W(単位:g)とした。これらの値を用い、下記式(10)に基づいて発泡粒子の内圧(単位:MPa(G))を算出した。
P=(W/M)×R×T/V ・・・(10)
ただし、前記式(10)におけるMは空気の分子量であり、Rは気体定数であり、Tは絶対温度であり、Vは発泡粒子群の見掛け体積から発泡粒子群中に占める基材樹脂の体積を差し引いた体積(単位:L)である。本例では、M=28.8(g/mol)、R=0.0083(MPa・L/(K・mol))、T=296(K)とした。
次に、クラッキング充填法により縦300mm×横250mm×厚さ60mmの平板成形型に発泡粒子を充填した。充填時のクラッキング量、つまり、厚さ方向の内寸法に対する成形型の型開き量の比率は表3及び表4に示す値とし、充填が完了した後、成形型を厚み方向に型締めして発泡粒子を機械的に圧縮した。
本例において成形型に充填された発泡粒子の充填率は表3及び表4に示す通りであった。なお、発泡粒子の充填率(単位:%)は、成形型内に充填された発泡粒子の質量a(単位:kg)、発泡粒子の嵩密度b(単位:kg/m3)及び成形型の内容積c(単位:m3)を用い、下記式(11)により表される。
充填率=[{a/(b×c)}-1]×100 ・・・(11)
成形型を型締めした後、成形型の両面からスチームを5秒供給して予備加熱する排気工程を行った。その後、表3及び表4に示す本加熱時の成形圧より0.08MPa(G)低い圧力に達するまで、成形型の一方の面側からスチームを供給して一方加熱を行った。次に、本加熱時の成形圧より0.04MPa(G)低い圧力に達するまで成形型の他方の面側よりスチームを供給して一方加熱を行った。その後、表3及び表4に示す成形圧に達するまで成形型の両面からスチームを供給して本加熱を行った。本加熱が完了した後、成形型内の圧力を解放し、成形体の発泡力による表面圧力が0.04MPa(G)になるまで成形型内において成形体を冷却した。その後、成形型から成形体を取り出した。
(実施例4)
実施例4の成形体の製造方法は、発泡粒子Aへの内圧の付与を行わなかったこと、及びクラッキング量を表3に示す値に変更したこと以外は実施例1の成形体の製造方法と同様である。
(比較例4)
比較例4の成形体の製造方法は、クラッキング充填法に替えて圧縮充填法により発泡粒子Fを成形型内に充填したこと、成形型への発泡粒子Fの充填率、粒子内圧及び成形圧を表4に示す値に変更した以外は比較例2の成形体の製造方法と同様である。なお、本例においては、成形型を閉鎖した状態で発泡粒子を充填したため、表4のクラッキング量の欄には「-」と表示した。
実施例及び比較例において用いた発泡粒子及び成形体の諸特性を表2~表4に示す。表2~表4に示す諸特性の評価方法は以下の通りである。
(発泡粒子の評価)
発泡粒子の物性測定及び評価には、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて24時間静置して状態調節した後の発泡粒子を使用した。
<平均外径Dと平均長さLとの比L/D>
まず、状態調節後の発泡粒子群から無作為に選択した100個の発泡粒子について、ノギスを用いて軸方向の最大長さを測定し、これらの算術平均値を発泡粒子の軸方向の平均長さL(単位:mm)とした。これらの発泡粒子を軸方向の中央位置において軸方向に垂直な面で切断し、図11に例示する発泡粒子の切断面を露出させた。次に、発泡粒子の切断面の写真を撮影し、画像解析を行うことにより個々の発泡粒子の外径dを計測した。具体的には、切断面における発泡粒子の輪郭上に、互いの距離が最も長くなるように2つの点P3、P4を設定し、これらの2点間の距離を切断面における個々の発泡粒子の外径dとした。そして、100個の発泡粒子の外径dの算術平均値を、切断面における発泡粒子の平均外径D(単位:mm)とした。表2に、以上により得られた発泡粒子の平均外径D、発泡粒子の平均長さL及び両者の比L/Dを示す。
<嵩倍率・嵩密度>
状態調節後の発泡粒子をメスシリンダー内に自然に堆積するようにして充填し、メスシリンダーの目盛から発泡粒子群の嵩体積(単位:L)を読み取った。その後、メスシリンダー内の発泡粒子群の質量(単位:g)を前述した嵩体積で除し、さらに単位換算することにより、発泡粒子の嵩密度(単位:kg/m3)を算出した。また、発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂の密度(単位:kg/m3)を発泡粒子の嵩密度で除することにより、発泡粒子の嵩倍率を算出した。
<見掛け密度>
状態調節後の発泡粒子群の質量を測定した後、温度23℃のエタノールが入ったメスシリンダー内に金網を使用して沈めた。そして、金網の体積を考慮し、水位上昇分より読みとられる発泡粒子群の容積を測定した。このようにして得られた発泡粒子群の質量(単位:g)を容積(単位:L)で除した後、単位を換算することにより、発泡粒子の見掛け密度(単位:kg/m3)を算出した。また、表2の「見掛け密度/嵩密度」欄に、前述した方法により得られた嵩密度に対する見掛け密度の比を示す。
<独立気泡率>
発泡粒子の独立気泡率は、ASTM-D6226-10に基づき空気比較式比重計を用いて測定した。具体的には、次のようにして求めた。状態調節後の嵩体積約20cm3の発泡粒子を測定用サンプルとし、エタノール没法により正確に見掛けの体積Vaを測定した。見掛けの体積Vaを測定した測定用サンプルを十分に乾燥させた後、ASTM-D6226-10に記載されている手順に準じ、島津製作所社製アキュピックII1340により測定される測定用サンプルの真の体積の値Vxを測定した。なお、前記真の体積Vxの測定では、パージ工程(purging step)及び試験工程(testing step)において適用される圧力は5kPaとした。また、手順9.13及び9.14において、圧力の変化率が0.100kPa/min以下となるまで待機し、圧力を記録した。そして、これらの体積の値Va及びVxを用い、下記の式(1)に基づいて測定用サンプルの独立気泡率(単位:%)を計算した。
独立気泡率=(Vx-W/ρ)×100/(Va-W/ρ)・・・(1)
以上の操作を異なる測定用サンプルを用いて5回行い、これら5回の測定により得られる独立気泡率の算術平均値を発泡粒子の独立気泡率とした。
なお、前記式(1)における記号の意味は以下の通りである。
Vx:上記方法で測定される測定用サンプルの真の体積、即ち、発泡粒子を構成する樹脂の容積と、発泡粒子内の独立気泡部分の気泡全容積との和(単位:cm3
Va:測定用サンプルを、エタノールの入ったメスシリンダーに沈めた際の水位上昇分から測定される測定用サンプルの見掛けの体積(単位:cm3
W:測定用サンプルの質量(単位:g)
ρ:発泡粒子を構成する樹脂の密度(単位:g/cm3
<発泡粒子の高温ピーク熱量>
状態調節を行った後の発泡粒子1個を用い、JIS K7121:1987に準拠して示差走査熱量測定を行うことによりDSC曲線を取得した。なお、DSCにおける測定開始温度は23℃、測定終了温度は200℃、加熱速度は10℃/分とした。また、測定装置としてはティー・エイ・インスツルメント社製「DSC.Q1000」を使用した。前述した方法により得られたDSC曲線における高温ピークの面積を算出した。上記の測定を5個の発泡粒子について行い、得られた高温ピークの面積の算術平均値を高温ピーク熱量とした。
<切断面における発泡粒子の平均断面積A>
状態調節後の発泡粒子群から無作為に100個の発泡粒子を選択し、これらの発泡粒子をその軸方向における中央位置において軸方向に垂直な面で切断して発泡粒子の切断面を露出させた。次に、発泡粒子の切断面の写真を撮影し、画像解析を行うことにより個々の発泡粒子の断面積を計測した。そして、これらの算術平均値を発泡粒子の平均断面積Aとした。
<平均外径Dを有する仮想真円の面積B>
前述した方法により得られた切断面における発泡粒子の平均外径Dを用い、下記式(12)に基づいて平均外径Dを有する仮想真円の面積Bを算出した。また、表2に、平均外径Dを有する仮想真円の面積Bに対する切断面における発泡粒子の平均断面積Aの比A/Bの値を記載した。
B=πD2/4 ・・・(12)
<溝の合計断面積Ct、溝1つ当たりの平均断面積Ca>
状態調節後の発泡粒子群から無作為に100個の発泡粒子を選択し、これらの発泡粒子をその軸方向における中央位置において軸方向に垂直な面で切断して発泡粒子の切断面を露出させた。次に、発泡粒子の切断面の写真を撮影し、画像解析を行うことにより個々の発泡粒子の溝の断面積Cを計測した。具体的には、図11に例示するように、個々の溝3の外方に、発泡粒子の輪郭と2つの点P1、P2で接し、発泡粒子の内部を通らない接線L1を引いた。発泡粒子1の輪郭と接線L1とによって囲まれた領域の面積(つまり、図11における斜線部分の面積)を算出し、この面積を個々の溝3の断面積Cとした。そして、個々の発泡粒子について溝3の断面積Cの合計を算出した。また、溝3の断面積Cの合計をその発泡粒子に形成されている溝3の本数で除し、溝1つあたりの断面積を算出した。
以上の操作を100個の発泡粒子について行い、得られた溝の断面積の合計の算術平均値を溝の合計断面積Ctとし、溝1つ当たりの断面積の平均値を溝1つ当たりの平均断面積Caとした。また、表2には、切断面における発泡粒子の平均断面積Aに対する溝の合計断面積Ctの比Ct/A及び発泡粒子の平均断面積Aに対する溝1つ当たりの平均断面積Caの比Ca/Aを記載した。
<溝の平均深さH>
状態調節後の発泡粒子群から無作為に100個の発泡粒子を選択し、これらの発泡粒子をその軸方向における中央位置において軸方向に垂直な面で切断して発泡粒子の切断面を露出させた。次に、発泡粒子の切断面の写真を撮影し、画像解析を行うことにより個々の発泡粒子の溝の深さhを計測した。具体的には、図11に例示するように、個々の溝3の外方に、発泡粒子の輪郭と2つの点P1、P2で接し、発泡粒子の内部を通らない接線L1を引いた。この接線L1に対して垂直な方向における、接線L1から溝3の周縁(つまり、発泡粒子の輪郭)までの距離の最大値を個々の溝の深さhとした。そして、全ての溝について溝の深さhを測定し、これらの溝の深さhの算術平均値を発泡粒子の溝の平均深さHとした。また、表2には、切断面における発泡粒子の平均外径Dに対する溝の平均深さHの比H/Dを記載した。
(成形体の評価)
成形体の物性測定及び評価には、成形型から離型した後に養生工程を施さずに成形した成形体を用いた。具体的には、前述した成形体の製造方法において、離型後の成形体を相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて12時間静置して状態調節した後の成形体を使用した。
<成形体密度>
成形体の質量(単位:g)を成形体の外形寸法から求められる体積(単位:L)で除した後、単位換算することにより成形体密度(単位:kg/m3)を算出した。
<独立気泡率>
ASTM-D6226-10に準じて成形体の独立気泡率を測定した。具体的には、まず、成形体の中心部から縦25mm×横25mm×高さ25mmの試験体を切り出し、試験体の幾何学的体積Va(単位:cm3)、つまり、縦寸法(単位:cm)と横寸法(単位:cm)と高さ寸法(単位:cm)との積を算出した。次に、ASTM-D6226-10に記載されている手順Cに準じ、空気比較式比重計(具体的には、島津製作所社製のアキュピックII1340)により、試験体の真の体積Vxを測定した。この際、パージ工程(purging step)及び試験工程(testing step)において適用される圧力は5kPaとした。また、手順9.13及び9.14において、圧力の変化率が0.100kPa/min以下となるまで待機し、圧力を記録した。以上により得られた試験体の幾何学的体積Va及び真の体積Vxと、試験体の質量W(単位:g)と、発泡粒子を構成する樹脂の密度ρ(単位:g/cm3)とを用い、下記式(5)に基づいて試験体の独立気泡率(単位:%)を算出した。
独立気泡率=(Vx-W/ρ)×100/(Va-W/ρ)・・・(5)
以上の操作を5個の試験体について行い、各試験体の独立気泡率を算出した。そして、これら5個の試験体における独立気泡率の算術平均値を成形体の独立気泡率とした。
<開放気泡率Co>
ASTM-D6226-10に準拠し、同規格の補足X1.3に記載の手順2に従い、測定用サンプルの切り出し時に破壊される独立気泡の影響の補正を行うことにより開放気泡率Coを測定した。具体的には、まず、成形体を23℃の温度で12時間静置して成形体の状態を調節した。次いで、成形体の中心部から、縦2.5cm×横2.5cm×高さ2.5cmの立方体形状の第1試験片を切り出し、その幾何学的体積Va(単位:cm3)、つまり、縦寸法(単位:cm)と横寸法(単位:cm)と高さ寸法(単位:cm)との積を算出した。次に、乾式自動密度計(具体的には、島津製作所社製アキュピックII1340)を使用して第1試験片の真の体積V1(単位:cm3)を測定した。この際、パージ工程(purging step)及び試験工程(testing step)において適用される圧力は5kPaとした。また、手順9.13及び9.14において、圧力の変化率が0.100kPa/min以下となるまで待機し、圧力を記録した。
その後、第1試験片を8等分にし、縦1.25cm×横1.25cm×高さ1.25cmの立方体形状の第2試験片を作製した。そして、第1試験片の真の体積V1の測定方法と同様の方法により、個々の第2試験片の真の体積(単位:cm3)を測定した。その後、個々の第2試験片の真の体積を合計し、第2試験片の真の体積V2を算出した。
以上により得られた第1試験片の幾何学的体積Vaと、第1試験片の真の体積V1と、第2試験片の真の体積V2(単位:cm3)とを用い、下記式(2)に基づいて第1試験片の開放気泡率(単位:%)を算出した。
開放気泡率=(Va-2V1+V2)×100/Va ・・・(2)
以上の操作を5個の第1試験片について行い、各第1試験片の開放気泡率を算出した。そして、5個の第1試験片における開放気泡率の算術平均値を成形体の開放気泡率Coとした。
<成形体の空隙率>
成形体の中心部から縦20mm×横100mm×高さ20mmの直方体形状を有する試験片を切り出した。エタノールを入れたメスシリンダー中に試験片を沈め、エタノールの液面の上昇分から試験片の真の体積Vc(単位:L)を求めた。また、試験片の外形寸法から試験片の見掛けの体積Vd(単位:L)を求めた。以上により得られる試験片の真の体積Vcと見掛けの体積Vdを用い、下記式(4)に基づいて成形体の空隙率(単位:%)を算出した。
空隙率=[(Vd-Vc)/Vd]×100・・・(4)
<50%圧縮応力σ50
成形体の中心部から、縦50mm×横50mm×厚み25mmの角柱形状を有し、スキン面、つまり、型内成形時に成形型の内表面と接触していた面を含まない試験片を切り出した。JIS K6767:1999に基づき、圧縮速度10mm/分にて圧縮試験を行うことにより成形体の50%圧縮応力σ50(単位:kPa)を求めた。また、表3及び表4に、成形体の50%圧縮応力σ50を成形体密度で除した値(σ50/成形体密度)を記載した。
<表面性(外観)>
成形体の表面を目視観察し、下記基準に基づいて成形体の表面性を評価した。
A:成形体の表面に粒子間隙が少なく、かつ溝や貫通孔等に起因する凹凸が目立たない良好な表面状態を示す。
B:成形体の表面に粒子間隙および/または溝や貫通孔等に起因する凹凸がやや認められる。
C:成形体の表面に粒子間隙および/または溝や貫通孔等に起因する凹凸が比較的多く認められる。
D:成形体の表面に粒子間隙および/または溝や貫通孔等に起因する凹凸が著しく認められる。
<回復性>
成形体を厚み方向から見た平面視において、各頂点より中心方向に10mm内側となる4か所の位置における成形体の厚みと、中央部における成形体の厚みとをそれぞれ計測した。次いで、計測した箇所のうち最も厚みの厚い箇所の厚みに対する最も厚みの薄い箇所の厚みの比(単位:%)を算出した。表3及び表4の「回復性」欄には、厚みの比が95%以上である場合に「Good」と記載し、95%未満である場合に「Poor」と記載した。
<漏水防止試験>
前述した成形体の製造方法と同様の方法により、外寸が縦200mm、横150mm、高さ50mmであり、内寸が縦180mm、横130mm、高さ40mmであり、壁の厚みが10mmである箱状の成形体を製造した。この箱状の成形体に、0.9Lの水を入れ、23℃、50%RH、1atmの環境下で24時間静置した。表3及び表4の「漏水防止試験」欄には、成形体からの水漏れが観察されなかった場合に「Good」と記載し、水漏れが観察された場合に「Poor」と記載した。
<透水係数>
成形体の透水係数は、試験体として発泡粒子成形体を用い、JIS A1218に準じて定水位透水試験を行うことにより測定した。具体的には、成形体から、底面の円の直径が105mmであり、高さが50mmである円柱を2個切り出し、これらを重ねて定水位透水試験用の試験片を作製した。試験片の形状は、底面の円の直径が105mmであり、高さが100mmである円柱状である。表3及び表4の「透水係数」欄には、透水係数が0cm/sec以上0.001cm/sec未満の場合に記号「N」、0.001cm/sec以上0.008cm/sec未満の場合に記号「M」、0.008cm/sec以上の場合に記号「P」を記載した。
Figure 2023118116000003
Figure 2023118116000004
Figure 2023118116000005
表2に示したように、実施例1~5において用いた発泡粒子A~Cは、貫通孔を有さない柱状形状を有するとともに、その側周面に4つの溝を有している。また、これらの発泡粒子の嵩倍率、独立気泡率、比Ca/A、比Ct/A、平均外径D及び比L/Dはそれぞれ前記特定の範囲内である。表3に示すように、このような発泡粒子を型内成形することにより、養生工程を省略しても、所望の形状を有し、外観及び剛性に優れた発泡粒子成形体を得ることができる。
一方、比較例1において用いた発泡粒子Eは、表2に示すように、円柱形状を有し、その側周面に溝が設けられていない従来のポリプロピレン系樹脂発泡粒子である。このような発泡粒子は、型内成形時にスチームの通り道が形成されにくい。また、得られる成形体には開放気泡構造がほとんど形成されない。そのため、表4に示すように、比較例1の成形体は、成形型から離型した後で養生工程を施さない場合に著しく収縮、変形し、回復性が不合格となった。
表2に示すように、比較例2において用いた発泡粒子F及び比較例3において用いた発泡粒子Gは、貫通孔を備えた円筒形状を有している。表4に示すように、このような発泡粒子を型内成形すると、貫通孔に由来する開放気泡構造が形成される結果、成形体の開放気泡率が過度に高くなった。それ故、成形体の外観が悪く、剛性も低下した。また、これらの比較例の成形体は、漏水防止試験に合格することができなかった。
比較例4は、比較例2の成形体の開放気泡率を低減するため、粒子内圧をより高めるとともに、成形型への発泡粒子Fの充填率をより高めた例である。表4に示すように、比較例4においては、成形体の開放気泡率が過度に小さくなり、成形型から離型した成形体に養生工程を施さない場合に成形体が著しく収縮、変形して回復性が不合格となった。
表2に示すように、比較例5において用いた発泡粒子Dは、発泡粒子の平均断面積Aに対する溝の合計断面積Ctの比Ct/Aが過度に大きい。そのため、表4に示すように、比較例5の成形体は表面性に劣り、剛性も低下した。また、漏水防止試験も不合格となった。
表2に示すように、比較例6において用いた発泡粒子Hは、比L/Dが大きすぎる。そのため、表4に示すように、比較例6の成形体は表面性に劣り、剛性も低下した。また、漏水防止試験も不合格となった。
以上、実施例に基づいて本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子、結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体及びその製造方法の具体的な態様を説明したが、本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子等の具体的な態様は実施例の態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。
1 発泡粒子
2 発泡層
3 溝

Claims (13)

  1. 結晶性熱可塑性樹脂を基材樹脂とする発泡層を有し、嵩倍率が15倍以上90倍以下である型内成形用の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子であって、
    前記発泡粒子の独立気泡率が90%以上であり、
    前記発泡粒子が、貫通孔を有さない柱状形状を有するとともに、その側周面に少なくとも1つの溝を有しており、
    前記発泡粒子を軸方向の中央において軸方向に垂直な面で切断して得られる切断面における、前記発泡粒子の平均断面積Aに対する前記溝1つ当たりの平均断面積Caの比Ca/Aが0.01以上0.20以下であり、前記発泡粒子の平均断面積Aに対する前記溝の合計断面積Ctの比Ct/Aが0.02以上0.20以下であり、前記発泡粒子の平均外径Dが0.5mm以上10mm以下であり、
    前記発泡粒子の平均外径Dに対する前記発泡粒子の軸方向における平均長さLの比L/Dが0.5以上1.5以下である、結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
  2. 前記発泡粒子の前記切断面における、前記溝1つ当たりの平均断面積Caが0.05mm2以上1.2mm2以下である、請求項1に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
  3. 前記発泡粒子の前記切断面における、前記発泡粒子の平均外径Dに対する前記溝1つ当たりの平均深さHの比H/Dが0.20以下である、請求項1に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
  4. 前記発泡粒子の平均外径Dを直径とする仮想真円の面積Bに対する、前記発泡層の平均断面積Aの比A/Bが0.55以上0.90以下である、請求項1に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
  5. 前記発泡粒子の嵩密度に対する見掛け密度の比が1.7以上1.9以下である、請求項1に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
  6. 前記発泡粒子の平均外径Dに対する前記発泡粒子の軸方向における平均長さLの比L/Dが0.7を超え1.3未満である、請求項1に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
  7. 前記発泡粒子が2本以上6本以下の溝を有している、請求項1に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
  8. 前記結晶性熱可塑性樹脂が0.5質量%以上3.5質量%以下のエチレン成分を含むエチレン-プロピレンランダム共重合体である、請求項1に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
  9. 前記発泡粒子が前記発泡層を被覆する被覆層を有しており、前記被覆層の基材樹脂は前記結晶性熱可塑性樹脂の融点よりも低い融点または低い軟化点を有する熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子を型内成形してなる結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体。
  11. 前記発泡粒子成形体の開放気泡率が2%以上12%以下である、請求項10に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体。
  12. 請求項1~9のいずれか1項に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子を成形型内に充填し、
    その後、前記成形型内にスチームを供給して前記発泡粒子を相互に融着させることにより型内成形を行う、結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
  13. 前記発泡粒子に内圧を付与せずに、または、前記発泡粒子に0.1MPa(G)以下の内圧を付与した後に前記発泡粒子を前記成形型内に充填する、請求項12に記載の結晶性熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
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