JP2023116010A - カリウム添加ペロブスカイトおよびペロブスカイト太陽電池 - Google Patents

カリウム添加ペロブスカイトおよびペロブスカイト太陽電池 Download PDF

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淳二 城戸
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Abstract

【課題】新規カリウム添加ペロブスカイトと、高い光電変換効率と光照射時の高い安定性を備えたペロブスカイト太陽電池を提供する。【解決手段】少なくとも、基板2と、透明電極3と、正孔選択層4と、カリウム添加ペロブスカイトからなる活性層5と、電子輸送層6と、電子選択層7と、電極8とをこの順に有し、カリウム添加ペロブスカイトが、カリウムイオンと、塩基性添加剤からなるイオンと、ABX3(Aはメチルアンモニウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、セシウムイオンまたはルビジウムイオンを表し、Bは鉛イオンを表し、Xは塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンを表す。)とからなることを特徴とするペロブスカイト太陽電池。【選択図】図1

Description

本発明は、新規カリウム添加ペロブスカイトと、高い光電変換効率と光照射時の高い安定性を備えたペロブスカイト太陽電池に関する。
ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト構造を有する金属ハライド材料(以下「ペロブスカイト化合物」という。)を光電変換層に用いた太陽電池である。ペロブスカイト太陽電池では、互いに対向する一対の電極間に、AMX3(Aは1価のカチオン、Mは2価の金属カチオン、Xはハロゲン化物イオンである。)で表される八面体型の結晶構造を有するペロブスカイト化合物からなる光電変換層を有し、この光電変換層に光が照射されることにより、一方の電極に電子が、他方の電極に正孔が流れることにより起電力が発生する。
一方、ペロブスカイト化合物は、熱、温度または光の下で非常に反応性が高い。最も安定なペロブスカイト材料の1つであるCs0.05(FA0.85MA0.150.95(I0.85Br0.153(FAはホルムアミジニウムイオン(HC(NH22 +)、MAはメチルアンモニウムイオン(CH3NH3 +)を表す。)でも、FAおよびMAとも、熱、温度または光の下で反応性が高い。現在、ペロブスカイト太陽電池の光電変換効率(PCE)は25.2%にまで上昇し、安定性も徐々に向上しているが、安定したペロブスカイト太陽電池の実現には光電変換層の安定化が重要である。さらに、セシウム(Cs)もレアメタルであるため、大規模生産に適さず、ペロブスカイト化合物の実用性を向上させるためには改良が必要である。
例えば、非特許文献1には、ガラス/ITO/PEDOT:PSSからなる基板にCH3NH3PbI3ペロブスカイト層とフラーレン(C60)層とをスピンキャスト法で形成した平面ヘテロ接合(PHJ)構造のペロブスカイト太陽電池が開示されている。前記ペロブスカイト太陽電池では、CH3NH3PbI3ペロブスカイトが電子受容体、フラーレン(C60)が電子供与体として働き、光照射下でCH3NH3PbI3ペロブスカイト層とフラーレン(C60)層との界面が光起電力効果を発揮する。
Jun-Yuan Jeng, Yi-Fang Chiang,Mu-Huan Lee, Shin-Rung Peng, Tzung-Fang Guo, Peter Chen, and Ten-Chin Wen,Advanced Materials, 2013年、25巻、p.3727-3732
しかしながら、非特許文献1に記載のペロブスカイト太陽電池では、開放電圧(VOC)は0.75Vと高いが、短絡電流密度(JSC)が低いために、PCEは3.9%と低く、ペロブスカイト層の厚み、またはスピンキャスト時の溶媒、溶液濃度、予熱温度もしくは雰囲気など、高効率化に向けて改良の余地がある。
また、ペロブスカイト太陽電池の実用化のためには、高効率化に加えて、光照射時の安定性や高温高湿時の耐久性など、各種の信頼性試験をクリアする必要があり、そのためのペロブスカイト太陽電池の組成や製法の開発が非常に重要である。
本発明は、新規カリウム添加ペロブスカイトと、高い変換効率と光照射時の安定性を備えたペロブスカイト太陽電池を提供することを目的とする。
本発明は以下の事項からなる。
〔1〕KHoAFAPbI3(HoAはヒドロキシルアンモニウムイオンを表し、FAはホルムアミジニウムイオンを表す。)で表される結晶構造を有するカリウム添加ペロブスカイト。
〔2〕少なくとも、基板と、透明電極と、正孔選択層と、カリウム添加ペロブスカイトからなる活性層と、電子輸送層と、電子選択層と、電極とをこの順に有し、
前記カリウム添加ペロブスカイトが、カリウムイオンと、塩基性添加剤からなるイオンと、ABX3(Aはメチルアンモニウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、セシウムイオンまたはルビジウムイオンを表し、Bは鉛イオンを表し、Xは塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンを表す。)とからなることを特徴とするペロブスカイト太陽電池。
〔3〕前記塩基性添加剤からなるイオンが、ヒドロキシルアンモニウムイオン、メトキシアンモニウムイオン、ヒドラジンイオン、またはグアニジンイオンである〔2〕に記載のペロブスカイト太陽電池。
〔4〕前記カリウム添加ペロブスカイトを構成するカリウムイオンと、塩基性添加剤からなるイオンと、ABX3(Aはメチルアンモニウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、セシウムイオンまたはルビジウムイオンを表し、Bは鉛イオンを表し、Xは塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンを表す。)との合計100mol%中、カリウムイオンが1~15mol%、塩基性添加剤からなるイオンが1~15mol%、およびABX3が80~98mol%である、〔2〕または〔3〕に記載のペロブスカイト太陽電池。
〔5〕前記正孔選択層が、下記化学式で表されるホスホン酸系自己組織化単分子膜材料((HO)2P(=O)R;Rは(9H-カルバゾール-9-イル)メチル基または4-(ジフェニルアミノ)フェニル基を表す。)からなる〔2〕~〔4〕のいずれかに記載のペロブスカイト太陽電池。
Figure 2023116010000002
化学式中、*は結合位置を表す。
本発明によれば、正孔選択層4に自己組織化単分散膜(SAM)、活性層5にカリウム添加ペロブスカイトを導入することにより、発電特性と光安定性とを両立したペロブスカイト太陽電池を提供することができる。
具体的には、カリウム添加ペロブスカイトとして、メチルアンモニウムイオンまたはホルムアミジニウムイオンなどのカチオンと、塩基性添加剤に基づくカチオンとを両方用いることにより、光電変換効率18%を示し、大気下での連続光照射による耐久性についても、100時間経過後も初期の光電変換効率の75%を保持することができる。特に、塩基性添加剤として、ヒドロキシルアミン塩酸塩(NH2OH・HCl)を使用し、ヨウ化カリウムをドーピングした、カリウムイオンとヒドロキシルアンモニウムイオンとを有するカリウム添加ペロブスカイトでは、ペロブスカイト結晶構造の相互作用が強化され、電圧掃引方向によるヒステリシスが低減し、ペロブスカイト太陽電池の信頼性を向上させることができる。
図1は、本発明のペロブスカイト太陽電池の一実施形態であるデバイス構造の概略断面図である。 図2(a)は、実施例1~4で使用した本発明のペロブスカイト太陽電池の各層の材料を示す図である。図2(b)は、実施例1のデバイス(FA0.960.03HoA0.01PbI3)と参考例のデバイス(FAPbI3)の電流密度-電圧の関係を示す図である。
図3(a)は参考例のデバイスの電流密度-電圧の関係、図3(b)は実施例3のデバイスの電流密度-電圧の関係、図3(c)は実施例2のデバイスの電流密度-電圧の関係、図3(d)は実施例4のデバイスの電流密度-電圧の関係を示す図である。 図4(a)は、実施例1のデバイスの電流密度-電圧の関係、図4(b)は、実施例1のデバイスに連続で光を照射したときの光電変換効率-時間の関係を示す図である。
以下、本発明のカリウム添加ペロブスカイトおよびペロブスカイト太陽電池について詳細に説明する。
[カリウム添加ペロブスカイト]
本発明のカリウム添加ペロブスカイトは、KHoAFAPbI3(HoAはヒドロキシルアンモニウムイオン、FAはホルムアミジニウムイオンを表す。)で表される結晶構造を有する新規化合物である。KHoAFAPbI3は、一般式ABX3(A:1価カチオン、B:2価カチオン、X:ハロゲン化物イオン)において、Aがホルムアミジニウムイオン(FA+)、Bが鉛イオン(Pb2+)、Xがヨウ化物イオン(I-)で置換されたホルムアミジニウムヨウ化鉛ペロブスカイト(FAPbI3)にヒドロキシルアンモニウムイオン(HoA+)が付加し、さらにカリウムイオン(K+)がドープされた構造を有する。
KHoAFAPbI3は、ホルムアミジンヨウ化水素酸塩(HC(=NH)NH2・HI)とヒドロキシルアミン塩酸塩(NH2OH・HCl)を反応させた前駆体に、ヨウ化鉛(II)(PbI2)を添加し、さらにヨウ化カリウム(KI)を添加することにより合成することができる。
KHoAFAPbI3を構成するヨウ化物イオン(I-)の室温での拡散障壁は0.45eVであり、ホルムアミジニウムイオンおよびヒドロキシルアンモニウムイオンともその拡散障壁は0.57~0.61eV程度であり、通常のイオン伝導体と比較しても小さい方である。このことは、KHoAFAPbI3では、そのペロブスカイト構造内の空孔を介して、ヨウ化物イオン(I-)だけでなく、陽イオン分子であるホルムアミジニウムイオン(FA+)およびヒドロキシルアンモニウムイオン(HoA+)が容易に拡散されることを示している。前記陽イオン分子は、ペロブスカイト構造のAサイト内で回転したり、空孔を介して隣りのAサイトに移動したりし、発電時に電場の誘起を促進すると考えられる。よって、ペロブスカイト太陽電池の光電変換層となる活性層5の材料として好適である。KHoAFAPbI3を活性層5の材料として使用することで、ペロブスカイト太陽電池の高耐久性および高安定性に寄与する。
[ペロブスカイト太陽電池]
本発明のペロブスカイト太陽電池は、少なくとも、基板と、透明電極と、正孔選択層と、カリウム添加ペロブスカイトからなる活性層と、電子輸送層と、電子選択層と、対電極とをこの順に有する。前記ペロブスカイト太陽電池について、図面を使用して説明する。
図1に示すペロブスカイト太陽電池1は、基板2の上に透明電極3、正孔選択層4、カリウム添加ペロブスカイトからなる活性層5、電子輸送層6、電子選択層7および対電極8が積層されている。
まず、ペロブスカイト太陽電池1の基本的な作用効果を説明する。ペロブスカイト太陽電池1に光が照射されると、カリウム添加ペロブスカイトからなる活性層5(以下単に「活性層5」という。)が光を吸収し、励起された電子と正孔とを発生させる。活性層5で生じた正孔は、前記透明電極3に移動する。一方、励起された電子は、前記対電極8に移動する。これにより、ペロブスカイト太陽電池1は正極としての透明電極3と、負極としての対電極8とから、電流を取り出すことができる。なお、本発明のペロブスカイト太陽電池1は、逆積層型である。太陽電池には正極と負極があるが、前記ペロブスカイト太陽電池1のように、積層順を従来の太陽電池と入れ替えた逆層型の有機薄膜太陽電池は、極めて安定性が高く、大気下で生産することができ、長時間使用しても安定性を維持することができる。
基板2は、ペロブスカイト太陽電池において、光が入射される側に配置される。光電変換効率の観点から、基板2は、ガラス、樹脂、または有機系物質などでできた絶縁性の透明基板であることが好ましい。なお、透明基板とは透光性のある電極である。「透明」とは、JISK 7361-1:1997の規格に準拠した光透過率が50%以上であるものをいう。
基板2の表面には、正極となる透明電極3が設けられる。透明電極3には、例えば、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)および酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)などの透明電極材料が用いられる。これらのうち、FTOおよびITOなどは、導電性を有するとともに、基板2の透明性を阻害しない点で好ましい。
透明電極3は、スパッタリング法、熱蒸着法、メッキ法またはスプレー熱分解法などによって成膜する。必要に応じて、透明電極を所望の形状にパターニング(エッチング)してもよい。
基板2の上に設けられた透明電極3の表面には、正孔選択層4が設けられる。正孔選択層4は、正孔の流れを良好にし、光電変換効率を高める働きをする。
正孔選択層4は、自己組織化単分子膜(SAM)であることが好ましい。SAMは、有機化合物、特に吸着基を有する有機化合物が、該吸着基を介して無機材料に吸着することで得られる膜であり、その吸着機構において、有機化合物と無機材料との間で、単分子の層のみが自己組織化された層である。
SAMを形成する有機化合物は、一般に、無機材料に結合可能な吸着基と、その反対側に電子供与基または電子求引基などの無機材料の表面エネルギーを制御する末端基と、前記吸着基と末端基とを連結する芳香族基または直鎖状もしくは分枝状の炭素鎖などを備える化合物である。
前記吸着基としては、例えば、ホスホニル基(-PO(OH)2)、カルボキシル基(-COOH)、スルフヒドリル基(-SH)、カルボニルクロリド(-COCl)、カルボニルブロミド(-COBr)、クロロシラン(-SiCl)およびブロモシラン(-SiBr)、アルコキシシラン(-SiOR)が挙げられる。
前記末端基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、(9H-カルバゾール-9-イル)メチル基、メトキシ基、4-(ジフェニルアミノ)フェニル基およびフェノキシ基などの電子供与基、ならびに、トリフルオロメチル基などの電子求引基が挙げられる。
前記芳香族基としては、例えば、フェニレン基が挙げられる。
前記炭素鎖としては、例えば、炭素数3~10の直鎖状または分枝状のアルキレン基が挙げられる。
これらのうち、下記一般式R-P(=O)(OH)2で表されるホスホン酸誘導体であって、Rが(9H-カルバゾール-9-イル)メチル基または4-(ジフェニルアミノ)フェニル基である化合物が好ましい。
Figure 2023116010000003
化学式中、*は結合位置を表す。
正孔選択層4は、SAMのみで形成されていてもよいし、正孔選択層4と活性層5との間に、SAMと他の材料からなる層とで形成されていてもよい。
他の材料は、例えば、モリブデン、タングステン、バナジウム、ニッケルおよびレニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属の酸化物;ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS);ならびにトリフェニルアミンまたはカルバゾールなどのアリールアミン骨格を有する導電性有機化合物などの材料である。
正孔選択層4がSAMを含むことにより、正孔選択層4を形成する材料界面の電位障壁が小さくなり、HOMOへの正孔注入が容易となるため、連続的な光照射によっても正孔選択層4と活性層5との界面での大きな準位のミスマッチを低減することができる。その結果、短絡電流密度(JSC)の減衰が抑制され、ペロブスカイト太陽電池1の耐久性が向上する。
SAMの形成には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、および分子線エピタキシー法などのドライプロセス;スピンコート法、ディップ法、およびラングミュア-ブロジェット法(LB法)などのウェットプロセスが用いられる。成膜の容易性の点から、スピンコート法などのウェットプロセスが好ましい。
正孔選択層4の厚みは、通常は1~2000nm、好ましくは1~1000nm、より好ましくは1~500nmである。正孔選択層4の厚みが前記範囲内であれば、正孔輸送の際に抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。
活性層5は、光起電力を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する働きをする。活性層5は光電変換層ともいう。本発明に係る活性層5はカリウム添加ペロブスカイトからなる。カリウム添加ペロブスカイトに光が吸収されると、励起子が発生し、正孔と電子とに電荷分離する。
カリウム添加ペロブスカイトは、カリウムイオン、塩基性添加剤からなるイオン、およびABX3(Aはメチルアンモニウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、セシウムイオンまたはルビジウムイオンを表し、Bは鉛イオンを表し、Xは塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンを表す。)からなる。なお、ABX3中のAは、その一部がセシウムまたはルビジウムで置換されたメチルアンモニウムイオンであってもよい。
塩基性添加剤からなるイオンは、具体的には、グアニジンイオン、メトキシアンモニウムイオン、ヒドロキシルアンモニウムイオン、またはヒドラジンイオンである。塩基性添加剤からなるイオンは、ABX3中のAより大きなイオン半径を有し、カリウム添加ペロブスカイトにおいてカチオンとして作用する。また、塩基性添加剤からなるイオンは、カリウムイオンドープによるカリウムイオンより大きなイオン半径を有する。
塩基性添加剤には、グアニジンヨウ化水素酸塩(HN=C(NH22・HI)、メトキシアミン塩酸塩(CH3ONH2・HCl)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(NH2OH・HCl)およびヒドラジン二塩酸塩(H2NNH2・2HCl)が用いられる。
正孔選択層4において、SAMとしてホスホン酸誘導体を用いた場合、塩基性添加剤はホスホン酸誘導体の分解を抑え、ホスホン酸誘導体を安定化する働きをする。正孔選択層4の機能が安定化すると、ペロブスカイト太陽電池1の光照射時の安定性が大幅に向上する。また、ホスホン酸誘導体の安定性が向上することで、活性層5を形成するカリウム添加ペロブスカイトの正八面体構造が安定化される。塩基性添加剤としてNH2OH・HClを用いた場合、ペロブスカイト太陽電池1の信頼性向上が顕著であることから、ヒドロキシルアンモニウムイオンがSAMおよびカリウム添加ペロブスカイト表面の不活性化に寄与しているといえる。
活性層5は、例えば、ホルムアミジンヨウ化水素酸塩(HC(=NH)NH2・HI)およびヨウ化カリウム(KI)、塩基性添加剤をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)およびジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶媒に溶かした溶液をスピンコートすることにより形成することができる。
カリウム添加ペロブスカイトを形成するカリウムイオン、塩基性添加剤からなるイオン、およびABX3の比率は、モル比で、カリウムイオン:塩基性添加剤からなるイオン:ABX3=1~15:1~15:80~98、好ましくは1~3:1~5:93~96である。
活性層5を形成するカリウム添加ペロブスカイトの膜質は、X線回折による構造解析、UV-vis吸収スペクトル測定、および、走査型電子顕微鏡(SEM)や原子間力顕微鏡(AFM)を用いた観察により評価する。
カリウムイオン、塩基性添加剤からなるイオン、およびABX3を前記した比率で有するカリウム添加ペロブスカイトを活性層5に用いることで、ペロブスカイト太陽電池1の光電変換効率を向上させることができる。
活性層5の厚みは、通常は50~1000nm、好ましくは300~600nmである。活性層5の厚みが前記範囲内であれば、正孔輸送の際に抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。
電子輸送層6および電子選択層7は、活性層5で発生した電子が対電極8に移動する流れを良好にし、光電変換効率を向上する働きをする。具体的には、正孔の移動を阻止し、負極である対電極8と活性層5にあるカリウム添加ペロブスカイトとが短絡することを防止する。
電子輸送層6および電子選択層7に用いる材料としては、バソキュプロイン(BCP)などのフェナントロリン誘導体、フラーレン(C60)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、およびペリレンテトラカルボン酸ジイミドなどのn型半導体材料;アミン系シランカップリング剤のようなアミン化合物;ならびに酸化チタン(TiOx)、酸化亜鉛(ZnO)、および酸化ガリウム(III)(Ga23)などのn型無機酸化物である。
電子輸送層6および電子選択層7の厚さは、通常5~50nmである。漏電防止の観点からは、5~1000nmが好ましく、高透過率および低抵抗を維持する観点からは、5~150nmがより好ましい。
対電極8は負極である。対電極8には、亜鉛、白金、金、銀、銅およびアルミニウムなどの金属、ならびに酸化スズ(IV)(SnO2)、酸化カドミウム(CdO)およびZnOなどの金属酸化物が用いられる。
対電極8は、例えば、貼り合わせ、スパッタリング法、化学蒸着法(CVD)法、スプレー熱分解堆積法(SPD)および塗布法(例えば、ディッピングおよびスピンコートなど)により形成される。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
ITO / ガラス基板をイソプロパノール、アセトン、純水中で1時間超音波洗浄した後、窒素フローで乾燥させ、紫外線で30分間処理した。次いで、ITO/ ガラス基板上に、3000rpmで30秒間、スピンコートによりSAMを成膜し、100℃で10分間加熱した。
ヨウ化鉛(II)(PbI2)(1.48M)とホルムアミジンヨウ化水素酸塩(HC(=NH)NH2・HI)(1.48M)をDMFおよびDMSOの混合溶剤(DMF:DMSO=4:1、vol/vol)に溶解し、さらにヒドロキシルアミン塩酸塩(NH2OH・HCl)(1.48M)1~10μlおよびヨウ化カリウム(KI)(1.48M)1~10μlを添加した。この混合溶液をSAM上に1000rpmで10秒間スピンコートした後、6000rpmで30秒間スピンコートした。スピンコート開始から15秒後、クロロベンゼンを150μl滴下し、その後、基板を150℃で30分間加熱し、暗色のカリウム添加ペロブスカイトを成膜した。
次いで、20nmのフラーレン(C60)、8nmのバソキュプロイン(BCP)、および70nmのAg電極を高真空下で順次蒸着した。
得られたペロブスカイト太陽電池のデバイス構造(基板2 / 透明電極3 / 正孔選択層4 / 活性層5 / 電子輸送層6/ 電子選択層7 / 対電極8)は以下のとおりである。
ガラス / ITO / 自己組織化単分子膜(SAM)/ FA0.960.03HoA0.01PbI3 / C60(20nm)/ BCP(8nm) / Ag(70nm)
FA0.960.03HoA0.01PbI3 中、FAはホルムアミジニウムイオン、HoAはヒドロキシルアンモニウムイオンを表す。かっこ内の数値(nm)は層の厚みを表す。
太陽電池特性および連続光照射下(1 Sun)での経時変化を測定した。デバイスに連続で光照射したときの光電変換効率-時間の関係を図4(b)に示す。図4(b)に示すように、ペロブスカイト層にヒドロキシルアミン(HoA)を含む組成では、18%を超える光電変換効率が得られた。連続光照射下(1Sun)での経時変化を測定したところ、約100時間経過後でも、初期変換効率の75%を保持しており、安定性が大きく向上していた。また、図2(b)より、電圧掃引時に現れるヒステリシスが小さく、掃引方向によらずJSCとVOCの値がほとんど変わらなかったことから、ヒステリシスの影響を考慮しなくてよいことが分かった。図4(a)にデバイスの電流密度-電圧の関係を示す。
[実施例2]
実施例1において、塩基性添加剤として、ヒドロキシルアミン塩酸塩(NH2OH・HCl)ではなく、メトキシアミン塩酸塩(CH3ONH2・HCl)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ペロブスカイト太陽電池デバイスを作製し、出力特性を評価した。
図3(c)にデバイスの電流密度-電圧の関係を示す。
[実施例3]
実施例1において、塩基性添加剤として、ヒドロキシルアミン塩酸塩(NH2OH・HCl)ではなく、グアニジンヨウ化水素酸塩(HN=C(NH22・HI)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ペロブスカイト太陽電池デバイスを作製し、出力特性を評価した。
図3(b)にデバイスの電流密度-電圧の関係を示す。
[実施例4]
実施例1において、塩基性添加剤として、ヒドロキシルアミン塩酸塩(NH2OH・HCl)ではなく、ヒドラジン二塩酸塩(H2NNH2・2HCl)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ペロブスカイト太陽電池デバイスを作製し、出力特性を評価した。
図3(d)にデバイスの電流密度-電圧の関係を示す。
[参考例]
実施例1において、ヨウ化カリウムおよび塩基性添加剤を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ペロブスカイト太陽電池デバイスを作製し、出力を評価した。
図2(b)および図3(a)にデバイスの電流密度-電圧の関係を示す。参考例のデバイスは、順方向と逆方向の掃引で異なるヒステリシスを生じ、実施例1~4に比べて、再現性に劣っていた。
実施例1~4および参考例のペロブスカイト太陽電池の出力特性(短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、光電変換効率(PCE)、ヒステリシスインデックス(HI))を表1に示す。
Figure 2023116010000004
表1が示すように、実施例1~4のように、ホルムアミジニウムイオンと塩基性添加剤に基づくカチオンとの両方のカチオンを含むカリウム添加ペロブスカイトを使用したデバイスでは、参考例の対照デバイス(control)と比較して、光電変換効率が向上した。特に塩基性添加剤としてヒドロキシルアミン塩酸塩(NH2OH・HCl)を使用した実施例1のデバイスでは、良好な光電変換効率(17~18%)を示した。ヒドロキシルアンモニウムイオンによって、ペロブスカイト構造内での相互作用が強化され、大気下での光に対する安定性が向上することが分かった。その結果、従来のようにメチルアンモニウムやセシウムといった材料を使用せず、ペロブスカイト膜の安定性や光照射に対するデバイスの安定性を向上させ、発電特性と光安定性とを両立したペロブスカイト太陽電池を提供できることが分かった。
本発明のペロブスカイト太陽電池は、光透過性と発電特性とを両立するため、建材一体型太陽電池、車載用有機太陽電池、または農業用有機太陽電池などに好適に利用される。
1 ペロブスカイト太陽電池
2 基板
3 透明電極
4 正孔選択層
5 カリウム添加ペロブスカイトからなる活性層
6 電子輸送層
7 電子選択層
8 対電極

Claims (5)

  1. KHoAFAPbI3(HoAはヒドロキシルアンモニウムイオンを表し、FAはホルムアミジニウムイオンを表す。)で表される結晶構造を有するカリウム添加ペロブスカイト。
  2. 少なくとも、基板と、透明電極と、正孔選択層と、カリウム添加ペロブスカイトからなる活性層と、電子輸送層と、電子選択層と、電極とをこの順に有し、
    前記カリウム添加ペロブスカイトが、カリウムイオンと、塩基性添加剤からなるイオンと、ABX3(Aはメチルアンモニウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、セシウムイオンまたはルビジウムイオンを表し、Bは鉛イオンを表し、Xは塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンを表す。)とからなることを特徴とするペロブスカイト太陽電池。
  3. 前記塩基性添加剤からなるイオンが、ヒドロキシルアンモニウムイオン、メトキシアンモニウムイオン、ヒドラジンイオン、またはグアニジンイオンである請求項2に記載のペロブスカイト太陽電池。
  4. 前記カリウム添加ペロブスカイトを構成するカリウムイオンと、塩基性添加剤からなるイオンと、ABX3(Aはメチルアンモニウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、セシウムイオンまたはルビジウムイオンを表し、Bは鉛イオンを表し、Xは塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンを表す。)との合計100mol%中、カリウムイオンが1~3mol%、塩基性添加剤からなるイオンが1~3mol%、およびABX3が93~96mol%である、請求項2または3に記載のペロブスカイト太陽電池。
  5. 前記正孔選択層が、下記化学式で表されるホスホン酸系自己組織化単分子膜材料((HO)2P(=O)R;Rは(9H-カルバゾール-9-イル)メチル基または4-(ジフェニルアミノ)フェニル基を表す。)からなる請求項2~4のいずれか一項に記載のペロブスカイト太陽電池。
    Figure 2023116010000005
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