JP2023114004A - フォイル軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】トップフォイル部の先端付近、内径端の円弧部付近と、外径端の円弧部付近の3か所で浮上隙間を形成することにより、負荷荷重の増大を図ることが可能なフォイル軸受を提供する。
【解決手段】複数のリーフ22を円周方向に並べることで軸受面が形成されたフォイル軸受である。リーフ22は、軸受面を形成するトップフォイル部22aを有し、リーフ22の内径端及び外径端が円弧部とされ、リーフの内径端の円弧部22eの径寸法D2とリーフ22の外径端の円弧部22dの径寸法D1との比、及び、内径端の円弧部の中心角Bと外径端の円弧部の中心角Aとの比を規定することにより、トップフォイル部22aの先端付近、内径端の円弧部22e付近と、外径端の円弧部22d付近の3か所で浮上隙間が形成される。
【選択図】図5
【解決手段】複数のリーフ22を円周方向に並べることで軸受面が形成されたフォイル軸受である。リーフ22は、軸受面を形成するトップフォイル部22aを有し、リーフ22の内径端及び外径端が円弧部とされ、リーフの内径端の円弧部22eの径寸法D2とリーフ22の外径端の円弧部22dの径寸法D1との比、及び、内径端の円弧部の中心角Bと外径端の円弧部の中心角Aとの比を規定することにより、トップフォイル部22aの先端付近、内径端の円弧部22e付近と、外径端の円弧部22d付近の3か所で浮上隙間が形成される。
【選択図】図5
Description
本発明は、フォイル軸受に関し、特に、複数のリーフを周方向に並べることで軸受面が形成されるスラストフォイル軸受に関する。
ガスタービンやターボチャージャ等のターボ機械の主軸を支持する軸受には、高温・高速回転といった過酷な環境に耐え得ることが要求される。このような過酷条件下での使用に適合する軸受として、フォイル軸受が着目されている。フォイル軸受は、曲げに対して剛性の低い可撓性を有する薄膜(リーフ)で軸受面を構成したものであり、軸の回転時に軸とリーフの軸受面との間に形成された軸受隙間に流体膜(例えば空気膜)を形成して軸を非接触支持するものである。このフォイル軸受によれば、軸受面をリーフで形成することで軸受面のたわみが許容され、軸受面が軸の変位や熱膨張等に追従して変形するため、過酷条件下でも軸を安定的に支持できる、という利点を有する。
このフォイル軸受は、ラジアル方向の荷重を支持するラジアルフォイル軸受とスラスト方向の荷重を支持するスラストフォイル軸受とに大別される。このうち、スラストフォイル軸受の構成を図11および図12に示す。なお、図11は軸受面を軸方向から見た平面図であり、図12は一枚のリーフを拡大して示す平面図である。
図11および図12に示すように、スラストフォイル軸受は、回転方向Rの複数箇所にリーフ100を配置し、各リーフの前端101を含む領域で、軸受面S1を有するトップフォイル部102を形成すると共に、後端103を含む領域で、隣接するリーフのトップフォイル部102の背後に配置されるバックフォイル部104を形成したものである。
ところで、従来のスラストフォイル軸受は、外径端付近のリーフ100の周方向ピッチに比べて、内径端付近の周方向ピッチは小さくなる。そのため、内径端付近における剛性が外径端付近における剛性よりも高くなる。したがって、内径端付近が撓みにくくなり、他の部材(例えば、スラストカラー106(図13参照))に接触しやすくなっていた。
そこで、従来には、隣接するリーフ100同士の重合部の内径端が占める角度(中心角)を外径端が占める角度(中心角)よりも小さく設定したものがある(特許文献1)。この場合、内径端付近の剛性を下げることができ、リーフ100を全面で略均一に撓ませることができる。そのため、浮上隙間h1(図13参照)をより小さく設定することが可能となって、負荷容量を増大させることができる。ここで、浮上隙間hとは、軸受隙間Ca(図13参照)の最小幅をいい、スラストフォイル軸受の負荷容量は、この浮上隙間h1に依存する。すなわち、浮上隙間hは小さい程、スラストフォイル軸受の負荷容量が増大する。このため、スラストフォイル軸受の負荷容量を増大させるためには、浮上隙間h1をできるだけ小さくすればよい。なお、軸受隙間Caとは、図13に示すように、軸受面S1とスラストカラー106との間の隙間をいう。
ところで、前記特許文献1の従来のスラストフォイル軸受では、外径端の円弧部107の中心角と内径端の円弧部108の中心角との角度差が10°以上となっている。すなわち、外径端の円弧部107の中心角をαとし、内径端の円弧部108の中心角をβとしたときに、α-β≧10°となっている。しかしながら、このように10°以上であれば、内径端付近の剛性が低下しすぎ、かえって負荷容量の低下を招くおそれがあった。
また、前記特許文献1の従来のスラストフォイル軸受では、トップフォイル先端とスラストカラーとの間で浮上隙間が形成される。しかしながら、内径端付近の剛性を低下させすぎると、リーフの内径端付近とスラストカラーの隙間が大きくなり、負荷容量が低下する。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、トップフォイル部の先端付近、内径端の円弧部付近と、外径端の円弧部付近の3か所で浮上隙間を形成することにより、負荷荷重の増大を図ることが可能なスラストフォイル軸受を提供するものである。
本発明のフォイル軸受は、複数のリーフを円周方向に並べることで軸受面が形成されるフォイル軸受であって、前記リーフは、軸受面を形成するトップフォイル部を有し、前記リーフの内径端及び外径端が円弧部とされ、前記リーフの内径端の円弧部の径寸法と前記リーフの外径端の円弧部の径寸法との比、及び、前記内径端の円弧部の中心角と前記外径端の円弧部の中心角との比を規定することにより、前記トップフォイル部の先端付近、前記内径端の円弧部付近と、前記外径端の円弧部付近の3か所で浮上隙間が形成されるものである。
本発明のフォイル軸受によれば、トップフォイル部の先端付近、前記内径端の円弧部付近と、前記外径端の円弧部付近の3か所で浮上隙間を形成することにより、負荷容量の増大を図ることができる。
前記リーフの内径端の円弧部の径寸法と前記リーフの外径端の円弧部の径寸法との比が1.9~2.1であり、前記内径端の円弧部の中心角と前記外径端の円弧部の中心角との比を1.0よりも大きく1.1以下とするのが好ましい。このように設定することにより、安定して、トップフォイル部の先端付近、前記内径端の円弧部付近と、前記外径端の円弧部付近の3か所で浮上隙間を形成することができる。
運転中おいて、軸受面とスラストカラーとの間に軸受隙間が形成され、前記トップフォイル部中央部がスラストカラー側に凹形状となり、前記内径端の円弧部側及び前記外径端の円弧部側はスラストカラー側に凸形状となるように設定するのが好ましい。このように設定することにより、安定して、トップフォイル部の先端付近、前記内径端の円弧部付近と、前記外径端の円弧部付近の3か所で浮上隙間を形成することができる。
前記リーフが、前記スラストカラーとの間で摺動する部位を有し、その部位に摺動痕が形成されるものであってもよい。このように設定することにって、故意にリーフの剛性の高い部位の剛性を低くすることができる。
前記摺動痕は、前記内径端の円弧部側付近よりも前記外径端の円弧部側付近が大きくなるのが好ましい。これにより、剛性の高い部位の剛性を安定して低くすることができる。
本発明では、トップフォイル部の先端付近、内径端の円弧部付近と、外径端の円弧部付近の3か所で浮上隙間を形成することができて、負荷容量を増大させることができる。
以下本発明の実施の形態を図1~図10に基づいて説明する。
図1に、ターボ機械の一種であるガスタービンの構成を概念的に示す。このガスタービンは、翼列を形成したタービン1および圧縮機2と、発電機3と、燃焼器4と、再生器5とを主に備える。タービン1、圧縮機2、および発電機3には、水平方向に延びる共通の主軸6が設けられ、この主軸6と、タービン1および圧縮機2とで一体回転可能のロータが構成される。
吸気口7から吸入された空気は、圧縮機2で圧縮され、再生器5で加熱された上で燃焼器4に送り込まれる。この圧縮空気に燃料を混合して燃焼させ、高温、高圧のガスでタービン1を回転させる。タービン1の回転力が主軸6を介して発電機3に伝達され、発電機3が回転することにより発電し、この電力がインバータ8を介して出力される。タービン1を回転させた後のガスは比較的高温であるため、このガスを再生器5に送り込んで燃焼前の圧縮空気との間で熱交換を行うことで、燃焼後のガスの熱を再利用する。再生器5で熱交換を終えたガスは、排熱回収装置9を通ってから排ガスとして排出される。
図2に、上記ガスタービンにおけるロータの支持構造の一例を示す。この支持構造では、軸方向の2箇所にラジアル軸受10が配置され、主軸6に設けられたスラストカラー6aの軸方向両側にスラスト軸受20、20が配置される。このラジアル軸受10およびスラスト軸受20により、主軸6がラジアル方向及び両スラスト方向に回転自在に支持される。
この支持構造において、タービン1と圧縮機2の間の領域は、高温、高圧のガスで回転されるタービン1に隣接しているために高温雰囲気となる。この高温雰囲気では、オイルやグリース等からなる潤滑剤が変質・蒸発してしまうため、これらの潤滑剤を使用する通常の軸受(転がり軸受等)を適用することは難しい。そのため、この種の支持構造で使用される軸受10、20としては、空気動圧軸受、特に本発明に係るフォイル軸受(スラストフォイル軸受20)が適合する。
次に、前記ガスタービン用のスラスト軸受に適合するフォイル軸受(スラストフォイル軸受)の構成を説明する。
スラストフォイル軸受20は、図3に示すように、円盤状のフォイルホルダ21と、フォイルホルダ21の端面21aに取り付けられた複数のリーフ22とを有する。本実施形態では、スラストカラー6aの軸方向両側にスラストフォイル軸受20,20が設けられる。これらのスラストフォイル軸受20,20は、スラストカラー6aを中心として軸方向で対称な構造を有している。尚、以下では、主軸6の回転時における、リーフ22に対する流体の流れ方向下流側を「下流側」と言い、その反対側を「上流側」と言う。
フォイルホルダ21は、金属や樹脂等で形成される。フォイルホルダ21は、主軸6が挿入される内孔21bを有する中空円盤状を成している。フォイルホルダ21の一方の端面21aには複数のリーフ22が取り付けられる。フォイルホルダ21の他方の端面21cは、スラストフォイル軸受20が組み込まれる設備(本実施形態ではガスタービン)のハウジングに固定される。
リーフ22は、ばね性に富み、かつ加工性のよい金属で形成され、例えば鋼や銅合金で形成される。リーフ22は、厚さ20μm~200μm程度の金属薄板(フォイル)で形成される。本実施形態のように流体膜として空気を用いる空気動圧軸受では、雰囲気にオイルが存在しないため、ステンレス鋼もしくは青銅でリーフ22を形成するのが好ましい。
リーフ22は、図4に示すように、位相をずらしながら周方向に並べて配される。各リーフ22は、図5に示すように、軸受面Sを有するトップフォイル部22aと、トップフォイル部22aの上流側に連続して設けられたバックフォイル部22bとからなる本体部22cを備える。
図4に示すように、リーフ22は回転方向R(円周方向)の複数個所に等ピッチで配置される。図5は、回転方向Rに並べた複数のリーフ22のうち、一つのリーフ22のみを図示して他のリーフの図示を省略したものである。
リーフ22は、回転方向R側の端部に位置する前端221と、反回転方向側の端部に位置する後端222とを有する。前端221および後端222は、いわゆるヘリングボーン形状をなしており、前端221はその両端部の間の領域を回転方向R側に突出させた凸形状に形成され、後端222は、その両端部の間を回転方向R側に凹ませた凹形状に形成されている。前端221および後端222は、半径方向の概ね中央領域に頂部221a,222aを有する。このように前端221および後端222をヘリングボーン形状に形成することにより、主軸6の回転中に流体(例えば空気)をスラスト軸受隙間の半径方向中央領域に引き込む作用を得ることができ、スラストフォイル軸受の負荷容量を高めることが可能となる。
また、リーフ22の本体部22c(トップフォール22aとバックフォール22bとで構成される)の外径端には円弧部22dが設けられ、本体部22cの内径端には円弧部22eが設けられる。円弧部22d,22eは、何れも主軸6の回転中心Oを中心としている。
この場合、リーフ22の内径端の円弧部22eの径寸法とリーフの外径端の円弧部22dの径寸法との比を1.9~2.1とし、内径端の円弧部22eの中心角(円弧部22eが占める角度)と外径端の円弧部22dの中心角(円弧部22dが占める角度)との比を1.0よりも大きく1.1以下としている。すなわち、リーフ22の外径端の円弧部22dの径寸法(直径φ)をD1とし、リーフ22の内径端の円弧部22eの径寸法(直径φ)をD2としたときに、(D1÷D2)を、2±0.1とし、リーフの外径端の円弧部22dの中心角(deg)をAとし、リーフ22の内径端の円弧部22eの中心角(deg)をBとしたときに、1<(A÷B)≦1.1とする。
また、図6は、図4に示すX-X線拡大断面図を示し、このように、リーフ22をフォイルホルダ21に取り付けた状態では、各リーフ22のトップフォイル部22aに設けられた軸受面Sがスラストカラー6aと軸方向に直接対向し、各リーフ22のトップフォイル部22aの背後(軸受面Sと反対側)に、下流側に隣接するリーフ22のバックフォイル部22bが配される。すなわち、各リーフ22のバックフォイル部22bが、上流側に隣接するリーフ22のトップフォイル部22aとフォイルホルダ21との間に配される。
主軸6が周方向一方(図4の矢印R方向)に回転すると、スラストフォイル軸受20の各リーフ22の軸受面Sとスラストカラー6aの端面との間に軸受隙間Cが形成される。このとき、各リーフ22が隣接するリーフ22に乗り上げて湾曲することで、軸受隙間Cは、下流側へ行くにつれて狭くなった楔形を成す(図6では、各リーフ22を簡略化して平板状としている)。この楔形の軸受隙間Cの大隙間部C1の空気が小隙間部C2に押し込まれることにより、軸受隙間Cの空気膜の圧力が高められ、この圧力により主軸6がスラスト方向に非接触支持される。このとき、リーフ22が、荷重や主軸6の回転速度、周囲温度等の運転条件に応じて弾性変形することで、軸受隙間Cが運転条件に応じた適切幅に自動調整される。そのため、高温・高速回転といった過酷な条件下でも、軸受隙間Cを最適幅に管理することができ、主軸6を安定して支持することが可能となる。
このように設定することによって、運転中おいて、軸受面Sとスラストカラー6aとの間に軸受隙間Cが形成され、図7に示すように、トップフォイル部中央部がスラストカラー6a側に凹形状となり、内径端の円弧部22e側及び外径端の円弧部22d側はスラストカラー6a側に凸形状となる。このため、トップフォイル部22aの先端付近、前記内径端の円弧部22e付近と、外径端の円弧部22d付近の3か所で浮上隙間hが形成される。すなわち、リーフ22の内径端の円弧部22eの径寸法とリーフ22の外径端の円弧部22dの径寸法との比、及び、内径端の円弧部22eの中心角と外径端の円弧部22dの中心角との比を規定することにより、前記3か所で浮上隙間hを形成することができる。この場合、リーフ22が、スラストカラー6aとの間で摺動する部位を有し、その部位に摺動痕が形成される場合があり、この摺動痕は、内径端の円弧部22e側付近よりも外径端の円弧部22d側付近が大きくなる。
このように、トップフォイル部22の先端付近、内径端の円弧部22e付近と、外径端の円弧部22d付近の3か所で浮上隙間hが形成されれば、負荷容量を安定して増大させることができる。
前記リーフ22の内径端の円弧部22eの径寸法と前記リーフ22の外径端の円弧部22dの径寸法との比が1.9~2.1であり、内径端の円弧部22eの中心角と前記外径端の円弧部22dの中心角との比を1.0よりも大きく1.1以下とするのが好ましい。このように設定することにより、安定して、トップフォイル部22aの先端付近、内径端の円弧部22e付近と、外径端の円弧部22d付近の3か所で浮上隙間を形成することができる。
運転中において、軸受面Sとスラストカラーと6aとの間に軸受隙間Cが形成され、トップフォイル部22a中央部がスラストカラー6a側に凹形状となり、内径端の円弧部22e側及び外径端の円弧部22d側はスラストカラー6a側に凸形状となるように設定するのが好ましい。このように設定することにより、安定して、トップフォイル部22aの先端付近、前記内径端の円弧部22e付近と、外径端の円弧部22d付近の3か所で浮上隙間hを形成することができる。
リーフ22が、スラストカラー6aとの間で摺動する部位を有し、その部位に摺動痕が形成されるものであってもよい。このように設定することによって、故意にリーフの剛性の高い部位の剛性を低くすることができる。
前記摺動痕は、前記内径端の円弧部22e側付近よりも前記外径端の円弧部22d側付近が大きくなるのが好ましい。これにより、剛性の高い部位の剛性を安定して低くすることができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、以上に説明したスラストフォイル軸受の適用対象は、上述したガスタービンに限られず、例えば過給機のロータを支持する軸受としても使用することができる。また、以上に説明したスラストフォイル軸受は、ガスタービンや過給機等のターボ機械に限らず、潤滑油などの液体による潤滑が困難である、エネルギー効率の観点から潤滑油循環系の補機を別途設けることが困難である、あるいは液体のせん断による抵抗が問題になる等の制限下で使用される自動車等の車両用軸受、さらには産業機器用の軸受として広く使用することが可能である。
また、以上に説明したスラストフォイル軸受は、圧力発生流体として空気を使用した空気動圧軸受であるが、これに限らず、圧力発生流体としてその他のガスを使用することもでき、あるいは水や油などの液体を使用することもできる。さらに、軸部材を回転させる場合を説明したが、これとは逆にリーフ側を回転させる場合にも以上に説明したスラストフォイル軸受を採用することができる。
次に、外径寸法が77mmで内径寸法が39mmで、リーフ枚数を8枚とした、スラストフォイル軸受であって、表1の実施品1~実施品5を作成し、25000rpmにおける負荷容量を調べた。
実施品1~実施品5は、外径寸法が77mmで内径寸法が39mmで、内外径比は、1.97である。実施品1は、外径部の角度(外径端の円弧部の中心角A)が43.6degであり、内径部の角度(内径端の円弧部の中心角B)が43.7degであり、その角度比が1.00である。実施品2は、外径部の角度(外径端の円弧部の中心角A)が43.6degであり、内径部の角度(内径端の円弧部の中心角B)が42.8degであり、その角度比が1.02である。実施品3は、外径部の角度(外径端の円弧部の中心角A)が43.6degであり、内径部の角度(内径端の円弧部の中心角B)が41.8degであり、その角度比が1.04である。実施品4は、外径部の角度(外径端の円弧部の中心角A)が43.6degであり、内径部の角度(内径端の円弧部の中心角B)が40.9degであり、その角度比が1.07である。実施品5は、外径部の角度(外径端の円弧部の中心角A)が43.6degであり、内径部の角度(内径端の円弧部の中心角B)が40.0degであり、その角度比が1.09である。
実施品1の負荷荷重は200Nであり、実施品2の負荷荷重は330Nであり、実施品3の負荷荷重は350Nであり、実施品4の負荷荷重は350Nであり、実施品5の負荷荷重は340Nであった。これらの実施品1~実施品5はならし運転前の負荷荷重である。ならし運転を行えば、各実施品1~実施品5の全てが同等の負荷容量(360N)を確保することができる。
ならし運転は、図10に示すならし運転装置等で行うものであって、意図的にリーフ22の剛性の高い部位とスラストカラー6aを摺動させて、この剛性の高い部位を削ることで、剛性を低下させるものである。
図10に示すならし運転装置は、エアシリンダ機構31と、リニアガイド機構32と、電動スピンドルモータ33等を備えたものであり、これらが基台34上に配置されている。エアシリンダ機構31は、シリンダ本体31aと、シリンダ本体31aから突出するロッド31bとを備え、ロッド31bの先端に、荷重センサ(ロードセル35)が付設されている。また、リニアガイド機構32のロッド32bの先端にフォイルホルダハウジング36が支持されている。このフォイルホルダハウジング36の電動スピンドルモータ33側の端面にフォイル軸受99が固定される。また、電動スピンドルモータ33の軸端部(フォイルホルダハウジング36側の軸端部)には、円盤部37aを有する試験軸37が設けられている。なお、この円盤部37aがスラストカラーの役目をなす。
エアシリンダ機構31の駆動により、ロードセル35、リニアガイド機構32を介して、フォイルホルダハウジング36に付設されている試験軸受(スラストフォイル軸受99)に任意の負荷を与える。この場合、電動スピンドルモータ33の駆動により、試験軸37が回転駆動される。
この試験軸受99のトルクは電動スピンドルモータ33のモータ電流値と相関があり、モータドライバから出力される電流値を測定して、電流値が上昇した時の負荷が軸受の負荷容量となる。
ところで、図9はならし試験後のリーフ外観図を示し、図9(a)は実施品1を示し、図9(b)は実施品2を示し、図9(c)は実施品3を示し、図9(d)は実施品4を示し、図9(e)は実施品5を示している。
図9(a)に示すように、実施品1はリーフの内径端側に試験軸の円盤部(つまりスラストカラー)が摺動し、強いあたりが生じた。図9(b)に示すように、実施品2はリーフ輪郭に沿って全面にあたりが生じた。図9(c)に示すように、実施品3はリーフの外径端側にあたりが生じた。図9(d)に示すように、実施品4はリーフの外径端側にあたりが生じた。図9(e)に示すように、実施品5はリーフの外径端側にあたりが生じた。
また、図8(a)(b)(c)は運転中の軸受のイメージ図であり、図4のY-Y線拡大簡略断面図である。図8(a)は実施品1を示し、内径端側とスラストカラー(試験軸の円盤部)との間の隙間が狭い、内径端側は周速が遅いため、発生する圧力が低くなるためである。図8(b)は実施品2及び実施品3を示し、内径端側とスラストカラーとの隙間及び外径端側とスラストカラーとの隙間とが同等である。図8(c)は実施品4及び実施品5を示し、外径端側とスラストカラーとの隙間が狭い。
負荷容量の値は、角度比が1.00である実施品1は極端に低く、角度比が1.00よりも大きい実施品2~実施品4の負荷容量が高く、特に実施品3及び実施品4が高いことがわかる。また、角度比を1.09とした実施品5では、負荷容量が低下している。また、実施品1の負荷容量が低いのは、内径端側の剛性が高く、内径端側とスラストカラーの間で浮上隙間が形成されたためである。実施品5の負荷容量が低くなっているのは、外径端側の剛性が高く、外径端側とスラストカラーとの間で浮上隙間が形成されたためである。実施品1と実施品5とを比較した場合、内径端側に比べて外径端側の方がスラストカラーの周速が早くなるため、実施品5の方が負荷容量が高くなっている。
なお、ならし運転を実施することで、すべての実施品1~実施品5の負荷容量を同等とすることができる。しかしながら、生産性を考えると、ならし運転を行わずに高い負荷容量を得ることができる実施品3~実施品4が好ましい設計となる。
また、実施品1と実施品5とのならし運転を比較した場合、内径端側に比べて外径端側の方がスラストカラーの周速が早くなるため、実施品5が実施品1よりも仕事量が大きくなって、ならし運転の時間を短くできる。そのため、製造上、角度比がばらつく場合、実施品1側よりも実施品5側の公差を広げたほうが好ましい。
C 軸受隙間
S 軸受面
h 浮上隙間
6a スラストカラー
22 リーフ
22a トップフォイル部
22b バックフォイル部
22d,22e 円弧部
S 軸受面
h 浮上隙間
6a スラストカラー
22 リーフ
22a トップフォイル部
22b バックフォイル部
22d,22e 円弧部
Claims (5)
- 複数のリーフを円周方向に並べることで軸受面が形成されたフォイル軸受であって、
前記リーフは、軸受面を形成するトップフォイル部を有し、前記リーフの内径端及び外径端が円弧部とされ、前記リーフの内径端の円弧部の径寸法と前記リーフの外径端の円弧部の径寸法との比、及び、前記内径端の円弧部の中心角と前記外径端の円弧部の中心角との比を規定することにより、前記トップフォイル部の先端付近、前記内径端の円弧部付近と、前記外径端の円弧部付近の3か所で浮上隙間が形成されることを特徴とするフォイル軸受。 - 前記リーフの内径端の円弧部の径寸法と前記リーフの外径端の円弧部の径寸法との比が1.9~2.1であり、前記内径端の円弧部の中心角と前記外径端の円弧部の中心角との比を1.0よりも大きく1.1以下としたことを特徴とする請求項1に記載のフォイル軸受。
- 運転中おいて、軸受面とスラストカラーとの間に軸受隙間が形成され、前記トップフォイル部中央部がスラストカラー側に凹形状となり、前記内径端の円弧部側及び前記外径端の円弧部側はスラストカラー側に凸形状となることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフォイル軸受。
- 前記リーフが、前記スラストカラーとの間で摺動する部位を有し、その部位に摺動痕が形成されることを特徴とする請求項3に記載のフォイル軸受。
- 前記摺動痕は、前記内径端の円弧部側付近よりも前記外径端の円弧部側付近が大きくなることを特徴とする請求項4に記載のフォイル軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022016033A JP2023114004A (ja) | 2022-02-04 | 2022-02-04 | フォイル軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022016033A JP2023114004A (ja) | 2022-02-04 | 2022-02-04 | フォイル軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023114004A true JP2023114004A (ja) | 2023-08-17 |
Family
ID=87569011
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022016033A Pending JP2023114004A (ja) | 2022-02-04 | 2022-02-04 | フォイル軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023114004A (ja) |
-
2022
- 2022-02-04 JP JP2022016033A patent/JP2023114004A/ja active Pending
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