JP2023113203A - 速度検出装置、情報処理装置及び情報処理方法 - Google Patents

速度検出装置、情報処理装置及び情報処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】速度拡張範囲を広く取る。【解決手段】速度検出装置は、垂直方向に配置された複数の送信アンテナ間で多重された複数のチャープ信号を送信する送信アンテナアレイと、反射された前記複数のチャープ信号を受信する複数の受信アンテナを含む受信アンテナアレイと、前記受信アンテナアレイが受信した前記複数のチャープ信号に基づいて、複数の速度候補を算出し、前記複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値が垂直方向角度閾値範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記複数の速度候補から1個の速度候補を真の速度として決定する速度決定部と、を具備する。【選択図】図14

Description

本開示は、周波数変調連続波(FMCW、Frequency Modulated Continuous Wave)レーダを使用する速度検出装置、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
多入力多出力(MIMO、Multi Input Multi Output)レーダにおいて、複数の送信アンテナが、チャープ信号をバーストと呼ばれる群単位で送信する。受信アンテナは、反射されたチャープ信号を受信する。受信された信号は、ダウンコンバートされ、ディジタル化され、次いで、レーダ前方の複数のオブジェクトの距離、速度、及び到来角を得るために処理される。チャープ信号は、経時的に周波数が線形に変化する信号である。複数の送信アンテナから送信する信号の直交性を保証する方法として、時分割多重(TDM(Time Division Multiplexing)、符号位相多重(BPM(Binary Phase Multiplexing)等が知られる。
特表2019-522220号公報
レーダが速度を検出する際の速度検出範囲(速度視野とも呼ばれる)には限りがある。MIMOレーダの速度視野は狭い特徴がある。速度視野を超過する速度のターゲットを検出した場合、視野外のため見えなくなるのではなく、誤った速度として検出される。誤った速度として検出されることにより、ゴーストの発生、誤認識、電力の低下、到来角検知のずれ等の問題が起こることがある。レーダの速度視野は以下の式により求められる。
Vmax=λ/(4×TB)[m/s]
Vmaxは速度視野の最大値、λは波長、TBは速度を算出するためのチャープのバースト間隔である。バースト間隔TBは同一アンテナから成るチャープ信号の間隔として定義されるため、複数の送信アンテナから時分割もしくは位相分割でチャープが照射されるMIMOレーダにおいて、バースト間隔TBはN×Tcで表され、上記の式は更に以下になる。
Vmax=λ/(4×N×Tc)[m/s]
Nは複数の送信アンテナの数、Tcはチャープ信号の間隔である。この式から明確な通り、Nが増加するほどTBが増加し、Vmaxは減少する。MIMOにおいて速度視野が狭くなるのはこのためである。
そこで、速度検出範囲の拡張をする方法の1つとして、特許文献1に示す様に、AoA(到来角、Angle of Arrival)を用いる方式が知られている。AoAを用いる方式は、MIMOにおける送信アンテナ間の速度位相差による指向性のズレ(偽速度)による電力低下を利用する。取り得る複数の速度についてMIMO速度位相補正、AoAを行い、電力が大きくなる方の速度候補を真の速度とする。
速度拡張により、速度が折り返しても真の速度を検知可能である、また、真の速度がわかることにより、電力低下、ゴーストの発生、誤検知等を防ぐことができる、というメリットがある。
しかし、特許文献1により開示される速度拡張手段においては、垂直方向の到来角推定には適用できないとう課題がある。
垂直方向の到来角推定のためには、送信アンテナを垂直方向に並べ、チャープを送信アンテナ毎に多重して送信する必要がある。この時、送信アンテナ間の高さによる位相差と多重したチャープ間の速度差による位相差の線形性が一致すると、特許文献1により開示される方法により到来角推定結果を解析することは難しい。これは速度折り返し毎の高さ推定結果におけるピークの電力がほぼ等しく、到来角のみが異なるスペクトルになることによる。
以上のような事情に鑑み、垂直方向の到来角を推定する場合においても速度拡張手段を適用できることが望ましい。
本開示の一形態に係る速度検出装置は、
垂直方向に配置された複数の送信アンテナ間で多重された複数のチャープ信号を送信する送信アンテナアレイと、
反射された前記複数のチャープ信号を受信する複数の受信アンテナを含む受信アンテナアレイと、
前記受信アンテナアレイが受信した前記複数のチャープ信号に基づいて、複数の速度候補を算出し、
前記複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値が垂直方向角度閾値範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記複数の速度候補から1個の速度候補を真の速度として決定する
速度決定部と、
を具備する。
本実施形態によれば、速度拡張の結果である複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値はそれぞれ異なり、複数の垂直方向到来角推定値から1個の真の垂直方向到来角を決定しその垂直方向到来角に対応する速度を真の速度として決定することができる。この方法により、速度視野を広く拡張できる。
前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲に含まれる1個の垂直方向到来角推定値に対応する1個の速度候補を、前記真の速度として決定してもよい。
本実施形態によれば、垂直方向角度閾値範囲にピークが入る垂直方向到来角を、真の垂直方向到来角として決定し、その垂直方向到来角に対応する速度を真の速度として決定することができる。
前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲に含まれる1個の垂直方向到来角推定値を、真の垂直方向到来角として決定してもよい。
本実施形態によれば、垂直方向角度閾値範囲にピークが入る垂直方向到来角を、真の垂直方向到来角として決定することができる。
前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲を、前記複数のチャープ信号を送信する前記複数の送信アンテナの数及び間隔に基づき動的に算出してもよい。
垂直方向角度閾値範囲を動的に変更することで、垂直方向角度閾値範囲に含まれる垂直方向到来角推定値を1個に特定でき、これに対応する速度候補を真の速度として決定可能である。
前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲を、前記送信アンテナアレイからの距離に基づき動的に算出してもよい。
上述の様に、車載レーダにおいては、アンテナの垂直方向(高さ方向)の垂直方向角度閾値範囲を絞ることができる。その理由は、地面方向、天空方向に感度を有さなくてもいいため(地面からの反射に対する感度を落としたいため)である。言い換えれば、前方車両等を検出すべき車載レーダにおいては、地下や天空に前方車両等のターゲットが存在することはあり得ない。このため、車載レーダにおいて、特に遠距離については負方向の高さを考慮する必要性は小さい。よって負方向(地下に向かう方向)の垂直方向角度閾値範囲を更に狭い範囲に限定できる。
前記速度決定部は、前記送信アンテナアレイからの複数の距離に対応して複数の前記垂直方向角度閾値範囲を登録したテーブルに基づき、前記垂直方向角度閾値範囲を動的に算出してもよい。
これにより、距離に応じて適切な垂直方向角度閾値範囲を容易かつ確実に決定できる。
前記速度決定部は、垂直方向角度閾値範囲を、以下の数10の式を満たす範囲の値で設定してもよい。
これにより、距離に応じて適切な垂直方向角度閾値範囲を容易かつ確実に決定できる。
前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲を、前記速度検出装置の垂直方向の取り付け高さに基づき動的に算出してもよい。
垂直方向角度閾値範囲を、速度検出装置の垂直方向の取り付け高さに基づき動的に算出することで、より適切に垂直方向角度閾値範囲を決定できる。
前記速度決定部は、垂直方向角度閾値範囲を、以下の数11の式を満たす範囲の値で設定してもよい。
垂直方向角度閾値範囲を、速度検出装置の垂直方向の取り付け高さだけでなく、取り付け角度誤差に基づき動的に算出することで、益々より適切に垂直方向角度閾値範囲を決定できる。
速度検出装置は、
前記複数の送信アンテナ間で多重された前記複数のチャープ信号を前記複数の送信アンテナ毎に分離した時、同一の送信アンテナ同士の前記複数のチャープ信号の間隔が等間隔であり、異なる送信アンテナ同士の前記複数のチャープ信号の複数の間隔が略等間隔となるように前記複数の送信アンテナから送信される前記複数のチャープ信号を制御するチャープ制御部をさらに具備してもよい。
本実施形態によれば、前記複数の送信アンテナ間で多重された前記複数のチャープ信号を前記複数の送信アンテナ毎に分離した時、同一の送信アンテナ同士の前記複数のチャープ信号の間隔が等間隔であり、異なる送信アンテナ同士の前記複数のチャープ信号の複数の間隔が等間隔であるにも拘らず、垂直方向の到来角推定を行う場合でも速度検出範囲の拡張を行うことができる。
前記チャープ制御部は、時分割により前記複数の送信アンテナ間で前記複数のチャープ信号を多重してもよい。
前記チャープ制御部は、位相分割により、前記複数の送信アンテナ間で前記複数のチャープ信号を多重してもよい。
本実施形態は、時分割MIMO及び位相分割MIMOの両方に適用可能である。
前記垂直方向到来角推定のために用いられる前記複数のチャープ信号を送信する前記複数の送信アンテナの数以下の前記複数の速度候補の中から1つの速度を決定してもよい。
本実施形態は、送信アンテナの数分だけ、速度範囲を拡張できる。本来は送信アンテナの数だけ狭くなる速度視野を、送信アンテナの数と同じ数だけ回復できる。
前記送信アンテナアレイ及び前記受信アンテナアレイは、略等間隔配置の垂直MIMOアレイを構成してもよい。
典型的には、チャープ信号を送信する間隔が等間隔であるため、等間隔配置の垂直MIMOに上記技術による速度拡張を試みても、速度の位相差と高さの位相差とが同じ線形になるため、速度の位相差と高さの位相差の区別がつかず、正しい速度を決定できない。即ち、等間隔チャープ信号のMIMOの速度視野を拡張する技術は、等間隔配置の垂直MIMOには適用できない、という課題がある。これに対して、本実施形態では、速度拡張の結果である複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値はそれぞれ異なり、複数の垂直方向到来角推定値から1個の真の垂直方向到来角を決定しその垂直方向到来角に対応する速度を真の速度として決定することができる。このため、等間隔配置の垂直MIMOに適用できる。
前記速度決定部は、FFT(Fast Fourier Transform、高速フーリエ変換)又はDFT(Discrete Fourier Transform、離散フーリエ変換)により到来角推定を行ってもよい。
本実施形態は、FFT及びDFTの両方に適用可能である。
前記速度決定部は、CAPON、MUSIC、ESPRIT、又は圧縮センシングにより到来角推定を行ってもよい。
本開示の一形態に係る情報処理装置は、
垂直方向に配置された複数の送信アンテナ間で多重された複数のチャープ信号を送信する送信アンテナアレイと、反射された前記複数のチャープ信号を受信する複数の受信アンテナを含む受信アンテナアレイと、を有する速度検出装置の、前記受信アンテナアレイが受信した前記複数のチャープ信号に基づいて、複数の速度候補を算出し、
前記複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値が垂直方向角度閾値範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記複数の速度候補から1個の速度候補を真の速度として決定する
速度決定部
を具備する。
本開示の一形態に係る情報処理方法は、
垂直方向に配置された複数の送信アンテナ間で多重された複数のチャープ信号を送信する送信アンテナアレイと、
反射された前記複数のチャープ信号を受信する複数の受信アンテナを含む受信アンテナアレイと、
を有する速度検出装置において、
前記受信アンテナアレイが受信した前記複数のチャープ信号に基づいて、複数の速度候補を算出し、
前記複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値が垂直方向角度閾値範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記複数の速度候補から1個の速度候補を真の速度として決定する。
水平MIMOの概念を模式的に示す。 垂直MIMOの概念を模式的に示す。 TDM-MIMOの概念を模式的に示す。 TDM-MIMOの速度位相誤差補正の概念を模式的に示す。 TDM-MIMOの速度位相誤差補正の概念を模式的に示す。 速度曖昧性による速度位相補正の限界の概念を模式的に示す。 速度曖昧性による速度位相補正の限界の概念を模式的に示す。 速度曖昧性による位相差の補正を示す。 速度曖昧性による位相差の補正を示す。 送信アンテナの数Ntx=3の場合のチャープの送信間隔を模式的に示した図である。 送信アンテナ間の高さの差を模式的に示す。 アレイ化したアンテナの垂直方向のFoVを模式的に示す。 レーダの高さ方向の角度と利得の一例を示す。 真の速度折り返しが0の場合の例を示す。 真の速度折り返しが-1の場合の例を示す。 真の速度折り返しが+1の場合の例を示す。 速度の折り返しによる残留速度位相と、高さの関係との関係を模式的に示す。 残留速度位相差の値の例を示す。 負方向のFoVの例を模式的に示す。 距離による負方向の垂直方向角度閾値範囲の限定の例を模式的に示す。 取り付け角度誤差を考慮した負方向の垂直方向角度閾値範囲の限定の例を模式的に示す。 本実施形態の速度位相補正の概念を模式的に示す。 本実施形態の速度検出装置の構成を示すブロック図である。 車両制御システムの構成例を示すブロック図である。 センシング領域の例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
1.典型的な技術の概要
図1は、水平MIMOの概念を模式的に示す。図2は、垂直MIMOの概念を模式的に示す。
MIMOとは、複数(本例では8本)の受信アンテナに対して複数(本例では2本)の送信アンテナを空間的にずらして配置することで、仮想的に開口長(即ち、アンテナの受信面積)を増やす手法である。複数の送信アンテナを水平方向にずらして配置すると、水平方向の解像度が向上する(図1)。複数の送信アンテナを垂直方向にずらして配置すると、水平方向に加えて垂直方向の解像度が向上する(図2)。
図3は、TDM-MIMOの概念を模式的に示す。
MIMOレーダを実現する場合、チャープ信号の送信方法として、一般的に時分割多重(TDM(Time Division Multiplexing)-MIMOが用いられることが多い。TDM-MIMOはMIMOを形成する送信アンテナから送信するチャープ信号を、送信アンテナの数だけ時分割に送信する。例えば、2本の送信アンテナのMIMOでは、2本の送信アンテナは、チャープ信号TX1,TX2を交互に送信する。ここで、2本の送信アンテナからのチャープ信号TX1,TX2の送信タイミングには時間的なずれがある。よって、対象物が速度を持つ場合(例えば、対向車)、第1の送信アンテナからのチャープ信号TX1により形成する受信信号と、第2の送信アンテナからのチャープ信号TX2により形成する受信信号には、速度と時間のずれに起因する位相のずれが生じる。
図4は、TDM-MIMOの速度位相誤差補正の概念を模式的に示す。
対象物の速度は、TDM-MIMOにおいて複数の送信アンテナ間で多重されたチャープ信号を送信アンテナ毎に分離した後のチャープ信号TX1、TX2について各々でチャープ方向にFFT(高速フーリエ変換、Fast Fourier transform)(速度FFT)を行うことで算出することができる。また、速度FFTは速度による位相の進み、遅れを検出することができる。図4の例では、速度によって第1の送信アンテナからの複数のチャープ信号TX1の間で位相が+πずつ進んでいる。図4の通り、もし第1の送信アンテナからの複数のチャープ信号TX1間の速度による位相差が+πであった場合、第1の送信アンテナからのチャープ信号TX1と、第2の送信アンテナからのチャープ信号TX2は、+π/2だけ位相がずれていることになる(即ち、TX1-TX2間の位相誤差が+π/2)。このため、第2の送信アンテナからのチャープ信号TX2の位相を-π/2だけ補正することで、第1の送信アンテナからのチャープ信号TX1と、第2の送信アンテナからのチャープ信号TX2の間の位相差は無くなる。対象物が速度を持った場合でも、このようにして、第1の送信アンテナからのチャープ信号TX1と、第2の送信アンテナからのチャープ信号TX2の位相誤差を補正できる。
図5は、TDM-MIMOの速度位相誤差補正の概念を模式的に示す。
図4で説明した通り、第1の送信アンテナからの複数のチャープ信号TX1間の位相差が+π、TX1-TX2間の位相誤差が+π/2であるとき、第2の送信アンテナからのチャープ信号TX2の位相を-π/2だけ補正することで、チャープ信号TX1、TX2の誤差が無くなり角度検出が可能になる。
図6は、速度曖昧性による速度位相補正の限界の概念を模式的に示す。
標本化定理により、速度FFTによる位相差は-π~+πまでしか検出することができない。しかし、実際は、速度による位相は+πを超えることもある。例えば、第1の送信アンテナからの複数のチャープ信号TX1のチャープ間の位相差が+2πであるとき、FFTを行うと+2πの位相差は+0に折り返す。
図7は、速度曖昧性による速度位相補正の限界の概念を模式的に示す。
典型的には、バースト間隔TBに対して各チャープ信号TXの送信タイミングが等間隔になるようにチャープ信号を送信する。バースト間隔TBとは、送信アンテナ間で多重されたチャープ信号を送信アンテナ毎に分離した時の同一アンテナ同士の複数のチャープ信号の間隔である。即ち、第1の送信アンテナからのチャープ信号TX1は、0[μs]、第2の送信アンテナからのTX2はTB×1/2[μs]のタイミングで等間隔に送信される。チャープ間隔Tcが等間隔であることを前提とすると、角速度ωは(1)の式で求められる。
ω=φ/(Ntx・Tc)=φ/TB[rad./s]・・・(1)
上の式で示す様に、角速度ω=2π/TBである時、バースト間隔TBで位相が+2π動くため、チャープ間隔Tcで動く位相は+πである。
図8は、速度曖昧性による位相差の補正を示す。
2個の送信アンテナからのチャープ信号TX1、TX2のA-MIMOにおける角速度がω=2π/TBである場合、チャープ信号TX1、TX2の間の位相差はπである。しかし、検出される角速度はω=0/TBである。(A)に示す様に、ω=0/TBで速度折り返し回数Nwrap=0回と仮定して位相補正したとき、補正値=0になる。(B)に示す様に、ω=2π/TBで速度折り返し回数Nwrap=1として位相補正したとき、補正値=-πになる。速度折り返し回数Nwrap=1回と仮定して補正したときに、位相が連続する正弦波になる。このとき、到来角スペクトル(AoAスペクトル)はメインローブが最大の値を取り、また、メインローブとサイドローブの比が最大になる。
図9は、速度曖昧性による位相差の補正を示す。
図8の(A)及び(B)に示す補正後の受信アンテナ方向の正弦波にFFTを行う。いずれも、速度曖昧性(速度アンビギュイティ)Vambi=±41.64[km/h]、速度FFTによる検出速度Vdet=0[km/h]、実速度Vreal=83.28[km/h]である。速度折り返し回数Nwrap=0回(A)、1回(B)のみ異なる。図8の(A)に示す補正後の受信アンテナ方向の正弦波にFFTを行うと、図9の(A)に示す様に、誤ったスペクトルとなる。図8の(B)に示す補正後の受信アンテナ方向の正弦波にFFTを行うと、図9の(B)に示す様に、正しいスペクトルとなる。
以上の様に、TDM-MIMOの2個の送信アンテナからのチャープ信号TX1、TX2間の速度による位相誤差は、速度FFTの結果により検知及び補正が可能である。ただし、上述の位相補正は、標本化定理により、範囲が-π~+πまでに限られる。位相が-π~+πの範囲を超えて折り返した場合でも、折り返し回数の仮説を立てて補正することで、-2π~+2π程度まで位相補正範囲を拡張可能である。結果として速度拡張を拡張可能であることが知られている。
しかしながら、図1に示した水平MIMOのように、異なる送信アンテナにおけるチャープ同士の速度折り返しによる位相差が水平方向の受信アンテナ方向に不連続になる可能性がある構成においては、図9で示すように明示的に誤った角度スペクトルが誤った速度において得られるが、図2に示した垂直MIMOにおいては、そのような不連続な位相差は発生し得ない。
つまり、チャープ信号を送信する間隔が等間隔であるため、等間隔配置の垂直MIMOに上記技術による速度拡張を試みても、速度の位相差と高さの位相差とが同じ線形になるため、速度の位相差と高さの位相差の区別がつかず、正しい速度を決定できない。即ち、上記技術は、等間隔配置の垂直MIMOには適用できない、という課題がある。
等間隔配置の垂直MIMOが等間隔でチャープ信号を送信するレーダにおいて、高さ検出MIMOの速度視野が限定される。即ち、速度視野と送信アンテナ数がトレードオフの関係にある。送信アンテナ数が増えると速度視野が減少する。落ちた速度視野を回復させようと速度拡張を試みても、等間隔アンテナと等間隔チャープとの組合せでは正しい高さを推定し難い。このため、速度視野外にあるターゲットの正しい情報(高さ情報)が求められない、という課題がある。
以上のような事情に鑑み、等間隔配置の垂直MIMOが等間隔でチャープ信号を送信するレーダにおいて、速度拡張範囲をさらに広くし、本来の速度視野よりも速いターゲットの高さ及び速度を正確に求めることが望まれる。
2.本実施形態
(1)速度による送信アンテナ間の位相差の関係
図10は、送信アンテナの数Ntx=3の場合のチャープの送信間隔を模式的に示した図である。
バースト間隔TBに対して各チャープ信号Txの送信タイミングが等間隔になるようにチャープ信号を送信する。バースト間隔TBとは、送信アンテナ間で多重されたチャープ信号を送信アンテナ毎に分離した時の同一アンテナ同士の複数のチャープ信号の間隔である。第1の送信アンテナからのチャープ信号Tx1は0[μs]、第2の送信アンテナからのチャープ信号Tx2はk[μs]、第3の送信アンテナからのチャープ信号Tx3はl[μs]、第1の送信アンテナからの次のチャープ信号Tx1はm[μs]、のタイミングで等間隔に送信される。
Tx1=0とすると、Tx2,Tx3の速度位相は、以下の通りである。
Tx2=(Vdet+2×Vlim×Nwrap)×(k/m)×T
Tx3=(Vdet+2×Vlim×Nwrap)×(l/m)×T
k:l:m=1:l/k:m/k(ただし、l/k、m/kは整数)が成り立つとき、
l/k=α、m/k=βとし、Vlim×T=πでまとめると、以下の式になる。
Tx2=Vdet×(1/β)×T+2π×Nwrap×(1/β)
Tx3=Vdet×(α/β)×TB+2π×Nwrap×(α/β)
このとき、Namb=β=(m/k)の周期で折り返しが発生する。ここで、k、lは等間隔のチャープ信号である。このため、送信アンテナの数Ntx=3の場合は、以下の式が成立する。
(l/k)=2
(m/k)=3
Tx2=(Vdet+2×Vlim×Nwrap)×(1/3)×T
=Vdet×(1/3)×T+2π×Nwrap×(1/3)
Tx3=(Vdet+2×Vlim×Nwrap)×(2/3)×T
=Vdet×(2/3)×T+2π×Nwrap×(2/3)
Nwrap×(1/3)が整数になる周期で2πの折り返しが発生するため、送信アンテナの数Ntx=3の場合は、Nwrapを3通りまで計算可能である。つまり、速度折り返しが-1回、0回、+1回までの3通りについて、Tx2とTx3の各々が異なる速度位相を取る。
高さの位相を0°とした時、速度(Vdet+2π×Nwrap)によって、複数の送信アンテナ間に乗る速度の位相は上の通りである。このとき、Vdetが掛かる項は速度FFT(高速フーリエ変換、Fast Fourier Transform)で算出される速度により補正可能である。即ち、上の式のうち、Vdet×(1/3)×Tの項と、Vdet×(2/3)×Tの項とは、補正可能である。このため、速度の折り返しによる残留速度位相は以下の(2)の式になる。
Tx1=0
Tx2=2π×Nwrap×(1/3)
Tx3=2π×Nwrap×(2/3)
例えば、Nwrap=0が真の速度折り返し数である場合、Tx1=0、Tx2=0、Tx3=0が本来の位相である。つまり、速度折り返しの位相を補正する必要がない。しかし、Nwrap=-1、Nwrap=+1と、誤った折り返しを仮定して補正すると以下の2つの例の様になる。
第1の例として、Nwrap=-1の折り返しを仮定して位相を補正するときは、上の式にNwrap=+1を代入すると、以下の式になる。
Tx1=0
Tx2=2π×(1/3)
Tx3=2π(2/3)
第2の例として、Nwrap=+1の折り返しを仮定して位相を補正するときは、上の式にNwrap=-1を代入すると、以下の式になる。
Tx1=0
Tx2=-2π×(1/3)
Tx3=-2π(2/3)
ここで、検知速度Vdet=0、真の速度Vreal=0(折り返し0回、すなわちTx間の位相差0)、真の高さ0°とする。このとき、例えば折り返しが-1回と仮定したときのTx2、Tx3の位相は、以下の式になる。
Tx2=2π/3
Tx3=4π/3
図11は、送信アンテナ間の高さの差を模式的に示す。
送信アンテナ間の位相差と到来角度の関係は以下の式が成立する。
dsinθ=λ×(Δφ/2π)
ここで、Tx2について求める。送信アンテナ間の高さの差をd=1/2λとする。Δφ=2π/3である。このため、以下の式が成立する。
(λ/2)・sinθ=λ×(2π/3)/2π
sinθ=2/3
sin-1(2/3)=41.81[deg.]
つまり、速度折り返しを-1回と仮定すると、到来角は約42°を指すことになる。速度折り返しが+1回の場合は同様に約-42°である。つまり、速度折り返し数を-1,0,+1回と仮定した時のそれぞれの高さ方向の到来角が-42°、0°、+42°と求められる。
図12は、アレイ化したアンテナの垂直方向のFoVを模式的に示す。
車載レーダにおいては、アンテナの垂直方向(高さ方向)のFoVを絞ることができる。その理由は、第1に、地面方向、天空方向に感度を有さなくてもいいため(地面からの反射に対する感度を落としたいため)である。言い換えれば、前方車両等を検出すべき車載レーダにおいては、地下や天空に前方車両等のターゲットが存在することはあり得ない。第2に、正面方向に利得を向け、より遠くのターゲットを検出したいためである。ここで、一般的に車載レーダで用いられるパッチアンテナは、垂直方向にアレイ化することで垂直方向のFoVを絞り、正面方向により利得(ゲイン)を向ける(正面方向の感度をより高くする)ことができる。
図13は、レーダの高さ方向の角度と利得の一例を示す。
このグラフによれば、正面0°方向の利得が最も大きい。±10°程度で、-15dB程度まで利得が低下する。±30°から広角は、-60dB程度まで利得が低下し、ほとんど利得が無い。よって、±15°が現実的なFoVである。
(2)本実施形態のコンセプト
図14は、真の速度折り返しが0の場合の例を示す。
±15°が現実的なFoVとすると、垂直方向到来角推定値が-42°、+42°のときの速度候補はFoV外により候補から外れる。具体的には、このグラフによれば、垂直方向到来角推定値が-42°、+42°(グラフのピーク値が-42°、+42°)は、垂直方向角度閾値範囲(-15°~+15°)に含まれない。従って、垂直方向到来角推定値は-42°、+42°真の垂直方向到来角ではなく、また、これに対応する速度候補(-111.03km/h、111.03km/h)は、真の速度ではない。
一方、垂直方向到来角推定値0°(グラフのピーク値が0°)が、垂直方向角度閾値範囲(-15°~+15°)に含まれる。これにより、垂直方向到来角推定値0°が真の垂直方向到来角であり、これに対応する速度候補(0km/h)が真の速度である、と決定可能である。
この様に、本実施形態によれば、速度拡張を行い(本例では、Ntx=3について、速度折り返しを-1回、0回、+1回の3回分計算する)、高さを検出する。得られる結果は、電力(Intensity(dB))は同じだが、高さ(到来角、AoA、Angle of Arrival)が大きく異なる。そこで、送信アンテナの垂直方向の垂直方向角度閾値範囲範囲(垂直方向角度閾値範囲)にピークが入る垂直方向到来角(高さ)を、真の垂直方向到来角(高さ)として決定する。その垂直方向到来角に対応する速度を真の速度として決定する。
図15は、真の速度折り返しが-1の場合の例を示す。
真の速度折り返しが-1のときは、垂直方向到来角推定値0°(グラフのピーク値が0°)が、垂直方向角度閾値範囲(-15°~+15°)に含まれる。これにより、垂直方向到来角推定値0°が真の垂直方向到来角であり、これに対応する速度候補(-150[km/h])が真の速度である、と決定可能である。
図16は、真の速度折り返しが+1の場合の例を示す。
真の速度折り返しが+1のときは、垂直方向到来角推定値0°(グラフのピーク値が0°)が、垂直方向角度閾値範囲(-15°~+15°)に含まれる。これにより、垂直方向到来角推定値0°が真の垂直方向到来角であり、これに対応する速度候補(150[km/h])が真の速度である、と決定可能である。
ここで、垂直方向角度閾値範囲にピーク(垂直方向到来角推定値)が含まれるグラフが1個である必要がある。複数のグラフが垂直方向角度閾値範囲にピークを含むとすると、このうちどのピーク(垂直方向到来角推定値)が真の垂直方向到来角であるか判断できないためである。このため、垂直方向角度閾値範囲は、動的に変更可能とするのがよい。例えば、垂直方向角度閾値範囲は、複数の送信アンテナの数及び間隔、送信アンテナアレイからの距離、速度検出装置の垂直方向の取り付け高さ、速度検出装置の取り付け角度誤差等に基づき、動的に変更可能とするのがよい。その理論を以下に説明する。
(3)速度の折り返しによる残留速度位相と、高さの関係との関係
図17は、速度の折り返しによる残留速度位相と、高さの関係との関係を模式的に示す。
速度の折り返しによる残留速度位相と、高さの関係とを説明する。複数の送信アンテナTx1、Tx2、Tx3は、垂直MIMOアレイを構成するため高さ方向の差があり(高さ位相)、且つ、チャープ信号の送信タイミングの時間差がある。速度×送信アンテナ間の時間差によりターゲット(前方車両)が移動する(速度位相)。このとき、高さがあるターゲットの高さ位相差と、速度位相差は、同じように送信アンテナ間の位相差として検出される。このため、高さが0であっても、速度位相差が残留すれば、誤った高さとして検出される。即ち、速度の位相差と高さの位相差とが同じ線形になり、速度の位相差と高さの位相差の区別がつかない。
(4)アンテナ本数と速度折り返しによる残留速度位相
アンテナ本数がNant本である場合の、複数の送信アンテナTx間の速度折り返し位相は数1の式になる。ただしmodは剰余演算である。
Figure 2023113203000002
複数の送信アンテナの高さ方向の間隔dと位相差φとの関係は以下の式になる。
dsinθspd=λ×(Δφ/2π)
ここでθspdは、速度折り返し数の仮定誤りによって残留する速度位相差により疑似的に高さ位相として振る舞う、送信アンテナ間の位相差である。
Δφを速度折り返し残留位相差に置き換えると、数2の式になる。
Figure 2023113203000003
また、アンテナ間隔dは、波長λとの比nにより決めることができる。d=nλとすると、数3の式になる。
Figure 2023113203000004
以上より、速度折り返しによる高さ位相は数4の式で計算される。
Figure 2023113203000005
また、速度折り返しにより乗るθspdとは別に、実際に垂直方向の到来角θeleがある場合には以下の数5の式になる。
Figure 2023113203000006
ここでθsumは実際の垂直方向の到来角θeleと速度折り返しにより乗るθspdが合計され、疑似的に到来角として検出される角度である。
sin-1θの値は、引数が小さいほどθの偏角は小さくなるため、以下が言える。第1に、アンテナ間隔比n(例:n=0.5)が大きいほど、異なる折り返し間における高さ位相差Δφが小さい。第2に、アンテナ本数Nantが多いほど、異なる折り返し間における高さ位相差Δφが小さい。つまり、複数の折り返し速度候補がFoV(視野範囲)内に含まれない(1個の折り返し速度候補だけが含まれる)ようにするには、アンテナ間隔はなるべく狭く、且つ、アンテナ本数はなるべく少なくすればよい。一方、これは速度検出装置(レーダ)における到来角推定の高分解能化の一般論である、アンテナ間隔はなるべく広く、且つ、アンテナ本数はなるべく多く、とは相反することである。このため、本実施形態は、高さ方向の到来角推定分解能が低い速度検出装置(レーダ)に適している。
図18は、残留速度位相差の値の例を示す。
同図は、数4の式において、アンテナ間隔比n=0.5、アンテナ本数Nant=3又は4、にしたときの残留速度位相差を示す。このとき、同図において最も小さい角度差絶対値、つまりNwrap=+1の時の残留速度位相差の値が、FoV内に2つの速度候補が含まれない限界である。よって垂直方向角度閾値範囲限界である垂直方向角度閾値範囲は、以下の数5の式により決定することが出来る。ここで、θFoVp-pは、検出角度範囲の正負方向の幅である。
Figure 2023113203000007
ここで、到来角推定のためにはNantは2本以上必要である(Nant≧2)。このため、2π/Nantは、必ずπ以下の値になる(2π/Nant≦π)。よって、mod(剰余演算)による-π~+πへの折り返し補正は必要ない。このため、上記の式は、下記の式に簡略化される。
Figure 2023113203000008
ここで、θFoVp-pは垂直方向の角度閾値の幅、
Nantは垂直方向到来角推定のために用いられる複数のチャープ信号を送信する複数の送信アンテナの数、
nは垂直方向の複数の送信アンテナ間の間隔と送信アンテナアレイが送信するするチャープ信号の自由空間上の波長との比である。
以上はθeleが0°の時に他の速度折り返しによる疑似的な到来角が向く角度によりFoVを計算した。実際にはθeleがこのFoVの中で0°でない値を取る場合を考慮する必要がある。数5の式より、折り返し数とθeleが異なる符号の時、θsumの値は減少する。そこで、速度折り返し数が-1の時と0の時とでθeleが正の角度を取る場合の角度差を求める。
速度折り返し数が-1の時と速度折り返し数が0の時のθsumの差は以下である。
Figure 2023113203000009
ここでθdiffは折り返し数が-1の時と折り返し数が0の時のθsumの差である。数6同様、数8もmodを取って数9のように簡略化される。
Figure 2023113203000010
数9において、θdiffの最小値が任意のθele(ただしθeleは数6の範囲である)において真の折り返し数と異なる他の折り返し数の到来角がFoVに入らない限界である。数10により計算される。
Figure 2023113203000011
ここで、θFoVp-pは垂直方向の角度閾値の幅、
Nantは垂直方向到来角推定のために用いられる前記複数のチャープ信号を送信する前記複数の送信アンテナの数、
nは垂直方向の前記複数の送信アンテナ間の間隔と前記送信アンテナアレイが送信するするチャープ信号の自由空間上の波長との比である。
本実施形態の速度検出装置において、速度決定部は、垂直方向角度閾値範囲を、上の数10の式を満たす範囲の値で設定すればよい。
(5)距離による負方向(マイナス方向)の垂直方向角度閾値範囲の限定
図19は、負方向のFoVの例を模式的に示す。
上述の様に、車載レーダにおいては、アンテナの垂直方向(高さ方向)の垂直方向角度閾値範囲を絞ることができる。その理由は、地面方向、天空方向に感度を有さなくてもいいため(地面からの反射に対する感度を落としたいため)である。言い換えれば、前方車両等を検出すべき車載レーダにおいては、地下や天空に前方車両等のターゲットが存在することはあり得ない。このため、車載レーダにおいて、特に遠距離については負方向の高さを考慮する必要性は小さい。よって負方向(地下に向かう方向)の垂直方向角度閾値範囲を更に狭い範囲に限定できる。
図20は、距離による負方向の垂直方向角度閾値範囲の限定の例を模式的に示す。
垂直方向角度閾値範囲を、速度検出装置の垂直方向の取り付け高さに基づき動的に算出することで、より適切に垂直方向角度閾値範囲を決定できる。例えば、速度検出装置(レーダ)の取り付け高さをtとする。高さtから照射された電波が地面に到達する距離をrとする。速度検出装置(レーダ)から見て下方向(負方向)の速度検出装置(レーダ)の検出角をθElev-とする。この場合、以下の式が成立する。
rsinθElev-=t
θElev-=sin-1(t/r)
図21は、取り付け角度誤差を考慮した負方向の垂直方向角度閾値範囲の限定の例を模式的に示す。
速度検出装置(レーダ)から見て下方向(負方向)の速度検出装置(レーダ)の検出角をθElev-とする。速度検出装置(レーダ)の取り付け角度誤差をθerrとする。速度検出装置(レーダ)の取り付け角度誤差を考慮する場合、以下の式が成立する。垂直方向角度閾値範囲を、速度検出装置の垂直方向の取り付け高さだけでなく、取り付け角度誤差に基づき動的に算出することで、益々より適切に垂直方向角度閾値範囲を決定できる。
rsin(θElev-θerr)=t
(θElev-θerr)=sin-1(t/r)
θElev=sin-1(t/r)+θerr
高さtと距離rによる角度が数10の式の半値以下のとき、負方向の閾値は、以下の式に置き換わる。
sin-1(t/r)+θerr
すなわち、以下の数11の式が成立する。
Figure 2023113203000012
ここで、θFoV+は速度検出装置(レーダ)の取り付け中心線よりも垂直方向に上側(正方向)の垂直方向角度閾値、
θFoV-は速度検出装置(レーダ)の取り付け中心線よりも垂直方向に下側(負方向)の垂直方向角度閾値、であり、θFoV+とθFoV-の和が垂直方向全体のFoVの幅である。
tは速度検出装置の垂直方向の取り付け高さ、
rは速度検出装置の検出距離、
θerrは速度検出装置の取り付け角度誤差である。
本実施形態の速度検出装置において、速度決定部は、垂直方向角度閾値範囲を、上の数11の式を満たす範囲の値で設定してもよい。例えば、上の数11の式を満たすような、送信アンテナアレイ220からの複数の距離に対応して複数の垂直方向角度閾値範囲を登録したテーブルを用意し、速度決定部は、送信アンテナアレイからの複数の距離に対応して複数の垂直方向角度閾値範囲を登録したテーブルに基づき、垂直方向角度閾値範囲を動的に算出してもよい。
3.変形例
本実施形態の変形例のバリエーションを挙げる。本実施形態は、TDM-MIMO(時分割MIMO)及びBPM-MIMO(位相分割MIMO)の両方に適用可能である。本実施形態は、送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイは、垂直MIMOアレイを構成する場合に適用可能である。本実施形態は、2次元MIMOに適用可能である。到来角推定は、FFT(高速フーリエ変換、Fast Fourier transform)、DFT(離散フーリエ変換、Discrete Fourier Transformation)により行うことができる。到来角推定はCAPON、MUSIC又はESPRITの圧縮センシングにより行うことができる。
例えば、一実施例として、垂直MIMOアレイ、TDM-MIMO、FFTによる到来角推定、を組み合わせてよい。別の変形例として、垂直MIMOアレイ、BPM-MIMO、FFTによる到来角推定、を組み合わせてよい。一変形例として、垂直MIMOアレイ、TDM-MIMO、CAPON、MUSIC、ESPRIT、又は圧縮センシングによる到来角推定、を組み合わせてよい。別の変形例として、垂直MIMOアレイ、BPM-MIMO、CAPON、MUSIC、ESPRIT、又は圧縮センシングによる到来角推定、を組み合わせてよい。
4.小括
典型的な等間隔式MIMOの速度範囲は現実的に±100km/h程度が限界である。しかし実使用上は、日本の道路でも±200km/h程度の速度範囲は最低限必要である(高速道路で自車と対向車がお互いに100km/hで走行しているシーンを想定)。これに対して、本実施形態によれば、速度視野を等間隔式MIMOの速度範囲よりも更に広く拡張できる。
典型的な技術では、チャープ信号を送信する間隔が等間隔であるため、等間隔配置の垂直MIMOに上記技術による速度拡張を試みても、速度の位相差と高さの位相差の区別がつかず、正しい速度を決定できない。即ち、上記技術は、等間隔配置の垂直MIMOには適用できない、という課題がある。
これに対して、本実施形態によれば、速度拡張を行い(例えば、送信アンテナの数Ntx=3について、速度折り返しを-1回、0回、+1回の3回分計算する)、高さを検出する。得られる結果は、電力(Intensity(db))は同じだが、高さ(到来角、AoA、Angle of Arrival)が大きく異なる。そこで、送信アンテナの垂直方向の垂直方向角度閾値範囲範囲(垂直方向角度閾値範囲)にピークが入る垂直方向到来角(高さ)を、真の垂直方向到来角(高さ)として決定する。その垂直方向到来角に対応する速度を真の速度として決定する。
図22は、本実施形態の速度位相補正の概念を模式的に示す。
本実施形態は、本来であれば±Vmaxまでしか高さ検出できない速度範囲について、送信アンテナの数×速度折り返し数の分だけ、速度範囲を拡張できる。例えば、送信アンテナの数Ntx=3のとき、-1、±0、+1の3通りの速度折り返しを許容できる。このため、±Vmaxから、±3×Vmaxの速度範囲まで、速度範囲を拡張可能である。これにより、本来は送信アンテナの数Nだけ狭くなる速度視野を、送信アンテナの数Nと同じ数だけ回復できる。このため、本実施形態は、略等間隔配置の垂直MIMOにも適用可能である。
5.本実施形態の構成
図23は、本実施形態の速度検出装置の構成を示すブロック図である。
速度検出装置200は、情報処理装置210、送信アンテナアレイ220及び受信アンテナアレイ230を有する。情報処理装置210は、ROMが記憶する情報処理プログラムをCPUがRAMにロードして実行することにより、チャープ制御部211及び速度決定部212として動作する。
送信アンテナアレイ220及び受信アンテナアレイ230は、等間隔配置の垂直MIMOアレイを構成する。送信アンテナアレイ220は、複数のチャープ信号をそれぞれ送信する複数の送信アンテナを含む。即ち、送信アンテナアレイ220は、垂直方向に配置された複数の送信アンテナ間で多重された複数のチャープ信号を送信する。受信アンテナアレイ230は、物体300で反射された複数のチャープ信号を受信する複数の受信アンテナを含む。
チャープ制御部211は、複数の送信アンテナ間で多重された複数のチャープ信号を複数の送信アンテナ毎に分離した時、同一の送信アンテナ同士の複数のチャープ信号の間隔が等間隔であり、異なる送信アンテナ同士の複数のチャープ信号の複数の間隔が等間隔となるように複数の送信アンテナから送信される複数のチャープ信号を制御する。チャープ制御部211は、時分割又は位相分割により複数の送信アンテナ間で複数のチャープ信号を多重する。
速度決定部212は、受信アンテナアレイ230が受信した複数のチャープ信号に基づいて、複数の速度候補を算出する。垂直方向到来角推定のために用いられる複数のチャープ信号を送信する複数の送信アンテナの数と、複数の速度候補の数とは、等しい。速度決定部212は、複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値が垂直方向角度閾値範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて複数の速度候補から1個の速度候補を真の速度として決定する。速度決定部212は、垂直方向角度閾値範囲に含まれる1個の垂直方向到来角推定値を、真の垂直方向到来角として決定する。速度決定部212は、垂直方向角度閾値範囲に含まれる1個の垂直方向到来角推定値に対応する1個の速度候補を、真の速度として決定する。
速度決定部212は、垂直方向角度閾値範囲を、複数のチャープ信号を送信する複数の送信アンテナの数及び間隔や、送信アンテナアレイ220からの距離に基づき動的に算出する。具体的には、速度決定部212は、送信アンテナアレイ220からの複数の距離に対応して複数の垂直方向角度閾値範囲を登録したテーブルに基づき、垂直方向角度閾値範囲を動的に算出してもよい。速度決定部は、垂直方向角度閾値範囲を、速度検出装置200の垂直方向の取り付け高さに基づき動的に算出してもよい。
速度決定部212は、FFT(Fast Fourier Transform、高速フーリエ変換)又はDFT(Discrete Fourier Transform、離散フーリエ変換)により到来角推定を行う。速度決定部212は、CAPON、MUSIC、ESPRIT、又は圧縮センシングにより到来角推定を行う。
本実施形態に係る速度検出装置200、あるいは、送信アンテナアレイ220及び受信アンテナアレイ230を除く情報処理装置210は、車両制御システム11に適用可能である。
6.車両の構成
図24は、本技術が適用される移動装置制御システムの一例である車両制御システム11の構成例を示すブロック図である。
車両制御システム11は、車両1に設けられ、車両1の走行支援及び自動運転に関わる処理を行う。
車両制御システム11は、車両制御ECU(Electronic Control Unit)21、通信部22、地図情報蓄積部23、位置情報取得部24、外部認識センサ25、車内センサ26、車両センサ27、記憶部28、走行支援・自動運転制御部29、DMS(Driver Monitoring System)30、HMI(Human Machine Interface)31、及び、車両制御部32を備える。
車両制御ECU21、通信部22、地図情報蓄積部23、位置情報取得部24、外部認識センサ25、車内センサ26、車両センサ27、記憶部28、走行支援・自動運転制御部29、ドライバモニタリングシステム(DMS)30、ヒューマンマシーンインタフェース(HMI)31、及び、車両制御部32は、通信ネットワーク41を介して相互に通信可能に接続されている。通信ネットワーク41は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)、FlexRay(登録商標)、イーサネット(登録商標)といったディジタル双方向通信の規格に準拠した車載通信ネットワークやバス等により構成される。通信ネットワーク41は、伝送されるデータの種類によって使い分けられてもよい。例えば、車両制御に関するデータに対してCANが適用され、大容量データに対してイーサネットが適用されるようにしてもよい。なお、車両制御システム11の各部は、通信ネットワーク41を介さずに、例えば近距離無線通信(NFC(Near Field Communication))やBluetooth(登録商標)といった比較的近距離での通信を想定した無線通信を用いて直接的に接続される場合もある。
なお、以下、車両制御システム11の各部が、通信ネットワーク41を介して通信を行う場合、通信ネットワーク41の記載を省略するものとする。例えば、車両制御ECU21と通信部22が通信ネットワーク41を介して通信を行う場合、単に車両制御ECU21と通信部22とが通信を行うと記載する。
車両制御ECU21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)といった各種のプロセッサにより構成される。車両制御ECU21は、車両制御システム11全体又は一部の機能の制御を行う。
通信部22は、車内及び車外の様々な機器、他の車両、サーバ、基地局等と通信を行い、各種のデータの送受信を行う。このとき、通信部22は、複数の通信方式を用いて通信を行うことができる。
通信部22が実行可能な車外との通信について、概略的に説明する。通信部22は、例えば、5G(第5世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の無線通信方式により、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク上に存在するサーバ(以下、外部のサーバと呼ぶ)等と通信を行う。通信部22が通信を行う外部ネットワークは、例えば、インターネット、クラウドネットワーク、又は、事業者固有のネットワーク等である。通信部22が外部ネットワークに対して行う通信方式は、所定以上の通信速度、且つ、所定以上の距離間でディジタル双方向通信が可能な無線通信方式であれば、特に限定されない。
また例えば、通信部22は、P2P(Peer To Peer)技術を用いて、自車の近傍に存在する端末と通信を行うことができる。自車の近傍に存在する端末は、例えば、歩行者や自転車等の比較的低速で移動する移動体が装着する端末、店舗等に位置が固定されて設置される端末、又は、MTC(Machine Type Communication)端末である。さらに、通信部22は、V2X通信を行うこともできる。V2X通信とは、例えば、他の車両との間の車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路側器等との間の路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、家との間(Vehicle to Home)の通信、及び、歩行者が所持する端末等との間の歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信等の、自車と他との通信をいう。
通信部22は、例えば、車両制御システム11の動作を制御するソフトウエアを更新するためのプログラムを外部から受信することができる(Over The Air)。通信部22は、さらに、地図情報、交通情報、車両1の周囲の情報等を外部から受信することができる。また例えば、通信部22は、車両1に関する情報や、車両1の周囲の情報等を外部に送信することができる。通信部22が外部に送信する車両1に関する情報としては、例えば、車両1の状態を示すデータ、認識部73による認識結果等がある。さらに例えば、通信部22は、eコール等の車両緊急通報システムに対応した通信を行う。
例えば、通信部22は、電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送等の道路交通情報通信システム(VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標))により送信される電磁波を受信する。
通信部22が実行可能な車内との通信について、概略的に説明する。通信部22は、例えば無線通信を用いて、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部22は、例えば、無線LAN、Bluetooth、NFC、WUSB(Wireless USB)といった、無線通信により所定以上の通信速度でディジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の機器と無線通信を行うことができる。これに限らず、通信部22は、有線通信を用いて車内の各機器と通信を行うこともできる。例えば、通信部22は、図示しない接続端子に接続されるケーブルを介した有線通信により、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部22は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)、MHL(Mobile High-definition Link)といった、有線通信により所定以上の通信速度でディジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の各機器と通信を行うことができる。
ここで、車内の機器とは、例えば、車内において通信ネットワーク41に接続されていない機器を指す。車内の機器としては、例えば、運転者等の搭乗者が所持するモバイル機器やウェアラブル機器、車内に持ち込まれ一時的に設置される情報機器等が想定される。
地図情報蓄積部23は、外部から取得した地図及び車両1で作成した地図の一方又は両方を蓄積する。例えば、地図情報蓄積部23は、3次元の高精度地図、高精度地図より精度が低く、広いエリアをカバーするグローバルマップ等を蓄積する。
高精度地図は、例えば、ダイナミックマップ、ポイントクラウドマップ、ベクターマップ等である。ダイナミックマップは、例えば、動的情報、準動的情報、準静的情報、静的情報の4層からなる地図であり、外部のサーバ等から車両1に提供される。ポイントクラウドマップは、ポイントクラウド(点群データ)により構成される地図である。ベクターマップは、例えば、車線や信号機の位置といった交通情報等をポイントクラウドマップに対応付け、ADAS(Advanced Driver Assistance System)やAD(Autonomous Driving)に適合させた地図である。
ポイントクラウドマップ及びベクターマップは、例えば、外部のサーバ等から提供されてもよいし、カメラ51、レーダ52、LiDAR53等によるセンシング結果に基づいて、後述するローカルマップとのマッチングを行うための地図として車両1で作成され、地図情報蓄積部23に蓄積されてもよい。また、外部のサーバ等から高精度地図が提供される場合、通信容量を削減するため、車両1がこれから走行する計画経路に関する、例えば数百メートル四方の地図データが外部のサーバ等から取得される。
位置情報取得部24は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からGNSS信号を受信し、車両1の位置情報を取得する。取得した位置情報は、走行支援・自動運転制御部29に供給される。なお、位置情報取得部24は、GNSS信号を用いた方式に限定されず、例えば、ビーコンを用いて位置情報を取得してもよい。
外部認識センサ25は、車両1の外部の状況の認識に用いられる各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。外部認識センサ25が備えるセンサの種類や数は任意である。
例えば、外部認識センサ25は、カメラ51、レーダ52、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)53、及び、超音波センサ54を備える。これに限らず、外部認識センサ25は、カメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54のうち1種類以上のセンサを備える構成でもよい。カメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54の数は、現実的に車両1に設置可能な数であれば特に限定されない。また、外部認識センサ25が備えるセンサの種類は、この例に限定されず、外部認識センサ25は、他の種類のセンサを備えてもよい。外部認識センサ25が備える各センサのセンシング領域の例は、後述する。
なお、カメラ51の撮影方式は、特に限定されない。例えば、測距が可能な撮影方式であるToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった各種の撮影方式のカメラを、必要に応じてカメラ51に適用することができる。これに限らず、カメラ51は、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。
また、例えば、外部認識センサ25は、車両1に対する環境を検出するための環境センサを備えることができる。環境センサは、天候、気象、明るさ等の環境を検出するためのセンサであって、例えば、雨滴センサ、霧センサ、日照センサ、雪センサ、照度センサ等の各種センサを含むことができる。
さらに、例えば、外部認識センサ25は、車両1の周囲の音や音源の位置の検出等に用いられるマイクロフォンを備える。
車内センサ26は、車内の情報を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。車内センサ26が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両1に設置可能な種類や数であれば特に限定されない。
例えば、車内センサ26は、カメラ、レーダ、着座センサ、ステアリングホイールセンサ、マイクロフォン、生体センサのうち1種類以上のセンサを備えることができる。車内センサ26が備えるカメラとしては、例えば、ToFカメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった、測距可能な各種の撮影方式のカメラを用いることができる。これに限らず、車内センサ26が備えるカメラは、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。車内センサ26が備える生体センサは、例えば、シートやステアリングホイール等に設けられ、運転者等の搭乗者の各種の生体情報を検出する。
車両センサ27は、車両1の状態を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。車両センサ27が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両1に設置可能な種類や数であれば特に限定されない。
例えば、車両センサ27は、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、及び、それらを統合した慣性計測装置(IMU(Inertial Measurement Unit))を備える。例えば、車両センサ27は、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、ヨーレートセンサ、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ、及び、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサを備える。例えば、車両センサ27は、エンジンやモータの回転数を検出する回転センサ、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサ、タイヤのスリップ率を検出するスリップ率センサ、及び、車輪の回転速度を検出する車輪速センサを備える。例えば、車両センサ27は、バッテリの残量及び温度を検出するバッテリセンサ、並びに、外部からの衝撃を検出する衝撃センサを備える。
記憶部28は、不揮発性の記憶媒体及び揮発性の記憶媒体のうち少なくとも一方を含み、データやプログラムを記憶する。記憶部28は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)として用いられ、記憶媒体としては、HDD(Hard Disc Drive)といった磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、及び、光磁気記憶デバイスを適用することができる。記憶部28は、車両制御システム11の各部が用いる各種プログラムやデータを記憶する。例えば、記憶部28は、EDR(Event Data Recorder)やDSSAD(Data Storage System for Automated Driving)を備え、事故等のイベントの前後の車両1の情報や車内センサ26によって取得された情報を記憶する。
走行支援・自動運転制御部29は、車両1の走行支援及び自動運転の制御を行う。例えば、走行支援・自動運転制御部29は、分析部61、行動計画部62、及び、動作制御部63を備える。
分析部61は、車両1及び周囲の状況の分析処理を行う。分析部61は、自己位置推定部71、センサフュージョン部72、及び、認識部73を備える。
自己位置推定部71は、外部認識センサ25からのセンサデータ、及び、地図情報蓄積部23に蓄積されている高精度地図に基づいて、車両1の自己位置を推定する。例えば、自己位置推定部71は、外部認識センサ25からのセンサデータに基づいてローカルマップを生成し、ローカルマップと高精度地図とのマッチングを行うことにより、車両1の自己位置を推定する。車両1の位置は、例えば、後輪対車軸の中心が基準とされる。
ローカルマップは、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の技術を用いて作成される3次元の高精度地図、占有格子地図(Occupancy Grid Map)等である。3次元の高精度地図は、例えば、上述したポイントクラウドマップ等である。占有格子地図は、車両1の周囲の3次元又は2次元の空間を所定の大きさのグリッド(格子)に分割し、グリッド単位で物体の占有状態を示す地図である。物体の占有状態は、例えば、物体の有無や存在確率により示される。ローカルマップは、例えば、認識部73による車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理にも用いられる。
なお、自己位置推定部71は、位置情報取得部24により取得される位置情報、及び、車両センサ27からのセンサデータに基づいて、車両1の自己位置を推定してもよい。
センサフュージョン部72は、複数の異なる種類のセンサデータ(例えば、カメラ51から供給される画像データ、及び、レーダ52から供給されるセンサデータ)を組み合わせて、新たな情報を得るセンサフュージョン処理を行う。異なる種類のセンサデータを組合せる方法としては、統合、融合、連合等がある。
認識部73は、車両1の外部の状況の検出を行う検出処理、及び、車両1の外部の状況の認識を行う認識処理を実行する。
例えば、認識部73は、外部認識センサ25からの情報、自己位置推定部71からの情報、センサフュージョン部72からの情報等に基づいて、車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理を行う。
具体的には、例えば、認識部73は、車両1の周囲の物体の検出処理及び認識処理等を行う。物体の検出処理とは、例えば、物体の有無、大きさ、形、位置、動き等を検出する処理である。物体の認識処理とは、例えば、物体の種類等の属性を認識したり、特定の物体を識別したりする処理である。ただし、検出処理と認識処理とは、必ずしも明確に分かれるものではなく、重複する場合がある。
例えば、認識部73は、レーダ52又はLiDAR53等によるセンサデータに基づくポイントクラウドを点群の塊毎に分類するクラスタリングを行うことにより、車両1の周囲の物体を検出する。これにより、車両1の周囲の物体の有無、大きさ、形状、位置が検出される。
例えば、認識部73は、クラスタリングにより分類された点群の塊の動きを追従するトラッキングを行うことにより、車両1の周囲の物体の動きを検出する。これにより、車両1の周囲の物体の速度及び進行方向(移動ベクトル)が検出される。
例えば、認識部73は、カメラ51から供給される画像データに基づいて、車両、人、自転車、障害物、構造物、道路、信号機、交通標識、道路標示等を検出又は認識する。また、認識部73は、セマンティックセグメンテーション等の認識処理を行うことにより、車両1の周囲の物体の種類を認識してもよい。
例えば、認識部73は、地図情報蓄積部23に蓄積されている地図、自己位置推定部71による自己位置の推定結果、及び、認識部73による車両1の周囲の物体の認識結果に基づいて、車両1の周囲の交通ルールの認識処理を行うことができる。認識部73は、この処理により、信号機の位置及び状態、交通標識及び道路標示の内容、交通規制の内容、並びに、走行可能な車線等を認識することができる。
例えば、認識部73は、車両1の周囲の環境の認識処理を行うことができる。認識部73が認識対象とする周囲の環境としては、天候、気温、湿度、明るさ、及び、路面の状態等が想定される。
行動計画部62は、車両1の行動計画を作成する。例えば、行動計画部62は、経路計画、経路追従の処理を行うことにより、行動計画を作成する。
なお、経路計画(Global path planning)とは、スタートからゴールまでの大まかな経路を計画する処理である。この経路計画には、軌道計画と言われ、計画した経路において、車両1の運動特性を考慮して、車両1の近傍で安全かつ滑らかに進行することが可能な軌道生成(Local path planning)を行う処理も含まれる。
経路追従とは、経路計画により計画された経路を計画された時間内で安全かつ正確に走行するための動作を計画する処理である。行動計画部62は、例えば、この経路追従の処理の結果に基づき、車両1の目標速度と目標角速度を計算することができる。
動作制御部63は、行動計画部62により作成された行動計画を実現するために、車両1の動作を制御する。
例えば、動作制御部63は、後述する車両制御部32に含まれる、ステアリング制御部81、ブレーキ制御部82、及び、駆動制御部83を制御して、軌道計画により計算された軌道を車両1が進行するように、加減速制御及び方向制御を行う。例えば、動作制御部63は、衝突回避又は衝撃緩和、追従走行、車速維持走行、自車の衝突警告、自車のレーン逸脱警告等のADASの機能実現を目的とした協調制御を行う。例えば、動作制御部63は、運転者の操作によらずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行う。
DMS30は、車内センサ26からのセンサデータ、及び、後述するHMI31に入力される入力データ等に基づいて、運転者の認証処理、及び、運転者の状態の認識処理等を行う。認識対象となる運転者の状態としては、例えば、体調、覚醒度、集中度、疲労度、視線方向、酩酊度、運転操作、姿勢等が想定される。
なお、DMS30が、運転者以外の搭乗者の認証処理、及び、当該搭乗者の状態の認識処理を行うようにしてもよい。また、例えば、DMS30が、車内センサ26からのセンサデータに基づいて、車内の状況の認識処理を行うようにしてもよい。認識対象となる車内の状況としては、例えば、気温、湿度、明るさ、臭い等が想定される。
HMI31は、各種のデータや指示等の入力と、各種のデータの運転者等への提示を行う。
HMI31によるデータの入力について、概略的に説明する。HMI31は、人がデータを入力するための入力デバイスを備える。HMI31は、入力デバイスにより入力されたデータや指示等に基づいて入力信号を生成し、車両制御システム11の各部に供給する。HMI31は、入力デバイスとして、例えばタッチパネル、ボタン、スイッチ、及び、レバーといった操作子を備える。これに限らず、HMI31は、音声やジェスチャ等により手動操作以外の方法で情報を入力可能な入力デバイスをさらに備えてもよい。さらに、HMI31は、例えば、赤外線又は電波を利用したリモートコントロール装置や、車両制御システム11の操作に対応したモバイル機器又はウェアラブル機器等の外部接続機器を入力デバイスとして用いてもよい。
HMI31によるデータの提示について、概略的に説明する。HMI31は、搭乗者又は車外に対する視覚情報、聴覚情報、及び、触覚情報の生成を行う。また、HMI31は、生成された各情報の出力、出力内容、出力タイミング及び出力方法等を制御する出力制御を行う。HMI31は、視覚情報として、例えば、操作画面、車両1の状態表示、警告表示、車両1の周囲の状況を示すモニタ画像等の画像や光により示される情報を生成及び出力する。また、HMI31は、聴覚情報として、例えば、音声ガイダンス、警告音、警告メッセージ等の音により示される情報を生成及び出力する。さらに、HMI31は、触覚情報として、例えば、力、振動、動き等により搭乗者の触覚に与えられる情報を生成及び出力する。
HMI31が視覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、自身が画像を表示することで視覚情報を提示する表示装置や、画像を投影することで視覚情報を提示するプロジェクタ装置を適用することができる。なお、表示装置は、通常のディスプレイを有する表示装置以外にも、例えば、ヘッドアップディスプレイ、透過型ディスプレイ、AR(Augmented Reality)機能を備えるウエアラブルデバイスといった、搭乗者の視界内に視覚情報を表示する装置であってもよい。また、HMI31は、車両1に設けられるナビゲーション装置、インストルメントパネル、CMS(Camera Monitoring System)、電子ミラー、ランプ等が有する表示デバイスを、視覚情報を出力する出力デバイスとして用いることも可能である。
HMI31が聴覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、オーディオスピーカ、ヘッドホン、イヤホンを適用することができる。
HMI31が触覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、ハプティクス技術を用いたハプティクス素子を適用することができる。ハプティクス素子は、例えば、ステアリングホイール、シートといった、車両1の搭乗者が接触する部分に設けられる。
車両制御部32は、車両1の各部の制御を行う。車両制御部32は、ステアリング制御部81、ブレーキ制御部82、駆動制御部83、ボディ系制御部84、ライト制御部85、及び、ホーン制御部86を備える。
ステアリング制御部81は、車両1のステアリングシステムの状態の検出及び制御等を行う。ステアリングシステムは、例えば、ステアリングホイール等を備えるステアリング機構、電動パワーステアリング等を備える。ステアリング制御部81は、例えば、ステアリングシステムの制御を行うステアリングECU、ステアリングシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
ブレーキ制御部82は、車両1のブレーキシステムの状態の検出及び制御等を行う。ブレーキシステムは、例えば、ブレーキペダル等を含むブレーキ機構、ABS(Antilock Brake System)、回生ブレーキ機構等を備える。ブレーキ制御部82は、例えば、ブレーキシステムの制御を行うブレーキECU、ブレーキシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
駆動制御部83は、車両1の駆動システムの状態の検出及び制御等を行う。駆動システムは、例えば、アクセルペダル、内燃機関又は駆動用モータ等の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構等を備える。駆動制御部83は、例えば、駆動システムの制御を行う駆動ECU、駆動システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
ボディ系制御部84は、車両1のボディ系システムの状態の検出及び制御等を行う。ボディ系システムは、例えば、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウインドウ装置、パワーシート、空調装置、エアバッグ、シートベルト、シフトレバー等を備える。ボディ系制御部84は、例えば、ボディ系システムの制御を行うボディ系ECU、ボディ系システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
ライト制御部85は、車両1の各種のライトの状態の検出及び制御等を行う。制御対象となるライトとしては、例えば、ヘッドライト、バックライト、フォグライト、ターンシグナル、ブレーキライト、プロジェクション、バンパーの表示等が想定される。ライト制御部85は、ライトの制御を行うライトECU、ライトの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
ホーン制御部86は、車両1のカーホーンの状態の検出及び制御等を行う。ホーン制御部86は、例えば、カーホーンの制御を行うホーンECU、カーホーンの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
図25は、図24の外部認識センサ25のカメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54等によるセンシング領域の例を示す図である。なお、同図において、車両1を上面から見た様子が模式的に示され、左端側が車両1の前端(フロント)側であり、右端側が車両1の後端(リア)側となっている。
センシング領域101F及びセンシング領域101Bは、超音波センサ54のセンシング領域の例を示している。センシング領域101Fは、複数の超音波センサ54によって車両1の前端周辺をカバーしている。センシング領域101Bは、複数の超音波センサ54によって車両1の後端周辺をカバーしている。
センシング領域101F及びセンシング領域101Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の駐車支援等に用いられる。
センシング領域102F乃至センシング領域102Bは、短距離又は中距離用のレーダ52のセンシング領域の例を示している。センシング領域102Fは、車両1の前方において、センシング領域101Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域102Bは、車両1の後方において、センシング領域101Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域102Lは、車両1の左側面の後方の周辺をカバーしている。センシング領域102Rは、車両1の右側面の後方の周辺をカバーしている。
センシング領域102Fにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の前方に存在する車両や歩行者等の検出等に用いられる。センシング領域102Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の後方の衝突防止機能等に用いられる。センシング領域102L及びセンシング領域102Rにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の側方の死角における物体の検出等に用いられる。
センシング領域103F乃至センシング領域103Bは、カメラ51によるセンシング領域の例を示している。センシング領域103Fは、車両1の前方において、センシング領域102Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域103Bは、車両1の後方において、センシング領域102Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域103Lは、車両1の左側面の周辺をカバーしている。センシング領域103Rは、車両1の右側面の周辺をカバーしている。
センシング領域103Fにおけるセンシング結果は、例えば、信号機や交通標識の認識、車線逸脱防止支援システム、自動ヘッドライト制御システムに用いることができる。センシング領域103Bにおけるセンシング結果は、例えば、駐車支援、及び、サラウンドビューシステムに用いることができる。センシング領域103L及びセンシング領域103Rにおけるセンシング結果は、例えば、サラウンドビューシステムに用いることができる。
センシング領域104は、LiDAR53のセンシング領域の例を示している。センシング領域104は、車両1の前方において、センシング領域103Fより遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域104は、センシング領域103Fより左右方向の範囲が狭くなっている。
センシング領域104におけるセンシング結果は、例えば、周辺車両等の物体検出に用いられる。
センシング領域105は、長距離用のレーダ52のセンシング領域の例を示している。
センシング領域105は、車両1の前方において、センシング領域104より遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域105は、センシング領域104より左右方向の範囲が狭くなっている。
センシング領域105におけるセンシング結果は、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control)、緊急ブレーキ、衝突回避等に用いられる。
なお、外部認識センサ25が含むカメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54の各センサのセンシング領域は、図25以外に各種の構成をとってもよい。具体的には、超音波センサ54が車両1の側方もセンシングするようにしてもよいし、LiDAR53が車両1の後方をセンシングするようにしてもよい。また、各センサの設置位置は、上述した各例に限定されない。また、各センサの数は、1つでもよいし、複数であってもよい。
本開示は、以下の各構成を有してもよい。
(1)
垂直方向に配置された複数の送信アンテナ間で多重された複数のチャープ信号を送信する送信アンテナアレイと、
反射された前記複数のチャープ信号を受信する複数の受信アンテナを含む受信アンテナアレイと、
前記受信アンテナアレイが受信した前記複数のチャープ信号に基づいて、複数の速度候補を算出し、
前記複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値が垂直方向角度閾値範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記複数の速度候補から1個の速度候補を真の速度として決定する
速度決定部と、
を具備する速度検出装置。
(2)
前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲に含まれる1個の垂直方向到来角推定値に対応する1個の速度候補を、前記真の速度として決定する
上記(1)に記載の速度検出装置。
(3)
前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲に含まれる1個の垂直方向到来角推定値を、真の垂直方向到来角として決定する
上記(1)又は(2)に記載の速度検出装置。
(4)
前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲を、前記複数のチャープ信号を送信する前記複数の送信アンテナの数及び間隔に基づき動的に算出する
上記(1)乃至(3)の何れか一項に記載の速度検出装置。
(5)
前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲を、前記送信アンテナアレイからの距離に基づき動的に算出する
上記(1)乃至(4)の何れか一項に記載の速度検出装置。
(6)
前記速度決定部は、前記送信アンテナアレイからの複数の距離に対応して複数の前記垂直方向角度閾値範囲を登録したテーブルに基づき、前記垂直方向角度閾値範囲を動的に算出する
上記(5)に記載の速度検出装置。
(7)
前記速度決定部は、垂直方向角度閾値範囲を、上の数10の式を満たす範囲の値で設定する
上記(1)乃至(6)の何れか一項に記載の速度検出装置。
(8)
前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲を、前記速度検出装置の垂直方向の取り付け高さに基づき動的に算出する
上記(1)乃至(7)の何れか一項に記載の速度検出装置。
(9)
前記速度決定部は、垂直方向角度閾値範囲を、上の数11の式を満たす範囲の値で設定する
上記(1)乃至(8)の何れか一項に記載の速度検出装置。
(10)
前記複数の送信アンテナ間で多重された前記複数のチャープ信号を前記複数の送信アンテナ毎に分離した時、同一の送信アンテナ同士の前記複数のチャープ信号の間隔が等間隔であり、異なる送信アンテナ同士の前記複数のチャープ信号の複数の間隔が等間隔となるように前記複数の送信アンテナから送信される前記複数のチャープ信号を制御するチャープ制御部
をさらに具備する上記(1)乃至(9)の何れか一項に記載の速度検出装置。
(11)
前記チャープ制御部は、時分割により前記複数の送信アンテナ間で前記複数のチャープ信号を多重する
上記(1)乃至(10)の何れか一項に記載の速度検出装置。
(12)
前記チャープ制御部は、位相分割により、前記複数の送信アンテナ間で前記複数のチャープ信号を多重する
上記(1)乃至(10)の何れか一項に記載の速度検出装置。
(13)
前記垂直方向到来角推定のために用いられる前記複数のチャープ信号を送信する前記複数の送信アンテナの数と、前記複数の速度候補の数とは、等しい
上記(1)乃至(12)の何れか一項に記載の速度検出装置。
(14)
前記送信アンテナアレイ及び前記受信アンテナアレイは、等間隔配置の垂直MIMOアレイを構成する
上記(1)乃至(13)の何れか一項に記載の速度検出装置。
(15)
前記速度決定部は、FFT(Fast Fourier Transform、高速フーリエ変換)又はDFT(Discrete Fourier Transform、離散フーリエ変換)により到来角推定を行う
上記(1)乃至(14)の何れか一項に記載の速度検出装置。
(16)
前記速度決定部は、CAPON、MUSIC、ESPRIT、又は圧縮センシングにより到来角推定を行う
上記(1)乃至(14)の何れか一項に記載の速度検出装置。
(17)
垂直方向に配置された複数の送信アンテナ間で多重された複数のチャープ信号を送信する送信アンテナアレイと、反射された前記複数のチャープ信号を受信する複数の受信アンテナを含む受信アンテナアレイと、を有する速度検出装置の、前記受信アンテナアレイが受信した前記複数のチャープ信号に基づいて、複数の速度候補を算出し、
前記複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値が垂直方向角度閾値範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記複数の速度候補から1個の速度候補を真の速度として決定する
速度決定部
を具備する情報処理装置。
(18)
垂直方向に配置された複数の送信アンテナ間で多重された複数のチャープ信号を送信する送信アンテナアレイと、
反射された前記複数のチャープ信号を受信する複数の受信アンテナを含む受信アンテナアレイと、
を有する速度検出装置において、
前記受信アンテナアレイが受信した前記複数のチャープ信号に基づいて、複数の速度候補を算出し、
前記複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値が垂直方向角度閾値範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記複数の速度候補から1個の速度候補を真の速度として決定する
情報処理方法。
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
200 速度検出装置
210 情報処理装置
211 チャープ制御部
212 速度決定部
220 送信アンテナアレイ
230 受信アンテナアレイ

Claims (18)

  1. 垂直方向に配置された複数の送信アンテナ間で多重された複数のチャープ信号を送信する送信アンテナアレイと、
    反射された前記複数のチャープ信号を受信する複数の受信アンテナを含む受信アンテナアレイと、
    前記受信アンテナアレイが受信した前記複数のチャープ信号に基づいて、複数の速度候補を算出し、
    前記複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値が垂直方向角度閾値範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記複数の速度候補から1個の速度候補を真の速度として決定する
    速度決定部と、
    を具備する速度検出装置。
  2. 前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲に含まれる1個の垂直方向到来角推定値に対応する1個の速度候補を、前記真の速度として決定する
    請求項1に記載の速度検出装置。
  3. 前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲に含まれる1個の垂直方向到来角推定値を、真の垂直方向到来角として決定する
    請求項1の速度検出装置。
  4. 前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲を、前記複数のチャープ信号を送信する前記複数の送信アンテナの数及び間隔に基づき動的に算出する
    請求項1に記載の速度検出装置。
  5. 前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲を、前記送信アンテナアレイからの距離に基づき動的に算出する
    請求項1に記載の速度検出装置。
  6. 前記速度決定部は、前記送信アンテナアレイからの複数の距離に対応して複数の前記垂直方向角度閾値範囲を登録したテーブルに基づき、前記垂直方向角度閾値範囲を動的に算出する
    請求項5に記載の速度検出装置。
  7. 前記速度決定部は、垂直方向角度閾値範囲を、以下の式を満たす範囲の値で設定する
    Figure 2023113203000013
    ここで、θFoVp-pは垂直方向の角度閾値の幅、
    Nantは垂直方向到来角推定のために用いられる前記複数のチャープ信号を送信する前記複数の送信アンテナの数、
    nは垂直方向の前記複数の送信アンテナ間の間隔と前記送信アンテナアレイが送信するするチャープ信号の自由空間上の波長との比である
    請求項1に記載の速度検出装置。
  8. 前記速度決定部は、前記垂直方向角度閾値範囲を、前記速度検出装置の垂直方向の取り付け高さに基づき動的に算出する
    請求項1に記載の速度検出装置。
  9. 前記速度決定部は、垂直方向角度閾値範囲を、以下の式を満たす範囲の値で設定する
    Figure 2023113203000014
    ここで、θFoV+は速度検出装置の取り付け中心線よりも垂直方向に上側の垂直方向角度閾値、
    θFoV-は速度検出装置の取り付け中心線よりも垂直方向に下側の垂直方向角度閾値、
    tは前記速度検出装置の垂直方向の取り付け高さ、
    rは前記速度検出装置の検出距離、
    θerrは前記速度検出装置の取り付け角度誤差である
    請求項1に記載の速度検出装置。
  10. 前記複数の送信アンテナ間で多重された前記複数のチャープ信号を前記複数の送信アンテナ毎に分離した時、同一の送信アンテナ同士の前記複数のチャープ信号の間隔が等間隔であり、異なる送信アンテナ同士の前記複数のチャープ信号の複数の間隔が略等間隔となるように前記複数の送信アンテナから送信される前記複数のチャープ信号を制御するチャープ制御部
    をさらに具備する請求項1に記載の速度検出装置。
  11. 前記チャープ制御部は、時分割により前記複数の送信アンテナ間で前記複数のチャープ信号を多重する
    請求項1に記載の速度検出装置。
  12. 前記チャープ制御部は、位相分割により、前記複数の送信アンテナ間で前記複数のチャープ信号を多重する
    請求項1に記載の速度検出装置。
  13. 前記垂直方向到来角推定のために用いられる前記複数のチャープ信号を送信する前記複数の送信アンテナの数以下の前記複数の速度候補中から1つの速度を決定する
    請求項1に記載の速度検出装置。
  14. 前記送信アンテナアレイ及び前記受信アンテナアレイは、略等間隔配置の垂直MIMOアレイを構成する
    請求項1に記載の速度検出装置。
  15. 前記速度決定部は、FFT(Fast Fourier Transform、高速フーリエ変換)又はDFT(Discrete Fourier Transform、離散フーリエ変換)により到来角推定を行う
    請求項1に記載の速度検出装置。
  16. 前記速度決定部は、CAPON、MUSIC、ESPRIT、又は圧縮センシングにより到来角推定を行う
    請求項1に記載の速度検出装置。
  17. 垂直方向に配置された複数の送信アンテナ間で多重された複数のチャープ信号を送信する送信アンテナアレイと、反射された前記複数のチャープ信号を受信する複数の受信アンテナを含む受信アンテナアレイと、を有する速度検出装置の、前記受信アンテナアレイが受信した前記複数のチャープ信号に基づいて、複数の速度候補を算出し、
    前記複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値が垂直方向角度閾値範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記複数の速度候補から1個の速度候補を真の速度として決定する
    速度決定部
    を具備する情報処理装置。
  18. 垂直方向に配置された複数の送信アンテナ間で多重された複数のチャープ信号を送信する送信アンテナアレイと、
    反射された前記複数のチャープ信号を受信する複数の受信アンテナを含む受信アンテナアレイと、
    を有する速度検出装置において、
    前記受信アンテナアレイが受信した前記複数のチャープ信号に基づいて、複数の速度候補を算出し、
    前記複数の速度候補にそれぞれ対応する複数の垂直方向到来角推定値が垂直方向角度閾値範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記複数の速度候補から1個の速度候補を真の速度として決定する
    情報処理方法。
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