JP2023113104A - 車載用照明装置および自動車 - Google Patents

車載用照明装置および自動車 Download PDF

Info

Publication number
JP2023113104A
JP2023113104A JP2022113797A JP2022113797A JP2023113104A JP 2023113104 A JP2023113104 A JP 2023113104A JP 2022113797 A JP2022113797 A JP 2022113797A JP 2022113797 A JP2022113797 A JP 2022113797A JP 2023113104 A JP2023113104 A JP 2023113104A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
layer
cholesteric liquid
excitation light
optical film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022113797A
Other languages
English (en)
Inventor
昭裕 安西
Akihiro Anzai
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Publication of JP2023113104A publication Critical patent/JP2023113104A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】波長変換部材が脱落(又は破損等)した場合であっても、励起光源からの励起光が外部に照射されない車載用照明装置及びこれを搭載した自動車を提供する。【解決手段】励起光源と、励起光源からの励起光が照射される所定箇所に固定され、励起光源からの励起光を吸収し、波長変換して所定の波長域の光を放出する波長変換部材と、波長変換部材から放出される光を外部へ照射する光学系と、励起光源からの励起光を反射し、波長変換部材から放出される光を通過させる液晶化合物を含む組成物からなる光学フィルムと、を備えており、光学フィルムは、光学系を介して外部へ照射される波長変換部材からの光の光路上に配置されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、車載用照明装置及びこれを搭載した自動車に係り、特に、励起光源と波長変換部材とを組み合わせた車載用照明装置及びこれを搭載した自動車に関する。
従来、車載用照明装置の分野においては、励起光源と波長変換部材とを組み合わせた光源を用いた車両用照明装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図6は、従来の励起光源と波長変換部材とを組み合わせた光源を用いた車載用照明装置200の例である。
図6に示すように、車載用照明装置200は、光ファイバー210、光ファイバー210の一端面210a(入光面)に対向して配置された励起光源220(励起光源)、光ファイバー210の他端面210b(出光面)に対向して配置された波長変換部材230(蛍光体)等を備えている。波長変換部材230は、透明板240に固定されている。光ファイバー210の一端面210a(入光面)と励起光源220との間には、集光レンズ250が配置されている。
上記構成の車載用照明装置200においては、励起光源220から放出された励起光(励起光)は、集光レンズ250で集光されて光ファイバー210の一端面210a(入光面)から光ファイバー210内に導入され、他端面210b(出光面)まで導光されて、他端面210b(出光面)から出射し、透明板240に固定された波長変換部材230を照射する。光ファイバー210からの励起光が照射されることで励起されて波長変換部材230から放出される光は、投射レンズ260を透過して前方に照射され、仮想鉛直スクリーン上に所定配光パターンを形成する。
特開2011-222260号公報
しかしながら、上記構成の車載用照明装置200においては、励起光源220からの励起光の照射方向と波長変換部材230から放出される光の照射方向とが略一致しているため、波長変換部材230が何らの理由で(例えば、車載用照明装置200が搭載された車両の振動、衝撃等の影響で)透明板240から脱落すると(又は波長変換部材230が破損すると)、励起光源220からの励起光が外部に照射されるという問題(対向車および/または歩行者に対するアイセーフの問題)がある。
この外部に照射される励起光を遮光するためには、波長変換部材から外部へ照射される光の光路上に励起光を反射する部材を配置すること(例えば、投射レンズ260に反射膜を形成する)などが考えられる。しかし、一般的な反射部材では、反射する波長帯域が大きいため、波長変換部材が脱落していない場合には、意匠性および/または外部に照射される光の色味に問題を抱えることがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、波長変換部材が脱落(又は破損等)した場合であっても、励起光源からの励起光が外部に照射されず、さらには意匠性および/または外部に照射される光の色味に問題のない車載用照明装置及びこれを搭載した自動車を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題に鑑み鋭意検討した結果、波長変換部材が脱落した時に、外部に照射される励起光を遮光するために、波長変換部材から外部へ照射される光の光路上に励起光を反射する部材として液晶化合物を含む組成物からなる層を含む光学フィルムを用いることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
励起光を使用した車載用照明装置は、出射光が直線偏光性を持つため、液晶化合物を含む組成物からなる層を含む光学フィルムは、効率的に偏光光を反射することができる。
一般的な無偏光反射フィルムに比べ、透過光の色味や外観色味の変化が少なく、意匠性の良い性能を得ることができる。
すなわち、本発明の課題は以下の手段により解決された。
(1)
車載用照明装置であって、励起光源と、励起光源からの励起光を吸収し、波長変換して所定の波長域の光を放出する波長変換部材と、波長変換部材から放出される光を外部へ照射する光学系と、を有し、
さらに、励起光源からの励起光を反射し、波長変換部材から放出される光を通過させる液晶化合物を含む組成物からなる層を含む光学フィルムを備えており、
光学フィルムが光学系を介して外部へ照射される波長変換部材からの光の光路上に配置されている車載用照明装置。
(2)
光学フィルムの反射光の半値幅は80nm以下である(1)に記載の車載用照明装置。
(3)
光学フィルムは、コレステリック液晶相を固定してなる第1のコレステリック液晶層と少なくとも1層の位相差層を含有する(1)または(2)に記載の車載用照明装置。
(4)
光学フィルムは、コレステリック液晶相を固定してなる第1のコレステリック液晶層と、第1のコレステリック液晶層と逆方向に螺旋配向した第2のコレステリック液晶層を含有する(1)~(3)のいずれかに記載の車載用照明装置。
(5)
光学フィルムは、コレステリック液晶相を固定してなる第1のコレステリック液晶層を2層と、2層の間に配置される、液晶化合物の螺旋配向構造を固定化した偏光変換層とを有し、偏光変換層における螺旋配向構造のピッチ数x、および、偏光変換層の膜厚y(単位μm)が、下記の式(a)~(c)を全て満たす、(1)~(4)のいずれかに記載の車載用照明装置。
(a)0.1≦x≦1.0
(b)0.5≦y≦3.0
(c)3000≦(1560×y)/x≦50000
(6)
光学フィルムは、コレステリック液晶相を固定してなる第1のコレステリック液晶層を2層と、2層の間に配置される、位相差層とを有する(1)から(5)のいずれかに記載に記載の車載用照明装置。
(7)
光学フィルムは、酸素を遮断するバリア層を有する(1)~(6)のいずれかに記載の車載用照明装置。
(8)
(1)~(7)のいずれかに記載の車載用照明装置を搭載した自動車。
本発明によれば、波長変換部材が脱落(又は破損等)した場合であっても、励起光源からの励起光が外部に照射されず、さらには意匠性および/または外部に照射される光の色味に問題のない車載用照明装置及びこれを搭載した自動車を提供することが可能となる。
本発明の車載用照明装置の一例を示す模式図である。 本発明の車載用照明装置で使用される光学フィルムの一例を概略的に示す模式図である。 本発明の車載用照明装置で使用される光学フィルムの他の一例を概略的に示す模式図である。 本発明の車載用照明装置で使用される光学フィルムのさらに他の一例を概略的に示す模式図である。 本発明の車載用照明装置で使用される光学フィルムのまたさらに他の一例を概略的に示す模式図である。 従来の励起光源と波長変換部材とを組み合わせた光源を用いた車両用照明装置の例を示す模式図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の車載用照明装置を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、ε1が数値α1~数値β1とは、ε1の範囲は数値α1と数値β1を含む範囲であり、数学記号で示せばα1≦ε1≦β1である。
「具体的な数値で表された角度」、「平行」、「垂直」および「直交」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、「同一」とは該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、「全面」等も該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
<車載用照明装置>
図1は、本発明の車載用照明装置の1例を示す模式図である。車載用照明装置100は、光ファイバー110、光ファイバー110の一端面110a(入光面)に対向して配置された励起光源120(励起光源)、光ファイバー110の他端面110b(出光面)に対向して配置された波長変換部材130(蛍光体)等を備えている。波長変換部材130は、透明板140に固定されている。光ファイバー110の一端面110a(入光面)と励起光源120との間には、集光レンズ150が配置されている。
上記構成の車載用照明装置100においては、励起光源120から放出された励起光は、集光レンズ150で集光されて光ファイバー110の一端面110a(入光面)から光ファイバー110内に導入され、他端面110b(出光面)まで導光されて、他端面110b(出光面)から出射し、透明板140に固定された波長変換部材130を照射する。光ファイバー110からの励起光が照射されることで励起されて波長変換部材130から放出される光は、液晶化合物を含む組成物からなる光学フィルム170を透過し、投射レンズ160を透過して前方に照射され、車両の前方(あるいは後方)に光を照射する。
<波長変換部材>
波長変換部材130は、励起光源からの励起光を吸収し、波長変換して所定の波長域の光を放出する波長変換部材で、例えば、YAG等の蛍光体(Ce:YAG等の蛍光物質が望ましい)である。波長変換部材としては、特に制限はなく、車載用照明装置で用いられている種々の公知の波長変換部材(蛍光体)を利用可能である。
<透明板>
透明板140は、波長変換部材130を所定の位置に支持するためのものである。透明板140は、波長変換部材130が放出する波長の光を透過するものであるのが好ましい。透明板140としては、透明性を有する樹脂板、ガラス板等を利用することができる。
なお、図1に示す例では、波長変換部材130を支持する部材として透明板140を有する構成としたが、波長変換部材130を所定の位置に支持することができればこれに限定はされず、透明板140に代えて、波長変換部材130を支持する部材を有する構成としてもよい。
<励起光源>
励起光源120は、波長変換部材130を励起する波長を含む光(励起光)を出射する光源である。励起光源120は、波長変換部材130を励起する波長を含む狭帯域の光を出射するものであることが好ましい。具体的には、励起光源120としては、励起波長帯域に中心波長を有する発光ダイオード(LED)、レーザー光源等を用いることができる。励起光源120の発光波長は、波長変換部材130の励起波長に応じて適宜、設定すればよい。例えば、波長変換部材130の励起波長が紫外領域の波長である場合には、励起光源120として紫外光を発光する紫外線発光ダイオードを用いればよい。
また、図1に示す例では、3つの励起光源120を有するが、これに限定はされず、1つ、または、2つ、あるいは、4つ以上の励起光源120を有していてもよい。
<集光レンズ>
集光レンズ150は、励起光源120から出射された励起光を光ファイバー110の入光面110aに入射させるために集光するものである。集光レンズ150は、励起光を光ファイバー110に入射させることができるものであれば、特に制限はなく、凸レンズ等の公知の集光レンズを用いることができる。
また、図1に示す例では、3つの励起光源120に合わせて3つの集光レンズ150を有するが、これに限定はされず、励起光源120に合わせて、1つ、または、2つ、あるいは、4つ以上の集光レンズ150を有していてもよい。
<光ファイバー>
光ファイバー110は、励起光源120から出射され集光レンズ150で集光されて入光面110aから入射される励起光を波長変換部材130へと導くものである。光ファイバー110の入光面110aは、励起光源120と対面して配置され、また、出光面110bは、波長変換部材130と対面して配置されている。光ファイバー110としては、励起光源120から出射された励起光を導光できれば特に制限はなく、種々の公知の光ファイバーを用いることができる。
また、図1に示す例においては、光ファイバー110は、途中で約90°湾曲しており、励起光源120から図中、上方向に進行するように入射した光を右方向に進行するように導光している。しかしながら、これに限定はされず、光ファイバー110の形状、すなわち、光ファイバー110による導光経路は、励起光源120、および、波長変換部材130等の配置応じて、適宜設定すればよい。
また、図1に示す例において、光ファイバー110は、3つの励起光源120に合わせて3つの入光面110aを有するように分岐しており、入射した光を途中で合波するものである。光ファイバー110は、これに限定はされず、励起光源120に合わせて、1つ、または、2つ、あるいは、4つ以上の入光面110aを有するように分岐していてもよい。あるいは、2以上の励起光源120を有し、光ファイバー110が1つの入光面110aを有し、励起光源120と光ファイバー110の入光面110aとの間に合波部材を有する構成としてもよい。
<投射レンズ>
投射レンズ160は、本発明における光学系であり、波長変換部材130から放出された光を集光し、外部へ照射するものである。投射レンズ160としては、凸レンズなど、車載用照明装置で用いられている従来公知の投射レンズを用いることができる。
<液晶化合物を含む組成物からなる層を含む光学フィルム>
液晶化合物を含む組成物からなる層を含む光学フィルム170は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層からなる選択反射層を含む。すなわち、液晶化合物を含む組成物からなる層が、コレステリック液晶層(選択反射層)である。
また、光学フィルム170は、投射レンズ160(光学系)を介して外部へ照射される波長変換部材130からの光の光路上に配置される。図1に示す例では、光学フィルム170は、波長変換部材130と投射レンズ160との間に配置されている。しかしながら、本発明は、これに限定はされず、光学フィルム170は、投射レンズ160の出射側(波長変換部材130とは反対側)に配置されてもよい。
光学フィルム170は、液晶化合物を含む組成物からなる層(コレステリック液晶層)に加えて、位相差層、偏光変換層、酸素を遮断するバリア層、支持体(透明基材)、および、配向膜等を有していてもよい。また、光学フィルム170は、コレステリック液晶層を2層以上有していてもよい。
周知のとおり、コレステリック液晶層は、液晶化合物がコレステリック液晶相の螺旋構造の配向状態で固定化された層であり、螺旋構造のピッチに応じた選択反射中心波長の光を反射し、他の波長域の光を透過する。また、コレステリック液晶層は、特定の波長において左右いずれかの円偏光に対して選択反射性を示す。
液晶化合物を含む組成物からなる層を含む光学フィルム170は、コレステリック液晶相を固定してなる第1のコレステリック液晶層と、コレステリック液晶相を固定してなる、第1のコレステリック液晶層と逆方向に螺旋配向した第2のコレステリック液晶層を含有することが好ましい。
コレステリック液晶層からなる選択反射層において、反射する波長、および、反射率は、コレステリック液晶層の選択反射中心波長、厚み(螺旋ピッチ数)等によって調整することができる。この選択反射中心波長を励起光源120から放出された励起光の波長となるように調整することで、波長変換部材が脱落した時に、外部に照射される励起光を反射して遮光することができる。また、コレステリック液晶層は、一般的な反射部材に比べて、反射帯域が狭く(狭帯域)であり、反射帯域から外れた波長の光の透過率が高い。そのため、通常時(波長変換部材が脱落していない場合)には、コレステリック液晶層は、励起光によって励起されて波長変換部材130から放出された光を、高い透過率で透過する。従って、透過光の色味の変化を抑制することができる。
励起光源120から放出された励起光が直線偏光である場合には、あるいは、励起光源120から放出された励起光を直線偏光子によって直線偏光に変換する場合には、液晶化合物を含む組成物からなる層を含む光学フィルム170は、直線偏光を反射することが望ましい。具体的には、光学フィルム170は、コレステリック液晶層と、位相差層または偏光変換層との組み合わせを有することにより直線偏光反射層を形成して、効率的に直線偏光である励起光を遮光することができる。
<コレステリック液晶>
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定した層を意味する。
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている層であればよい。コレステリック液晶層は、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射および加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、また外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることがない状態に変化した層であればよい。なお、コレステリック液晶層においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、層中の液晶化合物は、もはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
コレステリック液晶相は、右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に反射させると共に、他方のセンスの円偏光を透過する円偏光選択反射を示すことが知られている。
円偏光選択反射性を示すコレステリック液晶相を固定した層を含むフィルムとして、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されたフィルムは従来から数多く知られており、コレステリック液晶層については、それらの従来技術を参照することができる。
コレステリック液晶層による選択反射の中心波長(選択反射中心波長)λは、コレステリック液晶相における螺旋構造(コレステリック液晶相を固定構造)のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶層の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。この式からわかるように、n値および/またはP値を調整することにより、選択反射中心波長を調整することができる。
螺旋構造のピッチP(螺旋1ピッチ)とは、言い換えれば、螺旋の巻き数1回分の螺旋軸方向の長さであり、すなわち、コレステリック液晶相を構成する液晶化合物のダイレクター(棒状液晶であれば長軸方向)が360°回転する螺旋軸方向の長さである。通常のコレステリック液晶層の螺旋軸方向は、コレステリック液晶層の厚さ方向と一致する。
コレステリック液晶層の選択反射中心波長および半値幅は、一例として、下記のように求めることができる。
分光光度計(日本分光社製、V-670)を用いて、法線方向からコレステリック液晶層の反射スペクトルを測定すると、選択反射帯域に透過率の低下ピークがみられる。このピークの極小透過率と低下前の透過率との中間(平均)の透過率となる2つの波長のうち、短波長側の波長の値をλl(nm)、長波長側の波長の値をλh(nm)とすると、選択反射中心波長λと半値幅Δλは下記式で表すことができる。
λ=(λl+λh)/2Δλ=(λh-λl
上述のように求められる選択反射中心波長は、コレステリック液晶層の法線方向から測定した円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長と略一致する。
選択反射を示す選択反射帯の半値幅Δλ(nm)は、液晶化合物の複屈折Δnと上述のピッチPに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調整して行うことができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類または混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。
選択反射の中心波長が同一の1種のコレステリック液晶層の形成のために、ピッチPが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を複数積層してもよい。ピッチPが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を積層することによって、特定の波長で円偏光選択性を高くすることができる。
液晶化合物の複屈折率Δnは、通常0.03~0.20程であり、例えば反射中心波長450nmの場合、半値幅Δλは15~100nmの範囲を選択することができ、半値幅が狭いほど、透過光の色味の変化が抑制される。半値幅が狭すぎると、入射光が斜めになった場合に反射帯域がブルーシフトするため、励起光を反射しなくなる。このため、本発明においては、Δλは15~80nmが望ましく、さらに20~60nmが望ましい。
光学フィルムにおいて、複数のコレステリック液晶層(選択反射層)を積層する際には、別に作製したコレステリック液晶層を接着剤等を用いて積層してもよく、あるいは、後述する方法で形成された先のコレステリック液晶層の表面に、直接、重合性液晶化合物等を含む液晶組成物を塗布し、配向および固定の工程を繰り返してもよいが、後者が好ましい。
先に形成されたコレステリック液晶層の表面に直接次のコレステリック液晶層を形成することにより、先に形成したコレステリック液晶層の空気界面側の液晶分子の配向方位と、その上に形成するコレステリック液晶層の下側の液晶分子の配向方位が一致し、コレステリック液晶層の積層体の偏光特性が良好となるからである。また、接着層の厚さムラに由来して生じ得る干渉ムラが観測されないからである。
(コレステリック液晶層の作製方法)
以下、コレステリック液晶層の作製材料および作製方法について説明する。
上述のコレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、重合性液晶化合物とキラル剤(光学活性化合物)とを含む液晶組成物等が挙げられる。必要に応じて、さらに、界面活性剤および重合開始剤等と混合して溶剤等に溶解した上述の液晶組成物を、支持体、配向層、下層となるコレステリック液晶層等に塗布し、コレステリック配向熟成後、液晶組成物の硬化により固定化してコレステリック液晶層を形成することができる。
(重合性液晶化合物)
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
コレステリック液晶層を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、および、アジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは一分子中に1~6個、より好ましくは1~3個である。
重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、米国特許第5622648号明細書、米国特許第5770107号明細書、WO95/22586、WO95/24455、WO97/00600、WO98/23580、WO98/52905、特開平1-272551号公報、特開平6-016616号公報、特開平7-110469号公報、特開平11-080081号公報、および、特開2001-328973号公報等に記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、80~99.9質量%が好ましく、85~99.5質量%がより好ましく、90~99質量%が特に好ましい。
可視光透過率を向上させるためには、コレステリック液晶層は低Δnであってもよい。低Δnのコレステリック液晶層は、低Δn重合性液晶化合物を用いて形成することができる。以下、低Δn重合性液晶化合物について具体的に説明する。
(低Δn重合性液晶化合物)
低Δn重合性液晶化合物を利用してコレステリック液晶相を形成し、これを固定したフィルムとすることにより、狭帯域な選択反射層を得ることができる。低Δn重合性液晶化合物の例としては、WO2015/115390、WO2015/147243、WO2016/035873、特開2015-163596号公報、特開2016-053149号公報に記載の化合物が挙げられる。半値幅の小さい選択反射層を与える液晶組成物については、WO2016/047648の記載も参照できる。
液晶化合物は、WO2016/047648に記載の以下の式(I)で表される重合性化合物であることも好ましい。
式(I)中、Aは、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基を示し、Lは単結合、-CH2O-、-OCH2-、-(CH22OC(=O)-、-C(=O)O(CH22-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-CH=CH-C(=O)O-、および-OC(=O)-CH=CH-からなる群から選択される連結基を示し、mは3~12の整数を示し、Sp1およびSp2はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、または-C(=O)O-で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、Q1およびQ2はそれぞれ独立に、水素原子または以下の式Q-1~式Q-5で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ1およびQ2のいずれか一方は重合性基を示す。
式(I)中の、フェニレン基は1,4-フェニレン基であることが好ましい。
フェニレン基およびトランス-1,4-シクロヘキシレン基について「置換基を有していてもよい」というときの置換基は、特に限定されず、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、アミド基、アミノ基、およびハロゲン原子ならびに、上述の置換基を2つ以上組み合わせて構成される基からなる群から選択される置換基が挙げられる。また、置換基の例としては、後述の-C(=O)-X3-Sp3-Q3で表される置換基が挙げられる。フェニレン基およびトランス-1,4-シクロヘキシレン基は、置換基を1~4個有していてもよい。2個以上の置換基を有するとき、2個以上の置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。
アルキル基は直鎖状および分岐鎖状のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は1~30が好ましく、1~10がより好ましく、1~6がさらに好ましい。アルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、直鎖状または分岐鎖状のヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、またはドデシル基を挙げることができる。アルキル基に関する上述の説明はアルキル基を含むアルコキシ基においても同様である。また、アルキレン基というときのアルキレン基の具体例としては、上述のアルキル基の例それぞれにおいて、任意の水素原子を1つ除いて得られる2価の基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。
シクロアルキル基の炭素数は、3~20が好ましく、5以上がより好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基を挙げることができる。
フェニレン基およびトランス-1,4-シクロヘキシレン基が有していてもよい置換基としては特に、アルキル基、およびアルコキシ基、-C(=O)-X3-Sp3-Q3からなる群から選択される置換基が好ましい。ここで、X3は単結合、-O-、-S-、もしくは-N(Sp4-Q4)-を示すか、または、Q3およびSp3と共に環構造を形成している窒素原子を示す。Sp3、Sp4はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、または-C(=O)O-で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。
3およびQ4はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、もしくは-C(=O)O-で置換された基、または式Q-1~式Q-5で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す。
シクロアルキル基において1つまたは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、または-C(=O)O-で置換された基として、具体的には、テトラヒドロフラニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、および、モルホルニル基等が挙げられる。置換位置は特に限定されない。これらのうち、テトラヒドロフラニル基が好ましく、特に2-テトラヒドロフラニル基が好ましい。
式(I)において、Lは単結合、-CH2O-、-OCH2-、-(CH22OC(=O)-、-C(=O)O(CH22-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-CH=CH-C(=O)O-、および、-OC(=O)-CH=CH-からなる群から選択される連結基を示す。Lは-C(=O)O-または-OC(=O)-であることが好ましい。m-1個のLは互いに同一でも異なっていてもよい。
Sp1、Sp2はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の-CH2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、または-C(=O)O-で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。Sp1およびSp2はそれぞれ独立に、両末端にそれぞれ-O-、-OC(=O)-、および-C(=O)O-からなる群から選択される連結基が結合した炭素数1から10の直鎖のアルキレン基、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-O-、および炭素数1から10の直鎖のアルキレン基からなる群から選択される基を1または2以上組み合わせて構成される連結基であることが好ましく、両方の末端に-O-がそれぞれ結合した炭素数1から10の直鎖のアルキレン基であることが好ましい。
1およびQ2はそれぞれ独立に、水素原子、もしくは上述の式Q-1~式Q-5で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ1およびQ2のいずれか一方は重合性基を示す。
重合性基としては、アクリロイル基(式Q-1)またはメタクリロイル基(式Q-2)が好ましい。
式(I)中、mは、3~12の整数を示す。mは、3~9の整数が好ましく、3~7の整数がより好ましく、3~5の整数がさらに好ましい。
式(I)で表される重合性化合物は、Aとして置換基を有していてもよいフェニレン基を少なくとも1つおよび置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基を少なくとも1つ含むことが好ましい。式(I)で表される重合性化合物は、Aとして、置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基を1~4個含むことが好ましく、1~3個含むことがより好ましく、2または3個含むことがさらに好ましい。また、式(I)で表される重合性化合物は、Aとして、置換基を有していてもよいフェニレン基を1個以上含むことが好ましく、1~4個含むことがより好ましく、1~3個含むことがさらに好ましく、2個または3個含むことが特に好ましい。
式(I)において、Aで表されるトランス-1,4-シクロヘキシレン基の数をmで割った数をmcとしたとき、0.1<mc<0.9が好ましく、0.3<mc<0.8がより好ましく、0.5<mc<0.7がさらに好ましい。液晶組成物が0.5<mc<0.7である式(I)で表される重合性化合物とともに、0.1<mc<0.3である式(I)で表される重合性化合物を含むことも好ましい。
式(I)で表される重合性化合物の例として具体的には、WO2016/047648の段落0051~0058に記載の化合物のほか、特開2013-112631号公報、特開2010-070543号公報、特許4725516号、WO2015/115390、WO2015/147243、WO2016/035873、特開2015-163596号公報、および、特開2016-053149号公報に記載の化合物等を挙げることができる。
(キラル剤:光学活性化合物)
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋のセンスまたは螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。キラル剤の例としては、液晶デバイスハンドブック(第3章4-3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989)、特開2003-287623号、特開2002-302487号、特開2002-080478号、特開2002-080851号、特開2010-181852号、および、特開2014-034581号等の各公報に記載の化合物が挙げられる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物も、キラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。
キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤としては、イソソルビド誘導体、イソマンニド誘導体、および、ビナフチル誘導体等を好ましく用いることができる。イソソルビド誘導体としては、BASF社製のLC756等の市販品を用いてもよい。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶化合物量の0.01~200モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。なお、液晶組成物中におけるキラル剤の含有量は、組成物中の全固形分に対するキラル剤の濃度(質量%)を意図する。
また、光学フィルムが有する選択反射層のコレステリック液晶層は、2以上の選択反射中心波長を有するものであってもよい。2以上の選択反射中心波長を有するコレステリック液晶層は、螺旋構造のピッチを厚み方向に変化させることで達成される。螺旋構造のピッチが厚み方向に変化するコレステリック液晶層は、光の照射によって、螺旋誘起力(HTP:Helical Twisting Power)が変化するキラル剤を用いて、コレステリック液晶層を形成する際に、厚さ方向に光の照射量を変えることによって作製することができる。
光の照射によってHTPが変化するキラル剤は、光の照射によって、戻り異性化、二量化、ならびに、異性化および二量化等を生じるものが挙げられる。
キラル剤が光異性化基を有する場合の、光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、または、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002-080478号公報、特開2002-080851号公報、特開2002-179668号公報、特開2002-179669号公報、特開2002-179670号公報、特開2002-179681号公報、特開2002-179682号公報、特開2002-338575号公報、特開2002-338668号公報、特開2003-313189号公報、および、特開2003-313292号公報等に記載の化合物を用いることができる。
(重合開始剤)
液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、米国特許第2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、米国特許第2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63-040799号公報、特公平5-029234号公報、特開平10-095788号公報、特開平10-029997号公報、特開2001-233842号公報、特開2000-080068号公報、特開2006-342166号公報、特開2013-114249号公報、特開2014-137466号公報、特許4223071号公報、特開2010-262028号公報、特表2014-500852号公報記載)、オキシム化合物(特開2000-066385号公報、特許第4454067号公報記載)、および、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。例えば、特開2012-208494号公報の段落0500~0547の記載も参酌できる。
重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキシド化合物またはオキシム化合物を用いることも好ましい。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、例えば、市販品のBASFジャパン(株)製のIRGACURE810(化合物名:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)を用いることができる。オキシム化合物としては、IRGACURE OXE01(BASF社製)、IRGACURE OXE02(BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI-831、アデカアークルズNCI-930(ADEKA社製)、アデカアークルズNCI-831(ADEKA社製)等の市販品を用いることができる。
重合開始剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1~20質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
(架橋剤)
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物等が挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量を3質量%以上とすることにより、架橋密度向上の効果を得ることができ、架橋剤の含有量を20質量%以下とすることにより、コレステリック液晶層の安定性の低下を防止できる。
なお、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
(配向制御剤)
液晶組成物中には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶層とするために寄与する配向制御剤を添加してもよい。配向制御剤の例としては、特開2007-272185号公報の段落[0018]~[0043]等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、特開2012-203237号公報の段落[0031]~[0034]等に記載の式(I)~(IV)で表される化合物、および、特開2013-113913号公報に記載の化合物等が挙げられる。
なお、配向制御剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中における、配向制御剤の添加量は、重合性液晶化合物の全質量に対して0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.02~1質量%が特に好ましい。
(その他の添加剤)
その他、液晶組成物は、塗膜の表面張力を調整し厚さを均一にするための界面活性剤、および重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、および、金属酸化物微粒子等を、光学性能を低下させない範囲で添加することができる。
コレステリック液晶層は、重合性液晶化合物および重合開始剤、更に必要に応じて添加されるキラル剤、界面活性剤等を溶媒に溶解させた液晶組成物を、透明基材、位相差層、配向層、または、先に作製されたコレステリック液晶層等の上に塗布し、乾燥させて塗膜を得、この塗膜に活性光線を照射してコレステリック液晶性組成物を重合し、コレステリック規則性が固定化されたコレステリック液晶層を形成することができる。
なお、複数のコレステリック液晶層からなる積層膜は、コレステリック液晶層の上述の製造工程を繰り返し行うことにより形成することができる。
(溶媒)
液晶組成物の調製に使用する溶媒には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、および、エーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。
(塗布、配向、重合)
透明基材、配向層、下層となるコレステリック液晶層等への液晶組成物の塗布方法には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。塗布方法としては、例えば、ワイヤーバーコーティング法、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、および、スライドコーティング法等が挙げられる。また、別途支持体上に塗設した液晶組成物を転写することによっても実施できる。
塗布した液晶組成物を加熱することにより、液晶分子を配向させる。加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。この配向処理により、重合性液晶化合物が、フィルム面に対して実質的に垂直な方向に螺旋軸を有するようにねじれ配向している光学薄膜が得られる。
配向させた液晶化合物をさらに重合させることにより、液晶組成物を硬化することができる。重合は、熱重合、光照射を利用する光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2~50J/cm2が好ましく、100~1,500mJ/cm2がより好ましい。
光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は350~430nmが好ましい。重合反応率は安定性の観点から、高いほうが好ましく70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。重合反応率は、重合性の官能基の消費割合を赤外線吸収スペクトルの測定により、決定することができる。
<偏光変換層、および位相差層>
励起光源120から放出された励起光が直線偏光である場合には、液晶化合物を含む組成物からなる層を含む光学フィルム170は、直線偏光を反射することが望ましい。従って、光学フィルム170は、光学フィルム170に入射する直線偏光を円偏光に変換する層を有することが好ましい。光の偏光状態を変換する層としては、偏光変換層、および、位相差層が挙げられる。すなわち、光学フィルム170は、入射する直線偏光を偏光変換層または位相差層で円偏光に変換し、コレステリック液晶層で円偏光を反射し、反射した円偏光を偏光変換層または位相差層で再度、直線偏光に変換する構成とすることで、直線偏光を反射するフィルムとすることができる。
本発明において、偏光変換層は、液晶化合物の螺旋配向構造を固定化した層であって、螺旋配向構造のピッチ数x、および、偏光変換層の膜厚y(単位μm)が、下記の式(a)~(c)を全て満たすことが好ましい。
(a)0.1≦x≦1.0
(b)0.5≦y≦3.0
(c)3000≦(1560×y)/x≦50000
なお、液晶化合物の螺旋構造の1ピッチは、液晶化合物の螺旋の巻き数1回分である。すなわち、螺旋配向される液晶化合物のダイレクター(棒状液晶であれば長軸方向)が、360°回転した状態をピッチ数1とする。
偏光変換層は液晶化合物の螺旋構造を有していると、赤外域の反射ピーク波長よりも短波長である可視光に対して旋光性と複屈折性を示す。そのため、可視域の偏光を制御できる。偏光変換層の螺旋配向構造のピッチ数xおよび偏光変換層の膜厚yを上記の範囲とすることで、可視光に対して偏光変換層で光学補償する機能、あるいは、光学フィルムに入射した直線偏光(p偏光)を円偏光に変換する機能を付与することができる。
位相差層は、直交する2つの偏光成分に位相差(光路差)をつけて、入射した偏光の状態を変えるものである。本発明において、位相差層は、液晶化合物など複屈折性を有する材料が同じ方向に向いて配列してなる層であり、旋光性を有さない。
上記のとおり、位相差層は、光学フィルムに入射した直線偏光を円偏光に変換するものである。従って、位相差層は、入射する光の波長に対してλ/4板として機能するものであることが好ましい。位相差層としては、光学フィルムに入射した直線偏光を円偏光に変換することができれば特に制限はなく、従来公知の位相差層(λ/4板)が利用可能である。
<酸素を遮断するバリア層>
酸素を遮断するバリア層とは、酸素遮断機能のある酸素遮断膜である。本明細書において酸素遮断機能とは、酸素を全く通さない状態に限らず、目的の性能に応じて若干酸素を通す状態も含む。
励起光を連続照射した際には、光学フィルムは高温になるため、コレステリック液晶の分解が促進され、経時で劣化することがある。このため、酸素を遮断するバリア層をコレステリック液晶層に隣接して形成することにより、高温耐性を向上することができる。
酸素を遮断するバリア層の具体例としては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロースエーテル、ポリアミド、ポリイミド、スチレン/マレイン酸共重合体、ゼラチン、塩化ビニリデン、及び、セルロースナノファイバー、などの有機化合物を含む層が挙げられ、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、又は、変性ポリビニルアルコールが好ましい。
酸素を遮断するバリア層は、上記有機化合物とともに、耐光性をより向上できる点から、耐光性改良剤をさらに含有していてもよい。耐光性改良剤の具体例は、上述の光吸収異方性膜の項で述べた通りである。酸素を遮断するバリア層が耐光性改良剤を含有する場合、耐光性改良剤の含有量は、酸素を遮断するバリア層の全質量に対して、0.1~5.0質量%が好ましく、0.3~3.0質量%がより好ましい。
酸素を遮断するバリア層の厚さは、0.1~10μmが好ましく、0.5~5.5μmがより好ましい。
保護層の波長550nmにおける屈折率は、1.40~1.60が好ましく、1.45~1.55がより好ましい。
ここで、保護層の波長550nmにおける屈折率は、上述の光吸収異方性膜の平均屈折率と同様の方法で測定できる。
以下、図2~図5に、本発明の車載用照明装置で使用される光学フィルムの層構成の例を示す。本発明において、光学フィルムの層構成は、これらの例に限定されるものではない。
図2は、本発明の車載用照明装置で使用される光学フィルムの一例を概略的に示す模式図である。図2に示す光学フィルム170は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層(選択反射層)31と、位相差層20と、透明基材10と、をこの順に有する。
図2に示す層構成の場合には、透明基材10側を光の入射側(光ファイバー110の出光面110b側)に向けて配置することで、直線偏光の励起光を反射することができる。
図3は、本発明の車載用照明装置で使用される光学フィルムの一例を概略的に示す模式図である。図3に示す光学フィルム170は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層32と、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層31と、透明基材10と、をこの順に有する。
コレステリック液晶層31とコレステリック液晶層32とは、螺旋配向構造の旋回方向が互いに逆方向のコレステリック液晶層である。すなわち、コレステリック液晶層31およびコレステリック液晶層32の一方が第1のコレステリック液晶層に相当し、他方が第2のコレステリック液晶層に相当する。
コレステリック液晶層31とコレステリック液晶層32とは、選択反射波長帯域が重複するのが好ましく、選択反射中心波長が一致することがより好ましい。
図3に示す層構成の光学フィルムは、コレステリック液晶層31が入射する励起光の一方の旋回方向の円偏光(例えば、右円偏光)成分を反射し、コレステリック液晶層32が入射する励起光の他方の旋回方向の円偏光(例えば、左円偏光)成分を反射することができる。したがって、図3に示す層構成の光学フィルムは、入射する励起光の偏光状態に関わらず、高い反射効率で励起光を反射することができる。
図4は、本発明の車載用照明装置で使用される光学フィルムの一例を概略的に示す模式図である。図4に示す光学フィルム170は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層31と、偏光変換層40と、コレステリック液晶層31と、透明基材10と、をこの順に有する。
2層のコレステリック液晶層31は、螺旋配向構造の旋回方向が同じ方向のコレステリック液晶層であり、基本的に同じのコレステリック液晶層である。しかしながら、2層のコレステリック液晶層31は、螺旋配向構造の旋回方向が同じで、選択反射波長帯域が重複していればよく、例えば、使用する液晶化合物等の種類、厚さ等が異なるコレステリック液晶層であってもよい。2層のコレステリック液晶層31は、第1のコレステリック液晶層に相当するものである。
偏光変換層40は、2層のコレステリック液晶層31の間に配置される。
偏光変換層40は、1層目のコレステリック液晶層31を透過する旋回方向の円偏光を逆方向の旋回方向に偏光変換する機能を有する。
図4に示す層構成の光学フィルムは、1層目のコレステリック液晶層31が、入射する励起光の一方の旋回方向の円偏光(例えば、右円偏光)成分を反射する。また、1層目のコレステリック液晶層31は、他方の旋回方向の円偏光(例えば、左円偏光)成分は透過する。1層目のコレステリック液晶層31を透過した円偏光は、偏光変換層40によって逆方向の旋回方向の円偏光(例えば、右円偏光)に変換される。偏光変換層40で偏光変換された円偏光は2層目のコレステリック液晶層31に入射する。2層目のコレステリック液晶層31は、1層目のコレステリック液晶層31と同じ旋回方向の円偏光(例えば、右円偏光)を反射することができるため、2層目のコレステリック液晶層31に入射した円偏光は反射される。したがって、図4に示す層構成の光学フィルムは、入射する励起光の偏光状態に関わらず、高い反射効率で励起光を反射することができる。
偏光変換層40は、液晶化合物の螺旋配向構造を固定化した層であり、偏光変換層40における螺旋配向構造のピッチ数x、および、偏光変換層40の膜厚y(単位μm)が、下記式(a)~(c)を全て満たすことが好ましい。
(a)0.1≦x≦1.0
(b)0.5≦y≦3.0
(c)3000≦(1560×y)/x≦50000
なお、液晶化合物の螺旋構造の1ピッチは、液晶化合物の螺旋の巻き数1回分である。すなわち、螺旋配向される液晶化合物のダイレクター(棒状液晶であれば長軸方向)が、360°回転した状態をピッチ数1とする。
偏光変換層は液晶化合物の螺旋構造を有していると、赤外域の反射ピーク波長よりも短波長である可視光に対して旋光性と複屈折性を示す。そのため、可視域の偏光を制御できる。偏光変換層の螺旋配向構造のピッチ数xおよび偏光変換層の膜厚yを上記の範囲とすることで、可視光に対して偏光変換層で光学補償する機能、あるいは、光学フィルムに入射した直線偏光(p偏光)を円偏光に変換する機能を付与することができる。
図4に示す例では、2層のコレステリック液晶層31の間に偏光変換層40を配置する構成としたが、偏光変換層40に代えて位相差層を配置する構成としてもよい。
位相差層としては、円偏光を逆方向の旋回方向に変換するλ/2板として機能するものであることが好ましい。このような位相差層としては、入射した円偏光の旋回方向を逆方向に変換することができれば特に制限はなく、従来公知の位相差層(λ/2板)が利用可能である。
2層のコレステリック液晶層31の間に位相差層を配置する構成の場合にも、図4に示す例と同様に、入射する励起光の偏光状態に関わらず、高い反射効率で励起光を反射することができる。
図5は、本発明の車載用照明装置で使用される光学フィルムの一例を概略的に示す模式図である。図5に示す光学フィルム170は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層31と、位相差層20と、酸素を遮断するバリア層50と、透明基材10と、をこの順に有する。
前述のとおり、励起光を連続照射した際には、光学フィルムは高温になるため、コレステリック液晶の分解が促進され、経時で劣化することがある。このため、酸素を遮断するバリア層をコレステリック液晶層に隣接して形成することにより、高温耐性を向上することができる。
<自動車>
本発明の自動車は、上述した本発明の車載用照明装置を搭載した自動車である。車載用照明装置は、自動車のヘッドランプ、リアランプ等に用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、および、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
<塗布液の調製>
(コレステリック液晶層形成用塗布液)
選択反射中心波長が励起光の波長450nmとなるコレステリック液晶層を形成するコレステリック液晶層形成用塗布液に関して、下記の成分を混合し、下記組成のコレステリック液晶層形成用塗布液をそれぞれ調製した。
・混合物1 100質量部
・フッ素系水平配向剤1(配向制御剤1) 0.05質量部
・フッ素系水平配向剤2(配向制御剤2) 0.02質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製)
目標の反射波長に合わせて調整
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が20質量%となる量
上述の塗布液組成の右旋回性キラル剤LC756の処方量を調整して、各コレステリック液晶層形成用塗布液を調製した。
各コレステリック液晶層形成用塗布液を用いて、以下に示す実施例1の光学フィルム作製時と同様に仮支持体上に膜厚3μmの単一層の各コレステリック液晶層を作製し、可視域光の反射特性を確認した。
その結果、作製された各コレステリック液晶層は右円偏光反射層であり、選択反射中心波長(中心波長)は、450nmであることを確認した。
(位相差層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成の位相差層形成用塗布液を調製した。
・混合物1 100質量部
・フッ素系水平配向剤1(配向制御剤1) 0.05質量部
・フッ素系水平配向剤2(配向制御剤2) 0.01質量部
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が20質量%となる量
(偏光変換層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成の偏光変換層形成用塗布液を調製した。
・混合物1 100質量部
・フッ素系水平配向剤1(配向制御剤1) 0.05質量部
・フッ素系水平配向剤2(配向制御剤2) 0.02質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製)
目標のピッチ数と膜厚に合う反射波長に合わせて調整
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が20質量%となる量
上述の塗布液組成の右旋回性キラル剤LC756の処方量を調整して、コレステリック液晶層とした場合に、所望の選択反射中心波長λとなるように、偏光変換層形成用塗布液を調製した。選択反射中心波長λは、仮支持体上に、膜厚3μmの単一層のコレステリック液晶層を作製してFTIR(パーキンエルマー社製、Spectrum Two)の測定により決定した。
螺旋構造の膜厚dは『螺旋構造のピッチP×ピッチ数』で表せる。上述のように、螺旋構造のピッチPとは、螺旋構造における1ピッチの長さであり、螺旋配向された液晶化合物が360°回転するのが1ピッチである。また、コレステリック液晶層では、選択反射中心波長λは『1ピッチの長さP×面内の平均屈折率n』と一致する(λ=P×n)。従って、ピッチPは『選択反射中心波長λ/面内の平均屈折率n』となる(P=λ/n)。
このことから、コレステリック液晶層とした場合に、選択反射中心波長λが所望の波長となるように、偏光変換層形成用塗布液を調製した。後述する偏光変換層の形成では、この偏光変換層形成用塗布液を、所望の膜厚となるよう塗工し、偏光変換層を形成してピッチ数を決定した。
[実施例1]
<セルロースアシレートフィルムの鹸化>
国際公開第2014/112575号の実施例20と同一の作製方法で、厚さ40μmセルロースアシレートフィルムを作製した。なお、このセルロースアシレートフィルムには、紫外線吸収剤として、帝盛化工社製のUV-531を添加した。添加量は、3phr(per hundred resin)とした。
作製したセルロースアシレートフィルムを、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した。その後、フィルムの片面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14mL/m2で塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外ヒーター(ノリタケカンパニーリミテド社製)の下に、10秒間滞留させた。
次いで、同じくバーコーターを用いて、純水を3mL/m2塗布した。
次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りとを、3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したセルロースアシレートフィルムを作製した。
鹸化処理したセルロースアシレートフィルムの面内位相差をAxoScanで測定したところ、1nmであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アルカリ溶液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・水酸化カリウム 4.7質量部
・水 15.7質量部
・イソプロパノール 64.8質量部
・界面活性剤(C1633O(CH2CH2O)10H) 1.0質量部
・プロピレングリコール 14.9質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<配向膜の形成>
鹸化処理したセルロースアシレートフィルム(透明支持体)の鹸化処理面に、下記に示す組成の配向膜形成用塗布液を、ワイヤーバーコーターで24mL/m2塗布し、100℃の温風で120秒乾燥した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
配向膜形成用塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記に示す変性ポリビニルアルコール 28質量部
・クエン酸エステル(AS3、三共化学社製) 1.2質量部
・光開始剤(イルガキュア2959、BASF社製) 0.84質量部
・グルタルアルデヒド 2.8質量部
・水 699質量部
・メタノール 226質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(変性ポリビニルアルコール)
<光学フィルムの作製>
配向膜を形成したセルロースアシレートフィルムを、支持体(透明基材)として用いた。
支持体の片面に、支持体の長辺方向を基準に時計回りに45°回転させた方向にラビング処理(レーヨン布、圧力:0.1kgf(0.98N)、回転数:1000rpm(revolutions per minute)、搬送速度:10m/min、回数:1往復)を施した。
支持体上の配向膜のラビングした表面に、位相差層形成用塗布液をワイヤーバーを用いて塗布した後、乾燥させた。
次いで、50℃のホットプレート上に置き、酸素濃度1000ppm以下の環境で、フュージョンUVシステムズ社製の無電極ランプ「Dバルブ」(60mW/cm2)によって6秒間、紫外線を照射し、液晶相を固定した。これによりして、所望の正面位相差、すなわち、所望のレタデーションとなるように厚さを整除した位相差層を得た。
作製した位相差層のレタデーションをAxoScanで測定したところ、112nmであった。
得られた位相差層の表面に、コレステリック液晶層形成用塗布液を、乾燥後の乾膜の厚さが3.5μmになるようにワイヤーバーを用いて室温にて塗布して塗布層を得た。
塗布層を室温で30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱した。その後、酸素濃度1000ppm以下の環境で、60℃でフュージョン社製のDバルブ(90mW/cmのランプ)によって、出力60%で6~12秒間、紫外線を照射し、コレステリック液晶相を固定して、厚さ3.5μmのコレステリック液晶層を得た。
このようにして位相差層の上に、1層のコレステリック液晶層を備える光学フィルムを得た。P偏光を入射した時の選択反射層の反射スペクトルを分光光度計(日本分光社製、V-670)で測定したところ、中心波長450nm波長半値幅80nm、反射率88%の反射スペクトルが得られた。
[実施例2]
光学フィルム170の構成を、図4において偏光変換層40に代えて位相差層を有する層構成となるように変更し、作製した。すなわち、透明基材、コレステリック液晶層、位相差層、および、コレステリック液晶層の順に積層された構成となるように、光学フィルムを作製した。また、実施例1の位相差層の正面リタデーションを225nmになる様に調整し、実施例1と同様のコレステリック液晶層2枚を作製して、貼合して光学フィルムを作製した。
P偏光を入射した時の選択反射層の反射スペクトルを分光光度計(日本分光社製、V-670)で測定したところ、中心波長450nm波長半値幅80nm、反射率88%の反射スペクトルが得られた。
[実施例3]
光学フィルム170の構成を図4の層構成となるようにし、作製した。偏光変換層は、偏光変換層形成用塗布液を用い、膜厚を1.8μmで実施例2の位相差層と同じ正面リタデーションになる様に波長を調整した。実施例1のコレステリック液晶と同様の方法で、コレステリック液晶層2枚と上記偏光変換層1枚を作製して、貼合して光学フィルムを作製した。
P偏光を入射した時の選択反射層の反射スペクトルを分光光度計(日本分光社製、V-670)で測定したところ、中心波長450nm波長半値幅80nm、反射率88%の反射スペクトルが得られた。
<評価>
実施例1~3で作製した光学フィルムをガラスに貼合し、励起光を照射し、透過光を黒紙に映して目視確認した。いずれも、光学フィルムを貼合していないガラスに比べて励起光が暗くなったことを確認した。
また、白色光を透過させ、黒紙に映した目視確認したところ、色味はわずかに黄色い程度であり、従来の光学フィルムに比べて、透過光の色味が改善したことを確認した。
次に、特開2011-222260号公報の図2に記載の車載用照明装置と同様の構成の車載用照明装置を作製し、波長変換部材とレンズの間に実施例1~3で作製した光学フィルムを貼合したガラス板を配置した。次に、波長変換部材を取り除き、レーザー光を光学フィルムに照射し、投射レンズ(光学系)を透過した光を黒紙に映して目視確認した。いずれも、光学フィルムを貼合していないガラス板と比べて励起光が暗くなったことを確認した。
また、白色光を透過させ、黒紙に映した目視確認したところ、色味はわずかに黄色い程度であり、従来の光学フィルムに比べて、透過光の色味が改善したことを確認した。
以上の結果より、励起光源からの励起光が外部に照射されず、さらには意匠性や外部に照射される光の色味に問題がないことから、本発明の効果は明らかである。
本発明の車載用照明装置は、励起光を用いる車載用のヘッドランプ、リアランプ等に、好適に利用可能である。
100、200 車載用照明装置
110、210 光ファイバー
110a、210a 入光面
110b、210b 出光面
120、220 励起光源
130、230 波長変換部材
140、240 透明板
150、250 集光レンズ
160、260 投射レンズ
170 光学フィルム
10 透明基材
20 位相差層
31 コレステリック液晶層
32 コレステリック液晶層(31と螺旋の向きが逆)
40 偏光変換層
50 酸素を遮断するバリア層

Claims (8)

  1. 車載用照明装置であって、励起光源と、前記励起光源からの励起光を吸収し、波長変換して所定の波長域の光を放出する波長変換部材と、前記波長変換部材から放出される光を外部へ照射する光学系と、を有し、
    さらに、前記励起光源からの励起光を反射し、前記波長変換部材から放出される光を通過させる液晶化合物を含む組成物からなる層を含む光学フィルムを備えており、
    前記光学フィルムが前記光学系を介して外部へ照射される前記波長変換部材からの光の光路上に配置されている車載用照明装置。
  2. 前記光学フィルムの反射光の半値幅は100nm以下である請求項1に記載の車載用照明装置。
  3. 前記光学フィルムは、コレステリック液晶相を固定してなる第1のコレステリック液晶層と少なくとも1層の位相差層を含有する請求項1に記載の車載用照明装置。
  4. 前記光学フィルムは、コレステリック液晶相を固定してなる第1のコレステリック液晶層と、前記第1のコレステリック液晶層と逆方向に螺旋配向した第2のコレステリック液晶層を含有する請求項1に記載の車載用照明装置。
  5. 前記光学フィルムは、コレステリック液晶相を固定してなる第1のコレステリック液晶層を2層と、2層の間に配置される、液晶化合物の螺旋配向構造を固定化した偏光変換層とを有し、前記偏光変換層における螺旋配向構造のピッチ数x、および、前記偏光変換層の膜厚y(単位μm)が、下記の式(a)~(c)を全て満たす、請求項1に記載の車載用照明装置。
    (a)0.1≦x≦1.0
    (b)0.5≦y≦3.0
    (c)3000≦(1560×y)/x≦50000
  6. 前記光学フィルムは、コレステリック液晶相を固定してなる第1のコレステリック液晶層を2層と、2層の間に配置される、位相差層とを有する請求項1に記載の車載用照明装置。
  7. 前記光学フィルムは、酸素を遮断するバリア層を有する請求項1に記載の車載用照明装置。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の車載用照明装置を搭載した自動車。
JP2022113797A 2022-02-02 2022-07-15 車載用照明装置および自動車 Pending JP2023113104A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022014765 2022-02-02
JP2022014765 2022-02-02

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023113104A true JP2023113104A (ja) 2023-08-15

Family

ID=87565446

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022113797A Pending JP2023113104A (ja) 2022-02-02 2022-07-15 車載用照明装置および自動車

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023113104A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4801056B2 (ja) 多層コレステリック液晶光学体の製造方法
KR100862110B1 (ko) 콜레스테릭 액정 물질을 함유하는 광학체 및 제조 방법
JP7153087B2 (ja) 導光素子、画像表示装置およびセンシング装置
WO2020022513A1 (ja) 光学素子の製造方法および光学素子
JP6530763B2 (ja) 画像表示機能付きミラー
WO2020075711A1 (ja) 光学積層体、導光素子およびar表示デバイス
JP6238128B2 (ja) 二帯域コレステリック液晶フィルム及びその製造方法
WO2020022504A1 (ja) 光学素子の製造方法および光学素子
WO2015125856A1 (ja) 遮熱用途に使用可能な反射部材および反射部材を含むプロジェクター
JP2003294948A (ja) 帯域フィルタ及びこれを用いた面光源装置
KR101293872B1 (ko) 액정 필름
JP7313457B2 (ja) ヘッドアップディスプレイ用プロジェクター
KR100728427B1 (ko) 광학소자의 제조방법, 광학소자, 광학소자를 사용한광학필름, 및 광학소자 또는 광학필름을 사용한 조명장치및 액정표시장치
WO2021106749A1 (ja) 光学部材および画像表示装置
WO2021060485A1 (ja) 光学素子の製造方法
WO2020022501A1 (ja) 光学素子の製造方法および光学素子
WO2020075740A1 (ja) 光学積層体、導光素子およびar表示デバイス
JP2023113104A (ja) 車載用照明装置および自動車
CN115734973B (zh) 液晶组合物、光学元件及导光元件
WO2009051408A1 (en) Method for manufacturing cholesteric reflective plarizer with quater wave plate, and reflective plarizer therefrom
WO2021060407A1 (ja) 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
JP6404742B2 (ja) 面光源装置および画像表示装置
WO2020022500A1 (ja) 光学素子の製造方法および光学素子
JP7247068B2 (ja) プロジェクター用反射部材およびヘッドアップディスプレイ用プロジェクター
JP2018116308A (ja) 遮熱用途に使用可能な反射部材および反射部材を含むプロジェクター