JP2023110571A - 送信装置、制御回路、記憶媒体および送信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のビームを形成する際の各ビームの放射電力の和である総放射電力を向上可能な送信装置を得ること。【解決手段】2以上のアンテナ素子を用いて1つのビームを形成可能であり、複数のビームを放射可能な複数のアンテナ素子1-1~1-Nと、複数の増幅器3-1~3-Nと、励振係数であるビーム形成用励振係数を記憶する記憶部6と、ビーム形成用励振係数に基づいて、総放射電力が最大になるようにビーム間ウェイトを算出するビーム間ウェイト算出部7と、ビーム形成用励振係数とビーム間ウェイトとに基づいて、更新後の励振係数を演算する励振係数演算部8と、複数のビームの1つについて各々が更新後の励振係数を用いて、複数のアンテナ素子を用いて放射するときの各アンテナ素子から放射されるビームの基となる信号を生成する、複数のビームと同数の複数のDBF部9-1~9-Mと、を備える。【選択図】図1
Description
本開示は、複数のビームを形成可能な送信装置、制御回路、記憶媒体および送信方法に関する。
従来、マルチビーム衛星通信における衛星搭載アンテナとして、アレー給電反射鏡アンテナが用いられることがある。アレー給電反射鏡アンテナは、複数のアンテナ素子を用いて複数のビームを形成できるが、ビームを形成するアンテナ素子が異なるビーム間で共用されることがある。ダウンリンク用の送信アンテナを考えた場合、アンテナ素子ごとに個別の増幅器が設けられており、増幅器の出力電力には制約がある。異なるビーム間で共用されるアンテナ素子である共用素子では、各ビームの合計電力が増幅器の出力電力の制約条件を満足する必要がある。また、所望のビーム形状に対応して、各アンテナ素子の電力比である励振係数は、それぞれのビームで決められている。
例えば、特許文献1には、離焦点フェーズドアレー給電反射鏡アンテナにおいて、カバレッジエリア内の利得が規定以上となり、カバレッジエリア外の利得が規定以下となるように、励振振幅および位相を繰り返し調整することで、励振係数を算出する技術が開示されている。
しかしながら、上記従来の技術によれば、複数のアンテナ素子を用いて複数のビームを形成する方法については開示されているが、離焦点フェーズドアレー給電反射鏡アンテナの総放射電力については考慮されていない。そのため、算出された励振係数を用いても、離焦点フェーズドアレー給電反射鏡アンテナとして効率的に送信できていない、すなわち本来の性能を発揮できていない可能性がある、という問題があった。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、複数のビームを形成する際の各ビームの放射電力の和である総放射電力を向上可能な送信装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示は、複数のビームを放射可能な送信装置である。送信装置は、2以上のアンテナ素子を用いて1つのビームを形成可能であり、複数のビームを放射可能な複数のアンテナ素子と、各々が複数のアンテナ素子のうちの異なる1つのアンテナ素子に接続される複数の増幅器と、ビームを形成するための励振係数であるビーム形成用励振係数を記憶する記憶部と、ビーム形成用励振係数に基づいて、送信装置から放射される複数のビームの総放射電力が最大になるように、複数のビーム間の電力比を示すビーム間ウェイトを算出するビーム間ウェイト算出部と、ビーム形成用励振係数とビーム間ウェイトとに基づいて、更新後の励振係数を演算する励振係数演算部と、複数のビームの1つについて各々が更新後の励振係数を用いて、複数のアンテナ素子を用いて放射するときの各アンテナ素子から放射されるビームの基となる信号を生成する、複数のビームと同数の複数のデジタルビームフォーミング部と、を備えることを特徴とする。
本開示の送信装置は、複数のビームを形成する際の各ビームの放射電力の和である総放射電力を向上させることができる、という効果を奏する。
以下に、本開示の実施の形態に係る送信装置、制御回路、記憶媒体および送信方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る衛星送信機50の構成例を示す第1の図である。図1において、衛星送信機50は、アンテナ素子1-1~1-Nと、増幅器3-1~3-Nと、DAC(Digital Analog Converter)4-1~4-Nと、合波部5-1~5-Nと、記憶部6と、ビーム間ウェイト算出部7と、励振係数演算部8と、DBF(Digital Beam Forming)部9-1~9-Mと、通信要求生成部13と、反射鏡部15と、を備える。図1に示す衛星送信機50では、アンテナ素子1-1~1-Nによってアレー給電部14を構成している。図2は、実施の形態1に係る衛星送信機50の構成例を示す第2の図である。図2において、衛星送信機50は、アンテナ素子1-1~1-Nと、増幅器3-1~3-Nと、DAC4-1~4-Nと、合波部5-1~5-Nと、記憶部6と、ビーム間ウェイト算出部7と、励振係数演算部8と、DBF部9-1~9-Mと、通信要求生成部13と、を備える。
図1は、実施の形態1に係る衛星送信機50の構成例を示す第1の図である。図1において、衛星送信機50は、アンテナ素子1-1~1-Nと、増幅器3-1~3-Nと、DAC(Digital Analog Converter)4-1~4-Nと、合波部5-1~5-Nと、記憶部6と、ビーム間ウェイト算出部7と、励振係数演算部8と、DBF(Digital Beam Forming)部9-1~9-Mと、通信要求生成部13と、反射鏡部15と、を備える。図1に示す衛星送信機50では、アンテナ素子1-1~1-Nによってアレー給電部14を構成している。図2は、実施の形態1に係る衛星送信機50の構成例を示す第2の図である。図2において、衛星送信機50は、アンテナ素子1-1~1-Nと、増幅器3-1~3-Nと、DAC4-1~4-Nと、合波部5-1~5-Nと、記憶部6と、ビーム間ウェイト算出部7と、励振係数演算部8と、DBF部9-1~9-Mと、通信要求生成部13と、を備える。
以降の説明において、アンテナ素子1-1~1-Nを区別しない場合はアンテナ素子1と称し、増幅器3-1~3-Nを区別しない場合は増幅器3と称し、DAC4-1~4-Nを区別しない場合はDAC4と称し、合波部5-1~5-Nを区別しない場合は合波部5と称し、DBF部9-1~9-Mを区別しない場合はDBF部9と称することがある。各DBF部9は、分配部10と、励振係数乗算部12-1~12-Nと、を備える。以降の説明において、励振係数乗算部12-1~12-Nを区別しない場合は励振係数乗算部12と称することがある。また、図1および図2に示すビーム2-1~2-Mを区別しない場合はビーム2と称し、ビーム入力信号11-1~11-Mを区別しない場合はビーム入力信号11と称することがある。なお、Nは衛星送信機50が備えるアンテナ素子1の数であり、Mは衛星送信機50から放射されるビーム2の数である。
衛星送信機50は、複数のビーム2を放射可能な送信装置である。衛星送信機50は、ビーム2-1~2-M、すなわちマルチビームを用いた衛星通信を行う。衛星送信機50は、マルチビームを用いた衛星通信における衛星搭載アンテナとして、図1に示すようにアレー給電反射鏡アンテナ40を用いることがある。アレー給電反射鏡アンテナ40は、アレー給電部14と、反射鏡部15と、を備える。衛星送信機50では、アレー給電部14の各アンテナ素子1から放射される電波が地上の規定された地点に所望の形状のビーム2を形成するように、各アンテナ素子1の励振振幅および位相、すなわち励振係数が決められている。衛星送信機50は、複数のアンテナ素子1を用いて同時に複数のビーム2を放射することが可能である。衛星送信機50は、ビーム2ごとに異なる励振係数を保持し、複数のビーム2を放射する際に複数のアンテナ素子1を共用することができる。
図3は、実施の形態1に係る衛星送信機50が備えるアンテナ素子1のうち2つのビーム2で使用されるアンテナ素子1の範囲の例を示す図である。衛星送信機50では、例えば、図3に示すように、アレー給電部14に配置されたアンテナ素子1のうち、ビーム2-1で使用されるアンテナ素子1の範囲と、ビーム2-2で使用されるアンテナ素子1の範囲とは重複している。図3において、素子範囲16はビーム2-1を形成するアンテナ素子1の範囲であり、素子範囲17はビーム2-2を形成するアンテナ素子1の範囲であり、素子範囲18はビーム2-1およびビーム2-2を形成する共用素子となるアンテナ素子1の範囲である。このように、衛星送信機50は、複数のビーム2を形成する際に一部のアンテナ素子1を共用することができる。
図4は、実施の形態1に係る衛星送信機50が図3に示すアンテナ素子1を使用してビーム2-1,2-2を放射したときの放射パターンの地上でのフットプリントの例を示す図である。図4において、点線で示す円は素子ビーム19であり、アレー給電部14の1つのアンテナ素子1に対応する地上でのフットプリントである。前述の放射パターンは、点線で示される素子ビーム19、すなわち地上でのフットプリントが合成されて形成される。ビーム2-1およびビーム2-2が重複している範囲の素子ビーム19は、図3に示す素子範囲18のアンテナ素子1に対応するものである。
本実施の形態では、衛星送信機50について、図1に示すようなアレー給電反射鏡アンテナ40を備える場合を前提として説明するが、複数のアンテナ素子1から構成され、複数のビーム2を同時形成可能なアンテナを含む通信機であれば、例えば、図2に示すような直接放射アレーアンテナなどの別の形式でもよい。また、本実施の形態については、図1および図2に示す衛星送信機50のように衛星搭載アンテナを前提として説明するが、地上局の通信システムにも適用可能である。
衛星送信機50が備える構成について説明する。
記憶部6は、衛星送信機50が複数のアンテナ素子1を用いてビーム2を形成するための、各ビーム2についてのアンテナ素子1ごとの放射電力の電力比を示す励振係数であるビーム形成用励振係数を記憶する。
通信要求生成部13は、衛星送信機50から放射されるビーム2などに対する要求である通信要求を生成する。通信要求は、例えば、あるビーム2に対して、放射電力の上限値、下限値などの制限を与えるものである。なお、通信要求生成部13は、図1などに示すように衛星送信機50の内部で通信要求を生成してもよいし、衛星送信機50の外部で通信要求を生成してもよい。後者の場合、衛星送信機50は、衛星送信機50の外部から通信要求を取得する。
ビーム間ウェイト算出部7は、記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数、および通信要求生成部13で生成された通信要求に基づいて、衛星送信機50で形成されて放射される複数のビーム2の電力の比率、すなわちビーム2間の電力比を示すビーム間ウェイトを算出する。なお、ビーム間ウェイト算出部7は、通信要求が無い場合、ビーム形成用励振係数のみを用いてビーム間ウェイトを算出してもよい。ビーム間ウェイト算出部7は、ビーム形成用励振係数に基づいて、衛星送信機50から放射される複数のビーム2の総放射電力Pが最大になるように、複数のビーム2間の電力比を示すビーム間ウェイトを算出する。
励振係数演算部8は、記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数と、ビーム間ウェイト算出部7で算出されたビーム間ウェイトとに基づいて、ビーム2ごとに更新後の励振係数を演算、すなわちビーム2ごとにビーム形成用励振係数を更新する。なお、励振係数演算部8は、図1および図2の例では記載を簡潔にしているため更新後の励振係数をDBF部9-1のみに出力しているが、実際にはDBF部9-2~9-Mにも、すなわち全てのDBF部9に対して更新後の励振係数を出力しているものとする。励振係数演算部8は、衛星送信機50が備えるアンテナ素子1の数をN個とし、衛星送信機50で形成されるビーム2の数をM個とした場合、N×M個の更新後の励振係数を演算する。
複数のDBF部9は、各々が、入力された1つのビーム入力信号11をアンテナ素子1の数、すなわちN個に分配し、分配後の各ビーム入力信号11に、励振係数演算部8で演算された更新後の励振係数を乗算する。衛星送信機50において、DBF部9の数は衛星送信機50で形成可能なビーム2の数と同じである。すなわち、複数のビーム2と同数の複数のDBF部9は、複数のビーム2の1つについて各々が更新後の励振係数を用いて、複数のアンテナ素子1を用いて放射するときの各アンテナ素子1から放射されるビーム2の基となる信号を生成する。以降の説明において、DBF部9をデジタルビームフォーミング部と称することがある。
分配部10は、DBF部9に入力された1つのビーム入力信号11をアンテナ素子1の数、すなわちN個に分配する。
複数の励振係数乗算部12は、各々が、DBF部9において、分配部10で分配された1つのビーム入力信号11に、励振係数演算部8で演算された更新後の励振係数を乗算する。
複数の合波部5は、各々が、複数のDBF部9から出力されるデジタル信号であって、周波数ごとに分波されている周波数領域の複数のデジタル信号を周波数軸上で合波した後、時間領域のデジタル信号に変換する。DBF部9から出力されるデジタル信号は、前述の各アンテナ素子1から放射されるビーム2の基となる信号である。また、複数の合波部5は、各々が複数のDAC4のうちの異なる1つのDAC4に接続される。
複数のDAC4は、各々が、接続される合波部5で変換後のデジタル信号をアナログ信号に変換する。また、複数のDAC4は、各々が複数の増幅器3のうちの異なる1つの増幅器3に接続される。
複数の増幅器3は、各々が、接続されるDAC4で変換後のアナログ信号を増幅する。また、複数の増幅器3は、各々が複数のアンテナ素子1のうちの異なる1つのアンテナ素子1に接続される。
複数のアンテナ素子1は、各々が、接続される増幅器3で増幅されたアナログ信号を電波として放射する。複数のアンテナ素子1は、2以上のアンテナ素子1を用いて1つのビーム2を形成可能であり、複数のビーム2を放射可能である。
反射鏡部15は、図1に示す衛星送信機50の構成において、複数のアンテナ素子1、すなわちアレー給電部14から放射された電波を反射して、地上に向けて複数のビーム2を放射する。
衛星送信機50では、図1および図2に示すように、1つのアンテナ素子1ごとに個別の増幅器3が設けられているが、各増幅器3の出力電力には制約、すなわち出力可能な最大出力電力Pmaxがある。接続されるアンテナ素子1が1つのビーム2の形成のみに使用される場合、増幅器3は、1つのビーム2を形成するために割り当てられた電力が増幅器3の最大出力電力Pmax以内であればよい。しかしながら、接続されるアンテナ素子1が複数のビーム2の形成に使用される共用素子の場合、増幅器3は、複数のビーム2を形成するためにビーム2ごとに割り当てられた電力の合計値である合計電力を増幅器3の最大出力電力Pmax以内にする必要がある。また、衛星送信機50で形成される各ビーム2への割り当て電力は、例えば、通信要求に含まれるシステム要求から、最大値または最小値などが決まっていることもある。衛星送信機50は、これらの制約条件を満足するように、各ビーム2に対する割り当て電力を決める。
そのため、実施の形態1において、衛星送信機50のビーム間ウェイト算出部7は、増幅器3の最大出力電力Pmax、各ビーム2への割り当て電力などの制約条件を満足しつつ、衛星送信機50からの放射電力の合計、すなわち総放射電力Pが最大になるように、ビーム間ウェイトを算出する。衛星送信機50の総放射電力Pは、衛星送信機50、すなわち衛星送信機50が搭載される衛星全体の送信能力を決めるものである。衛星送信機50の総放射電力Pを大きくすることは、衛星送信機50の衛星通信性能を最大にすることに相当する。
ここで、EIRP(Effective Isotropically Radiated Power)は、アンテナを用いた無線通信における送信系の性能を表す指標である。衛星送信機50のEIRPは、アンテナ素子1に供給される電力と与えられた方向におけるアンテナ素子1の絶対利得Gjとの積から求めることができ、式(1)のように表される。
式(1)において、iはアンテナ素子1の素子番号であり、jはビーム番号であり、Nは衛星送信機50が備えるアンテナ素子1の数であり、Mは衛星送信機50で形成されるビーム2の数である。各ビーム2のEIRPjは、励振係数に基づくアンテナ素子1の絶対利得Gjと各ビーム2を形成する各アンテナ素子1から放射される電力Pijの総和の電力Pjとの積である。衛星送信機50のEIRPを最大化するためには、絶対利得Gjを変更することも考えられるが、ビーム2の形状を変更しないようにするためには励振係数を変更できないため、絶対利得Gjも変更しない。そのため、衛星送信機50のEIRPの最大化と各アンテナ素子1から放射される電力の最大化とは同じ条件となる。各アンテナ素子1に接続される増幅器3の合計放射電力Piは、式(2)に示すように接続されるアンテナ素子1を使用するビーム2の電力の総和となる。
式(2)で求められるアンテナ素子1から放射される合計放射電力Piを、接続される増幅器3の最大出力電力Pmax以下にする必要がある。ビーム2ごとに使用される電力Pjは、当該ビーム2を形成するために使用されるアンテナ素子1から放射される電力Pijの合計値となり、式(3)のように表される。衛星送信機50から放射されるビーム2ごとに使用される電力Pjの電力比をビーム間ウェイトとする。
衛星送信機50の総放射電力Pは、式(4)に表されるように、全てのアンテナ素子1から放射される合計放射電力Piの合計値、または全てのビーム2で使用される電力Pjの合計値となり、いずれも同じ値になる。
そのため、衛星送信機50において、ビーム間ウェイト算出部7は、1つのアンテナ素子1から放射される合計放射電力Pi≦増幅器3の最大出力電力Pmaxの電力制約条件を満たしつつ、衛星送信機50の総放射電力Pを最大にするようにビーム間ウェイトを決定する。ビーム間ウェイト算出部7は、通信要求に含まれるシステム要求によって制約条件が加えられる場合、さらにシステム要求による制約条件を満足するようにビーム間ウェイトを決定する。
図5は、実施の形態1に係る衛星送信機50の動作を示すフローチャートである。衛星送信機50において、ビーム間ウェイト算出部7は、記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数、および通信要求生成部13で生成された通信要求に基づいて、衛星送信機50の総放射電力Pを最大にするようにビーム間ウェイトを算出する(ステップS101)。励振係数演算部8は、ビーム形成用励振係数、およびビーム間ウェイト算出部7で算出されたビーム間ウェイトに基づいて、ビーム2ごとに更新後の励振係数を演算する(ステップS102)。DBF部9は、入力されたビーム入力信号11をアンテナ素子1の数であるN個に分配し、分配後のビーム入力信号11に、励振係数演算部8で演算された更新後の励振係数を乗算する(ステップS103)。合波部5は、周波数ごとに分波されている周波数領域のデジタル信号を周波数軸上で合波した後、時間領域のデジタル信号に変換する(ステップS104)。DAC4は、デジタル信号をアナログ信号に変換する(ステップS105)。増幅器3は、最大出力電力Pmax以内でアナログ信号を増幅する(ステップS106)。アンテナ素子1は、増幅後のアナログ信号を電波として放射する(ステップS107)。
つづいて、衛星送信機50のハードウェア構成について説明する。衛星送信機50において、アンテナ素子1は電波を放射する放射器である。増幅器3は増幅回路である。DAC4はデジタルアナログ変換回路である。記憶部6はメモリである。合波部5、ビーム間ウェイト算出部7、励振係数演算部8、DBF部9、および通信要求生成部13は、処理回路により実現される。処理回路は、プログラムを格納するメモリ、およびメモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。処理回路は制御回路とも呼ばれる。
図6は、実施の形態1に係る衛星送信機50の処理回路をプロセッサ91およびメモリ92で実現する場合の処理回路90の構成例を示す図である。図6に示す処理回路90は制御回路であり、プロセッサ91およびメモリ92を備える。処理回路90がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、処理回路90の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路90では、メモリ92に記憶されたプログラムをプロセッサ91が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路90は、衛星送信機50の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を備える。このプログラムは、処理回路により実現される各機能を衛星送信機50に実行させるためのプログラムであるともいえる。このプログラムは、プログラムが記憶された記憶媒体により提供されてもよいし、通信媒体など他の手段により提供されてもよい。
上記プログラムは、複数のビーム2を放射可能な衛星送信機50が、2以上のアンテナ素子1を用いて1つのビーム2を形成可能であり、複数のビーム2を放射可能な複数のアンテナ素子1と、各々が複数のアンテナ素子1のうちの異なる1つのアンテナ素子1に接続される複数の増幅器3と、を備える場合において、ビーム間ウェイト算出部7が、ビーム2を形成するための励振係数であるビーム形成用励振係数に基づいて、衛星送信機50から放射される複数のビーム2の総放射電力Pが最大になるように、複数のビーム2間の電力比を示すビーム間ウェイトを算出する第1のステップと、励振係数演算部8が、ビーム形成用励振係数とビーム間ウェイトとに基づいて、更新後の励振係数を演算する第2のステップと、複数のビーム2と同数の複数のDBF部9が、複数のビーム2の1つについて各々が更新後の励振係数を用いて、複数のアンテナ素子1を用いて放射するときの各アンテナ素子1から放射されるビーム2の基となる信号を生成する第3のステップと、を衛星送信機50に実行させるプログラムであるとも言える。
ここで、プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などである。また、メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
図7は、実施の形態1に係る衛星送信機50の処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の処理回路93の構成の一例を示す図である。図7に示す処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路については、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、衛星送信機50において、ビーム間ウェイト算出部7は、ビーム形成用励振係数に基づいて、衛星送信機50から放射される複数のビーム2の総放射電力Pが最大になるように、複数のビーム2間の電力比を示すビーム間ウェイトを算出する。衛星送信機50は、増幅器3の最大出力電力Pmaxなどの制約条件を満たしつつ各ビーム2を放射する電力の振幅を調整し、電力の振幅を大きくすることが可能なビーム2については電力の振幅を大きくする。これにより、衛星送信機50は、複数のビーム2を形成する際の各ビーム2の放射電力の和である総放射電力Pを向上させることができる。
実施の形態2.
実施の形態2では、衛星送信機50において、ビーム間ウェイト算出部7がビーム間ウェイトを算出し、励振係数演算部8が各ビーム2の各アンテナ素子1に対する励振係数を演算する具体的な方法について説明する。
実施の形態2では、衛星送信機50において、ビーム間ウェイト算出部7がビーム間ウェイトを算出し、励振係数演算部8が各ビーム2の各アンテナ素子1に対する励振係数を演算する具体的な方法について説明する。
実施の形態2において、衛星送信機50の構成は図1または図2に示す実施の形態1のときの構成と同様である。衛星送信機50において、記憶部6は、複数の所望のビーム2に対応する励振係数テーブルが与えられ、予め記憶している。励振係数テーブルについては、ここでは、電力のみを考慮するので位相は考えず、電力真値で与えられているものとする。また、励振係数テーブルにおいて、各ビーム2のアンテナ素子1ごとの励振係数の総和は1とする。総放射電力Pを最大化する際、ビーム2の形状を変更しない、すなわち各ビーム2の中での各アンテナ素子1の励振係数の比率は変えないものとし、各ビーム2に対する電力比率であるビーム間ウェイトのみを変更可能なものとする。実施の形態1で説明したように、各アンテナ素子1には1つの増幅器3が接続されており、各アンテナ素子1に対応するビーム2の合計放射電力Piは増幅器3の最大出力電力Pmaxを超えないものとする。ここで、最大出力電力Pmaxについて、規格化電力として1を設定する。また、総放射電力Pについては、位相を考慮しない電力和とする。
図8は、実施の形態2に係る衛星送信機50の記憶部6が記憶する励振係数テーブルの例を示す図である。図8に示すように、アンテナ素子1-1~1-Nについて、各ビーム2-1,2-2に対応する電力比である励振係数が与えられる。図8では、一例としてアンテナ素子1の数がN個、ビーム2の数が2個の場合を示している。なお、図8では、記載を簡潔にするため、アンテナ素子1-1~1-Nを末尾の1~Nで表している。以降の図についても同様とする。前述のように、各ビーム2の励振係数の総和が1であるため、a1+a2…+ai…+aN=1となり、b1+b2…+bi…+bN=1となる。
図9は、実施の形態2に係る衛星送信機50のビーム間ウェイト算出部7がビーム間ウェイトを算出したときの各アンテナ素子1の合計放射電力Piの計算式および各ビーム2で使用される電力の例を示す図である。図9では、各ビーム2に対するビーム間ウェイトを係数と表記し、各アンテナ素子1の合計放射電力Piを割り当て電力と表記している。図9に示すように、ビーム2-1に対するビーム間ウェイトである係数をXとし、ビーム2-2に対するビーム間ウェイトである係数をYとすると、各アンテナ素子1の合計放射電力Piである各アンテナ素子1への割り当て電力はaiX+biYとなる。すなわち、割り当て電力aiX+biYが増幅器3の出力電力の条件から1以下である必要がある。各ビーム2の励振係数の総和が1であるため、衛星送信機50の総放射電力Pは(a1+a2…+ai…+aN)X+(b1+b2…+bi…+bN)Y=X+Yとなる。従って、衛星送信機50の総放射電力Pを最大にすることは、上記の出力電力の条件下でX+Yを最大化する問題となる。なお、X≧0とし、Y≧0とする。
図9に示す各条件式を定式化すると式(5)のようになる。すなわち、連立不等式の条件で、X+Yを最大化することとなる。ビーム間ウェイト算出部7は、この条件式を線形計画法、例えば、シンプレックス法で解くことで、衛星送信機50の総放射電力Pを最大にするビーム間ウェイトを算出することができる。
図10は、実施の形態2に係る衛星送信機50の記憶部6が記憶する励振係数テーブルの具体的な例を示す第1の図である。図10は、アンテナ素子1の数N=10、およびビーム2の数M=2の例を示している。ビーム間ウェイト算出部7は、図10に示す励振係数テーブルに対して、線形計画法などによって係数最大化するようにビーム間ウェイトを算出する。図11は、実施の形態2に係る衛星送信機50において、励振係数演算部8が記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数にビーム間ウェイト算出部7で算出されたビーム間ウェイトを乗算して更新したビーム形成用励振係数の具体的な例を示す第1の図である。図11に示すように、ビーム間ウェイト算出部7は、ビーム2-1に対する係数Xであるビーム間ウェイトを1.068とし、ビーム2-2に対する係数Yであるビーム間ウェイトを2.579として算出する。励振係数演算部8は、ビーム間ウェイト算出部7で算出されたビーム間ウェイトを用いて、記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数を更新する。これにより、ビーム間ウェイト算出部7は、図10に示すビーム形成用励振係数を更新前のときの衛星送信機50の総放射電力P=2.000と比較して、衛星送信機50の総放射電力P=3.647に大きくすることができる。衛星送信機50の総放射電力Pは、X+Yに増幅器3の最大出力電力Pmax、ここでは1を乗算したものとなる。
図12は、実施の形態2に係る衛星送信機50の記憶部6が記憶する励振係数テーブルの具体的な例を示す第2の図である。図12は、アンテナ素子1の数N=10、およびビーム2の数M=3の例を示している。ビーム間ウェイト算出部7は、図12に示す励振係数テーブルに対して、線形計画法などによって係数最大化するようにビーム間ウェイトを算出する。図13は、実施の形態2に係る衛星送信機50において、励振係数演算部8が記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数にビーム間ウェイト算出部7で算出されたビーム間ウェイトを乗算して更新したビーム形成用励振係数の具体的な例を示す第2の図である。図13に示すように、ビーム間ウェイト算出部7は、ビーム2-1に対する係数Xであるビーム間ウェイトを1.206とし、ビーム2-2に対する係数Yであるビーム間ウェイトを1.373とし、ビーム2-3に対する係数Zであるビーム間ウェイトを1.250として算出する。励振係数演算部8は、ビーム間ウェイト算出部7で算出されたビーム間ウェイトを用いて、記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数を更新する。これにより、ビーム間ウェイト算出部7は、図12に示すビーム形成用励振係数を更新前のときの衛星送信機50の総放射電力P=3.000と比較して、衛星送信機50の総放射電力P=3.829に大きくすることができる。衛星送信機50の総放射電力Pは、X+Y+Zに増幅器3の最大出力電力Pmax、ここでは1を乗算したものとなる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、衛星送信機50において、ビーム間ウェイト算出部7は、複数のアンテナ素子1の各アンテナ素子1について対応するビーム形成用励振係数とビーム間ウェイトとを乗算して複数のビーム2の分を加算したものが増幅器3の最大出力電力Pmax以下となるようにする不等式を生成し、複数のアンテナ素子1に対応する連立不等式の条件を満たすようにビーム間ウェイトを算出する。ビーム間ウェイト算出部7は、線形計画法を用いて最大値を持つ解を求めることで、制約条件を満たすビーム間ウェイトを算出することができる。
実施の形態3.
実施の形態3では、衛星送信機50において、ビーム間ウェイト算出部7がビーム間ウェイトを算出し、励振係数演算部8が各ビーム2の各アンテナ素子1に対する励振係数を演算する具体的な方法として、連立方程式を用いる場合について説明する。
実施の形態3では、衛星送信機50において、ビーム間ウェイト算出部7がビーム間ウェイトを算出し、励振係数演算部8が各ビーム2の各アンテナ素子1に対する励振係数を演算する具体的な方法として、連立方程式を用いる場合について説明する。
実施の形態3において、衛星送信機50の構成は図1または図2に示す実施の形態1のときの構成と同様である。図14は、実施の形態3に係る衛星送信機50においてアンテナ素子1ごとの合計放射電力Piに対する制約条件を方程式で表した例を示す図である。図14は、実施の形態2の図9で説明した各アンテナ素子1の合計放射電力Piである各アンテナ素子1への割り当て電力aiX+biY=1をプロットしたものであり、各線の斜線領域が解領域である。全ての方程式、すなわち全ての不等式の条件を満足するのは太線で示す解範囲20の領域であり、丸印で示す解候補21が、X+Yが最大値をとる可能性がある点となる。そのため、ビーム間ウェイト算出部7は、丸印で示す解候補21の点を全て計算し、X+Yが最大値となる解候補21を求めることで、衛星送信機50の総放射電力Pを最大にするビーム間ウェイトを算出する。
連立不等式の条件下での最大値は範囲の境界にあるので、条件式を等号で結んだaiX+biY=1およびajX+bjY=1の連立方程式の解の中に存在する。この場合、全ての組み合わせの連立方程式からX+Yが最大となる係数が、求めたい最大の係数、すなわち衛星送信機50の総放射電力Pを最大にするビーム間ウェイトとなる。ここで、未知の係数が2個の場合は2元連立方程式になり、未知の係数が3個の場合は3元連立方程式になる。未知の係数が4個以上の場合も同様に、連立方程式に用いる方程式の数を拡張をすればよい。ai,biが0である励振係数が疎な行列の場合、連立方程式の求解は容易となるため、ビーム間ウェイト算出部7は、ai,aj,bi,bj≠0の場合のみ計算すればよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、衛星送信機50において、ビーム間ウェイト算出部7は、連立不等式の条件を満たす領域を形成する不等式を等号で結んだ連立方程式の解からビーム間ウェイトを算出する。ビーム間ウェイト算出部7は、連立方程式を使った解法によって機械的に解を求めることで、制約条件を満たすビーム間ウェイトを算出することができる。
実施の形態4.
実施の形態4では、制約条件として、あるビーム2への割り当て電力の最小値を導入する場合について説明する。
実施の形態4では、制約条件として、あるビーム2への割り当て電力の最小値を導入する場合について説明する。
実施の形態4において、衛星送信機50の構成は図1または図2に示す実施の形態1のときの構成と同様である。実施の形態1から実施の形態3では、各ビーム2への割り当て電力が0以上の制約条件であったため、割り当て電力が0となる場合が生じる可能性があった。割り当て電力が0ではない場合でも、通信要求などから最小割り当て電力が規定されることは考えられる。図15は、実施の形態4に係る衛星送信機50において割り当て電力の最小電力制約がある場合のアンテナ素子1ごとの合計放射電力Piに対する制約条件を方程式で表した例を示す図である。図15の例は、ビーム2の数が2個の場合にビーム2-2の係数Yであるビーム間ウェイトに最小電力制約22がある場合に相当する。ビーム間ウェイト算出部7は、最小電力制約22がある場合であっても、前述のように、線形計画法、例えば、シンプレックス法で解くことができる。なお、最小電力制約22については、通信要求生成部13で生成される通信要求などによって決めることができる。
図16は、実施の形態4に係る衛星送信機50の記憶部6が記憶する励振係数テーブルの具体的な例を示す図である。図16は、アンテナ素子1の数N=10、およびビーム2の数M=3の例を示している。ビーム間ウェイト算出部7は、図16に示す励振係数テーブルに対して、線形計画法などによって係数最大化するようにビーム間ウェイトを算出する。図17は、実施の形態4に係る衛星送信機50において、励振係数演算部8が記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数にビーム間ウェイト算出部7で算出されたビーム間ウェイトを乗算して更新したビーム形成用励振係数の具体的な例を示す第1の図である。図17に示すように、ビーム間ウェイト算出部7は、ビーム2-1に対する係数Xであるビーム間ウェイトを2.44とし、ビーム2-2に対する係数Yであるビーム間ウェイトを0.00とし、ビーム2-3に対する係数Zであるビーム間ウェイトを2.82として算出する。励振係数演算部8は、ビーム間ウェイト算出部7で算出されたビーム間ウェイトを用いて、記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数を更新する。これにより、ビーム間ウェイト算出部7は、図16に示すビーム形成用励振係数を更新前のときの衛星送信機50の総放射電力P=3.00と比較して、衛星送信機50の総放射電力P=5.26に大きくすることができる。衛星送信機50の総放射電力Pは、X+Y+Zに増幅器3の最大出力電力Pmax、ここでは1を乗算したものとなる。ここで、図17に示すように、ビーム2-2に対する係数であるビーム間ウェイトが0になっている。すなわち、ビーム2-1,2-3に電力を割り当て、ビーム2-2に電力を割り当てない方が、衛星送信機50の総放射電力Pが大きくなる例である。この場合、ビーム2-2には電力が割り当てられないので、ビーム2-2は放射されないことになり、運用されないビーム2となる。
そこで、ビーム2-2に最小電力制約22として電力0.8を割り当てた場合の結果を図18に示す。図18は、実施の形態4に係る衛星送信機50において、励振係数演算部8が記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数にビーム間ウェイト算出部7で算出されたビーム間ウェイトを乗算して更新したビーム形成用励振係数の具体的な例を示す第2の図である。図18に示すように、ビーム間ウェイト算出部7は、ビーム2-1に対する係数Xであるビーム間ウェイトを2.07とし、ビーム2-2に対する係数Yであるビーム間ウェイトを0.80とし、ビーム2-3に対する係数Zであるビーム間ウェイトを1.76として算出する。励振係数演算部8は、ビーム間ウェイト算出部7で算出されたビーム間ウェイトを用いて、記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数を更新する。これにより、ビーム間ウェイト算出部7は、最小電力制約22を満足しつつ、図16に示すビーム形成用励振係数を更新前のときの衛星送信機50の総放射電力P=3.00と比較して、衛星送信機50の総放射電力P=4.63に大きくすることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、衛星送信機50において、ビーム間ウェイト算出部7は、さらにあるビーム2について与えられた最小の放射電力の条件である最小電力制約22を満たすようにビーム間ウェイトを算出することができる。
実施の形態5.
実施の形態5では、制約条件として、あるビーム2への割り当て電力の最大値を導入する場合について説明する。
実施の形態5では、制約条件として、あるビーム2への割り当て電力の最大値を導入する場合について説明する。
実施の形態5において、衛星送信機50の構成は図1または図2に示す実施の形態1のときの構成と同様である。あるビーム2への割り当て電力の最大値を導入する場合については、与干渉量を抑圧したい場合などの適用例が考えられる。図19は、実施の形態5に係る衛星送信機50において割り当て電力の最大電力制約23がある場合のアンテナ素子1ごとの合計放射電力Piに対する制約条件を方程式で表した例を示す図である。図19の例は、ビーム2の数が2個の場合にビーム2-2の係数Yであるビーム間ウェイトに最大電力制約23がある場合に相当する。ビーム間ウェイト算出部7は、最大電力制約23がある場合であっても、前述のように、線形計画法、例えば、シンプレックス法で解くことができる。なお、最大電力制約23については、通信要求生成部13で生成される通信要求などによって決めることができる。
ここで、実施の形態4で説明したように、図16に示す励振係数テーブルに対して追加の制約条件を設けない場合、ビーム形成用励振係数は図17のように更新される。図17に示すように、ビーム2-3に対する係数Zであるビーム間ウェイトは2.82である。実施の形態5では、ビーム2-3に最大電力制約23として電力1.80を割り当てた場合について具体的に説明する。図20は、実施の形態5に係る衛星送信機50において、励振係数演算部8が記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数にビーム間ウェイト算出部7で算出されたビーム間ウェイトを乗算して更新したビーム形成用励振係数の具体的な例を示す図である。図20に示すように、ビーム間ウェイト算出部7は、ビーム2-1に対する係数Xであるビーム間ウェイトを2.08とし、ビーム2-2に対する係数Yであるビーム間ウェイトを0.77とし、ビーム2-3に対する係数Zであるビーム間ウェイトを1.80として算出する。励振係数演算部8は、ビーム間ウェイト算出部7で算出されたビーム間ウェイトを用いて、記憶部6に記憶されているビーム形成用励振係数を更新する。これにより、ビーム間ウェイト算出部7は、最大電力制約23を満足しつつ、図16に示すビーム形成用励振係数を更新前のときの衛星送信機50の総放射電力P=3.00と比較して、衛星送信機50の総放射電力P=4.65に大きくすることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、衛星送信機50において、ビーム間ウェイト算出部7は、さらにあるビーム2について与えられた最大の放射電力の条件である最大電力制約を満たすようにビーム間ウェイトを算出することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1-1~1-N アンテナ素子、2-1~2-M ビーム、3-1~3-N 増幅器、4-1~4-N DAC、5-1~5-N 合波部、6 記憶部、7 ビーム間ウェイト算出部、8 励振係数演算部、9-1~9-M DBF部、10 分配部、11-1~11-M ビーム入力信号、12-1~12-N 励振係数乗算部、13 通信要求生成部、14 アレー給電部、15 反射鏡部、16,17,18 素子範囲、19 素子ビーム、20 解範囲、21 解候補、22 最小電力制約、23 最大電力制約、40 アレー給電反射鏡アンテナ、50 衛星送信機。
Claims (8)
- 複数のビームを放射可能な送信装置であって、
2以上のアンテナ素子を用いて1つの前記ビームを形成可能であり、前記複数のビームを放射可能な複数のアンテナ素子と、
各々が前記複数のアンテナ素子のうちの異なる1つのアンテナ素子に接続される複数の増幅器と、
前記ビームを形成するための励振係数であるビーム形成用励振係数を記憶する記憶部と、
前記ビーム形成用励振係数に基づいて、前記送信装置から放射される前記複数のビームの総放射電力が最大になるように、前記複数のビーム間の電力比を示すビーム間ウェイトを算出するビーム間ウェイト算出部と、
前記ビーム形成用励振係数と前記ビーム間ウェイトとに基づいて、更新後の励振係数を演算する励振係数演算部と、
前記複数のビームの1つについて各々が前記更新後の励振係数を用いて、前記複数のアンテナ素子を用いて放射するときの各アンテナ素子から放射されるビームの基となる信号を生成する、前記複数のビームと同数の複数のデジタルビームフォーミング部と、
を備えることを特徴とする送信装置。 - 前記ビーム間ウェイト算出部は、前記複数のアンテナ素子の各アンテナ素子について対応する前記ビーム形成用励振係数と前記ビーム間ウェイトとを乗算して前記複数のビームの分を加算したものが前記増幅器の最大出力電力以下となるようにする不等式を生成し、前記複数のアンテナ素子に対応する連立不等式の条件を満たすように前記ビーム間ウェイトを算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の送信装置。 - 前記ビーム間ウェイト算出部は、前記連立不等式の条件を満たす領域を形成する不等式を等号で結んだ連立方程式の解から前記ビーム間ウェイトを算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。 - 前記ビーム間ウェイト算出部は、さらにあるビームについて与えられた最小の放射電力の条件である最小電力制約を満たすように前記ビーム間ウェイトを算出する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の送信装置。 - 前記ビーム間ウェイト算出部は、さらにあるビームについて与えられた最大の放射電力の条件である最大電力制約を満たすように前記ビーム間ウェイトを算出する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の送信装置。 - 複数のビームを放射可能な送信装置を制御するための制御回路であって、
前記送信装置は、
2以上のアンテナ素子を用いて1つの前記ビームを形成可能であり、前記複数のビームを放射可能な複数のアンテナ素子と、
各々が前記複数のアンテナ素子のうちの異なる1つのアンテナ素子に接続される複数の増幅器と、
を備えており、
前記ビームを形成するための励振係数であるビーム形成用励振係数に基づいて、前記送信装置から放射される前記複数のビームの総放射電力が最大になるように、前記複数のビーム間の電力比を示すビーム間ウェイトを算出、
前記ビーム形成用励振係数と前記ビーム間ウェイトとに基づいて、更新後の励振係数を演算、
前記複数のビームごとに、前記複数のビームの1つについて前記更新後の励振係数を用いて、前記複数のアンテナ素子を用いて放射するときの各アンテナ素子から放射されるビームの基となる信号を生成、
を前記送信装置に実施させることを特徴とする制御回路。 - 複数のビームを放射可能な送信装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記送信装置は、
2以上のアンテナ素子を用いて1つの前記ビームを形成可能であり、前記複数のビームを放射可能な複数のアンテナ素子と、
各々が前記複数のアンテナ素子のうちの異なる1つのアンテナ素子に接続される複数の増幅器と、
を備えており、
前記プログラムは、
前記ビームを形成するための励振係数であるビーム形成用励振係数に基づいて、前記送信装置から放射される前記複数のビームの総放射電力が最大になるように、前記複数のビーム間の電力比を示すビーム間ウェイトを算出、
前記ビーム形成用励振係数と前記ビーム間ウェイトとに基づいて、更新後の励振係数を演算、
前記複数のビームごとに、前記複数のビームの1つについて前記更新後の励振係数を用いて、前記複数のアンテナ素子を用いて放射するときの各アンテナ素子から放射されるビームの基となる信号を生成、
を前記送信装置に実施させることを特徴とする記憶媒体。 - 複数のビームを放射可能な送信装置の送信方法であって、
前記送信装置は、
2以上のアンテナ素子を用いて1つの前記ビームを形成可能であり、前記複数のビームを放射可能な複数のアンテナ素子と、
各々が前記複数のアンテナ素子のうちの異なる1つのアンテナ素子に接続される複数の増幅器と、
を備え、
ビーム間ウェイト算出部が、前記ビームを形成するための励振係数であるビーム形成用励振係数に基づいて、前記送信装置から放射される前記複数のビームの総放射電力が最大になるように、前記複数のビーム間の電力比を示すビーム間ウェイトを算出する第1のステップと、
励振係数演算部が、前記ビーム形成用励振係数と前記ビーム間ウェイトとに基づいて、更新後の励振係数を演算する第2のステップと、
前記複数のビームと同数の複数のデジタルビームフォーミング部が、前記複数のビームの1つについて各々が前記更新後の励振係数を用いて、前記複数のアンテナ素子を用いて放射するときの各アンテナ素子から放射されるビームの基となる信号を生成する第3のステップと、
を含むことを特徴とする送信方法。
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