JP2023109769A - 学習装置、異常兆候検知装置、異常兆候検知システム、学習方法およびプログラム - Google Patents

学習装置、異常兆候検知装置、異常兆候検知システム、学習方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】異常兆候の検知精度を向上させることが可能な学習装置を得ること。【解決手段】本開示にかかる学習装置1は、異常兆候の検知に用いられる学習済データを生成する学習装置1であって、正常なデータである正常データを用いた正常波形学習と、異常兆候のあるデータである異常兆候データを用いた異常兆候波形学習とを行うことにより、学習済データを生成する。【選択図】図1

Description

本開示は、異常兆候検知のための機械学習を行う学習装置、異常兆候検知装置、異常兆候検知システム、学習方法およびプログラムに関する。
電力系統の設備、各種プラントにおける設備をはじめとして各種の重要な設備では、故障の影響が大きいため、故障の発生前に異常兆候を検知することが望まれている。例えば、配電系統で発生する地絡故障などでは何らかの前駆現象を伴うことがありこの前駆現象を捉える技術が提案されている。
例えば、下記特許文献1には、配電系統における零相電圧および零相電流のうちの少なくとも一方の周波数スペクトルを用いて、ニューラルネットワークモデルを用いた教師あり学習により絶縁劣化状態を推論する技術が開示されている。
特開平5-122829号公報
特許文献1に記載の技術では、瞬時地絡時には、零相電圧および零相電流のうちの少なくとも一方が、電源周波数と整数倍周波数以外にも多くの分数調波成分を含み、零相電圧の周波数スペクトルは電源周波数以下で周波数が低くなるほど大きくなる傾向を示すという前提のもとに、このような特徴の現れる信号を教師信号として用いている。しかしながら、故障の予兆としてはこのように波形の性質が既知のものだけではなく、要因によって様々な波形が有ると考えられる。特に、山間部に設置された配電線では、倒木、鳥の巣などの影響によって故障が生じることもあり、これらの現象による故障の予兆は特許文献1に記載された周波数スペクトルの特徴を有するとは限らない。このため、特許文献1に記載の技術では異常兆候の検知精度が十分ではない可能性がある。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、異常兆候の検知精度を向上させることが可能な学習装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる学習装置は、異常兆候の検知に用いられる学習済データを生成する学習装置であって、正常なデータである正常データを用いた正常波形学習と、異常兆候のあるデータである異常兆候データを用いた異常兆候波形学習とを行うことにより、学習済データを生成する。
本開示にかかる学習装置は、異常兆候の検知精度を向上させることができるという効果を奏する。
実施の形態1にかかる異常兆候検知システムの構成例を示す図 配電系統における実施の形態1の異常兆候検知システムの配置例を示す図 実施の形態1の学習装置における学習時の処理手順の一例を示すフローチャート 実施の形態1の異常兆候検知装置における推論時の処理手順の一例を示すフローチャート 実施の形態1の前処理を説明するための図 実施の形態1の前処理の効果の一例を模式的に示す図 実施の形態1の学習装置を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図 実施の形態2にかかる異常兆候検知システムの構成例を示す図 実施の形態2における類似波形解析による異常兆候波形の学習の処理手順の一例を示すフローチャート 実施の形態2の異常兆候検知装置における推論時の処理手順の一例を示すフローチャート 実施の形態3にかかる異常兆候検知システムの構成例を示す図 実施の形態3の実効値を用いた学習の処理手順の一例を示すフローチャート 実施の形態3の異常兆候検知装置における推論時の処理手順の一例を示すフローチャート 実施の形態4にかかる異常兆候検知システムの構成例を示す図 実施の形態4の異常兆候検知装置における推論時の処理手順の一例を示すフローチャート 実施の形態5にかかる異常兆候検知システムの構成例を示す図 実施の形態5の異常兆候波形を学習する類似波形解析の処理手順の一例を示すフローチャート
以下に、実施の形態にかかる学習装置、異常兆候検知装置、異常兆候検知システム、学習方法およびプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる異常兆候検知システムの構成例を示す図である。本実施の形態の異常兆候検知システム3は、学習装置1と、異常兆候検知装置2と、を備える。学習装置1は、異常兆候の検知に用いられる学習済データを生成し、異常兆候検知装置2は、学習装置1によって生成された学習済データを用いて、異常兆候を検知する。学習装置1は、例えば、センサなどによって取得された時系列データに対して波形解析により異常検知を行うための学習を行う。本実施の形態における波形解析は、類似波形解析とも呼ばれる機械学習の一例であり、学習時には、基準となる波形を基準波形として蓄積するとともに基準波形との類似度を示す外れスコアに対するしきい値を決定する。そして、本実施の形態における波形解析では、異常兆候の検知時すなわち異常兆候が生じているか否かの推論時には、検知対象の時系列データと基準波形とを用いて、当該検知対象の時系列データにおける各波形の基準波形に対する外れスコアを算出し、外れスコアと学習によって定められたしきい値との比較結果に基づいて異常兆候を検知する。
図1に示すように学習装置1は、データ取得部11、データ記憶部12、前処理部13、第1波形解析部14、除去波形抽出部15、除去波形記憶部16および第1学習データ記憶部17を備える。
データ取得部11は、正常な期間の時系列データを取得し、データ記憶部12に記憶する。データ取得部11は、例えば、時系列データを取得するセンサなどから計測データを取得する。前処理部13は、データ記憶部12に記憶されている時系列データに対して、平滑化処理、ウィンドウサイズ(1単位区間分のサイズ)への切り出し、N(Nは2以上の整数)周期前差分処理などの前処理を行い、前処理後のデータを第1波形解析部14へ出力する。前処理後のデータはウィンドウサイズに切り出されているため、1単位区間のデータごとに第1波形解析部14へ出力される。以下1単位区間のデータを単位区間データとも呼ぶ。また、前処理部13は、N周期前差分処理が行われる前の単位区間データを除去波形抽出部15へ出力する。
第1波形解析部14は、類似波形解析により正常波形を学習する。詳細には、第1波形解析部14は、前処理後の単位区間データ間の距離を外れスコアとして算出し、算出した外れスコアを用いて、正常であるか否かの判定に用いられる正常判定しきい値を決定し、決定した正常判定しきい値を、第1学習データ記憶部17へ格納する。単位区間データ間の距離は、例えば、DTW(Dynamic Time Warping)距離、マハラノビス距離、ユークリッド距離などであり、どのような距離が用いられてもよいが、ここでは、単位区間データ間の距離は、一例として単位区間データ間におけるサンプリング点ごとの距離の1単位区間分の累積値であるとする。正常判定しきい値は、例えば、外れスコアの標準偏差に基づいて決定される。例えば、第1波形解析部14は、外れスコアの標準偏差をσとするとき、正常判定しきい値を3σとする。また、第1波形解析部14は、単位区間データのうち、正常波形データとして格納するものを選択し、選択した単位区間データを正常波形データとして第1学習データ記憶部17へ格納する。また、第1波形解析部14は、正常データではあるものの、まれに発生する波形と判断された単位区間データを識別する識別情報を除去波形抽出部15へ出力する。第1学習データ記憶部17に格納される正常波形および正常判定しきい値は、異常兆候の検知に用いられる学習済データである。
除去波形抽出部15は、前処理部13から受け取った単位区間データのうち、第1波形解析部14から受け取った識別情報に対応する単位区間データすなわちまれに発生する波形と判断された単位区間データを、複数の波形のタイプに分類し、波形のタイプごとに正常と判定するための条件を決定する。正常と判定するための波形条件は、例えば、単位区間データ内の各サンプル点の平均値、標準偏差、最大値、最小値などに基づいて決定される。除去波形抽出部15は、タイプごとに対応する波形と波形条件とを除去波形記憶部16に格納する。除去波形抽出部15が行う処理は、正常ではあるものの例えば問題のないなんらかのイベントによって発生する外れスコアが大きくなるような波形が異常兆候と判定される過検知を防ぐために行われる処理である。後述するように、除去波形記憶部16に格納された情報は、異常兆候検知装置2において、過検知を防ぐ処理で用いられる。除去波形抽出部15によって決定された、波形のタイプごとの波形条件を用いた過検知の除去をタイプ別フィルタ処理とも呼ぶ。
異常兆候検知装置2は、データ取得部21、データ記憶部22、前処理部23、第1波形解析部24、過検知除去部25、除去波形記憶部26、第1学習データ記憶部27よび検知結果出力部28を備える。除去波形記憶部26には、上述した除去波形記憶部16に記憶されている情報と同じ情報が格納され、第1学習データ記憶部27には、上述した第1学習データ記憶部17に記憶されている情報と同じ情報が格納される。
データ取得部21は、異常兆候の検知対象の時系列データである検知対象データを取得し、データ記憶部22に記憶する。前処理部23は、データ記憶部22に記憶されている検知対象データに対して、前処理部13と同様の前処理を行い、前処理後のデータを第1波形解析部24へ出力する。また、前処理部23は、N周期前差分処理前の単位区間データを過検知除去部25へ出力する。
第1波形解析部24は、前処理後の単位区間データと、学習済データとを用いて、類似波形解析によって、異常兆候があるか否かを判定する。具体的には、第1波形解析部24は、前処理後の単位区間データと、第1学習データ記憶部27に記憶されている正常波形データのそれぞれとの距離を第1学習データ記憶部27に記憶されている正常判定しきい値と比較することで、前処理後の単位区間データに異常兆候があるか否かを判定し、判定結果を過検知除去部25へ出力する。例えば、第1波形解析部24は、算出した外れスコアのうち最小の外れスコアが正常判定しきい値以上である場合に、異常兆候があると判定する。第1波形解析部24は、異常兆候があると判定した場合には、対応する単位区間データも過検知除去部25へ出力する。
過検知除去部25は、第1波形解析部24から受け取った判定結果が、異常兆候があることを示す判定結果であった場合、前処理部23から受け取った単位区間データと除去波形記憶部26に格納されているタイプ別の波形とを比較することで、当該単位区間データの波形のタイプを判別し、除去波形記憶部26に格納されている正常判定条件のうち判別したタイプに対応する正常判定条件を用いて当該単位区間データが正常であるか否かを判定する。過検知除去部25は、第1波形解析部24から受け取った判定結果が、異常兆候があることを示し、かつ正常判定条件で正常と判定された場合には、当該単位区間データには異常兆候はないと判定し、判定結果を検知結果出力部28へ出力する。また、過検知除去部25は、第1波形解析部24から受け取った判定結果が、異常兆候があることを示し、かつ正常判定条件で正常でないと判定された場合には、当該単位区間データには異常兆候があると判定し、判定結果を検知結果出力部28へ出力する。
また、過検知除去部25は、第1波形解析部24から受け取った判定結果が、異常兆候がないことを示す判定結果であった場合、当該判定結果を検知結果出力部28へ出力する。
なお、以上述べた例では、第1波形解析部24により異常兆候があると判定された場合の判定結果が過検知除去部25を介して検知結果出力部28へ通知されているが、これに限らず、第1波形解析部24により異常兆候があると判定された場合の判定結果は第1波形解析部24から検知結果出力部28へ直接通知されてもよい。また、以上述べた例では、異常兆候がない場合も判定結果が検知結果出力部28へ出力されるが、これに限らず、異常兆候がない場合には判定結果が検知結果出力部28へ出力されなくてもよい。すなわち、異常兆候が検知された場合だけに、判定結果が検知結果出力部28へ出力されてもよい。
また、図1に示した例では、学習装置1と異常兆候検知装置2とが個別に設けられているが、学習装置1と異常兆候検知装置2とが一体化されていてもよい。この場合、除去波形記憶部26は設けずに除去波形記憶部16を上述した除去波形記憶部26の代わりに用いてもよく、第1学習データ記憶部27は設けずに第1学習データ記憶部17を上述した第1学習データ記憶部27の代わりに用いてもよく、データ記憶部22は設けずにデータ記憶部12を上述したデータ記憶部22の代わりに用いてもよい。また、データ取得部11、前処理部13および第1波形解析部14が、それぞれデータ取得部21、前処理部23および第1波形解析部24としての機能も有することで、データ取得部21、前処理部23および第1波形解析部24を設けなくてもよい。学習装置1と異常兆候検知装置2とは、共通する処理が多いため、一体化される場合には、このように共通する部分を共用することができる。
本実施の形態の異常兆候検知システム3は、例えば、配電系統における異常兆候を検知に適用することができる。図2は、配電系統における本実施の形態の異常兆候検知システム3の配置例を示す図である。図2に示した例では、異常兆候検知装置2は、配電系統における各区間を接続する開閉器4を制御する子局と呼ばれる装置である。または、異常兆候検知装置2は、開閉器4を制御する子局に接続される装置であってもよい。
近年、配電系統における開閉器4を遠隔地から自動制御する配線制御システムの導入が進められており、このようなシステムでは開閉器4を制御する子局が、遠隔地に設けられた親局と通信を行う。子局は、配電系統の電流、電圧を計測することで、配電系統を監視するとともに、親局からの指示にしたがって開閉器4を制御することが可能である。このように、子局は、配電系統の電流および電圧を計測しており、異常兆候検知装置2を子局として用いることにより、または異常兆候検知装置2を子局に接続することにより、計測された電流および電圧を用いて配電系統の異常兆候の検知が可能となる。子局は、例えば、変圧器とともに電柱に設置される。
図2に示した例では、学習装置1が親局であるかまたは親局に接続されている。これにより、学習装置1が学習を行った後に、第1学習データ記憶部17および除去波形記憶部16のデータを、異常兆候検知装置2へ送信することができる。なお、第1学習データ記憶部17および除去波形記憶部16のデータを異常兆候検知装置2へ反映させる方法はこの例に限定されず、別の通信網を用いて学習装置1から異常兆候検知装置2へ送信されてもよいし、記録媒体などを介して異常兆候検知装置2がこれらのデータを取得してもよい。
配電系統では、特に山間部においては、配電線またはその他の配電系統における設備に、倒木、樹木の接触、鳥、蛇などの影響によって異常が生じることがある。一方、山間部において作業員が常時配電系統の状態を監視することは難しい。このため、配電系統の状態を遠隔監視し、異常兆候が検知できることが望まれる。図2に示した例では、異常兆候検知装置2が、配電系統の各所を異常兆候の検知を行うことができるため、異常兆候が検知された場合に、作業員が現地を確認することで、異常が発生する前に対処することができる。
以下では、配電系統における異常兆候を検知に適用する例について説明するが、本実施の形態の異常兆候検知システム3は、これに限らず、電力系統の他の設備、各種プラントにおける設備、その他の電気機器においてセンサによって取得された時系列データに関して異常兆候を検知することができ、異常兆候の検知対象の時系列データはどのようなものであってもよい。
上述したように、各子局は、電流および電圧を計測している。以下では、零相電流および零相電圧のうちの少なくとも一方の瞬時値の計測データを時系列データとして用いて異常兆候の検知を行う例を説明する。すなわち、零相電流および零相電圧のうち一方を計測データとして用いて異常兆候の検知を行ってもよいし、零相電流を計測データとして用いた異常兆候の検知と零相電圧を計測データとして用いた異常兆候の検知との両方を行ってもよい。両方を行う場合には、例えば、いずれか一方で異常兆候が検知されたら異常兆候検知と判定する。また、零相電流および零相電圧の計測データは瞬時値として取得されているとする。すなわち、この例では、時系列データを取得するセンサは、零相電流および零相電圧のうち少なくとも一方を計測する。例えば、配電系統における電源周期より十分短いサンプリング周期で計測データが取得されているとする。零相電流および零相電圧のいずれを用いる場合も処理は同様であるため、以下では、零相電流および零相電圧を区別せずに、瞬時値の計測データとして記載する。
図3は、本実施の形態の学習装置1における学習時の処理手順の一例を示すフローチャートである。学習装置1は、瞬時値(正常データ)を取得する(ステップS1)。詳細には、データ取得部11が、正常な期間の瞬時値の計測データを時系列データとして取得し、取得した計測データをデータ記憶部12へ格納する。なお、データ取得部11は、過去にセンサによって取得されて他の装置に格納されている図示しない他の装置から正常であることが判明している期間の瞬時値の計測データを取得してもよいし、実験によって取得された瞬時値の計測データを取得してもよいし、正常であるとわかっている期間であればセンサから瞬時値の計測データを取得してもよい。
次に、学習装置1は、平滑化処理を行う(ステップS2)。詳細には、前処理部13が、データ記憶部12に格納された計測データに対して、例えば、一次遅れフィルタによる平滑化を実施する。一次遅れフィルタのフィルタ係数はどのような値が設定されてもよいが、例えば、前処理部13は、1つ前のサンプリング点と現在のサンプリング点との比率を3:1(75%:25%)に設定して一次遅れフィルタによる平滑化を実施する。
次に、学習装置1は、データを抽出する(ステップS3)。詳細には、前処理部13が、データ記憶部12に格納された計測データに対して、ウィンドウサイズのデータを抽出する。詳細には、前処理部13が、平滑化処理後の計測データをウィンドウサイズごとに区分することで単位区間データを生成する。ウィンドウサイズはどのように設定してもよいが、ここでは、一例として電源周期の1周期分とする。ウィンドウサイズは、これに限らず、例えば、例えば電源周期の2周期分など、他の値に設定されてもよい。
次に、学習装置1は、N周期前差分処理を行う(ステップS4)。詳細には、前処理部13が、ウィンドウサイズのデータである単位区間データごとに、N周期前差分処理を行う。N周期前差分処理は、定められた時間長を1周期とし、正常なデータである正常データの1周期分の各点の値から、1周期前からN周期前までの正常データの周期内の対応する各点の平均値をそれぞれ減じたN周期前差分値を算出する処理である。より具体的には、N周期前差分処理は、現在の単位区間データにおける各点の値から、1つ前の周期からN周期前までの対応する点における値の平均値をそれぞれ減算する処理である。すなわち、N周期前差分処理は、処理対象の単位区間データがk番目の単位区間データであるとし、k番目の単位区間データ内のi番目の点をPk,iとすると、N周期前差分処理後のQk,iを以下の式(1)で表すことができる。
k,i=Pk,i-(Pk-1,i+Pk-2,i+・・・+Pk-N,i)/N …(1)
次に、学習装置1は、第1波形解析(類似波形解析)を行う(ステップS5)。詳細には、第1波形解析部14が、前処理後の単位区間データ間の距離を算出することで外れスコアを算出し、算出した外れスコアの標準偏差σを求める。そして、正常判定しきい値を3σとし、単位区間データから正常判定データとして格納するデータを選択する。ここでは正常判定しきい値を3σとしたが、正常判定しきい値は、例えば、事前評価の結果などによって決定されればよくこの値に限定されない。第1波形解析部14は、選択した正常判定データと正常判定しきい値とを第1学習データ記憶部17に格納する。また、第1波形解析部14は、まれに発生する正常な波形であると判断した単位区間データを識別する識別情報を除去波形抽出部15へ通知する。
次に、学習装置1は、過検知除去用の波形を抽出する(ステップS6)。詳細には、除去波形抽出部15が、第1波形解析部14から通知された識別情報に対応する単位区間データを複数の波形のタイプに分類し、波形のタイプごとに正常と判定するための条件である正常判定条件を決定する。そして、除去波形抽出部15は、対応する単位区間データと正常判定条件とを除去波形記憶部16に格納する。以上の処理により学習が終了する。なお、一度学習が終了した後に、新たに取得された計測データを用いて再学習が行われてもよい。再学習が行われた場合には、学習データ、すなわち第1学習データ記憶部17に格納された情報および除去波形記憶部16に格納された情報は、異常兆候検知装置2に反映される。具体的には、例えば、これらの情報が学習装置1から異常兆候検知装置2へ送信されることで、これらの情報が異常兆候検知装置2に反映される。
図4は、本実施の形態の異常兆候検知装置2における推論時の処理手順の一例を示すフローチャートである。異常兆候検知装置2は、検知対象の瞬時値を取得する(ステップS11)。詳細には、データ取得部21が、推論対象、すなわち異常兆候の検知対象の瞬時値の計測データを取得する。
次に、異常兆候検知装置2は、検知対象の瞬時値に関して、ステップS2~ステップS4と同様の前処理を実施する(ステップS12~ステップS14)。ステップS14の後、異常兆候検知装置2は、第1波形解析(類似波形解析)を実施する(ステップS15)。詳細には、第1波形解析部24が、前処理後の単位区間データと、第1学習データ記憶部27に記憶されている正常波形データのそれぞれとの距離を第1学習データ記憶部27に記憶されている正常判定しきい値と比較することで、前処理後の単位区間データに異常兆候があるか否かを判定し、判定結果を過検知除去部25へ出力する。
異常兆候検知装置2は、第1波形解析の結果、異常兆候が検知された場合(ステップS16 Yes)、過検知除去を実施する(ステップS17)。詳細には、過検知除去部25が、第1波形解析部24から受け取った判定結果が、異常兆候があることを示す判定結果であった場合、前処理部23から受け取った単位区間データと除去波形記憶部26に格納されているタイプ別の波形とを比較することで、当該単位区間データの波形のタイプを判別し、除去波形記憶部26に格納されている正常判定条件のうち判別したタイプに対応する正常判定条件を用いて当該単位区間データが正常であるか否かを判定し、判定結果を検知結果出力部28へ出力する。
次に、異常兆候検知装置2は、検知結果を出力する(ステップS18)。詳細には、検知結果出力部28が、過検知除去部25から受け取った判定結果を検知結果として出力する。ここでは、異常兆候検知装置2が、子局であるかまたは子局に接続されているため、検知結果出力部28は、例えば、学習装置1または学習装置1とは別の親局へ検知結果を送信することで検知結果を出力してもよい。また、異常兆候検知装置2が表示部を有している場合には、検知結果出力部28が表示部によって実現され、検知結果出力部28が検知結果を表示することで検知結果を出力してもよい。学習装置1または学習装置1とは別の親局は、異常兆候検知装置2から検知結果を受信すると、図1では図示を省略した表示部に検知結果を表示する。
異常兆候が検知されなかった場合(ステップS16 No)、異常兆候検知装置2は、過検知除去を実施せずに、処理をステップS18へ進める。なお、上述したように、検知結果は、異常兆候が検知されなかった場合すなわち正常な場合にも出力されてもよいし、異常兆候が検知された場合に出力され異常兆候が検知されない場合に出力されなくてもよい。
なお、上述した例では、過検知除去を行っているが、過検知除去は行われなくてもよい。この場合、除去波形抽出部15、除去波形記憶部16、過検知除去部25、除去波形記憶部26は設けられなくてよい。なお、データ記憶部22に格納されたデータは、例えば一定期間が経過したら削除されてもよいし、一定量に達したら古い順に削除されてもよい。
次に本実施の形態の効果について説明する。本実施の形態では、前処理部13が、平滑化処理とN周期前差分処理を実施している。図5は、本実施の形態の前処理を説明するための図である。図5に示すように、瞬時値の計測データである生データには、様々なノイズが含まれているため高周波数成分が多い波形となっている。このため、このまま類似波形解析である第1波形解析を行うと、誤差が大きくなり異常兆候の誤検出が発生しやすくなる。本実施の形態では、平滑化処理を行うことで、図5の中段に示したように、ノイズの影響が低減された波形を得ることができ、異常兆候の検知精度を高めることができる。また、図5の下段に示すように、N周期前差分処理を行うと電源周期に依存した大きな変化の成分が除去されるため、生データに比べて実質的な変化の様子を検出しやすくなる。
図6は、本実施の形態の前処理の効果の一例を模式的に示す図である。図6では、本実施の形態の異常兆候検知装置2に検知対象の計測データとして、正常な場合に対応する生データ、および異常兆候が表れている場合に対応する生データをそれぞれ入力した場合に得られる結果を模式的に示している。左側に正常な場合に対応する生データ、前処理(平滑化処理およびN周期前差分処理)後のデータおよび外れスコアを示し、右側に異常兆候が表れている場合(図では異常と記載)に対応する生データ、前処理(平滑化処理およびN周期前差分処理)後のデータおよび外れスコアを示している。図6において、しきい値201は、第1波形解析によって得られる正常判定しきい値である。図6に示すように、正常な場合には、外れスコアがしきい値201以下となり、異常兆候が表れている場合には、外れスコアがしきい値201を上回ることがわかる。本実施の形態の前処理を行うことで、生データにおけるベースとなる変化の成分の影響が抑制され、実質的な変化の様子が検出しやすくなり、外れスコアを正常判定しきい値と比較することによる異常兆候の検知精度を高めることができる。なお、図6は模式図であるが、同様の実データを用いた解析を行うことで、外れスコアを正常判定しきい値と比較することにより、異常兆候の検知精度を高めることができることが確認されている。
また、本実施の形態では、前処理として平滑化処理とN周期前差分処理との両方を行う例を説明したが、平滑化処理は行わなくてもよい。この場合も、N周期前差分処理を行わない場合に比べて、異常兆候の検知精度を高めることができる。このように、前処理部13はN周期前差分処理を行い、第1波形解析部14は、N周期前差分値を用いて、類似波形解析によって、正常波形と正常であるか否かの判定に用いられる正常判定しきい値とを学習済データとして生成すればよく、N周期前差分処理の前の平滑化処理は行われてもよいし行われてなくてもよい。
次に、本実施の形態の学習装置1のハードウェア構成について説明する。本実施の形態の学習装置1は、コンピュータシステム上で、学習装置1における処理が記述されたコンピュータプログラムであるプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムが学習装置1として機能する。図7は、本実施の形態の学習装置1を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。図7に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
図7において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、本実施の形態の学習装置1における処理が記述されたプログラムを実行する。なお、制御部101の一部が、GPU(Graphics Processing Unit),FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用ハードウェアにより実現されてもよい。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムの使用者が、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、ディスプレイ、LCD(液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムの使用者に対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部106は、プリンタ、スピーカなどである。なお、図7は、一例であり、コンピュータシステムの構成は図7の例に限定されない。
ここで、本実施の形態のプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、コンピュータプログラムが記憶部103にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部103から読み出されたプログラムが記憶部103の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムに従って、本実施の形態の学習装置1としての処理を実行する。
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、学習装置1における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
本実施の形態のプログラムは、例えば、異常兆候の検知に用いられる学習済データを生成するコンピュータシステムに、正常なデータである正常データの1周期分の各点の値から、1周期前からN周期前までの正常データの周期内の対応する各点の平均値をそれぞれ減じたN周期前差分値を算出するステップと、N周期前差分値を用いて、類似波形解析によって、正常波形と正常であるか否かの判定に用いられる正常判定しきい値とを学習済データとして生成するステップと、を実行させる。
図1に示した前処理部13、第1波形解析部14および除去波形抽出部15は、図7に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図7に示した制御部101により実行されることにより実現される。図1に示した前処理部13、第1波形解析部14および除去波形抽出部15の実現には、図7に示した記憶部103も用いられる。図1に示したデータ記憶部12、除去波形記憶部16および第1学習データ記憶部17は、図7に示した記憶部103の一部である。図1に示したデータ取得部11は、図7に示した通信部105および制御部101により実現される。また、学習装置1は複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、学習装置1は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
異常兆候検知装置2も、学習装置1と同様に図7に示したコンピュータシステムにより実現される。図1に示した前処理部23、第1波形解析部24および過検知除去部25は、図7に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図7に示した制御部101により実行されることにより実現される。図1に示した前処理部23、第1波形解析部24および過検知除去部25の実現には、図7に示した記憶部103も用いられる。図1に示したデータ記憶部22、除去波形記憶部26および第1学習データ記憶部27は、図7に示した記憶部103の一部である。図1に示したデータ取得部21は、図7に示した通信部105および制御部101により実現される。また、検知結果出力部28は、通信部105または表示部104により実現される。なお、異常兆候検知装置2を実現するコンピュータシステムが上述した子局である場合、図7に示したコンピュータシステムより簡易なものであってもよい。例えば、図7に示したコンピュータシステムから表示部104および出力部106が除かれたものであってもよい。
以上のように、本実施の形態の異常兆候検知システム3は、正常波形を学習する類似波形解析により異常兆候を検知し、学習における前処理として、N周期前差分処理を行うようにした。これにより、異常兆候の検知精度を向上させることができる。また、前処理においてさらに平滑化処理を行うことにより、さらに異常兆候の検知精度を向上させることができる。
実施の形態2.
図8は、実施の形態2にかかる異常兆候検知システムの構成例を示す図である。本実施の形態の異常兆候検知システム3aは、学習装置1aと、異常兆候検知装置2aと、を備える。本実施の形態の学習装置1aは、前処理部13、除去波形抽出部15および除去波形記憶部16の代わりに、前処理部13a、分類部18、位相合わせ部19、第2波形解析部41および第2学習データ記憶部42を備える以外は、実施の形態1の学習装置1と同様である。本実施の形態の異常兆候検知装置2aは、前処理部23、過検知除去部25および除去波形記憶部26の代わりに、前処理部23a、分類部29、位相合わせ部30、第2波形解析部31および第2学習データ記憶部32を備える以外は、実施の形態1の異常兆候検知装置2と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素には実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下実施の形態1と異なる点を主に説明する。
実施の形態1で述べたように、第1波形解析部14は、類似波形解析により正常波形を学習する。本実施の形態では、さらに、異常兆候のあるデータである異常兆候データを用いて、類似波形解析によって、異常兆候波形データと異常兆候があるか否かの判定に用いられる異常兆候判定しきい値とを生成する第2波形解析部41を備える。異常兆候波形および異常兆候判定しきい値も、異常兆候の検知に用いられる学習済データである。異常兆候波形は、異常兆候が表れている波形である。本実施の形態では、除去波形抽出部15によって決定される判定条件を用いたタイプ別フィルタ処理の代わりに、第1波形解析部14による判定により異常兆候が検知された場合に、異常兆候波形の学習結果を用いた異常兆候の検知を行う。以下では、実施の形態1と同様に、配電系統において計測される零相電流および零相電圧のうちの少なくとも一方の瞬時値の計測データを時系列データとして用いる例を説明するが、実施の形態1と同様に、本実施の形態の構成および動作は、他の時系列データにも適用できる。
次に、本実施の形態の動作について説明する。まず、学習時の動作について説明する。本実施の形態においても、学習装置1aは、類似波形解析により正常波形を学習する。すなわち、図3に示したステップS1~ステップS5の処理を実施する。なお、本実施の形態においても、実施の形態1で述べた除去波形抽出部15および除去波形記憶部16を設けて、ステップS6が行われてもよい。
図9は、本実施の形態における類似波形解析による異常兆候波形の学習の処理手順の一例を示すフローチャートである。図9に示すように、学習装置1aは、瞬時値(異常兆候データ)を取得する(ステップS21)。詳細には、データ取得部11は、例えば、異常兆候が生じていると判明している波形の瞬時値の計測データを異常兆候データとして図示しない他の装置から取得する。異常兆候データとしては、短い区間(例えば単位区間)のデータが複数入力される。
次に、学習装置1aは、実施の形態1と同様に平滑化処理を行い(ステップS2)、平滑化処理後のデータが分類部18に入力される。次に、学習装置1aは、波形分類を行う(ステップS22)。詳細には、分類部18が、平滑化処理後のデータを距離に応じて分類し、分類されたデータを位相合わせ部19へ出力する。分類部18における分類方法は、どのような方法を用いてもよいが、例えば、K-Shape法により分類する。なお、この波形分類は、類似度が低い(距離が離れた)ものを分類することで、異常兆候の波形の精度を向上させるためのものであるため、類似度の高い波形を検出することができればよく波形分類は行われなくてもよい。
次に、学習装置1aは、位相合わせを行う(ステップS23)。詳細には、位相合わせ部19が分類部18から入力された複数のデータの位相を合わせる処理を行う。正常波形を学習する場合には、一般に、入力データとして正常な期間の連続した時系列データが入力されるが、異常兆候が生じている波形である異常兆候波形を学習する場合には、一般には短い区間の連続しないデータが入力される。このため、複数のデータ間で電源周期における位相を合わせるための位相合わせが行われる。位相合わせは、オペレータが各波形の形状を確認しながらオフセットさせる量を指定することで行われてもよいし、他の方法で行われてもよい。なお、位相が揃ったデータが入力される場合などには、位相合わせは行われなくてもよい。なお、位相合わせおよび第2波形解析は分類部18によって分類されたグループごとに行われてもよい。この場合、グループごとに異常兆候判定しきい値が設定されてもよい。
次に、学習装置1aは、第2波形解析(類似波形解析)を行う(ステップS24)。詳細には、第2波形解析部41が、位相合わせ部19から入力されたデータを用いて、外れスコアを算出し、算出した外れスコアを用いて異常兆候があるか否かの判定に用いられる異常兆候判定しきい値を決定する。入力されるデータが異なるが、類似波形解析自体の処理は実施の形態1の第1波形解析部14の処理と同様である。異常兆候判定しきい値は、例えば、実施の形態1と同様に3σに設定されるがこれに限定されない。第2波形解析部41は、異常兆候波形データと異常兆候判定しきい値とを第2学習データ記憶部42に格納する。異常兆候検知装置2aの第2学習データ記憶部32には、学習装置1aの第2学習データ記憶部42に格納された情報が記憶される。第2学習データ記憶部32への第2学習データ記憶部42の情報の反映方法は、実施の形態1の第1学習データ記憶部17の情報の第1学習データ記憶部27への反映方法と同様である。
図10は、本実施の形態の異常兆候検知装置2aにおける推論時の処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS11~ステップS16は実施の形態1と同様である。ただし、前処理部23aは、ステップS12の後平滑化処理後(N周期前差分処理の前)のデータを分類部29に出力する。また第1波形解析部24は、判定結果を分類部29へ出力する。ステップS16でYesと判定された場合、異常兆候検知装置2aは、波形分類を行う(ステップS31)。詳細には、分類部29が、第1波形解析部24によって異常兆候があると判定されたデータを、第2学習データ記憶部32に記憶されている各グループの異常兆候波形データとの距離に基づいて検知対象のデータを分類する。
次に、異常兆候検知装置2aは、位相合わせを行う(ステップS32)。詳細には、位相合わせ部30が、検知対象のデータの位相を、対応するグループの異常兆候波形データに合わせる処理を行う。次に、異常兆候検知装置2aは、第2波形解析(類似波形解析)を行う(ステップS33)。詳細には、第2波形解析部31が、位相合わせ後のデータと第2学習データ記憶部32に記憶されている各グループの異常兆候波形データとを用いて外れスコアを算出し、外れスコアが異常兆候判定しきい値以下である場合に、異常兆候があると判定し、外れスコアが異常兆候判定しきい値を超える場合に、異常兆候がないと判定する。第2波形解析部31は、判定結果を検知結果出力部28へ出力する。ステップS33の後のステップS18は実施の形態1と同様である。ステップS16でNoと判定された場合には、分類部29が第1波形解析部24の判定結果を検知結果出力部28へ出力する。なお、上述したように、学習時に実施の形態1のステップS6で述べた処理が行われている場合には、ステップS31の前に、実施の形態1と同様にタイプ別フィルタ処理が行われ、タイプ別フィルタ処理で正常であると判定された場合にステップS31が実行されてもよい。
以上のように、第2波形解析部31は、第1波形解析部24によって異常兆候があると判定された場合に、検知対象データと異常兆候波形と異常兆候判定しきい値とを用いて、異常兆候があるか否かを判定する。実施の形態1では、タイプ別フィルタ処理により、過検知を除去したが、本実施の形態では、第2波形解析部31が異常兆候波形の学習結果を用いた類似波形解析を行うことで過検知を除去する。タイプ別フィルタ処理は、例えばたまにしか動かない装置による挙動を特別に記憶しておき、その挙動による検知されたものを正常であると判定して除去するものであるが、第2波形解析部31による類似波形解析は、過去の異常兆候データと類似しているものだけを通過させそれ以外を除去するものである。すなわち、第2波形解析部31による類似波形解析は、事故時に特定の波形が出現する場合に、説明性(周知の物理法則、事故に至った実績有りなど)がある波形を異常兆候波形として学習させ、その波形と類似した波形を異常兆候波形として通過させる。したがって、第2波形解析部31による類似波形解析はタイプ別フィルタ処理を用いる場合に比べて、異常兆候として検出された波形の説明性を高めることができる。
なお、上述した例では、第1波形解析で異常兆候が検知された場合に、第2波形解析を実施するようにしたが、第1波形解析と第2波形解析とを並行して実施し、両方の解析の結果を用いて、異常兆候を検知してもよい。例えば、第1波形解析と第2波形解析とのいずれか一方で異常兆候があると検知された場合に、最終の検知結果を異常兆候があるとし、第1波形解析と第2波形解析との両方で正常と判定された場合に、最終結果を正常としてもよい。
以上述べた以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様である。本実施の形態の学習装置1aも実施の形態1の学習装置1と同様に、例えば、図7に示したコンピュータシステムにより実現される。図8に示した前処理部13a、分類部18、位相合わせ部19、第2波形解析部41は、図7に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図7に示した制御部101により実行されることにより実現される。図8に示した第2学習データ記憶部42は、図7に示した記憶部103の一部である。異常兆候検知装置2aも、同様に、例えば図7に示したコンピュータシステムにより実現される。図8に示した前処理部23a、分類部29、位相合わせ部30、第2波形解析部31は、図7に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図7に示した制御部101により実行されることにより実現される。図8に示した第2学習データ記憶部32は、図7に示した記憶部103の一部である。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、正常波形を学習する類似波形解析により異常兆候を検知し、学習における前処理として、N周期前差分処理を行うようにした。これにより、異常兆候の検知精度を向上させることができる。
実施の形態3.
図11は、実施の形態3にかかる異常兆候検知システムの構成例を示す図である。本実施の形態の異常兆候検知システム3bは、学習装置1bと、異常兆候検知装置2bと、を備える。本実施の形態の学習装置1bは、データ取得部11、除去波形抽出部15および除去波形記憶部16の代わりに、データ取得部11a、差分解析部43および第3学習データ記憶部44を備える以外は、実施の形態1の学習装置1と同様である。本実施の形態の異常兆候検知装置2bは、データ取得部21、過検知除去部25および除去波形記憶部26の代わりに、データ取得部21a、差分解析部33および第3学習データ記憶部34を備える以外は、実施の形態1の異常兆候検知装置2と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素には実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下実施の形態1と異なる点を主に説明する。
本実施の形態では、実施の形態1と同様に、配電系統において計測される零相電流および零相電圧のうちの少なくとも一方である計測対象の瞬時値の計測データを時系列データとして用いる例を説明する。さらに、本実施の形態では、瞬時値だけでなく実効値についても計測データが取得される。例えば、実施の形態1の図2の異常兆候検知装置2と同様に、異常兆候検知装置2bが、開閉器4を制御する子局であり、多数の異常兆候検知装置2bが用いられる場合、コストを抑制するために異常兆候検知装置2bのハードウェアの処理能力に制約が生じることが考えられる。瞬時値は、例えば、1波形あたり100点のサンプリングが行われるとすると、配電系統における電源周期が60Hzである場合、1秒あたり6000点のデータとなる。このようなデータを用いて常時リアルタイムに異常兆候を検知するためには異常兆候検知装置2bには処理負荷がかかり、ハードウェアの処理能力の制約があると処理が難しい場合も考えられる。一方、配電系統の電圧および電流は一般には、実効値についても計測データとして取得されており、実効値は、1周期あたり1つのデータとなるため、データの点数が瞬時値に比べて少なくなる。
なお、本実施の形態の動作は、検知対象の計測データが配電系統において計測される零相電流および零相電圧のうちの少なくとも一方である場合に限らず、検知対象の計測データが周期性のある電流および電圧のうち少なくとも一方であれば適用でき、周期は電源周波数に限定されない。
そこで、本実施の形態では、実効値を用いた異常兆候の検知を常時行い、実効値を用いた異常兆候の検知により異常兆候が検知された場合に、検知された時刻の周辺の瞬時値を用いた異常兆候の検知を行う。これにより、異常兆候検知装置2bにおける処理負荷を軽減しつつ、瞬時値を用いた波形の詳細な解析も行うことで異常兆候の検知精度を向上させることができる。
次に、本実施の形態の動作について説明する。まず、学習時の動作について説明する。本実施の形態においても、学習装置1bは、類似波形解析により正常波形を学習する。すなわち、図3に示したステップS1~ステップS5の処理を実施する。なお、本実施の形態においても、実施の形態1で述べた除去波形抽出部15および除去波形記憶部16を設けて、ステップS6が行われてもよい。
本実施の形態では、さらに、実効値を用いた学習が行われる。図12は、本実施の形態の実効値を用いた学習の処理手順の一例を示すフローチャートである。図12に示すように、学習装置1bは、実効値(正常データ)を取得する(ステップS41)。詳細には、データ取得部11aが、計測対象の実効値の計測データ、すなわち正常な期間における実効値の計測データを取得しデータ記憶部12に格納する。
学習装置1bは、1階差分値解析を実施する(ステップS42)。詳細には、差分解析部43が、実効値の計測データの1つ前のデータとの差分である1階差分値を求める。そして、複数の1階差分値を用いて標準偏差を求め、標準偏差を用いて正常であるか否かを判定するためのしきい値を決定する。このしきい値も、異常兆候の検知に用いられる学習済データである。例えば、差分解析部43は、6σをしきい値とする。ここではしきい値を6σとしたが、しきい値は、例えば、事前評価の結果などによって決定されればよくこの値に限定されない。差分解析部43は、算出したしきい値を第3学習データ記憶部44に格納する。異常兆候検知装置2bの第3学習データ記憶部34には、学習装置1bの第3学習データ記憶部44に格納された情報が記憶される。第3学習データ記憶部34への第3学習データ記憶部44の情報の反映方法は、実施の形態1の第1学習データ記憶部17の情報の第1学習データ記憶部27への反映方法と同様である。
図13は、本実施の形態の異常兆候検知装置2bにおける推論時の処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、異常兆候検知装置2bは、検知対象の実効値を取得する(ステップS51)。詳細には、データ取得部21aが、検知対象の実効値を取得しデータ記憶部22に格納する。なお、このとき、データ取得部21aは、瞬時値についても取得してデータ記憶部22に格納する。
次に、異常兆候検知装置2bは、1階差分値解析を実施する(ステップS52)。詳細には、差分解析部33が、データ記憶部22に格納されている実効値を用いて1階差分値を算出し、1階差分値と第3学習データ記憶部44に格納されているしきい値とを比較する。
異常兆候が検知された場合(ステップS53 Yes)、すなわち1階差分値がしきい値を超えた場合、実施の形態1と同様のステップS12~ステップS15が実施される。ステップS15の判定結果が第1波形解析部24から検知結果出力部28に通知され、ステップS18が行われる。詳細には、異常兆候が検知された後、2秒間など一定期間における瞬時値が用いられてステップS12~ステップS15が実施される。なお、上述したように、学習時に実施の形態1のステップS6で述べた処理が行われている場合には、ステップS15の後に、実施の形態1と同様にステップS16,S17が行われてもよい。
異常兆候が検知されない場合(ステップS53 No)、すなわち正常な場合、ステップS18の処理が実施される。なお、実施の形態1と同様に、正常と判定された場合には、検知結果の出力は行われてなくてもよい。
以上のように、本実施の形態では、差分解析部33は、計測対象の検知対象の実効値の計測データの1階差分値を算出し、算出した1階差分値としきい値とを用いて、異常兆候があるか否かを判定し、第1波形解析部24は、差分解析部33によって異常兆候があると判定された場合に、N周期前差分値と正常波形と正常判定しきい値とを用いて、類似波形解析によって、異常兆候があるか否かを判定する。
なお、異常兆候検知装置2bの処理能力に制約がない場合には、第1波形解析と1階差分値解析とを並行して実施し、両方の解析の結果を用いて、異常兆候を検知してもよい。例えば、第1波形解析と1階差分値解析のいずれか一方で異常兆候があると検知された場合に、最終の検知結果を異常兆候があるとし、第1波形解析と第2波形解析との両方で正常と判定された場合に、最終結果を正常としてもよい。
本実施の形態の学習装置1bも実施の形態1の学習装置1と同様に、例えば、図7に示したコンピュータシステムにより実現される。図11に示した差分解析部43は、図7に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図7に示した制御部101により実行されることにより実現される。図11に示した第3学習データ記憶部44は、図7に示した記憶部103の一部である。図11に示したデータ取得部11aは、図7に示した通信部105および制御部101により実現される。異常兆候検知装置2bも、同様に、例えば図7に示したコンピュータシステムにより実現される。図11に示した差分解析部33は、図7に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図7に示した制御部101により実行されることにより実現される。図11に示した第3学習データ記憶部34は、図7に示した記憶部103の一部である。図11に示したデータ取得部21aは、図7に示した通信部105および制御部101により実現される。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、正常波形を学習する類似波形解析により異常兆候を検知し、学習における前処理として、N周期前差分処理を行うようにした。これにより、異常兆候の検知精度を向上させることができる。また、本実施の形態では、実効値を用いた異常兆候の検知と組み合わせ、実効値を用いた異常兆候の検知で異常兆候があると判定された場合に、瞬時値を用いた異常兆候の検知を行うため、常時瞬時値を用いた異常兆候の検知を行う場合に比べて、異常兆候検知装置2bの処理負荷を軽減することができる。
実施の形態4.
図14は、実施の形態4にかかる異常兆候検知システムの構成例を示す図である。本実施の形態の異常兆候検知システム3cは、学習装置1cと、異常兆候検知装置2cと、を備える。本実施の形態の学習装置1cは、実施の形態3のデータ取得部11a、前処理部13、第1波形解析部14および第1学習データ記憶部17の代わりに、データ取得部11b、前処理部13b、分類部18、位相合わせ部19、第2波形解析部41および第2学習データ記憶部42を備える以外は、実施の形態3の学習装置1bと同様である。本実施の形態の異常兆候検知装置2cは、実施の形態3のデータ取得部21a、前処理部23、第1波形解析部24および第1学習データ記憶部27の代わりに、データ取得部21b、前処理部23b、分類部29、位相合わせ部30、第2波形解析部31および第2学習データ記憶部32を備える以外は、実施の形態3の異常兆候検知装置2bと同様である。
分類部18、位相合わせ部19、第2波形解析部41、第2学習データ記憶部42、分類部29、位相合わせ部30、第2波形解析部31および第2学習データ記憶部32は、実施の形態2で述べた分類部18、位相合わせ部19、第2波形解析部41、第2学習データ記憶部42、分類部29、位相合わせ部30、第2波形解析部31および第2学習データ記憶部32とそれぞれ同様である。実施の形態2,3と同様の機能を有する構成要素には実施の形態2,3と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下実施の形態2,3と異なる点を主に説明する。
本実施の形態では、実施の形態3で述べた実効値を用いた異常兆候の検知と、実施の形態2で述べた異常兆候波形の学習による異常兆候の検知とを組み合わせる。本実施の形態では、前処理部13bは、N周期前差分処理は行わず、前処理として平滑化処理を行い、前処理後のデータを第2波形解析部41へ出力する。本実施の形態の学習装置1cにおける学習では、実施の形態2の図9に示した処理と実施の形態3の図12に示した処理とがそれぞれ行われる。すなわち、本実施の形態の学習装置1cは、正常なデータである正常データを用いた正常波形学習と、異常兆候のあるデータである異常兆候データを用いた異常兆候波形学習とを行うことにより、学習済データを生成する。本実施の形態では、正常波形学習は、差分解析部43における処理であり、異常兆候波形学習は、異常兆候波形解析部である第2波形解析部41の処理である。
図15は、本実施の形態の異常兆候検知装置2cにおける推論時の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、前処理部23bは、N周期前差分処理は行わず、前処理として平滑化処理を行い、前処理後のデータを第2波形解析部31へ出力する。ステップS51~ステップS53は、実施の形態3と同様である。ステップS53でYesの場合、実施の形態2と同様に、ステップS31~ステップS33,S18が行われる。
本実施の形態の学習装置1c、異常兆候検知装置2cも、実施の形態1の学習装置1、異常兆候検知装置2と同様に、例えば、図7に示したコンピュータシステムにより実現される。
以上述べたように、本実施の形態においては、正常な波形を1階差分値解析により学習し、異常兆候波形を類似波形解析により学習している。すなわち、正常な波形の学習と異常兆候波形の学習とを組み合わせて異常兆候の検知を行っている。これにより、異常兆候の検知精度を高めることができる。
実施の形態5.
図16は、実施の形態5にかかる異常兆候検知システムの構成例を示す図である。本実施の形態の異常兆候検知システム3dは、学習装置1dと、異常兆候検知装置2dと、を備える。本実施の形態の学習装置1dは、実施の形態2の前処理部13および第1波形解析部14の代わりに、前処理部13bおよび第1波形解析部14aを備える以外は、実施の形態2の学習装置1aと同様である。本実施の形態の異常兆候検知装置2dは、第1波形解析部24および第1学習データ記憶部27を削除し、前処理部23の代わりに前処理部23bを備える以外は、実施の形態2の異常兆候検知装置2aと同様である。前処理部13bおよび前処理部23bは実施の形態4と同様である。実施の形態2,4と同様の機能を有する構成要素には実施の形態2,4と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態2,4と異なる点を主に説明する。
本実施の形態では、実施の形態2で述べた異常兆候波形を学習する類似波形解析によって学習することで、異常兆候を検知するが、異常兆候波形を学習する際に、異常兆候波形の選択に、正常波形の類似波形解析の判定結果を用いる。
本実施の形態の第1波形解析部14aは、実施の形態1の第1波形解析部14としての機能と実施の形態1の第1波形解析部24としての機能との両方を有する。第1波形解析部14aは、データ記憶部12に格納された正常データを用いて実施の形態1の第1波形解析部14と同様に、第1波形解析を行うことで第1学習データ記憶部17に正常波形データと正常判定しきい値とを格納する。この学習結果を用いて、異常兆候波形を学習する類似波形解析が行われる。
図17は、本実施の形態の異常兆候波形を学習する類似波形解析の処理手順の一例を示すフローチャートである。図17に示すように、学習装置1dは、異常兆候波形の抽出対象の瞬時値を取得する(ステップS61)。詳細には、データ取得部11が、異常兆候波形の抽出対象となる瞬時値の計測データを取得し、計測データをデータ記憶部22に格納する。なお、計測データは異常兆候波形が含まれると想定される期間の計測データであるが、異常兆候波形が含まれると想定される期間が判明していない場合には、任意の計測データが入力されてもよい。
次に、学習装置1dは、平滑化処理を行う(ステップS62)。詳細には、前処理部13bがデータ記憶部22に格納された計測データに対して平滑化処理を実施し、処理後のデータを第1波形解析部14aへ出力する。
次に、学習装置1dは、第1波形解析(類似波形解析)を行う(ステップS63)。詳細には、第1波形解析部14aが、平滑化処理後の計測データを単位区間データに区分し、単位区間データごとに、第1学習データ記憶部17に記憶されている正常波形データのそれぞれとの距離を第1学習データ記憶部17に記憶されている正常判定しきい値と比較することで、単位区間データに異常兆候があるか否かを判定する。
次に、学習装置1dは、異常兆候波形候補を抽出する(ステップS64)。詳細には、第1波形解析部14aは、異常兆候があると判定した単位区間データを異常兆候波形候補として抽出し、分類部18へ出力する。その後は、実施の形態2と同様に、ステップS22~ステップS24が行われる。
本実施の形態の異常兆候検知装置2dは、実施の形態2で述べたステップS12、ステップS31~ステップS33,S18を実施する。以上のように、第1波形解析部14aは、正常なデータである正常データを用いて、類似波形解析によって、正常波形と正常であると判定するための正常判定しきい値とを正常学習データとして生成し、異常兆候のある波形を含むデータである検知対象データと正常学習データとを用いて検知対象データから異常兆候のあるデータの候補となる候補データを抽出する。そして、第2波形解析部41は、候補データを用いて、類似波形解析によって、異常兆候波形と異常兆候があるか否かの判定に用いられる異常兆候判定しきい値とを学習済データとして生成する。このように、本実施の形態の学習装置1dは、正常なデータである正常データを用いた正常波形学習と、異常兆候のあるデータである異常兆候データを用いた異常兆候波形学習とを行うことにより学習済データを生成する。正常波形学習は、正常波形解析部である第1波形解析部14aによる処理であり、異常兆候波形学習は、異常兆候波形解析部である第2波形解析部41の処理である。
本実施の形態の学習装置1d、異常兆候検知装置2dも、実施の形態1の学習装置1、異常兆候検知装置2と同様に、例えば、図7に示したコンピュータシステムにより実現される。
以上のように、本実施の形態では、正常波形の類似波形解析による異常兆候の検知結果を用いて、異常兆候波形の候補を決定し、決定した候補を用いて異常兆候波形の類似波形解析の学習を実施する。このように、本実施の形態においても正常な波形の学習と、異常兆候波形の学習とを組み合わせている。これにより、異常兆候の検知精度を高めることができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1,1a,1b,1c,1d 学習装置、2,2a,2b,2c,2d 異常兆候検知装置、3,3a,3b,3c,3d 異常兆候検知システム、4 開閉器、11,11a,11b,21,21a,21b データ取得部、12,22 データ記憶部、13,13a,13b,23,23a,23b 前処理部、14,14a,24 第1波形解析部、15 除去波形抽出部、16,26 除去波形記憶部、17,27 第1学習データ記憶部、18,29 分類部、19 位相合わせ部、25 過検知除去部、28 検知結果出力部、31,41 第2波形解析部、32,42 第2学習データ記憶部、33,43 差分解析部、34,44 第3学習データ記憶部。

Claims (9)

  1. 異常兆候の検知に用いられる学習済データを生成する学習装置であって、
    正常なデータである正常データを用いた正常波形学習と、異常兆候のあるデータである異常兆候データを用いた異常兆候波形学習とを行うことにより、前記学習済データを生成することを特徴とする学習装置。
  2. 前記正常波形学習を行う差分解析部と、
    前記異常兆候波形学習を行う異常兆候波形解析部と、
    を備え、
    前記差分解析部は、電圧および電流のうち少なくとも一方である計測対象の実効値の計測データの1階差分値を算出し、算出した1階差分値を用いて正常であると判定するためのしきい値を前記学習済データとして生成し、
    前記異常兆候波形解析部は、前記計測対象の異常兆候のある瞬時値の計測データである異常兆候データを用いて、類似波形解析によって、異常兆候波形と異常兆候があるか否かの判定に用いられる異常兆候判定しきい値とを前記学習済データとして生成することを特徴とする請求項1に記載の学習装置。
  3. 前記正常波形学習を行う正常波形解析部と、
    前記異常兆候波形学習を行う異常兆候波形解析部と、
    を備え、
    前記正常波形解析部は、正常なデータである正常データを用いて、類似波形解析によって、正常波形と正常であると判定するための正常判定しきい値とを正常学習データとして生成し、異常兆候のある波形を含むデータである検知対象データと前記正常学習データとを用いて前記検知対象データから異常兆候のあるデータの候補となる候補データを抽出し、
    前記異常兆候波形解析部は、前記候補データを用いて、類似波形解析によって、異常兆候波形と異常兆候があるか否かの判定に用いられる異常兆候判定しきい値とを前記学習済データとして生成することを特徴とする請求項1に記載の学習装置。
  4. 配電系統を区分する開閉器を制御する子局において計測される前記配電系統の零相電圧および零相電流のうちの少なくとも一方の計測データに対して前記学習済データを用いた前記異常兆候の検知が行われることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の学習装置。
  5. 学習済データを用いて異常兆候の検知を行う異常兆候検知装置であって、
    電圧および電流のうち少なくとも一方である計測対象の実効値の計測データの1階差分値を算出し、算出した1階差分値としきい値とを用いて、異常兆候があるか否かを判定する差分解析部と、
    前記差分解析部によって異常兆候があると判定された場合に、前記計測対象の瞬時値の計測データと異常兆候波形と異常兆候判定しきい値とを用いて、異常兆候があるか否かを判定する異常兆候波形解析部と、
    を備え、
    前記しきい値は、正常な前記計測対象の実効値の計測データの1階差分値を用いて算出された前記学習済データであり、
    前記異常兆候波形および前記異常兆候判定しきい値は、異常兆候のある前記計測対象の瞬時値の計測データである異常兆候データを用いて類似波形解析によって生成された前記学習済データであることを特徴とする異常兆候検知装置。
  6. 配電系統を区分する開閉器を制御する子局であり、前記配電系統の零相電圧および零相電流のうちの少なくとも一方の計測データに対して前記学習済データを用いた前記異常兆候の検知を行うことを特徴とする請求項5に記載の異常兆候検知装置。
  7. 異常兆候の検知に用いられる学習済データを生成する学習装置と、
    前記学習済データを用いて異常兆候を検知する異常兆候検知装置と、
    を備え、
    前記学習装置は、正常なデータである正常データを用いた正常波形学習と、異常兆候のあるデータである異常兆候データを用いた異常兆候波形学習とを行うことにより、前記学習済データを生成することを特徴とする異常兆候検知システム。
  8. 異常兆候の検知に用いられる学習済データを生成する学習装置における学習方法であって、
    正常なデータである正常データを用いた正常波形学習を行うステップと、
    異常兆候のあるデータである異常兆候データを用いた異常兆候波形学習を行うステップと、を含み、
    前記学習済データは、前記正常波形学習および前記異常兆候波形学習によって生成されることを特徴とする学習方法。
  9. 異常兆候の検知に用いられる学習済データを生成するコンピュータシステムに、
    正常なデータである正常データを用いた正常波形学習を行うステップと、
    異常兆候のあるデータである異常兆候データを用いた異常兆候波形学習を行うステップと、
    を実行させ、
    前記学習済データは、前記正常波形学習および前記異常兆候波形学習によって生成されることを特徴とするプログラム。
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