JP2023107694A - 消化管吻合部補強材 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性や強度などの課題を解決し、臨床ニーズに応えることのできる消化管吻合用の補強材を提供する。【解決手段】消化管を吻合した箇所に、外部から全周にわたって巻き付けて、その外側から生理的塩類溶液を加えることにより貼り付けるシート状の消化管吻合部補強材であって、生体分解性及び連通多孔構造を有する基材シートと、この上に固定されて形成された接着剤樹脂層とから形成され、この接着剤樹脂層は、アルデヒド化グリカンからなる第1反応剤と、部分カルボキシル化ポリリジンからなる第2反応剤とから形成されており、第1反応剤の粉末に由来する粒状構造と、第2反応剤に由来し、シート状組織接着補強材の全面にわたって、この粒状構造を、相互に連結するとともに、各粒状構造を基材シートに固定している連結層とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、消化管の吻合(ふんごう)部を補強することができるシート状の補強材に関する。特には、消化管がんなどの治療などのために腸管の外科的切除を行った後、腸管を吻合した箇所に、外部から巻き付けられて腸管の外膜または漿膜に接着される補強材に関する。
消化管がんに対する治療において、外科的切除は、根治を期待しうる重要な治療である。縫合不全は、切除・再建を要する手術における最も重大な術後合併症であり、未だ有効な解決法のないアンメットメディカルニーズとして存在している。
縫合不全とは、吻合した腸管が癒合せずに破綻し、腸管内容物が腹腔内に漏れる状況である。直腸がんにおける具体例を挙げると、国内のデータではその縫合不全発生率は10.2%と高率である(Matsubara et al. Dis Colon Rectum 2014)。
縫合不全は吻合部の組織修復が不完全であった場合に発生するため、同部を生体親和性材料で被覆・補強することにより、縫合不全を回避できる可能性がある。近年、多種のマテリアルの研究開発が行われている。大腸外科領域における吻合部補強剤の臨床応用としては、(1)フィブリン糊と、(2)ヒアルロン酸ナトリウム/カルボキシメチルセルロースの報告がある。
(1)フィブリン糊は、シーラント剤として90%以上の市場占有率を有しているが、血液凝固メカニズムを利用しているため、過去の使用例において、薬害肝炎発生の原因として非常に大きな社会的問題となっている。また、使用法においては用時調製が必要であり、調製に手間がかかるという欠点が挙げられる。国外では直腸がん手術における縫合不全発生率の低下を目的として、第III相試験が実施されたが、その有効性は証明されなかった(Huh JW et al. Am J Surg 2010)。
(2)ヒアルロン酸ナトリウム/カルボキシメチルセルロースは、国外でランダム化比較試験が実施されたが、同製剤使用群において、縫合不全や骨盤内膿瘍などの吻合部関連合併症の発生率が有意に高かったと報告されており、吻合部を補強する目的としての使用は禁忌とされている(Beck et al. Dis Colon Rectum 2003)。同製剤は破壊強度が低く、接着力が低いためと考えられている。
このように、既存製品は安全性や強度、その他機能面で様々な課題を抱えており、臨床ニーズに応える有用な製品がないのが現状である(Pommergaard et al. Int J Colorectal Dis 2012)。
一方、本件発明者らは、止血材、気漏防止材、縫合部補強材などとして利用しうる生体分解性のシート状の接着補強材の開発を行っている(特許文献1)。これは、本件出願人が開発した2反応剤型の接着剤粉末(Lydex(登録商標))を、生分解性の多孔質シートに部分的に浸透させた状態となるように固定させたものである。この2反応剤型の水性ゲル化剤ないし接着剤粉末は、アルデヒド化グルカン及び変性ポリ-L-リジンの混合粉末からなるものである(特許文献2)。他方、直腸がんの手術後に、吻合箇所を保護するために、腸管内に生分解性のポリグリコール酸を用いたステントを挿入して用いることが提案されている(特許文献3)。
国際公開WO2020/122007(PCT/JP2019/048068) 国際公開WO2008/066182(特許4571693) 特開2021-030089
本発明は、上述のような、既存製品が有する、安全性や強度などの課題を解決し、臨床ニーズに応えることのできる消化管吻合用の補強材を提供しようとするものである。特には、斬新な手法により、消化管吻合部を補強することのできるシート状の補強材を提供するものである。
本件発明者らは、上記のシート状の接着補強材を外科手術に応用することにつき鋭意検討する中で、消化管吻合部の補強材として用いることに着目するに至った。そして、腸管内に挿入するステントとして用いるのではなく、腸管などの吻合部に外部から適用することを試みた。さらには、腸管などの吻合部に巻き付けた後に、外側から生理食塩水を噴霧することで、2反応剤型の混合粉末のゲル化を促し、密着させることを試みた。その結果、既存の市販止血シート(「タコシール」(登録商標、CSLベーリング株式会社))では得ることのできない、高い吻合部補強効果を得ることができることが確かめられた。
すなわち、アルデヒド化グルカンの粉末と、変性ポリ-L-リジンの粉末とからなる2反応剤型の混合粉末(特許文献2;「Lydex(登録商標)」)を得た後、エタノールなどを用いて多孔性の生分解性シートの一方の側(接着面)に固定した補強材(特許文献1;「Lydexシート」)を用いるとともに、消化管の吻合部に巻き付けた後に、外側(補強材シートの非接着面の側)から生理食塩水などを噴霧するという斬新な手法を採用したものである。
より詳細に説明するならば、まず、本件出願人が開発した上記の混合粉末からなる医療用の含水ゲル形成剤ないしは接着剤(特許文献2;「Lydex(登録商標)」)は、粉末の状態で生体組織の切開部や創部などに塗布された後、生理食塩液を添加した際などに、2種の反応成分が互いに反応することで、架橋または重合し、性状が紛体から含水ゲルに変化する。該含水ゲルは、生体中にて癒着防止作用を発揮するとともに組織への接着性を有しており、該含水ゲル単体で液体及び気体の透過を妨げる特徴を有している。既に、動物試験により、止血効果及び肺切除面での気漏防止効果が確認されている。
次いで、上記の医療用の含水ゲル形成剤ないしは接着剤を用いて、シート状の組織接着補強材を得るべく、鋭意検討する中で、無水エタノールなどを用いる簡単な方法で実現できることを見出した(特許文献1;「Lydex(登録商標)シート」)。そして、今般、シート状の接着補強材を用いて、消化管の吻合部に、外部から巻き付けてから、生理食塩水またはその他の生理的溶液を加えるという斬新な手法により、予想外に優れた補強効果を実現したものである。
既存の腸管吻合部補強剤が有していた安全性や強度などの課題を解決し、臨床ニーズに応えることできる。特には、消化管がんなどの術後縫合不全を予防することができる。
本願実施形態の吻合部補強材に用いたシート状の接着補強材(接着シート;「Lydex(登録商標)シート」)についての一対の写真である。右半部には、接着層が形成された表側の面を示し、左半部には、多孔質シートが露出した裏側の面を示す。ここに示す接着シートは、アルデヒド化デキストランと、変性ポリリジン粉末からなる2反応剤型の混合粉末(特許文献2;「Lydex(登録商標)」)をポリグリコール酸(PGA)の多孔質シートに固着させて得たものである。 本願の一実施形態における吻合部補強材、及び、これによる大腸の吻合部の補強の要点を示す模式図(1)である。 本願の一実施形態における吻合部補強材、及び、これによる大腸の吻合部の補強の要点を示す模式図(2)である。 図2~3の吻合部補強材に用いた接着シートによる、空気漏れに対する耐圧試験の結果(右側)を示す棒グラフである。 ブタの小腸の漿膜面に、一実施形態の吻合部補強材(「LYDEXシート・PGAメッシュシート」)を貼り付けてから、切断した切片をPAS(Periodic Acid-Schiff)染色した 病理組織学的評価用の写真(×5)である。 図5の写真をさらに拡大した写真(×55)である。 ブタの小腸の腸管を器械吻合した際の外観を示す写真である。 図7の器械吻合の箇所に、全周にわたって、一実施形態の吻合部補強材(「LYDEXシート・PGAメッシュシート」)を貼り付けた際の外観を示す写真である。
本発明は、具体的な実施形態において、消化管がん術後の縫合不全予防を目的とした提案である。すなわち、罹患数が多くかつ縫合不全発生率が高い直腸がんをターゲットに導入し、本医療機器の有効性を検証し、将来的には全消化管がん全体に対する適応拡大を目標としている。
従来品では解決できていない問題を解決するというアンメットメディカルニーズを満たすべく、本発明は、具体的には、消化管がん手術において、アルデヒド化デキストランと変性ポリリジン粉末からなる混合粉末(「LYDEX(登録商標)」)を生分解性シートに固着させたシート状の接着補強材(「Lydex(登録商標)シート」)を、腸管吻合部の全周にわたって巻きつけて被覆し、その上で生理的溶液を加えるようにする。
本発明における吻合部補強材(以下、適宜「本医療機器」とも呼ぶ)をもって、医療現場のアンメットメディカルニーズに取り組み、広くかつ簡便にこの解決策が患者に提供された場合、患者の生存率やQuality of lifeの向上という臨床的価値が期待される。また、合併症に関わる多大な医療費の削減や在院日数の短縮が見込めるため、その医療経済的意義は大きい。
また、本医療機器は他の消化管がんの手術に対しても外挿可能である。
本発明は、直腸がん手術のみならず、消化管がん手術における縫合不全発生リスクの軽減や重症・致死的合併症の回避という臨床的側面と、それに関連した医療経済的側面の両面において極めて意義がある。
<本医療機器の要点>
1.積層構成
本医療機器は、物理的な補強効果を有するシート剤と、接着力を有するシーラント剤との2層で構成されるという点で、吻合部補強手段としては、世界初の製品コンセプトであるといえる。多孔質の各種の生体内吸収性素材(ポリグリコール酸(PGA)シートなど)を支持体とし、表面にシーラント剤である“LYDEX”粉末を均一に固着させることにより作製される(図1)。
2.使用
このシートを“LYDEX”塗布面を内側にして、吻合部が被覆されるように全周性に腸管に巻きつけ、外側から水分を浸透させることで“LYDEX”を瞬時にゲル化し適用部位に接着させる(図2)。“LYDEX”単独の場合よりも耐圧性が高まることにより腸管からの内容液漏出を完全に防止する効果が期待できる。
<一実施形態の消化管吻合部補強技術>
以下に、本発明の一実施形態による消化管吻合部補強材について、概要を説明する。ここでは、再度、本件の開発の背景から説明する。
1)消化管吻合部補強技術の開発
縫合不全は吻合部の組織修復が不完全であった場合に発生するため、同部を補強材で被覆することにより、縫合不全を回避できる可能性がある。近年、多種のマテリアルの研究開発が行われているが、既存製品は安全性や強度、その他機能面で様々な課題を抱えており、臨床ニーズに応える有用な製品がないのが現状である。
現在、本件発明者らが共同で開発している吻合部補強材は、“物理的な補強効果を有するシート剤と、接着力を有するシーラント剤との2層で構成される世界初の革新的医療機器”である(図1~2)。“シート剤とシーラント剤の2層にデザイン”し、両者の特長を活かすことにより、既存製品では実現しえなかった強度および接着力を有する革新的医療機器の試作開発(第一次試作)に成功した。
(2)消化管吻合部補強技術の特長
本実施形態の消化管吻合部補強材において、外側のシート部分(1)はポリグリコール酸(PGA)からなり、内側のシーラント部分(接着部分)(2)はアルデヒド化デキストランおよび無水コハク酸処理ポリリジンからなる“LYDEX”であることを想定している。いずれも非血液・非動物由来の原材料を使用することにより、感染症伝播のリスクがなく毒性が低いため、極めて安全性が高い。また、用時調製が不要であり、外科医や手術室看護師のストレスとならない。
(1)外側のシート部分:ポリグリコール酸(PGA)
ポリグリコール酸(PGA)は、本件出願人(株式会社ビーエムジー)が日本で初めて製造を開始した実績があり、各種医療用原料として広く使用されている。形状はメッシュシートを想定している。生体親和性を有する高分子化合物を3Dメッシュ状に加工したシートは、強度・創傷治癒の観点から本用途に非常に適している(Takeshita et al. Clin Endosc 2016)。粉末タイプの“LYDEX”は、呼吸器外科領域における術後肺瘻予防目的で薬事承認に向け治験が進められているが、消化管吻合部の補強材としては絶対的に強度が不足していることが、これまでの動物実験の結果で明らかになっている。PGAを3Dメッシュ状に加工し、“LYDEX”と2層構造で設計することにより、“LYDEX”単独での課題であった強度不足が解消されると考える。
(2)内側の接着部分:2反応剤型の接着剤(“LYDEX”)
内側のシーラント剤である“LYDEX”は、ビーエムジーが新規開発した医療用接着剤である。既に安全性が確認されている高分子の医薬品原料であるデキストランおよび食品添加物であるポリリジンを出発原料として、それぞれに簡単な修飾を施して得られるアルデヒド化デキストランおよび無水コハク酸処理ポリリジンからなる。これら2成分を適切な割合で混合することにより、接着性能が高く、また性能発揮後は生体内で速やかに分解・消失する製剤が得られる。本製剤は生体臓器・組織上の適用部位に噴霧し、これに生理食塩液等の水分を添加することで、アルデヒド化デキストランのアルデヒド基と無水コハク酸処理ポリリジンのアミノ基の間に架橋を生じ、瞬時にゲル化・接着するというこれまでにない新しい接着剤である。
“LYDEX”は強い抗菌作用を有するため、準清潔手術である消化器外科領域の手術に適している。また、シーラント剤として広く使用されているフィブリン糊よりも高い接着力を有するともに、フィブリン糊と同等以上の柔軟性を有している。生理食塩液などの水性液体と接触することによって瞬時にゲル化するため、三次元的に対象物と接着することにより、高い気密性が得られ、従来品での課題であった接着不良が解消されると考える。
“シート剤とシーラント剤の2層にデザイン”された本医療機器は、両者の特長を活かすことにより、既存製品では実現しえなかった強度および接着力を有している(表1)。
<表1>提案機器と既存製品の比較
上記表1中、破壊強度は、後述のバルーン耐圧試験により得られた結果である。また、ここでの癒着防止吸収性バリアは、具体的には、科研製薬株式会社の「セプラフィルム」(登録商標)であり、フィブリン糊は、KMバイオロジクス株式会社の「ボルヒール」(登録商標)「組織接着用」である。
<本発明のベースとなる2反応剤型の接着剤(“LYDEX”)の特長>
(1)接着力が高い
既存製品であるフィブリン糊では、生成したフィブリン塊が組織表面から剥がれることがあるのに対し、本品は有意に高い接着力を示す。また、フィブリン糊より柔軟性が高いことも確認されている。
(2)瞬時にゲル化する
本品を適用部位に塗布し、水分を滴加することにより、瞬時にゲル化接着する。
(3)体内で分解、消失する
本品は、体内において一定の期間ゲル形状を保持し、その後、徐々に分解・消失する。
(4)毒性が低い
フィブリン糊はアナフィラキシー様症状を起こすこともあり、人血由来の血液製剤であるばかりでなく、ウシ肺由来の成分も含有されておりウイルス感染が懸念されている。これに対して、本品は医薬品原料やFDAで安全性が確認されている天然由来の食品添加物を原料とするため、危険なウイルス感染の心配はなく、各種生物学的安全性試験においても安全性に特に問題が認められていない。
(5)容易に調製が可能
フィブリン糊は用時調製のため、使用直前に調製する必要がある。この作業はどれだけ急いでも5分以上の時間を要し、非常に面倒である。また、溶解後1時間以上経過すると、硬化しにくくなるため、前もって調製しておくことはできない。これに対し本品は、これらの溶解作業が一切不要であるため、必要な時にすぐ使用することが出来る。
(6)抗菌作用を有する
原料であるポリリジンは強い抗菌作用を有する。黄色ブドウ球菌S.aureus、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌MRSAに対する抗菌作用を有することがin vitro試験で示されている。
<本発明のベースとなるシート状の接着補強材(接着シート;「Lydexシート」)>
上記の2反応剤型の接着剤(“LYDEX”)としての混合粉末の製造については、後述する。本発明のベースとなる接着シートは、2反応剤型接着剤の混合粉末(“LYDEX”)を多孔質シートに固着させたものである。
まず、先の出願(特許文献1;WO2020/122007)における評価結果を説明するが、これに用いた接着シートの製造のためには、上記の2反応剤型の接着剤粉末(“LYDEX”)を市販の無水エタノール(エタノール99.5vol%以上)に、0.5g/6mLの割合で加え超音波で攪拌してから、0.5g/(100mm × 50mm)の割合で塗布してから、減圧乾燥した。本願図4~8を用いて説明する、後述の本願実施形態においても、このようにして製造した。
先の出願(特許文献1;WO2020/122007)及び本願実施形態における具体的な評価のためには、シート状の接着補強材(「Lydexシート」)として、特許文献1(WO2020/122007)における、実施例1の接着シート(「LYDEXシート・コラーゲン基材」)、実施例4-1の接着シート(「LYDEXシート・PLLAメッシュ密」)、及び、実施例4-3の接着シート(「LYDEXシート・PGAメッシュシート」)」を用いた。
ここで用いた3種類の生分解多孔質シートは、下記のとおりである。
・「コラーゲン基材」(実施例1):株式会社高研の「インテグラン」「プレスシート」(100mm × 50mm、0.2gの綿線維状コラーゲンシート)
・「PLLAメッシュ密」(実施例4-1):株式会社ビーエムジーのポリ-L-乳酸(PLLA)(GPC-光散乱法による重量平均分子量MWが200,000~280,000、DSC法による融点が180~195℃)を用いて、マルチフィラメント糸(167dtx×24)を紡糸し、トリコット編(経編、デンビー編み)により、編目による各開口(網目)の径が、約0.8mmになるようにした一重編地。
・「PGAメッシュシート」(実施例4-3):(株)ビーエムジーのポリグリコール酸(PGA)(240℃,10kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が3.0~9.0g/10min)を用いて、「PLLAメッシュ密」と全く同様に、紡糸及び編成した一重編地。
一方、2反応剤型接着剤の混合粉末(“LYDEX”)としては、グルコース・ユニットあたりのアルデヒド基の導入量が0.28であるアルデヒド化デキストランの粉末と、遊離アミノ基の残存率が89.5%の無水コハク酸添加ポリリジンの粉末とを4/1の重量比率で混合した混合接着剤粉末(平均粒径が80μm)を用いた。
<接着シート(「Lydexシート」)についての先の研究による特性評価>
-接着剤樹脂層の形状・構造
先の出願(特許文献1;WO2020/122007)の図14~15に示す実態顕微鏡((株)KEYENCE製「デジタルマイクロスコープVHX-5000」システム)の写真などによると、得られた接着シート(「Lydexシート」)中、接着剤樹脂層は、2反応剤型接着剤の混合粉末(“LYDEX”)のうちで、変性ポリリジン粉末が一旦、ほぼ溶融状態となることで、アルデヒド化デキストランの粉末及び基材シートが互いに接合した構造となっていた。そのため、アルデヒド化デキストランの粉末に由来すると考えられる微小な突起構造が、全面にわたって、びっしりと形成されていた。
また、多孔質の基材シートとして、平均開口径が例えば0.8mmであるメッシュシートなどを用いた場合、接着剤樹脂層は、基材シートの塗布面側から、少なくとも部分的に浸透する形となる。また、このような基材シートの厚みが、例えば、0.2mm以上または0.3mm以上である場合に、接着剤樹脂層は、塗布面側にのみ存在し、基材シートの裏側の表面には存在しない。
-接着剤樹脂層の厚さ
特許文献1(WO2020/122007)の表6の結果によると、上記実施例1の接着シート(「LYDEXシート・コラーゲン基材」)について、接着剤樹脂層の厚さを測定したところ、0.28~0.36mm(平均0.32mm=320μm)であった。また、2反応剤型接着剤の混合粉末(“LYDEX”)にヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を20%配合したものを用いて、「LYDEXシート・コラーゲン基材」と同様に製造した接着シートについて、接着剤樹脂層の厚さを測定したところ、0.30~0.37mm(平均0.34mm=340μm)であった。
-接着強度比較試験(in vitro試験)
特許文献1(WO2020/122007)中には、実施例6の説明及び図6~7にて、「実施例4-1の接着シート(「LYDEXシート・PLLAメッシュ密」)」を用い、in vitroにて接着強さを評価したことが記載されており、この結果が、表4~5及び図8にまとめて示されている。この概要をまとめると下記のとおりである。
まず、接着シートを貼り合わせる対象には、臓器等を想定した代替物として、株式会社ニッピの「コラーゲンケーシング」(厚み28μm、直径20mmの筒状)を縦に切り開いたものを用いた。また、上記の接着シート、及び、「コラーゲンケーシング」を、5×2cmの小片に切り出し、それらの一方の面における一端から1.25cmまでの箇所を接着部に設定した。そして、次の手順で実験を行った。
1. コラーゲンケーシングの接着部に上記の接着シートを被せ、生理食塩水を浸透させた。
2. 対照として同接着部にボルヒールを塗布し、上からメッシュ状シートを被せた。
これら1,2共に200gの重りを乗せ、30秒後に重りを取り除いた。さらに2分半静置した後に、JIS K 6850接着剤-剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法を参考にして、50mm/minの試験速度条件で引張試験を開始した。
その結果、上記1.の接着シートによる試験片では、上記2.の対照と比較し、有意に高い接着強度が認められた。
-ウサギ肺気漏モデルを用いた空気漏れに対するシーラント効果
また、特許文献1(WO2020/122007)の実施例5では、「実施例4-3の接着シート(「LYDEXシート・PGAメッシュシート」)」、及び、「実施例1の接着シート(「LYDEXシート・コラーゲン基材」)」を用いて、「ウサギ肺気漏モデルを用いた」「空気漏れに対するシーラント効果」が確認されている。この手順について、特許文献1(WO2020/122007)の図2に描かれており、この結果が表3にまとめて示されている。この概要をまとめると下記のとおりである。
ウサギを使用し、全身麻酔後左肺後葉を部分切除して気漏部位を作成した。“LYDEX”粉末は噴霧塗布、“LYDEX”シートは貼付した後、生理食塩液を噴霧してゲル化させ気瘻部位を被覆した(WO2020/122007の図2)。呼吸圧を最大50cmH2Oまで段階的に上昇させ、気漏の有無を確認した。気漏が認められた場合はそれ以上加圧せず、その吸気圧を気漏発生吸気圧とした。対照としてフィブリン糊およびPGAシートを用いた。
その結果、“LYDEX”粉末、“LYDEX”シートとも既存のフィブリン糊とPGAシートを併用した場合よりも高い耐圧効果を認めた(WO2020/122007の表3)。また、分解性と組織毒性についても調べた結果、生体適合性においても臨床使用に満足する結果であった
-ウサギ肝臓滲出性出血に対する止血効果
さらに、特許文献1(WO2020/122007)の実施例3-1では、「実施例1の接着シート(「LYDEXシート・コラーゲン基材」)」を用いて、止血効果を評価した。この結果が、表1に示されている。この概要をまとめると下記のとおりである。
動物の止血モデルとしてウサギを用いた。ウサギを開腹し肝臓の一部を切除して、その出血部位に対してLYDEXシートを適用し、その止血効果(止血の有無、出血量)をみた。その結果、本発明のLYDEXシートを用いた場合、止血し(n=3)、適用後1分間の出血量は平均0.05gと極めて微量であった。一方、対照として用いた市販のタココンブの場合(n=5)、適用後1分間の出血量は平均1.50gと止血効果は不十分であり、出血量が多かった。
<本発明のベースとなるシート状の接着補強材(「Lydexシート」)のバルーン耐圧試験>
ここでは、特許文献1(WO2020/122007)の実施例4-3の接着シート(「LYDEXシート・PGAメッシュシート」)」を用い、耐圧試験(in vitro試験)を、次のように行った。すなわち、図8における接着強さの評価に用いた、「実施例4-1の接着シート(「LYDEXシート・PLLAメッシュ密」)」とは、ベースとなる多孔質シートとして、異なるものを用いた。但し、このような多孔質シートの相違による影響は、あまり大きくないと推測される。
バルーンに針孔(18G)を開け、上記接着シート(LYDEXを固着したPGAメッシュシート)にて針孔を閉塞した後、バルーンを送気により閉塞部から空気漏れを起こすまで加圧した。空気漏れを起こす圧力を耐圧値とした。
ここでのバルーンには、直腸検査に用いる、ラテックスゴム製の直径5cmの球状のものを用い、縦横1cmの正方形に切り出した接着シートを貼り付け、この後、接着シートの裏側から生理食塩水を吹き付けた。また、比較対照実験として、2反応剤型の接着剤粉末(“LYDEX”)を、特許文献1(WO2020/122007)の図9に記載のスプレーガンを用いて、縦横2cmの正方形の範囲に噴霧塗布し、この後、生理食塩水を吹きかけた。さらには、別途の比較対照として、フィブリン糊を用いて同様にシーリングを行った。この際、KMバイオロジクス(株)の「ボルヒール組織接着用」を、添付文書のとおりに用いた。
図4及び表1中に示すように、本願実施形態で用いる接着シートは、耐圧値が212.3 ± 34.5 mmHgと、LYDEXに比較し高い傾向が認められた。一方、フィブリン糊を用いた場合のバルーン耐圧試験の結果は、上記表1中に示したとおり、1.3 ± 15.7 mmHgであった。
<吻合部補強材としての動物実験(1)-漏れ防止効果>
ブタの小腸の漿膜面に、上記「LYDEXシート・PGAメッシュシート」を貼り付けた。すなわち、上述の図2~3のように、ブタ腸管の吻合部に巻き付けてから、外側から生理食塩水を噴霧することで、2反応剤型接着剤層を含水ゲルからなる接着層に変化した。
図5~6には、接着部位を切断した断面についての病理組織学的評価を行うための拡大写真を示す。ここでは、PAS(Periodic Acid-Schiff)染色することで、多孔質シート及び接着層、並びに、粘膜層などを中心に、赤色に染色した。これらの写真は、赤色に染色された写真をグレイスケールに変換したものである。図5は、5倍に拡大したものであり、図6は、55倍に拡大したものである。
次に、ブタの小腸において器械吻合により、図7の外観写真に示すように、吻合部を作成した(n=6)。さらに、この吻合部に、図8の外観写真に示すように、吻合部補強材を貼り付けた(n=3)。対照群(n=3)(図7)と、吻合補強材を貼り付けた群(n=3)(図6)において、それぞれ、空気漏れテスト(air leak test)を行った。すなわち、段階的に圧力を上昇させて、破裂が生じる圧力(bursting pressure)を評価した。その結果、本願実施形態の吻合部補強材(「LYDEXシート・PGAメッシュシート」)を用いた場合に、126.8±6.8mmHgであり高い耐圧能を認めた。これに対し、吻合部補強材を用いなかった対照群では76.1±5.7mmHgであった。
なお、上記の器械吻合には、Ethicon Endo-Surgery Incorporated社製のPROXIMATE ILS Straight Intraluminal Staplerを用いた。
<前提としての2反応剤型の接着剤(“LYDEX”)の具体的な製造方法>
特許文献1(WO2020/122007)の実施例1、及び、国際公開WO2008/066182に記載したとおりであるが、次の1)~3)ようにして得られたものである。
1)粉末状アルデヒド化デキストラン(第1反応剤;AD)の調製
分子量70,000のデキストラン(名糖産業株式会社Meito Sangyo Co.,Ltd.、「デキストラン70」)400gをイオン交換水1600mlに溶解させ、50gの過ヨウ素酸ナトリウム(分子量213.89)をイオン交換水800mlに溶解させた後添加し、50℃水浴中で3時間撹拌させながら反応させた。そして、反応後の溶液を透析した後、0.45μmフィルターでろ過後、乾燥させた。さらに、小型粉砕器(ワンダークラッシュミルD3V-10、大阪ケミカル株式会社)を用いて粉砕処理を行い、粉末状のアルデヒド化デキストラン(2.5/20)を得た。なお、(2.5/20)は、アルデヒド化デキストランを構成する(過ヨウ素酸ナトリウム/デキストラン70)の仕込み比率を示す。得られたアルデヒド化デキストランにおける、糖残基量(モル)あたりのアルデヒド基の導入量は0.28であった。なお、アルデヒド基の導入量の測定は酸化還元滴定法により行った。具体的には、0.05mol/lのヨウ素水溶液20ml、10mg/mlのアルデヒド化デキストラン水溶液10ml及び1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液20mlを、100mlマイヤーフラスコに入れ25℃で15分間撹拌した。そして、6v/v%硫酸水溶液15mlを添加し、0.1mol/lのチオ硫酸ナトリウム水溶液にて滴定した。終点は反応系が無色透明化した時点とし、指示薬はでんぷん水溶液とした。粉末の粒度を、実体顕微鏡を用いて評価したところ、平均粒径が90μmであった。さらに、電子顕微鏡により表面性状を観察した結果、多孔体をなしていた。平均アスペクト比(短軸に対する長軸の比)は約1.6であった。
得られたアルデヒド化デキストランにおける、糖残基量(モル)あたりのアルデヒド基の導入量は0.28であった。なお、アルデヒド基の導入量の測定は酸化還元滴定法により行った。具体的には、0.05mol/lのヨウ素水溶液20ml、10mg/mlのアルデヒド化デキストラン水溶液10ml及び1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液20mlを、100mlマイヤーフラスコに入れ25℃で15分間撹拌した。そして、6v/v%硫酸水溶液15mlを添加し、0.1mol/lのチオ硫酸ナトリウム水溶液にて滴定した。終点は反応系が無色透明化した時点とし、指示薬はでんぷん水溶液とした。
2)無水コハク酸処理ポリリジン(第2反応剤;SAPL)の調製
25重量%のε-ポリリジン水溶液(分子量4,000、チッソ株式会社)400gに無水コハク酸(ナカライテスク)10gを加え、50℃で1時間反応させた。反応後の溶液を0.45μmフィルターでろ過後、乾燥させた。さらに、小型粉砕器(ワンダークラッシュミルD3V-10、大阪ケミカル株式会社)を用いて粉砕処理を行い、粉末状の無水コハク酸処理ポリリジンを得た。得られた無水コハク酸処理ポリリジンについて、遊離アミノ基(ペプチド結合の形成に関与しない側鎖及び末端のアミノ基)の残存率を求めたところ、89.5%であった。この測定のためには、水に溶かした後、ニンヒドリン溶液およびpH5.5の酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液を加え、3分間沸騰水浴中で加熱した後、急冷し試料溶液とした。そして、日本薬局方の紫外可視吸光度測定法により試験を行い、波長570nmにおける吸光度を測定し、試料溶液中のアミノ基含量を求めた。得られた粉末状の無水コハク酸処理ポリリジンは、上記のアルデヒド化デキストランの場合と同様に実体顕微鏡を用いて評価したところ、ほぼ同様のランダムな形状の多孔体であった。また、平均粒径が80μmであった。平均アスペクト比は約1.7であった。
得られた無水コハク酸処理ポリリジンについて、残存アミノ基率を定量したところ、84.7%であった。なお、残存アミノ基率の定量は、次のようにして行った。まず、粉末状の無水コハク酸処理ポリリジンを乾燥し、水に溶かした。この後、ニンヒドリン溶液およびpH5.5の酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液を加え、3分間沸騰水浴中で加熱した後、急冷し試料溶液とした。そして、日本薬局方 紫外可視吸光度測定法により試験を行い、波長570nmにおける吸光度を測定し、試料溶液中のアミノ基含量を求めた。
3)混合接着剤粉末
上記の粉末状のアルデヒド化デキストランと粉末状の無水コハク酸処理ポリリジンを4/1の重量比率で混合することで、混合接着剤粉末(平均粒径が80μm)は、アルデヒド基とアミノ基とのモル比がほぼ1になるようにした。得られた混合接着剤粉末を示す。混合接着剤粉末のかさ密度は、420mg/cmであった。なお、この混合接着剤粉末は、含水率を0.5~1.0%に保持するように密閉保存した。本願において、この混合接着剤粉末を、適宜「LYDEX(ライデックス;登録商標)」と呼ぶ。なお、特に記載しない限り、上記の反応仕込み比及び混合比のものを用いた。すなわち、ε-ポリリジン100gに無水コハク酸10gを反応させた無水コハク酸処理ポリリジンを用いるとともに、デキストランをアルデヒド化する際の過ヨウ素酸ナトリウム/デキストラン70の仕込み重量比率を2.5/20とし、アルデヒド化デキストラン(AD)と無水コハク酸処理ポリリジン(SAPL)とを4/1の重量比率で混合した、2反応剤型接着剤の混合粉末(「LYDEX2.5/20」)を用いた。
<本発明の消化管吻合部補強材が取り得る形態>
本発明の消化管吻合部補強材は、下記のような形態を取り得る。
1.消化管を吻合した箇所に、外部から全周にわたって巻き付けて、その外側から生理的塩類溶液を加えることにより貼り付けるシート状の消化管吻合部補強材であって、
生体分解性及び連通多孔構造を有する基材シートと、
この上に固定されて形成された接着剤樹脂層とから形成され、
この接着剤樹脂層は、
アルデヒド化グリカンからなる第1反応剤と、
部分カルボキシル化ポリリジンからなる第2反応剤とから形成されており、
第2反応剤のアミノ基に対する第1反応剤のアルデヒド基のモル比が0.8~1.2、0.85~1.15、0.9~1.1、または0.95~1.05であり、
第1反応剤の粉末に由来する粒状構造と、
第2反応剤に由来し、シート状組織接着補強材の全面にわたって、この粒状構造を、相互に連結するとともに、各粒状構造を基材シートに固定している連結層とを有する消化管吻合部補強材。
2.基材シートは、不織布、織物、編物、メッシュシート、スポンジシート、または、その他の連通多孔質シートであって、厚みが10μm~1000μm(1mm)、15μm~500μm(0.5mm)、または20μm~300μmであり、
接着剤樹脂層は、厚みが50μm~1000μm(1mm)、100μm~800μm(0.8mm)、150μm~600μm(0.5mm)、または200μm~500μmであるか、または、基材シートの厚みの0.5~20倍、0.8~10倍、1~5倍である、項1に記載の消化管吻合部補強材。
3.第1反応剤の粉末に由来する粒状構造は、平均粒径が20~100μmである、項1または2に記載の消化管吻合部補強材。
4.第1反応剤をなすアルデヒド化グリカンは、アルデヒド基の導入量が、単糖ユニットあたり0.2~0.5個のアルデヒド基を導入したものであり、
第2反応剤をなす部分カルボキシル化ポリリジンは、残存アミノ基率が70~93%である、項1~3のいずれかに記載の消化管吻合部補強材。
5.接着剤樹脂層には、トロンビン、ヘモコアグラーゼ、またはその他の血液凝固促進剤が含有されている、項1~4のいずれかに記載の消化管吻合部補強材。
6.接着剤樹脂層には、第1反応剤と第2反応剤との合計重量を基準として、5~30%の重量の、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、コラーゲンもしくはその誘導体、または、その他の生分解性ポリマー、及び/または、1~25%の重量のグリセリンまたはその他の保湿成分が含有されており、接着剤樹脂における、これらの生分解性ポリマー及び/または保湿成分を除く部分が、第1反応剤及び第2反応剤からなる、項1~5のいずれかに記載の消化管吻合部補強材。
6A.前記その他の保湿成分が、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ポリグリセリン、ヒアルロン酸ナトリウム及びトリメチルグリシンから選択される少なくとも一つである、項6に記載の消化管吻合部補強材。
7.消化管を吻合した箇所に、外部から全周にわたって巻き付けて、その外側から生理的塩類溶液を加えることにより貼り付けるシート状の消化管吻合部補強材の製造方法であって、
生体分解性及び連通多孔構造を有する基材シートと、
アルデヒド化グリカンを含む第1反応剤の粉末と、
部分カルボキシル化ポリリジンを含む第2反応剤の粉末と、
分散媒とを、用意し、
ここで、この分散媒は、含水率が2%未満であるエタノール、含水率が1~3%または1~2%であるアセトン、これに対応する2-プロパノールもしくは1-プロパノール、または、これらの任意の混合物であり、
基材シート上で、少なくとも第2反応剤の粉末に、この分散媒が染み込んで、第2反応剤の粉末が部分的に溶けるようにすることで、第1反応剤及び第2反応剤並びに分散媒を含む層を基材シート上に形成し、
この後、分散媒を除去することで、基材シート上に固定された、第1反応剤及び第2反応剤を含む接着剤樹脂層を形成する、項1~6のいずれかの消化管吻合部補強材の製造方法。
8.第1反応剤及び第2反応剤の混合粉末を用意し、
下記(i)~(iv)のいずれか、または、これらからの任意の組み合わせにより、基材シート上に混合粉末及び分散液を含む層を形成した後、分散媒を除去する、項7に記載の消化管吻合部補強材の製造方法。
(i) 混合粉末を前記分散媒中に分散させた分散液を用意し、この分散液を、基材シートへと吐出することで塗布する。
(ii) 混合粉末を前記分散媒中に分散させた分散液を用意し、この分散液を面上に広げた層に、基材シートを突き当てることで塗布する。
(iii) 基材シートに、混合粉末を塗布してから、分散媒を塗布するか、または、塗布された基材シートに分散媒を染み込ませる。
(iv) 基材シートに分散媒を染み込ませておいてから、混合粉末を塗布する。
9.前記(iii)または(iv)により、前記混合粉末の塗布を行うにあたり、
網目や複数の小孔から粉末を落下させる方式、または、スプレーガン式もしくはディスペンサー式の粉末吐出部と、
粉末吐出部に対する基材シートの相対的な位置を、連続的に、または順次に移動させる駆動機構と
を備えた粉末塗布装置を用いることを特徴とする項7または8に記載の消化管吻合部補強材の製造方法。
10.ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、コラーゲンもしくはその誘導体または、その他の、分散媒中に溶解または分散が可能な生分解性ポリマー、及び/または、グリセリンまたはその他の保湿成分を、分散媒または第1反応剤及び第2反応剤の混合粉末、または第1反応剤もしくは第2反応剤の粉末に添加することを含む、項7~9のいずれかに記載の消化管吻合部補強材の製造方法。
11.トロンビン、ヘモコアグラーゼ、またはその他の血液凝固促進剤を、分散媒または第1反応剤及び第2反応剤の混合粉末、または第1反応剤もしくは第2反応剤の粉末に添加することを含む、項7~10のいずれかに記載の消化管吻合部補強材の製造方法。
12.生体分解性及び連通多孔構造を有する基材シートと、
この上に固定されて形成されたコーティング層とからなり、
このコーティング層は、
アルデヒド化グリカンからなる第1反応剤からなる第1相と、
部分カルボキシル化ポリリジンからなる第2反応剤からなる第2相とからなり、
第2反応剤のアミノ基に対する第1反応剤のアルデヒド基のモル比が1であり、
第1相は、第1反応剤の粉末に相当する互に分離した粒状であり、
第2相は、消化管吻合補強材の全面にわたって、粒状の各第1相を相互に連結するとともに基材シートに固定するように連続している、消化管吻合部補強材。
13.前記第2相が第1反応剤及びグリセリンから形成され、このグリセリンは、第1反応剤と第2反応剤との合計重量を基準として、5~15%の重量で含まれている、項12に記載の消化管吻合部補強材。
14.基材シートは、不織布、織物、編物、メッシュシート、スポンジシート、または、その他の連通多孔質シートであって、厚みが15μm~500μmであり、
コーティング層は、厚みが100μm~800μmである、項12または13に記載の消化管吻合部補強材。
15.第1反応剤の粉末に由来する粒状の構造は、平均粒径が20~100μmである、項12~14のいずれかに記載の消化管吻合部補強材。
16.使用時に、コーティング層は、水分を吸うとともに、第1反応剤のアルデヒド基と、第2反応剤のアミノ基とが反応することで、含水ゲルの状態の接着層を形成する、項12~15のいずれかに記載の消化管吻合部補強材。
17.項12~16のいずれかに記載の消化管吻合補強材を製造する方法であって、
第1反応剤及び第2反応剤の混合粉末、及び、基材シート、並びに、含水率が1.0%以下である低含水率エタノールを用意すること、
混合粉末を低含水率エタノール中に分散させた分散液を基材シートに塗布してから乾燥することで、コーティング層を形成することを含む、消化管吻合部補強材の製造方法。
18.混合粉末を分散させる前、または分散させる際に、低含水率エタノール中にグリセリンを溶解させ、これにより、第2相中に、グリセリンが、第1反応剤と第2反応剤との合計重量を基準として、5~15%の重量で含まれるようにする、項17に記載の消化管吻合部補強材の製造方法。
19.前記消化管が、大腸、小腸、十二指腸、胃、または食道である、項1~18のいずれかに記載の消化管吻合部補強材またはその製造方法。
20.前記吻合が、サーキュラーステープラーまたはその他の自動吻合器を用いた器械吻合により行われたものである、項1~19のいずれかに記載の消化管吻合部補強材またはその製造方法。
21.前記吻合が、マグネシウム合金またはその他の生体内分解性の材料より形成されたものである、項1~20のいずれかに記載の消化管吻合部補強材またはその製造方法。
22.前記基材シートが、繊維製品または非繊維製品による多孔質シートであり、光学顕微鏡で観察した場合、比較的大きい空孔の径が、500μm以下、400μm以下、または300μm以下である、項1~21のいずれかに記載の消化管吻合部補強材またはその製造方法。
23.前記基材シートが、1μm以上の径の空孔に関して、平均孔径(メディアン径;D50)が20~150μmである、項1~22のいずれかに記載の消化管吻合部補強材またはその製造方法。
24.基材シートの空隙率(%;porosity;空孔の体積割合)は、50~97%または60~95%である、項1~23のいずれかに記載の消化管吻合部補強材またはその製造方法。
25.前記基材シートが、繊維製品または非繊維製品による多孔質シートであり、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、グリコール酸/DL-乳酸共重合体(PGDLLA)、L-乳酸/ε-カプロラクトン共重合体(LCL)、ポリ-p-ジオキサノン(PDO)またはその他の合成ポリマー、または、コラーゲン、酸化セルロース、キチンまたはその他の天然由来ポリマーからなる、編物、織物、不織布またはスポンジ構造体である、項1~24のいずれかに記載の消化管吻合部補強材またはその製造方法。
26.前記基材シートが、フィラメント糸から形成されるメッシュシートである、項25の消化管吻合部補強材またはその製造方法。
本発明のシート状の吻合部補強材は、消化管がん術後縫合不全を予防する高い組織補強効果を有しており、本発明は、医療品製造業で利用される。

Claims (6)

  1. 消化管を吻合した箇所に、外部から全周にわたって巻き付けて、その外側から生理的塩類溶液を加えることにより貼り付けるシート状の消化管吻合部補強材であって、
    生体分解性及び連通多孔構造を有する基材シートと、
    この上に固定されて形成された接着剤樹脂層とから形成され、
    この接着剤樹脂層は、
    アルデヒド化グリカンからなる第1反応剤と、
    部分カルボキシル化ポリリジンからなる第2反応剤とから形成されており、
    第1反応剤の粉末に由来する粒状構造と、
    第2反応剤に由来し、シート状組織接着補強材の全面にわたって、この粒状構造を、相互に連結するとともに、各粒状構造を基材シートに固定している連結層とを有する消化管吻合部補強材。
  2. 基材シートは、不織布、織物、編物、メッシュシート、スポンジシート、または、その他の連通多孔質シートであって、厚みが15μm~500μmであり、
    接着剤樹脂層は、厚みが100μm~800μmである、請求項1に記載の消化管吻合部補強材。
  3. 第1反応剤の粉末に由来する粒状構造は、平均粒径が20~100μmである、請求項1または2に記載の消化管吻合部補強材。
  4. 第1反応剤をなすアルデヒド化グリカンは、アルデヒド基の導入量が、単糖ユニットあたり0.2~0.5個のアルデヒド基を導入したものであり、
    第2反応剤をなす部分カルボキシル化ポリリジンは、残存アミノ基率が70~93%である、請求項1~3のいずれかに記載の消化管吻合部補強材。
  5. 接着剤樹脂層には、第1反応剤と第2反応剤との合計重量を基準として、5~30%の重量の、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、コラーゲンもしくはその誘導体、または、その他の生分解性ポリマー、及び/または、1~25%の重量のグリセリンまたはその他の保湿成分が含有されている、請求項1~4のいずれかに記載の消化管吻合部補強材。
  6. 基材シートの素材が合成のポリグリコール酸、ポリ乳酸、それらの共重合体、ポリカプロラクトン、乳酸―カプロラクトン共重合体、ポリデイオキサノン等、及び天然高分子のコラーゲン、ゼラチン、酸化セルロース、キチン、キトサン等からなる請求項2記載の消化管吻合部補強材。
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