JP2023106637A - 濁度測定装置、濁度測定方法および濁度測定用パネル - Google Patents

濁度測定装置、濁度測定方法および濁度測定用パネル Download PDF

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Abstract

【課題】従来に比して簡易な構成で、環境光の下でもサンプルの濁度を測定することができる、濁度測定装置、濁度測定方法および濁度測定用パネルを提案する。【解決手段】濁度測定装置1は、濁度測定用パネル5に設けた測定用マークM1の反射領域によって、サンプルS内における散乱光の検出感度を向上させることできるので、環境光の下でもサンプルSの濁度を測定することができる。また、環境光の下でも濁度を測定し易くなるため、従来のような赤外線LED等の光学系が不要となり、その分、従来に比して簡易な構成にできる。【選択図】図1

Description

本発明は、濁度測定装置、濁度測定方法および濁度測定用パネルに関する。
近年、抗原に抗体を反応させ、免疫複合体の沈降物を形成し、沈降物の凝集塊に照射光を照射して当該照射光の散乱により生じる照射光の減衰(吸光度)を測定し、サンプルに含まれる抗原量を測定する免疫比濁法が知られている。
例えば、非特許文献1には、スマートフォンを利用し、免疫比濁法に基づいてサンプルの濁度を測定する濁度測定装置が開示されている。非特許文献1の濁度測定装置では、スマートフォンに赤外線LEDを装着し、当該赤外線LEDから発する赤外線をサンプルとなる溶媒に照射する。そして、この濁度測定装置では、スマートフォンに予め設けられている、周囲の光量を検出可能な周囲光センサを用い、当該周囲光センサによって、サンプル内の90度方向の散乱光を検出し、得られた検出結果からサンプル内の懸濁マイクロ粒子の濃度を測定している。
I. Hussain, K. Ahamad, and P. Nath. Water turbidity sensing using a smartphone. RSC Advances, 6(27):22374-22382, 2016.
しかしながら、従来の濁度測定装置では、散乱光を検出してサンプルの濁度を測定するためにはサンプルに照射する照射光の光量を一定にする必要があることから、一定光量の照明光を発する赤外線LED等の光学系をスマートフォンに別途装着する必要があり、構成が複雑になるという問題があった。
そこで、本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来に比して簡易な構成で、環境光の下でもサンプルの濁度を測定することができる、濁度測定装置、濁度測定方法および濁度測定用パネルを提案することを目的とする。
本発明に係る濁度測定装置は、サンプルの濁度を測定する濁度測定装置であって、前記サンプルの背後に配置されて撮像部により前記サンプルを通して撮像される濁度測定用パネルと、前記撮像部によって取得した撮像画像からサンプル輝度値Itestを算出し、前記サンプル輝度値Itestに基づいて前記サンプルの濁度を測定する演算処理装置と、を備え、前記濁度測定用パネルには、前記演算処理装置によって前記撮像画像から前記サンプル輝度値Itestが算出される測定領域と、前記測定領域に隣接し、かつ、前記サンプルを透過した環境光を反射させる反射領域と、を有する。
本発明に係る濁度測定方法は、サンプルの濁度を測定する濁度測定方法であって、前記サンプルの背後に配置された濁度測定用パネルを、撮像部により前記サンプルを通して撮像する撮像ステップと、演算処理装置によって、前記撮像部で取得した撮像画像からサンプル輝度値Itestを算出し、前記サンプル輝度値Itestに基づいて前記サンプルの濁度を測定する演算処理ステップと、を有し、前記撮像ステップは、前記濁度測定用パネルの測定領域に隣接した反射領域により前記サンプルを透過した環境光を反射させつつ、前記撮像部によって前記濁度測定用パネルの前記測定領域を撮像し、前記演算処理ステップは、前記撮像画像内の前記測定領域から前記サンプル輝度値Itestを算出する。
本発明に係る濁度測定用パネルは、演算処理装置によって、撮像部で取得した撮像画像からサンプル輝度値Itestを算出し、前記サンプル輝度値Itestに基づいてサンプルの濁度を測定する際に、前記サンプルの背後に配置される濁度測定用パネルであって、前記撮像部により前記サンプルを通して撮像される撮像面には、前記演算処理装置によって前記撮像画像から前記サンプル輝度値Itestが算出される測定領域と、前記測定領域に隣接し、かつ、前記サンプルを透過した環境光を反射させる反射領域と、を有する。
本発明によれば、濁度測定用パネルに設けた反射領域によって、サンプル内における散乱光の検出感度を向上させることができるので、環境光の下でもサンプルの濁度を測定することができる。また、環境光の下でも濁度を測定し易くなるため、従来のような赤外線LED等の光学系が不要となり、その分、従来に比して簡易な構成にできる。
本実施形態に係る濁度計測装置の構成を示す概略図である。 濁度測定用パネルによりサンプル内の散乱光の感度が向上する原理を説明するための概略図である。 ラテックス免疫比濁法を説明するための概略図である。 濁度測定用のサンプル保持具の構成を示す分解斜視図である。 濁度測定用パネルの構成を示す正面図である。 携帯端末の回路構成を示すブロック図である。 照度補正処理手順を示すフローチャートである。 反射領域を設けた本実施形態の濁度測定用パネルと、反射領域を設けない比較例の濁度測定用パネルとについて、それぞれ異なる濁度の濁度標準液を通して測定用マークを撮像したときの撮像画像である。 反射領域を設けない比較例の濁度測定用パネルと、反射領域の幅を2mm、4mm、6mm、8mmとした実施例の濁度測定用パネルと、をそれぞれ用いたときの、濁度標準液の濁度と、撮像画像から算出した平均輝度値との関係を示すグラフである。 環境光の照度を変えて、露光調整を行ったときと、露光調整を行わなかったときとの撮像画像である。 濁度が32度、33度、34度、35度の4種類の濁度標準液について、環境光の照度と測定輝度値との関係を示したグラフと、濁度と測定輝度値との関係を示すグラフである。 環境光の照度とIgAサンプルの濃度とを変えて、露光調整を行ったときの撮像画像である。 異なる照度の環境光の下で得られた測定輝度値の結果を照度で区別せずに、IgA濃度毎に1つの群として表したグラフである。 目標値毎に環境光照度と測定輝度値と濁度との関係を示すグラフである。 目標値を140、240としたときの濁度35度における、環境光照度と、参照輝度測定面から得たRGB値の平均値および第1参照輝度値との関係を示すグラフと、目標値を140、240としたときの濁度35度における、環境光照度と、測定面から得たRGB値の平均値およびサンプル輝度値との関係を示すグラフとである。 多重比較検定により得られた結果をまとめた表である。 目標値を60、120、180、240としたときの、サンプル収容部における厚さと、サンプル輝度値と、濁度との関係を示すグラフである。 他の実施形態に係るサンプル保持具の構成を示す概略図である。 他の実施形態に係る測定用マークの構成を示す正面図である。 他の実施形態に係る参照用マークの構成を示す正面図である。
以下図面に基づいて本発明の実施の形態を詳述する。以下の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(1)濁度測定装置の概略
初めに、本実施形態に係る濁度測定装置の概略を説明する。図1に示すように、本実施形態に係る濁度測定装置1は、濁度の測定対象となるサンプルSを保持する濁度測定用のサンプル保持具2と、例えば、スマートフォン等の携帯端末(演算処理装置)3とを有する。
サンプル保持具2には、サンプル収容部4内にサンプルSが収容され、サンプルSの背後に濁度測定用パネル5が設けられている。濁度測定用パネル5には、測定用マークM1と参照用マークM2とが撮像面5aに描画されている。濁度測定用パネル5は、携帯端末3の背面に設けられた撮像部によりサンプルSを撮像する際に、当該サンプルSを通して測定用マークM1を撮像させるとともに、当該サンプルSを通さずに参照用マークM2を撮像させる。
携帯端末3は、サンプル収容部4に収容したサンプルSを撮像部により撮像し、撮像部で撮像したサンプル保持具2の撮像画像を表示部9に表示させる。携帯端末3は、例えば、表示部9に表示されている撮影ボタンB1が作業者によりタッチされるまで、撮像部で撮像している映像をリアルタイムで表示部9に表示し続ける。
この際、携帯端末3には、例えば、800ピクセル×800ピクセルの正方形の領域を指定する第1指定枠ER1と、この第1指定枠ER1内に100ピクセル×100ピクセルの正方形の4つの領域を指定する第2指定枠ER2と、が表示部9に表示されている。これら第1指定枠ER1および第2指定枠ER2は、濁度測定用パネル5に描画された参照用マークM2のパターンに準じて予め形成されている。
携帯端末3は、表示部9内に表示されているサンプル保持具2が第1指定枠ER1内に収まり、かつ、濁度測定用パネル5の参照用マークM2が第2指定枠ER2内に収まるように、作業者によって撮像方向や位置が調整される。なお、これら第1指定枠ER1および第2指定枠ER2は、携帯端末3の調整モードによって、使用するサンプル保持具2の形状や大きさに応じて縦横の大きさを自由に調整できる。
携帯端末3は、オートフォーカス機能により撮像部の焦点がサンプル保持具2に合った状態で、作業者により撮像部の撮像方向や位置が調整され、表示部9内おけるサンプル保持具2の映像が第1指定枠ER1内に収められ、かつ、濁度測定用パネル5の参照用マークM2の映像も第2指定枠ER2内に収められる。これにより、携帯端末3は、第1指定枠ER1および第2指定枠ER2に基づいて、撮像画像の中からサンプルSおよび濁度測定用パネル5の表示領域を特定する。
この状態で携帯端末3の表示部9に表示された撮影ボタンB1が作業者によりタッチされると、後述する照度補正処理を実行し、表示部9に表示される映像がキャプチャされ、静止画像である撮像画像を取得する。
ここで、本実施形態の携帯端末3は、照度補正処理時、取得した撮像画面内から第1指定枠ER1内の画像のみを抽出して、照度補正処理を実行する抽出画像を生成することが望ましい。この場合、携帯端末3は、照度補正処理時、撮像画像の中から一部抽出した撮像画像(抽出画像)に対して、グレースケール変換、平滑化処理およびハフ変換等の画像処理等を行うことで、撮像画像全体に対して画像処理等を行う場合に比して処理負担を低減させることができる。
このように、撮像画像から一部を抽出した撮像画像を用いることで、携帯端末3での処理負担を低減させることができるが、本実施形態では撮像画像そのものを用いてもよい。なお、撮像画像から一部を抽出した抽出画像を、単に撮像画像と称して以下説明する。
ここで、環境光の明るさが変わると、サンプルSから発せられる散乱光の強度も変わってしまう。そのため、撮像部の露出条件を変えずに撮像部でサンプルSを撮影すると、同じサンプルSであるにもかかわらず、環境光の明るさによって異なる明るさの撮像画像が得られてしまう。従って、環境光の明るさが異なると、撮像画像に基づいてサンプルSの濁度を見分けることが困難になる恐れがある。
そこで、演算処理装置としての携帯端末3では、照度補正処理を実行し、例えば、撮像部において光を取り込む露光時間(撮影速度)の設定を調整し、環境光の明るさが変化しても常に同じ明るさの撮像画像を取得する。
これにより、携帯端末3は、照度補正処理によって常に所定の明るさに調整された撮像画像を取得し得、当該撮像画像に基づいて、濁度測定用パネル5の測定用マークM1での輝度値を算出することができるので、環境光の明るさが異なる場所でも、算出した輝度値に基づいてサンプルSの濁度を正確に測定することができる。
ここで、図2は、携帯端末3の撮像部11によって、照明10による環境光の下でサンプル収容部4内のサンプルSとともに、サンプルSを通して、濁度測定用パネル5の測定用マークM1についても撮像しているときの概略図を示す。
本実施形態に係る携帯端末3は、作業者が携帯可能な構成であるため、作業者が様々な場所でサンプルSの濁度を測定すること可能である。この際、本実施形態に係る携帯端末3は、測定場所ごとに環境光の照度が異なっても、照度補正処理によって常に明るさが一定の撮像画像を取得できることから、測定場所を選ばずに、撮像画像に基づいてサンプルSの濁度を正確に測定することができる。
かかる構成に加えて、濁度測定用パネル5の撮像面5aに描画された測定用マークM1には、上述した撮像画像内において、サンプルSの濁度を測定するための輝度値を算出する測定領域M11と、サンプルSを透過した環境光を拡散反射させる反射領域M12とを有している。本実施形態の濁度測定装置1は、サンプルSを透過した環境光を拡散反射させる反射領域M12を濁度測定用パネル5に設けることで、反射領域M12によって撮像部11に入射するサンプルS内の散乱光を増幅させることができる。
なお、濁度測定用パネル5の測定用マークM1において、測定領域M11に隣接するように反射領域M12を設けた場合には、反射領域M12を設けなかった場合よりも、撮像部11に入射するサンプルS内の散乱光を増幅できることは、検証試験により確認できている。この検証試験については後述する。
このように、本実施形態の濁度測定装置1では、濁度測定用パネル5の測定領域M11の周囲に反射領域M12を設けたことで、撮像画像内での輝度値を増強させることができるので、撮像部11においてサンプルS内での散乱光の検出感度を向上させることができ、サンプルSの濁度を一段と正確に測定できる。
次に、本実施形態の濁度測定装置1によって濁度の測定が行える免疫比濁法について簡単に説明する。免疫比濁法は、例えば、IgAの濃度を測る1つの方法であり、免疫比濁法としてラテックス免疫比濁法(ラテックス凝集法とも称する)が知られている。
図3は、本実施形態の濁度測定装置1によって濁度の測定が行える、免疫比濁法としてのラテックス凝集法について説明する概略図である。ラテックス凝集法は、懸濁液S1内のポリスチレン粒子14に、濃度測定の目的タンパク13に対して特異的に反応する抗体14aを吸着させる。
図3の3Aに示すように、この懸濁液S1に、目的タンパク13を含まない検体Saを加えると、図3の3Cに示すように、ポリスチレン粒子14の凝集体が生じない。一方、図3の3Bに示すように、この懸濁液S1に、目的タンパク13を含む唾液や血清等の検体Sbを加えると、抗原抗体反応により、図3の3Dに示すように、ポリスチレン粒子14の凝集体14bが生じる。
この検体Sbを加えた懸濁液S2は、凝集体14bが生じると、ポリスチレン粒子14が均一に分散している場合に比べて、強い散乱光を発する。従って、サンプルSとなる懸濁液S1,S2での散乱光を分析することによって、サンプルSへの入射光とサンプルSからの散乱光との強度の関係から、目的タンパク13の濃度を測定することができる。本実施形態の濁度測定装置1は、このような測定原理からサンプルSの濁度を測定し得、測定した濁度から最終的に目的タンパク13の濃度測定が可能となる。
(2)サンプル保持具の構成
次に、本実施形態に係る濁度測定用のサンプル保持具2の構成について説明する。図4に示すように、本実施形態のサンプル保持具2は、第1透明基板16aおよび第2透明基板16bの間に収容部本体17が設けられ、第2透明基板16bおよび第3透明基板16cの間に濁度測定用パネル5が設けられた構成を有する。
収容部本体17は、例えば、シリコン等からなる直方体部材からなり、上端面17aに厚みを貫通した凹み部17bが形成されている。収容部本体17は、凹み部17bがガラス基板等の第1透明基板16aおよび第2透明基板16bで挟まれている。これにより、収容部本体17には、これら第1透明基板16a、第2透明基板16bおよび凹み部17bに囲まれ、かつ、上方が開口した直方体状の中空空間であるサンプル収容部4が形成される。なお、本実施形態のサンプル収容部4は、一例として、高さT2が10mm程度、幅W2が10mm程度に形成されている。
また、サンプル収容部4の厚さ(収容部本体17の厚さ)D1は、10mm以上、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上とすることが望ましい。サンプル収容部4の厚さD1を大きくすることで、撮像部11と濁度測定用パネル5の間に存在する凝集体の数が増加し、同じ濁度のサンプルSでも撮像部11のレンズに入射する散乱光の強度が増加し、また、異なる濁度のサンプルS間でも、撮像部11のレンズに入射する散乱光の強度の差が増加して、その分、濁度の検出感度を向上させることができる。
収容部本体17の背面には、第2透明基板16bを介在させて濁度測定用パネル5が配置されており、濁度測定用パネル5の測定用マークM1が凹み部17bのサンプル収容部4内に配置されている。これにより、濁度測定用パネル5は、第1透明基板16a側から、第1透明基板16a、凹み部17bの中空空間および第2透明基板16bを通して測定用マークM1が視認可能な構成を有する。
収容部本体17は、サンプル収容部4内にサンプルSが収容された際、第1透明基板16aの前方に配置された携帯端末3の撮像部11によって、第1透明基板16a、サンプル収容部4内のサンプルS、および、第2透明基板16bを通して、濁度測定用パネル5に描画された測定用マークM1を撮像させる。
また、収容部本体17は、濁度測定用パネル5の幅に合わせて幅W1が形成され、濁度測定用パネル5の測定用マークM1および参照用マークM2との間に、上端面17aが位置するように高さT1が選定されている。
濁度測定用パネル5は、紙やプラスチック等の板状部材により形成されており、長方形状に形成されている。また、濁度測定用パネル5には、撮像部11により撮像される撮像面5aに、測定用マークM1と参照用マークM2とが並んで描画されている。具体的には、濁度測定用パネル5の撮像面5aには、測定用マークM1の上方に参照用マークM2が描画されている。なお、これら測定用マークM1および参照用マークM2の詳細な構成については後述する。
濁度測定用パネル5は、サンプル収容部4の背面に配置された際に、測定用マークM1が凹み部17bの中空空間の枠内に配置され、参照用マークM2が収容部本体17の上端面17aよりも上方に配置されるように形成されている。これにより、濁度測定用パネル5は、撮像部11により撮像される際、測定用マークM1がサンプルSを通して撮像される一方で、参照用マークM2がサンプルSを通さずに直接撮像される。
なお、収容部本体17の正面に配置される第1透明基板16aは、収容部本体17の正面の外郭形状と同じ方形状でなり、収容部本体17の正面と同じ寸法に形成され、収容部本体17の正面に貼り付けられている。
また、収容部本体17の背面で濁度測定用パネル5を挟み込む、第2透明基板16bおよび第3透明基板16cは、濁度測定用パネル5の撮像面5aの外郭形状と同じ方形状でなり、濁度測定用パネル5の撮像面5aと同じ寸法に形成され、濁度測定用パネル5に貼り付けられている。また、濁度測定用パネル5の撮像面5aに貼り付けられた第2透明基板16bは、収容部本体17の背面にも貼り付けられる。
なお、本実施形態においては、収容部本体17と濁度測定用パネル5との間に板状の第2透明基板16bを設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、第2透明基板16bを設けずに、例えば、表面にガラスコーディングやフィルム等を施した、防水性の濁度測定用パネル5を収容部本体17の背面に直接貼り付けるようにしてもよい。
(3)濁度測定用パネルの構成
次に、濁度測定用パネル5の構成について説明する。図5は、濁度測定用パネル5の構成を示す正面図である。本実施形態の濁度測定用パネル5は、高さT3が幅W3よりも大きい長方形状に形成された黒色の板状部材からなり、黒色に配色された撮像面5aに測定用マークM1および参照用マークM2が縦に並んで描画されている。
濁度測定用パネル5は、撮像部11により撮像される撮像面5aが平坦に形成されており、収容部本体17に対向配置される下部領域6と、収容部本体17の上方で外部に露出する上部領域7とを有している。
撮像面5aの下部領域6は、全体が黒色に配色され、所定位置に測定用マークM1が描画されている。測定用マークM1は、測定領域M11と反射領域M12とから構成されている。反射領域M12は、サンプルS内を透過した環境光を拡散反射させるための面である。測定領域M11は、反射領域M12に隣接して設けられており、携帯端末3において、撮像画像に基づきサンプルSの輝度値を算出するための面である。
本実施形態では、測定領域M11は、撮像面5aと同じ黒色に配色されており、円形状に形成されている。一方、反射領域M12は、光を拡散反射させる白色に配色されており、円環状に形成されている。反射領域M12は、円環の中心円が測定領域M11と同形状および同大に形成されており、測定領域M11が円環の中心円に配置され、測定領域M11の全周を取り囲むように形成されている。
また、本実施形態では、反射領域M12の環状部の幅t2と、測定領域M11の直径t1とを、t2≧t1/2(例えば、測定領域M11の直径t1を4mmとしたとき、反射領域M12の環状部の幅t2を、測定領域M11の半径である2mm以上)とすることが望ましい。このように、反射領域M12の環状部の幅t2を、測定領域M11の半径以上の大きさにし、反射領域M12の面積を測定領域M11の面積よりも大きくすることで、反射領域M12にて拡散反射させる光を一段と増強させることができる。
撮像面5aの上部領域7は、下部領域6と同じ黒色に配色されており、所定位置に参照用マークM2が描画されている。参照用マークM2は、4つの第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24と、第2参照用測定領域M26と、第2参照用測定領域M26の周囲を取り囲んだ参照用反射領域M25とから構成されている。
参照用反射領域M25および第2参照用測定領域M26は、下部領域6に設けられた測定用マークM1の反射領域M12および測定領域M11と同色、同階調、同形状および同大に形成されている。具体的には、第2参照用測定領域M26は、測定領域M11と同じ黒色に配色されており、円形状に形成されている。
参照用反射領域M25は、反射領域M12と同色、同階調、同形状および同大に形成されている。本実施形態の参照用反射領域M25は、反射領域M12と同じ光を拡散反射させる白色に配色されており、円環状に形成されている。また、参照用反射領域M25は、円環の中心円に第2参照用測定領域M26が配置され、第2参照用測定領域M26の全周を取り囲むように形成されている。
4つの第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24は、参照用反射領域M25および第2参照用測定領域M26を中心にした四辺の四隅に配置されている。また、第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24は、光を拡散反射させる白色に配色されており、円形状に形成されている。
(4)携帯端末の回路構成
次に、演算処理装置としての携帯端末3の回路構成について説明する。図6は、本実施形態の携帯端末3の回路構成を示すブロック図である。図6に示すように、携帯端末3は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等からなるマイクロコンピュータ構成の制御部20を備えている。
また、携帯端末3は、撮像部11、輝度値算出部21、露出条件調整部22、画像処理部23、通信処理部24、記憶部25、表示部9、操作部27および濁度測定部28がバス30を介して制御部20に接続された構成を有する。
制御部20は、ROMに予め格納されている基本プログラムや、画像処理プログラム、照度補正処理プログラム等の各種プログラムをRAMにロードして立ち上げることにより、携帯端末3における各種機能を統括的に制御する。
撮像部11は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を用いて、サンプル保持具2を撮像することにより、サンプルSの濁度を測定するための撮像画像を生成する。
操作部27は、例えば、表示部9に設けられたタッチパネル等であり、作業者によって各種命令が入力される。制御部20は、表示部9に表示された撮影ボタンB1等、操作部27からの操作命令に従って、撮像部11による撮像画像の取得等を実行する。表示部9は、LCD(Liquid Crystal Display)や、OLED(Organic light-Emitting Diode)等であり、撮像部11により撮像された撮像画像等の各種情報を表示する。
画像処理部23は、表示部9の撮影ボタンB1がタッチされることにより得られる撮像画像に対して、必要に応じて第1指定枠ER1および第2指定枠ER2に基づいた抽出画像の生成や、グレースケール変換、平滑化処理、ハフ変換等の画像処理を実行する。通信処理部24は、他のコンピュータ等との間でインターネットを介してデータ通信する。
記憶部25は、例えば、半導体メモリまたはハードディスク等の記憶媒体により構成され、携帯端末3で実行する各種プログラムや、撮像画像、当該撮像画像から抽出した抽出画像、各種データを記憶する。また、記憶部25は、照度補正処理時に順次取得した撮像画像を一時的に記憶する。
輝度値算出部21は、照度補正処理時、および、その後の濁度測定処理時に、それぞれ撮像画像内から検出した所定領域(注目領域)内の輝度値を算出する。具体的には、輝度値算出部21は、撮像画像内から検出した所定領域内の輝度値を算出する際、当該所定領域内における画素のR値(赤)の平均値(以下、R値平均値Rmeanと称する)と、G値(緑)の平均値(以下、G値平均値Gmeanと称する)と、B値(青)の平均値(以下、B値平均値Bmeanと称する)とを算出する。
そして、輝度値算出部21は、これらR値平均値Rmeanと、G値平均値Gmeanと、B値平均値Bmeanと用いて、下記の式(1)から、所定領域内の輝度値の平均値(以下、平均輝度値Imeanと称する)を算出する。
Figure 2023106637000002
輝度値算出部21は、例えば、照度補正処理時、画像処理部23によって画像処理が行われた撮像画像内に写る被写体の中から、第2指定枠ER2により4つの第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24を所定領域として検出する。
輝度値算出部21は、撮像画像内から検出した4つの第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24の中心を検出し、各中心から所定画素(例えば、20画素)までを半径とした円形領域を注目領域とし、注目領域内における、R値平均値Rmean、G値平均値GmeanおよびB値平均値Bmeanを算出する。
そして、輝度値算出部21は、撮像画像内に写った4つの第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24毎に上記の式(1)を用いて平均輝度値Imeanをそれぞれ算出し、さらにそれぞれ算出した複数の平均輝度値Imeanの平均輝度値(以下、第1参照輝度値Iwhiteと称する)を算出する。
露出条件調整部22は、照度補正処理時、輝度値算出部21により算出した第1参照輝度値Iwhiteと、予め設定した目標値Iと、の差分error(すなわち、error=I-Iwhite)の絶対値を算出する。なお、目標値Iは、輝度値の階調を示す0から256までの間のいずれかの数値であり、検証試験によって予め最適な数値が選定される。
露出条件調整部22は、照度補正処理時、下記の式(2)に基づいて、差分errorの絶対値が所定基準値以下(ここでは、0.05以下)であるか否かを判断する。なお、所定基準値は、一例として、0.05としたが、検証試験によって予め最適な値が選定される。この所定基準が大きすぎると測定精度が保てなくなり、一方、所定基準値が小さすぎると、下記の式(2)を満たすために多大な撮影の繰り返しが必要になるという観点から、所定基準としては、0.01以上0.5以下であることが望ましい。
|error|≦0.05 …(2)
露出条件調整部22は、差分errorの絶対値が上記の式(2)の条件を満たさないとき(すなわち、|error|>所定基準値(ここでは0.05)のとき)、露光時間を調整するための露出条件調整命令を生成し、これを撮像部11に送出する。撮像部11は、露出条件調整命令を受け取ると、露出条件調整命令に基づいて露光時間の設定を調整する。
ここで、露出条件調整部22は、下記の式(3)に基づいて、撮像部11に対して露光時間の調整を行わせる。
exposuretime ← exposuretime + r・error …(3)
上記の式(3)のexposuretimeは、露光時間[μs]を示し、rは、露光時間の更新率[μs]を示す。errorを目標の値の範囲(本実施形態では[-0.05,+0.05])に収束させるために、露光時間の更新率は、予め行った検証試験により、環境光の照度および目標値Iの値に応じて適宜決定した値とすればよい。露光時間の更新率は、一例としては、下記の表1のように決めることができる。
Figure 2023106637000003
なお、上記の表1は、環境光の照度と、目標値Iと、露光時間の更新率との関係を分かり易くするために、具体的に数値を規定した一例であり、これに限定されるものではなく、環境光の照度や、露出時間の調整間隔等を状況に応じて適宜設定することが望ましい。
本実施形態では、例えば、図示しない照度検出器によって周囲の環境光の照度を検出する。携帯端末3には、図1に示したように、携帯端末3の表示部9に、検出した周囲の環境光の照度(ここでは、200[lux]、400[lux]、600[lux]、800[lux]、1000[lux])を設定する設定ボタンB2が表示されており、照度検出器による照度の検出結果に基づいて、現在の環境光の照度が作業者によって設定ボタンB2により選択され、表1中の環境光の照度が決定される。
露出条件調整部22は、設定ボタンB2により環境光の照度が決定されると、決定した環境光の照度と、照度補正処理時の目標値Iと、に対応した露出時間の更新率を、例えば、上記の表1から決定する。
これにより、露出条件調整部22は、差分errorの絶対値が上記の式(2)の条件を満たしていないとき(すなわち、|error|>所定基準値(ここでは0.05)のとき)、決定した露出時間の更新率を利用して、上記の式(3)に基づいて露光時間を更新し、更新した露光時間を示した露出条件調整命令を生成し、これを撮像部11に送出する。これにより、撮像部11は、露出条件調整命令に基づいて、現在設定されている露光時間を、更新した新たな露光時間に変更した後、サンプル保持具2を再び撮像し、明るさが変更された新たな撮像画像を取得する。
これにより、画像処理部23は、新たに取得された撮像画像を撮像部11から受け取り、当該撮像画像に対して画像処理を行い、これを再び輝度値算出部21へ送出する。輝度値算出部21は、露光時間の調整により明るさが変わった撮像画像内に写った4つの第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24の平均輝度値Imeanをそれぞれ算出し、それぞれ算出した複数の平均輝度値Imeanの平均輝度値である第1参照輝度値Iwhiteを再び算出する。
露出条件調整部22は、照度補正処理時、輝度値算出部21により算出した新たな第1参照輝度値Iwhiteと、予め設定した目標値Iと、の差分errorの絶対値を算出し、上記の式(3)に基づいて、差分errorの絶対値が所定の所定基準値以下であるか否かを再び判断する。
このようにして、撮像部11、輝度値算出部21および露出条件調整部22は、差分errorの絶対値が上記の式(3)の条件を満たすまで、撮像画像の取得と、第1参照輝度値Iwhiteの算出と、露光時間の更新と、を繰り返し行い、撮像画像を取得する際の露光時間を調整してゆき、撮像画像内の明るさを所定の明るさに設定する。
露出条件調整部22は、露光時間の調整によって撮像画像内の明るさが所定の明るさになったと判断すると、この所定の明るさになった撮像画像を記憶部25に保存させる。これにより、制御部20は、照度補正処理を終了し、濁度測定処理に移行する。
濁度測定処理時、輝度値算出部21は、記憶部25に保存された所定の明るさの撮像画像を読み出し、上記の式(1)に基づいて、当該撮像画像から第2参照用測定領域M26内の平均輝度値Imean(以下、第2参照輝度値Iblackと称する)を算出する。また、輝度値算出部21は、照度補正処理により所定の明るさに調整された撮像画像から、サンプルSを通して撮像されている測定領域M11内の平均輝度値Imean(以下、サンプル輝度値Itestと称する)を、上記の式(1)に基づいて算出する。
輝度値算出部21は、照度補正処理により所定の明るさに調整された撮像画像から算出した、第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24内の第1参照輝度値Iwhiteと、第2参照用測定領域M26内の第2参照輝度値Iblackと、をバックグラウンドとして用いて、線型リスケーリング法に従い、下記の式(4)に基づき、輝度値をリスケールした測定輝度値Irescaleを算出する。
Figure 2023106637000004
上記の式(4)から算出される測定輝度値Irescaleは、黒色の第2参照用測定領域M26内での輝度値を0とし、白色の第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24内の輝度値を256としたときに、測定領域M11内の輝度値が、その幅のどこにあるのか示す数値を示すものである。なお、上記の式(4)中、256の数値は、仮にサンプル輝度値Itestが第1参照輝度値Iwhiteと等しい場合に得られる測定輝度値Irescaleの数値であるが、本発明はこれに限らず、この数値は256以外の数値であってもよい。この数値を予め設定した所定の定数Cとすると、上記の式(4)は下記の式(5)のように表わすことができる。
rescale=C×((Itest-Iblack)/(Iwhite-Iblack))…(5)
なお、線型リスケーリング法については、例えば、非特許文献である「J. I. Hong and B. Y. Chang. Development of the smartphone-based colorimetry for multi-analyte sensing arrays. Lab on a Chip, 14(10):1725-1732, 2014」や、「M. Jia, Q. Wu, H. Li, Y. Zhang,Y.Guan, and L. Feng. The calibration of cellphone camera-based colorimetric sensor array and its application in the determination of glucose in urine. Biosensors and Bioelectronic, 74:1029-1037, 2015.」や、「T. Kong, J. B. You, B. Zhang,B.Nguyen, F. Tarlan, K. Jarvi, and D. Sinton. Accessory-free quantitative smartphone imaging of colorimetric paper-based assays. Lab on a Chip, 19(11):1991-1999, 2019.」等に開示されていることから、ここではその説明は省略する。
輝度値算出部21は、濁度測定処理時、算出した測定輝度値Irescaleを濁度測定部28に送出する。濁度測定部28は、例えば、測定輝度値IrescaleとサンプルSの濁度との関係を予め規定したデータに基づいて、算出した測定輝度値IrescaleからサンプルSの濁度を測定する。
なお、本実施形態では、携帯端末3に濁度測定部28を設け、携帯端末3でサンプルSの濁度を測定するようにしたが、本発明はこれに限らず、携帯端末3に濁度測定部28を設けずに、算出した測定輝度値Irescaleを、インターネットを介して他のコンピュータに送信し、当該他のコンピュータの濁度測定部で濁度を測定するようにしてもよい。
(5)照度補正処理手順
次に、上述した照度補正処理手順について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。携帯端末3の制御部20は、表示部9の撮影ボタンB1が作業者によりタッチされると、図7に示すように、照度補正処理を開始してステップS1に移る。ステップS1において、撮像部11は、現在撮像しているサンプル保持具2の撮像画像を取得し、次のステップS2に移る。
ステップS2において、画像処理部23は、ステップS1で取得した撮像画像に対して、グレースケール変換や平滑化処理、ハフ変換等の画像処理を行い、次のステップS3に移る。
なお、照度補正処理時に、表示部9の第1指定枠ER1内に収められた画像を撮像画像の中から抽出し、得られた抽出画像を用いる場合、ステップS2において、画像処理部23は、第1指定枠ER1に基づいて撮像画像から抽出画像を生成し、当該抽出画像に対して、グレースケール変換、平滑化処理およびハフ変換等の画像処理等を行う。
ステップS3において、輝度値算出部21は、撮像画像内に写った4つの第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24から第1参照輝度値Iwhiteを算出する。次いで、露出条件調整部22は、第1参照輝度値Iwhiteと、予め設定した目標値Iと、の差分errorの絶対値を算出し、算出した差分errorの絶対値が、上記の式(2)の条件を満たしているか否かを判断する。
ステップS3において、否定結果が得られると、このことは差分errorの絶対値が、上記の式(2)の条件を満たしていないこと、すなわち、ステップS1で取得した撮像画像が所定の明るさで撮像されていなかったことを表しており、このとき露出条件調整部22は、次のステップS4に移る。
ステップS4において、露出条件調整部22は、撮像部11に現在設定されている露光時間を、上記の式(3)に基づいて新たな露光時間に更新して、撮像部11の露光時間を調整し、再びステップS1に戻る。ステップS1において、撮像部11は、露出条件調整部22からの露出条件調整命令に基づいて、露光時間を新たな露光時間に設定し直し、サンプル保持具2を再び撮像して撮像画像を取得し、次のステップS2およびステップS3に順次移る。
このように、ステップS3において肯定結果が得られるまで、上述したステップS4、ステップS1、ステップS2およびステップS3の処理を繰り返す。
これに対して、ステップS3で肯定結果が得られると、このことは差分errorの絶対値が、上記の式(2)の条件を満たしていること、すなわち、ステップS1で取得した撮像画像が所定の明るさで撮像されていることを表しており、このとき露出条件調整部22は、次のステップS5に移る。
ステップS5において、記憶部25は、所定の明るさで撮像された撮像画像を保存し、上述した照度補正処理手順を終了する。その後、制御部20は、濁度測定処理に移行し、所定の明るさの撮像画像に基づいて測定輝度値Irescaleを算出するとともに、算出した測定輝度値Irescaleに基づいて濁度を測定する。
(6)作用および効果
以上の構成において、濁度測定装置1は、サンプルSの背後に配置された濁度測定用パネル5を、撮像部11によりサンプルSを通して撮像し(撮像ステップ)、携帯端末3によって、撮像部11で取得した撮像画像からサンプル輝度値Itestを算出し、当該サンプル輝度値Itestに基づいてサンプルSの濁度を測定する(演算処理ステップ)。
この際、濁度測定装置1は、濁度測定用パネル5の測定領域M11に隣接した反射領域M12によりサンプルSを透過した環境光を拡散反射させつつ、撮像部11によって濁度測定用パネル5の測定領域M11を撮像し、撮像画像内の測定領域M11からサンプル輝度値Itestを算出するようにした。
これにより、濁度測定装置1は、濁度測定用パネル5に設けた反射領域M12によって、サンプルS内における散乱光の検出感度を向上させることができるので、環境光の下でもサンプルSの濁度を測定することができる。また、環境光の下でも濁度を測定し易くなるため、従来のような赤外線LED等の光学系が不要となり、その分、従来に比して簡易な構成にできる。
本実施形態の濁度測定用パネル5では、測定領域M11の周囲を取り囲むように反射領域M12を設けたことで、反射領域M12にて拡散反射させた光を測定領域M11の周囲から測定領域M11に均一に与えることができ、測定領域M11での散乱光の検出感度を向上させることができる。
さらに、濁度測定用パネル5では、測定領域M11の周囲に設けた反射領域M12の面積を、測定領域M11の面積よりも大きく形成することで、反射領域M12にて拡散反射させる光を一段と増強し得、測定領域M11での散乱光の検出感度を向上させることができる。
これに加えて、濁度測定装置1は、反射領域M12と同色同階調で、かつ、サンプルSを介在せずに撮像部11により撮像される第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24を濁度測定用パネル5に設けるようにした。そして、携帯端末3は、照度補正処理を実行し、撮像画像内の第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24から第1参照輝度値Iwhiteを算出し、算出した第1参照輝度値Iwhiteに基づいて、撮像画像の明るさが所定の明るさであるか否かを判断するようにした。
その結果、撮像画像が所定の明るさでない場合には、露出条件調整部22によって、撮像部11での露光時間の設定を調整し、調整した露出時間で撮像部11に新たな撮像画像を取得させるようにした。
これにより、濁度測定装置1では、環境光の明るさが異なる場所でも、照度補正処理によって常に所定の明るさに調整された撮像画像を取得することができるので、撮像画像内の測定用マークM1に基づいて輝度値を算出する際に環境光による影響を低減し得、算出した輝度値に基づいてサンプルSの濁度を一段と正確に測定することができる。
また、これに加えて、濁度測定用パネル5には、測定領域M11と同色同階調で、かつ、サンプルSを介在せずに撮像部11により撮像される第2参照用測定領域M26を設け、さらに、反射領域M12と同色同階調で、かつ、サンプルSを介在せずに撮像部11により撮像される参照用反射領域M25を、第2参照用測定領域M26と隣接して設けるようにした。
携帯端末3では、サンプル輝度値Itestに基づいてサンプルSの濁度を測定する際、所定の明るさに補正した撮像画像内の測定領域M11から算出したサンプル輝度値Itestと、所定の明るさに補正した撮像画像内の第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24から算出した第1参照輝度値Iwhiteと、所定の明るさに補正した撮像画像内の前記第2参照用測定領域M26から算出した第2参照輝度値Iblackと、に基づいて、サンプルSの濁度を測定するための測定輝度値Irescaleを算出するようにした。
すなわち、携帯端末3では、黒色の第2参照用測定領域M26内での輝度値を0とし、白色の第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24内の輝度値を256として、測定領域M11内の輝度値が、その幅のどこにあるのか示す測定輝度値Irescaleを算出する。
これにより、濁度測定装置1では、サンプルSを介在せずに撮像部11により撮像されたときの第1参照輝度値Iwhiteおよび第2参照輝度値Iblackを基準に測定輝度値Irescaleを算出することができるので、単に、サンプル輝度値ItestのみからサンプルSの濁度を測定する場合に比して、サンプルSの濁度を一段と正確に測定できる。
(7)検証試験
次に、上述した濁度測定装置1を実際に作製し、作製した濁度測定装置1を用いて行った各種検証試験について以下説明する。
(7-1)濁度標準液の調製
本実施形態に係る濁度測定方法による、懸濁液での散乱光の検出能力を評価するために、サンプルSとしてポリスチレン濁度標準液(以下、単に濁度標準液とも称する)を用いた。ポリスチレン濁度標準液100度(関東化学社製)をMilli-Q水で希釈することで、所望の濃度の濁度標準液を調製した。なお、Milli-Q水とは、メルク株式会社のMilli-Q水製造装置により得られる超純水である。
(7-2)試薬の調製
また、ラテックス凝集法の試薬としてはN-ラテックスIgAキット(SIEMENS社)を用いた。N-ラテックスIgAキットのIgA補助試薬Bを25μLとり、IgA補助試薬Aの1バイアル(1mL)に加え、ボルテックスミキサーで攪拌し、これを補助試薬とした。また、N-ラテックスIgAキットのラテックスIgA試薬1バイアルに、2mLのMilli-Q水を加えて溶解した。これをボルテックスミキサーで攪拌し、15分間静置した。そして、これに補助試薬1mLを加えることで、検証試験に使用する、3mLのラテックスIgA試薬を得た。
(7-3)ラテックス凝集法
検証試験で行ったラテックス凝集法では、4.5mg/mLのヒト血清IgA(Jackson Immuno Research 社)と、上記のラテックスIgA試薬と、リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate-Buffered Saline:PBS)とを用いた。 これらを混和してIgAサンプルとした。
具体的には下記のようにIgAサンプルを作製した。なお、ここでは、混和後のIgAサンプルの体積をVとする。初めにヒト血清IgAをPBSで希釈した。最終的なIgAサンプル中のIgAが所望の濃度になるように、所定量のヒト血清IgAをPBSに加えた。PBSは、ヒト血清IgAを加えた結果、体積がV/2となるようにした。PBSにヒト血清IgAを加えた後、これをおだやかに混和した。
次に、ラテックスIgA試薬が50倍に希釈されるように、PBSに、ラテックスIgA試薬を加えて、ボルテックスミキサーで攪拌した。最後に、この希釈されたラテックスIgA試薬(V/2)を、上記の希釈されたヒト血清IgA(V/2)に加え、これをIgAサンプルとした。
(7-4)濁度測定用パネルの作製
次に、検証試験に用いた濁度測定用パネル5の作製方法について説明する。初めに、ベクトル画像描画ソフトInkscapeを用いて、図5に示したような測定用マークM1および参照用マークM2のパターンを作製し、この画像ファイルを、プリンターで普通紙に印刷した。測定用マークM1および参照用マークM2のパターンが描画された普通紙を、ハサミを用いて幅30mm×縦40mmに切り抜いて、図5に示すような濁度測定用パネル5を作製した。
濁度測定用パネル5の測定用マークM1のうち、円形の測定領域M11の直径t1は4mmとし、その周囲にある反射領域M12の環状部の幅t2は、検証試験に応じて変えた。参照用マークM2のうち、円形の第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24の直径t3は、測定領域M11と同じ4mmとした。また、円形の第2参照用測定領域M26の直径t4も測定領域M11と同じ4mmとし、その周囲にある参照用反射領域M25の環状部の幅t5は2mmとした。
(7-5)サンプル保持具の作製
次に、検証試験に用いたサンプル保持具2の作製方法について説明する。初めに、おおよそ厚さ5mm×幅22mm×縦22mm程度のシリコーンシートを複数枚準備し、そのうち一辺に、サンプル収容部4となる10mm×10mmの正方形状の切り欠きを形成した。そして、正方形状の切り欠きが一致するようにして、合計の厚さが、決められた値になるように、複数のシリコーンシートを重ね合わせて貼り付けて、収容部本体17を作製した。
そして、図4に示したように、収容部本体17の正面に、第1透明基板16aとして、一辺が22mm×22mmの正方形のスライドガラスを貼り付け、当該収容部本体17の背面に、第2透明基板16bとして、幅30mm×縦40mmの長方形のスライドガラスを貼り付けた。また、図4に示したように、収容部本体17の背面側には、第2透明基板16bとしたスライドガラスに、濁度測定用パネル5を貼り付け、さらに濁度測定用パネル5の背面に、第3透明基板16cとして、幅30mm×縦40mmの長方形のスライドガラスを貼り付け、サンプル保持具2を作製した。
(7-6)セットアップ
携帯端末3として、スマートフォン(Galaxy S8 (Sumsung Electronics社))を用いた。パーソナルコンピュータ(PC)として、Windows10(Microsoft社)を搭載したThink Pad(Lenovo社)を用意し、PCとスマートフォンとをUSBケーブルで接続して、PCからスマートフォンを遠隔操作できるようにした。
PCによるスマートフォンの遠隔操作はAndroid専用のアプリケーションVysor (Google社)を用いた。また、写真撮影の環境を固定するために、撮影ボックス(SAMTIAN 社)を用意し、デジタル照度計(モノタロウ社)、サンプル保持具2およびスマートフォンを撮影ボックス内に設置した。なお、撮影ボックス内の内壁には白色の背景布を設けた。サンプル保持具2およびスマートフォンは、それぞれ支持台によって支持した。また、サンプル保持具2とスマートフォンの撮像部11との距離は約15cm程度とした。
撮影時に、サンプル保持具2のスライドガラス(第1透明基板16aおよび第2透明基板16b)の鏡面反射の影響を低減するために、スマートフォンを支持する支持台のうち、サンプル保持具2側に位置する面に反射防止剤(キヤノン化成社)を塗った。
スマートフォンでサンプル保持具2を撮影したときに、サンプル保持具2がスマートフォンの撮像部11の視野中央に位置するようにして、スマートフォンおよびサンプル保持具2を支持している支持台を、撮像ボックス内の白色の背景布に接着テープで固定した。なお、デジタル照度計の測定部は撮影ボックス内の所定位置に設定し、デジタル照度計の表示部は撮像ボックスの外に設置し、撮像ボックス内の照度を確認できるようにした。
42個の白色LED(Light Emitting Diode)を備えた照明具を、サンプル保持具2の真上に位置させるように撮影ボックス上部に設置した。この際、撮像ボックス内の照明具の下方に白色の布を張り、照明具と、サンプル保持具2およびスマートフォンと、の間を布で仕切ることで、照明具からの光を拡散させた。
そして、検証試験の際には、必要に応じて照明具の白色LEDの発光強度を変えて、撮影ボックス内の環境光を所望の照度とした。また、サンプル保持具2のスライドガラスの鏡面反射の影響を低減するために、撮像部11が設けられたスマートフォンの裏面には黒い紙を貼り付け、撮像部11のレンズだけを露出させた。
(7-7)反射領域を設けた濁度測定用パネルと、反射領域を設けない濁度測定用パネルと、の濁度の検出感度について
初めに、照度補正処理を行わないで、単に、反射領域M12を設けた濁度測定用パネル5と、反射領域M12を設けない濁度測定用パネルと、の濁度の検出感度を比較する検証試験を行った。この検証試験では、上述した「(7-1)濁度標準液の調製」に従い、濁度が0度、50度、100度の3種類の濁度標準液をサンプルSとして用意した。また、サンプル収容部4の厚さ(収容部本体17の厚さ)D1は、10mmとした。
実施例として、携帯端末3として用意したスマートフォンにおいて上述した照度補正処理を行わずに、濁度が0度、50度、100度の3種類の濁度標準液について、それぞれ濁度標準液を通して濁度測定用パネル5の測定用マークM1を、スマートフォンの撮像部11で撮像した。なお、ここでは、撮影ボックスは使わず、サンプル保持具2及びスマートフォンを単に机の上に設置して検証試験を行った。実験室における机の上の照度は測定していないが、おおよそ600lux~700luxと推測される。
その結果、図8の8A、8Bおよび8Cに示すような結果が得られた。図8の8A、8Bおよび8Cは、測定領域M11の直径t1を4mmとし、反射領域M12の環状部の幅t2を4mmとした濁度測定用パネル5の測定用マークM1を撮像したときの撮像画像である。8Aは濁度が0度、8Bは濁度が50度、8Cは濁度が100度の濁度標準液を用いたときの撮像画像である。図8の8A、8Bおよび8C中、ER3は、撮像画像内に写った測定領域M11から平均輝度値Imeanを算出した注目領域を示し、ここでは、直径20ピクセルの円内にある1245画素から平均輝度値Imeanを算出した。
また、これとは別に、比較例として、図8の8D、8Eおよび8Fのように、測定用マークM1を設けずに黒色一色に配色した濁度測定用パネル100も用意した。
比較例では、同様に、スマートフォンで上述した照度補正処理を行わずに、濁度が0度、50度、100度の3種類の濁度標準液について、それぞれ濁度標準液を通して濁度測定用パネル100を、スマートフォンの撮像部11で撮像した。なお、ここでも、撮影ボックスは使わず、サンプル保持具2及びスマートフォンを単に机の上に設置して検証試験を行った。実験室における机の上の照度は測定していないが、おおよそ600lux~700luxと推測される。
その結果、図8の8D、8Eおよび8Fに示すような結果が得られた。図8の8D、8Eおよび8Fは、反射領域M12を設けない比較例(すなわち、反射領域M12の環状部の幅t2が0mm)の濁度測定用パネル100の黒色箇所を撮像したときの撮像画像である。8Dは濁度が0度、8Eは濁度が50度、8Fは濁度が100度の濁度標準液を用いたときの撮像画像である。図8の8D、8Eおよび8F中、ER3は、上記と同様に、撮像画像から平均輝度値Imeanを算出した注目領域を示す。
そして、このようにしてスマートフォンで取得した各撮像画像を、スマートフォンからPCに転送し、PCにおいて、各撮像画像内の注目領域ER3を特定した後、各注目領域ER3内の画像の平均輝度値Imeanを算出した。
この検証試験では、濁度測定用パネル5における反射領域M12の環状部の幅t2を4mmとしただけでなく、2mm、6mm、8mmとしたときに、撮像画像から算出した平均輝度値Imeanがどのように変化するかについても確認した。
図9は、反射領域M12を設けない比較例(0mmと表記)の濁度測定用パネル100と、反射領域M12の環状部の幅t2を2mm、4mm、6mm、8mmとした実施例の濁度測定用パネル5と、をそれぞれ用いたときの、濁度標準液の濁度と、撮像画像から算出した平均輝度値Imeanとの関係をまとめたグラフである。
なお、ここでn=3は、検証試験を行った回数を示したものである。すなわち、平均輝度値Imeanは、各条件でそれぞれ3つの撮像画像を得、それら3つの撮像画像からそれぞれ算出した平均輝度値Imeanの平均値を示す(n=3)。以下の検証試験においても、検証試験を行った回数をnで表記する。
図9の結果から、すべての系列で濁度と平均輝度値Imeanとに正の相関があったが、反射領域M12を設けなかった比較例では、その傾きが小さかった。図9中、領域ER5の部分は、濁度標準液内での周囲光(環境光)の散乱による影響を受けているものと言え、領域ER6の部分は、反射領域M12による影響を受けているものと言える。
以上より、反射領域M12を設けた実施例では、反射領域M12を設けない比較例に比べて、傾きが増加していることが確認でき、検出感度が増加していると言える。よって、濁度測定用パネル5に設けた反射領域M12によって、サンプルS内における散乱光の検出感度を向上させることできるので、環境光の下でもサンプルSの濁度を測定することができることが確認できた。
また、測定領域M11の周囲に設けた反射領域M12の面積を大きくすることで、平均輝度値Imeanが次第に大きくなることも確認できた。よって、反射領域M12の面積を大きくすることで、反射領域M12にて拡散反射させる光が増強されていることが確認できた。
(7-8)照度補正処理を行った場合と、行わなかった場合の測定輝度値Irescaleについて
次に、上述した照度補正処理を行った場合と、行わなかった場合と、についてそれぞれ測定輝度値Irescaleを算出し、算出した測定輝度値Irescaleを比較する検証試験を行った。
ここでの検証試験では、サンプル収容部4の厚さ(収容部本体17の厚さ)D1は30mmとした。また、濁度が35度の濁度標準液を使用し、環境光の照度を200lux、600lux、1000luxに変えた。
図10の10A、10Bおよび10Cは、携帯端末3として用いたスマートフォンで、照度補正処理による露光時間の調整を行わずに(図10中、「露光調整」「なし」と表記)、露光時間を10msに固定したスマートフォンの撮像部11で、濁度測定用パネル5を撮像したときの撮像画像を示す。
図10の10Aは、環境光の照度が200luxのときの撮像画像であり、10Bは、環境光の照度が600luxのときの撮像画像であり、10Cは、環境光の照度が1000luxのときの撮像画像である。これら10A、10Bおよび10Cについて目視で確認すると、環境光の照度が変わることで撮像画像の明るさも変わることが確認できた。
これに対して、図10の10D、10Eおよび10Fは、携帯端末3として用いたスマートフォンで、照度補正処理による露光時間の調整を行い(図10中、「露光調整」「あり」と表記)、スマートフォンの撮像部11で濁度測定用パネル5を撮像したときの撮像画像を示す。
この検証試験で行った照度補正処理では、目標値Iを180とし、上述した表1に基づいて、露出時間の更新率を決め、上記の式(2)の条件(|error|≦0.05)を満たすまで、スマートフォンの撮像部11における露光時間を更新した。
図10の10Dは、環境光の照度が200luxのときに、露光時間を調整した撮像部11で撮像した撮像画像であり、10Eは、環境光の照度が600luxのときに、露光時間を調整した撮像部11で撮像した撮像画像であり、10Fは、環境光の照度が1000luxのときに、露光時間を調整した撮像部11で撮像した撮像画像である。10D、10Eおよび10Fについて目視で確認すると、環境光の照度が変わっても、照度補正処理を行うことで撮像画像の明るさを、ほぼ一定の明るさに維持できることが確認できた。
次に、照度補正処理を行わずに撮像部11の露光時間を2.5msに固定し、濁度が32度、33度、34度、35度の4種類の濁度標準液について、環境光の照度と測定輝度値Irescaleとの関係を調べたところ、図11の11Aに示すような結果が得られた。
図11の11Bは、左側の11Aの結果を、濁度と測定輝度値Irescaleとの関係で表したものである。すなわち、11Bは、異なる照度の環境光の下で得られた測定結果を照度で区別せずに、濁度毎に1つの群として表しており、11Aのグラフ内で同じ濁度を示す5つの点を1つの点にまとめて示したものである。
11Aおよび11Bから、濁度が変わることによる測定輝度値Irescaleの変動よりも、環境光の照度が変わることによる測定輝度値Irescaleの変動の方が大きいことが確認できた。その結果、11Bに示すように、算出した測定輝度値Irescaleに基づいて、濁度の違いを検出することが困難であった。
次に、照度補正処理を行い、撮像部11の露光時間を調整して、濁度が32度、33度、34度、35度の4種類の濁度標準液について、環境光の照度と測定輝度値Irescaleとの関係を調べたところ、図11の11Cに示すような結果が得られた。なお、照度補正処理を行う際の目標値Iは140とした。
図11の11Dは、11Bと同様に、左側の11Cの結果を、濁度と測定輝度値Irescaleとの関係で表したものである。すなわち、図11の11Dは、異なる照度の環境光の下で得られた測定結果を照度で区別せずに、濁度毎に1つの群として表しており、11Cのグラフ内で同じ濁度を示す5つの点を1つの点にまとめて示したものである。
図11の11D中、**印は、多重比較検定によって、濁度の差が1度である2つの群の平均値の間のp値がp<0.001となって、有意差が認められたことを示す。
図11の11Cから、同じ濁度については環境光の照度が変化しても、測定輝度値Irescaleの値が大きく変化しておらず、露光時間を固定した11Aの結果と比較して、環境光の照度による測定輝度値Irescaleの変動が小さくなることが確認できた。また、図11の11Dから、照度補正処理により露光時間を調整することで、環境光の照度の影響を減らして濁度を測定できることを確認することができた。
(7-9)IgAの濃度と測定輝度値Irescaleとの関係について
次に、異なる照度の環境光の下で、IgAサンプルの濃度を変え、スマートフォン(携帯端末3)で照度補正処理を行い、得られた撮像画像から測定輝度値Irescaleを算出した。この検証試験では、環境光の照度を200lux、600lux、800lux、1000luxと変化させて、濃度が0mg/L、10mg/L、20mg/L、30mg/LのIgAサンプルについて、スマートフォンでそれぞれ撮像画像を取得して照度補正処理を行い、明るさが一定の撮像画像を取得した。
なお、サンプル収容部4の厚さ(収容部本体17の厚さ)D1は30mmとし、サンプル保持具2にて2.7mLのIgAサンプルを保持できるようにした。また、照度補正処理時の目標値Iは140とした。
なお、図12の12Aおよび12Bは、Igaサンプル(サンプルS)の濃度を0mg/Lとし、環境光の照度を200luxと1000luxとしたときに、スマートフォンによって照度補正処理を行い、露光時間が調整されたときの撮像画像を示す。
図12の12Cおよび12Dは、Igaサンプル(サンプルS)の濃度を30mg/Lとし、環境光の照度を200luxと1000luxとしたときに、スマートフォンによって照度補正処理を行い、露光時間を調整したときの撮像画像を示す。
図13は、環境光の照度を200lux、400lux、600lux、800lux、1000luxと変化させて、濃度が0mg/L、10mg/L、20mg/L、30mg/LのIgAサンプルについて、スマートフォンでそれぞれ撮像画像を取得して照度補正処理を行い、明るさが一定の撮像画像を取得し、取得した各撮像画像から算出した測定輝度値Irescaleと、IgA濃度との関係をまとめたグラフである。
この図13は、異なる照度の環境光の下で得られた測定結果を照度で区別せずに、IgA濃度毎に1つの群として表しており、同じIgA濃度で得られた5つの照度(200lux、400lux、600lux、800lux、1000lux)での結果を1つの点にまとめて示したものである。なお、**印は、多重比較検定の結果、2つの群の平均値の間に有意差が認められたことを示す。
図13の結果から、いずれの照度の環境光下においても、測定輝度値Irescaleは、IgA濃度が0mg/Lから20mg/Lまでの間では増加することが確認できた。IgA濃度0mg/Lのサンプルと、他の3つの濃度のIgAサンプルから得た測定輝度値Irescaleの間でそれぞれp値がp<0.001となり(図13中、「**」印で表記)、有意差が認められた。
なお、この検証試験では、20mg/Lから30mg/Lの間で測定輝度値Irescaleが減少しているが、IgA濃度が10mg/Lより大きい範囲では、ラテックス粒子の凝集が飽和した可能性があると推測できる。
以上より、この検証試験の結果から、本実施形態の濁度測定装置1を用いることで、異なる照度の環境光の下においても、サンプルS中のIgAの有無を検出することが可能であることが確認できた。よって、本実施形態の濁度測定装置1は、免疫比濁法にも使用し得、サンプルに含まれる抗原の有無を測定できることが確認できた。
免疫比濁法であるラテックス凝集法は、IgAに限らず、アルブミンを測定したり、トランスフェリンを測定したり、近年、健康診断で既に使われている技術であるが、本実施形態の濁度測定装置1を用いることで、作業者が携帯可能なスマートフォンを利用して、場所等を問わず、簡単にラテックス凝集法でIgAやアルブミン等の測定できることになる。
(7-10)照度補正処理時に使用する目標値Idについて
本検証試験では、照度補正処理時に使用する目標値Iの最適な値を検討するために、サンプル輝度値Itestに着目した。具体的には、環境光の照度と濁度標準液の濁度とを変え、それぞれの条件下で、スマートフォンにおいて照度補正処理を行う際の目標値Iを変えて、それぞれ得られた撮像画像からサンプル輝度値Itestを算出した。
サンプル収容部4の厚さD1は30mmとした。また、照度補正処理時における目標値Iは60、140、240とした。そして、環境光の照度を200lux、400lux、600lux、800lux、1000luxと変化させて、濁度が32度、33度、34度、35度の濁度標準液について、スマートフォンでそれぞれ撮像画像を取得し、上記の目標値Iで照度補正処理を行い、各目標値Iに応じた明るさに調整した撮像画像を得た。
そして、照度補正処理により、各目標値Iに応じた明るさに調整した各撮像画像から、それぞれ濁度標準液を通して撮像されている測定領域M11内の平均輝度値Imean(サンプル輝度値Itest)を、上記の式(1)に基づいて算出した。
その結果、図14に示すような結果が得られた。図14は、環境光の照度を横軸に示し、サンプル輝度値Itestを縦軸に示しており、濁度毎に測定結果を示している。図14の14Aは、目標値Iが60のときの測定結果を示し、図14の14Bは、目標値Iが140のときの測定結果を示し、図14の14Cは、目標値Iが240のときの測定結果を示す。
図14の14Aに示すように、目標値Iを60に設定したときには、環境光の各照度において、濁度の違いによるサンプル輝度値Itestの変化量が小さいことが確認できた。一方、図14の14Cに示すように、目標値Iを240に設定しときには、目標値Iを60に設定したときに比べて、環境光の各照度において、濁度の違いによるサンプル輝度値Itestの変化量が大きくなるものの、環境光の照度の違いによってサンプル輝度値Itestが変動することが分かった。
以上より、目標値Iを小さくすると、濁度の違いによるサンプル輝度値Itestの変化が小さくなってしまい、一方、目標値Iを大きくすると、環境光の照度の違いによる影響が大きくなってしまうことが確認できた。
目標値Iを大きい値に設定すると、環境光の照度の変化による影響を受ける原因について検討するために、目標値Iが140、240のときに、撮像画像内の測定領域M11から算出したR値平均値Rmean、G値平均値GmeanおよびB値平均値Bmeanと、同じく撮像画像内の第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24から算出したR値平均値Rmean、G値平均値GmeanおよびB値平均値Bmeanと、を確認した。
図15の15Aおよび15Cは、濁度が35度の濁度標準液を使用し、目標値Iを140、240に設定したときの、環境光の照度と、第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24から算出したR値平均値Rmean、G値平均値GmeanおよびB値平均値Bmeanと、上記の式(1)に基づいてR値平均値Rmean、G値平均値GmeanおよびB値平均値Bmeanから算出した第1参照輝度値Iwhiteとの関係を示したグラフである。
また、図15の15Bおよび15Dは、濁度が35度の濁度標準液を使用し、目標値Iを140、240に設定したときの、環境光の照度と、測定領域M11から算出したR値平均値Rmean、G値平均値GmeanおよびB値平均値Bmeanと、上記の式(1)に基づいてR値平均値Rmean、G値平均値GmeanおよびB値平均値Bmeanから算出したサンプル輝度値Itestとの関係を示したグラフである。
図15の15Bの結果から、目標値Iを140とした測定では、環境光の照度を変えたときに、サンプル輝度値Itestが変動しないように、RGB値(R値平均値Rmean、G値平均値GmeanおよびB値平均値Bmean)それぞれの変動が相殺したと考えられる。一方、図15の15Dの結果から、目標値Iを240とした測定では、環境光の照度の増大に対しRGB値の各値が増加し、サンプル輝度値Itestを算出する際に、これらの値が相殺しなかったことで、サンプル輝度値Itestが増加したと考えられる。
以上の結果から、目標値Iをある値に設定したときに、第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24から得られるRGB値の割合の変化を環境光の色相の変化と考えれば、目標値Iを大きい値に設定することで、環境光の色相の変化の影響が大きくなると考えられる。すなわち、目標値Iを大きい値に設定すると、露光時間を調整した際、第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24から得られるRGB値のうち、大きい値のB値が変動しにくくなり、露光時間の調整への寄与が小さくなる。その一方で、残るR値およびG値の2つの値の変動による露光時間の調整への寄与がより大きくなり、その結果、測定領域M11から得たRGB値を用いて、サンプル輝度値Itestを算出する際、露光時間調整において変動し難かったB値の影響が大きくなると考えられる。以上より、目標値Iについては240以下に設定することが望ましい。
次に、環境光の照度を200lux、400lux、600lux、800lux、1000luxとし、目標値Iを60、80、100、120、140、160、180、200、220、240として、濁度が32度、33度、34度、35度の4種類の濁度標準液からそれぞれ得た測定輝度値Irescaleについて多重比較検定を行ったところ、図16に示すような結果が得られた。
図16では、濁度の差が1度である2つの群の平均値の間のp値が、p>0.05のとき「-」印とし、p<0.05のとき「*」印とし、p<0.001のとき「**」印としている。目標値Iが100、120、140、160のとき、すなわち、100以上160以下のとき、濁度の差が1度である全ての2群間において、p<0.05となり、平均値の間に有意差が認められた。
目標値Iを80以下または180以上の値にすると、濁度の差が1度である2群で、平均値の間に有意差が認められなかったものが、少なくとも1組あった。このような結果は、露光時間を単に所定の値に固定して測定輝度値Irescaleを測定した場合に比べて、目標値Iの値を指定して照度補正処理を行い、測定輝度値Irescaleを測定した場合の方が、環境光の照度の影響を低減し、濁度の差を検出できるようになったことを示している。
以上より、目標値Iを80超180未満の範囲の値に設定することで、異なる環境光の下でも、濁度の差を識別することができることが確認できた。よって、目標値Iは、60以上240以下、好ましくは80超180未満の範囲で設定することが望ましく、さらには、100以上160以下の範囲で設定することがより望ましいことが確認できた。
(7-11)サンプル収容部の厚さについて
次に、サンプル収容部4の厚さD1を変えた際に、濁度測定に与える影響について考察した。本検証試験では、線型リスケーリングを行う前のシグナルであるサンプル輝度値Itestに着目した。厚さD1が10mm、20mm、30mmの3つのサンプル収容部4を用意して、厚さD1が異なるサンプル保持具2を作製し、濁度が32度、35度の2種類の濁度標準液について、それぞれサンプル輝度値Itestを測定した。
厚さD1が10mmのサンプル収容部4には一回の測定で1mLの濁度標準液を使用した。厚さD1が20mmのサンプル収容部4には一回の測定で1.6mLの濁度標準液を使用し、厚さD1が30mmのサンプル収容部4には一回の測定で2.7mLの濁度標準液を使用した。使用した濁度標準液の体積は、液面が水平になるように、作製したサンプル収容部4の実際の寸法にあわせて決定した。
環境光の照度は600luxに設定した。濁度測定装置1で行う照度補正処理時の目標値Iは60、120、180、240の4通りに設定した。
このように、目標値Iを60、120、180、240に設定し、目標値I毎に、サンプル収容部4の厚さD1と、算出したサンプル輝度値Itestとの関係について調べたところ、図17に示すような結果が得られた。なお、n=3は、図17の結果が3回の平均値であることを示す。
図17の17Aは、目標値Iを60としたときのサンプル収容部4の厚さD1と、算出したサンプル輝度値Itestとの関係を示し、17Bは、目標値Iを120としたときのサンプル収容部4の厚さD1と、算出したサンプル輝度値Itestとの関係を示している。また、図17の17Cは、目標値Iを180としたときのサンプル収容部4の厚さD1と、算出したサンプル輝度値Itestとの関係を示し、17Dは、目標値Iを240としたときのサンプル収容部4の厚さD1と、算出したサンプル輝度値Itestとの関係を示している。
図17の結果から、濁度が32度および35度の濁度標準液のいずれについても、全ての目標値Iにおいて、サンプル収容部4の厚さD1を厚くすることで、サンプル輝度値Itestが増加することが確認できた。
また、図17の17A中の「-0.01」や「0.81」、「1.3」、17B中の「0.75」等の各グラフ中の数値は、濁度が32度のときと35度のときとのサンプル輝度値Itestの平均値(n=3)の差を示している。これらの数値から、濁度32度と濁度35度から得たサンプル輝度値Itestの平均値の差は、全ての目標値Iにおいて、サンプル収容部4の厚さD1を厚くすることで増加する傾向にあることが確認できた。
また、サンプル収容部4の厚さD1を10mmおよび20mmとした場合には、目標値Iを大きくすることで、濁度32度と濁度35度から得たサンプル輝度値Itestの間に、より高い水準で有意差が認められた。よって、目標値Iは120以上であることが望ましい。
以上より、サンプル収容部4の厚さ(収容部本体17の厚さ)D1は、10mm以上、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上とすることが望ましいことが確認できた。
(8)他の実施の形態
上述した実施形態においては、濁度測定用パネルとして、測定用マークM1および参照用マークM2とが撮像面5aに描画された濁度測定用パネル5を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、図18に示すように、測定用マークM1のみが撮像面5aに描画された濁度測定用パネル31を適用してよい。
この場合、演算処理装置としての携帯端末3では、濁度測定用パネル31の撮像面5aに参照用マークM2が描画されていないことから、照度補正処理を行うことはなく、単に、撮像画像内に写った測定用マークM1の測定領域M11に基づいてサンプル輝度値Itestを算出する。これにより、携帯端末3は、例えば、サンプル輝度値ItestとサンプルSの濁度との対応関係を示したデータから、サンプル輝度値Itestに基づいてサンプルSの濁度を測定する。
このような構成であっても、濁度測定用パネル5に設けた反射領域M12によって、サンプルS内における散乱光の検出感度を向上させることできるので、環境光の下でもサンプルSの濁度を測定することができる。また、環境光の下でも濁度を測定し易くなるため、従来のような赤外線LED等の光学系が不要となり、その分、従来に比して簡易な構成にできる。
また、上述した実施形態においては、測定用マークとして、黒色で円形状の測定領域M11と、当該測定領域M11を取り囲む、白色で円環状の反射領域M12とを有する測定用マークM1を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。
他の実施形態の測定用マークとしては、例えば、図19の19Aに示すように、黒色で方形状の測定領域M11aと、この測定領域M11aを中心にして測定領域M11aを取り囲む、白色で四角環形状の反射領域M12aとを有する測定用マークM1aを適用してもよい。また、測定領域M11aおよび反射領域M12aの外郭形状は、正方形状以外の長方形状や、三角形状の他、五角形状等のような多角形状であってもよい。
また、図19の19Bに示すように、例えば、黒色で円形状の測定領域M11bと、この測定領域M11bが中心に配置された、白色で四角形状の反射領域M12bとを有する測定用マークM1b等、測定領域M11bと反射領域M12bとの外郭形状が異なる形状の測定用マークを適用してもよい。
また、図19の19Cに示すように、例えば、黒色で方形状の測定領域M11cと、この測定領域M11cと隣接して配置された、白色で方形状の反射領域M12cとを有し、測定領域M11cと反射領域M12cとが並んだ測定用マークM1cを適用してもよい。
このような測定用マークM1a,M1b,M1cであっても、測定領域M11a,M11b,M11cに隣接した反射領域M12a,M12b,M12cによって、サンプルS内における散乱光の検出感度を向上させることできるので、環境光の下でもサンプルSの濁度を測定することができ、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
さらに、上述した実施形態においては、参照用マークとして、測定用マークM1と同色同階調同形状の参照用反射領域M25および第2参照用測定領域M26を中心に、四辺の四隅に白色で円形状の第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24を配置した参照用マークM2を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。
他の実施形態の参照用マークとしては、例えば、図20の20Aに示すように、第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24を設けずに、測定用マークM1と同色同階調同形状の参照用反射領域M25aおよび第2参照用測定領域M26aのみを有する参照用マークM2aを適用してもよい。この場合は、参照用反射領域M25aが第1参照用測定領域となり、参照用反射領域M25aの所定箇所を注目領域とし、当該注目領域から第1参照輝度値Iwhiteが算出される。
また、図20の20Bに示すように、黒色で円形状の第2参照用測定領域M26bと、この第2参照用測定領域M26bが中心に配置された、白色で四角形状の参照用反射領域M25bとを有する参照用マークM2bを適用してもよい。この場合、参照用反射領域M25bが第1参照用測定領域となり、参照用反射領域M25bの所定箇所を注目領域とし、当該注目領域から第1参照輝度値Iwhiteが算出される。
また、図20の20Cに示すように、白色で円形状の参照用反射領域M25cと、当該参照用反射領域M25cを中心にして参照用反射領域M25cを取り囲む、黒色で円環状の第2参照用測定領域M26cと、これら参照用反射領域M25cおよび第2参照用測定領域M26cが中心に配置された、白色で方形状の第1参照用測定領域M21cと、を有する参照用マークM2cを適用してもよい。この場合は、第1参照用測定領域M21cの所定箇所を注目領域とし、当該注目領域から第1参照輝度値Iwhiteが算出される。また、中心部の参照用反射領域M25cを第1参照用測定領域とし、参照用反射領域M25cから第1参照輝度値Iwhiteを算出してもよい。
また、濁度測定用パネルに描画される測定用マークおよび参照用マークは、図4の測定用マークM1または上述した図19の測定用マークM1a,M1b,M1cと、図4の参照用マークM2または図20の参照用マークM2a,M2b,M2cと、を適宜組み合わせた形態であってもよい。
また、上述した実施形態においては、反射領域M12、第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24および参照用反射領域M25を白色に配色して、環境光を拡散反射させる場合について述べたが、本発明はこれに限らない。本実施形態では、例えば、白色の他に、灰白色や銀白色、乳白色、温白色、青白色、パールホワイト、乳白色等の種々の白色系でなる反射領域M12、第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24および参照用反射領域M25を適用してもよい。また、環境光を拡散反射させる白色系の他にも、環境光を鏡面反射させる部材により、反射領域M12、第1参照用測定領域M21,M22,M23,M24および参照用反射領域M25を形成してもよい。
また、上述した実施形態においては、測定領域M11および第2参照用測定領域M26を、光を吸収する黒色に配色した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。本実施形態では、例えば、光を吸収可能であれば、黒色の他に、鉄黒色や墨色等の種々の黒色系でなる測定領域M11および第2参照用測定領域M26を適用してもよい。
また、上述した実施形態においては、演算処理装置として、スマートフォンのような携帯端末3を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。演算処理装置としては、例えば、撮像部を搭載したパーソナルコンピュータ(PC)を適用してもよい。また、撮像部としてデジタルカメラを適用し、PCやスマートフォン等の演算処理装置と、撮像部とを別体の構成とし、撮像部で撮像した撮像画像を、演算処理装置に転送するようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、撮像部での露出条件の設定を調整する露出条件調整部として、撮像部11での露光時間の設定を調整する露出条件調整部22を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。他の露出条件調整部としては、例えば、撮像部の絞り値(F値)の設定を調整して、撮像部で取得する撮像画像の明るさを所定の明るさに調整させ露出条件調整部を適用してもよい。
撮像部の絞り値の設定を調整することで、撮像部で取得する撮像画像の明るさを所定の明るさに調整する手法の一例としては、上記の表1のように、環境光の照度と、目標値Iと、絞り値の更新率との関係を予め規定しておき、絞り値の更新率に基づいて、上記の式(2)の条件を満たすまで撮像部11の絞り値の設定を調整する手法がある。但し、絞り値の調整手法については、上記の式(2)の条件を満たすように、撮像部11の絞り値の設定を調整できれば、種々の手法を適用してもよいことは言うまでもない。
1 濁度測定装置
2 サンプル保持具
3 携帯端末(演算処理装置)
5 濁度測定用パネル
11 撮像部
M11 測定領域
M12 反射領域
test サンプル輝度値
white 第1参照輝度値
black 第2参照輝度値
rescale 測定輝度値

Claims (10)

  1. サンプルの濁度を測定する濁度測定装置であって、
    前記サンプルの背後に配置されて撮像部により前記サンプルを通して撮像される濁度測定用パネルと、
    前記撮像部によって取得した撮像画像からサンプル輝度値Itestを算出し、前記サンプル輝度値Itestに基づいて前記サンプルの濁度を測定する演算処理装置と、
    を備え、
    前記濁度測定用パネルには、
    前記演算処理装置によって前記撮像画像から前記サンプル輝度値Itestが算出される測定領域と、
    前記測定領域に隣接し、かつ、前記サンプルを透過した環境光を反射させる反射領域と、
    を有する、濁度測定装置。
  2. 前記濁度測定用パネルには、
    前記測定領域の周囲を取り囲むように前記反射領域が設けられている、
    請求項1に記載の濁度測定装置。
  3. 前記濁度測定用パネルは、
    前記測定領域が黒色系に配色され、前記反射領域が白色系に配色されている、
    請求項1または2に記載の濁度測定装置。
  4. 前記濁度測定用パネルは、
    白色系に配色され、かつ、前記サンプルを介在せずに前記撮像部により撮像される第1参照用測定領域を有しており、
    前記演算処理装置は、
    前記撮像画像内の前記第1参照用測定領域から算出した第1参照輝度値に基づいて、前記撮像画像の明るさが所定の明るさであるか否かを判断し、前記撮像画像が所定の明るさでない場合、前記撮像部での露出条件の設定を調整する露出条件調整部を備え、
    前記露出条件調整部により調整した露出条件で前記撮像部に新たな撮像画像を取得させる、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の濁度測定装置。
  5. 前記露出条件調整部は、
    目標値が予め設定されており、前記目標値と前記第1参照輝度値との差分の絶対値が所定基準値以下であるか否かに基づいて、前記撮像画像の明るさが所定の明るさであるか否かを判断する、
    請求項4に記載の濁度測定装置。
  6. 前記濁度測定用パネルは、
    黒色系に配色され、かつ、前記サンプルを介在せずに前記撮像部により撮像される第2参照用測定領域を有しており、
    前記演算処理装置は、
    所定の明るさに補正した前記撮像画像内の前記測定領域から算出した前記サンプル輝度値Itestと、
    所定の明るさに補正した前記撮像画像内の前記第1参照用測定領域から算出した前記第1参照輝度値と、
    所定の明るさに補正した前記撮像画像内の前記第2参照用測定領域から算出した第2参照輝度値と、
    に基づいて、前記サンプルの濁度を測定するための測定輝度値Irescaleを算出する、
    請求項4または5に記載の濁度測定装置。
  7. 前記濁度測定用パネルは、
    白色系に配色され、かつ、前記サンプルを介在せずに前記撮像部により撮像される第1参照用測定領域と、
    黒色系に配色され、かつ、前記サンプルを介在せずに前記撮像部により撮像される第2参照用測定領域と、
    を有しており、
    前記演算処理装置は、
    前記撮像画像内の前記測定領域から算出した前記サンプル輝度値Itestと、
    前記撮像画像内の前記第1参照用測定領域から算出した第1参照輝度値と、
    前記撮像画像内の前記第2参照用測定領域から算出した第2参照輝度値と、
    に基づいて、前記サンプルの濁度を測定するための測定輝度値Irescaleを算出する、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の濁度測定装置。
  8. 前記演算処理装置は、
    前記撮像部により前記サンプルを撮像する際、前記濁度測定用パネルに描画されたパターンに準じた指定枠に基づいて、前記撮像画像の中から前記濁度測定用パネルを特定し、前記撮像画像の中から前記サンプルの濁度を測定するために必要な輝度値を算出する注目領域を自動的に特定する、
    請求項1~7のいずれか1項に記載の濁度測定装置。
  9. サンプルの濁度を測定する濁度測定方法であって、
    前記サンプルの背後に配置された濁度測定用パネルを、撮像部により前記サンプルを通して撮像する撮像ステップと、
    演算処理装置によって、前記撮像部で取得した撮像画像からサンプル輝度値Itestを算出し、前記サンプル輝度値Itestに基づいて前記サンプルの濁度を測定する演算処理ステップと、
    を有し、
    前記撮像ステップは、
    前記濁度測定用パネルの測定領域に隣接した反射領域により前記サンプルを透過した環境光を反射させつつ、前記撮像部によって前記濁度測定用パネルの前記測定領域を撮像し、
    前記演算処理ステップは、
    前記撮像画像内の前記測定領域から前記サンプル輝度値Itestを算出する、
    濁度測定方法。
  10. 演算処理装置によって、撮像部で取得した撮像画像からサンプル輝度値Itestを算出し、前記サンプル輝度値Itestに基づいてサンプルの濁度を測定する際に、前記サンプルの背後に配置される濁度測定用パネルであって、
    前記撮像部により前記サンプルを通して撮像される撮像面には、
    前記演算処理装置によって前記撮像画像から前記サンプル輝度値Itestが算出される測定領域と、
    前記測定領域に隣接し、かつ、前記サンプルを透過した環境光を反射させる反射領域と、
    を有する、濁度測定用パネル。
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