JP2023104300A - 光センシング回路及び光センシング方法 - Google Patents

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大輔 志村
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Abstract

【課題】光センシング回路において共振ピーク波長の温度依存性を緩和し、かつ光源とリング共振器との発振波長制御を不要にし、運用を簡便にする。【解決手段】、バンドパスフィルタと、リング共振器が形成された領域のクラッド上にヒーターとして抵抗材が設けられている参照リング共振器と、センシング領域が設けられているセンシングリング共振器と、受光素子とを備えて構成される。参照リング共振器の共振波長の光のうち、光がバンドパスフィルタで取り出された特定の波長帯域の、センシングリング共振器の入力導波路に送られ、センシングリング共振器の共振波長の光が、センシングリング導波路の出力導波路から、受光素子に送られ、バンドパスフィルタで取り出される特定の波長帯域は、センシングリング共振器のFSR以下である。【選択図】図1

Description

この発明は、光センシング回路及び光センシング方法に関し、特に、抗原抗体反応などの生体由来の反応に伴う微小な屈折率の変化を測定する光バイオセンサーとして用いることができる、光導波路型の光センシング回路と、この光センシング回路に用いることができる光センシング方法に関する。
近年、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行を受け、ウイルス感染の防止や、在宅ワーク増加に伴う運動不足による慢性的な生活習慣病の予防のため、衛生環境や健康状態を恒常的にモニタする手段としてバイオセンサー技術が注目を集めている。
バイオセンサーとは、生体起源の分子認識機構を利用した化学センサーの総称であり、抗原抗体反応のような生体分子の特異な反応を電気信号に変換し検出するものである。この特異な反応を電気信号に変換する部分は、トランスデューサーと称され、バイオセンサーにおけるコアデバイスとなる。
光バイオセンサーは、光デバイスを用いて生体反応を蛍光量や屈折率の変化として捉えるバイオセンサーであって、非侵襲・非接触であるだけでなく、計測結果が出るまでの待機時間が比較的短い計測(リアルタイム計測)が可能であるという特徴を有する。このため、光バイオセンサーの重要性が高まっている。
また、蛍光分子や電気化学活性分子などによって標的分子や認識分子に標識を行って、反応による変化量を間接的に検出する手法に対し、非標識(ラベルフリー)と呼ばれる手法では、標識を行わず光学的変化や質量変化などを直接計測する。これにより検査実施者は煩雑な標識操作を行う必要がなく、標識分子修飾にともない人為的に生じる測定揺らぎである、アーティファクトの懸念が低減する。特に、光導波路デバイスを用いる場合、トランスデューサーとしての機能を担うセンシングセルに予め特定の抗原に対してのみ選択的に反応する抗体を固定しておくことで、抗原検知を屈折率あるいは透過率の変化として瞬時に捉えることができ、スペクトルアナライザあるいはパワーメータで出力特性を観測することで、あたかもラベルフリー手法のように計測できる。
上述のように、衛生環境や健康状態の恒常的なモニタの需要が高まる中で、センシングデバイスにはラベルフリー、非接触、リアルタイム性、小型、安価といったことが求められ、光導波路型の光センシング回路の研究開発が盛んに行われている(例えば、非特許文献1、2、3又は4参照)。
光導波路デバイスのプラットフォーム技術として、従来、シリコン(Si)フォトニクスが注目を集めている。Siフォトニクスの特徴は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの半導体装置の製造プロセスを利用することによる、光導波路とそれに準ずる変調器や受光器など光デバイスの小型・集積性、及び、既存の半導体製造技術を流用して提供される200mmあるいは300mmウェハープロセスによる生産性の高さである。また、Siをコア、Si酸化膜(SiO)をクラッドとするSi導波路は比屈折率差が40%に達するので、高い光の閉じ込め効果が得られる。特にSi細線導波路では、曲げ導波路の曲率半径や並走配線ピッチを数ミクロンオーダーまで小さくでき、光回路レイアウトの小型化が可能となる。これらの特徴からSiフォトニクスは、光トランシーバや光センシング回路など様々なアプ
リケーションへの展開が期待される(例えば、特許文献1又は2、非特許文献1、2、3又は4参照)。
光導波路型の光センシング回路の代表例としてリング共振器を用いるものがある。
リング共振器は、入力導波路及び出力導波路、並びに、これらと光学的に結合が可能なリング形状のトレース導波路を備えて構成される。入力導波路とトレース導波路、及び、出力導波路とトレース導波路とは、それぞれ、局所的に方向性結合器が形成されており、導波路間での光の遷移を生じる。入力導波路より入力された光の一部が、トレース導波路に結合してトレース導波路に遷移する。また、トレース導波路を周回する光のうち、特定の干渉(共振)条件を満たす光のみが出力導波路に結合して出力導波路に遷移する。出力導波路に遷移した光は出力導波路を経て出力される。このトレース導波路における干渉条件は波長依存性を含むため、スペクトルピークとして観測される。光の損失を無視すれば、共振条件を満たさない光は、相補的な関係として入力導波路において光が入力された側と対向するポートから透過光として出力される。
図15を参照して、従来のリング共振器を用いる光センシング回路の動作原理を説明する。図15は、光センシング回路の動作原理を説明するための模式図である。図15(A)、(C)及び(E)は、リング共振器に装着された抗体560と、抗体560に抗原570が捕獲される様子を示す模式図である。図15(B)、(D)及び(F)は、それぞれ、図15(A)、(C)及び(E)に対応する光出力スペクトルであって、横軸に波長をとって示し、縦軸に光出力パワーをとって示している。図15(A)及び(B)は、初期状態であり、図15(C)及び(D)は、抗原の濃度が低い状態であり、図15(E)及び(F)は、抗原の濃度が高い状態である。図15(G)は、横軸に抗原の濃度をとって示し、縦軸に光出力パワーをとって示している。
図15(A)に示すように、リング共振器には、抗体560が実装されている。ここでは可変波長光源を用いて出力波長をリング共振器の共振ピーク波長に合せると、出力導波路からの光出力は最大となる(図15(B)参照)。この出力導波路からの光出力が最大となるとき、初期状態として、可変波長光源の波長をλに固定する。
次に、光センシング回路がセンシング対象である検体に曝され、リング共振器に実装された抗体560が抗原570を捕獲する(図15(C)及び(E)参照。)ことで、光導波路コアを伝送する光の実効屈折率(等価屈折率)が変化し、物質、抗原の濃度に応じた共振ピーク波長のシフトを生じる(図15(D)及び(F)参照)。その際、波長を固定した光源の波長とリング共振器の共振ピーク波長との不一致から、リング共振器の出力導波路からの光出力が減衰する。このため、出力パワーの変動量とリング共振器が感知する屈折率の変動量を紐づけすることで屈折率の変化量を推測することが可能となる。検体は特有の屈折率をもつため、共振ピーク波長のシフトから、検知物質を特定したり、濃度などを知ったりすることができる(図15(G)参照)。
Siフォトニクスに基づくリング共振器は先に述べたように曲率半径を数ミクロンオーダーまで小さくできるため、極めて微小なリング共振器デバイスを実現することが可能である。さらに、ゲルマニウム(Ge)成長装置を併用することで受光器(PD:Photo Diode)を同一ウェハー上に作りこむことができ、センシングに必要な素子を例えば数mm角サイズのチップ上に10個以上集積形成できる。これにより1回の測定で複数のサンプルを同時に評価することが出来る。ただし、間接遷移型半導体であり発光効率の低いSiでは、光源の実現が困難である。このため、光源に関しては、現状ではリング共振器デバイスやPDが集積化されたSiチップ上に、別プロセスで作製したレーザーダイオード(LD:Laser Diode)チップを実装する手法や、外部光源を、光フ
ァイバ等を介して接続する手法が用いられる。
リング共振器のような導波路型の光センシング回路では、伝送モードのうちSiコアから漏れた成分であるエバネッセント波がセンシング検体、すなわち屈折率の摂動にオーバーラップすることで等価屈折率の変化を生じる。このため、検知感度を向上させるためにはSi導波路コア直上のクラッドをエッチングや化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)などにより薄膜化して、検体とSiコアとの距離を縮めることが重要となる。
特開2018-155863号公報 特開2015-121696号公報
CLEO 2018 OSA 2018, JTh2A.60, "High Q Si Slot Waveguide Ring Resonators for Gas Sensing Application" Japanese Journal of Applied Physics 55, 04EM04 (2016), "Differential Si ring resonators for label-free biosensing" 11 June 2007 / Vol. 15, No. 12 / OPTICS EXPRESS 7612, "Silicon-on-Insulator microring resonator for sensitive and label-free biosensing" 13 February 2012 / Vol. 20, No. 4 / OPTICS EXPRESS 4189, "Electrical tracing-assisted dual-microring label-free optical bio/chemical sensors"
リング共振器のセンシング感度指標(Figure of Merit)は、スペクトルQ値(共振ピークの急峻さ)と、屈折率変化量に対する共振ピーク波長シフト係数(Δλ/ΔN)との積で見積もられる。例えば、Q値が50,000、かつ、Δλ/ΔN=100[nm/RIU](RIU:Refractive Index Unit)のリング共振器の検知可能屈折率変化量はおよそ2.0×10-5[RIU]となる(例えば、非特許文献3参照)。一方、検知感度の面では温度依存性も重要なファクターである。一般的なSi導波路デバイスでは、温度変動に対する共振ピーク波長の変化係数(Δλ/ΔT)は0.05~0.07[nm/K]となる。例えば、温度変動量ΔTが±0.1Kの測定環境下では、±0.005~0.007[nm]の波長揺ぎが生じることを意味する。この波長揺らぎはΔλ/ΔN=100[nm/RIU]のリング共振器においては5~7×10-5[RIU]の屈折率変化量に相当し、これ以下の屈折率変化量は温度起因の測定ノイズとして埋もれてしまう。すなわち、温度依存性によりリング共振器本来の検知感度が制限されてしまう。
このように、温度依存性は最小検知可能屈折率に大きく影響し、光センシング回路の温度依存性をいかに低減できるかが課題となる。さらに、初期設定として光源波長と共振ピーク波長を一致させることが必要となる。光センシング回路の検知感度がよくなるほどシビアな温度管理と光源の発振波長制御が求められるため、一般環境下での運用を困難にさせる。
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものである。この発明の目的は、光導波路型の光センシング回路及び光センシング方法において、共振ピーク波長の温度依存性を緩和し、かつ光源とリング共振器との発振波長制御を不要にし、運用を簡便にすることを目
的とする。
上述した目的を達成するために、この発明の光センシング回路は、支持基板と、支持基板上に形成されるクラッドと、クラッド中に埋設され、支持基板の上面に平行に設けられる、光導波路コアとを備える光導波路型の光センシング回路であって、バンドパスフィルタと、入力導波路、リング形状のトレース導波路、及び、出力導波路を備えて構成されるリング共振器であって、当該リング共振器が形成された領域のクラッド上にヒーターとして抵抗材が設けられている参照リング共振器と、入力導波路、リング形状のトレース導波路、及び、出力導波路を備えて構成されるリング共振器であって、センシング領域が設けられているセンシングリング共振器と、受光素子とを備えて構成される。
参照リング共振器の共振波長の光のうち、バンドパスフィルタで取り出された特定の波長帯域の光が、センシングリング共振器の入力導波路に送られ、センシングリング共振器の共振波長の光が、センシングリング導波路の出力導波路から、受光素子に送られ、バンドパスフィルタで取り出される特定の波長帯域は、センシングリング共振器のFSR(Free Spectral Range)以下である。
また、この発明の光センシング回路の好適実施形態によれば、支持基板と、支持基板上に形成されるクラッドと、クラッド中に埋設され、支持基板の上面に平行に設けられる、光導波路コアとを備える光導波路型の光センシング回路であって、バンドパスフィルタと、入力導波路、リング形状のトレース導波路、及び、出力導波路を備えて構成されるリング共振器であって、当該リング共振器が形成された領域のクラッド上にヒーターとして抵抗材が設けられている参照リング共振器と、分岐部と、入力導波路、リング形状のトレース導波路、及び、出力導波路を備えて構成されるリング共振器であって、センシング領域が設けられている、N(Nは2以上の整数)個のセンシングリング共振器と、N個の受光素子とを備えて構成される。
参照リング共振器の共振波長の光のうち、バンドパスフィルタで取り出された特定の波長帯域の光が、分岐部に送られ、分岐部は、受け取った光をN分岐して、それぞれ、第1~第Nのセンシングリング共振器の入力導波路に送り、第1~第Nのセンシングリング共振器の共振波長の光が、それぞれ、第1~第Nのセンシングリング共振器の出力導波路から、第1~第Nの受光素子に送られ、バンドパスフィルタで取り出される特定の波長帯域は、センシングリング共振器のFSR以下である。
また、この発明の光センシング回路の他の好適実施形態によれば、支持基板と、支持基板上に形成されるクラッドと、クラッド中に埋設され、支持基板の上面に平行に設けられる、光導波路コアとを備える光導波路型の光センシング回路であって、Nのバンドパスフィルタと、入力導波路、リング形状のトレース導波路、及び、出力導波路を備えて構成されるリング共振器であって、当該リング共振器が形成された領域のクラッド上にヒーターとして抵抗材が設けられている、1個あるいはN個の参照リング共振器と、入力導波路、リング形状のトレース導波路、及び、出力導波路を備えて構成されるリング共振器であって、センシング領域が設けられている、N個のセンシングリング共振器と、N個の受光素子とを備えて構成される。
第p(pは1以上N以下の整数)のバンドパスフィルタで取り出された、参照リング共振器の共振波長の各ピークを含む波長帯域の光が、第pのセンシングリング共振器の入力導波路に送られ、第pのセンシングリング導波路の共振波長の光が、第pのセンシングリング共振器の出力導波路から、第pの受光素子に送られ、第1~第Nのバンドパスフィルタで取り出される特定の波長帯域は、それぞれ、第1~第Nのセンシングリング共振器の
共振波長を含み、FSR以下であり、及び、互いに異なる波長帯域である。
上述の光センシング回路の実施に当たり、センシング領域のクラッドが、部分的に又は全体的に薄膜化されているのが良い。
また、上述した目的を達成するために、この発明の光センシング方法は、上述の光センシング回路を用いて行われ、光源として広い波長帯域に渡りフラットな出力特性を有する広帯域光源を用いて、必要に応じて、参照リング共振器が備えるヒーターの温度を変化させて、参照リング共振器の共振波長と、センシングリング共振器の共振波長が一致する初期状態に設定する過程と、センシングリング共振器を検体に曝す過程と、参照リング共振器の共振波長と、センシングリング共振器の共振波長のずれ量を取得し、波長のずれ量から、抗原の濃度を取得する過程とを備える。
ここで、共振波長のずれ量の取得は、受光素子における受光パワーの、初期状態からの減衰量に基づいて行われるのが良い。また、共振波長のずれ量の取得は、受光素子における受光パワーが、初期状態における受光パワーに一致するように、参照リング共振器が備えるヒーターに供給する電力を変化させたときの、ヒーター電力に基いて行われてもよい。
この発明の光センシング回路及び光センシング方法によれば、光源として広帯域光源を用いることができるため、従来の手法のように光源の発振波長とリング共振器のピーク波長を合わせる必要がなくなる。さらに、測定環境の温度が揺らいだとしても、参照リング共振器及びセンシングリング共振器の2つのリング共振器デバイスが同一チップ上に近接配置されるため、2つのリング共振器は同じように温度の影響を受ける。すなわち、2つの共振ピーク波長の相対的な関係は、温度に依存することなく保持されるため、出力特性はセンシング検体の屈折率にのみ依存し、温度依存性をキャンセルすることが可能となり、共振ピーク波長の温度依存性を緩和し、かつ光源とリング共振器との発振波長制御が不要にし、運用が簡便になる。また、バンドパスフィルタを備えることで、不慮の共振ピーク波長の一致によるセンシング特性の劣化を避けることができる。
第1の光センシング回路の概略的平面図である。 第1の光センシング回路の概略的断面図である。 参照リング共振器及びセンシングリング共振器を説明するための図である。 第1の光センシング回路の動作を説明するための模式図である。 参照リング共振器及びセンシングリング共振器のピーク波長のずれ量Δλと、受光素子での受光パワーの関係を示す図である。 バンドパスフィルタの動作を説明するための模式図であって、バンドパスフィルタがない場合の共振スペクトルを示す。リブ導波路を備えるアーム導波路を説明するための模式図である。 バンドパスフィルタの概略的平面図である。 バンドパスフィルタの動作を説明するための模式図であって、バンドパスがある場合の共振スペクトルを示す。 第1の光センシング回路の他の構成例の概略的平面図である。 第2の光センシング回路の動作を説明するための模式図である。 第3の光センシング回路の概略的平面図である。 第4の光センシング回路の概略的平面図である。 第4の光センシング回路の動作を説明するための模式図である。 第5の光センシング回路の概略的平面図である。 リング共振器を用いる光センシング回路の動作原理を説明するための模式図である。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
(第1実施形態)
図1及び2を参照して、この発明に係る光センシング回路の第1実施形態(以下、第1の光センシング回路とも称する。)を説明する。図1は、第1の光センシング回路の概略的平面図であって、後述する支持基板及びクラッドを省略し、光導波路コアのみを示している。なお、他の概略的平面図においても後述する支持基板及びクラッドを省略する。図2は、第1の光センシング回路の概略的断面図である。図2(A)は、図1のA-A線に沿った概略的断面図であり、図2(B)は、図1のB-B線に沿った概略的断面図である。
第1の光センシング回路100は、支持基板10、クラッド20、及び、光導波路コア30を備える光導波路を基本構造として有している。
支持基板10は、例えば単結晶シリコン(Si)を材料とした平板状体で構成されている。
クラッド20は、支持基板10上に設けられている。クラッド20は、支持基板10の上面を被覆し、かつ、光導波路コア30を包含して形成されている。クラッド20は、例えば酸化シリコン(SiO)を材料として形成されている。
光導波路コア30は、クラッド20の屈折率(1.45)よりも高い屈折率(3.5)を有する例えばSiを材料として形成されている。その結果、光導波路コア30と周囲のクラッド20は、光の伝送路(光導波路)として機能し、光導波路コア30に入力された光が光導波路コア30の平面形状に応じた伝播方向に伝播する。
この光導波路の基本構造は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板を利用することによって、簡易に製造することができる。以下、光導波路構造の製造方法の一例を説明する。
先ず、支持基板層、SiO層、及びSi層が順次積層されて構成されたSOI基板を用意する。次に、例えばドライエッチングを行い、Si層をパターニングする。その後、SiO層上、Si層を覆うSiO膜を形成する。この結果、支持基板10、クラッド20、及び、光導波路コア30を備える光導波路の基本構造を得ることができる。
第1の光センシング回路100は、入力部200、バンドパスフィルタ300、参照リング共振器400、センシングリング共振器500、受光素子600、及び、出力部700を備えて構成される。
第1の光センシング回路100には、光源900で生成された光が入力される。光源900として、例えば、広い波長帯域にフラットな出力特性を有する広帯域光源(BBLS
:Broad Band Light Source)が用いられる。間接遷移型半導体であり発光効率の低いSiでは、上述の出力特性を有する光源900の実現が困難である。このため、光センシング回路100が集積化されたSiチップ上に、光源900として別プロセスで作製したレーザーダイオード(LD:Laser Diode)チップを実装する手法や、光源900を、光ファイバ等を介して接続する手法が用いられる。
第1の光センシング回路100への光の入力インタフェースである入力部200として、エッジカップリング型スポットサイズ変換器(SSC:Spot Size Converter)、又は、平面カップリング型グレーティングカプラ(GC:Grating
Coupler)を用いることができる。なお、入力部200として、偏波依存性の大きなSi導波路デバイスの偏波揺らぎによる特性変動を緩和するため、かつ、リング共振器デバイスの集積密度を高めるためには、偏波選択性が強くチップ上のどこにでも配置可能なGCが好適である。このため、ここでは入力部200としてGCを用いる例を説明する。
光源900であるBBLSから、入力部200であるGCを経て、光センシング回路100に入力された光は、バンドパスフィルタ300を経て参照リング共振器400に送られる。バンドパスフィルタ300は、第1の入力ポート301、第1の出力ポート302及び第2の出力ポート303を有する。バンドパスフィルタ300の詳細については後述する。入力部200は、バンドパスフィルタ300の第1の入力ポート301に光学的に接続されている。
参照リング共振器400及びセンシングリング共振器500は、いずれも、いわゆるリング共振器である。図3を参照して、参照リング共振器400及びセンシングリング共振器500について説明する。図3は、参照リング共振器400及びセンシングリング共振器500を説明するための図である。図3(A)は、リング共振器を説明するための模式図であり、図3(B)及び(C)は、それぞれ、参照リング共振器400及びセンシングリング共振器500の概略的平面図である。
リング共振器1000は、入力導波路1010、リング状のトレース導波路1020、及び、出力導波路1030を備えて構成される。入力導波路1010とトレース導波路1020、及び、出力導波路1030とトレース導波路1020とは、それぞれ、局所的に方向性結合器1040及び1050を形成しており、導波路間での光の遷移を生じる。入力導波路1010より入力された光の一部が、方向性結合器1040においてトレース導波路1020に結合してトレース導波路1020に遷移する。また、トレース導波路1020を周回する光のうち、特定の干渉(共振)条件を満たす光のみが、方向性結合器1050において出力導波路1030に結合して出力導波路1030に遷移する。出力導波路1030に遷移した光は出力導波路1030を経て出力される。このトレース導波路1020における干渉条件は波長依存性を含むため、スペクトルピークとして観測される。光の損失を無視すれば、共振条件を満たさない光は、相補的な関係として入力導波路1010において光が入力された側と対向するポートから透過光として出力される。
参照リング共振器400は、入力導波路410、トレース導波路420及び出力導波路430を備えて構成される。また、参照リング共振器400は、トレース導波路420の直上にヒーター440として、TiNなどの抵抗材を備えて構成される。ヒーター440に電力を供給して、トレース導波路420を加熱すると参照リング共振器400の共振波長が変化する。
センシングリング共振器500は、入力導波路510、トレース導波路520及び出力導波路530を備えて構成される。センシングリング共振器500では、光導波路コア直
上にセンシング対象となる検体に曝されるセンシング領域540が施されている。センシング領域540では、屈折率変化の検知感度向上のため、トレース導波路520と抗体560などとの距離が近い方が好ましい。このため、光導波路コア30直上のクラッド20が部分的にあるいは全体的に薄膜化されている。この薄膜化されているクラッドに、特定の生体検体を検出するため抗体などが実装される。
参照リング共振器400の入力導波路410は、バンドパスフィルタ300の第1の出力ポート302に光学的に接続されている。参照リング共振器400の出力導波路430は、センシングリング共振器500の入力導波路510に光学的に接続されている。また、センシングリング共振器500の出力導波路530は、受光素子600に光学的に接続されている。
受光素子600は、例えば、Geなどで形成された導波路型PDで構成される。
図4を参照して、第1の光センシング回路100の動作を説明する。図15を参照して説明したように、センシングリング共振器500では抗原を捕獲した抗体の屈性率・濃度に応じて共振ピークスペクトルが変化する。ここでは例として、参照リング共振器のピーク波長とセンシングリング共振器のピーク波長とのずれ量Δλが0.5、1.0、2.0nmの3通りの場合に分け示している。
図4(A)、(C)及び(E)は、参照リング共振器及びセンシングリング共振器のそれぞれの共振ピークスペクトルを示し、図4(B)、(D)及び(F)は、参照リング共振器及びセンシングリング共振器の共振ピークスペクトルの和を示している。図4(A)及び(B)は、参照リング共振器のピーク波長とセンシングリング共振器のピーク波長とのずれ量Δλが0.5nmの場合を示し、図4(C)及び(D)は、Δλが1.0nmの場合を示し、図4(E)及び(F)は、Δλが2.0nmの場合を示している。図4(A)~(F)は、横軸に波長をとって示し、縦軸に透過率[単位:dB]をとって示している。
前段の参照リング共振器400は、図4(A)、(C)及び(E)中、曲線Iに示すピークスペクトルを有し、後段のセンシングリング共振器500は、曲線IIに示す固有の共振ピークスペクトルを有する。この場合、参照リング共振器400及びセンシングリング共振器500を通過した光のスペクトルは、図4(B)、(D)及び(F)に示すように、参照リング共振器の共振ピークスペクトルと、センシングリング共振器の共振ピークスペクトルの透過率の積(dB表記の場合、和)として、出力される。
ここで、センシングリング共振器500の出力導波路530からのスペクトルは、後段の受光素子600で受光され、光源900として広帯域光源を用いる場合、その受光パワーは、参照リング共振器400の共振ピークスペクトルと、センシングリング共振器500の共振ピークスペクトルの和の波長積分に相当する。受光素子600の受光パワーは、参照リング共振器400とセンシングリング共振器500間のピーク波長のずれ量Δλに依存し、2つのピーク波長が一致している時(Δλ=0)を最大値とし、ピーク波長のずれ量Δλが大きくなるにつれ減衰していく。
図5は、参照リング共振器及びセンシングリング共振器のピーク波長のずれ量Δλと、受光素子600での受光パワーの関係を示す図であって、横軸に、ピーク波長のずれ量Δλ[単位:nm]をとって示し、縦軸に、受光パワー[単位:dB]をとって示している。ここで、受光パワーは、Δλ=0の時の受光パワーを基準とした相対受光パワーである。図5に示すように、2つのピーク波長のずれ量Δλに応じて受光素子600で検出される受光パワーが変動する。このため、ピーク波長のずれ量を屈折率と紐づけすることで横
軸を屈折率変化量に置き換えることができ、検体の屈折率を推定することが可能となる。
検体がない初期の状態において、参照リング共振器400とセンシングリング共振器500とは、共振ピーク波長及びFSR(Free Spectral Range)などの波長特性が同一になるように設計する。しかし、作製誤差による特性ばらつきにより、初期の共振ピーク波長がずれる場合がある。
この場合、参照リング共振器400に実装されたヒーター440に電流を流して、参照リング共振器400の共振ピーク波長を変化させ、受光素子600の受光パワーが最大値となる点を初期状態とする。続けて、センシングリング共振器500のセンシング領域540を検体に曝し、出力変化(減衰量)をモニタする。なお、2つのリングピーク波長のずれ量がFSR/2以上になると、出力減衰カーブは再び増加してしまうため、検出可能域はFSRの2分の1となる。
次に、図6~8を参照して、バンドパスフィルタ300について説明する。図6は、バンドパスフィルタの機能を説明するための模式図であって、バンドパスフィルタがない場合の共振スペクトルを示す。図7は、バンドパスフィルタの一例として、グレーティング型波長フィルタの構成を説明するための概略的平面図である。図8は、バンドパスフィルタの機能を説明するための模式図であって、バンドパスフィルタがある場合の共振スペクトルを示す。
図6(A)及び(B)、並びに、図8(A)及び(B)の上段は、参照リング共振器の共振スペクトルを示す図であり、下段は、センシングリング共振器の共振スペクトルを示す図である。また、図6(A)及び図8(A)は、初期状態の共振スペクトルを示し、図6(B)及び図8(B)は、検体検出時の共振スペクトルを示している。
初期状態として、参照リング共振器400とセンシングリング共振器500とは特性が同一になるように設計される(図6(A)及び図8(A)参照)。しかしながら、上述の通り、抗体の屈折率によっては2つのリング共振器のFSRがずれてしまうことが想定される。その場合、バーニア効果により観測中心波長から離れた波長においてピークが一致する波長が生じることがある(図6(B)において、Iで示す部分)。この場合、出力減衰カーブが鈍化しセンシング感度を鈍らせ、同時に屈折率の検出可能域を狭めてしまう可能性がある。そのため、光源900の出力波長域を観測中心付近に絞るためバンドパスフィルタを挿入することが好ましい。
バンドパスフィルタ300としては特定の波長帯域に対してのみ強い選択性を示すグレーティング型波長フィルタが好ましい。図7に示すバンドパスフィルタ300の好適例によれば、バンドパスフィルタ300は、グレーティング310、モードフィルタ320、入力導波路330、第1の出力導波路340及び第2の出力導波路350を備えて構成される。入力導波路330が前段の入力部200と光学的に接続されており、第1の出力導波路340が後段の参照リング共振器400の入力導波路と光学的に接続されている。
グレーティング310では、導波路に周期的な屈折率の変調構造が施されている。グレーティング310では、伝送する光のうち前進波および後進波の等価屈折率をそれぞれnとnとし、屈折率の変調周期をΛとおくと、以下の式(1)を満たすBragg波長(λBragg)がスペクトルに反射として現れる。
(n+n)Λ=λBragg (1)
例えば、入力導波路330から入力された光の前進波を基本モード、後進波を高次モードに設定し、後進波としての高次モードをモードフィルタ320で選択的に取り出すこと
で、Bragg波長付近のバンドパス機能を得ることができる。取り出された光は、第1の出力導波路340から出力される。
バンドパスフィルタの波長帯域は、参照リング共振器のピーク波長を中心にセンシングリング共振器の共振ピークスペクトルのFSRと一致するようにすることが好ましい。これにより、BBLSを用いつつも観測波長帯域以外の出力はカットされるため、不慮の共振ピーク波長の一致によるセンシング特性の劣化を避けることができる(図8(B)参照)。
また、光センシング回路100が形成されたチップをファイバ実装して使う場合、入力部200のGCと同様の構造を出力部700として使うことができる。実装するアレイファイバのピッチをXとした場合、ファイバの配列に沿ってXの整数倍だけ離れた場所に出力部700を配置することで、BBLSから入力された光のうちバンドパスフィルタ300でバンドパスされずに、第2の出力導波路350から出力される透過光をタップ光として調芯等の際のモニタ光として用いることができる。
第1の光センシング回路は、上述の構成に限定されない。図9を参照して、第1の光センシング回路の他の構成例を説明する。図9は、第1の光センシング回路の他の構成例の概略的平面図である。
他の構成例の光センシング回路100aは、バンドパスフィルタ300と参照リング共振器400の位置関係が、図1を参照して説明した第1の光センシング回路100と異なっている。他の構成や動作は、図1を参照して説明した第1の光センシング回路100と同様であるので、重複する説明を省略することもある。
他の構成例の光センシング回路100aでは、光源900であるBBLSから、入力部200であるGCを経て、光センシング回路100に入力された光は、参照リング共振器400に送られる。参照リング共振器400の共振条件を満たす光は、バンドパスフィルタ300に送られる。一方、参照リング共振器400の共振条件を満たさない光は、出力部700から出力される。
バンドパスフィルタ300は、特定の波長帯域の光を取り出して、センシングリング共振器500の入力導波路に送る。
このように、他の構成例の光センシング回路100aにおいても、第1の光センシング回路100と同様に、参照リング共振器400の共振波長の光のうち、バンドパスフィルタ300で取り出された特定の波長帯域の光が、センシングリング共振器500の入力導波路に送られる。従って、他の構成例の光センシング回路100aについても、第1の光センシング回路100と同様の機能が得られる。
(第2実施形態)
図10を参照して、この発明に係る光センシング回路の第2実施形態(以下、第2の光センシング回路とも称する。)を説明する。図10は、第2の光センシング回路の動作を説明するための模式図である。
第2の光センシング回路の構成は、第1の光センシング回路と同様であるため説明は省略する。
第1の光センシング回路は、参照リング共振器400とセンシングリング共振器500との共振ピーク波長のずれ量に依存して受光素子600の受光パワーが変動することを利
用する。この受光パワーの変動量から、検体の屈折率および濃度を推定する。
これに対し、第2の光センシング回路では、参照リング共振器400に実装されたヒーター440への印加電力を掃引することで、検体による屈折率変化量を推定する。
センシングリング共振器500のセンシング領域540に検体が曝された状態では、センシングリング共振器500の共振ピーク波長は検体の屈折率及び濃度に応じてシフトを生じる。一方、参照リング共振器400の共振ピーク波長はヒーター440に加えた電力、すなわち参照リング共振器400へ局所的に与えた温度に依存する。
このヒーター電力を掃引し、ヒーター電力と受光素子600の受光パワーとの相関をプロットすると、図10(A)のようになる。受光素子600の受光パワーは参照リング共振器とセンシングリング共振器の共振ピーク波長が一致するとき最大値をとり、その時のヒーター電力は検体に依存する。ヒーター電力Pと参照リング共振器の共振ピーク波長λとの関係は実験的に求められ、図10(B)に示されるような比例関係となる。その傾きΔλ/ΔPを用いることで図10(A)の横軸(電力)をピーク波長のシフト量に換算することができ、図10(C)に示すような疑似スペクトルを得ることが出来る。さらに、センシングリング共振器はデバイス固有の、屈折率変化に対する波長シフト係数Δλ/ΔNをもつため、受光パワーが最大となる波長シフト量ΔλmaxからΔλ/ΔNを割ることで、検体による屈折率変化量ΔNを推定することが可能となる。
(第3実施形態)
図11を参照して、この発明に係る光センシング回路の第3実施形態(以下、第3の光センシング回路とも称する。)を説明する。図11は、第3の光センシング回路の動作を説明するための模式図である。以下の説明において、第1及び第2の光センシング回路と重複する説明は省略することもある。
第3のセンシング回路101は、N個(Nは2以上の整数)のセンシングリング共振器500-1~Nを備え、参照リング共振器400とセンシングリング共振器500の間に分岐部800を備える点が、第1の光センシング回路と異なっている。なお、Nは2のべき乗であることが好ましい。
分岐部800は、参照リング共振器から送られた光を、N分岐させて、それぞれ、第1~第Nのセンシングリング共振器500-1~Nに送る。第1~第Nのセンシングリング共振器500-1~Nの後段には、それぞれ、第1~第Nの受光素子600-1~Nが光学的に接続されている。
分岐部800は、光をN分岐させるために必要な数のカプラーを備えて構成される。カプラーは、いわゆる3dBカプラーであることが好ましい。センシングリング共振器の数Nが2(kは1以上の整数)の場合、カプラーはlogN段配列され、2log2N―1個必要となる。第1段から第logN-1段のカプラーは、それぞれ、前段から受け取った光を2分岐して、後段のカプラーに送る。第logN段のカプラーは、それぞれ光を2分岐して、第1~第Nの受光素子に送る。
図11では、一例としてNが4(=2)の場合を示している。第1段のカプラー810-1は、参照リング共振器から受け取った光を2分岐して、第2段の第1カプラー810-2及び第2カプラー810-3に送る。第2段の第1カプラー810-2は、第1段のカプラーから受け取った光を2分岐して、第1の受光素子600-1及び第2の受光素子600-2に送る。また、第2段の第2カプラー810-3は、第1段のカプラー810-1から受け取った光を2分岐して、第3の受光素子600-3及び第4の受光素子6
00-4に送る。
ここで、第1~第Nのセンシングリング共振器500-1~Nは同一設計であるが、クラッドにより空間的に分離している。このため各々のセンシングリング共振器500-1~Nのセンシング領域には独立した検体をそれぞれ用いることが可能となる。従って、第1又は第2の光センシング回路と同様に各々の導波路型フォトダイオードの受光パワーを計測することで、複数のサンプルを同時に評価が可能となる。
(第4実施形態)
図12及び図13を参照して、第4の光センシング回路を説明する。図12は、第4の光センシング回路の他の構成例の概略平面図である。図13は、第4の光センシング回路の動作を説明するための模式図である。
第4のセンシング回路は、N個(Nは2以上の整数)の参照リング共振器400-1~N及びセンシングリング共振器500-1~Nを備え、N個のバンドパスフィルタ300-1~Nを直列に備える点が、第1の光センシング回路と異なっている。
第1~第Nのバンドパスフィルタ300-1~Nは、直列に接続され、互いに異なる帯域の波長を取り出して、それぞれ、第1~第Nの参照リング共振器400-1~Nに送る。参照リング共振器以降の構成は、第1~第3の光センシング回路と同様の思想で構成できる。
ここで、第1~第Nのセンシングリング共振器500-1~Nは同一設計であるが、クラッドにより空間的に分離している。このため各々のセンシングリング共振器500-1~Nのセンシング領域には独立した検体をそれぞれ用いることが可能となる。従って、第1又は第2の光センシング回路と同様に、各々の導波路型フォトダイオードの受光パワーを計測することで、複数のサンプルを同時に評価が可能となる。
また、第2~第Nのバンドパスフィルタは、前段までのバンドパスフィルタで取り出されずに透過した帯域の波長から、所定の帯域の波長を取り出す。図13(A)~(D)は、それぞれ第1~第4の参照リング共振器の共振波長を実線で示している。図13に示されるように、第1~第Nのセンシングリング共振器500-1~Nでは、それぞれ異なる波長帯域の光が用いられる。
このように、第4の光センシング回路は、第1~第3の光センシング回路において検体の検出に用いられなかった波長の光を用いて、検体の検出を行うので、光源900で生成される光を有効に活用できる。
(第5の実施形態)
図14を参照して、第5の光センシング回路を説明する。図14は、第5の光センシング回路の他の構成例の概略平面図である。第5の光センシング回路は、1つの参照リング共振器400及びN個のセンシングリング共振器500-1~Nを備える点、及び、バンドパスフィルタ300と参照リング共振器400の位置関係が、第4の光センシング回路と異なっている。他の構成や動作は、第4の光センシング回路と同様であるので、重複する説明を省略することもある。
入力部200を経て、第5の光センシング回路に入力された光は、参照リング共振器400に送られる。参照リング共振器400の共振条件を満たす光は、第1のバンドパスフィルタ300-1に送られる。
第1~第Nのバンドパスフィルタ300-1~Nは、直列に接続され、互いに異なる帯域の波長を取り出して、それぞれ、第1~第Nのセンシングリング共振器500-1~Nに送る。センシングリング共振器以降の構成は、第4の光センシング回路と同様であるので説明を省略する。
第Nのバンドパスフィルタ300-Nで取り出されなかった光は、出力部700を経て、出力される。
ここで、第1~第Nのセンシングリング共振器500-1~Nは同一設計であるが、クラッドにより空間的に分離している。このため各々のセンシングリング共振器500-1~Nのセンシング領域には独立した検体をそれぞれ用いることが可能となる。従って、第1又は第2の光センシング回路と同様に、各々の導波路型フォトダイオードの受光パワーを計測することで、複数のサンプルを同時に評価が可能となる。
このように、第5の光センシング回路は、第1~第3の光センシング回路において検体の検出に用いられなかった波長の光を用いて、検体の検出を行うので、第4の光センシング回路と同様に、光源900で生成される光を有効に活用できる。また、第4の光センシング回路と比較して、参照リング共振器の数を減らすことができる。
10 支持基板
20 クラッド
30 光導波路コア
100、101 光センシング回路
200 入力部
300 バンドパスフィルタ
400 参照リング共振器
500 センシングリング共振器
600 受光素子
700 出力部
800 分岐部
810 カプラー
900 光源

Claims (7)

  1. 支持基板と、
    前記支持基板上に形成されるクラッドと、
    前記クラッド中に埋設され、前記支持基板の上面に平行に設けられる、光導波路コアとを備える光導波路型の光センシング回路であって、
    バンドパスフィルタと、
    入力導波路、リング形状のトレース導波路、及び、出力導波路を備えて構成されるリング共振器であって、当該リング共振器が形成された領域のクラッド上にヒーターとして抵抗材が設けられている参照リング共振器と、
    入力導波路、リング形状のトレース導波路、及び、出力導波路を備えて構成されるリング共振器であって、センシング領域が設けられているセンシングリング共振器と、
    受光素子と
    を備え、
    前記参照リング共振器の共振波長の光のうち、前記バンドパスフィルタで取り出された特定の波長帯域の光が、前記センシングリング共振器の入力導波路に送られ、
    前記センシングリング共振器の共振波長の光が、前記センシングリング導波路の出力導波路から、前記受光素子に送られ、
    前記バンドパスフィルタで取り出される前記特定の波長帯域は、前記センシングリング共振器のFSR(Free Spectral Range)以下である
    ことを特徴とする光センシング回路。
  2. 支持基板と、
    前記支持基板上に形成されるクラッドと、
    前記クラッド中に埋設され、前記支持基板の上面に平行に設けられる、光導波路コアとを備える光導波路型の光センシング回路であって、
    バンドパスフィルタと、
    入力導波路、リング形状のトレース導波路、及び、出力導波路を備えて構成されるリング共振器であって、当該リング共振器が形成された領域のクラッド上にヒーターとして抵抗材が設けられている参照リング共振器と、
    分岐部と、
    入力導波路、リング形状のトレース導波路、及び、出力導波路を備えて構成されるリング共振器であって、センシング領域が設けられている、N(Nは2以上の整数)個のセンシングリング共振器と、
    N個の受光素子と
    を備え、
    前記参照リング共振器の共振波長の光のうち、前記バンドパスフィルタで取り出された特定の波長帯域の光が、前記分岐部に送られ、
    前記分岐部は、受け取った光をN分岐して、それぞれ、第1~第Nのセンシングリング共振器の入力導波路に送り、
    第1~第Nのセンシングリング導波路の共振波長の光が、それぞれ、第1~第Nのセンシングリング共振器の出力導波路から、第1~第Nの受光素子に送られ、
    前記バンドパスフィルタで取り出される前記特定の波長帯域は、前記センシングリング共振器のFSR(Free Spectral Range)以下である
    ことを特徴とする光センシング回路。
  3. 支持基板と、
    前記支持基板上に形成されるクラッドと、
    前記クラッド中に埋設され、前記支持基板の上面に平行に設けられる、光導波路コアとを備える光導波路型の光センシング回路であって、
    N(Nは2以上の整数)個のバンドパスフィルタと、
    入力導波路、リング形状のトレース導波路、及び、出力導波路を備えて構成されるリング共振器であって、当該リング共振器が形成された領域のクラッド上にヒーターとして抵抗材が設けられている、1個あるいはN個の参照リング共振器と、
    入力導波路、リング形状のトレース導波路、及び、出力導波路を備えて構成されるリング共振器であって、センシング領域が設けられている、N個のセンシングリング共振器と、
    N個の受光素子と
    を備え、
    第p(pは1以上N以下の整数)のバンドパスフィルタで取り出された、参照リング共振器の共振波長の各ピークを含む波長帯域の光が、第pのセンシングリング共振器の入力導波路に送られ、
    第pのセンシングリング導波路の共振波長の光が、第pのセンシングリング共振器の出力導波路から、第pの受光素子に送られ、
    第1~第Nのバンドパスフィルタで取り出される特定の波長帯域は、それぞれ、第1~第Nのセンシングリング共振器の共振波長を含み、FSR(Free Spectral
    Range)以下であり、及び、互いに異なる波長帯域である
    ことを特徴とする光センシング回路。
  4. 前記センシング領域のクラッドが、部分的に又は全体的に薄膜化されている
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光センシング回路。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の光センシング回路を用いた光センシング方法であって、
    必要に応じて、前記参照リング共振器が備えるヒーターの温度を変化させて、前記参照リング共振器の共振波長と、前記センシングリング共振器の共振波長が一致する初期状態に設定する過程と、
    前記センシングリング共振器を検体に曝す過程と、
    前記参照リング共振器の共振波長と、前記センシングリング共振器の共振波長のずれ量を取得し、共振波長のずれ量から、抗原の濃度を取得する過程と
    を備える光センシング方法。
  6. 前記共振波長のずれ量の取得は、
    前記受光素子における受光パワーの、初期状態からの減衰量に基づいて行われる
    ことを特徴とする請求項5に記載の光センシング方法。
  7. 前記共振波長のずれ量の取得は、
    前記受光素子における受光パワーが、初期状態における受光パワーに一致するように、参照リング共振器が備えるヒーターに供給する電力を変化させたときの、ヒーター電力に基いて行われる
    ことを特徴とする請求項5に記載の光センシング方法。
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