JP2023104222A - ラチェット型クラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】 切り替えプレートの破損を防止すると共に、構成部品として組み込まれる装置全体の重量の増大および当該装置の配置スペースの増大を抑制することができるトルク伝達方向切り替え式のラチェット型クラッチを提供すること。【解決手段】 内輪5および外輪3と同軸に且つ内輪5および外輪3と相対回転可能に設けられた切り替えプレート51と、切り替えプレート51と同軸に配置され、切り替えプレート51を回転可能に支持する切り替えプレート作動部材61とを有し、切り替えプレート51が固定された内径側部材65と外径側部材63との間には、第1の爪部材31または第2の爪部材37が歯部13と噛み合っている状態において、外径側部材63に対する切り替えプレート51および内径側部材65の相対回転により収縮可能な弾性体77が複数介装されていることを特徴とするラチェット型クラッチ。【選択図】図1

Description

本発明は、車両や産業機械等においてトルク伝達用の装置として用いられるトルク伝達方向切り替え式のラチェット型クラッチに関する。
従来、ラチェット機構を用いたクラッチであって、外輪部材に対する内輪部材或いは内輪部材に対する外輪部材の回転方向に関し、一方向または反対方向の何れかの回転方向への回転のみをロックする状態と、一方向および反対方向の両方の回転方向への回転を同時にロックする状態と、一方向および反対方向の何れの回転方向への回転もロックしない状態とを切り替えることにより、トルク伝達方向を切り替えることができるものがある(例えば特許文献1、2を参照)。
特許文献1、2に記載されたクラッチは、変位することによってラチェット機構の係合状態を変更可能な環状の切り替えプレートを、アクチュエータ等の外部装置を用いて変位させることにより内外輪間の回転伝達方向すなわちトルク伝達方向を切り替えている。
特表2016-508582号公報 特開2021-038755号公報
近年、変速装置の電動化制御は複雑化してきている。このため、特許文献1または2に記載のクラッチにおいては、例えば爪部材と相手側歯部とが噛み合っている状態で急激な回転方向の切り替えが発生した場合、当該切り替え制御にクラッチの作動が追随できず、爪部材と相手側歯部との噛み合いが未解除の状態のまま切り替えプレートが噛み合い解除制御の作動となってしまい、切り替えプレートが破損してしまう虞がある。
このような懸念から、制御をさらに複雑化させることは、制御装置の増加、或いはクラッチ自体の構造の複雑化すなわち部品数の増加を招き、クラッチを変速装置の構成部品として用いる場合には、変速装置全体の重量および車両への搭載スペースが増大してしまう虞がある。このことは、近年の厳しい軽量化および省スペースの要求の達成を困難にする虞がある。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、切り替えプレートの破損を防止すると共に、構成部品として組み込まれる装置全体の重量の増大および当該装置の配置スペースの増大を抑制することができるトルク伝達方向切り替え式のラチェット型クラッチを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るラチェット型クラッチは、
第1の環状部材と、
前記第1の環状部材と同軸に且つ相対回転可能に配置された第2の環状部材と、
前記第1の環状部材と前記第2の環状部材とに設けられ、トルク伝達可能に前記第1の環状部材と前記第2の環状部材とを係合可能なラチェット機構と、
前記第1の環状部材と前記第2の環状部材とにおけるトルク伝達方向を切り替え可能な切り替え機構とを有するラチェット型クラッチであって、
前記切り替え機構は、
前記第1および第2の環状部材と同軸に且つ前記第1および第2の環状部材と相対回転可能に設けられた第3の環状部材と、
前記第3の環状部材と同軸に配置され、前記第3の環状部材を回転可能に支持する第4の環状部材とを有し、
前記第3の環状部材には、前記ラチェット機構の爪部材と接触することにより前記爪部材と前記ラチェット機構の歯部との噛み合いを制限可能な制限部が形成され、
前記制限部は、前記第3の環状部材の回転によって、前記爪部材との接触と非接触とが切り替わり、
前記第3の環状部材と前記第4の環状部材との間には、前記爪部材が前記歯部と噛み合っている状態において、前記第4の環状部材に対する前記第3の環状部材の相対回転により収縮可能な弾性部材が複数介装されていることを特徴とする。
本発明によれば、切り替えプレートの破損を防止すると共に、構成部品として組み込まれる装置全体の重量の増大および当該装置の配置スペースの増大を抑制することができるトルク伝達方向切り替え式のラチェット型クラッチを提供することができる。
図1は、実施形態に係る切り替え式ラチェット型クラッチの軸方向に沿った断面図である。 図2は、実施形態に係る切り替え式ラチェット型クラッチの要部を軸方向一方側から見た状態を示す正面図であり、爪機構部とその周辺部分を示している。 図3は、切り替えプレートおよび切り替えプレート作動部材の斜視図である。 図4は、実施形態に係る切り替え式ラチェット型クラッチの要部を軸方向一方側から見た状態を示す正面図であり、第2の爪部材と歯部との噛み合い状態を示している。 図5は、実施形態に係る切り替え式ラチェット型クラッチの要部を軸方向一方側から見た状態を示す正面図であり、第2の爪部材と歯部との非噛み合い状態を示している。 図6は、切り替えプレート作動部材を軸方向一方側から見た状態を示す正面図であり、第2の爪部材と歯部とが噛み合い状態の際の作動状態を示している。 図7は、切り替えプレート作動部材を軸方向一方側から見た状態を示す正面図であり、第2の爪部材と歯部とが非噛み合い状態の際の作動状態を示している。
以下、本発明の実施形態に係るトルク伝達方向切り替え式のラチェット型クラッチを、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係るトルク伝達方向切り替え式のラチェット型クラッチは、車両の変速装置の構成部品として用いられる例として説明する。また、以下の説明においては、トルク伝達方向切り替え式のラチェット型クラッチを「ラチェット型クラッチ」と略記する場合がある。
まず、本実施形態における切り替え式ラチェット型クラッチに係る方向について定義する。本実施形態において、「中心軸線C」とは切り替え式ラチェット型クラッチの中心軸線すなわち外輪および内輪の中心軸線のことをいい、軸方向、径方向、周方向とは、中心軸線Cに関する軸方向、径方向、周方向のことをいう。また、軸方向について、図1においては紙面左方側を軸方向一方側とし、紙面右方側を軸方向他方側とし、図2、4~7においては紙面手前側を軸方向一方側とし、紙面奥側を軸方向他方側とする。周方向について、図2、4~7において、紙面に向かって時計回りに回転する方向を周方向一方とし、紙面に向かって反時計回りに回転する方向を周方向他方とする。
なお、ラチェット型クラッチの回転方向については、説明の便宜上、外輪に対する内輪の回転方向について説明するが、外輪の回転と内輪の回転とは相対的なものである。例えば、内輪が時計回りに回転可能な場合、外輪も反時計回りに回転可能であり、また、内輪と外輪とが同方向に回転する場合であっても、外輪と内輪との回転速度が異なれば、外輪と内輪とは相対的にいずれかの方向に回転していると言える。
図1は、実施形態に係る切り替え式ラチェット型クラッチの軸方向に沿った断面図である。
図2は、実施形態に係る切り替え式ラチェット型クラッチの要部を軸方向一方側から見た状態を示す正面図であり、1つの爪機構部とその周辺部分を示している。
図3は、切り替えプレートおよび切り替えプレート作動部材の斜視図である。
本実施形態に係るトルク伝達方向切り替え式のラチェット型クラッチ1は、軸方向から見た全体の形状は、上記特許文献2の図2に示された形状と同様の円環状であり、複数の爪機構部と複数の歯部とを備えている。図1においては、1つの爪機構部とその周辺部分のみを示している。
本実施形態に係るトルク伝達方向切り替え式のラチェット型クラッチ1は、環状の外輪3と、外輪3に対して径方向内方に離間し、外輪3の中心軸線Cと同軸に且つ外輪3と相対回転可能に配置された環状の内輪5と、外輪3と内輪5との間でトルク伝達を可能とするトルク伝達機構と、を有している。本実施形態におけるトルク伝達機構は、ラチェット機構である。
外輪3は、軸方向に所定の長さを有する円筒状に形成されている。外輪3の内周部には、後述する複数の爪機構部が保持される。外輪3は、図示しない嵌合構造により、外側部材に対して相対回転不能に固定されている。
図2に示すように、外輪3の内周部には、第1の爪部材31と、第1の爪部材31の周方向他方側に隣接し、第1の爪部材31と対をなす第2の爪部材37とが設けられている。第1の爪部材31と第2の爪部材37とで爪機構部を構成している。すなわち、外輪3には、軸方向一方側から見て、周方向一方側から周方向他方側に向かって順に並んで対をなす第1の爪部材31と第2の爪部材37とを含む爪機構部が設けられている。外輪3にはこのような爪機構部が、周方向に所定間隔で複数設けられている。第1の爪部材31は、円柱部27から周方向一方側に向かって延在する爪部29を有し、第2の爪部材37は、円柱部33から周方向他方側に向かって延在する爪部35を有する。第1の爪部材31の円柱部27と第2の爪部材37の円柱部33との間の外輪3の内周部には、第1の爪部材31の円柱部27と第2の爪部材37の円柱部33とを回動可能に保持する保持器38が固定されている。なお、本実施形態においては、複数の爪機構部が周方向所定間隔に設けられているが、図1においては1つの爪機構部のみを示している。
内輪5は外輪3の径方向内方に配置されている。内輪5の外周部には、多数の歯部13が全周に亘って等間隔に形成されている。各歯部13は径方向外方に突出し、中心軸線C方向に延在している。外輪3の内周面と内輪5の外周部すなわち歯部13とは、所定の空間を介して径方向に対向している。歯部13は、第1の爪部材31および第2の爪部材37が噛み合うラチェット歯を構成している。具体的には、各歯部13の周方向他方側の側面は第1の爪部材31と噛み合う第1の噛み合い部13aを構成し、各歯部13の周方向一方側の側面は第2の爪部材37と噛み合う第2の噛み合い部13bを構成している。
内輪5の内周面には、スプライン11が全周に亘って設けられている。内輪5の内周側には、スプライン11を介して出力用或いは入力用の図示しない軸部材がスプライン嵌合される。
第1の爪部材31は、円柱部27を中心に爪部29が径方向に揺動可能に、外輪3の内周部に形成された保持部39および保持器38に保持されている。保持部39は、外輪3の軸方向一方側端面および内周面に開口する凹部である。また、保持部39には第1の爪部材31の爪部29を径方向内方すなわち内輪5の外周面に向けて常に付勢しているコイル状のスプリング41が設けられている。例えば、図2において、内輪5が反時計回りに回転すると、第1の爪部材31の爪部29は内輪5の歯部13の第1の噛み合い部13aと噛み合う。一方、内輪5が時計回りに回転すると、第1の爪部材31の爪部29は、スプリング41の付勢力に抗して内輪5の歯部13によって径方向外側へ押され、内輪5の回転を許す。これにより、第1の爪部材31は、内輪5の周方向他方の回転をロックし、内輪5の周方向一方の回転を可能としている。
第2の爪部材37は、円柱部33を中心に爪部35が径方向に揺動可能に、外輪3の内周部に形成された保持部43および保持器38に保持されている。保持部43は、外輪3の軸方向一方側端面および内周面に開口する凹部である。また、保持部43には第2の爪部材37の爪部35を径方向内方すなわち内輪5の外周面に向けて常に付勢しているコイル状のスプリング45が設けられている。例えば、図2において、内輪5が時計回りに回転すると、第2の爪部材37の爪部35は内輪5の歯部13の第2の噛み合い部13bと噛み合う。一方、内輪5が反時計回りに回転すると、第2の爪部材37の爪部35は、スプリング45の付勢力に抗して内輪5の歯部13によって径方向外側へ押され、内輪5の回転を許す。これにより、第2の爪部材37は、内輪5の周方向一方の回転をロックし、内輪5の周方向他方の回転を可能としている。
このように、外輪3の保持部39、43に保持された第1の爪部材31および第2の爪部材37と、スプリング41、45と、内輪5に形成された歯部13とで、ラチェット機構が構成されている。
図1に示すように、外輪3の内周側には、外輪3と同軸上に環状の切り替えプレート51が配置されている。切り替えプレート51の軸方向一方側の端面は、内輪5の軸方向他方側端部と軸方向に対向している。切り替えプレート51の外周面は、外輪3の内周面、第1の爪部材31の内径側の面、および第2の爪部材37の内径側の面と、所定の空間を介して径方向に対向している。切り替えプレート51の軸方向他方側の端面の外縁部には、径方向外方に向けて突出するフランジ部53が形成されている。フランジ部53の外縁部は、外輪3の内周面の軸方向他方側部分に相対回転可能に係合している。これにより切り替えプレート51の軸方向位置が位置決めされている。フランジ部53の軸方向一方側の面は、第1の爪部材31の軸方向他方側の端面、および第2の爪部材37の軸方向他方側の端面と、軸方向に対向している。
切り替えプレート51の外周面には、図3に示すように、径方向外方に突出し、周方向に所定範囲に亘って延在する凸部59が周方向所定間隔に複数設けられている。凸部59の頂部は、内輪3の歯部13の頂部よりも僅かに径方向外方に位置し、外輪3の内周面に沿って延在し、外輪3の内周面とは僅かな隙間を介して径方向に対向している。すなわち凸部59の頂部は外輪3の内周面とは非接触である。凸部59の頂部の周方向両端部は、それぞれ斜面60を介して切り替えプレート51の外周面と滑らかに連続している。この構成により、第1の爪部材31および第2の爪部材37は、切り替えプレート51の回転によって切り替えプレート51の外周面から凸部59の頂部へと滑らかに押し上げられる。
凸部59の頂部は、切り替えプレート51の回転によって第1の爪部材31の内径側に位置すると、第1の爪部材31の内径側の面に接触し、第1の爪部材31の内径側の面を内輪5の歯部13よりも外径側に押上げ保持する。これにより凸部59は第1の爪部材31と歯部13との噛み合いを制限する。同様に、凸部59の頂部は、第2の爪部材37の内径側に位置すると、第2の爪部材37の内径側の面に接触し、第2の爪部材37の内径側の面を内輪5の歯部13よりも外径側に押上げ保持し、これにより凸部59は第2の爪部材37と歯部13との噛み合いを制限する。このように凸部59は、第1の爪部材31と第2の爪部材37とを外径側に押上げ保持する押上げ部を構成している。
切り替えプレート51は、周方向一方または周方向他方へ回転することによって、爪機構部に対する凸部59の周方向位置を変更する。これにより、爪機構部すなわち対をなす第1の爪部材31と第2の爪部材37とに対する凸部59の接触または非接触の組み合わせ状態を変更する。具体的には、切り替えプレート51は、爪機構部に対する凸部59の接触または非接触の4つの組み合わせ状態を切り替え、これよりラチェット型クラッチ1のトルク伝達方向を切り替えている。
爪機構部に対する凸部59の接触または非接触の第1の組み合わせ状態は、図2に示すように、凸部59は第1の爪部材31と第2の爪部材37との何れにも接触せず、外輪3の内周面に対向している状態である。この状態において第1の爪部材31および第2の爪部材37は、それぞれスプリング41および45の付勢力によって内輪5の歯部13に噛み合っている。したがってこの状態において、内輪5は外輪3に対して周方向一方および周方向他方の何れの方向への回転もロックされた状態である。すなわち、内輪5を入力側とすると、内輪5は外輪3に対して周方向一方および周方向他方の両方向に対して係止状態である。
爪機構部に対する凸部59の接触または非接触の第2の組み合わせ状態は、1つの凸部59が第2の爪部材37の内径側の面に接触し、第1の爪部材31には凸部59が接触していない状態である。この状態において、第2の爪部材37に接触している凸部59は、第2の爪部材37に対してスプリング45を圧縮した状態で接触し、第2の爪部材37の内径側の面を内輪5の歯部13よりも外径側に押上げ保持し、第2の爪部材37と内輪5の歯部13との噛み合いを制限する。一方、第1の爪部材31は、スプリング41の付勢力によって内輪5の歯部13に噛み合っている。したがってこの状態において、内輪5は外輪3に対して周方向一方への回転が可能であり、周方向他方への回転がロックされた状態である。すなわち、内輪5を入力側とすると、内輪5から外輪3へは周方向他方へのトルク伝達がなされ、周方向一方へのトルク伝達はなされない。
爪機構部に対する凸部59の接触または非接触の第3の組み合わせ状態は、1つの凸部59が第1の爪部材31の内径側の面に接触し、第2の爪部材37には凸部59が接触していない状態である。この状態において、第1の爪部材31に接触している突出部59は、第1の爪部材31に対してスプリング41を圧縮した状態で接触し、第1の爪部材31の内径側の面を内輪5の歯部13よりも外径側に押上げ保持し、第1の爪部材31と内輪5の歯部13との噛み合いを制限する。一方、第2の爪部材37は、スプリング45の付勢力によって内輪5の歯部13に噛み合っている。したがってこの状態において、内輪5は外輪3に対して周方向他方への回転が可能であり、周方向一方への回転がロックされた状態である。すなわち、内輪5を入力側とすると、内輪5から外輪3へは周方向一方へのトルク伝達がなされ、周方向他方へのトルク伝達はなされない。
爪機構部に対する凸部59の接触または非接触の第4の組み合わせ状態は、1つの凸部59が第1の爪部材31の内径側の面に接触し、さらに当該1つの凸部59または他の1つの凸部59が第2の爪部材37の内径側の面に接触している状態である。この状態において、第1の爪部材31に接触している凸部59は第1の爪部材31と内輪5の歯部13との噛み合いを制限すると共に、第2の爪部材37に接触している凸部59は第2の爪部材37と内輪5の歯部13との噛み合いを制限する。したがってこの状態において、内輪5は外輪3に対して周方向一方への回転も周方向他方への回転もロックされておらず、周方向一方と周方向他方の何れの方向への回転も可能である。すなわち、内輪5を入力側とすると、内輪5から外輪3へは周方向一方と周方向他方の何れの方向へもトルク伝達はなされない。
切り替えプレート51の複数の凸部59は、爪機構部に対する上記4つの組み合わせ状態を切り替えられるように、それぞれの頂部の周方向長さ、および隣り合う凸部59間の周方向間隔が設計されている。
切り替えプレート51は、環状の切り替えプレート作動部材61に回転可能に支持されている。切り替えプレート作動部材61は、切り替えプレート51の軸方向他方側に、切り替えプレート51と同軸上に配置されている。すなわち切り替えプレート51および切り替えプレート作動部材61は、中心軸線C上に配置されている。切り替えプレート作動部材61は、環状の外径側部材63と、外径側部材63の内径側において外径側部材63と同軸に且つ外径側部材63と相対回転可能に配置された環状の内径側部材65とを有している。
内径側部材65の軸方向一方側の端面には、軸方向一方に向けて突出する突出部67が、周方向所定間隔で複数形成されている。本実施形態においては、3つの突出部67が形成されている。切り替えプレート51には、内径側部材65の各突出部67に対応する位置に、各突出部67と嵌合する孔69が形成されている。切り替えプレート51の孔69と内径側部材65の突出部67とが嵌合することにより、切り替えプレート51は切り替えプレート作動部材61に回転可能に支持されている。
外径側部材63は、ラチェット型クラッチ1が組み込まれる図示しない変速装置内の図示しない駆動機構に接続され、当該駆動機構によって回転駆動されている。ここで外径側部材63が接続される変速装置内の駆動機構とは、例えば、直動機構、回転機構、或いは直動機構と回転機構とを組み合わせた機構等を用いることができる。このような駆動機構は、例えば、変速装置内のギヤを切り替えるためのウォームギヤ(図示省略)とすることができる。
外径側部材63の内周部には、外径側部材63の内周面および軸方向一方側端面に開口し、周方向所定長さに亘って延在する切り欠き部71が複数形成されている。本実施形態においては、6つの切り欠き部71が周方向所定間隔で形成されている。一方、内径側部材65の外周部には、内径側部材65の外周面および軸方向一方側端面に開口し、周方向所定長さに亘って延在する切り欠き部73が複数形成されている。切り欠き部73は外径側部材63の切り欠き部71と同等の周方向長さを有し、切り欠き部71と同数が周方向所定間隔で形成されている。外径側部材63の切り欠き部71と内径側部材65の切り欠き部73とはそれぞれ径方向に対向し、周方向に延在する空間である弾性体収容部75を形成している。
各弾性体収容部75の内部には、弾性体77が収容されている(図6、7参照)。弾性体77は、例えばコイルスプリングを用いても良いし、板バネを用いても良く、限定はされない。弾性体77は、自然状態あるいは少し圧縮された状態で、周方向に伸縮可能に、弾性体収容部75に収容されている。弾性体77の周方向一方側端部および周方向他方側端部は、それぞれ支持部材79および支持部材81に固定されている。支持部材79および支持部材81は、例えば円柱状の部材であり、弾性体収容部75の内部を周方向に摺動可能な大きさに形成されている。
外径側部材63に対して内径側部材65が相対回転していない自然状態において、支持部材79の周方向一方側端面は、外径側部分が切り欠き部71の周方向一方側端面と接触し、内径側部分が切り欠き部73の周方向一方側端面と接触している(図6、7参照)。また、支持部材81の周方向他方側端面は、外径側部分が切り欠き部71の周方向他方側端面と接触し、内径側部分が切り欠き部73の周方向他方側端面と接触している(図6、7参照)。
このような構成により、外径側部材63に対して内径側部材65および切り替えプレート51が周方向一方に相対回転すると、内径側部材65の切り欠き部73の周方向他方側端面が周方向一方側へ移動することにより支持部材81が弾性体収容部75内を周方向一方へ移動し、弾性体77は収縮する。また、外径側部材63に対して内径側部材65および切り替えプレート51が周方向他方に相対回転すると、内径側部材65の切り欠き部73の周方向一方側端面が周方向他方側へ移動することにより支持部材79が弾性体収容部75内を周方向他方へ移動し、弾性体77は収縮する。
次に、ラチェット型クラッチ1の作動について説明する。
以下の説明は、第2の爪部材37と歯部13との噛み合い動作についての説明である。なお、第1の爪部材31と歯部13との噛み合い動作は、第2の爪部材37の場合と同様であるが、第2の爪部材37の場合とは周方向が逆となる。
図4は、実施形態に係る切り替え式ラチェット型クラッチの要部を軸方向一方側から見た状態を示す正面図であり、第2の爪部材と歯部とのみ合い状態を示している。
図5は、実施形態に係る切り替え式ラチェット型クラッチの要部を軸方向一方側から見た状態を示す正面図であり、第2の爪部材と歯部との非み合い状態を示している。
図6は、切り替えプレート作動部材を軸方向一方側から見た状態を示す正面図であり、第2の爪部材と歯部とが噛み合い状態の際の作動状態を示している。
図7は、切り替えプレート作動部材を軸方向一方側から見た状態を示す正面図であり、第2の爪部材と歯部とが非噛み合い状態の際の作動状態を示している。
図4に示すように、第2の爪部材37と歯部13とが噛み合い状態の際は、切り替えプレート51の凸部59は、第2の爪部材37の爪部35の内径側の面の軸方向一方側に隣接している。詳細には、凸部59は、凸部59の周方向他方側端部の斜面60が、爪部35の内径側の面に接触した状態で配置される。この状態において、切り替えプレート作動部材61は、図6に示すように、外径側部材63に対して内径側部材65が周方向一方に相対回転し、弾性体77が所定量収縮している状態である。したがって、収縮した弾性体77の弾性復帰力により、内径側部材65に固定された切り替えプレート51は、外径側部材63に対して周方向他方へ回転する方向に付勢されている。この付勢力により、切り替えプレート51の凸部59は、第2の爪部材37の爪部35の内径側の面に接触する方向に付勢されている。
この状態において内輪5が周方向一方すなわち時計方向へ回転すると、第2の爪部材37を介して外輪3へトルクが伝達される。このとき、内輪5から第2の爪部材37に伝達されたトルクは、第2の爪部材37に接触している切り替えプレート51にも伝達され、切り替えプレート51には周方向一方へ回転する方向の力が加わる。ここで、切り替えプレート51に伝達されたトルクは弾性体77に伝達され、当該トルクが所定値、すなわち収縮した弾性体77の弾性復帰力よりも大きいと、弾性体77が収縮することによって吸収される。第2の爪部材37に一時的に通常のトルクよりも大きな超過トルクが伝達された際も、超過トルクは弾性体77が収縮することによって吸収される。したがって切り替えプレート51が第2の爪部材37から伝達されたトルクを受け止めることがないので、切り替えプレート51の破損を防ぐことができる。
第2の爪部材37と歯部13とが噛み合っている状態(図4)から、内輪5の回転方向が切り替わる際、内輪5の回転速度が低下すると、内輪5から第2の爪部材37に伝達されるトルクも小さくなる。内輪5から第2の爪部材37に伝達されるトルクの大きさが所定値すなわち収縮した弾性体77の弾性復帰力よりも小さくなると、弾性体77は弾性復帰して延伸する。弾性体77が延伸するに従い、切り替えプレート51は周方向他方に回転し、第2の爪部材37を、凸部59の斜面60を介して凸部59の頂部に持ち上げ保持する。これにより、図5に示すように、第2の爪部材37と歯部13との噛み合いが解除され、内輪5は外輪3に対して空転状態となる。すなわちラチェット型クラッチ1自体が空転状態となる。この状態において、切り替えプレート作動部材61は、図7に示すように、外径側部材63に対して内径側部材65は相対回転せず、弾性体77は自然状態または少し圧縮された状態である。
このように本実施形態のラチェット型クラッチ1は、切り替えプレート51に伝達されたトルクは弾性体77が収縮することによって吸収されるため、切り替えプレート51の破損を防ぐことができる。また、弾性体77の弾性復帰力によって第1の爪部材31または第2の爪部材37と歯部13との噛み合い状態を解除することができるため、制御装置を簡素化できる。その結果、本実施形態によれば、ラチェット型クラッチ1が構成部品として組み込まれる装置全体の重量の増大および当該装置の配置スペースの増大を抑制することができる。本実施形態のようにラチェット型クラッチ1が構成部品として組み込まれる装置が車両の変速装置であれば、変速装置全体の重量の増大および車両への搭載スペースの増大を抑制することができる。
なお、本発明のラチェット型クラッチ1は、上記実施形態に限定されず、変形が可能である。例えば、爪機構部を内輪側に設け、爪機構部と噛み合う歯部を外輪の内周面に設ける構成としても良い。また、爪機構部の数は、伝達するトルク容量により適宜変更が可能である。
1 ラチェット型クラッチ
3 外輪
5 内輪
13 歯部
31 第1の爪部材
37 第2の爪部材
51 切り替えプレート
59 凸部
61 切り替えプレート作動部材
63 外径側部材
65 内径側部材
75 弾性体収容部
77 弾性体

Claims (4)

  1. 第1の環状部材と、
    前記第1の環状部材と同軸に且つ相対回転可能に配置された第2の環状部材と、
    前記第1の環状部材と前記第2の環状部材とに設けられ、トルク伝達可能に前記第1の環状部材と前記第2の環状部材とを係合可能なラチェット機構と、
    前記第1の環状部材と前記第2の環状部材とにおけるトルク伝達方向を切り替え可能な切り替え機構とを有するラチェット型クラッチであって、
    前記切り替え機構は、
    前記第1および第2の環状部材と同軸に且つ前記第1および第2の環状部材と相対回転可能に設けられた第3の環状部材と、
    前記第3の環状部材と同軸に配置され、前記第3の環状部材を回転可能に支持する第4の環状部材とを有し、
    前記第3の環状部材には、前記ラチェット機構の爪部材と接触することにより前記爪部材と前記ラチェット機構の歯部との噛み合いを制限可能な制限部が形成され、
    前記制限部は、前記第3の環状部材の回転によって、前記爪部材との接触と非接触とが切り替わり、
    前記第3の環状部材と前記第4の環状部材との間には、前記爪部材が前記歯部と噛み合っている状態において、前記第4の環状部材に対する前記第3の環状部材の相対回転により収縮可能な弾性部材が複数介装されていることを特徴とするラチェット型クラッチ。
  2. 前記弾性部材は、前記爪部材が前記歯部と噛み合っている状態において、前記爪部材から前記第3の環状部材に所定値よりも大きなトルクが伝達されると収縮することを特徴とする請求項1に記載のラチェット型クラッチ。
  3. 前記弾性部材は、前記爪部材が前記歯部と噛み合っている状態において、前記爪部材に伝達されるトルクが前記所定値よりも小さくなると延伸し、前記制限部が前記爪部材と接触する方向へ前記第3の環状部材を回転させることを特徴とする請求項2に記載のラチェット型クラッチ。
  4. 前記第3の環状部材は、前記爪部材と径方向に対向する周面を有し、
    前記制限部は、前記周面に形成され、前記爪部材と接触することにより前記爪部材を前記歯部との非噛み合い方向に変位させる凸部であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のラチェット型クラッチ。
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