JP2023102688A - 光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム、及び光学素子 - Google Patents

光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム、及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率低分散性である上、ガラス転移温度が低く、且つ、結像の温度依存性を抑制可能な光学ガラスを提供する。【解決手段】質量%でSiO2:1%以上15%以下、B2O3:10%以上25%以下、Li2O:1%以上5%以下、CaO:5%以上30%以下、BaO:10%以下、Nb2O5:8%以下、ZrO2:0%以上8%以下、TiO2:8%以下、Y2O3:10%以下、La2O3:5%以上20%以下、Gd2O3:15%以下、Ta2O5:8%以下、WO3:8%以下、を含有する組成を有し、ZnOを実質的に含有せず、所定の成分に関する含有量のモル比(R/F)が0.8以上2.0以下であり、相対屈折率の温度係数(40~60℃)が-5.0×10-6℃-1以上3.0×10-6℃-1以下であることを特徴とする、光学ガラスである。【選択図】なし

Description

本発明は、光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム、及び光学素子に関する。
従来、光学機器の普及及び発展に伴い、様々な特性を有する光学ガラスが求められている。特に、近年は、車載用の光学機器、監視カメラ等を念頭においた、製品の小型化及び高性能化を達成することが可能な光学ガラスの需要が一層高まっている。
製品の小型化及び高性能化の達成に際しては、高屈折率のガラス(例えば、屈折率(nd)が1.70以上のガラス)の使用、及び、精密プレス成形などによる非球面レンズを使用した光学設計が不可欠な要素となっている。
ここで、高屈折率のガラスは、一般に波長分散性が高く、色収差をもたらし易い傾向にあるため、通常は、分散性が低いガラスと組み合わせて色収差を補正することが必要である。しかし、組み合わせるガラス(レンズ)の枚数が増えると、小型化の達成には不利となることが多い。そこで、高屈折率でありながらも、分散性が低い光学ガラス(屈折率(nd):約1.70~1.80、アッベ数(νd):約40~55)を用いることで、レンズ枚数の削減、ひいては小型化が期待できる。即ち、上述した高屈折率低分散性の光学ガラスに、ニーズがある。
また、プロジェクター及び車載用の光学機器などに使用される光学ガラス(レンズ)は、激しい環境温度の変化に晒されることがあるため、温度変化に対する結像等への悪影響が少ないことが望まれる。この点、上述した高屈折率のガラスは、温度に対する屈折率の変化量が正に大きい傾向にある。そのため、かかる高屈折率のガラスとしては、温度に対する屈折率の変化量が小さいか、或いは負に大きいものを選択し、屈折率の温度依存性をできるだけ抑制することが求められる。
高屈折率低分散性の光学ガラスとして、例えば、特許文献1に、B-La-Gd-ZnO系の所定の組成を有し、屈折率(nd)が1.72~1.83、アッベ数(νd)が45~55の範囲の光学恒数を有する光学ガラスが開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の光学ガラスは、高屈折率低分散性を実現させるために多量のLa等の希土類元素化合物及びBを含有しており、実質的なガラス転移温度(Tg)が低くとも580℃程度で高温のため、精密プレス成形による非球面レンズの作製に不利である。
一方、特許文献2は、SiO-B-La-Gd-ZnO系の所定の組成を有し、屈折率(nd)が1.65~1.77、アッベ数(νd)が40~55、及び、ガラス転移温度(Tg)が550℃以下の光学ガラスを開示している。
特開2006-315954号公報 特開2006-111482号公報
しかしながら、特許文献2に記載の光学ガラスは、ガラス転移温度(Tg)を低下させるためにZnOを多く含有しており、屈折率の変化量が正に大きく、温度変化に応じて結像性が大きく悪化する虞がある。
そこで本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、高屈折率低分散性である上、ガラス転移温度が低く、且つ、結像の温度依存性を抑制可能な光学ガラスを提供することを目的とする。また、本発明は、上述した光学ガラスを用いた精密プレス成形用プリフォーム、及び光学素子を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、SiO、B、LiO、CaO及びLaを基本組成とするとともに、所定の成分に関する含有量のモル比(R/F)の適正化を図ることにより、温度(T)に対する屈折率(n)の変化量(相対屈折率の温度係数(dn/dT))が小さくなるか、又は負に大きくなって結像の温度依存性を抑制できる上、ガラス転移温度の低い光学ガラスが得られることを見出した。
即ち、本発明の光学ガラスは、質量%で
SiO:1%以上15%以下、
:10%以上25%以下、
LiO:1%以上5%以下、
CaO:5%以上30%以下、
BaO:0%以上10%以下、
Nb:0%以上8%以下、
ZrO:0%以上8%以下、
TiO:0%以上8%以下、
:0%以上10%以下、
La:5%以上20%以下、
Gd:0%以上15%以下、
Ta:0%以上8%以下、
WO:0%以上8%以下、
を含有する組成を有し、
ZnOを実質的に含有せず、
LiO、CaO及びBaOのモル%の合計含有量をRとし、SiO及びBのモル%の合計含有量をFとしたときに、R/Fが、0.8以上2.0以下であり、
d線(587.562nm)における相対屈折率の温度係数(40~60℃)が-5.0×10-6-1以上3.0×10-6-1以下であることを特徴とする。かかる光学ガラスは、高屈折率低分散性である上、ガラス転移温度が低く、且つ、結像の温度依存性を抑制可能である。
本発明の光学ガラスは、屈折率(nd)が1.70以上1.80以下であり、且つ、アッベ数(νd)が40以上55以下であることが好ましい。
本発明の光学ガラスは、ガラス転移温度(Tg)が560℃以下であることが好ましい。
本発明の精密プレス成形用プリフォームは、上記の光学ガラスを素材として用いたことを特徴とする。かかる精密プレス成形用プリフォームは、精密プレス成形がし易く、また、結像の温度依存性が抑制された製品を得るために用いることができる。
本発明の光学素子は、上記の光学ガラスを素材として用いたことを特徴とする。かかる光学素子によれば、結像の温度依存性が抑制された製品を得ることができる。
本発明によれば、高屈折率低分散性である上、ガラス転移温度が低く、且つ、結像の温度依存性を抑制可能な光学ガラスを提供することができる。また、本発明によれば、上述した光学ガラスを用いた精密プレス成形用プリフォーム、及び光学素子を提供することができる。
以下、本発明を、実施形態を用いて具体的に説明する。
(光学ガラス)
本発明の一実施形態の光学ガラス(以下、「本実施形態の光学ガラス」と称することがある。)は、質量%で
SiO:1%以上15%以下、
:10%以上25%以下、
LiO:1%以上5%以下、
CaO:5%以上30%以下、
BaO:0%以上10%以下、
Nb:0%以上8%以下、
ZrO:0%以上8%以下、
TiO:0%以上8%以下、
:0%以上10%以下、
La:5%以上20%以下、
Gd:0%以上15%以下、
Ta:0%以上8%以下、
WO:0%以上8%以下、
を含有する組成を有し、
ZnOを実質的に含有せず、
LiO、CaO及びBaOのモル%の合計含有量をRとし、SiO及びBのモル%の合計含有量をFとしたときに、R/Fが、0.8以上2.0以下であり、
d線(587.562nm)における相対屈折率の温度係数(40~60℃)が-5.0×10-6-1以上3.0×10-6-1以下であることを特徴とする。
なお、本実施形態の光学ガラスは、上述した成分(SiO、B、LiO、CaO、BaO、Nb、ZrO、TiO、Y、La、Gd、Ta、WO)以外のその他の成分(後述)を含んでもよい。但し、本実施形態の光学ガラスは、所望の光学恒数、ガラス転移温度の低減及び結像の温度依存性の抑制をより確実に発現させる観点から、当該その他の成分の含有量が、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。そして、本実施形態の光学ガラスは、上述した成分のみからなる組成を有することが特に好ましい。
ここで、「上述した成分のみからなる」とは、当該成分以外の不純物成分が不可避的に混入する、具体的には、不純物成分の割合が0.2質量%以下である場合を包含することとする。
まず、本実施形態において、光学ガラスの組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関する「%」表示は、特に断らない限り、質量%を意味するものとする(但し、R/Fに関しては、モル%を用いる)。
<SiO
SiOは、本実施形態の光学ガラスにおける必須成分であり、ガラスの骨格となる網目構造を形成する成分である。また、SiOは、耐失透性及び化学的耐久性を高めることができる成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるSiOの含有量が15%を超えると、屈折率が過度に低下する。その上、光学ガラスにおけるSiOの含有量が15%を超えると、ガラス転移温度(Tg)及び屈伏温度(At)が過度に上昇する虞もある。一方、光学ガラスにおけるSiOの含有量が1%未満であると、ガラス形成が難しくなる。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、SiOの含有量を1%以上15%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるSiOの含有量は、2%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、また、14%以下であることが好ましく、13%以下であることがより好ましい。
<B
は、本実施形態の光学ガラスにおける必須成分であり、ガラスの網目構造を形成する成分である。また、Bは、耐失透性、ガラスの均質化及び熔融性の向上に有効な成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるBの含有量が25%を超えると、屈折率が過度に低下する。その上、光学ガラスにおけるBの含有量が25%を超えると、ガラス転移温度(Tg)及び屈伏温度(At)が過度に上昇する虞もある。一方、光学ガラスにおけるBの含有量が10%未満であると、ガラス形成が難しくなる。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、Bの含有量を10%以上25%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるBの含有量は、11%以上であることが好ましく、12%以上であることがより好ましく、また、24%以下であることが好ましく、23%以下であることがより好ましい。
<LiO>
LiOは、本実施形態の光学ガラスにおける必須成分であり、ガラス転移温度(Tg)及び屈伏温度(At)の低下、並びに相対屈折率の温度係数の低減に有効な成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるLiOの含有量が5%を超えると、化学的耐久性及び耐失透性が低下する。一方、光学ガラスにおけるLiOの含有量が1%未満であると、ガラス転移温度(Tg)を十分に低下させることができない。その上、光学ガラスにおけるLiOの含有量が1%未満であると、相対屈折率の温度係数を低減する効果が十分に得られない虞もある。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、LiOの含有量を1%以上5%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるLiOの含有量は、1.5%以上であることが好ましく、2%以上であることがより好ましく、また、4.5%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましい。
<CaO>
CaOは、本実施形態の光学ガラスにおける必須成分であり、相対屈折率の温度係数の低減、及び、高屈折率化に有効な成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるCaOの含有量が30%を超えると、化学的耐久性及び耐失透性が低下する。一方、光学ガラスにおけるCaOの含有量が5%未満であると、耐失透性が低下する。その上、光学ガラスにおけるCaOの含有量が5%未満であると、相対屈折率の温度係数を低減する効果が十分に得られない虞もある。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、CaOの含有量を5%以上30%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるCaOの含有量は、7%以上であることが好ましく、9%以上であることがより好ましく、また、28%以下であることが好ましく、26%以下であることがより好ましい。
<BaO>
BaOは、相対屈折率の温度係数を小さくするために有効な成分である。また、BaOは、高屈折率化及び熔融性の向上にも有効な成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるBaOの含有量が10%を超えると、化学的耐久性及び耐失透性が低下する。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、BaOの含有量を0%以上10%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるBaOの含有量は、9%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
<Nb
Nbは、ガラスの高屈折率化及び化学的耐久性の向上に有効な成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるNbの含有量が8%を超えると、不所望な高屈折率化又は分散性の上昇(アッベ数の低下)が生じ得る。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、Nbの含有量を0%以上8%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるNbの含有量は、7.5%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましい。
<ZrO
ZrOは、ガラスの高屈折率化及び化学的耐久性の向上に有効な成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるZrOの含有量が8%を超えると、耐失透性が低下し、また、不所望な高屈折率化又は分散性の上昇(アッベ数の低下)が生じ得る。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、ZrOの含有量を0%以上8%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるZrOの含有量は、7.5%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましい。
<TiO
TiOは、ガラスの高屈折率化及び化学的耐久性の向上に有効な成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるTiOの含有量が8%を超えると、耐失透性が低下し、また、不所望な高屈折率化又は分散性の上昇(アッベ数の低下)が生じ得る。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、TiOの含有量を0%以上8%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるTiOの含有量は、7.5%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましい。
<Y
は、ガラスの高屈折率化及び化学的耐久性の向上に有効な成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるYの含有量が10%を超えると、耐失透性が低下する。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、Yの含有量を0%以上10%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるYの含有量は、9.5%以下であることが好ましく、9%以下であることがより好ましい。
<La
Laは、本実施形態の光学ガラスにおける必須成分であり、本発明の所望の光学恒数(屈折率及びアッベ数)への調整に有用な成分である。また、Laは、化学的耐久性の向上及び相対屈折率の温度係数の低減にも有効な成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるLaの含有量が20%を超えると、耐失透性が低下する。一方、光学ガラスにおけるLaの含有量が5%未満であると、屈折率を十分に高めることができないか、或いは、他の成分の量を所定範囲内で調整しようにも、所望の光学恒数を得ること極めて困難となる。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、Laの含有量を5%以上20%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるLaの含有量は、7%以上であることが好ましく、9%以上であることがより好ましく、また、19%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。
<Gd
Gdは、ガラスの高屈折率化、低分散性化、化学的耐久性の向上、及び、相対屈折率の温度係数の低減に有効な成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるGdの含有量が15%を超えると、耐失透性が低下する。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、Gdの含有量を0%以上15%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるGdの含有量は、14%以下であることが好ましく、13%以下であることがより好ましい。
<Ta
Taは、ガラスの高屈折率化及び化学的耐久性の向上に有効な成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるTaの含有量が8%を超えると、耐失透性が低下し、また、不所望な分散性の上昇(アッベ数の低下)が生じ得る。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、Taの含有量を0%以上8%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるTaの含有量は、7.5%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましい。
<WO
WOは、ガラスの高屈折率化及び化学的耐久性の向上に有効な成分である。しかしながら、光学ガラスにおけるWOの含有量が8%を超えると、耐失透性が低下し、また、不所望な分散性の上昇(アッベ数の低下)が生じ得る。そのため、本実施形態の光学ガラスにおいては、WOの含有量を0%以上8%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスにおけるWOの含有量は、7.5%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましい。
<R/F(モル比)>
本実施形態の光学ガラスは、LiO、CaO、及びBaOのモル%の合計含有量をRとし、SiO及びBのモル%の合計含有量をFとしたときに、R/Fが0.8以上2.0以下であることを要する。本発明者は、Li、Ca及びBa等の金属のイオンの各成分の含有量を限定しつつ、R/F(モル比)の適正化を図ることで、希土類元素を含むLa、Gd、Yの使用量を減らしつつ相対屈折率の温度係数を下げ、ガラス転移温度(Tg)の低い光学ガラスが得られることを見出した。なお、R/Fが2.0を超えると、ガラスの耐失透性が低下し、良質なガラスが得られなくなる。
また、本実施形態の光学ガラスにおけるR/Fは、相対屈折率の温度係数及びガラス転移温度を一層下げる観点から、0.9を超えることが好ましく、1.0以上であることがより好ましい。
<ZnO(不含有成分)>
ZnOは、ガラス転移温度(Tg)及び屈伏温度(At)を低下させ得るものの、上述した成分を含有する光学ガラスでは、相対屈折率の温度係数を所定範囲内に抑えることができない虞がある。そこで、本実施形態の光学ガラスは、ZnOを実質的に含有しないものとした。
ここで、本明細書において、ある成分について「実質的に含有しない」とは、当該成分を意図して含有させないことを意味する。
<その他の成分>
本実施形態の光学ガラスは、目的を外れない限り、上述した成分以外のその他の成分、例えば、NaO、KO、CsO、MgO、SrO、Al、Ga、In、GeO、Sb、Bi、P、MoOなどを少量(例えば、当該その他の成分の合計が光学ガラス中において5質量%以下となるような量)含有することができる。
なお、本実施形態の光学ガラスは、環境への負荷及び人体への悪影響が高い成分、例えば、PbO、TeO、As、及びCdOを含有しないことが好ましい。
次に、本実施形態の光学ガラスの諸特性について説明する。
<屈折率(nd)及びアッベ数(νd)>
本実施形態の光学ガラスは、特定のニーズに応えるため、高屈折率低分散性であることが好ましい。
より具体的に、本実施形態の光学ガラスの屈折率(nd)は、1.70以上1.80以下とすることができる。また、本実施形態の光学ガラスの屈折率(nd)は、1.71以上であることがより好ましく、また、1.79以下であることがより好ましい。
より具体的に、本実施形態の光学ガラスのアッベ数(νd)は、40以上55以下とすることができる。また、本実施形態の光学ガラスのアッベ数(νd)は、41以上であることがより好ましく、42以上であることが更に好ましく、また、53以下であることがより好ましく、50以下であることが更に好ましい。
なお、本実施形態の光学ガラスの屈折率(nd)及びアッベ数(νd)の調整は、例えば、上述した各成分の含有量を、所定の範囲内において適宜調節することにより行うことができる。
<相対屈折率の温度係数(dn/dT)>
本実施形態の光学ガラスは、d線(587.562nm)における相対屈折率の温度係数(40~60℃)が、-5.0×10-6-1以上3.0×10-6-1以下であることを要する。これにより、本実施形態の光学ガラスは、結像の温度依存性の抑制が図られている。ここで、光学ガラスの成分組成を上述した通りとしつつ、上記温度係数を-5.0×10-6-1未満とすると、光学ガラスとしての最低限の化学的耐久性を担保することができない。また、光学ガラスの上記温度係数が3.0×10-6-1超であると、温度に対する屈折率の変化量が正に大きいため、結像の温度依存性を十分に抑制することができない。そして、本実施形態の光学ガラスの上記温度係数は、化学的耐久性をより高める観点から、-4.0×10-6-1以上であることが好ましく、-3.5×10-6-1以上であることがより好ましい。また、本実施形態の光学ガラスの上記温度係数は、結像の温度依存性をより効果的に抑制する観点から、2.7×10-6-1以下であることが好ましく、2.5×10-6-1以下であることがより好ましい。
なお、本実施形態の光学ガラスの上記温度係数の調整は、例えば、上述した各成分の含有量を、所定の範囲内において適宜調節することにより行うことができる。
<ガラス転移温度(Tg)>
本実施形態の光学ガラスは、ガラス転移温度(Tg)が560℃以下であることが好ましい。光学ガラスのガラス転移温度(Tg)が560℃以下であることで、軟化温度も低くなり、精密プレス成形、特には精密プレス成形による非球面レンズの作製をより容易に行うことができる。同様の観点から、本実施形態の光学ガラスのガラス転移温度(Tg)は、555℃以下であることがより好ましく、550℃以下であることが更に好ましい。
なお、本実施形態の光学ガラスのガラス転移温度(Tg)の調整は、例えば、上述した各成分の含有量を、所定の範囲内において適宜調節することにより行うことができる。
<光学ガラスの製造方法>
次に、本実施形態の光学ガラスの製造方法について説明する。
ここで、本実施形態の光学ガラスは、各成分の組成が上述した範囲を満足していればよく、その製造方法については特に限定されることなく、従来の製造方法に従って製造することができる。
例えば、まず、本実施形態の光学ガラスに含まれ得る各成分の原料として、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩などを所定の割合で秤量し、十分混合したものをガラス調合原料とする。次いで、この原料を、ガラス原料等と反応性のない熔融容器(例えば白金等の貴金属製の坩堝)に投入して、電気炉にて1000~1500℃に加熱して熔融する。その後、適時撹拌して均質化を図り、清澄化してから、適当な温度に予熱した金型内に鋳込んだ後、電気炉内で徐冷して歪みを取り除くことで、本実施形態の光学ガラスを製造することができる。なお、脱泡のため、Sb等の清澄剤を少量(例えば、光学ガラス中において2質量%未満となるような量)加えることができる。
(精密プレス成形用プリフォーム)
以下、本発明の一実施形態の精密プレス成形用プリフォーム(以下、「本実施形態のプリフォーム」と称することがある。)を具体的に説明する。
精密プレス成形用プリフォーム(Precision press-molding preform)は、周知の精密プレス成形法に用いられる予備成形されたガラス素材であり、即ち、加熱して精密プレス成形に供されるガラス予備成形体を意味する。
ここで、精密プレス成形とは、周知のようにモールドオプティクス成形とも呼ばれ、最終的に得られる光学素子の光学機能面を、プレス成形型の成形面を転写することにより形成する方法である。なお、光学機能面とは、光学素子における、制御対象の光を屈折したり、反射したり、回折したり、入出射させたりする面を意味し、例えば、レンズにおけるレンズ面などが、この光学機能面に相当する。
そして、本実施形態のプリフォームは、上述した光学ガラスを素材として用いたことを特徴とする。このように、本実施形態のプリフォームは、素材が上述した光学ガラスであるため、精密プレス成形がし易く、また、結像の温度依存性が抑制された製品を得るために用いることができる。
なお、本実施形態のプリフォームは、所望の性能をより確実に得る観点から、本発明の光学ガラスについて既述した、各成分の組成に関する必須要件を満たすことが好ましく、本発明の光学ガラスについて既述した、好ましいとされる各種要件を満たすことがより好ましい。
本実施形態のプリフォームの作製方法としては、特に限定されない。ただし、本実施形態のプリフォームは、上記光学ガラスの優れた特質を活かして、次の作製方法により作製することが望ましい。
第1のプリフォームの作製方法(「プリフォーム製法I」とする。)は、素材としての光学ガラスを熔融し、得られた熔融ガラスを流出して熔融ガラス塊を分離し、該熔融ガラス塊を冷却する過程で、プリフォームに成形する方法である。
第2のプリフォームの作製方法(「プリフォーム製法II」とする。)は、素材としての光学ガラスを熔融し、得られた熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製し、該成形体を加工して、プリフォームを得る方法である。
プリフォーム製法I、IIとも、素材としての光学ガラスから均質な熔融ガラスを得る工程を含む点において、共通する。この工程では、例えば、所望の特性が得られるように調合して製造した光学ガラス原料を白金製の熔融容器内に入れ、加熱、熔融、清澄、均質化を行って均質な熔融ガラスを用意し、温度調整された白金又は白金合金製の流出ノズル或いは流出パイプから流出することができる。なお、光学ガラス原料を粗熔解してカレットを作製し、このカレットを調合して加熱、熔融、清澄、均質化を行って均質な熔融ガラスを得、上記流出ノズル或いは流出パイプから流出するようにしてもよい。
ここで、小型のプリフォームや球状のプリフォームを作製する場合は、例えば、熔融ガラスを流出ノズルから所望質量の熔融ガラス滴として滴下し、それを金型等で受けてプリフォームに成形する方法を採用することができる。或いは、同じく所望質量の熔融ガラス滴を流出ノズルより液体窒素などに滴下してプリフォームを成形する方法を採用することができる。
一方、中大型のプリフォームを作製する場合は、例えば、流出パイプより熔融ガラス流を流下させ、熔融ガラス流の先端部をプリフォーム成形型等で受け、熔融ガラス流のノズルとプリフォーム成形型との間にくびれ部を形成した後、プリフォーム成形型を真下に急降下して、熔融ガラスの表面張力によってくびれ部にて熔融ガラス流を分離し、受け部材に所望質量の熔融ガラス塊を受けてプリフォームに成形する方法を採用することができる。
なお、キズ、汚れ、シワ、表面の変質などがない滑らかな表面、例えば自由表面を有するプリフォームを得るためには、プリフォーム成形型などの上で熔融ガラス塊に風圧を加えて浮上させながらプリフォームに成形したり、液体窒素などの常温、常圧下では気体の物質を冷却して液体にした媒体中に熔融ガラス滴を入れてプリフォームに成形したりする方法などが用いられる。
ここで、熔融ガラス塊を浮上させながらプリフォームに成形する場合、熔融ガラス塊には、ガス(浮上ガスという)が吹きつけられ、上向きの風圧が加えられることになる。この際、熔融ガラス塊の粘度が低すぎると、浮上ガスがガラス中に入り込み、プリフォーム中に泡となって残ってしまう。しかし、熔融ガラス塊の粘度を3~60dPa・sにすることにより、浮上ガスがガラス中に入り込むことなく、ガラス塊を浮上させることができる。
プリフォームに浮上ガスが吹き付けられる際に用いられるガスとしては、空気、Nガス、Oガス、Arガス、Heガス、水蒸気等が挙げられる。また、風圧は、プリフォームが成形型表面等の固体と接することなく浮上できれば、特に制限はない。
プリフォームより製造される精密プレス成形品(例えば、光学素子)は、レンズのように回転対称軸を有するものが多いため、プリフォームの形状も回転対称軸を有する形状が望ましい。具体例としては、球或いは回転対称軸を一つ備えるものを示すことができる。回転対称軸を一つ備える形状としては、前記回転対称軸を含む断面において角や窪みがない滑らかな輪郭線をもつもの、例えば上記断面において短軸が回転対称軸に一致する楕円を輪郭線とするものなどがあり、球を扁平にした形状(球の中心を通る軸を一つ定め、前記軸方向に寸法を縮めた形状)を挙げることもできる。
プリフォーム製法Iでは、光学ガラスを塑性変形可能な温度域で成形するので、ガラス塊をプレス成形することによりプリフォームを得てもよい。その場合、プリフォームの形状を比較的自由に設定することができるので、目的とする精密プレス成形品の形状に近似させ、例えば、対向する面の一方を凸、他方を凹形状にしたり、両方を凹面にしたり、一方の面を平面、他方の面を凸面にしたり、一方の面を平面、他方の面を凹面にしたり、両面とも凸面にしたりすることができる。
プリフォーム製法IIでは、例えば、熔融ガラスを鋳型に鋳込んで成形した後、成形体の歪をアニールによって除去し、切断又は割断を行って、所定の寸法、形状に分割し、複数個のガラス片を作製し、ガラス片を研磨して表面を滑らかにするとともに、所定の質量のガラスからなるプリフォームを得ることができる。このようにして作製したプリフォームの表面にも、炭素含有膜を被覆して使用することが好ましい。プリフォーム製法IIは、研削、研磨を容易にすることができる球状のプリフォーム、平板状のプリフォームなどの製造に好適である。
次に、精密プレス成形による光学素子等の成形品の量産性を更に高める上から、より好ましいプリフォームについて説明する。
本実施形態のプリフォームの製造においては、精密プレス成形におけるガラスの変形量を減少させることにより、精密プレス成形時のガラスと成形型の温度の低下、プレス成形に要する時間の短縮化、プレス圧力の低減などが可能になる。その結果、ガラスと成形型の成形面との反応性が低下し、精密プレス成形時に発生する不具合が低減され、量産性がより高まる。
ここで、プリフォームを精密プレス成形してレンズを作製する場合における好ましいプリフォームは、互いに反対方向を向く被プレス面(精密プレス成形時に対向する成形型成形面でプレスされる面)を有するプリフォームであり、更に2つの被プレス面の中心を貫く回転対称軸を有するプリフォームがより好ましい。こうしたプリフォームのうち、メニスカスレンズの精密プレス成形に好適なものは、被プレス面の一方が凸面、他方が凹面、平面、前記凸面より曲率が小さいと凸面のいずれかであるプリフォームである。
また、両凹レンズの精密プレス成形に好適なプリフォームは、被プレス面の一方が凸面、凹面、平面のいずれかであり、他方が凸面、凹面、平面のいずれかであるプリフォームである。
一方、両凸レンズの精密プレス成形に好適なプリフォームは、被プレス面の一方が凸面であり、他方が凸面又は平面であるプリフォームである。
いずれの場合においても、プリフォームは、精密プレス成形品の形状により近似する形状のプリフォームであることが好ましい。
なお、プリフォーム成形型を用いて熔融ガラス塊をプリフォームに成形する場合、前記成形型上のガラスの下面は、成形型における成形面の形状によって概ね定まる。一方、前記ガラスの上面は、熔融ガラスの表面張力とガラスの自重とによって定まる形状となる。ここで、精密プレス成形時におけるガラスの変形量を低減するには、プリフォーム成形型において成形中のガラスの上面の形状も制御する必要がある。熔融ガラスの表面張力とガラスの自重とによって定まるガラス上面の形状は、凸面状の自由表面となるが、上面を平面、凹面或いは前記自由表面よりも曲率が小さい凸面にするには、前記ガラス上面に圧力を加えることができる。具体的には、ガラス上面を所望形状の成形面を有する成形型でプレスしたり、ガラス上面に風圧を加えて所望形状に成形したりすることができる。なお、成形型でガラス上面をプレスする際、成形型の成形面に複数のガス噴出口を設け、これらガス噴出口からガスを噴出して成形面とガラス上面の間にガスクッションを形成し、ガスクッションを介してガラス上面をプレスしてもよい。或いは、上記自由表面よりも曲率の大きい面にガラス上面を成形したい場合は、ガラス上面を近傍に負圧を発生させて上面を盛り上げるように成形してもよい。
また、プリフォームは、精密プレス成形品の形状により近似する形状とするため、表面を研磨したプリフォームであることも好ましい。例えば、被プレス面の一方が平面又は球面の一部になるように研磨され、他方が球面の一部又は平面になるように研磨されたプリフォームが好ましい。ここで、球面の一部は凸面でも凹面でもよいが、凸面とするか凹面とするかは、上記のように精密プレス成形品の形状によって決めることが望ましい。
上記各プリフォームは、直径が10mm以上のレンズの成形に好ましく用いることができ、直径が20mm以上のレンズの成形により好ましく用いることができる。また、中心肉厚が2mmを超えるレンズの成形にも好ましく用いることができる。
(光学素子)
以下、本発明の一実施形態の光学素子(以下、「本実施形態の光学素子」と称することがある)を具体的に説明する。
本実施形態の光学素子は、上述した光学ガラスを素材として用いたことを特徴とする。このように、本実施形態の光学素子によれば、上述した光学ガラスを素材として用いているため、結像の温度依存性が抑制された製品を得ることができる。なお、本実施形態の光学素子は、所望の性能をより確実に得る観点から、本実施形態の光学ガラスについて既述した、各成分の組成に関する必須要件を満たすことが好ましく、本実施形態の光学ガラスについて既述した、好ましいとされる各種要件を満たすことがより好ましい。
また、本実施形態の光学素子は、上述した精密プレス成形用プリフォームを用いた光学素子を含むものとする。
光学素子の種類は限定されないが、典型的なものとしては、非球面レンズ、球面レンズ、或いは平凹レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズなどのレンズ;マイクロレンズ;レンズアレイ;回折格子付きレンズ;プリズム;レンズ機能付きプリズム;などを例示することができる。光学素子として、好ましくは、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのレンズ、プリズム、回折格子を例示することができる。上記各レンズは非球面レンズであってもよいし、球面レンズであってもよい。表面には必要に応じて反射防止膜や波長選択性のある部分反射膜などを設けてもよい。
<光学素子の製造方法>
次に、本実施形態の光学素子の製造方法について説明する。
本実施形態の光学素子は、例えば、上記のプリフォームをプレス成形型を用いて精密プレス成形することにより、製造することができる。
ここで、精密プレス成形では、予め成形面を所望の形状に高精度に加工されたプレス成形型を用いることができるが、成形面には、プレス時のガラスの融着を防止しつつ、成形面に沿ってガラスの延びが良好になるようにするため、離型膜を形成してもよい。離型膜としては、貴金属(白金、白金合金)の膜、酸化物(Si、Al、Zr、Yの酸化物など)の膜、窒化物(B、Si、Alの窒化物など)の膜、炭素含有膜が挙げられる。炭素含有膜としては、炭素を主成分とするもの(膜中の元素含有量を原子%で表したとき、炭素の含有量が他の元素の含有量よりも多いもの)が望ましく、具体的には、炭素膜や炭化水素膜などを例示することができる。炭素含有膜の成膜法としては、炭素原料を使用した真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法や、炭化水素などの材料ガスを使用した熱分解などの公知の方法を用いればよい。その他の膜については、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法等を用いて成膜することが可能である。
また、プレス成形型並びにプリフォームの加熱及び精密プレス成形工程は、プレス成形型の成形面或いは前記成形面に好適に設けられた離型膜の酸化を防止するため、窒素ガス、或いは窒素ガスと水素ガスの混合ガスなどのような非酸化性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。非酸化性ガス雰囲気中では、プリフォームの表面を被覆する離型膜、特には炭素含有膜が酸化されずに、当該膜が、精密プレス成形された成形品の表面に残存することになる。この膜は、最終的には除去するべきものであるが、炭素含有膜等の離型膜を比較的容易に且つ完全に除去するには、精密プレス成形品を酸化性雰囲気、例えば大気中において加熱すればよい。炭素含有膜等の離型膜の除去は、精密プレス成形品が加熱により変形しないような温度で行うべきである。具体的には、炭素含有膜等の離型膜の除去は、ガラスの転移温度未満の温度範囲で行うことが好ましい。
なお、本実施形態の光学素子の製造方法としては、特に限定されず、以下に示す2つの製造方法が挙げられる。ここで、本実施形態の光学素子の製造においては、上記の精密プレス成形用プリフォームを、同一のプレス成形型を用いて精密プレス成形する工程を繰り返すことが、光学素子の量産の観点で好ましい。
第1の光学素子の製造方法(「光学素子製法I」とする。)は、プリフォームをプレス成形型に導入し、前記プリフォームとプレス成形型とを一緒に加熱して精密プレス成形し、光学素子を得る方法である。
第2の光学素子の製造方法(「光学素子製法II」とする。)は、加熱したプリフォームを予熱したプレス成形型に導入し、精密プレス成形し、光学素子を得る方法である。
光学素子製法Iでは、成形面が精密に形状加工された対向した一対の上型と下型との間にプリフォームを供給した後、ガラスの粘度が10~10dPa・s相当の温度まで成形型及びプリフォームの両者を加熱してプリフォームを軟化し、これを加圧成形することによって、成形型の成形面をガラスに精密に転写することができる。光学素子製法Iは、面精度、偏心精度など成形精度の向上が重視される場合に、推奨される方法である。
光学素子製法IIでは、成形面が精密に形状加工された対向した一対の上型と下型との間に、予めガラスの粘度で10~10dPa・sに相当する温度に昇温したプリフォームを供給し、これを加圧成形することによって、成形型の成形面をガラスに精密に転写することができる。光学素子製法IIは、生産性向上が重視される場合に、推奨される方法である。
加圧時の圧力及び時間は、ガラスの粘度などを考慮して適宜決定することができ、例えば、プレス圧力は約5~15MPa、プレス時間は10~300秒とすることができる。プレス時間、プレス圧力などのプレス条件は成形品の形状、寸法に合わせて周知の範囲で適宜設定すればよい。
この後、成形型と精密プレス成形品を冷却し、好ましくは歪点以下の温度となったところで、離型し、精密プレス成形品を取出す。なお、光学特性を精密に所望の値に合わせるため、冷却時における成形品のアニール処理条件、例えばアニール速度等を適宜調整してもよい。
なお、本実施形態の光学素子は、プレス成形工程を経なくても作製することはできる。例えば、均質な熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックを成形し、アニールして歪を除去するとともに、ガラスの屈折率が所望の値になるようにアニール条件を調整して光学特性の調整を行ったのち、次にガラスブロックの切断又は割断を行ってガラス片を作り、更に研削、研磨して光学素子に仕上げることにより得ることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各成分の原料として、各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩を準備し、ガラス化した後の組成が表1~表4に示す通りとなるように秤量し、十分混合し、調合原料を得た。この調合原料を白金坩堝に投入し、電気炉にて熔融した。なお、熔融の際の温度は、十分な脱泡を図るため、1000~1500℃の範囲内で適宜調整した。その後、適時撹拌して均質化を図り、清澄化してから、適当な温度に予熱した金型内に鋳込んだ。次いで、電気炉内で徐冷することで、各例の光学ガラスを得た。
次いで、得られた各例の光学ガラスについて、以下に示す手順に従い、耐失透性の評価、並びに、屈折率(nd)、アッベ数(νd)、ガラス転移温度(Tg)、相対屈折率の温度係数(dn/dT)の測定を行った。結果を表1~表4に示す。
耐失透性の評価として、徐冷後のガラスに失透が確認されなかった場合は「〇」、失透が確認された場合は「×」として目視評価した。
なお、耐失透性の評価が「×」であった例については、品質不十分と見なして、以降の測定を行わなかった。
屈折率(nd)及びアッベ数(νd)の測定は、日本光学硝子工業会規格のJOGIS01-2003「光学ガラスの屈折率の測定方法」に記載された方法に従って行った。
ガラス転移温度(Tg)の測定は、日本光学硝子工業会規格のJOGIS08-2003「光学ガラスの熱膨張の測定方法」に記載された方法に従って行った。
相対屈折率の温度係数(dn/dT)の測定は、日本光学硝子工業会規格のJOGIS18-1994「光学ガラスの屈折率の温度係数の測定方法」に記載された方法に従って、d線(587.562nm)を用い、40~60℃の温度範囲で行った。
Figure 2023102688000001
Figure 2023102688000002
Figure 2023102688000003
Figure 2023102688000004
表1及び表2から、実施例1~21の光学ガラスは、いずれも、屈折率(nd)が1.70以上1.80以下、アッベ数(νd)が40以上55以下であり、即ち、高屈折率低分散性であることが分かる。更に、実施例1~21の光学ガラスは、いずれも、相対屈折率の温度係数が-5.0×10-6-1以上3.0×10-6-1以下であり、結像の温度依存性が有意に抑制されている。
その上、実施例1~21の光学ガラスは、いずれも、ガラス転移温度(Tg)が560℃以下であることから、軟化温度が低く、精密プレス成形をより容易に行うことができる。
これに対し、表3から、比較例1の光学ガラスは、屈折率が1.70より低かった。これは、SiOが多すぎること等によるものと考えられる。
また、比較例2では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これはSiOが少なすぎること等によるものと考えられる。
また、比較例3の光学ガラスは、屈折率が1.70より低かった。これは、Bが多すぎること等によるものと考えられる。
また、比較例4では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、Bが少なすぎること等によるものと考えられる。
また、比較例5の光学ガラスは、ガラス転移温度(Tg)が560℃よりも高かった。これは、LiOが少なすぎること等によるものと考えられる。
また、比較例6では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、LiOが多すぎること等によるものと考えられる。
また、比較例7では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、CaOが少なすぎること等によるものと考えられる。
また、比較例8では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、CaOが多すぎること等によるものと考えられる。
また、比較例9では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、BaOが多すぎること等によるものと考えられる。
また、比較例10の光学ガラスは、屈折率(nd)が1.80より高く、アッベ数が40より低かった。これは、Nbが多すぎること等によるものと考えられる。
また、表4から、比較例11では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、ZrOが多すぎること等によるものと考えられる。
また、比較例12では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、TiOが多すぎること等によるものと考えられる。
また、比較例13では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、Yが多すぎること等によるものと考えられる。
また、比較例14の光学ガラスは、アッベ数が40より低かった。これは、Laが少なすぎること等によるものと考えられる。より具体的には、Laが少なすぎると高屈折率化が不十分となり得たので、それを補填するために高屈折率化に寄与する成分(BaO、Nb、ZrO、TiO等)の量を増やした結果、アッベ数を所定範囲内に収めることができなかった。
また、比較例15では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、Laが多すぎること等によるものと考えられる。
また、比較例16では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、Gdが多すぎること等によるものと考えられる。
また、比較例17では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、Taが多すぎること等によるものと考えられる。
また、比較例18では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、WOが多すぎること等によるものと考えられる。
また、比較例19では、失透が生じ、良質なガラスを得ることができなかった。これは、R/F比が2.0より大きいこと等によるものと考えられる。
また、比較例20の光学ガラスは、相対屈折率の温度係数が3.0×10-6-1より大きく、ガラス転移温度(Tg)が560℃よりも高かった。これは、R/F(モル比)が0.8より小さいこと等によるものと考えられる。
また、比較例21の光学ガラスは、相対屈折率の温度係数が3.0×10-6-1より大きかった。これは、ZnOを含有していること等によるものと考えられる。
本発明によれば、高屈折率低分散性である上、ガラス転移温度が低く、且つ、結像の温度依存性を抑制可能な光学ガラスを提供することができる。また、本発明によれば、上述した光学ガラスを用いた精密プレス成形用プリフォーム、及び光学素子を提供することができる。

Claims (5)

  1. 質量%で
    SiO:1%以上15%以下、
    :10%以上25%以下、
    LiO:1%以上5%以下、
    CaO:5%以上30%以下、
    BaO:0%以上10%以下、
    Nb:0%以上8%以下、
    ZrO:0%以上8%以下、
    TiO:0%以上8%以下、
    :0%以上10%以下、
    La:5%以上20%以下、
    Gd:0%以上15%以下、
    Ta:0%以上8%以下、
    WO:0%以上8%以下、
    を含有する組成を有し、
    ZnOを実質的に含有せず、
    LiO、CaO及びBaOのモル%の合計含有量をRとし、SiO及びBのモル%の合計含有量をFとしたときに、R/Fが、0.8以上2.0以下であり、
    d線(587.562nm)における相対屈折率の温度係数(40~60℃)が-5.0×10-6-1以上3.0×10-6-1以下であることを特徴とする、光学ガラス。
  2. 屈折率(nd)が1.70以上1.80以下であり、且つ、アッベ数(νd)が40以上55以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
  3. ガラス転移温度(Tg)が560℃以下である、請求項1又は2に記載の光学ガラス。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の光学ガラスを素材として用いたことを特徴とする、精密プレス成形用プリフォーム。
  5. 請求項1~3のいずれかに記載の光学ガラスを素材として用いたことを特徴とする、光学素子。
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