JP2023102185A - 光走査装置及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スパイラル軌道のライン間隔のばらつきを低減する光走査装置及びその制御方法。
【解決手段】基本共振モードの周波数から1つ高次の共振周波数をfrHとした場合に、周期電圧信号の周波数成分のうち、全周波数範囲における電圧レベルの最大値である第2電圧レベルに対する第1電圧レベルの比率が-55dBV以下であることを満たす。ここで、第1軸と第2軸とのうち、低次の共振モードが存在する軸については、周期電圧信号の周波数成分のうち、(1±1/20)×frLの周波数範囲及び(1±1/20)×frHの周波数範囲における電圧レベルの最大値が第1電圧レベルであり、低次の共振モードが存在しない軸については、周期電圧信号の周波数成分のうち、(1±1/20)×frHの周波数範囲における電圧レベルの最大値が第1電圧レベルである。
【選択図】図6

Description

本開示の技術は、光走査装置及びその制御方法に関する。
LiDAR(Light Detection and Ranging)の分野において、360°の視野が得られる全方位型が注目されている。全方位型のLiDAR装置には、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーと全方位レンズとを組み合わせて構成されたものがある。MEMSミラーを用いるLiDAR装置は、軽量でかつ低コスト化が可能である。
全方位型のLiDAR装置では、MEMSミラーは、全方位レンズのドーナツ状の入射面を、光ビームによりくまなくスキャンする必要がある。より高効率に上述の範囲をスキャンするためには、MEMSミラーは、光ビームの動径が時間に対して線形的に変化するようにスパイラルスキャンを行うことが望ましく、そのためにはミラー部の揺動角度振幅(以下、揺動振幅という。)が等速変化するスパイラル回転動作を行うことが求められる。さらに、かかるLiDAR装置が移動体などに搭載されて使用される場合、より広い範囲を高フレームレートでスキャンすることが重要である。そのためには、ミラー部の揺動振幅の変化速度をより大きくすることが求められる。
特許文献1には、MEMSミラーのスパイラル回転動作に関連する技術が記載されている。特許文献1には、揺動板と、揺動板が含まれる平面と平行な第1軸周りの第1揺動を揺動板に生じさせる第1揺動手段と、揺動板が含まれる平面と平行であり、且つ、第1軸に垂直な第2軸周りの第2揺動を第1揺動と同一周波数で、且つ、略90°異なる位相で揺動板に生じさせる第2揺動手段とを備える光走査装置が開示されている。また、特許文献1には、第1揺動及び第2揺動の何れの振幅も時間と共に増大又は減少させることにより、揺動板で反射した光の走査位置は、渦を描くように移動させる(すなわちスパイラル回転動作を行わせる)ことが開示されている。
特許文献1に記載の技術では、第1揺動及び第2揺動の振幅を時間と共に増大又は減少させるために、正弦波状の駆動信号の振幅を時間的に変動させている。
特開2008-170500号公報
スパイラル回転動作によりスキャンを行う場合、スパイラル軌道のライン間隔が距離画像の解像度に相当する。フレームレートを高く、かつライン間隔を狭くするには、粗密なく等間隔でスキャンすることが最も効率的であり、好ましい。そこで、本出願人は、特願2021-102628において、スパイラル軌道のライン間隔を等間隔とするために、駆動信号を振幅及び位相が時間変化する周期電圧信号とすることにより、動径が線形的に変化するスパイラル回転動作を実現することを提案している。
しかしながら、本出願人は、駆動信号を振幅及び位相が時間変化する周期電圧信号としたとしてもスパイラル軌道の特定の領域においてライン間隔(すなわち解像度)にばらつきが生じるという問題が存在しており、さらなる改善が必要であることを見出した。特に、アクチュエータとミラー部とが互いに逆位相の関係で揺動する駆動効率が高い共振モードを利用してMEMSミラーを駆動した場合に、ライン間隔のばらつきが顕著となる。
本開示の技術は、スパイラル軌道のライン間隔のばらつきを低減することを可能とする光走査装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示の光走査装置は、入射光を反射する反射面を有し、互いに直交する第1軸及び第2軸の周りに揺動可能なミラー部と、ミラー部に第1軸周りの回転トルクを与えることによりミラー部を第1軸周りに揺動させる第1アクチュエータと、ミラー部に第2軸周りの回転トルクを与えることによりミラー部を第2軸周りに揺動させる第2アクチュエータとを有するミラー装置と、第1アクチュエータに第1駆動信号を与え、かつ第2アクチュエータに第2駆動信号を与えるプロセッサと、を備える光走査装置であって、プロセッサは、第1駆動信号及び第2駆動信号を周期電圧信号とすることにより、ミラー部にスパイラル回転動作を行わせ、第1軸周りのミラー傾き揺動を伴う複数の共振モードと、第2軸周りのミラー傾き揺動を伴う複数の共振モードとのうち少なくともいずれか一方には、周期電圧信号の周波数に最も近い基本共振モードよりも1つ低次の共振モードが存在し、それぞれの軸に対し、基本共振モードの周波数から1つ低次の共振周波数をfrL、基本共振モードの周波数から1つ高次の共振周波数をfrHとした場合に、周期電圧信号の周波数成分のうち、全周波数範囲における電圧レベルの最大値である第2電圧レベルに対する第1電圧レベルの比率が-55dBV以下であることを満たす、ここで、第1軸と第2軸とのうち、低次の共振モードが存在する軸については、周期電圧信号の周波数成分のうち、(1±1/20)×frLの周波数範囲及び(1±1/20)×frHの周波数範囲における電圧レベルの最大値が第1電圧レベルであり、低次の共振モードが存在しない軸については、周期電圧信号の周波数成分のうち、(1±1/20)×frHの周波数範囲における電圧レベルの最大値が第1電圧レベルである。
低次の共振モードが存在する軸の基本共振モードでは、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータのうち低次の共振モードが存在する軸周りにミラー部を駆動するアクチュエータと、ミラー部とが互いに逆位相の関係で揺動することが好ましい。
プロセッサは、第1駆動信号及び第2駆動信号に周波数フィルタ処理を施すことにより、第2電圧レベルに対する第1電圧レベルの比率が-55dBV以下とすることが好ましい。
周波数フィルタ処理は、デジタルフィルタ処理又はアナログフィルタ処理であることが好ましい。
周期電圧信号は、振幅及び位相が時間変化する信号であることが好ましい。
スパイラル回転動作は、ミラー部の第1軸周りの揺動振幅及び第2軸周りの揺動振幅がそれぞれ線形的に変化する期間を含むことが好ましい。
本開示の光走査装置の制御方法は、入射光を反射する反射面を有し、互いに直交する第1軸及び第2軸の周りに揺動可能なミラー部と、ミラー部に第1軸周りの回転トルクを与えることによりミラー部を第1軸周りに揺動させる第1アクチュエータと、ミラー部に第2軸周りの回転トルクを与えることによりミラー部を第2軸周りに揺動させる第2アクチュエータとを有するミラー装置を備える光走査装置の制御方法であって、第1アクチュエータに与える第1駆動信号と第2アクチュエータに与える第2駆動信号とを周期電圧信号とすることにより、ミラー部にスパイラル回転動作を行わせ、第1軸周りのミラー傾き揺動を伴う複数の共振モードと、第2軸周りのミラー傾き揺動を伴う複数の共振モードとのうち少なくともいずれか一方には、周期電圧信号の周波数に最も近い基本共振モードよりも1つ低次の共振モードが存在し、それぞれの軸に対し、基本共振モードの周波数から1つ低次の共振周波数をfrL、基本共振モードの周波数から1つ高次の共振周波数をfrHとした場合に、周期電圧信号の周波数成分のうち、全周波数範囲における電圧レベルの最大値である第2電圧レベルに対する第1電圧レベルの比率が-55dBV以下であることを満たす、ここで、第1軸と第2軸とのうち、低次の共振モードが存在する軸については、周期電圧信号の周波数成分のうち、(1±1/20)×frLの周波数範囲及び(1±1/20)×frHの周波数範囲における電圧レベルの最大値が第1電圧レベルであり、低次の共振モードが存在しない軸については、周期電圧信号の周波数成分のうち、(1±1/20)×frHの周波数範囲における電圧レベルの最大値が第1電圧レベルである。
本開示の技術によれば、スパイラル軌道のライン間隔のばらつきを低減することを可能とする光走査装置及びその制御方法を提供することができる。
光走査装置の概略図である。 駆動制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 マイクロミラーデバイスの概略図である。 ミラー部が揺動する際の振れ角について説明する図であり、(A)は第1振れ角を示し、(B)は第2振れ角を示す。 第1アクチュエータ及び第2アクチュエータに与える駆動信号の一例を示す図であり、(A)は第1駆動信号を示し、(B)は第2駆動信号を示す。 第1駆動信号に含まれる周波数成分を模式的に示す図である。 基本共振モード、低次及び高次の共振モードの共振周波数の計測結果を示す図である。 第1軸周りのミラー傾き揺動を伴う共振モードのうちの基本共振モードの形状をシミュレーションにより計算した結果を示す図である。 基本共振モードから1つ低次の共振モードの形状をシミュレーションにより計算した結果を示す図である。 基本共振モードから1つ高次の共振モードの形状をシミュレーションにより計算した結果を示す図である。 第1周波数範囲及び第2周波数範囲を規定する高周波数端及び低周波数端の周波数の算出結果を示す図である。 実験で用いた7つの条件と、各条件に対する実験結果を示す図である。 電圧レベル比とライン間隔のばらつきとの関係を示すグラフである。 1変調周期内における駆動電圧波形の時間変化を示す図であり、(A)は第1駆動信号の波形を示し、(B)は第2駆動信号の波形を示す。 駆動電圧波形の周波数成分を示す図である。 1変調周期内における第1振れ角及び第2振れ角の計測結果を示す図である。 1変調周期内の拡張期間におけるスパイラル軌道の計測結果を示す図である。 第1軸周りにおけるライン間隔の計測結果を示すグラフである。 1変調周期内における駆動電圧波形の時間変化を示す図であり、(A)は第1駆動信号の波形を示し、(B)は第2駆動信号の波形を示す。 駆動電圧波形の周波数成分を示す図である。 1変調周期内における第1振れ角及び第2振れ角の計測結果を示す図である。 1変調周期内の拡張期間におけるスパイラル軌道の計測結果を示す図である。 第1軸周りにおけるライン間隔の計測結果を示すグラフである。 1変調周期内の拡張期間におけるスパイラル軌道の計測結果を示す図である。 第1軸周りにおけるライン間隔の計測結果を示すグラフである。
添付図面に従って本開示の技術に係る実施形態の一例について説明する。
図1は、一実施形態に係る光走査装置10を概略的に示す。光走査装置10は、MEMSミラー2と、光源3と、駆動制御部4とを有する。光走査装置10は、駆動制御部4の制御に従って、光源3から照射された光ビームLをMEMSミラー2により反射することにより被走査面5を光走査する。被走査面5は、例えばスクリーンである。MEMSミラー2は、本開示の技術に係る「ミラー装置」の一例である。
光走査装置10をLiDAR装置に適用する場合には、MEMSミラー2は全方位レンズと組み合わせて構成される。この場合、MEMSミラー2は、全方位レンズのドーナツ状の入射面を、光ビームLにより走査する。
MEMSミラー2は、第1軸aと、第1軸aに直交する第2軸aとの周りに、ミラー部20(図3参照)を揺動させることを可能とする圧電型2軸駆動方式のマイクロミラーデバイスである。以下、第1軸aと平行な方向をX方向、第2軸aと平行な方向をY方向、第1軸a及び第2軸aに直交する方向をZ方向という。また、ミラー部20の揺動を、ミラー傾き揺動ともいう。
本実施形態では、第1軸aと第2軸aとが直交(すなわち垂直に交差)する例を示しているが、第1軸aと第2軸aとは90°以外の角度で交差してもよい。本開示において直交とは、90°を中心として、許容誤差を含む一定の角度範囲内で交差することを意味する。
光源3は、光ビームLとして、例えばレーザ光を発するレーザ装置である。光源3は、MEMSミラー2のミラー部20が静止した状態において、ミラー部20が備える反射面20A(図3参照)に垂直に光ビームLを照射することが好ましい。
駆動制御部4は、光走査情報に基づいて光源3及びMEMSミラー2に駆動信号を出力する。光源3は、入力された駆動信号に基づいて光ビームLを発生してMEMSミラー2に照射する。MEMSミラー2は、入力された駆動信号に基づいて、ミラー部20を第1軸a及び第2軸aの周りに揺動させる。
詳しくは後述するが、駆動制御部4は、ミラー部20に、第1軸a周りの揺動振幅及び第2軸a周りの揺動振幅が線形的に変化する期間を含むスパイラル回転動作(すなわち、動径が線形的に変化するスパイラル回転動作)を行わせる。ミラー部20がスパイラル回転動作を行うことにより、反射される光ビームLは、被走査面5上においてスパイラル軌道(すなわち渦巻き状の曲線)を描くように走査される。
図2は、駆動制御部4のハードウェア構成の一例を示す。駆動制御部4は、CPU(Central Processing Unit)40、ROM(Read Only Memory)41、RAM(Random Access Memory)42、光源駆動部43、及びミラー駆動部44を有する。
CPU40は、ROM41等の記憶装置からプログラム及びデータをRAM42に読み出して処理を実行することにより、駆動制御部4の全体の機能を実現する演算装置である。CPU40は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例である。
ROM41は、不揮発性の記憶装置であり、CPU40が処理を実行するためのプログラム、及び前述の光走査情報等のデータを記憶している。RAM42は、プログラム及びデータを一時的に保持する不揮発性の記憶装置である。
光源駆動部43は、CPU40の制御に従って、光源3に駆動信号を出力する電気回路である。光源駆動部43においては、駆動信号は、光源3の照射タイミング及び照射強度を制御するための駆動電圧である。
ミラー駆動部44は、CPU40の制御に従って、MEMSミラー2に駆動信号を出力する電気回路である。ミラー駆動部44においては、駆動信号は、ミラー駆動部44のミラー部20を揺動させるタイミング、周期、及び振れ角を制御するための駆動電圧である。詳しくは後述するが、駆動信号には、第1駆動信号と第2駆動信号とが含まれる。
ミラー駆動部44には、駆動信号生成部45及び周波数フィルタ処理部46が含まれる。駆動信号生成部45は、駆動信号を生成して出力する。例えば、駆動信号生成部45において、駆動信号は、デジタル信号として作成され、DAC(Digital Analog Converter)及び増幅アンプを介して出力される。駆動信号は、デジタル信号源の解像ビット数に基づくステップ状の波形として出力されてもよい。また、駆動信号は、パルス信号とバンドパスフィルタ等から作成することも可能である。
周波数フィルタ処理部46は、駆動信号生成部45から出力される駆動信号に、後述する周波数フィルタ処理を施す。例えば、周波数フィルタ処理部46は、バンドパスフィルタ又はノッチフィルタである。ミラー駆動部44は、駆動信号生成部45により生成され、周波数フィルタ処理部46により周波数フィルタ処理が施された駆動信号を、MEMSミラー2に出力する。駆動信号がデジタル信号である場合には、周波数フィルタ処理部46は、デジタルフィルタ処理を行うデジタルフィルタ回路である。駆動信号がデジタル信号である場合には、周波数フィルタ処理部46は、アナログフィルタ処理を行うアナログフィルタ回路である。
CPU40は、光走査情報に基づいて光源駆動部43及びミラー駆動部44を制御する。光走査情報は、被走査面5にどのように光ビームLを走査するかを表す情報である。本実施形態では、被走査面5にスパイラル軌道を描くように光ビームLを走査することを表す情報である。なお、例えば、光走査装置10をLiDAR装置に適用する場合には、光走査情報には、距離測定用の光ビームLを照射するタイミング、及び照射範囲等が含まれる。
次に、図3を用いてMEMSミラー2の構成の一例を説明する。図3は、MEMSミラー2の概略図である。
MEMSミラー2は、ミラー部20、第1アクチュエータ21、第2アクチュエータ22、支持枠23、第1支持部24、第2支持部25、接続部26、及び固定部27を有する。MEMSミラー2は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板をエッチング処理することにより形成されている。
ミラー部20は、入射光を反射する反射面20Aを有する。反射面20Aは、ミラー部20の一面に設けられた、例えば、金(Au)又はアルミニウム(Al)等の金属薄膜で形成されている。反射面20Aは、例えば円形である。
支持枠23は、ミラー部20を囲うように配置されている。第2アクチュエータ22は、ミラー部20及び支持枠23を囲うように配置されている。第1アクチュエータ21は、ミラー部20、支持枠23、及び第2アクチュエータ22を囲うように配置されている。
第1支持部24は、ミラー部20と支持枠23とを、第1軸a上で接続し、かつミラー部20を第1軸a周りに揺動可能に支持している。第1軸aは、ミラー部20が静止している場合の反射面20Aを含む平面内にある。例えば、第1支持部24は、第1軸aに沿って延伸したトーションバーである。
第2支持部25は、支持枠23と第2アクチュエータ22とを、第2軸a上で接続し、かつミラー部20及び支持枠23を第2軸a周りに揺動可能に支持している。第2軸aは、ミラー部20が静止している場合の反射面20Aを含む平面内において第1軸aと直交する。
接続部26は、第1アクチュエータ21と第2アクチュエータ22とを第1軸a上で接続している。また、接続部26は、第1アクチュエータ21と固定部27とを第1軸a上で接続している。
固定部27は外形が矩形状であり、第1アクチュエータ21を取り囲んでいる。固定部27のX方向及びY方向への長さは、それぞれ、例えば1mm~10mm程度である。固定部27のZ方向への厚みは、例えば5μm~0.2mm程度である。
第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ22は、それぞれ圧電素子を備えた圧電アクチュエータである。第1アクチュエータ21は、ミラー部20に第1軸a周りの回転トルクを与える。第2アクチュエータ22は、ミラー部20に第2軸a周りの回転トルクを与える。これにより、ミラー部20は、第1軸a周り及び第2軸a周りに揺動する。
第1アクチュエータ21は、XY面内においてミラー部20、支持枠23、及び第2アクチュエータ22を囲む環状の薄板部材である。第1アクチュエータ21は、一対の第1可動部21A及び第2可動部21Bで構成されている。第1可動部21A及び第2可動部21Bは、それぞれ半環状である。第1可動部21Aと第2可動部21Bとは、第1軸aに関して線対称となる形状であり、第1軸a上で接続されている。
支持枠23は、XY面内においてミラー部20を囲む環状の薄板部材である。
第2アクチュエータ22は、XY面内においてミラー部20及び支持枠23を囲む環状の薄板部材である。第2アクチュエータ22は、一対の第1可動部22A及び第2可動部22Bで構成されている。第1可動部22A及び第2可動部22Bは、それぞれ半環状である。第1可動部22Aと第2可動部22Bとは、第2軸aに関して線対称となる形状であり、第2軸a上で接続されている。
第1アクチュエータ21において、第1可動部21A及び第2可動部21Bには、それぞれ圧電素子が設けられている。また、第2アクチュエータ22において、第1可動部22A及び第2可動部22Bには、それぞれ圧電素子が設けられている。
なお、本例では第1アクチュエータ21と第2アクチュエータ22は、それぞれ別個の環状構造体として構成されているが、これに限らず、一つの構造体内に併存するように構成されていてもよい。例えば、一つの環状構造体の中に圧電体を分割して配置する。このように分割により個別化された二つの圧電体部分に対してそれぞれ第1駆動信号及び第2駆動信号を与えることにより、第1軸a周り及び第2軸a周りのミラー傾き揺動を実現することができる。
図4は、ミラー部20が揺動する際の振れ角について説明する。図4(A)は、ミラー部20の第1軸a周りの振れ角(以下、第1振れ角という。)θを示す。図4(B)は、ミラー部20の第2軸a周りの振れ角(以下、第2振れ角という。)θを示す。
図4(A)に示すように、ミラー部20の反射面20Aの法線Nが、YZ平面において傾斜する角度を第1振れ角θという。反射面20Aの法線Nが+Y方向に傾斜した場合には、第1振れ角θは正の値をとり、-Y方向に傾斜した場合には、第1振れ角θは負の値をとる。
第1振れ角θは、駆動制御部4が第1アクチュエータ21に与える駆動信号(以下、第1駆動信号という。)により制御される。第1駆動信号は、例えば正弦波の交流電圧である。第1駆動信号は、第1可動部21Aに印加される駆動電圧波形V1A(t)と、第2可動部21Bに印加される駆動電圧波形V1B(t)とを含む。駆動電圧波形V1A(t)と駆動電圧波形V1B(t)は、互いに逆位相(すなわち位相差180°)である。
図4(B)に示すように、ミラー部20の反射面20Aの法線Nが、XZ平面において傾斜する角度を第2振れ角θという。反射面20Aの法線Nが+X方向に傾斜した場合には、第2振れ角θは正の値をとり、-X方向に傾斜した場合には、第2振れ角θは負の値をとる。
第2振れ角θは、駆動制御部4が第2アクチュエータ22に与える駆動信号(以下、第2駆動信号という。)により制御される。第2駆動信号は、例えば正弦波の交流電圧である。第2駆動信号は、第1可動部22Aに印加される駆動電圧波形V2A(t)と、第2可動部22Bに印加される駆動電圧波形V2B(t)とを含む。駆動電圧波形V2A(t)と駆動電圧波形V2B(t)は、互いに逆位相(すなわち位相差180°)である。
図5は、第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ22に与える駆動信号の一例を示す。図5(A)は、第1駆動信号に含まれる駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)を示す。図5(B)は、第2駆動信号に含まれる駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)を示す。
駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)は、それぞれ下式(1A)及び下式(1B)により表される。

ここで、tは時間である。fは駆動周波数である。A(t)は、振幅であって時間tに応じて変化する。γ(t)は、位相であって時間tに応じて変化する。駆動電圧波形V1A(t)と駆動電圧波形V1B(t)との位相差は、π(すなわち180°)である。
すなわち、第1駆動信号は、振幅及び位相が時間変化する周期電圧信号である。駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)がそれぞれ第1可動部21A及び第2可動部21Bに印加されることにより、ミラー部20が第1軸a周りに周期T(=1/f)で揺動する。
駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)は、それぞれ下式(2A)及び下式(2B)により表される。

ここで、tは時間である。fは駆動周波数である。A(t)は、振幅であって時間tに応じて変化する。γ(t)は、位相であって時間tに応じて変化する。駆動電圧波形V2A(t)と駆動電圧波形V2B(t)との位相差は、π(すなわち180°)である。
すなわち、第2駆動信号は、振幅及び位相が時間変化する周期電圧信号である。駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)がそれぞれ第1可動部22A及び第2可動部22Bに印加されることにより、ミラー部20が第2軸a周りに周期T(=1/f)で揺動する。
また、φは、駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)と、駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)との位相差である。本実施形態では、ミラー部20に円形のスパイラルスキャン動作を行わせるために、φ=π/2(すなわち90°)とする。これにより、円軌道の1周の周期がT(=1/f)であるスパイラルスキャン動作が実現される。なお、φの値は、π/2以外に設定してもよい。φがπ/2以外の値である場合は、ミラー部20は楕円形状のスパイラルスキャン動作を行う。
第1駆動信号の振幅A(t)及び位相γ(t)は、それぞれ下式(3)及び下式(4)に示す多項式で表される。第2駆動信号の振幅A(t)及び位相γ(t)は、それぞれ下式(5)及び下式(6)に示す多項式で表される。本実施形態では、多項式を2次関数としているが、3次以上の関数としてもよい。多項式の次数は、必要とされるスパイラルスキャンの動作精度とプロセッサの演算能力とに応じて決定される。mkp及びnkpは、係数である。ここで、kは0、1、又は2である。pはa又はbである。なお、本実施形態では、位相γ(t)については、位相差φを含めて多項式で表している。



係数mkp及びnkpは、ミラー部20の第1軸a周りの揺動振幅及び第2軸a周りの揺動振幅が時間に対して線形的に変化(すなわち、スパイラル軌道の動径が等速で変化)するように決定されている。第1軸a周りの揺動振幅は、第1振れ角θの極大値及び極小値に対応する。第2軸a周りの揺動振幅は、第2振れ角θの極大値及び極小値に対応する。
例えば、係数mkp及びnkpは、駆動制御部4により実際にMEMSミラー2に第1駆動信号及び第2駆動信号を入力し、ミラー部20の第1振れ角θ及び第2振れ角θをセンサ等で確認しながら調整を行う手法により決定される。
振れ角を検知するセンサとしては、MEMSミラー2の外部に設置された光源3から出射され、ミラー部20で反射された光ビームLの反射光を光センサで検出する方法、MEMSミラー2上に応力に応じた電圧を発生する歪みセンサ等を組み込む方法などがある。
上述のように、第1駆動信号及び第2駆動信号をそれぞれ振幅及び位相が時間変化する周期電圧信号とし、振幅及び位相の時間変化に関連する係数mkp及びnkpは適切に決定することは、本出願人により、特願2021-102628において提案されている。
振幅A(t),A(t)及び位相γ(t),γ(t)は、変調周期Tを単位とする周期関数である。光走査装置10を、距離画像を取得するLiDAR装置に適用する場合には、変調周期Tは、距離画像のフレームレートに対応する。LiDAR装置をドローン等の移動体に搭載する場合には変調周期Tは可能な限り小さいことが望ましい。この場合、例えば、フレームレートは少なくとも10Hz以上、好ましくは20Hz以上であることが求められる。すなわち、変調周期Tは少なくとも0.1秒以下、好ましくは0.05秒以下であることが求められる。
また、スパイラル軌道のライン間隔が距離画像の解像度に相当する。フレームレートを高く、かつライン間隔を狭くするには、粗密なく等間隔でスキャンすることが最も効率的であり、好ましい。ライン間隔とは、スパイラル軌道の動径方向への間隔をいう。本実施形態では、スパイラル軌道のライン間隔を等間隔とするために、動径が線形的に変化するスパイラル回転動作を実現する。
また、本実施形態では、1変調周期T内に、スパイラル軌道の動径の拡張及び収縮を行う。すなわち、1変調周期Tには、拡張期間TEと収縮期間TSとが含まれる。拡張期間TEは、第1軸a周りの揺動振幅及び第2軸a周りの揺動振幅が線形的に増加する期間である。収縮期間TSは、第1軸a周りの揺動振幅及び第2軸a周りの揺動振幅が線形的に減少する期間である。
MEMSミラー2には、ミラー部20の第1軸a周りのミラー傾き揺動を伴う共振モードの周波数(以下、第1共振周波数fr1という。)と、ミラー部20の第2軸a周りのミラー傾き揺動を伴う共振モードの周波数(以下、第2共振周波数fr2という。)が存在する。ここで、第1共振周波数fr1は、第1軸a周りのミラー傾き揺動を伴う複数の共振モードのうち駆動周波数fに最も近い基本共振モードの共振周波数である。また、第2共振周波数fr2は、第2軸a周りのミラー傾き揺動を伴う複数の共振モードのうち駆動周波数fに最も近い基本共振モードの共振周波数である。
第1共振周波数fr1は、ミラー部20の第1軸a周りに揺動させた状態で、駆動周波数fを掃引した場合に揺動振幅が最大となる駆動周波数fである。第2共振周波数fr2は、ミラー部20の第2軸a周りに揺動させた状態で、駆動周波数fを掃引した場合に揺動振幅が最大となる駆動周波数fである。
MEMSミラー2は、第1共振周波数fr1と第2共振周波数fr2とが略一致するように設計され、かつ、駆動周波数fは、第1共振周波数fr1と第2共振周波数fr2とに略一致する値に設定されることが好ましい。しかしながら、実際は、MEMSミラー2の加工誤差、温度依存性、経時特性変化などにより、第1共振周波数fr1と第2共振周波数fr2とが一致しないことがある。
本出願人は、駆動信号を振幅及び位相が時間変化する周期電圧信号としたとしてもスパイラル軌道の特定の領域においてライン間隔(すなわち解像度)にばらつきが生じるという問題が存在しており、さらなる改善が必要であることを見出した。スパイラル軌道のライン間隔のばらつきを低減するには、スパイラル回転動作の周期を長くすることが考えられるが、スパイラル回転動作の周期を長くすると、距離画像のフレームレートが低下してしまう。
本出願人は、スパイラル軌道のライン間隔に生じるばらつきは、駆動時に基本共振モードより低次及び高次に不要な共振モードが励起されることに起因していることを見出した。さらに、本出願人は、第1軸aと第2軸aとのどちらのミラー傾き揺動を伴う不要共振モードについても、ライン間隔のばらつきの原因となることを見出した。このため、それぞれの軸において、低次及び高次の不要な共振モードの共振周波数fを中心として±(f/Q)/2の周波数範囲に含まれる周波数成分を抑制することにより不要な共振モードの励起が抑制され、ライン間隔のばらつきが低減する。Qは、共振Q値を表す。MEMSミラー2のミラー傾き揺動を伴う共振モードの共振Q値は一般的に10以上であるので、本実施形態では、低次及び高次の不要な共振モードの共振周波数fを中心として±f/20の周波数範囲に含まれる周波数成分を抑制することで、寸法変化や製造バラつきなどによる不要モードのQ値のバラつきに対しても、ロバスト性が向上する。
周波数フィルタ処理部46により、第1駆動信号及び第2駆動信号から上記周波数範囲の周波数成分を抑制することにより、フレームレートを低下させることなく、スパイラル軌道のライン間隔のばらつきを低減することができる。具体的には、第1に、第1軸a周りのミラー傾き揺動を伴う複数の共振モードのうち、周期電圧信号の周波数(すなわち駆動周波数f)に最も近い基本共振モードの周波数から1つ低次の共振周波数を含む第1周波数範囲B1と、基本共振モードの周波数から1つ高次の共振周波数を含む第2周波数範囲B2との周波数成分を抑制することにより、第1軸a周りの不要振動に起因したライン間隔のばらつきが低減する。第2に、第2軸a周りのミラー傾き揺動を伴う複数の共振モードのうち、周期電圧信号の周波数(すなわち駆動周波数f)に最も近い基本共振モードの周波数から1つ低次の共振周波数を含む第1周波数範囲B1と、基本共振モードの周波数から1つ高次の共振周波数を含む第2周波数範囲B2との周波数成分を抑制することにより、第2軸a周りの不要振動に起因したライン間隔のばらつきが低減する。なお、低次の共振モードが存在しない場合(すなわち第1周波数範囲B1が存在しない場合)には、第2周波数範囲B2の周波数成分のみを抑制すればよい。
図6は、第1駆動信号に含まれる周波数成分を模式的に示す。図6において、fr1Lは、第1共振周波数fr1から1つ低次の共振周波数を表している。fr1Hは、第1共振周波数fr1から1つ高次の共振周波数を表している。第1周波数範囲B1は、fB1L≦B1≦fB1Hで規定される範囲である。ここで、fB1L=(1-1/20)×fr1Lであり、fB1H=(1+1/20)×fr1Lである。すなわち、第1周波数範囲B1は、(1±1/20)×fr1Lの周波数範囲である。第2周波数範囲B2は、fB2L≦B2≦fB2Hで規定される範囲である。fB2L=(1-1/20)×fr1Hであり、fB2H=(1+1/20)×fr1Hである。すなわち、第2周波数範囲B2は、(1±1/20)×fr1Hの周波数範囲である。
また、図6において、V1は、第1駆動信号の周波数成分のうち、第1周波数範囲B1及び第2周波数範囲B2における電圧レベルの最大値(以下、第1電圧レベルという。)である。V2は、第1駆動信号の周波数成分のうち、全周波数範囲における電圧レベルの最大値(以下、第2電圧レベルという。)である。周波数フィルタ処理部46は、第1駆動信号について、第2電圧レベルVL2に対する第1電圧レベルVL1の比率R(以下、電圧レベル比Rという。)を-55dBV以下とするようにフィルタ処理を行う。
第2駆動信号についても同様である。周波数フィルタ処理部46は、第2駆動信号について、電圧レベル比Rを-55dBV以下とするようにフィルタ処理を行う。
第1軸aと第2軸aとのうち、基本共振モードよりも1つ低次の共振モードが存在する軸については、周期電圧信号の周波数成分のうち、第1周波数範囲B1及び第2周波数範囲B2における電圧レベルの最大値が第1電圧レベルVL1である。一方、基本共振モードよりも1つ低次の共振モードが存在しない軸については、周期電圧信号の周波数成分のうち、第2周波数範囲B2における電圧レベルの最大値が第1電圧レベルVL1である。
なお、第1周波数範囲B1及び第2周波数範囲B2は、第1共振周波数fr1と第2共振周波数fr2とのいずれか一方に基づいて決定された範囲であってもよい。また、周波数フィルタ処理部46は、第1駆動信号と第2駆動信号とのいずれか一方について、電圧レベル比Rを-55dBV以下とするように設計されたものであればよい。例えば、周波数フィルタ処理部46は、第1駆動信号について電圧レベル比Rを-55dBV以下とするように設計されたものであり、第2駆動信号についても第1駆動信号と同様のフィルタ処理を行うものであってもよい。
[実験結果]
以下に、スパイラル軌道のライン間隔のばらつきのフィルタ処理の依存性について実験した結果を示す。
まず、実験で用いるMEMSミラー2の共振周波数を以下の手法にて測定した。第1アクチュエータ21のみに正弦波の電圧信号を入力することによりミラー部20に第1軸a周りの揺動を行わせ、当該正弦波の周波数(すなわち駆動周波数f)を変化させたとき、揺動振幅が最大となる周波数を第1共振周波数fr1とした。同様に、第2アクチュエータ22のみに正弦波の電圧信号を入力することによりミラー部20に第2軸a周りの揺動を行わせ、当該正弦波の周波数(すなわち駆動周波数f)を変化させたとき、揺動振幅が最大となる周波数を第2共振周波数fr2とした。
また、ミラー部20のスパイラル回転動作は、第1軸a周りの揺動振幅及び第2軸a周りの揺動振幅がそれぞれ第1の値から第2の値まで(例えば、5°から10°まで)の範囲で時間変化する動作である。ここで、第2の値は、第1の値よりも大きい。本開示においては、第1軸a周りの揺動振幅が第2の値である場合における共振周波数を、第1共振周波数fr1と定義する。また、第2軸a周りの揺動振幅が第2の値である場合における共振周波数を、第2共振周波数fr2と定義する。
次に、第1共振周波数fr1に対して低次及び高次の共振周波数fr1L,fr1Hと、第2共振周波数fr2に対して低次及び高次の共振周波数fr2L,fr2Hとを計測した。これらの共振周波数の計測には、レーザードップラー計測装置を応用した振動解析装置(Polytec MSA-500)を用いることができる。第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ22の各々にチャープ電圧波形もしくはノイズ電圧波形を入力し、MEMSミラー2の表面をレーザードップラー振動解析によって多点計測することで、面外方向の振動形状を可視化することが可能である。
また、第1共振周波数fr1及び第2共振周波数fr2と同様の計測方法によって共振周波数fr1L,fr1H,fr2L,fr2Hを計測することも可能である。第1共振周波数fr1及び第2共振周波数fr2の各々よりも低い周波数領域を広く探索することにより低次の共振周波数fr1L,fr2Lを計測することができる。また、第1共振周波数fr1及び第2共振周波数fr2の各々よりも高い周波数領域を広く探索することにより高次の共振周波数fr1H,fr2Hを計測することができる。
図7は、基本共振モード、低次及び高次の共振モードの共振周波数の計測結果を示す。図7に示す低次及び高次の共振周波数fr1L,fr1H,fr2L,fr2Hの計測値、第1共振周波数fr1及び第2共振周波数fr2と同様の計測方法によって計測した計測値である。
第1共振周波数fr1は、1448.2Hzであった。第2共振周波数fr2は、1441.0Hzであった。また、第1軸a周りのミラー傾き揺動を伴う共振モードは、基本共振モードの低次側及び高次側に存在し、共振周波数fr1L,fr1Hはそれぞれ843.0Hz及び2364.5Hzであった。また、第2軸a周りのミラー傾き揺動を伴う共振モードは、基本共振モードの高次側に存在するが、低次側には存在しなかった。高次側の共振周波数fr2Hは、10400.0Hzであった。
次に、各種の共振モードについて詳細に説明する。図8は、第1軸a周りのミラー傾き揺動を伴う共振モードのうちの基本共振モードの形状をシミュレーションにより計算した結果を示す。この基本共振モードでは、第1アクチュエータ21とミラー部20とが互いに逆位相の関係で第1軸a周りに揺動した。このように、第1アクチュエータ21とミラー部20とが互いに逆位相で揺動する場合には、固定部27への振動エネルギーの漏れが抑えられる。これにより、MEMSミラー2を、効率良く、かつ低消費電力で駆動することができる。
図9は、基本共振モードから1つ低次の共振モードの形状をシミュレーションにより計算した結果を示す。この低次の共振モードでは、第1アクチュエータ21とミラー部20とが互いに同位相の関係で第1軸a周りに揺動した。このように、第1アクチュエータ21とミラー部20とが互いに同位相の関係で揺動する場合には、固定部27への振動エネルギーの漏れが発生することから、駆動効率が比較的悪い。また、図10は、基本共振モードから1つ高次の共振モードの形状をシミュレーションにより計算した結果を示す。
次に、基本共振モードと低次の共振モードとの駆動効率の差異を調べるために、第1アクチュエータ21に共振周波数fr1を駆動周波数fとする正弦波信号を入力することにより、図8で示した基本共振モードを励起して、1次元スキャンを行うことによりミラー部20の第1振れ角θと駆動電圧(駆動信号の振幅)との関係を調べた。この場合、駆動電圧を4Vppとしたとき、θ=5°であった。また、第1アクチュエータに共振周波数fr1Lを駆動周波数fとする正弦波信号を入力することにより、図9で示した低次の共振モードを励起した。この場合、駆動電圧を4Vppとしたとき、θ=2.2°であった。
このように、第1アクチュエータ21とミラー部20とが互いに逆位相の関係で揺動する共振モードを用いることで、ミラー部20にスパイラルスキャン動作を行わせる場合においても、低い駆動電圧でMEMSミラー2を駆動することができ、低消費電力及び高スキャン角度が実現される。しかしながら、一般的に、このような共振モードは、第1軸a周りの多くの共振モードのうちの最低次の共振モードではない。そのため、少なくとも、第1アクチュエータ21とミラー部20とが互いに同位相の関係で揺動する別の共振モードが必ず低周波側に存在することになる。本開示では、ミラー部20にスパイラルスキャン動作を行わせる場合に、基本共振モードよりも高周波側の共振モードだけでなく、図9に示すような低周波側の共振モードがライン間隔のばらつきに大きな影響を及ぼすことを見出した。
本開示の技術によれば、低周波側と高周波側との両方の成分を駆動信号から除去することにより、効率が高い駆動モードを用いながらも、ライン間隔が等しいスパイラルスキャン動作を実現することができる。
基本共振モードより1つ低次の共振モードが存在する軸の基本共振モードでは、第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ22のうち低次の共振モードが存在する軸周りにミラー部20を駆動するアクチュエータと、ミラー部20とが互いに逆位相の関係で揺動することが好ましい。図7に示す例では、少なくとも基本共振モードより1つ低次の共振モードが存在する第1軸a周りにミラー部20を駆動する第1アクチュエータ21と、ミラー部20とが互いに逆位相の関係で揺動することが好ましい。
次に、基本共振モードの低次側及び高次側に共振モードが存在する第1軸a周りのミラー傾き揺動を伴う共振モードについて、上述の第1周波数範囲B1及び第2周波数範囲B2を算出した。図11は、第1周波数範囲B1を規定する周波数fB1L,fB1H、及び第2周波数範囲B2を規定する周波数fB2L,fB2Hの算出結果を示す。
また、本実験では、振幅及び位相が時間変化する周期電圧信号である第1駆動信号及び第2駆動信号をMEMSミラー2に与えることによりミラー部20にスパイラル回転動作を行わせた。そして、ミラー部20がスパイラル回転動作を行っている状態で、光源3から光ビームLをミラー部20に照射した。ミラー部20が反射した光ビームLをPSD(Position Sensor Diode)素子に入射させ、PSD素子から出力された電圧信号を、光ビームLの入射位置に変換することで、スパイラル軌道のライン間隔のばらつきを計測した。
また、本実験では、周波数フィルタ処理部46によるフィルタ処理の内容を変更して上述の電圧レベル比Rを変化させることにより、電圧レベル比Rに対するスパイラル軌道のライン間隔のばらつきの依存性を評価した。なお、本実験では、駆動周波数fを1456Hzとした。
図12は、本実験で用いた7つの条件と、各条件に対する実験結果を示す。条件1は、第1駆動信号及び第2駆動信号にフィルタ処理を行わないことを意味する。条件2~5は、周波数フィルタ処理部46がバタワース型のバンドパスフィルタであり、バンドパスフィルタの次数とカットオフ周波数fcL,fcHとのうちいずれか一方が異なる。fcLは、通過帯域の低周波端のカットオフ周波数である。fcHは、通過帯域の高周波端のカットオフ周波数である。条件6,7は、周波数フィルタ処理部46がバタワース型のローパスフィルタでフィルタ処理であり、カットオフ周波数fcHが異なる。条件6,7では、周波数フィルタ処理部46は、カットオフ周波数fcH以下の周波数帯域が通過帯域である。
条件1~7の各々に基づいてミラー部20にスパイラル回転動作を行わせ、第1駆動信号の周波数成分のうち、全周波数範囲における最大電圧レベル、第1周波数範囲B1における最大電圧レベル、第2周波数範囲B2における最大電圧レベル、電圧レベル比R、及びライン間隔のばらつきを評価した。全周波数範囲における最大電圧レベルは、上述の第2電圧レベルVL2に対応する。第1周波数範囲B1における最大電圧レベルと第2周波数範囲B2における最大電圧レベルとのうち大きい方が、上述の第1電圧レベルVL1に対応する。ライン間隔のばらつきは、ミラー部20の傾斜角度により表される。
図13は、図12に示す電圧レベル比Rとライン間隔のばらつきとの関係を示すグラフである。図13によると、電圧レベル比Rが低いほどライン間隔のばらつきが小さくなる(すなわち解像度が向上する)ことが分かる。特に、電圧レベル比Rが-55dBV以下である場合にライン間隔のばらつきが0.05°以下となる。ライン間隔のばらつきが0.05°であることは、理想的なスパイラル軌道のライン間隔の半分程度に相当し、十分な解像度が得られる。
[条件1による実験結果の詳細]
次に、上記の条件1による実験結果の詳細について説明する。図14は、条件1による実験で用いた1変調周期T内における駆動電圧波形V1A(t)及びV2A(t)の時間変化を示す。図14(A)は駆動電圧波形V1A(t)を示す。図14(B)は駆動電圧波形V2A(t)を示す。駆動電圧波形V1B(t)及びV2B(t)は、それぞれ駆動電圧波形V1A(t)及びV2A(t)を反転したものであるので、図示を省略している。
図14(A)に示す駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)からなる第1駆動信号と、図14(B)に示す駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)からなる第2駆動信号とをMEMSミラー2に与えた。これによりスパイラル回転動作を行うミラー部20の第1振れ角θ及び第2振れ角θを計測した。なお、実際には、圧電アクチュエータである第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ22の分極反転を防止するために、上記各駆動電圧波形に-15Vの負バイアスを付加した。
なお、条件1による実験では、周波数フィルタ処理部46によるフィルタ処理は行っていない。
図15は、第1アクチュエータ21の第1可動部21Aに印加される駆動電圧波形V1A(t)の周波数成分を示す。図15は、駆動電圧波形V1A(t)をフーリエ変換することにより得られる周波数成分をプロットしたものである。図15によれば、フィルタ処理を行わない場合には、図11で示した第1周波数範囲B1及び第2周波数範囲B2に一定以上の電圧レベルの電圧成分が存在することが分かる。
なお、第2駆動信号に含まれる周波数成分は図示していないが、第2軸a周りの高次の共振周波数fr2H(図7参照)を含む第2周波数範囲B2(9880Hz~10920Hzの範囲)における電圧レベル比Rは-65dBVであり、十分に小さい値であった。
図16は、1変調周期Tm内における第1振れ角θ1及び第2振れ角θ2の計測結果を示す。図16において、実線は第1振れ角θ1の時間変化を示しており、破線は第2振れ角θ2の時間変化を示している。図16に示すように、拡張期間TE及び収縮期間TSにおいて、第1振れ角θの極大値及び極小値と、第2振れ角θの極大値及び極小値とはそれぞれ線形的に変化している。すなわち、1変調周期Tには、第1軸a周りの揺動振幅及び第2軸a周りの揺動振幅が線形的に変化する期間が含まれている。
図16によれば、揺動振幅が5°~10°の範囲を0.43秒で線形的に拡張し、かつ0.01秒で線形的に収縮するスパイラル回転動作が実現されることが分かる。
図17は、1変調周期T内の拡張期間TEにおけるスパイラル軌道の計測結果を示す。図17に示されるスパイラル軌道の計測結果に基づき、第1軸a周りにおけるライン間隔のばらつきを計測した。第1軸a周りにおけるライン間隔のばらつきは、図17に示される直線αを横切るスパイラル軌道の間隔のばらつきを意味する。なお、図12中のライン間隔のばらつきの値は、隣り合うライン番号のライン間隔の差の絶対値をすべてのライン番号に関して計算した場合における絶対値の最大値である。
図18は、第1軸a周りにおけるライン間隔の計測結果を示す。図18は、直線αにおけるライン間隔を計測し、計測値をライン番号に対してプロットしたものである。ライン番号は、直線αを横切るスパイラル軌道のラインを識別する番号である。具体的には、ライン番号は、直線αを横切る複数のラインに対して第1振れ角θが小さいものから順に付した番号である。
図18によれば、フィルタ処理を行わない条件1では、ライン間隔のばらつきが大きいことが分かる。条件1では、ライン間隔のばらつきの最大値は、0.342°であった。
なお、第2軸a周りにおけるライン間隔(図17に示す直線βにおけるライン間隔)は、ばらつきが小さく、ライン間隔のばらつきの最大値は、0.031°であった。つまり、第2軸a周りにおけるライン間隔のばらつきは、第1軸a周りにおけるライン間隔のばらつきの1/10以下であった。
[条件4による実験結果の詳細]
次に、上記の条件1による実験結果の詳細について説明する。図19は、条件4による実験で用いた1変調周期T内における駆動電圧波形V1A(t)及びV2A(t)の時間変化を示す。図19(A)は駆動電圧波形V1A(t)を示す。図19(B)は駆動電圧波形V2A(t)を示す。駆動電圧波形V1B(t)及びV2B(t)は、それぞれ駆動電圧波形V1A(t)及びV2A(t)を反転したものであるので、図示を省略している。
図19(A)に示す駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)からなる第1駆動信号と、図19(B)に示す駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)からなる第2駆動信号とをMEMSミラー2に与えた。これによりスパイラル回転動作を行うミラー部20の第1振れ角θ及び第2振れ角θを計測した。なお、実際には、圧電アクチュエータである第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ22の分極反転を防止するために、上記各駆動電圧波形に-15Vの負バイアスを付加した。
なお、条件4による実験では、周波数フィルタ処理部46を8次のバタワース型のバンドパスフィルタとした(図12参照)。
図20は、第1アクチュエータ21の第1可動部21Aに印加される駆動電圧波形V1A(t)の周波数成分を示す。図20は、駆動電圧波形V1A(t)をフーリエ変換することにより得られる周波数成分をプロットしたものである。図20によれば、フィルタ処理を行うことにより、第1周波数範囲B1及び第2周波数範囲B2における電圧成分が大きく減少していることが分かる。
図21は、1変調周期T内における第1振れ角θ1及び第2振れ角θ2の計測結果を示す。図21において、実線は第1振れ角θ1の時間変化を示しており、破線は第2振れ角θ2の時間変化を示している。図21に示すように、拡張期間TE及び収縮期間TSにおいて、第1振れ角θの極大値及び極小値と、第2振れ角θの極大値及び極小値とはそれぞれ線形的に変化している。すなわち、1変調周期Tには、第1軸a周りの揺動振幅及び第2軸a周りの揺動振幅が線形的に変化する期間が含まれている。
図21によれば、揺動振幅が5°~10°の範囲を0.43秒で線形的に拡張し、かつ0.01秒で線形的に収縮するスパイラル回転動作が実現されることが分かる。
図22は、1変調周期T内の拡張期間TEにおけるスパイラル軌道の計測結果を示す。図22に示されるスパイラル軌道の計測結果に基づき、第1軸a周りにおけるライン間隔のばらつきを計測した。第1軸a周りにおけるライン間隔のばらつきは、図22に示される直線αを横切るスパイラル軌道の間隔のばらつきを意味する。
図23は、第1軸a周りにおけるライン間隔の計測結果を示す。図23は、直線αにおけるライン間隔を計測し、計測値をライン番号に対してプロットしたものである。ライン番号は、直線αを横切るスパイラル軌道のラインを識別する番号である。具体的には、ライン番号は、直線αを横切る複数のラインに対して第1振れ角θが小さいものから順に付した番号である。
図23によれば、条件4では、条件1と比較してライン間隔のばらつきが低減していることが分かる。条件4では、ライン間隔のばらつきの最大値は、0.0183°であった。
なお、第2軸a周りにおけるライン間隔(図22に示す直線βにおけるライン間隔)は、ばらつきが小さく、ライン間隔のばらつきの最大値は、0.021°であった。
[条件6による実験結果の詳細]
次に、上記の条件6による実験結果の詳細について説明する。条件6による実験では、周波数フィルタ処理部46が8次のバタワース型のローパスフィルタであり、第1周波数範囲B1と第2周波数範囲B2とのうち、第2周波数範囲B2の周波数成分のみを抑制する。
図24は、1変調周期T内の拡張期間TEにおけるスパイラル軌道の計測結果を示す。図24に示されるスパイラル軌道の計測結果に基づき、第1軸a周りにおけるライン間隔のばらつきを計測した。第1軸a周りにおけるライン間隔のばらつきは、図24に示される直線αを横切るスパイラル軌道の間隔のばらつきを意味する。
図25は、第1軸a周りにおけるライン間隔の計測結果を示す。図25は、直線αにおけるライン間隔を計測し、計測値をライン番号に対してプロットしたものである。ライン番号は、直線αを横切るスパイラル軌道のラインを識別する番号である。具体的には、ライン番号は、直線αを横切る複数のラインに対して第1振れ角θが小さいものから順に付した番号である。
図25によれば、条件6では、条件1と比較するとライン間隔のばらつきが低減するが、ライン番号が小さいエリアでのライン間隔のばらつきが大きく、その最大値は0.15°であった。これは、第1軸a周りのミラー傾き揺動を伴う共振モードのうち、基本共振モードより低周波側における不要共振モードの励起に起因している。
なお、上記実施形態では、ミラー駆動部44に周波数フィルタ処理部46が設けられているが、周波数フィルタ処理部46は設けられていなくてもよい。すなわち、周波数フィルタ処理部46が設けられておらず、駆動信号生成部45が生成する駆動信号が、R≦-55dBVの関係を満たすものであってもよい。
また、上記実施形態で示したMEMSミラー2の構成は適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ22を環状としているが、第1アクチュエータ21及び第2アクチュエータ22のうちの一方又は両方をミアンダ構造とすることも可能である。また、第1支持部24及び第2支持部25として、トーションバー以外の構成の支持部材を用いることも可能である。
また、駆動制御部4のハードウェア構成は種々の変形が可能である。駆動制御部4の処理部は、1つのプロセッサで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA(Field Programmable Gate Array)の組み合わせ、及び/又は、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
2 MEMSミラー
3 光源
4 駆動制御部
5 被走査面
10 光走査装置
20 ミラー部
20A 反射面
21 第1アクチュエータ
21A 第1可動部
21B 第2可動部
22 第2アクチュエータ
22A 第1可動部
22B 第2可動部
23 支持枠
24 第1支持部
25 第2支持部
26 接続部
27 固定部
43 光源駆動部
44 ミラー駆動部
B1 第1周波数範囲
B2 第2周波数範囲
L 光ビーム
N 法線
TE 拡張期間
TS 収縮期間
変調周期
第1軸
第2軸
α,β 直線

Claims (7)

  1. 入射光を反射する反射面を有し、互いに直交する第1軸及び第2軸の周りに揺動可能なミラー部と、前記ミラー部に前記第1軸周りの回転トルクを与えることにより前記ミラー部を前記第1軸周りに揺動させる第1アクチュエータと、前記ミラー部に前記第2軸周りの回転トルクを与えることにより前記ミラー部を前記第2軸周りに揺動させる第2アクチュエータとを有するミラー装置と、
    前記第1アクチュエータに第1駆動信号を与え、かつ前記第2アクチュエータに第2駆動信号を与えるプロセッサと、
    を備える光走査装置であって、
    前記プロセッサは、前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号を周期電圧信号とすることにより、前記ミラー部にスパイラル回転動作を行わせ、
    前記第1軸周りのミラー傾き揺動を伴う複数の共振モードと、前記第2軸周りのミラー傾き揺動を伴う複数の共振モードとのうち少なくともいずれか一方には、前記周期電圧信号の周波数に最も近い基本共振モードよりも1つ低次の共振モードが存在し、
    それぞれの軸に対し、前記基本共振モードの周波数から1つ低次の共振周波数をfrL、前記基本共振モードの周波数から1つ高次の共振周波数をfrHとした場合に、前記周期電圧信号の周波数成分のうち、全周波数範囲における電圧レベルの最大値である第2電圧レベルに対する第1電圧レベルの比率が-55dBV以下であることを満たす、
    ここで、前記第1軸と前記第2軸とのうち、前記低次の共振モードが存在する軸については、前記周期電圧信号の周波数成分のうち、(1±1/20)×frLの周波数範囲及び(1±1/20)×frHの周波数範囲における電圧レベルの最大値が前記第1電圧レベルであり、前記低次の共振モードが存在しない軸については、周期電圧信号の周波数成分のうち、(1±1/20)×frHの周波数範囲における電圧レベルの最大値が前記第1電圧レベルである、
    光走査装置。
  2. 前記低次の共振モードが存在する軸の前記基本共振モードでは、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータのうち前記低次の共振モードが存在する軸周りに前記ミラー部を駆動するアクチュエータと、前記ミラー部とが互いに逆位相の関係で揺動する、
    請求項1に記載の光走査装置。
  3. 前記プロセッサは、前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号に周波数フィルタ処理を施すことにより、前記第2電圧レベルに対する前記第1電圧レベルの比率が-55dBV以下とする、
    請求項1又は請求項2に記載の光走査装置。
  4. 前記周波数フィルタ処理は、デジタルフィルタ処理又はアナログフィルタ処理である、
    請求項3に記載の光走査装置。
  5. 前記周期電圧信号は、振幅及び位相が時間変化する信号である、
    請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の光走査装置。
  6. 前記スパイラル回転動作は、前記ミラー部の前記第1軸周りの揺動振幅及び前記第2軸周りの揺動振幅がそれぞれ線形的に変化する期間を含む、
    請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の光走査装置。
  7. 入射光を反射する反射面を有し、互いに直交する第1軸及び第2軸の周りに揺動可能なミラー部と、前記ミラー部に前記第1軸周りの回転トルクを与えることにより前記ミラー部を前記第1軸周りに揺動させる第1アクチュエータと、前記ミラー部に前記第2軸周りの回転トルクを与えることにより前記ミラー部を前記第2軸周りに揺動させる第2アクチュエータとを有するミラー装置を備える光走査装置の制御方法であって、
    前記第1アクチュエータに与える第1駆動信号と前記第2アクチュエータに与える第2駆動信号とを周期電圧信号とすることにより、前記ミラー部にスパイラル回転動作を行わせ、
    前記第1軸周りのミラー傾き揺動を伴う複数の共振モードと、前記第2軸周りのミラー傾き揺動を伴う複数の共振モードとのうち少なくともいずれか一方には、前記周期電圧信号の周波数に最も近い基本共振モードよりも1つ低次の共振モードが存在し、
    それぞれの軸に対し、前記基本共振モードの周波数から1つ低次の共振周波数をfrL、前記基本共振モードの周波数から1つ高次の共振周波数をfrHとした場合に、前記周期電圧信号の周波数成分のうち、全周波数範囲における電圧レベルの最大値である第2電圧レベルに対する第1電圧レベルの比率が-55dBV以下であることを満たす、
    ここで、前記第1軸と前記第2軸とのうち、前記低次の共振モードが存在する軸については、前記周期電圧信号の周波数成分のうち、(1±1/20)×frLの周波数範囲及び(1±1/20)×frHの周波数範囲における電圧レベルの最大値が前記第1電圧レベルであり、前記低次の共振モードが存在しない軸については、周期電圧信号の周波数成分のうち、(1±1/20)×frHの周波数範囲における電圧レベルの最大値が前記第1電圧レベルである、
    光走査装置の制御方法。
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