JP2023096889A - フェルラ酸溶液、フェルラ酸含有粒子の製造方法、フェルラ酸含有粒子、紫外線吸収剤、および、化粧品原料 - Google Patents

フェルラ酸溶液、フェルラ酸含有粒子の製造方法、フェルラ酸含有粒子、紫外線吸収剤、および、化粧品原料 Download PDF

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祐輝 大内
Yuki Ouchi
芳之 川又
Yoshiyuki Kawamata
ひとみ 鈴木
Hitomi Suzuki
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Abstract

【課題】フェルラ酸の析出を抑制できるフェルラ酸溶液、そのフェルラ酸溶液を用いるフェルラ酸含有粒子の製造方法、そのフェルラ酸溶液の乾燥物を含むフェルラ酸含有粒子、そのフェルラ酸含有粒子を含む紫外線吸収剤、および、そのフェルラ酸含有粒子を含む化粧品原料を提供すること。【解決手段】フェルラ酸溶液は、フェルラ酸と、炭素数2以上3以下のアルコールと、水と、カルボキシル基含有化合物の塩、または、ポリビニルピロリドンとを含む。ポリビニルピロリドンの数平均分子量が、1000以上20000以下である。カルボキシル基含有化合物の塩の配合割合、または、ポリビニルピロリドンの配合割合が、3質量%を超過する。アルコールの水に対する質量比(アルコール/水)が、1以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、フェルラ酸溶液、フェルラ酸含有粒子の製造方法、フェルラ酸含有粒子、紫外線吸収剤、および、化粧品原料に関する。
従来、フェルラ酸は、紫外線吸収性を有することが知られている。そのため、フェルラ酸は、化粧品原料などの各種分野において用いられる。
一方、フェルラ酸を、化粧品原料として用いる場合には、まず、フェルラ酸を溶剤に溶解したフェルラ酸溶液を調製する。
フェルラ酸溶液を調製する方法として、例えば、エタノールおよびフェルラ酸を混合し、60℃で加熱することによって、固形分濃度20質量%のフェルラ酸溶液を調製する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
The Journal of Chemical Thermodynamics Volume 103 December 2016 Pages 285-291
一方、非特許文献1のフェルラ酸溶液を調製する方法により得られるフェルラ酸溶液を、室温で放置すると、フェルラ酸が析出する。そのため、保存性が低下するという不具合がある。
本発明は、フェルラ酸の析出を抑制できるフェルラ酸溶液、そのフェルラ酸溶液を用いるフェルラ酸含有粒子の製造方法、そのフェルラ酸溶液の乾燥物を含むフェルラ酸含有粒子、そのフェルラ酸含有粒子を含む紫外線吸収剤、および、そのフェルラ酸含有粒子を含む化粧品原料を提供することにある。
本発明[1]は、フェルラ酸と、炭素数2以上3以下のアルコールと、水と、カルボキシル基含有化合物の塩、または、ポリビニルピロリドンとを含み、前記ポリビニルピロリドンの数平均分子量が、1000以上20000以下であり、前記カルボキシル基含有化合物の塩の配合割合、または、前記ポリビニルピロリドンの配合割合が、3質量%を超過し、前記アルコールの前記水に対する質量比(アルコール/水)が、1以上である、フェルラ酸溶液である。
本発明[2]は、前記カルボキシル基含有化合物が、さらに、水酸基を有する、上記[1]に記載のフェルラ酸溶液を含んでいる。
本発明[3]は、前記フェルラ酸の配合割合が、10質量%以上である、上記[1]または[2]に記載のフェルラ酸溶液を含んでいる。
本発明[4]は、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載のフェルラ酸溶液と、無機粒子とを混合し、前記アルコールおよび水を乾燥させることによりフェルラ酸含有粒子を得る、フェルラ酸含有粒子の製造方法を含んでいる。
本発明[5]は、前記無機粒子が、シリカ粒子である、上記[4]に記載のフェルラ酸含有粒子の製造方法を含んでいる。
本発明[6]は、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載のフェルラ酸溶液の乾燥物と、無機粒子とを含む、フェルラ酸含有粒子を含んでいる。
本発明[7]は、前記無機粒子が、シリカ粒子である、上記[6]に記載のフェルラ酸含有粒子を含んでいる。
本発明[8]は、上記[6]または[7]に記載のフェルラ酸含有粒子を含む、紫外線吸収剤を含んでいる。
本発明[9]は、上記[6]または[7]に記載のフェルラ酸含有粒子を含む、化粧品原料を含んでいる。
本発明のフェルラ酸溶液は、アルコールの水に対する質量比(アルコール/水)が、1以上である。そのため、フェルラ酸を確実に溶解させることができる。
また、フェルラ酸溶液は、カルボキシル基含有化合物の塩、または、ポリビニルピロリドンを含み、これらの配合割合が3質量%を超過する。そのため、フェルラ酸の析出を抑制できる。その結果、保存性に優れる。
本発明のフェルラ酸含有粒子の製造方法では、本発明のフェルラ酸溶液を用いる。そのため、生産性に優れるフェルラ酸含有粒子を製造することができる。
本発明のフェルラ酸含有粒子は、本発明のフェルラ酸溶液の乾燥物を含む。そのため、生産性に優れる。
本発明の紫外線吸収剤は、本発明のフェルラ酸含有粒子を含む。そのため、生産性に優れる。
本発明の化粧品原料は、本発明のフェルラ酸含有粒子を含む。そのため、生産性に優れる。
<フェルラ酸溶液>
フェルラ酸溶液は、フェルラ酸と、炭素数2以上3以下のアルコールと、水と、カルボキシル基含有化合物の塩、または、ポリビニルピロリドンとを含む。すなわち、フェルラ酸溶液は、フェルラ酸と、炭素数2以上3以下のアルコールと、水と、カルボキシル基含有化合物の塩とを含むか、フェルラ酸と、炭素数2以上3以下のアルコールと、水と、ポリビニルピロリドンとを含む。好ましくは、フェルラ酸溶液は、フェルラ酸と、炭素数2以上3以下のアルコールと、水と、カルボキシル基含有化合物の塩とからなるか、または、フェルラ酸と、炭素数2以上3以下のアルコールと、水と、ポリビニルピロリドンとからなる。
[フェルラ酸]
フェルラ酸は、紫外線吸収性を有する成分である。
フェルラ酸としては、trans-フェルラ酸、および、cis-フェルラ酸が構造異性体として挙げられる。フェルラ酸として、好ましくは、trans-フェルラ酸が挙げられる。
また、フェルラ酸は、詳しくは後述するが、変性(例えば、エステル化)されていない。
フェルラ酸の配合割合(フェルラ酸の固形分濃度)は、フェルラ酸溶液に対して、紫外線吸収性を向上させる観点から、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、22質量%以上、さらに好ましくは、24質量%以上、とりわけ好ましくは、26質量%以上、最も好ましくは、27質量%以上、さらには、28質量%以上、また、例えば、32質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
[炭素数2以上3以下のアルコール]
炭素数2以上3以下のアルコール(以下、アルコールと称する場合がある。)としては、例えば、エタノール、1-プロパノール、および、2-プロパノールが挙げられる。アルコールとして、好ましくは、エタノールが挙げられる。アルコールは、より好ましくは、エタノールからなる。
アルコールの配合割合は、フェルラ酸溶液に対して、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、また、例えば、70質量%以下である。
アルコールは、単独使用または2種以上併用できる。
[水]
水は、フェルラ酸を溶解させる溶媒である。
水の配合割合は、フェルラ酸溶液に対して、例えば、4質量%以上、また、例えば、40質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
また、アルコールの水に対する質量比(アルコール/水)は、1以上、好ましくは、1を超過、また、例えば、20以下、好ましくは、15以下、より好ましくは、10以下である。
上記質量比が、上記下限以上であれば、フェルラ酸を確実に溶解させることができる。とりわけ、フェルラ酸が高濃度(例えば、22質量%以上32質量%以下、以下同様。)であってもフェルラ酸を確実に溶解させることができる。
一方、上記質量比が、上記下限未満であれば、フェルラ酸を十分に溶解させることができない。
[カルボキシル基含有化合物の塩]
カルボキシル基含有化合物の塩は、フェルラ酸の溶解後に、フェルラ酸の析出を抑制する成分である。
カルボキシル基含有化合物の塩において、カルボキシル基含有化合物として、例えば、水酸基およびカルボキシル基含有化合物、および、水酸基不含カルボキシル基含有化合物が挙げられる。
水酸基およびカルボキシル基含有化合物は、カルボキシル基とともに、さらに、水酸基を含む化合物である。水酸基およびカルボキシル基含有化合物としては、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、2-ヒドキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、タルトロン酸、グリセリン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、サリチル酸、4-ヒドロキシメチル安息香酸、マンデル酸、および、ベンジル酸が挙げられ、好ましくは、乳酸、クエン酸、および、アスコルビン酸が挙げられる。
水酸基不含カルボキシル基含有化合物は、カルボキシル基を含み、水酸基を含まない化合物である。水酸基不含カルボキシル基含有化合物としては、例えば、酢酸、酪酸、および、シュウ酸が挙げられる。
カルボキシル基含有化合物として、好ましくは、フェルラ酸の析出をより一層抑制する観点から、水酸基およびカルボキシル基含有化合物が挙げられる。
また、カルボキシル基含有化合物の塩において、塩として、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩が挙げられ、好ましくは、ナトリウム塩が挙げられる。
そして、カルボキシル基含有化合物の塩として、好ましくは、水酸基およびカルボキシル基含有化合物のナトリウム塩が挙げられる。カルボキシル基含有化合物の塩として、より好ましくは、乳酸のナトリウム塩、クエン酸のナトリウム塩、および、アスコルビン酸のナトリウム塩が挙げられる。カルボキシル基含有化合物の塩として、とりわけ好ましくは、紫外線吸収性を向上させる観点から、乳酸のナトリウム塩、アスコルビン酸のナトリウム塩が挙げられる。
カルボキシル基含有化合物の塩の配合割合は、フェルラ酸溶液に対して、3質量%を超過し、好ましくは、4質量%以上、より好ましくは、5質量%以上、さらに好ましくは、7質量%以上、とりわけ好ましくは、9質量%以上、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下、より好ましくは、12質量%以下である。
カルボキシル基含有化合物の塩の配合割合が、上記下限を超過すれば、フェルラ酸の析出を抑制することができる。その結果、保存性に優れる。
一方、カルボキシル基含有化合物の塩の配合割合が、上記下限以下あれば、フェルラ酸の析出を抑制することができない。その結果、保存性が低下する。
また、カルボキシル基含有化合物の塩の配合割合が、上記上限以下であれば、高濃度のフェルラ酸溶液を調製することができる。
カルボキシル基含有化合物の塩は、単独使用または2種以上併用できる。
[ポリビニルピロリドン]
ポリビニルピロリドンは、フェルラ酸の溶解後に、フェルラ酸の析出を抑制する成分である。
ポリビニルピロリドンの数平均分子量は、1000以上、好ましくは、5000以上、より好ましくは、8000以上、また、20000以下、好ましくは、15000以下、より好ましくは、12000以下である。
ポリビニルピロリドンの数平均分子量が、上記下限以上および上記上限以下であれば、フェルラ酸の析出を抑制できる。
なお、ポリビニルピロリドンの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定できる。
また、ポリビニルピロリドンは、市販品を用いることもできる。ポリビニルピロリドンの市販品として、例えば、PVP10(Strem Chemicals Inc.製)が挙げられる。
ポリビニルピロリドンの配合割合は、フェルラ酸溶液に対して、3質量%を超過し、好ましくは、4質量%以上、より好ましくは、5質量%以上、さらに好ましくは、7質量%以上、とりわけ好ましくは、9質量%以上、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下、より好ましくは、12質量%以下である。
ポリビニルピロリドンの配合割合が、上記下限を超過すれば、フェルラ酸の析出を抑制することができる。その結果、保存性に優れる。
一方、ポリビニルピロリドンの配合割合が、上記下限以下あれば、フェルラ酸の析出を抑制することができない。その結果、保存性が低下する。
また、ポリビニルピロリドンの配合割合が、上記上限以下であれば、高濃度のフェルラ酸溶液を調製することができる。
上記したように、フェルラ酸溶液は、フェルラ酸と、アルコールと、水と、カルボキシル基含有化合物の塩またはポリビニルピロリドンと含む。フェルラ酸溶液は、好ましくは、ポリビニルピロリドンを含まず、フェルラ酸と、アルコールと、水と、カルボキシル基含有化合物の塩とを含む。フェルラ酸溶液は、より好ましくは、フェルラ酸と、アルコールと、水と、カルボキシル基含有化合物の塩とからなり、とりわけ好ましくは、フェルラ酸と、アルコールと、水と、水酸基およびカルボキシル基含有化合物の塩とからなる。
また、フェルラ酸溶液は、アルコールおよび水の以外の他の溶媒(例えば、極性溶媒)を実質的に含まない。フェルラ酸溶液が、他の溶媒(極性溶媒)を実質的に含まなければ、このフェルラ酸溶液を、化粧品原料に用いる場合において、安全性が向上する。なお、フェルラ酸溶液が、他の溶媒(極性溶媒)を実質的に含まないとは、他の溶媒(極性溶媒)の配合割合が、フェルラ酸溶液に対して、例えば、1質量%以下、好ましくは、0.1質量%以下、より好ましくは、0.01質量%以下、さらに好ましくは、0質量%であることを意味する。
[フェルラ酸溶液の製造方法]
フェルラ酸溶液の製造方法は、フェルラ酸とアルコールと水とを混合し、混合液を準備する第1工程と、混合液に、カルボキシル基含有化合物の塩またはポリビニルピロリドンを配合する第2工程とを備える。
(第1工程)
第1工程では、混合液を準備する。具体的には、フェルラ酸とアルコールと水とを混合し、加熱する。
加熱温度は、60℃以上、好ましくは、65℃以上である。
加熱温度が、上記下限以上であれば、フェルラ酸を確実に溶解できる。
また、加熱温度の上限は、アルコールの沸点未満の温度である。例えば、アルコールがエタノールである場合には、加熱温度の上限は、78℃以下、好ましくは、70℃以下である。
また、加熱時間は、フェルラ酸を確実に溶解する観点から、例えば、1分以上、好ましくは、5分以上、また、例えば、120分以下、好ましくは、60分以下、より好ましくは、30分以下、さらに好ましくは、20分以下である。
また、フェルラ酸の配合割合、アルコールの配合割合および水の配合割合は、後述する第2工程において、フェルラ酸溶液に対する各配合割合が、上記の配合割合となれば、特に制限されない。
これにより、混合液を準備する。
(第2工程)
第2工程では、混合液に、カルボキシル基含有化合物の塩またはポリビニルピロリドンを配合し、加熱する。
加熱温度および加熱時間は、上記した第1工程の加熱温度および加熱時間と同様である。
これにより、フェルラ酸溶液が製造される。
[作用効果]
フェルラ酸溶液は、アルコールの水に対する質量比(アルコール/水)が、1以上である。そのため、フェルラ酸を確実に溶解させることができる。とりわけ、フェルラ酸が高濃度であってもフェルラ酸を確実に溶解させることができる。
詳しくは、フェルラ酸は、紫外線吸収性を有することが知られている。そのため、フェルラ酸は、化粧品原料などの各種分野において用いられる。
一方、フェルラ酸を、化粧品原料として用いる場合には、まず、フェルラ酸を溶剤に溶解したフェルラ酸溶液を調製する。
このとき、フェルラ酸溶液の紫外線吸収性を向上させる観点から、高濃度のフェルラ酸溶液を調製することが検討されるが、フェルラ酸は、難溶剤性を有するため、高濃度のフェルラ酸溶液を調製することができない。
一方、高濃度のフェルラ酸溶液を調製するために、例えば、フェルラ酸をエステル化させることが検討される。しかし、フェルラ酸をエステル化させると、紫外線吸収性が低下するという不具合がある。
また、フェルラ酸を、予め、ナトリウム塩とすることで、水溶性を付与することも検討される。しかし、フェルラ酸のナトリウム塩は、アルカリ条件下では、不安定であるという不具合がある。
また、高濃度のフェルラ酸溶液を調製するために、例えば、フェルラ酸を、極性溶剤に溶解させることも検討される。しかし、極性溶剤を含むフェルラ酸溶液は、化粧品原料に用いる場合において、安全性が低下するという不具合がある。
これに対して、アルコールの水に対する質量比(アルコール/水)が、1以上である。そのため、とりわけ、フェルラ酸が高濃度であっても、フェルラ酸を確実に溶解させることができる。
また、フェルラ酸は、変性(例えば、エステル化)されていない。そのため、変性により生じる不具合(例えば、紫外線吸収性の低下、アルカリ条件下での不安定化)を抑制できる。
また、フェルラ酸溶液は、実質的に極性溶剤を含まない。そのため、安全性に優れる。
また、フェルラ酸溶液は、カルボキシル基含有化合物の塩、または、ポリビニルピロリドンを含み、これらの配合割合が3質量%を超過する。そのため、フェルラ酸の析出を抑制できる。その結果、保存性に優れる。
詳しくは、フェルラ酸溶液を常温(25℃)で放置すると、フェルラ酸が、析出する。そのため、保存性が低下するという不具合がある。ましてや、フェルラ酸溶液が高濃度である場合には、上記の析出がより顕著となる。
一方、このフェルラ酸溶液は、カルボキシル基含有化合物の塩、または、ポリビニルピロリドンを含み、これらの配合割合が3質量%を超過する。そのため、フェルラ酸溶液を常温(25℃)で放置しても、フェルラ酸の析出を抑制できる。その結果、保存性に優れる。
[変形例]
上記した説明では、フェルラ酸溶液の製造方法は、フェルラ酸とアルコールと水とを混合し、混合液を準備する第1工程と、混合液に、カルボキシル基含有化合物の塩またはポリビニルピロリドンを配合する第2工程とを備えるが、フェルラ酸と、アルコールと、水と、カルボキシル基含有化合物の塩またはポリビニルピロリドンとを、一括で混合し、これらを加熱(例えば、60℃以上で加熱)することにより、フェルラ酸溶液を製造することもできる。
<フェルラ酸含有粒子>
フェルラ酸含有粒子は、上記フェルラ酸溶液の乾燥物と、無機粒子とを含む。
[無機粒子]
無機粒子としては、例えば、化粧品に一般的に使用されるものが挙げられ、具体的には、タルク、マイカ(天然および合成)、セリサイト、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、および、酸化チタンが挙げられる。無機粒子として、好ましくは、吸油量の観点から、シリカ粒子が挙げられる。
無機粒子の平均粒子径は、例えば、0.02μm以上、また、例えば、50μm以下である。
無機粒子は、単独使用または2種以上併用できる。
[フェルラ酸含有粒子の製造方法]
フェルラ酸含有粒子の製造方法は、上記フェルラ酸溶液と、無機粒子とを混合し、アルコールおよび水を乾燥させることによりフェルラ酸含有粒子を得る。
詳しくは、この方法では、上記フェルラ酸溶液と、無機粒子とを混合する第3工程と、アルコールおよび水を乾燥させることによりフェルラ酸含有粒子を得る第4工程とを備える。
(第3工程)
第3工程では、フェルラ酸溶液と、無機粒子とを混合する。
(第4工程)
第4工程では、アルコールおよび水を乾燥させることによりフェルラ酸含有粒子を得る。
具体的には、真空乾燥機を用いて、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上、また、例えば、60℃以下で、例えば、12時間以上、好ましくは、18時間以上、また、例えば、48時間以下、好ましくは、36時間以下加熱して、アルコールおよび水を乾燥させる。
これにより、上記フェルラ酸溶液の乾燥物と無機粒子とを含むフェルラ酸含有粒子が得られる。詳しくは、フェルラ酸含有粒子において、無機粒子に、上記乾燥物が担持されている。
[作用効果]
フェルラ酸含有粒子は、上記フェルラ酸溶液の乾燥物と、無機粒子とを含む。
つまり、フェルラ酸含有粒子は、保存性に優れるフェルラ酸溶液の乾燥物を含む。そのため、生産性に優れる。とりわけ、上記フェルラ酸溶液が高濃度であれば、紫外線吸収性にも優れる。
また、フェルラ酸含有粒子の製造方法は、上記フェルラ酸溶液と無機粒子とを混合し、アルコールおよび水を乾燥させることによりフェルラ酸含有粒子を得る。
つまり、このフェルラ酸含有粒子の製造方法では、保存性に優れるフェルラ酸溶液を用いる。そのため、生産性に優れるフェルラ酸含有粒子を製造できる。とりわけ、上記フェルラ酸溶液が高濃度であれば、紫外線吸収性にも優れるフェルラ酸含有粒子を製造できる。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤は、上記フェルラ酸含有粒子を含む。そのため、生産性に優れる。とりわけ、高濃度のフェルラ酸溶液を用いて得られるフェルラ酸含有粒子を含む場合には、紫外線吸収性にも優れる。
<化粧品原料>
化粧品原料は、上記フェルラ酸含有粒子を含む。そのため、生産性に優れる。とりわけ、高濃度のフェルラ酸溶液を用いて得られるフェルラ酸含有粒子を含む場合には、紫外線吸収性にも優れる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<成分の詳細>
スクリュー管瓶(20mL):マルエム社製マイティ―バイアル(No.5)
スクリュー管瓶(50mL):マルエム社製マイティ―バイアル(No.7)
ハニルミキサー:HANIL LAB.MIXER LM-110T、韓一電機株式会社製
真空低温乾燥機:VOS451-SD、冷却トラップ装置 UT-1000、ダイアフラム型真空ポンプ EVP-1200、東京理科器械株式会社製
フェルラ酸:フェルラ酸、築野ライスファインケミカルズ株式会社製、製造番号F09348
エタノール:エタノール(99.5)、試薬特級、富士フィルム和光純薬株式会社製
水:蒸留水、富士フィルム和光純薬株式会社製
乳酸ナトリウム塩:乳酸ナトリウム塩(50%)、富士フィルム和光純薬株式会社製
クエン酸ナトリウム:クエン酸三ナトリウム2水和物、富士フィルム和光純薬株式会社製
アスコルビン酸ナトリウム:L(+)-アスコルビン酸ナトリウム、試薬特級、富士フィルム和光純薬株式会社製
アスコルビン酸:L(+)-アスコルビン酸、試薬特級、富士フィルム和光純薬株式会社製
PVP10:ポリビニルピロリドン、数平均分子量10000、商品名「PVP10」、Strem Chemicals Inc製
PVOH:ポリビニルアルコール、重合度約500、富士フィルム和光純薬株式会社製
トコフェロール:(±)-α-トコフェロール、和光1級、富士フィルム和光純薬株式会社製
PEG2000:ポリエチレングリコール2000、和光1級、富士フィルム和光純薬株式会社製
グリセリン:試薬特級、富士フィルム和光純薬株式会社製
OVEIL GR1:シリカ、商品名「OVEIL GR1」、水澤化学工業株式会社製
<フェルラ酸溶液の製造>
実施例1~実施例18、および、比較例1~比較例16
(第1工程)
表1~表3の配合処方に従って、スクリュー管瓶(20mL)に、フェルラ酸、エタノールおよび水を加え、蓋を絞めた後、65℃の温浴下で10分間、振とうしながら加熱した。これにより、フェルラ酸を溶解し、フェルラ酸、エタノールおよび水を含む混合液を準備した。なお、表1~表3には、フェルラ酸溶液に対する各成分の配合割合(有効成分量)を記載している。
(第2工程)
表1~表3の配合処方に従って、混合液に、カルボキシル基含有化合物の塩またはポリビニルピロリドンを配合し、10分間、振とうしながら加熱した。これにより、フェルラ酸溶液を製造した。
<フェルラ酸含有粒子の製造>
(第3工程)
実施例19~実施例21
表4の配合処方に従って、スクリュー管瓶(50mL)に、フェルラ酸、エタノール、水、および、カルボキシル基含有化合物の塩を加え、蓋を絞めた後、65℃にて振とうしながら加熱した。これにより、フェルラ酸溶液を調製した。次いで、ハニルミキサーに、OVEIL GR1 30.0gを加え、さらに、上記フェルラ酸溶液の一部を、滴下し、30秒撹拌した。滴下撹拌作業は、6回繰り返した。
(第4工程)
真空低温乾燥機にて50℃で一晩乾燥した。これにより、アルコールおよび水を乾燥させ、フェルラ酸含有粒子を得た。
比較例17
ハニルミキサーに、OVEIL GR1 30.0g、および、フェルラ酸粉体7.5gを加え、撹拌した後に、真空低温乾燥機にて50℃で一晩乾燥した。これにより、フェルラ酸含有粒子を得た。
<評価>
[フェルラ酸溶液におけるフェルラ酸の析出]
各実施例および各比較例のフェルラ酸溶液について、フェルラ酸の析出を観察した。具体的には、フェルラ酸溶液を、室温(25℃)で、放置し、フェルラ酸の析出を目視で、以下の基準に基づき、評価した。その結果を表1~表3に示す。
(基準)
〇:24時間放置しても、フェルラ酸が析出しなかった。
△:4時間放置したところで、フェルラ酸が析出した。
×:最初から、フェルラ酸が析出した。
溶解せず:フェルラ酸が溶解しなかった。
[紫外線吸収性]
各実施例および各比較例のフェルラ酸含有粒子について、紫外線吸収性を測定した。具体的には、厚さ1mmの仕切り用透明PET板を6.5cm×6.5cmに切り出し、その中心部を直径5cmの円形に切り抜いた。次いで、その円が隠れるように3M社製トランスポアテープサージカルテープ(1527-2)を貼った。次いで、3M社製ホワイトサージカルテープ(1534-2)を重ねてはり粘着面に20±1mgのフェルラ酸含有粒子(粉体)を均一に載せ、Labsphere社製SPFアナライザーUV-2000Sでランダムに9点、SPF値およびUVA値を測定した。その結果を表4に示す。
<考察>
(フェルラ酸溶液)
アルコールの水に対する質量比(アルコール/水)が、1以上である実施例1~実施例18は、フェルラ酸を確実に溶解させることができるとわかる。一方、上記質量比が、1未満である比較例6、比較例11および比較例14は、フェルラ酸を溶解させることができないとわかる。
また、カルボキシル基含有化合物の塩またはポリビニルピロリドンを含む実施例1~実施例18は、フェルラ酸の析出を抑制できるとわかる。その結果、保存性に優れるとわかる。一方、カルボキシル基含有化合物の塩またはポリビニルピロリドンを含まない比較例1~比較例6は、フェルラ酸の析出を抑制できないとわかる。その結果、保存性が低下するとわかる。
また、カルボキシル基含有化合物の塩の配合割合、または、ポリビニルピロリドンの配合割合が、3質量%を超過する実施例1~実施例18は、フェルラ酸の析出を抑制できるとわかる。その結果、保存性に優れるとわかる。一方、カルボキシル基含有化合物の塩の配合割合、または、ポリビニルピロリドンの配合割合が、3質量%以下である比較例7~比較例10、比較例12および比較例13は、フェルラ酸の析出を抑制できないとわかる。その結果、保存性が低下するとわかる。
(フェルラ酸含有粒子)
フェルラ酸溶液を用いて得られる実施例19~実施例21は、フェルラ酸溶液を用いない比較例17に比べて、紫外線吸収性に優れるとわかる。また、フェルラ酸溶液を用いて得られる実施例19~実施例21は、保存性に優れるフェルラ酸溶液を用いて得られるため、生産性に優れることがわかる。
Figure 2023096889000001
Figure 2023096889000002
Figure 2023096889000003
Figure 2023096889000004

Claims (9)

  1. フェルラ酸と、
    炭素数2以上3以下のアルコールと、
    水と、
    カルボキシル基含有化合物の塩、または、ポリビニルピロリドンとを含み、
    前記ポリビニルピロリドンの数平均分子量が、1000以上20000以下であり、
    前記カルボキシル基含有化合物の塩の配合割合、または、前記ポリビニルピロリドンの配合割合が、3質量%を超過し、
    前記アルコールの前記水に対する質量比(アルコール/水)が、1以上である、フェルラ酸溶液。
  2. 前記カルボキシル基含有化合物が、さらに、水酸基を有する、請求項1に記載のフェルラ酸溶液。
  3. 前記フェルラ酸の配合割合が、10質量%以上である、請求項1または2に記載のフェルラ酸溶液。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のフェルラ酸溶液と、無機粒子とを混合し、前記アルコールおよび水を乾燥させることによりフェルラ酸含有粒子を得る、フェルラ酸含有粒子の製造方法。
  5. 前記無機粒子が、シリカ粒子である、請求項4に記載のフェルラ酸含有粒子の製造方法。
  6. 請求項1~3のいずれか一項に記載のフェルラ酸溶液の乾燥物と、無機粒子とを含む、フェルラ酸含有粒子。
  7. 前記無機粒子が、シリカ粒子である、請求項6に記載のフェルラ酸含有粒子。
  8. 請求項6または7に記載のフェルラ酸含有粒子を含む、紫外線吸収剤。
  9. 請求項6または7に記載のフェルラ酸含有粒子を含む、化粧品原料。
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