JP2023094805A - 内燃機関 - Google Patents

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Masato Sawashita
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Abstract

【課題】アンモニアを含有する燃料を用いる内燃機関にあって、未燃のアンモニア成分が外部に排出されることを抑制し、また内燃機関が出力するエンジントルクを安定せる。【解決手段】アンモニアを含有する燃料と、それ以外の補助燃料とを併用する内燃機関であり、気筒1から排出されるガスに含まれる未燃のアンモニア成分の量をセンシングし、その量が多くなるほど、気筒1に供給される燃料に補助燃料を添加する量を増加させるように補正する内燃機関を構成した。【選択図】図1

Description

本発明は、アンモニアを含有する燃料と、それ以外の補助燃料とを併用する内燃機関に関する。
温室効果を有する炭酸ガスの排出量の削減が、世界的な課題として認識されている。近時、種々の動力源として利用される内燃機関の燃料に、炭素を含む化石燃料に代えて、炭素を含まないアンモニアを用いることが試みられている(一例として、下記特許文献を参照)。
特開2014-211155号公報
アンモニアは比較的燃えにくく、気筒内で未燃分が多く残る傾向にある。これは、内燃機関の出力及び効率の低下に繋がり、未燃のアンモニア成分が外部に排出される懸念をも招く。
アンモニアの燃焼を改善するには、気筒に供給される燃料に、例えば水素のような燃えやすい燃料を補助的に添加する。さすれば、アンモニアを十分に燃焼させて未燃分を減らすことができる。
だが、補助燃料を添加しすぎると、気筒内でノッキングに代表される異常燃焼を惹起するおそれがある。それ故、補助燃料の添加量を適正に制御する必要がある。
本発明は、アンモニアを含有する燃料を用いる内燃機関にあって、未燃のアンモニア成分が外部に排出されることを抑制し、また内燃機関が出力するエンジントルクを安定させることを所期の目的としている。
本発明では、アンモニアを含有する燃料と、それ以外の補助燃料とを併用する内燃機関であり、気筒から排出されるガスに含まれる未燃のアンモニア成分の量をセンシングし、その量が多くなるほど、気筒に供給される燃料に補助燃料を添加する量を増加させるように補正する内燃機関を構成した。
特に、補助燃料の添加量が多くなるほど、気筒に供給されるアンモニア含有燃料の量を減少させるように補正することが好ましい。
本発明によれば、アンモニアを含有する燃料を用いる内燃機関にあって、未燃のアンモニア成分が外部に排出されることを抑制できる。また、内燃機関が出力するエンジントルクを安定させることができる。
本発明の一実施形態の原動機及び燃料供給装置の構成を示す図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における内燃機関の構成を示す。本実施形態の内燃機関は、車両に動力源として搭載される4ストローク火花点火レシプロエンジンであり、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)を有している。
本内燃機関は、燃料として、アンモニアを含有する主たる燃料(極めて高純度のアンモニアであることがある)と、水素を含有する補助的な燃料(極めて高純度の水素であることがある)を併用する。主燃料は、燃料タンク131に蓄えられる。主燃料は、燃料タンク131への充填時に圧縮されて超高圧状態となっている。燃料タンク131から吐出される主燃料は、燃料配管141を通じてインジェクタ111まで送出される。燃料配管141におけるインジェクタ111の上流の箇所には、インジェクタ111に供給される燃料の圧力を所定の大きさに調圧する機能を有する圧力レギュレータ(図示せず)を設置することがある。
補助燃料は、燃料タンク132に蓄えられる。補助燃料もまた、燃料タンク132への充填時に圧縮されて超高圧状態となっている。燃料タンク132から吐出される補助燃料は、燃料配管142を通じてインジェクタ112まで送出される。燃料配管142におけるインジェクタ112の上流の箇所には、インジェクタ112に供給される燃料の圧力を所定の大きさに調圧する機能を有する圧力レギュレータ(図示せず)を設置することがある。圧力レギュレータの代わりに、または圧力レギュレータとともに、燃料配管142上に制御バルブ15を設置することも考えられる。制御バルブ15は、燃料配管142を開閉する、または燃料配管142を流れる燃料の流量を増減調整できる流量制御弁である。制御バルブ15は、安全弁としての役割を担う。
なお、タンク131に蓄えたアンモニアを含む主燃料を改質して水素を得る装置を別途設け、その水素をインジェクタ112に供給する態様をとることを妨げない。
内燃機関の各気筒1には、主燃料を噴射するためのインジェクタ111と、補助燃料を噴射するためのインジェクタ112とを、それぞれ設けている。インジェクタ111は、いわゆるポート噴射式のものである。インジェクタ111を開弁すると、燃料配管141を介して供給される主燃料が、気筒1に連なる吸気通路3内、吸気ポートに向けて噴射される。
他方、インジェクタ112は、いわゆる筒内直接噴射式のものである、インジェクタ112を開弁すると、燃料配管142を介して供給される補助燃料が、気筒1の燃焼室内に噴射される。
各気筒1の燃焼室の天井部には、燃料に着火して燃焼させるための点火プラグ12を取り付けている。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を起こすものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、吸気絞り弁である電子制御スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化装置41を配置している。排気浄化装置41は、排気通路4に流出した未燃のアンモニアの酸化を促す触媒や、炭化水素、一酸化炭素及び窒素酸化物の酸化/還元反応を促す三元触媒、尿素水等の還元剤を用いて窒素酸化物を還元する選択触媒還元脱硝(Selective Catalytic Reduction)装置等を含む。加えて、排気タービン52を迂回する排気バイパス通路43及びこのバイパス通路43の入口を開閉するバイパス弁であるウェイストゲートバルブ44を付設してある。
排気ターボ過給機5は、排気タービン52とコンプレッサのインペラ51とをシャフト53を介して同軸で連結し連動するように構成したものである。タービン52及びインペラ51は、排気通路4を流れる排気のエネルギを利用して回転駆動される。その回転力を以てコンプレッサにポンプ作用を営ませることにより、吸気通路3を流れる吸入空気を加圧圧縮(過給)して気筒1に送り込むことができる。
本実施形態の内燃機関の運転を制御する電子制御装置(Electronic Control Unit)0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。ECU0は、複数基のECUまたはコントローラが、CAN(Controller Area Network)等の電気通信回線を介して相互に通信可能に接続されてなるものであることがある。
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、内燃機関の出力軸であるクランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、車両の運転者によるアクセルペダルの踏込量をアクセル開度(いわば、内燃機関に対して要求されるエンジン負荷率またはエンジントルク)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、気筒1に連なる吸気通路3(特に、サージタンク33または吸気マニホルド34)内の吸気の温度及び圧力を検出する吸気温・吸気圧センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、内燃機関の冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号e、インジェクタ111に連なる燃料配管141内の主燃料の温度及び圧力を検出する燃料温・燃料圧センサから出力される燃料温・燃料圧信号f、インジェクタ112に連なる燃料配管142(特に、制御バルブ15の下流、インジェクタ112の直上流)内の補助燃料の温度及び圧力を検出する燃料温・燃料圧センサから出力される燃料温・燃料圧信号g、排気通路4における排気浄化装置41を流れるガスの性状を検出するセンサ45から出力されるガス性状信号h等が入力される。センサ45は、ガスに含まれる酸素濃度を計測するO2センサまたはリニアA/Fセンサ、ガスに含まれるアンモニア濃度を計測するアンモニアセンサ、ガスに含まれる水素濃度を計測する水素センサ等を含む。
ECU0の出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタに対して点火信号i、インジェクタ111に対して燃料噴射信号j1、インジェクタ112に対して燃料噴射信号j2、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、制御バルブ15に対して開度操作信号l等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納しているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、それらに基づき、要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング(気筒1の一サイクル(4ストロークエンジンでは、吸気行程-圧縮工程-膨脹行程-排気行程の一連を一サイクルとする)中における燃料噴射回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング(気筒1の一サイクル中における火花点火回数を含む)、発電機64による発電電力(または、出力電圧若しくは出力電流)等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j1、j2、k、lを出力インタフェースを介して印加する。
既に述べた通り、本実施形態の内燃機関は、これを運転するための燃料として、アンモニアを含む主燃料と、水素を含む補助燃料とを併用する。これは、アンモニアが比較的燃えにくく、非常に燃えやすい水素を添加することにより、主燃料の燃焼を促進する意図である。主燃料は、インジェクタ111から各気筒1に連なる吸気通路3内、吸気ポートを指向して噴射し、吸気と混合した上で気筒1内に吸引させる。補助燃料は、インジェクタ112から各気筒1の燃焼室内に噴射する。水素を含む補助燃料を吸気通路3内に噴射すると、気筒1の吸気バルブ近傍の高熱を受熱して自着火するおそれがあるので、補助燃料は気筒1の燃焼室内に直接噴射する。
ECU0は、現在の内燃機関の運転領域[エンジン回転数,アクセル開度(または、吸気圧若しくは気筒1に吸入される空気量)]等に応じて、インジェクタ111、112から噴射するべき燃料の量を演算する。即ち、要求されるエンジントルクを内燃機関が出力するために必要十分な熱量(エネルギ量)を気筒1内で発生させることができるよう、主燃料及び補助燃料の噴射量、換言すればそれらを噴射可能なインジェクタ111、112の開弁時間を算定する。
ECU0のメモリには予め、現在の内燃機関の運転領域等と、主燃料及び補助燃料の噴射量の基本量との関係を規定したマップデータが格納されている。ECU0は、現在の運転領域[エンジン回転数,アクセル開度]等をキーとして当該マップを検索し、主燃料及び補助燃料の各々の噴射量の基本量を知得する。
さらに、ECU0は、気筒1から排出され排気通路4を流れるガスの性状に応じて、実際にインジェクタ111、112から噴射する主燃料及び補助燃料の各々の量を、上記の基本量から補正する。気筒1の燃焼室内でアンモニアを含む主燃料が十分に燃焼しないと、未燃のアンモニア分が排気通路4に排出されることがある。ECU0は、排気通路4を流れるガスの性状をセンサ45を介してセンシングし、そのガスに含まれる未燃のアンモニア成分が多いほど、インジェクタ111から噴射する主燃料の量または割合を減少させ、かつインジェクタ112から噴射する補助燃料の量または割合を増加させる。逆に、排気通路4を流れる未燃のアンモニア成分が少ないほど、インジェクタ111から噴射する主燃料の量または割合を増加させ、かつインジェクタ112から噴射する補助燃料の量または割合を減少させる。何れにせよ、主燃料及び補助燃料の合算により、要求されるエンジントルクを出力するために必要十分な熱量を達成できるように、主燃料及び補助燃料の噴射量を調整する。
主燃料及び補助燃料の噴射量を、現在の内燃機関の冷却水温等に応じて補正してもよい。例えば、冷却水温が低いほど、気筒1内の温度が低く、主燃料が燃焼しにくくなると想像されることから、インジェクタ111から噴射する主燃料の量または割合を減少させ、かつインジェクタ112から噴射する補助燃料の量または割合を増加させる。
因みに、内燃機関の冷間始動のためのクランキング中や冷間始動直後の時期には、必要な燃料の殆どまたは全部を補助燃料により賄うようにしてもよい。即ち、インジェクタ111から主燃料を殆どまたは全く噴射せず、インジェクタ112から補助燃料を平時に比して多量に噴射する。
本実施形態によれば、アンモニアを含有する燃料を用いる内燃機関にあって、未燃のアンモニア成分が外部に排出されることを抑制できる。また、内燃機関が要求されたエンジントルクを安定的に出力することができる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、主燃料よりも可燃性の高い補助燃料として水素を用いていたが、水素以外の化石燃料(ガソリン、軽油、天然ガス)やアルコール等を含む燃料を補助的な燃料として用いても構わない。
その他、各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
0…制御装置(ECU)
1…気筒
111、112…インジェクタ
131…主燃料のタンク
132…補助燃料のタンク
3…吸気通路
4…排気通路
45…センサ

Claims (2)

  1. アンモニアを含有する燃料と、それ以外の補助燃料とを併用する内燃機関であり、
    気筒から排出されるガスに含まれる未燃のアンモニア成分の量をセンシングし、その量が多くなるほど、気筒に供給される燃料に補助燃料を添加する量を増加させるように補正する内燃機関。
  2. 補助燃料の添加量が多くなるほど、気筒に供給されるアンモニア含有燃料の量を減少させるように補正する請求項1記載の内燃機関。
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