JP2023094474A - 固体酸化物形燃料電池の発電ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】発電ユニットの発電セルの温度分布を均一にする。【解決手段】固体酸化物形燃料電池の発電ユニット1は、固体酸化物形の固体電解質層2Aと、固体電解質層2Aの一方の面に配置されたアノード電極層2Cと、固体電解質層2Aの他方の面に配置されたカソード電極層2Bと、カソード電極層2B側に配置され、カソード電極層2Bに供給されるカソードガスの流路を形成するカソードガス流路部材4と、アノード電極層2C側に配置され、アノード電極層2Cに供給されるアノードガスの流路を形成するアノードガス流路部材5と、を備える。カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5の少なくとも一方の流路部材は、カソードガスの流れ方向において、熱容量が異なるように形成されている。【選択図】図2
Description
本発明は、固体酸化物形燃料電池の発電ユニットに関する。
特許文献1には、固体電解質板をアノード電極及びカソード電極で挟んで構成された単位セル(発電セル)を積層した固体酸化物形の燃料電池が開示されている。
特許文献1に記載された燃料電池では、セパレータによって形成されたアノードガス流路及びカソードガス流路を通って、アノードガス及びカソードガスが固体電解質板に導かれる。
特許文献1に記載された発電セルにおいては、発電面におけるガス流れ方向の上流側で発生した熱は、流れているガスに吸熱され下流側に運ばれたり、ガスの流路を構成するセパレータなどに吸熱される。このため、発電面におけるガス流れ方向の上流側は、下流側に比べ、温度が低くなるなど、発電面の温度分布が不均一になることがある。固体酸化物形燃料電池は、動作温度が高いため、このような温度分布の不均一は、発電効率の低下を招くおそれがある。このため、発電面の温度分布を均一にすることが求められている。
本発明の目的は、発電ユニットの発電セルの温度分布を均一にすることを目的とする。
本発明のある態様によれば、固体酸化物形燃料電池の発電ユニットは、固体酸化物形の電解質層と、電解質層の一方の面に配置されたカソード電極層と、電解質層の他方の面に配置されたアノード電極層と、カソード電極層側に配置され、カソード電極層に供給されるカソードガスの流路を形成するカソードガス流路部材と、アノード電極層側に配置され、アノード電極層に供給されるアノードガスの流路を形成するアノードガス流路部材と、を備える。カソードガス流路部材及びアノードガス流路部材の少なくとも一方の流路部材は、カソードガスの流れ方向において、熱容量が異なるように形成されている。
上記態様によれば、固体酸化物形燃料電池の発電ユニットにおいて、発電ユニットの温度分布を均一にすることができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態にかかる固体酸化物形燃料電池の発電モジュールを構成する発電ユニット1の分解構造図である。図2は、2つの発電ユニット1が積層された状態における断面図である。なお、以下では、発電ユニット1の厚みに沿う方向(図1のz軸方向)を厚み方向、発電ユニット1の長手方向(図1のy軸方向)を長手方向、厚み方向及び長手方向に直交する方向(図1のx軸方向)を幅方向という。
図1は、本実施形態にかかる固体酸化物形燃料電池の発電モジュールを構成する発電ユニット1の分解構造図である。図2は、2つの発電ユニット1が積層された状態における断面図である。なお、以下では、発電ユニット1の厚みに沿う方向(図1のz軸方向)を厚み方向、発電ユニット1の長手方向(図1のy軸方向)を長手方向、厚み方向及び長手方向に直交する方向(図1のx軸方向)を幅方向という。
本実施形態に係る発電モジュールは、例えば、車両などに搭載される固体酸化物形燃料電池の燃料電池スタックを構成する。発電モジュールは、発電ユニット1を単位ユニットとし、この単位ユニットを厚み方向に積層して構成される。
図1及び図2に示すように、発電ユニット1は、発電セル2と、発電セル2の一方の面に接合されるセパレータ3と、を備える。
図2に示すように、発電セル2は、固体電解質層2Aと、固体電解質層2Aの厚み方向における一方の面に配置されるカソード電極層2Bと、固体電解質層2Aの厚み方向における他方の面に配置されるアノード電極層2Cと、カソード電極層2Bを支持する金属支持層2Eと、アノード電極層2Cを支持する金属支持層2Fと、を有する。固体電解質層2A、カソード電極層2B、アノード電極層2C、金属支持層2E、及び金属支持層2Fは、外周をフレーム2Dによって支持される(図1参照)。
固体電解質層2Aは、固体酸化物形の電解質であり、例えば、酸素イオン伝導性を備えた酸化物により形成された薄膜体である。固体電解質層2Aを構成する酸化物としては、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジウム安定化ジルコニア(SSZ)、サマリウムドープトセリア(SDC)、ガドリウムドープトセリア(GDC)、ランタンストロンチウムマグネシウムガレート(LSGM)等を用いることができる。
カソード電極層2Bは、例えば、ランタンストロンチウムコバルト複合酸化物(LSC)、ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物(LSCF)等により形成された板状部材であり、固体電解質層2Aの上面に接するように設けられる。カソード電極層2Bでは、カソードガス(空気)中の酸素を還元する還元反応が生じる。なお、カソード電極層2Bの固体電解質層2Aと接する側とは反対側の面上に、集電機能を有する集電体を圧着してもよい。
アノード電極層2Cは、例えば、ニッケル(Ni)等の金属及びイットリア安定化ジルコニア(YSZ)等の酸化物により形成された板状部材であり、固体電解質層2Aの下面に接するように設けられる。アノード電極層2Cでは、固体電解質層2Aを伝導してきた酸化物イオンにより水素等を含むアノードガスを酸化する酸化反応が生じる。なお、アノード電極層2Cの固体電解質層2Aと接する側とは反対側の面上に、集電機能を有する集電体を圧着してもよい。
金属支持層2E及び金属支持層2Fは、それぞれ金属多孔質体で形成される。これにより、カソードガス及びアノードガスは、金属支持層2E及び金属支持層2Fを容易に通過することができる。
セパレータ3は、金属などの材質によって形成される板状の部材である。セパレータ3は、隣り合う発電セル2におけるカソードガスとアノードガスの流路を区画する。本実施形態のセパレータ3は、インターコネクタとしての機能も有する。
発電ユニット1は、金属支持層2Eとセパレータ3との間に設けられ、カソードガスが流れる流路を形成するカソードガス流路部材4と、金属支持層2Fとセパレータ3との間に設けられ、アノードガスが流れる流路を形成するアノードガス流路部材5と、をさらに備える。
カソードガス流路部材4は、例えば、金属などの材料によって形成される。カソードガス流路部材4は、幅方向に直線的に延びる凹凸が長手方向に繰り返し設けられる、いわゆる波型形状に形成される。カソードガスは、カソードガス流路部材4に設けられた凹凸に沿って流れる。カソードガス流路部材4は、発電セル2と、フレーム2D上に載置されたシール部材6(図1参照)と、セパレータ3と、によって形成された空間内に設けられる。カソードガス流路部材4は、金属支持層2E、または、セパレータ3に溶接されることによって固定される。
アノードガス流路部材5は、例えば、金属などの材料によって形成される。アノードガス流路部材5は、幅方向に直線的に延びる凹凸が長手方向に繰り返し設けられる、いわゆる波型形状に形成される。アノードガスは、アノードガス流路部材5に設けられた凹凸に沿って流れる。アノードガス流路部材5は、発電セル2と、発電セル2のフレーム2Dとセパレータ3との間に設けられ、シール部材としても機能するスペーサ7(図1参照)と、セパレータ3と、によって形成された空間内に設けられる。アノードガス流路部材5は、金属支持層2Fと、セパレータ3と、に溶接されることによって固定される。
発電セル2は、カソードガス及びアノードガスが、ともに長手方向における一端側から他端側に向かって、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5に設けられた凹凸に沿って流れる、いわゆるコフロータイプの発電セルである。
ここで、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5のより具体的な形状について説明する。まず、図4及び図5を参照して、比較例について説明する。図4は、比較例の発電セルの発電時における温度分布を上面図として示した図である。図5は、比較例の発電セルの長手方向及び幅方向の位置と、温度上昇との関係を三次元的に示したグラフである。なお、ここでいう比較例の発電セルとは、コフロータイプの発電セルであり、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5に、後述する切り抜き部や空間Vなどを設けていない構成のものをいう。また、図4及び図5における白い矢印は、カソードガスの流れを示し、黒い矢印は、アノードガスの流れを示している。なお、図4及び図5では、アノードガスは、この発電セルの裏側を流れているものとする。
図4及び図5に示すように、比較例における発電セルの温度は、カソードガス及びアノードガスの流れ方向の下流側(以下では、ガスの流れ方向の下流側を、単に「下流側」という。)に行くほど、高くなる。発電セルが発電することによって発生した熱は、カソードガス、アノードガス、カソードガス流路部材4、及びアノードガス流路部材5によって吸熱される。発電セルの熱を吸熱した、つまり、加熱されたカソードガス及びアノードガスは、下流側においても発電セルの熱を吸熱するが、吸熱量は、上流側に比べて小さくなる。このため、発電セルの上流側の部位は、下流側の部位に比べて温度が低くなる。
発電セル2では、全体の温度が均一である方が、発電効率が向上する。また、全体の温度が均一である方が、温度制御も容易になる。そこで、本実施形態では、発電セル2の全体の温度を均一にするために、発電セル2の上流側における吸熱量を減らすように構成する。具体的には、ガスの流れ方向において、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5の少なくとも一方を、上流側と下流側の熱容量が異なるような形状に構成する。以下に、図1及び図3を参照して、具体的に説明する。なお、以下の実施形態では、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5は、同じ形状である場合を例に説明するが、これらの形状は異なるものとしてもよい。また、以下では、カソードガス流路部材4について説明し、アノードガス流路部材5については、適宜説明を省略する。
図3は、カソードガス流路部材4を上面から見た図である。図1及び図3に示すように、カソードガス流路部材4は、ガスの流れ方向における上流側に、カソードガス流路部材4の一部が切り抜かれて形成された切り抜き部としての長孔41を複数(図1及び図3に示す実施例では2つ)有する。図1及び図3に示す実施例では、長孔41は、カソードガス流路部材4の長手方向に延び、カソードガス流路部材4を貫通するように形成される。このような切り抜き部(長孔41)をガスの流れ方向における上流側に設けることによって、カソードガス流路部材4の上流側の部位によって吸熱される熱量を低下させることができる。
アノードガス流路部材5も、ガスの流れ方向における上流側に、アノードガス流路部材5の一部が切り抜かれて形成された切り抜き部としての長孔51を有する(図1参照)。長孔51は、アノードガス流路部材5の長手方向に延び、アノードガス流路部材5を貫通するように形成される。このような切り抜き部(長孔51)を設けることによって、アノードガス流路部材5の上流側の部位によって吸熱される熱量を低下させることができる。
このように、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5に長孔41,51を設けることにより、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5による吸熱量を低下させることで、発電セル2の上流側部分の温度を上昇させることができる。これにより、発電セル2の温度分布を均一化させることができる。さらに、長孔41,51を形成した分、発電セル2を軽量化することができる。
なお、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5のいずれか一方にのみ長孔41,51を設けるようにしてもよい。図1及び図3に示す実施例では、長孔41を2つ設けた場合を示したが、これに限らず、長孔41は、1つ、あるいは、3つ以上であってもよい。また、長孔41,51は、それぞれ長手方向に複数個に分割して形成するようにしてもよい。さらに、上流側及び下流側に設けられた長孔41,51の幅方向(ガス流れ方向)や長手方向の長さを異ならせるようにしてもよい。
以上のように構成された第1実施形態に係る発電ユニット1によれば、以下の効果を奏する。
発電ユニット1では、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5に切り抜き部(長孔41,51)を設けることにより、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5による吸熱量を低下させることができる。これにより、発電セル2の上流側部分の温度を上昇させることができるので、発電セル2の温度分布を均一化させることができる。
[第2実施形態]
次に、図6及び図7を参照して、第2実施形態に係る発電ユニット11について説明する。図6は、第2実施形態に係る発電ユニット11の分解構造図である。図7は、第2実施形態に係るカソードガス流路部材4を上面から見た図である。以下では、上記第1実施形態の発電ユニット1と異なる点を中心に説明し、第1実施形態の発電ユニット1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
次に、図6及び図7を参照して、第2実施形態に係る発電ユニット11について説明する。図6は、第2実施形態に係る発電ユニット11の分解構造図である。図7は、第2実施形態に係るカソードガス流路部材4を上面から見た図である。以下では、上記第1実施形態の発電ユニット1と異なる点を中心に説明し、第1実施形態の発電ユニット1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態に係る発電ユニット1では、長孔41,51が、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5の長手方向に延びるように形成されているのに対し、第2実施形態に係る発電ユニット11では、切り抜き部としての長孔141,151が、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5の幅方向に延びるように形成されている点で相違する。以下に、発電ユニット11の具体的な構成について説明する。なお、以下の実施形態では、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5は、同じ形状である場合を例に説明するが、これらの形状は異なるものとしてもよい。また、以下では、カソードガス流路部材4について説明し、アノードガス流路部材5については、説明を省略する。
図6及び図7に示すように、発電ユニット11では、長孔141は、ガスの流れ方向の上流から下流に沿って直線的に延び、カソードガス流路部材4を貫通するように形成される。図6及び図7に示す実施例では、吸熱量の大きい箇所に長孔141を多く設けている。具体的には、吸熱量の大きい箇所には、長孔141をガスの流れ方向に並んで複数設けている。長孔141は、カソードガスの入口から出口に向かうガスの流れやよどみなどを勘案して、熱容量を低下させたい位置に設けられる。なお、カソードガス流路部材4の金属支持層2Eと溶接される部位、すなわち、カソードガス流路部材4の金属支持層2Eと接触する部位においては、ガス流れ方向の上流端近傍から下流端近傍に至る長孔141を設けている。これは、長孔141を通じて発電セル2にガスを導き、発電を促進するためである。
以上のように構成された第2実施形態に係る発電ユニット11によれば、第1実施形態に係る発電ユニット1による効果に加え、以下の効果を奏する。
発電ユニット11では、長孔141,151をガスの流れ方向に並んで複数設けている。長孔141,151を設ける位置を適宜設定することにより、所望の位置の熱容量を低下させることができる。これにより、より確実に発電セル2の温度分布を均一化させることができる。
なお、図6及び図7では、吸熱量の大きい箇所には、長孔141,151をガスの流れ方向に並んで複数設けた場合を例に説明したが、これに限らず、長孔141,151のガスの流れ方向の長さを調整するようにしてもよい。
[第3実施形態]
図8及び図9を参照して、第3実施形態に係る発電ユニット101について説明する。図8は、第3実施形態に係る発電ユニット101の分解構造図である。図9は、第3実施形態に係るカソードガス流路部材14を上面から見た図である。以下では、上記第1実施形態の発電ユニット1と異なる点を中心に説明し、第1実施形態の発電ユニット1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
図8及び図9を参照して、第3実施形態に係る発電ユニット101について説明する。図8は、第3実施形態に係る発電ユニット101の分解構造図である。図9は、第3実施形態に係るカソードガス流路部材14を上面から見た図である。以下では、上記第1実施形態の発電ユニット1と異なる点を中心に説明し、第1実施形態の発電ユニット1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態に係る発電ユニット1では、カソードガス流路部材4及びアノードガス流路部材5をそれぞれ1つの板状の部材で構成しているのに対し、第3実施形態に係る発電ユニット101では、カソードガス流路部材14及びアノードガス流路部材15を複数の板状の部材で構成している点で相違している。
図8及び図9に示すように、カソードガス流路部材14及びアノードガス流路部材15は、ガスの流れ方向に複数(図8及び図9では4つ)に分割された流路部材14a及び流路部材15aによって形成される。
発電ユニット101では、隣り合う流路部材14aの間、及び隣り合う流路部材15aの間には、隙間Sが設けられる。そして、この隙間Sのガスの流れ方向における大きさは、上流側が下流側より大きくなるようになっている。
隙間Sは、流路部材14a,15aが存在していない分、熱容量が低下する。このため、上流側の隙間Sの大きさを下流側の隙間Sの大きさより大きくすることで、ガスの流れ方向における上流側の熱容量を小さくすることができる。
以上のように構成された第3実施形態に係る発電ユニット101によれば、第1実施形態に係る発電ユニット1による効果に加え、以下の効果を奏する。
発電ユニット101では、カソードガス流路部材14及びアノードガス流路部材15に長孔などを別途加工する必要がないので、加工工数の増加を抑制できる。
なお、複数の流路部材14a,15aの幅方向の長さは、同じ長さであっても、異なる長さであってもよい。
[第4実施形態]
図10及び図11を参照して、第4実施形態に係る発電ユニット201について説明する。図10は、第4実施形態に係る発電ユニット201の分解構造図である。図11は、第4実施形態に係るカソードガス流路部材24を上面から見た図である。以下では、上記第3実施形態の発電ユニット101と異なる点を中心に説明し、第3実施形態の発電ユニット101と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
図10及び図11を参照して、第4実施形態に係る発電ユニット201について説明する。図10は、第4実施形態に係る発電ユニット201の分解構造図である。図11は、第4実施形態に係るカソードガス流路部材24を上面から見た図である。以下では、上記第3実施形態の発電ユニット101と異なる点を中心に説明し、第3実施形態の発電ユニット101と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
第3実施形態に係る発電ユニット101では、カソードガス流路部材14及びアノードガス流路部材15をガスの流れ方向に分割された複数の部材で構成しているのに対し、第4実施形態に係る発電ユニット201では、カソードガス流路部材24及びアノードガス流路部材25をガスの流れ方向及び長手方向に分割された複数の流路部材24a,25aで構成している点で相違している。
図10及び図11に示すように、カソードガス流路部材24は、略正方形に形成された複数の流路部材24aを組み合わせて配置することで構成される。カソードガス流路部材24では、所定の位置に流路部材24aが配置されていない空間Vが設けられる。
空間Vは、流路部材24aが設けられていない分、熱容量が低下する。このため、上流側の空間Vの数を下流側より多くすることで、ガスの流れ方向における上流側の熱容量を小さくすることができる。
以上のように構成された第4実施形態に係る発電ユニット201によれば、第3実施形態に係る発電ユニット1による効果に加え、以下の効果を奏する。
発電ユニット201では、カソードガス流路部材24及びアノードガス流路部材25をガスの流れ方向及び長手方向に分割された複数の流路部材24a,25aで構成しているので、空間Vを設ける箇所をより細かく設定できる。これにより、カソードガスの入口から出口に向かうガスの流れやよどみなどを勘案して、より適切な位置の熱容量を低下させることができる。これにより、より確実に発電セル2の温度分布を均一化させることができる。
なお、図10及び図11に示す実施例では、複数の流路部材24a,25aを略正方形としたが、例えば、長方形や六角形など形状に限りはない。また、図10及び図11に示す実施例では、空間Vが間隔をあけるようにして設けられているが、図12に示すように、空間Vどうしを繋げて、大きな空間V1となるようにしてもよい。さらに、図13に示すように、空間Vを設ける代わりに、流路部材24a,25aに複数の長孔241,251を設けるようにしてもよい。
[第5実施形態]
図14を参照して、第5実施形態に係る発電ユニット301について説明する。図14は、第5実施形態に係るカソードガス流路部材34を上面から見た図である。以下では、上記第1~第4実施形態の発電ユニット1,11,101,201と異なる点を中心に説明し、第1~第4実施形態の発電ユニット1,11,101,201と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
図14を参照して、第5実施形態に係る発電ユニット301について説明する。図14は、第5実施形態に係るカソードガス流路部材34を上面から見た図である。以下では、上記第1~第4実施形態の発電ユニット1,11,101,201と異なる点を中心に説明し、第1~第4実施形態の発電ユニット1,11,101,201と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
第1から第4実施形態に係る発電ユニット1,11,101,201では、カソードガス流路部材4,14,24及びアノードガス流路部材5,15,25に、熱容量が小さくなる箇所を設けているのに対し、第5実施形態に係る発電ユニット301では、カソードガス流路部材34及びアノードガス流路部材35に、熱容量が大きくなる箇所を設けている点で相違している。なお、カソードガス流路部材34及びアノードガス流路部材35は、同じ形状であるので、アノードガス流路部材35については、説明を省略する。
図14に示すように、カソードガス流路部材34は、略正方形に形成された複数の流路部材34aを組み合わせて配置することで構成される。流路部材34aには、カソードガスの流れ方向における下流側であって、発電セル2の温度が他の個所に比べて高温になる場所に、部材Mが設けられる。部材Mは、例えば、熱容量の大きな金属材料(鉄系の金属など)などによって形成される。
発電セル2の温度が高温になる場所に熱容量の大きな部材Mを設けることによって、発電セル2の温度が高温になる部分の温度を低下させることができる。これにより、発電セル2の温度分布を均一化させることができる。
以上の第1から第5実施形態に係る発電ユニット1,11,101,201,301によれば、発電セル2の温度分布を均一化することができる。
上記第1から第5実施形態では、アノードガスとカソードガスが図中下側から上側に向かって流れる同じ方向に流れるコフロータイプの発電ユニット1を例に説明したが、本発明は、アノードガスとカソードガスが反対方向に流れるカウンターフロータイプの発電ユニットや、アノードガスとカソードガスとが交差する方向に流れるクロスフロータイプの発電ユニットにも適用することができる。以下に、これらのタイプに適用する場合について説明する。まず、図15及び図16を参照して、カウンターフロータイプについて説明する。
図15は、比較例(切り抜き部や隙間Sなどを設けていない発電セル)のカウンターフロータイプの発電セルの発電時における温度分布の一例を示した図である。図16は、比較例のカウンターフロータイプ発電セル長手方向及び幅方向の位置と、温度上昇との関係を三次元的に示したグラフである。なお、図15及び図16における白い矢印は、カソードガスの流れを示し、黒い矢印は、アノードガスの流れを示している。なお、図15及び図16では、アノードガスは、この発電セルの裏側を流れているものとする。
図15及び図16に示すように、カウンターフロータイプの発電セルの温度は、カソードガスの流れ方向の下流端より若干上流側において温度がピークになる。このため、カウンターフロータイプの発電セルにおいては、このような温度がピークになる部分を避け、カソードガスの流れ方向の上流側に、上記切り抜き部(長孔41,141)、隙間S、空間Vなどを設けることで、発電セルの温度分布を均一にすることができる。
カソードガスの流量は、アノードガスの流量に比べ大きい。このため、発電セルの温度は、カソードガスによる影響を大きく受ける。したがって、少なくともカソードガスの流れ方向の上流側に、熱容量を小さくする構成(切り抜き部、隙間S、空間Vなど)を設けることにより、上記コフロータイプの発電セル2と同様の効果を奏することができる。
続いて、図17及び図18を参照して、クロスフロータイプについて説明する。図17は、比較例(切り抜き部や隙間Sなどを設けていない発電セル)のクロスフロータイプの発電セルの発電時における温度分布の一例を示した図である。図18は、比較例のクロスフロータイプ発電セル長手方向及び幅方向の位置と、温度上昇との関係を三次元的に示したグラフである。なお、図17及び図18における白い矢印は、カソードガスの流れを示し、黒い矢印は、アノードガスの流れを示している。なお、図17及び図18では、アノードガスは、この発電セルの裏側を流れているものとする。
図17及び図18に示すように、クロスフロータイプの発電セルでは、カソードガスの流れ方向の下流側であって、アノードガスの流れ方向の下流側の領域において、発電セルの温度が高くなる。逆に、カソードガスの流れ方向の上流側であって、アノードガスの流れ方向の上流側の領域において、発電セル2の温度が低くなる。このため、クロスフロータイプの発電セルにおいては、カソードガスの流れ方向の上流側であって、アノードガスの流れ方向の上流側の領域に、熱容量を小さくする構成(切り抜き部、隙間S、空間Vなど)を設けることで、発電セル2の温度分布を均一にすることができる。
その他の変形例について説明する。アノード電極層2C及び金属支持層2Fに改質触媒が設けられている場合について説明する。燃料電池の運転時(発電時)に、アノードガス流路部材5,15,25,35によって形成されたアノードガス流路からアノード電極層2C側にメタン(CH4)を含む改質燃料(炭化水素系燃料)が供給されると、炭化水素系燃料は、改質触媒に促進されて改質反応を起こし、水素(H2)を含むアノードガスが生成される。このとき、発電セル2の熱は、改質反応によって吸熱される。
改質触媒のガス流れ方向の上流側は、下流側に比べ反応が活発なため、吸熱量が大きくなる。そこで、アノード電極層2C及び金属支持層2Fに改質触媒が設けられている場合には、この改質触媒が設けられている領域において、アノードガス流路部材5,15,25,35におけるアノードガスの流れ方向の上流側の熱容量を下流側に対して小さくする。これにより、アノード電極層2C及び金属支持層2Fに改質触媒が設けられている場合にも、発電セル2の温度分布を均一化することができる。なお、熱容量を小さくする手法は、上記各実施形態のものを採用することができる。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
発電ユニット1,11,101,201,301は、固体電解質層2A(電解質層)と、固体電解質層2A(電解質層)の一方の面に配置されたアノード電極層2Cと、固体電解質層2A(電解質層)の他方の面に配置されたカソード電極層2Bと、カソード電極層2B側に配置され、カソード電極層2Bに供給されるカソードガスの流路を形成するカソードガス流路部材4,14,24,34と、アノード電極層2C側に配置され、アノード電極層2Cに供給されるアノードガスの流路を形成するアノードガス流路部材5,15,25,35と、を備える。カソードガス流路部材4,14,24,34及びアノードガス流路部材5,15,25,35の少なくとも一方の流路部材は、カソードガスの流れ方向において、熱容量が異なるように形成されている。
発電ユニット1,11,101,201,301では、カソードガス流路部材4,14,24,34及びアノードガス流路部材5,15,25,35の少なくとも一方の流路部材におけるカソードガスの流れ方向において、発電セル2の温度が低い部分の熱容量を小さくする、あるいは、発電セル2の温度が高い部分の熱容量を大きくしている。これにより、発電セル2の温度分布を均一化させることができる。
発電ユニット1,11,101,201では、少なくとも一方の流路部材(カソードガス流路部材4,14,24またはアノードガス流路部材5,15,25)は、カソードガスの流れ方向において、上流側の熱容量が小さくなるように形成されている。
発電ユニット1,11,101,201が、コフロータイプやカウンターフロータイプの発電セル2を用いている場合に、このような構成とすることで、発電セル2の温度分布を均一にすることができる。
発電ユニット1では、少なくとも一方の流路部材(カソードガス流路部材4またはアノードガス流路部材5)は、熱容量を小さくする位置に設けられ、カソードガスの流れ方向と直交する方向(長手方向)に延びる長孔41,51(切り抜き部)を有する。
発電ユニット1,201では、少なくとも一方の流路部材(カソードガス流路部材4,24またはアノードガス流路部材5,25)は、熱容量を小さくする位置に設けられ、カソードガスの流れ方向に延びる長孔141,151,241,251(切り抜き部)を有する。
これらの構成では、長孔141,151,241,251を形成した分、発電セル2を軽量化することができる。
発電ユニット101では、少なくとも一方の流路部材(カソードガス流路部材14またはアノードガス流路部材15)は、カソードガスの流れ方向において分割された複数の流路部材14a,15aによって形成される。隣り合う複数の部材は、カソードガスの流れ方向に隙間Sをあけて配置され、隙間Sは、カソードガスの流れ方向の上流側に行くほど大きい。
この構成では、カソードガス流路部材14及びアノードガス流路部材15に長孔などを別途加工する必要がないので、加工工数の増加を抑制できる。
発電ユニット201では、少なくとも一方の流路部材(カソードガス流路部材24またはアノードガス流路部材25)は、カソードガスの流れ方向及びカソードガスの流れ方向に直交する方向(長手方向)において分割された複数の流路部材24a,25aによって形成される。少なくとも一方の流路部材(カソードガス流路部材24またはアノードガス流路部材25)には、流路部材24a,25aが配置されない空間V,V1が設けられ、当該空間V,V1の数がカソードガスの流れ方向の上流側に行くほど多くなる、または空間V,V1の大きさをカソードガスの流れ方向の上流側に行くほど大きくなる。
この構成では、カソードガス流路部材24及びアノードガス流路部材25をガスの流れ方向及び長手方向に分割された複数の流路部材24a,25aで構成しているので、空間V,V1を設ける箇所をより細かく設定できる。これにより、カソードガスの入口から出口に向かうガスの流れやよどみなどを勘案して、より適切な位置の熱容量を低下させることができる。これにより、より確実に発電セル2の温度分布を均一化させることができる。
発電ユニット301では、少なくとも一方の流路部材(カソードガス流路部材4またはアノードガス流路部材5)には、カソードガスの流れ方向における下流側に、熱容量を大きくする部材Mが設けられている。
この構成では、発電セル2の温度が高い部分に熱容量を大きくする部材Mを設けているので、発電セル2の温度が高い部分の温度を下げることで、発電セル2の温度分布を均一化させることができる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
例えば、図12に示す変形例において、カソードガス流路部材24及びアノードガス流路部材25を1枚の板状部材で構成してもよい。この場合には、空間V1は、矩形の板状部材の一部を切り抜くことで構成される。
1,11,101,201,301・・・発電ユニット、2・・・発電セル、2A・・・固体電解質層、2B・・・カソード電極層、2C・・・アノード電極層、2E・・・金属支持層、2F・・・金属支持層、3・・・セパレータ、4,14,24,34・・・カソードガス流路部材、5,15,25,35・・・アノードガス流路部材、14a,24a,34a・・・流路部材、 15a,25a,35a・・・流路部材、41,141,241・・・長孔、51,151・・・長孔
Claims (8)
- 固体酸化物形燃料電池の発電ユニットであって、
固体酸化物形の電解質層と、
前記電解質層の一方の面に配置されたカソード電極層と、
前記電解質層の他方の面に配置されたアノード電極層と、
前記カソード電極層側に配置され、前記カソード電極層に供給されるカソードガスの流路を形成するカソードガス流路部材と、
前記アノード電極層側に配置され、前記アノード電極層に供給されるアノードガスの流路を形成するアノードガス流路部材と、を備え、
前記カソードガス流路部材及び前記アノードガス流路部材の少なくとも一方の流路部材は、前記カソードガスの流れ方向において、熱容量が異なるように形成されている、発電ユニット。 - 請求項1に記載の発電ユニットであって、
前記少なくとも一方の流路部材は、前記カソードガスの流れ方向において、上流側の熱容量が小さくなるように形成されている、発電ユニット。 - 請求項1または2に記載の発電ユニットであって、
前記少なくとも一方の流路部材は、熱容量を小さくする位置に設けられ、前記カソードガスの流れ方向と直交する方向に延びる切り抜き部を有する、発電ユニット。 - 請求項1または2に記載の発電ユニットであって、
前記少なくとも一方の流路部材は、熱容量を小さくする位置に設けられ、前記カソードガスの流れ方向に延びる切り抜き部を有する、発電ユニット。 - 請求項1または2に記載の発電ユニットであって、
前記少なくとも一方の流路部材は、前記カソードガスの流れ方向において分割された複数の部材によって形成され、
隣り合う前記複数の部材は、前記カソードガスの流れ方向に隙間をあけて配置され、
前記隙間は、前記カソードガスの流れ方向の上流側に行くほど大きい、発電ユニット。 - 請求項1または2に記載の発電ユニットであって、
前記少なくとも一方の流路部材は、前記カソードガスの流れ方向及び前記カソードガスの流れ方向に直交する方向において分割された複数の部材によって形成され、
前記少なくとも一方の流路部材には、前記部材が配置されない空間が設けられ、当該空間の数が前記カソードガスの流れ方向の上流側に行くほど多くなる、または当該空間の大きさを前記カソードガスの流れ方向の上流側に行くほど大きくなる、発電ユニット。 - 請求項1に記載の発電ユニットであって、
前記少なくとも一方の流路部材には、前記カソードガスの流れ方向における下流側に、熱容量を大きくする部材が設けられている、発電ユニット。 - 請求項1から7のいずれか1つに記載の発電ユニットであって、
前記アノード電極層にアノードガスを生成するための改質触媒を備え、
前記アノードガス流路部材における前記改質触媒が設けられている領域は、アノードガスの流れ方向の上流側の熱容量が下流側に対して小さくなるように形成されている、発電ユニット。
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