JP2023093885A - ウレアグリース組成物 - Google Patents

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好朝 藤巻
Yoshitomo Fujimaki
啓司 田中
Keiji Tanaka
和俊 長谷川
Kazutoshi Hasegawa
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Abstract

【課題】 増ちょう剤に特定の複数の異なるウレア化合物を組み合わせることによって、低温で固化しづらく、軸受等に封入した場合に低く安定した摩擦トルク特性が発揮可能な優れたウレアグリース組成物を提供する。【解決手段】本発明のある態様は、ウレアグリース組成物である。当該ウレアグリース化合物は、基油と、前記基油中に配合され、ウレア化合物Aおよびウレア化合物Bを含む増ちょう剤と、を含み、前記ウレア化合物Aが下記一般式(1)で表され、R1NHCONHR2NHCONHR3・・・(1)(式中のR1およびR3は互いに独立に炭素数6~10のアルキル基を示し、R2は炭素数6~15の2価の炭化水素基を示す。)前記ウレア化合物Bが下記一般式(2)で表され、R4NHCONHR2NHCONHR5・・・(2)(式中のR4およびR5は互いに独立に炭素数12~20のアルキル基またはアルケニル基を示す。)前記増ちょう剤の全質量を基準として、ウレア化合物Bの含有率が20~60質量%である。【選択図】なし

Description

本発明は、ウレアグリース組成物、より具体的には低温で固化しづらく、軸受等に封入した場合に低く安定した摩擦トルク特性を提供可能なウレアグリースに関するものである。
機械技術の進歩に伴い、グリースの使用環境は年々めざましく変化している中で、自動車を初めとして各種産業用機械に使用される部品においては、低温から高温まで広い範囲での性能の維持と品質安定性への追求が年々加速されている。これまで、高温での対策については、様々な熱安定性に優れた増ちょう剤の提供や、合成油や高機能酸化防止剤などとの組み合わせにより技術が発展してきているが、低温性については、まだまだ課題が多く、低温でグリースの流動性が不足することによるトルクの増大やフレッチング摩耗の増大などの潤滑性不良に至るケースも少なくない。例えば、風力発電の用途においては、冬場や寒冷地或いは極寒地に設置されるケースの場合、軸受け等に封入されるグリースが低温で固化することで潤滑性が失われる結果として、フレッチング摩耗が生じたり、トルク過大による発電効率低下に繋がる等の課題もある。また、自動車用途では、近年特に電動化が加速する中で、駆動を初めとして、あらゆる部品が電動機での作動や制御がされるようになってきており、各部品における摩擦損失を出来るだけ排除し、高効率化の追求が図られている。特に低温においては、常温でのトルクの数倍から十数倍のトルクが増大するため、極力トルクの増大を抑える技術が求められている。この傾向は近年特にEV車での課題が多い。何故ならば、エンジンを作動する際に発生する熱源が、電動駆動では殆どなく、エンジン車においては暖気された中で作動していた軸受等の周辺部品が、低温の状態で即時作動と言ったケースが多々あり、過大な作動トルクや摩擦にかかるエネルギーロスが大きくなってきている。
さらに、エンジン音が無くなった事により、部品の駆動音や作動音が、運転者や同乗者に伝わり易くなり、耳障りな異音として伝達される場合もある。低温での部品の駆動音や作動音は封入グリースが硬くなっている事で、起動時の一時的なスタベーションまたはシール材やブーツ材との擦過音により生ずる音が一因と考えられているため、低温でグリースが出来るだけ変化せず(硬くならない)低トルク(低摩擦)を提供できる技術が求められている。さらに、これら低温で変化の少ないグリースに対する要求は、上述した用途に限らず、屋外で使用される、建設機械や鉄道車両、船舶、または航空機など幅広い分野で使用される部品においても同様に求められており、特に寒冷地や極寒地で使用される箇所にて強い要求があり、これらの課題を解決することは極めて重要である。しかしながら、先行技術文献1ならびに2では、特定の脂肪族アミンや脂環式アミンを組み合わせたことで、耐フレッチングなどの耐摩耗性が向上したことについて開示されているが、低温での優れた摩擦トルク特性について考慮されていない。また、特許文献3では、低温でのトルク性能に効果がある技術が開示されているものの、低温でのトルク性能が十分でなく、改善の余地が残されている。
特許第6040750号公報 特開2016-89040号公報 特開2009-91464号公報
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、その目的は、低温で固化しづらく、軸受等に封入した場合に低く安定した摩擦トルク特性が発揮可能な優れたウレアグリース組成物を提供することである。
前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、複数の異なるウレア化合物を組み合わせることで、低温で固化しづらく、軸受等に封入した場合に低く安定した摩擦トルク特性が発揮可能なウレアグリース組成物を見出し、本発明を完成させた。
本発明のある態様は、ウレアグリース組成物である。当該ウレアグリース組成物は、
基油と、
前記基油中に配合され、ウレア化合物Aおよびウレア化合物Bを含む増ちょう剤と、
を含み、
前記ウレア化合物Aが下記一般式(1)で表され、
NHCONHRNHCONHR・・・(1)
(式中のRおよびRは互いに独立に炭素数6~10のアルキル基を示し、Rは炭素数6~15の2価の炭化水素基を示す。)
前記ウレア化合物Bが下記一般式(2)で表され、
NHCONHRNHCONHR・・・(2)
(式中のRおよびRは互いに独立に炭素数12~20のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
前記増ちょう剤の全質量を基準として、前記ウレア化合物Bの含有率が20~60質量%である。
上述の態様のウレアグリース組成物において、前記ウレア化合物Bは、下記一般式(3)で表されるウレア化合物B1と、
NHCONHRNHCONHR・・・(3)
(式中のRはドデシル基を示す。)
下記一般式(4)で表されるウレア化合物B2と、を含んでもよい。
NHCONHRNHCONHR・・・(4)
(式中のRおよびRは互いに独立に炭素数14~20のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
前記ウレア化合物Bは、下記一般式(5)で表されるウレア化合物B3と、
NHCONHRNHCONHR10・・・(5)
(式中のRおよびR10は互いに独立に炭素数14~20のアルキル基を示す。)
下記一般式(6)で表されるウレア化合物B4と、を含んでもよい。
11NHCONHRNHCONHR12・・・(6)
(式中のR11およびR12は互いに独立に炭素数14~20のアルケニル基を示す。)
前記基油の含有量と前記増ちょう剤の含有量とを合計した総質量に対して、前記増ちょう剤の含有率が3~15質量%であってもよい。
また、前記増ちょう剤の全質量を基準として、ウレア化合物Aの含有率が40~80質量%であってもよい。
本発明によれば、増ちょう剤に特定の複数の異なるウレア化合物を組み合わせることによって、低温で固化しづらく、軸受等に封入した場合に低く安定した摩擦トルク特性が発揮可能な優れたウレアグリース組成物を提供することができる。
実施形態に係るウレアグリース組成物は、増ちょう剤に特定の複数の異なるウレア化合物を組み合わせてなる。以下、本実施形態に係るウレアグリース組成物の、具体的な成分、各成分の配合量、製造方法、物性、用途に関して詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されない。
≪ウレアグリース組成物(成分)≫
[基油]
本実施形態のウレアグリース組成物に用いられる基油は、特に限定されない。例えば、通常のウレアグリース組成物に使用される鉱油、合成油、動植物油、これらの混合油を適宜使用することができる。具体例としては、API(アメリカ石油協会、American Petroleum Institute)の基油カテゴリーでグループ1~5のものを挙げることができる。ここで、APIの基油カテゴリーとは、潤滑油基油の指針を作成するためにアメリカ石油協会によって定義された基油材料の広範な分類である。
APIの基油カテゴリーのうち、グループ1に属する脱ろう溶剤精製により得られたパラフィン系鉱油、グループ5属するナフテン系鉱油、およびグループ3に属するフィッシャートロプシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)を好ましく用いることができ、これらを任意の割合で混合して用いてもよい。
本実施形態において、鉱油の種類は特に規定されるものではないが、好ましい例として、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理などの一種もしくは二種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系又はナフテン系などの鉱油を挙げることができる。
本実施形態において、合成油の種類は特に規定されるものではないが、ポリα-オレフィン(PAO)又は炭化水素系合成油(オリゴマー)を好ましい例として挙げることができる。PAOとは、α-オレフィンの単独重合体又は共重合体である。例えば、α-オレフィンとしては、C-C二重結合が末端にある化合物であり、ブテン、ブタジエン、ヘキセン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセンなどが例示される。炭化水素系合成油(オリゴマー)としては、エチレン、プロピレン、又はイソブテンの単独重合体又は共重合体を例示することができる。これらの化合物は単独でも、また二種類以上の混合物としても用いることができる。また、これらの化合物はC-C二重結合が末端にある限り、とり得る異性体構造のどのような構造を有していてもよく、分枝構造でも直鎖構造でもよい。これらの構造異性体や二重結合の位置異性体の二種類以上を併用することもできる。これらのオレフィンのうち、炭素数5以下では引火点が低く、また炭素数31以上では粘度が高く実用性が低いため、炭素数6~30の直鎖オレフィンの使用がより好ましい。
また、本実施形態においては、天然ガスの液体燃料化技術のフィッシャートロプシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)を基油として用いることができる。GTLは、原油から精製された鉱油基油と比較して、硫黄分や芳香族分が極めて低く、パラフィン構成比率が極めて高いため、酸化安定性に優れ、蒸発損失も非常に小さいため、本実施形態の基油として好適に用いることができる。
基油の配合量としては、ウレアグリース組成物全体を基準(100質量%)として、70~99質量%が好ましく、80~98質量%がより好ましく、85~97質量%がさらに好ましい。
[増ちょう剤]
本実施形態のウレアグリース組成物に用いられる増ちょう剤は、下記一般式(1)で表されるウレア化合物Aおよび下記一般式(2)で表されるウレア化合物Bを含む。
NHCONHRNHCONHR・・・(1)
(式中のRおよびRは互いに独立に炭素数6~10のアルキル基を示し、Rは炭素数6~15の2価の炭化水素基を示す。)
NHCONHRNHCONHR・・・(2)
(式中のRおよびRは互いに独立に炭素数12~20のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
上記ウレア化合物Bは、下記一般式(3)で表されるウレア化合物B1と、下記一般式(4)で表されるウレア化合物B2と、を含むことが好ましい。
NHCONHRNHCONHR・・・(3)
(式中のRはドデシル基を示す。)
NHCONHRNHCONHR・・・(4)
(式中のRおよびRは互いに独立に炭素数14~20のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
また、前記ウレア化合物Bは、下記一般式(5)で表されるウレア化合物B3と、下記一般式(6)で表されるウレア化合物B4と、を含むことが好ましい。
NHCONHRNHCONHR10・・・(5)
(式中のRおよびR10は互いに独立に炭素数14~20のアルキル基を示す。)
11NHCONHRNHCONHR12・・・(6)
(式中のR11およびR12は互いに独立に炭素数14~20のアルケニル基を示す。)
上述の増ちょう剤(ウレア化合物)全体の配合量(含有率)は、ウレアグリース組成物全体を基準(100質量%)として、1~30質量%が好ましく、2~20質量%がより好ましく、3~15質量%がさらに好ましい。
上記増ちょう剤の配合量が1質量%以上であることにより、グリース構造の形成を容易にすることができ、ウレアグリース組成物が極端に軟らかくなることを抑制し、ひいては、ウレアグリース組成物が機械部品から漏洩することを抑制することができる。また、上記増ちょう剤の配合量が30質量%以下であることにより、ウレアグリース組成物が硬くなり過ぎることを抑制し、ひいては、低温での流動性の向上を図ることができ、また、コストの低減を図ることができる。この他、上記増ちょう剤の消費量を抑制することにより、環境への影響を小さくすることができる。
また、上記増ちょう剤の全質量を基準として、ウレア化合物Aの含有率が40~80質量%であることが好ましい。換言すると、上記増ちょう剤は、ウレア化合物Aの他に、上述したウレア化合物B1、またはウレア化合物B2(ウレア化合物B3またはウレア化合物B4)を含有していることが重要であり、これにより、低温での流動性を向上させることができる。
ウレア化合物Aの含有率が80質量%以下であることにより、低温での増ちょう剤繊維の配向の遷移が容易となるため外力に対して流動が容易となり、ひいては、低温での流動性を向上させトルクを低下させることができる。また、ウレア化合物Aの含有率が40質量%以上であることにより、ちょう度収率(少ない増ちょう剤量でグリースが硬くできる程度)を増加させつつ、所望のちょう度を得ることができる。
(他の増ちょう剤)
本実施形態のウレアグリース組成物には、上記の増ちょう剤(ウレア化合物)と共に、これ以外の増ちょう剤(他の増ちょう剤)を用いてもよい。こうした他の増ちょう剤としては、硫酸バリウム、第三リン酸カルシウム、アルカリ金属石けん、アルカリ金属複合石けん、アルカリ土類金属石けん、アルカリ土類金属複合石けん、アルカリ金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、その他の金属石けん、テレフタラメート金属塩、トリウレアモノウレタン、ジウレア、テトラウレア、これ以外のポリウレア、又は、クレイ、シリカエアロゲル等のシリカ(酸化ケイ素)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を併せて使用することができる。また、これら以外にも液状物質に粘ちょう効果を付与できるものはいずれも使用することができる。
他の増ちょう剤の含有率は、ウレアグリース組成物全体を基準(100質量%)として、3~15質量%であることが好ましい。他の増ちょう剤の含有率が3質量%以上であることにより、他の増ちょう剤の効果を十分に発揮させることができる。一方、他の増ちょう剤の含有率が15質量%以下であることにより、ウレアグリース組成物が硬くなり過ぎることを抑制し、低温での流動性の向上やコストの低減を図ることができる。
[任意の成分]
本実施形態のウレアグリース組成物には、さらに任意の酸化防止剤、防錆剤、油性剤、極圧剤、耐摩耗剤、固体潤滑剤、金属不活性剤、ポリマー、非金属系清浄剤、着色剤、撥水剤等の添加剤を、グリース組成物全体を100質量%として、任意の成分全体で約0.1~20質量%加えることができる。例えば、酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルパラクレゾール、p,p’-ジオクチルジフェニルアミン、N-フェニル-α-ナフチルアミン、フェノチアジン等がある。例えば、防錆剤としては、酸化パラフィン、カルボン酸金属塩、スルホン酸金属塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、サリチル酸エステル、コハク酸エステル、ソルビタンエステルや各種アミン塩等がある。例えば、油性剤や極圧剤並びに耐摩耗剤としては、硫化ジアルキルジチオリン酸亜鉛、硫化ジアリルジチオリン酸亜鉛、硫化ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジアリルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジアルキルジチオリン酸モリブテン、硫化ジアリルジチオリン酸モリブテン、硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブテン、硫化ジアリルジチオカルバミン酸モリブテン、有機モリブテン錯体、硫化オレフィン、トリフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフォロチオネート、トリクレジンフォスフェート、その他リン酸エステル類、硫化油脂類等がある。例えば、固体潤滑剤としては、二硫化モリブテン、グラファイト、窒化ホウ素、メラミンシアヌレート、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、二硫化タングステン、フッ化黒鉛等がある。例えば、金属不活性剤としては、N,N’ジサリチリデン-1,2-ジアミノプロパン、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾール等がある。例えば、ポリマーとしては、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリメタクリレート等が挙げられる。例えば、非金属系清浄剤として、コハク酸イミド等を挙げることができる。
≪ウレアグリース組成物の物性≫
[混和ちょう度]
本実施形態のウレアグリース組成物のちょう度は、000号~4号(175~475)が好ましく、00号~3号(220~430)がより好ましく、0号~2号(265~385)がさらに好ましい。ちょう度が、475以下であることにより、ウレアグリース組成物の硬さを十分に確保することができ、ウレアグリース組成物が機械部品から漏洩することを抑制することができる。一方、ちょう度が175以上であることにより、ウレアグリース組成物が硬くなりすぎることを抑制することにより、低温での流動性を向上させることができる。なお、ちょう度はグリースの物理的硬さを表し、ちょう度として、JIS K 2220 7に従って測定された混和ちょう度の値が用いられる。
[滴点]
本実施形態のウレアグリース組成物の滴点は、180℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、220℃以上がさらに好ましい。滴点が、180℃以上であることにより、ウレアグリース組成物本来の耐熱性を発揮することができる。ここで、滴点は、JIS K 2220 8に従う滴点試験によって測定された値を用いる。
[低温トルク試験]
本実施形態のウレアグリース組成物の、低温(-30℃)における起動トルクは、520mN・m以下が好ましく、470mN・m以下がより好ましく、420mN・m以下がさらに好ましい。起動トルクが520mN・m以下であることにより、ウレアグリース組成物が低温で固化しづらくなり、軸受等に封入した場合に低く安定した摩擦トルク特性を発揮させることができる。ここで、低温トルクはJIS K 2220 18に準拠した試験法により、低温(-30℃)でのトルク性能を評価したものである。
具体的には、起動トルクとして、起動開始直後の動力計の読みの最大値から算出したトルク値を用い、回転トルクとして、回転10分間の最後の15秒間における動力計の読みの平均値から算出したトルク値を用いる。
[基油の動粘度]
本実施形態のウレアグリース組成物に用いられる基油の動粘度の範囲は特に限定されるものではないが、好ましくは40℃で400.0mm/s以下、より好ましくは40℃で300.0mm/s以下、更に好ましくは40℃で200.0mm/s以下である。40℃における動粘度が400.0mm/s以下であることにより、ウレアグリース組成物全体の粘性の増加が抑制されるため、低温での流動性の向上を測ることができ、ひいては、低温でのトルクの増加を抑制することができる。ここで、これらの基油の動粘度は、JIS K 2283に従って、40℃にて測定された値を用いる。
以上説明したウレアグリース組成物によれば、増ちょう剤として特定の複数の異なるウレア化合物を組み合わせることによって、ウレアグリース組成物が低温で固化しづらくなり、軸受等に封入した場合に低く安定した摩擦トルク特性が発揮されうる。
≪ウレアグリース組成物の用途≫
本実施形態のウレアグリース組成物は、一般に使用される機械、軸受、歯車等に使用可能であることはもちろん、より苛酷な条件下、特に低温環境下で優れた性能を発揮することができる。例えば、自動車では、スターター、オルターネーター及び各種アクチュエーター部のエンジン周辺、プロペラシャフト、等速ジョイント(CVJ)、ホイールベアリング及びクラッチ等のパワートレイン、電動パワーステアリング(EPS)、制動装置、ボールジョイント、ドアヒンジ、ハンドル部、冷却ファンモーター、ブレーキのエキスパンダー等の各種部品等の潤滑に好適に用いることができる。さらに、パワーショベル、ブルドーザー、クレーン車等の建設機械、鉄鋼産業、製紙工業、林業機械、農業機械、化学プラント、発電設備、乾燥炉、複写機、鉄道車両、シームレスパイプのネジジョイント等の種高荷重部位に用いることも好ましい。その他の用途としては、ハードディスク軸受用、プラスチック潤滑用、カートリッジグリース等が挙げられるが、これらの用途にも好適である。
次に、本発明を実施例及び比較例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
≪原料≫
表1に記載した、本実施例1~11及び比較例1~5で用いた原料は以下の通りである。
(基油)
・基油A:米国石油協会(API:American Petroleum Institute)にて分類されるグループ1に属する脱ろう溶剤精製により得られたパラフィン系鉱油(40℃での動粘度が24.70mm/s、粘度指数が107のもの)と、グループ1に属するパラフィン系鉱油(40℃での動粘度が99.82mm/s、粘度指数が97のもの)と、グループ1に属するパラフィン系鉱油(40℃での動粘度が490.9mm/s、粘度指数が98のもの)を、20%対30%対50%の割合で混合したものである。
・基油B:グループ5に属するナフテン系鉱油(40℃での動粘度が143.8mm/s、粘度指数が30のもの)とグループ1に属するパラフィン系鉱油(40℃での動粘度が490.9mm/s、粘度指数が98のもの)とフィッシャートロプシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)で、グループ3に属するものであり、40℃の動粘度が44.16mm/s、粘度指数が141のものを12%対50%対38%の割合で配合したものである。
(増ちょう剤の原料)
イソシアネートA:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(分子量250.26)
アミンA:炭素数8の飽和アルキル基を主体(90%以上)とする平均分子量130の直鎖状一級アミン(工業用オクチルアミン)
アミンB:炭素数12の飽和アルキル基を主体(90%以上)とする平均分子量185の直鎖状一級アミン(工業用ラウリルアミン)
アミンC:炭素数18の飽和アルキル基を主体(90%以上)とする平均分子量270の直鎖状一級アミン(工業用ステアリルアミン)
アミンD:炭素数18の不飽和アルキル基を主体(70%以上)とする平均分子量260の直鎖状一級アミン(工業用オレイルアミン)
≪増ちょう剤≫
表1に記載した、各増ちょう剤は以下のとおりである。
ウレアA:R13NHCONHXNHCONHR13(Xはジフェニルメタン基を表し、R13は炭素数8の飽和アルキル基を表す。)
ウレアB1:R14NHCONHXNHCONHR14(Xはジフェニルメタン基を表し、R14は炭素数12の飽和アルキル基を表す。)
ウレアB2(ウレアB3):R15NHCONHXNHCONHR15(Xはジフェニルメタン基を表し、R15は炭素数18の飽和アルキル基を表す。)
ウレアB2(ウレアB4):R16NHCONHXNHCONHR16(Xはジフェニルメタン基を表し、R16は炭素数18の不飽和アルキル基を表す。)
≪製造方法≫
(実施例1)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表1に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、ウレアグリース組成物を製造した。
具体的には、基油A588gと、4,4’-ジフェニメタンジイソシアネート44.7gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、300mlのビーカーに基油A172gとオクチルアミン36.1gを計量混合し、これを同釜内に投入した。その後、あらかじめ別の300mlのビーカーに基油A145gとラウリルアミン14.2gを80℃にて加熱溶解した溶液を、さらに釜内に投入した。次に内容物をよく攪拌混合しながら加熱を続け180℃まで昇温した。
その後、徐々に冷却しながら、数十分撹拌した後に釜から取り出し、三本ロールで処理を行いちょう度調整後、所望の1号ちょう度のウレアグリース組成物を得た。得られたグリースの増ちょう剤量は9.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(実施例2)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表1に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、ウレアグリース組成物を製造した。
具体的には、基油A588gと、4,4’-ジフェニメタンジイソシアネート42.6gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、300mlのビーカーに基油A172gとオクチルアミン36.1gを計量混合し、これを同釜内に投入した。その後、あらかじめ別の300mlのビーカーに基油A145gとステアリルアミン16.3gを80℃にて加熱溶解した溶液を、さらに釜内に投入した。
以降、実施例1と同じ工程にてウレアグリース組成物を製造した。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は9.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(実施例3)
実施例2の基油Aに対して、ここでは、基油Bを用いてウレアグリース組成物を製造した。その他の原料の種類と配合量ならびに製造工程は同じである。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は9.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(実施例4)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表1に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、グリースを製造した。具体的には、基油A588gと、4,4’-ジフェニメタンジイソシアネート43.0gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、300mlのビーカーに基油A172gとオクチルアミン36.1gを計量混合し、これを同釜内に投入した。その後、あらかじめ別の300mlのビーカーに基油A145gとオレイルアミン15.9gを80℃にて加熱溶解した溶液を、さらに釜内に投入した。
以降、実施例1と同じ工程にてウレアグリース組成物を製造した。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は9.50質量%であり、ちょう度ならびに滴点は表1に記載のとおりである。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(実施例5)
実施例4の基油Aに代えて、基油Bを用いてウレアグリース組成物を製造した。その他の原料の種類と配合量ならびに製造工程は同じである。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は9.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(実施例6)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表1に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、ウレアグリース組成物を製造した。具体的には、基油Bを608gと、4,4’-ジフェニメタンジイソシアネート30.6gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、300mlのビーカーに基油Bを178gとオクチルアミン24.7gを計量混合し、これを同釜内に投入した。その後、あらかじめ別の300mlのビーカーに基油B149gとラウリルアミン9.7gを80℃にて加熱溶解した溶液を、さらに釜内に投入した。
以降、実施例1と同じ工程にてウレアグリース組成物を製造した。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は6.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(実施例7)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表1に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、グリースを製造した。具体的には、基油B608gと、4,4’-ジフェニメタンジイソシアネート29.2gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、300mlのビーカーに基油B178gとオクチルアミン24.7gを計量混合し、これを同釜内に投入した。その後、あらかじめ別の300mlのビーカーに基油B149gとステアリルアミン11.1gを80℃にて加熱溶解した溶液を、さらに釜内に投入した。
以降、実施例1と同じ工程にてウレアグリース組成物を製造した。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は6.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(実施例8)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表1に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、グリースを製造した。具体的には、基油B608gと、4,4’-ジフェニメタンジイソシアネート29.4gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、300mlのビーカーに基油B178gとオクチルアミン24.7gを計量混合し、これを同釜内に投入した。その後、あらかじめ別の300mlのビーカーに基油Bを149gとオレイルアミン10.9gを80℃にて加熱溶解した溶液を、さらに釜内に投入した。
以降、実施例1と同じ工程にてウレアグリース組成物を製造した。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は6.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(実施例9)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表1に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、グリースを製造した。具体的には、基油Bを588gと、4,4’-ジフェニメタンジイソシアネート40.5gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、300mlのビーカーに基油Bを172gとオクチルアミン24.1gを計量混合し、これを同釜内に投入した。その後、あらかじめ別の300mlのビーカーに基油B145gとラウリルアミン14.2gおよびステアリルアミン16.2gを80℃にて加熱溶解した溶液を、さらに釜内に投入した。
以降、実施例1と同じ工程にてウレアグリース組成物を製造した。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は9.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(実施例10)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表1に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、グリースを製造した。具体的には、基油Bを588gと、4,4’-ジフェニメタンジイソシアネート40.8gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、300mlのビーカーに基油Bを172gとオクチルアミン24.1gを計量混合し、これを同釜内に投入した。その後、あらかじめ別の300mlのビーカーに基油B145gとラウリルアミン14.2gおよびオレイルアミン15.9gを80℃にて加熱溶解した溶液を、さらに釜内に投入した。
以降、実施例1と同じ工程にてウレアグリース組成物を製造した。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は9.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(実施例11)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表1に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、グリースを製造した。具体的には、基油Bを588gと、4,4′-ジフェニメタンジイソシアネート38.8gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、300mlのビーカーに基油Bを172gとオクチルアミン24.1gを計量混合し、これを同釜内に投入した。その後、あらかじめ別の300mlのビーカーに基油B145gとステアリルアミン16.2gおよびオレイルアミン15.9gを80℃にて加熱溶解した溶液を、さらに釜内に投入した。
以降、実施例1と同じ工程にてウレアグリース組成物を製造した。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は9.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(比較例1)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表2に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、グリースを製造した。具体的には、基油A588gと、4,4′-ジフェニメタンジイソシアネート46.8gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、500mlのビーカーに基油A317gとオクチルアミン48.2gを計量混合し、これを同釜内に投入し、攪拌混合しながら加熱を続け180℃まで昇温した。
その後、徐々に冷却しながら、数十分撹拌した後に釜から取り出し、三本ロールで処理を行いちょう度調整後、所望の1号ちょう度のウレアグリース組成物を得た。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は9.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(比較例2)
比較例1の基油Aに対して、ここでは、基油Bを用いてウレアグリース組成物を製造した。その他の原料の種類と配合量ならびに製造工程は同じである。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は9.50質量%であり、ちょう度ならびに滴点は表1に記載のとおりである。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(比較例3)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表2に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、グリースを製造した。具体的には、基油B608gと、4,4′-ジフェニメタンジイソシアネート32.0gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、500mlのビーカーに基油B327gとオクチルアミン33.0gを計量混合し、これを同釜内に投入した。
以降、比較例1と同じ工程にてウレアグリース組成物を製造した。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は6.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(比較例4)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表2に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、グリースを製造した。具体的には、基油B588gと、4,4′-ジフェニメタンジイソシアネート46.0gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、300mlのビーカーに基油B172gとオクチルアミン43.4gを計量混合し、これを同釜内に投入した。その後、あらかじめ別の300mlのビーカーに基油B145gとラウリルアミン5.6gを80℃にて加熱溶解した溶液を、さらに釜内に投入した。以降、比較例1と同じ工程にてウレアグリース組成物を製造した。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は9.50質量%である。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
(比較例5)
2.0kgのグリース試作釜に、グリース出来高(ウレアグリース組成物製造量の合計)が1.0kgになるように、表1に記載の配合割合にて、それぞれの原料を計量し、グリースを製造した。具体的には、基油B588gと、4,4′-ジフェニメタンジイソシアネート45.2gを量りとり釜内に投入し、攪拌しながら60℃まで加熱昇温させた。次に、300mlのビーカーに基油B172gとオクチルアミン43.3gを計量混合し、これを同釜内に投入した。その後、あらかじめ別の300mlのビーカーに基油B145gとステアリルアミン3.3gおよびオレイルアミン3.2gを80℃にて加熱溶解した溶液を、さらに釜内に投入した。
以降、比較例1と同じ工程にてウレアグリース組成物を製造した。得られたウレアグリース組成物の増ちょう剤量は9.50質量%であり、ちょう度ならびに滴点は表1に記載のとおりである。得られたウレアグリース組成物における増ちょう剤(ウレア化合物)の混合比は表1に示すとおりである。
≪試験≫
各実施例及び各比較例について、基油の動粘度、滴点、および、混和ちょう度の測定、ならびに、低温トルク試験について、前述の試験方法により各試験を行った。各試験において得られた結果を表1に記す。なお、基油の動粘度については、JIS K 2283に従って、100℃にて測定された値も記載した。
Figure 2023093885000001
≪結果≫
表1に示すように、実施例1~11のウレアグリース組成物は、何れもウレアグリースの特徴の一つである高い滴点を有しつつ、室温でのちょう度が同じ1号ちょう度の範囲にあるにも関わらず、低温トルク試験における起動トルクならびに回転トルクの値が、比較例1~5のウレアグリース組成物より低く、低温性に優れている。

Claims (5)

  1. 基油と、
    前記基油中に配合され、ウレア化合物Aおよびウレア化合物Bを含む増ちょう剤と、
    を含み、
    前記ウレア化合物Aが下記一般式(1)で表され、
    NHCONHRNHCONHR・・・(1)
    (式中のRおよびRは互いに独立に炭素数6~10のアルキル基を示し、Rは炭素数6~15の2価の炭化水素基を示す。)
    前記ウレア化合物Bが下記一般式(2)で表され、
    NHCONHRNHCONHR・・・(2)
    (式中のRおよびRは互いに独立に炭素数12~20のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
    前記増ちょう剤の全質量を基準として、前記ウレア化合物Bの含有率が20~60質量%である、ウレアグリース組成物。
  2. 前記ウレア化合物Bは、下記一般式(3)で表されるウレア化合物B1と、
    NHCONHRNHCONHR・・・(3)
    (式中のRはドデシル基を示す。)
    下記一般式(4)で表されるウレア化合物B2と、を含む、請求項1に記載のウレアグリース組成物。
    NHCONHRNHCONHR・・・(4)
    (式中のRおよびRは互いに独立に炭素数14~20のアルキル基またはアルケニル基を示す。)
  3. 前記ウレア化合物Bは、下記一般式(5)で表されるウレア化合物B3と、
    NHCONHRNHCONHR10・・・(5)
    (式中のRおよびR10は互いに独立に炭素数14~20のアルキル基を示す。)
    下記一般式(6)で表されるウレア化合物B4と、を含む、請求項1に記載のウレアグリース組成物。
    11NHCONHRNHCONHR12・・・(6)
    (式中のR11およびR12は互いに独立に炭素数14~20のアルケニル基を示す。)
  4. 前記基油の含有量と前記増ちょう剤の含有量とを合計した総質量に対して、前記増ちょう剤の含有率が3~15質量%である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のウレアグリース組成物。
  5. 前記増ちょう剤の全質量を基準として、ウレア化合物Aの含有率が40~80質量%である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のウレアグリース組成物。

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