JP2023093161A - 抗Glypican-1抗体を含む放射性PET診断用トレーサー組成物 - Google Patents

抗Glypican-1抗体を含む放射性PET診断用トレーサー組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2023093161A
JP2023093161A JP2021208620A JP2021208620A JP2023093161A JP 2023093161 A JP2023093161 A JP 2023093161A JP 2021208620 A JP2021208620 A JP 2021208620A JP 2021208620 A JP2021208620 A JP 2021208620A JP 2023093161 A JP2023093161 A JP 2023093161A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
antibody
acid sequence
amino acid
light chain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021208620A
Other languages
English (en)
Inventor
直史 渡部
Naofumi Watabe
定宏 仲
Sadahiro Naka
恵久 下瀬川
Eku Shimosegawa
哲治 仲
Tetsuji Naka
聡 世良田
Satoshi Serada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka University NUC
Iwate Medical University
Original Assignee
Osaka University NUC
Iwate Medical University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka University NUC, Iwate Medical University filed Critical Osaka University NUC
Priority to JP2021208620A priority Critical patent/JP2023093161A/ja
Publication of JP2023093161A publication Critical patent/JP2023093161A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Nuclear Medicine (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

【課題】放射性PETによって病変におけるGPC1発現を診断するために好適な、新規トレーサー薬剤を提供すること。【解決手段】リンカー基を介して、デフェロキサミンに由来する基を含むキレート基と錯形成している、89Zr、64Cu、18F、及び68Gaよりなる群から選択される放射性同位元素により標識化された、抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、がんを診断するために用いられる放射性PET診断用トレーサー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、抗Glypican-1抗体を含む放射性PET診断用トレーサー組成物、当該組成物を含むコンパニオン診断薬に関する。さらに、当該放射性PET診断用トレーサー組成物の合成に用いためのキットにも関する。
Glypican-1(グリピカン-1;GPC1)は、食道癌、膵癌、肺癌、頭頚部癌等で高発現しており、特に膵癌では間質の線維芽細胞に高発現が認められることが知られている。現在、抗GPC1抗体の抗体薬物複合体 (Antibody-Drug Conjugate;ADC)の臨床応用に向けた準備が進められているが(非特許文献1等)、治療前に転移・再発病変のGPC1の発現を正確に確認し、治療適応となる患者を非侵襲的に選択するためのコンパニオン診断薬の開発が求められている。
従来の技術では侵襲的な組織生検によって、病変におけるGPC1発現を確認する形が標準的診断法であるが、転移巣によってGPC1の発現が異なる可能性や腫瘍の一部しか評価できないという問題点があった。
Munekage E, Serada S, Tsujii S, et al. , Neoplasia. 2021 Sep;23(9):939-950.
このような背景から、本発明は、放射性PET(Positron Emission Tomography:ポジトロン断層撮影法)によって病変におけるGPC1発現を診断するために好適な、新規トレーサー薬剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、抗Glypican-1(GPC1)抗体を、放射性ジルコニウム(89Zr)等のPET核種である放射性同位元素で標識化することにより、腫瘍等の病変におけるGPC1発現を非侵襲かつ高精度にPET画像診断が可能となることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。これまでのところ、放射性同位元素で標識化した抗GPC1抗体を用いた報告はなされておらず、本発明は新規なPET用トレーサー薬剤を提供するものである。
すなわち、本発明は、一態様において、GPC1発現を評価するための放射性PET診断用トレーサー組成物に関し、より具体的には、
<1>放射性同位元素で標識化された抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、放射性PET診断用トレーサー組成物;
<2>前記放射性同位元素が、リンカー基を介して前記抗体又は前記フラグメントに連結したキレート基と錯形成している、上記<1>に記載の組成物;
<3>前記キレート基が、多座配位子を有する基である、上記<2>に記載の組成物;
<4>前記キレート基が、アミド基、N-ヒドロキシアミド基、アミノ基、及びカルボキシル基よりなる群から選択される1以上の官能基を含む、上記<2>又は<3>に記載の組成物;
<5>前記キレート基が、デフェロキサミンに由来する基を含む、上記<2>~<4>のいずれか1に記載の組成物;
<6>前記放射性同位元素が、89Zr、64Cu、18F、及び68Gaよりなる群から選択される、上記<1>~<5>のいずれか1に記載の組成物;
<7>がんを診断するために用いられる、上記<1>~<6>のいずれか1に記載の組成物;
<8>前記がんが、膵臓がん又は食道がんである、上記<7>に記載の組成物;及び
<9>前記抗Glypican-1抗体が、ヒト抗体又はヒト化抗体である、上記<1>~<8>のいずれか1に記載の組成物
を提供するものである。
別の態様において、本発明は、上記放射性PET診断用トレーサー組成物を含むコンパニオン診断薬にも関し、より具体的には、
<10>Glypican-1の発現を抑制する薬剤による治療の必要性を診断するためのコンパニオン診断薬であって、上記<1>~<9>のいずれか1に記載の組成物を含むコンパニオン診断薬;
<11>前記薬剤が、抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントと、任意の医薬化合物とが化学的に連結した構造を有する抗体薬物複合体(ADC)である、上記<10>に記載のコンパニオン診断薬;及び
<12>前記治療が、がんの治療である、上記<10>又は<11>に記載のコンパニオン診断薬
を提供するものである。
更なる態様において、本発明は、上記放射性PET診断用トレーサー組成物の合成に用いるためキットにも関し、より具体的には、
<13>リンカー基を介して連結したキレート基を有する抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントと、放射性同位元素とを別個に格納したキット;
<14>前記抗体又は前記フラグメントを溶媒に溶解させた溶液を格納した容器と、前記放射性同位元素を溶媒に溶解させた溶液を格納した容器とを含む、上記<13>に記載のキット;及び
<15>前記放射性同位元素が、89Zr、64Cu、18F、及び68Gaよりなる群から選択される、上記<13>又は<14>に記載のキット;
<16>上記<1>に記載の放射性PET診断用トレーサー組成物の合成に用いるための、上記<13>~<15>のいずれか1に記載のキット
を提供するものである。
本発明によれば、腫瘍等の病変におけるGPC1発現を放射性PETにより非侵襲かつ高精度にコンパニオン画像診断を行うことができ、特に、一度に全身の転移巣のGPC1発現を評価可能であるという利点を有する。また、本発明の放射性PET診断用トレーサー組成物は、病変に特異的に高集積を呈することから早期診断、術前の高精度ステージング診断につながることも期待できる。特に、抗GPC1抗体の抗体薬物複合体(ADC)の治療において、治療効果が期待できる患者を適切かつ非侵襲的に選択する際に非常に有用である。
図1は、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]Zr-DFO-anti-GPC1 mAb([89Zr]GPC1抗体))の合成手順の概要を示す図である。 図2は、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]Zr-DFO-anti-GPC1 mAb([89Zr]GPC1抗体))の放射化学的純度を示すグラフである。 図3は、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)をヒト膵癌細胞(PANC-1)のxenograftマウスに投与した際のPET画像である。 図4は、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)をヒト膵癌細胞(PANC-1)のxenograftマウスに投与した際の平均SUV値を示すグラフである。 図5は、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)をヒト膵癌細胞(PANC-1)のxenograftマウスに投与した際のSUVmaxを示すグラフである。 図6は、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)をヒト膵癌細胞(PANC-1)のxenograftマウスに投与した際の、マウス体内における[89Zr]GPC1抗体の分布(%ID/g)を示すグラフである。 図7は、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)をヒト膵癌細胞(BxPC3、BxPC3-GPC1KO)のxenograftマウスに投与した際のPET画像である。 図8は、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)をヒト膵癌細胞(BxPC3、BxPC3-GPC1KO)のxenograftマウスに投与した際の平均SUV値を示すグラフである。 図9は、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)をヒト膵癌細胞(BxPC3、BxPC3-GPC1KO)のxenograftマウスに投与した際のSUVmaxを示すグラフである。 図10は、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)をヒト膵癌細胞(BxPC3、BxPC3-GPC1KO)のxenograftマウスに投与した際の、マウス体内における[89Zr]GPC1抗体の分布(%ID/g)を示すグラフである。 図11は、ヒト膵癌細胞(PANC-1)のxenograftマウスに対して、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)を条件3)及び条件4)で投与した際のPET画像である。 図12は、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)を条件3)及び条件4)で投与した際のSUVmaxを示すグラフである。 図13は、腫瘍における本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)の分布(%ID)を示すグラフである。 図14は、腫瘍における本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)の分布(%ID/g)を示すグラフである。 図15は、本発明の放射性同位体標識化抗体([89Zr]GPC1抗体)についてのマウス体内の各臓器における分布(%ID/g)を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
1.定義
本明細書において、「Glypican-1」、「グリピカン-1」、「GPC1」又は「GPC-1」という語は、それぞれ同義であって、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型細胞表面プロテオグリカンであり、ヘパラン硫酸を有するタンパク質である。Glypican-1は、細胞接着、移動、リポタンパク質代謝、増殖因子活性調節および血液凝固抑止に関連するとされている。いくつかの線維芽細胞増殖因子(FGF)、例えば、FGF-1、FGF-2およびFGF-7に結合するといわれる。Glypican-1は、VEGF165の細胞外シャペロンとして機能し、酸化後のレセプター結合能を回復することを支援するとされる。Glypicanは現在のところGlypican-1~Glypican-6の6種類が知られているが、がんとの関係ではGlypican-ファミリーメンバーであるからといっても必ずがんマーカーであると認識されているものではなく、メンバー相互は無関係であるようである。Glypican-1は、UniProtにアクセッション番号P35052として登録されており(http://www.uniprot.org/uniprot/P35052を参照)、このほか、NCBIでは、NP_002072.2(前駆体アミノ酸配列)、NM_002081.2(mRNA)、EMBL、GenBankおよびDDBJでは、X54232.1(mRNA)、BC051279.1(mRNA)、AC110619.3(genomic)として登録されている。
ヒトGlypican-1の核酸配列(全長)は、配列番号1が代表例であり、アミノ酸配列は配列番号2が代表例である。また、マウスGlypican-1の核酸配列(全長)は、配列番号3が代表例であり、アミノ酸配列は配列番号4が代表例である。
本発明では、Glypican-1についてヒトが主に論じられるが、チンパンジー(Pantroglodytes)(K7B6W5)、アカゲザル(Macaca mulatta)(F6VPW9)、マウス(Mus musculus)(Q9QZF2)、ラット(Rattus norvegicus)(P35053)、ニワトリ(Gallus gallus)(F1P150)等、ヒト以外の多くの動物がGlypican-1タンパク質を発現していることが知られているため、これらの動物、特に哺乳動物についても、本発明の範囲内に入ることが理解される。好ましくは、Glypican-1の機能的ドメイン、例えば、細胞外ドメイン(約500アミノ酸であり、12のシステイン残基を含む)やC末端の疎水性領域(GPI-アンカードメイン)は保存されていることが好ましい。
本明細書において「フラグメント」とは、全長のポリペプチド(長さがn)に対して、1~n-1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、このようなフラグメントは、例えば、全長のものがマーカーまたは標的分子として機能する場合、そのフラグメント自体もまたマーカーまたは標的分子としての機能を有する限り、本発明の範囲内に入ることが理解される。
本明細書において「抗体」は、抗原上の特定のエピトープに特異的に結合することができる分子またはその集団を含む。また抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であってもよい。抗体は、様々な形態で存在することができ、例えば、全長抗体(Fab領域とFc領域を有する抗体)、Fv抗体、Fab抗体、F(ab’)2抗体、Fab’抗体、ダイアボディー(diabody)、一本鎖(単鎖)抗体(例えば、scFv)、sc(Fv)2、scFv-Fc、dsFv、多価特異的抗体(例えば、オリゴ特異的抗体、二価特異的抗体)、抗原結合性を有するペプチドまたはポリペプチド、キメラ抗体(例えば、マウス-ヒトキメラ抗体、ニワトリ-ヒトキメラ抗体等)、マウス抗体、ニワトリ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、またはそれらの同等物(または等価物)からなる群から選ばれる1種以上の形態であってもよい。また抗体は、抗体修飾物または抗体非修飾物を含む。抗体修飾物は、抗体と、例えばポリエチレングリコール等の各種分子が結合していてもよい。また抗体は、抗体修飾物または抗体非修飾物を含む。抗体修飾物は、抗体と、例えばポリエチレングリコール等の各種分子が結合していてもよい。抗体修飾物は、抗体に公知の手法を用いて化学的な修飾を施すことによって得ることができる。
本明細書において「抗原」とは、抗体分子によって特異的に結合され得る任意の基質をいう。本明細書において「免疫原」とは、抗原特異的免疫応答を生じるリンパ球活性化を開始し得る抗原をいう。本明細書において「エピトープ」または「抗原決定基」とは、抗体またはリンパ球レセプターが結合する抗原分子中の部位をいう。エピトープを決定する方法は、当該分野において周知であり、そのようなエピトープは、核酸またはアミノ酸の一次配列が提供されると、当業者はそのような周知慣用技術を用いて決定することができる。本発明の抗体は、エピトープが同じであれば、他の配列を有する抗体であっても同様に利用することができることが理解される。
本明細書において「抗体薬物複合体(ADC)」とは、1つまたは複数の目的の有効成分と化学的に連結された抗体これらの抗原結合フラグメントを指す。好ましい実施形態において、ADCは、リンカーを介して作動可能に連結されている。本明細書において「作動可能に連結されている」とは、連結される物質が予測された様式で作動することが可能な関係にあることを指す。ADCに含まれ得る目的の有効成分としては、以下に限定されないが、細胞傷害性活性を有する薬剤、抗がん剤、造影剤、siRNA、アンチセンス核酸、リボザイムなどが挙げられる。リンカーとして使用され得るものは、開裂型リンカーであっても、非開裂型のリンカーであってもよい。開裂型リンカーとしては、タンパク質分解酵素による切断配列を有するリンカー、酸不安定性のリンカー、ジスルフィドリンカーなどが挙げられるが、これらに限定されない。非開裂型リンカーとしては、MCCリンカーなどが挙げられるが、これに限定されない。
本明細書において「キット」とは、通常2つ以上の区画に分けて、提供されるべき部分(例えば、検査薬、診断薬、治療薬、抗体、標識、説明書など)が提供されるユニットをいう。安定性等のため、混合されて提供されるべきでなく、使用直前に混合して使用することが好ましいような組成物の提供を目的とするときに、このキットの形態は好ましい。そのようなキットは、好ましくは、提供される部分(例えば、検査薬、診断薬、治療薬をどのように使用するか、あるいは、試薬をどのように処理すべきかを記載する指示書または説明書を備えていることが有利である。本明細書においてキットが試薬キットとして使用される場合、キットには、通常、検査薬、診断薬、治療薬、抗体等の使い方などを記載した指示書などが含まれる。
2.放射性PET診断用トレーサー組成物
本発明の放射性PET診断用トレーサー組成物は、放射性同位元素で標識化された抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントを含むことを特徴とするものである。
放射性同位元素による標識化は、当該技術分野において公知の手法を用いることができるが、典型的には、金属(イオン)に結合し得る配位子と放射性同位元素とが錯形成することにより標識化することができる。したがって、当該組成物は、好ましくは、放射性同位元素が、リンカー基を介して抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントに連結したキレート基と錯形成している構造を有する。これにより、抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントを放射性同位元素で標識化することができる。
かかる放射性同位元素としては、当該技術分野においてPET核種として公知の元素を用いることができるが、好ましくは放射性の金属元素である。放射性同位元素は、例えば、放射性ジルコニウム(89Zr)、放射性銅(64Cu)、放射性フッ素(18F)、及び放射性ガリウム(68Ga)などを挙げることができる。放射性ジルコニウム(89Zr)は、典型的には、4価のカチオンの形態(89Zr4+)である。なお、場合によっては、67Gaや111InのようなSPECT用核種として知られている放射性同位元素を用いることもできる。
なお、これらの放射性同位元素は、サイクロトロン装置等を用いて公知の手法により調製することができる。例えば、放射性ジルコニウム(89Zr)は、典型的には、実施例で後述するように、サイクロトロン装置を用いて、イットリウム (Y)に陽子を照射し、89Y(p, n)89Zrの核反応により[89Zr]Zrを製造することにより得ることができる。その後、当該技術分野において公知の手法により精製工程を行ってもよい。
放射性ジルコニウム(89Zr)と錯形成するキレート基は、ジルコニウムに結合(配位)し得る配位子を有するものであれ特に限定されないが、典型的には、多座配位子を有する基である。かかるキレート基としては、例えば、デフェロキサミン由来基、アミノポリカルボン酸系キレート剤由来基、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤由来基、デフェラシクロス由来基、デフェリプロン由来基、及びヒスチジンタグ等を挙げることができる。加えて、ビピリジン、ポルフィリン、フェナントロリン、ポルフィリン、クラウンエーテル、サイクレン、デフェロキサミン、ドータオクトレオテート、ニコチアナミン、ジメルカプロール、シデロホア等を挙げることもできる。
上述のアミノポリカルボン酸としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレンジアミンジ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(DHEDDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸、β-アラニンジ酢酸、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸、イミノジ酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、グルタミン酸ジ酢酸、アスパラギン酸ジ酢酸、メチルグリシンジ酢酸、イミノジコハク酸、セリンジ酢酸、ヒドロキシイミノジコハク酸、ジヒドロキシエチルグリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、および、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-六酢酸等が挙げられる、好ましくはニトリロ三酢酸(NTA)が挙げられる。
好ましくは、上記キレート基は、アミド基、N-ヒドロキシアミド基、アミノ基、及びカルボキシル基よりなる群から選択される1以上の官能基、より好ましくは2以上の官能基を含む。そのようなアミド基とN-ヒドロキシアミド基を含むキレート基としては、デフェロキサミンに由来する基を含むものを好適である。
また、上記リンカー基としては、任意の2価官能基を用いることができるが、例えば、置換されていてもよいアルキレン基、エーテル基、尿素基、チオ尿素基、アリーレン基を含む基、又はこれらの組合せを挙げることができる。これらのリンカー基は、抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントにおけるアミノ基と反応し得る化合物を、これら抗体又はフラグメントと反応させることで連結することができる。例えば、尿素基又はチオ尿素基を有するリンカー基が好ましく、これらは末端にイソシアネート基又はチオイソシアネート基を有する化合物を、抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントにおけるアミノ基と反応させることで連結させることができる。
本発明において、放射性同位元素で標識化される対象である「抗Glypican-1抗体」は、Glypican-1に結合性を有する抗体であればよく、その由来、種類、形状などは問われない。具体的には、非ヒト動物の抗体(例えば、マウス抗体、ラット抗体、ラクダ抗体)、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体などの公知の抗体が使用できる。好ましくは、ヒト抗体又はヒト化抗体である。抗Glypican-1抗体は、モノクローナル抗体、あるいはポリクローナル抗体であることができるが、好ましくはモノクローナル抗体である。抗体のGlypican-1タンパク質への結合は特異的な結合であることが好ましい。抗Glypican-1抗体の生産方法は特に限定されないが、例えば、Glypican-1を哺乳類または鳥類に免疫することによって生産してもよい。
本発明の一実施形態において「ヒト抗体」は、例えば、抗体を構成する重鎖の可変領域および定常領域、軽鎖の可変領域および定常領域を含む領域が、ヒトイムノグロブリンをコードする遺伝子に由来する抗体である。主な作製方法としてはヒト抗体作製用トランスジェニックマウス法、ファージディスプレイ法などがある。ヒト抗体作製用トランスジェニックマウス法では、内因性Igをノックアウトしたマウスに機能的なヒトのIg遺伝子を導入すれば、マウス抗体の代わりに多様な抗原結合能を持つヒト抗体が産生される。さらにこのマウスを免疫すればヒトモノクローナル抗体を従来のハイブリドーマ法で得ることが可能である。
本発明の一実施形態において「ヒト化抗体」は、例えば、非ヒト種由来の1つ以上のCDR、およびヒト免疫グロブリン由来のフレームワーク領域(FR)、さらにヒト免疫グロブリン由来の定常領域を有し、所望の抗原に結合する抗体である。抗体のヒト化は、当該技術分野で既知の種々の手法を使用して実施可能である。抗原結合を改変するために(好ましくは改善するために)、ヒトFR領域のアミノ酸残基は、CDRドナー抗体からの対応する残基と置換してもよい。このFR置換は、当該技術分野で周知の方法によって実施可能である。例えば、CDRとFR残基の相互作用のモデリングによって抗原結合に重要なFR残基を同定してもよい。または、配列比較によって、特定の位置で異常なFR残基を同定してもよい。
また、抗Glypican-1抗体の「抗原結合フラグメント」とは、Glypican-1に結合する能力を保持する抗体のフラグメントを意味する。かかる抗原結合フラグメントとしては、以下に限定されないが、例えば、単鎖抗体、scFv、Fab断片、またはF(ab’)断片などが挙げられる。
本発明において用いられる抗Glypican-1抗体は、代表的には、国際公開WO2018/199318に開示されている抗ヒトGlypican-1抗体であることができる。
すなわち、好ましい態様において、抗Glypican-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)それぞれ配列番号53、54および55に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号56、57および58に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a033)、
(b)それぞれ配列番号5、6および7に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号8、9および10に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a002)、
(c)それぞれ配列番号11、12および13に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号14、15および16に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a007)、
(d)それぞれ配列番号17、18および19に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号20、21および22に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a016)、
(e)それぞれ配列番号23、24および25に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号26、27および28に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a017)、
(f)それぞれ配列番号29、30および31に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号32、33および34に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a021)、
(g)それぞれ配列番号35、36および37に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号38、39および40に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a026)、
(h)それぞれ配列番号41、42および43に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号44、45および46に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a009)、
(i)それぞれ配列番号47、48および49に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号50、51および52に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a030)、
(j)それぞれ配列番号59、60および61に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号62、63および64に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a042)、
(k)それぞれ配列番号65、66および67に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号68、69および70に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a002)、
(l)それぞれ配列番号71、72および73に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号74、75および76に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a006)、
(m)それぞれ配列番号77、78および79に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号80、81および82に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a010)、
(n)それぞれ配列番号83、84および85に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号86、87および88に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a014)、
(o)それぞれ配列番号89、90および91に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号92、93および94に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a022)、
(p)それぞれ配列番号95、96および97に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号98、99および100に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a034)、
(q)それぞれ配列番号101、102および103に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号104、105および106に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a035)、
(r)それぞれ配列番号107、108および109に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号110、111および112に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02b006)、ならびに
(s)CDR部分に少なくとも1個の置換、付加もしくは欠失を含む(a)~(r)から選択される抗体の変異体からなる群から選択される、抗体またはその抗原結合フラグメントであることができる。
好ましい実施形態において、本発明において使用され得る抗体またはその抗原結合断片は、以下のクローン:01a033、01a002、02a010、02a002、02a014、02b006、01a042、01a017、01a026、01a016、01a030、または01a009の重鎖CDRおよび軽鎖CDRの配列を有する。
別の好ましい態様では、抗Glypican-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)配列番号158に示される重鎖、および配列番号160に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a033)、
(b)配列番号126に示される重鎖、および配列番号128に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a002)、
(c)配列番号130に示される重鎖、および配列番号132に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a007)、
(d)配列番号134に示される重鎖、および配列番号136に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a016)、
(e)配列番号138に示される重鎖、および配列番号140に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a017)、
(f)配列番号142に示される重鎖、および配列番号144に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a021)、
(g)配列番号146に示される重鎖、および配列番号148に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a026)、
(h)配列番号150に示される重鎖、および配列番号152に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a009)、
(i)配列番号154に示される重鎖、および配列番号156に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a030)、
(j)配列番号162に示される重鎖、および配列番号164に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a042)、
(k)配列番号166に示される重鎖、および配列番号168に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a002)、
(l)配列番号170に示される重鎖、および配列番号172に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a006)、
(m)配列番号174に示される重鎖、および配列番号176に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a010)、
(n)配列番号178に示される重鎖、および配列番号180に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a014)、
(o)配列番号182に示される重鎖、および配列番号184に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a022)、
(p)配列番号186に示される重鎖、および配列番号188に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a034)、
(q)配列番号190に示される重鎖、および配列番号192に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a035)、
(r)配列番号194に示される重鎖、および配列番号196に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02b006)、ならびに
(s)少なくとも1個の置換、付加もしくは欠失を含む(a)~(r)から選択される抗体の変異体、からなる群から選択される。
好ましい実施形態において、本発明において使用され得る抗体またはその抗原結合断片は、以下のクローン:01a033、01a002、02a010、02a002、02a014、02b006、01a042、01a017、01a026、01a016、01a030、または01a009の重鎖および軽鎖の配列を有する。これらのクローンは、TE14細胞の他、DU145細胞に対して優れたEC50値を示す。
別の実施形態では、上記抗体の変異体は、元の抗体のアミノ酸配列に対して、少なくとも、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、または約99%同一であるアミノ酸配列を有し得る。上記抗体の変異体は、フレームワークに少なくとも1個の置換、付加もしくは欠失を含んでもよい。
さらに別の実施態様では、抗Glypican-1抗体は、クローンK090-01a002、K090-01a007、K090-01a016、K090-01a017、K090-01a021、K090-01a026、K090-01a009、K090-01a030、K090-01a033、K090-01a042、K090-02a002、K090-02a006、K090-02a010、K090-02a014、K090-02a022、K090-02a034、K090-02a035、K090-02b006、クローン4、およびクローン18、ならびに少なくとも1個の置換、付加もしくは欠失を含むこれらの抗体の変異体が挙げられる。
本発明で使用され得る抗Glypican-1抗体は、約10nM以下の結合定数の結合親和性でヒトGlypican-1に結合するものが好ましいが、インターナライズ活性を有しており、所望の活性を有していれば、上記の結合親和性よりも弱くてもよい場合がある。
本発明の放射性PET診断用トレーサー組成物は、Glypican-1を発現する腫瘍に対して選択的に集積することにより、がん組織を検出可能なイメージングプローブ化合物として機能する。したがって、本発明の放射性PET診断用トレーサー組成物は、がんを診断するために用いることが好適である。
本明細書において「診断」とは、被験体における疾患、障害、状態(例えば、食道がん)などに関連する種々のパラメータを同定し、そのような疾患、障害、状態の現状または未来を判定することをいう。本発明のトレーサー組成物を用いることによって、体内の状態を調べることができ、そのような情報を用いて、被験体における疾患、障害、状態、投与すべき処置または予防のための処方物または方法などの種々のパラメータを選定することができる。本明細書において、狭義には、「診断」は、現状を診断することをいうが、広義には「早期診断」、「予測診断」、「事前診断」等を含む。
本発明のトレーサー組成物が対象とするがんは、Glypican-1が発現しているがん細胞であれば、特に限定されるものではなく、任意の悪性腫瘍を包含する。例えば、本発明が対象とする「がん」は、肺がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、副腎がん、胆道がん、乳がん、大腸がん、小腸がん、卵巣がん、子宮がん、膀胱がん、前立腺がん、尿管がん、腎盂がん、尿管がん、陰茎がん、精巣がん、脳腫瘍、中枢神経系のがん、末梢神経系のがん、頭頸部がん、グリオーマ、多形性膠芽腫、皮膚がん、メラノーマ、甲状腺がん、唾液腺がん、悪性リンパ腫、がん腫、肉腫、白血病および血液悪性腫瘍からなる群から選ばれる1種以上を含む。ここで、卵巣がんは、例えば、卵巣漿液性腺がん、または卵巣明細胞線がんを含む。子宮がんは、例えば、子宮内膜がん、または子宮頸がんを含む。頭頸部がんは、例えば、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、鼻腔がん、副鼻腔がん、唾液腺がん、または甲状腺がんを含む。肺がんは、例えば、非小細胞肺がん、または小細胞肺がんを含む。また悪性腫瘍は、PD-L1陽性であってもよい。好ましくは、膵臓がん、大腸がん、肺がん、前立腺がん、胃がん、乳がん、 腎臓がん、喉頭がん、食道がん、肝がん又は脳腫瘍であり、特に好ましくは、膵臓がん又は食道がんである。
本明細書において「すい臓がん」は、膵臓から発生した悪性の腫瘍のことをいうが、一般には膵管がんをいい、このほかの膵臓の部分の腫瘍も包含される。
本明細書において「食道がん」とは、通常の意味で使用され、食道におけるがんを含む広義の意味で使用される。食道がんとしては、扁平上皮がんのほか、腺がん、リンパ節転移部位のもの等も包含されるがこれに限定されない。日本人の食道がんは、約半数が胸の中の食道中央付近から発生し、次いで1/4が食道の下部に発生するとされており、本発明はいずれも対象とすることが理解される。理論に束縛されることを望まないが、本発明では、扁平上皮がんのほか、腺がん、リンパ節転移部位のものを含め食道がん全体の指標として使用されうることが期待される。
本発明の放射性PET診断用トレーサー組成物は、上記放射性同位元素で標識化された抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントに加えて、薬学的に許容される担体、添加剤を適宜配合して製剤化することができる。トレーサー組成物は液体製剤であることが好ましく、特に注射剤が好ましい。対象への投与は局所投与でもよく、全身投与でもよいが、全身投与が好ましい。投与経路は特に限定されないが、静脈内への注射または点滴が好ましい。注射剤の調製は、当該分野にて公知の方法で行うことができる。溶液の調製は、例えば、上記標識化抗体を適当な液体担体(注射用水、生理食塩水、リンゲル液等)に溶解し、フィルター等で滅菌し、その後、適当な容器、例えば、バイアルまたはアンプルに充填すればよい。溶解する際に適当な溶解補助剤、例えば、アルコール、ポリアルコール、非イオン性界面活性剤等を用いてもよい。さらに、添加剤として糖や糖アルコールを加えてもよく、好ましくは糖アルコールが用いられ、糖アルコールとしては、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなどが挙げられる。また、溶液を凍結乾燥させ、使用時に適当な液体担体で再度溶液に復元することも可能である。懸濁液の調製は、例えば、上記標識化抗体を例えばエチレンオキサイド等により滅菌し、次いで、滅菌済み液体担体に懸濁すればよい。
本発明の放射性PET診断用トレーサー組成物の製造に用いられる製剤用添加物の種類、有効成分に対する製剤用添加物の割合等は、組成物の形態に応じて当業者が適宜選択することが可能である。製剤用添加物としては無機又は有機物質あるいは固体又は液体の物質を用いることができ、一般的には、上記標識化抗体の成分重量に対して1重量%から90重量%の間で配合することができる。
本発明の放射性PET診断用トレーサー組成物を用いてPET計測を行う手順としては、典型的には、本発明のトレーサー組成物を注射剤として対象に投与し、公知のポジトロン断層撮影装置を用いて測定を行い、放射性同位元素で標識化された抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントの体内分布と集積度を測定することにより行うことができる。がん組織検出は、組織ごとの放射線量の比較により相対的に放射線量の大きい組織をがんが生じている組織として検出することができる。比較には、SUV(Standardized Uptake Value)、あるいは血液の放射線量を基準とした相対的な値であるSUV(組織)/SUV(血液)を用いるのが好ましい。また、イメージ画像から相対的に放射線量の大きい組織を同定してもよい。
本発明の放射性PET診断用トレーサー組成物において、ヒトへの投与時の放射能量は、使用時において評価に必要な放射能量が確保できる限り、特に限定されないが、使用時において74~370MBqとすることが好ましく、体重等によって調整することがさらに好ましい。
なお、本発明の放射性PET診断用トレーサー組成物の製造において、抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントに放射性同位元素を標識化する手法は、特に限定されるものではないが、好ましくは、後述の実施例に示した方法を用いることによって、安定した標識率で放射性同位元素を標識化した抗体又はフラグメントを得ることができる。
3.コンパニオン診断薬
別の態様において、本発明は、Glypican-1の発現を抑制する薬剤による治療の必要性を診断するためのコンパニオン診断薬にも関し、当該コンパニオン診断薬は、上記放射性PET診断用トレーサー組成物を含むことを特徴とする。
より具体的には、本発明のコンパニオン診断薬を対象検体に投与し、該対象検体におけるGlypican-1の発現量が、正常検体におけるGlypican-1の発現量を超える場合に、該対象がGlypican-1の発現を抑制する薬剤(抑制剤)での治療を必要とすることを診断することができる。例えば、コンパニオン診断薬を用いて事前に食道がんならびに転移・再発病変がGlypican-1陽性であるかどうかを検査しておけば、Glypican-1を標的とした食道がん治療の治療有効性を診断することができる。なおこの診断において、Glypican-1陽性の結果がでれば、Glypican-1を標的とした食道がん治療が有効だと判断できる。本発明の一実施形態において「コンパニオン診断」は、薬剤効果や副作用の患者個人差を検査により予測することで、最適な投薬を補助することを目的として実施される診断を含む。
本明細書において「治療」とは、ある疾患または障害(例えば、がん)について、そのような状態になった場合に、そのような疾患または障害の悪化を防止、好ましくは、現状維持、より好ましくは、軽減、さらに好ましくは消退させることをいい、患者の疾患、もしくは疾患に伴う1つ以上の症状の、症状改善効果あるいは予防効果を発揮しうることを含む。事前に診断を行って適切な治療を行うことは「コンパニオン治療」といい、そのための診断薬を「コンパニオン診断薬」という。ここで、「コンパニオン診断」には、採取した検体を用いて行う場合と画像的に実施する場合の2種類が含まれる。通常は血液や腫瘍検体の特定のバイオマーカーを測定することで、治療の適応になるか(有効性を期待できるかどうか)を判断する。しかし、本発明の放射性PET診断用トレーサー組成物又はコンパニオン診断薬を投与後にPET撮影を行うことで、画像的に集積程度から治療適応となるかどうかを判断することができる(これを「コンパニオン画像診断」と呼ぶ場合がある)。
本発明において、Glypican-1の発現を抑制する薬剤は、特に限定されるものではないが、好ましくは、抗体薬物複合体(ADC)であることができる。かかる抗体薬物複合体は、典型的には、抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントと、任意の医薬化合物とが化学的に連結した構造を有する。
上記医薬化合物としては、細胞傷害性を有することが知られる任意の薬剤を挙げることができる。そのような例としては、アウリスタチン(モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)など)、メイタンシノイド(DM1、DM4)、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、トポイソメラーゼ阻害剤を挙げることができる。当業者であれば、対象とするがんの薬剤に対する感受性に応じて、複合体で使用される薬剤を適切に選択することが可能である。がんに対する薬剤の感受性は当該分野で周知である。
ここで、上記抗体又は抗原結合フラグメントは、共有結合及び非共有結合を含む任意の結合態様で上記医薬化合物と結合させることができる。例えば、記抗体又は抗原結合フラグメントは、任意のリンカーを介して上記医薬化合物と連結することができる。当該リンカーは、血中に存在する酵素では分解されないが、細胞内にのみ存在する酵素によって切断される切断サイトを有するものを用いることができる。このようなリンカーとしては、例えば、リソソーム内酵素切断配列を有するリンカー(バリン-シトルリン(Val-Citr))のようなものが挙げられる。また、別のリンカーの例としては、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)などのジスルフィド構造を有するものを挙げることができる。
好ましい態様において、上記抗体薬物複合体(ADC)を構成する抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、国際公開WO2018/199318に開示されている抗ヒトGlypican-1抗体であることができる。
すなわち、一実施態様では、上記抗体薬物複合体(ADC)を構成する抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、該抗体のエピトープが、以下:
(a)配列番号2の33~61位、
(b)配列番号2の339~358位および/もしくは388~421位、
(c)配列番号2の430~530位
(d)配列番号2の33~61位、339~358位、および/もしくは388~421位、
(e)配列番号2の339~358位、388~421位、および/もしくは430~530位、または
(f)配列番号2の33~61位、339~358位、388~421位、および/もしくは430~530位、
であり得る。より好ましくは、該抗体のエピトープは、以下:
(a)配列番号2の33~61位、
(b)配列番号2の339~358位および388~421位、
(c)配列番号2の33~61位、339~358位、および388~42、または
(d)配列番号2の33~61位、339~358位、388~421位、および430~530位であるか、これを含み得る。
別の態様では、上記抗体薬物複合体(ADC)を構成する抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれ配列番号53、54および55に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号56、57および58に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a033)、
(b)それぞれ配列番号5、6および7に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号8、9および10に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a002)、
(c)それぞれ配列番号11、12および13に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号14、15および16に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a007)、
(d)それぞれ配列番号17、18および19に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号20、21および22に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a016)、
(e)それぞれ配列番号23、24および25に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号26、27および28に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a017)、
(f)それぞれ配列番号29、30および31に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号32、33および34に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a021)、
(g)それぞれ配列番号35、36および37に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号38、39および40に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a026)、
(h)それぞれ配列番号41、42および43に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号44、45および46に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a009)、
(i)それぞれ配列番号47、48および49に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号50、51および52に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a030)、
(j)それぞれ配列番号59、60および61に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号62、63および64に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a042)、
(k)それぞれ配列番号65、66および67に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号68、69および70に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a002)、
(l)それぞれ配列番号71、72および73に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号74、75および76に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a006)、
(m)それぞれ配列番号77、78および79に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号80、81および82に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a010)、
(n)それぞれ配列番号83、84および85に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号86、87および88に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a014)、
(o)それぞれ配列番号89、90および91に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号92、93および94に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a022)、
(p)それぞれ配列番号95、96および97に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号98、99および100に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a034)、
(q)それぞれ配列番号101、102および103に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号104、105および106に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a035)、
(r)それぞれ配列番号107、108および109に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号110、111および112に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02b006)、
(s)それぞれ配列番号113、114および115に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号116、117および118に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローン4)、ならびに
(t)それぞれ配列番号125、126および127に示される重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3、ならびにそれぞれ配列番号128、129および130に示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む抗体(クローン18)、ならびに
(u)少なくとも1個の置換、付加もしくは欠失を含む(a)~(t)から選択される抗体の変異体からなる群から選択される。
好ましい実施形態において、本発明において使用され得る抗体またはその抗原結合断片は、以下のクローン:01a033、01a002、02a010、02a002、clone18、02a014、02b006、01a042、01a017、01a026、01a016、01a030、clone4、または01a009の重鎖CDRおよび軽鎖CDRの配列を有する。これらのクローンは、TE14細胞の他、DU145細胞に対して優れたEC50値を示しめす。
さらなる別の態様では、上記抗体薬物複合体(ADC)を構成する抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、
(a)配列番号158に示される重鎖、および配列番号160に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a033)、
(b)配列番号126に示される重鎖、および配列番号128に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a002)、
(c)配列番号130に示される重鎖、および配列番号132に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a007)、
(d)配列番号134に示される重鎖、および配列番号136に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a016)、
(e)配列番号138に示される重鎖、および配列番号140に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a017)、
(f)配列番号142に示される重鎖、および配列番号144に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a021)、
(g)配列番号146に示される重鎖、および配列番号148に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a026)、
(h)配列番号150に示される重鎖、および配列番号152に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a009)、
(i)配列番号154に示される重鎖、および配列番号156に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a030)、
(j)配列番号162に示される重鎖、および配列番号164に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-01a042)、
(k)配列番号166に示される重鎖、および配列番号168に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a002)、
(l)配列番号170に示される重鎖、および配列番号172に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a006)、
(m)配列番号174に示される重鎖、および配列番号176に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a010)、
(n)配列番号178に示される重鎖、および配列番号180に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a014)、
(o)配列番号182に示される重鎖、および配列番号184に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a022)、
(p)配列番号186に示される重鎖、および配列番号188に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a034)、
(q)配列番号190に示される重鎖、および配列番号192に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02a035)、
(r)配列番号194に示される重鎖、および配列番号196に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローンK090-02b006)、ならびに
(s)配列番号198に示される重鎖、および配列番号200に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローン4)、
(t)配列番号202に示される重鎖、および配列番号204に示される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体(クローン18)、ならびに
(u)少なくとも1個の置換、付加もしくは欠失を含む(a)~(t)から選択される抗体の変異からなる群から選択される。
好ましい実施形態において、本発明において使用され得る抗体またはその抗原結合断片は、以下のクローン:01a033、01a002、02a010、02a002、clone18、02a014、02b006、01a042、01a017、01a026、01a016、01a030、clone4、または01a009の重鎖および軽鎖の配列を有する。これらのクローンは、TE14細胞の他、DU145細胞に対して優れたEC50値を示す。
上記抗体の変異体は、元の抗体のアミノ酸配列に対して、少なくとも、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、または約99%同一であるアミノ酸配列を有し得る。上記抗体の変異体は、フレームワークに少なくとも1個の置換、付加もしくは欠失を含んでもよい。
4.キット
さらなる別の態様において、本発明は、リンカー基を介して連結したキレート基を有する抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントと、放射性同位元素とを別個に格納したキットにも関する。当該キットは、本発明の放射性PET診断用トレーサー組成物の合成に好適である。場合により、かかる合成は、PET施設で汎用されている自動合成装置を用いて行うことができ、そのような自動合成装置は、放射性元素を含む医療用化合物を自動的に合成できる装置として広く市販されている。
典型的には、本発明のキットは、前記抗体又は前記フラグメントを溶媒に溶解させた溶液を格納した容器と、前記放射性同位元素を溶媒に溶解させた溶液を格納した容器とを含む構成を有する。この場合、「前記抗体又は前記フラグメントを溶媒に溶解させた溶液を格納した容器」は、前記抗体又は前記フラグメントを凍結乾燥した試料と、これを溶解させるための溶媒を含む形態とすることもできる。
一般に、自動合成装置においては、かかる原料化合物を格納するキットを「カセット」と呼ぶ場合がある。カセットは、放射性PET診断用トレーサー組成物の製造を実施するのに必要な試薬、反応容器及び機器を含む使い捨ての部材であり、自動合成装置に着脱自在かつ交換可能に装着できるように設計されている。当該カセットは、0.5~10mL、好ましくは0.5~5mL、最も好ましくは0.5~4mLの容積の複数の反応容器を有し、当該反応容器内に試薬又は溶媒を格納することができる。カセットを交換するだけで、放射能汚染のリスクを最小限に抑えながら各種のトレーサー組成物を自動化して製造できる点で有益である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.89Zr標識化抗体の合成
以下に示す操作により、本発明の89Zr標識化抗体([89Zr]Zr-DFO-anti-GPC1 mAb)を合成した。概要を図1に示す。
(1)[89Zr]Zrの製造
医療用小型サイクロトロン(HM-18、住友重機械工業)を用いて、イットリウム (Y) フォイルに陽子を照射し、89Y(p, n)89Zrの核反応により[89Zr]Zrを製造した。次いで、[89Zr]Zrを含むYフォイルを6N塩酸で溶解し、Zrレジン(TrisKem)にて精製(1Mシュウ酸)したものを標識合成に用いた。
(2)デフェロキサミン修飾抗体(DFO-anti-GPC1 mAb)の合成
マウス抗ヒトGPC1モノクロナール抗体[クローン01a033]または、ヒト化抗GPC1モノクロナール抗体[clone T2](anti-GPC1 mAb)2.0-2.5 mgを含む炭酸水素ナトリウム緩衝液 (pH9.0) 1mLに10mM1-(4-isothiocyanatophenyl)-3-[6,17-dihydroxy-7,10,18,21-tetraoxo-27-(N-acetylhydroxylamino)-6,11,17,22-tetraazaheptaeicosine]thiourea (p-SCN-Bz-DFO)/DMSO溶液を加え、37℃、550rpmの条件で30分間反応させることでDFO-anti-GPC1 mAbを調製した。調製後、PD-10カラム(GE)及びゲンチシン酸溶液 (0.25M酢酸ナトリウム緩衝液中5 mg/mL、pH 5.4-5.6)で精製したものを標識合成に用いた。
(3)89Zr標識化抗体([89Zr]Zr-DFO-anti-GPC1 mAb)の合成
89Zr]Zr溶液に2M炭酸ナトリウムを加えて、3分間静置後、0.5M HEPES緩衝液(pH7.1-7.3)及びDFO-anti-GPC1 mAb溶液、を加え(pH6.8)、27℃、550rpmの条件で60分間反応させることで[89Zr]Zr-DFO-anti-GPC1 mAbを得た。標識率がpHに大きく影響することを考慮し、始めにpHが6.5以下となるように反応液を調製し、その後pHメーターを用いてモニタリングしながら2 M炭酸ナトリウムにてpHを6.8に調整した。また、その後の標識化反応についても通常室温で実施するところヒートブロックを用いて27℃に固定した結果、安定した標識率で[89Zr]Zr-DFO-anti-GPC1 mAbが得られた。標識後、PD-10カラム及びゲンチシン酸溶液(0.25M酢酸ナトリウム緩衝液中5 mg/mL、pH 5.4-5.6)で精製したものを最終製剤とした。最終製剤は、ITLCにより放射化学的純度を測定し、その値は90%以上であった(図2)。
2.がん細胞への集積性の評価(PET試験)
(1)試験1
ヒト膵癌細胞(PANC-1)のxenograftマウス(n=6)を用いて、実施例1で得た89Zr標識化抗Glypican-1抗体( [89Zr]GPC1抗体)約1MBqを尾静脈より投与を行った。投与1時間後、1,2,4,7日後にPET/CT撮影を実施し、腫瘍ならびに主要臓器に画像解析ソフトPMODを用いて、関心領域を設定し、集積動態の変化を評価した。また7日目のPET撮像終了後に、主要臓器の重量・放射能カウント測定、ならびに腫瘍のGPC1免疫染色を実施した。投与1日後には[89Zr]GPC1抗体の腫瘍(PANC-1 xenograft)への明瞭な高集積を確認した(図3、矢印)。
また、7日目のPETイメージング後に解剖を行った後の、血液の放射線量を基準とした平均SUV(Standardized Uptake Value)値に基づき、[89Zr]GPC1抗体の腎臓への集積についての経時変化を測定した結果を図4に示す。同様に、SUVの最大値(SUVmax)のグラフを図5に示す。
さらに、本発明の[89Zr]GPC1抗体のマウス体内における分布(%ID/g)を示すグラフを図6に示す。この結果、肝臓・脾臓は抗体イメージングでの生理的高集積を呈する臓器であるが、一方、腫瘍には投与7日においても、%ID:6.7%(%ID/g: 8.2)の集積が確認された。
(2)試験2
次いで、ヒト膵癌細胞(BxPC3、BxPC3-GPC1KO)のxenograftマウス(各n=3)を用いて、[89Zr]GPC1抗体を約1.3MBqを尾静脈より投与して、両者の集積を比較した。抗体の投与1日後にPET/CT撮影を行い、その後、主要臓器の重量・放射能カウント測定、ならびに腫瘍のGPC1免疫染色を実施した。その結果、GPC1発現を認めないBxPC3-GPC1KO腫瘍では親株腫瘍に比べて、有意に低集積を示し、[89Zr]GPC1抗体がGPC1特異的に集積していることが確認された(図7)。
上記試験1と同様に、平均SUV値のグラフ、SUVmaxのグラフ、及び[89Zr]GPC1抗体のマウス体内の各臓器における分布(%ID/g)を示すグラフを、それぞれ図8~10に示す。その結果、腫瘍への有意な高集積が確認された。
(3)試験3
さらに、ヒト膵癌細胞(PANC-1)のxenograftマウスに対して、[89Zr]GPC1抗体の投与量を、1)20kBq;2)200kBq;3)2MBq;4)2MBq+非標識抗体300μgを尾静脈より投与した(各n=3)。ブロッキング群である条件4)については、非標識化抗体の投与に続けて[89Zr]GPC1抗体を投与した。抗体の投与1日後にPET/CT撮影を行い、その後、主要臓器の重量・放射能カウント測定、ならびに腫瘍のGPC1免疫染色を実施した。その結果、条件4)のブロッキング群は、2MBqの[89Zr]GPC1抗体のみを投与した条件3)の投与群と比較して有意な集積低下を認められた(図11)。この結果は、[89Zr]GPC1抗体の集積がGPC1特異的であることを示唆するものである。当該試験によるSUVmaxのグラフを図12に示す。
さらに、腫瘍における[89Zr]GPC1抗体の分布(%ID及び%ID/g)のグラフを、それぞれ図13及び図14に示す。その結果、いずれもブロッキング群(条件4)では、集積が優位に低くなった。また、マウス体内の各臓器における抗体分布(%ID/g)のグラフ(図15)により、腫瘍への有意な高集積が確認された。
配列番号1:ヒトGlypican-1核酸配列(NM_002081.2)
配列番号2:ヒトGlypican-1アミノ酸配列(P35052)
配列番号3:マウスGlypican-1核酸配列(NM_016696.4)
配列番号4:マウスGlypican-1アミノ酸配列(Q9QZF2)
配列番号5:K090-01a002の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号6:K090-01a002の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号7:K090-01a002の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号8:K090-01a002の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号9:K090-01a002の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号10:K090-01a002の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号11:K090-01a007の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号12:K090-01a007の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号13:K090-01a007の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号14:K090-01a007の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号15:K090-01a007の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号16:K090-01a007の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号17:K090-01a016の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号18:K090-01a016の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号19:K090-01a016の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号20:K090-01a016の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号21:K090-01a016の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号22:K090-01a016の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号23:K090-01a017の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号24:K090-01a017の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号25:K090-01a017の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号26:K090-01a017の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号27:K090-01a017の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号28:K090-01a017の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号29:K090-01a021の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号30:K090-01a021の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号31:K090-01a021の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号32:K090-01a021の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号33:K090-01a021の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号34:K090-01a021の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号35:K090-01a026の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号36:K090-01a026の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号37:K090-01a026の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号38:K090-01a026の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号39:K090-01a026の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号40:K090-01a026の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号41:K090-01a009の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号42:K090-01a009の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号43:K090-01a009の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号44:K090-01a009の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号45:K090-01a009の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号46:K090-01a009の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号47:K090-01a030の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号48:K090-01a030の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号49:K090-01a030の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号50:K090-01a030の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号51:K090-01a030の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号52:K090-01a030の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号53:K090-01a033の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号54:K090-01a033の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号55:K090-01a033の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号56:K090-01a033の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号57:K090-01a033の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号58:K090-01a033の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号59:K090-01a042の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号60:K090-01a042の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号61:K090-01a042の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号62:K090-01a042の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号63:K090-01a042の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号64:K090-01a042の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号65:K090-02a002の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号66:K090-02a002の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号67:K090-02a002の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号68:K090-02a002の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号69:K090-02a002の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号70:K090-02a002の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号71:K090-02a006の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号72:K090-02a006の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号73:K090-02a006の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号74:K090-02a006の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号75:K090-02a006の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号76:K090-02a006の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号77:K090-02a010の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号78:K090-02a010の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号79:K090-02a010の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号80:K090-02a010の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号81:K090-02a010の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号82:K090-02a010の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号83:K090-02a014の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号84:K090-02a014の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号85:K090-02a014の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号86:K090-02a014の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号87:K090-02a014の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号88:K090-02a014の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号89:K090-02a022の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号90:K090-02a022の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号91:K090-02a022の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号92:K090-02a022の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号93:K090-02a022の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号94:K090-02a022の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号95:K090-02a034の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号96:K090-02a034の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号97:K090-02a034の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号98:K090-02a034の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号99:K090-02a034の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号100:K090-02a034の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号101:K090-02a035の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号102:K090-02a035の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号103:K090-02a035の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号104:K090-02a035の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号105:K090-02a035の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号106:K090-02a035の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号107:K090-02b006の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号108:K090-02b006の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号109:K090-02b006の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号110:K090-02b006の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号111:K090-02b006の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号112:K090-02b006の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号113:クローン4の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号114:クローン4の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号115:クローン4の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号116:クローン4の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号117:クローン4の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号118:クローン4の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号119:クローン18の重鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号120:クローン18の重鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号121:クローン18の重鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号122:クローン18の軽鎖CDR1のアミノ酸配列
配列番号123:クローン18の軽鎖CDR2のアミノ酸配列
配列番号124:クローン18の軽鎖CDR3のアミノ酸配列
配列番号125:K090-01a002の重鎖の核酸配列
配列番号126:K090-01a002の重鎖のアミノ酸配列
配列番号127:K090-01a002の軽鎖の核酸配列
配列番号128:K090-01a002の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号129:K090-01a007の重鎖の核酸配列
配列番号130:K090-01a007の重鎖のアミノ酸配列
配列番号131:K090-01a007の軽鎖の核酸配列
配列番号132:K090-01a007の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号133:K090-01a016の重鎖の核酸配列
配列番号134:K090-01a016の重鎖のアミノ酸配列
配列番号135:K090-01a016の軽鎖の核酸配列
配列番号136:K090-01a016の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号137:K090-01a017の重鎖の核酸配列
配列番号138:K090-01a017の重鎖のアミノ酸配列
配列番号139:K090-01a017の軽鎖の核酸配列
配列番号140:K090-01a017の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号141:K090-01a021の重鎖の核酸配列
配列番号142:K090-01a021の重鎖のアミノ酸配列
配列番号143:K090-01a021の軽鎖の核酸配列
配列番号144:K090-01a021の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号145:K090-01a026の重鎖の核酸配列
配列番号146:K090-01a026の重鎖のアミノ酸配列
配列番号147:K090-01a026の軽鎖の核酸配列
配列番号148:K090-01a026の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号149:K090-01a009の重鎖の核酸配列
配列番号150:K090-01a009の重鎖のアミノ酸配列
配列番号151:K090-01a009の軽鎖の核酸配列
配列番号152:K090-01a009の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号153:K090-01a030の重鎖の核酸配列
配列番号154:K090-01a030の重鎖のアミノ酸配列
配列番号155:K090-01a030の軽鎖の核酸配列
配列番号156:K090-01a030の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号157:K090-01a033の重鎖の核酸配列
配列番号158:K090-01a033の重鎖のアミノ酸配列
配列番号159:K090-01a033の軽鎖の核酸配列
配列番号160:K090-01a033の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号161:K090-01a042の重鎖の核酸配列
配列番号162:K090-01a042の重鎖のアミノ酸配列
配列番号163:K090-01a042の軽鎖の核酸配列
配列番号164:K090-01a042の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号165:K090-02a002の重鎖の核酸配列
配列番号166:K090-02a002の重鎖のアミノ酸配列
配列番号167:K090-02a002の軽鎖の核酸配列
配列番号168:K090-02a002の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号169:K090-02a006の重鎖の核酸配列
配列番号170:K090-02a006の重鎖のアミノ酸配列
配列番号171:K090-02a006の軽鎖の核酸配列
配列番号172:K090-02a006の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号173:K090-02a010の重鎖の核酸配列
配列番号174:K090-02a010の重鎖のアミノ酸配列
配列番号175:K090-02a010の軽鎖の核酸配列
配列番号176:K090-02a010の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号177:K090-02a014の重鎖の核酸配列
配列番号178:K090-02a014の重鎖のアミノ酸配列
配列番号179:K090-02a014の軽鎖の核酸配列
配列番号180:K090-02a014の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号181:K090-02a022の重鎖の核酸配列
配列番号182:K090-02a022の重鎖のアミノ酸配列
配列番号183:K090-02a022の軽鎖の核酸配列
配列番号184:K090-02a022の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号185:K090-02a034の重鎖の核酸配列
配列番号186:K090-02a034の重鎖のアミノ酸配列
配列番号187:K090-02a034の軽鎖の核酸配列
配列番号188:K090-02a034の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号189:K090-02a035の重鎖の核酸配列
配列番号190:K090-02a035の重鎖のアミノ酸配列
配列番号191:K090-02a035の軽鎖の核酸配列
配列番号192:K090-02a035の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号193:K090-02b006の重鎖の核酸配列
配列番号194:K090-02b006の重鎖のアミノ酸配列
配列番号195:K090-02b006の軽鎖の核酸配列
配列番号196:K090-02b006の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号197:クローン4の重鎖の核酸配列
配列番号198:クローン4の重鎖のアミノ酸配列
配列番号199:クローン4の軽鎖の核酸配列
配列番号200:クローン4の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号201:クローン18の重鎖の核酸配列
配列番号202:クローン18の重鎖のアミノ酸配列
配列番号203:クローン18の軽鎖の核酸配列
配列番号204:クローン18の軽鎖のアミノ酸配列

Claims (16)

  1. 放射性同位元素で標識化された抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、放射性PET診断用トレーサー組成物。
  2. 前記放射性同位元素が、リンカー基を介して前記抗体又は前記フラグメントに連結したキレート基と錯形成している、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記キレート基が、多座配位子を有する基である、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記キレート基が、アミド基、N-ヒドロキシアミド基、アミノ基、及びカルボキシル基よりなる群から選択される1以上の官能基を含む、請求項2又は3に記載の組成物。
  5. 前記キレート基が、デフェロキサミンに由来する基を含む、請求項2~4のいずれか1に記載の組成物。
  6. 前記放射性同位元素が、89Zr、64Cu、18F、及び68Gaよりなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1に記載の組成物。
  7. がんを診断するために用いられる、請求項1~6のいずれか1に記載の組成物。
  8. 前記がんが、膵臓がん又は食道がんである、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記抗Glypican-1抗体が、ヒト抗体又はヒト化抗体である、請求項1~8のいずれか1に記載の組成物。
  10. Glypican-1の発現を抑制する薬剤による治療の必要性を診断するためのコンパニオン診断薬であって、請求項1~9のいずれか1に記載の組成物を含むコンパニオン診断薬。
  11. 前記薬剤が、抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントと、任意の医薬化合物とが化学的に連結した構造を有する抗体薬物複合体(ADC)である、請求項10に記載のコンパニオン診断薬。
  12. 前記治療が、がんの治療である、請求項10又は11に記載のコンパニオン診断薬。
  13. リンカー基を介して連結したキレート基を有する抗Glypican-1抗体又はその抗原結合フラグメントと、放射性同位元素とを別個に格納したキット。
  14. 前記抗体又は前記フラグメントを溶媒に溶解させた溶液を格納した容器と、前記放射性同位元素を溶媒に溶解させた溶液を格納した容器とを含む、請求項13に記載のキット。
  15. 前記放射性同位元素が、89Zr、64Cu、18F、及び68Gaよりなる群から選択される、請求項13又は14に記載のキット。
  16. 請求項1に記載の放射性PET診断用トレーサー組成物の合成に用いるための、請求項13~15のいずれか1に記載のキット。
JP2021208620A 2021-12-22 2021-12-22 抗Glypican-1抗体を含む放射性PET診断用トレーサー組成物 Pending JP2023093161A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021208620A JP2023093161A (ja) 2021-12-22 2021-12-22 抗Glypican-1抗体を含む放射性PET診断用トレーサー組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021208620A JP2023093161A (ja) 2021-12-22 2021-12-22 抗Glypican-1抗体を含む放射性PET診断用トレーサー組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023093161A true JP2023093161A (ja) 2023-07-04

Family

ID=87001013

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021208620A Pending JP2023093161A (ja) 2021-12-22 2021-12-22 抗Glypican-1抗体を含む放射性PET診断用トレーサー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023093161A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220135698A1 (en) J591 minibodies and cys-diabodies for targeting human prostate specific membrane antigen (psma) and methods for their use
Van de Watering et al. Zirconium‐89 labeled antibodies: a new tool for molecular imaging in cancer patients
Zhang et al. PET tracers based on Zirconium-89
Kaur et al. Recent trends in antibody-based oncologic imaging
JP5139626B2 (ja) モノクローナル抗体hPAM4
KR101228124B1 (ko) 단클론 항체 pam4 및 췌장암의 진단 및 치료를 위한이들의 용도
Moreau et al. DOTAGA-trastuzumab. A new antibody conjugate targeting HER2/Neu antigen for diagnostic purposes
JP2006516086A (ja) α−フェトタンパク質Immu31抗体および融合タンパク質ならびにその使用方法
Spiegelberg et al. CD44v6‐Targeted Imaging of Head and Neck Squamous Cell Carcinoma: Antibody‐Based Approaches
US20230340111A1 (en) Antibody fragment against folr1
Turker et al. An EGFR targeted PET imaging probe for the detection of colonic adenocarcinomas in the setting of colitis
JP2017503763A (ja) Gcc発現細胞を撮像するための化合物及び組成物
JP2009292815A (ja) 腫瘍診断に使用するための抗−Metモノクローナル抗体、そのフラグメントおよび誘導体、対応する組成物およびキット
JP2017214308A (ja) 放射性医薬組成物、及び、放射能標識抗体のスクリーニング方法
US20240307564A1 (en) Anti-cldn18.2 antibody conjugates
US20120207672A1 (en) Selective detection of bone metastases in renal clear cell carcinoma
JP2023093161A (ja) 抗Glypican-1抗体を含む放射性PET診断用トレーサー組成物
CN117813326A (zh) 基于放射的导蛋白-1的检测、伴随测试和治疗方法
WO2024041574A1 (en) Non-invasive methods using anti-cldn18.2 antibody-radionuclide conjugates
WO2024183634A1 (en) Radiolabeled antibody conjugates and uses thereof
US20230293738A1 (en) B7H3 Antibodies with Chelators
WO2022157373A1 (en) Compositions and kits for in vivo imaging of cardiac sarcoidosis
WO2022156907A1 (en) Method and kit for labeling a biomolecule with one or more detectable labels, including a radiolabel
FORTUNATO RADIOLABELLED PD-L1 INHIBITOR MONOCLONAL ANTIBODIES: SYNTHESIS, CHARACTERIZATION AND VALIDATION
Fung Leveraging Antibodies for Positron Emission Tomography and Near-Infrared Fluorescence Imaging of Cancer