JP2017214308A - 放射性医薬組成物、及び、放射能標識抗体のスクリーニング方法 - Google Patents

放射性医薬組成物、及び、放射能標識抗体のスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射免疫療法を利用して腹腔内転移した腫瘍を効果的に治療するための技術を提供する。【解決手段】本発明は、腹腔内転移した腫瘍細胞に発現する抗原に対して特異的な放射能標識抗体を有効成分として含む、腹腔内腫瘍を治療するための放射性医薬組成物を提供するものである。【選択図】なし

Description

本発明は、放射性医薬組成物、及び、その有効成分である放射能標識抗体のスクリーニング方法に関する。
腹膜転移は、胃がんや大腸がん、卵巣がんなどの腹腔内臓器に発生したがんが、それら臓器の表面を覆っている膜を突き破って腹腔内にこぼれ落ち、直接に広がるという独特の転移をする。腹膜播種は、腹膜転移により腹腔内広範囲にがん転移巣が広がった状態で、大腸がん、胃がん、膵臓がん、卵巣がん等の多種のがんにおける進行した状態で発見される。こうした腹腔内に散在した腫瘍は、外科手術では病巣を取り切れない他、術後化学療法を行っても予後が極めて不良である。そのため、現状を改善する新規治療戦略の開発が求められている。
非特許文献1に記載されるように、放射能標識抗体は、広く播種した病巣にも特異的に結合し、選択的に内部放射線照射を与えて制御することが期待されている。このような放射能標識抗体を用いた標的療法(放射免疫療法)を目指して、131I、90Y、153Sm、186Re、188Re等用いる放射性核種の選択や、モノクローナル抗体のキメラ化・ヒト型化など、標的に効率的に免疫抱合体(腫瘍関連抗原を認識するモノクローナル抗体を放射線同位元素で標識したもの)を集積させるための諸課題に国内外の研究者が取り組み、臨床においても研究が行われたが、悪性リンパ腫においては優れた治療効果が得られたものの、固形癌について有効性が確立された放射免疫療法はほとんどない。
放射性銅(Cu−64、半減期12.7時間)は、βおよびβと放出するため、PET(Positron emission tomography)イメージングのみならず、治療にも注目される放射性核種である。セツキシマブは、抗上皮成長因子受容体(EGFR)の細胞外ドメインに特異結合する、Ig1に属する組換えヒト・マウスキメラ化モノクローナル抗体であるが、非特許文献2、3では、セツキシマブをCu−64で標識し、PETイメージングや体内分布により腫瘍集積を評価した例が開示されている。
近畿大医誌第33巻第3号193〜198頁 J. Nucl. Med., 2011, 52 (supplement 1):1607 Mol. Pharmaceutics, 2014, 11, 3980-3987
しかしながら、上記非特許文献2,3には、Cu−64で標識したセツキシマブを用いて、皮下移植腫瘍に対する生体内分布や腫瘍への放射能集積量を調べた例は開示される一方、腹腔内転移巣に対して、生体内分布や腫瘍への放射能集積量、腫瘍を実際に治療した例は開示されていない。
また、放射免疫療法は、必ずしも患者のがんに放射能標識抗体が結合するとは限らず、奏功しない場合があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、放射免疫療法を利用して腹腔内転移した腫瘍を効果的に治療するための技術を提供することにある。
本発明の一態様は、腹腔内転移した腫瘍細胞に発現する抗原に対して特異的な放射能標識抗体を有効成分として含む、腹腔内腫瘍を治療するための放射性医薬組成物である。
本発明の他の態様は、一以上の放射能標識抗体を用いて、患者の腹腔内より採取した腫瘍細胞に対する、前記放射能標識抗体の結合性を評価するステップと、前記腫瘍細胞に対する前記放射能標識抗体の結合性に基づいて、前記放射能標識抗体の少なくとも一つを腹腔内に散在する腫瘍の治療薬の有効成分として選択するステップと、を含む、放射能標識抗体のスクリーニング方法である。
本発明によれば、放射免疫療法を利用して腹腔内転移した腫瘍を効果的に治療することができる。具体的には、治療前に、本発明のスクリーニング方法により、腹腔内転移した腫瘍細胞に特異的に発現する抗原に対して特異的な放射能標識抗体を選択し、これを有効成分として含有する放射性医薬組成物を用いて腹腔内腫瘍を治療する。これにより、個々の患者に適した放射免疫療法を行うことができ、より高い治療効果を得ることが可能になる。
正常マウスに尾静脈投与した64Cu標識セツキシマブ(64Cu-PCTA-Cetuximab)の体内分布を示す図である。 正常マウスに腹腔内投与した64Cu標識セツキシマブ(64Cu-PCTA-Cetuximab)の体内分布を示す図である。 腹膜播種モデルに尾静脈投与又は腹腔内投与した64Cu標識セツキシマブ(64Cu-PCTA-Cetuximab)の腹腔内腫瘍における集積を示す図である。 64Cu標識セツキシマブ(64Cu-PCTA-Cetuximab)及び64Cu標識トラスツズマブ(64Cu-PCTA-Trastuzumab)を用いた抗体結合性評価の結果を示す図である。 腹膜播種モデルマウスの治療効果をHCT116−RFP蛍光イメージングにより観察した結果を示す図である。 内照射治療又は既存の分子標的治療を受けた腹膜播種モデルマウスの生存率をカプランマイヤー生存曲線で示す図である。 PET(Positron emission tomography)を用いたイメージガイド手術の様子を示す図である。 PETを用いた腹膜播種モデルマウスのイメージガイド手術の様子を示す図である。(a)は、腹膜播種モデルマウスを示す図である。(b)は、術者から見えるリアルタイムPET画像であり、右矢印が肝臓、左矢印が腫瘍を示す。(c)は、臓器に隠れて腫瘍は肉眼で見えないことを示す図である。(d)は、リアルタイムPET画像を見ながら手術を行う様子を示す図である。(e)は、13mm大の腫瘍を摘出した様子を示す図である。(f)は、腫瘍摘出後のPET画像であり、左矢印が、摘出部位には放射能集積がないことを示し、右矢印は、腫瘍摘出後に確認された腫瘍を示す。 蛍光顕微鏡を用いた腹膜播種モデルマウスのイメージガイド手術の様子を示す図である。(a)は、PET装置付属の蛍光顕微鏡で観察した様子の一部を示す図である。(b)は臓器裏に隠れた腫瘍が蛍光では観察できないことを示す図である。(c)はPET装置付属の蛍光顕微鏡で観察した様子の一部を示す図である。(d)は摘出された腫瘍から蛍光が観察されたことを示す図である。 PETを用いた腹膜播種モデルマウスのイメージガイド手術の様子を示す図である。(a)は腹膜播種モデルマウスを示す図である。(b)は、術者から見えるリアルタイムPET画像であり、右矢印が肝臓、左矢印が腫瘍を示す。(c)は、リアルタイムPET画像を見ながら手術を行う様子を示す図である。矢印は、摘出した腫瘍を示す。(d)は、リアルタイムPETより、残存腫瘍を発見した例を示す図である。左下の矢印が残存腫瘍を示す。(e)は、残存腫瘍を摘出した様子を示す図である。右端の矢印が摘出した腫瘍であり、その他の矢印が残存腫瘍である。(f)は、残存腫瘍摘出後のPET画像である。右下の矢印が摘出腫瘍であり、摘出腫瘍の上の2つの矢印がそれぞれ残存腫瘍を示す。 PETを用いた腹膜播種モデルマウスのイメージガイド手術の様子を示す図である。(a)は腹膜播種モデルマウスを示す図である。(b)は、術者から見えるリアルタイムPET画像であり、矢印が腫瘍を示す。(c)は、(b)の拡大図であり、矢印が腫瘍を示す。(d)は、リアルタイムPET画像を見ながら手術を行う様子を示す図である。(e)は、3mm大の腫瘍を摘出した様子を示す図であり、矢印が摘出腫瘍を示す。(f)は、腫瘍摘出後に腫瘍が確認したが、残存部位には放射能集積がないことを示すPET画像である。 正常マウスにおけるPET画像を示す図である。(a)がPET解析画像である。左が腹膜播種モデルマウスの画像であり、右が正常マウスの画像である。各画像の右矢印が肝臓を示す。腹膜播種モデルマウス画像の左矢印が腫瘍を示す。(b)がリアルタイムPET画像である。左が腹膜播種モデルマウスの画像であり、右が正常マウスの画像である。各画像の右矢印が肝臓を示す。腹膜播種モデルマウス画像の左矢印が腫瘍を示す。 64Cu標識セツキシマブを使った内照射治療効果をHCT116−RFP蛍光イメージングにより観察した結果を示す図である。(a)は、PETを用いたイメージガイド手術群を示し、(b)は、PETを用いたイメージガイド手術+放射免疫治療群を示し、(c)は、偽手術群を示す。 64Cu標識セツキシマブを使った内照射治療を受けた腹膜播種モデルマウスの生存率をカプランマイヤー生存曲線で示す図である。
[放射能標識抗体]
本発明において「放射能標識抗体」とは、放射性核種を標識したモノクローナル抗体である。
この明細書において「放射性核種」とは、放射線内用療法に用いられるものであれば制限されず、アルファ線、ベータ線及びオージェ電子からなる群から選択される少なくとも一種を放出するものであればよく、例えば、放射性銅(64Cu)、放射性ストロンチウム(89Sr)、放射性イットリウム(90Y)、放射性ヨウ素(131I)、放射性エルビウム(169Er)、放射性レニウム(186Re、188Re)が挙げられるが、放射性銅(64Cu)がより好ましい。64Cuが放出するオージェ電子は、腫瘍細胞に対し、高い線エネルギー付与をすることができるため、治療耐性が高いがん細胞にも効果的である。また、64Cuは飛程が約1−2mmと比較的短いため、副作用を軽減できる。また、64Cuは大量安定生産が可能であり、実用面でも優れている。
本発明において「モノクローナル抗体」とは、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体のいずれも含まれ、例えば、抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体、抗ヒトEGFR関連物質2(HER2)抗体、抗インテグリン抗体が挙げられる。EGFR抗体としては、セツキシマブ、パニツムマブ、ネシツムマブが例示される。また、HER2抗体としては、トラスツズマブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ エムタンシン(T−DM1)が挙げられる。本発明では、好ましくは、モノクローナル抗体として、セツキシマブ又はトラスツズマブが用いられる。
本発明の放射能標識抗体は、一般的な抗体標識法を用いてモノクローナル抗体を放射性核種で標識することで合成することができるが、例えば、イソシアネート基又はN-ヒドロキシスクシンイミジル基が導入されたキレート剤を、モノクローナル抗体のリシン残基の側鎖アミノ基やN末端アミノ基に作用させた後、放射性金属元素と錯形成させることで、合成することができる。錯形成しない放射性核種を用いる場合は、放射性核種が導入されたイソシアネート化合物の又はN-ヒドロキシスクシンイミド化合物をモノクローナル抗体の上記アミノ基に作用させてもよい。放射性核種は、既知の方法で得ることができる。
本発明の放射能標識抗体の一例として、二官能性キレート剤を用いて、放射性銅でモノクローナル抗体を標識したものが挙げられる。二官能性キレート剤としては、1,4,7,10-tetraazacyclododecane-1,4,7,10-tetraacetic acid(DOTA)、1,4,7-triazacyclononane-triacetic acid(NOTA)、1,4,7-tris(carboxymethylaza)cyclododecane-10-azaacetyl amide(DO3A)、3,6,9,15-tetraazabicyclo[9.3.1]-pentadeca-1(15),11,13-trience-3,6,9-triacetic acid(PCTA)が例示される。これら二官能性キレート剤にイソシアネート基又はN-ヒドロキシスクシンイミジル基を導入し、これに、モノクローナル抗体のリシン残基の側鎖アミノ基又はN末端アミノ基に作用させることで、モノクローナル抗体にキレート部位を導入する。その後、キレート部位に放射性銅(64Cu)を錯形成させることで、64Cu標識抗体を得ることができる。
なお、64Cu標識抗体は、上述の例に限定されず、例えば、J. Label Compd. Radiopharma, 2014, 57, 224-230に挙げられた種々のキレート剤、及び、方法を用いて合成することができる。
[放射能標識抗体のスクリーニング方法]
本発明の一の態様である、放射能標識抗体のスクリーニング方法は、少なくとも評価ステップ(a)及び選択ステップ(b)の2ステップを含むものである。
評価ステップ(a)は、腫瘍細胞に対する放射能標識抗体の結合性を評価するステップである。この腫瘍細胞は、対象患者の腹腔内から採取したものであり、例えば、外科手術により摘出した検体の全部もしくは一部、腹水もしくは針生検から採取したものが挙げられる。好ましくは、腹膜に転移した腫瘍細胞であり、より好ましくは、腹腔内に存在する臓器に由来する腫瘍が腹膜に転移したものであり、大腸癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、肝臓癌に由来するものを例示することができる。
放射能標識抗体としては、前述のものを少なくとも一以上使用し、それぞれ、PBSなどの緩衝液、その他体液に近似した環境下で腫瘍細胞と一定時間反応させる。その後、遠心分離など行って残渣の放射能標識抗体を取り除いた後、腫瘍細胞を回収し、腫瘍細胞に結合した放射能標識抗体から放出される放射能を測定する。そして、腫瘍細胞に対し使用した放射能標識抗体の放射能の全量を100%とし、これに対する腫瘍細胞から測定された放射能、すなわち腫瘍細胞に結合した放射能標識抗体の放射能の比率(=腫瘍細胞に結合した放射能標識抗体の放射能量/使用した放射能標識抗体の放射能量)を算出する。腫瘍細胞に結合した放射能標識抗体の放射能の比率が高いほど、対象腫瘍細胞に対する放射能標識抗体の特異性が高いと評価できる。放射能の測定は、64Cu標識抗体を用いた場合は、例えば、γカウンタ―を使用することができる。
選択ステップ(b)は、対象患者の腹腔内から採取した腫瘍細胞に特異的な放射能標識抗体を選択するステップである。このステップでは、評価ステップ(a)で評価された腫瘍細胞に対する放射能標識抗体の結合性に基づいて、対象患者の治療に最適な放射能標識抗体を選択すればよい。例えば、腫瘍細胞に結合した放射能標識抗体の放射能の比率が所定値以上であった放射能標識抗体を選択してもよいし、複数の放射能標識抗体の中から、腫瘍細胞に結合した放射能標識抗体の放射能の比率が相対的に高いものを一種又は二種以上選択してもよい。
選択ステップ(b)で選択した放射能標識抗体を有効成分として含む放射性医薬組成物を投与することで、対象患者に適した放射免疫治療を行うことができる。
[放射性医薬組成物]
本発明の一態様である放射性医薬組成物は、腹腔内転移した腫瘍細胞に発現する抗原に対して特異的な放射能標識抗体を有効成分として含むものである。本発明において「腹腔内転移した腫瘍細胞に発現する抗原に対して特異的な放射能標識抗体」とは、対象患者の腹腔内で転移した腫瘍細胞に対する抗体結合性が高いものをいい、かかる抗体結合性は、前述したスクリーニング方法を用いて評価することができる。また、本発明における「腹腔内転移した腫瘍細胞に発現する抗原に対して特異的な放射能標識抗体」は、前述したスクリーニング方法を用いて選択することができる。
本発明の一態様である放射性医薬組成物は、腹腔内転移した腫瘍の治療に用いられるものであり、大腸、胃、膵臓、卵巣、肝臓など腹腔内に存在する臓器に由来する腫瘍が、別の腹腔内臓器に転移した場合の治療に用いることができる。好ましくは、腹膜転移により腹腔内に散在した腫瘍の治療に用いられることができ、より好ましくは、腹膜播種の治療に用いられる。
本発明の一態様である放射性医薬組成物は、「腹腔内転移した腫瘍細胞に発現する抗原に対して特異的な放射能標識抗体」を有効成分としてそのまま含んでいてもよいし、薬理学的に許容され得る担体、希釈剤、若しくは賦形剤とともに製剤化されていてもよい。剤形は、経口投与又は非経口投与のいずれかに適したものであればよいが、例えば注射剤などの非経口投与の剤形が好ましい。この放射性医薬組成物は、好ましくは腹腔内投与されるため、腹腔内投与に適した剤形がより好ましい。腹腔内投与することにより、静脈投与と比較して短時間で、有効性成分の放射能標識抗体を腹腔内腫瘍に集積させることができる。したがって、腫瘍病巣に高線量を集中させることが可能になる。
本発明の一態様である放射性医薬組成物の投与量は、投与対象となる患者の種別、年齢、性別、体重、症状、投与法などによって異なり特に限定されないが、一般の内照射治療用の放射性医薬品において通常採用されている範囲を採用することができる。また、本発明の放射性医薬組成物は、単回投与されてもよいし、複数回投与されてもよい。
また、本発明の放射性医薬組成物は、腹腔内投与した後、放射能標識抗体から放出される放射線を体外より検出しながら、腹腔内腫瘍を切除するために用いられてもよい。これにより、物理的形状で確認し難い微細な腫瘍も削除でき、術後は、内照射治療を行うことができる。例えば、64Cu標識抗体を使用することで、PET(positron emission tomography)を用いたイメージガイド手術と同時に内照射治療を行うことが可能である。イメージガイド手術で使用するPET装置としては、例えば、WO2012−164664に記載される、体軸方向に2分割した検出器リングを離して配置し、物理的に開放された視野領域(オープンスペース)を有するオープンPET装置を用いることが好ましい。64Cu標識抗体は、臓器深部に存在する腫瘍の検出も可能で、既存の蛍光プローブを用いた術中迅速診断では検出できない深部腫瘍を発見できる利点を有する。また、PETで画像化しきれない非常に小さい腫瘍は、同時に放射免疫療法を行うことで、治療することができる。
以下、実施例を記載して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
セツキシマブは、メルクセローノ株式会社から入手した「アービタックス(登録商標)注射液100mg」を用いた。
トラスツズマブは、中外製薬株式会社から入手した「ハーセプチン(登録商標)注射用150」を用いた。
3,6,9,15-tetraazabicyclo[9.3.1]-pentadeca-1(15),11,13-trience-3,6,9-triacetic acid(PCTA)は、Macrocyclics, Inc.から入手した。
64Cuは、McCarthyらの方法(Nuclear medicine and biology,vol.24,1997,pp.35-43)及びObataらの方法(Nuclear medicine and biology,vol.30,2003,pp.535-539)に準じて製造・精製した。
ヒト大腸がん細胞(HCT116)のRFP過剰発現株(HCT116−RFPは、Yoshii et al 2016 International Journal of Oncology, vol.48, pp.1477-1484 4に従い作製した。
マウスは、日本エスエルシー株式会社から入手したBALB/c Slc−nu/nu(雌性)、6週齢のものを使用した。
(実施例1)64Cu標識セツキシマブ(64Cu-PCTA-Cetuximab)の合成
標識は、以下の様な条件で行った。まず、セツキシマブ溶液(「アービタックス(登録商標)注射液100mg」そのまま)をホウ酸緩衝液(0.05mol/L,pH8.5)にbuffer置換し、2mg/mLに濃度調節を行った。その後、PCTAを5等量になるよう混合し、37°Cで一昼夜反応させた。その後、得られたセツキシマブ−PCTA溶液を0.1mol/Lクエン酸アンモウム緩衝液(pH5.5)にbuffer置換し、2mg/mLに濃度を調節した。得られた溶液に、0.1mol/Lクエン酸アンモウム緩衝液(pH5.5)で溶解した64Cuを加え、40℃で60分間反応させ、セツキシマブ−PCTA結合体に64Cuを標識した。必要があれば、標識後の64Cu標識放射性抗体をゲルろ過カラムで精製し、その後、以下に条件を示すラジオTLCにより純度検定試験を行い、放射化学的純度95%以上の64Cu標識放射性抗体を得た。
<ラジオTLCによる純度検定試験>
TLCプレート:シリカゲルプレート(製品名:Silica gel60、メルク株
式会社製)
展開相:80%メタノール
検出:フルオロイメージアナライザー(形式:FLA−7000,富士フイルム株式会社製)
(実施例2)64Cu標識トラスツズマブ(64Cu-PCTA-Trastuzumab)の合成
標識は、以下の様な条件で行った。まず、「ハーセプチン(登録商標)注射用150」のトラスツズマブ含有バイアルにハーセプチン濃度が6mg/Lになるように生理食塩液を加えてトラスツズマブ溶液を調製した。このトラスツズマブ溶液をホウ酸緩衝液(0.05mol/L,pH8.5)にbuffer置換し、2mg/mLに濃度調節を行った。その後、PCTAを5等量になるよう混合し、37℃で一昼夜反応させた。その後、得られたトラスツズマブ−PCTA溶液を0.1mol/Lクエン酸アンモニウム緩衝液(pH5.5)にbuffer置換し、2mg/mLに濃度を調節した。得られた溶液に、0.1mol/Lクエン酸アンモニウム緩衝液(pH5.5)で溶解した64Cuを加え、40℃で60分間反応させ、トラスツズマブ−PCTA結合体に64Cuを標識した。必要があれば、標識後の64Cu標識放射性抗体をゲルろ過カラムで精製し、その後、実施例1に示す条件と同じラジオTLCにより純度検定試験を行い、放射化学的純度95%以上の64Cu標識放射性抗体を得た。
(実施例3)体内動態
正常マウスに対し、実施例1に示す方法に従って合成した64Cu標識セツキシマブ(3.7MBq/20μg/100μL)を尾静脈又は腹腔内に投与した。投与後、3時間、6時間、18時間、24時間、48時間後にマウスを犠牲死させ、各臓器を摘出した。摘出した臓器の重量を計測した他、放射能をγカウンターで測定し、放射能濃度(%ID/g)を決定した。
正常マウスにおける体内動態における集積を図1、図2にそれぞれ示す。図1は、尾静脈投与した結果であり、図2は、腹腔内投与した結果である。各臓器への集積は、静脈投与・腹腔内投与ともにおおむね低いことが示された。腹腔内投与においては、腹水の放射能濃度は、6時間までは高かったが、それ以降は血中レベルまで低下していた。
(実施例4)腹腔内腫瘍における集積
ヒト大腸がん細胞(HCT116)のRFP過剰発現株(HCT116−RFP)を用い、腹膜播種モデルを作成した。本検討で使用したモデルは、HCT116−RFP細胞(3×10細胞)を500μL PBSに溶解し、マウス腹腔内に移植し、1週間経たものを使用した。作製したモデルマウス4匹に対し、実施例1に示す方法に従って合成した64Cu標識セツキシマブ(3.7MBq/20μg/100μL)を尾静脈又は腹腔内にそれぞれ投与した。3時間、6時間、18時間、24時間、48時間後に、マウスを犠牲死させ、蛍光実体顕微鏡で確認しながら腫瘍(2−3mm前後)を取り出し、OCTコンパウンドを用い、凍結切片(8μm)を作成した。同様に、100%ID/g、50%ID/g、25%ID/g、12.5%ID/g、6.25%ID/g、3.13%ID/gとなるように作成した標準サンプル(20%ゼラチン中)でも切片(標準切片)を作成した。腫瘍切片、標準切片ともに、イメージングプレートを使用し、オートラジオグラフィーイメージを得た。標準切片のシグナル強度から、検量線を作成し、腫瘍切片における放射能濃度(%ID/g)を計算した。なお、本法で腫瘍臓器(肝臓・腎臓・筋肉)についても放射能濃度を測定したが、γカウンターで決定した放射能濃度とほぼ一致していた。
結果を図3に示す。64Cu標識セツキシマブは、静脈投与・腹腔内投与ともに、腫瘍に良好な集積を示すことが明らかとなった。特に、64Cu標識セツキシマブを腹腔内投与することで、尾静脈投与と比較して、早期から腫瘍に対し高い集積を集められることが示された。
実施例3、4の結果から、以下の放射免疫治療並びに術中迅速診断に関する検討は、マウス腹腔内に存在する腫瘍に対して、64Cu標識抗体を腹腔内投与することで行った。また、術中迅速診断に関しては、腹水の放射能濃度が低減する投与後24時間後の時点で行った。
(実施例5)抗体結合性事前診断〔放射能標識抗体のスクリーニング〕
ヒト大腸がん細胞(HCT116)細胞のRFP過剰発現株(HCT116−RFP)を用い、64Cu標識セツキシマブ並びに64Cu標識トラスツズマブの結合性を評価した。HCT116−RFP細胞(1×10細胞/mL)に実施例1に示す方法に従って合成した64Cu標識セツキシマブ、及び、実施例2に示す方法に従って合成した64Cu標識トラスツズマブを各々14.8kBqずつ加え、1時間氷上で反応させた後、遠心後細胞を回収した。直ちに、PBSで細胞を洗浄し、得られた細胞を1mLのPBSに溶解し、γカウンターを用いて放射能を測定し、細胞に結合した放射能の割合を算出した。
結果を図4に示す。図4に示すとおり、HCT116−RFP細胞では、64Cu標識セツキシマブの結合性が高い一方で、64Cu標識トラスツズマブの結合性が低いことが明らかとなった。
(実施例6)個別化放射免疫治療
HCT116−RFP細胞を移植した腹膜播種モデルを使用し、64Cu標識セツキシマブ及び64Cu標識トラスツズマブを用いた放射免疫治療実験を行った。
ヒト大腸がん細胞(HCT116)細胞のRFP過剰発現株(HCT116−RFP)を用い、腹膜播種モデルを作成した。本検討で使用したモデルは、HCT116−RFP細胞(0.5×10細胞)を500μL PBSに溶解し、マウス腹腔内に移植し、1週間経たものを使用した。作製したモデルマウスに対し、実施例1に示す方法に従って合成した64Cu標識セツキシマブ、又は、実施例2に示す方法に従って合成した64Cu標識トラスツズマブを腹腔内投与(22.2MBq/20μg/100μL)し、投与日を治療開始0日目として治療を行い、治療効果を生理食塩水を同様に投与したコントロール群と比較した。また、放射性標識していない抗体を用いた既存の分子標的治療の効果と比較する目的で、セツキシマブ投与群(1mg/kg,実験期間中週2回投与)、並びにトラスツズマブ投与群(1mg/kg,実験期間中週2回投与)の検討も行った。治療経過は、RFPシグナルを蛍光イメージング装置(IVIS)で計測したほか、体重測定・マウス全身状態の観察を経時的に行った。腹部の膨張、治療開始0日目の体重に対し20%を超える体重減少、全身虚弱をエンドポイントの指標とした。
結果を図5、6に示す。図5は、腹膜播種モデルの治療効果をHCT116−RFP蛍光イメージングにより観察した結果を示す図である。また、図6は、内照射治療又は既存の分子標的治療を受けた腹膜播種モデルの生存率をカプランマイヤー生存曲線で示す図である。本検討は、各群n=6で、生存率は、実験に使用した全匹数に対する生存匹数の割合を百分率で示したものとした。
図5に示すとおり、64Cu標識セツキシマブによる内照射治療では、コントロール群と比較し、腫瘍の増殖が抑制されていることが明らかとなった。64Cu標識トラスツズマブによる内照射治療、並びに、セツキシマブ及びトラスツズマブによる分子標的治療では、コントロール群と比較し、有意差は見られなかった。
また、図6に示すとおり、64Cu標識セツキシマブ投与群では、生存が有意に延長されていた(P<0.05)。一方、64Cu標識トラスツズマブ投与群及びその他の群は、コントロール群と比較し、有意差は見られなかった。
これにより、抗体結合性事前診断により結合性が高かった64Cu標識セツキシマブが腹膜播種モデルにおいて高い治療効果を有することが示された。また、その効果は既存の分子標的治療よりも高かった。
(実施例7)術中迅速診断(リアルタイムPET手術)
ヒト大腸がん細胞(HCT116)のRFP過剰発現株(HCT116−RFP)を用い、腹膜播種モデルを作成した。本検討で使用したモデルは、HCT116−RFP細胞(1×10細胞)を50μL PBSに溶解し、50μLのマトリゲルと混合したうえで、マウス腹腔内に移植することで作成した。マウスA,Bについては下腹部脊椎付近に、マウスCについては腹腔中心部に移植した。1週間後、実施例1に示す方法に従って合成した64Cu標識セツキシマブを腹腔内投与し(7.4MBq/20μg/100μL)、24時間後PETガイド下手術を行い、術中迅速診断が可能か評価した(図7)。PETガイド下手術には、OpenPET(登録商標)(Yamaya et al. IEEE 2013, Tashima IEEE 2012他,WO2012−164664他)を使用した。
図8〜9がマウスAのPETガイド下手術の様子を示す図であり、図10がマウスBのPETガイド下手術の様子を示す図であり、図11がマウスCのPETガイド下手術の様子を示す図である。
図8(a)はマウスAを示す図である。図8(b)は、術者から見えるリアルタイムPET画像であるが、左矢印で示すとおり、PETにより腹腔深部に腫瘍が発見された。同腫瘍は、図8(c)で示すとおり、皮膚を切開し開腹した状態においては、臓器に隠れて肉眼で確認できなかった。図8(d)は、リアルタイムPET画像を見ながら手術を行う様子を示す図であるが、図8(d)で示すとおり、PETガイド下手術を行うことにより、リアルタイムに観察しながら、腫瘍の切除を行い、図8(e)で示すように、13mm大の腫瘍を摘出した。図8(f)は、腫瘍摘出後のPET画像であるが、左矢印で示すように、摘出後、腫瘍の残存部位には高い集積は確認されなかった。
また、マウスAについては、PET装置に付属の蛍光イメージング顕微鏡でも観察を行った。図9(a)、(c)はマウスAを用いたPETガイド下手術の様子をPET装置付属の蛍光顕微鏡で観察した様子を示す図である。図9(b)で示すように、皮膚を切開し開腹した状態においては、同腫瘍は臓器裏に隠れて蛍光では観察できなかったが、図9(d)で示すように、摘出組織からは蛍光が観察され、腫瘍であることが確認された。
図10(a)はマウスBを示す図である。図10(b)は、術者から見えるリアルタイムPET画像であるが、左矢印で示すように、PET画像により腹腔深部に腫瘍が発見された。図10(c)で示すように、PETガイド下手術を行うことにより、リアルタイムに観察しながら、腫瘍の切除を行い、1cm程度の腫瘍を摘出した。摘出後、図10(d)の左下の矢印で示すように、PET画像により腫瘍の取り残しが確認されたため、図10(e)で示すように、PET画像により、リアルタイムに観察しながら、再度腫瘍を切除し、1cm程度の腫瘍を2個摘出した。図10(e)中、右端の矢印が先に摘出した腫瘍であり、その他の矢印が摘出した残存腫瘍である。図10(f)は、残存腫瘍摘出後のPET画像であるが、腫瘍の残存部位には高い集積は確認されなくなった。なお、マウスA、Bと同様に処理したマウスにおける腫瘍(約1cm大)への放射能集積は、17.56±5.18%ID/g(n=16)であった。
図11(a)は、マウスCにおいてマウス腹腔内に腫瘍を移植した様子を示す図である。図11(b)は、術者から見えるリアルタイムPET画像であり、図11(c)は、(b)の拡大図であるが、図11(b)、(c)の矢印で示す通り、右脇腹に比較的小さい腫瘍をPET画像により発見した。図11(d)で示すように、PETガイド下手術により、リアルタイムに観察しながら、腫瘍の切除を行い、図11(e)の矢印で示すとおり、3mm大の腫瘍を摘出した。摘出後、腫瘍の残存部位には高い集積は確認されなかった(図11(f))。
これらの検討から、抗体結合性事前診断に基づき選択された64Cu標識セツキシマブを用い術中迅速診断を行うことで、肉眼では発見できない深部の腫瘍、残存腫瘍、比較的小さい数ミリ程度の腫瘍を摘出できることが示された。
(実施例8)正常マウスによる検討
正常マウスに、実施例1に示す方法に従って合成した64Cu標識セツキシマブ(7.4MBq/20μg/100μL)を正常マウスに腹腔内投与し、24時間後にPET撮像により画像を取得した。
結果を図12に示す。図12(a)がPET解析画像であり、図12(b)がリアルタイムPET画像である。図12(a)、(b)の各図において、左が実施例7の腹膜播種モデルマウスAの画像であり、右が正常マウスの画像である。各画像の右矢印が肝臓を示す。腹膜播種モデルの左矢印が腫瘍を示す。図12に示すとおり、腹部に生理的集積はほとんど見られず、バックグラウンドは低いことが確認された。
(実施例9)放射免疫治療と術中迅速診断法の応用(リアルタイムPET手術と放射免疫治療の併用)
HCT116−RFP細胞を移植し病気が進行した進行性腹膜播種モデルを使用し、64Cu標識セツキシマブを用いたリアルタイムPET手術と放射免疫治療の組み合わせ使用による効果を検討した。
本検討では、ヒト大腸がん細胞(HCT116)細胞のRFP過剰発現株(HCT116−RFP)を用い、進行性腹膜播種モデルを作成した。本検討で使用したモデルは、HCT116−RFP細胞(0.5×10細胞)を500μL PBSに溶解し、マウス腹腔内に移植し、4週間経たものを使用した。作製したモデルマウスを、(i)64Cu−PETガイド下手術群(診断容量の64Cu標識セツキシマブを投与し、24h後にPETガイド下で開腹・腫瘍摘出を行い、閉腹を行う)、(ii)64Cu−PETガイド下手術+放射免疫治療群(治療容量の64Cu標識セツキシマブを投与し、48時間後にPETガイド下で開腹・腫瘍摘出を行い、閉腹を行う)、(iii)偽手術群(64Cu−PETガイド下手術群・64Cu−PETガイド下手術+放射免疫治療群と同様に手術を行うがPETガイドは行わない、64Cu標識セツキシマブは投与しない)に分け検討を行った。(i)は、診断容量の64Cu標識セツキシマブ(7.4MBq/20μg/100μL)を、(ii)治療容量の64Cu標識セツキシマブ(22.2MBq/20μg/100μL)をそれぞれ腹腔内投与した。また、(iii)では生理食塩水を同様に投与した。各群の投与日を治療開始0日目とした。治療経過は、RFPシグナルを蛍光イメージング装置(IVIS)で計測したほか、体重測定・マウス全身状態の観察を経時的に行った。腹部の膨張、治療開始0日目に比較して20%を超える体重減少、全身虚弱をエンドポイントの指標とした。
結果を図13、14に示す。図13(a)は、64Cu−PETガイド下手術群(i)を示し、図13(b)は、64Cu−PETガイド下手術+放射免疫治療群(ii)を示し、図13(c)は、偽手術群(iii)を示す。図13に示すとおり、蛍光イメージング観察より、64Cu−PETガイド下手術+放射免疫治療群(ii)、及び、64Cu−PETガイド下手術群(i)は、偽手術群(iii)と比較し、腫瘍の増殖が抑制されていた。図14は、(i)〜(iii)の各群の生存率をカプランマイヤー生存曲線で示す図である。本検討は、各群n=8で、生存率は、実験に使用した全匹数に対する生存匹数の割合を百分率で示したものとした。64Cu−PETガイド下手術+放射免疫治療群(ii)は、偽手術群(iii)及び64Cu−PETガイド下手術群(i)と比較し、生存が有意に延長されていた(P<0.05)。64Cu−PETガイド下手術群は、偽手術群と比較し、生存が延長する傾向が見られたが、有意差は見られなかった。
これらの検討から、64Cu標識セツキシマブを用いた放射免疫治療と術中迅速診断法の組み合わせは、進行性腹膜播種に有用であることが示された。
以上の結果から、本発明によれば、放射免疫療法を利用して腹腔内に散在する腫瘍を効果的に治療できることが示唆された。

Claims (9)

  1. 腹腔内転移した腫瘍細胞に発現する抗原に対して特異的な放射能標識抗体を有効成分として含む、腹腔内腫瘍を治療するための放射性医薬組成物。
  2. 前記放射能標識抗体は、放射性銅で標識されたモノクローナル抗体である、請求項1に記載の放射性医薬組成物。
  3. 前記放射能標識抗体は、二官能性キレート剤を用いて、前記放射性銅で前記モノクローナル抗体を標識したものである、請求項2に記載の放射性医薬組成物。
  4. 前記二官能性キレート剤が、3,6,9,15-tetraazabicyclo[9.3.1]-pentadeca-1(15),11,13-trience-3,6,9-triacetic acid(PCTA)である、請求項3に記載の放射性医薬組成物。
  5. 前記モノクローナル抗体は、抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体又は抗ヒトEGFR関連物質2(HER2)抗体である、請求項2乃至4いずれか一項に記載の放射性医薬組成物。
  6. 前記モノクローナル抗体は、セツキシマブ又はトラスツズマブである、請求項5に記載の放射性医薬組成物。
  7. 腹腔内投与されるための、請求項1乃至6いずれか一項に記載の放射性医薬組成物。
  8. 腹腔内投与した後、前記放射能標識抗体から放出される放射線を体外より検出しながら腹腔内腫瘍を切除するために用いられる、請求項7に記載の放射性医薬組成物。
  9. 一以上の放射能標識抗体を用いて、患者の腹腔内より採取した腫瘍細胞に対する、前記放射能標識抗体の結合性を評価するステップと、
    前記腫瘍細胞に対する前記放射能標識抗体の結合性に基づいて、前記放射能標識抗体の少なくとも一つを腹腔内腫瘍の治療薬の有効成分として選択するステップと、
    を含む、放射能標識抗体のスクリーニング方法。
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WO2022230390A1 (ja) * 2021-04-27 2022-11-03 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 放射性医薬組成物の中間体の保存方法、放射性医薬組成物の調製または保存方法、放射性医薬組成物の中間体組成物、および、医薬製剤
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