JP2023091898A - 被覆顔料粒子、水系着色剤分散体、インク、インクセットおよび画像形成物 - Google Patents

被覆顔料粒子、水系着色剤分散体、インク、インクセットおよび画像形成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、インク化時の溶剤に対する安定性が高く、各種バインダー樹脂との相溶性に優れた、透明性の高い水系着色剤分散体、これを用いたインク、インクセット、および画像形成物の提供を目的とする。【解決手段】 (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位、芳香族単量体単位、複素環単量体単位、およびα-オレフィン単量体単位からなる群より選択される1種以上の疎水性単量体単位、ならびに無水マレイン酸変性単量体単位を含む樹脂で顔料粒子を被覆してなる被覆顔料粒子であって、無水マレイン酸変性単量体単位が、ポリオールによる変性構造を有する、被覆顔料粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、インク等に使用する被覆顔料粒子に関する。
インクジェット記録用途に使用する水性顔料インクは、顔料の分散安定性が必要である。
顔料を樹脂で被覆する手法として、特許文献1には、α-オレフィン・無水マレイン酸共重合体をモノアルコールで変性した樹脂を用いた顔料分散体が開示されている。
特開平11-246813号公報
しかし、従来の顔料分散体は、水溶性溶剤やバインダー樹脂を配合するインク製造工程で、水溶性溶剤によるソルベントショックで顔料の分散安定性が低下する問題、バインダー樹脂と相溶性が悪い問題があった。
本発明は、ソルベントショックが生じ難く、バインダー樹脂種によらず相溶性が良好な被覆顔料の提供を目的とする。
本発明の被覆顔料粒子は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位、芳香族単量体単位、複素環単量体単位、およびα-オレフィン単量体単位からなる群より選択される1種以上の疎水性単量体単位、ならびに無水マレイン酸変性単量体単位を含む樹脂(A)で顔料粒子(B)を被覆してなる被覆顔料粒子であって、無水マレイン酸変性単量体単位が、ポリオール(C)による変性構造を有する、被覆顔料粒子である。
上記の本発明によれば、本発明は、ソルベントショックが生じ難く、バインダー樹脂種によらず相溶性が良好な被覆顔料を提供できる。また、本発明は、水系着色剤分散体、インク、インクセット、および画像形成物を提供できる。
本明細書の用語を定義する。「C.I.」は、カラーインデックス番号である。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートである。単量体は、重合前のエチレン性不飽和基含有化合物であり、モノマーともいう。単量体単位は、単量体が重合後に樹脂に組み込まれた状態である。塗工物は、印刷物、画像形成物、塗装物と同義語である。
本発明の被覆顔料粒子は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位、芳香族単量体単位、複素環単量体単位、およびα-オレフィン単量体単位からなる群より選択される1種以上の疎水性単量体単位、ならびに無水マレイン酸変性単量体単位を含む樹脂(A)で顔料粒子(B)を被覆してなる被覆顔料粒子であって、無水マレイン酸変性単量体単位が、ポリオール(C)による変性構造を有する、被覆顔料粒子である。
本発明の被覆顔料粒子は、例えば、インクジェット記録用インク、静電荷像現像用トナー、塗料、グラビアインク、オフセットインク、フレキソインク等の各種用途に使用できる。これらの中でもインクジェット記録用インクが好ましい。
本発明の被覆顔料粒子は、ポリオールによって変性された樹脂によって顔料を被覆されているため、末端の水酸基がバインダー樹脂との相溶性が高い。前記相溶性は、ポリオールがポリオキシエチレン等のエーテル構造を有すればさらに向上する。また、ポリオールによって樹脂の酸無水物基同士を架橋することで樹脂の顔料への吸着がより強固になるため各種溶剤に対する安定性が向上する。さらに、架橋剤を使用する場合に生じる酸価の低下によらず架橋を形成することで電荷反発による分散安定性を維持できる。なお、本明細書の課題を解決できる範囲内であれば一般的な架橋剤を使用できる。
<樹脂(A)>
樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位、芳香族単量体単位、複素環単量体単位、およびα-オレフィン単量体単位からなる群より選択される1種以上の疎水性単量体単位、ならびに無水マレイン酸変性単量体単位を含む。
[疎水性単量体単位]
疎水性単量体単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位、芳香族単量体単位、複素環単量体単位、およびα-オレフィン単量体単位からなる群より選択される1種以上の疎水性単量体単位である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位は、(メタ)アクリル酸直鎖又は分岐アルキルエステル単量体単位および(メタ)アクリル酸脂肪族環アルキルエステル単量体単位が挙げられる。
(メタ)アクリル酸直鎖又は分岐アルキルエステル単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体類;等が挙げられる。なお、アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、3~20がより好ましい。
(メタ)アクリル酸脂肪族環アルキルエステル単量体は、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体;等が挙げられる。なお、脂肪族環を構成する炭素数は、5~30が好ましく、6~20がより好ましい。
芳香族基単量体は、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸芳香族環エステル単量体;
スチレン、及びα-メチルスチレン等の芳香族基含有ビニル単量体等が挙げられる。
複素環基単量体は、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート、等の複素環基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体類;
2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、1-ビニルピペリジン、2-ビニルピペリジン、2-ビニルフラン、3-ビニルフラン、1-ビニルピペリジン、1-ビニル-2-ピロリドン、1-ビニルイミダゾール等の複素環基含有ビニル単量体等が挙げられる。
α-オレフィン単量体は、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-イコセン、1-テトラコセン、1-トリアコンタセン等のα-オレフィン類等が挙げられる。α-オレフィン単量体の炭素数は、4~32が好ましく、10~24がより好ましい。
疎水性単量体単位は、単独または2種以上を併用して使用できる。
疎水性単量体単位は、α-オレフィン単量体単位が好ましい。前記単位中の炭化水素鎖が、顔料粒子(B)に対し効果的に吸着することにより、温度変動保管下における粘度安定性が向上する。
また樹脂(A)は無水マレイン酸変性単量体単位を含む。無水マレイン酸単量体単位はアルコール、ポリオールと反応させることにより官能基を樹脂(A)中に導入できる。前記反応は、ジアザビシクロウンデセンなどの塩基性触媒の存在下で反応を行うなど、適切な反応条件を選択することが好ましい。
樹脂(A)は、その他単量体単位を含有できる。その他単量体は、例えば、親水性基含有単量体、ビニル単量体(ただし、前記疎水性単量体を除く)、環状炭酸エステル単量体等が挙げられる。親水性基含有単量体は、水酸基、カルボキシ基、スルホ酸基またはリン酸基等の親水性基を有する単量体である。
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、あるいはヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN-(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは、ヒドロキシ基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、2-(又は3-)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-(又は3-又は4-)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいはヒドロキシ基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、2-(又は3-)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2-(又は3-又は4-)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテル、さらに、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N-(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルあるいはヒドロキシアルキルアリルエーテルにアルキレンオキサイド及び/ 又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体等のヒドロキシ基含有単量体;等が挙げられる。
カルボキシ基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、イタコン酸モノメチルエステル等のイタコン酸ハーフエステル、マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル等のマレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノエチルエステルのフマル酸ハーフエステル、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸モノメチルエステルのテトラヒドロフタル酸ハーフエステル、クロトン酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及びω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、ベタイン構造を有する化合物等のカルボキシ基含有単量体;等が挙げられる。
スルホ酸基含有単量体は、例えば、ビニルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、p-スチレンスルホン酸ナトリウム塩、3-(アクリロイルオキシ)プロパン-1-スルホン酸、3-(アクリロイルオキシ)プロパン-1-スルホン酸カリウム塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリロニトリル-tert-ブチルスルホン酸、ベタイン構造を有するエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等のスルホ基含有単量体;等が挙げられる。
リン酸含有単量体は、例えば、ビニルホスホン酸、2-アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート;等が挙げられる。
ビニル単量体単位は、例えば、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
ポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールアリルエーテル、等のアルキレンオキシ基含有アリルモノマー単量体;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイル モルホリン等のN 置換型(メタ)アクリルアミド単量体;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル単量体;
メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(ポリ)エチレングリコールアクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキレンオキシ基含有(メタ)アクリル酸単量体;
酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル単量体;等が挙げられる。
環状炭酸エステル基含有単量体は、例えば、以下のような単量体が挙げられる。
Figure 2023091898000001

Figure 2023091898000002

Figure 2023091898000003
その他単量体は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
樹脂(A)の重合方法としては、ランダム重合、ブロック重合、リビングラジカル重合、交互共重合など、従来公知のいずれの重合方法も採用できる。
樹脂(A)の重合物中の疎水性単量体単位の含有量は、全単量体単位中1~99モル%が好ましく、20~80モル%がより好ましい。
疎水性単量体単位と無水マレイン酸単量体単位とのモル比は、8:1~1:2が好ましく、2:1~2:3がより好ましい。
樹脂(A)の酸価は1~350mgKOH/gが好ましく、50~250mgKOH/gがより好ましく、100~170mgKOH/gがさらに好ましい。酸価を上記範囲とすることで、電荷反発により十分な分散安定性が得られる。
樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は、1,000~100,000が好ましく、5,000~50,000がより好ましく、7,000~30,000がさらに好ましい。また、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した多分散度(Mw/Mn)は、3.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.2以下が最も好ましい。
樹脂(A)は、融点を有する樹脂であることが好ましい。樹脂(A)の融点は100℃未満であることが好ましい。さらに好ましくは90℃以下である。より好ましくは80℃以下である。100℃以上であると、水系媒体中で分散する際に高温で分散する必要性が生じる場合があり、水の蒸発が激しく分散体を作製することが困難となる場合がある。
<ポリオール(C)>
本明細書で無水マレイン酸変性単量体単位が、ポリオール(C)による変性構造を有するとは、無水マレイン酸単量体単位の酸無水物基にポリオールを反応させることで、無水マレイン酸単量体単位が開環し、ポリオールとのエステル構造と、カルボン酸を形成した状態を指す。また、無水マレイン酸変性単量体単位が、ポリオール(C)による架橋構造を有するとは、2か所以上の無水マレイン酸単量体単位が1分子のポリオールによって変性され、ポリオールを介してつながった状態を指す。
無水マレイン酸変性単量体単位のポリオールによる架橋は、酸無水物基に対し0.01モル%~20モル%が好ましく、0.1モル%~10モル%がより好ましい。ポリオールによる架橋は無水マレイン酸変性単量体と反応させるポリオールの量を調整することで制御することができ、以下の式で計算できる。
ポリオール架橋値=1-ポリオール(を含むアルコール)のモル数÷無水マレイン酸変性単量体のモル数(ただし負の値になる場合は0とする)
本明細書では、無水マレイン酸変性単量体が、ポリオールおよび炭素数4以下のモノアルコールによる変性構造を有することが好ましい。前記ポリオールおよび炭素数4以下のモノアルコールのモル比は、20:80~0.01:99.99が好ましい。モノアルコール、ポリオールを反応させる順番に特に制限はなく、どちらかを先に反応させても構わないし、同時に反応させても構わないし、交互に反応させても構わない。また、被覆顔料粒子を作製する際に変性させても構わない。なお、ポリオールのモル数はポリオール1分子が1か所の無水マレイン酸単量体単位を変性させる場合は価数1、1分子のポリオールが2か所の無水マレイン酸単量体単位を変性させる(後述の架橋に相当)場合は価数2として計算する。
ポリオールは、例えば、ジアルコール、トリアルコール等が挙げられる。特に、構造中の少なくとも2つの水酸基の位置が離れているものが好ましい。さらに、構造中にエーテル構造を持つものが好ましい。
ポリオールは、例えば、1,2-アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(別名:プロパン-1,2-ジオール)、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール等のアルカンジオール類)、1,2-アルカンジオールを除くポリオール(ポリオール類)(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール(別名:1,3-ブチレングリコール)、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等)等が挙げられる。
ポリオールは単独または2種類以上を併用して使用できる。ポリオールのうち少なくとも1種類は、エーテル結合を持つポリオールを用いることが好ましい。エーテル結合を持つポリオールを用いることで、バインダーとの相溶性を向上させることができる。
また、ポリオールの一部をモノアルコールに置き換えることもできる。
モノアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、デカノールおよびこれらの構造異性体、アルコールエトキシレート、アルコールプロピオキシエート、環状炭酸エステル基含有アルコール等が挙げられる。中でも炭素数4以下のモノアルコールが好ましい。炭素数4以下のモノアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール等が挙げられる。
環状炭酸エステル基含有アルコールは、例えば、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2023091898000004

Figure 2023091898000005

Figure 2023091898000006
また、本発明の被覆顔料粒子はポリオールの一部が2部位以上の無水マレイン酸変性単量体単位と反応し、架橋構造をとっていることが好ましい。ポリオールが無水マレイン酸単量体単位と反応し架橋構造を取ることで、後述するエポキシドによる架橋と比べて酸価の低下が起こらないため、電荷反発による分散安定性を十分に確保することができる。
樹脂(A)の被覆量は、顔料粒子100質量部に対して、1~200質量部が好ましく、10~100質量部がより好ましい。なお、樹脂(A)は、本願に課題を解決できる範囲で顔料粒子(B)の一部または全部を被覆する。
<顔料粒子(B)>
本発明の被覆顔料粒子に用いる顔料は、公知の有機顔料、無機顔料が使用できる。
有機顔料は、例えば、C.I.ピグメント レッド 3,5,19,22,31,38,42,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,147,149,150,166,168,169,170,176,177,178,179,184,185,202,208,209,216,226,242,254,255,257,269,291;
C.I.ピグメント グリーン 7,26,36,50,58,59,62,63;
C.I.ピグメント ブルー 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,17:1,22,27,28,29,36,60;
C.I.ピグメント オレンジ 13,16,20,34,36,38,43,62,64,71,73;
C.I.ピグメント イエロー 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,120,128,129,137,138,139,150,153,154,155,157,166,167,168,174,180,185,193,213,234;
C.I.ピグメント バイオレット 3,19,23,29,30,37,50,88;
C.I.ピグメント ブラウン 25;
C.I.ピグメント ブラック 28,26,31,32;
C.I.ピグメント ホワイト 6,18,21等が挙げられる。
無機顔料は、C.I.ピグメント ブラック、C.I.ピグメント ホワイト 6、21等が挙げられる。
顔料は、単独または2種以上を併用して使用できる。
[色素誘導体]
本発明に用いる被覆顔料粒子や水系着色剤分散体には、必要に応じて色素誘導体を添加することができる。
色素誘導体は、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する化合物である。色素誘導体は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物及びこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばフタロシアニン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、等が挙げられる。
色素誘導体は、単独または2種類以上を併用して使用できる。また、後述の被覆顔料粒子の製造時に添加しても構わないし、水系着色剤分散体を製造するときに添加しても構わない。
<被覆顔料粒子の製造方法>
本発明の被覆顔料粒子の製造は、樹脂(A)を、顔料粒子(B)の表面に被覆し、被覆顔料粒子を得る工程を有することが好ましい。
樹脂(A)を顔料粒子(B)の表面に被覆する工程としては、従来公知の製造方法を採用することができる。例えば、ソルトミリング法、湿式分散法、乾式共粉砕法などが挙げられる。中でも顔料粒子(B)により強固に樹脂(A)を被覆することができるソルトミリング法が好ましい。
ソルトミリング法とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
水溶性無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられ、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。水溶性無機塩の使用量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料(A)100質量部に対して、50~2,000質量部が好ましく、300~1,000質量部がより好ましい。
水溶性有機溶剤は、顔料および水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤の使用量は、顔料(B)100質量部に対して、5~1,000質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましい。
ソルトミリング後の顔料粒子の平均一次粒子径は5nm~200nm程度が好ましく、20nm~130nm程度がより好ましい。なお、平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡にて倍率10,000倍で撮影した複数枚の写真より抽出した顔料粒子の一次粒子100個について、一次粒子の長径を算術平均することにより求めることができる。
本発明の水系着色剤分散体は、被覆顔料粒子、および水系媒体を含む。
<水系媒体(D)>
水系媒体(D)は、水、および水と混和する水溶性有機溶剤が挙げられる。
水溶性有機溶剤は、例えば、ポリオール類、ポリオールアルキルエーテル類、ポリオールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、その他水溶性溶剤等が挙げられる。
[水]
水は、通常の水道水でも良いが、イオン交換水、蒸留水、精製水が好ましい。水が含有する金属イオン量の総量は、10ppm以下が好ましく、1ppm以下がより好ましく、100ppb以下がさらに好ましい。特にカルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の2価以上の金属イオンは、樹脂(A)中の酸基と架橋するため、可能な限り抑制することが好ましい。これにより、水系着色剤分散体を使用するインクジェット記録用インクは、ノズル詰まりが発生しにくくなる。
[水溶性有機溶剤]
ポリオール類は、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、ペトリオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3-ジメチル-1,2-ブタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、5-ヘキセン-1,2-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリオールアルキルエーテル類は、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
ポリオールアリールエーテル類は、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル等が挙げられる。
含窒素複素環化合物は、例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチルイミイダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
アミド類は、例えば、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
アミン類は、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物類は、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、等が挙げられる。
その他水溶性溶剤は、糖が好ましい。糖類は、例えば、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類を含む)、多糖類等が挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等が挙げられる。なお、多糖類とは広義の糖を意味し、α-シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む。また、これらの糖類の誘導体は、糖類の還元糖(例えば、糖アルコール〔一般式:HOCH(CHOH)nCHOH(ただし、n=2~5の整数を表す)で表される〕、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸等が挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが好ましく、マルチトール、ソルビットがより好ましい。
水性媒体(D)は、これらの中でも水、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-へプタンジオールが好ましい。
水系媒体(D)は、単独または2種以上を併用して使用できる。
[塩基性化合物]
塩基性化合物は、樹脂(A)の酸基を中和できる化合物である。塩基性化合物は、無機塩基、有機塩基が挙げられる。
無機塩基は、例えば、水酸化リチウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、オルソ珪酸ナトリウム,メタ珪酸ナトリウム,セスキ珪酸ナトリウム等の珪酸のアルカリ金属塩、リン酸三ナトリウム等のリン酸のアルカリ金属塩、炭酸二ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸二カリウム等の炭酸のアルカリ金属塩、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸のアルカリ金属塩、アンモニア;
有機塩基は、例えば、メチルアミン,ジメチルアミン,トリメチルアミン,エチルアミン,ジエチルアミン,トリエチルアミン等のアルキルアミン、アミノエタノール,メチルアミノエタノール,ジメチルアミノエタノール,エチルアミノエタノール,ジエチルアミノエタノール,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、メトキシポリ(オキシエチレン/ オキシプロピレン)-2-プロピルアミン等のノニオン性基を有するアミン等が挙げられる。
塩基性化合物は、単独または2種以上を併用して使用できる。
<架橋剤(E)>
本発明の水系着色剤分散体は、架橋剤(E)を含むことが好ましい。架橋剤(E)を含むことで、顔料粒子表面を被覆した樹脂(A)と架橋し強固な三次元構造を形成することで、温度が変動する過酷な環境下においても粘度安定性が向上する。これによりインクジェット記録用インク用途に使用すると吐出安定性が向上する。
架橋剤(E)は、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、アンモニア、アミノ基または第四級アンモニウム塩、チオール基、アジリジニル基、カルボジイミド基、およびオキサゾリン基等を有する化合物が挙げられる。特に樹脂(A)がカルボキシ基を有する場合、エポキシ基含有化合物を添加することで、樹脂(A)中のカルボキシ基と反応し強固な三次元構造を形成するため好ましい。また、樹脂(A)が環状炭酸エステル基を有する場合、アンモニア、アミノ基、および第四級アンモニウム塩から選択される1種以上の官能基を有する化合物を添加することで、樹脂(A)中の環状炭酸エステル基と反応し強固な三次元構造を形成するため好ましい。架橋剤(E)の重量平均分子量または式量は、100~2,000が好ましく、120~1,500がより好ましく、150~1,000がさらに好ましい。
架橋剤(E)の添加量は、樹脂(A)中の反応性官能基のモル数に対し、0.2~1.5当量が好ましく、0.5~1.2当量がより好ましい。架橋剤(E)の添加量を前記範囲とすることで、より強固な三次元構造を形成することができる。
エポキシ基含有化合物は、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルオルトフタレート、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
オキセタニル基含有化合物は、例えば、4,4´-(3-エチルオキセタン-3-イルメチルオキシメチル)ビフェニル(OXBP)、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(EHO)、1,4-ビス[{(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ}メチル]ベンゼン(XDO)、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル(DOX)、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル(DOE)、1,6-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]ヘキサン(HDB)、9,9-ビス[2-メチル-4-{2-(3-オキセタニル)}ブトキシフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-[2-{2-(3-オキセタニル)}ブトキシ]エトキシフェニル]フルオレン等が挙げられる。
イソシアネート基含有化合物は、例えば、有機ポリイソシアネート又はイソシアネート基末端プレポリマーが挙げられる。有機ポリイソシアネートは、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;トリレン-2,4-ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;脂環式ジイソシアネート;芳香族トリイソシアネート;それらのウレタン変性体等の変性体等が挙げられる。
イソシアネート基末端プレポリマーは、有機ポリイソシアネート又はその変性体と低分子量ポリオール等との反応で合成できる。イソシアネート基含有化合物は、3つのイソシアネート基を有する化合物が好ましい。その他ブロックイソシアネート化合物も同様に使用できる。
アミノ基、および第四級アンモニウム塩含有化合物は、例えば、ヒドラジド、カルボジヒドラジド、チオカルボヒドラジド、オキサリルジヒドラジド等の、ジアミン;
エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、ラウリルプロピレンジアミン、エチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、1,4-ブタンジオールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,13-ジアミノ-4,7,10-トリオキサトリデカン、ポリオキシプロピレンジアミン、メタントリアミン、1,2,3-プロパントリアミン、1,8-ジアミノ-4-アミノメチルオクタン、3-(2-アミノエチル)ペンタン-1,5-ジアミン、1,4,7-トリアミノシクロノナン-1,4,7-トリイド、ブタン-1,1,4,4-テトラアミン、2,4-ジメチル-4-エチルアミノ-2,3,5-トリアミノヘキサン、2,3-ビス(ジアミノメチル)ブタン-1,1,4,4-テトラアミン、1,2-ビス(メチルアミノ)エタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、ブタン-1,1,4-トリメチルアミン、ブタン-1,1,4,4-テトラメチルアミン、1,2-ビス(ジメチルアミノ)エタン、ブタン-1,1,4-トリジメチルアミン、ブタン-1,1,4,4-テトラジメチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ビスヘキサメチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、バリンジヒドラジド、テトラエチレンペンタミン、3,3´-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(4-アミノエチル)アミン、3,3´-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(4-アミノエチル)アミン、1-メチルアミノ-2-ジメチルアミノエタン、直鎖ポリエチレンイミン、分岐鎖ポリエチレンイミン等の、アルキレンジアミン;
1,2-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン(TCDジアミン)、イソプロピル-2,4-ジアミノシクロヘキサン、イソプロピル-2,6-ジアミノシクロヘキサン、4,4´-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4´-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、アダマンタン-1,3-ジアミン、シクロヘキサン-1,3,5-トリアミン、2,3,5-トリアミノビシクロ[2,2,1]ヘプタン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン等の、脂環ジアミン;
o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン、2,2´-ジアミノジフェニルメタン、4,4´-ジアミノジフェニルメタン、4,4´-ジアミノジフェニルエーテル、3,3‘-ジアミノジフェニルスルホン、キシリレンジアミン、トリス(4-アミノフェニル)メタン、1,2,4-ベンゼントリアミン、メラミン、ベンゼン-1,2,4,5-テトラアミン、ピリミジン-2,4,5,6-テトラアミン、3,3´-ジアミノベンジジン、テトラアミノフタロシアニン、イソフタル酸ジヒドラジド等の、芳香環ジアミン;
ブタン-1,4-ビスアンモニウムクロライド等の、第四級アンモニウム塩含有化合物が挙げられる。
チオール基含有化合物は、例えば、メタンチオール、エタンチオール、チオフェノール等が挙げられる。
アジリジニル基含有化合物は、例えば、N,N´-ジフェニルメタン-4,4´-ビス(1-アジリジンカルボキサイト)、N,N´-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル-1-(2-メチルアジリジン)、トリ-1-アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N´-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキサイト)、2,2´-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ-β-アジリジニルプロピオネート、トリス-2,4,6-(1-アジリジニル)-1,3,5-トリアジン、4,4´-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
カルボジイミド基含有化合物は、例えば、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネート化合物を脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドが挙げられる。高分子量ポリカルボジイミドの市販品は、例えば、日清紡績社製のカルボジライトシリーズ等が挙げられる。
オキサゾリン基含有化合物は、例えば、脂肪族基又は芳香族基に2個以上、好ましくは2~3個のオキサゾリン基が結合した化合物、2,2-ビス(2-オキサゾリン)、1,3-フェニレンビスオキサゾリン、1,3-ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物、該化合物と多塩基性カルボン酸とを反応させて得られる末端オキサゾリン基含有化合物等が挙げられる。
これらの中でもエポキシ基含有化合物が好ましく、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルオルトフタレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルが好ましく、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルがより好ましい。なお、架橋剤(E)は、架橋効率の面から、適度に水系媒体(D)に溶解することが好ましい。溶解度は、架橋剤を25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が0.1~50gが好ましく、0.2~40gがさらに好ましく、0.5~30gがより好ましい。市販品としては、ナガセケムテックス社製デナコールシリーズ等が挙げられる。
架橋剤(E)は、単独または2種以上を併用して使用できる。
<水系着色剤分散体の製造>
水系着色剤分散体の製造は、被覆顔料粒子と水系媒体(D)とを混合する工程を有することが好ましい。
洗浄処理後の被覆顔料粒子に対し水系媒体(D)を添加し、必要に応じ加温または冷却しながら混合する工程を行う。混合方法は、従来公知の方法を採用できるところ、例えば、ハイスピードミキサー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、トリミックス、ニーダー、エクストルーダー、横型サンドミル、縦型サンドミル又は/及びアニューラ型ビーズミル、ペイントシェイカー、ボールミル、超音波発振子を具備する分散機、高圧分散機、対向衝突型分散機、斜向衝突型分散機、2本ロールミル、3本ロールミル等が挙げられる。これらの工程により、被覆顔料粒子の凝集が一次粒子レベルにまで解砕され、水系着色剤分散体を作製できる。
本工程では、後述する塩基性化合物を添加する事ができる。塩基性化合物を添加する事でカルボン酸基等の酸基が中和され、電荷反発により分散系が安定化するため好ましい。また、後述する架橋剤(E)との反応性を生じさせることができる場合がある。塩基性化合物は、酸基に対し0.1~2.0当量添加することが好ましく、0.4~1.5当量添加することがより好ましい。
本工程では、前記した架橋剤(E)を添加することができる。樹脂(A)が架橋剤(E)と反応し得る官能基を有する場合、架橋反応により被覆顔料粒子表面に強固な三次元構造を形成することで、温度が変動する過酷な環境下においても粘度安定性が向上し、インクジェット記録用インクとした時の吐出安定性が向上するため好ましい。架橋剤(E)を添加する温度は、架橋剤の反応性に応じ任意に選択する事ができる。例えば、架橋剤(E)と樹脂(A)との反応温度以下で架橋剤(E)を添加・撹拌してから反応温度以上に昇温する方法、架橋剤(E)と樹脂(A)との反応温度以上で架橋剤(E)を添加する方法、などが挙げられる。
反応終了後に、pHの調整が必要であれば任意の酸または後述する塩基性化合物で目的のpHに調整することができる。酸の具体例としては、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、酢酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。また、不揮発分を調整するため、水系媒体(D)を添加しても良い。
pH調整後の水系着色剤分散体のpHは、7~10が好ましく、8~10がより好ましく、8~9.5がさらに好ましい。
得られた水系着色剤分散体は、ろ過または遠心分離を行う事が好ましい。これにより粗大粒子を除去できるためインクジェット記録用インク用途で吐出性が向上する。ろ過または遠心分離は、従来公知のいずれの方法も採用できる。ろ過は、例えば、メンブレンフィルター、デプスフィルター、限外ろ過フィルター等が挙げられる。フィルターの目開きは、0.1μm~10μmが好ましい。遠心分離は、例えば、円筒型遠心分離機、バスケット型遠心分離機等が挙げられる。
水系着色剤分散体の顔料被覆粒子の平均粒子径D50(メジアン径)は、5nm~200nmが好ましい。前記範囲となる事で、水系着色剤分散体中の着色剤は凝集が少なく一次粒子レベルにまで分散されており、着色力や透明性が向上するため好ましい。水系着色剤分散体のD50は、大塚電子社製FPAR-1000を用いて測定した体積基準の粒子径分布から求められる。
また、樹脂(A)がカルボキシ基単量体単位を有する場合は、上記した製造方法以外にも、特開2016-069583号公報の明細書[0090]に記載された転相乳化法、特開2018-028080号公報の明細書[0034]から[0048]に記載されたソルトミリング工程を経由しない分散処理法、特開2020-015893号公報の明細書[0119]に記載された水溶性無機塩を使用しない混練法などにより、着色剤に樹脂(A)を被覆することができる。
<その他添加剤>
本発明の水系着色剤分散体は、添加剤を含有できる。添加剤は、例えば、塩基性化合物、界面活性剤、防腐防黴剤、キレート化剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、等が挙げられる。
[界面活性剤]
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤は、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えばNH、Na、Ca等)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(例えばNH、Na、Ca等)、ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物及びその塩、ジアルキルサクシネートスルホン酸Na塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩(例えばNH、Na等)、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート塩、オレイン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤の塩における対イオンは、例えば、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
(カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤は、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等が挙げられる。
(ノニオン性界面活性剤)
ノニオン系界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アセチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系、シリコーン系等のノニオン性活性剤が挙げられる。特にアセチレングリコール系界面活性剤は、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品は、例えば、エアープロダクツ社製のサーフィノール104、82、465、485、TG、DF110D等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤も使用できる。例えば、サーフロンS-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(いずれもAGC社製)、フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(いずれも住友スリーエム社製)、メガファックF-470、F1405、F-474(いずれもDIC社製)、ZonylTBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR(いずれもDuPont社製)、FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれもネオス社製)、PF-151N(オムノバ社製)等が挙げられる。
(両イオン性界面活性剤)
両イオン性界面活性剤は、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、ホスファジルコリン等が挙げられる。例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ヤシ油アルキルベタイン、ジメチルラウリルベタイン等が挙げられる。
界面活性剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
[防腐防黴剤]
防腐防黴剤は、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、メチルイソチアゾリノン、ベンズイソチアゾリノン等が挙げられる。
[キレート化剤]
キレート化剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
[防錆剤]
防錆剤は、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
[酸化防止剤]
酸化防止剤は、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤は、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤は、例えば、フェニル-β-ナフチルアミン、α-ナフチルアミン、N,N-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチル-フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤は、例えば、ジラウリル3,3-チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3-チオジプロピオネート、ジステアリル-β,β-チオジプロピオネート、2-メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
リン系酸化防止剤は、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト等が挙げられる。
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、例えば、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2,4,4-テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。
サリチレート系紫外線吸収剤は、例えば、フェニルサリチレート、p-tert-ブチルフェニルサリチレート、p-オクチルフェニルサリチレート等が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤は、例えば、エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート、ブチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等が挙げられる。
ニッケル錯塩系紫外線吸収剤は、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル) サルファイド、2,2-チオビス(4-tert-オクチルフェレート)-n-ブチルアミンニッケル(II)、2,2-チオビス(4-tert-オクチルフェレート)-2-エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2-チオビス(4-tert-オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)等が挙げられる。
本発明の水系着色剤分散体は、例えば、インクジェット記録用インク、静電荷像現像用トナー、塗料、フレキソインク等の各種用途に使用できる。これらの中でもインクジェット記録用インクが好ましい。
<インクジェット記録用インク>
本発明のインクジェット記録用インクは、水系着色剤分散体を含有する。インクジェット記録用インクは、印字性等の諸物性を調整するため、水溶性有機溶剤を追加することが好ましい。水溶性有機溶剤は、既に説明した水溶性有機溶剤の中でもグリコールエーテル類、ジオール類が好ましい。これらの溶剤は基材への浸透が非常に速く、コート紙、アート紙といった低吸液性基材に対しても浸透が速い。そのため、印刷時の乾燥が速く、正確な印字を実現することができる。また、沸点が高いため、湿潤剤としての働きは十分である。
グリコールエーテル類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等が好ましい。ジオール類としては、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール等が好ましく、1,2-ヘキサンジオールがより好ましい。
水溶性溶剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
水溶性溶剤の含有量は、インクジェット記録用インク中、3~60質量%が好ましく、3~50質量%がより好ましい。また、水の含有量は、インクジェット記録用インク中、10~90質量%が好ましく、30~80質量%がより好ましい。なお、水溶性溶剤の含有量は、前記した水系媒体(D)との合計量である。
本発明のインクジェット記録用インクは、バインダー樹脂を含有できる。バインダー樹脂は樹脂種でいうと、例えば、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、エステル樹脂、エーテル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。また、またバインダー樹脂は水への溶解性の面からいうと、水溶性樹脂、水不溶性樹脂等が挙げられる。なお、水不溶性樹脂は、エマルジョンを含む。
バインダー樹脂の含有量は、インクジェット記録用インクの不揮発分100質量%中、2~30質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましい。
本発明のインクジェット記録用インクは、その他の添加剤として、公知の添加剤を含有できる。
インクジェット記録用インクは、ろ過を行うことが好ましい。これによりインクジェットプリンターからの吐出性が良好となる。ろ過は、従来公知のいずれの方法も採用できる。
本明細書のインクジェット記録用インクは、各種のインクジェットプリンターに好適に用いることができる。適用可能なインクジェットの方式は特に限定するものではないが、例えば、荷電制御型、スプレー型等の連続噴射型、ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式等が挙げられる。
本発明のインクセットは、本発明の被覆顔料粒子から作製したインクジェット記録用インクを少なくとも1色含む、マゼンタ色、シアン色、イエロー色、ブラック色、ホワイト色、レッド色、グリーン色、ブルー色、オレンジ色、バイオレット色、ピンク色、ゴールド色、シルバー色、ブロンズ色などの色から組み合わされるインクセットである。
本明細書のインクジェット記録用インクは、各種のインクジェットプリンターに搭載する際、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクのセットで搭載することができる。いわゆるプロセスカラーと呼ばれる4色のインクセットとし、各色の塗布量などを調整することで、被塗工物上に様々な色相の画像を形成できる。また、必要に応じ、レッドインク、オレンジインク、グリーンインクなどプロセスカラー以外のインクを搭載することで、より色再現性の高い画像を形成できる。各インクの顔料濃度、粘度、動的粘弾性、表面張力、塗工順番、揮発分の蒸発速度などは設計事項であり、求める特性に応じて適宜調整することができる。
[基材]
本発明のインクは、従来公知の種々の基材へ塗工できる。基材としては、普通紙、布帛、ニットなどの高吸水性基材、アート紙、コート紙、塩化ビニル、木材、コンクリート、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、皮革などの低吸水性基材、金属(アルミ、ステンレス等)などの非吸水性基材が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明は、実施例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量部であり、「%」は質量%である。また、NVは、不揮発分(Nonvolatile content)を意味する。
実施例中の略号や製品名は、以下を意味する。
St:スチレン
AS-6:東亞合成社製スチレンマクロマー(数平均分子量6,000)
PEMA:フェノキシエチルメタクリレート
LA:ラウリルアクリレート
MMA:メタクリル酸メチル
VI:ビニルイミダゾール
ユニルーブPKA-5013:日油社製ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-アリルエーテル(数平均分子量2,000)
ライトアクリレート130A:共栄社化学社製メトキシポリエチレングリコールアクリレート
IPA:イソプロピルアルコール
1,6-HG:1,6-ヘキサンジオール
DEG:ジエチレングリコール
NaOH:水酸化ナトリウム
KOH:水酸化カリウム
NH:アンモニア
DMAE:ジメチルアミノエタノール
TEA:トリエタノールアミン
デナコールEX-321:多官能エポキシ系架橋剤(ナガセケムテックス社製)
BDG:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
PG:プロピレングリコール
GR:グリセリン
MEK:メチルエチルケトン
タケラックW-6110:三井化学社製ポリウレタンエマルジョン(NV32%)
タケラックW-6061:三井化学社製ポリウレタンエマルジョン(NV30%)
タケラックW-5030:三井化学社製ポリウレタンエマルジョン(NV30%)
バイロナールMD-2000:東洋紡社製ポリエステルエマルジョン(NV40%)
Joncryl 780:BASFジャパン社製ポリアクリルエマルジョン(NV48%)
Joncryl HPD96:BASFジャパン社製アクリル樹脂(NV34%)
ケミパールW400S:三井化学社製オレフィンワックス(NV40%)
サーフィノールDF110D:エボニックインダストリーズ社製アセチレン系界面活性剤
サーフィノール465:エボニックインダストリーズ社製アセチレン系界面活性剤
BYK-348:ビックケミー社製シリコン系界面活性剤
プロキセルGXL:Lonza社製防腐剤
ネオシントールBC-493:住化エンバイロメンタルサイエンス社製防腐剤
物性値は、以下の方法に従って求めた。
(数平均分子量(Mn))
RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量はポリスチレン換算値である。
(酸価)
単量体組成から樹脂1g中に含まれる酸基のモル数を算出した。この酸基のモル数が、中和するために必要な水酸化カリウム(分子量56.1)のモル数と等しいとして、酸価(mgKOH/g)の理論値を算出した。
(不揮発分)
不揮発分は、測定対象0.5gを精秤し、180℃乾燥機に20分間入れた時の乾燥減量から求めた。
(色素分)
色素分は、仕込みに使用した各成分の不揮発分換算の値を用いて、以下の式から求めた。
色素分=(顔料(B))÷(顔料(B)+樹脂(A))×不揮発分
(樹脂分)
樹脂分は、仕込みに使用した各成分の不揮発分換算の値を用いて、以下の式から求めた。
樹脂分=(樹脂(A))÷(顔料(B)+樹脂(A))×不揮発分
(エポキシ架橋値)
エポキシ架橋値は、以下の式から求めた。
エポキシ架橋値=架橋剤(E)中のエポキシ基のモル数/樹脂(A)中の酸基のモル数
(中和値)
中和値は、以下の式から求めた。
中和値=塩基性化合物のモル数/樹脂(C)の酸基のモル数
<樹脂(A)の合成>
・樹脂(A-1)の合成
[第一反応]ガス導入管、温度計、コンデンサー、滴下ロート、および撹拌機を備えた反応容器に、モノマー混合物として、無水マレイン酸を51部(50mol%)、α-オレフィンとして1-テトラコセンを15部(50mol%)、さらにMEKを100部、連鎖移動剤としてチオグリコール酸オクチルを0.5部仕込み、窒素置換した後、撹拌しながら105℃に加熱した。そこへラジカル重合開始剤としてアソビスイソ酪酸ジメチル(富士フイルム和光純薬社製、商品名:V-601)2.0部とMEK5部との混合物を、1時間かけて滴下した。その後、温度85℃で攪拌しながら、V-601を5部とMEK12部との混合物を6時間かけて滴下し、温度85℃に保ったまま1時間反応させ、酸無水物基として無水マレイン酸を有する重合体を得た。
[第二反応]続いて、イソプロピルアルコールを83部(無水マレイン酸単量体中の酸無水物基に対して当量比で100%)、触媒としてジアザビシクロウンデセンを0.1部添加し、温度を85℃に保ったまま6時間撹拌して反応させ、無水マレイン酸を開環しハーフエステル化した。得られた生成物の溶剤を減圧濃縮して完全に除去し、樹脂(A-1)(数平均分子量(Mn):8,200、酸価113mgKOH/g)を作製した。
・樹脂(A-2)~(A-3)、(A-10)~(A-12)の合成
原料および組成を表1に示す通りに変更した以外は樹脂(A-1)と同様にして、樹脂(A-2)~(A-3)、(A-10)~(A-12)を作製した。なお、分子量はアソビスイソ酪酸ジメチルの添加量を変更し、適宜調整した。
・樹脂(A-4)の合成
[第一反応]ガス導入管、温度計、コンデンサー、滴下ロート、および撹拌機を備えた反応容器に、モノマー混合物として、無水マレイン酸を51部(50mol%)、α-オレフィンとして1-テトラコセンを15部(50mol%)、さらにMEKを100部、連鎖移動剤としてチオグリコール酸オクチルを0.5部仕込み、窒素置換した後、撹拌しながら105℃に加熱した。そこへラジカル重合開始剤としてアソビスイソ酪酸ジメチル(富士フイルム和光純薬社製、商品名:V-601)2.0部とMEK5部との混合物を、1時間かけて滴下した。その後、温度85℃で攪拌しながら、V-601を5部とMEK12部との混合物を6時間かけて滴下し、温度85℃に保ったまま1時間反応させ、酸無水物基として無水マレイン酸を有する重合体を得た。
[第二反応]続いて、イソプロピルアルコールを75部(無水マレイン酸単量体中の酸無水物基に対して当量比で90%)、触媒としてジアザビシクロウンデセンを0.1部添加し、温度を85℃に保ったまま6時間撹拌して反応させ、一部の無水マレイン酸を開環しハーフエステル化した。
[第三反応]続いて、1,2-ヘキサンジオールを16部(無水マレイン酸単量体中の酸無水物基に対して当量比で10%)、触媒としてジアザビシクロウンデセンを0.1部添加し、温度を85℃に保ったまま3時間撹拌して反応させ、残りの無水マレイン酸を開環しハーフエステル化した。得られた生成物の溶剤を減圧濃縮して完全に除去し、樹脂(A-1)(数平均分子量(Mn):8,200、酸価112mgKOH/g)を作製した。
・樹脂(A-5)~(A-9)の合成
原料および組成を表1に示す通りに変更した以外は樹脂(A-4)と同様にして、樹脂(A-5)~(A-9)を作製した。なお、分子量はアソビスイソ酪酸ジメチルの添加量を変更し、適宜調整した。
Figure 2023091898000007
[実施例A-1]
・被覆顔料粒子(1)の製造
C.I.ピグメント ブルー15:3を100部、樹脂(A-4)を不揮発分として28部、水溶性無機塩として塩化ナトリウム500部、水溶性有機溶剤としてジエチレングリコール85部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に対し容量の約50%となるよう仕込み、75℃で6時間混練した。
得られた混練物を、イオン交換水3,000部に投入し、撹拌・ろ過・水洗を行い、この工程を繰り返し、塩化ナトリウムとジエチレングリコールを除去することで、顔料を樹脂(A-4)で被覆した被覆顔料粒子(1)を含むウェットケーキを作製した。不揮発分は35質量%であった。
[実施例A-2~A-41、比較例A-1~A-35]
・被覆顔料粒子(2)~(76)の製造
顔料(B)および樹脂(A)を表2に示す通り変更した他は実施例A-1と同様の方法で、被覆顔料粒子(2)~(76)を作製した。なお、被覆顔料粒子(12)は、ニーダー処理でポリオールによる変性構造を形成している。
被覆顔料粒子の組成をまとめて表2に示す。
Figure 2023091898000008
Figure 2023091898000009
[実施例B-1]
・水系着色剤分散体(1)の製造
被覆顔料(1)を色素分換算で100部に対し、水系媒体(D)としてイオン交換水を80部(被覆顔料ウェットケーキ中の水分と合わせると265部程度)、塩基性化合物として水酸化カリウムを中和値が0.8となるよう添加し、ディスパーを用いて系内が均一になるよう撹拌し、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製スターバーストラボHJP-25005、処理圧力160MPa)を用いて循環分散(4パス相当)を行った。分散中の液温は40~80℃となるよう調整した。
分散後、液温を40℃となるよう調整し、撹拌しながら架橋剤としてデナコールEX-321を、エポキシ架橋値+ポリオール架橋値=0.9となるように適量添加し、ディスパーを用いて70℃、1時間撹拌し、架橋反応を行った。ポリオール架橋値が不明なものについては理論上最大値の半分をポリオール架橋値として計算した。
撹拌後、液温を60℃に調整し、防腐剤としてネオシントールBC-493を0.6部、さらに不揮発分が25%になるようにイオン交換水を適量添加し、循環型遠心分離機を用いて1時間の遠心分離を行い、フィルターろ過を行い、水系着色剤分散体(1)を作製した。
[実施例B-2~B-41]
・水系着色剤分散体(2)~(41)の製造
被覆顔料(1)を被覆顔料(2)~(41)に変更した以外は実施例B-1と同様の手順で、水系着色剤分散体(2)~(41)を作製した。
[比較例B-1~B-35]
・水系着色剤分散体(42)~(76)の製造
被覆顔料(1)を被覆顔料(42)~(76)に変更した以外は実施例B-1と同様の手順で、水系着色剤分散体(42)~(76)を作製した。
組成、パラメーターをまとめて表3に示す。
Figure 2023091898000010
Figure 2023091898000011
上記表で使用した顔料の詳細を表4に示す。
Figure 2023091898000012
<インクジェット記録用インクの製造>
[実施例C-1]
・インクジェット記録用インク(1)の製造
水系着色剤分散体(1)を33部、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテルを5部、1,2-プロパンジオールを15部、タケラックW-6061を10部、サーフィノール465を0.5部、BYK-348を1部、トリエタノールアミンを0.1部、ネオシントールBC-493を0.15部、イオン交換水35.25部を混合し、0.5μmメンブランフィルターでろ過し、インクジェット記録用インク(1)を作製した。
[実施例C-2~C-41]
・インクジェット記録用インク(2)~(41)の製造
使用する水系着色剤分散体を表4に示す通りに変更した以外は実施例C-1と同様にして、インクジェット記録用インク(2)~(41)を作製した。
[実施例C-42]
・インクジェット記録用インク(42)の製造
水系着色剤分散体(9)を33部、1,2-ヘキサンジオールを5部、1,2-ブタンジオールを15部、タケラックW-6110を9.4部、ケミパールW400Sを1.25部、サーフィノールDF110Dを0.5部、BYK-348を1部、トリエタノールアミンを0.1部、ネオシントールBC-493を0.15部、イオン交換水34.6部を混合し、0.5μmメンブランフィルターでろ過し、インクジェット記録用インク(42)を作製した。
[実施例C-43]
・インクジェット記録用インク(43)の製造
水系着色剤分散体(9)を33部、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテルを5部、1,2-ブタンジオールを15部、タケラックW-5030を10部、サーフィノール465を0.5部、BYK-348を1部、トリエタノールアミンを0.1部、プロキセルGXLを0.15部、イオン交換水35.25部を混合し、0.5μmメンブランフィルターでろ過し、インクジェット記録用インク(43)を作製した。
[実施例C-44]
・インクジェット記録用インク(44)の製造
水系着色剤分散体(9)を33部、BDGを5部、1,2-ブタンジオールを15部、Joncry780を6.25部、サーフィノールDF110Dを0.5部、BYK-348を1部、トリエタノールアミンを0.1部、プロキセルGXLを0.15部、イオン交換水39部を混合し、0.5μmメンブランフィルターでろ過し、インクジェット記録用インク(44)を作製した。
[実施例C-45]
・インクジェット記録用インク(45)の製造
水系着色剤分散体(9)を33部、1,2-ヘキサンジオールを5部、1,2-プロパンジオールを15部、バイロナールMD-2000を7.5部、ケミパールW400Sを1.25部、サーフィノールDF110Dを0.5部、BYK-348を1部、トリエタノールアミンを0.1部、ネオシントールBC-493を0.15部、イオン交換水37.75部を混合し、0.5μmメンブランフィルターでろ過し、インクジェット記録用インク(45)を作製した。
[比較例C-1~C-35]
・インクジェット記録用インク(46)~(80)の製造
使用する水系着色剤分散体を表4に示す通りに変更した以外は実施例C-1と同様にして、インクジェット記録用インク(46)~(80)を作製した。
[比較例C-36]
・インクジェット記録用インク(81)の製造
使用する水系着色剤分散体を表4に示す通りに変更した以外は実施例C-42と同様にして、インクジェット記録用インク(81)を作製した。
[比較例C-37]
・インクジェット記録用インク(82)の製造
使用する水系着色剤分散体を表4に示す通りに変更した以外は実施例C-43と同様にして、インクジェット記録用インク(82)を作製した。
[比較例C-38]
・インクジェット記録用インク(83)の製造
使用する水系着色剤分散体を表4に示す通りに変更した以外は実施例C-44と同様にして、インクジェット記録用インク(83)を作製した。
[比較例C-39]
・インクジェット記録用インク(84)の製造
使用する水系着色剤分散体を表4に示す通りに変更した以外は実施例C-45と同様にして、インクジェット記録用インク(84)を作製した。
<インクの粒度安定性評価>
作製したインクジェット記録用インクを20mLガラス製サンプル管に入れ、70℃で1時間保温後、インクジェットインクを室温まで冷却しメジアン径D50(体積基準の粒子径分布)を大塚電子製粒度分布計FPAR-1000にて測定し、初期粒度Dとした。このインクジェット記録用インクを、20mLガラス製サンプル管に入れ、70℃で7日間保管後、密閉容器からインクジェット記録用インクを取り出し、室温まで冷却して初期と同様にD50を測定し、経時粒度Dとした。経時粒度の値を初期粒度の値で除したD/Dの値を算出し、以下の基準で粒度安定性を評価した。
◎:D/Dの値が105%未満(優良)
○:D/Dの値が105%以上115%未満(良)
△:D/Dの値が115%以上125%未満(可)
×:D/Dの値が125%以上(不良)
<インク単体の透明性評価>
作製したインクジェット記録用インクを充填したタンクを、セイコーエプソン社製PX-105(ピエゾ型インクジェットプリンタ)に搭載し、基材として以下の方法で作製した試験片の黒印刷面にベタ画像のインクジェット記録を行った。
ベタ印刷した部分の下地の黒色の透過具合を目視で観察し、表4記載の対応する比較例の透過具合を基準として、以下の基準で透明性を評価した。
◎:基準よりも非常に高透明(有意差あり、優良)
○:基準よりも高透明(有意差あり、良)
△:基準よりもやや高透明(有意差あり)
×:基準と同程度または不透明(有意差なし)
<試験片の作成方法>
北越マリコート(北越コーポレーション社製のコートボール紙)にFDカルトンX(東洋インキ社製の活性エネルギー線硬化型インキ)の墨インキを印刷、硬化させたもの。
組成、パラメーターをまとめて表4に示す。
Figure 2023091898000013
Figure 2023091898000014
表5-1~表5-2の結果から、本発明の水系着色剤分散体を使用したインクジェット記録用インクは、溶剤に対する安定性が高く、各種バインダーとの相溶性が維持されていることで高い透明性が得られる。また、基材をポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミ箔、人工皮革(ポリウレタン製)、布帛(綿製)に変更し、透明性評価を実施したところ、同様の結果が得られた。なお、基材が紙でない場合は、A4普通紙に基材を張り付けて使用した。透明な基材については下に黒い紙を敷いて測色を実施した。その他については目視で判定を行った。アルミ箔については光輝感を目視で判定し、人工皮革と布帛については塗工面の生地の風合いの見えやすさを目視で判定し透明性を評価した。

Claims (9)

  1. (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位、芳香族単量体単位、複素環単量体単位、およびα-オレフィン単量体単位からなる群より選択される1種以上の疎水性単量体単位、ならびに無水マレイン酸変性単量体単位を含む樹脂(A)で顔料粒子(B)を被覆してなる被覆顔料粒子であって、無水マレイン酸変性単量体単位が、ポリオール(C)による変性構造を有する、被覆顔料粒子。
  2. 無水マレイン酸変性単量体が、ポリオール(C)および炭素数4以下のモノアルコールによる変性構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の被覆顔料粒子。
  3. 前記ポリオール(C)および炭素数4以下のモノアルコールのモル比が20:80~0.01:99.99である、請求項2記載の被覆顔料粒子。
  4. 請求項
    前記被覆顔料粒子が、ポリオール(C)による架橋構造を有する粒子である、請求項1~3いずれか1項に記載の被覆顔料粒子。
  5. 請求項1~4いずれか1項に記載の覆顔料粒子、および水系媒体を含む、水系着色剤分散体。
  6. さらに塩基性化合物を含む、請求項5に記載の水系着色剤分散体。
  7. 請求項5または6に記載の水系着色剤分散体を含む、インク。
  8. 請求項7に記載のインクを含む、インクセット。
  9. 基材、および請求項7に記載のインク、または請求項8に記載のインクセットで形成してなる印刷層を備える、印刷物。
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