JP2023088158A - 分散型エネルギリソース管理装置、分散型エネルギリソース管理システムおよび分散型エネルギリソース管理プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】系統の需給調整のために、系統の電圧および電流の制約を満たしながら、各DERの有効電力制御量の範囲をVPPアグリゲータに提供することができるDER管理装置を得ること。【解決手段】DER管理装置2は、最適潮流計算部24と、制御指令値演算部と、通信部21と、を備える。最適潮流計算部24は、需給予測に基づいた配電系統の電圧電流分布から、配電系統の電圧および電流に関する制約が守られ、制御対象期間で第1DERの制御可能な第1電力量の範囲で出力可能な充電量および放電量の最大値を算出し、充電量および放電量の最大値によって定められる有効電力制御範囲を決定する。制御指令値演算部は、複数の第1DERのそれぞれと有効電力制御範囲とを対応付けた第1制御指令情報を生成する。通信部21は、複数の第1DERに指令する有効電力量を決定するVPPアグリゲータに第1制御指令情報を送信する。【選択図】図3
Description
本開示は、蓄電池等の分散型エネルギリソースの需給調整に合わせた充放電電力量の管理を行う分散型エネルギリソース管理装置、分散型エネルギリソース管理システムおよび分散型エネルギリソース管理プログラムに関する。
現在では、太陽光発電設備、蓄電池、電気自動車等をエネルギ設備として含む分散型エネルギリソース(Distributed Energy Resources:DER)が普及している。DERが大量に普及した場合に向けて、DERを活用した需給制御の技術が検討されており、この技術の1つに、配電系統に連系されている多数のDERを束ねて1つの仮想的な変電所と見なす仮想変電所(Virtual Power Plant:VPP)がある。
一方、DERが大量に連系されると、配電系統では電流が定められた範囲を逸脱する電流違反、または電圧が定められた範囲を逸脱する電圧違反が発生する可能性がある。電流違反または電圧違反に備えるためには、電圧調整機器等の設備投資がさらに必要になる。そこで、DERの大量普及時における設備投資を抑制するために、DERを適切に制御する技術として、DER管理装置がある。
また、特許文献1には、DERの出力が大きく変動した場合に、電圧が電力系統の電圧違反とならないように、電力系統における電圧の変動範囲を予測し、先行して電力系統の電圧制御を行う技術が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、電力系統の電圧違反の解消のみを目的として、電力系統の電圧制御を行う制御量を決定しており、電力の需要と供給とを一致させることについては考慮されていない。また、VPPアグリケータは、電力の需給調整を行う場合、上記したVPPアグリゲータは、配電系統の電圧および電流の分布を示す系統情報を持たないため、系統状況を考慮した需給調整を行うことができない。この結果、VPPアグリゲータによる電力の需給調整のための有効電力量の制御によって、配電系統の電圧電流違反が発生する可能性がある。このため、VPPアグリゲータが、系統の需給調整のために、電圧および電流の制約を考慮しながら各DERの有効電力量を制御することができる技術が望まれていた。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、系統の需給調整のために、系統の電圧および電流の制約を満たしながら、各DERの有効電力制御量の範囲をVPPアグリゲータに提供することができる分散型エネルギリソース管理装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示は、配電系統に接続され出力する有効電力が制御される複数の第1分散型エネルギリソースを含む分散型エネルギリソースにおける出力を算出する分散型エネルギリソース管理装置である。分散型エネルギリソース管理装置は、最適潮流計算部と、制御指令値演算部と、通信部と、を備える。最適潮流計算部は、需給予測に基づいた配電系統の電圧電流分布から、配電系統の電圧および電流に関する制約が守られ、制御対象期間で第1分散型エネルギリソースの制御可能な第1電力量の範囲で出力可能な充電量および放電量の最大値を算出し、充電量および放電量の最大値によって定められる有効電力制御範囲を決定する。制御指令値演算部は、複数の第1分散型エネルギリソースのそれぞれと有効電力制御範囲とを対応付けた第1制御指令情報を生成する。通信部は、複数の第1分散型エネルギリソースに指令する有効電力量を決定する仮想変電所アグリゲータに第1制御指令情報を送信する。有効電力制御範囲は、第1分散型エネルギリソースから出力される有効電力の制御範囲である。
本開示によれば、系統の需給調整のために、系統の電圧および電流の制約を満たしながら、各DERの有効電力制御量の範囲をVPPアグリゲータに提供することができるという効果を奏する。
以下に、本開示の実施の形態に係る分散型エネルギリソース管理装置、分散型エネルギリソース管理システムおよび分散型エネルギリソース管理プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る分散型エネルギリソース管理システムおよび制御対象の電力系統の構成の一例を模式的に示す図である。実施の形態1では、分散型エネルギリソース管理装置2と、仮想変電所アグリゲータ3と、配電自動化システム4と、負荷5と、第1分散型エネルギリソース6aと、で構成される分散型エネルギリソース管理システム1が、制御対象の電力系統における電力系統制約を満たす範囲で、電力系統の需要と供給とが一致するように第1分散型エネルギリソース6aの有効電力制御量を制御する。電力系統制約は、制御対象の電力系統における電圧および電流が満たすべき制約を含む。以下では、分散型エネルギリソース管理システム1は、DER管理システム1と称され、分散型エネルギリソース管理装置2は、DER管理装置2と称され、分散型エネルギリソースは、DERと称される。また、仮想変電所アグリゲータ3は、VPPアグリゲータ3と称される。
図1は、実施の形態1に係る分散型エネルギリソース管理システムおよび制御対象の電力系統の構成の一例を模式的に示す図である。実施の形態1では、分散型エネルギリソース管理装置2と、仮想変電所アグリゲータ3と、配電自動化システム4と、負荷5と、第1分散型エネルギリソース6aと、で構成される分散型エネルギリソース管理システム1が、制御対象の電力系統における電力系統制約を満たす範囲で、電力系統の需要と供給とが一致するように第1分散型エネルギリソース6aの有効電力制御量を制御する。電力系統制約は、制御対象の電力系統における電圧および電流が満たすべき制約を含む。以下では、分散型エネルギリソース管理システム1は、DER管理システム1と称され、分散型エネルギリソース管理装置2は、DER管理装置2と称され、分散型エネルギリソースは、DERと称される。また、仮想変電所アグリゲータ3は、VPPアグリゲータ3と称される。
また、実施の形態1では、第2DER6bをさらに有するDER管理システム1が、制御対象の電力系統における電力系統制約を満たす範囲で、電力系統の需要と供給とが一致するように、第1DER6aの有効電力制御量を制御し、第2DER6bの無効電力制御量および整定値を決定する。
以下では、制御対象の電力系統が、配電系統100である場合を例に挙げる。DER管理システム1の配電系統100においては、配電用変圧器101に母線102を介して配電線103が接続されている。配電線103は、例えば、6600Vなどの高圧配電線である。配電線103には、図示していないが、柱上変圧器等が接続されていてもよい。柱上変圧器は、6600Vなどの高圧の電力を、例えば100Vまたは200Vといった低圧の電力に変換して、低圧配電線へ出力する変圧器である。また、配電線103には、図示していないが、電圧調整機器が設けられていてもよい。電圧調整機器の一例は、SVR(Step Voltage Regulator)である。SVRは、配電線103における電圧が電力系統制約で定められた適正範囲となるように、配電線103における電圧を制御する電圧制御機器である。
配電線103には、負荷5と、第1DER6aまたは第2DER6bと、が接続されている。負荷5は、需要家7が有する電力を消費する機器である。需要家7は、配電線103から電力の供給を受ける。第1DER6aおよび第2DER6bは、需要家7が有する充放電可能な設備または発電可能な設備である。充放電可能な設備には、充電のみ可能な設備が含まれていてもよい。なお、以下では、充電量は、第1DER6aおよび第2DER6bが充放電可能な設備の場合には、電荷を蓄える量を示すが、第1DER6aおよび第2DER6bが充放電可能な設備だけではなく発電可能な設備を含む場合には、発電可能な設備における発電量の抑制量も含む。また、放電量は、第1DER6aおよび第2DER6bが充放電可能な設備の場合には、電荷を放出する量を示すが、第1DER6aおよび第2DER6bが充放電可能な設備だけではなく発電可能な設備を含む場合には、発電可能な設備における発電量も含む。ただし、第1DER6aまたは第2DER6bが発電可能な設備を示す場合、すなわち充放電可能な設備が含まれない場合には、発電量は発電量と表記される。
第1DER6aは、電力の需給制御が有効電力によって行われるDERである。第2DER6bは、電圧制御機能を有し、電圧制御が無効電力によって行われるDERである。第1DER6aは、電圧制御機能を有さないDERでもある。なお、以下の説明では、第1DER6aおよび第2DER6bを区別しない場合には、第1DER6aおよび第2DER6bは、DER6と称される。
図1の例では、すべての需要家7が第1DER6aまたは第2DER6bを有している場合を示しているが、需要家7のすべてがDER6を有していなくてもよい。第1DER6aは、制御対象となる定められた期間毎の制御可能電力量である第1制御可能電力量を通信ネットワーク71を介してVPPアグリゲータ3へと送信する。第1DER6aは、VPPアグリゲータ3からの指令に従って充放電量または発電量を制御する。以下では、制御対象となる定められた期間は、制御対象期間と称される。第2DER6bは、制御対象期間毎の制御可能電力量である第2制御可能電力量を通信ネットワーク72を介して配電自動化システム4へと送信する。第2DER6bは、配電自動化システム4からの指令に従って無効電力量を制御する。第1制御可能電力量は、第1電力量に対応し、第2制御可能電力量は、第2電力量に対応する。通信ネットワーク71,72は、インターネットでもよいし、専用線でもよい。また、通信ネットワーク71,72は、有線ネットワークでもよいし、無線ネットワークでもよいし、両者を含んでいてもよい。
DER管理装置2は、配電系統100に接続される複数の第1DER6aを含むDER6における出力の制御範囲を算出する装置である。DER管理装置2は、通信ネットワーク73に接続されるVPPアグリゲータ3からの情報を用いて、配電系統100の電力系統制約を満たした上で、配電系統100の各配電線103の第1DER6aの充放電可能な制御量の範囲である有効電力制御範囲を決定する。また、DER管理システム1に第2DER6bが含まれる場合には、DER管理装置2は、通信ネットワーク73に接続される配電自動化システム4からの情報を用いて、配電系統100の電力系統制約を満たした上で、配電系統100の各配電線103の第2DER6bの無効電力制御量および無効電力量の制御を実行する範囲を規定する整定値を決定する。DER管理装置2は、有効電力制御範囲をVPPアグリゲータ3に通信ネットワーク73を介して送信し、無効電力制御量および整定値を配電自動化システム4に通信ネットワーク73を介して送信する。
VPPアグリゲータ3は、需要家7が有するDER6の充電量または放電量を管理する装置である。VPPアグリゲータ3は、需要家7のDER6の充電量または放電量を管理する事業者に設けられる装置である。実施の形態1では、VPPアグリゲータ3は、需給調整のために複数の第1DER6aに指令する有効電力量を決定する装置である。VPPアグリゲータ3は、第1DER6aから第1制御可能電力量を収集して、通信ネットワーク73を介して第1制御可能電力量をDER管理装置2に送信する。また、VPPアグリゲータ3は、DER管理装置2から有効電力制御範囲を受信すると、有効電力制御範囲で電力の需給調整を行うための運用コストを最小化する各第1DER6aについての有効電力制御量と、各第1DER6aについて有効電力制御量を出力するタイミングを規定した出力計画情報と、を決定する。VPPアグリゲータ3は、出力計画情報を第1制御指令値として、通信ネットワーク71を介して各第1DER6aに送信する。出力計画情報は、一例では、制御対象期間内において、各第1DER6aがどのタイミングで、どの程度の有効電力制御量を出力するかを規定した情報である。なお、図1では、VPPアグリゲータ3は、配電系統100に接続されるDER6について需給制御のための制御量を決定する場合を示しているが、自系統内の配電系統100以外の図示しない他の配電系統に接続されるDER6に対しても充電量または放電量を管理している。
配電自動化システム4は、第2DER6bから第2制御可能電力量を収集して、通信ネットワーク73を介して第2制御可能電力量をDER管理装置2に送信する。また、配電自動化システム4は、DER管理装置2から各第2DER6bについての無効電力制御量および整定値を受信すると、無効電力制御量および整定値を第2制御指令値として通信ネットワーク72を介して各第2DER6bに送信する。
つぎに、DER6、DER管理装置2、VPPアグリゲータ3および配電自動化システム4の構成の詳細について説明する。図2は、実施の形態1に係るDER管理システムに備えられるDERの構成の一例を模式的に示す図である。基本的な構成は、第1DER6aおよび第2DER6bで同様であるので、図2ではまとめて説明する。DER6は、分散型エネルギ装置61と、電力制御装置62と、を備える。
分散型エネルギ装置61は、充放電または発電を行う図示しないエネルギ設備と、配電系統100とエネルギ設備との間に配置され、エネルギ設備における電力の制御を行うPCS(Power Conditioning Subsystem:パワーコンディショナ)、インバータ等の図示しないエネルギ制御部と、を有する。エネルギ設備の一例は、電気自動車、蓄電池等の充放電可能な装置である充放電設備、太陽光発電設備等の発電可能な装置である発電設備である。エネルギ設備が電気自動車である場合には、エネルギ制御部は電気自動車が搭載する蓄電池の充放電を制御する充放電装置である。エネルギ設備が蓄電池である場合には、エネルギ制御部は、蓄電池の充放電を制御するPCSである。エネルギ設備が太陽光発電設備である場合には、エネルギ制御部は、太陽光発電設備の発電電力を交流電力に変換し、太陽光発電設備の出力電力を制御するPCSである。
DER6が第1DER6aである場合には、分散型エネルギ装置61は、出力する有効電力が制御される装置である。また、DER6が第1DER6aである場合には、分散型エネルギ装置61は、電圧制御機能を有さない。DER6が第2DER6bである場合には、分散型エネルギ装置61は、電圧制御機能を有し、出力する無効電力が制御される装置である。電圧制御機能は、配電系統100との連系点電圧が指定された整定値によって定められる不感帯を逸脱した場合に、連系点電圧が不感帯に収まるように無効電力を出力し、第2DER6bの電圧を制御する機能である。
電力制御装置62は、DER6の制御対象期間毎の制御可能電力量を取得してVPPアグリゲータ3または配電自動化システム4に送信する。制御可能電力量は、第1DER6aの場合の第1制御可能電力量と、第2DER6bの場合の第2制御可能電力量と、を含む。また、電力制御装置62は、VPPアグリゲータ3または配電自動化システム4から取得した第1制御指令値または第2制御指令値に従って分散型エネルギ装置61の電力を制御する。制御対象期間の一例は、DER管理装置2およびVPPアグリゲータ3によって電力の需給予測が行われる期間であり、30分間、1時間等である。電力制御装置62は、通信部621と、制御可能電力算出部622と、記憶部623と、制御部624と、を備える。
通信部621は、通信ネットワーク71,72を介してVPPアグリゲータ3または配電自動化システム4と通信を行う。一例では、通信部621は、制御可能電力算出部622で算出された分散型エネルギ装置61の制御可能電力量を、第1DER6aの場合にはVPPアグリゲータ3に送信し、第2DER6bの場合には配電自動化システム4に送信する。また、通信部621は、第1DER6aの場合には、VPPアグリゲータ3から受信した第1DER6aについての第1制御指令値を受信し、記憶部623に記憶する。通信部621は、第2DER6bの場合には、配電自動化システム4から受信した第2DER6bについての第2制御指令値を受信し、記憶部623に記憶する。
制御可能電力算出部622は、制御対象期間における分散型エネルギ装置61で制御可能な電力量である制御可能電力量を算出し、通信部621に出力する。制御対象期間は、上記したように、30分間、1時間等である。分散型エネルギ装置61が太陽光発電設備をエネルギ設備として有する場合には、算出時点における太陽光発電設備における発電能力を、制御対象期間で抑制することができる量が制御可能電力量となる。分散型エネルギ装置61が蓄電池をエネルギ設備として有する場合には、蓄電池が蓄えているエネルギ(State of Charge:SoC)から、制御対象期間に放電し続けることが可能な量または充電し続けることが可能な量が制御可能電力量となる。蓄電池のSoCは、時々刻々と変化するため、放電できる量または充電できる量も算出する時点で変化する。分散型エネルギ装置61が電気自動車をエネルギ設備として有する場合は、分散型エネルギ装置61が蓄電池をエネルギ設備として有する場合と同様である。
記憶部623は、第1DER6aの場合には、通信部621を介してVPPアグリゲータ3から受信した第1制御指令値を記憶し、第2DER6bの場合には、通信部621を介して配電自動化システム4から受信した第2制御指令値を記憶する。DER6が第1DER6aの場合には、第1制御指令値は出力計画情報であり、DER6が第2DER6bの場合には、第2制御指令値は無効電力制御量および整定値である。以下では、第1制御指令値と第2制御指令値とを区別しない場合には、第1制御指令値および第2制御指令値は単に制御指令値と称される。
制御部624は、制御指令値を用いて分散型エネルギ装置61を制御する。制御部624は、第1DER6aの場合には、記憶部623に記憶された第1制御指令値である出力計画情報を参照し、出力計画情報で指定された時刻に指定された量の出力がなされるように分散型エネルギ装置61に指令を出力し、分散型エネルギ装置61を制御する。制御部624は、第2DER6bの場合には、記憶部623に記憶された整定値を分散型エネルギ装置61に設定する。
図3は、実施の形態1に係るDER管理システムに備えられるDER管理装置の構成の一例を模式的に示す図である。DER管理装置2は、通信部21と、記憶部22と、予測部23と、最適潮流計算部24と、DER制御指令値演算部25と、を備える。
通信部21は、通信ネットワーク73を介してVPPアグリゲータ3および配電自動化システム4と通信を行う。一例では、通信部21は、VPPアグリゲータ3から第1DER6aの第1制御可能電力量を受信し、記憶部22に記憶する。通信部21は、配電自動化システム4から第2DER6bの第2制御可能電力量を受信し、記憶部22に記憶する。また、通信部21は、DER制御指令値演算部25で演算された第1DER6aに対する第1制御指令情報をVPPアグリゲータ3に送信し、第2DER6bに対する第2制御指令情報を配電自動化システム4に送信する。
記憶部22は、VPPアグリゲータ3から受信した第1DER6aの第1制御可能電力量と、配電自動化システム4から受信した第2DER6bの第2制御可能電力量と、を記憶する。また、記憶部22は、配電系統100での負荷需要の実績値および発電プロファイルの実績値を含む負荷発電実績情報を記憶する。負荷需要の実績値は、1日の各時間帯における配電系統100に接続される負荷5で要求された電力量の過去データである。発電プロファイルの実績値は、1日の各時間帯における配電系統100に接続される発電可能なDERで発電された電力量の過去データである。負荷需要の実績値および発電プロファイルの実績値は、一例ではそれぞれ負荷5およびDER6に設置されている図示しない計測装置から収集したデータである。負荷発電実績情報は、一例では、負荷需要の実績値および発電プロファイルの実績値と、日種および気象条件のうち少なくとも1つと、を対応付けた情報であることが望ましい。日種は、平日、休日等の日による種別を示す情報であり、気象条件は、天気、気温等の情報である。
予測部23は、負荷発電実績情報に基づいて、制御対象期間における配電系統100に接続される負荷5の負荷需要および発電可能なDERの発電量を予測し、予測の結果に基づいて制御対象期間における配電系統100の配電線103における電圧および電流の分布を推定する。制御対象期間は、DER管理装置2が需給の予測を行う期間であり、30分間、1時間等である。具体的には、予測部23は、制御対象期間に対応する期間の負荷需要の実績値を負荷発電実績情報から取得し、統計処理を行って制御対象期間の負荷需要を予測する。また、予測部23は、制御対象期間に対応する期間の発電プロファイルの実績値を負荷発電実績情報から取得し、統計処理等を行って制御対象期間の発電量を予測する。以下では、予測した制御対象期間の負荷需要および発電量は、それぞれ負荷需要予測値および発電量予測値と称される。このとき、負荷発電実績情報に、日種および気象条件のうち少なくとも1つの情報が含まれる場合には、この情報を用いて予測を行う日と類似する条件の日の負荷需要の実績値および発電プロファイルの実績値を用いて、負荷需要予測値および発電量予測値を予測することができる。この結果、制御対象期間の負荷需要および発電量の予測精度を高めることが可能となる。
また、予測部23は、制御対象期間の負荷需要予測値および発電量予測値を用いて、配電系統100の各配電線103とDER6との連系点の電圧と、連系点間の線路を流れる電流と、を算出する。これによって、配電線103における電圧の分布である電圧分布および電流の分布である電流分布を推定することができる。以下では、電圧分布および電流分布を合わせたものは、電圧電流分布と称される。
最適潮流計算部24は、VPPアグリゲータ3および配電自動化システム4から取得したDER6の制御可能電力量を変数とし、推定した電圧電流分布に対して、配電系統100の電力系統制約が守られるように、第1DER6aの放電量および充電量を最大化し、第2DER6bの無効電力制御量を最小化する最適化問題を解く。
具体的には、最適潮流計算部24は、第1制御可能電力量および第2制御可能電力量を変数とし、推定した電圧電流分布に対して、電力系統制約が守られるという制約条件の下で、第1DER6aの放電量を最大化し、電圧降下させる効果のある第2DER6bの無効電力量を最小化する第1最適化問題を解く。また、最適潮流計算部24は、第1制御可能電力量および第2制御可能電力量を変数とし、推定した電圧電流分布に対して、第1DER6aの充電量を最大化し、電圧上昇させる効果のある第2DER6bの無効電力量を最小化する第2最適化問題を解く。なお、ここでは、DER6が発電可能なDERである場合には、計算時点における発電能力から発電能力を下げること、すなわち発電能力を抑制することを充電することと見なして計算が行われる。
第1最適化問題を解くことによって、各第1DER6aの最大化した放電量と、電圧降下させる効果のある各第2DER6bの最小化した第1無効電力量と、が取得される。配電線103における各第1DER6aの最大化した放電量を用いることによって放電量を最大化した場合の電圧電流分布が得られる。第2最適化問題を解くことによって、各第1DER6aの最大化した充電量と、電圧上昇させる効果のある各第2DER6bの最小化した第2無効電力量と、が取得される。配電線103における各第1DER6aの最大化した充電量を用いることによって充電量を最大化した場合の電圧電流分布が得られる。
最適潮流計算部24は、各第1DER6aについて、放電量の最大値を下限とし、充電量の最大値を上限とする有効電力量の範囲である有効電力制御範囲を決定する。最適潮流計算部24は、各第2DER6bについて第1無効電力量および第2無効電力量を無効電力制御量とする。
一例では、制御対象期間で発電可能なDERでの発電量が大きい系統状態では、配電線103において、電圧上昇による電圧違反と電流違反とが生じやすい状況である。このような状況では、DER6が放電すると、さらに電圧が上昇し、電圧上昇による電圧違反と電流違反とが発生しやすい状況となる。そこで、図1の配電線103において、需要家7と接続される連系点の電圧および電流が電力系統制約を守るように、第1DER6aについては第1DER6aが放電する量を最大化した放電量を求め、第2DER6bについては最小化した無効電力量である第1無効電力量を求める。これによって、配電線103において電力の需給調整を行いながら、電力系統制約を満たす放電量を最大化した場合の電圧電流分布が得られる。
また、制御対象期間で発電可能なDERでの発電量が小さい系統状態では、配電線103において、電圧降下による電圧違反と電流違反とが生じやすい状況である。このような状況では、DER6が充電すると、さらに電圧が降下し、電圧降下による電圧違反と電流違反とが発生しやすい状況となる。図1の配電線103において、需要家7と接続される連系点の電圧および電流が電力系統制約を守るように、第1DER6aについては第1DER6aが充電する量を最大化した充電量を求め、第2DER6bについては最小化した無効電力量である第2無効電力量を求める。これによって、配電線103において電力の需給調整を行いながら、電力系統制約を満たす充電量を最大化した場合の電圧電流分布が得られる。
なお、配電系統100に第2DER6bが存在しない場合には、最適潮流計算部24は、VPPアグリゲータ3から取得した第1制御可能電力量を変数とし、推定した電圧電流分布に対して、電力系統制約が守られるという制約条件の下で、第1DER6aの放電量および充電量を最大化する最適化問題を解く。これによって、各第1DER6aの最大化した放電量と、最大化した充電量と、が取得される。
以上のように、配電系統100に第2DER6bが存在しない場合には、最適潮流計算部24は、需給予測に基づいた配電系統100の電圧電流分布から、配電系統100の電圧および電流に関する電力系統制約が守られ、制御対象期間で第1DER6aの制御可能な第1制御可能電力量の範囲で出力可能な充電量および放電量の最大値を算出し、放電量および充電量の最大値によって定められる有効電力制御範囲を決定する。また、配電系統100に第2DER6bが存在する場合には、最適潮流計算部24は、有効電力制御範囲に加えて、電圧電流分布から、配電系統100の電力系統制約が守られ、制御対象期間で第2DER6bの制御可能な第2制御可能電力量の範囲で出力可能な無効電力量の最小値である無効電力制御量を算出する。
なお、充電量および放電量を最大化する場合に、第1DER6aに優先度または重みを設定してもよい。この場合には、DER管理装置2に、予め第1DER6aについて優先度または重みが設定されており、最適潮流計算部24は、設定された優先度または重みに従って最適化問題を解く。これによって、電力系統制約が守られるという制約条件の下で、優先させたい第1DER6aの充電量および放電量を最大化することができる。第2DER6bについても同様に優先度または重みを設定してもよい。
DER制御指令値演算部25は、最適潮流計算部24で算出された第1DER6aの有効電力制御範囲と第2DER6bの無効電力制御量とから、各DER6についての制御指令情報を生成する。具体的には、DER制御指令値演算部25は、第1DER6aについては、各第1DER6aと最適潮流計算部24で算出された有効電力制御範囲とを対応付けた第1制御指令情報を生成する。DER制御指令値演算部25は、第2DER6bについては、無効電力制御量と、放電量を最大化した場合の電圧電流分布および充電量を最大化した場合の電圧電流分布と、を用いて、第2DER6bで無効電力による電圧制御に使用する整定値を算出する。DER制御指令値演算部25は、各第2DER6bと無効電力制御量および整定値とを対応付けた第2制御指令情報を生成する。整定値の算出については、後述する。なお、第1DER6aについての第1制御指令情報は、通信部21を介してVPPアグリゲータ3へと送信され、第2DER6bについての第2制御指令情報は、通信部21を介して配電自動化システム4へと送信される。DER制御指令値演算部25は、制御指令値演算部に対応する。
図4は、実施の形態1に係るDER管理システムに備えられるVPPアグリゲータの構成の一例を模式的に示す図である。VPPアグリゲータ3は、通信部31と、DER制御可能量収集部32と、記憶部33と、需要予測部34と、必要調整力推定部35と、DER制御指令値決定部36と、を備える。
通信部31は、通信ネットワーク71,73を介して第1DER6aおよびDER管理装置2と通信を行う。一例では、通信部31は、DER制御可能量収集部32で収集された各第1DER6aの第1制御可能電力量をDER管理装置2に送信する。また、通信部31は、DER管理装置2から受信した各第1DER6aについての第1制御指令情報を受信し、DER制御指令値決定部36で決定された出力計画情報を第1制御指令値として第1DER6aに送信する。
DER制御可能量収集部32は、制御対象期間毎に、第1DER6aから第1制御可能電力量を収集する。DER制御可能量収集部32は、収集した第1制御可能電力量を記憶部33に記憶する。
記憶部33は、DER制御可能量収集部32が収集した制御可能電力量情報を記憶する。また、記憶部33は、配電系統100内の電力の需給予測に使用する需給実績情報を記憶する。需給実績情報は、一例では、過去の負荷5における需要電力量実績値、発電可能なDERが出力した電力量である再生可能エネルギ出力実績値、他系統との連系線を流れる電力量である他系統連系潮流実績値、および自系統内での火力発電機等が出力した電力量の実績値である自系統内発電機出力実績値と、日種、気象条件、時間帯を含む発電状況情報と、を対応付けた情報である。日種は、平日、休日等の日による種別を示す情報であり、気象条件は、天気、気温等の情報であり、時間帯は、朝、昼、夕、夜等の1日のうちの時間を示す情報である。ここでは、発電可能なDERが出力した電力量は、火力発電機等が出力した電力量と区別するため、再生可能エネルギ出力と称される。
需要予測部34は、制御対象の自系統内における制御対象期間の負荷需要、再生可能エネルギ出力、他系統連系潮流、および自系統内での火力発電機等の発電機出力を予測し、記憶部33に記憶する。一例では、需要予測部34は、制御対象期間と日種、気象条件および時間帯が同じまた類似する日種、気象条件および時間帯の過去の需給実績情報を取得し、取得した需給実績情報に対して統計処理を行い、需給予測情報を得る。具体的には、需要予測部34は、制御対象期間の過去の需要電力量実績値の統計処理を行って制御対象期間の負荷需要予測値を得る。需要予測部34は、制御対象期間の過去の再生可能エネルギ出力実績値の統計処理を行って制御対象期間の再生可能エネルギ出力予測値を得る。需要予測部34は、制御対象期間の過去の他系統連系潮流実績値の統計処理を行って制御対象期間の他系統連系潮流予測値を得る。需要予測部34は、制御対象期間の過去の発電機出力実績値の統計処理を行って制御対象期間の自系統内発電機出力予測値を得る。再生可能エネルギ出力予測値は、配電系統100に接続される発電可能なDERで発電される電力量である。他系統連系潮流は、VPPアグリゲータ3が需給制御を行う自系統と他系統との間で融通される正味の電力量である。
必要調整力推定部35は、需要予測部34が予測した負荷需要予測値、再生可能エネルギ出力予測値、他系統連系潮流予測値および自系統内発電機出力予測値を用いた制御対象期間における自系統内での需給予測に基づいて、需給制御のために必要となる、管理するすべての第1DER6aに対して指令する電力量である調整力を推定する。具体的には、必要調整力推定部35は、負荷需要予測値、再生可能エネルギ出力予測値、他系統連系潮流予測値および自系統内発電機出力予測値がすべて絶対値で表され、他系統連系潮流が自系統から他系統に出ていくものを正とした場合に、調整力は、次式(1)のように表される。
調整力=負荷需要-再生可能エネルギ出力+他系統連系潮流-自系統内発電機出力 ・・・(1)
調整力=負荷需要-再生可能エネルギ出力+他系統連系潮流-自系統内発電機出力 ・・・(1)
DER制御指令値決定部36は、制御対象期間の配電系統100における需給制御のための調整力を、第1制御指令情報の有効電力制御範囲内で、運用コストが最小化されるように第1DER6aのそれぞれに配分し、配分した調整力である有効電力制御量と出力するタイミングとを第1DER6aのそれぞれについて規定した第1制御指令値を生成する。具体的には、DER制御指令値決定部36は、各第1DER6aの有効電力制御量が有効電力制御範囲となる制約条件の下で、目的関数が表す運用コストを最小化する最適化問題を解くことによって、調整力を各第1DER6aに配分した電力量である第1DER6aに指令する有効電力制御量を決定する。第1DER6aが蓄電池または電気自動車を含むものである場合には、有効電力制御量は、充電量または放電量であり、第1DER6aが太陽光発電設備を含むものである場合には、有効電力制御量は、発電抑制量である。一例では、DER制御指令値決定部36は、各第1DER6aでの充電量および放電量に対して運用コストを対応付けた情報を用いて、運用コストを最小化する最適化問題を解く。また、DER制御指令値決定部36は、制御対象期間のどのタイミングでどの第1DER6aにどの程度の有効電力量を出力させるかを規定した出力計画情報を決定する。出力計画情報は、各第1DER6aに対して決定した有効電力量を出力させる制御タイミングを規定した情報であり、一例では、第1DER6a毎に生成される。DER制御指令値決定部36は、各第1DER6aについて生成した出力計画情報を第1制御指令値とする。なお、DER制御指令値決定部36は、制御指令値決定部に対応する。
図5は、実施の形態1に係るDER管理システムに備えられる配電自動化システムの構成の一例を模式的に示す図である。配電自動化システム4は、一例では、電力会社の系統における電圧および電流を管理する装置であり、配電系統100に接続される第2DER6bの電圧および電流を管理する。配電自動化システム4は、通信部41と、DER制御可能量収集部42と、記憶部43と、DER制御指令値設定部44と、を備える。
通信部41は、通信ネットワーク72,73を介して第2DER6bおよびDER管理装置2と通信を行う。一例では、通信部41は、各第2DER6bから第2制御可能電力量を受信する。通信部41は、DER制御可能量収集部42で収集された各第2DER6bの第2制御可能電力量をDER管理装置2に送信する。また、通信部41は、DER管理装置2から各第2DER6bについての第2制御指令情報を受信する。通信部41は、DER制御指令値設定部44からの指示に従って、第2制御指令情報に含まれる無効電力制御量と整定値とを含む第2制御指令値を各第2DER6bに送信する。
DER制御可能量収集部42は、制御対象期間毎に、第2DER6bから第2制御可能電力量を収集する。DER制御可能量収集部42は、収集した第2制御可能電力量を記憶部43に記憶する。
記憶部43は、DER制御可能量収集部42が収集した第2制御可能電力量を記憶する。また、記憶部43は、配電系統100の系統情報、負荷発電実績情報を記憶する。系統情報は、系統における電圧および電流がどのように分布しているかを示す情報である。負荷発電実績情報は、第2DER6bを有する需要家7の負荷需要量および発電量の実績値を示す情報である。負荷発電実績情報は、一例では、過去の負荷5の需要電力量の実績値、発電可能なDERが出力した電力量の実績値を含む電力実績情報と、日種、気象条件、時間帯を含む発電状況情報と、を対応付けた情報である。負荷発電実績情報は、一例では、DER管理装置2から取得される。
DER制御指令値設定部44は、DER管理装置2から受信した第2制御指令情報から各第2DER6bについて設定する無効電力制御量および整定値を含む第2制御指令値を生成する。DER制御指令値設定部44は、通信部41を介して、各第2DER6bに第2制御指令値を設定する。
つぎに、DER管理装置2での処理の詳細について説明する。図6および図7は、実施の形態1に係るDER管理方法の手順の一例を示すフローチャートである。DER管理方法は、DER管理装置2で実行される制御指令情報の算出方法を含む。まず、通信部21は、VPPアグリゲータ3から第1DER6aについての第1制御可能電力量を受信し(ステップS11)、配電自動化システム4から第2DER6bについての第2制御可能電力量を受信する(ステップS12)。
ついで、予測部23は、制御対象期間における配電系統100に接続される負荷5での負荷需要量予測値および発電可能なDERでの発電量予測値を予測する(ステップS13)。予測部23は、記憶部22に記憶された負荷需要の実績値および発電プロファイルの実績値を用いて、制御対象期間における負荷需要量予測値および発電量予測値を予測する。その後、予測部23は、負荷需要量予測値および発電量予測値を用いて、配電系統100の配電線103における電圧電流分布を推定する(ステップS14)。
ついで、最適潮流計算部24は、電力系統制約違反が発生していない配電線103を制御対象とし、推定した電圧電流分布に対して、電力系統制約が守られるように、第1DER6aについては有効電力制御範囲を算出し、第2DER6bについては無効電力制御量を算出する。具体的には、最適潮流計算部24は、第1制御可能電力量および第2制御可能電力量を変数とし、推定した電圧電流分布に対して、電力系統制約が守られるという制約条件の下で、第1DER6aの放電量を最大化し、電圧降下させる効果のある第2DER6bの無効電力量を最小化する第1最適化問題を解く(ステップS15)。また、最適潮流計算部24は、第1制御可能電力量および第2制御可能電力量を変数とし、推定した電圧電流分布に対して、電力系統制約が守られるという制約条件の下で、第1DER6aの充電量を最大化し、電圧上昇させる効果のある第2DER6bの無効電力量を最小化する第2最適化問題を解く(ステップS16)。
図8は、配電系統の構成の一例を模式的に示す図である。ここでは、配電線103に2つの電圧調整機器であるSVR91a,91bが接続され、SVR91a,91bの間の配電線103に、2つのDER6c,6dが設けられている場合を示す。
図9は、図8に示される配電系統における電圧分布の一例を示す図である。図9の横軸は、図8に示される配電線103上の位置を示しており、縦軸は電圧を示している。ここでは、DER6cの位置はPcとされ、DER6dの位置はPdとされる。図9で、グラフG11は、一例ではステップS12で予測部23によって推定された配電系統100の電圧分布を示しており、制御前の状態であるとする。各DER6c,6dが系統、すなわち配電線103と連系する点の連系点電圧は、電力系統制約で定められた範囲に収まる必要がある。この定められた範囲の下限値がV1であり、上限値がV2であるとする。グラフG11が下限値V1と上限値V2との間に存在するように、DER6cおよびDER6dの充放電量が制御される。なお、配電系統における電流分布は、各線路を流れる電流が許容される最大値よりも小さくなるように、第1DER6aおよび第2DER6bを含む各DERの制御量が決定される。
ステップS15,S16では、制御前の電圧および電流分布に対し、電力系統制約が守られる範囲で出力可能な放電量および充電量がそれぞれ第1最適化問題および第2最適化問題によって算出される。図10は、図8に示される配電系統の各DERにおける充放電量の一例を示す図である。図10で、横軸は、図8に示される配電線103上の位置を示しており、縦軸は有効電力を示している。有効電力が正の場合には充電を示しており、負の場合には放電を示している。
第1DER6aの放電量の最大値と、電圧降下させる効果のある第2DER6bの第1無効電力量の最小値と、は、第1最適化問題を解くことによって得られる。図10の例では、DER6cの放電量の最大値はPC1であり、DER6dの放電量の最大値はPC2である。また、第1DER6aの充電量の最大値と、電圧上昇させる効果のある第2DER6bの第2無効電力量の最小値と、は、第2最適化問題を解くことによって得られる。図10の例では、DER6cの充電量の最大値はPD1であり、DER6dの充電量の最大値はPD2である。
図7に戻り、最適潮流計算部24は、各第1DER6aについて、放電量の最大値を下限とし、充電量の最大値を上限とする有効電力制御範囲を決定する(ステップS17)。最適潮流計算部24は、各第2DER6bについて、第1無効電力量および第2無効電力量を含む無効電力制御量を決定する(ステップS18)。
最適潮流計算部24は、算出した各第1DER6aの放電量の最大値から、配電線103における放電量を最大化した場合の電圧分布を算出し(ステップS19)、算出した各第1DER6aの充電量の最大値から、配電線103における充電量を最大化した場合の電圧分布を算出する(ステップS20)。
その後、DER制御指令値演算部25は、放電量を最大化した場合の電圧分布および充電量を最大化した場合の電圧分布と、無効電力制御量と、を用いて、第2DER6bについての整定値を算出する(ステップS21)。
ここで、整定値の算出の具体例について説明する。図11は、第2DERでの電圧制御の一例を示す図である。この図で、横軸は一例では第2DER6bの電圧を示し、縦軸は無効電力出力Qを示す。不感帯は、下限の電圧値VLと上限の電圧値VUとの間の電圧の範囲であり、この範囲に第2DER6bの電圧が存在する場合には無効電力の制御が行われない。第2DER6bの電圧が下限の電圧値VLよりも小さい場合または上限の電圧値VUよりも大きい場合に、第2DER6bの電圧に対応する無効電力を第2DER6bに出力させることによって、第2DER6bの無効電力制御が行われる。このため、下限の電圧値VLおよび上限の電圧値VUは、制御開始電圧とも称される。また、下限の電圧値VLと上限の電圧値VUとの平均値、図11で縦軸が通る電圧値VTは、制御目標値と称される。不感帯は、制御目標値を中心として、第2DER6bの電圧を収める目標となる範囲を示している。
第2DER6bの電圧がVQ1を超えた場合、またはVQ2を下回った場合には、無効電力の出力量は一定値となる。つまり、第2DER6bが出力可能な無効電力には上下限値がある。この上下限値に、最適潮流計算部24が算出した第1無効電力量および第2無効電力量が用いられてもよいし、第2DER6bの第2制御可能電力量の上下限値が用いられてもよい。なお、傾き、ゲインの決定方法は公知の種々の方法を用いることができ、限定されるものではない。
図8でDER6cが第2DER6b、すなわち電圧調整機能を有するDERであるとする。DER管理装置2による制御を行わない場合には、配電線103は、図9のグラフG11に示されるような電圧分布を有する。また、上記したように、各DER6c,6dの充電量が最大値となるように制御した場合には、グラフG12に示される電圧分布となり、各DER6c,6dの放電量が最大値となるように制御した場合には、グラフG13に示される電圧分布となる。このとき、DER6cの位置PcにおけるグラフG12の電圧値、すなわちDER6cと配電系統100との連系点での連系点電圧を不感帯の下限の電圧値VLとし、グラフG13の電圧値、すなわちDER6cと配電系統100との連系点での連系点電圧を不感帯の上限の電圧値VUとする。つまり、下限の電圧値VLと上限の電圧値VUとの間の領域が不感帯となる。また、下限の電圧値VLおよび上限の電圧値VUの平均値を目標電圧VTとする。DER制御指令値演算部25は、上記のようにして、下限の電圧値VL、上限の電圧値VUおよび目標電圧VTを算出し、これらを整定値とする。
図7に戻り、DER制御指令値演算部25は、第1DER6aと有効電力制御範囲とを対応付けた第1制御指令情報を生成し、第2DER6bと無効電力制御量および整定値とを対応付けた第2制御指令情報を生成する(ステップS22)。そして、通信部21は、第1制御指令情報をVPPアグリゲータ3に送信し(ステップS23)、第2制御指令情報を配電自動化システム4に送信する(ステップS24)。以上で、処理が終了する。
なお、上記した説明では、ステップS14の後、ステップS15の処理に移行している。しかし、ステップS14で推定した配電系統100の配電線103の電圧電流分布が電力系統制約に違反している場合も生じ得る。この場合には、電圧電流分布が電力系統制約を満たしている配電線103を対象として、ステップS15以降の処理が行われ、電圧電流分布が電力系統制約を満たしていない配電線103には、実施の形態1では違反解消を目的とした制御量は確保しないため、処理が終了することになる。つまり、ステップS14とステップS15との間に、最適潮流計算部24が、配電線103の電圧電流分布が電力系統制約を満たしている配電線103であるかを判定する処理が含まれていてもよい。
つぎに、VPPアグリゲータ3および配電自動化システム4での処理について説明する。図12は、実施の形態1に係るDER管理システムにおけるVPPアグリゲータの指令値算出処理の手順の一例を示すフローチャートである。まず、通信部31は、第1DER6aと有効電力制御範囲とを対応付けた第1制御指令情報をDER管理装置2から受信する(ステップS31)。
ついで、需要予測部34は、制御対象期間の自系統内における負荷需要予測値、再生可能エネルギ出力予測値、他系統連系潮流予測値、および自系統内発電機出力予測値を予測する(ステップS32)。その後、必要調整力推定部35は、負荷需要予測値、再生可能エネルギ出力予測値、他系統連系潮流予測値、および自系統内発電機出力予測値を用いて、配電系統100における需給制御のため、管理するすべての第1DER6aに対して指令する必要のある電力量である調整力を推定する(ステップS33)。
ついで、第1DER6aの有効電力制御範囲で、自系統内の全体の運用コストの最小化を目的とし、調整力を各第1DER6aに配分した電力量である有効電力制御量を決定する。具体的には、DER制御指令値決定部36は、各第1DER6aの有効電力制御量が有効電力制御範囲となる制約条件の下で、目的関数が表す運用コストを最小化する最適化問題を解く。これによって、DER制御指令値決定部36は、調整力を各第1DER6aに配分した電力量である第1DER6aに指令する有効電力制御量を決定する(ステップS34)。
また、DER制御指令値決定部36は、制御対象期間のどのタイミングでどの第1DER6aにどの程度の有効電力量を出力させるかを規定した出力計画情報を決定し、第1DER6a毎に出力計画情報を対応付けた第1制御指令値を生成する(ステップS35)。
その後、通信部31は、第1制御指令値を各第1DER6aに送信する(ステップS36)。各第1DER6aの電力制御装置62は、VPPアグリゲータ3からの第1制御指令値、すなわち出力計画情報に基づいて、分散型エネルギ装置61を制御する。以上で、処理が終了する。
図13は、実施の形態1に係るDER管理システムにおける配電自動化システムの整定値設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。まず、通信部41は、第2制御指令情報をDER管理装置2から受信する(ステップS51)。第2制御指令情報は、第2DER6bと無効電力制御量および整定値とを対応付けた情報である。
ついで、DER制御指令値設定部44は、受信した第2制御指令情報から各第2DER6bについて設定する無効電力制御量および整定値を含む第2制御指令値を第2DER毎に生成する(ステップS52)。そして、通信部41は、第2制御指令値を各第2DER6bに送信する(ステップS53)。各第2DER6bの電力制御装置62は、配電自動化システム4から受信した第2制御指令値に含まれる無効電力制御量および整定値に基づいて、分散型エネルギ装置61を制御する。以上で、処理が終了する。
次に、実施の形態1のDER管理装置2、VPPアグリゲータ3および配電自動化システム4のハードウェア構成例について説明する。図14は、実施の形態1に係るDER管理システムで使用されるDER管理装置、VPPアグリゲータおよび配電自動化システムを実現するコンピュータシステムの構成の一例を示す図である。DER管理装置2、VPPアグリゲータ3および配電自動化システム4は、例えば、それぞれ図14に例示されるコンピュータシステム200により実現される。
図14に示すように、このコンピュータシステム200は、制御部201と入力部202と記憶部203と表示部204と通信部205と出力部206とを備え、これらはシステムバス207を介して接続されている。図14において、制御部201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等であり、実施の形態1のDER管理装置2、VPPアグリゲータ3および配電自動化システム4における処理が記述されたプログラムを実行する。入力部202は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステム200のユーザが、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部203は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部201が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部203は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部204は、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)などで構成され、コンピュータシステム200のユーザに対して各種画面を表示する。通信部205は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部206は、プリンタなどである。
ここで、実施の形態1のDER管理装置2、VPPアグリゲータ3および配電自動化システム4のそれぞれを実現するプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステム200の動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステム200には、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、プログラムが記憶部203にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部203から読み出されたプログラムが記憶部203に格納される。この状態で、制御部201は、記憶部203に格納されたプログラムに従って、実施の形態1のDER管理装置2、VPPアグリゲータ3および配電自動化システム4としての処理を実行する。
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステム200の構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部205を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
図3に示した通信部21は、例えば、図14に示した通信部205により実現される。図4に示した通信部31は、例えば、図14に示した通信部205により実現される。図5に示した通信部41は、例えば、図14に示した通信部205により実現される。図3に示した予測部23、最適潮流計算部24およびDER制御指令値演算部25は、制御部201が対応するプログラムを実行することにより実現される。図4に示したDER制御可能量収集部32、需要予測部34、必要調整力推定部35およびDER制御指令値決定部36は、制御部201が対応するプログラムを実行することにより実現される。図5に示したDER制御可能量収集部42およびDER制御指令値設定部44は、制御部201が対応するプログラムを実行することにより実現される。また、制御部201がプログラムを実行する際には、記憶部203も用いられる。
図3に示した記憶部22は、図14に示した記憶部203により実現される。図4に示した記憶部33は、図14に示した記憶部203により実現される。図5に示した記憶部43は、図14に示した記憶部203により実現される。
また、実施の形態1のDER管理装置2、VPPアグリゲータ3および配電自動化システム4のそれぞれは、1台のコンピュータシステム200により実現されてもよいし、複数台のコンピュータシステム200により実現されてもよい。例えば、DER管理装置2は、クラウドシステムにより実現されてもよい。また、DER管理装置2は1つのコンピュータシステム200により実現されてもよい。
実施の形態1のDER管理プログラムは、例えば、コンピュータシステム200に、需給予測に基づいた配電系統100の電圧電流分布から、配電系統100の電圧および電流に関する制約が守られ、制御対象期間で第1DER6aの制御可能な第1制御可能電力量の範囲で出力可能な充電量および放電量の最大値によって定められる有効電力制御範囲を算出するステップと、複数の第1DER6aのそれぞれと有効電力制御範囲とを対応付けた第1制御指令情報を生成するステップと、需給調整のために複数の第1DER6aに指令する有効電力量を決定するVPPアグリゲータ3に第1制御指令情報を送信するステップと、を実行させる。
実施の形態1では、DER管理装置2は、第1DER6aでの第1制御可能電力量を変数として、配電系統100の需給予測によって求められる電圧電流分布に対して、配電系統100の電力系統制約が守られるように、目的関数が第1DER6aの放電量を最大化する第1最適化問題、および目的関数が第1DER6aの充電量を最大化する第2最適化問題を解くことによって得られる放電量の最大値を下限とし、充電量の最大値を上限とする有効電力制御範囲を第1制御指令情報としてVPPアグリゲータ3に出力する。これによって、配電系統100の需給調整のために、配電系統100の電圧および電流に関する制約を満たしながら、各第1DER6aの有効電力制御量の範囲、すなわち各第1DER6aで許容される充放電範囲をVPPアグリゲータ3に提供することができるという効果を有する。これによって、VPPアグリゲータ3は、各第1DER6aの許容される充放電範囲で、運用コストの最小化を目的とし、配電系統100における需給制御のため各第1DER6aに指令する有効電力制御量の配分を決定することができる。そして、このように決定した有効電力制御量で第1DER6aを制御することで、VPPアグリゲータ3は、電力の需給調整を行うとともに、配電系統100での電圧電流違反の発生を抑制することができる。
また、DER管理装置2は、配電系統100に電圧調整機能を有するDERである第2DER6bがさらに設けられる場合には、配電系統100の需給予測によって求められる電圧電流分布に対して、配電系統100の電力系統制約が守られるように、目的関数が第1DER6aの放電量を最大化し、電圧降下させる効果のある第2DER6bの無効電力量を最小化する第1最適化問題、および目的関数が第1DER6aの充電量を最大化し、電圧上昇させる効果のある第2DER6bの無効電力量を最小化する第2最適化問題を解く。そして、DER管理装置2は、放電量の最大値を下限とし、充電量の最大値を上限とする有効電力制御範囲を第1制御指令情報としてVPPアグリゲータ3に送信する。また、DER管理装置2は、電圧降下させる効果のある各第2DER6bの無効電力量の最小値である第1無効電力量と、電圧上昇させる効果のある各第2DER6bの無効電力量の最小値である第2無効電力量と、第2DER6bで出力される電力を無効電力で制御するための整定値と、を算出し、これらを第2制御指令情報として配電自動化システム4に出力する。これによって、第2DER6bが系統に設けられる場合でも、配電系統100の電圧および電流に関する制約を満たしながら、配電系統100の需給調整を行うことが可能となる。
実施の形態2.
実施の形態1では、DER管理装置2の予測部23は、配電系統100に接続されるDER6の制御対象期間における1つの発電量予測値を予測した。実施の形態2では、DER管理装置2の予測部23が、配電系統100に接続されるDER6の制御対象期間における2つの発電量予測値を予測する場合を説明する。
実施の形態1では、DER管理装置2の予測部23は、配電系統100に接続されるDER6の制御対象期間における1つの発電量予測値を予測した。実施の形態2では、DER管理装置2の予測部23が、配電系統100に接続されるDER6の制御対象期間における2つの発電量予測値を予測する場合を説明する。
実施の形態2に係るDER管理システム1、DER6、DER管理装置2、VPPアグリゲータ3および配電自動化システム4の構成は、実施の形態1で説明したものと同様であるので、その説明を省略する。ただし、DER管理装置2の機能が実施の形態1とは異なる。以下では、実施の形態1と異なる部分について説明する。
実施の形態2では、DER管理装置2の予測部23は、負荷発電実績情報に基づいて、制御対象期間における配電系統100に接続される負荷5の需要の予測と、配電系統100に接続される発電可能なDERの制御対象期間における発電量の最大値および最小値の予測と、を行う。以下では、制御対象期間における発電量の最大値および最小値は、それぞれ発電量最大予測値および発電量最小予測値と称される。発電可能なDERについて発電量予測値として、実施の形態1では1つの値を予測していたが、実施の形態2では、2つの値を予測する。
実施の形態2でも、予測部23は、負荷需要の実績値および発電プロファイルの実績値を用いて、負荷需要予測値、発電量最大予測値および発電量最小予測値を予測する。負荷需要予測値の予測は実施の形態1で説明したので、ここではその説明を省略し、発電量最大予測値および発電量最小予測値の予測の具体例について説明する。予測部23は、制御対象期間に対応する期間の発電プロファイルの実績値を負荷発電実績情報から取得し、このうち最も発電量が大きい発電プロファイルを、発電量最大予測値とする。同様に、予測部23は、取得した発電プロファイルの実績値のうち最も発電量が小さい発電プロファイルを、発電量最小予測値とする。あるいは、予測部23は、予測する制御対象期間と同じまたは類似する太陽光の日射、風量等の気象条件と、過去の発電可能なDERの発電プロファイルの実績値と、から想定される発電量のうち最も出力が大きい発電量を発電量最大予測値とし、最も出力が小さい発電量を発電量最小予測値としてもよい。
また、予測部23は、制御対象期間の負荷需要予測値と発電可能なDERの発電量最大予測値および発電量最小予測値とを用いて、発電可能なDERが最大出力となる場合および最小出力となる場合のそれぞれにおける配電系統100の電圧電流分布を推定する。
DER管理装置2の最適潮流計算部24は、配電系統100の電力系統制約が守られ、制御対象期間における発電可能なDERが最大出力となる需給予測に基づいた配電系統100の電圧電流分布から、制御対象期間で第1DER6aの制御可能な第1制御可能電力量の範囲で出力可能な放電量の最大値と、制御対象期間における発電可能なDERが最小出力となる需給予測に基づいた配電系統100の電圧電流分布から、制御対象期間で第1制御可能電力量の範囲で出力可能な充電量の最大値と、を算出し、放電量および充電量の最大値によって定められる有効電力制御範囲を決定する。
具体的には、第1制御可能電力量および第2制御可能電力量を変数とし、発電可能なDERが最大出力となる場合の電圧電流分布に対して、電力系統制約が守られるという制約条件の下で、第1DER6aの放電量を最大化し、電圧降下させる効果のある第2DER6bの無効電力量を最小化する第3最適化問題を解く。また、最適潮流計算部24は、第1制御可能電力量および第2制御可能電力量を変数とし、発電可能なDERが最小出力となる場合の電圧電流分布に対して、電力系統制約が守られるという制約条件の下で、第1DER6aの充電量を最大化し、電圧上昇させる効果のある第2DER6bの無効電力量を最小化する第4最適化問題を解く。
第3最適化問題を解くことによって、各第1DER6aの最大化した放電量と、電圧降下させる効果のある各第2DER6bの最小化した第1無効電力量と、が取得される。配電線103における各第1DER6aの最大化した放電量を用いることによって放電量を最大化した場合の電圧電流分布が得られる。第4最適化問題を解くことによって、各第1DER6aの最大化した充電量と、電圧上昇させる効果のある各第2DER6bの最小化した第2無効電力量と、が取得される。配電線103における各第1DER6aの最大化した充電量を用いることによって充電量を最大化した場合の電圧電流分布が得られる。
つぎに、DER管理装置2での処理の詳細について説明する。図15は、実施の形態2に係るDER管理方法の手順の一例を示すフローチャートである。まず、通信部21は、VPPアグリゲータ3から第1DER6aについての第1制御可能電力量を受信し(ステップS71)、配電自動化システム4から第2DER6bについての第2制御可能電力量を受信する(ステップS72)。
ついで、予測部23は、負荷需要の実績値を用いて、制御対象期間における配電系統100に接続される負荷5での負荷需要予測値を予測する(ステップS73)。また、予測部23は、発電プロファイルの実績値を用いて、制御対象期間における配電系統100に接続される発電可能なDERの発電量最大予測値および発電量最小予測値を予測する(ステップS74)。ここで、発電可能なDERの発電量最大予測値は、制御対象期間において発電プロファイルの実績値から予測される発電可能なDERの発電量のうち最大のものをいう。また、発電可能なDERの発電量最小予測値は、制御対象期間において発電プロファイルの実績値から予測される発電可能なDERの発電量のうち最小のものをいう。
その後、予測部23は、負荷需要量予測値および発電量最大予測値を用いて、配電系統100の配電線103における電圧電流分布である発電量最大時電圧電流分布を推定する(ステップS75)。発電量最大時電圧電流分布は、第1電圧電流分布に対応する。また、予測部23は、負荷需要量予測値および発電量最小予測値を用いて、配電系統100の配電線103における電圧電流分布である発電量最小時電圧電流分布を推定する(ステップS76)。発電量最小時電圧電流分布は、第2電圧電流分布に対応する。
図16は、図8に示される配電系統における電圧分布の一例を示す図である。図16の横軸は、図8に示される配電系統100の配電線103上の位置を示しており、縦軸は電圧を示している。図16で、グラフG21は、ステップS75で推定された発電量最大時電圧分布を示しており、制御前の状態であるとする。また、グラフG22は、ステップS76で推定された発電量最小時電圧分布を示しており、制御前の状態であるとする。
図15に戻り、最適潮流計算部24は、電力系統制約違反が発生していない配電線103を制御対象とし、第1制御可能電力量および第2制御可能電力量を変数とし、推定した発電量最大時電圧電流分布に対して、電力系統制約が守られるという制約条件の下で、第1DER6aの放電量を最大化し、電圧降下させる効果のある第2DER6bの無効電力量を最小化する第3最適化問題を解く(ステップS77)。また、最適潮流計算部24は、電力系統制約違反が発生していない配電線103を制御対象とし、第1制御可能電力量および第2制御可能電力量を変数とし、推定した発電量最小時電圧電流分布に対して、電力系統制約が守られるという制約条件の下で、第1DER6aの充電量を最大化し、電圧上昇させる効果のある第2DER6bの無効電力量を最小化する第4最適化問題を解く(ステップS78)。
その後は、実施の形態1の図7のステップS17からS24に示した手順と同様の手順が実行される。すなわち、最適潮流計算部24は、第1DER6aについて有効電力制御範囲を決定し、第2DER6bについて第1無効電力量および第2無効電力量を含む無効電力制御量と整定値とを算出する。DER制御指令値演算部25は、第1DER6aと有効電力制御範囲とを対応付けた第1制御指令情報を生成し、第2DER6bと無効電力制御量および整定値とを対応付けた第2制御指令情報を生成する。そして、通信部21は、第1制御指令情報および第2制御指令情報をそれぞれVPPアグリゲータ3および配電自動化システム4に送信する。
なお、ステップS75で算出した発電量最大時電圧分布は、図16のグラフG23に示され、ステップS76で算出した発電量最小時電圧分布は、図16のグラフG24に示される。また、図8でDER6cが第2DER6b、すなわち電圧調整機能を有するDERであるとすると、DER6cの整定値は、実施の形態1と同様に算出される。つまり、DER6cの位置PcにおけるグラフG24の電圧値を不感帯の下限の電圧値VLとし、グラフG23の電圧値を不感帯の上限の電圧値VUとする。また、下限の電圧値VLおよび上限の電圧値VUの平均値を目標電圧VTとする。そして、DER制御指令値演算部25は、下限の電圧値VL、上限の電圧値VUおよび目標電圧VTを整定値とする。
実施の形態2でも、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
実施の形態1,2では、DER管理装置2は、配電系統100での負荷需要および発電プロファイルの過去データである実績値を記憶部22から取得して、配電系統100の電圧電流分布を推定していた。しかし、配電系統100の電圧電流分布の推定は、実施の形態1,2で示したものに限定されるものではない。実施の形態3では、配電系統100の電圧電流分布の推定を別の方法によって行う場合を説明する。
実施の形態1,2では、DER管理装置2は、配電系統100での負荷需要および発電プロファイルの過去データである実績値を記憶部22から取得して、配電系統100の電圧電流分布を推定していた。しかし、配電系統100の電圧電流分布の推定は、実施の形態1,2で示したものに限定されるものではない。実施の形態3では、配電系統100の電圧電流分布の推定を別の方法によって行う場合を説明する。
図17は、実施の形態3に係るDER管理システムの構成の一例を模式的に示す図である。実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。実施の形態3のDER管理システム1aは、各配電線103に計測装置8をさらに備える。計測装置8は、配電系統100の状態量を計測する装置である。配電系統100の状態量は、配電線103の電圧電流分布を算出することができるものであればよい。配電系統100の状態量の一例は、線間電圧、相電圧、線路電流、力率、通過有効電力、通過無効電力である。計測装置8は、計測した配電量の状態量を配電系統状態量情報として、通信ネットワーク81を介してDER管理装置2aに送信する。一例では、計測装置8は、配電用変圧器101側の配電線103に設けられる。
実施の形態3では、DER6、VPPアグリゲータ3および配電自動化システム4の構成は、実施の形態1で説明したものと同様であり、DER管理装置2aの構成が実施の形態1のものとは異なる。図18は、実施の形態3に係るDER管理装置の構成の一例を模式的に示す図である。実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について説明を行う。DER管理装置2aは、実施の形態1の構成において、予測部23に代え、計測情報収集部26を備える。また、通信部21は、計測装置8との間で通信を行う機能も有する。通信部21は、計測装置8から配電系統状態量情報を受信する。
計測情報収集部26は、通信部21を介して計測装置8から配電系統状態量情報を収集し、収集した配電系統状態量情報を収集した時刻とともに記憶部22に記憶する。また、計測情報収集部26は、記憶部22に記憶された配電系統状態量情報を用いて、制御対象期間における配電系統100の配電線103の電圧電流分布を推定する。つまり、実施の形態3では、配電系統100の電圧電流分布の推定に、計測装置8で計測された配電系統状態量情報が用いられることになる。一例では、計測情報収集部26は、配電系統100の電圧電流分布に関する状態量を計測した過去データを用いて、制御対象期間における配電系統100の電圧電流分布を推定する。
つぎに、DER管理装置2aでの処理の詳細について説明する。図19は、実施の形態3に係るDER管理方法の手順の一例を示すフローチャートである。図19では、実施の形態1の図6と同じ処理には同じステップの番号を付してその説明を省略する。以下では、図6と異なる部分について説明する。
ステップS11およびステップS12での第1制御可能電力量および第2制御可能電力量の受信とともに、計測情報収集部26は、通信部21を介して計測装置8から配電系統状態量情報を収集する(ステップS91)。収集した配電系統状態量情報は、収集した時刻とともに記憶部22に記憶される。
ついで、計測情報収集部26は、制御対象期間に対応する期間の配電系統状態量情報を用いて、制御対象期間における電圧電流分布を推定する(ステップS92)。その後は、図6のステップS15以降の処理に移る。
実施の形態3では、DER管理装置2aは、配電線103の電圧電流分布を計算することができる配電系統状態量情報を計測装置8から収集し、配電系統状態量情報を用いて、制御対象期間の配電線103の電圧電流分布を推定するようにした。実施の形態1では、負荷需要の実績値および発電プロファイルの実績値から負荷需要量予測値および発電量予測値を予測し、負荷需要量予測値および発電量予測値から配電線103における電圧電流分布を推定していた。しかし、実施の形態3では、配電系統状態量情報から配電線103の電圧電流分布を推定するため、電圧電流分布を推定するのに要する処理工程の数を実施の形態1に比して抑えることができるという効果を有する。
実施の形態4.
実施の形態3では、計測装置8で計測された配電系統状態量情報を用いて配電系統100の電圧電流分布を算出する例を実施の形態1に適用した場合を示した。実施の形態4では、計測装置8で計測された過去の配電系統状態量情報を用いて配電系統100の電圧電流分布を算出する例を実施の形態2に適用する場合を示す。
実施の形態3では、計測装置8で計測された配電系統状態量情報を用いて配電系統100の電圧電流分布を算出する例を実施の形態1に適用した場合を示した。実施の形態4では、計測装置8で計測された過去の配電系統状態量情報を用いて配電系統100の電圧電流分布を算出する例を実施の形態2に適用する場合を示す。
実施の形態4に係るDER管理システム1a、DER6、DER管理装置2a、VPPアグリゲータ3および配電自動化システム4の構成は、実施の形態1から3で説明したものと同様であるので、その説明を省略する。以下では、実施の形態1から3と異なる部分について説明する。
実施の形態4では、DER管理装置2aの計測情報収集部26は、記憶部22に記憶された過去の配電系統状態量情報を用いて、制御対象期間における発電可能なDERが最大出力と推測される場合の発電量最大時電圧電流分布と、最小出力と推測される場合の発電量最小時電圧電流分布と、を算出する。具体的には、計測情報収集部26は、発電可能なDERについては、制御対象期間に対応する期間の過去の配電系統状態量情報のうち、最大出力となるデータと最小出力となるデータとを抽出する。また、充放電可能なDERについては、制御対象期間に対応する期間の過去の配電系統状態量情報を用いて出力を予測する。発電可能なDERが最大出力となるデータおよび最小出力となるデータを抽出するとき、および充放電可能なDERの出力を予測するときに、制御対象期間と同じまたは類似する気象条件等を用いて、過去の配電系統状態量情報を絞り込んでもよい。この場合には、配電系統状態量情報は、日種、気象条件および時間帯を含む。そして、抽出した発電可能なDERが最大出力となるデータおよび最小出力となるデータと、充放電可能なDERの出力と、を用いて、配電線103の発電量最大時電圧電流分布および発電量最小時電圧電流分布を算出する。
つぎに、DER管理装置2aでの処理の詳細について説明する。図20は、実施の形態4に係るDER管理方法の手順の一例を示すフローチャートである。図20では、実施の形態2の図15と同じ処理には同じステップの番号を付してその説明を省略する。以下では、図15と異なる部分について説明する。
ステップS71およびステップS72での第1制御可能電力量および第2制御可能電力量の受信とともに、計測情報収集部26は、通信部21を介して計測装置8から配電系統状態量情報を収集する(ステップS111)。収集した配電系統状態量情報は、収集した時刻とともに記憶部22に記憶される。
ついで、計測情報収集部26は、過去の配電系統状態量情報を用いて、制御対象期間に対応する期間で発電可能なDERの最大出力および最小出力と、充放電可能なDERの出力と、を予測する(ステップS112)。その後、計測情報収集部26は、予測した発電可能なDERの最大出力と充放電可能なDERの出力とを用いて、配電系統100の発電量最大時電圧電流分布を推定する(ステップS113)。また、計測情報収集部26は、予測した発電可能なDERの最小出力と充放電可能なDERの出力とを用いて、配電系統100の発電量最小時電圧電流分布を推定する(ステップS114)。その後は、図15のステップS77以降の処理に移る。
実施の形態4でも、実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
実施の形態5.
実施の形態5では、上記した実施の形態1から4の変形例について説明する。なお、以下では、上記した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明を行う。
実施の形態5では、上記した実施の形態1から4の変形例について説明する。なお、以下では、上記した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明を行う。
実施の形態1から4では、DER管理装置2,2aが無効電力制御量および整定値を配電自動化システム4に送信し、配電自動化システム4が第2DER6bに無効電力制御量および整定値を設定していた。第2DER6bに無効電力制御量および整定値を設定する処理をDER管理装置2が実行してもよい。
図21は、実施の形態5に係るDER管理装置の構成の一例を模式的に示す図である。DER管理装置2bは、実施の形態1の図3において、DER制御指令値設定部27をさらに備える。DER制御指令値設定部27は、第2制御指令情報から、第2DER6b毎に無効電力制御量および整定値を対応付けた第2制御指令値を生成し、第2制御指令値を第2DER6bに設定する。DER制御指令値設定部27は、制御指令値設定部に対応する。
図22は、実施の形態5に係る配電自動化システムの構成の一例を模式的に示す図である。図22に示されるように、配電自動化システム4aは、実施の形態1の図5において、DER制御指令値設定部44が除かれた構成を有する。これは、配電自動化システム4aから第2DER6bに対する無効電力制御量および整定値の設定を行わないためである。
図21および図22では、配電自動化システム4aが第2DER6bに対する無効電力制御量および整定値の設定を行わない例を示したが、DER管理システム1,1aから配電自動化システム4を取り除いてもよい。図23は、実施の形態5に係るDER管理システムの構成の一例を模式的に示す図である。図23のDER管理システム1bは、実施の形態1の図1から配電自動化システム4が除かれた構成を有している。この場合には、VPPアグリゲータ3のDER制御可能量収集部32が、第2DER6bから第2制御可能電力量を収集し、DER管理装置2に送信する機能をさらに有する。DER管理装置2の通信部21は、各第2DER6bについての無効電力制御量および整定値を示す第2制御指令情報をVPPアグリゲータ3に送信する機能をさらに有する。VPPアグリゲータ3のDER制御指令値決定部36は、第2制御指令情報から、第2DER6b毎に無効電力制御量および整定値を対応付けた第2制御指令値を生成し、第2制御指令値を第2DER6bに設定する機能をさらに有する。このように、配電自動化システム4がない場合には、配電自動化システム4の機能をVPPアグリゲータ3に代行させることが可能である。また、図23のDER管理システム1bにおいて、図21で説明したDER管理装置2bを設けてもよい。つまり、DER管理装置2bの通信部21は、第2制御指令情報をVPPアグリゲータ3に送信せず、DER制御指令値設定部27が、第2制御指令情報から生成した第2制御指令値を各第2DER6bに設定してもよい。
なお、上記した説明では、実施の形態1の構成を例に挙げたが、実施の形態2から4の構成についても同様の変形例を適用することができる。
また、上記した説明では、DER管理装置2,2a,2bの予測部23または計測情報収集部26が電圧電流分布の推定を行っていたが、DER管理装置2,2a,2bは予測部23または計測情報収集部26を有さず、推定された電圧電流分布を外部から取得してもよい。図24は、実施の形態5に係るDER管理システムの構成の他の例を模式的に示す図である。図24のDER管理システム1cは、通信ネットワーク73に接続される予測システム9をさらに備える。予測システム9は、実施の形態1,2のDER管理装置2の予測部23の機能を有する装置である。すなわち、予測システム9は、配電系統100に接続される負荷需要の実績値および発電プロファイルの実績値を含む負荷発電実績情報を保持し、負荷発電実績情報に基づいて、制御対象期間における配電系統100の負荷需要量予測値および発電量予測値を予測し、予測の結果に基づいて制御対象期間における配電系統100の配電線103における電圧電流分布を推定する。そして、予測システム9は、電圧電流分布をDER管理装置2cに送信する。
図25は、実施の形態5に係るDER管理装置の構成の他の例を模式的に示す図である。図25に示されるように、DER管理装置2cは、実施の形態1の図3から予測部23が除かれた構成を有する。最適潮流計算部24は、予測システム9から取得した電圧電流分布を用いて、有効電力制御範囲および無効電力制御量を決定する処理を行う。
なお、予測システム9は、実施の形態3,4で説明した計測情報収集部26の機能を有していてもよい。この場合には、予測システム9は、通信部を介して計測装置8から配電系統状態量情報を収集し、収集した配電系統状態量情報を収集した時刻とともに記憶部に記憶する。また、予測システム9は、記憶部に記憶された配電系統状態量情報を用いて、制御対象期間における配電系統100の配電線103における電圧電流分布を推定する。そして、予測システム9は、電圧電流分布をDER管理装置2cに送信する。このように電圧電流分布の推定を予測システム9に実行させることで、DER管理装置2cでの処理の負荷を軽減することが可能となる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1,1a,1b,1c DER管理システム、2,2a,2b,2c DER管理装置、3 VPPアグリゲータ、4,4a 配電自動化システム、5 負荷、6 DER、6a 第1DER、6b 第2DER、7 需要家、8 計測装置、9 予測システム、21,31,41,621 通信部、22,33,43,623 記憶部、23 予測部、24 最適潮流計算部、25 DER制御指令値演算部、26 計測情報収集部、27,44 DER制御指令値設定部、32,42 DER制御可能量収集部、34 需要予測部、35 必要調整力推定部、36 DER制御指令値決定部、61 分散型エネルギ装置、62 電力制御装置、71,72,73,81 通信ネットワーク、100 配電系統、101 配電用変圧器、102 母線、103 配電線、622 制御可能電力算出部、624 制御部。
Claims (21)
- 配電系統に接続され出力する有効電力が制御される複数の第1分散型エネルギリソースを含む分散型エネルギリソースにおける出力を算出する分散型エネルギリソース管理装置であって、
需給予測に基づいた前記配電系統の電圧電流分布から、前記配電系統の電圧および電流に関する制約が守られ、制御対象期間で前記第1分散型エネルギリソースの制御可能な第1電力量の範囲で出力可能な充電量および放電量の最大値を算出し、前記充電量および前記放電量の最大値によって定められる有効電力制御範囲を決定する最適潮流計算部と、
前記複数の第1分散型エネルギリソースのそれぞれと前記有効電力制御範囲とを対応付けた第1制御指令情報を生成する制御指令値演算部と、
前記複数の第1分散型エネルギリソースに指令する有効電力量を決定する仮想変電所アグリゲータに前記第1制御指令情報を送信する通信部と、
を備え、
前記有効電力制御範囲は、前記第1分散型エネルギリソースから出力される前記有効電力の制御範囲であることを特徴とする分散型エネルギリソース管理装置。 - 前記分散型エネルギリソースは、前記配電系統に接続され、電圧調整機能を有する複数の第2分散型エネルギリソースをさらに含み、
前記最適潮流計算部は、前記有効電力制御範囲に加えて、前記電圧電流分布から、前記配電系統の前記制約が守られ、前記制御対象期間で前記複数の第2分散型エネルギリソースの制御可能な第2電力量の範囲で出力可能な無効電力量の最小値である無効電力制御量を算出し、
前記制御指令値演算部は、前記複数の第2分散型エネルギリソースで無効電力による電圧制御に使用する整定値および前記無効電力制御量と前記複数の第2分散型エネルギリソースのそれぞれとを対応付けた第2制御指令情報をさらに生成することを特徴とする請求項1に記載の分散型エネルギリソース管理装置。 - 前記配電系統における負荷需要の実績値および発電可能な分散型エネルギリソースでの発電量の実績値を用いて、前記制御対象期間における前記電圧電流分布を推定する予測部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の分散型エネルギリソース管理装置。
- 前記配電系統の状態量を計測装置から収集し、前記配電系統の状態量を用いて前記制御対象期間における前記電圧電流分布を推定する計測情報収集部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の分散型エネルギリソース管理装置。
- 配電系統に接続され出力する有効電力が制御される複数の第1分散型エネルギリソースを含む分散型エネルギリソースにおける出力を算出する分散型エネルギリソース管理装置であって、
制御対象期間で、前記配電系統の電圧および電流に関する制約が守られ、前記制御対象期間における発電可能な分散型エネルギリソースが最大出力となる需給予測に基づいた前記配電系統の第1電圧電流分布から、前記制御対象期間で前記第1分散型エネルギリソースの制御可能な第1電力量の範囲で出力可能な放電量の最大値と、前記制御対象期間における前記発電可能な分散型エネルギリソースが最小出力となる需給予測に基づいた前記配電系統の第2電圧電流分布から、前記制御対象期間で前記第1電力量の範囲で出力可能な充電量の最大値と、を算出し、前記放電量および前記充電量の最大値によって定められる有効電力制御範囲を決定する最適潮流計算部と、
前記複数の第1分散型エネルギリソースのそれぞれと前記有効電力制御範囲とを対応付けた第1制御指令情報を生成する制御指令値演算部と、
前記複数の第1分散型エネルギリソースに指令する有効電力量を決定する仮想変電所アグリゲータに前記第1制御指令情報を送信する通信部と、
を備え、
前記有効電力制御範囲は、前記第1分散型エネルギリソースから出力される前記有効電力の制御範囲であることを特徴とする分散型エネルギリソース管理装置。 - 前記分散型エネルギリソースは、前記配電系統に接続され、電圧調整機能を有する複数の第2分散型エネルギリソースをさらに含み、
前記最適潮流計算部は、前記有効電力制御範囲に加えて、前記第1電圧電流分布および前記第2電圧電流分布から、前記配電系統の前記制約が守られ、前記制御対象期間で前記複数の第2分散型エネルギリソースの制御可能な第2電力量の範囲で出力可能な無効電力量の最小値である無効電力制御量を算出し、
前記制御指令値演算部は、前記複数の第2分散型エネルギリソースで無効電力による電圧制御に使用する整定値および前記無効電力制御量と前記複数の第2分散型エネルギリソースとを対応付けた第2制御指令情報をさらに生成することを特徴とする請求項5に記載の分散型エネルギリソース管理装置。 - 前記配電系統における負荷需要の実績値および前記発電可能な分散型エネルギリソースでの発電量の実績値を用いて、前記制御対象期間における前記第1電圧電流分布および前記第2電圧電流分布を推定する予測部をさらに備えることを特徴とする請求項5または6に記載の分散型エネルギリソース管理装置。
- 前記配電系統の状態量を計測装置から収集し、前記配電系統の状態量を用いて前記制御対象期間における前記第1電圧電流分布および前記第2電圧電流分布を推定する計測情報収集部をさらに備えることを特徴とする請求項5または6に記載の分散型エネルギリソース管理装置。
- 配電系統に接続され有効電力によって出力が制御される複数の第1分散型エネルギリソースを含む分散型エネルギリソースと、
請求項1に記載の分散型エネルギリソース管理装置と、
需給調整のために前記複数の第1分散型エネルギリソースに指令する有効電力量を決定する仮想変電所アグリゲータと、
を備える分散型エネルギリソース管理システムであって、
前記仮想変電所アグリゲータは、
前記分散型エネルギリソース管理装置から前記第1制御指令情報を受信する通信部と、
前記制御対象期間における前記配電系統での需給予測に基づいて、需給制御のために必要となる電力量である調整力を推定する必要調整力推定部と、
前記第1制御指令情報の前記有効電力制御範囲内で、運用コストが最小化されるように前記複数の第1分散型エネルギリソースのそれぞれに前記調整力を配分し、前記複数の第1分散型エネルギリソースのそれぞれへ指令する配分した前記調整力である有効電力制御量と出力するタイミングとを含む第1制御指令値を決定する制御指令値決定部と、
を備え、
前記通信部は、前記第1制御指令値を前記複数の第1分散型エネルギリソースのそれぞれに送信することを特徴とする分散型エネルギリソース管理システム。 - 前記分散型エネルギリソースは、前記配電系統に接続され、電圧調整機能を有する複数の第2分散型エネルギリソースをさらに含み、
前記分散型エネルギリソース管理装置の前記最適潮流計算部は、前記有効電力制御範囲に加えて、前記電圧電流分布から、前記配電系統の前記制約が守られ、前記制御対象期間で前記複数の第2分散型エネルギリソースの制御可能な第2電力量の範囲で出力可能な無効電力量の最小値である無効電力制御量を算出し、
前記分散型エネルギリソース管理装置の前記制御指令値演算部は、前記複数の第2分散型エネルギリソースで無効電力による電圧制御に使用する整定値および前記無効電力制御量と前記複数の第2分散型エネルギリソースのそれぞれとを対応付けた第2制御指令情報をさらに生成することを特徴とする請求項9に記載の分散型エネルギリソース管理システム。 - 配電系統に接続され有効電力によって出力が制御される複数の第1分散型エネルギリソースを含む分散型エネルギリソースと、
請求項5に記載の分散型エネルギリソース管理装置と、
需給調整のために前記複数の第1分散型エネルギリソースに指令する有効電力量を決定する仮想変電所アグリゲータと、
を備える分散型エネルギリソース管理システムであって、
前記仮想変電所アグリゲータは、
前記分散型エネルギリソース管理装置から前記第1制御指令情報を受信する通信部と、
前記制御対象期間における前記配電系統での需給予測に基づいて、需給制御のために必要となる電力量である調整力を推定する必要調整力推定部と、
前記第1制御指令情報の前記有効電力制御範囲内で、運用コストが最小化されるように前記複数の第1分散型エネルギリソースのそれぞれに前記調整力を配分し、前記複数の第1分散型エネルギリソースのそれぞれへ指令する配分した前記調整力である有効電力制御量と出力するタイミングとを含む第1制御指令値を決定する制御指令値決定部と、
を備え、
前記通信部は、前記第1制御指令値を前記複数の第1分散型エネルギリソースのそれぞれに送信することを特徴とする分散型エネルギリソース管理システム。 - 前記分散型エネルギリソースは、前記配電系統に接続され、電圧調整機能を有する複数の第2分散型エネルギリソースをさらに含み、
前記分散型エネルギリソース管理装置の前記最適潮流計算部は、前記有効電力制御範囲に加えて、前記第1電圧電流分布および前記第2電圧電流分布から、前記配電系統の前記制約が守られ、前記制御対象期間で前記複数の第2分散型エネルギリソースの制御可能な第2電力量の範囲で出力可能な無効電力量の最小値である無効電力制御量を算出し、
前記分散型エネルギリソース管理装置の前記制御指令値演算部は、前記複数の第2分散型エネルギリソースで無効電力による電圧制御に使用する整定値および前記無効電力制御量と前記複数の第2分散型エネルギリソースのそれぞれとを対応付けた第2制御指令情報をさらに生成することを特徴とする請求項11に記載の分散型エネルギリソース管理システム。 - 前記分散型エネルギリソース管理装置の前記通信部は、前記第2制御指令情報を前記仮想変電所アグリゲータに送信し、
前記仮想変電所アグリゲータの前記通信部は、前記複数の第1分散型エネルギリソースから収集した前記第1電力量および前記複数の第2分散型エネルギリソースから収集した前記第2電力量を前記分散型エネルギリソース管理装置に送信し、前記複数の第2分散型エネルギリソースのそれぞれに前記第2制御指令情報に含まれる前記整定値および前記無効電力制御量を指令する第2制御指令値を前記複数の第2分散型エネルギリソースのそれぞれに送信することを特徴とする請求項10または12に記載の分散型エネルギリソース管理システム。 - 前記第2分散型エネルギリソースの電圧および電流を管理する配電自動化システムをさらに備え、
前記配電自動化システムは、前記複数の第2分散型エネルギリソースから収集した前記第2電力量を前記分散型エネルギリソース管理装置に送信する通信部を備え、
前記仮想変電所アグリゲータの前記通信部は、前記複数の第1分散型エネルギリソースから収集した前記第1電力量を前記分散型エネルギリソース管理装置に送信し、
前記分散型エネルギリソース管理装置の前記通信部は、前記第2制御指令情報を前記配電自動化システムに送信し、
前記配電自動化システムの前記通信部は、前記複数の第2分散型エネルギリソースのそれぞれに前記第2制御指令情報に含まれる前記整定値および前記無効電力制御量を指令する第2制御指令値を前記複数の第2分散型エネルギリソースのそれぞれに送信することを特徴とする請求項10または12に記載の分散型エネルギリソース管理システム。 - 前記第2分散型エネルギリソースの電圧および電流を管理する配電自動化システムをさらに備え、
前記配電自動化システムは、前記複数の第2分散型エネルギリソースから収集した前記第2電力量を前記分散型エネルギリソース管理装置に送信する通信部を備え、
前記仮想変電所アグリゲータの前記通信部は、前記複数の第1分散型エネルギリソースから収集した前記第1電力量を前記分散型エネルギリソース管理装置に送信することを特徴とする請求項10または12に記載の分散型エネルギリソース管理システム。 - 前記分散型エネルギリソース管理装置の前記通信部は、前記第2制御指令情報を前記配電自動化システムに送信し、
前記配電自動化システムの前記通信部は、前記複数の第2分散型エネルギリソースのそれぞれに前記第2制御指令情報に含まれる前記整定値および前記無効電力制御量を指令する第2制御指令値を前記複数の第2分散型エネルギリソースのそれぞれに送信することを特徴とする請求項15に記載の分散型エネルギリソース管理システム。 - 前記分散型エネルギリソース管理装置の前記通信部は、前記複数の第2分散型エネルギリソースのそれぞれに前記第2制御指令情報に含まれる前記整定値および前記無効電力制御量を指令する第2制御指令値を前記複数の第2分散型エネルギリソースのそれぞれに送信することを特徴とする請求項15に記載の分散型エネルギリソース管理システム。
- 前記配電系統における負荷需要の実績値および発電可能な分散型エネルギリソースでの発電量の実績値を用いて、前記制御対象期間における前記電圧電流分布を予測し、前記分散型エネルギリソース管理装置に送信する予測システムをさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の分散型エネルギリソース管理システム。
- 前記配電系統における負荷需要の実績値および発電可能な分散型エネルギリソースでの発電量の実績値を用いて、前記制御対象期間における前記第1電圧電流分布および前記第2電圧電流分布を予測し、前記分散型エネルギリソース管理装置に送信する予測システムをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の分散型エネルギリソース管理システム。
- 配電系統に接続され出力する有効電力が制御される複数の第1分散型エネルギリソースを含む分散型エネルギリソースにおける出力を算出する分散型エネルギリソース管理プログラムであって、
コンピュータに、
需給予測に基づいた前記配電系統の電圧電流分布から、前記配電系統の電圧および電流に関する制約が守られ、制御対象期間で前記第1分散型エネルギリソースの制御可能な第1電力量の範囲で出力可能な充電量および放電量の最大値を算出し、前記充電量および前記放電量の最大値によって定められる有効電力制御範囲を算出するステップと、
前記複数の第1分散型エネルギリソースのそれぞれと前記有効電力制御範囲とを対応付けた第1制御指令情報を生成するステップと、
前記複数の第1分散型エネルギリソースに指令する有効電力量を決定する仮想変電所アグリゲータに前記第1制御指令情報を送信するステップと、
を実行させ、
前記有効電力制御範囲は、前記第1分散型エネルギリソースから出力される前記有効電力の制御範囲であることを特徴とする分散型エネルギリソース管理プログラム。 - 配電系統に接続され出力する有効電力が制御される複数の第1分散型エネルギリソースを含む分散型エネルギリソースにおける出力を算出する分散型エネルギリソース管理プログラムであって、
コンピュータに、
制御対象期間で、前記配電系統の電圧および電流に関する制約が守られ、前記制御対象期間における発電可能な分散型エネルギリソースが最大出力となる需給予測に基づいた前記配電系統の第1電圧電流分布から、前記制御対象期間で前記第1分散型エネルギリソースの制御可能な第1電力量の範囲で出力可能な放電量の最大値と、前記制御対象期間における前記発電可能な分散型エネルギリソースが最小出力となる需給予測に基づいた前記配電系統の第2電圧電流分布から、前記制御対象期間で前記第1電力量の範囲で出力可能な充電量の最大値と、を算出し、前記放電量および前記充電量の最大値によって定められる有効電力制御範囲を決定するステップと、
前記複数の第1分散型エネルギリソースのそれぞれと前記有効電力制御範囲とを対応付けた第1制御指令情報を生成するステップと、
前記複数の第1分散型エネルギリソースに指令する有効電力量を決定する仮想変電所アグリゲータに前記第1制御指令情報を送信するステップと、
を実行させ、
前記有効電力制御範囲は、前記第1分散型エネルギリソースから出力される前記有効電力の制御範囲であることを特徴とする分散型エネルギリソース管理プログラム。
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JP2021202850A JP2023088158A (ja) | 2021-12-14 | 2021-12-14 | 分散型エネルギリソース管理装置、分散型エネルギリソース管理システムおよび分散型エネルギリソース管理プログラム |
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JP2021202850A JP2023088158A (ja) | 2021-12-14 | 2021-12-14 | 分散型エネルギリソース管理装置、分散型エネルギリソース管理システムおよび分散型エネルギリソース管理プログラム |
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JP2021202850A Pending JP2023088158A (ja) | 2021-12-14 | 2021-12-14 | 分散型エネルギリソース管理装置、分散型エネルギリソース管理システムおよび分散型エネルギリソース管理プログラム |
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- 2021-12-14 JP JP2021202850A patent/JP2023088158A/ja active Pending
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