JP2023085149A - 脈動流機構を具備した水平式混気ジェットポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来型浚渫用ジェットポンプは吐出容量を高めると装置のサイズも重量も駆動電力も大きくなる、狭い現場環境でも水面フロート上でも利用できる小型で吐出能力の高い浚渫用混気ジェットポンプ装置。【解決手段】 一定の吐出容量を確保しながら小型化する、ポンプ形状の見直しで管摩擦損失を低減しつつ圧力制御ポッド2を設けて意図的に加速管1の負圧制御をすることで吐出能力を高める。【選択図】図1

Description

本発明は、圧力調整ポッドにより加速管内の負圧力を制御することで脈動流を発生させ吸吐性能を高めた浚渫向けの水平式混気ジェットポンプに関する。
従来の浚渫用ジェットポンプは、土木工事の比較的小型のものから海洋土木用の巨大なものまで既に多くの装置が利用されている。原理は高圧の駆動水をジェットノズルでコーンミキサー部中央に噴射することで負圧を作り出しミキサー部周囲から土砂を含む水を吸引し上部に押し上げる垂直型のポンプで、ジェットノズル位置を中央からずらした改良機などがある。
類似装置に土砂搬送用のMJP(混気ジェットポンプ)リフト装置がある、ジェットノズルからの駆動水の噴射でT型ミキサー部に負圧を作り吸入口から土砂水を注入し合流させて押出しホースで遠方に送る水平型のポンプがある。
特開2009ー57876 浚渫装置などジェットポンプ 特開2014ー051887 土砂運搬用混気ジェットポンプ 基礎から学ぶ流体力学(オーム社)2020年
従来型の浚渫用ジェットポンプは吐出容量を高めると装置のサイズも重量も駆動電力も大きくなる。工事においてジェットポンプ装置を固定保持する役目のバックホー重機も合わせて大きく重くなる。
深部の浚渫工事においてジェットポンプ装置を利用したいが、現場へのアクセス路が狭い場合や、工事フロート上での水面作業の場合、大きくて重いジェットポンプ装置を利用できない問題があった。
この改善策として、一定の吐出容量を確保しつつジェットポンプ装置の軽量小型化が必要で、駆動電力に対する吸入吐出容量比を高めての小型化が望まれる。
発明では、ジェットポンプ装置の構造を単純にし管摩擦損失を見直して流量を改善し吸吐効率を高めることで小型軽量化を目的としており、具体的には加速管内の管摩擦損失を減らす、加速管内のキャビテーションの発生を抑制する、加速管内水流を加速し流量を増やす等を目的としている。
上記目的を達成する為の手段を以下に記載する。
駆動水ポンプからの高圧駆動水と吸入口からの吸入水が合流する部分を加速管ミキサー部とすると、駆動水をジェットノズルから加速管に噴射する事で空気を追い出してミキサー部を負圧状態にするには、吐出口の外気との間に水の壁を作る必要がある、加速管の長さはジェットノズルの駆動水噴射角度を考慮し水の壁ができる十分な長さを持たせる。
起動時に、負圧状態への立ち上がりを早くする為に、加速管吐出口の先端をレジューサーで絞る、これにより水の一部が戻されて反射の波を作り駆動水と衝突して水の塊を作り外気との壁を素早く作る。
加速管内の流れは乱流となるが不要な管摩擦損失を作らないように管内の突起物や鋭角度の曲がりを無くす、ジェットノズルから加速管の吐出口までを一直線にする、更に加速管の空間は吸入想定量の4倍程の容量するなど十分な空間を作る。
加速管に取付ける吸入管はジェットノズル側に18度~23度の傾斜を持たせて吸入口から吐出口への曲がりは108度~113度の鈍角とする。
吸入管の先端をレジューサーで絞りフランジにて延長ホース取付ける、延長ホースから吸い込まれた浚渫物を含んだ水流は径が広がる事でホース内の乱流から層流に変わりつつ流れ込むので曲がりでは滑らかな水の山になる。
加速管のジェットノズル付近でキャビテーションが想定される、本発明では圧力調整ポッド部に空気調整弁を設けわずかな空気を流入させてキャビテーションを抑制する。
本発明では、空気調整弁のON/OFF制御を意図的に行う、機械ばね式の空気調整弁、又はプログラミングで制御する電子制御式空気調整弁、又は堆積物のサイズ級数に応じて脈動流を制御するAI制御式空気調整弁のいずれかを具備し、数百ミリ秒間だけ外気を入れる事で圧力調整ポッドに負圧の低下変化を作る 。
本発明では、吸入水と高圧駆動水が合流する部分をミキサー部と呼ぶが、合流した水流が圧力調整ポッド側へ浸入する事を防ぐ遮蔽板を設けている、遮蔽板の中央に円形の穴を開けてジェットノズルをミキサー部に挿入している、この遮蔽板の円形の穴とジェットノズルとの隙間からミキサー部に均等に空気を入れる。
ジェットノズルはSUS316鋼で製作し、ノズル先端で70%~80%程絞り噴射の圧力を高める、ジェットノズルの長さは先端を吸入管中心軸の延長線上付近に合わせる。
駆動水のジェットノズル噴射により加速管のミキサー部の気圧が負圧0.02Mp~0.05Mp程になると吸入管から浚渫物を含む水が流れ込み始めるが、レジューサーで径を絞ったことで勢いを増して流入し吐出口方向に山なりに曲がって方向を変え吐出口に押し出される。
連続的に運転が続き吸入口から吐出口に水流ができている時に、圧力調整ポッド部の空気調整弁を一瞬開いて外気を入れるとミキサー部に空気が流れ込むのでミキサー部の負圧は低下し吸入力が弱まる。
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載される効果を奏する。
加速管の長さはジョットノズルの駆動水で加速管内に水の壁を作る十分な長さが必要になるが、吐出口先端径を絞ったことで起動時に水の塊が早期にできて、負圧状態になる時間を短縮する効果とともに加速管の長さも短くできる。
ミクサー部での吸入管から加速管に緩い傾斜にしたことと吸入先端径を絞ったことで、吸引延長ホースからの吸入水は乱流で吸入管に入るが、そこから径が広がることで流入水は層流となりつつ滑らかに流量も増やすことができる。
圧力調整ポッド部のジョットノズルと遮蔽板の隙間からの僅かな空気を入れるとジョットノズル周辺のキャビテーションを抑制できる。
図4のように、圧力調整ポッド部の空気調整弁のON/OFFによる外気注入の変化は、ミクサー部の負圧値低下の変化となるが、それにより吸入管からの吸入量低下の変化となり水流の山の高さを変化させることができる。
ジョットノズルを適正な位置に配置すると、ミキサー部において変化する吸入水の流水の山と、ジョットノズルからの駆動水の水流がぶつかり合うが、ぶつかり合う状態が変化する為に水流を押し出す力が変化し、結果、加減速を繰り返す脈動流ができる。
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1において、水平式混気ジェットポンプは、駆動水ポンプからの高圧水を注入する駆動水口4、延長ホースから浚渫物を含んだ水を吸い上げる吸収口、それらをホースで運び出す吐出口6があり、それぞれにホースを取り付けるフランジが付いている。フランジは駆動水口4が高圧規格20Kで他は一般10Kを使用する。
図2において、水平式混気ジェットポンプは大きく二つの部品から構成され、細長い主管に吸入管5を溶接したSUS316製長さ3m径250Aの加速管1と、駆動水ポンプからの駆動水を加速管に噴射するジェットノズル7と負圧力を調整する空気調整弁8と負圧計9を具備するSUS316製圧力調整ポッド部(3)で互いを250Aフランジで接合する。
加速管1の径200A吸入口にはフランジを介して125Aレジューサーを取付けて62%程絞るので吸入ホースは125Aを、径250A吐出口にも径200Aレジューサーを取付け80%程絞るので搬送ホースは200Aを使用する。
図3において、圧力調整ポッド2の径100A駆動水口には駆動水ポンプから100A管で高圧水が送られてきてジェットノズル7に繋がる、本発明では、現場での作業性を考慮してジェットノズル7のフランジに合わせ、圧力調整ポッド側と駆動水ポンプ管側の三枚の100A20Kフランジで取り付ける三昧取付構造11とした。
加速管1と吸入管5の取り付けは、駆動水口側に20度の傾斜を持たせる、水の流れに対して110度の鈍角を持つ事になり水流は乱流渦は減少し吸入口の62%径絞りの効果もあって層流状態で流れ込む効果を得ている。
圧力調整ポッド2には、遮蔽板10を装備し加速管側からの水の浸入を防ぐ役目と気液分離の目的がある、その遮蔽板10の中央に円形の穴を空けてジェットノズル7を挿入し取り付ける。
圧力調整ポッドには、負圧計9と機械式の空気調整弁8が具備され、運転時に数百ミリ秒間ON/OFFして外気を間欠的に入れて圧力調整ポッド2を-0.05Mpから-0.02Mpに調整する事でジェットノズル7と遮蔽板10の円形の隙間から僅かに空気が入り加速管内に適度な気液混合を作り出しノズル周辺でのキャビテーションを抑える。
と共に吸入口からの吸入力も低下し吸入水の量が減る、これによりジェットノズル7からの駆動水と吸入水とのぶつかり合う厚みが変化し加速管1に脈動流を作り出す、脈動流により加速管及びその先の搬送ホースを流れる流水に含まれ質量を持つ堆積物を押し出す動きとなり途中で滞留する事なく吐出・搬送できる。
脈動流を実現する為には、ジェットノズル7の噴射位置はとても重要であり、最適値を吸入管5の中心線の延長上の位置に定めた。これにより吸入水との合流の厚みの変化に対応し易く効果も得られ易い。
駆動水ポンプから100A管で接続されたジェットノズル7は、20%~30%程先端を絞り圧力を高めて噴射する、吸入水に含まれる堆積物(シルト、砂、礫、小石、軽石など)の質量に応じて噴射力を変える事で脈動流の振幅も変化させ押し出す力を制御する。
発明の水平式混気ジェットポンプを安定稼働させる為に、駆動水ポンプの吐き出しの立米量と吸込揚程に注目する。目安として起動時に加速管内に水の壁30cmを作る吐き出し量が必要でその値は加速管の直径から算定できる。250Aの加速管であれば毎時約53立法メートルの吐き出し量以上が必要になる。
また、吸込揚程=NPSHA - NPSH3 (m) に注意する、この値を超えた高さで駆動水の吸込みを行うとすると駆動水ポンプ内でキャビテーションが発生し重大な故障の原因となる。
本発明の小型で高出力な水平式混気ジェットポンプは、河川工事、港湾工事、ダム湖深部の浚渫工事、海底火山により漂着する港湾での軽石除去などに利用することができる。
水平式混気ジェットポンプの全体図である。 水平式混気ジェットポンプの機能ブロック図である。 水平式混気ジェットポンプのミキサー部図である。 水平式混気ジェットポンプの負圧での動作図である。

1 加速管
2 圧力調整ポッド
4 駆動水口
5 吸入管
6 吐出口
7 ジェットノズル
8 空気調整弁
9 負圧計
10 遮蔽板
11 三枚取付構造

Claims (3)

  1. 吸入口(5)と吐出口(6)の先端を絞った真っ直ぐな加速管(1)と、空気調整弁(8)と遮蔽板(10)とジェットノズル(7)を具備した圧力調整ポッド(2)で構成し、鈍角傾斜させた吸入管(5)とジェットノズルの作用による脈動流機構を有した水平式混気ジェットポンプ
  2. 浚渫物(シルト、砂、礫、小石、軽石など)に適応したジェットノズルの現場での交換を容易にする三枚取付構造(11)を用いた請求項1記載の水平式混気ジェットポンプ
  3. 加速管部の脈動波を浚渫物(シルト、砂、礫、小石、軽石など)に応じて適応制御するAI制御空気調整弁を圧力調整ポッド(2)に具備した請求項1記載の水平式混気ジェットポンプ
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