JP2023082660A - 分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料を分割しなくても、試料に含まれる複数の種類の目的物質をそれぞれ検出することができる分析方法を提供すること。【解決手段】目的物質7A、7Bと結合する活性を有する結合物質3A、3B、及び標識物5A、5Bを備える融合体1A、1Bと、前記目的物質を含む試料とを混合する。前記目的物質と結合していない前記融合体を除去する。前記目的物質と結合した前記融合体に含まれる前記標識物が生じさせる前記現象を検出することで、前記目的物質を分析する。前記融合体には複数の種類が存在する。前記融合体に結合する前記目的物質と、前記現象とは、前記融合体の種類ごとに異なる。【選択図】図3

Description

本開示は分析方法に関する。
特許文献1に、融合体を用いた目的物質の分析方法が開示されている。融合体は、結合物質及び標識物を備える。結合物質は、目的物質と結合する活性を有する。標識物は、観測可能な現象を生じる。
目的物質の分析方法では、目的物質を含む試料と、融合体とを混合する。次に、目的物質と結合していない融合体を除去する。次に、目的物質と結合した融合体が生じる現象を検出する。
特開2019-33750号公報
試料に複数の種類の目的物質が含まれることがある。この場合、複数の種類の目的物質をそれぞれ検出するためには、まず、試料を複数に分割し、次に、分割された試料のそれぞれで、1つの目的物質を検出する必要があった。
しかしながら、試料を分割する場合、様々な問題が生じることがある。例えば、試料が微量である場合、分割することは困難である。また、試料を分割する作業は煩雑であり、試料を分割するための時間を要する。また、試料を正確に分割できない場合、分析の精度が低下する。
本開示の1つの局面では、試料を分割しなくても、試料に含まれる複数の種類の目的物質をそれぞれ検出することができる分析方法を提供することが好ましい。
本開示の1つの局面は、目的物質(7A、7B)と結合する活性を有する結合物質(3A、3B)、及び標識物(5A、5B)を備える融合体(1A、1B)と、前記目的物質を含む試料とを混合し、前記目的物質と結合していない前記融合体を除去し、前記目的物質と結合した前記融合体に含まれる前記標識物が生じさせる現象を検出する前記目的物質の分析方法である。
前記融合体には複数の種類が存在する。前記融合体に結合する前記目的物質と、前記現象とは、前記融合体の種類ごとに異なる。
本開示の1つの局面である分析方法によれば、試料を分割しなくても、試料に含まれる複数の種類の目的物質をそれぞれ検出することができる。
融合体の構成を表す説明図である。 試料中に1種類の目的物質が含まれる場合の分析の態様を表す説明図である。 試料中に2種類の目的物質が含まれる場合の分析の態様を表す説明図である。 融合体を合成する方法を表すフローチャートである。 目的物質の分析方法を表すフローチャートである。 融合体と目的物質とを含む混合液において、2種類の結合体が形成されている状態を表す説明図である。 融合体と目的物質とを含む混合液において、1種類の結合体が形成されている状態を表す説明図である。 融合体と目的物質とを含む混合液において、1種類の結合体が形成されている状態を表す説明図である。 融合体と目的物質とを含む混合液において、結合体が形成されていない状態を表す説明図である。 実施例1における吸光度の測定結果を表す説明図である。 融合体を合成する方法を表すフローチャートである。 融合体を合成する方法を表すフローチャートである。 目的物質の分析方法を表すフローチャートである。 実施例2における吸光度の測定結果を表す説明図である。
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
1.目的物質
目的物質とは、分析の対象となる物質である。目的物質として、例えば、タンパク質、糖、核酸、低分子化合物、脂質、抗原、ウイルス等が挙げられる。ウイルスとして、例えば、新型コロナウイルスSARS-CoV2分離株等が挙げられる。
2.融合体
本開示の分析方法では、融合体を用いる。融合体は、結合物質と、標識物とを備える。結合物資は、目的物質と結合する活性を有する。結合物資は、例えば、特定の目的物質と特異的に結合する活性を有し、他の物質とは結合し難い。結合物質として、例えば、核酸から成る物質、アミノ酸から成る物質等が挙げられる。結合物質として、例えば、核酸アプタマー、低分子タンパク質製剤、ペプチドアプタマー、抗体、核酸等が挙げられる。例えば、結合物質の少なくとも一部は、核酸アプタマー、又は低分子タンパク質製剤である。融合体は、結合物質を備えることにより、目的物質と結合することができる。
標識物は、観測可能な現象を生じさせる。観測可能な現象として、例えば、酸化還元、発色、蛍光、発光、燐光、吸熱、発熱、沈殿、及びイオン量の変化のうちの少なくとも1つが挙げられる。イオン量の変化におけるイオンは、例えば、水素イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、又は塩化物イオンのうちの少なくとも1つを含む。イオン量は、例えば、イオンの生産、消費、又は吸収等により変化する。
標識物は、例えば、イオンの生産、消費、又は吸収を誘発する。イオンの生産、消費、又は吸収を誘発する標識物は、例えば、酵素である。イオンの生産、消費、又は吸収を誘発する標識物として、例えば、1,3-プロパンジオールデヒドロゲナーゼ、15-ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼ、1H-ピロール-2-カルボニル-[ペプチジル担体タンパク質]クロリナーゼ、2,4-ジクロロベンゾイル-CoAレダクターゼ、2,5-ジオキソ吉草酸デヒドロゲナーゼ、2-アミノベンゼンスルホン酸2,3-ジオキシゲナーゼ、2-イミノブタノエート/ 2-イミノプロパノエートデアミナーゼ、2-エン酸レダクターゼ、2'-デヒドロカナマイシンレダクターゼ、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン還元性デアミナーゼ、3α-ヒドロキシステロイド3-デヒドロゲナーゼ、3-アミノブチリル-CoAアンモニアリアーゼ、3-オキソ-5α-ステロイド4-デヒドロゲナーゼ、3-オキソステロイド-1-デヒドロゲナーゼ、3-クロロ-D-アラニンデヒドロクロリナーゼ、4-クロロフェニル酢酸3,4-ジオキシゲナーゼ、4-クロロベンゾイル-CoAデハロゲナーゼ、4-クロロ安息香酸デハロゲナーゼ、4-トリメチルアンモニオブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、4-メチルアミノブタノエートオキシダーゼ、4-メチレングルタミン酸-アンモニアリガーゼ、5-ホスホオキシ-L-リジンホスホリアーゼ、7,8-ジデメチル-8-ヒドロキシ-5-デアザリボフラビンシンターゼ、7-カルボキシ-7-デアザグアニンシンターゼ、7-クロロ-L-トリプトファン6-ハロゲナーゼ、7-シアノ-7-デアザグアニンシンターゼ、AMPデアミナーゼ、CTPシンターゼ、DDT-デヒドロクロリナーゼ、dTDP-4-アミノ-4,6-ジデオキシ-D-グルコースアンモニアリアーゼ、D-アラビノース-1-デヒドロゲナーゼ、D-アルギニンデヒドロゲナーゼ、D-キシロースレダクターゼ、D-グルコサミネート-6-リン酸アンモニアリアーゼ、D-セリンアンモニアリアーゼ、D-乳酸デヒドロゲナーゼ、GDP-4-デヒドロ-6-デオキシ-α-D-マンノース3-デヒドラターゼ、GMPシンターゼ、L-2-アミノ-4-クロロペント-4-エノエートデヒドロクロリナーゼ、L-シスチンβ-リアーゼ、L-システインデスルフィダーゼ、L-システイン酸スルホリアーゼ、L-セリンアンモニアリアーゼ、L-トリプトファンアンモニアリアーゼ、L-リジンシクロデアミナーゼ、N1-アセチルポリアミンオキシダーゼ、N8-アセチルスペルミジンオキシダーゼ、NAD +-ジフタミドADP-リボシルトランスフェラーゼ、NAD +シンターゼ、NAD +-二窒素レダクターゼADP-D-リボシルトランスフェラーゼ、N-スクシンラルギニンジヒドロラーゼ、S-(ヒドロキシメチル)ミコチオールデヒドロゲナーゼ、S-カルボキシメチルシステインシンターゼ、UDP-2-アセトアミド-2,6-β-L-アラビノ-ヘキシル-4-オースレダクターゼ、UDP-N-アセチル-2-アミノ-2-デオキシグルクロネートデヒドロゲナーゼ、UDP-N-アセチル-D-マンノサミンデヒドロゲナーゼ、UDP-N-アセチル-α-D-キノボサミンデヒドロゲナーゼ、UDP-N-アセチルグルコサミン3-デヒドロゲナーゼ、UDP-N-アセチルグルコサミン6-デヒドロゲナーゼ、UDP-グルクロン酸デヒドロゲナーゼ、β-アラニル-CoAアンモニアリアーゼ、β-ウレイドプロピオナーゼ、β-ラクタマーゼ、γ-ブチロベタインジオキシゲナーゼ、アスパラギニル-tRNAシンターゼ、アスパラギンシンターゼ、アスパラギン酸アンモニアリアーゼ、アスパラギン酸-アンモニアリガーゼ、アスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アスパラギン酸デヒドロゲナーゼ、アデニリル硫酸塩-アンモニアアデニリルトランスフェラーゼ、アデノシルクロリドシンターゼ、アトラジンクロロヒドロラーゼ、アミノメチルトランスフェラーゼ、アラニンデヒドロゲナーゼ、アラントイン酸デイミナーゼ、アルカリフォスファターゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、アンモニアキナーゼ、アンモニアモノオキシゲナーゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、イミダゾールグリセロール-リン酸シンターゼ、ウリカーゼ、ウレアーゼ、ウレイドグリコレートアミドヒドロラーゼ、ウロン酸デヒドロゲナーゼ、エタノールアミンアンモニアリアーゼ、エリスロ-3-ヒドロキシ-L-アスパラギン酸アンモニアリアーゼ、オクトパミンデヒドラターゼ、オルニチンシクロデアミナーゼ、ガラクトースデヒドロゲナーゼ、カルバメートキナーゼ、カルバモイル-セリンアンモニアリアーゼ、カルバモイルリン酸シンターゼ、カルボニルレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、グリシンレダクターゼ、グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコキナーゼ、グルコサミネートアンモニアリアーゼ、グルコサミン-6-リン酸デアミナーゼ、グルタミニル-tRNAシンターゼ、グルタミンシンテターゼ、グルタミン酸シンターゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、クロトノベテニル-CoAヒドラターゼ、クロライドペルオキシダーゼ、コプロポルフィリノーゲンデヒドロゲナーゼ、コリンオキシダーゼ、コリンモノオキシゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ジアセチルレダクターゼ、ジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼ、ジアミノプロピオン酸アンモニアリアーゼ、シキミ酸デヒドロゲナーゼ、シクロヘキサン-1,2-ジオールデヒドロゲナーゼ、ジクロロクロモピロレートシンターゼ、ジクロロメタンデハロゲナーゼ、シスタチオニンγ-リアーゼ、システイン-S-コンジュゲートβ-リアーゼ、ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ、ジフチン-アンモニアリガーゼ、シンナモイル-補酵素A-レダクターゼ、スクシニルグルタミン酸-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、スタキドリンN-デメチラーゼ、スレオ-3-ヒドロキシ-D-アスパラギン酸アンモニアリアーゼ、スレオ-3-ヒドロキシ-L-アスパラギン酸アンモニアリアーゼ、スレオニンアンモニアリアーゼ、セリン硫酸アンモニアリアーゼ、チオレドキシンジスルフィドレダクターゼ、チロシンアンモニアリアーゼ、チロシンフェノールリアーゼ、テトラクロロエテン還元デハロゲナーゼ、テトラサイクリン7-ハロゲナーゼ、トリプトファナーゼ、トリプトファン5-ハロゲナーゼ、トリプトファン6-ハロゲナーゼ、トリプトファン7-ハロゲナーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸-デヒドロゲナーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸-ヘムタンパク質レダクターゼ、ニトロゲナーゼ、バナジウム依存性ニトロゲナーゼ、ハパリンドール型アルカロイドクロリナーゼ、ヒスチジンアンモニアリアーゼ、ヒドラジンシンターゼ、ヒドラジンデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシメチルビランシンターゼ、ヒドロキシルアミンレダクターゼ、ピリドキサール5'-リン酸シンターゼ、ヒ酸レダクターゼ、フェニルアラニン/チロシンアンモニアリアーゼ、フェニルアラニン2-モノオキシゲナーゼ、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、フェレドキシン-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドりん酸レダクターゼ、フェレドキシン-亜硝酸還元酵素、フマル酸レダクターゼ、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ、ベタインアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ベタインレダクターゼ、ペルオキシダーゼ、ホモシステインデスルフヒドラーゼ、ホモスペルミジンシンターゼ、ホルムイミドイルテトラヒドロ葉酸シクロデアミナーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、メタノールデヒドロゲナーゼ、メタンモノオキシゲナーゼ、メチオニンγ-リアーゼ、メチルアスパラギン酸アンモニアリアーゼ、メチルアミンデヒドロゲナーゼ、メチレンジ尿素デアミナーゼ、ラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、リボース-5-リン酸-アンモニアリガーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ルブレドキシン-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドりん酸レダクターゼ、亜塩素酸塩O2-リアーゼ、亜硝酸レダクターゼ、亜硫酸デヒドロゲナーゼ、塩化物ペルオキシダーゼ、塩素酸レダクターゼ、脂質IIイソグルタミニルシンターゼ、炭酸アンヒドラーゼ、及び非特異的ポリアミンオキシダーゼのうちの少なくとも1つが挙げられる。
標識物は、例えば、酵素、DNAザイム、RNAザイム、磁気標識、蛍光標識、化学発光プローブ、及びナノ粒子のうちの少なくとも1つを含む。
結合物質と標識物とは、例えば、化学置換基又は核酸結合タンパク質を介して結合している。化学置換基として、例えば、ビオチン、一級アミン、アジド、アルキン、ジベンゾシクロオクチン、ビシクロノニン、2´-O-プロパルギル、2´-O-プロパルギル、チオール、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、N-ヒドロキシスクシンイミド、マレイミド、及び5-ハロウラシルのうちの少なくとも1つが挙げられる。核酸結合タンパク質として、例えば、ジンクフィンガー、CRISPR等が挙げられる。5-ハロウラシルとして、例えば、5-ヨードウラシル、5-ブロモウラシル等が挙げられる。5-ハロウラシルは、UV架橋が可能な化学置換基である。
本開示の分析方法では、複数の種類の融合体を用いる。融合体に結合する目的物質と、観測可能な現象とは、融合体の種類ごとに異なる。
例えば、2つの融合体1A、1Bを図1に示す。融合体1Aは、結合物質3Aと標識物5Aとを備える。融合体1Bは、結合物質3Bと標識物5Bとを備える。
融合体1A、1Bの種類が同じであれば、結合物質3A、3Bの種類が同じである。結合物質3A、3Bの種類が同じであれば、結合物質3Aに結合する目的物質と、結合物質3Bに結合する目的物質とが同じである。よって、融合体1A、1Bの種類が同じであれば、結合物質3Aに結合する目的物質と、結合物質3Bに結合する目的物質とが同じである。
また、融合体1A、1Bの種類が同じであれば、標識物5A、5Bの種類が同じである。標識物5A、5Bの種類が同じであれば、標識物5Aが生じさせる、観測可能な現象と、標識物5Bが生じさせる、観測可能な現象とは同じである。よって、融合体1A、1Bの種類が同じであれば、標識物5Aが生じさせる、観測可能な現象と、標識物5Bが生じさせる、観測可能な現象とは同じである。
融合体1A、1Bの種類が異なれば、結合物質3A、3Bの種類が異なる。結合物質3A、3Bの種類が異なれば、結合物質3Aに結合する目的物質と、結合物質3Bに結合する目的物質とは異なる。よって、融合体1A、1Bの種類が異なれば、結合物質3Aに結合する目的物質と、結合物質3Bに結合する目的物質とは異なる。
また、融合体1A、1Bの種類が異なれば、標識物5A、5Bの種類が異なる。標識物5A、5Bの種類が異なれば、標識物5Aが生じさせる、観測可能な現象と、標識物5Bが生じさせる、観測可能な現象とは異なる。よって、融合体1A、1Bの種類が異なれば、標識物5Aが生じさせる、観測可能な現象と、標識物5Bが生じさせる、観測可能な現象とは異なる。
3.分析方法
本開示の分析方法では、複数の種類の融合体と、目的物質を含む試料とを混合する。このとき、融合体の少なくとも一部と、目的物質とが結合する。より詳しくは、融合体が備える結合物質と、目的物質とが結合する。
複数の種類の融合体は、それぞれ、対応する目的物質が存在する場合は、対応する目的物質と結合する。対応する目的物質とは、融合体がその目的物質に対して結合する活性を有する目的物質である。
例えば、図1に示す融合体1A、1Bと試料とを混合することができる。融合体1A、1Bは異なる種類の融合体である。融合体1Aと結合する目的物質を目的物質7Aとし、融合体1Bと結合する目的物質を目的物質7Bとする。目的物質7A、7Bは、異なる種類の物質である。
試料中に目的物質7Aが含まれ、目的物質7Bは含まれていなかった場合、図2のSTEP1に示すように、融合体1A、1Bと試料とを混合したとき、目的物質7Aは融合体1Aと結合し、融合体1Bとは結合しない。融合体1Bは、目的物質と結合していない状態となる。
次に、目的物質と結合していない融合体を除去する処理を行うと、図2のSTEP2に示すように、目的物質7Aと結合している融合体1Aは残り、融合体1Bは除去される。また、目的物質7Aと結合していない融合体1Aも除去される。目的物質と結合していない融合体を除去する方法として、例えば、限外ろ過や、担体を利用する方法が挙げられる。
次に、図2のSTEP3に示すように、目的物質7Aと結合した融合体1Aが生じさせる、観測可能な現象(以下ではAの現象とする)を検出する。Aの現象は、例えば、標識物5Aが含む酵素が機能する条件下において、基質9Aから代謝物11Aが生じる現象である。
酵素が機能する条件は酵素種ごとに異なる。酵素が機能する条件として、例えば、温度が好適な範囲内であること、pHが好適な範囲内であること、酵素が機能するために必要な補酵素が溶液に含まれること等が挙げられる。
Aの現象を検出することで、試料に目的物質7Aが含まれていたと判断することができる。また、Aの現象の程度により、目的物質7Aの量や濃度を推測することができる。
試料中に目的物質7A、7Bが含まれていた場合、図3のSTEP11に示すように、融合体1A、1Bと試料とを混合したとき、目的物質7Aは融合体1Aと結合し、目的物質7Bは融合体1Bと結合する。
次に、目的物質と結合していない融合体を除去する処理を行うと、図3のSTEP12に示すように、目的物質7Aと結合した融合体1A、及び、目的物質7Bと結合した融合体1Bは残る。目的物質と結合していない融合体1A、1Bは除去される。
次に、図3のSTEP13に示すように、目的物質7Aと結合した融合体1Aが生じさせるAの現象と、目的物質7Bと結合した融合体1Bが生じさせる、観測可能な現象(以下ではBの現象とする)とをそれぞれ検出する。
Aの現象を検出することで、試料に目的物質7Aが含まれていたと判断することができる。また、Aの現象の程度により、目的物質7Aの量や濃度を推測することができる。
Bの現象は、例えば、標識物5Bが含む酵素が機能する条件下において、基質9Bから代謝物11Bが生じる現象である。
酵素が機能する条件は酵素種ごとに異なる。酵素が機能する条件として、例えば、温度が好適な範囲内であること、pHが好適な範囲内であること、酵素が機能するために必要な補酵素が溶液に含まれること等が挙げられる。
Bの現象を検出することで、試料に目的物質7Bが含まれていたと判断することができる。また、Bの現象の程度により、目的物質7Bの量や濃度を推測することができる。Aの現象とBの現象とは異なる現象であるから、ユーザは、Aの現象とBの現象とを区別して検出することができる。
例えば、現象が水素イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、又は塩化物イオンの生産、消費、又は吸収である場合、例えば、pH計測機、又はイオン感応性電界効果トランジスタを用いて現象を検出することができる。
例えば、現象が発色、発光、蛍光、又は燐光である場合、例えば、受光デバイスを用いて現象を検出することができる。例えば、現象が吸熱、又は発熱である場合、例えば、熱分析機を用いて現象を検出することができる。例えば、現象が酸化還元である場合、例えば、電位計測機、又はイオン感応性電界効果トランジスタを用いて現象を検出することができる。例えば、現象が沈殿である場合、例えば、質量分析機、吸光光度計、又は分光光度計を用いて現象を検出することができる。
4.分析方法が奏する効果
(1A)本開示の分析方法では、複数種類の融合体を使用することで、試料を分割することなく、複数種類の目的物質を検出できる。その理由は以下のとおりである。本開示の分析方法では、試料と、複数の種類の融合体とを混合することができる。試料に複数の種類の目的物質が含まれていた場合、複数の種類の目的物質は、それぞれ、対応する種類の融合体と結合する。例えば、複数の種類の目的物質7A、7Bが試料に含まれていた場合、目的物質7Aは融合体1Aと結合し、目的物質7Bは融合体1Bと結合する。融合体1A、1Bは異なる種類の融合体である。融合体1Aは、目的物質7Aと特異的に結合する活性を有する。融合体1Bは、目的物質7Bと特異的に結合する活性を有する。
目的物質7Aと結合した融合体1Aは、融合体1Aの種類に特有のAの現象を生じさせる。目的物質7Bと結合した融合体1Bは、融合体1Bの種類に特有のBの現象を生じさせる。Aの現象とBの現象とは異なるから、Aの現象とBの現象とを区別して検出することができる。
Aの現象を検出することにより、試料に目的物質7Aが含まれていたと判断することができる。また、Aの現象の程度により、目的物質7Aの量や濃度を推測することができる。Bの現象を検出することにより、試料に目的物質7Bが含まれていたと判断することができる。また、Bの現象の程度により、目的物質7Bの量や濃度を推測することができる。
よって、本開示の分析方法によれば、試料を分割しなくても、試料に含まれる複数の種類の目的物質をそれぞれ検出することができる。
(1B)結合物質の少なくとも一部は、例えば、核酸、又は核酸アプタマーである。この場合、結合物質のサイズが低分子サイズとなるため、目的物質と結合物質との結合の際に立体構造的干渉を受け難く、目的物質と結合し易い。その結果、分析感度を向上させることができる。また、結合物質を人工的に合成することが容易である。
(1C)目的物質の少なくとも一部は、例えば、タンパク質、糖、核酸、低分子化合物、又は脂質である。本開示の分析方法によれば、多様な目的物質を検出できる。
(1D)本開示の分析方法では、例えば、試料と混合される融合体の種類の数は、試料に含まれる目的物質の種類の数以上である。この場合、試料に含まれる全ての種類の目的物質をそれぞれ検出することができる。
(1E)目的物質と結合した融合体が生じさせる、観測可能な現象は、例えば、酸化還元、発色、蛍光、発光、燐光、吸熱、発熱、沈殿、及びイオン量の変化のうちの少なくとも1つである。イオン量の変化におけるイオンは、例えば、水素イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、及び塩化物イオンのうちの少なくとも1つを含む。イオン量は、例えば、イオンの生産、消費、又は吸収により変化する。観測可能な現象がこれらのものである場合、試料に含まれる目的物質を検出することができる。
(1F)標識物は、例えば、イオンの生産、消費、又は吸収を誘発する標識物である。この場合、試料に含まれる目的物質を高感度に検出することができる。
(1G)標識物は、例えば、酵素、DNAザイム、RNAザイム、磁気標識、蛍光標識、化学発光プローブ、及びナノ粒子のうちの少なくとも1つを含む。この場合、試料に含まれる目的物質を検出することができる。
(1H)結合物質と標識物とは、例えば、化学置換基又は核酸結合タンパク質を介して結合している。核酸結合タンパク質として、例えば、ジンクフィンガー、CRISPR等が挙げられる。化学置換基は、例えば、ビオチン、一級アミン、アジド、アルキン、ジベンゾシクロオクチン、ビシクロノニン、2´-O-プロパルギル、2´-O-プロパルギル、チオール、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、N-ヒドロキシスクシンイミド、マレイミド、及び5-ハロウラシルのうちの少なくとも1つを含む。この場合、結合物質と標識物とが結合し易い。
5.実施例1
(5-1)融合体の合成
図4に示す方法で融合体1A、1Bを合成した。まず、図4のS21の工程では、結合物質3A、3Bを、インビトロプロセスにより化学的に合成した。結合物質3Aは、配列番号1の塩基配列を有し、5’末端をビオチン化修飾したDNAアプタマーであった。結合物質3Aの塩基配列は、「5’-CAGCACCGAC CTTGTGCTTT GGGAGTGCTG GTCCAAGGGC GTTAATGGAC A-3’」であった。配列番号1の塩基配列は、Anal.Chem.2020,92,9895-9900(以下では文献1とする)に記載されている。
なお、文献1の記載によると、配列番号1の塩基配列を有するDNAアプタマーは、新型コロナウイルスSARS-CoV-2のスパイク糖タンパク質におけるRBDを目的物質とするDNAアプタマーである。
結合物質3Bは、配列番号2の塩基配列を有し、5’末端をビオチン化修飾したDNAアプタマーであった。結合物質3Bの塩基配列は、「5’-TCGATTCGGGTGGGTGGGAGGGGGTGGAGGTTGGGGGTTGGACGCAGAGTGC-3’」であった。配列番号2の塩基配列は、PLoS ONE 10(4):e0125060.Doi:10.1371/journal.Pone.0125060(以下では文献2とする)に記載されている。なお、文献2の記載によると、配列番号2の塩基配列を有するDNAアプタマーは、インフルエンザA型のヘマグルチニンを目的物質とするDNAアプタマーである。
結合物質3Aをリン酸緩衝液(以下では1xPBS/Tとする)に溶解し、結合物質3A溶液を製造した。また、結合物質3Bを1xPBS/Tに溶解し、結合物質3B溶液を製造した。
結合物質3A溶液における結合物質3Aの濃度、及び、結合物質3B溶液における結合物質3Bの濃度は、それぞれ、10μmol/lであった。
1xPBS/Tは、10xPBS/T(富士フイルム和光純薬社、製品番号MB-075-1000)を超純水で10倍に希釈したリン酸緩衝液であった。結合物質3A溶液及び結合物質3B溶液を95℃で加熱し、その後徐冷した。
次に、図4のS22の工程では、標識物5Aを用意した。標識物5Aは、ストレプトアビジン-アルカリフォスファターゼ結合体(Thermofisher Scientific社、製品番号S921)であった。標識物5Aは酵素であった。ストレプトアビジン-アルカリフォスファターゼ結合体は、アルカリフォスファターゼを、ストレプトアビジンで修飾することで得られる。ストレプトアビジンは、アルカリフォスファターゼを修飾する化学置換基である。標識物5Aを1xPBS/Tに溶解し、標識物5A溶液を製造した。標識物5A溶液における標識物5Aの濃度は、20μmol/lであった。
100μLの結合物質3A溶液と、5μLの標識物5A溶液とを混合し、室温で1時間静置した。このとき、ビオチン-ストレプトアビジンの相互作用により、結合物質3Aと標識物5Aとが融合し、融合体1Aが合成された。
また、図4のS22の工程では、標識物5Bを用意した。標識物5Bは、ホースラディッシュペルオキシダーゼ―ストレプトアビジン結合体(Thermofisher Scientific社、製品番号43-4323)であった。標識物5Bは酵素であった。ホースラディッシュペルオキシダーゼ―ストレプトアビジン結合体は、ホースラディッシュペルオキシダーゼを、ストレプトアビジンで修飾することで得られる。ストレプトアビジンは、ホースラディッシュペルオキシダーゼを修飾する化学置換基である。標識物5Bを1xPBS/Tに溶解し、標識物5B溶液を製造した。標識物5B溶液における標識物5Bの濃度は、20μmol/lであった。
100μLの結合物質3B溶液と、5μLの標識物5B溶液とを混合し、室温で1時間静置した。このとき、ビオチン-ストレプトアビジンの相互作用により、結合物質3Bと標識物5Bとが融合し、融合体1Bが合成された。
次に、図4のS23の工程では、融合体1A、1Bを精製し、回収した。具体的には、標識物5Aと融合しなかった結合物質3Aを、限外濾過フィルターを用いて融合体1Aから分離した。次に、1xPBS/Tで融合体1Aを溶解することで、融合体1Aを回収した。
また、標識物5Bと融合しなかった結合物質3Bを、限外濾過フィルターを用いて融合体1Bから分離した。次に、1xPBS/Tで融合体1Bを溶解することで、融合体1Bを回収した。
なお、結合物質3A、3Bは、DNAアプタマー以外の結合物質であってもよい。結合物質3A、3Bは、例えば、低分子タンパク質製剤、又は、RNAアプタマーであってもよい。低分子タンパク質製剤として、例えば、フラグメント抗体、一本鎖抗体、ディアボディ(Diabody)、ナノボディ(Nanobody)、VHH、ペプチドアプタマー等が挙げられる。
また、結合物質3A、3Bを構成するDNAアプタマーの塩基配列は、配列番号1、2の塩基配列以外の塩基配列であってもよい。DNAアプタマーの塩基配列は、目的物質に応じて選定できる。また、結合物質3Aと標識物5Aとの融合、及び、結合物質3Bと標識物5Bとの融合は、ビオチン-ストレプトアビジンの相互作用に基づく融合以外の融合であってもよい。また、結合物質3A、3Bとして核酸アプタマーを使用する場合、核酸アプタマーにおける5’末端以外の末端が標識物5A、5Bと融合してもよい。
また、結合物質3A、3Bとして低分子タンパク質製剤を使用する場合、低分子タンパク質製剤におけるN末端が標識物5A、5Bと融合してもよいし、C末端が標識物5A、5Bと融合してもよい。
融合体1Aと融合体1Bとは、種類が異なる。すなわち、融合体1Aに結合する目的物質7Aと、融合体1Bに結合する目的物質7Bとは、異なる物質である。また、融合体1Aが生じるAの現象と、融合体1Bが生じるBの現象とは異なる現象である。
(5-2)目的物質の分析方法の実施
図5に示すように、目的物質の分析方法を実施した。図5のS31では、目的物質7A、7Bを用意した。なお、本実施例1では、融合体1A、1Bの種類の数は2である。目的物質7A、7Bの種類の数は2である。よって、融合体1A、1Bの種類の数は、目的物質7A、7Bの種類の数以上である。
目的物質7Aは、SARS―CoV-2 (2019-nCoV) Spike S1-His Recombinant Protein(Sinobiological社、製品番号40591-V08H)であった。目的物質7Aのアミノ酸配列はRBDを含む。目的物質7Aを1xPBS/Tで溶解し、目的物質7A溶液を製造した。目的物質7A溶液における目的物質7Aの濃度は4μg/mLであった。
目的物質7Bは、Influenza A H1N1 (A/California/04/2009) Hemagglutinin / HA0 Protein (SinoBiological社、製品番号11055-VNAB)であった。目的物質7Bを1xPBS/Tで溶解し、目的物質7B溶液を製造した。目的物質7B溶液における目的物質7Bの濃度は4μg/mLであった。
次に、200μLの目的物質7A溶液と、200μLの目的物質7B溶液とを混合し、目的物質7AB溶液を製造した。目的物質7AB溶液における目的物質7Aの濃度は2μg/mLであり、目的物質7Bの濃度は2μg/mLであった。
次に、50μLの融合体1A溶液と、50μLの融合体1B溶液と、100μLの目的物質7AB溶液とを混合し、常温で1時間静置し、融合体-目的物質7AB混合液を製造した。融合体-目的物質7AB混合液における融合体1Aの濃度は5μmol/lであり、融合体1Bの濃度は5μmol/lであり、目的物質7Aの濃度は1μg/mLであり、目的物質7Bの濃度は1μg/mLであった。
また、50μLの融合体1A溶液と、50μLの融合体1B溶液と、50μLの目的物質7A溶液と、50μLの1xPBS/Tとを混合し、常温で1時間静置し、融合体-目的物質7A混合液を製造した。融合体-目的物質7A混合液における融合体1Aの濃度は5μmol/lであり、融合体1Bの濃度は5μmol/lであり、目的物質7Aの濃度は1μg/mLであった。
また、50μLの融合体1A溶液と、50μLの融合体1B溶液と、50μLの目的物質7B溶液と、50μLの1xPBS/Tとを混合し、常温で1時間静置し、融合体-目的物質7B混合液を製造した。融合体-目的物質7B混合液における融合体1Aの濃度は5μmol/lであり、融合体1Bの濃度は5μmol/lであり、目的物質7Bの濃度は1μg/mLであった。
また、50μLの融合体1A溶液と、50μLの融合体1B溶液と、100μLの1xPBS/Tとを混合し、常温で1時間静置し、コントロール混合液を製造した。コントロール混合液における融合体1Aの濃度は5μmol/lであり、融合体1Bの濃度は5μmol/lであった。
このとき、図5のS32に示すように、目的物質7Aと、融合体1Aとの結合体33A、又は、目的物質7Bと、融合体1Bとの結合体33Bが形成された。すなわち、図6に示すように、融合体-目的物質7AB混合液では、目的物質7Aと、融合体1Aとの結合体33Aが形成されるとともに、目的物質7Bと、融合体1Bとの結合体33Bが形成された。
また、図7に示すように、融合体-目的物質7A混合液では、目的物質7Aと、融合体1Aとの結合体33Aが形成された。また、図8に示すように、融合体-目的物質7B混合液では、目的物質7Bと、融合体1Bとの結合体33Bが形成された。また、図9に示すように、コントロール混合液では、結合体33A、33Bは形成されなかった。
次に、図5のS33では、融合体-目的物質7AB混合液、融合体-目的物質7A混合液、融合体-目的物質7B混合液、及びコントロール混合液のそれぞれから、限外濾過フィルターを用いて、目的物質7A、7Bと結合していない融合体1A、1Bを分離した。その結果、結合体33A、33Bが回収された。
また、図5のS33では、融合体-目的物質7AB混合液、融合体-目的物質7A混合液、融合体-目的物質7B混合液、及びコントロール混合液のそれぞれから回収された結合体を、2つのマイクロチューブに分注した。分注された2つの液を、第1液、第2液とする。
図5のS34では、リン酸4-ニトロフェニル二ナトリウム六水和物(東京化成工業社、製品番号N0241)を用意した。リン酸4-ニトロフェニル二ナトリウム六水和物を、以下ではpNPPとする。pNPPは、アルカリフォスファターゼが誘発する代謝の基質である。
次に、pNPPを、炭酸塩pH標準液(富士フイルム和光純薬社、製品番号037-16145)と硫酸マグネシウム(富士フイルム和光純薬社、製品番号137-12335)とを含む溶液に溶解し、pNPP溶液を製造した。pNPP溶液におけるpNPPの濃度は10mmol/lであった。炭酸塩pH標準液と硫酸マグネシウムとを含む溶液は、1mmol/lの炭酸塩pH標準液と、1mmol/lの硫酸マグネシウムとを含んでいた。炭酸塩pH標準液と硫酸マグネシウムとを含む溶液のpHは、9.6となるように調整されていた。
なお、pNPPを溶解する溶液は、炭酸塩pH標準液と硫酸マグネシウムとを含む溶液以外の溶液であってもよい。pNPPを溶解する溶液として、例えば、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、グッドバッファー等が挙げられる。グッドバッファーとして、例えば、MES、Bis-Tris、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、CAPSO、CAPS等が挙げられる。
pNPPを溶解する溶液のpHは9.6以外の値であってもよい。pNPPを溶解する溶液は、弱アルカリ性の溶液であることが好ましい。pNPPを溶解する溶液のpHは、8以上11以下であることが好ましい。pNPPを溶解する溶液が弱アルカリ性の溶液である場合、pNPPを基質とする代謝に由来するpHの変化が大きくなる。pNPPを溶解する溶液のpHが8以上11以下である場合、pNPPを基質とする代謝に由来するpHの変化が大きくなる。
また、図5のS34では、1-Step Ultra TMB-ELISA(Thermofisher Scientific社、製品番号34028)を用意した。1-Step Ultra TMB-ELISAは、ホースラディッシュペルオキシダーゼが誘発する代謝の基質を含む。
次に、融合体-目的物質7AB混合液、融合体-目的物質7A混合液、融合体-目的物質7B混合液、及びコントロール混合液のそれぞれから得た第1液に、pNPP溶液を100μL加え、37℃で15分間静置した。第1液が融合体1Aを含む場合は、融合体1Aが備えるアルカリフォスファターゼの酵素活性により、pNPPを基質とする代謝が誘発され、pNPPからリン酸基が分離する。その結果、無機リン酸と、p-ニトロフェノールとが生成する。p-ニトロフェノールの吸収極大波長は405nmである。そのため、p-ニトロフェノールを含む溶液は黄色に発色する。また、生成した無機リン酸は、溶液中において電離し、水素イオンを放出する。そのため、溶液のpHが低下する。
また、図5のS34では、融合体-目的物質7AB混合液、融合体-目的物質7A混合液、融合体-目的物質7B混合液、及びコントロール混合液のそれぞれから得た第2液に、1-Step Ultra TMB-ELISAを100μL加え、室温で15分静置した。
次に、図5のS35では、融合体-目的物質7AB混合液、融合体-目的物質7A混合液、融合体-目的物質7B混合液、及びコントロール混合液のそれぞれから得た第1液に、0.5mol/lのエチレンジアミン四酢酸(富士フイルム和光純薬、製品番号311-90075)を5μL滴下し、アルカリフォスファターゼ酵素反応を停止した。
また、図5のS35では、融合体-目的物質7AB混合液、融合体-目的物質7A混合液、融合体-目的物質7B混合液、及びコントロール混合液のそれぞれから得た第2液に、1mol/lのHSOを50μL加え、ホースラディッシュペルオキシダーゼ酵素反応を停止した。
次に、図5のS36では、融合体-目的物質7AB混合液、融合体-目的物質7A混合液、融合体-目的物質7B混合液、及びコントロール混合液のそれぞれから得た第1液において、405nmでの吸光度を測定した。また、融合体-目的物質7AB混合液、融合体-目的物質7A混合液、融合体-目的物質7B混合液、及びコントロール混合液のそれぞれから得た第2液において、450nmでの吸光度を測定した。
吸光度の測定結果を図10に示す。図10において「○」とは、コントロール混合液から得た第1液又は第2液での吸光度と比べて、吸光度が大きいことを意味する。「×」とは、コントロール混合液から得た第1液又は第2液での吸光度と比べて、吸光度が同じか小さいことを意味する。
吸光度の測定結果は、以下のことを示す。実施例1では、目的物質7A、7Bを含む目的物質7AB溶液と、融合体1A、1Bとを混合した。次に、目的物質7A、7Bのいずれとも結合していない融合体1A、1Bを除去した。目的物質7Aと結合した融合体1Aが生じるAの現象、及び、目的物質7Bと結合した融合体1Bが生じるBの現象を検出することができた。Aの現象は、405nmでの吸光度が大きいことである。Bの現象は、450nmでの吸光度が大きいことである。よって、実施例1では、目的物質7A、7Bを検出することができた。
また、実施例1では、目的物質7Aを含む目的物質7A溶液と、融合体1A、1Bとを混合した。次に、目的物質7Aと結合していない融合体1A、1Bを除去した。目的物質7Aと結合した融合体1Aが生じるAの現象を検出することができた。よって、実施例1では、目的物質7Aを検出することができた。
また、実施例1では、目的物質7Bを含む目的物質7B溶液と、融合体1A、1Bとを混合した。次に、目的物質7Bと結合していない融合体1A、1Bを除去した。目的物質7Bと結合した融合体1Bが生じるBの現象を検出することができた。よって、実施例1では、目的物質7Bを検出することができた。
また、融合体1Aが備える標識物5Aは、結合物質3Aと融合した状態でもpNPPを基質とする代謝を誘発する酵素活性を有していた。また、融合体1Aが備える結合物質3Aは、標識物5Aと融合した状態でも、目的物質7Aに対する結合活性を有していた。
融合体1Bが備える標識物5Bは、結合物質3Bと融合した状態でも、基質の代謝を誘発する酵素活性を有していた。また、融合体1Bが備える結合物質3Bは、標識物5Bと融合した状態でも、目的物質7Bに対する結合活性を有していた。
また、結合物質3Aは、目的物質7Bと結合しなかった。すなわち、結合物質3Aは、目的物質7Bに対する結合活性を有していなかった。また、結合物質3Bは、目的物質7Aと結合しなかった。すなわち、結合物質3Bは、目的物質7Aに対する結合活性を有していなかった。
6.実施例2
(6-1)融合体1Aの合成
図11に示す方法で融合体1Aを合成した。まず、図11のS41の工程では、結合物質3Aを、インビトロプロセスにより化学的に合成した。結合物質3Aは、実施例1における結合物質3Aと同じであった。
結合物質3Aを1xPBS/Tに溶解し、結合物質3A溶液を製造した。結合物質3A溶液における結合物質3Aの濃度は、10μmol/lであった。結合物質3A溶液を95℃で加熱し、その後徐冷した。
次に、図11のS42の工程では、標識物5Aを用意した。標識物5Aは、実施例1における標識物5Aと同一であった。標識物5Aを1xPBS/Tに溶解し、標識物5A溶液を製造した。標識物5A溶液における標識物5Aの濃度は、20μmol/lであった。
100μLの結合物質3A溶液と、5μLの標識物5A溶液とを混合し、室温で1時間静置した。このとき、ビオチン-ストレプトアビジンの相互作用により、結合物質3Aと標識物5Aとが融合し、融合体1Aが合成された。
次に、図11のS43の工程では、融合体1Aを精製し、回収した。具体的には、標識物5Aと融合しなかった結合物質3Aを、限外濾過フィルターを用いて融合体1Aから分離した。次に、1xPBS/Tで融合体1Aを溶解することで、融合体1Aを回収した。
(6-2)融合体1Bの合成
図12に示す方法で融合体1Bを合成した。まず、図12のS51の工程では、結合物質3Bを、インビトロプロセスにより化学的に合成した。結合物質3Bは、配列番号2の塩基配列を有し、5’末端をアジド化修飾したDNAアプタマーであった。
結合物質3Bを1xPBS/Tに溶解し、結合物質3B溶液を製造した。結合物質3B溶液における結合物質3Bの濃度は、10μmol/lであった。結合物質3B溶液を95℃で加熱し、その後徐冷した。
図12のS52の工程では、以下のようにして標識物5Bを合成した。ウレアーゼ(富士フイルム和光純薬 製品番号210-00781)を用意した。ウレアーゼは酵素である。ウレアーゼを1xPBS/Tに溶解し、ウレアーゼ溶液を製造した。ウレアーゼ溶液におけるウレアーゼの濃度は、100μmol/lであった。
DibenzocyclooctyneーNーhydroxysuccinimidyl ester(Sigma社、 製品番号761524-50MG)(以下はDBCO-NHSとする)を用意した。DBCO-NHSを、0.1lmol/lのNaHCO溶液に希釈し、DBCO-NHS溶液を製造した。DBCO-NHS溶液におけるDBCO-NHSの濃度は100μmol/lであった。
80μLのDBCO-NHS溶液と20μLのウレアーゼ溶液とを混合し、常温で1時間静置した。この時、NHSとアミノ基との相互作用により、DBCO-NHSとウレアーゼとが結合し、DBCO-NHSで修飾されたウレアーゼが合成された。DBCO-NHSで修飾されたウレアーゼを標識物5Bとした。すなわち、標識物5Bは、DBCO-NHS修飾酵素であった。
次に、図12のS53の工程では、標識物5Bを精製し、回収した。具体的には、ウレアーゼと融合しなかったDBCO-NHSを、限外濾過フィルターを用いて標識物5Bから分離し、標識物5Bを回収した。
次に、図12のS54の工程では、100μLの結合物質3B溶液と、5μLの標識物5Bとを混合し、室温で1時間静置した。このとき、Azide-DBCOのクリックケミストリーにより、結合物質3Bと標識物5Bとが融合し、融合体1Bが合成された。
次に、図12のS55の工程では、融合体1Bを精製し、回収した。具体的には、標識物5Bと融合しなかった結合物質3Bを、限外濾過フィルターを用いて融合体1Bから分離し、融合体1Bを回収した。
なお、結合物質3A、3Bは、DNAアプタマー以外の結合物質であってもよい。結合物質3A、3Bは、例えば、低分子タンパク質製剤、又は、RNAアプタマーであってもよい。低分子タンパク質製剤として、例えば、フラグメント抗体、一本鎖抗体、ディアボディ(Diabody)、ナノボディ(Nanobody)、VHH、ペプチドアプタマー等が挙げられる。
また、結合物質3A、3Bを構成するDNAアプタマーの塩基配列は、配列番号1、2の塩基配列以外の塩基配列であってもよい。DNAアプタマーの塩基配列は、目的物質に応じて選定できる。また、結合物質3Aと標識物5Aとの融合は、ビオチン-ストレプトアビジンの相互作用に基づく融合以外の融合であってもよい。また、結合物質3Bと標識物5Bとの融合は、Azide-DBCOのクリックケミストリーに基づく融合以外の融合であってもよい。また、結合物質3A、3Bとして核酸アプタマーを使用する場合、核酸アプタマーにおける5’末端以外の末端が標識物5A、5Bと融合してもよい。
また、結合物質3A、3Bとして低分子タンパク質製剤を使用する場合、低分子タンパク質製剤におけるN末端が標識物5A、5Bと融合してもよいし、C末端が標識物5A、5Bと融合してもよい。
融合体1Aと融合体1Bとは、種類が異なる。すなわち、融合体1Aに結合する目的物質7Aと、融合体1Bに結合する目的物質7Bとは、異なる物質である。また、融合体1Aが生じるAの現象と、融合体1Bが生じるBの現象とは異なる現象である。
(6-2)目的物質の分析方法の実施
図13に示すように、目的物質の分析方法を実施した。図13のS61では、目的物質7A、7Bを用意した。目的物質7A、7Bは、実施例1における目的物質7A、7Bと同一であった。なお、本実施例2では、融合体1A、1Bの種類の数は2である。目的物質7A、7Bの種類の数は2である。よって、融合体1A、1Bの種類の数は、目的物質7A、7Bの種類の数以上である。
目的物質7Aを1xPBS/Tで溶解し、目的物質7A溶液を製造した。目的物質7A溶液における目的物質7Aの濃度は4μg/mLであった。また、目的物質7Bを1xPBS/Tで溶解し、目的物質7B溶液を製造した。目的物質7B溶液における目的物質7Bの濃度は4μg/mLであった。
次に、200μLの目的物質7A溶液と、200μLの目的物質7B溶液とを混合し、目的物質7AB溶液を製造した。目的物質7AB溶液における目的物質7Aの濃度は2μg/mLであり、目的物質7Bの濃度は2μg/mLであった。
次に、50μLの融合体1A溶液と、50μLの融合体1B溶液と、100μLの目的物質7AB溶液とを混合し、常温で1時間静置し、融合体-目的物質7AB混合液を製造した。融合体-目的物質7AB混合液における融合体1Aの濃度は5μmol/lであり、融合体1Bの濃度は5μmol/lであり、目的物質7Aの濃度は1μg/mLであり、目的物質7Bの濃度は1μg/mLであった。
また、50μLの融合体1A溶液と、50μLの融合体1B溶液と、50μLの目的物質7A溶液と、50μLの1xPBS/Tとを混合し、常温で1時間静置し、融合体-目的物質7A混合液を製造した。融合体-目的物質7A混合液における融合体1Aの濃度は5μmol/lであり、融合体1Bの濃度は5μmol/lであり、目的物質7Aの濃度は1μg/mLであった。
また、50μLの融合体1A溶液と、50μLの融合体1B溶液と、50μLの目的物質7B溶液と、50μLの1xPBS/Tとを混合し、常温で1時間静置し、融合体-目的物質7B混合液を製造した。融合体-目的物質7B混合液における融合体1Aの濃度は5μmol/lであり、融合体1Bの濃度は5μmol/lであり、目的物質7Bの濃度は1μg/mLであった。
また、50μLの融合体1A溶液と、50μLの融合体1B溶液と、100μLの1xPBS/Tとを混合し、常温で1時間静置し、コントロール混合液を製造した。コントロール混合液における融合体1Aの濃度は5μmol/lであり、融合体1Bの濃度は5μmol/lであった。
このとき、図13のS62に示すように、目的物質7Aと、融合体1Aとの結合体33A、又は、目的物質7Bと、融合体1Bとの結合体33Bが形成された。すなわち、図6に示すように、融合体-目的物質7AB混合液では、目的物質7Aと、融合体1Aとの結合体33Aが形成されるとともに、目的物質7Bと、融合体1Bとの結合体33Bが形成された。
また、図7に示すように、融合体-目的物質7A混合液では、目的物質7Aと、融合体1Aとの結合体33Aが形成された。また、図8に示すように、融合体-目的物質7B混合液では、目的物質7Bと、融合体1Bとの結合体33Bが形成された。また、図9に示すように、コントロール混合液では、結合体33A、33Bは形成されなかった。
次に、図13のS63では、融合体-目的物質7AB混合液、融合体-目的物質7A混合液、融合体-目的物質7B混合液、及びコントロール混合液のそれぞれから、限外濾過フィルターを用いて、目的物質7A、7Bと結合していない融合体1A、1Bを分離した。その結果、結合体33A、33Bが回収された。
また、図13のS63では、融合体-目的物質7AB混合液、融合体-目的物質7A混合液、融合体-目的物質7B混合液、及びコントロール混合液のそれぞれから回収された結合体を、2つのマイクロチューブに分注した。分注された2つの液を、第1液、第2液とする。
図13のS64、S65、S66は、融合体-目的物質7AB混合液、融合体-目的物質7A混合液、融合体-目的物質7B混合液、及びコントロール混合液のそれぞれから得られた第1液を用いて行う処理である。図13のS67、S68、S69は、融合体-目的物質7AB混合液、融合体-目的物質7A混合液、融合体-目的物質7B混合液、及びコントロール混合液のそれぞれから得られた第2液を用いて行う処理である。
図13のフローチャートでは、説明の便宜上、S63の処理の後、S64、S65、S66の処理と、S67、S68、S69の処理とが分岐するように記載されている。例えば、S64、S65、S66の処理を先に行い、次に、S67、S68、S69の処理を行ってもよい。
図13のS64では、pNPPを、炭酸塩pH標準液(富士フイルム和光純薬社、製品番号037-16145)と硫酸マグネシウム(富士フイルム和光純薬社、製品番号137-12335)とを含む溶液に溶解し、pNPP溶液を製造した。pNPP溶液におけるpNPPの濃度は10mmol/lであった。炭酸塩pH標準液と硫酸マグネシウムとを含む溶液は、1mmol/lの炭酸塩pH標準液と、1mmol/lの硫酸マグネシウムとを含んでいた。炭酸塩pH標準液と硫酸マグネシウムとを含む溶液のpHは、9.6となるように調整されていた。
なお、pNPPを溶解する溶液は、炭酸塩pH標準液と硫酸マグネシウムとを含む溶液以外の溶液であってもよい。pNPPを溶解する溶液として、例えば、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、グッドバッファー等が挙げられる。グッドバッファーとして、例えば、MES、Bis-Tris、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、CAPSO、CAPS等が挙げられる。
pNPPを溶解する溶液のpHは9.6以外の値であってもよい。pNPPを溶解する溶液は、弱アルカリ性の溶液であることが好ましい。pNPPを溶解する溶液のpHは、8以上11以下であることが好ましい。pNPPを溶解する溶液が弱アルカリ性の溶液である場合、pNPPを基質とする代謝に由来するpHの変化が大きくなる。pNPPを溶解する溶液のpHが8以上11以下である場合、pNPPを基質とする代謝に由来するpHの変化が大きくなる。
次に、第1液にpNPP溶液を100μL加え、37℃で15分間静置した。第1液が融合体1Aを含む場合は、融合体1Aが備えるアルカリフォスファターゼの酵素活性により、pNPPを基質とする代謝が誘発され、pNPPからリン酸基が分離する。その結果、無機リン酸と、p-ニトロフェノールとが生成する。p-ニトロフェノールの吸収極大波長は405nmである。そのため、p-ニトロフェノールを含む溶液は黄色に発色する。また、生成した無機リン酸は、溶液中において電離し、水素イオンを放出する。そのため、溶液のpHが低下する。
次に、図13のS65では、第1液に、0.5mol/lのエチレンジアミン四酢酸(富士フイルム和光純薬、製品番号311-90075)を5μL滴下し、アルカリフォスファターゼ酵素反応を停止した。
次に、図13のS66では、第1液において、405nmでの吸光度を測定した。
図13のS67では、QuantiChrom Urease Assay Kit(BioAssay BioAssay Systems社、製品番号DURE-100)を用意した。QuantiChrom Urease Assay Kitには、ウレアーゼが誘発する代謝の基質が含まれている。
次に、QuantiChrom Urease Assay Kitに含まれる、ウレア(Urea)を第2液に10μL加え、10分間静置した。
次に、図13のS68では、QuantiChrom Urease Assay Kitに含まれるReagentAを第2液に100μL加え、よく混合した。さらにQuantiChrom Urease Assay Kitに含まれるReagentBを第2液に50μL加え、よく混合した後に、暗所で30分間静置した。QuantiChrom Urease Assay Kitに含まれるウレアは、ウレアーゼによって代謝された後に、QuantiChrom Urease Assay KitのReagentA、さらにはReagentBを加えると、670nmの吸収波長をもつ生成物に変化する。また、生成したアンモニアによって溶液のpHが上昇する。
次に、図13のS69では、第2液において、670nmでの吸光度を測定した。吸光度の測定結果を図14に示す。図14において「○」とは、コントロール混合液から得た第1液又は第2液での吸光度と比べて、吸光度が大きいことを意味する。「×」とは、コントロール混合液から得た第1液又は第2液での吸光度と比べて、吸光度が同じか小さいことを意味する。
吸光度の測定結果は、以下のことを示す。実施例2では、目的物質7A、7Bを含む目的物質7AB溶液と、融合体1A、1Bとを混合した。次に、目的物質7A、7Bのいずれとも結合していない融合体1A、1Bを除去した。目的物質7Aと結合した融合体1Aが生じるAの現象、及び、目的物質7Bと結合した融合体1Bが生じるBの現象を検出することができた。Aの現象は、405nmでの吸光度が大きいことである。Bの現象は、670nmでの吸光度が大きいことである。よって、実施例2では、目的物質7A、7Bを検出することができた。また、Aの現象とBの現象とは異なるから、Aの現象とBの現象とを区別して検出することができた。
また、実施例2では、目的物質7Aを含む目的物質7A溶液と、融合体1A、1Bとを混合した。次に、目的物質7Aと結合していない融合体1A、1Bを除去した。目的物質7Aと結合した融合体1Aが生じるAの現象を検出することができた。よって、実施例2では、目的物質7Aを検出することができた。
また、実施例2では、目的物質7Bを含む目的物質7B溶液と、融合体1A、1Bとを混合した。次に、目的物質7Bと結合していない融合体1A、1Bを除去した。目的物質7Bと結合した融合体1Bが生じるBの現象を検出することができた。よって、実施例2では、目的物質7Bを検出することができた。
また、融合体1Aが備える標識物5Aは、結合物質3Aと融合した状態でもpNPPを基質とする代謝を誘発する酵素活性を有していた。また、融合体1Aが備える結合物質3Aは、標識物5Aと融合した状態でも、目的物質7Aに対する結合活性を有していた。
融合体1Bが備える標識物5Bは、結合物質3Bと融合した状態でも、基質の代謝を誘発する酵素活性を有していた。また、融合体1Bが備える結合物質3Bは、標識物5Bと融合した状態でも、目的物質7Bに対する結合活性を有していた。
また、結合物質3Aは、目的物質7Bと結合しなかった。すなわち、結合物質3Aは、目的物質7Bに対する結合活性を有していなかった。また、結合物質3Bは、目的物質7Aと結合しなかった。すなわち、結合物質3Bは、目的物質7Aに対する結合活性を有していなかった。
7.他の実施形態
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(1)試料と混合する融合体の種類の数は特に限定されず、例えば、2、3、4、5、6、7、8・・・とすることができる。試料に含まれる目的物質の種類の数は特に限定されず、例えば、2、3、4、5、6、7、8・・・とすることができる。
(2)試料を分割し、分割された一部の試料に対し、本開示の分析方法を実施してもよい。
(3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
(4)上述した分析方法の他、融合体、複数の種類の融合体から成る群、融合体の製造方法、融合体の群の製造方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
目的物質(7A、7B)と結合する活性を有する結合物質(3A、3B)、及び標識物(5A、5B)を備える融合体(1A、1B)と、前記目的物質を含む試料とを混合し、
前記目的物質と結合していない前記融合体を除去し、
前記目的物質と結合した前記融合体に含まれる前記標識物が生じさせる現象を検出する前記目的物質の分析方法であって、
前記融合体には複数の種類が存在し、
前記融合体に結合する前記目的物質と、前記現象とは、前記融合体の種類ごとに異なる、
分析方法。
[項目2]
項目1に記載の分析方法であって、
前記結合物質は、核酸及びアミノ酸のうちの少なくとも1つを含む、
分析方法。
[項目3]
項目1又は2に記載の分析方法であって、
前記結合物質の少なくとも一部は、核酸アプタマー、又は低分子タンパク質製剤である、
分析方法。
[項目4]
項目1~3のいずれか1つの項目に記載の分析方法であって、
前記目的物質の少なくとも一部が、タンパク質、糖、核酸、低分子化合物、又は脂質である、
分析方法。
[項目5]
項目1~4のいずれか1つの項目に記載の分析方法であって、
前記標識物は、酵素、DNAザイム、RNAザイム、磁気標識、蛍光標識、化学発光プローブ、及びナノ粒子のうちの少なくとも1つを含む、
分析方法。
[項目6]
項目1~5のいずれか1つの項目に記載の分析方法であって、
前記融合体の種類の数は、前記試料に含まれる前記目的物質の種類の数以上であり、
前記現象は、酸化還元、発色、蛍光、発光、燐光、吸熱、発熱、沈殿、及びイオン量の変化のうちの少なくとも1つであり、
前記イオン量の変化におけるイオンは、水素イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、及び塩化物イオンのうち少なくとも1つを含み、
前記イオン量は、前記イオンの生産、消費、又は吸収により変化する、
分析方法。
[項目7]
項目1~6のいずれか1つの項目に記載の分析方法であって、
前記結合物質と前記標識物とは、化学置換基又は核酸結合タンパク質を介して結合しており、
前記化学置換基は、ビオチン、一級アミン、アジド、アルキン、ジベンゾシクロオクチン、ビシクロノニン、2´-O-プロパルギル、2´-O-プロパルギル、チオール、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、N-ヒドロキシスクシンイミド、マレイミド、及び5-ハロウラシルのうちの少なくとも1つを含む、
分析方法。
[項目8]
項目1~7のいずれか1つの項目に記載の分析方法であって、
前記現象が水素イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、又は塩化物イオンの生産、消費、又は吸収である場合、pH計測機、又はイオン感応性電界効果トランジスタを用いて前記現象を検出し、
前記現象が発色、発光、蛍光、又は燐光である場合、受光デバイスを用いて前記現象を検出し、
前記現象が吸熱、又は発熱である場合、熱分析機を用いて前記現象を検出し、
前記現象が酸化還元である場合、電位計測機、又はイオン感応性電界効果トランジスタを用いて前記現象を検出し、
前記現象が沈殿である場合、質量分析機、吸光光度計、又は分光光度計を用いて前記現象を検出する、
分析方法。
1A、1B…融合体、3A、3B…結合物質、5A、5B…標識物、7A、7B…目的物質、9A、9B…基質、11A、11B…代謝物、33A、33B…結合体

Claims (8)

  1. 目的物質(7A、7B)と結合する活性を有する結合物質(3A、3B)、及び標識物(5A、5B)を備える融合体(1A、1B)と、前記目的物質を含む試料とを混合し、
    前記目的物質と結合していない前記融合体を除去し、
    前記目的物質と結合した前記融合体に含まれる前記標識物が生じさせる現象を検出する前記目的物質の分析方法であって、
    前記融合体には複数の種類が存在し、
    前記融合体に結合する前記目的物質と、前記現象とは、前記融合体の種類ごとに異なる、
    分析方法。
  2. 請求項1に記載の分析方法であって、
    前記結合物質は、核酸及びアミノ酸のうちの少なくとも1つを含む、
    分析方法。
  3. 請求項1又は2に記載の分析方法であって、
    前記結合物質の少なくとも一部は、核酸アプタマー、又は低分子タンパク質製剤である、
    分析方法。
  4. 請求項1又は2に記載の分析方法であって、
    前記目的物質の少なくとも一部が、タンパク質、糖、核酸、低分子化合物、又は脂質である、
    分析方法。
  5. 請求項1又は2に記載の分析方法であって、
    前記標識物は、酵素、DNAザイム、RNAザイム、磁気標識、蛍光標識、化学発光プローブ、及びナノ粒子のうちの少なくとも1つを含む、
    分析方法。
  6. 請求項1又は2に記載の分析方法であって、
    前記融合体の種類の数は、前記試料に含まれる前記目的物質の種類の数以上であり、
    前記現象は、酸化還元、発色、蛍光、発光、燐光、吸熱、発熱、沈殿、及びイオン量の変化のうちの少なくとも1つであり、
    前記イオン量の変化におけるイオンは、水素イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、及び塩化物イオンのうち少なくとも1つを含み、
    前記イオン量は、前記イオンの生産、消費、又は吸収により変化する、
    分析方法。
  7. 請求項1又は2に記載の分析方法であって、
    前記結合物質と前記標識物とは、化学置換基又は核酸結合タンパク質を介して結合しており、
    前記化学置換基は、ビオチン、一級アミン、アジド、アルキン、ジベンゾシクロオクチン、ビシクロノニン、2´-O-プロパルギル、2´-O-プロパルギル、チオール、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、N-ヒドロキシスクシンイミド、マレイミド、及び5-ハロウラシルのうちの少なくとも1つを含む、
    分析方法。
  8. 請求項1又は2に記載の分析方法であって、
    前記現象が水素イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、又は塩化物イオンの生産、消費、又は吸収である場合、pH計測機、又はイオン感応性電界効果トランジスタを用いて前記現象を検出し、
    前記現象が発色、発光、蛍光、又は燐光である場合、受光デバイスを用いて前記現象を検出し、
    前記現象が吸熱、又は発熱である場合、熱分析機を用いて前記現象を検出し、
    前記現象が酸化還元である場合、電位計測機、又はイオン感応性電界効果トランジスタを用いて前記現象を検出し、
    前記現象が沈殿である場合、質量分析機、吸光光度計、又は分光光度計を用いて前記現象を検出する、
    分析方法。
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