JP2023082365A - 採尿容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】シール性を維持しつつ、容器本体に対する蓋部の開け易さを向上できる採尿容器を提供することを目的とする。【解決手段】開口2aを有する筒状の容器本体2と、容器本体2に装着されて開口2aを閉じる蓋部3と、蓋部3と容器本体2とを接続する接続部4と、蓋部3から突出すると共に、容器本体2に圧入される筒状の嵌合部7と、を備え、嵌合部7は、容器本体2の軸線La回りの周方向で、容器本体2の内周面2xに閉環状に連続して接する外周面7xを備え、接続部4は、容器本体2の内周面2xとは反対側の外周面2yに固定された容器側端部41と、蓋部3に固定された蓋側端部42と、容器側端部41と蓋側端部42とに接続され、変形可能なヒンジ部43と、を備え、容器本体2の軸線La方向における嵌合部7の長さLxは、接続部4の長さLzよりも短い、採尿容器1である。【選択図】図4
Description
本発明は、検査用の尿を収容する採尿容器に関する。
尿検査を受ける被検者等は、例えば、自身で採取した尿を採尿容器に収め、病院などの検査機関に提出して検査を受ける。また、採尿容器は、尿サンプルとして搬送される際に用いられることもある。例えば、特許文献1、2には、ねじ付きキャップによって開閉される採尿容器が開示されている。
しかしながら、従来の採尿容器では、容器本体を開く場合にはキャップを回して螺合を解き、閉める場合にはキャップを逆方向に回して螺合させる必要があり、片手での開閉作業を行い難く、キャップを開け難い。また、キャップが容器本体に螺合して容器本体を閉鎖するが、キャップと容器本体との螺合がずれていると尿が漏れてしまい、また、ずれていなくても、ねじ溝同士の摺接では、液漏れを防止するシール性が安定せず、結果として搬送中や検査中などに漏れてしまう可能性があった。
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、シール性を維持しつつ、容器本体に対する蓋部の開け易さを向上できる採尿容器を提供することを目的とする。
本発明は、開口を有する筒状の容器本体と、容器本体に装着されて開口を閉じる蓋部と、蓋部と容器本体とを接続する接続部と、蓋部から突出すると共に、容器本体に圧入される筒状の嵌合部と、を備え、嵌合部は、容器本体の軸線回りの周方向で、容器本体の内周面に閉環状に連続して接する外周面を備え、接続部は、容器本体の内周面とは反対側の外周面に固定された容器側端部と、蓋部に固定された蓋側端部と、容器側端部と蓋側端部とに接続され、変形可能なヒンジ部と、を備え、容器本体の軸線方向における嵌合部の長さは、接続部の長さよりも短い、採尿容器である。
この採尿容器では、接続部を介して蓋部と容器本体とが開閉可能に接続されている。蓋部は、容器本体に圧入される筒状の嵌合部を備えている。嵌合部は、容器本体の軸線回りの周方向で、容器本体の内周面に閉環状に連続して接する外周面を備えている。つまり、嵌合部の外周面と容器本体の内周面とは、周方向で途切れることなく連続した接触状態を維持することになり、シール性を安定して維持できる。また、蓋部を開く際、蓋部は、接続部を支点とする所定の軌跡上を移動する。ここで、蓋部の嵌合部は、容器本体に圧入されており、蓋部の移動の抵抗になる。しかしながら、嵌合部の長さは、蓋部の移動の支点となる接続部の長さよりも短い。その結果、嵌合部が容器本体の内周面から受ける干渉を解き易く、蓋部を開く際に要する力も小さくて済む。つまり、この採尿容器によれば、シール性を維持しつつ、容器本体に対する蓋部の開け易さを向上できる。シール性とは、液漏れを防止する性能を意味し、実質的に後述の液漏れ性と同義である。
上記の採尿容器において、嵌合部の長さは、ヒンジ部の長さよりも短くすることができる。容器本体に対する蓋部の移動を許容する部分は、接続部のヒンジ部である。嵌合部の長さをヒンジ部の長さよりも短くすることで、蓋部を開く際に要する力を更に小さくできる。
上記の採尿容器において、嵌合部の長さは、5.5mm以下で、且つ2.0mm以上であってもよい。嵌合部の長さを、上記範囲にすることで、シール性を維持しながら、蓋部の開け易さを向上させ易くなる。
上記の採尿容器において、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、外径と内径との差は、0.08mm以上で、且つ0.40mm以下であってもよい。外径と内径との差を、上記範囲にすることで、シール性の確保と蓋部の開け易さの向上とを両立させ易くなる。
上記の採尿容器において、蓋部を開いた状態での、容器本体の内周面の内径に対する嵌合部の長さの比は、14%以上で、且つ40%以下であってもよい。蓋部の開け易さを向上させ易くなる。
上記の採尿容器において、蓋部は、容器本体の開口を覆うカバー部を備え、嵌合部は、カバー部から筒状に突出して設けられており、カバー部は、嵌合部よりも外側に設けられると共に、蓋部を閉じた状態で、容器本体の軸線を中心にして蓋側端部とは反対側に設けられている開補助部を備えていてもよい。開補助部を設けることで、蓋部を開く際の操作性が向上する。
上記の採尿容器において、蓋部は、容器本体の開口を覆うカバー部を備え、嵌合部は、カバー部から筒状に突出して設けられると共に、筒状の内側には、抽出針の穿刺領域が形成されており、カバー部は、抽出針が穿刺されて貫通する穿刺予定部を備え、穿刺予定部は、穿刺領域に面する内面に設けられた穿刺用の溝部と、内面とは反対側の外面に設けられ、且つ穿刺目標となる底部分を形成するように凹む凹側傾斜面とを備え、溝部と底部分とは、重なるように配置されていてもよい。抽出針を採尿容器の蓋部に穿刺する際、抽出針は凹側傾斜面によって多少のズレを補正されながら、穿刺目標となる底部分に達する。また、底部分の裏面側には、穿刺用の溝部が設けられている。その結果、溝部が設けられていない部分よりも破断し易くなり、穿刺する際の効率も向上する。さらに、穿刺用の溝部は、抽出針が直接的に当接する底部分ではなく、底部分の裏面側に設けられている。その結果、抽出針が溝部の縁に直接当接して蓋部を切り崩し、細かな破片等を形成してしまうのを防止できる。
上記の採尿容器において、溝部は、頂部で交差する複数の線状溝であってもよい。抽出針の穿刺により、複数の線状溝が破断して開き易くなる。
本発明によれば、シール性を維持しつつ、容器本体に対する蓋部の開け易さを向上する。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る採尿容器の実施形態について詳細に説明する。
まず、図1、図2及び図3に示されるように、実施形態に係る採尿容器1は、有底筒状の容器本体2と、容器本体2の開口2aを閉じる蓋部3と、容器本体2と蓋部3とを接続する接続部4と、蓋部3から突出すると共に、容器本体2に圧入される筒状の嵌合部7とを備えている。容器本体2、蓋部3、接続部4、及び嵌合部7は一体成形されても良いし、別体として成形した後に接着等して一体化させてもよい。なお、以下の説明において「下」とは、蓋部3を閉じて採尿容器1を立てた状態を前提にして、鉛直方向(重力方向)または他の部分等と比較して鉛直方向側に存在する部分を意図し、また、「上」とは、鉛直方向の反対方向または他の部分等と比較して鉛直方向とは反対側に存在する部分を意図する。
容器本体2及び蓋部3は、収容対象である尿Uに対して耐水性、耐久性を有し、且つ検査対象である尿Uに影響等を与え難い材料を広く使用することができる。例えば、採尿容器1は、ABS樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリフェニレンエーテル、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂、SBC(スチレン・ブタジエン共重合体)樹脂等を使用することができ、更に製造性や耐腐食性等を考慮すると、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、SBC(スチレン・ブタジエン共重合体)樹脂が望ましい。また、容器本体2は、収容対象である尿Uを外部から視認できるように透明あるいは半透明であると好ましく、逆に不透明にすることもできる。
容器本体2は、採取した尿Uを収容する筒状の容器である。容器本体2の一方の端(下端)は尿Uを保持するために閉塞された底部2bであり、反対側の端(上端)には、蓋部3によって開閉する開口2aが形成されている。容器本体2の外周面2yには、収容された尿Uの量を目視にて確認できるように目盛等が設けられていてもよい。また、外周面2yには、被検者を識別するための識別情報、例えばバーコードシールなどが貼付されるなどして設けられていてもよい。
容器本体2は、開口2aを有する上管部21と、底部2bを有する底管部22と、上管部21と底管部22との間の中管部23とを備えている。底管部22は底部2bに向けて漸次縮径している。中管部23も底管部22に向けて漸次縮径する僅かな勾配を有するが、中管部23の勾配角度は、底管部22の勾配角度に比べて小さい。中管部23及び底管部22の勾配角度とは、筒状の容器本体2の軸線Laを仮定し、この軸線Laを含む仮想の断面を仮定した場合に、この断面上で、この軸線Laとの間に形成される傾斜角度を意味する。中管部23や底管部22の勾配角度は、例えば、射出成形等で容器本体2を製造する場合に、型抜き等をスムーズに実施できる角度であれば良い。なお、底管部22や中管部23は、勾配が無く、直線的な円筒状(直状管)であってもよい。
図4に示されるように、容器本体2の上管部21は直状管である。上管部21の内径は、軸線La方向で変化なく、基本的に同径であるが、開口2aを形成する上端部には、上方に向けて内径が広がる受け入れ部21bが形成されている。また、上管部21は、受け入れ部21bよりも下方の位置、つまり、受け入れ部21bと中管部23との間に直管部21cを備えている。直管部21cは、軸線La方向で内径が一定の部分である。受け入れ部21bは、省略することも可能であり、容器本体2の内周面2xとは、実質的に直管部21cの内周面を意味している。また、容器本体2の内周面2xの内径ID(図6参照)とは、直管部21cの内周面の内径を意味している。
容器本体2は、内周面2xの反対側である外周面2yを備えている。外周面2yのうち、上管部21の領域には、外方に突出した位置決め部2dが設けられている。位置決め部2dは、蓋部3に当接して蓋部3の位置決めを補助する。位置決め部2d(図3の(a)図参照)は、開口2aの周縁に沿って設けられている。位置決め部2dは、径方向の張り出し寸法が広い領域と、狭い領域とを備えており、広い領域は、上面視(平面視)で逆C字状の形状を呈し、接続部4に接続されている。狭い領域は、容器本体2の軸線Laを中心にして、接続部4とは反対側に設けられており、上面視でC字状の形状を呈しており、後述の開補助部8cを避けるように設けられている。
蓋部3は、容器本体2に装着されて開口2aを覆うカバー部6を備えている。カバー部6は、容器本体2に装着された際に開口2aに面する内表面6aと、反対側の外表面6bとを備えている。容器本体2に圧入される嵌合部7は、カバー部6の内表面6aから突出して設けられている。
図4及び図6に示されるように、嵌合部7は筒状であり、容器本体2の内周面2xに圧入されて密着する主圧接部7aと、主圧接部7aと先端7cとの間に設けられた先導部7bと、を備えている。先導部7bは、主圧接部7aから離れるほど外径が縮径して先端7cに接続されている。先端7cの外径は、容器本体2の内周面2xの内径IDよりも小さい。嵌合部7は、先端7cから容器本体2の開口2aに挿入される。嵌合部7は、先導部7bに案内されながら、容器本体2の内周面2xに圧入され、主圧接部7aは、容器本体2の内周面2xに圧接する。嵌合部7に先導部7bを設けることで、嵌合部7を容器本体2の開口2aから圧入する際の操作性を向上させている。なお、容器本体2の上管部21にもテーパ状の受け入れ部21bが形成されている。そのため、嵌合部7の先導部7b及び上管部21の受け入れ部21bの相乗効果により、嵌合部7を容器本体2の開口2aに挿入する際の操作性が向上する。
先導部7bは、省略することも可能であり、嵌合部7の外周面7xとは、実質的に主圧接部7aの外周面を意味している。また、嵌合部7の外周面7xの外径ODとは、主圧接部7aの外周面の外径を意味している。嵌合部7の外周面7xは、容器本体2の軸線La回りの周方向Dc(図3の(a)図参照)で、容器本体2の内周面2xに閉環状に連続して接している。その結果、嵌合部7は、容器本体2の内部のシール性を確保する。
図6は、蓋部3を開いた状態での嵌合部7の外周面7xの外径ODと容器本体2の内周面2xの内径IDとの関係を示す断面図である。なお、図6では、外径ODと内径IDとの間の寸法関係を誇張して表現している。
図6に示されるように、蓋部3を開いた状態において、嵌合部7の外周面7xの外径ODは、容器本体2の内周面2xの内径IDよりも大きい。嵌合部7は、容器本体2内に圧入される際に、外径ODが縮径するようにして嵌合する。上述の通り、容器本体2の内周面2xとは、上管部21の直管部21cの内周面を意味しているが、嵌合部7に密着する部分の内周面として説明することもできる。例えば、嵌合部7の外径ODと容器本体2の内径IDとの差は、0.08mm以上で、且つ0.40mm以下である。この差が0.08mm未満であれば、周囲の温度条件、振動その他の外的要因によって部分的、あるいは一時的にシール性が低下する可能性がある。また、0.40mmよりも大きければ、片手で蓋部3を開く際の負荷が大きくなり過ぎる可能性がある。なお、嵌合部7の外径ODと容器本体2の内径IDとの差は、0.10mm以上で、且つ0.30mm以下にすることができ、0.15mm以上で、且つ0.25mm以下にすることができる。
なお、本実施形態では、真円状の開口2aを例に嵌合部7の外周面7xの外径OD及び容器本体2の内周面2xの内径IDを説明している。しかしながら、開口2aの形状は、楕円状、あるいは、その他の湾曲しながら連続する閉鎖形状であってもよい。この場合に、嵌合部7の外周面7xの外径ODあるいは容器本体2の内周面2xの内径IDとは、閉鎖形状上の2点間の距離が最も大きくなる部分の寸法として説明することができ、特に、この場合の外径ODと内径IDとの寸法差は全周に亘って同一であることが望ましい。
図4及び図7に示されるように、蓋部3は、抽出針Nを受け入れる導入部31と、抽出針Nが穿刺されて貫通する穿刺予定部32とを備えている。導入部31は、カバー部6の外表面6bの中央に設けられた穴の部分(凹み)である。穿刺予定部32は導入部31の底の部分である。導入部31は、凹みの深さ方向で内径が一定の円筒状であっても、穿刺予定部32に向けて内径が縮径した円錐台状であってもよい。
上述した通り、カバー部6の内表面6aには筒状の嵌合部7が設けられている。嵌合部7の内側は、穿刺予定部32を貫通した抽出針Nの先端が差し入れられる穿刺領域ARである。カバー部6の内表面6aには、導入部31及び穿刺予定部32に重なるように円形の凹み33が形成されている。円形の凹み33は穿刺領域ARに面し、嵌合部7に対して同芯状となるように設けられている。なお、内表面6aにおいて円形の凹み33から嵌合部7に至る環状の領域は実質的に平坦形状になっている。つまり、嵌合部7で囲まれた内側の領域は、凹凸が少なく、比較的単純な形状になっている。その結果、射出成形等で製造する際に、充填する樹脂の流動性を確保し易く、充填不良等に起因して生じる不具合を生じ難い。
抽出針Nが穿刺される前の状態において、穿刺予定部32は破断されていない。穿刺予定部32は、導入部31内に挿入された抽出針Nに当接する外面と、穿刺領域ARに面する内面とを備えている。外面には、テーパ状に凹んだ凹側傾斜面32bが形成されている。例えば、凹側傾斜面32bは導入部31に囲まれており、中心に向けて降下するような勾配を有し、中心には穿刺目標となる底部分32cが形成されている。一方、穿刺予定部32の内面には上述の円形の凹み33が形成されており、円形の凹み33内には、テーパ状に突出した凸側傾斜面32aが設けられている。凸側傾斜面32aは、中心に向けて突出するような勾配を有し、中心は、底部分32cに重なる頂部32dである。
凹側傾斜面32bには、溝や凹凸は設けられておらず、実質的にフラットな円錐状の傾斜面を形成している。一方で、凸側傾斜面32aには、頂部32dを通るように設けられた穿刺用の溝部34が設けられている。溝部34が形成された部分は、凸側傾斜面32aを形成する他の部分の厚さよりも薄くなっており、凸側傾斜面32aを形成する部分よりも抽出針Nが貫通し易くなっている。
溝部34は、一または複数の線状溝34a(図5参照)を備えている。線状溝34aは、凸側傾斜面32aに沿うように傾斜している。本実施形態に係る線状溝34aは二本であり、頂部32dで交差するような十字状に設けられている。しかしながら、頂部32dを通過する単体(一本)の線状溝34a、あるいは三本以上の線状溝34aであってもよい。また、線状溝34aは直線状に限定されず、湾曲あるいは屈曲した線状の溝であってもよい。
図3及び図4に示されるように、カバー部6は、嵌合部7よりも外側に張り出すように設けられた環状(ドーナツ状)の鍔部8を備えている。鍔部8は、蓋部3を容器本体2に装着した際に、容器本体2の環状の上端部21dに重なって対向し、さらに外側から囲むように袋状に覆う部分である。鍔部8は、蓋部3を容器本体2に装着した状態において、容器本体2の外周面2yに接する筒状の外装部8aを備えている。外装部8aは、嵌合部7を外側から取り囲むように、嵌合部7に対向して設けられている。外装部8aと嵌合部7との間には、容器本体2の上端部21dを納める袋状、且つ環状のスペースが形成されている。蓋部3を容器本体2に装着した際、外装部8aは容器本体2の位置決め部2dに当接し、蓋部3の適切な装着や位置決めの補助的な役割を果たす。
鍔部8には、接続部4に固定された連結部8bと、蓋部3の開放を補助する開補助部8cとが設けられている。外装部8aは、連結部8bと開補助部8cとを避けるように設けられている。具体的に説明すると、鍔部8の外周に沿った全周のうち、外装部8aを形成していない一部分は連結部8bである。また、連結部8bに対向する位置において、外装部8aの板厚は薄くなっており、代わりに、外装部8aよりも外側に張り出すように板状の開補助部8cが設けられている。上面視(平面視)で三日月状の部分(図3の(a)図参照)は、本実施形態に係る開補助部8cである。連結部8bには、接続部4の蓋側端部42が固定されている。つまり、開補助部8cは、蓋部3を閉じた状態で、容器本体2の軸線Laを中心にして蓋側端部42に対する反対側の位置に設けられている。また、開補助部8cと蓋側端部42との間には、嵌合部7が配置されている。
開補助部8cは、蓋部3を開く際に、指先や爪などが引っ掛かる程度に突出していればよく、外装部8aから張り出している突出距離は、例えば、0.3mm以上で、且つ10mm以下にすることができ、0.5mm以上で、5mm以下にすることができる。開補助部8cを利用して蓋部3を持ち上げることで、蓋部3を容易に開くことができる。なお、容器本体2の位置決め部2dは、開補助部8cに重なる部分を避けるように設けられている。その結果として、指先や爪等を開補助部8cに引っ掛け易くなっている。
蓋部3は、接続部4を介して容器本体2に接続されている。接続部4は、容器本体2の外周面2yに固定された容器側端部41と、蓋部3の鍔部8に固定された蓋側端部42と、容器側端部41と蓋側端部42とに接続され、変形可能なヒンジ部43と、を備えている。ヒンジ部43は、板状あるいは棒状であり、容器本体2に対する蓋部3の移動を許容する程度の可撓性を有している。つまり、ヒンジ部43は、実質的に容器本体2に対する蓋部3の移動の支点となる部分である。なお、ヒンジ部43は、変形可能な態様の一例として弾性変形可能な態様であってもよい。
次に、蓋部3の嵌合部7と接続部4との関係について説明する。図4に示されるように、容器本体2の軸線La方向における嵌合部7の長さLxは、接続部4の長さLzよりも短い。また、本実施形態において、嵌合部7の長さLxは、ヒンジ部43の長さLyよりも短い。例えば、嵌合部7の長さLxは、接続部4の長さLzよりも短いという条件を満たすのであれば、5.5mm以下で、且つ2.0mm以上にすることができる。また、嵌合部7の長さLxは、上記の条件を満たすのであれば、5.0mm以下で、且つ2.3mm以上にすることができ、また、4.5mm以下で、且つ2.7mm以上にすることができる。また、嵌合部7の長さLxに対するヒンジ部43の長さLyの比は100%よりも大きく、150%以下にすることができ、また、105%以上で、且つ140%以下にすることができ、110%以上で、130%以下にすることができる。
また、蓋部3を開いた状態での、容器本体2の内周面2xの内径IDに対する嵌合部7の長さLxの比は、14%以上で、且つ40%以下にすることができる。容器本体2の内周面2xの内径IDに対する嵌合部7の長さLxの比は、17%以上で、且つ35%以下にすることができ、また、20%以上で、30%以下にすることができる。
図8は、採尿容器1の底部2bを拡大して示す断面図である。底部2bは、例えば、平坦面20aの中央に窪み20bが形成された形状を有する。窪み20bは、断面視で略円錐台状であり、平坦面20aは、窪み20bを環状に囲むように設けられている。本実施形態に係る形状の底部2bを備えることで、検体(尿U)の遠心分離が必要になった際、採尿容器1から遠沈管への移し替えをせずに、そのまま遠心分離操作を行うことができる。
次に、採尿容器1に収容されている尿Uの検査工程について説明する。尿Uの検査工程では、例えば、図9に示されるような尿分析装置100が使用される。尿分析装置100は、尿Uが収容された複数の採尿容器1を格納するラックトレイ101と、ラックトレイ101を移動させる搬送部102と、採尿容器1の蓋部3から抽出針Nを穿刺すると共に、採尿容器1内の尿Uを抽出して成分等を分析する分析部103とを備えている。
採尿容器1には、例えば検体を識別するためのバーコードシールが貼付されている。ラックトレイ101には、複数の採尿容器1が、蓋部3を上にして立てた状態で設置されている。複数の採尿容器1が設置されたラックトレイ101は、待機エリアWAから分析エリアAAに搬送される。分析エリアAAには分析部103が設置されている。ラックトレイ101上で規則的に並んでいる採尿容器1は、分析エリアAAにおいて順番に引き出される。分析部103は、引き出された採尿容器1に対し、抽出針Nを蓋部3に穿刺することで尿Uのサンプリング動作を実施する。ここで、分析部103は、抽出針Nの移動を高い精度で制御しており、基本的に抽出針Nが穿刺予定部32の底部分32c(穿刺目標)から外れることは少ない。しかしながら、仮に多少のズレが生じても、蓋部3の穿刺予定部32には凹側傾斜面32bが形成されており、この凹側傾斜面32bによって抽出針Nの位置は補正されるので、穿刺目標での抽出針Nの適切な穿刺が行われる。
分析部103でのサンプリング動作によって抽出された尿Uは、例えば、試薬層に滴下されて所定の検査項目の測定が行われたり、あるいは、フローセルを用いた側光によって尿色や混濁の程度の測定などが行われたりする。分析部103での尿Uの抽出等が終わると、ラックトレイ101は分析エリアAAから搬出エリアFAに搬送される。
次に、実施形態に係る採尿容器1の作用、効果を説明する。採尿容器1は、接続部4を介して蓋部3と容器本体2とが開閉可能に接続されている。従って、例えば、図10に示されるように、容器本体2を片手Hで持った状態で蓋部3を空けても、蓋部3が落下等せず、蓋部3を別の場所に仮置き等するような面倒は生じない。また、蓋部3は、容器本体2に圧入される嵌合部7を備えている。嵌合部7は、容器本体2の軸線La回りの周方向Dcで、容器本体2の内周面2xに閉環状に連続して接する外周面7xを備えている。つまり、嵌合部7の外周面7xと容器本体2の内周面2xとは、周方向Dcで途切れることなく連続した接触状態を維持することになり、シール性を安定して維持できる。
また、蓋部3を開く際、蓋部3は、接続部4を支点とする所定の軌跡上を移動する。ここで、蓋部3の嵌合部7は、容器本体2に圧入されており、蓋部3の移動の抵抗になる。しかしながら、嵌合部7の長さLxは、蓋部3の移動の支点となる接続部4の長さLzよりも短い。その結果、嵌合部7が容器本体2の内周面2xから受ける干渉を解き易く、蓋部3を開く際に要する力も小さくて済む。つまり、この採尿容器1によれば、シール性を維持しつつ、容器本体2に対する蓋部3の開け易さを向上できる。
また、採尿容器1において、例えば、嵌合部7の長さLxは、ヒンジ部43の長さLyよりも短くすることができる。容器本体2に対する蓋部3の移動を許容する部分は、接続部4のヒンジ部43である。嵌合部7の長さLxをヒンジ部43の長さLyよりも短くすることで、蓋部3を開く際に要する力を更に小さくできる。
また、ヒンジ部43の長さLyは、嵌合部7の長さLxに対して100%よりも大きく、且つ150%以下となるような所定の長さにすることができる。ヒンジ部43は、蓋部3の開閉に際して撓むが、所定の長さを有することで、撓む際の軌道にある程度の柔軟性(変化の可能性)が生じる。撓む際の軌道に柔軟性があると、嵌合部7を容器本体2から引き抜く際に引き抜き角度等に変化を持たせ易くなり、蓋部3の開け易さを向上させ易くなる。
また、採尿容器1において、嵌合部7の長さは、例えば、5.5mm以下で、且つ2.0mm以上にすることができる。嵌合部7の長さを、上記範囲にすることで、シール性を維持しながら、蓋部3の開け易さを向上させ易くなる。
また、採尿容器1において、蓋部3を開いた状態での、嵌合部7の外周面7xの外径ODは、容器本体2の内周面2xの内径IDよりも大きく、外径ODと内径IDとの差は、0.08mm以上で、且つ0.40mm以下にすることができる。外径ODと内径IDとの差を上記範囲にすることで、シール性の確保と蓋部3の開け易さの向上とを両立させ易くなる。
また、採尿容器1において、蓋部3を開いた状態での、容器本体2の内周面2xの内径IDに対する嵌合部7の長さの比は、14%以上で、且つ40%以下にすることができる。容器本体2の内周面2xの内径IDに対する嵌合部7の長さの比を上記範囲にすることで、蓋部3の開け易さを向上させ易くなる。
また、採尿容器1の蓋部3は、鍔部8を備え、鍔部8には開補助部8cが設けられている。開補助部8cを設けることで、蓋部3を開く際の操作性が向上する。
また、この採尿容器1において、蓋部3のカバー部6は、抽出針Nが穿刺されて貫通する穿刺予定部32を備えている。穿刺予定部32は、穿刺領域ARに面する凸側傾斜面32aに設けられた穿刺用の溝部34と、穿刺目標となる底部分32cを形成するように凹む凹側傾斜面32bとを備えている。溝部34と底部分32cとは、互いに重なるように配置されている。抽出針Nを採尿容器1の蓋部3に穿刺する際、抽出針Nは凹側傾斜面32bによって多少のズレを補正されながら、穿刺目標となる底部分32cに達する。また、底部分32cの裏面側には、穿刺用の溝部34が設けられている。その結果、溝部34が設けられていない部分よりも破断し易くなり、穿刺する際の効率も向上する。さらに、穿刺用の溝部34は、抽出針Nが直接的に当接する底部分32cではなく、底部分32cの裏面側に設けられている。その結果、抽出針Nが溝部34の縁に直接当接して蓋部3を切り崩し、細かな破片等を形成してしまうのを防止できる。
また、溝部34は、頂部32dで交差する複数の線状溝34aであってもよい。抽出針Nの穿刺により、複数の線状溝34aが破断して開き易くなる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。各実施例及び比較例では、採尿容器のサンプルを用意し、液漏れ性、蓋開け性及び突き刺し性を評価した。
(実施例1)
容器本体及び蓋部を接続部によって接続した採尿容器を一体成形によって製造した。実施例1に係る採尿容器は、ウィンテックWMX03(登録商標)(日本ポリプロ社製)を用いて製造した。蓋部は、容器本体に装着されて開口を覆うカバー部と、カバー部から突出する嵌合部と、嵌合部の外周に沿って設けられた鍔部と、を備えている。鍔部には、外装部及び開補助部が設けられている。なお、以下の説明において、接続部の長さ、ヒンジ部の長さ、及び嵌合部の長さは、図4を参照して対向箇所を把握し易くするため、比較例も含め、便宜的に、それぞれ符号(Lz、Ly、Lx)を付して説明する。
容器本体及び蓋部を接続部によって接続した採尿容器を一体成形によって製造した。実施例1に係る採尿容器は、ウィンテックWMX03(登録商標)(日本ポリプロ社製)を用いて製造した。蓋部は、容器本体に装着されて開口を覆うカバー部と、カバー部から突出する嵌合部と、嵌合部の外周に沿って設けられた鍔部と、を備えている。鍔部には、外装部及び開補助部が設けられている。なお、以下の説明において、接続部の長さ、ヒンジ部の長さ、及び嵌合部の長さは、図4を参照して対向箇所を把握し易くするため、比較例も含め、便宜的に、それぞれ符号(Lz、Ly、Lx)を付して説明する。
実施例1では、容器本体の開口を蓋部で閉じた状態を基準にした。この状態で、容器本体の軸線に沿った方向の接続部の長さLzは4.6mmであり、ヒンジ部の長さLyは3.6mmであった。蓋部の嵌合部の長さ(嵌合部高さ)Lxは、4mmであり、ヒンジ部よりは長いが、接続部よりは短くなるようにした。また、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差(寸法差)は、0.12mmであった。溝部は、穿刺予定部の凸側傾斜面に設けられており、頂部で交差する十字状の線状溝によって形成されている。なお、表1では、溝部が凸側傾斜面に設けられた場合を「下」と記載し、凹側傾斜面に設けられた場合を「上」と記載している。
(実施例2)
実施例2に係る採尿容器に関し、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差は、0.25mmであった。それ以外は、実施例1に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
実施例2に係る採尿容器に関し、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差は、0.25mmであった。それ以外は、実施例1に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
(実施例3)
実施例3に係る採尿容器に関し、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差は、0.35mmであった。それ以外は、実施例1に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
実施例3に係る採尿容器に関し、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差は、0.35mmであった。それ以外は、実施例1に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
(実施例4)
実施例4に係る採尿容器に関し、容器本体の開口を蓋部で閉じた状態を基準にした。この状態で、容器本体の軸線に沿った方向の接続部の長さLzは4.6mmであり、ヒンジ部の長さLyは3.6mmであった。蓋部の嵌合部の長さLxは、2.5mmであり、ヒンジ部よりも短くなるようにした。また、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差は、0.25mmであった。それ以外は、実施例1に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
実施例4に係る採尿容器に関し、容器本体の開口を蓋部で閉じた状態を基準にした。この状態で、容器本体の軸線に沿った方向の接続部の長さLzは4.6mmであり、ヒンジ部の長さLyは3.6mmであった。蓋部の嵌合部の長さLxは、2.5mmであり、ヒンジ部よりも短くなるようにした。また、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差は、0.25mmであった。それ以外は、実施例1に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
(実施例5)
実施例5に係る採尿容器に関し、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差は、0.06mmであった。それ以外は、実施例1に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
実施例5に係る採尿容器に関し、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差は、0.06mmであった。それ以外は、実施例1に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
(実施例6)
実施例6に係る採尿容器に関し、容器本体の開口を蓋部で閉じた状態を基準にした。この状態で、容器本体の軸線に沿った方向の接続部の長さLzは4.6mmであり、ヒンジ部の長さLyは3.6mmであった。蓋部の嵌合部の長さLxは、1mmであり、ヒンジ部よりも短くなるようにした。また、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差は、0.25mmであった。それ以外は、実施例1に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
実施例6に係る採尿容器に関し、容器本体の開口を蓋部で閉じた状態を基準にした。この状態で、容器本体の軸線に沿った方向の接続部の長さLzは4.6mmであり、ヒンジ部の長さLyは3.6mmであった。蓋部の嵌合部の長さLxは、1mmであり、ヒンジ部よりも短くなるようにした。また、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差は、0.25mmであった。それ以外は、実施例1に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
(実施例7)
実施例7に係る採尿容器は、溝部を凸側傾斜面ではなく、凹側傾斜面に設けた。それ以外は、実施例2に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
実施例7に係る採尿容器は、溝部を凸側傾斜面ではなく、凹側傾斜面に設けた。それ以外は、実施例2に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
(比較例1)
比較例1に係る採尿容器に関し、容器本体の開口を蓋部で閉じた状態を基準にした。この状態で、容器本体の軸線に沿った方向の接続部の長さLzは4.6mmであり、ヒンジ部の長さLyは3.6mmであった。蓋部の嵌合部の長さLxは、8mmであり、接続部よりも長くなるようにした。それ以外は、実施例2に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
比較例1に係る採尿容器に関し、容器本体の開口を蓋部で閉じた状態を基準にした。この状態で、容器本体の軸線に沿った方向の接続部の長さLzは4.6mmであり、ヒンジ部の長さLyは3.6mmであった。蓋部の嵌合部の長さLxは、8mmであり、接続部よりも長くなるようにした。それ以外は、実施例2に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
(比較例2)
比較例2に係る採尿容器に関し、容器本体の開口を蓋部で閉じた状態を基準にした。この状態で、容器本体の軸線に沿った方向の接続部の長さLzは4.6mmであり、ヒンジ部の長さLyは3.6mmであった。蓋部の嵌合部の長さLxは、5.5mmであり、接続部よりも長くなるようにした。それ以外は、実施例3に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
比較例2に係る採尿容器に関し、容器本体の開口を蓋部で閉じた状態を基準にした。この状態で、容器本体の軸線に沿った方向の接続部の長さLzは4.6mmであり、ヒンジ部の長さLyは3.6mmであった。蓋部の嵌合部の長さLxは、5.5mmであり、接続部よりも長くなるようにした。それ以外は、実施例3に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
(液漏れ性)
採尿容器の容器本体内に、液体を10ml(目盛り線まで)注入した。液体は、50%アルコール(IPA)を使用した。次に、容器本体の開口を蓋部で閉じ、採尿容器を減圧器に横倒しで設置し、減圧をかけていき、液漏れの有無を目視によって確認した。減圧器の設定値が-0.05MPaに達しても液漏れを確認できなかった場合には、実質的に液漏れは生じていない(表1:△)と評価し、減圧器の設定値が-0.09MPaに達しても液漏れを確認できなかった場合には、液漏れ性は良好(表1:〇)と評価した。逆に、減圧器の設定値が-0.05MPaに達する前に液漏れを確認した場合には、液漏れ性が不良と評価した。
採尿容器の容器本体内に、液体を10ml(目盛り線まで)注入した。液体は、50%アルコール(IPA)を使用した。次に、容器本体の開口を蓋部で閉じ、採尿容器を減圧器に横倒しで設置し、減圧をかけていき、液漏れの有無を目視によって確認した。減圧器の設定値が-0.05MPaに達しても液漏れを確認できなかった場合には、実質的に液漏れは生じていない(表1:△)と評価し、減圧器の設定値が-0.09MPaに達しても液漏れを確認できなかった場合には、液漏れ性は良好(表1:〇)と評価した。逆に、減圧器の設定値が-0.05MPaに達する前に液漏れを確認した場合には、液漏れ性が不良と評価した。
(蓋開け性)
容器本体の開口を蓋部で閉じた採尿容器を、蓋部を上にして立てた状態で保持した。この蓋部にフックを引っ掛け、プッシュプルゲージを用いて上方に引っ張り上げた。蓋部が容器本体から離脱した際、つまり、蓋部が開いた際の最大荷重を測定した。この最大荷重が15N未満の場合には、蓋開け性は優(表1:○)と評価した。この最大荷重が15N以上、25N未満の場合には、蓋開け性は良(表1:△)と評価した。この最大荷重が25N以上の場合には、蓋開け性は不良(表1:×)と評価した。
容器本体の開口を蓋部で閉じた採尿容器を、蓋部を上にして立てた状態で保持した。この蓋部にフックを引っ掛け、プッシュプルゲージを用いて上方に引っ張り上げた。蓋部が容器本体から離脱した際、つまり、蓋部が開いた際の最大荷重を測定した。この最大荷重が15N未満の場合には、蓋開け性は優(表1:○)と評価した。この最大荷重が15N以上、25N未満の場合には、蓋開け性は良(表1:△)と評価した。この最大荷重が25N以上の場合には、蓋開け性は不良(表1:×)と評価した。
(突き刺し性)
容器本体の開口を蓋部で閉じた採尿容器を、蓋部を上にして立てた状態で保持した。この蓋部に対し、エー・アンド・デイ社の卓上型引張圧縮試験機「フォーステスターMCT-2150」により突き刺し試験を行った。具体的には、本来の尿検査装置の尿抽出針を採寸し、まず、同等の試験用の突き刺し針を作成した。この突き刺し針は、小径の先端部と、大径の本管部と、本管部から先端部にかけて外径が縮径するテーパ状の連絡部とを備えている。本管部の外径φは2.1mm、先端部の外径φは1.0mm、先端部の内径φは0.5mmであった。この突き刺し針を、上述の試験機に取り付け、試験速度161mm/minにて蓋部に突き刺し、その際の最大荷重を確認すると共に、破片落下の有無を評価した。目視にて落下した破片を確認できなかった場合には、破片落下無し(表1:○)と評価し、破片を確認した場合には、破片落下有り(表1:×)と評価した。
容器本体の開口を蓋部で閉じた採尿容器を、蓋部を上にして立てた状態で保持した。この蓋部に対し、エー・アンド・デイ社の卓上型引張圧縮試験機「フォーステスターMCT-2150」により突き刺し試験を行った。具体的には、本来の尿検査装置の尿抽出針を採寸し、まず、同等の試験用の突き刺し針を作成した。この突き刺し針は、小径の先端部と、大径の本管部と、本管部から先端部にかけて外径が縮径するテーパ状の連絡部とを備えている。本管部の外径φは2.1mm、先端部の外径φは1.0mm、先端部の内径φは0.5mmであった。この突き刺し針を、上述の試験機に取り付け、試験速度161mm/minにて蓋部に突き刺し、その際の最大荷重を確認すると共に、破片落下の有無を評価した。目視にて落下した破片を確認できなかった場合には、破片落下無し(表1:○)と評価し、破片を確認した場合には、破片落下有り(表1:×)と評価した。
実施例1~7、及び比較例1、2の液漏れ性、蓋開け性、突き刺し性の評価結果は、以下の表1に示される通りである。液漏れ性において、実施例1~実施例4は、減圧値が-0.09(MPa)に到達しても液漏れは確認できなかった。実施例5、6は、減圧値が-0.05(MPa)に到達しても液漏れは確認できなかった。比較例1、2は、減圧値が-0.05(MPa)に到達する前に液漏れを確認した。また、蓋開け性において、実施例1、2、4、及び5は、蓋部が開いた際の最大荷重は15N以下であり、実施例3は、蓋部が開いた際の最大荷重は25N以下であった。また、比較例1、2は、蓋部が開いた際の最大荷重は25Nより大きかった。また、突き刺し性において、実施例7を除き、各実施例、比較例において、破片落下は確認されず、実施例7は、破片落下を確認した。
(実施例8)
容器本体及び蓋部を接続部によって接続した採尿容器を一体成形によって製造した。実施例8に係る採尿容器は、ウィンテックWMX03(登録商標)(日本ポリプロ社製)を用いて製造した。蓋部は、容器本体に装着されて開口を覆うカバー部と、カバー部から突出する嵌合部と、嵌合部の外周に沿って設けられた鍔部と、を備えている。鍔部には、外装部及び開補助部が設けられている。
容器本体及び蓋部を接続部によって接続した採尿容器を一体成形によって製造した。実施例8に係る採尿容器は、ウィンテックWMX03(登録商標)(日本ポリプロ社製)を用いて製造した。蓋部は、容器本体に装着されて開口を覆うカバー部と、カバー部から突出する嵌合部と、嵌合部の外周に沿って設けられた鍔部と、を備えている。鍔部には、外装部及び開補助部が設けられている。
実施例8に係る採尿容器に関し、容器本体の開口を蓋部で閉じた状態を基準にした。この状態で、容器本体の軸線に沿った方向の接続部の長さLzは4.6mmであり、ヒンジ部の長さLyは3.6mmであった。蓋部の嵌合部の長さ(嵌合部高さ)Lxは、3.0mmであり、ヒンジ部よりも短くなるようにした。また、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、14.20mmであり、容器本体の内周面の内径は、14.09mmであった。つまり、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差(寸法差)は、0.11mmであった。なお、蓋部の高さは4.5mmであった。蓋部の高さとは、外装部の高さを意味している。
(実施例9)
実施例9に係る採尿容器に関し、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、14.28mmであり、容器本体の内周面の内径は、14.09mmであった。つまり、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差(寸法差)は、0.19mmであった。それ以外は、実施例8に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
実施例9に係る採尿容器に関し、蓋部を開いた状態での、嵌合部の外周面の外径は、14.28mmであり、容器本体の内周面の内径は、14.09mmであった。つまり、嵌合部の外周面の外径は、容器本体の内周面の内径よりも大きく、嵌合部の外周面の外径と容器本体の内周面の内径との差(寸法差)は、0.19mmであった。それ以外は、実施例8に係る採尿容器と同じ材料及び寸法等になるように製造した。
(液漏れ性)
採尿容器の容器本体内に、液体を10ml(目盛り線まで)注入し、重量を測定した。液体は、50%アルコール(IPA)を使用した。次に、容器本体の開口を蓋部で閉じ、採尿容器を減圧器に横倒しで設置し、減圧をかけていった。減圧器の設定値を-0.09MPaとし、採尿容器を30分間、保持した。その後、液体を収納している状態で採尿容器の重量を測定し、重量減少率が0.2%以内で液漏れ性は良好(表2:〇)と評価した。また、重量減少率が0.2%より大きい場合であっても、液漏れを視認できない場合には、実質的に液漏れは生じていない(表2:△)と評価した。さらに、減圧器の設定値が-0.09MPaに到達する前に液漏れが生じたとしても、減圧器の設定値が-0.05MPaまで液漏れが生じなかった場合には、実質的に液漏れは生じていない(表2:△)と評価した。また、減圧器の設定値が-0.05MPaに達する前に液漏れが生じた場合には液漏れ性が不良と評価した。
採尿容器の容器本体内に、液体を10ml(目盛り線まで)注入し、重量を測定した。液体は、50%アルコール(IPA)を使用した。次に、容器本体の開口を蓋部で閉じ、採尿容器を減圧器に横倒しで設置し、減圧をかけていった。減圧器の設定値を-0.09MPaとし、採尿容器を30分間、保持した。その後、液体を収納している状態で採尿容器の重量を測定し、重量減少率が0.2%以内で液漏れ性は良好(表2:〇)と評価した。また、重量減少率が0.2%より大きい場合であっても、液漏れを視認できない場合には、実質的に液漏れは生じていない(表2:△)と評価した。さらに、減圧器の設定値が-0.09MPaに到達する前に液漏れが生じたとしても、減圧器の設定値が-0.05MPaまで液漏れが生じなかった場合には、実質的に液漏れは生じていない(表2:△)と評価した。また、減圧器の設定値が-0.05MPaに達する前に液漏れが生じた場合には液漏れ性が不良と評価した。
(蓋開け性)
容器本体の開口を蓋部で閉じた採尿容器を、蓋部を上にして立てた状態で保持した。この蓋部にフックを引っ掛け、プッシュプルゲージを用いて上方に引っ張り上げた。蓋部が容器本体から離脱した際、つまり、蓋部が開いた際の最大荷重を測定した。この最大荷重が15Nを超えた場合には、蓋開け性は不良と評価した。また、最大荷重が15N未満であっても、官能評価において固いと感じる場合には、蓋開け性は不良と評価した。最大荷重が15N未満であり、官能評価においても容易に開くと感じる場合には、蓋開け性は優(表2:○)と評価した。
容器本体の開口を蓋部で閉じた採尿容器を、蓋部を上にして立てた状態で保持した。この蓋部にフックを引っ掛け、プッシュプルゲージを用いて上方に引っ張り上げた。蓋部が容器本体から離脱した際、つまり、蓋部が開いた際の最大荷重を測定した。この最大荷重が15Nを超えた場合には、蓋開け性は不良と評価した。また、最大荷重が15N未満であっても、官能評価において固いと感じる場合には、蓋開け性は不良と評価した。最大荷重が15N未満であり、官能評価においても容易に開くと感じる場合には、蓋開け性は優(表2:○)と評価した。
実施例8及び9の液漏れ性及び蓋開け性の評価結果は、以下の表2に示される通りである。液漏れ性において、実施例8の液体が漏れ始める減圧値は-0.07(MPa)であった。また、実施例9は、減圧値が-0.09(MPa)に達しても液体は漏れず、重量減少率は0.2%以内であった。
蓋開け性において、実施例8の蓋開け強度(最大荷重)は6.3Nであり、実施例9の蓋開け強度(最大荷重)は10.3Nであった。
以上、本発明を実施形態及び実施例に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態や実施例のみに限定して解釈されるものではなく、他の形態であってもよい。例えば、蓋部において、鍔部や開補助部を省略することもできる。
1…採尿容器、2…容器本体、2a…開口、2x…内周面、2y…外周面、3…蓋部、4…接続部、6…カバー部、7…嵌合部、7x…外周面、8c…開補助部、32…穿刺予定部、32c…底部分、34…溝部、34a…線状溝、41…容器側端部、42…蓋側端部、43…ヒンジ部、AR…穿刺領域、Dc…周方向、La…軸線、Lx…嵌合部の長さ、Ly…ヒンジ部の長さ、Lz…接続部の長さ、N…抽出針、OD…嵌合部の外周面の外径、ID…容器本体の内周面の内径。
Claims (8)
- 開口を有する筒状の容器本体と、
前記容器本体に装着されて前記開口を閉じる蓋部と、
前記蓋部と前記容器本体とを接続する接続部と、
前記蓋部から突出すると共に、前記容器本体に圧入される筒状の嵌合部と、を備え、
前記嵌合部は、前記容器本体の軸線回りの周方向で、前記容器本体の内周面に閉環状に連続して接する外周面を備え、
前記接続部は、前記容器本体の前記内周面とは反対側の外周面に固定された容器側端部と、前記蓋部に固定された蓋側端部と、前記容器側端部と前記蓋側端部とに接続され、変形可能なヒンジ部と、を備え、
前記容器本体の軸線方向における前記嵌合部の長さは、接続部の長さよりも短い、採尿容器。 - 前記嵌合部の長さは、前記ヒンジ部の長さよりも短い、請求項1記載の採尿容器。
- 前記嵌合部の長さは、5.5mm以下で、且つ2.0mm以上である、請求項1または2記載の採尿容器。
- 前記蓋部を開いた状態での、前記嵌合部の前記外周面の外径は、前記容器本体の前記内周面の内径よりも大きく、
前記外径と前記内径との差は、0.08mm以上で、且つ0.40mm以下である、請求項1~3のいずれか一項記載の採尿容器。 - 前記蓋部を開いた状態での、前記容器本体の前記内周面の内径に対する前記嵌合部の長さの比は、14%以上で、且つ40%以下である、請求項1~4のいずれか一項記載の採尿容器。
- 前記蓋部は、前記容器本体の開口を覆うカバー部を備え、
前記嵌合部は、前記カバー部から筒状に突出して設けられており、
前記カバー部は、前記嵌合部よりも外側に設けられると共に、前記蓋部を閉じた状態で、前記軸線を中心にして前記蓋側端部とは反対側に設けられている開補助部を備えている、請求項1~5のいずれか一項記載の採尿容器。 - 前記蓋部は、前記容器本体の開口を覆うカバー部を備え、
前記嵌合部は、前記カバー部から筒状に突出して設けられると共に、筒状の内側には、抽出針の穿刺領域が形成されており、
前記カバー部は、抽出針が穿刺されて貫通する穿刺予定部を備え、
前記穿刺予定部は、前記穿刺領域に面する内面に設けられた穿刺用の溝部と、前記内面とは反対側の外面に設けられ、且つ穿刺目標となる底部分を形成するように凹む凹側傾斜面とを備え、
前記溝部と前記底部分とは、重なるように配置されている、請求項1~6のいずれか一項記載の採尿容器。 - 前記溝部は、前記底部分に重なる頂部で交差する複数の線状溝である、請求項7記載の採尿容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021196087A JP2023082365A (ja) | 2021-12-02 | 2021-12-02 | 採尿容器 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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JP2021196087A Pending JP2023082365A (ja) | 2021-12-02 | 2021-12-02 | 採尿容器 |
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2021
- 2021-12-02 JP JP2021196087A patent/JP2023082365A/ja active Pending
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