JP2023080169A - 流量調整弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】弁口通過時における圧力変動や冷媒剥離現象に起因して発生する騒音を効果的に低減することができるとともに、圧力損失の低減等も図ることのできる流量調整弁を提供する。【解決手段】弁室6及び弁口10が設けられた弁本体5と、流量特性としてイコールパーセント特性あるいはそれに近似する特性を得られるように設計され、リフト量に応じて弁口10を流れる流体の流量を変化させる曲面部33を持つ弁体30とを備え、前記曲面部33の曲率ないし制御角が先端に近づくに従って連続的又は段階的に大きくされている流量調整弁1において、弁口10の口径を弁室6から離れるに従って3段階以上で順次大きくする。具体的には、弁室6側から順次、口径がD1の第1弁口部11、D2(>D1)の第2弁口部12、及びD3(>D2)の第3弁口部13を設ける。より好ましくは、(弁口比:D2/D1)及び(弁口比:D3/D2)が特定範囲内に収まるようにD1、D2、D3を設定する。【選択図】図1
Description
本発明は、弁室及び弁口(オリフィス)が設けられた弁本体と、リフト量に応じて前記弁口を流れる流体の流量を変化させる弁体とを備えた流量調整弁に係り、特に、ヒートポンプ式冷暖房システム等において冷媒流量を調整するのに好適な流量調整弁に関する。
流量調整弁における弁開度(リフト量)と流量との関係、すなわち、流量特性としては、リニア特性とイコールパーセント特性とがよく知られている。リニア特性は、弁開度の変化に対する流量の変化率が一定である特性を言い、イコールパーセント特性は、弁開度の変化率が流量に比例する特性を言う。
図5は、イコールパーセント特性が得られるようにされた流量調整弁の一例の要部を示している。図示例の流量調整弁1’は、ヒートポンプ式冷暖房システム等において冷媒流量を調整するために使用されるもので、弁室6、逆立円錐台面からなる弁座8、及び円筒面からなる弁口15が設けられた弁本体5と、弁座8からのリフト量に応じて弁口15を流れる流体の流量を変化させる弁体20とを備え、弁体20は、例えば特許文献1等に所載の如くの、雄ねじが設けられた弁軸、雌ねじが設けられたガイドステム、及びステッピングモータ等で構成されるねじ送り式昇降駆動機構により、弁座8に接離するように昇降せしめられる。
弁体20は、弁座8に着接する着接面部22と、該着接面部22の下側に連なる、流量特性としてイコールパーセント特性を得るための楕球状の曲面部23とを有する。曲面部23は、卵の下半分に類似した形状を有しており、その外周面は上端23aから下端23bにかけて次第に曲がり具合がきつく(曲率が大きく)なっている。
かかるイコールパーセント特性が得られるようにされた流量調整弁1’においては、図5において太線矢印で示される如くに、冷媒流れ方向が弁室6→弁口15であるとき、冷媒が曲面部23に沿って流れるが、弁口15通過時に急激な圧力変動、冷媒剥離現象が生じやすく、それに伴い、渦やキャビテーションが発生・成長しやすくなり、比較的大きな騒音が発生するという問題があった。
なお、上記のようにイコールパーセント特性を得るために、弁体20に楕球状の曲面部23を設けることは加工コスト、費用対効果等の面から問題があるので、図6に示される如くの、イコールパーセント特性に近似した特性が得られるようにされた流量調整弁1’’が開発されている。図示例の流量調整弁1’’は、弁室形成部材6Aが固着されるとともに、短円筒面からなる第1弁口部17Aと円錐台面からなる第2弁口部17Bとからなる弁口17が設けられ、第2弁口部17Bの下部外周に導管が接続される管継手14が連結された弁本体5と、弁座8からのリフト量に応じて弁口17を流れる流体の流量を変化させる弁体30とを備える。
弁体30は、弁座8に着座する着座面部32と、該着座面部32の下側に連なる、流量特性としてイコールパーセント特性に近似した特性を得るための曲面部33とを有する。曲面部33は、楕球面を疑似するように先端に近づくに従って制御角(弁体30の中心軸線Oと平行な線との交差角)が段階的に大きくされた複数段(ここでは5段)の円錐テーパ面部33A~33Eを有しており、最上段の円錐テーパ面部33Aの第1制御角θ1は、通常、3°<θ1<15°(ここでは5°)に設定され、最下段の円錐テーパ面部33Eは先の尖った円錐面となっている。
一方、特許文献2には、通常のリニア特性が得られるようにされた流量調整弁において、弁口の寸法形状を特定のものとして、上記した如くの、弁口通過時における圧力変動や冷媒剥離現象等に起因して発生する騒音を抑制するようにしたものが開示されている。
しかしながら、特許文献2に所載の流量調整弁においては、弁口長を相当長く設定する必要があるため、圧力損失が大きくなり、適正な冷媒流量が得られ難いという問題があり、さらに、弁口の寸法形状は、リニア特性用の弁体に合わせたものであるので、上記したイコールパーセント特性及びそれに近似した特性を持つ流量調整弁に適用しても、十分な騒音低減効果は得られない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、弁口通過時における圧力変動や冷媒剥離現象に起因して発生する騒音を効果的に低減できるとともに、圧力損失の低減等も図ることのできる流量調整弁を提供することにある。
前記目的を達成すべく、本発明に係る流量調整弁は、基本的には、弁室及び弁口が設けられた弁本体と、前記弁口に連結された内径がD4の管継手と、リフト量に応じて前記弁口を流れる流体の流量を変化させる弁体と、を備え、前記弁口は、前記弁室側から順次、口径がD1の円筒の第1弁口部、D2の円筒の第2弁口部、及びD3の円筒の第3弁口部が設けられるとともに、D1<D2<D3<D4とされ、前記第1弁口部は弁座を備え、前記第1弁口部と前記第2弁口部との間には上段の円錐台状テーパ面部、及び前記第2弁口部と前記第3弁口部との間には下段の円錐台状テーパ面部が形成され、軸線方向において、前記下段の円錐台状テーパ面部の長さは前記上段の円錐台状テーパ面部の長さ以上であることを特徴としている。
好ましい態様では、前記管継手は、少なくとも前記第3弁口部が当該管継手の内側に配置されるように前記弁本体に連結される。
他の好ましい態様では、前記弁本体は、前記管継手の弁室側の端部が差し込まれる溝を有し、前記第3弁口部は、前記溝の外周部分よりも反弁室側に突出する。
本発明に係る流量調整弁では、弁口の口径が弁室側から下端側にかけて3段階以上で順次大きくされるので、弁口通過時において冷媒圧力が徐々に回復し、圧力変動が抑えられるとともに整流化が図られる。また、(D2/D1)、(D3/D2)が特定の範囲内に設定されることにより、圧力変動や冷媒剥離現象に伴う渦やキャビテーションの発生・成長が抑えられる。さらに、(D2/D1)<(D3/D2)<(D4/D3)とされることにより、流れが一層円滑となるので、例えばイコールパーセント特性及びそれに近似した特性を持つ流量調整弁において、騒音レベルを相当低くすることができる。
さらに、(L2/D1)、(L4/D1)が特定の範囲に設定されることにより、弁口長L2が特許文献2に所載のものや図5に示されるイコールパーセント特性を持つ流量調整弁1’より短くなるので、圧力損失が小さくなり、適正な冷媒流量を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る流量調整弁の一実施形態における主要部を示す要部断面図である。なお、図1においては、前述した図6に示される従来の流量調整弁1’’の各部に対応する部分には共通の符号が付されている。
図示実施形態の流量調整弁1は、前述した図6に示される従来の流量調整弁1’’と同様に、イコールパーセント特性に近似した特性が得られるようにされたもので、弁室形成部材6Aが固着されるとともに、本発明の特徴部分である弁口10(詳細は後述)が設けられた弁本体5と、弁座8からのリフト量に応じて弁口10を流れる流体の流量を変化させる弁体30とを備える。弁体30は、図6に示される従来の流量調整弁1’’と同一構成で、弁座8に着座する着座面部32と、該着座面部32の下側に連なる、流量特性としてイコールパーセント特性に近似した特性を得るための曲面部33とを有する。曲面部33は、楕球面を疑似するように先端に近づくに従って制御角(弁体30の中心軸線Oと平行な線との交差角)が段階的に大きくされた複数段(ここでは5段)の円錐テーパ面部33A~33Eを有しており、最上段の円錐テーパ面部33Aの第1制御角θ1は、3°<θ1<15°(ここでは5°)に設定され、最下段の円錐テーパ面部33Eは先の尖った円錐面となっている。
そして、弁室6に開口する前記弁口10は、弁室6側から順次、口径がD1の円筒状の第1弁口部11、口径がD2の円筒状の第2弁口部12、及び口径がD3の円筒状の第3弁口部13を有し、第3弁口部13の下部外周には、導管が接続される、内径がD4の管継手14が連結されている。ここでは、D1<D2<D3<D4とされ、弁口10は、その口径が弁室6から離れるに従って3段階に順次大きくされている。
ここで、本実施形態では、(口径比:D2/D1)<(口径比:D3/D2)<(口径比:D4/D3)とされるとともに、(D2/D1)と(D3/D2)とは、それぞれ試作実験等に基づいて、特定範囲内、すなわち、1.08<(D2/D1)<1.37、かつ、1.05<(D3/D2)<1.43に設定されている。
また、第1弁口部11と第2弁口部12との間(の段差部分)にテーパ角がθuの円錐台状テーパ面部16が形成されるとともに、第2弁口部12と第3弁口部13との間(の段差部分)にテーパ角がθvの円錐台状テーパ面部18が形成されている。
さらに、第1弁口部11の弁口長(中心軸線O方向の長さ)をL1、第2弁口部12の弁口長をL2、第3弁口部13の弁口長をL3、第2弁口部12の上端から第3弁口部13の下端までの長さをL4として、(弁口長比:L2/D1)と(弁口長比:L4/D1)とは、それぞれ試作実験等に基づいて、特定範囲内、すなわち、1.0<(L2/D1)<2.0、かつ、2.3<(L4/D1)<4.0に設定されている。
このような構成とされた本発明に係る流量調整弁では、弁口10の口径が弁室6から離れるに従って3段階で順次大きくされているので、弁口通過時において冷媒圧力が徐々に回復し、圧力変動が抑えられるとともに整流化が図られる。また、(D2/D1)、(D3/D2)が特定の範囲内に設定されることにより、圧力変動や冷媒剥離現象に伴う渦やキャビテーションの発生・成長が確実に抑えられる。さらに、(D2/D1)<(D3/D2)<(D4/D3)とされることにより、流れが一層円滑となるので、イコールパーセント特性及びそれに近似した特性を持つ流量調整弁において、騒音レベルを相当低くすることができる。
さらに、(L2/D1)、(L4/D1)が特定の範囲に設定されることにより、L2(又はL1)が特許文献2に所載のものや図5に示されるイコールパーセント特性を持つ流量調整弁1’より短くなるので、圧力損失が小さくなり、適正な冷媒流量を得ることができる。
[口径比及び弁口長比の適正範囲を検証するための検証試験とその結果]
上記のような作用効果を確認・立証すべく、本発明者等は、図2(A)及び図4(A)の一覧表に示される如くに、仕様・諸元の一部を変えた、口径比《(D2/D1)、(D3/D2)》検証用弁No.1~4、及び、弁口長比《(L4/D1)》検証用弁No.5~8を用意し、図2(B)に示される条件A~G及び図4(B)に示される条件H、Iのもとで、検証試験を行った。口径比《(D2/D1)、(D3/D2)》検証用弁No.1~4の試験結果を図3(A)、(B)に、また、弁口長比《(L4/D1)》検証用弁No.5~8の試験結果を図4(C)に示す。
上記のような作用効果を確認・立証すべく、本発明者等は、図2(A)及び図4(A)の一覧表に示される如くに、仕様・諸元の一部を変えた、口径比《(D2/D1)、(D3/D2)》検証用弁No.1~4、及び、弁口長比《(L4/D1)》検証用弁No.5~8を用意し、図2(B)に示される条件A~G及び図4(B)に示される条件H、Iのもとで、検証試験を行った。口径比《(D2/D1)、(D3/D2)》検証用弁No.1~4の試験結果を図3(A)、(B)に、また、弁口長比《(L4/D1)》検証用弁No.5~8の試験結果を図4(C)に示す。
なお、図3(A)は、横軸に口径比:D2/D1をとり、縦軸に騒音レベル[dB]をとって、検証用弁No.1~4の実測値を検証条件A~G毎に示したグラフ、図3(B)は、横軸に口径比:D3/D2をとり、縦軸に騒音レベル[dB]をとって、検証用弁No.1~4の実測値を検証条件A~G毎に示したグラフ、図4(C)は、横軸に弁口長比:L4/D1をとり、縦軸に音圧レベル[dB]をとって、検証用弁No.5~8の実測値を検証条件H、I毎に示したグラフである。
また、図3(A)、(B)及び図4(C)のグラフにおいて、レベル0(基準)は、前述した図6に示される従来のイコールパーセント特性に近似した特性を持つ流量調整弁1’’(以下、従来品と称す)の騒音レベル及び音圧レベルを示している。
図3(A)のグラフから、口径比:(D2/D1)が1.05~1.45(図示されている略全範囲)において騒音レベルが従来品より低くなっており、特に、弁No.3と弁No.2あたりの騒音低減効果が大きいが、(D2/D1)が1.08(弁No.4の口径比)~1.37(≒(1.31+1.42)/2、弁No.2と弁No.1の略中間の口径比)の範囲内にあれば、従来品より相当騒音を低減できることが確認された。
図3(B)のグラフから、口径比:(D3/D2)が1.00~1.50(図示されている略全範囲)において騒音レベルが従来品より低くなっており、特に、弁No.3と弁No.2あたりの騒音低減効果が大きいが、(D3/D2)が1.08~1.43(≒(1.35+1.50)/2、弁No.3と弁No.4の略中間の口径比)の範囲内にあれば、従来品より相当騒音を低減できることが確認された。
図4(C)のグラフから、弁口長比:(L4/D1)が2.00~4.00(図示されている略全範囲)において音圧レベルが従来品と同等かそれより低くなっており、特に、弁No.6あたりの騒音低減効果が大きいが、(L4/D1)が2.30(弁No.5の弁口長比より大)~4.00(弁No.8の弁口長比)の範囲内にあれば、従来品より騒音低減効果が得られる(例えば、条件Iにおいて音圧レベルが基準より2dB以上低い)ことが確認された。
なお、図示等は省略するが、弁口長比:(L2/D1)が1.0~2.0の範囲内であれば、音圧レベルが従来品と同等かそれより低くなり、従来品より騒音低減効果が得られることも確認されている。
なお、上記した実施形態では、イコールパーセント特性に近似した特性を持つ流量調整弁1に本発明を適用した場合について説明したが、これに限られる訳ではなく、本発明は、図5に示される如くのイコールパーセント特性を持つ流量調整弁1’は勿論のこと、特許文献1、2等に所載のリニア特性を持つ流量調整弁にも適用できる。
また、弁体における曲面部は、上記実施形態では、先端側ほど制御角が段階的に大きくされた複数段の円錐テーパ面部で構成されているが、これに限られる訳ではなく、図5に示される如くの楕球面部、あるいは、該楕球面部の下端部(楕球冠部分)を切除した構成でもよいし、さらに、楕球面部と一つもしくは複数の円錐テーパ面部との組み合わせ等により構成してもよい。
また、上記した実施形態では、第3弁口部13に、内径がD4の管継手14を連結した構成としているが、第3弁口部13の反弁室側に口径がD4の第4弁口部を形成したものでも、上記と同様の作用効果が得られることは言うまでも無い。
1 流量調整弁
5 弁本体
6 弁室
10 弁口
11 第1弁口部
12 第2弁口部
13 第3弁口部
14 管継手
30 弁体
33 曲面部
D1 第1弁口部の口径
D2 第2弁口部の口径
D3 第3弁口部の口径
D4 管継手の内径
L1 第1弁口部の弁口長
L2 第2弁口部の弁口長
L3 第3弁口部の弁口長
L4 第2~第3弁口長
5 弁本体
6 弁室
10 弁口
11 第1弁口部
12 第2弁口部
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30 弁体
33 曲面部
D1 第1弁口部の口径
D2 第2弁口部の口径
D3 第3弁口部の口径
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L1 第1弁口部の弁口長
L2 第2弁口部の弁口長
L3 第3弁口部の弁口長
L4 第2~第3弁口長
Claims (3)
- 弁室及び弁口が設けられた弁本体と、前記弁口に連結された内径がD4の管継手と、リフト量に応じて前記弁口を流れる流体の流量を変化させる弁体と、を備え、
前記弁口は、前記弁室側から順次、口径がD1の円筒の第1弁口部、D2の円筒の第2弁口部、及びD3の円筒の第3弁口部が設けられるとともに、D1<D2<D3<D4とされ、
前記第1弁口部は弁座を備え、
前記第1弁口部と前記第2弁口部との間には上段の円錐台状テーパ面部、及び前記第2弁口部と前記第3弁口部との間には下段の円錐台状テーパ面部が形成され、
軸線方向において、前記下段の円錐台状テーパ面部の長さは前記上段の円錐台状テーパ面部の長さ以上であることを特徴とする流量調整弁。 - 前記管継手は、少なくとも前記第3弁口部が当該管継手の内側に配置されるように前記弁本体に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の流量調整弁。
- 前記弁本体は、前記管継手の弁室側の端部が差し込まれる溝を有し、
前記第3弁口部は、前記溝の外周部分よりも反弁室側に突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の流量調整弁。
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JP2023062158A JP2023080169A (ja) | 2022-03-22 | 2023-04-06 | 流量調整弁 |
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