JP2023079888A - 圧粉体の製造方法及び、焼結体の製造方法 - Google Patents

圧粉体の製造方法及び、焼結体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Ti-Al系の圧粉体もしくは焼結体の成分のばらつきを抑制することができる圧粉体の製造方法及び、焼結体の製造方法を提供する。【解決手段】この発明の圧粉体の製造方法は、チタン、アルミニウム及び他の金属元素を含む圧粉体の製造方法であって、チタン粉末、アルミニウム粉末、並びに、アルミニウム及び前記他の金属元素を含有する母合金粉末を含む原料粉末を準備する工程と、前記原料粉末を樹脂製のモールド内に充填する工程と、前記原料粉末が充填された前記モールドに対して冷間等方圧加圧を施す工程とを含み、前記母合金粉末中の前記他の金属元素の含有量が質量基準でアルミニウムの含有量以上であり、前記母合金粉末が粉砕粉末であり、前記アルミニウム粉末のアスペクト比の平均値が1.38以上かつ3.00以下であるというものである。【選択図】なし

Description

この発明は、チタン、アルミニウム及び他の金属元素を含む圧粉体の製造方法及び、焼結体の製造方法に関するものである。
チタン合金は、耐疲労性、耐食性、軽量かつ高い比強度といった所定の優れた特性の故に、種々の部品に用いることが検討されている。
しかるに、チタン合金製の製品を製造するには一般に、電子ビーム溶解や真空アーク溶解等による溶解、鋳造、場合によってはさらに鍛造や圧延、熱処理及び機械加工、溶接等の多数の工程を行う必要があり、それに伴って製造コストが嵩む。このような高コストに起因して、チタン合金の適用範囲が十分に広がっているとは言い難い。
かかる状況の下、近年は、いわゆるニアネットシェイプとして、チタン及び合金元素を含む原料粉末を樹脂製のモールド内に充填して、当該原料粉末を充填したモールドに対して冷間等方圧加圧を施し、所定の形状の圧粉体を得る粉末冶金法が注目されている。粉末冶金法では、冷間等方圧加圧の後、必要に応じて焼結及び/又は熱間等方圧加圧を施して焼結体とし、密度を高めることが行われる場合がある。
この種の技術としては、たとえば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1には、「凹部を有する金属製の圧粉体を製造する方法であって、樹脂製のモールドの、前記凹部に対応する箇所に、該凹部に対応する形状を有する樹脂製の芯材を位置させた状態で、前記モールド内に充填した原料粉末に対して冷間等方圧加圧を行う工程を含む、圧粉体の製造方法」が開示されている。
国際公開第2021/060363号
ところで、チタン合金には、たとえば、アルミニウム及び、バナジウムないし鉄等の他の金属元素を含むTi-Al系合金がある。その一例としては、他の金属元素をバナジウムとしたTi-6Al-4V合金が挙げられる。Ti-Al系の圧粉体もしくは焼結体を製造する場合、チタン粉末と、アルミニウム及び他の金属元素を含有する母合金粉末とを含む原料粉末を用いることが考えられる。
ここで、上記の母合金粉末として、質量基準で他の金属元素よりもアルミニウムを多く含有するものは比較的高価であり、市場で安定的に入手することが困難である。それ故に、Ti-Al系の圧粉体もしくは焼結体の製造では、他の金属元素の含有量がアルミニウムの含有量以上である母合金粉末を使用することが、コストの低減及び、安定した製造の実現の観点から好ましい。この場合、製造しようとする圧粉体もしくは焼結体の組成に応じて、原料粉末に、上述したチタン粉末及び当該母合金粉末の他、さらにアルミニウム粉末を含ませることがある。
このとき、一般的なアルミニウム粉末を使用すると、原料粉末をモールド内に充填した際に、モールド内にて原料粉末中で偏りが生じることがわかった。その結果、圧粉体や焼結体の組成ないし成分にばらつきが発生し、均質性が損なわれるという問題がある。
この発明の目的は、Ti-Al系の圧粉体もしくは焼結体の成分のばらつきを抑制することができる圧粉体の製造方法及び、焼結体の製造方法を提供することにある。
発明者は鋭意検討の結果、少なくとも母合金粉末を粉砕粉末とし、さらにアスペクト比の平均値が1.38以上かつ3.00以下であるアルミニウム粉末を用いることにより、モールド内での原料粉末中の粒子の偏りを抑制できることを見出した。
これまでの一般的なアルミニウム粉末は、アトマイズ法等により作製されて球形状であることが多い。そのようなアルミニウム粉末を、チタン粉末及び、粉砕粉末ではない母合金粉末と混合させて原料粉末とすれば、球形状で、しかもチタン粉末や母合金粉末に比して比重が小さいアルミニウム粉末が、原料粉末中で流動しやすく偏りを生じさせる。
これに対し、少なくとも母合金粉末を粉砕粉末とするとともに、アスペクト比が上記の範囲内であるアルミニウム粉末を用いると、原料粉末中でのアルミニウム粉末の流動が抑えられ、原料粉末中の偏りが発生しにくくなると考えられる。その結果として、均一な組成のTi-Al系の圧粉体もしくは焼結体を得ることが可能になる。
この発明の圧粉体の製造方法は、チタン、アルミニウム及び他の金属元素を含む圧粉体の製造方法であって、チタン粉末、アルミニウム粉末、並びに、アルミニウム及び前記他の金属元素を含有する母合金粉末を含む原料粉末を準備する工程と、前記原料粉末を樹脂製のモールド内に充填する工程と、前記原料粉末が充填された前記モールドに対して冷間等方圧加圧を施す工程とを含み、前記母合金粉末中の前記他の金属元素の含有量が質量基準でアルミニウムの含有量以上であり、前記母合金粉末が粉砕粉末であり、前記アルミニウム粉末のアスペクト比の平均値が1.38以上かつ3.00以下であるというものである。
チタン粉末は粉砕粉末であることが好ましい。
前記原料粉末は、下記(1)~(4)からなる群から選択される少なくとも一つの条件を満たすことが好ましい。
(1)前記チタン粉末の平均粒径D50が、20μm以上かつ80μm以下である。
(2)前記母合金粉末の平均粒径D50が、10μm以上かつ80μm以下である。
(3)前記アルミニウム粉末の質量基準の90%以上の粒度が、20μm以上かつ90μm以下の範囲内である。
(4)前記アルミニウム粉末の平均円形度が0.60以上かつ0.75以下である。
前記アルミニウム粉末は、箔の裁断又は、粉体のプレス成形により作製されたものであることが好ましい。
前記モールドとしては、ショアD硬さが30以上かつ120以下である熱可塑性樹脂からなるモールドを用いることができる。
前記モールドとしては、三次元造形装置を用いて作製されたモールドを用いることができる。
この発明の焼結体の製造方法は、上記のいずれかの圧粉体の製造方法により製造された圧粉体を加熱して焼結させる工程を含むものである。
この発明によれば、Ti-Al系の圧粉体もしくは焼結体の成分のばらつきを抑制することができる。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態に係る圧粉体の製造方法は、チタン、アルミニウム及び他の金属元素を含む圧粉体、いわゆるTi-Al系の圧粉体を製造するものである。この方法には、チタン粉末、アルミニウム粉末、並びに、アルミニウム及び他の金属元素を含有する母合金粉末を含む原料粉末を準備する工程と、原料粉末を樹脂製のモールド内に充填する工程と、原料粉末が充填されたモールドに対して冷間等方圧加圧を施す工程とが含まれる。また、一の実施形態の焼結体の製造方法は、圧粉体の製造方法により製造された圧粉体に対し、焼結及び/又は熱間等方圧加圧等により、加熱により焼結を行う工程を含む。
原料粉末は、チタン粉末、アルミニウム粉末及び母合金粉末を混合させて得られるものである。母合金粉末は、質量基準で他の金属元素の含有量がアルミニウムの含有量以上であるものとする。このような母合金粉末は、比較的安価であり、安定して入手することができる。但し、当該母合金粉末は、他の金属元素の含有量がアルミニウムの含有量以上であるから、たとえば、Ti-6Al-4V合金のような、アルミニウムの含有量が他の金属元素の含有量よりも多いTi-Al系の圧粉体や焼結体を製造しようとするとき等には、目的とする組成に調整するため、この実施形態のように、チタン粉末及び母合金粉末に加えてアルミニウム粉末を添加することを要する場合がある。
ここで、アルミニウム粉末は、比重がチタン粉末に比して小さく、また一般に母合金粉末よりも小さい。特にそのようなアルミニウム粉末は、チタン粉末及び母合金粉末とともに原料粉末に含ませてモールド内に充填すると、モールド内にて原料粉末中で流動して偏在する傾向がある。モールド内の原料粉末中におけるアルミニウム粉末の偏在は、その後の冷間等方圧加圧で得られる圧粉体や、焼結及び/又は熱間等方圧加圧等の後に得られる焼結体での組成のばらつきを招く。
これに対し、この実施形態では、少なくとも母合金粉末を粉砕粉末とし、アルミニウム粉末のアスペクト比の平均値を1.38以上かつ3.00以下とする。アスペクト比がある程度大きいアルミニウム粉末と、粉砕粉末である母合金粉末との併用により、モールド内へ原料粉末を充填し、その後にタッピングなどを行っても、アルミニウム粉末の偏在が良好に抑制される。その結果として、金属元素の均質性に優れたTi-Al系の圧粉体や焼結体を得ることができる。
(原料粉末)
原料粉末は、チタン粉末と、アルミニウム粉末と、アルミニウム及び他の金属元素を含有する母合金粉末とを混合させて得られる。原料粉末にはさらに、他の母合金粉末や合金元素粉末等を含ませることもある。
このような原料粉末を用いることにより、たとえば、Ti-5Al-1Fe、Ti-5Al-2Fe、Ti-6Al-4V、Ti-3Al-2.5V等からなるチタン合金製の圧粉体や焼結体を製造することができる。なおここで、合金元素の各元素記号の前に付した数字は、含有量(質量%)を示している。例えば、「Ti-6Al-4V」は、6質量%のAlと4質量%のVとを含有するチタン合金のことを意味する。
チタン粉末は、不可避的に不純物は含みうるものの、主としてチタンを含有するものであり、チタンの含有量が99質量%以上であることが好ましい。チタン粉末の具体例としては、スポンジチタン等を水素化して粉砕した後に脱水素して得られる水素化脱水素チタン粉末(いわゆるHDH粉末)や、上記の粉砕後に脱水素を行わなかった水素化チタン粉末等が挙げられる。チタン粉末には、水素が5質量%以下で含まれる場合がある。チタン粉末に水素が含まれる場合、圧粉体を焼結させる前に脱水素処理することができ、また、一度の熱処理で脱水素と焼結を同時に行うこともできる。また、焼結させるために加熱する工程で、当該水素は除去され得る。
母合金粉末は、アルミニウム及び他の金属元素を含有するものである。ここで、他の金属元素は、たとえば、バナジウム及び鉄からなる群から選択される少なくとも一種とすることがある。母合金粉末は、典型的には、アルミニウム及びバナジウムを含有するもの、又は、アルミニウム及び鉄を含有するものであるが、それらに限らない。
母合金粉末は、他の金属元素の含有量が質量基準でアルミニウムの含有量以上であるものとする。アルミニウムの含有量が他の金属元素の含有量よりも多い母合金粉末は、入手もしくは作製が困難であること等により、安定的に準備することが難しい場合がある。母合金粉末は、たとえば、アルミニウム含有量が15質量%以上かつ50質量%以下、好ましくは40質量%以上かつ50質量%以下であり、他の金属元素の含有量が50質量%以上かつ85質量%以下、好ましくは50質量%以上かつ60質量%以下である場合がある。
上述したチタン粉末及び母合金粉末のうち、少なくとも母合金粉末は、粉砕粉末とする。粉砕粉末は、各粒子が多面体状であることが多い。母合金粉末を粉砕粉末とすれば、後述するようにアルミニウム粉末のアスペクト比を比較的大きくしたことと相俟って、モールド内における原料粉末中の各粉末の偏在が良好に抑制される。チタン粉末は、粉砕以外の方法で作製された球状の粒子からなるものであってもよいが、好ましくは、チタン粉末も粉砕粉末とする。粉砕粉末とは、塊等を粉砕することにより作製された粉末である。たとえばチタン粉末については、先述したHDHチタン粉末や水素化チタン粉末は粉砕粉末に該当する。粉砕粉末としての母合金粉末は、鋳塊を粉砕して作製されることがある。
アルミニウム粉末は、主にアルミニウムからなり、アルミニウム含有量が99質量%以上であることが好適である。アルミニウム粉末は、不純物が含まれる場合があるが、不純物の含有量は1質量%よりも少ないことが好ましい。
アルミニウム粉末は、アスペクト比の平均値(「平均アスペクト比」ともいう。)が1.38以上かつ3.00以下であるものとする。アルミニウム粉末の平均アスペクト比が1.38よりも小さい場合、原料粉末をモールド内に充填したときに各粉末の偏りが十分に抑制されないことが懸念される。一方、アルミニウム粉末の平均アスペクト比が3.00を超える場合は、合金成分粉末の偏在抑制効果が十分に発揮されないおそれがある。そのような観点から、アルミニウム粉末の平均アスペクト比は、好ましくは1.40以上かつ2.00以下、より好ましくは1.42以上かつ1.50以下である。かかるアルミニウム粉末は、たとえば各粒子が鱗片状等の片状をなすことが多い。
アルミニウム粉末の平均アスペクト比は、次のようにして求める。まず、粒子形状画像解析装置PITA-04(株式会社セイシン企業製)を用いて、分散媒のイソプロピルアルコール(IPA)中に分散させたアルミニウム粉末の粒子の投影像についての画像を取得する。なお、このときのポンプ速度は2000Hzとすることができる。そして、当該画像上にて、その投影像の輪郭線上における二点間の最大長さを長径Lとし、その長径に垂直な方向の最小長さを短径dとして測定する。アルミニウム粉末の粒子のアスペクト比は、上記の長径Lを短径dで除して、L/dとして算出する。アルミニウム粉末の約1万個の粒子について上記のアスペクト比(L/d)を算出し、それらの平均値を平均アスペクト比とする。
アルミニウム粉末の平均円形度は、たとえば0.60以上かつ0.75以下となる場合がある。円形度は、電子顕微鏡を使用して測定される粒子の投影像の周囲長に対する、その投影像の面積と等しい面積の円の周囲長の比である。平均円形度は、粒子の投影像の周囲長P及び投影面積Aから、4πA/P2で算出される。平均円形度は、セル内にキャリア液とともに粒子を流し、CCDカメラで多量の粒子の画像を撮り込み、約10000個の個々の粒子画像から、各粒子について上記の円形度(4πA/P2)を算出し、各粒子の円形度の平均値として求める。
上述したようなアルミニウム粉末としては、市販品を購入して使用することができる。アルミニウム粉末を作製するには、たとえば、厚みが比較的薄いアルミニウム製の箔を微細に裁断すること、又は、アトマイズ法等で作製されたアルミニウム製の粉体にプレス加工を施して扁平にすること等により行うことができる。なお、単にガスアトマイズ法や水アトマイズ法等のアトマイズ法で作製されたアルミニウム粉末は、実質的に球状になり、平均アスペクト比が上記の範囲外になりやすい傾向がある。但し、アルミニウム粉末は、平均アスペクト比が所定の範囲内であれば、その作製方法に限定されるものではない。
チタン粉末の平均粒径D50は、20μm以上かつ80μm以下であることが好ましい。チタン粉末の平均粒径D50は、20μm以上であれば酸素含有量の上昇を低減でき、また80μm以下であれば充填密度の低下を抑制できることが見込まれる。
また、母合金粉末の平均粒径D50は、10μm以上かつ80μm以下であることが好ましい。母合金粉末の平均粒径D50を10μm以上とすると、酸素含有量の上昇を低減できて、かつ、極端な粒径差に起因する偏在の発生を抑制できる可能性があり、また80μm以下とすれば、粗大粒子の拡散不足による局所的な成分濃化を防止できることが考えられる。
また、アルミニウム粉末は、質量基準の90%以上の粒度が、20μm以上かつ90μm以下であることが好適である。アルミニウム粉末の粒度が20μm以上である場合は、合金成分の偏在抑制効果を発現し、90μm以下である場合は、粗大粒子の拡散不足による局所的な成分濃化を抑制できると考えられる。
なお、平均粒径D50は、レーザー回折散乱法によって得られた粒度分布(体積基準)の粒子径D50(メジアン径)を意味する。また、粒度は、JIS Z8801-1:2006に規定される「金属製網ふるい」の目開きの大きさである。20μm以上かつ90μm以下の範囲内の粒度とは、20μmの目開きの篩で篩上になり、90μmの目開きの篩で篩下になるものを意味する。質量基準で90%以上が目開き20μmの篩上かつ目開き90μmの篩下となれば、「20μm以上かつ90μm以下の範囲内の粒度」であると判断する。
(モールド)
上述した原料粉末を充填するモールドは、最終的に製造しようとする圧粉体もしくは焼結体の外形に対応する形状の内部空間が設けられたものである。貫通孔等の凹部を有する圧粉体もしくは焼結体を製造する場合、モールド内への原料粉末の充填前もしくは充填後に、モールド内に、当該凹部に対応する形状の芯材ないし中子を配置することがある。モールドや芯材の形状は、圧粉体もしくは焼結体の形状に応じて適宜変更され得る。
原料粉末は、そのようなモールドの開口部から当該モールド内に、タッピング等により充填することができる。原料粉末の充填後は、モールドの開口部を塞いで、後述の冷間等方圧加圧が行われる。
この実施形態では、少なくとも母合金粉末を粉砕粉末とし、かつ、アルミニウム粉末のアスペクト比の平均値を1.38以上かつ3.00以下とすることにより、モールド内に原料粉末を充填した際に、モールド内での原料粉末中の各粉末の偏りが良好に抑制される。
ここでは、樹脂製のモールドを用いる。より具体的には、モールドは、熱可塑性樹脂製であることが好ましく、特にアクリル樹脂、エラストマーを含有するアクリル樹脂、ポリ乳酸(PLA)樹脂等で形成されたものとすることが好適である。
モールドは、所要の強度を確保して原料粉末の充填時にもその形状を維持するため、ショアD硬さが30以上かつ120以下である熱可塑性樹脂からなることが好ましく、ショアD硬さが30以上かつ85以下である熱可塑性樹脂としてもよい。ショアD硬さは、JIS K7215-1986に準拠する試験方法によって測定することができる。また同様の観点から、樹脂製のモールドの厚みは、0.5mm以上かつ2.0mm以下であるものとすることが好ましい。
樹脂製のモールドは種々の方法により作製することが可能であるが、三次元造形装置(いわゆる3Dプリンタ)を用いて作製されたものであることが好ましい。これにより、様々な形状のモールドを容易に作製することができる。三次元造形装置の造形方式は特に問わず、たとえば光造形方式、インクジェット方式、インクジェット粉末積層方式、粉末焼結積層造形方式、熱溶解積層方式又は粉末固着方式等のいずれであってもよい。
(冷間等方圧加圧)
原料粉末をモールド内に充填した後、そのモールドに対して冷間等方圧加圧(CIP)を施す。より詳細には、原料粉末を充填したモールドを、冷間等方圧加圧装置の内部に配置し、そこで、モールドの外側からモールドを等方圧で加圧することにより、モールド内の原料粉末を圧縮させることができる。冷間等方圧加圧により、モールドの成形空間の原料粉末は加圧されて締め固められ、圧粉体になる。
冷間等方圧加圧でモールドに作用させる加圧力は、たとえば300MPa以上とし、好ましくは400MPa以上、より好ましくは450MPa以上である。加圧力を300MPa以上にすれば、原料粉末が十分に圧縮され、所期したとおりの形状精度の圧粉体が得られやすくなる。なお加圧力は、たとえば600MPa以下、典型的には500MPa以下とすることがある。また、そのような加圧力での保持時間は、たとえば0.5分~30分とする場合がある。
なお、冷間等方圧加圧では、モールドは、その周囲の流体により等方圧(静水圧)で加圧される。そのため、冷間等方圧加圧によると、種々の形状のモールドを用いることができる。またここでは、樹脂製のモールドが、上記の流体による等方圧の作用に際して適切に変形するので、多様な形状の圧粉体を製造することができる。
(加熱焼結)
焼結体を製造する場合、冷間等方圧加圧の後に圧粉体を加熱し、圧粉体を構成する粒子を焼結させる工程が含まれる。それにより、焼結体を製造することができる。
この工程では、圧粉体を無加圧で、たとえば1200℃以上かつ1300℃以下の温度にて1時間以上かつ12時間以下にわたって加熱することができる。また、圧粉体に対して熱間等方圧加圧(HIP)を施し、たとえば、800℃以上かつ1000℃以下の温度にて、圧粉体に、アルゴンガス等の圧力媒体により100MPa以上かつ200MPa以下程度の等方圧を30分以上かつ150分以下にわたって作用させることもできる。
無加圧の加熱又は熱間等方圧加圧のいずれを行う場合でも、圧粉体は比較的高温に晒されることにより焼結が進行する。熱間等方圧加圧を行う場合、材料の変形抵抗が小さくなる温度域において、ガス圧を印加することにより、材料に残存するポアが潰れ、高密度化する。無加圧の加熱及び熱間等方圧加圧の両方を行うこともある。無加圧の加熱及び熱間等方圧加圧の両方を行う場合は、その順序は特に問わないが、たとえば無加圧の加熱の後に熱間等方圧加圧を行うことができる。
次に、この発明の圧粉体の製造方法及び焼結体の製造方法を試験的に実施し、その効果を確認したので、以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、これに限定されることを意図するものではない。
表1及び2に示すチタン粉末、アルミニウム粉末、並びに、アルミニウム及びバナジウムを含む母合金粉末を含む原料粉末を樹脂製のモールドに充填して、そのモールドに対して冷間等方圧加圧を施し、圧粉体を製造した。その後、圧粉体をモールドから取り出し、真空下にて無加圧で加熱した後、更に熱間等方圧加圧を行い、焼結体を製造した。
実施例1~12では、表2に示すように、表1のアルミニウム粉末のうち、平均アスペクト比が1.45であるもの(このアルミニウム粉末の形状を鱗片状と表現することがある。)を使用し、また、表1の母合金粉末のうち、粉砕粉末を使用した。比較例1~36では、平均アスペクト比が1.09であるアルミニウム粉末を使用し、及び/又は、母合金粉末としてアトマイズ粉末を使用した。つまり、比較例1~36では、アルミニウム粉末及び母合金粉末のうちの少なくとも一方を、アトマイズ粉末とした。なお、鱗片状であるアルミニウム粉末は、質量基準で90%以上のものが20μm以上かつ90μm以下の範囲内であった。
なお、上記のモールドは、厚みが1.0mm、内寸がφ20mm×120mmであって、PLA(ポリ乳酸)製、ショアD硬さが30以上かつ85以下のものとした。冷間等方圧加圧(静水圧加圧)では、490MPaの加圧力を1分にわたって作用させた。冷間等方圧加圧後にモールド内に得られる圧粉体の、原料粉末を充填した開口部側の端面をTоpとし、底部側の端面をBottomとする。その後の加熱焼結では、圧粉体を無加圧で1200℃の温度に加熱し、その温度を480分にわたって保持した。その後、更に900℃、178MPaで120分間の熱間等方圧加圧を行った。これにより、およそφ15mm×100mmの丸棒状の焼結体が得られた。
なお、いずれの実施例1~12及び比較例1~36でも、冷間等方圧加圧後の圧粉体の相対密度が88%以上になり、無加圧での加熱後の相対密度は95%以上であった。更に熱間等方圧加圧後に得られた焼結体の相対密度は100%となった。相対密度は、焼結体の密度の実測値を理論密度で除して、これを百分率で表したものである。焼結体の密度の実測値を得るに当って、焼結体の体積はアルキメデス法により求めた。理論密度は、Ti-6Al-4Vについては4.43g/cm3、Ti-3Al-2.5Vについては4.48g/cm3とした。
上記の焼結体の成分の均質性を確認するため、丸棒状の焼結体のTopから約10mmの位置であるT位置、Bottomから約10mmの位置であるB位置、及び、T位置とB位置との間の中央であるM位置の3点から、およそφ15×10mmの試料をそれぞれ切り出した。その後、それらの各試料について、丸棒状の焼結体の長手方向に直交する断面に対して樹脂埋め及び研磨を施し、蛍光X線分析(XRF)を行ってアルミニウム含有量及びバナジウム含有量を調べた。この分析では、X線照射領域は、およそφ10mmとした。そして、アルミニウム含有量及びバナジウム含有量のそれぞれについて、T位置、M位置及びB位置の3点における分析値間の最大差異及び最小差異を算出し、最大差異を最小差異で除した値を均質性指数(最大差異/最小差異)とした。その結果を表2に示す。均質性指数は値が小さいほど、均質であるといえる。なお、均質性指数は1.10以下を合格とし、1.04以下を優れると評価した。
Figure 2023079888000001
Figure 2023079888000002
表2の結果より、実施例1~12はいずれも、焼結体の均質性指数が十分に小さいことがわかる。これは、原料粉末の母合金粉末が粉砕粉末であり、かつ、アルミニウム粉末の平均アスペクト比がある程度大きかったことで、モールド充填時の原料粉末中での偏りが抑制されたことによるものと考えられる。
一方、比較例1~36では、母合金粉末が粉砕粉末ではなかったこと、及び/又は、アルミニウム粉末の平均アスペクト比が小さかったことにより、アルミニウム含有量及びバナジウム含有量のうちの少なくとも一方の均質性指数が大きくなった。
以上より、この発明によれば、Ti-Al系の圧粉体もしくは焼結体の成分のばらつきを抑制できることがわかった。

Claims (7)

  1. チタン、アルミニウム及び他の金属元素を含む圧粉体の製造方法であって、
    チタン粉末、アルミニウム粉末、並びに、アルミニウム及び前記他の金属元素を含有する母合金粉末を含む原料粉末を準備する工程と、
    前記原料粉末を樹脂製のモールド内に充填する工程と、
    前記原料粉末が充填された前記モールドに対して冷間等方圧加圧を施す工程と
    を含み、
    前記母合金粉末中の前記他の金属元素の含有量が質量基準でアルミニウムの含有量以上であり、前記母合金粉末が粉砕粉末であり、前記アルミニウム粉末のアスペクト比の平均値が1.38以上かつ3.00以下である、圧粉体の製造方法。
  2. チタン粉末が粉砕粉末である、請求項1に記載の圧粉体の製造方法。
  3. 前記原料粉末が、下記(1)~(4)からなる群から選択される少なくとも一つの条件を満たす、請求項1又は2に記載の圧粉体の製造方法。
    (1)前記チタン粉末の平均粒径D50が、20μm以上かつ80μm以下である。
    (2)前記母合金粉末の平均粒径D50が、10μm以上かつ80μm以下である。
    (3)前記アルミニウム粉末の質量基準の90%以上の粒度が、20μm以上かつ90μm以下の範囲内である。
    (4)前記アルミニウム粉末の平均円形度が0.60以上かつ0.75以下である。
  4. 前記アルミニウム粉末が、箔の裁断又は、粉体のプレス成形により作製されたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の圧粉体の製造方法。
  5. 前記モールドとして、ショアD硬さが30以上かつ120以下である熱可塑性樹脂からなるモールドを用いる、請求項1~4のいずれか一項に記載の圧粉体の製造方法。
  6. 前記モールドとして、三次元造形装置を用いて作製されたモールドを用いる、請求項1~5のいずれか一項に記載の圧粉体の製造方法。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の圧粉体の製造方法により製造された圧粉体を加熱して焼結させる工程を含む、焼結体の製造方法。
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