JP2023079302A - 鉄道軌道の異常判定方法及び異常判定システム - Google Patents

鉄道軌道の異常判定方法及び異常判定システム Download PDF

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Shuhei Konno
雅史 三和
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Abstract

【課題】車上で測定することが可能なデータを用いて、当該測定データの統計的な特徴を数値化することで、一度の測定で脱線可能性を含む異常を判定することができる異常判定方法及び異常判定システムを提供する。【解決手段】鉄道車両が走行する軌道の異常の有無を評価する異常判定方法であって、前記鉄道車両に備える測定手段を用いて2以上の車上測定データを取得するデータ取得工程と、前記車上測定データから異常度を算出する異常度算出工程と、前記異常度算出工程で算出された異常度から軌道の異常の有無を評価する評価工程と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、鉄道軌道の異常判定方法及び異常判定システムに関する。
鉄道の軌道は、鉄道車両が繰り返し走行するのに伴ってその形状に変形が生じて、軌道の設計値からの離れ、すなわち軌道変位が大きくなり、この軌道変位が一定の限界を超過すると鉄道車両の脱線を引き起こす可能性があり、脱線に至らずとも、車両動揺が増加することで乗り心地の悪化を引き起こすことが知られている。
したがって、従来、鉄道の軌道の保守管理を目的として、定期的に専用の軌道検測車等を用いて軌道変位を測定し、測定された軌道変位の大きさと予め設定した基準値等とを照合して軌道の異常を検証することによって保守が必要な軌道の地点を特定して、軌道の保守管理を精度良く且つ計画的に行うことが知られている。
しかしながら、専用の軌道検測車等を用いた軌道変位の測定は、列車通過時の荷重が載荷された状態の軌道変位、所謂動的な軌道変位を把握する観点において軌道の維持管理に適しているが、軌道検測車等は高価であるため、一部の鉄道会社しか保有することができないという実情があり、このため、より簡易且つ安価な異常判定方法として、例えば特許文献1に記載されているように、測定部が、軌道の所定の地点について、複数の測定時期の各々で、鉄道車両の走行速度、並びに前記鉄道車両が備える車体、台車、軸箱、および駆動装置のうちの何れかである車両構成要素の振動加速度を計測し、評価指標算出部が、複数の測定時期の各々について、計測された振動加速度を用いて、鉄道車両の走行に関する評価指標を算出し、解析部が、複数の測定時期の各々についての、算出された評価指標と、測定された走行速度と、測定時期とに基づいて、評価指標を目的変数とし、走行速度を量的な説明変数とし、測定時期を質的な説明変数とした関係式を用いた、多変量解析を行って、複数の測定時期の各々のカテゴリースコアを求め、軌道状態評価部が、求められた複数の測定時期の各々のカテゴリースコアの変化に基づいて、軌道の所定の地点の状態の変化を評価する異常判定方法が知られている。
このような異常判定方法によれば、鉄道車両の走行速度の変化に影響されることなく、簡易且つ安価に軌道の状態を評価可能である。
特許第6540883号公報
しかしながら、従来知られている、軌道変位の大きさとあらかじめ設定した基準値等とを照合する方法は、有効な異常の判定の方法であるものの、過去の脱線の事例を検討すると、脱線箇所で測定されていた軌道変位よりも大きな軌道変位が測定されていた箇所が同一線区内に存在していたにも関わらず、当該箇所では脱線を起こしていなかったという事例も存在することから、軌道変位の大きさは脱線可能性を適切に評価するものでは必ずしもなく、線区の安全性を向上するための保守投入の判断をより効率的に行うためにも、軌道変位等の走行する鉄道車両により測定されるデータから脱線可能性をより精度よく判断したいという課題があった。
また、特許文献1に記載された方法によると、軌道状態の推移を予測するために複数時期の測定データを必要としており、一度の測定で得られた測定データから軌道の異常度を評価することができないといった問題があった。このような問題は、定期的な軌道検測を行うことが難しい区域での軌道の異常判定を行ううえで特に大きな問題となっていた。
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、軌道検測車等を用いて測定される軌道変位又は鉄道車両から測定することが可能な振動加速度及び角加速度の車上測定データを用いて、当該測定データの統計的な特徴を数値化することで、一度の測定で脱線可能性を含む異常度を判定することができる異常判定方法及び異常判定システムを提供することを目的とする。
本発明に係る異常判定方法は、鉄道車両が走行する軌道の異常の有無を評価する異常判定方法であって、前記鉄道車両に備える測定手段を用いて2つ以上の車上測定データを取得するデータ取得工程と、前記車上測定データから異常度を算出する異常度算出工程と、前記異常度算出工程で算出された異常度から軌道の異常の有無を評価する評価工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る異常判定方法において、前記車上測定データは、軌間変位、左レール通り変位、右レール通り変位、前記左レール通り変位と前記右レール通り変位の差である通り変位左右差、左レール高低変位、右レール高低変位、水準変位及び平面性変位を含む軌道変位データ並びに、前記鉄道車両の車体、台車枠及び軸箱の上下・左右振動加速度、及び、前記車体、前記台車枠、及び前記軸箱のローリング、ピッチング及びヨーイングの少なくとも1つの角加速度を含む加速度データのうち、少なくとも2つ以上のデータを含むと好適である。
また、本発明に係る異常判定方法において、前記データ取得工程で得られた前記車上測定データを異常判定に適したデータに事前に処理する信号処理工程を備えると好適である。
また、本発明に係る異常判定方法において、前記信号処理工程は、不要な波長あるいは周波数成分を除去する、又は、測定波形に軌道検測特性の逆数を掛けて復元波形を生成する波形フィルタリング処理を含むと好適である。
また、本発明に係る異常判定方法において、前記信号処理工程は、サンプリング間隔を調整する間隔調整処理を含むと好適である。
また、本発明に係る異常判定方法において、前記信号処理工程は、標準化処理を含むと好適である。
また、本発明に係る異常判定方法において、前記データ取得工程で得られた前記車上測定データを用いて分布図を作成する分布図作成工程を備えると好適である。
また、本発明に係る異常判定方法において、前記異常度算出工程は、前記車上測定データの異常の程度をマハラノビスの距離又は分布図上の45度線からのユークリッド距離を算出すると好適である。
また、本発明に係る軌道の異常判定システムは、鉄道車両が走行する軌道の異常の有無を評価する異常判定システムであって、前記鉄道車両に備えると共に、2つ以上の車上測定データを取得する測定手段と、前記車上測定データを異常判定に適したデータに事前に処理する信号処理手段と、前記車上測定データを用いて分布図を作成する分布図作成手段と、前記車上測定データから異常度を算出する異常度算出手段と、前記異常度算出手段で算出された異常度から軌道の異常の有無を評価する評価手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る異常判定方法及び異常判定システムは、鉄道車両に備える測定手段を用いて2つ以上の車上測定データを取得し、当該車上測定データを必要に応じて信号処理したうえで取得した車上測定データを用いて必要に応じて分布図を作成すると共に当該車上測定データから異常度を算出してこの異常度から軌道の異常の有無を評価するので、車上測定データから脱線可能性を判断できる指標を生成でき、複数時期の測定データを必要とせず、1時期の測定データのみから異常判定を行うことができる。
本発明の実施形態に係る異常判定システムによって測定される軌道の概要を示す図。 本発明の実施形態に係る異常判定システムで用いられる通り変位左右差を説明するための図。 本発明の実施形態に係る異常判定システムのフロー図。 本発明の実施形態に係る異常判定システムで測定された車上測定データを示す図。 本発明の実施形態に係る異常判定システムで作成される分布図の一例を示す図。 本発明の実施形態に係る異常判定システムで作成された分布図上の距離尺度を算出したグラフ。 本発明の実施形態に係る異常判定システムで作成された距離尺度から異常度を算出したグラフ。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係る異常判定システムによって測定される軌道の概要を示す図であり、図2は、本発明の実施形態に係る異常判定システムで用いられる通り変位左右差を説明するための図であり、図3は、本発明の実施形態に係る異常判定システムのフロー図であり、図4は、本発明の実施形態に係る異常判定システムで測定された車上測定データを示す図であり、図5は、本発明の実施形態に係る異常判定システムで作成される分布図の一例を示す図であり、図6は、本発明の実施形態に係る異常判定システムで作成された分布図上の距離尺度を算出したグラフであり、図7は、本発明の実施形態に係る異常判定システムで作成された距離尺度から異常度を算出したグラフである。
図1に示すように、本実施形態に係る異常判定システムは、軌道2上を走行する鉄道車両1に搭載される測定手段11によって検測される車上測定データを用いる。車上測定データは、軌道2の軌道変位データとして、軌間変位、左レール通り変位、右レール通り変位、通り変位左右差が好適に用いられ、また、加速度データとして、鉄道車両1の車体、台車枠、軸箱の上下・左右振動加速度、ローリング、ピッチング及びヨーイングの少なくとも1つの角加速度を用いると好適である。
ここで、通り変位左右差とは、左レールの通り変位と右レールの通り変位の通り変位の差をいい、軌間内に鉄道車両の車輪が脱線する軌間内脱線の予防に影響が大きいことが発明者らの検討によって明らかとなった値である。一般的にレールとまくらぎの締結状況が良好な軌道状態では、左右2本のレールは締結部を介してまくらぎに固定されていることから、左右2本のレールの軌間内面の最短距離である軌間変位は設計値と等しく、さらにレール長手方向の左右変位である通り変位はまくらぎの左右変位と等しくなるため、左右レールの通り変位は高い相関関係となる。これに対し、図2に示すように、レール2a、2bとまくらぎ3の締結に不良が生じると、列車通過時に左右のレール2a、2bが押し拡げられやすくなるため、軌間拡大による脱線の可能性が大きくなるのに合わせて、左右のレール2a、2bが独立して横に変位して、左右レールの通り変位の差、すなわち通り変位左右差の値に変動が生じやすくなることが明らかとなった。このように、通り変位左右差は、軌道の保守管理において一般的に用いられてきた値ではないが、締結の連続的な不良状態の検知を可能とし、これによって脱線の可能性を判定することが可能となるため、本実施形態における軌道変位項目として用いると好適である。
なお、これらの通り変位は、軌道の保守管理で一般的に扱われる10m弦正矢法による波形の他、復元波形を用いても構わない。10m弦正矢波形は、レールの長さ方向の10m離れた2点間に張った弦の中央とレールとの距離によって測定され、軌道の原形状波形に含まれる波長成分に応じた検測特性を原形状波形に掛け合わせた波形となる。復元波形は、正矢法等の測定波形に軌道検測特性の逆数を掛けることで算出される、特定の波長帯域における軌道の測量形状の近似波形である。本実施形態における異常判定システムでは、10m弦正矢波形から、波長6~20mで復元した復元波形を用いると好適である。この復元波形処理によって10m弦正矢波形を軌道の原形状に近い波形に変換することができる。
なお、異常判定に用いる正矢波形は10m弦正矢波形に限らず、5m弦正矢波形を用いてもよい。また、これらの正矢波形は、その波形に短波長成分や長波長成分を除去するフィルタリング処理を施した波形を用いても良い。また、復元波形の復元帯域の波長は、6~20mに限らず、その他の波長を用いても構わない。
また、これらの軌道変位データの測定方法は、従来周知の軌道検測と同様の方法によって測定を行うため、測定手段11については詳細な説明を省略するが、軌道変位データは、複数の変位センサを備え、正矢法や偏心矢法等に代表される差分法、あるいは慣性正矢法又は慣性矢法等を用いて検測すると好適である。振動加速度データや角加速度データは、鉄道車両の車体、台車枠、軸箱に取り付けた加速度センサやジャイロセンサを用いて測定されたデータをそのまま用いても構わないし、加速度センサやジャイロセンサと同時に測定される鉄道車両の走行速度又は加速度センサやジャイロセンサの移動速度に関するデータによって、距離に関する情報を含むように予めリサンプリングしたデータを用いても構わない。なお、測定方法は、前述した軌道変位や振動加速度、角加速度データを同時に測定できるように構成しても構わないし、前述した軌道変位や振動加速度、角加速度データ以外の例えば、レール凹凸や音といった項目を同時に測定できるように構成しても構わない。また、当該測定方法から得られる測定データは、距離サンプリングしても良いし、時間サンプリングしても構わない。
次に、図3から7を参照して本実施形態に係る異常判定システムを用いた異常判定方法の説明を行う。図3に示すように、本実施形態に係る異常判定システムは、鉄道車両1に備える測定手段11を用いて2つ以上の車上測定データである波形データを取得するデータ取得工程(S101)と、データ取得工程(S101)で得られた車上測定データを信号処理する信号処理工程(S102)と、取得した車上測定データを用いて分布図を作成する分布図作成工程(S103)と、取得した車上測定データから異常度を算出する異常度算出工程(S104)と、異常度算出工程(S104)で算出された異常度から軌道の異常の有無を評価する評価工程(S105)と、を備える。
このような異常判定システムは、信号処理工程(S102)、分布図作成工程(S103)、異常度算出工程(S104)及び評価工程(S105)として機能する処理プログラムを実行する処理装置を用いると好適であり、処理装置は、当該処理プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)などの演算装置と、処理プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、CPUの処理に必要なデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを備えている。また、処理装置は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置、CRT(Cathode-Ray-Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プリンタなどの出力装置、通信インタフェイスなどを備えると好適である。
このような処理装置は、計算機内に構築されたコンピュータシステムであると好適であり、このような計算機は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ、タブレットコンピュータなどが好適に用いられ、記憶装置に記録されたアプリケーションソフトなどのプログラムに従って動作する計算機であれば種々の計算機を用いることができ、単独の計算機であってもよいし、複数台の計算機をネットワークなどで通信可能に接続したコンピュータ群を用いても構わない。
次に、本実施形態に係る異常判定システムの動作について説明を行う。なお、以下の説明において、車上測定データとして「左レール通り変位-右レール通り変位」及び「軌間変位-通り変位左右差」の多次元分布による分析の方法について説明を行う。
データ取得工程(S101)は、図4に示すように、鉄道車両1に設けた測定手段11によって、軌道2の延設方向に沿って車上測定データを測定する。本実施形態に係る異常判定システムにおいては、左レール通り変位、右レール通り変位、軌間変位及び通り変位左右差の各データを測定する場合について説明を行う。
信号処理工程(S102)は、測定された車上測定データの前処理を行う。具体的には、波形フィルタリング処理、サンプリング間隔の調整及びデータの標準化・データグループの決定を行う。
波形フィルタリング処理は、各データに対して、想定する異常を抽出するために適切な波形フィルタリング処理を行うもので、軌道変位データに関しては、線路の線形成分を除去するためのハイパスフィルタや、異常抽出に不要な短波成分を除去するためのローパスフィルタ、さらには、ハイパスフィルタとローパスフィルタを組み合わせたバンドパスフィルタ等の、測定波形に対するフィルタ処理を行うと好適である。また、これらの処理には移動平均処理を適用しても構わない。
また、通り変位を用いる場合は、上述した復元波形を生成する波形フィルタリング処理を用いても構わないし、波形フィルタリング処理を行うことなく、10m弦正矢波形をそのまま用いても構わない。
また、上記波形フィルタリング処理をした各データに対して加減乗除等して得られるデータを用いても構わない。
サンプリング間隔の調整は、入力データである車上測定データに対して、想定する異常を抽出するのに適したサンプリング間隔に調整する。一般的には、軌道変位データのサンプリング間隔は0.25mであるが、本発明者らの検討によって、脱線の可能性を抽出するには、サンプリング間隔を1.0mとすると好適であることが判明している。なお、サンプリング間隔は抽出する異常に応じて適宜変更することも可能であり、間引き処理や代表値処理を行っても構わない。さらに、サンプリング間隔の調整を行わなくとも構わない。
データの標準化・データグループの決定は、あるデータをデータの平均と標準偏差を用いて変換することをいい、具体的には、データ(x1,x2,…,xn)を、データの平均m及び標準偏差sを用いて、zi=(xi-m)/sのように変換する。また、データの平均、標準偏差を算出するデータのグループの決定方法として、(1)曲線別にデータを分割して1曲線1グループとする方法、(2)注目する1側点に対してその手前又は前後の所定の距離の区間を1つのグループとする方法、(3)曲線半径等の曲線諸元やまくらぎ種類・レール種類等の軌道構造において、近い曲線諸元や軌道構造をもつ区間のデータ同士を合わせて1つのグループとする方法、(4)全データをそのまま1つのグループとする方法などを適宜採用することが可能である。
分布図作成工程(S103)は、信号処理工程(S102)で前処理した波形データを多次元分布と捉えて分布図を作成する。分布図は、2つ以上の車上測定データから、信号処理工程(S102)で決定されたグループごとに作成される。本実施形態における異常判定システムでは、データグループを注目する点の前後50m区間として作成した。また、本実施形態に係る異常判定システムでは、図5(a)及び(b)に示すように、「左レール通り変位-右レール通り変位」及び「軌間変位-通り変位左右差」の2次元分布による分析が異常検知に有効な組み合わせであることが判明しているため、これらの車上測定データの多次元分布を用いると好適である。
また、2次元分布に限らず、3次元以上の分布を用いても構わない。例えば、「軌間変位-左レール通り変位-右レール通り変位」の3次元分布を用いる場合、左レール通り変位及び右レール通り変位の分布が成す平面から直線上への射影によって通り変位左右差を表すことが可能であるので、「左レール通り変位-右レール通り変位」及び「軌間変位-通り変位左右差」の2つの2次元分布を同時に表現することが可能となる。
異常度算出工程(S104)は、信号処理工程(S102)で前処理した2つ以上の波形データから脱線可能性を表す異常度を算出する。具体的には、車上測定データである波形データを多次元分布と捉えて、各測点のデータグループ全体からの外れ度合いを異常度として算出する。この外れ度合いの算出方法は、簡便な方法として、マハラノビスの距離や分布図上の45度線からのユークリッド距離などの距離尺度を用いると好適である。
マハラノビスの距離は、多変量空間における距離尺度の一つであり、2次元以上の多変量データに対する異常の程度の定量的な評価方法として知られる評価方法であり、マハラノビスの距離の2乗によって2次元上の標本点を評価するものである。標準化されたn次元データにおける標本点x=(x1,x2,…,xn)のマハラノビスの距離Dは、標本点xがn次元ベクトル(x1,x2,…,xn)で表されるとき、標本点xの属する多変量分布の共分散行列の逆行列Σ-1により、
Figure 2023079302000002
と定義される。したがって、標準化データの共分散は相関係数と等価であることを利用すると、標準化された2次元データ(x1,x2)のマハラノビスの距離Dは、相関係数rを用いて、
Figure 2023079302000003
と表せる。マハラノビスの距離Dは、散布図上の標本点に対して、データ間の相関、つまりは類似度を考慮して相関のある方向には近くに(異常の程度を小さく)、そうでない方向には遠くに(異常の程度を大きく)評価する。
また、マハラノビスの距離の2乗(D)は、データがn次元正規分布と仮定したとき、自由度nのx分布に従う性質をもつので、Dからデータが多元正規分布に従うと仮定した場合において、標本点の確率分布を解析的に表現できる。
分布図上の45度線からの距離は、n次元空間上の原点と点(1,1,…,1)を結ぶ直線から標本点までのユークリッド距離である。2次元データ(x1,x2)の場合は、
Figure 2023079302000004
の2乗により、2次元分布上の標本点を評価する。n次元データ(x1,x2,…,xn)の場合は、これを一般化して、
Figure 2023079302000005
の2乗により、n次元分布上の標本点を評価する。図5(b)に示すような外に大回りするような特徴に対して、高い感度を有するという特徴がある。
図6に示すように、分布図作成工程(S103)で作成した分布図からそれぞれ距離尺度を算出できる。(a)は、「左レール通り変位-右レール通り変位」の分布図から距離尺度を算出した例であり、(b)は、「軌間変位-通り変位左右差」の分布図から距離尺度を算出した例である。
このように、図6に示す距離尺度は、既に異常度を十分に表しているものの、脱線事故が発生する事故発生箇所のようなまくらぎの連続不良が発生している箇所においては、これらの尺度がともに大きくなることを想定すると、さらに2つの尺度の積によって最終的な異常度を算出することが望ましい。そこで、異常度算出工程(S104)では、図7に示すように、各分布図から距離尺度を算出した後、これらの距離尺度から総合的な異常度を算出している。
評価工程(S105)は、異常度算出工程(S104)で算出した異常度から異常が発生している箇所を抽出する。具体的には、図7に示すようなピーク値を示す箇所を抽出して特定する。このように、本実施形態に係る異常判定システムによれば、鉄道車両の車上で測定した車上測定データから脱線可能性を判断できる指標を作成することができ、従来のように、複数時期の測定データを必要とせず、1時期の測定データのみから異常判定を行うことが可能となる。
なお、上述した本実施形態に係る異常判定システムは、車上測定データのうち、「左レール通り変位-右レール通り変位」及び「軌間変位-通り変位左右差」を用いて多次元分布による分析の方法について説明を行ったが、異常判定システムに用いるデータはこれに限らず、例えば、左右レールの通り変位、左右レールの高低変位、軌間変位、水準変位及び平面性変位等の軌道変位データ、前記軌道変位データを加減乗除等して得られる軌道変位データ、及び鉄道車両の車体、台車枠、軸箱の上下・左右振動加速度、並びにローリング、ピッチング及びヨーイングの少なくとも1つの角加速度等のデータを用いても構わない。このように、本実施形態に係る軌道の異常検知システムに種々の変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 鉄道車両, 2 軌道, 11 測定手段。

Claims (9)

  1. 鉄道車両が走行する軌道の異常の有無を評価する異常判定方法であって、
    前記鉄道車両に備える測定手段を用いて2つ以上の車上測定データを取得するデータ取得工程と、
    前記車上測定データから異常度を算出する異常度算出工程と、
    前記異常度算出工程で算出された異常度から軌道の異常の有無を評価する評価工程と、を備えることを特徴とする異常判定方法。
  2. 請求項1に記載の異常判定方法において、
    前記車上測定データは、軌間変位、左レール通り変位、右レール通り変位、前記左レール通り変位と前記右レール通り変位の差である通り変位左右差、左レール高低変位、右レール高低変位、水準変位及び平面性変位を含む軌道変位データ並びに、前記鉄道車両の車体、台車枠及び軸箱の上下・左右振動加速度、及び、前記車体、前記台車枠、及び前記軸箱のローリング、ピッチング及びヨーイングの少なくとも1つの角加速度を含む加速度データのうち、少なくとも2つ以上のデータを含むことを特徴とする異常判定方法。
  3. 請求項1又は2に記載の異常判定方法において、
    前記データ取得工程で得られた前記車上測定データを異常判定に適したデータに事前に処理する信号処理工程を備えることを特徴とする異常判定方法。
  4. 請求項3に記載の異常判定方法において、
    前記信号処理工程は、不要な波長あるいは周波数成分を除去する、又は、測定波形に軌道検測特性の逆数を掛けて復元波形を生成する波形フィルタリング処理を含むことを特徴とする異常判定方法。
  5. 請求項3に記載の異常判定方法において、
    前記信号処理工程は、サンプリング間隔を調整する間隔調整処理を含むことを特徴とする異常判定方法。
  6. 請求項3に記載の異常判定方法において、
    前記信号処理工程は、標準化処理を含むことを特徴とする異常判定方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の異常判定方法において、
    前記データ取得工程で得られた前記車上測定データを用いて分布図を作成する分布図作成工程を備えることを特徴とする異常判定方法。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の異常判定方法において、
    前記異常度算出工程は、前記車上測定データの異常の程度をマハラノビスの距離又は分布図上の45度線からのユークリッド距離を算出することを特徴とする異常判定方法。
  9. 鉄道車両が走行する軌道の異常の有無を評価する異常判定システムであって、
    前記鉄道車両に備えると共に、2つ以上の車上測定データを取得する測定手段と、
    前記車上測定データを異常判定に適したデータに事前に処理する信号処理手段と、
    前記車上測定データを用いて分布図を作成する分布図作成手段と、
    前記車上測定データから異常度を算出する異常度算出手段と、
    前記異常度算出手段で算出された異常度から軌道の異常の有無を評価する評価手段と、を備えることを特徴とする異常判定システム。
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