JP2023066760A - マスクブランク用基板、多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、反射型マスク及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

マスクブランク用基板、多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、反射型マスク及び半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】内部に不均一部を有しながらも要求されるマスクブランク用基板としての特性を満たし、製造歩留まりの向上に寄与することができるマスクブランク用基板を提供する。【解決手段】対向する2つの主表面を備え、SiO2とTiO2を含有するガラス材料からなり、一方の主表面に第1領域を有し、第1領域は、一方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ一方の主表面から他方の主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、第1領域を除く基板の内部領域に局所的な不均一部を有し、不均一部のSi含有率に対するTi含有率の比(Ti/Si)は、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siとの間の差が0.25%以上であり、第1領域および前記不均一部を除いた基板の内部領域におけるTi含有率のばらつきは、0.06質量%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体デバイスの製造などに使用される露光用マスクを製造するために好適に使用されるマスクブランク用基板、多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、反射型マスク及び半導体デバイスの製造方法に関する。
半導体デバイスの製造における露光装置は、光源の波長を徐々に短くしながら進化してきている。より微細なパターン転写を実現するため、波長が13.5nm近傍の極端紫外線(EUV:Extreme Ultra Violet。以下、EUV光という場合がある。)を用いたEUVリソグラフィが開発されている。EUVリソグラフィでは、EUV光に対して透明な材料が少ないことから、反射型マスクが用いられる。
このようなEUVリソグラフィ用の反射型マスクおよびこれを作製するための反射型マスクブランクに好適に使用される基板としては、EUV光照射の下においても歪みが生じないよう低熱膨張の材料が必要とされ、低熱膨張ガラスが検討されている。
特許文献1には、このような基板の材料として、ガラス形成原料を火炎加水分解させて製造されるTiOを含有するシリカガラス(TiO-SiOガラス)であって、TiO濃度が1~12質量%のシリカガラスであり、かつ、TiO濃度の最大値と最小値との差が、少なくとも一つの面内における30mm×30mmの範囲で0.06質量%以下であることを特徴とするTiOを含有するシリカガラスが記載されている。
特許第5716730号公報
一般に、低熱膨張ガラスの硝材の製造において、内部に組成(例えば、TiO濃度)が局所的に不均一な部分が存在しない硝材を製造することは困難である。
硝材からマスクブランク用基板の形状に切り出し、そのマスクブランク用基板の主表面等を研磨した後、目視検査を行っている。この目視検査によって、局所的な組成不均一部のある基板を不合格品として除くことが行われている。しかし、局所的な組成不均一部が存在しない硝材を製造することは上述のように困難であるため、その歩留まりが低く問題となっていた。
そこで、本発明は、内部に不均一部を有しながらも要求されるマスクブランク用基板としての特性を満たし、製造歩留まりの向上に寄与することができるマスクブランク用基板、多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、反射型マスク及び半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
対向する2つの主表面を備えるマスクブランク用基板であって、
前記基板は、SiOとTiOを含有するガラス材料からなり、
前記基板の一方の主表面に第1領域を有し、
前記第1領域は、前記一方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記一方の主表面から他方の前記主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
前記第1領域を除く前記基板の内部領域に局所的な不均一部を有し、
前記不均一部のSi含有率に対するTi含有率の比(Ti/Si)は、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siとの間の差が0.25%以上であり、
前記第1領域および前記不均一部を除いた基板の内部領域におけるTi含有率のばらつきは、0.06質量%以下である
ことを特徴とするマスクブランク用基板。
(構成2)
前記基板の前記他方の主表面側に第2領域を有し、
前記第2領域は、前記他方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記他方の主表面から前記一方の主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
前記第2領域内に前記不均一部を有する
ことを特徴とする構成1記載のマスクブランク用基板。
(構成3)
前記不均一部を除く前記基板のTi含有率は、3質量%以上であることを特徴とする構成1または2に記載のマスクブランク用基板。
(構成4)
前記不均一部のTi/Siは、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siよりも小さいことを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のマスクブランク用基板。
(構成5)
対向する2つの主表面を有する基板と、前記基板の一方の主表面上に設けられた多層反射膜とを備える多層反射膜付き基板であって、
前記基板は、SiOとTiOを含有するガラス材料からなり、
前記基板の前記一方の主表面側に第1領域を有し、
前記第1領域は、前記一方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記一方の主表面から他方の前記主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
前記第1領域を除く前記基板の内部領域に局所的な不均一部を有し、
前記不均一部のSi含有率に対するTi含有率の比(Ti/Si)は、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siとの間の差が0.25%以上であり、
前記第1領域および前記不均一部を除いた基板の内部領域におけるTi含有率のばらつきは、0.06質量%以下である
ことを特徴とする多層反射膜付き基板。
(構成6)
前記基板の前記他方の主表面側に第2領域を有し、
前記第2領域は、前記他方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記他方の主表面から前記一方の主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
前記第2領域内に前記不均一部を有する
ことを特徴とする構成5記載の多層反射膜付き基板。
(構成7)
前記不均一部を除く前記基板のTi含有率は、3質量%以上であることを特徴とする構成5または6に記載の多層反射膜付き基板。
(構成8)
前記不均一部のTi/Siは、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siよりも小さいことを特徴とする構成5から7のいずれかに記載の多層反射膜付き基板。
(構成9)
対向する2つの主表面を有する基板と、前記基板の一方の主表面上に設けられた多層反射膜と、前記多層反射膜上に設けられたパターン形成用の薄膜とを備える反射型マスクブランクであって、
前記基板は、SiOとTiOを含有するガラス材料からなり、
前記基板の前記一方の主表面側に第1領域を有し、
前記第1領域は、前記一方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記一方の主表面から他方の前記主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
前記第1領域を除く前記基板の内部領域に局所的な不均一部を有し、
前記不均一部のSi含有率に対するTi含有率の比(Ti/Si)は、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siとの間の差が0.25%以上であり、
前記第1領域および前記不均一部を除いた基板の内部領域におけるTi含有率ばらつきは、0.06質量%以下である
ことを特徴とする反射型マスクブランク。
(構成10)
前記基板の前記他方の主表面側に第2領域を有し、
前記第2領域は、前記他方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記他方の主表面から前記一方の主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
前記第2領域内に前記不均一部を有する
ことを特徴とする構成9記載の反射型マスクブランク。
(構成11)
前記不均一部を除く前記基板のTiO濃度は、3質量%以上であることを特徴とする構成9または10に記載の反射型マスクブランク。
(構成12)
前記不均一部のTi/Siは、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siよりも小さいことを特徴とする構成9から11のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
(構成13)
対向する2つの主表面を有する基板と、前記基板の一方の主表面上に設けられた多層反射膜と、前記多層反射膜上に設けられ、転写パターンを有する薄膜とを備える反射型マスクであって、
前記基板は、SiOとTiOを含有するガラス材料からなり、
前記基板の前記一方の主表面側に第1領域を有し、
前記第1領域は、前記一方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記一方の主表面から他方の前記主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
前記第1領域を除く前記基板の内部領域に局所的な不均一部を有し、
前記不均一部のSi含有率に対するTi含有率の比(Ti/Si)は、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siとの間の差が0.25%以上であり、
前記第1領域および前記不均一部を除いた基板の内部領域におけるTi含有率のばらつきは、0.06質量%以下である
ことを特徴とする反射型マスク。
(構成14)
前記基板の前記他方の主表面側に第2領域を有し、
前記第2領域は、前記他方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記他方の主表面から前記一方の主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
前記第2領域内に前記不均一部を有する
ことを特徴とする構成13記載の反射型マスク。
(構成15)
前記不均一部を除く前記基板のTi含有率は、3質量%以上であることを特徴とする構成13または14に記載の反射型マスク。
(構成16)
前記不均一部のTi/Siは、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siよりも小さいことを特徴とする構成13から15のいずれかに記載の反射型マスク。
(構成17)
構成13から15のいずれかに記載の反射型マスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に前記転写パターンを露光転写することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
本発明によれば、内部に不均一部を有しながらも要求されるマスクブランク用基板としての特性を満たし、製造歩留まりの向上に寄与することができるマスクブランク用基板、多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、反射型マスク及び半導体デバイスの製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態のマスクブランク用基板の要部断面模式図である。 本発明の実施形態のマスクブランク用基板、多層反射膜基板、反射型マスクブランクの要部断面模式図であり、反射型マスクブランクから反射型マスクを作製する工程を要部断面模式図で示した工程図である。 有限要素法に用いられるモデル基板の説明図である。 モデル基板内の所定深さ毎における、モデル不均一部の横方向の位置(X位置)と、そのX位置におけるモデル基板上端での変位との関係を示すグラフである。 モデル基板内における材料毎の、モデル不均一部の横方向の位置(X位置)と、そのX位置におけるモデル基板上端での変位との関係を示すグラフである。 基板中における不均一部を撮影した写真である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、まず本発明に至った経緯について説明する。
例えば、ArF用転写用マスクに用いられる合成石英ガラス基板の場合、内部に局所的な組成不均一部が存在すると、露光転写時に露光光がその組成不均一部を透過するときに光量が減衰してしまう。このため、この合成石英ガラス基板の場合、内部に局所的な組成不均一部が存在することは許容されない。
これに対し、EUV用反射型マスクに用いられる低熱膨張ガラス基板の場合、反射型マスクでは、低熱膨張ガラス基板内にEUV露光光を透過させることはない。この観点では、低熱膨張ガラス基板の内部に局所的な組成不均一部が存在しても問題はない。
しかしながら、EUV用反射型マスクの場合、反射型マスクに使用される基板の熱膨張係数は非常に小さいことが要求される。その理由は、EUV光が反射型マスクに照射された際、基板や多層反射膜などにEUV光が照射され吸収されることで発熱し、基板が熱膨張することで、多層反射膜上の転写パターン(吸収体パターン)の位置が移動することを抑制する必要があるためである。低熱膨張ガラス基板の内部に局所的な組成不均一部が存在することによる多層反射膜上の吸収体パターンの位置ずれへの影響について、有限要素法を用いたシミュレーションで検証を行った。
これについて、図3を用いて説明する。図3は、有限要素法に用いられるモデル基板の説明図である。同図に示すように、このモデル基板1’(以下、単に「基板1’」のように表記)の厚さtを6.35mmとし、横方向(X方向)の長さLを60mmとした。この基板1’のサイズは、6025サイズのマスクの有効範囲の基板の約半分を想定したものである。この基板1’について、X方向の右端と、Y方向の下端とをそれぞれ拘束した状況を想定した。そして、露光条件を考慮し、基板1’の上端温度を20℃、下端温度を10℃とした。この基板1’内に存在するモデル不均一部18’(以下、単に「不均一部18’」のように表記)のサイズを幅50μm×高さ50μmとし、この不均一部18’の線膨張係数CTE(Cofficient of Thermal Expansion)を、6.5×10-7/℃(合成石英ガラス相当、すなわち、SiO濃度が高い部分に相当)とした。また、この基板1’の線膨張係数CTEについては、Corning社における低熱膨張ガラス(ULE(登録商標) 7973 Low Expansion Glass)のカタログに準拠したものとした。この条件の元で、不均一部18’の深さdや横方向X位置を設定して(図3においては、深さd=t/2、横方向X位置=L/2)、基板1’の上端のX変位(露光時におけるパターンの変位に対応)を有限要素法によって解析した。そして、不均一部18’の深さdの値、および横方向X位置の値を変更したものについても、この基板1’の上端のX変位をそれぞれ解析した。その解析結果を図4、図5を用いて説明する。
図4は、モデル基板内の所定深さ毎における、モデル不均一部の横方向の位置(X位置)と、そのX位置におけるモデル基板上端での変位との関係を示すグラフである。図4における基板1’には、基板1’上端から深さ0.5mm、深さ3.75mm、深さ5.85mmのいずれかに不均一部18’が位置している。そして、図4では、不均一部18’の横方向の位置(X位置)を横軸に、不均一部18’のX位置における基板1’上端での変位(X変位)を縦軸に示している。同図に示されるように、このX変位の値は、pmのオーダーであり、極めて小さい値であることが分かった。
また、図5は、モデル基板内における材料毎の、モデル不均一部の横方向の位置(X位置)と、そのX位置におけるモデル基板上端での変位との関係を示すグラフである。図5における基板1’には、内部の不均一部18’として、合成石英ガラス相当(SiO濃度(Si含有率)が高い部分に相当)のものと、SUS(ステンレス)相当(TiO濃度(Ti含有率)が高い部分に相当)のものを想定している。また、不均一部18’のサイズは、図4と同様の幅50μm×高さ50μmとし、深さdを0.5mmとした。そして、図5においても、不均一部18’の横方向の位置(X位置)を横軸に、不均一部18’のX位置における基板1’上端での変位(X変位)を縦軸に示している。同図に示されるように、このX変位の値も、pmのオーダーであり、極めて小さい値であることが分かった。
これらの解析結果から把握されるように、基板内部に局所的な組成不均一部が存在することによる吸収体パターンの位置ずれに与える影響は軽微であることが判明した。
一方、基板主表面の近傍(好ましくは、500μm以内の深さの領域)に局所的な組成不均一部が存在する場合、その主表面に比較的微小な凸欠陥や凹欠陥が発生しやすいことが判明した。この凸欠陥や凹欠陥が発生する原因が、組成不均一部が存在することにあることも判明した。基板の主表面の近傍にTiO濃度(Ti含有率)が低い(すなわち、SiO濃度(Si含有率)が高い)組成不均一部が存在する場合、基板の主表面を研磨するときに組成不均一部がそれ以外の部分よりも研磨レートが遅くなる傾向があり、この研磨レート差により、研磨後の基板の主表面に凸欠陥が発生するものと推測される。また、基板の主表面の近傍にTiO濃度(Ti含有率)が高い(すなわち、SiO濃度(Si含有率)が低い)組成不均一部が存在する場合、基板の主表面を洗浄する際のフッ酸等の洗浄液に対する耐性に差が生じやすく、組成不均一部が優先的に溶解して凹欠陥が発生するものと推測される。
さらに、多層反射膜が形成される側の基板の主表面にこれらの凹欠陥や凸欠陥が存在すると、多層反射膜の形成に与える悪影響が大きいため、これらの凹欠陥や凸欠陥が存在しないことが望まれる。これに対し、基板の静電チャックされる導電膜が形成される側の主表面にこれらの凹欠陥や凸欠陥が存在しても、導電膜の形成に与える影響は小さい。
これらの鋭意研究の結果から、本発明者らは、多層反射膜が形成される側の基板の主表面の近傍には局所的な組成不均一部の存在は許容できないが、それ以外の基板の内部領域には局所的な組成不均一部の存在を許容しても、反射型マスクブランク用の基板として十分な特性を得られるという結論に至った。
基板の目視検査や従来の検査装置では、基板に組成不均一部が存在することは判別できるが、基板の主表面からのどの程度の深さにその組成不均一部が存在するかまでは判別できない。本発明者らは、この問題について鋭意研究を行った。本発明者らは、低熱膨張ガラス基板には一般にTiOを含有されるため、DUV光を照射すると蛍光を発すること、また、基板主表面に対してDUV光を照射した領域の全体で蛍光を発することに着目した。基板の主表面の近傍に局所的にTiO濃度(Ti含有率)が低い部分が存在すると、その部分だけ蛍光の光量が低いか、あるいは蛍光を発しない。逆に、基板の主表面の近傍に局所的にTiO濃度(Ti含有率)が高い部分が存在すると、その部分だけ蛍光の光量が高くなる。また、基板主表面に対して照射されたDUV光は、基板の表層(主表面の近傍)でTiO(Ti)によって蛍光に変換されてしまい、基板の内部にはほとんど到達しない。これらの点につき、図6を用いて説明する。図6は、基板の主表面の近傍における不均一部を撮影した写真である。この写真は、波長266nmのDUV光を照射したときの基板の断面を撮影したものである。同図に示されるように、基板1の主表面の近傍(表層付近)において、暗色の不均一部18の存在が確認できた。なお、同図においては、TiO濃度(Ti含有率)が低い箇所についての不均一部が示されているが、TiO濃度(Ti含有率)が高い箇所についても不均一部も同様に確認することができる(この場合の不均一部は、基板の主表面の近傍における周囲に対してより明るく表示される)。
これらの鋭意研究の結果から、基板の主表面に対してDUV光を照射することで、基板の表層(主表面の近傍)にTiO濃度(Ti含有率)が低いか、あるいは高い不均一部の存在を判別することができるという結論に至った。
本発明は、以上のような鋭意検討の結果、なされたものである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。なお、図中、同一または相当する部分には同一の符号を付してその説明を簡略化ないし省略することがある。
<マスクブランク用基板1>
マスクブランク用基板1(又は、単に基板1と称す場合がある。)は、矩形状の板状体であり、2つの対向する主表面11、12と、端面19とを有する。2つの対向主表面11、12は、この板状体の上面及び下面であり、互いに対向するように形成されている。また、2つの対向主表面11、12の少なくとも一方は、多層反射膜やパターン形成用の薄膜が形成されるべき主表面11(一方の主表面、という場合がある)である。また、多層反射膜やパターン形成用の薄膜が形成されるべき主表面11とは反対側の主表面12を、裏面(または、他方の主表面)という場合がある。
基板1は、EUV光による基板1や多層反射膜2などへの露光時の発熱による吸収体パターン4a(図2参照)の位置ずれを防止するため、0±5ppb/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましく用いられる。この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、例えば、SiO-TiO系ガラス、ハロゲン(フッ素(F)や塩素(Cl))が含有されたSiO-TiO系ガラス、TiO以外の酸化物(例えば、B、Pなど)が含有されたSiO-TiOガラス等を用いることができる。
マスクブランク用基板1は、6025サイズ(152.4mm×152.4mm×6.35mm)のものが好ましく用いられる。そして、この基板1は、一方の主表面11に第1領域15を有している。
第1領域15は、一方の主表面11における中央部を含む132mm×104mm(パターン形成領域)13の四角形Aの内側の領域(主表面11において四角形Aの外側の領域を除いた領域)であり、かつ一方の主表面11から他方の主表面12に向かって500μmの深さd1の位置までにわたる領域である。なお、この深さd1は、250μmであるとより好ましい。
マスクブランク用基板1は、第1領域15を除く内部領域17に局所的な不均一部18を有している。この不均一部18のSi含有率に対するTi含有率の比(Ti/Si)は、不均一部18を除いた内部領域17のTi/Siとの間の差が0.25%以上である。なお、この差は、値の大きいものから値の小さいものを引くことで算出されるものである。
そして、第1領域15および不均一部18を除いた内部領域17におけるTi含有率のばらつきは、0.06質量%以下である。0.06質量%以下の含有率ばらつきであれば、実質的には均一とみなすことができ、所望の熱膨張特性を確保することができる。
上述のように、第1領域15を除く内部領域17における不均一部18に起因する吸収体パターンの位置ずれに与える影響は軽微であると言える。すなわち、このような構成のマスクブランク用基板1であれば、内部に不均一部18を有しながらも要求されるマスクブランク用基板1としての特性を満たし、製造歩留まりの向上に寄与することができる。
特に、このような構成のマスクブランク用基板1であれば、露光光源の出力が将来的に高出力(例えば、500W以上)となった場合においても、所望の熱膨張特性を確保することができる。
なお、不均一部18の組成は、上記の要件を満たすものであれば、特に限定されない。すなわち、TiO濃度(Ti含有率)が低い箇所であってもよく、TiO濃度(Ti含有率)が高い箇所であってもよく、更に、他の元素(Al,Cr,Fe等)が含有されているものであってもよい。
また、マスクブランク用基板1は、他方の主表面12側に第2領域16を有している。この第2領域16は、他方の主表面12における中央部に位置する132mm×104mm(パターン形成領域)14の四角形Bの内側の領域(主表面12において四角形Bの外側の領域を除いた領域)であり、かつ他方の主表面12から一方の主表面11に向かって500μmの深さd2の位置までにわたる領域である。なお、この深さd2は、250μmであるとより好ましい。
そして、このマスクブランク用基板1は、第2領域16内に不均一部18を有するものであってもよい。
上述のように、基板1の静電チャックされる導電膜5(図2参照)が形成される側の主表面12に凹欠陥や凸欠陥が存在しても、導電膜5の形成に与える影響は小さい。すなわち、このような構成のマスクブランク用基板1においても、要求されるマスクブランク用基板1としての特性を満たし、製造歩留まりの向上にさらに寄与することができる。
なお、本実施形態では、最低限のパターンが形成される領域を考慮して、上述した四角形A,Bの領域を、132mm×104mmとしたが、これに限定されるものではなく、例えば132mm×132mmとしてもよい。
不均一部18を除く基板1のTi含有率は、熱膨張特性の観点から、3質量%以上であることが好ましい。また、不均一部18を除く基板1のTi含有率は、10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えると熱膨張係数が負となる可能性があるからである。Ti含有率は、より好ましくは5~9質量%である。
本実施形態における基板1は、特に限定されるものではないが、以下の方法で選定することが可能である。
まず、硝材から所定のサイズに切り出し、形状加工された基板1を準備した後、少なくとも主表面11、12に対して所定の研磨加工された基板に対して、検査波長300nm~500nmの基板欠陥検査装置等を用いて、内部領域における不均一部の有無を検出する。この範囲の検査波長であれば、基材全体にわたる不均一部の有無を検出することができる。
次に、不均一部が検出された基板に対し、検査波長300nm以下(例えば、266nm)のDUV光を基材のそれぞれの主表面に照射し、その断面画像をそれぞれ取得する。検査波長300nm以下のDUV光を用いることで、主表面から500μmの深さの検査を行うことができる。
そして、取得した断面画像から蛍光発光度合を比較して、不均一部の存在の有無を判定し、第1領域に不均一部を有さないと判定された基板を、マスクブランク用基板1として選定することができる。なお、上述した内部における不均一部の有無の検出については、目視検査で行ってもよい。
また、第1領域15において許容されない不均一部18のサイズは、50μm以上とすることが好ましく、75μm以上とすることがより好ましい。このサイズであれば、上述したDUV光を用いた検査によって検出することが可能である。そして、このサイズを下回る場合には、熱膨張特性における影響は大幅に低減されるためである。
不均一部18のTi/Siは、不均一部18を除いた内部領域のTi/Siよりも小さいものであってもよい。この場合には、不均一部のSiO濃度(Si含有量)が高く、図6に示されるように、基板1の主表面の近傍(表層付近)において、暗色の不均一部18の存在が確認できる。
基板1の多層反射膜2やパターン形成用の薄膜4が形成される側の主表面11は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工されている。EUV露光の場合、基板1の多層反射膜2やパターン形成用の薄膜4が形成される側の主表面11の中央部に位置する132mm×132mmの領域において、平坦度が0.1μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.05μm以下、特に好ましくは0.03μm以下である。また、転写パターンが形成される側と反対側の主表面12は、露光装置にセットするときに静電チャックされる面であって、主表面12の中央部に位置する132mm×132mmの領域において、平坦度が0.1μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.05μm以下、特に好ましくは0.03μm以下である。なお、反射型マスクブランク100における主表面12の平坦度は、主表面12の中央部に位置する142mm×142mmの領域において、平坦度が1μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.3μm以下である。
また、基板1の表面平滑度の高さも極めて重要な項目である。吸収体パターン4aが形成される基板1の主表面11の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.1nm以下であることが好ましい。なお、表面平滑度は、原子間力顕微鏡で測定することができる。
更に、基板1は、その上に形成される膜(多層反射膜2など)の膜応力による変形を抑制するために、高い剛性を有していることが好ましい。特に、基板1は、65GPa以上の高いヤング率を有していることが好ましい。
<多層反射膜付き基板>
次に、本発明の実施形態における多層反射膜付き基板10について説明する。多層反射膜付き基板10は、対向する2つの主表面11、12を有する基板1と、基板1の一方の主表面11上に設けられた多層反射膜2とを備えるものである(図2(a)参照)。基板1は、上述したマスクブランク用基板1と同様の構成を有している。
本明細書において、「基板1の主表面の上に、多層反射膜2を有する」とは、多層反射膜2が、基板1の表面に接して配置されることを意味する場合の他、基板1と、多層反射膜2との間に他の膜を有することを意味する場合も含む。他の膜についても同様である。例えば「膜Aの上に膜Bを有する」とは、膜Aと膜Bとが直接、接するように配置されていることを意味する他、膜Aと膜Bとの間に他の膜を有する場合も含む。また、本明細書において、例えば「膜Aが膜Bの表面に接して配置される」とは、膜Aと膜Bとの間に他の膜を介さずに、膜Aと膜Bとが直接、接するように配置されていることを意味する。
<<多層反射膜2>>
多層反射膜2は、反射型マスク200において、EUV光を反射する機能を付与するものであり、屈折率の異なる元素を主成分とする各層が周期的に積層された多層膜である。
一般的には、高屈折率材料である軽元素またはその化合物の薄膜(高屈折率層)と、低屈折率材料である重元素またはその化合物の薄膜(低屈折率層)とが交互に40から60周期程度積層された多層膜が、多層反射膜2として用いられる。多層膜は、基板1側から高屈折率層と低屈折率層をこの順に積層した高屈折率層/低屈折率層の積層構造を1周期として複数周期積層してもよい。また、多層膜は、基板1側から低屈折率層と高屈折率層をこの順に積層した低屈折率層/高屈折率層の積層構造を1周期として複数周期積層してもよい。なお、多層反射膜2の最表面の層、すなわち多層反射膜2の基板1と反対側の表面層は、高屈折率層とすることが好ましい。上述の多層膜において、基板1から高屈折率層と低屈折率層をこの順に積層した高屈折率層/低屈折率層の積層構造を1周期として複数周期積層する場合は、最上層が低屈折率層となる。この場合、低屈折率層が多層反射膜2の最表面を構成すると容易に酸化されてしまい、反射型マスク200の反射率が減少する。そのため、最上層の低屈折率層上に、高屈折率層を更に形成して多層反射膜2とすることが好ましい。一方、上述の多層膜において、基板1側から低屈折率層と高屈折率層をこの順に積層した低屈折率層/高屈折率層の積層構造を1周期として複数周期積層する場合は、最上層が高屈折率層となるので、そのままでよい。
本実施形態において、高屈折率層としては、ケイ素(Si)を含む層が採用される。Siを含む材料としては、Si単体の他に、Siに、ホウ素(B)、炭素(C)、窒素(N)、および酸素(O)を含むSi化合物を用いることができる。また、低屈折率層としては、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、および白金(Pt)から選ばれる金属単体、またはこれらの合金が用いられる。例えば波長13nmから14nmのEUV光に対する多層反射膜2としては、好ましくはMo膜とSi膜を交互に40から60周期程度積層したMo/Si周期積層膜が用いられる。なお、多層反射膜2の最上層である高屈折率層をケイ素(Si)で形成してもよい。
多層反射膜2の単独での反射率は、通常65%以上であり、上限は通常73%である。なお、多層反射膜2の各構成層の膜厚および周期は、露光波長により適宜選択すればよく、ブラッグ反射の法則を満たすように選択される。多層反射膜2において高屈折率層および低屈折率層はそれぞれ複数存在するが、高屈折率層同士、そして低屈折率層同士の膜厚が同じでなくてもよい。また、多層反射膜2の最表面のSi層の膜厚は、反射率を低下させない範囲で調整することができる。最表面のSi層(高屈折率層)の膜厚は、3nmから10nmの範囲にすることができる。
多層反射膜2の形成方法は当該技術分野において公知である。例えばイオンビームスパッタリング法により、多層反射膜2の各層を成膜することで形成できる。上述したMo/Si周期多層膜の場合、例えばイオンビームスパッタリング法により、先ずSiターゲットを用いて厚さ4nm程度のSi膜を基板1上に成膜する。その後、Moターゲットを用いて厚さ3nm程度のMo膜を成膜する。このSi膜/Mo膜を1周期として、40から60周期積層して、多層反射膜2を形成する(最表面の層はSi層とする)。なお、例えば、多層反射膜2を60周期とした場合、40周期より工程数は増えるが、EUV光に対する反射率を高めることができる。
<反射型マスクブランク100の構成およびその製造方法>
図2(a)は、本実施形態の反射型マスクブランク100の構成を説明するための要部断面模式図である。図2(a)に示されるように、反射型マスクブランク100は、基板1と、多層反射膜2と、保護膜3と、吸収体膜(パターン形成用の薄膜)4とを有し、これらがこの順で積層した構造を有する。多層反射膜2は、主表面11側に形成され、露光光であるEUV光を高い反射率で反射する。基板1、多層反射膜2は、上述した多層反射膜付き基板10と同様の構成を有している。保護膜3は、多層反射膜2を保護するために設けられ、後述する吸収体膜4をパターニングする際に使用するエッチャントおよび洗浄液に対して耐性を有する材料で形成される。吸収体膜4は、EUV光を吸収する。また、基板1の主表面12側には、静電チャック用の導電膜5が形成される。
また、反射型マスクブランク100は、図2(a)に示されるように、吸収体膜4の上に、更に、エッチングマスク膜6を有するものとしている。
以下、本実施形態を、各層ごとに説明をする。基板1、多層反射膜2については、上述したものと同様の構成であるため、その説明を省略する。
<<保護膜3>>
本実施形態の反射型マスクブランク100は、多層反射膜2と吸収体膜4の間に保護膜3を備えることが好ましい。
後述する反射型マスク200の製造工程におけるドライエッチングおよび洗浄から多層反射膜2を保護するために、多層反射膜2の上に、または多層反射膜2の表面に接して保護膜3を形成することができる。また、保護膜3は、電子線(EB)を用いた吸収体パターン4aの黒欠陥を修正する際に多層反射膜2を保護する役割も兼ね備える。ここで、図2では保護膜3が1層の場合を示しているが、保護膜3を2層以上の積層構造とすることもできる。保護膜3は、吸収体膜4をパターニングする際に使用するエッチャント、および洗浄液に対して耐性を有する材料で形成される。多層反射膜2の上に保護膜3が形成されていることにより、多層反射膜2および保護膜3を有する基板1を用いて反射型マスク200(EUVマスク)を製造する際の、多層反射膜2の表面へのダメージを抑制することができる。そのため、多層反射膜2のEUV光に対する反射率特性が良好となる。
本実施形態の反射型マスクブランク100では、保護膜3の材料として、保護膜3の上に形成される吸収体膜4をパターニングするためのドライエッチングに用いられるエッチングガスに対して、耐性のある材料を選択することができる。
保護膜3の表面に接する吸収体膜4の層が、例えば本実施形態の下層41のように、ルテニウム(Ru)を含む材料(Ru系材料)からなる薄膜である場合には、保護膜3の材料として、ケイ素(Si)、ケイ素(Si)および酸素(O)を含む材料、ケイ素(Si)および窒素(N)を含む材料、ケイ素(Si)、酸素(O)および窒素(N)を含む材料などのケイ素系材料から選択した材料を使用することができる。
保護膜3の膜厚は、多層反射膜2を保護するという機能を果たすことができる限り特に制限されない。EUV光の反射率の観点から、保護膜3の膜厚は、好ましくは1.0nm以上8.0nm以下、より好ましくは1.5nm以上6.0nm以下である。
保護膜3の形成方法としては、公知の膜形成方法と同様のものを特に制限なく採用することができる。具体例としては、スパッタリング法およびイオンビームスパッタリング法が挙げられる。
<<吸収体膜(パターン形成用の薄膜)4>>
本実施形態の反射型マスクブランク100では、多層反射膜2の上、または多層反射膜2の上に形成された保護膜3の上に、EUV光の反射率を低減する吸収体膜4が形成される。図2に示すように、本実施形態の反射型マスクブランク100の吸収体膜4は、下層41と、最上層42とを含む。
本実施形態の反射型マスクブランク100において、吸収体膜4(吸収体パターン4a)が設けられている部分では、EUV光を吸収して減光しつつパターン転写に悪影響がないレベルで一部の光を反射させる。一方、開口部(吸収体膜4がない部分)では、EUV光が、多層反射膜2から(保護膜3がある場合には、保護膜3を介して多層反射膜2から)反射する。吸収体膜4が形成されている部分からの反射光は、開口部からの反射光と、所望の反射率差を有する。また、吸収体膜4が形成されている部分からの反射光は、開口部からの反射光と、所望の位相差を有しても良い。吸収体膜4が形成されている部分からの反射光と、開口部からの反射光とに位相差を有するようにする場合、その位相差が130度から230度となるように、吸収体膜4が形成される。180度近傍または220度近傍の反転した位相差の光同士がパターンエッジ部で干渉し合うことにより、投影光学像の像コントラストが向上する。その像コントラストの向上にともなって解像度が上がり、露光量裕度、および焦点裕度等の露光に関する各種裕度が拡がる。
パターンや露光条件にもよるが、位相シフト効果を得るために、吸収体パターン4aのEUV光に対する相対反射率は、2%~40%であることが好ましく、6~35%であることがより好ましく、15%~35%であることが更に好ましく、15%~25%であることが特に好ましい。ここで、吸収体膜4(吸収体パターン4a)の相対反射率とは、吸収体パターン4aのない部分での多層反射膜2(保護膜3付きの多層反射膜2を含む)から反射されるEUV光を反射率100%としたときの、吸収体パターン4aから反射されるEUV光の反射率である。なお、本明細書では、相対反射率のことを、単に「反射率」という場合がある。
パターンや露光条件にもよるが、位相シフト効果を得るために、吸収体膜4(または吸収体パターン4a)のEUV光に対する絶対反射率は、4%~27%であることが好ましく、10%~17%であることがより好ましい。
吸収体膜4は、下層41と、最上層42とを含むようにすることが好ましい。最上層42は、吸収体膜4の中で、多層反射膜2とは反対側の最表面に位置する層である。下層41は、吸収体膜4の中で、最上層42と多層反射膜2との間の任意の場所に位置する層である。成膜工程を簡略化できる点から、吸収体膜4は、下層41および最上層42の2層からなることが好ましい。下層41は、ルテニウム(Ru)単体若しくはルテニウム(Ru)を含む材料で構成されることが好ましい。
吸収体膜4は、パターン側壁形状の垂直性を高くする観点から、ルテニウム(Ru)を含有する材料で形成されている最上層42を含むことが好ましい。吸収体膜4をドライエッチングでパターニングするときに、同じエッチングガスを用いることができる。最上層42は、酸素を含有することが好ましい。Ru系化合物に、酸素が含まれることにより、結晶構造をよりアモルファスにすることができる。最上層42は、ルテニウム(Ru)以外の金属元素を含有してもよい。この金属元素としては、クロム(Cr)やイリジウム(Ir)などがあり、特にクロム(Cr)がエッチングレートや結晶性の観点で好ましい。
吸収体膜4の位相差および反射率は、屈折率n、消衰係数kおよび膜厚を変えることによって調整することが可能である。吸収体膜4の膜厚は、60nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、45nm以下が更に好ましい。吸収体膜4の膜厚は、25nm以上が好ましい。なお、保護膜3を有する場合には、吸収体膜4の位相差および反射率は、保護膜3の屈折率n、消衰係数kおよび膜厚を考慮して調整することもできる。
上述の所定の材料の吸収体膜4を構成する薄膜(例えば、下層41および最上層42)は、DCスパッタリング法およびRFスパッタリング法などのスパッタリング法、並びに酸素ガス等を用いた反応性スパッタリング法といった公知の方法で形成することができる。ターゲットは、RuとCrとの合金ターゲットを用いることができる。また、吸収体膜4を構成する薄膜は、RuターゲットとCrターゲットとを用いるコースパッタリングで成膜することができる。
吸収体膜4は、下層41および最上層42以外の層を更に含む多層膜であることができる。例えば、吸収体膜4は、下層41と、保護膜3との間に、保護膜3とのエッチング選択性を高めるための層を更に含むことができる。また、吸収体膜4は、最上層42と、下層41との間に、光学特性を高めるための層を更に含むことができる。なお、生産性の点から、吸収体膜4の層の数はあまり多くないことが好ましい。そのため、本実施形態の吸収体膜4は、下層41および最上層42の2層からなることが好ましい。ただし、本発明における吸収体膜4は、少なくとも下層41を含むものであればよく、上記の下層41を構成する材料を用いた単層構造で構成されていてもよい。
<<エッチングマスク膜6>>
吸収体膜4の上に、または吸収体膜4の表面に接して、エッチングマスク膜6を形成することができる。エッチングマスク膜6の材料としては、エッチングマスク膜6に対する吸収体膜4のエッチング選択比が高くなるような材料を用いる。ここで、「Aに対するBのエッチング選択比」とは、エッチングを行う必要がない層(マスクとなる層)であるAとエッチングを行う必要がある層であるBとのエッチングレートの比をいう。具体的には「Aに対するBのエッチング選択比=Bのエッチング速度/Aのエッチング速度」の式によって特定される。また、「選択比が高い」とは、比較対象に対して、上記定義の選択比の値が大きいことをいう。エッチングマスク膜6に対する吸収体膜4のエッチング選択比は、1.5以上が好ましく、3以上が更に好ましい。
本実施形態におけるRu系材料で形成された吸収体膜4は、酸素を含む塩素系ガス、または酸素ガスによるドライエッチングによりエッチングが可能である。エッチングマスク膜6に対するRu系材料の吸収体膜4のエッチング選択比が高い材料としては、ケイ素(Si)若しくはケイ素化合物の材料を用いることができる。
エッチングマスク膜6に用いることのできるケイ素化合物としては、ケイ素(Si)と窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)および水素(H)から選ばれる少なくとも一つの元素とを含む材料、並びに、ケイ素もしくはケイ素化合物に金属を含む金属ケイ素(金属シリサイド)または金属ケイ素化合物(金属シリサイド化合物)などの材料が挙げられる。金属ケイ素化合物としては、金属およびSiと、N、O、CおよびHから選ばれる少なくとも一つの元素とを含む材料が挙げられる。
エッチングマスク膜6の膜厚は、転写パターンを精度よく吸収体膜4に形成するエッチングマスクとしての機能を得る観点から、2nm以上であることが望ましい。また、エッチングマスク膜6の膜厚は、レジスト膜8の膜厚を薄くする観点から、15nm以下であることが望ましい。
<<導電膜5>>
基板1の主表面12側(多層反射膜2形成面の反対側)には、一般的に、静電チャック用の導電膜5が形成される。静電チャック用の導電膜5に求められる電気的特性(シート抵抗)は通常100Ω/□(Ω/Square)以下である。導電膜5の形成方法は、例えばマグネトロンスパッタリング法またはイオンビームスパッタリング法により、クロム(Cr)およびタンタル(Ta)等の金属および合金のターゲットを使用して形成することができる。
導電膜5のクロム(Cr)を含む材料は、Crを含有し、更にホウ素(B)、窒素(N)、酸素(O)、および炭素(C)から選択した少なくとも一つを含有したCr化合物であることが好ましい。
導電膜5のタンタル(Ta)を含む材料としては、Ta(タンタル)、Taを含有する合金、またはこれらのいずれかにホウ素、窒素、酸素および炭素の少なくとも一つを含有したTa化合物を用いることが好ましい。
導電膜5の厚さは、静電チャック用としての機能を満足する限り特に限定されない。導電膜5の厚さは、通常10nmから200nmである。また、この導電膜5はマスクブランク100の主表面12側の応力調整も兼ね備えている。すなわち、導電膜5は、主表面11側に形成された各種膜からの応力とバランスをとって、平坦な反射型マスクブランク100が得られるように調整されている。
<反射型マスク200およびその製造方法>
本実施形態は、基板1の主表面上に、多層反射膜2および転写パターンが形成された吸収体膜4をこの順に備える反射型マスク200である。反射型マスク200における基板1、多層反射膜2、保護膜3、導電膜5は、上述した反射型マスクブランク100のものとそれぞれ同様の構成を備えている。上述の本実施形態の反射型マスクブランク100の吸収体膜4をパターニングすることにより、吸収体パターン4a(転写パターン)を形成することができる。吸収体膜4のパターニングは、所定のドライエッチングガスによって、行うことができる。反射型マスク200の吸収体パターン4aは、EUV光を吸収し、また一部のEUV光を開口部(吸収体パターン4aが形成されていない部分)とは所定の反射率および位相差で反射することができる。前記所定のドライエッチングガスは、塩素系ガスおよび酸素ガスの混合ガス、および酸素ガスなどを使用することができる。吸収体膜4をパターニングするために、必要に応じて吸収体膜4の上にエッチングマスク膜6を設けることができる。その場合、エッチングマスクパターン6aをマスクにして、吸収体膜4をドライエッチングして吸収体パターン4aを形成することができる。
本実施形態の反射型マスクブランク100を使用して、反射型マスク200を製造する方法について、図2を用いて説明する。
図2は、反射型マスクブランク100から反射型マスク200を作製する工程を示す要部断面模式図である。図2(a)に示すように、反射型マスクブランク100を準備する。図2(b)に示すように、その主表面11のエッチングマスク膜6の上に、レジスト膜8を形成する(反射型マスクブランク100としてレジスト膜8を備えている場合は不要)。図2(c)に示すように、このレジスト膜8に所望のパターンを描画(露光)し、更に現像、リンスすることによって所定のレジストパターン8aを形成する。
次に、図2(d)に示すように、このレジストパターン8aをマスクとしてエッチングマスク膜6をエッチングして、エッチングマスクパターン6aを形成する。次に、レジストパターン8aをアッシングやレジスト剥離液などで除去する。このエッチングマスクパターン6aをマスクとして、図2(e)に示すように、吸収体膜4をエッチングして吸収体パターン4aを形成する。次に、図2(f)に示すように、エッチングマスクパターン6aを除去することにより、吸収体パターン4aが形成される。最後に、酸性やアルカリ性の水溶液を用いたウェット洗浄を行って、反射型マスク200を製造する。なお、必要に応じてウェット洗浄後にマスク欠陥検査を行い、マスク欠陥修正を適宜行うことができる。
以上の工程により、高精度で微細な吸収体パターン4aを有する反射型マスク200を得ることができる。
<半導体デバイスの製造方法>
本実施形態は、上述の反射型マスク200を用いることを含む、半導体デバイスの製造方法である。本実施形態の反射型マスク200を、EUV光の露光光源を有する露光装置にセットし、被転写体の基板である半導体基板上に形成されているレジスト膜に転写パターンを露光転写することにより、半導体デバイスを製造することができる。
具体的には、上記本実施形態の反射型マスク200を使用してEUV露光を行うことにより、半導体基板上に反射型マスク200の吸収体パターン4aに基づく所望の転写パターンを形成することができる。このリソグラフィ工程に加え、被加工膜のエッチング、絶縁膜および導電膜の形成、ドーパントの導入、並びにアニールなど種々の工程を経ることで、所望の電子回路が形成された半導体デバイスを製造することができる。
以下、実施例について図面を参照しつつ説明する。本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において同様の構成要素については同一の符号を使用し、説明を簡略化若しくは省略する。
[実施例1]
実施例1として、第1主表面および第2主表面の両主表面が研磨された6025サイズ(約152mm×152mm×6.35mm)の低熱膨張ガラス基板であるSiO-TiO系ガラス基板を準備し基板1とした。平坦で平滑な主表面となるように、粗研磨加工工程、精密研磨加工工程、局所加工工程、およびタッチ研磨加工工程よりなる研磨を行った。
この基板1は、以下の工程を用いて選定されたものである。まず、基板1に対して、検査波長が300nm~500nmの検査光(レーザー光)を用いた基板欠陥検査装置により基板1全体にわたる不均一部18の有無を検出した。その結果、基板1の内部領域17において不均一部18の存在が確認された。
次に、この基板1に対し、オリンパス社製の検査装置を用い、検査波長266nmのDUV光を基板1のそれぞれの主表面11、12に照射し、その断面画像をそれぞれ取得した。
そして、取得した断面画像から蛍光発光度合を比較して、不均一部の存在の有無を判定した。第1領域15を含む断面画像においては、局所的な暗部や白色部は無く、全体的に均一な明るさを有していた。すなわち、第1領域15においては、50μm以上の大きさのサイズの不均一部は検出されなかった。
一方、第2領域16を含む断面画像においては、周囲に比べて局所的な暗部が50μmのサイズで検出された。このように、実施例1における基板1は、第1領域15を除く基板1の内部領域17に不均一部18を有するものであった。また、第2領域16にも不均一部18を有するものであった。内部領域17における不均一部18のサイズは、50μmであり、第2領域16における不均一部18のサイズは、200μmであった。
また、不均一部18のSi含有率に対するTi含有率の比(Ti/Si)は、11.25%であり、不均一部18を除いた内部領域17のTi/Siは、10.75%であった。よって、不均一部18のTi/Siは、不均一部18を除いた内部領域17のTi/Siとの差が0.5%であり、0.25%以上であった。
なお、上記Ti/Siは、基板1に含まれる元素(C、O、Al、Si、Ti)をエネルギー分散型X線分析(EDX)により、基板の主表面12から内部領域17に向かって約3μm毎に深さ約300μmの領域について元素分析を行った後、Ti/Si値を10区間(点)の移動平均値として、不均一部18のTi/Siと、内部領域17のTi/Siを算出した。不均一部18のTi/Siは、Ti/Siの最大値とし、内部領域17のTi/Siは、不均一部18を除く内部領域17における移動平均値のポイント30点の平均値とした。以下、比較例1についても同様の方法によりTi/Siを算出した。
また、実施例1の基板1において、第1領域15および不均一部18を除いた内部領域17におけるTi含有率のばらつきは、0.04質量%であり、0.06質量%以下であった。
不均一部18を除いた基板1のTi含有率は、4質量%であり、3質量%以上であった。また、不均一部18のTi/Siは、不均一部18を除いた内部領域17のTi/Siよりも小さいものであった。
この実施例1の基板を用いて、図2(a)に示す構造の反射型マスクブランク100を以下のように製造した。
まず、基板1の主表面12に、CrN膜からなる導電膜5をマグネトロンスパッタリング(反応性スパッタリング)法により下記の条件にて形成した。導電膜5は、Crターゲットを用いて、アルゴン(Ar)ガスと窒素(N)ガスの混合ガス雰囲気で、20nmの膜厚となるように成膜した。
次に、導電膜5が形成された側と反対側の基板1の主表面11上に、多層反射膜2を形成した。基板1上に形成される多層反射膜2は、波長13.5nmのEUV光に適した多層反射膜2とするために、モリブデン(Mo)とケイ素(Si)からなる周期多層反射膜とした。多層反射膜2は、MoターゲットとSiターゲットを使用し、クリプトン(Kr)ガス雰囲気中でイオンビームスパッタリング法により基板1上にMo層およびSi層を交互に積層して形成した。先ず、Si膜を4.2nmの膜厚で成膜し、続いて、Mo膜を2.8nmの膜厚で成膜した。これを1周期とし、同様にして40周期積層し、最後にSi膜を4.0nmの膜厚で成膜し、多層反射膜2を形成した。
引き続き、Arガス雰囲気中で、SiOターゲットを使用したRFスパッタリング法により、多層反射膜2の表面にSiO膜からなる保護膜3を、2.6nmの膜厚となるように成膜した。
次に、DCマグネトロンスパッタリング法により、実施例1における吸収体膜4の下層41として、ルテニウム(Ru)、クロム(Cr)、窒素(N)および酸素(O)からなる薄膜(RuCrNO膜)を形成した。下層41は、RuターゲットとCrターゲットを用いて、クリプトン(Kr)ガスと窒素(N)ガスと酸素ガス(O)の混合ガス雰囲気で、33.5nmの膜厚になるように成膜した。成膜時のガス流量比は、Kr:N:O=12:8:1とした。また、Ruターゲットに対して1500Wの供給電力で、Crターゲットに対して500Wの供給電力でそれぞれ印加して成膜した。
次に、DCマグネトロンスパッタリング法(反応性スパッタリング法)により、吸収体膜4の最上層42としてルテニウム(Ru)、クロム(Cr)および酸素(O)からなる薄膜(RuCrO膜)を形成した。最上層42は、RuターゲットとCrターゲットを用いて、クリプトン(Kr)ガスと酸素(O)ガスの混合ガス雰囲気で、8.5nmの膜厚になるように、反応性スパッタリングにより成膜した。
次に、吸収体膜4の上に、Si膜からなるエッチングマスク膜6を形成した。Si膜は、Siターゲットを用いて、窒素ガス雰囲気中で、反応性スパッタリング法により、20nmの膜厚となるように成膜した。以上の手順によって、実施例1の反射型マスクブランク100を製造した。
次に、上記反射型マスクブランク100を用いて、図2に示したように、実施例1の反射型マスク200を製造した。
実施例1で作製した反射型マスク200をEUVスキャナにセットし、半導体基板上に被加工膜とレジスト膜が形成されたウエハに対してEUV露光を行った。そして、この露光済レジスト膜を現像することによって、被加工膜が形成された半導体基板上にレジストパターンを形成した。このレジストパターンをエッチングにより被加工膜に転写し、また、絶縁膜および導電膜の形成、ドーパントの導入、並びにアニールなど種々の工程を経ることで、所望の特性を有する半導体デバイスを製造することができた。
このように、実施例1の基板1は、内部に不均一部を有しながらも要求されるマスクブランク用基板としての特性を満たすものであった。そして、この実施例1の基板1をマスクブランク用基板として使用することで、製造歩留まりの向上に寄与することができるといえる。
[比較例1]
比較例1として、実施例1と同様に、第1主表面および第2主表面の両主表面が研磨された6025サイズ(約152mm×152mm×6.35mm)の低熱膨張ガラス基板であるSiO-TiO系ガラス基板を準備し基板1とした。平坦で平滑な主表面となるように、粗研磨加工工程、精密研磨加工工程、局所加工工程、およびタッチ研磨加工工程よりなる研磨を行った。
この基板1についても、実施例1と同様の検査を行ったところ、基板1の内部領域17、第2領域16のみならず、第1領域15においても不均一部18の存在が確認された。第1領域15において確認された不均一部18のサイズは、150μmであった。
また、内部領域17の不均一部18のTi/Siは、11.25%であり、不均一部18を除いた内部領域17のTi/Siは、10.75%であった。よって、不均一部18のTi/Siは、不均一部18を除いた内部領域17のTi/Siとの差が0.5%であり、0.25%以上であった。
また、比較例1の基板1において、不均一部18を除いた第1領域15および不均一部18を除いた内部領域17におけるTi含有率のばらつきは、0.04質量%であり、0.06質量%以下であった。
不均一部18を除いた基板1のTi含有率は、4質量%であり、3質量%以上であった。また、不均一部18のTi/Siは、不均一部18を除いた内部領域17のTi/Siよりも小さいものであった。
この比較例1の基板を用いて、実施例1と同様にして、図2(a)に示す構造の反射型マスクブランク100を以下のように製造した。
次に、上記反射型マスクブランク100を用いて、図2に示したように、比較例1の反射型マスク200を製造した。
比較例1で作製した反射型マスク200をEUVスキャナにセットし、半導体基板上に被加工膜とレジスト膜が形成されたウエハに対してEUV露光を行った。そして、この露光済レジスト膜を現像することによって、被加工膜が形成された半導体基板上にレジストパターンを形成した。このレジストパターンを確認したところ、所望の位置に対して許容できない位置ずれが発生していた。この位置ずれは、比較例1の反射型マスク200における基板1の熱膨張に起因すると思われる。
実施例1の場合とは異なり、比較例1で作製した反射型マスク200を用いた場合には、所望の特性を有する半導体デバイスを製造することができなかった。
1 基板(マスクブランク用基板)
1’ モデル基板
2 多層反射膜
3 保護膜
4 吸収体膜(パターン形成用の薄膜)
4a 吸収体パターン(転写パターンが形成された薄膜)
5 導電膜
6 エッチングマスク膜
6a エッチングマスクパターン
8 レジスト膜
8a レジストパターン
10 多層反射膜付き基板
11 主表面(一方の主表面)
12 主表面(他方の主表面)
13 パターン形成領域
14 パターン形成領域
15 第1領域
16 第2領域
17 内部領域
18 不均一部
18’ モデル基板
19 端面
41 下層
41a 下層パターン
42 最上層
42a 最上層パターン
100 反射型マスクブランク
200 反射型マスク
A 第1領域の寸法を示す四角形
B 第2領域の寸法を示す四角形

Claims (17)

  1. 対向する2つの主表面を備えるマスクブランク用基板であって、
    前記基板は、SiOとTiOを含有するガラス材料からなり、
    前記基板の一方の主表面に第1領域を有し、
    前記第1領域は、前記一方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記一方の主表面から他方の前記主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
    前記第1領域を除く前記基板の内部領域に局所的な不均一部を有し、
    前記不均一部のSi含有率に対するTi含有率の比(Ti/Si)は、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siとの間の差が0.25%以上であり、
    前記第1領域および前記不均一部を除いた基板の内部領域におけるTi含有率のばらつきは、0.06質量%以下である
    ことを特徴とするマスクブランク用基板。
  2. 前記基板の前記他方の主表面側に第2領域を有し、
    前記第2領域は、前記他方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記他方の主表面から前記一方の主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
    前記第2領域内に前記不均一部を有する
    ことを特徴とする請求項1記載のマスクブランク用基板。
  3. 前記不均一部を除く前記基板のTi含有率は、3質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のマスクブランク用基板。
  4. 前記不均一部のTi/Siは、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siよりも小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランク用基板。
  5. 対向する2つの主表面を有する基板と、前記基板の一方の主表面上に設けられた多層反射膜とを備える多層反射膜付き基板であって、
    前記基板は、SiOとTiOを含有するガラス材料からなり、
    前記基板の前記一方の主表面側に第1領域を有し、
    前記第1領域は、前記一方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記一方の主表面から他方の前記主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
    前記第1領域を除く前記基板の内部領域に局所的な不均一部を有し、
    前記不均一部のSi含有率に対するTi含有率の比(Ti/Si)は、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siとの間の差が0.25%以上であり、
    前記第1領域および前記不均一部を除いた基板の内部領域におけるTi含有率のばらつきは、0.06質量%以下である
    ことを特徴とする多層反射膜付き基板。
  6. 前記基板の前記他方の主表面側に第2領域を有し、
    前記第2領域は、前記他方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記他方の主表面から前記一方の主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
    前記第2領域内に前記不均一部を有する
    ことを特徴とする請求項5記載の多層反射膜付き基板。
  7. 前記不均一部を除く前記基板のTi含有率は、3質量%以上であることを特徴とする請求項5または6に記載の多層反射膜付き基板。
  8. 前記不均一部のTi/Siは、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siよりも小さいことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の多層反射膜付き基板。
  9. 対向する2つの主表面を有する基板と、前記基板の一方の主表面上に設けられた多層反射膜と、前記多層反射膜上に設けられたパターン形成用の薄膜とを備える反射型マスクブランクであって、
    前記基板は、SiOとTiOを含有するガラス材料からなり、
    前記基板の前記一方の主表面側に第1領域を有し、
    前記第1領域は、前記一方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記一方の主表面から他方の前記主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
    前記第1領域を除く前記基板の内部領域に局所的な不均一部を有し、
    前記不均一部のSi含有率に対するTi含有率の比(Ti/Si)は、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siとの間の差が0.25%以上であり、
    前記第1領域および前記不均一部を除いた基板の内部領域におけるTi含有率のばらつきは、0.06質量%以下である
    ことを特徴とする反射型マスクブランク。
  10. 前記基板の前記他方の主表面側に第2領域を有し、
    前記第2領域は、前記他方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記他方の主表面から前記一方の主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
    前記第2領域内に前記不均一部を有する
    ことを特徴とする請求項9記載の反射型マスクブランク。
  11. 前記不均一部を除く前記基板のTi含有率は、3質量%以上であることを特徴とする請求項9または10に記載の反射型マスクブランク。
  12. 前記不均一部のTi/Siは、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siよりも小さいことを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
  13. 対向する2つの主表面を有する基板と、前記基板の一方の主表面上に設けられた多層反射膜と、前記多層反射膜上に設けられ、転写パターンを有する薄膜とを備える反射型マスクであって、
    前記基板は、SiOとTiOを含有するガラス材料からなり、
    前記基板の前記一方の主表面側に第1領域を有し、
    前記第1領域は、前記一方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記一方の主表面から他方の前記主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
    前記第1領域を除く前記基板の内部領域に局所的な不均一部を有し、
    前記不均一部のSi含有量に対するTi含有率の比(Ti/Si)は、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siとの間の差が0.25%以上であり、
    前記第1領域および前記不均一部を除いた基板の内部領域におけるTi含有率のばらつきは、0.06質量%以下である
    ことを特徴とする反射型マスク。
  14. 前記基板の前記他方の主表面側に第2領域を有し、
    前記第2領域は、前記他方の主表面における中央部を含む132mm×104mmの四角形の内側の領域であり、かつ前記他方の主表面から前記一方の主表面に向かって500μmの深さの位置までにわたる領域であり、
    前記第2領域内に前記不均一部を有する
    ことを特徴とする請求項13記載の反射型マスク。
  15. 前記不均一部を除く前記基板のTi含有率は、3質量%以上であることを特徴とする請求項13または14に記載の反射型マスク。
  16. 前記不均一部のTi/Siは、前記不均一部を除いた前記内部領域のTi/Siよりも小さいことを特徴とする請求項13から15のいずれかに記載の反射型マスク。
  17. 請求項13から15のいずれかに記載の反射型マスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に前記転写パターンを露光転写することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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