JP2023064999A - 中綿 - Google Patents

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Abstract

【課題】撥水性に優れ、かつ綿抜けが少ない中綿を提供すること。【解決手段】本発明の中綿は、中綿の構成繊維を接着するシリコーンを含むバインダにおけるシリコーンの含有率が、2.0~15.0mass%であり、かつ、シリコーンを含むバインダのガラス転移温度(Tg)が、-35℃以上であることで、中綿が撥水性を有し、かつ、中綿に摩擦がかかっても中綿の構成繊維を接着するバインダが剥離しにくく、綿抜けの少ない中綿であることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、撥水性に優れ、また綿抜けの少ない中綿に関する。
従来から、冬季スポーツウエア、一般防寒着、冬季作業着など、保温性を必要とする衣料用途に用いられる中綿は、衣料が雨などでぬれても保温性が保てるように、撥水性が要求されていることから、撥水性を有する織物、編物や不織布などの中綿が用いられていた。
このような中綿に撥水性を付与する方法の一つとして、中綿を構成する繊維の表面に撥水性を有するシリコーンをコーティングする方法が挙げられる。例えば、国際公開2016/118614号(特許文献1)に、シリコーンが表面にコーティングされている繊維を含む中綿が開示されている。
国際公開2016/118614号
特許文献1に係る中綿は、確かに優れた撥水性を有する中綿であったが、中綿を衣料用途に用いたとき、衣料が身体などと擦れた際に中綿の構成繊維が中綿から抜ける綿抜けが発生することがあった。綿抜けが発生する原因は、シリコーンにより中綿の構成繊維の表面が滑りやすくなり、中綿にかかる摩擦により中綿の構成繊維が抜けるためと考えられた。そこで本発明者は、シリコーンを含む樹脂製のバインダで繊維を接着した中綿を検討したが、その場合でも中綿にかかる摩擦により中綿の構成繊維を接着するバインダが剥離することで綿抜けが発生することがあった。
本発明はこのような状況下においてなされたものであり、撥水性に優れ、かつ綿抜けが少ない中綿を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、「シリコーンを含むバインダにより繊維を接着した繊維集合体から構成されている中綿であって、シリコーンを含むバインダ中に含まれる、シリコーンの含有率が、2.0~15.0mass%であり、シリコーンを含むバインダのガラス転移温度が、-35℃以上である、中綿。」である。
本発明の請求項2に係る発明は、「中綿に含まれる、シリコーンを含むバインダの含有率が、7.0mass%以上である、請求項1に記載の中綿。」である。
本発明の請求項3に係る発明は、「中綿に含まれる、シリコーンを含むバインダに、熱硬化性樹脂を含まない、請求項1又は2に記載の中綿。」である。
本発明の請求項4に係る発明は、「中綿を構成する繊維に、潜在捲縮性繊維の捲縮が発現したスパイラル捲縮繊維を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の中綿。」である。
本発明の請求項1にかかる中綿は、中綿の構成繊維を接着するシリコーンを含むバインダにおけるシリコーンの含有率が、2.0~15.0mass%であり、かつ、シリコーンを含むバインダのガラス転移温度(Tg)が、-35℃以上であることで、中綿が撥水性を有し、かつ、中綿に摩擦がかかっても中綿の構成繊維を接着するバインダが剥離しにくく、綿抜けの少ない中綿であることができる。
本発明の請求項2にかかる中綿は、中綿に含まれる、シリコーンを含むバインダの含有率が、7.0mass%以上と多いことから、中綿の構成繊維がバインダにより強固に接着しており、より綿抜けの少ない中綿であることができる。
本発明の請求項3にかかる中綿は、中綿の構成繊維を接着する、シリコーンを含むバインダに、熱硬化性樹脂を含まない。シリコーンを含むバインダに熱硬化性樹脂を含むと、中綿が硬い傾向があるが、シリコーンを含むバインダに熱硬化性樹脂を含まないことで中綿が柔らかく、風合いのよい中綿であることができる。
本発明の請求項4にかかる中綿は、潜在捲縮性繊維の捲縮繊維が発現したスパイラル捲縮繊維を含むことから、中綿の構成繊維同士が良く絡合して存在するので、より綿抜けの少ない中綿であることができる。
本発明の中綿は、シリコーンを含むバインダにより繊維を接着した繊維集合体から構成されている。
本発明の中綿に含まれるバインダに含まれるシリコーンは、ケイ素と酸素が結合したシロキサン結合を主鎖に有するポリマーであればよく、特に限定するものではない。また、アミノ変性やヒドロキシ変性のポリシロキサンであってもよい。更に、シリコーンを含むバインダが中綿から脱落しにくいように、シリコーンは架橋しているのが好ましい。
本発明の中綿に含まれる、バインダ中に含まれるシリコーンの含有率は、中綿が撥水性を有するように、また、バインダにおけるシリコーンの含有率が高すぎると、中綿に摩擦がかかった際に中綿の構成繊維を接着するバインダが剥離し、綿抜けが発生するおそれがあることから、2.0~15.0mass%である。より中綿の撥水性が優れ、中綿の構成繊維を接着するバインダが剥離しにくいように、3.0~13.0mass%がより好ましく、5.0~11.0mass%が更に好ましい。
また、本発明の中綿に含まれるシリコーンを含むバインダのガラス転移温度(Tg)が、-35℃以上である。これにより、中綿に摩擦がかかっても中綿の構成繊維を接着するバインダが剥離しにくく、綿抜けの少ない中綿であることができる。この理由は、シリコーンを含むバインダのガラス転移温度(Tg)が高ければ高いほど、バインダが硬い傾向にあり、中綿に摩擦がかかった際にバインダが摩擦により破壊されにくいためと考えられる。シリコーンを含むバインダのガラス転移温度(Tg)が高ければ高いほど、よりバインダが中綿の構成繊維から剥離しにくくなることから、-10℃以上がより好ましく、10℃以上が更に好ましい。シリコーンを含むバインダのガラス転移温度(Tg)の上限は、シリコーンを含むバインダのガラス転移温度(Tg)が高ければ高いほどシリコーンを含むバインダが硬くなる傾向があり、これにより中綿の風合いが劣るおそれがあるため、35℃以下が現実的である。なお、本発明のガラス転移温度は、JIS K 7121(2012)に則って描いたDSC曲線から読み取った中間点ガラス転移温度(Tmg)を意味する。
また、本発明の中綿に含まれるシリコーンを含むバインダは、シリコーンの他に、例えば、エチレン-塩化ビニル系、エチレン-酢酸ビニル系、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニル系、塩化ビニリデン系、塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、アクリル系などの樹脂を含んでいてもよい。また、バインダに2種類以上の前記樹脂を含んでいてもよい。これらの中でもシリコーンを含むバインダにアクリル系樹脂を含んでいると、バインダの強度及び耐熱性が優れることから好ましい。なお、中綿に含まれるシリコーンを含むバインダにメラミン樹脂などの熱硬化性樹脂を含んでいると、中綿が硬くなり、中綿の風合いが劣るおそれがあることから、中綿に含まれるシリコーンを含むバインダに熱硬化性樹脂を含んでいないのが好ましい。
また、本発明の中綿に含まれるシリコーンを含むバインダの含有率は、高ければ高いほど、より高い撥水性を有することから、7.0mass%以上が好ましく、8.0mass%以上がより好ましく、9.0mass%以上が更に好ましい。中綿に含まれるシリコーンを含むバインダの含有率の上限は、バインダにより中綿の風合いが劣るおそれがあることから、25.0mass%以下が好ましく、20.0mass%以下がより好ましく、15.0mass%以下が更に好ましい。なお、本発明の中綿に含まれるシリコーンを含むバインダの含有率は、以下の式で求めることができる。
x={a/b}×100
x:中綿に含まれるシリコーンを含むバインダの含有率(mass%)
a:中綿に含まれるシリコーンを含むバインダの含有量(g/m
b:中綿の目付(g/m
また、本発明における目付とは、主面における1mあたりの質量をいい、主面とは、最も広い面のことをいう。
本発明の中綿に含まれるシリコーンを含むバインダの含有量は、より高い撥水性を有するように、また、綿抜けの少ない中綿であるように、2.0g/m以上が好ましく、4.0g/m以上がより好ましく、6.0g/m以上が更に好ましい。中綿に含まれるシリコーンを含むバインダの含有量の上限は、バインダにより中綿の風合いが劣るおそれがあることから、30g/m以下が好ましく、27g/m以下がより好ましく、25g/m以下が更に好ましい。
本発明の中綿は、例えば、不織布、織物あるいは編物などの繊維集合体から構成することができ、中綿を構成する繊維集合体が不織布である場合、例えば、乾式法による乾式不織布、湿式法による湿式不織布、直接紡糸法によるスパンボンド不織布を用いることができる。また、不織布と織物など、異種の繊維集合体を組み合わせたものを用いることもできる。これらの中でも、中綿の保温性が優れることから、中綿を構成する繊維集合体が不織布であるのが好ましく、中綿の保温性向上のためにある程度嵩高い方が好ましいことから、中綿を構成する繊維集合体が乾式不織布であるのがより好ましい。
本発明の中綿を構成する繊維の構成樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリルなどであることができる。これらの中でもポリエステルであると、中綿に必要な保温性や洗濯耐性に優れることから好ましい。
本発明の中綿を構成する繊維の繊度は、大きければ大きいほど、繊維が衣料の表地、裏地の目を通過し難くなることから、1.1dtex以上が好ましく、1.4dtex以上がより好ましく、1.7dtex以上が更に好ましい。一方、繊維の繊度が大きすぎると、中綿の保温性が悪化するおそれがあることから、9.9dtex以下が好ましく、8.8dtex以下がより好ましく、7.7dtex以下が更に好ましい。なお、繊度は、JIS L 1015(2010)「化学繊維ステープル試験方法」8.5.1に記載のA法により測定できる。
また、本発明の中綿を構成する繊維の繊維長は、繊維長が長ければ長いほど、中綿の構成繊維同士が良く絡み合い、また、繊維が衣料の表地、裏地の目を通過し難くなることから、30mm以上が好ましく、35mm以上がより好ましく、40mm以上が更に好ましい。一方、繊維長が長すぎると、中綿に繊維塊が存在するおそれがあることから、120mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましく、80mm以下が更に好ましい。なお、繊維長は、JIS L 1015(2010)「化学繊維ステープル試験方法」8.4.1に記載のC法により測定できる。
本発明の中綿を構成する繊維は、中綿の構成繊維同士が良く絡み合い、綿抜けの少ない中綿であることができ、中綿の伸縮性が優れることから、捲縮繊維を含んでいるのが好ましい。中綿を構成する繊維における、捲縮繊維の割合は、大きければ大きいほど、より中綿の綿抜けが少ない上、中綿の伸縮性が優れることから、80mass%以上がより好ましく、90mass%以上が更に好ましく、100mass%が更に好ましい。
本発明の中綿に含まれる捲縮繊維は、例えばスタッフィングボックスや、歯車によるギヤ捲縮装置などによって機械捲縮を付与された機械捲縮繊維、2種類の異なる樹脂を有する偏心芯鞘型のスパイラル捲縮繊維、あるいは2種類の異なる樹脂を貼り合わせたサイドバイサイド型のスパイラル捲縮繊維などが挙げられる。この中でも、中綿の構成繊維同士がより絡み合い、より綿抜けの少ない中綿を提供できることから、本発明の中綿に含まれる捲縮繊維は、偏心芯鞘型のスパイラル捲縮繊維又はサイドバイサイド型のスパイラル捲縮繊維が好ましい。また、前記偏心芯鞘型のスパイラル捲縮繊維及び前記サイドバイサイド型のスパイラル捲縮繊維は、捲縮が顕在しているスパイラル捲縮繊維に由来していてもよいし、熱を作用させることにより捲縮を発現する潜在捲縮性繊維を用いて、この潜在捲縮性繊維に熱を作用させ、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させたスパイラル捲縮繊維であってもよい。これらの捲縮繊維の中でも、2種類の異なる樹脂を有する偏心芯鞘型又は2種類の異なる樹脂を貼り合わせたサイドバイサイド型の潜在捲縮性繊維に熱を作用させ、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させた、スパイラル捲縮繊維を中綿に含んでいると、中綿の構成繊維同士がより絡み合い、より綿抜けの少ない中綿を提供できることから好ましく、2種類の熱収縮率の異なる樹脂を貼り合わせたサイドバイサイド型の潜在捲縮性繊維に熱を作用させ、潜在捲縮性繊維の捲縮を発生させたスパイラル捲縮繊維を含んでいるのがより好ましい。また、中綿の保温性の向上のため、内部が中空の中空捲縮繊維を含んでいてもよい。
本発明の中綿の目付は、ある程度の嵩を確保し、保温性に優れているように、20g/m以上が好ましく、30g/m以上がより好ましく、40g/m以上が更に好ましい。中綿の目付の上限は、中綿を使用した衣服の着用感が劣るおそれがあることから、350g/m以下が好ましく、300g/m以下がより好ましく、275g/m以下が更に好ましい。
また、本発明の中綿の厚さは、厚さが薄すぎると撥水性と保温性が劣る傾向があり、厚さが厚すぎると中綿を使用した衣服の着用感が劣るおそれがあることから、1.5~30mmが好ましく、2.5~25mmがより好ましく、3.5~20mmが更に好ましい。なお、厚さは主面に対して垂直方向に0.5gf/cmの圧力を掛けたときの厚さを意味する。
以下、本発明の中綿の製造方法の一例について、簡単に説明する。
中綿を構成する繊維集合体が不織布である場合、まず、繊維ウエブを調製する。繊維ウエブを調製する方法は、例えば、カード法、エアレイ法などにより繊維ウエブを形成する乾式法、繊維を抄いて繊維ウエブを形成する湿式法、繊維を直接紡糸して繊維ウエブを形成するスパンボンド、メルトブローなどの直接紡糸法であることができるが、中綿の保温性向上のためにある程度嵩高い方が好ましいことから、乾式法により繊維ウエブを形成するのが好ましい。
次いで、シリコーンを含むバインダにより繊維ウエブの構成繊維を接着することで、不織布から構成された中綿を調製する。このシリコーンを含むバインダによる接着方法は、例えば、バインダを含浸、泡立て含浸、コーティング、又はスプレーなどの方法でバインダを付与し、熱によりバインダを乾燥して実施できる。このとき、嵩高い中綿であるように、また、風合いを損ないにくいように、スプレーによりバインダを付与し、熱によりバインダを乾燥するのが好ましい。
中綿を構成する繊維集合体が織物、編物である場合は、繊維を織る、あるいは編むことで織物又は編物を調製し、その後、シリコーンを含むバインダにより織物又は編物の構成繊維を接着することで、中綿を調製する。このシリコーンを含むバインダによる接着方法は、不織布と同様の方法であることができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
繊度1.7dtex、繊維長44mmのポリエステルと変性ポリエステルとをサイドバイサイド型に配置構成したスパイラル顕在捲縮繊維40mass%、繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリエステルと変性ポリエステルとをサイドバイサイド型に配置構成した潜在捲縮繊維30mass%、繊度2.2dtex、繊維長51mmの機械捲縮ポリエステル繊維30mass%を混綿し、カード機により開繊して繊維ウエブを製造した後、加熱プレスロール(温度:170℃、ロール間隔:10.0mm)を通し、繊維ウエブに含まれる潜在捲縮繊維を捲縮発現させてスパイラル捲縮繊維とした繊維ウエブを形成した。
他方、ガラス転移温度が4℃のアクリル樹脂エマルジョンA2.50質量部、ガラス転移温度が30℃のアクリル樹脂エマルジョンB4.30質量部、オキサゾリン基含有アクリル樹脂架橋剤0.58質量部、シリコーン樹脂であるメチルハイドロジェンシロキサンのエマルジョン0.64質量部、メチルハイドロジェンシロキサンの架橋剤であるステアリン酸亜鉛のエマルジョン0.73質量部、水91.25質量部を配合したバインダ溶液Aを調製した。
次いで、前記バインダ溶液Aを前記繊維ウエブへスプレーした後、温度160℃に設定した熱風ドライヤーで乾燥することによって、バインダに含まれるアクリル樹脂及びメチルハイドロジェンシロキサンを架橋させ、また、バインダで繊維ウエブを結合し、乾式不織布構造の中綿(目付:60g/m、バインダ固形分量:6.0g/m、バインダのガラス転移温度:2℃、中綿に含まれるバインダの含有率:10.0mass%、バインダに含まれる架橋シリコーン含有率:10.1mass%、厚さ:7.5mm)を製造した。なお、中綿に含まれるバインダのガラス転移温度が2℃と、アクリル樹脂エマルジョンA及びBよりもガラス転移温度が低いが、これは、バインダに含まれる架橋シリコーンによる影響と考えられた。
(実施例2)
まず、実施例1と同様にして繊維ウエブを形成した。
次に、ガラス転移温度が4℃のアクリル樹脂エマルジョンA2.90質量部とガラス転移温度が30℃のアクリル樹脂エマルジョンB4.80質量部、オキサゾリン基含有アクリル樹脂架橋剤0.58質量部、メチルハイドロジェンシロキサンのエマルジョン0.13質量部、メチルハイドロジェンシロキサンの架橋剤であるステアリン酸亜鉛のエマルジョン0.15質量部、水91.44質量部を配合したバインダ溶液Bを調製した。
次いで、前記バインダ溶液Bを前記繊維ウエブへスプレーした後、実施例1と同様の方法で乾燥することによって、バインダに含まれるアクリル樹脂及びメチルハイドロジェンシロキサンを架橋させ、また、バインダで繊維ウエブを結合し、乾式不織布構造の中綿(目付:60g/m、バインダ固形分量:6.0g/m、バインダのガラス転移温度:3℃、中綿に含まれるバインダの含有率:10.0mass%、バインダに含まれる架橋シリコーン含有率:2.1mass%、厚さ:7.5mm)を製造した。
(実施例3)
まず、実施例1と同様にして繊維ウエブを形成した。
次に、ガラス転移温度が-34℃のアクリル樹脂エマルジョンC6.80質量部、オキサゾリン基含有アクリル樹脂架橋剤0.58質量部、メチルハイドロジェンシロキサンのエマルジョン0.64質量部、メチルハイドロジェンシロキサンの架橋剤であるステアリン酸亜鉛のエマルジョン0.73質量部、水91.25質量部を配合したバインダ溶液Cを調製した。
次いで、前記バインダ溶液Cを前記繊維ウエブへスプレーした後、実施例1と同様の方法で乾燥することによって、バインダに含まれるアクリル樹脂及びメチルハイドロジェンシロキサンを架橋させ、また、バインダで繊維ウエブを結合し、乾式不織布構造の中綿(目付:60g/m、バインダ固形分量:6.0g/m、バインダのガラス転移温度:-33℃、中綿に含まれるバインダの含有率:10.0mass%、バインダに含まれる架橋シリコーン含有率:10.1mass%、厚さ:7.5mm)を製造した。
(比較例1)
まず、実施例1と同様にして繊維ウエブを形成した。
次に、ガラス転移温度が4℃のアクリル樹脂エマルジョンA2.10質量部、ガラス転移温度が30℃のアクリル樹脂エマルジョンB4.20質量部、オキサゾリン基含有アクリル樹脂架橋剤0.58質量部、メチルハイドロジェンシロキサンのエマルジョン0.96質量部、メチルハイドロジェンシロキサンの架橋剤であるステアリン酸亜鉛のエマルジョン1.12質量部、水91.04質量部を配合したバインダ溶液Dを調製した。
次いで、調製したバインダ溶液Dを繊維ウエブへスプレーした後、実施例1と同様の方法で乾燥することによって、バインダに含まれるアクリル樹脂及びメチルハイドロジェンシロキサンを架橋させ、また、バインダで繊維ウエブを結合し、乾式不織布構造の中綿(目付:60g/m、バインダ固形分量:6.0g/m、バインダのガラス転移温度:2℃、中綿に含まれるバインダの含有率:10.0mass%、バインダに含まれる架橋シリコーン含有率:15.1mass%、厚さ:7.5mm)を製造した。
(比較例2)
まず、実施例1と同様にして繊維ウエブを形成した。
次に、ガラス転移温度が4℃のアクリル樹脂エマルジョンA3.00質量部、ガラス転移温度が30℃のアクリル樹脂エマルジョンB4.80質量部、オキサゾリン基含有アクリル樹脂架橋剤0.58質量部、メチルハイドロジェンシロキサンのエマルジョン0.065質量部、メチルハイドロジェンシロキサンの架橋剤であるステアリン酸亜鉛のエマルジョン0.08質量部、水91.475質量部を配合したバインダ溶液Eを調製した。
次いで、調製したバインダ溶液Eを繊維ウエブへスプレーした後、実施例1と同様の方法で乾燥することによって、バインダに含まれるアクリル樹脂及びメチルハイドロジェンシロキサンを架橋させ、また、バインダで繊維ウエブを結合し、乾式不織布構造の中綿(目付:60g/m、バインダ固形分量:6.0g/m、バインダのガラス転移温度:2℃、中綿に含まれるバインダの含有率:10.0mass%、バインダに含まれる架橋シリコーン含有率:1.1mass%、厚さ:7.5mm)を製造した。
(比較例3)
まず、実施例1と同様にして繊維ウエブを形成した。
次に、ガラス転移温度が-34℃のアクリル樹脂エマルジョンC6.30質量部、オキサゾリン基含有アクリル樹脂架橋剤0.58質量部、メチルハイドロジェンシロキサンのエマルジョン0.96質量部、メチルハイドロジェンシロキサンの架橋剤であるステアリン酸亜鉛のエマルジョン1.12質量部、水91.04質量部を配合したバインダ溶液Fを調製した。
次いで、調製したバインダ溶液Fを繊維ウエブへスプレーした後、実施例1と同様の方法で乾燥することによって、バインダに含まれるアクリル樹脂及びメチルハイドロジェンシロキサンを架橋させ、また、バインダで繊維ウエブを結合し、乾式不織布構造の中綿(目付:60g/m、バインダ固形分量:6.0g/m、バインダのガラス転移温度:-33℃、中綿に含まれるバインダの含有率:10.0mass%、バインダに含まれる架橋シリコーン含有率:15.1mass%、厚さ:7.5mm)を製造した。
(比較例4)
まず、実施例1と同様にして繊維ウエブを形成した。
次に、ガラス転移温度が-39℃のアクリル樹脂エマルジョンD6.80質量部、オキサゾリン基含有アクリル樹脂架橋剤0.58質量部、メチルハイドロジェンシロキサンのエマルジョン0.64質量部、メチルハイドロジェンシロキサンの架橋剤であるステアリン酸亜鉛のエマルジョン0.73質量部、水91.25質量部を配合したバインダ溶液Gを調製した。
次いで、調製したバインダ溶液Gを繊維ウエブへスプレーした後、実施例1と同様の方法で乾燥することによって、バインダに含まれるアクリル樹脂及びメチルハイドロジェンシロキサンを架橋させ、また、バインダで繊維ウエブを結合し、乾式不織布構造の中綿(目付:60g/m、バインダ固形分量:6.0g/m、バインダのガラス転移温度:-38℃、中綿に含まれるバインダの含有率:10.0mass%、バインダに含まれる架橋シリコーン含有率:10.1mass%、厚さ:7.5mm)を製造した。
表1に、実施例及び比較例の中綿にスプレーしたバインダ溶液に含まれる物質の質量部を示し、表2に実施例及び比較例の中綿の物性を示す。なお、ガラス転移温度はTgと表記した。
Figure 2023064999000001
Figure 2023064999000002
また、以下の評価方法で実施例及び比較例の中綿の評価を行った。
[撥水性試験]
(1)実施例及び比較例の中綿を20cm角に切り取り、中綿を表地と裏地で挟むように重ね合わせて、縁をオーバーロックミシンで縫い合わせた。なお、表地及び裏地は、どちらも下記の仕様の生地である。
たて糸:ナイロンマルチフィラメント糸(総繊度:33dtex、繊維本数:26本)
よこ糸:ナイロンマルチフィラメント糸(総繊度:33dtex、繊維本数:26本)
打ち込み密度:たて糸167本/インチ、よこ糸128本/インチ
目付:50g/m
通気度:32cc/cm/sec(JIS L 1096 フラジール法)
(2)JIS L 0217(1995) 付表1 103に記載の方法で、(1)で表地及び裏地と縫い合わせた中綿を洗濯及び乾燥し、この操作を3回繰り返した。
(3)(2)の表地及び裏地と縫い合わせた中綿から、表地及び裏地を外した。
(4)透明プラスチック製円筒カップ(内径:50mm、カップ高さ:60mm)を2つ用意し、1つの円筒カップに50mLの水を入れ、その上に(3)の中綿を載せ、その上にもう1つの円筒カップを載せた後、逆さにして、6時間静置した。
(5)以下の評価基準で、中綿の撥水性を評価した。
〇:円筒カップの水がすべて中綿を透過せず、上側の円筒カップに水が残っている
×:円筒カップの水がすべて中綿を透過し、上側の円筒カップに水が残っていない
[綿抜け試験]
当業界で一般的に行われているバイリーン法に従って測定した。
(1)中綿をたて17cm×よこ22cmに切り取り、中綿を撥水性試験と同じ表地と裏地で挟むように重ね合わせて、縁をオーバーロックミシンで縫い合わせた。
(2)撥水性試験と同様の方法で、洗濯及び乾燥を3回繰り返した。
(3)(2)の表地及び裏地と縫い合わせた中綿をよこ方向に2つ折りし、袋状にオーバーロックミシンで縫い、市販のスーパーボール(直径3cm、重量14g)を4個入れて、袋状の中綿の口をオーバーロックミシンで縫うことで閉じた。
(4)I.C.Iピリングテスト機を使用し、1箱に試料が8袋になるように入れ、室温(25℃)で5時間(18000回転)運転して取り出し、綿抜けの状態をバイリーン法の判定基準(1~5級)によって目視で判定した。
実施例及び比較例の中綿の評価結果を、下の表3に示す。
Figure 2023064999000003
実施例と比較例1~3との比較から、シリコーンを含むバインダにより繊維を接着している繊維集合体から構成されている中綿において、シリコーンを含むバインダにおけるシリコーンの含有率が2.0~15.0mass%であることで、中綿が撥水性を有し、かつ、中綿に摩擦がかかっても中綿の構成繊維を接着するバインダが剥離しにくく、綿抜けの少ない中綿であった。
また、実施例と比較例4との比較から、シリコーンを含むバインダにより繊維を接着した繊維集合体から構成されている中綿において、シリコーンを含むバインダのガラス転移温度が-35℃以上であることで、中綿に摩擦がかかっても中綿の構成繊維を接着するバインダが剥離しにくく、綿抜けの少ない中綿であった。
本発明の中綿は、冬季スポーツウエア又はパンツ、一般防寒着、冬季作業着など、保温性を必要とする衣料用途に使用できる。

Claims (4)

  1. シリコーンを含むバインダにより繊維を接着した繊維集合体から構成されている中綿であって、
    シリコーンを含むバインダ中に含まれる、シリコーンの含有率が、2.0~15.0mass%であり、
    シリコーンを含むバインダのガラス転移温度が、-35℃以上である、中綿。
  2. 中綿に含まれる、シリコーンを含むバインダの含有率が、7.0mass%以上である、請求項1に記載の中綿。
  3. 中綿に含まれる、シリコーンを含むバインダに、熱硬化性樹脂を含まない、請求項1又は2に記載の中綿。
  4. 中綿を構成する繊維に、潜在捲縮性繊維の捲縮が発現したスパイラル捲縮繊維を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の中綿。
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