JP2023064903A - 情報処理装置 - Google Patents

Abstract

【課題】電力リソースとしての車両を用いてＰ２Ｐ電力取引が行なわれる場合に、車両ユーザの行動に即した電力取引計画を作成可能な情報処理装置を提供する。【解決手段】市場電力価格予測部１０４は、電力取引市場において取引される電力の取引価格を予測する。ユーザ利用予測部１０６は、車両のユーザによる車両の利用計画を予測する。電力取引計画作成部１１０は、市場電力価格予測部１０４の予測結果及びユーザ利用予測部１０６の予測結果に基づいて電力取引計画を作成する。ユーザ問合せ実行部１０８は、電力取引計画による電力取引市場での電力取引の約定前に、電力取引計画に関する問合せをユーザに行なう。【選択図】図８

Description

本開示は、情報処理装置に関し、特に、電力取引市場を通じて電力リソースが電力取引を行なうための電力取引計画を作成する情報処理装置に関する。

特開２０１２－１９６０２８号公報（特許文献１）には、電気自動車のバッテリに蓄えられた電力を工場等の電力需要施設で活用する場合に、電気自動車と工場との間の電力マネジメントを行なう電力マネジメントシステムが開示されている。この電力マネジメントシステムによれば、電力需要施設において、電気自動車のバッテリに蓄えられた電力を活用することで系統電力の使用電力が所定電力を越えないようにすることができ、所定電力に制限がある場合に最適の電力マネジメントを行なうことができるとされる（特許文献１参照）。

特開２０１２－１９６０２８号公報

電力自由化により、電力取引市場において、電力リソースを有する個人・法人と他の個人・法人との間で電力の売買取引を直接行なうＰ２Ｐ（Peer to Peer）電力取引の導入が検討されている。例えば、電力リソースとしての車両（電気自動車等）を有する個人ユーザが上記の電力取引市場を通じて他の電力リソースを有する個人・法人と電力取引を行なうことができる。

電力リソースとして車両を用いる上記の電力取引においては、例えば、電力取引市場での電力取引価格が予測されるとともに、車両のユーザによる車両の利用計画が予測され、それらの予測結果に基づいて電力取引計画（入札計画）が作成される。しかしながら、車両の利用予測とユーザの行動とが乖離すると、取引不履行によるペナルティを課されたり、作成される電力取引計画に対するユーザの信頼性が低下したりする。

本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、電力リソースとしての車両を用いてＰ２Ｐ電力取引が行なわれる場合に、車両ユーザの行動に即した電力取引計画を作成可能な情報処理装置を提供することである。

本開示の情報処理装置は、電力リソースとしての車両が電力取引市場を通じて電力取引を行なうための電力取引計画を作成する情報処理装置であって、価格予測部と、利用予測部と、取引計画作成部と、問合せ実行部とを備える。価格予測部は、電力取引市場において取引される電力の取引価格を予測する。利用予測部は、車両のユーザによる車両の利用計画を予測する。取引計画作成部は、価格予測部の予測結果及び利用予測部の予測結果に基づいて電力取引計画を作成する。問合せ実行部は、電力取引計画による電力取引市場での電力取引の約定前に、電力取引計画に関する問合せをユーザに行なう。

この情報処理装置では、問合せ実行部により、電力取引市場での電力取引の約定前に、電力取引計画に関する問合せがユーザになされるので、ユーザからの返答を電力取引計画の作成に反映させたり、問合せを受けた電力取引計画にユーザが行動を合わせたりすることが可能となる。このように、上記の情報処理装置によれば、車両ユーザの行動に即した電力取引計画を作成することが可能となる。

問合せ実行部は、車両を用いたユーザの行動計画についての問合せをユーザに行なってもよい。そして、取引計画作成部は、その問合せに応じたユーザからの返答を反映した電力取引計画を作成してもよい。

これにより、車両の利用予測とユーザの行動との乖離を抑制し、車両ユーザの行動計画を反映した電力取引計画を作成することができる。

問合せ実行部は、電力取引市場において購入する電力に占める再生エネルギ電力の比率についての問合せをユーザに行なってもよい。そして、取引計画作成部は、その問合せに応じたユーザからの返答を反映した電力取引計画を作成してもよい。

また、問合せ実行部は、電力取引市場において電力取引を行なう際に許容される電力コストについての問合せをユーザに行なってもよい。そして、取引計画作成部は、その問合せに応じたユーザからの返答を反映した電力取引計画を作成してもよい。

上記のような構成により、ユーザは、再生エネルギ電力の比率や許容される電力コストに対して返答することができ、ユーザからの返答を反映した電力取引計画が作成される。これにより、情報処理装置に対するユーザの使い勝手が向上する。

問合せ実行部は、取引計画作成部により作成された電力取引計画の認否についての問合せをユーザに行なってもよい。そして、取引計画作成部は、その問合せに応じたユーザからの返答を反映した電力取引計画を再度作成してもよい。

このような構成により、ユーザは、作成された電力取引計画の認否について返答することができ、ユーザからの返答を反映した電力取引計画が作成される。これにより、情報処理装置に対するユーザの使い勝手が向上する。

問合せ実行部は、取引計画作成部により作成された電力取引計画に対する評価についての問合せをユーザに行なってもよい。そして、取引計画作成部は、その問合せに応じたユーザからの評価の返答を反映して、電力取引計画を作成してもよい。

このような構成により、ユーザは、作成された電力取引計画に対する評価について返答することができ、電力取引計画に対するユーザの評価を次回の電力取引計画の作成に反映することができる。これにより、情報処理装置に対するユーザの使い勝手がさらに向上する。

問合せ実行部は、電力取引計画に応じた電力取引市場での電力取引の約定結果をユーザに通知してもよい。

これにより、ユーザは、電力取引の約定結果に対する評価を行なったり、その評価の結果を返答することにより当該約定結果を次回以降の電力取引計画の作成に反映させたりすることが可能となる。

問合せ実行部は、電力取引計画に応じた電力取引の約定結果に対する評価についての問合せをユーザに行なってもよい。そして、取引計画作成部は、その問合せに応じたユーザからの評価の返答を反映して、電力取引計画を作成してもよい。

このような構成により、ユーザは、電力取引市場での電力取引の約定結果に対する評価について返答することができ、当該約定結果に対するユーザの評価を次回の電力取引計画の作成に反映することができる。これにより、情報処理装置に対するユーザの使い勝手がさらに向上する。

本開示の情報処理装置によれば、電力リソースとしての車両を用いてＰ２Ｐ電力取引が行なわれる場合に、車両ユーザの行動に即した電力取引計画を作成することができる。

実施の形態に従う情報処理装置を用いて取引される電力の送配電システムの構成例を模式的に示す図である。 Ｐ２Ｐ電力取引市場の一例を模式的に示す図である。 Ｐ２Ｐ電力取引の一般取引市場における入札の一例を説明する図である。 Ｐ２Ｐ電力取引の直接取引市場における入札の一例を説明する図である。 エージェント及び取引市場サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。 リソース情報の一例を示す図である。 エージェント情報の一例を示す図である。 実施の形態に従うエージェント（移動体エージェント）の構成を機能的に示すブロック図である。 エージェントがＰ２Ｐ電力取引市場に対して入札を行なう際に実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。 変形例１におけるエージェントの処理手順の一例を示すフローチャートである。 変形例２におけるエージェントの処理手順の一例を示すフローチャートである。 変形例３におけるエージェントの処理手順の一例を示すフローチャートである。 変形例４におけるエージェント（移動体エージェント）の構成を機能的に示すブロック図である。

以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、実施の形態及び複数の変形例について説明するが、それらの構成を適宜組合わせることは出願当初から予定されている。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

図１は、本実施の形態に従う情報処理装置を用いて取引される電力の送配電システムの構成例を模式的に示す図である。図１を参照して、電力送配電システム１は、複数の電力リソースと、充放電設備６Ａ～６Ｈと、電力会社９と、送電線網ＰＬと、取引市場サーバ３と、通信ネットワーク１０とを含んで構成される。

複数の電力リソースは、例えば、電動車５Ａ～５Ｅと、工場７Ａと、会社７Ｂと、商業施設７Ｃと、住宅７Ｄと、店舗７Ｅとを含む。各電力リソースは、送電線網ＰＬを通じて、或いは直接的に、他の電力リソースと電力を授受可能に構成されている。

なお、電動車の数、及び充放電設備の数は、図示されている数に限定されるものではない。また、工場７Ａ等の施設についても、図示されているものに限定されるものはない。なお、以下では、電動車５Ａ～５Ｅの各々を区別せずに「電動車５」と称する場合があり、充放電設備６Ａ～６Ｈの各々を区別せずに「充放電設備６」と称する場合がある。また、工場７Ａ、会社７Ｂ、商業施設７Ｃ、住宅７Ｄ、店舗７Ｅの各々を区別せずに「施設７」と称する場合がある。

電動車５は、バッテリに蓄えられた電力を用いて走行可能な電動車であり、例えば、電気自動車（ＢＥＶ：Battery Electric Vehicle）、プラグインハイブリッド車（ＰＨＥＶ：Plug-in Hybrid Electric Vehicle）等である。以下では、電動車５は、ＢＥＶとする。電動車５は、充放電設備６に電気的に接続可能に構成されており、充放電設備６を通じて送電線網ＰＬ或いは施設７と電力を授受することができる。

施設７は、送電線網ＰＬに電気的に接続され、送電線網ＰＬと電力を授受することができる。また、施設７は、充放電設備６とも電気的に接続されており、充放電設備６に接続された電動車５と電力を授受することができる。

充放電設備６は、送電線網ＰＬ或いは施設７に電気的に接続されている。充放電設備６は、電力ケーブルを通じて電動車５と電気的に接続可能であり、電動車５は、接続先の充放電設備６を通じて送電線網ＰＬ或いは施設７と電力を授受することができる。

電力会社９が管理する発電所によって発電された電力は、送電線網ＰＬ（系統電力網）を通じて各施設７へ供給され、また、充放電設備６Ａに接続されている電動車５Ａへも供給され得る。従来、電力は、このように専ら電力会社９の発電所から送電線網ＰＬを通じて施設７や電動車５に供給されていた。この電力送配電システム１においては、個人又は法人（各施設７又は各電動車５）間での電力売買取引、すなわちＰ２Ｐ電力取引を行なうことができる。

取引市場サーバ３は、そのようなＰ２Ｐ電力取引を実施するためのプラットフォームを提供する。取引市場サーバ３は、通信ネットワーク１０を通じて、電動車５、充放電設備６、施設７と通信可能に構成されている。施設７或いは電動車５がＰ２Ｐ電力取引を希望する場合には、施設７或いは電動車５（詳細には、施設７或いは電動車５の電力取引を実行するエージェント（後述））から、電力取引を行ないたいＰ２Ｐ電力取引市場を管理する取引市場サーバ３に対して、例えば、電力を売買したい時間帯、単位時間帯毎の売買電力量、及び取引価格等を入札条件として入札する。取引市場サーバ３は、任意のアルゴリズムにより、入札条件が合致する売り手と買い手との間において電力取引の約定を発効し、条件の合致する相手の見つからない入札については、不約定として処理する。なお、「入札」とは、電力取引（買取又は売却）を注文する行為、又はその注文自体を意味する。「約定」とは、入札された電力取引を行なうことを決定する行為、又はその決定自体を意味する。

図２は、Ｐ２Ｐ電力取引市場の一例を模式的に示す図である。図２を参照して、Ｐ２Ｐ電力取引市場においては、Ｐ２Ｐ電力取引市場への入札を実行する「エージェント」によって、入札の計画及び実行、約定の管理、約定に基づく充放電計画の作成等が行なわれる。エージェントは、施設７或いは電動車５毎に設けられるものであり、本実施の形態では、電動車５に対応する複数の移動体エージェント２Ａ～２Ｄ、工場７Ａ等に対応する複数の事業者エージェント２Ｅ～２Ｈ、住宅に対応する複数の住宅エージェント２Ｉ，２Ｊが存在する。例えば、電動車５について代表的に説明すると、電動車５の移動体エージェントにおいて、Ｐ２Ｐ電力取引市場に対する電力取引計画（入札計画）が作成され、当該移動体エージェントからＰ２Ｐ電力取引市場（取引市場サーバ３）に対して入札が実行される。

なお、以下では、移動体エージェント２Ａ～２Ｄ、事業者エージェント２Ｅ～２Ｈ、住宅エージェント２Ｉ，２Ｊの各々を区別せずに単に「エージェント２」と称する場合がある。エージェント２は、Ｐ２Ｐ電力取引市場を通じて対応の電力リソースが電力取引を行なうための電力取引計画を作成する「情報処理装置」である。

なお、Ｐ２Ｐ電力取引市場には、「一般取引市場」と「直接取引市場」とが存在する。一般取引市場は、送電線網ＰＬを通じて伝送される電力の取引を扱う市場であり、不特定多数のエージェント２が電力取引に参加することができる。一般取引市場においては、Ｐ２Ｐ電力取引市場を管理する運営者が定めた任意のルールに従って、電力取引の約定が行なわれる（マッチング）。マッチングルールとしては、例えば、所定の単位時間帯で売り手の提示価格と買い手の提示価格とが合致した場合に、先着順で取引を成立させる方法がある。その他のマッチングルールとして、単位時間帯で行なわれる売り手と買い手の入札（注文）を一旦整理した上で適切な価格で取引を成立させる方法も可能である。

図３は、Ｐ２Ｐ電力取引の一般取引市場における入札の一例を説明する図である。図３を参照して、一般取引市場においては、所定の単位時間帯（１，２，…ｎ）毎に、不特定多数の売り手が売却価格及び電力量の組（ｐ，ｑ）を入札する一方で、不特定多数の買い手が買取価格及び電力量の組（Ｐ，Ｑ）を入札する。なお、単位時間帯は、一般取引市場において設定された時間幅（例えば３０分）である。電力量の取引は、単位時間帯の中で伝送される電力量（電力×単位時間帯長さ）毎に行なわれる。

再び図２を参照して、直接取引市場は、電動車５が施設７の場所へ移動して送電線網ＰＬを介さずに伝送される電力の取引を扱う市場であり、直接取引市場のＩＤを有するエージェントのみが電力取引に参加することができる。直接取引市場においては、充放電設備６が設置された施設７に対して１つの市場が構成される。施設７毎に設けられるサーバが１つの直接取引市場を管理してもよいし、複数の施設７による複数の直接取引市場を共同のサーバで管理するようにしてもよい。直接取引市場においては、各市場の運営者が独自で定めた任意のルールに従って、電力取引の約定が行なわれる（マッチング）。マッチングルールとしては、一般取引市場で説明した上記の方法を採用することができる。

図４は、Ｐ２Ｐ電力取引の直接取引市場における入札の一例を説明する図である。図４を参照して、直接取引市場においは、所定の単位時間帯（１，２，…ｎ）毎に、売り手が売却価格及び電力量の組（ｐ，ｑ）を提示したことに対して、直接取引市場のＩＤを有する複数の買い手が買取価格及び電力量の組（Ｐ，Ｑ）を入札する。単位時間帯は、直接取引市場において個別に設定された時間幅である。電力量の取引は、単位時間帯の中で伝送される電力量（電力×単位時間帯長さ）毎に行なわれる。

図５は、エージェント２及び取引市場サーバ３のハードウェア構成の一例を示す図である。図５を参照して、エージェント２は、プロセッサ２１と、メモリ２２と、通信装置２３とを含む。エージェント２は、電動車５及び施設７（工場７Ａ、住宅７Ｄ等）の電力リソース毎に設けられる。エージェント２は、対応の電力リソース内に設けられてもよいし、対応の電力リソースと通信可能なクラウドに設けられてもよい。

プロセッサ２１は、各種のプログラムを実行することで、各種の処理を実行する演算主体（コンピュータ）である。プロセッサ２１は、ＣＰＵ（Central Processing Unit）、ＦＰＧＡ（Field-Programmable Gate Array）、ＧＰＵ（Graphics Processing Unit）等で構成される。プロセッサ２１は、演算回路（processing circuitry）によって構成されてもよい。

メモリ２２は、プロセッサ２１が各種の処理を実行するためのプログラム及びデータを記憶する。メモリ２２は、ＲＯＭ（Read Only Memory）及びＲＡＭ（Random Access Memory）等の記憶媒体で構成される。メモリ２２は、演算プログラム２２１と、リソース情報２２２と、外部情報２２３とを記憶する。

演算プログラム２２１は、プロセッサ２１が実行する処理を特定するものである。例えば、演算プログラム２２１は、取引市場サーバ３が管理するＰ２Ｐ電力取引市場での電力取引に関する入札を取引市場サーバ３に対して実行するためのプログラムを含む。

リソース情報２２２は、当該エージェント２に対応する電力リソース（例えば、電動車５）に関する情報を含み、特に、電力取引の入札及び約定に関する情報を含む。

図６は、リソース情報２２２の一例を示す図である。この図６では、一例として、電動車５のエージェント２（移動体エージェント）におけるリソース情報２２２が示されている。

図６を参照して、リソース情報２２２は、ＩＤと、種別情報と、トリップ情報と、ＳＯＣ（State Of Charge）情報と、接続情報と、入札情報と、約定情報と、充放電計画と、充放電実績とを含む。

ＩＤは、電力リソース（この例では電動車５）を特定するための識別情報を含む。種別情報は、電力リソースの種別に関する情報を含み、例えば、電動車、事業者、住宅等を特定するための情報を含む。トリップ情報は、過去の走行ルート及び走行時間等の走行履歴に関する情報を含む。ＳＯＣ情報は、現在、蓄電装置に蓄積されている電力量に関する情報を含む。接続情報は、現在、充放電設備６に接続されているか否かを特定するための情報を含む。入札情報は、過去の入札履歴に関する情報、及び現在行なわれている入札に関する情報を含む。約定情報は、過去の約定履歴に関する情報、及び現在行なわれている入札が約定しているか否かを特定するための情報を含む。充放電計画は、約定に基づく電力リソースの充放電計画に関する情報を含む。充放電実績は、上記充放電計画に対する充放電の結果に関する情報を含む。

なお、トリップ情報及び接続情報は、電動車５のエージェント２（移動体エージェント）で用いられる情報であり、施設７（工場７Ａや住宅７Ｄ等）ではブランクである。

再び図５を参照して、外部情報２２３は、入札を行なうＰ２Ｐ電力取引市場の地域の気候（天気、気温等）、日時、Ｐ２Ｐ電力取引市場における過去の気配値（再エネ／非再エネ）等に関する情報を含む。エージェント２は、これらの外部情報２２３を、通信ネットワーク１０を通じて外部のサーバ装置（取引市場サーバ３でもよい）から取得する。

通信装置２３は、通信ネットワーク１０を通じて取引市場サーバ３との間で各種データを送受信する。また、通信装置２３は、スマートフォン等のユーザ端末８とも通信可能に構成される。ユーザ端末８は、対応の電力リソース（この例では電動車５）のユーザが保有する端末装置であり、エージェント２から各種問合せを受信し、受けた問合せに対する返答をエージェント２へ送信することができる（詳細は後述）。

取引市場サーバ３は、プロセッサ３１と、メモリ３２と、通信装置３３とを含む。取引市場サーバ３は、Ｐ２Ｐ電力取引市場（一般取引市場及び直接取引市場）において電力リソース間のＰ２Ｐ電力取引を管理する装置であり、電力取引に係る処理を実行する。

プロセッサ３１は、各種のプログラムを実行することで、各種の処理を実行する演算主体（コンピュータ）である。プロセッサ３１は、ＣＰＵ、ＦＰＧＡ、ＧＰＵ等で構成される。プロセッサ３１は、演算回路によって構成されてもよい。

メモリ３２は、プロセッサ３１が各種の処理を実行するためのプログラム及びデータを記憶する。メモリ３２は、ＲＯＭ及びＲＡＭ等の記憶媒体で構成される。メモリ３２は、演算プログラム３２１と、エージェント情報３２２とを記憶する。

演算プログラム３２１は、プロセッサ３１が実行する処理を特定するものである。例えば、演算プログラム３２１は、複数のエージェント２から入札を受け付ける入札処理、及び入札に基づく約定処理を実行するためのプログラムを含む。約定処理は、入札条件が合致する売り手と買い手との間において電力取引の約定を発効し、条件の合致する相手の見つからない入札については不約定として処理するものである。

エージェント情報３２２は、取引市場サーバ３が管理するＰ２Ｐ電力取引市場に参加しているエージェント２に関する情報を含み、特に、エージェント２毎の電力取引の入札及び約定に関する情報を含む。

図７は、エージェント情報３２２の一例を示す図である。図７を参照して、エージェント情報３２２は、ＩＤと、種別情報と、入札情報と、約定情報とを含む。

ＩＤは、取引市場サーバ３が管理するＰ２Ｐ電力取引市場に参加しているエージェント２を特定するための識別情報を含む。種別情報は、電力リソースの種別に関する情報を含み、例えば、電動車、事業者、住宅等を特定するための情報を含む。入札情報は、各エージェント２における過去の入札履歴に関する情報、及び現在行なわれている入札に関する情報を含む。約定情報は、各エージェント２における過去の約定履歴に関する情報、及び現在行なわれている入札が約定しているか否かを特定するための情報を含む。

再び図５を参照して、通信装置３３は、通信ネットワーク１０を通じてエージェント２との間で各種データを送受信する。

このようなエージェント２及び取引市場サーバ３によって構成されるＰ２Ｐ電力取引市場において、エージェント２は、対応の電力リソースの利用予測を行ない（電動車５であれば、ユーザによる電動車５の利用を予測）、電力取引に参加可能な時間帯において電力取引市場での電力取引価格を予測する。そして、エージェント２は、対応の電力リソースの蓄電装置において満たされるべきＳＯＣ上下限の制約（充放電可能な範囲）の下で、コスト的に最適となる電力取引計画（入札計画）を作成し、取引市場サーバ３に対して電力取引の入札を行なう。

ここで、電力リソースが電動車５である場合、ユーザの実際の行動がエージェント２（移動体エージェント）による車両の利用予測と異なることも多い。エージェント２による車両の利用予測とユーザの実際の行動との乖離が大きい場合、取引不履行により課されるペナルティの費用が増大したり、作成される電力取引計画に対するユーザの信頼性が低下したりする。

そこで、本開示のエージェント２（移動体エージェント）では、対応の電動車５のユーザに対して、作成される電力取引計画に関する問合せが行なわれる。本実施の形態に従うエージェント２では、対応の電動車５のユーザに対して、電力取引計画による電力取引市場での電力取引の約定前に、電力取引計画に関する問合せが行なわれる。これにより、ユーザからの返答を電力取引計画の作成に反映させたり、問合せを受けた電力取引計画にユーザが行動を合わせたりすることが可能となり、ユーザの行動に即した電力取引計画を作成することができる。

図８は、本実施の形態に従うエージェント２（移動体エージェント）の構成を機能的に示すブロック図である。図８を参照して、電動車５のエージェント２は、外部情報取得部１０２と、市場電力価格予測部１０４と、ユーザ利用予測部１０６と、ユーザ問合せ実行部１０８と、電力取引計画作成部１１０とを含む。

外部情報取得部１０２は、図示しない外部のサーバ装置から、入札を行なうＰ２Ｐ電力取引市場の地域の気候情報を取得する。気候情報は、例えば、時間帯毎の天候や気温等の予報を含む。なお、入札を行なうＰ２Ｐ電力取引市場は、対応の電動車５がＰ２Ｐ電力取引に基づく充放電を希望する地域における電力取引市場であり、電動車５の利用予測に基づいて決定される。例えば、電動車５の予測位置（例えば目的地等）に基づいて決定され得る。

また、外部情報取得部１０２は、図示しない外部のサーバ装置から、入札を行なうＰ２Ｐ電力取引市場における過去の気配値（再エネ／非再エネ）の情報も取得する。気配値の情報は、再生エネルギ電力の売買価格の推移と、非再生エネルギ電力の売買価格の推移とを含む。なお、外部情報取得部１０２によって取得された情報は、外部情報２２３（図５）としてメモリ２２に記憶される。

市場電力価格予測部１０４は、入札を行なうＰ２Ｐ電力取引市場において取引される電力（買取電力及び売却電力）の価格（単価）を予測する。なお、本実施の形態におけるＰ２Ｐ電力取引市場では、再生エネルギの発電設備由来の再生エネルギ電力（太陽光発電設備、風力発電設備、水力発電設備等により発電された電力）と、再生エネルギ電力に該当しない非再生エネルギ電力（火力発電由来の電力等）とを区別して取引される。例えば、再生エネルギ電力を取引する際に、取引される電力が再生エネルギ電力であることを示すタグ（再エネタグ）を付与することで、再生エネルギ電力を非再生エネルギ電力と区別することができる。或いは、Ｐ２Ｐ電力取引市場内で、再生エネルギ電力の取引を扱う市場と、非再生エネルギ電力の取引を扱う市場とを分けてもよい。

そして、本実施の形態では、市場電力価格予測部１０４は、買取価格について、再生エネルギ電力の価格と、非再生エネルギ電力の価格とを区別して予測する。例えば、市場電力価格予測部１０４は、外部情報取得部１０２によって取得された、入札対象のＰ２Ｐ電力取引市場における過去の気配値（再エネ／非再エネ）の情報から、入札希望日時（時間帯）における再生エネルギ電力の価格及び非再生エネルギ電力の価格を予測する。

ユーザ利用予測部１０６は、対応の電動車５のユーザによる車両の利用計画を予測する。具体的には、ユーザ利用予測部１０６は、任意の態様にて、今後の車両の利用状況、例えば、今後の走行予定や、充放電設備６との接続及び充電／給電の予定等を予測する。

ユーザ問合せ実行部１０８は、後述の電力取引計画作成部１１０において作成される電力取引計画に関する問合せをユーザ端末８へ送信する。そして、ユーザ問合せ実行部１０８は、その問合せに対する返答をユーザ端末８から受信すると、その返答結果を電力取引計画作成部１１０へ通知する。

電力取引計画に関する上記問合せは、例えば、ユーザ利用予測部１０６において予測されるユーザの行動計画（今後の走行予定、充放電設備６との接続及び充電／給電の予定等）の認否を含む。

また、本実施の形態では、再生エネルギ電力と、再生エネルギ電力に該当しない非再生エネルギ電力とが区別して取引されるところ、上記問合せは、Ｐ２Ｐ電力取引市場を通じて購入する電力に占める再生エネルギ電力の比率（再エネ購入率）の認否を含む。この再エネ購入率は、過去の再エネ購入率に基づいて決定されてもよいし、過去にユーザ端末８から設定されたものであってもよい。

さらに、本実施の形態では、上記問合せは、Ｐ２Ｐ電力取引市場を通じた電力取引において許容される電力コスト（許容取引価格）の認否を含む。この許容取引価格は、Ｐ２Ｐ電力取引市場への参加登録時に設定されたものであってもよいし、過去にユーザ端末８から設定されたものであってもよい。

本実施の形態では、電力取引計画に関する上記問合せは、電力取引計画作成部１１０により作成される電力取引計画そのものではなく、電力取引計画作成部１１０による電力取引計画の作成及び入札の前に行なわれる。すなわち、ユーザ問合せ実行部１０８によるユーザ端末８への問合せは、Ｐ２Ｐ電力取引市場での約定前に行なわれる。

また、ユーザ問合せ実行部１０８は、Ｐ２Ｐ電力取引市場（取引市場サーバ３）での取引結果（約定結果）を取引市場サーバ３から受ける。そして、ユーザ問合せ実行部１０８は、その受けた取引結果をユーザ端末８へ通知する。これにより、ユーザは、取引結果に対する評価を行なったり、その評価の結果を返答することにより当該取引結果を次回以降の電力取引計画の作成に反映させたりすることが可能となる。

電力取引計画作成部１１０は、市場電力価格予測部１０４により予測される電力の取引価格と、ユーザ利用予測部１０６により予測される車両の利用計画の予測とに基づいて、Ｐ２Ｐ電力取引市場において電力取引を行なうための電力取引計画（入札計画）を作成する。一例として、電力取引計画作成部１１０は、対応の電動車５の蓄電装置において満たされるべきＳＯＣ上下限の制約（充放電可能な範囲）の下で、コスト的に最適となる電力取引計画を作成する。

ここで、電力取引計画作成部１１０は、ユーザ端末８への問合せに対する返答結果をユーザ問合せ実行部１０８から受けた場合には、その返答結果を反映した電力取引計画を作成する。例えば、ユーザ利用予測部１０６において予測されるユーザの行動計画（今後の走行予定、充放電設備６との接続及び充電／給電の予定等）の認否の問合せに対して、行動計画の修正を要求する返答があった場合には、その修正を反映した車両利用計画に基づいて、電力取引計画が作成される。

或いは、Ｐ２Ｐ電力取引市場を通じて購入する電力に占める再生エネルギ電力の比率（再エネ購入率）の認否の問合せに対して、再エネ購入率の修正を要求する返答があった場合には、その修正を反映した電力取引計画が作成される。或いは、Ｐ２Ｐ電力取引市場を通じた電力取引において許容される電力コスト（許容取引価格）の認否の問合せに対して、許容取引価格の修正を要求する返答があった場合には、その修正を反映した電力取引計画が作成される。

このように、本実施の形態では、電力取引計画作成部１１０による電力取引計画の作成前に、すなわちＰ２Ｐ電力取引市場への入札に対する約定前に、電力取引計画に関する問合せが電動車５のユーザに対して行なわれる。これにより、問合せに対するユーザからの返答を電力取引計画の作成に反映させることができる。或いは、問合せを受けた計画にユーザが行動を合わせることも可能となる。その結果、エージェント２による車両の利用予測とユーザの行動との乖離が抑制され、取引（約定）不履行により課されるペナルティの費用を抑制することができる。

図９は、エージェント２がＰ２Ｐ電力取引市場に対して入札を行なう際に実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。図９を参照して、エージェント２（プロセッサ２１）は、外部のサーバ装置から通信ネットワーク１０を通じて、入札を行なうＰ２Ｐ電力取引市場に関する外部情報を取得する（ステップＳ１０）。外部情報は、当該市場がカバーする地域の気候情報（時間帯毎の天候、気温等）、当該市場における過去の気配値の情報等を含む。気配値の情報は、再生エネルギ電力の売買価格の推移と、非再生エネルギ電力の売買価格の推移とを含む。

次いで、エージェント２は、入札対象のＰ２Ｐ電力取引市場において取引される電力（買取電力及び売却電力）の価格（単価）を予測する（ステップＳ１５）。本実施の形態では、再生エネルギ電力と非再生エネルギ電力とが区別して取引されるため、エージェント２は、再生エネルギ電力の取引価格と、非再生エネルギ電力の取引価格とを区別して予測する。具体的には、エージェント２は、ステップＳ１０において取得された過去の気配値の情報から、入札希望日時（時間帯）における再生エネルギ電力の価格及び非再生エネルギ電力の価格を予測する。

また、エージェント２は、対応の電動車５のユーザによる車両の利用計画を予測する（ステップＳ２０）。例えば、エージェント２は、今後の走行予定、充放電設備６との接続及び充電／給電の予定、走行で消費する電力量等を予測する。

次いで、エージェント２は、作成しようとしている電力取引計画に関する問合せをユーザ端末８へ送信する（ステップＳ２５）。問合せは、ステップＳ２０において予測されたユーザの行動計画の認否を含む。問合せには、さらに、Ｐ２Ｐ電力取引市場を通じて購入する電力に占める再生エネルギ電力の比率（再エネ購入率）の認否や、Ｐ２Ｐ電力取引市場を通じた電力取引において許容される電力コスト（許容取引価格）の認否等を含めてもよい。

そして、エージェント２は、問合せに対する返答をユーザ端末８から受信すると（ステップＳ３０においてＹＥＳ）、その返答結果を反映した電力取引計画（入札計画）を作成する。例えば、ユーザの行動計画の認否の問合せに対して、行動計画の修正を要求する返答があった場合には、エージェント２は、その返答に基づいてユーザの車両利用計画を修正する。そして、エージェント２は、その修正された利用計画に基づいて、対応の電動車５の蓄電装置において満たされるべきＳＯＣ上下限の制約（充放電可能な範囲）の下で、コスト的に最適となる電力取引計画を作成する（ステップＳ３５）。

なお、再エネ購入率の認否の問合せに対して修正を要求する返答があった場合には、エージェント２は、修正された再エネ購入率に従って、最適な電力取引計画を作成する。或いは、許容取引価格の認否の問合せに対して修正を要求する返答があった場合には、エージェント２は、修正された許容取引価格内で最適な電力取引計画を作成する。

そして、ステップＳ３５において電力取引計画が作成されると、エージェント２は、その電力取引計画に基づいて、Ｐ２Ｐ電力取引市場（取引市場サーバ３）へ入札を実行する（ステップＳ４０）。

なお、ステップＳ３０においてユーザ端末８からの返答が所定時間なかった場合に、エージェント２は、ユーザ端末８へ再度問合せを送信し、複数回の問合せに対して返答がない場合には、ステップＳ３５へ処理を進めるようにしてもよい。

以上のように、この実施の形態においては、ユーザ問合せ実行部１０８により、Ｐ２Ｐ電力取引市場への入札前、すなわちＰ２Ｐ電力取引市場での約定前に、電力取引計画に関する問合せがユーザになされるので、ユーザからの返答を電力取引計画の作成に反映させたり、問合せを受けた電力取引計画にユーザが行動を合わせたりすることが可能となる。したがって、この実施の形態によれば、エージェント２において、車両ユーザの行動に即した電力取引計画を作成することが可能となる。

また、この実施の形態では、ユーザ問合せ実行部１０８により、電動車５を用いたユーザの行動計画についての問合せをユーザに行ない、電力取引計画作成部１１０により、その問合せに応じたユーザからの返答を反映した電力取引計画が作成される。これにより、車両の利用予測とユーザの行動との乖離を抑制し、車両ユーザの行動計画を反映した電力取引計画を作成することができる。

また、この実施の形態では、ユーザ問合せ実行部１０８により再エネ購入率についての問合せをユーザに行ない、電力取引計画作成部１１０により、その問合せに応じたユーザからの返答を反映した電力取引計画を作成してもよい。また、ユーザ問合せ実行部１０８により許容取引価格についての問合せをユーザに行ない、その問合せに応じたユーザからの返答を反映した電力取引計画を作成してもよい。これにより、ユーザは、再エネ購入率や許容取引価格に対して返答することができ、エージェント２に対するユーザの使い勝手を向上させることができる。

なお、上記において、ユーザ利用予測部１０６は、ユーザの過去の行動履歴にカレンダー情報を紐付けて学習し、ユーザの定期的な行動或いは季節性のある行動を学習してもよい。そして、その学習結果を用いて、ユーザの行動計画（今後の走行予定、充放電設備６との接続及び充電／給電の予定等）や、走行で消費する電力量等を予測してもよい。これにより、よりユーザの行動に適した電力取引計画を作成することができる。

［変形例１］
上記の実施の形態では、電力取引計画の作成前に、ユーザの行動計画等の問合せをユーザ（ユーザ端末８）に行なうものとしたが、作成された電力取引計画そのものの認否をユーザに問合せてもよい。

図１０は、変形例１におけるエージェント２の処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、上記の実施の形態で説明した図９のフローチャートに対応するものである。

図１０を参照して、ステップＳ１１０，Ｓ１１５，Ｓ１２０の処理は、それぞれ図９に示したフローチャートのステップＳ１０，Ｓ１５，Ｓ２０の処理と同じである。

このフローチャートでは、ステップＳ１２０においてユーザによる車両の利用計画が予測されると、エージェント２は、ステップＳ１１５において予測された電力取引価格、及びステップＳ１２０において予測された車両の利用計画に基づいて、対応の電動車５の蓄電装置において満たされるべきＳＯＣ上下限の制約（充放電可能な範囲）の下で、コスト的に最適となる電力取引計画を作成する（ステップＳ１２５）。

そして、エージェント２は、その作成された電力取引計画の認否についての問合せをユーザ端末８へ送信する（ステップＳ１３０）。そして、エージェント２は、問合せに対する返答をユーザ端末８から受信すると（ステップＳ１３５においてＹＥＳ）、その返答が電力取引計画の変更を要求するものであるか否かを判定する（ステップＳ１４０）。

問合せに対する返答が電力取引計画の変更を要求するものである場合（ステップＳ１４０においてＹＥＳ）、エージェント２は、その変更を反映した電力取引計画を再度作成する（ステップＳ１４５）。ステップＳ１４０において返答が電力取引計画の変更を要求するものでないときは（ステップＳ１４０においてＮＯ）、ステップＳ１４５の処理は実行されない。

そして、エージェント２は、ステップＳ１２５において作成された電力取引計画、或いはステップＳ１４５において再度作成された電力取引計画に基づいて、Ｐ２Ｐ電力取引市場（取引市場サーバ３）へ入札を実行する（ステップＳ１５０）。

なお、上記において、上述の実施の形態と組み合わせて、電力取引計画の作成前にさらにユーザの行動計画等の問合せをユーザ（ユーザ端末８）に行なってもよい。さらに、その問合せに対する返答に基づいて、複数の電力取引計画を作成し、作成された複数の電力取引計画の認否をユーザにさらに問合せてもよい。

以上のように、この変形例１によれば、ユーザは、作成された電力取引計画の認否について返答することができ、エージェント２は、ユーザからの返答を反映した電力取引計画を作成することができる。これにより、エージェント２に対するユーザの使い勝手が向上する。

［変形例２］
上記の変形例１では、作成された電力取引計画の認否をユーザ（ユーザ端末８）に問合せ、返答が電力取引計画の変更を要求するものである場合に、その変更を反映した電力取引計画を再度作成するものとしたが、作成された電力取引計画に対する評価をユーザに問合せ、ユーザから得られた評価を次回以降の電力取引計画の作成に反映させるようにしてもよい。

図１１は、変形例２におけるエージェント２の処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートも、上記の実施の形態で説明した図９のフローチャートに対応するものである。

図１１を参照して、ステップＳ２１０～Ｓ２２５の処理は、それぞれ図１０に示したフローチャートのステップＳ１１０～Ｓ１２５の処理と同じである。

このフローチャートでは、ステップＳ２２５において電力取引計画が作成されると、エージェント２は、作成された電力取引計画に基づいて、Ｐ２Ｐ電力取引市場（取引市場サーバ３）へ入札を実行する（ステップＳ２３０）。次いで、エージェント２は、その作成された電力取引計画に対する評価についての問合せをユーザ端末８に送信する（ステップＳ２３０）。

そして、エージェント２は、問合せに対する返答（電力取引計画の評価）をユーザ端末８から受信すると（ステップＳ２４０においてＹＥＳ）、その得られた評価を次回以降の電力取引計画の作成に反映する（ステップＳ２４５）。例えば、評価が、ある時間帯の車両利用計画のずれを指摘するものであれば、エージェント２は、次回以降はその時間帯には入札を行なわないように電力取引計画を作成してもよい。或いは、評価が再エネ購入率の相違に関するものである場合には、エージェント２は、その相違を反映して次回の電力取引計画を作成してもよい。

なお、上記では、入札が実行された後に、作成された電力取引計画の評価について問合せがなされるものとしたが、入札の実行前に、或いは入札と同時に、ユーザ端末８に問合せを送信してもよい。この変形例２では、入札に基づく約定前に、作成された電力取引計画の評価についての問合せが行なわれる。

以上のように、この変形例２によれば、ユーザは、作成された電力取引計画に対する評価について返答することができ、電力取引計画に対するユーザの評価を次回の電力取引計画の作成に反映することができる。これにより、エージェント２に対するユーザの使い勝手はさらに向上する。

［変形例３］
この変形例３では、作成された電力取引計画（入札計画）に応じた電力取引の約定結果がユーザ（ユーザ端末８）へ通知される。さらに、その約定結果に対してユーザから得られた評価を次回以降の電力取引計画の作成に反映させることができる。

図１２は、変形例３におけるエージェント２の処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートも、上記の実施の形態で説明した図９のフローチャートに対応するものである。

図１２を参照して、ステップＳ３１０～Ｓ３３０の処理は、それぞれ図１１に示したフローチャートのステップＳ２１０～Ｓ２３０の処理と同じである。

このフローチャートでは、ステップＳ３３０において、作成された電力取引計画に基づいて入札が実行されると、エージェント２は、その電力取引計画に応じた電力取引の約定結果に対する評価についての問合せをユーザ端末８に送信する（ステップＳ３３５）。

そして、エージェント２は、問合せに対する返答（約定結果の評価）をユーザ端末８から受信すると（ステップＳ３４０においてＹＥＳ）、その得られた約定結果の評価を次回以降の電力取引計画の作成に反映する（ステップＳ３４５）。

なお、上記において、上述の実施の形態と組み合わせて入札前にさらにユーザへの問合せを行なってもよいし、変形例１又は変形例２と組み合わせて、入札の前又は入札の後に（約定前に）さらにユーザへの問合せを行なってもよい。

以上のように、この変形例３によれば、ユーザ問合せ実行部１０８は、電力取引計画に応じた電力取引市場での電力取引の約定結果をユーザに通知するので、ユーザは、約定結果に対する評価を行なったり、その評価の結果を返答することにより当該約定結果を次回以降の電力取引計画の作成に反映させたりすることが可能となる。

そして、この変形例３では、約定結果に対するユーザの評価をユーザ問合せ実行部１０８が受け、電力取引計画作成部１１０は、得られた約定結果に対する評価を次回の電力取引計画の作成に反映することができる。これにより、エージェント２に対するユーザの使い勝手がさらに向上する。

なお、エージェント２（ユーザ問合せ実行部１０８）からユーザ（ユーザ端末８）への通知には、取引相手の情報や、購入する電力における再生エネルギ電力の比率（再エネ比率）等を含んでもよい。

［変形例４］
この変形例４では、ユーザ（ユーザ端末８）への問合せが、対応の電動車５へのユーザの乗降時に実行される。ユーザが電動車５を利用するタイミングでユーザへの問合せが行なわれるため、問合せに対するユーザからの返答が得られる可能性を高めることができ、よりユーザの行動に即した電力取引計画を作成することが可能となる。

図１３は、変形例４におけるエージェント（移動体エージェント）の構成を機能的に示すブロック図である。図１３を参照して、このエージェント２＃は、図８に示したエージェント２の構成において、乗降判定部１１２をさらに含む。

乗降判定部１１２は、対応の電動車５へのユーザの乗降を判定する。ユーザの乗降判定は、種々の方法で判定することができ、例えば、ドライバ席のドアの開閉で判定してもよいし、ドライバ席の着座及び離席で判定してもよい。乗降判定部１１２は、ユーザの乗降を検知すると、その旨をユーザ問合せ実行部１０８へ通知する。

そして、ユーザ問合せ実行部１０８は、乗降判定部１１２からユーザの乗降があった旨の通知を受けると、電力取引計画に関する問合せをユーザ端末８へ送信する。

なお、上記では、乗降判定部１１２により、対応の電動車５へのユーザの乗降を判定するものとしたが、電動車５へのユーザの乗車又は降車のみを判定してもよい。

以上のように、この変形例４によれば、問合せに対するユーザからの返答が得られる可能性を高めることができ、よりユーザの行動に即した電力取引計画を作成することが可能となる。

今回開示された各実施の形態は、技術的に矛盾しない範囲で適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。

１ 電力送配電システム、２，２＃ エージェント、２Ａ～２Ｄ 移動体エージェント、２Ｅ～２Ｈ 事業者エージェント、２Ｉ，２Ｊ 住宅エージェント、３ 取引市場サーバ、５，５Ａ～５Ｅ 電動車、６，６Ａ～６Ｈ 充放電設備、７ 施設、７Ａ 工場、７Ｂ 会社、７Ｃ 商業施設、７Ｄ 住宅、７Ｅ 店舗、８ ユーザ端末、９ 電力会社、１０ 通信ネットワーク、２１，３１ プロセッサ、２２，３２ メモリ、２３，３３ 通信装置、１０２ 外部情報取得部、１０４ 市場電力価格予測部、１０６ ユーザ利用予測部、１０８ ユーザ問合せ実行部、１１０ 電力取引計画作成部、１１２ 乗降判定部、２２１，３２１ 演算プログラム、２２２ リソース情報、２２３ 外部情報、３２２ エージェント情報、ＰＬ 送電線網。

Claims (8)

1. 電力リソースとしての車両が電力取引市場を通じて電力取引を行なうための電力取引計画を作成する情報処理装置であって、
   前記電力取引市場において取引される電力の取引価格を予測する価格予測部と、
   前記車両のユーザによる前記車両の利用計画を予測する利用予測部と、
   前記価格予測部の予測結果及び前記利用予測部の予測結果に基づいて前記電力取引計画を作成する取引計画作成部と、
   前記電力取引計画による前記電力取引市場での電力取引の約定前に、前記電力取引計画に関する問合せを前記ユーザに行なう問合せ実行部とを備える、情報処理装置。
2. 前記問合せ実行部は、前記車両を用いた前記ユーザの行動計画についての問合せを前記ユーザに行ない、
   前記取引計画作成部は、前記問合せに応じた前記ユーザからの返答を反映した前記電力取引計画を作成する、請求項１に記載の情報処理装置。
3. 前記問合せ実行部は、前記電力取引市場において購入する電力に占める再生エネルギ電力の比率についての問合せを前記ユーザに行ない、
   前記取引計画作成部は、前記問合せに応じた前記ユーザからの返答を反映した前記電力取引計画を作成する、請求項１又は請求項２に記載の情報処理装置。
4. 前記問合せ実行部は、前記電力取引市場において電力取引を行なう際に許容される電力コストについての問合せを前記ユーザに行ない、
   前記取引計画作成部は、前記問合せに応じた前記ユーザからの返答を反映した前記電力取引計画を作成する、請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の情報処理装置。
5. 前記問合せ実行部は、前記取引計画作成部により作成された前記電力取引計画の認否についての問合せを前記ユーザに行ない、
   前記取引計画作成部は、前記問合せに応じた前記ユーザからの返答を反映した前記電力取引計画を再度作成する、請求項１から請求項４のいずれか１項に記載の情報処理装置。
6. 前記問合せ実行部は、前記取引計画作成部により作成された前記電力取引計画に対する評価についての問合せを前記ユーザに行ない、
   前記取引計画作成部は、前記問合せに応じた前記ユーザからの評価の返答を反映して、前記電力取引計画を作成する、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の情報処理装置。
7. 前記問合せ実行部は、前記電力取引計画に応じた電力取引の約定結果を前記ユーザに通知する、請求項１から請求項６のいずれか１項に記載の情報処理装置。
8. 前記問合せ実行部は、前記電力取引計画に応じた電力取引の約定結果に対する評価についての問合せを前記ユーザに行ない、
   前記取引計画作成部は、前記問合せに応じた前記ユーザからの評価の返答を反映して、前記電力取引計画を作成する、請求項１から請求項７のいずれか１項に記載の情報処理装置。
   

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