JP2023064772A - 藻類培養環境調整方法及び藻類培養環境調整サーバ - Google Patents

藻類培養環境調整方法及び藻類培養環境調整サーバ Download PDF

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Abstract

Figure 2023064772000001
【課題】 長期に亘り安定してマイクロプラスチックの回収を制御可能な手段を提供する。
【解決手段】 マイクロプラスチック吸着回収能を有する藻類の培養環境を提供する培養水の性状を示す情報に基づいて藻類の培養状態を決定する藻類培養状態決定ステップであって、マイクロプラスチックの吸着回収処理の対象である被処理水を前記培養水とする、藻類培養状態決定ステップと、
前記藻類の培養状態に基づいて前記培養水の培養環境を決定する培養水環境決定ステップと、を備え、
前記藻類が、粘着性物質を分泌する藻類であり、且つ、前記粘着性物質の量は、細胞容積に比べて、細胞外に分泌した粘着物質の容積が0.25倍以上100倍以下であることを特徴とする。
【選択図】 図19

Description

特許法第30条第2項適用申請有り (1)集会の開催日:令和2年10月29日 イッカクプロジェクト中間報告会
特許法第30条第2項適用申請有り (2)集会の開催日:令和2年11月9日 情報機構セミナー(オンライン)
特許法第30条第2項適用申請有り (3)集会の開催日:令和2年11月11日 しが水環境ビジネスフォーラム
特許法第30条第2項適用申請有り (4)ウェブサイトの掲載日:令和3年2月8日 https://ikkaku.lne.st/team/
特許法第30条第2項適用申請有り (5)ウェブサイトの掲載日:令和3年2月8日 https://novelgen.jp/2021/02/08/「プロジェクト・イッカク」二期リーダー機関と/
特許法第30条第2項適用申請有り (6)集会の開催日:令和2年11月28日 アントレプレナーラボツアー
特許法第30条第2項適用申請有り (7)集会の開催日:令和3年2月10日 環境・農水常任委員会
特許法第30条第2項適用申請有り (8)ウェブサイトの掲載日:令和3年2月10日 https://www.shigaken-gikai.jp/voices/cgi/voiweb.exe?ACT=200&KENSAKU=1&SORT=0&KTYP=1,2,3,0&FBKEY1=%8F%AC%91q%8F%7E&FBMODE1=SYNONYM&FBMODE2=SYNONYM&FBMODE3=SYNONYM&FBMODE4=SYNONYM&FBCHK=AND&KGTP=1,2,3&TITL_SUBT=%97%DF%98a%81@%82R%94N%81@%82Q%8C%8E%82P%82O%93%FA%8A%C2%8B%AB%81E%94_%90%85%8F%ED%94C%88%CF%88%F5%89%EF%81%7C02%8C%8E10%93%FA-01%8D%86&KGNO=1366&FINO=2540&HUID=194000&UNID=K_R03021012011 https://www.shigaken-gikai.jp/voices/GikaiDoc/attach/Nittei/Nt15346_01.pdf
特許法第30条第2項適用申請有り (9)ウェブサイトの掲載日:令和3年3月4日 https://minsaku.com/articles/post704/
特許法第30条第2項適用申請有り (10)集会の開催日:令和3年4月28日 藤森科学技術振興財団授与式(オンライン)
特許法第30条第2項適用申請有り (11)集会の開催日:令和3年7月21日 福島アクセラレーションプログラムキックオフシンポジウム(オンライン)
特許法第30条第2項適用申請有り (12)集会の開催日:令和3年9月30日 マイクロプラスチック問題の実態・影響評価とその除去・回収技術~微細藻類の利用、社会実装・事業化への取り組み~(オンライン) https://www.monodukuri.com/seminars/detail/18918
本発明は、水中(例えば、海水中、河川水中)からマイクロプラスチックを除去できる藻類を有する藻類培養環境調整方法及び藻類培養環境調整サーバに関する。
プラスチックは、生活において必要不可欠な素材の一つである。他方、該プラスチックが砕ける等して生成したマイクロプラスチックは、環境に与える問題が大きく、生態系をも脅かしている。マイクロプラスチックは、食物連鎖や様々な経路から人の体内に侵入し、少しずつ蓄積していくといわれている。
ここで、マイクロプラスチックを回収する技術として、、微細藻類を用いたマイクロプラスチックの除去技術が提案されている(非特許文献1)。
コンバーテック 2020年7月号2~5頁
ここで、本発明者らは、非特許文献1に従いマイクロプラスチックの除去を試みたところ、長期に亘り安定してマイクロプラスチックが回収できない事象が発生することを見出した。そこで、本発明は、長期に亘り安定してマイクロプラスチックの回収を制御可能な手段を提供することを課題とする。
マイクロプラスチック吸着回収能を有する藻類の培養環境を提供する培養水の性状を示す情報に基づいて藻類の培養状態を決定する藻類培養状態決定ステップであって、マイクロプラスチックの吸着回収処理の対象である被処理水を前記培養水とする、藻類培養状態決定ステップと、
前記藻類の培養状態に基づいて前記培養水の培養環境を決定する培養水環境決定ステップと、を備える藻類培養環境調整方法であって、
前記藻類が、粘着性物質を分泌する藻類であり、且つ、前記粘着性物質の量は、細胞容積に比べて、細胞外に分泌した粘着物質の容積が0.25倍以上100倍以下であることを特徴とする、藻類培養環境調整方法。
本発明によれば、長期に亘り安定してマイクロプラスチックの回収を制御可能な手段を提供することが可能となる。
図1は、マイクロプラスチック回収システムの一例を示した概念図である。 図2は、マイクロプラスチック回収システムの制御ブロック図の一例である。 図3は、マイクロプラスチック回収システムにおける制御フロー図の一例である。 図4は、マイクロプラスチック回収システムにおける制御フロー図の一例である。 図5は、図4の制御とは異なる制御を実行可能な別システムにおける制御フロー図の一例である。 図6は、図4の制御とは異なる制御を実行可能な別システムにおける制御フロー図の一例である。 図7は、図4の制御とは異なる制御を実行可能な、更なる別システムにおける制御フロー図の一例である。 図8は、図4の制御とは異なる制御を実行可能な、更なる別システムにおける制御フロー図の一例である。 図9は、実施例における、マイクロプラスチック吸着後に沈殿物が確認された様子を示す図(写真)である。 図10は、藻類が分泌する粘着性物質の量の測定手順を示した図である。 図11は、実施例にて使用した各種藻類の拡大写真である。 図12は、濾過装置(フィルター等)を用いた、従来の回収システムと本発明の一形態の回収システムとの相違を示した図である。 図13は、マイクロプラスチック回収に用いられた藻類の一利用例を示した図である。 図14は、下水処理に本発明を利用した際の概念図である。 マイクロプラスチック・藻類管理システム10の構成の概略を示す概略図である。 マイクロプラスチック・藻類処理部200の構成を示す機能ブロック図である。 マイクロプラスチック・藻類処理槽250の構成の概略を示す概略図である。 マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110の構成を示す機能ブロック図である。 マイクロプラスチック・藻類管理システム10における処理を示すフローチャートである。 マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110の処理を示すフローチャートである。
<<<<<第1の実施の形態の概要>>>>>
≪マイクロプラスチックの回収方法≫
本発明は、において、マイクロプラスチック吸着回収能を有する藻類を前記被処理水中に存在させる工程を含み、ここで、前記藻類が、粘着性物質を分泌する藻類であり、且つ、前記粘着性物質の量は、細胞容積に比べて、細胞外に分泌した粘着物質の容積が0.25倍以上100倍以下であることを特徴とする方法である。以下、各構成要素について詳述する。
<被処理水>
被処理水は、特に限定されず、例えば、マイクロプラスチックが存在する水又は存在する可能性のある水であり、海水、淡水、汽水等を挙げることができる。より具体的な例としては、人間や動物が摂取又接触する可能性のある水(例えば、養殖用海水、養殖用淡水、バラスト水、飲料水等)を調製する際の原水である。
<マイクロプラスチック>
本発明にいう「マイクロプラスチック」とは、0.1μm以上5000μm以下の粒子を指す(最大長部分)。但し、処理の対象である被処理水中に存在する(又は存在する可能性のある)プラスチックとしては、マイクロプラスチックのみならず、0.1μm未満や5000μmを超えるプラスチック粒子を含んでいても構わない。また、マイクロプラスチックの実態としては、大半(例えば、全粒子個数の80%以上、90%以上、95%以上)が、例えば、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、10μm以上、50μm以上、100μm以上、500μm以上、1000μm以上、2500μm以上;2500μm以下、1000μm以下、500μm以下、100μm以下、50μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下である(最大長部分)。尚、周知のように、マイクロプラスチックとしては、一次マイクロプラスチック(マイクロサイズで製造されたプラスチック:例えば、洗顔剤・柔軟剤・緩効性肥料のカプセル等に利用)及び二次マイクロプラスチック(大きなプラスチックが、自然環境で破砕細分化されてマイクロサイズになったもの)とがある。
<藻類>
本発明にいう「マイクロプラスチック吸着回収能を有する藻類」とは、藻類を存在させた場合における被処理水中のマイクロプラスチック濃度が、藻類を存在させない場合における被処理水中のマイクロプラスチック濃度と比較し、所定量(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%)以上低下させることが可能な藻類を指す。ここで、粘着性物質を分泌する藻類としては、ストラメノパイルに属する珪藻・褐藻、アルベオラータに属する渦べん毛藻、リザリアに属するクロララクニオン藻、アーケプラスチダに属する緑藻・紅藻、接合藻、エクスカバータに属するユーグレナ藻、真正細菌に属する藍藻、を挙げることができる。ここで、微細藻類は、細胞外に様々な粘質性物質を放出することが知られている。粘着性物質は、典型的には多糖類であり、例えばテングサ等の紅藻、接合藻類であればアガロースやポルフィラン、コンブ等の褐藻類であればアルギン酸やフコース含有多糖といった物質である。因みに、多種存在する珪藻の中では、Skeletonema tropicumが特に好適である。また、藍藻及び緑藻は、藻類の増殖速度が優れているという点で好適である。更に、ユーグレナは、鞭毛を有しているので、能動的にマイクロプラスチックを吸着し得る点で好適である。
その他の藻類としては、マイクロプラスチックを捕捉する物理的構造(例えば、多孔質構造、凹凸構造)を有する藻類(例えば、褐藻);マイクロプラスチックと逆電荷に帯電した藻類も挙げることができる。例えば、微細藻類は形状もサイズも様々だが、表面積の大きな多孔性藻類や、糸状の群体を形成する物が存在する。このような構造にもマイクロプラスチックをからめとる機能がある。このような藻類は、粘着性物質を有する藻類と異なり、環境変化等による構造変化をし難いため、捕捉したマイクロプラスチックを安定保持できるという点で優れている。
マイクロプラスチックの除去に用いられる藻類として、上述した藻類の中から選ばれる1種類を用いてもよいが、特定の2種類以上の藻類を組み合わせて用いてもよい。
たとえば、珪藻と、当該珪藻より増殖速度が速い藻類(たとえば、藍藻、緑藻)を組み合わせることにより、培養初期においても、マイクロプラスチックの吸着効果を十分に得ることができる。
また、珪藻と、当該珪藻よりサイズが大きい藻類(たとえば、渦べん毛藻、褐藻)を組み合わせることにより、珪藻では吸着が難しい、よりサイズの大きなマイクロプラスチックの吸着効果を十分に得ることができる。
ここで、藻類のサイズは、特に限定されない。但し、処理対象のマイクロプラスチックのサイズが0.1μm以上5000μm以下であることを踏まえると、5000μm以上であること(例えば、連なったり群がったりした藻類の場合、これら連なったり群がったりした大きさ)が好適である。但し、藻類のサイズを被処理水に存在するマイクロプラスチックの主たる大きさに依存させてもよく、この場合、想定される藻類のサイズは、例えば、0.1μm以上、1μm以上、2μm以上、5μm以上、10μm以上、50μm以上、100μm以上、500μm以上、1000μm以上、2500μm以上、5000μm以下、2500μm以下、1000μm以下、500μm以下、250μm以下、100μm以下、50μm以下、25μm以下、20μm以下、10μm以下、5μm以下、1μm以下である。尚、ここでの「サイズ」は、最大径部分(例えば、棒状の藻類である場合には、長径部分)を指す。また、系内には様々な大きさの藻類が存在するが、ここでいう「サイズ」は、ランダムに取得した100個の藻類の大きさの平均値を指す。
加えて、藻類が分泌する粘着性物質の量は、細胞容積に比べて、細胞外に分泌した粘着性物質の容積が0.25倍以上100倍以下であることが好適である。この範囲内であると、長期に亘り安定してマイクロプラスチックを回収可能な手段を提供することが可能となる。尚、粘着性物質の容積の測定方法は下記の通りである。スライドガラス上に微細藻類培養液10μL添加する。さらに5倍に希釈した墨汁を10μL添加して、墨汁と微細藻類培養液をよく混ぜ、カバーガラスをかけて顕微環境下で微細藻類の細胞容積と細胞外粘質物の容積を測定する。Kishimoto et al.の手法{Kishimoto N., Ichise S., Suzuki K., Yamamoto C.: Analysis of long-term variation in phytoplankton biovolume in the northern basin of Lake Biwa. Limnology14:117-128(2013)}に則り、各藻類を楕円柱、楕円形、直方体及びこれらの組み合わせで近似し、細胞容積の算出を行う。 細胞外粘質物容積に関しては、墨汁で染色されなかった部分を含む容積を算出し、細胞容積を除算することによって細胞外粘質物容積を求める。図10は、上記手順を示した図である。また、系内には様々な大きさの藻類が存在するが、ここでいう「量」は、ランダムに取得した100個の藻類の容積の平均値を指す。
マイクロプラスチックの除去に用いられる藻類の細胞増加率は、250%以上が好ましく、300%以上がより好ましく、400%以上がさらに好ましい。藻類の細胞増加率が上記範囲であることにより、培養後速やかに粘着性物質が分泌されるため、マイクロプラスチックの吸着効果を培養後早期に発揮させることができる。ここで、細胞増加率は以下の条件および計算式にしたがって算出される。
<培養条件>
培地(f/2、ただし、硝酸ナトリウムを通常の10倍濃度である750mg/Lに変更)200ml中で藻類の培養を実施する。表1に培地(f/2)の成分を示す。また、表2に培地(f/2)に含まれるf/2 metalsの成分を示す。
Figure 2023064772000002
Figure 2023064772000003
(細胞増加率)
上述の培地を用いて各藻類を培養する。培養前の細胞数は、たとえば、5000~20000個/mlであり、典型的には10000個/mlである。紫外可視光分光光度計を用いて、培養開始6時間後および3日後の波長490nmにおける吸光度をそれぞれ測定する。細胞増加率は、以下の式に従って算出される。
細胞増加率=(3日後に測定された吸光度)/(6時間後に測定された吸光度)×100
表3に8種類の藻類について得られた細胞増加率を示す。
Figure 2023064772000004
<回収条件>
次に、マイクロプラスチックを含有する被処理水から前記マイクロプラスチックを回収する方法における好適な回収条件を説明する。
(マイクロプラスチック濃度と藻類濃度との関係)
系内における好適な藻類濃度は、マイクロプラスチック濃度・マイクロプラスチックの大きさ・使用する藻類の種類等により変動する。この条件設定は、例えば実施例に記載されたモデル実験を実行することにより決定可能である。
(回収時間)
系内における好適な回収時間は、マイクロプラスチック濃度・マイクロプラスチックの大きさ・使用する藻類の種類・低減目標とするマイクロプラスチック濃度等により変動する。この条件設定は、例えば実施例に記載されたモデル実験を実行することにより決定可能である。
≪藻類組成物≫
本発明に係る方法やシステムに用いる藻類は、藻類組成物であってもよい。具体的には、同種又は異種の藻類の群れである。ここで、該藻類の群れは、例えば、該藻類が生存可能な状態(例えば液体培地内)にて容器等に収納されていることが好適である。また、フリーズドライしても生存可能な藻類については、乾燥形態で取り扱ってもよい。尚、必要に応じ、該藻類組成物は、藻類以外の成分を含有していてもよい。
≪マイクロプラスチック回収システム≫
次に、本形態に係るマイクロプラスチック回収システムを説明する。尚、本明細書及び本特許請求の範囲にいう「システム」とは、装置やプラントを包含する概念である。まず、本システムは、被処理水から前記マイクロプラスチックを回収する際、マイクロプラスチック吸着回収能を有する藻類(又は粘着性物質を分泌する藻類)を利用することを特徴とするシステムである限り、特に限定されず、様々なシステムが想定される(例えば、図14は、下水処理に本発明を利用した際の概念図である)。図12は、あくまで一例であるが、濾過装置(フィルター等)を用いた、従来の回収システムと本発明の一形態の回収システムとの相違である。該図から分かるように、従来技術ではマイクロプラスチックが少量しか回収できなかったのに対し、本発明の一形態ではマイクロプラスチックが藻類に付着して塊状となるためより多く回収できるようになる。以下、該システムの一例を説明する。
<システム構成>
ここで、図1は、マイクロプラスチック回収システムの一例を示した概念図である。図1に示すように、該システム1は、水を貯留可能なマイクロプラスチック回収部1-1と、藻類を含む水をマイクロプラスチック回収部1-1に導入する藻類導入部1-2と、マイクロプラスチックを含む可能性がある被処理水をマイクロプラスチック回収部1-1に導入する被処理水導入部1-3と、マイクロプラスチック回収部1-1にて処理された水を濾過して藻類等を除去する濾過部1-4と、を有する。
なお、マイクロプラスチック回収部1-1に空気を供給する機構を設置し、マイクロプラスチック回収部1-1に貯留された水に空気を適宜供給可能とすることが好ましい。これによれば、マイクロプラスチック回収部1-1に貯留された水中で培養される藻類から分泌される粘着性物質の量が増加し、ひいては、藻類に吸着回収されるマイクロプラスチックの量を増加させることができる。
<システム機能>
次に、図2は、該マイクロプラスチック回収システムの制御ブロック図の一例である。該処理システム1は、藻類導入手段2を制御してマイクロプラスチック回収部1-1内に藻類を含む水の導入制御を司る藻類導入制御手段1-1と、被処理水導入手段3を制御してマイクロプラスチック回収部1-1内に被処理水の導入制御を司る被処理水導入制御手段1-2と、マイクロプラスチック回収部1-1内のプラスチックの存在及び/又は量を測定するMP量測定手段の制御を司るMP量測定制御手段1-3と、マイクロプラスチック回収部1-1内の水(被処理水+藻類)を攪拌する攪拌手段5の攪拌制御を司る攪拌制御手段1-4と、被処理水の処理が完了したかを判定する処理完了判定手段1-5と、被処理水の処理後に該水をマイクロプラスチック回収部1-1から排水させる排水手段6の排水制御を司る排水制御手段1-6と、を有する。
<制御>
次に、図3及び図4は、該マイクロプラスチック回収システムにおける制御フロー図の一例である。まず、ステップ1で、被処理水導入制御手段1-2は、被処理水導入手段3を制御し、マイクロプラスチック回収部1-1への被処理水の導入を開始する。次に、ステップ3で、被処理水導入制御手段1-2は、マイクロプラスチック回収部1-1に所定量の被処理水が導入されたか否かを判定する。ステップ3でYesの場合、被処理水導入制御手段1-2は、被処理水導入手段3を制御し、マイクロプラスチック回収部1-1への被処理水の導入を完了する。尚、ステップ3でNoの場合には、被処理水の導入を継続する。次に、ステップ7で、MP量測定制御手段1-3は、MP量測定手段4を用いてマイクロプラスチック回収部1-1中のMP量の測定制御を実行する。そして、ステップ9で、MP量測定制御手段1-3は、被処理水中のマイクロプラスチック量に応じ、マイクロプラスチック回収部1-1内に導入する藻類量を決定する。次に、ステップ11で、藻類導入制御手段1-1は、藻類導入手段2を制御し、例えばマイクロプラスチック回収部1-1とは別に設けられた藻類貯留部{例えば、藻類を有する水(例えば、真水、海水)が蓄えられた、例えば藻類を培養する機能を有する貯留部}からマイクロプラスチック回収部1-1に藻類を含有する水の導入を開始する。次に、ステップ13で、藻類導入制御手段1-1は、ステップ9にて決定した藻類導入量に到達したか否かを判定する。ステップ13でYesの場合、ステップ15で、藻類導入制御手段1-1は、藻類貯留部からのマイクロプラスチック回収部1-1への藻類の導入を終了する。尚、ステップ13でNoの場合には、藻類の導入を継続する。次に、ステップ17で、攪拌制御手段1-4は、マイクロプラスチック量又は濃度が所定量以下とするための攪拌時間を決定するための所定パラメータ(例えば、マイクロプラスチック濃度、導入された藻類量)に基づき、攪拌時間(処理時間)を決定する。そして、ステップ19で、攪拌制御手段1-4は、攪拌手段5を制御し、マイクロプラスチック回収部1-1内の水(マイクロプラスチック+藻類を含有する水)の攪拌を開始する。次に、ステップ21で、攪拌制御手段1-4は、ステップ17で決定した決定した攪拌時間(処理時間)に到達したか否かを判定する。ステップ21でYesの場合、攪拌制御手段1-4は、攪拌手段5を制御し、マイクロプラスチック回収部1-1内の水の攪拌を終了する。尚、ステップ21でNoの場合には、マイクロプラスチック回収部1-1内の水の攪拌を継続する。次に、ステップ25で、排水制御手段1-6は、排水手段6を制御し、マイクロプラスチック回収部1-1内の水(処理水)を排水する。尚、該排水は、その後、好適には濾過部に導入され、濾過部にてマイクロプラスチックが付着した藻類が水から除去される。その結果、マイクロプラスチックで汚染された水を、マイクロプラスチックを含まない又は低減された水とすることが可能となる。
<他の制御例1>
図5及び図6は、上記制御とは異なる制御を実行可能な別システムにおける制御フロー図の一例である。ここで、当該制御が前述した制御と異なる点はステップ21での処理である。前述した制御では、攪拌制御手段1-4がステップ17で決定した決定した攪拌時間(処理時間)に到達したか否かを判定する処理を実行している。他方、該制御では、攪拌制御手段1-4は、MP量測定手段4を用いてマイクロプラスチック回収部1-1内におけるマイクロプラスチックの有無又は量を測定し、被処理水中のMP量が所定量以下か否かを判定する。
<他の制御例2>
図7及び図8は、上記制御とは異なる制御を実行可能な、更なる別システムにおける制御フロー図の一例である。ここで、前記のシステムは、マイクロプラスチック回収部1-1内に所定量の藻類(マイクロプラスチック回収部1-1に導入された水中に含まれているマイクロプラスチック量に応じた藻類量)を導入するシステムである。他方、このシステムは、マイクロプラスチック回収部1-1内に藻類を導入(マイクロプラスチック回収部1-1内に導入された水中に含まれているマイクロプラスチックを処理可能な藻類量よりも少ない藻類量)した後に該藻類をマイクロプラスチック回収部1-1内で培養することで、マイクロプラスチック回収部1-1内に導入された水中に含まれているマイクロプラスチックの処理に十分な藻類を該回収部1-1内に存在させる点で前記システムと相違する。これを前提としてこのシステムの処理を説明すると、ステップ7で、藻類導入制御手段1-1は、藻類導入手段2を制御し、マイクロプラスチック回収部1-1内に所定量の藻類を添加する。次に、ステップ9で、MP量測定制御手段1-3がMP量測定手段4を制御してマイクロプラスチック回収部1-1内のマイクロプラスチックの存在及び/又は量を測定し、次いで、処理システム1は「被処理水中のマイクロプラスチック量」と「導入した藻類量」とに基づき、藻類の培養条件を決定する(時間、温度等)。尚、本例では培養条件として時間を例に採り説明する。次に、ステップ13で、処理システム1は、ステップ9で決定した培養時間に到達したか否かを判定する。ステップ13でYesの場合、ステップ15で、処理システム1は、マイクロプラスチック回収部1-1内での藻類の培養を終了する。他方、ステップ13でNoの場合、藻類の培養を継続する。
≪有用性≫
本発明は、陸の無農薬(オーガニック)農産物に相当する、NonMicroPlastic水産物・safe and secure seafoodを作る点で有用である。特に、本発明は、環境中のマイクロプラスチックを摂取しないために、陸上養殖施設へ導入が有望である。例えば、海ぶどう、海苔、ヤイトハタ(高級魚)、牡蠣、ウニ、エビといった養殖を挙げることができる。更に、本発明は、消費者にとっては沿岸MPの除去という環境貢献につながる。更に、マイクロプラスチック回収に用いられた藻類は、図13の用途でも利用可能である。
≪藻類の培養≫
実験に使用する藻類(表4参照)を1Lスケールで培養した。この際、濁度計(CO8000 Biowave)を使用し、濁度を測定、記録した。例えば、スケルトネマ属又は5~10μm程度の藻類は、7000cells/mlを目安とした。尚、 藻類細胞数が7000cells/mlより多い場合は、培地等で希釈した。他方、少ない場合は、2~3時間後に上静を取り除き調整した。その後、よく懸濁した19.648mlの培養液を70ml細胞培養フラスコに入れた(3個用意)。また、コントロールとして19.648 mlの培地を新しい70ml細胞培養フラスコに入れた{4個用意(4個の内1つは検量線作成用)}。更に、紫外可視光分光光度計で吸光度を測定する際のBase line補正用として、よく懸濁した培養液を20ml程度用意した。次に、培養液の入った70ml細胞培養フラスコに2μmのビーズ液(マイクロプラスチックを模したPVC(ポリ塩化ビニル)製のビーズが分散された水溶液)352μl(5.68×10ビーズ/ml)を入れた。その後、ピペッティングにより混合し、20℃人工気象器に入れ静置培養を行った(1日間)。尚、図11は、使用した各種藻類の拡大写真である。図中、点線が細胞表面を示しており、実線が粘着性物質の界面を示している。また、表5は、一般的記載にて記載した手法にて算出した粘着性成分の量である。
Figure 2023064772000005
Figure 2023064772000006
≪マイクロプラスチック回収試験≫
前記≪藻類の培養≫で得られたフラスコ{上記各藻類が培養された、終濃度1×10ビーズ(2μm)/mlの液}を揺らさないように、人工気象器から該フラスコを取り出した。この際、図9に示すように、沈殿物が確認された。この後、旋回とピペッティングにより懸濁させた。次に、50mlチューブに50μmセルストレーナー(pluriStrainer 50μm)を、コネクターリングを使いセット・ラベルした(検量線用以外の細胞培養フラスコの数用意)。そして、全培養フラスコを各セルストレーナーでシリンジを使い減圧濾過した(検量線用は濾過しない)。その後、一次濾過したサンプルは蓋をして実験台に保管した。そして、検量線を作成し、藻類によるbeads回収率を推定するため、検量線用のbeads希釈系列を作成した。具体的には、beads未添加の培地をbeads濃度0として、ストック濃度1.00×10beads/mlから1/2希釈を繰り返して 3.13×10beads/ml、6.25×10beads/ml、1.25×10beads/ml、2.50×10beads/ml、5.00×10beads/mlを調製した。
≪マイクロプラスチック回収測定試験≫
紫外可視光分光光度計BioSpec-Mini(島津製作所)を使用してbeadsの蛍光である267nmの吸光度測定を行った。この際、藻類のbeads回収率を推定するため、検量線用のbeads希釈系列を測定し、検量線を作成して一次回帰式を得た。そして、藻類培養培地+beads溶液の50μmセルストレーナー透過液をsampleとして吸光度測定を行い、検量線によって得られた一次回帰式から透過液中のbeads濃度を算出した。同様の作業を培養していない培地+beads溶液の50μmセルストレーナー透過液をcontrolとして吸光度測定を行い、検量線によって得られた一次回帰式から透過液中のbeads濃度を算出した。そして、sample中のbeads濃度とcontrol中のbeads濃度からbeadsの回収率を算出した。その結果を表6に示す。
Figure 2023064772000007
<<<<第2の実施の形態の概要>>>>
前述した第1の実施の形態の他の制御例2で説明したように、マイクロプラスチックを回収するための回収処理槽に藻類を導入し、藻類を回収処理槽内で培養することもできる。このように構成することで、回収処理槽内で、マイクロプラスチックを除去するともに藻類を育成することで、藻類を過度に追加することなく処理を継続することができる。
例えば、稼働の当初では少量の藻類を回収処理槽に設けておき、マイクロプラスチックの除去の処理とともに、回収処理槽内で藻類を培養させていく。このようにすることで、当初の藻類の量を少なくすることで安価なシステムを提供でき、稼働後の藻類の培養によりマイクロプラスチック除去の能力を向上させたり維持したりできる。
マイクロプラスチックの除去環境と藻類の培養環境との双方の環境を両立させることができる。このようにして、効率よくマイクロプラスチックを除去することができる。
<<被処理水及び培養水>>
第2の実施の形態では、被処理水及び培養水は、名称を異にするが、槽本体260(後述する)(回収処理槽)に収容された状態では同じ媒体である。槽本体260でマイクロプラスチックの除去する観点では被処理水と称し、槽本体260で藻類を培養する観点では培養水と称する。すなわち、被処理水が槽本体260に導入されると、被処理水は、マイクロプラスチックを除去する対象であるともに、槽本体260に設けられた藻類の培養水として機能する。
<<第2の実施の形態における第1の特徴>>
第2の実施の形態における第1の特徴によれば、
マイクロプラスチック吸着回収能を有する藻類の培養環境を提供する培養水の性状(例えば、後述する撮像画像データ、温度、湿度、pH、二酸化炭素濃度など)に基づいて藻類の培養状態(例えば、後述する藻類の細胞濃度、細胞サイズ、増殖速度、細胞寿命(年齢)、粘着性物質分泌濃度など)を決定する藻類培養状態決定ステップであって、マイクロプラスチックの吸着回収処理の対象である被処理水を前記培養水とする、藻類培養状態決定ステップ(例えば、後述する図19のステップS509の解析処理など)と、
前記藻類の培養状態に基づいて前記培養水の培養環境(例えば、後述する処理水供給速度、藻類供給速度、光照射時間、温度、二酸化炭素供給量又は給気量など)を決定する培養水環境決定ステップ(例えば、図19のステップS509の制御量決定など)と、を備える藻類培養環境調整方法が提供される。
藻類培養環境調整方法は、藻類培養状態決定ステップ及び培養水環境決定ステップを備える。
藻類培養状態決定ステップは、藻類の培養環境を提供する培養水の性状を示す情報に基づいて藻類の培養状態を決定する。培養水は、藻類の培養環境を提供する。培養水は、マイクロプラスチックを含む。培養水は、マイクロプラスチックの吸着回収処理の対象である被処理水である。藻類培養状態決定ステップは、培養水の性状から藻類の培養状態を決定するステップである。
培養水環境決定ステップは、藻類の培養状態から培養水の培養環境を決定するステップである。
マイクロプラスチックの回収処理槽(例えば、後述するマイクロプラスチック・藻類処理槽250)内では、マイクロプラスチックが除去されるだけでなく、藻類が培養される。回収処理槽内で藻類を培養できるので、当初、回収処理槽に少量の藻類を設け、その後、藻類の培養によって、マイクロプラスチックの回収処理に必要な量に至るまで藻類を育てることができる。このように構成することで、回収処理槽において、少量の藻類から始めて藻類を増やしつつ、マイクロプラスチックの回収処理を継続することができる。
前述したように、藻類は、マイクロプラスチックの回収処理槽内で培養される。回収処理槽は、培養水の性状を検出する検出手段(例えば、後述するカメラ282や、温度計284や、湿度計286や、pH計測器288や、二酸化炭素濃度計測器292など)を有するのが好ましい。検出手段によって、培養水の性状をモニタリングすることができる。なお、検出手段は、培養水の性状だけでなく、藻類の状態やマイクロプラスチックの状態を検出してもよい。藻類培養状態決定ステップが実行されるよりも前に、マイクロプラスチックの回収処理槽側では、検出手段によって培養水の性状をモニタリングし、培養水の性状を示す情報を生成される。
マイクロプラスチックの回収処理槽は、培養水の培養環境を制御する制御手段(例えば、後述する被処理水導入バルブ262Vや、藻類導入バルブ264Vや、排出口バルブ266Vや、攪拌装置274や、光源276や、温度コントローラ278など)を有するのが好ましい。制御手段によって、培養水の培養環境を制御することができる。培養水環境決定ステップが実行された後に、決定された藻類の培養状態に基づいて、回収処理槽側で、培養水の培養環境を制御する処理が実行される。
<<第2の実施の形態における第2の特徴>>
第2の実施の形態における第2の特徴は、第1の特徴において、
前記藻類培養状態決定ステップは、培養水を撮像した撮像結果を前記培養水の性状を示す情報として、藻類の培養状態を決定する。
培養水を撮像した撮像結果に基づいて、藻類の培養状態を決定する。撮像結果を用いればよく、藻類の培養状態を簡便に決定することができる。
<<第2の実施の形態における第3の特徴>>
第2の実施の形態における第3の特徴によれば、
マイクロプラスチック吸着回収能を有する藻類の培養環境を提供する培養水の性状に基づいて藻類の培養状態を決定する藻類培養状態決定部であって、マイクロプラスチックの吸着回収処理の対象である被処理水を前記培養水とする、藻類培養状態決定部と、
前記藻類の培養状態に基づいて前記培養水の培養環境を決定する培養水環境決定部と、を備える藻類培養環境調整サーバが提供される。
サーバ(例えば、後述するマイクロプラスチック・藻類管理サーバ110など)とマイクロプラスチックの回収処理槽(例えば、後述するマイクロプラスチック・藻類処理槽250)との間には、各種の通信をすることができる通信手段(例えば、通信ネットワーク100や、送受信手段300など)を有するのが好ましい。サーバは、通信手段を介して、マイクロプラスチックの回収処理槽を遠隔(リモート)にモニタリングしたり制御したりすることができる。
<<第2の実施の形態における第4の特徴>>
第2の実施の形態における第4の特徴は、第3の特徴において、
前記藻類培養状態決定部は、培養水を撮像した撮像結果を前記培養水の性状として、藻類の培養状態を決定する。
<<第2の実施の形態における第5の特徴>>
第2の実施の形態における第5の特徴は、第3の特徴において、
前記藻類培養状態決定部は、培養水の温湿度、培養水のpH、培養水に含まれる二酸化炭素の濃度のうちの少なくとも一つを前記培養水の性状として、藻類の培養状態を決定する。
<<第2の実施の形態における第6の特徴>>
第2の実施の形態における第6の特徴は、第3の特徴において、
前記培養水環境決定部は、藻類の細胞濃度、藻類の細胞サイズ、藻類の増殖速度、藻類の細胞寿命、藻類の粘着性物質分泌濃度のうちの少なくとも一つを前記藻類の培養状態として、前記培養水の培養環境を決定する。
<<第2の実施の形態における第7の特徴>>
第2の実施の形態における第7の特徴は、第3の特徴において、
前記培養水環境決定部は、前記藻類の培養状態に基づいて、前記被処理水の供給速度、藻類の供給速度、前記培養水への光照射時間、前記培養水の温度、前記培養水に供給する二酸化炭素供給量、前記培養水に供給する空気の量のうちの少なくとも一つを前記培養水の培養環境として決定する。
<<<<第2の実施の形態の詳細>>>>
以下に、第2の実施の形態について図面に基づいて説明する。
<<<マイクロプラスチック・藻類管理システム10>>>
図15は、マイクロプラスチック・藻類管理システム10の構成の概略を示す概略図である。
マイクロプラスチック・藻類管理システム10は、主に、通信ネットワーク100とマイクロプラスチック・藻類管理サーバ110とマイクロプラスチック・藻類処理部200とを有する。第2の実施の形態では、マイクロプラスチック・藻類処理部200は、単数でも複数でもよい。複数のマイクロプラスチック・藻類処理部200を設けることにより、互いに異なる場所で、マイクロプラスチックの除去処理を同時に実行することができる。マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110及びマイクロプラスチック・藻類処理部200は、通信ネットワーク100を介して互いに通信可能に接続されている。
<<通信ネットワーク100>>
通信ネットワーク100は、インターネットのほか、社内LAN(Local Area Network)などデータやコマンドなどの各種の情報を送受信できる回線であればよく、有線でも無線でもよい。
<<マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110>>
マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110は、マイクロプラスチック・藻類管理システム10の管理者や提供者や運営者など(以下、運営者等と称する。)が管理したり所有したりして操作することができるサーバである。マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110は、主に、マイクロプラスチック・藻類処理部200との間で、各種の情報を送受信し合うことができる。
マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110は、主に、CPU(中央処理装置)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)、I/F(通信インターフェース装置)や入力操作装置(キーボード、マウス、タッチパネルなど)や表示装置(液晶ディスプレイ、タッチパネルなど)などを備えた各種のパーソナルコンピュータやワークステーションなどにすることができる。マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110は、各種の演算処理及びデータ処理や、マイクロプラスチック・藻類処理部200との通信処理などの各種の処理を実行できる。
マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110がアクセス可能なHDDには、各種のプログラムが記憶されている。HDDには、例えば、各種の処理等を実行するプログラム(後述する図19及び図20に示すフローチャート参照)や、後述するデータベースマネジメントシステムや、データベースなどが記憶される。なお、各種のプログラムの記憶のために、HDDのみならず、SSD(ソリッドステートドライブ)や、各種のメモリーカードなどの補助記憶装置も適宜に用いてもよい。
マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110は、データベースマネジメントシステム(以下、DBMSと称する)を介してアクセス可能なデータベースを有する。データベースは、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110がアクセス可能なHDDの所定の記憶領域に読み書き可能に形成されている。
データベースは、主に、機械学習をするための各種の情報が記憶される。機械学習は、藻類を適切に培養するための環境に制御する処理である。なお、機械学習は、藻類を適切に培養するための環境だけでなく、マイクロプラスチックを適切に除去できる環境に制御するための処理を含めてもよい。
具体的には、データベースには、撮像画像データと、温度と、湿度と、pHと、二酸化炭素濃度と、撮像画像データの撮像時刻と、温度、湿度、pH、二酸化炭素濃度の計測時刻とが読み書き可能に記憶される。さらに、機械学習をするために、細胞濃度、細胞サイズ、増殖速度、細胞寿命(年齢)、粘着性物質分泌濃度、培養液の全体の色などもデータベースに記憶される。マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110は、マイクロプラスチック・藻類処理部200から新たな情報を受信するたびにデータベースを更新する。撮像時刻や計測時刻もデータベースに登録することで、撮像画像や温度や湿度やpHや二酸化炭素濃度の時間変化も含めて解析することができる。
図18は、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110の構成を示す機能ブロック図である。
マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110は、
データ収集部112と、
データ蓄積部114と、
培養状態決定部116と、
制御決定部118と、
報知決定部120と、
機械学習部122と、
予測モデル記憶部124と、
を有する。
<データ収集部112>
データ収集部112は、通信ネットワーク100を介して、計測データ入力手段220によって入力された各種の情報を収集する。具体的には、データ収集部112は、カメラ282による撮像画像データ、温度計284による温度、湿度計286による湿度、pH計測器288によるpH、二酸化炭素濃度計測器292による二酸化炭素濃度、MP量測定手段294によるマイクロプラスチック量を取得する。データ収集部112によって、いわゆるセンサーモニタリング装置が構成される。
<データ蓄積部114>
データ蓄積部114は、データ収集部112によって収集した各種の情報を蓄積する。具体的には、データ蓄積部114は、データ収集部112によって収集した各種の情報をデータベースに登録する。
<培養状態決定部116>
培養状態決定部116は、データベースに登録された各種の情報を読み出して、藻類の培養状態を決定する。具体的には、培養状態決定部116は、藻類の培養状態として、藻類の細胞濃度、藻類の細胞サイズ、藻類の増殖速度、藻類の細胞寿命、藻類の粘着性物質分泌濃度を決定する。
培養状態決定部116は、撮像画像データに各種の画像処理を施して、藻類の培養状態や藻類の培養状態の時間的な変化などの培養状態を決定する。例えば、撮像画像に含まれている藻類の細胞の画像から、藻類の細胞の数や大きさや、数や大きさの時間変化などから培養状態を決定することができる。
また、培養状態決定部116は、各種の自然科学の法則などに基づいて理論的に定められた式や、各種の実験結果に基づいて経験的に得られた式や、主成分分析などの統計的処理の結果に基づいて得られた式や、各種の機械学習などで得られた予測モデルなどを用いて、藻類の培養状態を決定することができる。培養状態決定部116は、藻類の培養状態の種類などに応じて、画像データを用いた手法でも式や予測モデルを用いた手法でも、適宜に選択して用いることができる。
前述した例では、藻類の培養状態として、藻類の細胞濃度、藻類の細胞サイズ、藻類の増殖速度、藻類の細胞寿命、藻類の粘着性物質分泌濃度を用いたが、これらに限られない。例えば、藻類の培養状態に、コンタミネーション(他の細菌や藻類の繁殖)を含めてもよい。コンタミネーションが発生すると、藻類そのものの色合いが変化し、培養液の全体の色が変化する。このため、培養液の全体の色の変化が、通常変化とは異なることを判断することで、コンタミネーションの発生の予測や検出をすることができる。藻類の種類や量やマイクロプラスチックの種類や量などに応じて、各種のパラメータを適宜に用いることができる。
<制御決定部118>
制御決定部118は、培養状態決定部116によって決定された藻類の培養状態に応じて、各種の制御量を決定する。具体的には、制御決定部118は、制御量として、処理水供給速度、藻類供給速度、光照射時間、温度、二酸化炭素の供給量又は給気量を決定する。これらの制御量に基づいて、マイクロプラスチック・藻類処理槽250の被処理水導入バルブ262V、藻類導入バルブ264V、排出口バルブ266V、攪拌装置274、光源276、温度コントローラ278が制御される。
<報知決定部120>
報知決定部120は、マイクロプラスチック・藻類処理部200のマイクロプラスチック・藻類制御部210の表示装置(後述する)に表示する各種の報知情報や報知タイミングなどを決定する。例えば、報知決定部120は、藻類の追加時期(発注タイミング)や追加量や、栄養塩の追加時期(発注タイミング)や追加量や、槽本体260のクリーニング時期(報知)や、槽本体260における藻類の回収時期や、培養水(被処理水)のコンタミネーションの可能性や、培養水(被処理水)の殺菌・殺藻や水の交換などの報知情報や、十分に生育して回収すべき藻類の回収時期や、これらの情報を報知するタイミングなどを決定する。
<機械学習部122>
機械学習部122は、データ収集部112で収集されたカメラ282の撮像画像データを説明変数として、細胞濃度、細胞サイズ、増殖速度、細胞寿命、粘着性物質分泌濃度を目的変数して機械学習する。機械学習部122は、機械学習により、予測モデルを生成する。生成した予測モデルを用いることで、新たに撮像したカメラ282の撮像画像データから、細胞濃度、細胞サイズ、増殖速度、細胞寿命、粘着性物質分泌濃度を予測し、藻類の培養状態、成長状態、健康状態などの判断することができる。
<予測モデル記憶部124>
予測モデル記憶部124は、機械学習部122によって生成された予測モデルを記憶する。例えば、予測モデル記憶部124は、機械学習で用いたアルゴリズムによって決定された各種の係数などを記憶する。
<<マイクロプラスチック・藻類処理部200>>
マイクロプラスチック・藻類処理部200は、マイクロプラスチックを処理する者(処理機関や処理業者など)が管理したり所有したりして操作することができる装置である。
マイクロプラスチック・藻類処理部200からマイクロプラスチック・藻類管理サーバ110に各種の情報を送信する。また、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110からマイクロプラスチック・藻類処理部200に各種の制御量や各種の報知情報を受信したりする。送受信される各種の情報などは後述する。
マイクロプラスチック・藻類処理部200は、マイクロプラスチック・藻類制御部210及びマイクロプラスチック・藻類処理槽250を有する。
<マイクロプラスチック・藻類制御部210>
マイクロプラスチック・藻類制御部210は、主に、CPU(中央処理装置)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)、入出力インターフェース(デジタル入出力やアナログ入出力などのインターフェース)、I/F(通信インターフェース装置)や入力操作装置(キーボード、マウス、タッチパネルなど)や表示装置(液晶ディスプレイ、タッチパネルなど)などを備えた各種のパーソナルコンピュータやワークステーションなどにすることができる。マイクロプラスチック・藻類制御部210は、各種の演算処理及びデータ処理や、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110との通信処理などの各種の処理を実行できる。
図16は、マイクロプラスチック・藻類処理部200の構成を示す機能ブロック図である。図16に示すように、マイクロプラスチック・藻類制御部210は、
計測データ入力手段220と、
被処理水導入制御手段232と、
藻類導入制御手段234と、
MP量測定制御手段236と、
攪拌制御手段238と、
処理完了判定手段240と、
排水制御手段242と、
光源制御手段244と、
温度制御手段246と、を有する。
<計測データ入力手段220>
計測データ入力手段220は、各種のデータを入力する。計測データ入力手段220は、第1の実施の形態の被処理水導入制御手段1-2に対応する。計測データ入力手段220は、マイクロプラスチック・藻類処理槽250の
カメラ282と、
温度計284と、
湿度計286と、
pH計測器288と、
二酸化炭素濃度計測器292と、
MP量測定手段294と、に入出力インターフェースを介して接続されている。
計測データ入力手段220は、カメラ282による撮像画像データや、温度計284による温度、湿度計286による湿度、pH計測器288によるpH、二酸化炭素濃度計測器292による二酸化炭素濃度や、MP量測定手段294によるマイクロプラスチック量を取得する。計測データ入力手段220よって取得された各種の計測データは、通信ネットワークを介して、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110に送信される。
カメラ282は、偏光カメラ、顕微カメラ、赤外線カメラ、可視光カメラを有する。偏光カメラは、被写体が有する偏光情報を取得できる。偏光カメラによって、生物の細胞などの無色透明な微小サンプルも明確に区別して撮像でき、どのような種類の細胞であるのかという情報を得ることができる。顕微カメラ又は顕微鏡カメラは、×10~×1000の範囲で、微細な細胞を拡大して撮像し、細胞種類の情報を得ることができる。赤外線カメラは、熱情報や赤外光・近赤外光を発するタンパク質などを元にして、細胞を区別して撮像できる。可視光カメラは、可視光の波長範囲で被対象物を撮像することができる。
カメラ282は、偏光カメラ、顕微カメラ、赤外線カメラ、可視光カメラの全てではなく、少なくとも一つを有するように構成してもよい。藻類の種類や藻類の細胞などの撮像する対象に応じて適宜に選択して構成すればよい。
MP量測定手段294は、例えば、マイクロプラスチックを染色することによりマイクロプラスチックの量や大きさを測定することができる。
温度、湿度、pH、二酸化炭素濃度は、藻類の生存や増殖に影響を及ぼす。温度、湿度、pH、二酸化炭素濃度は、最適な範囲に含まれるように制御する必要がある。最適な範囲から外れると、藻類の増殖速度に影響を与える。
<被処理水導入制御手段232>
被処理水導入制御手段232は、槽本体260に被処理水を導入する。被処理水導入制御手段232は、第1の実施の形態の被処理水導入制御手段1-2に対応する。被処理水導入制御手段232は、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110で決定され送信された処理水供給速度に基づいて、被処理水の導入を制御する。被処理水は、槽本体260と別体の貯留タンクなど(図示せず)に貯留されている。被処理水導入制御手段232の制御によって、所望する量の被処理水が、貯留タンクから槽本体260に導入される。
<藻類導入制御手段234>
藻類導入制御手段234は、槽本体260に藻類を導入する。藻類導入制御手段234は、第1の実施の形態の藻類導入制御手段1-1に対応する。藻類導入制御手段234は、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110で決定され送信された藻類供給速度に基づいて、藻類の導入を制御する。藻類は、槽本体260と別体の貯留タンクなど(図示せず)に貯留されている。藻類導入制御手段234の制御によって、所望する量の藻類が、貯留タンクから槽本体260に導入される。
<MP量測定制御手段236>
MP量測定制御手段236は、槽本体260に存在するマイクロプラスチックの量を測定する。MP量測定制御手段236は、第1の実施の形態のMP量測定制御手段1-3に対応する。MP量測定制御手段236は、マイクロプラスチックの数や大きさも測定できる。
<攪拌制御手段238>
攪拌制御手段238は、攪拌装置274によって槽本体260に貯留された培養水(被処理水)を攪拌する。攪拌制御手段238は、第1の実施の形態の攪拌制御手段1-4に対応する。攪拌装置274は、二酸化炭素や空気を培養水(被処理水)に供給することで培養水(被処理水)を攪拌する。攪拌制御手段238は、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110から送信された二酸化炭素の供給量又は給気量に基づいて、攪拌装置274を制御して、二酸化炭素や空気の供給を調整する。
<処理完了判定手段240>
処理完了判定手段240は、マイクロプラスチックの除去処理を終了するか否かを判定する。処理完了判定手段240は、第1の実施の形態の処理完了判定手段1-5に対応する。
<排水制御手段242>
排水制御手段242は、槽本体260に貯留された培養水(被処理水)を排出する。排水制御手段242は、排水制御手段1-6に対応する。
<光源制御手段244>
光源制御手段244は、マイクロプラスチック・藻類処理槽250の光源276を制御する。光源制御手段244は、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110で決定され送信された光照射時間に基づいて、光源276の点灯及び消灯並びに点灯及び消灯のタイミングを制御する。例えば、光源276を、12時間点灯させることで昼間の状態を形成し、12時間消灯させることで夜間の状態を形成できる。また、光源制御手段244は、光源276から発する光の発光強度なども制御してもよい。さらに、光源276が、複数の波長領域の各々に対応する発光素子を有し、発光素子を切り替えて発光できる場合には、発光する波長領域を制御できる。マイクロプラスチックの種類や、藻類の細胞の種類などの撮像対象に応じて、適宜に、波長領域を選択して照明することができる。
<温度制御手段246>
温度制御手段246は、マイクロプラスチック・藻類処理槽250の温度コントローラ278を制御する。温度制御手段246は、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110で決定され送信された温度に基づいて、温度コントローラ278を制御して、培養水(被処理水)の温度を調節する。
<送受信手段300>
送受信手段300は、通信ネットワーク100を介して、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110との間で各種の情報を送受信する。
例えば、送受信手段300は、カメラ282で撮像した撮像画像データや、温度計284で計測した温度や、湿度計286で計測した湿度や、pH計測器288で計測したpHや、二酸化炭素濃度計測器292で計測した二酸化炭素濃度や、MP量測定手段294で計測したマイクロプラスチック量などをマイクロプラスチック・藻類管理サーバ110に送信する。
また、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110が決定した処理槽制御用パラメータ、例えば、処理水供給速度や、藻類供給速度や、光照射時間や、温度や、二酸化炭素供給量又は給気量を受信する。受信したこれらの情報に基づいて、マイクロプラスチック・藻類制御部210は、被処理水導入バルブ262Vや、藻類導入バルブ264Vや、排出口バルブ266Vや、攪拌装置274や、光源276や、温度コントローラ278を制御する。
<マイクロプラスチック・藻類処理槽250>
図16及び図17に示すように、マイクロプラスチック・藻類処理槽250は、
槽本体260と、
被処理水導入口262と、
被処理水導入バルブ262Vと、
藻類導入口264と、
藻類導入バルブ264Vと、
排出口266と、
排出口バルブ266Vと、
蓋体268と、
カメラ支持筒272と、
攪拌装置274と、
光源276と、
温度コントローラ278と、を有する。
図17では、1つの槽本体260のみからなるマイクロプラスチック・藻類処理槽250を示したが、マイクロプラスチック・藻類処理槽250は、複数の槽本体260を有してもよい。複数の槽本体260を有する場合には、複数の槽本体260を、並列、直列、並列と直接との組み合わせによって連結してもよい。被処理水の供給や排水は、複数の槽本体260の各々で制御されるのが好ましい。
<槽本体260>
槽本体260は、培養水(被処理水)と藻類とを収容する容器である。槽本体260において、マイクロプラスチックの除去処理や、藻類の培養処理が行われる。槽本体260は、主に、ガラスやプラスチックなどによって構成される。槽本体260の種類は、培養水(被処理水)や藻類の種類などに応じて適宜に定めればよい。槽本体260は、透明などの透光性を有するものが好ましい。
槽本体260の大きさや形状は、培養水(被処理水)及び藻類の量などに応じて適宜に定めればよい。
<被処理水導入口262及び被処理水導入バルブ262V>
マイクロプラスチック・藻類処理槽250は、被処理水導入口262及び被処理水導入バルブ262Vを有する。被処理水導入口262は、被処理水を槽本体260に導入するための開口である。被処理水導入バルブ262Vは、開閉バルブである。被処理水導入バルブ262Vの開閉は、被処理水導入制御手段232によって制御される。被処理水導入バルブ262Vが開状態となったときに、被処理水が、被処理水導入口262を介して槽本体260に導入される。被処理水導入バルブ262Vが閉状態となったときには、被処理水は、槽本体260に導入されない。
<藻類導入口264及び藻類導入バルブ264V>
マイクロプラスチック・藻類処理槽250は、藻類導入口264及び藻類導入バルブ264Vを有する。藻類導入口264は、藻類を槽本体260に導入するための開口である。藻類導入バルブ264Vは、開閉バルブである。藻類導入バルブ264Vの開閉は、藻類導入制御手段234によって制御される。藻類導入バルブ264Vが開状態となったときに、藻類が、藻類導入口264を介して槽本体260に導入される。藻類導入バルブ264Vが閉状態となったときには、藻類は、槽本体260に導入されない。
<排出口266及び排出口バルブ266V>
マイクロプラスチック・藻類処理槽250は、排出口266及び排出口バルブ266Vを有する。排出口266は、培養水(被処理水)を槽本体260から排出するための開口である。排出口バルブ266Vは、開閉バルブである。排出口バルブ266Vの開閉は、排水制御手段242によって制御される。排出口バルブ266Vが開状態となったときに、培養水(被処理水)が、排出口266を介して槽本体260から排出される。排出口バルブ266Vが閉状態となったときには、被処理水は、槽本体260から排出されない。
<蓋体268>
マイクロプラスチック・藻類処理槽250は、蓋体268を有する。蓋体268は、槽本体260の開口部を覆う。蓋体268によって、槽本体260内の環境を維持することができる。
<カメラ支持筒272>
蓋体268は、開口269を有する。カメラ支持筒272が、蓋体268の開口269に挿通されて設けられる。カメラ支持筒272は、円筒状の形状を有する。カメラ支持筒272は、互いに向かい合う2つの開口部273a及び273bを有する。開口部273a及び273bは、円状の形状を有する。第1の開口部273aには、カメラ(レンズ部)が取り付けられる。第2の開口部273bは、槽本体260の培養水(被処理水)中に位置付けられる。
カメラ支持筒272は、半透明の材質で構成される。カメラ支持筒272を半透明にすることで、カメラ支持筒272の内側に進入する光を拡散させ強度を均一に近づける。カメラ支持筒272の内側に存在する培養水(被処理水)を、均一に近い強度の光で照明でき、培養水(被処理水)を安定化させホワイトバランスを一定化させて撮像することができる。
カメラ支持筒272の材質や形状や大きさは、培養水(被処理水)や藻類を撮像できるものであればよい。
カメラ支持筒272は、筒部の内部にカラーチャート(色見本を配列させた板など)を有する。カラーチャートを培養水(被処理水)や藻類とともに撮像することで、カラーチャートの色を基準にしてホワイトバランスやカラーバランスを調節しつつ撮像することができる。
前述したように、カメラ282は、偏光カメラ、顕微カメラ、赤外線カメラ、可視光カメラを有する。カメラ支持筒272は、これらのカメラごとに別個に蓋体268に設けられて、蓋体268の各々に、偏光カメラ、顕微カメラ、赤外線カメラ、可視光カメラが設けられる。カメラ支持筒272を別個にすることで、光軸を互いに別にすることができ、的確に撮像することができる。
<攪拌装置274>
攪拌装置274は、槽本体260内の培養水(被処理水)を攪拌する。攪拌装置274は、空気で攪拌するものでもよい。攪拌装置274は、攪拌翼(プロペラやファンなど)で攪拌するものでも、空気と攪拌翼との双方で攪拌するものでもよい。
<光源276>
光源276は、槽本体260内の培養水(被処理水)を照明する。光源276は、培養水(被処理水)及び藻類の照明に適した波長の光を発する。例えば、光源276は、可視光を発する。
また、光源276は、藻類の育成に適した波長や照明条件で照明してもよい。例えば、適宜に、点灯及び消灯を繰り返し、疑似的に昼夜を作り出してもよい。
<温度コントローラ278>
温度コントローラ278は、湿度計286が測定した温度に基づいて、槽本体260内の培養水(被処理水)の温度を制御する。槽本体260内の培養水(被処理水)の温度を、藻類の培養に適した温度にすることで、藻類の生存や増殖に適した環境を提供する。
<<<マイクロプラスチック・藻類管理システム10における処理>>>
図19は、マイクロプラスチック・藻類管理システム10における処理を示すフローチャートである。
<<マイクロプラスチック・藻類制御部210における処理1>>
最初に、マイクロプラスチック・藻類制御部210のCPUは、カメラ282によって培養水(被処理水)を撮像する(ステップP501)。
次に、マイクロプラスチック・藻類制御部210のCPUは、温度計284によって培養水(被処理水)の温度を計測し、湿度計286によって、槽本体260が設置されている環境の湿度を計測する(ステップP503)。
次に、マイクロプラスチック・藻類制御部210のCPUは、pH計測器288によってpHを計測し、二酸化炭素濃度計測器292によって二酸化炭素濃度を計測する(ステップP505)。
次に、マイクロプラスチック・藻類制御部210のCPUは、撮像した撮像画像データや、計測した各種の計測結果をマイクロプラスチック・藻類管理サーバ110に送信する(ステップP507)。
<<マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110における処理1>>
次に、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110のCPUは、マイクロプラスチック・藻類制御部210から送信された撮像画像データ及び各種の計測結果を受信する(ステップS507)。
次に、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110のCPUは、受信した撮像画像データ及び各種の計測結果を解析し、各種の制御量及び報知情報を決定する(ステップS509)。
ステップS509の解析によって、藻類の細胞濃度、細胞サイズ、増殖速度、細胞寿命(年齢)、粘着性物質分泌濃度などの藻類の培養状態を決定することができる。これらの解析結果に基づいて、各種の制御量及び報知情報を決定する。制御量は、処理水供給速度、藻類供給速度、光照射時間、温度、二酸化炭素供給量又は給気量などである。また、報知情報は、藻類の追加時期(発注タイミング)や追加量や、栄養塩の追加時期(発注タイミング)や追加量や、槽本体260のクリーニング時期(報知)や、槽本体260における藻類の回収時期や、培養水(被処理水)のコンタミネーションの可能性や、培養水(被処理水)の殺菌・殺藻や水の交換や、十分に生育して回収すべき藻類の回収時期などである。
次に、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110のCPUは、決定した各種の制御量をマイクロプラスチック・藻類制御部210に送信する(ステップS511)。
次に、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110のCPUは、決定した報知情報をマイクロプラスチック・藻類制御部210に送信する(ステップS513)。
<<マイクロプラスチック・藻類制御部210における処理2>>
マイクロプラスチック・藻類制御部210のCPUは、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110のCPUから送信された各種の制御量を受信する(ステップP511)。
次に、マイクロプラスチック・藻類制御部210のCPUは、受信した各種の制御量に基づいて各種の装置を制御する(ステップP512)。マイクロプラスチック・藻類制御部210のCPUは、前述したように、被処理水導入バルブ262V、藻類導入バルブ264V、排出口バルブ266V、攪拌装置274、光源276、温度コントローラ278を制御する。
次に、マイクロプラスチック・藻類制御部210のCPUは、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110のCPUから送信された各種の報知情報を受信する(ステップP513)。
次に、マイクロプラスチック・藻類制御部210のCPUは、受信した各種の報知情報に基づいて各種の情報を報知する(ステップP515)。マイクロプラスチック・藻類制御部210のCPUは、前述したように、藻類の追加時期(発注タイミング)や追加量や、栄養塩の追加時期(発注タイミング)や追加量や、槽本体260のクリーニング時期(報知)や、槽本体260における藻類の回収時期や、培養水(被処理水)のコンタミネーションの可能性や、培養水(被処理水)の殺菌・殺藻や水の交換や、十分に生育して回収すべき藻類の回収時期や、これらの情報を報知するタイミングなどを決定する。
マイクロプラスチック・藻類処理槽250によって、MP除去型水質浄化槽(マイクロプラスチック除去型水質浄化槽)を構成できる。マイクロプラスチック・藻類管理システム10によって、MP除去型水質浄化槽を遠隔操作(リモート操作)する遠隔コントロールシステムを構成できる。
<<<機械学習処理>>>
図20は、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110の機械学習処理を示すフローチャートである。
最初に、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110のCPUは、データベースから、撮像画像データを読み出す(ステップS601)。
次に、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110のCPUは、データベースから、細胞濃度、細胞サイズ、増殖速度、細胞寿命(年齢)、粘着性物質分泌濃度、培養液の全体の色を読み出す(ステップS603)。
次に、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110のCPUは、撮像画像データを説明変数とし、細胞濃度、細胞サイズ、増殖速度、細胞寿命(年齢)、粘着性物質分泌濃度、培養液の全体の色を目的変数として、機械学習により予測モデルを生成する(ステップS605)。具体的には、撮像画像データに各種の画像処理を施し、輪郭を抽出して得られる藻類の細胞の数や大きさや形状や、撮像画像データから得られる培養液の色や濃さ(明るさやコントラストなど)などを説明変数として機械学習するのが好ましい。
次に、マイクロプラスチック・藻類管理サーバ110のCPUは、生成した予測モデルを記憶する(ステップS607)。
前述した例では、細胞濃度、細胞サイズ、増殖速度、細胞寿命(年齢)、粘着性物質分泌濃度、培養液の全体の色を予測するために機械学習を用いたが、これ以外のパラメータを予測するための機械学習を用いてもよい。藻類の培養状態や成長状態や健康状態を判断できるパラメータであればよい。
前述したように、コンタミネーションが発生すると、培養液全体の色が変化する。したがって、培養液全体の色を目的変数として機械学習することで、培養液全体の色の変化からコンタミネーションの発生を予測することができる。
前述した例では、撮像画像データのみを説明変数として予測モデルを生成した。これに限られず、温度、湿度、pH、二酸化炭素濃度などを説明変数として予測モデルを生成してもよい。
ステップS605の機械学習は、教師あり学習が好ましい。予測モデルを的確に生成することができる。機械学習は、各種のアルゴリズムを用いることができる。例えば、ニューラルネットワーク、線形回帰、決定木、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、サポートベクターマシンなどを適宜に用いることができる。説明変数及び目的変数の組み合わせに応じて別個のアルゴリズムを用いて予測モデルを生成することができる。
機械学習部122による機械学習処理により、AI(Artificial Intelligence)分析を実現することができる。
<<<<実施の形態の範囲>>>>
上述したように、第2の実施の形態を記載した。しかし、この開示の一部をなす記載及び図面は、限定するものと理解すべきでない。ここで記載していない様々な実施の形態等が含まれる。
10 マイクロプラスチック・藻類管理システム
100 通信ネットワーク
110 マイクロプラスチック・藻類管理サーバ
200 マイクロプラスチック・藻類処理部

Claims (7)

  1. マイクロプラスチック吸着回収能を有する藻類の培養環境を提供する培養水の性状を示す情報に基づいて藻類の培養状態を決定する藻類培養状態決定ステップであって、マイクロプラスチックの吸着回収処理の対象である被処理水を前記培養水とする、藻類培養状態決定ステップと、
    前記藻類の培養状態に基づいて前記培養水の培養環境を決定する培養水環境決定ステップと、を備える藻類培養環境調整方法であって、
    前記藻類が、粘着性物質を分泌する藻類であり、且つ、前記粘着性物質の量は、細胞容積に比べて、細胞外に分泌した粘着物質の容積が0.25倍以上100倍以下であることを特徴とする、藻類培養環境調整方法。
  2. 前記藻類培養状態決定ステップは、培養水を撮像した撮像結果を前記培養水の性状を示す情報として、藻類の培養状態を決定する、請求項1に記載した藻類培養環境調整方法。
  3. マイクロプラスチック吸着回収能を有する藻類の培養環境を提供する培養水の性状を示す情報に基づいて藻類の培養状態を決定する藻類培養状態決定部であって、マイクロプラスチックの吸着回収処理の対象である被処理水を前記培養水とする、藻類培養状態決定部と、
    前記藻類の培養状態に基づいて前記培養水の培養環境を決定する培養水環境決定部と、を備える藻類培養環境調整サーバであって、
    前記藻類が、粘着性物質を分泌する藻類であり、且つ、前記粘着性物質の量は、細胞容積に比べて、細胞外に分泌した粘着物質の容積が0.25倍以上100倍以下であることを特徴とする、藻類培養環境調整サーバ。
  4. 前記藻類培養状態決定部は、培養水を撮像した撮像結果を前記培養水の性状を示す情報として、藻類の培養状態を決定する、請求項3に記載した藻類培養環境調整サーバ。
  5. 前記藻類培養状態決定部は、培養水の温湿度、培養水のpH、培養水に含まれる二酸化炭素の濃度のうちの少なくとも一つを前記培養水の性状として、藻類の培養状態を決定する、請求項3に記載した藻類培養環境調整サーバ。
  6. 前記培養水環境決定部は、藻類の細胞濃度、藻類の細胞サイズ、藻類の増殖速度、藻類の細胞寿命、藻類の粘着性物質分泌濃度のうちの少なくとも一つを前記藻類の培養状態として、前記培養水の培養環境を決定する、請求項3に記載した藻類培養環境調整サーバ。
  7. 前記培養水環境決定部は、前記藻類の培養状態に基づいて、前記被処理水の供給速度、藻類の供給速度、前記培養水への光照射時間、前記培養水の温度、前記培養水に供給する二酸化炭素供給量、前記培養水に供給する空気の量のうちの少なくとも一つを前記培養水の培養環境として決定する、請求項3に記載した藻類培養環境調整サーバ。


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