JP2023063876A - 超純水製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】超純水の水質を確保ししつつ、エネルギー使用効率の低下を抑制する。【解決手段】超純水製造装置1Aは1次システムS1と、1次システムS1の下流且つユースポイント2の上流に位置する2次システムS2と、を有する。超純水製造装置1Aは、少なくとも一つの電気再生式脱イオン装置18と、電気再生式脱イオン装置18への供給水を冷却する冷却器17と、電気再生式脱イオン装置18で処理され、電気再生式脱イオン装置18の下流を流通する水の水温を測定する第1の温度計28と、を有している。第1の温度計28で測定された水温が、第1の温度計28の設置位置においてユースポイント2の要求水温に対応する値を上回ったときに、冷却器17が作動する。【選択図】図1

Description

本発明は超純水製造装置に関する。
超純水製造装置では、電気再生式脱イオン装置等のいくつかの水処理装置が直列に配置されている。それぞれの水処理装置には好適な水温条件があり、各水処理装置への供給水の温度は、加熱器や冷却器によって適切な温度に調整される。例えば、特許文献1には、電気再生式脱イオン装置の処理水の温度に基づき、電気再生式脱イオン装置への供給水の温度を所定の範囲に調整する水処理システムが開示されている。
特開2021-65843号公報
超純水製造装置では、各水処理装置への供給水の水温を所定の範囲に収めるだけでなく、超純水の最終的な供給先であるユースポイントの水温を所定の要求水温に収めることも要求される。しかし、各水処理装置への供給水の温度とユースポイントの要求水温とを所定の範囲に収めるためには、水の加熱と冷却を繰り返すことが必要となり、超純水製造装置におけるエネルギー使用効率が低下する。エネルギー使用効率の低下は運転コストに影響する。
本発明は、超純水の水質を確保ししつつ、エネルギー使用効率の低下を抑制することのできる超純水製造装置を提供することを目的とする。
本発明の超純水製造装置は1次システムと、1次システムの下流且つユースポイントの上流に位置する2次システムと、を有する。超純水製造装置は、少なくとも一つの電気再生式脱イオン装置と、電気再生式脱イオン装置への供給水を冷却する冷却器と、電気再生式脱イオン装置で処理され、電気再生式脱イオン装置の下流を流通する水の水温を測定する第1の温度計と、を有している。第1の温度計で測定された水温が、第1の温度計の設置位置においてユースポイントの要求水温に対応する値を上回ったときに、冷却器が作動する。
本発明によれば、超純水の水質を確保ししつつ、エネルギー使用効率の低下を抑制することのできる超純水製造装置を提供することができる。
第1の実施形態に係る超純水製造装置の概略構成図である。 電気再生式脱イオン装置の水温とホウ素除去効率との関係を示す図である。 電気再生式脱イオン装置の電流倍率とホウ素除去効率との関係を示す図である。 第2の実施形態に係る超純水製造装置の概略構成図である。 第3の実施形態に係る超純水製造装置の概略構成図である。 第4の実施形態に係る超純水製造装置の概略構成図である。 第5の実施形態に係る超純水製造装置の概略構成図である。 第6の実施形態に係る超純水製造装置の概略構成図である。
以下、図面を参照して本発明のいくつかの実施形態について説明する。各実施形態の超純水製造装置1A~1Fは、1次システムS1と2次システムS2とを有している。2次システムS2は、1次システムS1の下流且つユースポイント2の上流に位置している。1次システムS1は原水から純水を製造し、2次システムS2は純水から超純水を製造する。2次システムS2で製造された超純水はユースポイント2に送られる。2次システムS2で製造された超純水のうち、ユースポイント2で使用されなかった超純水は、2次システムS2の母管L2に接続された再循環ラインL3によって上流側に戻される。2次システムS2内では純水または超純水が常時循環している。2次システムS2は、純水または超純水が循環する範囲であり、母管L2及び再循環ラインL3と、母管L2及び再循環ラインL3上に設置されたすべての設備を含む。ユースポイント2は母管L2から分岐するラインL4によって超純水製造装置1と接続されている。
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態に係る超純水製造装置1Aの概略構成を示す。上述のように、超純水製造装置1Aは1次システムS1と2次システムS2とに区分されるため、まず1次システムS1について説明し、次に2次システムS2について説明する。1次システムS1と2次システムS2の各装置は超純水製造装置1Aの制御装置3によって監視制御される。なお、1次システムS1と2次システムS2を構成する装置は以下に説明するものに限らず、他のタンク、ポンプ等が必要に応じて設置されることがある。
1次システムS1には、被処理水の流通する母管L1に沿って、被処理水の流通する方向に、上流から下流に、原水タンク11と、原水ポンプ12と、温度調整装置13と、少なくとも一つの逆浸透膜装置14と、ろ過水タンク15と、ろ過水ポンプ16と、冷却器17と、少なくとも一つの電気再生式脱イオン装置18(EDI)と、が直列に配置されている。少なくとも一つの逆浸透膜装置14は、単段の逆浸透膜装置と、直列に接続された複数段の逆浸透膜装置の両者を含み、以下の説明では単に逆浸透膜装置14という。少なくとも一つの電気再生式脱イオン装置18は、単段の電気再生式脱イオン装置と、直列に接続された複数段の電気再生式脱イオン装置の両者を含み、以下の説明では単に電気再生式脱イオン装置18という。逆浸透膜装置14と電気再生式脱イオン装置18の少なくともいずれかを複数段直列配置することで、水質の一層の向上が可能となる。図示は省略するが、逆浸透膜装置14と電気再生式脱イオン装置18との間に、炭酸や溶存酸素を除去するための膜脱気装置、イオン交換樹脂装置、紫外線照射装置、ホウ素選択性樹脂装置の少なくともいずれかを設けてもよい。
原水タンク11は、1次システムS1の上流に設けられた前処理システム(図示せず)で製造された原水や、後段設備で発生した後に回収される水(純水、超純水、電気再生式脱イオン装置18の濃縮水、電極水等)を貯蔵する。原水はホウ素を含んでいる。原水ポンプ12は、原水タンク11に貯蔵された原水を送出し、温度調整装置13に供給する。温度調整装置13は、逆浸透膜装置14への供給水を所定の温度まで加熱または冷却する。逆浸透膜装置14への供給水の水温が低すぎると、供給水の粘性が上がり、供給水が逆浸透膜装置14を透過しにくくなる。これによって、逆浸透膜装置14の圧力損失が増加し、原水ポンプ12の動力費やポンプ容量が増える可能性がある。また、圧力損失の低減のために逆浸透膜装置14のエレメントあたりの流量を減らすと、エレメントの個数が増える。一方、逆浸透膜装置14への供給水の水温が高すぎると、膜材料の溶出、供給水中の溶解成分の析出、生物由来のスライム生成といった問題が生じやすくなる。温度調整装置13は、逆浸透膜装置14への供給水の水温を15℃以上40℃以下、好ましくは20~30℃程度に調整する。本実施形態では、逆浸透膜装置14への供給水の水温が所定の温度範囲(例えば、上述の15~40℃または20~30℃)より低いため、温度調整装置13は加熱器として作動する。しかし、逆浸透膜装置14への供給水の水温が上記所定の温度範囲内で変動する場合や、上記所定の温度の内外を変動する場合は、加熱冷却機能を有する温調器であってもよい。逆浸透膜装置14への供給水の水温が上記所定の温度範囲内で変動する場合は、温度調整装置13を省略することもできる。逆に、逆浸透膜装置14への供給水の水温が上記所定の温度範囲より高い場合は、温度調整装置13は冷却器とすることができる。
逆浸透膜装置14の処理水はろ過水タンク15に貯蔵される。ろ過水ポンプ16は、ろ過水タンク15に貯蔵されたろ過水を送出し、冷却器17に供給する。電気再生式脱イオン装置18の上流に設けられた冷却器17は、電気再生式脱イオン装置18への供給水を所定の温度まで冷却する。後述するように、電気再生式脱イオン装置18への供給水の温度が低いとホウ素の除去率が向上する。所定の温度は10~30℃程度、好ましくは15~24℃程度である。電気再生式脱イオン装置18は被処理水に含まれるイオン成分を除去する。電気再生式脱イオン装置18は被処理水に含まれるホウ素も除去する。電気再生式脱イオン装置18の処理水は2次システムS2のサブタンク19に貯蔵される。電気再生式脱イオン装置18の下流、具体的には電気再生式脱イオン装置18とサブタンク19との間には、電気再生式脱イオン装置18の処理水のホウ素濃度を測定するホウ素濃度測定器27が設けられている。
2次システムS2には、被処理水の流通する母管L2に沿って、被処理水の流通する方向に、上流から下流に、サブタンク(純水タンク)19と、純水ポンプ20と、熱交換器21と、紫外線照射装置22と、イオン交換装置23と、膜脱気装置24と、限外ろ過膜装置25と、が直列に配置されている。純水ポンプ20はサブタンク19に貯蔵された純水を送出し、熱交換器21に供給する。ユースポイント2に供給される超純水は一般に、要求水温(例えば24~26℃程度)が定められている。熱交換器21は、ユースポイント2に供給される超純水の温度を調整するために設けられている。冷却器17にて電気再生式脱イオン装置18への供給水を冷却した場合、熱交換器21は被処理水を加熱することが一般的であるため、加熱器とすることができる。しかし、電気再生式脱イオン装置18からの入熱や、純水ポンプ20からの排熱、再循環ラインL3を流れる循環水量の増加などで被処理水の水温が上昇する場合、熱交換器21は被処理水を冷却することもあり得る。従って、被処理水を冷却する可能性のある場合(特に、後述のT1―T2が負となる場合)、熱交換器21は冷却加熱の両方が可能なものであることが好ましい。紫外線照射装置22は被処理水に紫外線を照射し、被処理水に含まれる有機物を分解する。イオン交換装置23は紫外線照射装置22で発生した分解生成物を除去する。膜脱気装置24は被処理水に含まれる溶存酸素を除去する。限外ろ過膜装置25は被処理水に含まれる微粒子を除去する。このようにして製造された超純水はユースポイント2に送られ、ユースポイント2で使用されなかった水は再循環ラインL3を通って、サブタンク19に戻される。
超純水製造装置1Aは第1の温度計28と第2の温度計26とを有している。第1の温度計28は2次システムS2内の限外ろ過膜装置25の出口側に設けられている。第1の温度計28は、2次システムS2からユースポイント2に送られる、2次システムS2の処理水(超純水)の水温を測定する。第2の温度計26は、冷却器17と電気再生式脱イオン装置18との間に設けられ、電気再生式脱イオン装置18への供給水の温度を測定する。電気再生式脱イオン装置18は、被処理水が流通する脱塩室と、イオン成分が濃縮された濃縮水が流れる濃縮室と、電極を収容し、電極水が流れる電極室と、を有しており、これらの部屋を流れる水の温度に大差はない。従って、本実施形態では、第2の温度計26は脱塩室の入口水の温度を測定しているが、第2の温度計26は、脱塩室の出口水、濃縮室の入口水または出口水、電極室の入口水または出口水の温度を測定してもよい。つまり、第2の温度計26は、電気再生式脱イオン装置18に出入りするいずれかの水の温度を測定すればよい。
本実施形態では、電気再生式脱イオン装置18への供給水を冷却する冷却器17の制御に、第1の温度計28の測定値を利用している。第1の温度計28は本来、ユースポイント2における水温管理の目的で設置されている。このため、従来は、第1の温度計28の測定値がユースポイント2での要求水温から離れているときに、2次システムS2内の熱交換器21を作動させて水温調整を行っていた(以下、従来例という)。一方、電気再生式脱イオン装置18への供給水の温度調整は、電気再生式脱イオン装置18の入口に設けられた温度計に基づき行うのが一般的であった。つまり、電気再生式脱イオン装置18への供給水の水温管理は、電気再生式脱イオン装置18の入口で測定された水温に基づいて、電気再生式脱イオン装置18の上流に設けられた冷却器17で行うのが一般的なやりかたである。これに対して、本実施形態では、電気再生式脱イオン装置18から離れた第1の温度計28の測定値に基づき、冷却器17を制御している。何らかの原因により第1の温度計28の測定値がユースポイント2での要求水温よりも上がったときは、熱交換器21で2次システムS2を流れる水を冷却するのではなく、電気再生式脱イオン装置18への供給水を冷却器17で冷却する。これによっても、ユースポイント2での水温を要求水温に収めることは可能であるし、被処理水を冷却する位置が従来例と変わるだけであるので、超純水製造装置1A全体としての熱効率は変わらない。しかも、電気再生式脱イオン装置18のホウ素除去効率が向上する。
第1の温度計28は2次システムS2の下流側、すなわち母管L2上における限外ろ過膜装置25の下流に設置されているが、母管L2上での位置はこれに限定されない。第1の温度計28は2次システムS2を構成するいずれかの水処理装置の処理水の温度を測定するものであってよい。あるいは、第1の温度計28は、再循環ラインL3に設けてもよい。すなわち、第1の温度計28は、1次システムS1の下流の任意の位置を流通する水の水温、より一般的には、電気再生式脱イオン装置18で処理され、電気再生式脱イオン装置18の下流の任意の位置を流通する水の水温を測定する。一般に2次システムS2内の水温は一定ではなく、被処理水は例えば、紫外線照射装置22での紫外線照射や純水ポンプ20からの排熱によって加熱されるので、水温は2次システムS2内の場所によって異なる。配管からの排熱や配管への入熱によっても、水温は変わりうる。本実施形態では、第1の温度計28は限外ろ過膜装置25の下流に設置されている。このため、第1の温度計28で測定した水温はほぼユースポイント2における水温と一致するが、第1の温度計28からユースポイント2までの距離が長く、両者の間での温度差が無視できない場合もある。しかし、このような温度変化や温度差は事前に予測または測定可能であり、第1の温度計28の設置位置での水温と、ユースポイント2での水温とは、所定の対応関係にある。従って、第1の温度計28の測定値を用いて冷却器17を制御することが可能である。具体的には、第1の温度計28の設置位置においてユースポイント2の要求水温に対応する値を上回ったときに、冷却器17が作動する。例えば、ユースポイント2の要求水温の上限値が25.5℃であり、第1の温度計28で測定した水温がユースポイント2における水温より0.5℃低いことが測定で判明している場合、第1の温度計28の測定位置においてユースポイント2の25.5℃に対応する水温は25℃となる。従って、第1の温度計28の測定値が25℃を上回った時に冷却器17が作動する。なお、第1の温度計28を熱交換器21の上流(例えば、純水ポンプ20と熱交換器21の間)に設置する場合、第1の温度計28の測定値とユースポイント2での水温との対応関係を確立するため、熱交換器21での温度上昇値または温度低下値は固定することが望ましい。
冷却器17の作動する温度は、ユースポイント2の要求水温の上限値に対応した温度に限定されない。ユースポイント2の要求水温は、要求水温の範囲内の任意の温度であり、ユースポイント2の要求水温の下限値または中央値であってもよい。例えば、ユースポイント2の要求水温の下限値が24.5℃である場合、第1の温度計28の測定位置においてユースポイント2の24.5℃に対応する水温は24℃となる。従って、第1の温度計28の測定値が24℃を上回った時に冷却器17を作動させることで、ユースポイント2の水温がユースポイント2の要求水温の上限値に達する前に、電気再生式脱イオン装置18への供給水を事前に冷却することができる。
上述のように、電気再生式脱イオン装置18への供給水の水温が低いとホウ素除去率は向上する。しかし、ホウ素濃度が十分に低下している場合、水温を極端に下げる必要はなく、水温がユースポイント2の要求水温から低下しすぎると熱交換器21での加熱負荷が増加する。従って、ホウ素濃度の要求値にもよるが、電気再生式脱イオン装置18の前段で温度を下げすぎることは一般に好ましくなく、冷却器17は、第1の温度計28で測定した温度T1と第2の温度計26で測定した温度T2の差分T1―T2が-1度以上5度以下となるように作動することが好ましい。第1の温度計28の測定値が所定の範囲に制御され、ホウ素濃度が十分に低下していればT1―T2が負であってもよい。
ホウ素濃度を下げるための方策としては、電気再生式脱イオン装置18への供給水の水温を下げることのほかに、電気再生式脱イオン装置18に印加する電流の電流密度を上げることがある。本実施形態ではこの2つの方法を選択的に実行することができる。以下、冷却器17が電気再生式脱イオン装置18への供給水を冷却する運転を第1の運転といい、電気再生式脱イオン装置18が印加する電流を増加する運転を第2の運転という。制御装置3は、ホウ素濃度測定器27で測定されたホウ素濃度が所定の値より高いときに、第1の運転と第2の運転のいずれか一方のみを実行するように、冷却器17と電気再生式脱イオン装置18を制御する。制御装置3は、第1の運転と第2の運転のいずれか一方のみでホウ素濃度が所定の値以下とならない場合に、第1の運転と第2の運転の他方を実行するように、冷却器17と電気再生式脱イオン装置18を制御する。どちらの運転を優先するかは、運転コストなどを勘案して適宜決定することができる。電気再生式脱イオン装置18に印加する電流の電流密度が大きすぎると、電極の焼き付きや、イオン交換膜やイオン交換体の電気的な損傷や劣化などの不具合が生じやすくなる。従って、第2の方法を採用する場合、上記電流密度は0.3A/dm2以上1A/dm2以下の範囲で調整することが好ましい。
図2は電気再生式脱イオン装置18への供給水の温度とホウ素除去率との関係の測定例を示している。水温範囲によって異なる電気再生式脱イオン装置を用いているため、便宜上、結果を図2(a)と2(b)に分けて示している。供給水はホウ素(5~20ppb)、シリカ(5~10ppb)、炭酸(1ppm)を含んでいる。ここで、炭酸濃度は、H2CO3、HCO3 -、CO3 2-などの炭酸成分の総量の濃度をCO2換算濃度として表したものである。供給水の温度が低いとホウ素の除去率が向上する。例えば、供給水のホウ素濃度が10ppb、電気再生式脱イオン装置18の処理水のホウ素濃度が60ppt(除去率99.4%)、目標値が50pptであったとする。この場合、水温を1℃程度低下させることで除去率が0.05%程度向上することが見込まれるので、水温を2℃程度低下させると目標値の50ppt(除去率99.5%)に到達する。
図3は、電気再生式脱イオン装置18の電流倍率とホウ素除去効率との関係の一例を示している。電流倍率は設定電流倍率/設定流量倍率であり、設定電流倍率は設定電流/標準電流、設定流量倍率は処理水流量/標準流量である。すなわち、電流倍率は基準化流量に対する基準化電流の比率であり、電流倍率を用いることで、ホウ素除去効率への流量の影響を排除することができる。電流倍率を上げるに従いホウ素除去効率が向上する。例えば、供給水のホウ素濃度が10ppbとした場合、電流倍率を1.2倍程度まで引き上げることでホウ素濃度は50ppt以下(除去率99.5%以上)まで低減する。しかし、電流倍率の増加に伴いホウ素除去効率は向上しにくくなり、ホウ素濃度を20ppt以下(除去率99.8%)まで下げるには、電気再生式脱イオン装置18の多段化や性能向上が必要となる。以上から理解できるように、第1の運転と第2の運転のどちらを優先するかは、ホウ素除去効率のために要する運転コストや設備コストを勘案する必要がある。
(第2の実施形態)
図4に、本発明の第2の実施形態に係る超純水製造装置1Bの概略構成を示す。本実施形態は、2次システムS2に熱交換器21その他の水温調整手段が設けられていない点を除き、第1の実施形態と同様である。上述のように、電気再生式脱イオン装置18への供給水の温度調整と、ユースポイント2の温度調整は冷却器17で行われる。水温調整手段とは、熱交換器、加熱器などのように水温調整を目的とした装置を意味し、ポンプなどのように、運転に伴い水温の変化を引き起こす可能性はあるが、水温調整を目的としない装置は含まない。2次システムS2に水温調整手段が設けられていないため、差分T1―T2は、構成機器の排熱や、循環流量、室温の影響を受けるだけであり、-1.0度以上1.0度以下の範囲に収められる。このため、本実施形態は、電気再生式脱イオン装置18への供給水の温度がユースポイント2の要求水温と近接する場合に適用することが好ましい。ユースポイント2の要求水温は24~26℃前後であることが多いため、電気再生式脱イオン装置18への供給水の温度もその近傍となる。本実施形態は、ユースポイント2の要求水温の近傍の水温で十分なホウ素除去性能が得られる場合、ホウ素除去が主に上述の第2の運転で行われる場合、あるいは第2の運転と組み合わせた運転が行われる場合に好適に適用できる。
(第3の実施形態)
図5に、本発明の第3の実施形態に係る超純水製造装置1Cの概略構成を示す。本実施形態では、電気再生式脱イオン装置18が2次システムS2に設けられている。本実施形態でも、電気再生式脱イオン装置18への供給水の温度調整と、ユースポイント2の温度調整は冷却器17で行われる。純水タンク19と純水ポンプ20が省略され、再循環ラインL3がろ過水タンク15に接続されている。従って、本実施形態では、被処理水は2次システムS2を循環するときに、常に電気再生式脱イオン装置18の処理を受ける。2次システムS2には熱交換器21その他の水温調整手段が設けられていないため、差分T1―T2は-1.0度以上1.0度以下の範囲に収められている。本実施形態も第2の実施形態と同様の条件下で好適に適用できる。
(第4の実施形態)
上述のように、逆浸透膜装置14への供給水の好適温度は電気再生式脱イオン装置18への供給水の好適温度より一般に高い。ユースポイント2における水温は一定の範囲に保つことが要求されるが、通常は電気再生式脱イオン装置18への供給水の好適温度より高い。従って、被処理水は、逆浸透膜装置14の入口で加熱され、電気再生式脱イオン装置18の入口で冷却され、2次システムS2内で再度加熱されることが一般的である。しかし、従来は、相互に独立した熱交換器で、被処理水を加熱し、冷却し、再度加熱しており、これらのそれぞれの工程でエネルギーを消費していた。第4~第6の実施形態では、逆浸透膜装置14の処理水の排熱が逆浸透膜装置14への供給水の加熱及び/または電気再生式脱イオン装置18の処理水の加熱に利用され、これによって、超純水製造装置1D~1F全体のエネルギー使用効率が改善される。
図6に、本発明の第4の実施形態に係る超純水製造装置1Dの概略構成を示す。本実施形態では、第1~第3の実施形態と同様、逆浸透膜装置14が電気再生式脱イオン装置18の上流に設けられ、温度調整装置13が、逆浸透膜装置14の上流に設けられている。本実施形態においても、温度調整装置13は、逆浸透膜装置14への供給水の水温を15℃以上40℃以下、好ましくは20~30℃程度に調整する。第1の温度計28で測定された水温が、第1の温度計28の設置位置においてユースポイント2の要求水温に対応する値を上回ったときに、冷却器17が作動する。本実施形態では、これに加えて、逆浸透膜装置14の処理水から熱を回収し逆浸透膜装置14への供給水を加温する第1の熱交換器29が設けられている。矢印は熱の移動方向を示す。逆浸透膜装置14への供給水は、温度調整装置13で加温される前に第1の熱交換器29で加温される。このため、温度調整装置13で必要とする熱エネルギーが節約される。一方、逆浸透膜装置14の処理水は、逆浸透膜装置14への供給水に熱エネルギーを伝えた後に、冷却器17で冷却される。このため、冷却器17に供給される処理水の温度が下がり、冷却器17の冷却負荷が減少する。本実施形態では、熱エネルギーが不要な部位から熱エネルギーが必要な部位に、熱交換によって熱エネルギーを移動しているため、超純水製造装置1Dのエネルギー使用効率が向上する。
(第5の実施形態)
図7に、本発明の第5の実施形態に係る超純水製造装置1Eの概略構成を示す。本実施形態では、第1~第3の実施形態と同様、逆浸透膜装置14が電気再生式脱イオン装置18の上流に設けられ、温度調整装置13が、逆浸透膜装置14の上流に設けられている。本実施形態においても、温度調整装置13は、逆浸透膜装置14への供給水の水温を15℃以上40℃以下、好ましくは20~30℃程度に調整する。第1の温度計28で測定された水温が、第1の温度計28の設置位置においてユースポイント2の要求水温に対応する値を上回ったときに、冷却器17が作動する。本実施形態では、これに加えて、逆浸透膜装置14の処理水から熱を回収し電気再生式脱イオン装置18の処理水を加温する第2の熱交換器30を有している。電気再生式脱イオン装置18の処理水は、第2の熱交換器30で加温された後に熱交換器21でさらに加温される。このため、熱交換器21で必要とする熱エネルギーが節約される。変形例では、熱交換器21は削除することもできる。第4の実施形態と同様、逆浸透膜装置14の処理水は、逆浸透膜装置14への供給水に熱エネルギーを伝えた後に、冷却器17で冷却される。このため、冷却器17に供給される処理水の温度が下がり、冷却器17の冷却負荷が減少する。本実施形態でも、熱エネルギーが不要な部位から熱エネルギーが必要な部位に、熱交換によって熱エネルギーを移動しているため、超純水製造装置1Eのエネルギー使用効率が向上する。また、前述したとおり、温度調整装置13は逆浸透膜装置14への供給水の水温に応じて、加熱器、冷却器、温調器のいずれかとすることができ、省略することもできる。
(第8の実施形態)
図8に、本発明の第6の実施形態に係る超純水製造装置1Fの概略構成を示す。本実施形態は第4の実施形態と第5の実施形態を組み合わせたものである。本実施形態の超純水製造装置1Fは、逆浸透膜装置14の処理水から熱を回収し逆浸透膜装置14への供給水を加温する第1の熱交換器29と、逆浸透膜装置14の処理水から熱を回収し電気再生式脱イオン装置18の処理水を加温する第2の熱交換器30と、を有している。第1の熱交換器29は、供給水(原水)からの熱を回収し逆浸透膜装置14の透過水を加温する加熱器であってもよい。逆浸透膜装置14の処理水は、第1の熱交換器29で熱を回収された後に、さらに熱交換器30で熱を回収される。本実施形態は、第4の実施形態と第5の実施形態の効果を同時に奏することができる。すなわち、温度調整装置13と熱交換器21で必要とされる熱エネルギーが節約されるともに、冷却器17の冷却負荷が減少するので、超純水製造装置1Fのエネルギー使用効率が一層向上する。
1A~1F 超純水製造装置
2 ユースポイント
3 制御装置
13 温度調整装置
14 逆浸透膜装置
17 冷却器
18 電気再生式脱イオン装置
26 第2の温度計
27 ホウ素濃度測定器
28 第1の温度計
29 第1の熱交換器
30 第2の熱交換器
S1 1次システム
S2 2次システム

Claims (10)

  1. 1次システムと、前記1次システムの下流且つユースポイントの上流に位置する2次システムと、を有する超純水製造装置であって、
    少なくとも一つの電気再生式脱イオン装置と、
    前記電気再生式脱イオン装置への供給水を冷却する冷却器と、
    前記電気再生式脱イオン装置で処理され、前記電気再生式脱イオン装置の下流を流通する水の水温を測定する第1の温度計と、を有し、
    前記第1の温度計で測定された前記水温が、前記第1の温度計の設置位置において前記ユースポイントの要求水温に対応する値を上回ったときに、前記冷却器が作動する、超純水製造装置。
  2. 前記第1の温度計は前記2次システムを構成するいずれかの水処理装置の処理水の水温を測定する、請求項1に記載の超純水製造装置。
  3. 前記電気再生式脱イオン装置に出入りするいずれかの水の温度を測定する第2の温度計を有し、
    前記冷却器は、前記第1の温度計で測定した温度T1と前記第2の温度計で測定した温度T2の差分T1―T2が-1度以上5度以下となるように作動する、請求項2に記載の超純水製造装置。
  4. 前記電気再生式脱イオン装置は前記1次システムに設けられ、前記差分T1―T2は-1.0度以上1.0度以下であり、前記2次システムに水温調整手段が設けられていない、請求項3に記載の超純水製造装置。
  5. 前記電気再生式脱イオン装置は前記2次システムに設けられ、前記差分T1―T2が-1.0度以上1.0度以下であり、前記2次システムに前記冷却器以外の水温調整手段が設けられていない、請求項3に記載の超純水製造装置。
  6. 前記電気再生式脱イオン装置の上流に設けられた少なくとも一つの逆浸透膜装置と、
    前記少なくとも一つの逆浸透膜装置の上流に設けられた温度調整装置と、を有し、
    前記温度調整装置は前記逆浸透膜装置への供給水の水温を15℃以上40℃以下に調整する、請求項1から5のいずれか1項に記載の超純水製造装置。
  7. 前記少なくとも一つの前記逆浸透膜装置の処理水から熱を回収し前記逆浸透膜装置への供給水を加温または冷却する第1の熱交換器を有している、請求項6に記載の超純水製造装置。
  8. 前記少なくとも一つの前記逆浸透膜装置の処理水から熱を回収し前記電気再生式脱イオン装置の処理水を加温する第2の熱交換器を有している、請求項6に記載の超純水製造装置。
  9. 前記電気再生式脱イオン装置の処理水のホウ素濃度を測定するホウ素濃度測定器と、制御装置と、を有し、
    前記冷却器は、前記電気再生式脱イオン装置への供給水を冷却する第1の運転が可能であり、
    前記電気再生式脱イオン装置は、印加する電流を増やす第2の運転が可能であり、
    前記制御装置は、前記ホウ素濃度測定器で測定された前記ホウ素濃度が所定の値より高いときに、前記第1の運転と前記第2の運転のいずれか一方のみを実行するように、前記冷却器と前記電気再生式脱イオン装置を制御する、請求項1から8のいずれか1項に記載の超純水製造装置。
  10. 前記制御装置は、前記第1の運転と前記第2の運転のいずれか一方のみで前記ホウ素濃度が前記所定の値以下とならない場合に、前記第1の運転と前記第2の運転の他方を実行するように、前記冷却器と前記電気再生式脱イオン装置を制御する、請求項9に記載の超純水製造装置。
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