JP2023060679A - チップ装着方法及びチップ装着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ピペットの先端にチップを確実に装着することができるチップ装着方法とチップ装着装置を提供する。【解決手段】 本発明のチップ装着方法は、ロボットで保持されたピペットの先端に、チップラックの孔開き支持部材に支持されたチップを装着する方法であって、ピペットの先端をチップの装着開口部に差し込む工程と、ピペットの先端が差し込まれたチップを孔開き支持部材を利用してピペット側に押し込む工程を備えた方法である。本発明のチップ装着装置は、ロボットで保持されたピペットの先端に、チップラックの孔開き支持部材に支持されたチップを装着するチップ装着装置であって、ロボットによって、ピペットの先端をチップラックに収容されたチップの装着開口部に差し込む動作と、ピペットの先端が差し込まれたチップを孔開き支持部材を利用してピペット側に押し込む動作が実行されるようにした装置である。【選択図】図2

Description

本発明は、ピペットの先端へのチップ装着方法及びチップ装着装置に関する。
生物学や生化学、生命工学、食品科学といったライフサイエンスの分野で、検体(緩衝液を加えられた検体液を含む)を用いた各種検査や実験が行われている。検体を用いた検査や実験の前には、検体容器(たとえば、チューブ)内の検体を吐き出し先容器(たとえば、プレート)に移すいわゆる分注等の前処理が行われる。
前記前処理の分注作業には、ピペットと呼ばれる吸引排出具が使用される。吸引排出具の一例として、ピペットの先端に先細り筒状のチップを装着するものが知られている(特許文献1)。チップは、ピペットの先端がチップの一端側に設けられた装着開口部に差し込まれることで、ピペットに装着される。
ピペットに装着されるチップは、コンタミネーション(キャリーオーバー)防止等の観点から使い捨てのものが利用される。使用前のチップは、複数本のチップを収容可能なチップラック内に収容され、一検体毎にチップラック内の新しいチップに付け替えられる。チップラックにはチップを差し込んで保持するための複数の差込み孔を備えた孔開き支持部材が設けられ、使用前のチップは各差込み孔に一本ずつ差し込まれ、装着開口部が上を向いた状態で保管される。
特開2002-113373号公報
ところで、前処理後に行われる検査や実験では、その前処理工程において吐き出し先容器内の検体の量がプロトコルで明確に規定されている。そのため、前処理での分注作業においてもプロトコルで規定された量の検体を吸引して吐出する必要がある。
ところが、実際の現場では、チップ自体の成形誤差やピペットの経年劣化、チップラックの成形誤差、チップラックの交換担当者の交代、チップラック交換時の取付け誤差等に起因して、チップが想定よりも浅く嵌ったり、ピペットに対して傾いて嵌ったりする等の装着不良がまれに発生し、このような場合には、規定量の検体を吸引して吐出することができないことがあった。
特に、ピペットをロボットアームのハンド(エンドエフェクタや爪等と称されることもある)で保持し、そのロボットアームの動作によってチップを装着する場合、チップラックの設置位置やチップラック内に設置されたチップの設置位置が一定であるとの前提でロボットアームの位置や動作スピード、ハンドの圧力等が設定されており、チップの成形誤差やピペットの経年劣化、チップラックの成形誤差、チップラックの交換担当者の交代、チップラック交換時の取付け誤差等の有無にかかわらず設定された動作をするため、チップの成形誤差やピペットの経年劣化、チップラックの成形誤差、チップラックの交換担当者の交代、チップラック交換時の取付け誤差等があった場合に、前述のようなチップの装着不良が起こりやすい。このようなロボットを用いる場合には、ロボットを構成する各部品の個体差や、構成部品の組み上げ誤差、ロボットの稼働・動作時のロボットアーム等の揺れ等がチップの装着不良の一因となることもある。
これまで、前述したようなチップ自体の成形誤差やピペットの経年劣化、チップラックの成形誤差、チップラックの交換担当者の交代、チップラック交換時の取付け誤差、ロボットの構成部品の個体差、構成部品の組み上げ誤差、ロボットの稼働・動作時のロボットアーム等の揺れ等に起因するチップの装着不良を解決する技術は提案されておらず、現場からはかかる課題を解決できる技術の提案が望まれている。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、ピペットの先端にチップを確実に装着することができるチップ装着方法とチップ装着装置を提供することにある。
[チップ装着方法]
本発明のチップ装着方法は、ロボットで保持されたピペットの先端に、チップラックの孔開き支持部材に支持されたチップを装着する方法であって、ピペットの先端をチップの装着開口部に差し込む工程と、ピペットの先端が装着開口部に差し込まれたチップを孔開き支持部材を利用してピペット側に押し込む工程を備えた方法である。
[チップ装着装置]
本発明のチップ装着装置は、ロボットで保持されたピペットの先端に、チップラックの孔開き支持部材に支持されたチップを装着するチップ装着装置であって、ロボットによって、ピペットの先端をチップラックに収容されたチップの装着開口部に差し込む動作と、ピペットの先端が差し込まれたチップを孔開き支持部材を利用してピペット側に押し込む動作が実行されるようにした装置である。
本発明のチップ装着方法及びチップ装着装置では、単にピペットの先端をチップの装着開口部に差し込むだけでなく、ピペットの先端をチップの装着開口部に差し込んだ後に、当該チップを孔開き支持部材を利用してピペット側に押し込むようにしているため、ピペットの先端にチップを確実に装着することができる。
検体を用いた検査の前処理の一例を示すフローチャート。 (a)~(d)はチップの段差部の底面を孔開き支持部材の上面に押し付けることによって、チップをピペット側に押し込む場合の動作説明図。 (a)~(e)はチップの段差部の底面を孔開き支持部材の上面に叩打することによって、チップをピペット側に押し込む場合の動作説明図。 (a)~(d)はピペットを傾けて当該チップの段差部の底面を孔開き支持部材の上面に接触させることによって、チップをピペット側に押し込む場合の動作説明図。 (a)~(d)は検体を吸い上げる際の動作説明図。 (a)は吸い上げ後チップ画像の一例を示すもの、(b)は(a)の吸い上げ後チップ画像における空気部分及び検体部分の説明図。 (a)~(c)は検体を吐き出す際の動作説明図。 (a)は吐き出し後チップ画像の一例を示すもの、(b)は(a)の吐き出し後チップ画像における空気部分及び残存検体部分の説明図、(c)は(a)の吐き出し後チップ画像の一部に黒掛けをした場合の空気部分及び残存検体部分の説明図。 検体を用いた検査の前処理を実行するシステムの一例を示す構成説明図。 検体を用いた検査の前処理を実行するシステムの一例を示す機能ブロック図。 (a)はチューブを挟持する前のチューブバイスの一例を示す斜視図、(b)はチューブを挟持した状態のチューブバイスの一例を示す斜視図。 ディープウェルプレートとプレート座の一例を示す斜視図。 (a)はチップラックの一例を示す斜視図、(b)は(a)のb-b矢視図。 チップラックとチップラックケースの一例を示す斜視図。 PCの構成の一例を示す機能ブロック図。
(実施形態)
本発明のチップ装着方法及びチップ装着装置の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。ここでは、本発明のチップ装着方法及びチップ装着装置が、ロボット30によって実行される検体を用いた検査の前処理の過程で得られる実行情報の記録装置で実行される場合を一例とする。実行情報記録方法及び実行情報記録装置の具体的な説明に先立ち、本願で用いる用語の意味について説明する。
本願の「検体を用いた検査」には、核酸の塩基配列を解析する検査やアミノ酸配列を解析する検査が含まれる。具体的には、シーケンサ(たとえば、次世代シーケンサ)を用いて核酸の塩基配列(たとえば、遺伝子の塩基配列)を解析する検査や、アミノ酸配列の解析手法の一種であるエドマン法を自動化したペプチドシーケンサ(プロテインシーケンサ)を用いてアミノ酸配列を解析する検査等が含まれる。なお、解析の代わりに分析や測定という表現が使用されることもあるが、本願の解析は分析や測定等を含む概念である。
本願の前処理の対象である検体には、糞便や尿、唾液、皮膚、体毛、腸内細菌叢(腸内フローラ)等が含まれる。これらの検体は人から採取されるものに限らず、各種動物(哺乳類や魚類、鳥類、両生類、爬虫類等)や昆虫、貝類、農作物、植物、それらの種子や苗、微生物等から採取されるものも含まれる。
本願でいう検体には、前記検体それ自体のほか、検体に緩衝作用を有する緩衝液(緩衝成分)が加えられたもの(以下「検体液」という)も含まれる。なお、説明の便宜上、本願では、特に区別する必要がある場合を除き、検体それ自体又は検体液を「検体」と表記する。ここでいう緩衝作用とは、少量の酸や塩基を加えてもその影響をやわらげ、pHをほぼ一定に保つ作用をいう。
緩衝液としては、たとえば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス緩衝液、マッキルベイン緩衝液等が含まれる。緩衝液は検体によって一種類又は二種類以上が加えられる。
本願の検体液には、糞便等の検体の固体粒子が分散した懸濁液状のものも含まれる。検体に緩衝液を加えた検体液には、後述するチップZ内やチューブX内において膜や気泡等の事象が発生しやすいという特徴がある。
また、チューブXから吸い上げた検体を後述する吐き出し先容器(たとえば、ディープウェルプレート等のプレート)18内に吐き出した後、チューブX内に残留する検体を保管することは一般的であるが、その際、前記チューブX内に残留する検体の細胞内の核酸が変性しないよう、チューブXの蓋閉めと密閉性の確保も大切になる。
本願の前処理は、検体を用いた検査(たとえば、遺伝子の塩基配列やたんぱく質に含まれるアミノ酸配列を解析する検査)の前段階で行われるものであり、後述するロボット30を含む前処理実行システムによって実行される処理を意味する。
一例としては、図1に示すような、プレートID読み取り工程S001-取り出し工程S002-検体ID読み取り工程S003-検体ID撮影工程S004-蓋外し工程S005-チップ装着工程S006-装着チップ確認工程S007-吸い上げ工程S008-吸い上げ量確認工程S009-吐き出し工程S010-吐き出し量確認工程S011-チップ外し工程S012-蓋閉め工程S013-蓋閉め確認工程S014-収容工程S015等が含まれる。なお、本願の前処理には、これらすべての工程が含まれている場合に限らず、その一部のみをいう場合もある。
この実施形態では、後述するロボット30を含む前処理実行システムによって実行され、その前処理の実行過程で得られた各種の実行情報が記録されることになる。この前処理実行システムには、ロボット30や電子計算機(以下「PC」という)40が含まれ、これらの双方又はいずれか一方に登録されたプロトコルに従って前処理(前述の全行程)が実行される。
前記プロトコルは、前処理の処理手順や処理条件等が定められた実行手順書であり、前記実施形態の工程開始に先立って、ロボット30とPC40の双方又はいずれか一方に登録される。プロトコルは、検体の特性、前処理後の検査の仕様等によってその内容は異なる。プロトコルには、前処理を行う側で設定する事項が含まれることもある。プロトコルは、ロボット30やPC40以外の機器(たとえば、ロボット30やPC40のプロセッサやメモリ等に相当する機能を備えたもの)に登録するようにしてもよい。また、一台のロボット30(前処理実行システム)上で複数のプロトコルに対応した前処理を担う場合、複数のプロトコルに各々固有のプロトコルIDを付与しても良い。
プロトコルには、ロボット30を基準に設定された三次元(XYZ)の作業空間座標を基準に、ロボット30の動作始点や動作経路、動作姿勢、動作終点、停止姿勢、移動速度、経由点、動作時間等が定められるほか、第一ハンド31a及び第二ハンド32aの回転数や圧力等の一部又は全部が定められている場合もある。
そのほか、プロトコルには、読み取り手段13での読み取り方法や撮影手段14での撮影方法、チューブバイス16等での把持方法、検体の吸い上げ基準量、検体の吐き出し基準量、吸い上げ量の判定方法、吐き出し量の判定方法、蓋外し方法、蓋外しの判定方法、蓋閉め方法、蓋閉めの判定方法、証憑の処理方法、各工程で得られた実行情報の記録方法等の詳細が定められている。それぞれの工程の処理や判定の「時刻」も実行情報として記録される。
この実施形態では、プロトコルのうち、ロボット30の動作についてはロボット30に、判定及びそれに伴うロボット30の処理分岐支持についてはPC40に登録されているが、プロトコルは、その全部又は一部をロボット30側とPC40側の双方又はいずれか一方に登録できるようにしてある。登録されたプロトコルの実行において、個別の判定や指示はPC40側で行うこともできる。
また、この実施形態では、登録されたプロトコルに基づき実行された動作記録(実行情報)は、その実行後、ロボット30の動作についてはロボット30に記録され、判定(証憑を含む)と処理条件分岐についてはPC40側に記録されている。登録されたプロトコルに基づき実行された動作記録(実行情報)は、その実行後、読み取り手段13や撮影手段14、チューブバイス16等の動作を含め、その全部又は任意の一部をロボット30とPC40の双方又はいずれか一方に記録することもできる。また、登録されたプロトコルに基づく読み取りや判定、指示の実行記録(実行結果や証憑等)は、全部又は一部をロボット30とPC40の双方又はいずれか一方に記録に記録されるようにすることもできる。実行情報は、ロボット30やPC40以外の機器(たとえば、ロボット30やPC40のプロセッサやメモリ等に相当する機能を備えたもの)に記録してもよい。なお、登録の内容は本明細中では省略してある。
以上を踏まえ、本発明のチップ装着方法及びチップ装着装置の一例について説明する。本願における実行情報記録方法及び実行情報記録装置は、前処理の各工程において取得される実行情報を記録する方法及び装置である。前処理の各工程で取得された実行情報は、検体毎に後述する検体特定情報又は/及びプロトコル特定情報等と紐づけて自動的にストレージ43に記録されるようにしてある。この記録は各処理の実行と同時(実行直後)に自動的に行われる。
[前処理のフローの概要]
図1に、検体を用いた検査前に行われる前処理のフローチャートの一例を示す。図1の前処理は、プレートID読み取り工程S001-取り出し工程S002-検体ID読み取り工程S003-検体ID撮影工程S004-蓋外し工程(開栓工程)S005-チップ装着工程S006-装着チップ確認工程S007-吸い上げ工程S008-吸い上げ量確認工程S009-吐き出し工程S010-吐き出し量確認工程S011-チップ外し工程S012-蓋閉め工程(閉栓工程)S013-蓋閉め確認工程S014-収容工程S015を備えている。前述のとおり、前記各工程は、顧客(たとえば、前処理後に検査を行う事業者)から提供される前記プロトコルに従って行われる。プロトコルには、処理手順のほか、処理条件等が含まれる。
[プレートID読み取り工程]
前記プレートID読み取り工程S001は、検体の吐き出し先であるプレート18に表示された識別コード(以下「プレートID」という)を、読み取り手段13で読み取る工程である。プレートIDはプレート毎に付与される固有の識別コードであり、バーコードやQRコード(登録商標。以下同じ。)等で構成される。ここでいう表示には、プレートIDが印刷されたシールが貼付されることによる表示のほか、プレートIDがチューブXに直接印刷されることによる表示等も含まれる。
プレートID読み取り工程S001では、実行情報として、読み取られたプレートID(読み取りプレートID)が、PC40に記録される。読み取りプレートIDはプレート18に表示されたプレートIDを読み取ったものであり、当該プレートIDと一致するものである。
なお、プレートID読み取り工程S001はロボット30による動作が開始される前段階で、人手によって行われる工程である。この実施形態では、プレートID読み取り工程S001の後、図1の取り出し工程S002以降の工程が開始される。
[取り出し工程]
前記取り出し工程S002は、第一のロボットアーム(以下「第一アーム」という)31のハンド(以下「第一ハンド」という)31aで検体が収容されたチューブXを取り出す工程である。この工程では、第一アーム31の第一ハンド31aによって、チューブラック11に収容されたチューブXが一本把持される。
[検体ID読み取り工程]
前記検体ID読み取り工程S003は、チューブXに表示された検体を特定する検体特定情報(以下「検体ID」という)を読み取り手段13で読み取る工程である。検体IDは検体毎に付与される固有のIDであり、バーコードやQRコード、検体IDを表す文字や数字等の組み合わせからなるコード(以下「識別コード」という)等で構成される。具体的には、バーコードのみ、QRコードのみ、識別コードとバーコードの組み合わせ、識別コードとQRコードの組み合わせ等がある。なお、ここでいう表示には、検体IDが印刷されたシールが貼付されることによる表示のほか、検体IDがチューブXに直接印刷されることによる表示等も含まれる。
この工程では、第一アーム31によってチューブXが読み取り手段13の読み取り位置に移動し、そのチューブXに表示された検体IDが読み取り手段13で読み取られる。検体IDの読み取りは、チューブXを停止させた状態で行うことも、チューブXを正方向や逆方向に回転させながら行うこともできる。チューブXを正方向や逆方向に回転させながら行うことで、検体IDがチューブXの長手方向の軸線に対して斜めに表示されている場合にも正確かつ確実に読み取ることができる。検体IDの読み取りに際し、チューブXは連続回転させることも複数回に分けて間欠回転させることもできる。また、検体IDの読み取り時には、チューブXのシールの貼り付け位置の上下の誤差に対応できるように、チューブXを上下動させてもよい。
検体ID読み取り工程S003では、読み取りが成功した場合には、実行情報として、読み取り手段13での読み取った検体ID(以下「読み取り検体ID」という)が、読み取りが失敗した場合には、当該チューブXが退避ボックスへ移動されたことがPC40に記録される。読み取り検体IDはチューブXに表示された検体IDを読み取ったものであるから、当該検体IDと一致している。
[検体ID撮影工程]
前記検体ID撮影工程S004は、チューブXに表示された検体IDを撮影手段14で撮影する工程である。この工程では、第一アーム31によってチューブXが撮影手段14での撮影位置に移動し、そのチューブXに表示された検体IDが撮影手段14によって撮影される。
チューブXに表示された検体IDはチューブXの長手方向の軸線に対して斜めに表示されていることや左右逆向きに表示されていること、上下逆さまに表示されていること等があるため、撮影はチューブXを正方向や逆方向に連続回転又は間欠回転させて複数回行うのが好ましい。撮影により得られた画像(以下「検体ID画像」という)によりトレーサビリティ(追跡可能性)を確保することができる。また、検体ID画像は、読み取り手段13で読み取られた読み取り検体IDの照合に用いることもできる。
検体ID撮影工程S004では、実行情報として、撮影手段14での撮影によって得られた検体ID画像がPC40に記録される。
[蓋外し工程]
前記蓋外し工程S005は、チューブXの蓋Yを取り外す(開栓する)工程である。この工程では、第一アーム31によってチューブXがチューブバイス16の所定位置に配置され、チューブバイス16の挟持部16aで挟持されたチューブXの蓋Yが第一アーム31の第一ハンド31aによって外される。
この実施形態では、チューブバイス16で挟持されたチューブXの蓋Yが第一アーム31の第一ハンド31aで把持され、その第一ハンド31aが回転することで、チューブXの蓋Yが外されるようにしてある。
第一アーム31での蓋外しの動作が完了すると、予めプロトコルに基づき設定された判定条件(蓋外し判定条件)に基づいて、蓋外しが成功したか否かが判定される。蓋外しが成功したか否かは各種方法で判定することができるが、この実施形態では、第一ハンド31aの二つの爪の圧力と位置によって、蓋Yが把持されているか否かが判定されるようにしてある。
すなわち、第一ハンド31aで蓋Yが把持されている場合は二つの爪が蓋Yの直径以上に開いているのに対し、蓋Yが把持されていない場合には二つの爪の距離が蓋Yの直径未満であるため、両爪の位置(距離)を計測することによって、蓋Yが把持されているか否か(蓋Yが開けられたか否か)を判定することができる。
蓋外しが成功したか否かは、これ以外の方法で判定することもできる。たとえば、手首に内蔵されているモータ(図示しない)の負荷計測により判定することができる。チューブバイス16で挟持されたチューブXから蓋Yが外れていない場合、第一ハンド31aの手首には蓋Yを回転させる際に所定量以上の負荷がかかるので、その負荷を計測することによって、蓋外しが成功したか否かを判定することができる。この方法は、第一ハンド31a(二つの爪)の圧力と位置を計測する方法に代えて、又は当該方法と共に採用することができる。
蓋外し工程S005では、実行情報として、蓋外しが成功したか否かの判定結果(蓋外し判定結果)がPC40に記録される。また、この実施形態では、蓋外しが失敗したと判定された場合にロボット30が一時停止するようにしてある。この実施形態では、ロボット30が一時停止したときに音や光等で報知されるようにしてある。
[チップ装着工程]
前記チップ装着工程S006は、第二のロボットアーム(以下「第二アーム」という)32のハンド(以下「第二ハンド」という)32aで把持されたピペットPの先端にチップZを装着する工程である。この工程では、第二アーム32によってチップラック19の上方に移動したピペットPを所定のチップZに向けて下降させることによって、ピペットPの先端がチップZの装着開口部Z1に差し込まれるようにしてある。
前述のように、ピペットPの先端にチップZを装着する際には、チップZ自体の成形誤差やピペットPの経年劣化、チップラック19の成形誤差、チップラック19の交換担当者の交代、チップラック19の交換時の取付け誤差、ロボットの構成部品の個体差、構成部品の組み上げ誤差、ロボットの稼働・動作時のロボットアーム等の揺れ等に起因して、チップZが想定よりも浅く嵌ったり、ピペットPに対して傾いて嵌ったりする等の装着不良が発生することがある。
この問題を解消するため、この実施形態では、ピペットPの先端をチップZの装着開口部Z1を差し込む工程のあとに、この工程とは別の工程として、チップラック19の孔開き支持部材19cを利用して、チップZをピペットPの先端側に押し込む工程を入れている。
ここでいう「差し込む」とは、先端部に何も着いていないピペットPの先端部をチップZの装着開口部Z1に入れることを意味し、「押し込む」とは、ピペットPの先端が装着開口部Z1に差し込まれたチップZを孔開き支持部材19c側に押すことを意味する。押し込む工程は一回だけでもよいが、二回以上行うこともできる。押し込む工程を二回以上行う場合、各押し込む工程の第二アーム32や第二ハンド32a、第二ハンド32aの手首の部分、第二ハンド32aの爪の始点の位置や終点の位置、到達時間等の内容は、同一であっても同一でなくてもよい。
チップラック19の孔開き支持部材19cを利用して押し込む方法としては、(1)チップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に押し付ける方法や、(2)チップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に叩打する方法、(3)ピペットPを傾けて当該チップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に接触させる方法、その他の方法が挙げられる。
前記(1)のチップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に押し付ける方法では、図2(a)~(d)に示すように、ピペットPの先端がチップZの装着開口部Z1に差し込まれた状態で、第二アーム32の動作によってピペットPを孔開き支持部材19c側に向けて移動させ、当該ピペットPの先端のチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に押し付ける。
前記(2)のチップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に叩打する方法では、図3(a)~(e)に示すように、第二アーム32の動作によって、先端がチップZの装着開口部Z1に差し込まれたピペットPを第一の位置に移動させたのち、そのピペットPを第二アーム32の動作によって第二の位置に移動させることによって、当該ピペットPの先端のチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に叩打する。なお、ここでいう叩打とは、チップZの外周又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面にぶつける(打ち付ける)程度の意味であり、その強弱の程度は問わない。
たとえば、第二アーム32の動作によって、ピペットPの先端がチップZに差し込まれた位置からピペットPをその位置よりも高い位置である第一の位置に移動(上昇)させ、その第一の位置から第一の位置よりも低い位置である第二の位置に移動(降下)させることによって、当該ピペットPの先端のチップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に叩打する。なお、叩打する強さは、第一の位置から第二の位置までの移動速度(到達時間)や第一の位置から第二の位置までの距離を調整することによって変更することもできる。
第一の位置と第二の位置はXYZ座標(たとえば、ロボット30を基準に設定された作業空間座標XYZ)で特定される。第一の位置と第二の位置は、たとえば、プロトコルで規定された機器の仕様等に基づいて設定することもできる。ここでいう機器には、たとえば、ピペットPやチップZ、チップラック19などが含まれる。具体的には、ピペットPやチップZであればその長さや直径等、チップラック19であればその深さやチップラック19の孔開き支持部材19cの差込み孔19dの径等に基づいて設定することができる。
この方法では、叩打に際して、チップZが孔開き支持部材19cよりも上方に抜けないように、換言すれば、第一の位置から第二の位置までの距離が、チップラック19の深さ(チップラック19のラック本体19aの底面から孔開き支持部材19cの上面までの距離)よりも短くなるように第一の位置及び第二の位置を設定するのが好ましい。
叩打に際して(より具体的には、第一の位置への移動に際して)、チップZの先端が孔開き支持部材19cよりも上方に抜けると、第一の位置から第二の位置に移動させる際に、わずかな位置ずれによってチップZの先端が孔開き支持部材19cの上面に突き当たるおそれがある。この場合、チップZがコンタミネーションを起こしたこととなるため、チップZを交換する必要があり、処理時間の遅延につながる。
これに対し、叩打に際して(第一の位置への移動に際して)、チップZの先端が孔開き支持部材19cよりも上方に抜けないようにすることで、このような不具合の発生を防止することができる。また、チップZの先端が孔開き支持部材19cよりも上方に抜けないようにすることで、前述のチップZのコンタミネーションやコンタミネーションの発生による処理時間の遅延を回避することができる。
また、前記(3)のピペットPを傾けて当該チップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に接触させる方法では、図4(a)~(d)に示すように、ピペットPの先端がチップZに差し込まれた状態で、第二アーム32の動作によってピペットPを傾け、具体的には、差し込む工程が終了した状態、つまり、先端をチップZの装着開口部Z1に差し込んだ状態のピペットPの軸線方向J1に対して斜めになるように、あるいは、孔開き支持部材19cの上面の垂直方向に対して斜めになるように、あるいは、ピペットPの軸線方向が、差し込む工程が終了した状態、つまり、孔開き支持部材19cの差込み孔19dに差し込まれた状態のチップZの軸線方向に対して斜めになるようにピペットPを傾け、チップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に接触させる。
この方法では、ピペットPを異なる複数の方向に傾けて当該チップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に接触させることで、ピペットPの先端をより確実にチップZに押し込むことができる。このように、ピペットPを複数の方向に傾けて接触させることで、チップZがピペットPに対して傾きのない状態、換言すれば、ピペットPの軸線方向とチップZの軸線方向とが同一軸線上に位置する状態に近づけやすくなる。
ピペットPを複数の方向に傾ける場合、傾ける方向を間欠的に変えるほか連続的に変えることもできる。前者は、傾ける方向を変える度にチップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面から離す方法であり、後者は、チップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に接触させたまま、傾ける方向を変える方法である。後者の方法は、チップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を孔開き支持部材19cの上面に接触させたまま、ピペットPを旋回させることで行うことができる。なお、二回以上に分けて接触させる場合、チップZを孔開き支持部材19cの上面に接触させる際の圧力は、各回で同じとすることも差異を設けることもできる。
ピペットPを傾ける方法に特に制限はなく、第二アーム32を動かす方法や第二ハンド32aを動かす方法、第二ハンド32aの手首の部分(第二アーム32と第二ハンド32aの連結部分)、第二ハンド32aの爪を動かす方法等、各種方法で実行することができる。ここでいう「動かす」には、第二アーム32や第二ハンド32a、第二ハンド32aの手首の部分、第二ハンド32aの爪を回転させることが含まれる。
なお、前記各方法において、孔開き支持部材19cの上面には、孔開き支持部材19cの上側の水平面のほか、各差込み孔19dを構成する孔周面も含まれる。具体的には、たとえば、孔周面が上向きに広がるテーパ面であるような場合が想定される。孔周面がこのようなテーパ面の場合、チップZの外周面又はチップZの段差部Z2の底面を当該孔周面に押し付け等することで、孔開き支持部材19cの上側の水平面に押し付け等する場合と同様の効果が得られる。本願の孔開き支持部材19cの上面には、このような孔周面も含まれる。
前記説明では、前記(1)~(3)を個別に実施する場合を一例としているが、前記(1)
~(3)は二以上を組み合わせて実施することもできる。たとえば、前記(1)の実施後に前記(2)(3)を実施したり、前記(2)の実施後に(1)(3)を実施したりすることができる。この組み合わせは一例であり、組み合わせは適宜変更することができる。
ピペットPの先端にチップZを確実に装着する方法としては、カメラ等の撮影手段を用いる方法が考えられる。この方法では、ピペットPが差し込まれる前のチップZの装着開口部Z1を撮影し、その撮影画像から装着開口部Z1の位置を作業空間座標XYZで特定する。その後、その撮影画像から特定された位置情報と、ロボットアームの位置や動作スピード、ハンドの圧力等を設定する際の前提として特定されたチップラック19内のチップZの設置位置の情報(前記0008段落参照)との差分に基づいてチップZと第二アーム32の位置関係を補正し、その際の第二アーム32の最短軌道を生成する。
しかし、この方法では、チップZと第二アーム32の位置関係の補正及び第二アーム32の最短軌道の生成の双方で、補正方法と最短軌道に関する選択肢の中から最適と思われる方法を計算する必要があるため、最適方法探索のための計算量次第で処理速度の遅延につながりやすい。また、撮影手段を用いる場合には画像処理装置や通信機器など接続する機器が多く、それらの連携誤差が生じることがある。加えて、第二アーム32が異なる姿勢をとることや第二アーム32が揺れること、ロボット30の個体ごとに誤差があることによって、誤差が生じることがある。
これに対し、前記(1)~(3)をはじめとする本実施形態の方法では、撮影手段を用いる場合ほどの計算は必要なく、処理速度の遅延を回避できるというメリットがある。また、撮影手段を含む計測用のセンサが必要ないため、機器に起因する誤差が生じにくいといったメリットもある。
このチップ装着工程では、第二アーム32によってピペットPの先端に装着されたチップZが撮影手段14での撮影位置に移動し、そのチップZが撮影手段14によって撮影される。撮影は静止した状態で行うことも、チップZを正方向や逆方向に回転させながら行うこともできる。この工程で撮影された撮影画像(以下「装着チップ画像」という)によりトレーサビリティ(追跡可能性)を確保することができる。
チップ装着工程S006では、実行情報として、撮影手段14での撮影によって得られた装着チップ画像がPC40に記録される。
[装着チップ確認工程]
前記装着チップ確認工程S007は、予めプロトコルに基づき設定された判定基準(チップ装着判定基準)に基づいて、ピペットPの先端にチップZが装着されているか否かを確認する工程である。この工程では、装着されたチップZ内が空であるか否かをも併せて確認される。チップZの装着が成功したか否かは各種方法で判定することができるが、この実施形態では、装着チップ画像に基づいて、チップZが装着されているか否かが判定されるようにしてある。
この判定はPC40のプロセッサ41で行われ、装着チップ画像から、ピペットPの先端にチップZが装着されている場合には装着成功と判定され、ピペットPの先端にチップZが装着されていない場合には装着失敗と判定される。
装着チップ確認工程S007では、実行情報として、チップZの装着が成功したか否かの判定結果(チップ装着判定結果)がPC40に記録される。また、この実施形態では、チップ装着が失敗したと判定された場合にロボット30が一時停止するようにしてある。他の工程と同様、この工程でもロボット30が一時停止したときに音や光等で報知されるようにしてある。
[吸い上げ工程]
前記吸い上げ工程S008は、チューブバイス16で挟持されたチューブX内の検体をピペットPの先端に装着されたチップZ内に吸い上げる工程である。この工程は、第一アーム31と第二アーム32の協働により行われる。
具体的には、図5(a)~(d)に示すように、第二アーム32の第二ハンド32aで保持されたピペットPのプッシュボタンPBを第一アーム31の第一ハンド31aで押し下げ、その状態でピペットPに装着されたチップZをチューブX内に挿入する。その後、ピペットPのプッシュボタンPBの押し下げを解除することでチューブX内の検体がチップZ内に吸い上げられる。チップZをチューブX内の検体に挿入する際には、チップZの先端が検体の液面近くに位置するようにし、チューブXの底に触れないようにする。
この実施形態では、ピペットPのプッシュボタンPBを押し下げた第一アーム31の下降速度を、ピペットPを保持した第二アーム32の下降速度よりも遅くすることで、プッシュボタンPBの押し下げが解除され、チップZ内に検体が吸い上げられるようにしてある。
なお、この実施形態では、第二アーム32の下降速度(換言すれば、第二アーム32で保持されたピペットPの下降速度)を検体の液面が下がる速度(検体の減少速度)と同じ又はそれよりも速い速度となるように調整し、検体の吸い上げ時にチップZの先端がチューブX内の検体の液面よりも上に出ないようにしてある。
検体の吸い上げ時には検体の吸い上げに伴って検体の液面が徐々に下がるため、第二アーム32の下降速度次第では、チップZの先端がチューブX内の検体の液面よりも上に出てしまい、空気が混入するおそれがある。この実施形態のように、第二アーム32の下降速度を前述のように調整することで、検体吸い上げ時の空気の混入を回避することができる。
この工程では、第二アーム32によってピペットPの先端に装着された検体吸い上げ後のチップZが撮影手段14での撮影位置に移動し、そのチップZが撮影手段14によって撮影される。撮影は静止した状態で行うことも、チップZを正方向や逆方向に回転させながら行うこともできる。この工程で撮影された撮影画像(以下「吸い上げ後チップ画像」という)によりトレーサビリティ(追跡可能性)を確保することができる。
吸い上げ工程S008では、実行情報として、撮影手段14での撮影によって得られた吸い上げ後チップ画像がPC40に記録される。
[吸い上げ量確認工程]
前記吸い上げ量確認工程S009は、検体の吸い上げ量を確認する工程である。この工程では、前記吸い上げ後チップ画像から、ピペットPの先端に装着されたチップZ内に規定容量の検体が吸い上げられたか否かが判定される。ここでいう規定容量は、検体の特性や解析検査の仕様に合わせて任意に設定される量であり、プロトコルの一部として指定される。また、チップのメーカーや型番、サイズなどもプロトコルの一部に含まれることもある。
なお、この工程で撮影されるのはチップZの全体でも一部でもよい。一部を撮影する場合、たとえば、吸い上げた検体部分とその上側の空気部分が含まれるようにすることができる。吸い上げ後チップ画像には、チップZ全体と、チップZ内に吸い上げられた検体と、吸い上げられた検体の上側の空気とが含まれている。
この実施形態では、吸い上げ後チップ画像の画像処理によって規定容量の検体が吸い上げられたか否かが判定されるようにしてある。具体的には、図6(a)(b)に示すように、撮影された画像データ(図6(a))のチップZ内における空気部分S1(図6(b)の一点鎖線で囲んだ領域)の平面内又は曲面内の図形の大きさや広さ、構成、対象となる領域、あるいはこれらを数値化したものが、予めプロトコルに基づき設定された判定基準(以下「吸い上げ量判定基準」という)を満たす場合には規定容量の検体が吸い上げられたと判定され、吸い上げ量判定基準を満たさない場合には規定容量の検体が吸い上げられていないと判定される。
この実施形態では、チップZ内の空気部分S1の平面内又は曲面内の図形の大きさや広さ、構成、対象となる領域、あるいはこれらを数値化したものを判定基準として用いているが、チップZ内の検体部分S2(図6(b)の二点鎖線で囲んだ領域)の平面内又は曲面内の図形の大きさや広さ、構成、対象となる領域、あるいはこれらを数値化したものを判定基準として用いることもできる。この場合も、撮影されたチップZ内の検体部分S2の平面内又は曲面内の図形の大きさや広さ、構成、対象となる領域、あるいはこれらを数値化したものが、予めプロトコルに基づき設定された吸い上げ量判定基準を満たす場合には規定容量の検体が吸い上げられたと判定され、吸い上げ量判定基準を満たさない場合には規定容量の検体が吸い上げられていないと判定されるようにすることができる。
なお、規定容量の検体が吸い上げられたか否かは、空気部分S1や検体部分S2の平面内又は曲面内の図形の大きさや広さ、構成、対象となる領域、あるいはこれらを数値化したもののほか、空気部分S1の上端から下端までの距離や検体部分の上端から下端までの距離、空気部分と検体部分の面積比、両者の上端から下端までの距離比等を基準に判定されるようにすることもできる。
吸い上げ量確認工程S009では、実行情報として、チップZ内に規定容量の検体が吸い上げられたか否かの判定結果(吸い上げ量判定結果)がPC40に記録される。ここでいう吸い上げ量判定結果には、吸い上げ量が規定容量の範囲内であったか否かに加え、具体的な吸い上げ量の数値等も含めてもよい。
また、この実施形態では、規定容量の検体が吸い上げられていないと判定された場合にロボット30が一時停止するようにしてある。他の工程と同様、この工程でもロボット30が一時停止したときに音や光等で報知されるようにしてある。
[吐き出し工程]
前記吐き出し工程S010は、吸い上げた検体をプレート穴18aに吐き出す工程である。図7(a)~(c)に示すように、この工程は第一アーム31と第二アーム32の協働により行われる。具体的には、第二アーム32によってピペットPの先端のチップZがプレート18の所定位置に移動したのち、その位置でピペットPのプッシュボタンPBが第一ハンド31aで押し下げられ、チップZ内の検体がプレート穴18aに吐き出される。
吐き出し工程S010では、実行情報として、吐き出し先のプレートID(以下「吐き出し先プレートID」という)及び吐き出し先プレートIDにおけるプレート穴(吐き出し先プレート穴)の情報がPC40に記録される。
なお、吐き出し先プレート穴はロボット30を基準に設定された作業空間座標におけるXYZ座標(たとえば、XYZ座標の三軸やX座標及びY座標の二軸)によって特定される。ここでいうプレートIDやX座標とY座標によって特定された吐き出し先プレート穴は、吐き出し先を特定するための吐き出し先特定情報としてPC40に記録される。吐き出し先特定情報には、プレート18の縦列(X軸)に振られたA~Hの符号と、横列(Y軸)に振られた1~12の番号の組み合わせ情報を用いることもできる。
[吐き出し量確認工程]
前記吐き出し量確認工程S011は、規定容量の検体がチップZから吐き出されたか否かを確認する工程である。この工程では、第二アーム32によってピペットPの先端に装着されたチップZが撮影手段14での撮影位置に移動し、そのチップZが撮影手段14によって撮影され、撮影されたチップ画像(以下「吐き出し後チップ画像」という)から、規定容量の検体がチップZから吐き出されたか否かがPC40のプロセッサ41で判定される。
吸い上げ量確認工程S009と同様、この工程で撮影されるのはチップZの全体でも一部でもよい。一部を撮影する場合、たとえば、吐き出した後にチップZ内に残存する検体(以下「残存検体」という)と、残存検体部分の上側の空気部分が含まれるようにすることができる。この場合、吐き出し後チップ画像には、チップZ全体と、残存検体と、残存検体部分の上側の空気とが含まれている。
この実施形態では、吸い上げ量確認工程S009と同様、撮影手段14で撮影されたチップZの画像処理によって規定容量の検体が吐き出されたか否かが判定されるようにしてある。具体的には、図8(a)(b)に示すように、撮影された吐き出し後チップ画像の空気部分S1(図8(b)の一点鎖線で囲んだ領域)の平面内又は曲面内の図形の大きさや広さ、構成、対象となる領域、あるいはこれらを数値化したものが予めプロトコルに基づき設定された判定基準(以下「吐き出し量判定基準」という)を満たす場合(閾値の範囲内にある場合)には正常と判定され、吐き出し量判定基準(閾値)を満たさない場合(閾値の範囲外である場合)にはエラーと判定される。吸い上げ量確認工程S009と同様、この判定はPC40のプロセッサ41で行われる。
また、判定を行う際には、吐き出し量が適正であるにも関わらず、チップZ内に生じる膜や気泡(以下「膜等」という)Fが検体と誤認識され、規定容量の検体が吐き出されていないと判定される場合がある。膜等Fは吐き出し量の判定を阻害する事象であり、たとえば、緩衝液の特性や温度、チップZの形状やサイズ等によって生じる場合がある。
膜等Fのような吐き出し量の判定を阻害する事象が発生した場合には、この事象によって判定が阻害されないように処理する。処理方法としては、たとえば、図8(c)のように、吐き出し後チップ画像をPC40上で複製し、複製した吐き出し後チップ画像の一部(たとえば、膜等Fの発生しやすいチップ上部)を隠して(黒掛けして)判定対象領域を狭める方法がある。この場合、判定対象領域を狭めた状態での空気部分S1や残存検体部分S3の平面内又は曲面内の図形の大きさや広さ、構成、対象となる領域、あるいはこれらを数値化したものを算出して、その算出した値から規定容量の検体が吐き出されたか否かを判定するようにしてもよい。
図8(c)では、膜等Fの事象が発生した部分(以下「事象発生部分」という)を黒掛けして隠すことによって判定対象領域を制限しているが、判定対象領域は黒掛け以外の方法で制限することもできる。たとえば、事象発生部分を含む一部を画像上で切除する(除去する)ことによって判定対象領域を制限し、切除後の証憑に基づいて規定容量の検体が吐き出されたか否かを判定すること等が考えられる。
事象発生部分を隠す方法としては、たとえば、隠す範囲を予め設定しておき、証憑の当該範囲が画一的に隠されるようにする方法がある。たとえば、証憑の上部10%の範囲や証憑の上から50mmの範囲というように、証憑の隠す範囲を予め設定しておき、証憑上の当該範囲が隠されるようにすることができる。隠す範囲は証憑の上から50mmのような方法で設定することもできる。なお、これらの数値は一例であり、これ以外の数値で設定することもできる。また、隠す位置の基準も証憑の上からに限らず、たとえば、証憑中のチップの上端を基準にし、証憑中のチップの上端から数%や数mmというように設定することもできる。
一定の基準に基づき、証憑毎に隠す位置や範囲を変動させることによって事象発生部分を隠すこともできる。たとえば、証憑上で特定の事象(たとえば、証憑上のチップZ内に現れる線など)が確認されたときに、その事象に基づいて証憑毎に隠す位置や範囲を変動させることもできる。また、たとえば、検体や緩衝液の特性や性状、ピペットPやチップZの機械的損耗、作業環境(温度、湿度、気圧など)などに基づいて証憑毎に隠す位置や範囲を変動させることもできる。
たとえば、チップZ装着時の撮影画像から装着角度を検出し、その角度から排出量の変化を予測し、それに合わせて隠す場所(たとえば、位置や範囲など)を変える方法や、所定時間(たとえば、数秒)毎に隠す領域を下方に移動させる方法等によって事象発生部分を隠すこともできる。前者は、たとえば、ピペットPとチップZの結合部分Cの密閉性が揺らぐ場合など機械的損耗が発生した場合等の対処として、後者は検体の粘性によりチップZ内の壁面付着残量を考慮する必要がある場合等の対処として、有効な方法となりうる。なお、ここでは、証憑の一部を隠す場合について説明しているが、証憑の一部を切除する場合も同様の方法で行うことができる。
事象発生部分の黒掛けや除去、その他の方法によって判定対象領域を制限する場合、制限前(黒掛け処理や切除処理を行う前)の証憑(吐き出し後チップ画像)と制限後(黒掛け処理や切除処理を行った後)の証憑(処理後チップ画像)の双方を記録として残しておくのが好ましい。また、制限前の証憑と制限後の証憑は、モニタ21に並列して表示されるようにすることができる。ただし、両証憑は並列させずに、個別に表示されるようにしてもよい。
制限前の証憑(たとえば、静止画や動画などの生画像データ)と制限後の証憑の双方を記録として残しておくことで、事象発生部分がどのような状態であったかを事後的に確認することができる。この実施形態では、制限前の証憑と制限後の証憑が紐づけて記録手段(ストレージ43)に記録されるようにしてある。
なお、ここでは撮影手段14によって撮影された写真(静止画)を証憑(以下「撮影証憑」という)として用いる場合を一例としているが、撮影証憑には、撮影手段14で撮影された動画を用いることもできる。本願の他の工程でも、撮影手段14での撮影が行われるが、いずれの場合も静止画であっても動画であってもよい。撮影によって得られた静止画や動画は、撮影証憑として利用することができる。
判定を阻害する事象が発生した場合の画像処理の方法は、一部を隠したり除去したりする以外の方法であってもよく、たとえば、画像補正や画像変換、画像加工、特徴抽出、画像認識、三次元化、数値化等の方法によって処理することもできる。
ここでいう画像補正には、コントラストや明るさ、色等を補正すること等が、画像変換にはカラー画像をモノクロ画像に変換すること等が、画像加工にはノイズ除去やエッジ強調、拡大、縮小等が、特徴抽出には面積や円形度の計測等が、画像認識には対象物の特定等が、三次元化には二次元画像の三次元化処理等が、数値化には画像の数値への変換等が含まれる。これらの処理はいずれもデジタル画像上で処理を行う方法である。たとえば、画像認識であれば、証憑ごとに事象発生部分を特定し、その事象発生部分を隠したり除去したりすることができる。
規定容量の検体が吐き出されたか否かは、吐き出し後のチップZ内の残存検体部分S3の平面内又は曲面内の図形の大きさや広さ、構成、対象となる領域、あるいはこれらを数値化したものを判定基準として用いることもできる。この場合も、撮影されたチップZ内の残存検体部分S3の平面内又は曲面内の図形の大きさや広さ、構成、対象となる領域、あるいはこれらを数値化したものが予めプロトコルに基づき設定された吐き出し量判定基準(閾値)を満たす場合(閾値の範囲内にある場合)には正常と判定され、吐き出し量判定基準(閾値)を満たさない場合(閾値の範囲外である場合)にはエラーと判定されるようにすることができる。
規定容量の検体が吐き出されたか否かは、空気部分S1の平面内又は曲面内の図形の大きさや広さ、構成、対象となる領域、あるいはこれらを数値化したものや、残存検体部分S3の平面内又は曲面内の図形の大きさや広さ、構成、対象となる領域、あるいはこれらを数値化したもののほか、空気部分の上端から下端までの距離や残存検体部分の上端から下端までの距離、空気部分と残存検体部分の面積比、両者の上端から下端までの距離の比等を基準に判定されるようにすることもできる。
吐き出し量確認工程S011では、実行情報として、撮影手段14での撮影によって得られた吐き出し後チップ画像のほか、処理後チップ画像、規定容量の検体が吐き出されたか否かの判定結果(以下「吐き出し量判定結果」という)がPC40に記録される。ここでいう吐き出し量判定結果には、吐き出し量が規定容量の範囲内であったか否かに加え、具体的な吐き出し量の数値等も含まれてもよい。
また、この実施形態では、吐き出し量が予めプロトコルに基づき設定された判定基準(以下「吐き出し量判定基準」という)を満たさないと判定された場合にロボット30が一時停止するようにしてある。他の工程と同様、この工程でもロボット30が一時停止したときに音や光等で報知されるようにしてある。
[チップ外し工程]
前記チップ外し工程S012は、ピペットPの先端に装着されたチップZを取り外す工程である。この工程では、第二アーム32によって、ピペットPとチップZの結合部分Cをチップリムーバ20の係止凹部20dの周縁に引っ掛け、その状態でピペットPを上方にあげることによって、ピペットPからチップZが取り外される。
[蓋閉め工程]
前記蓋閉め工程S013は、チューブバイス16で挟持されたチューブXを蓋閉め(閉栓)する工程である。この工程では、第一アーム31の第一ハンド31aによって、蓋ラック12に収容された新規の蓋Yが取り出され、その蓋Yがチューブバイス16で挟持されたチューブXに装着(蓋閉め)される。この実施形態では、蓋Yを把持した第一ハンド31aを回転させることで、チューブXが蓋閉めされるようにしてある。
[蓋閉め確認工程]
前記蓋閉め確認工程S014は、蓋閉め工程S013完了後のチューブXが蓋閉めされているか否か(チューブXに蓋Yが装着されているか否か)を確認する工程である。この工程では、予めプロトコルに基づき設定された判定基準(蓋閉め判定基準)に基づいて蓋閉めが成功したか否かが判定される。蓋閉めされているか否かの確認は、たとえば、次の二つの方法で行うことができる。
一つ目の方法は、第一アーム31の第一ハンド31aでチューブXの蓋Yを摘まみ上げたときに、第一ハンド31aにかかる荷重が予めプロトコルに基づき設定された蓋閉め判定基準を満たすか否かによって判断する方法である。この方法で判定する場合、蓋Yと共にチューブXも持ち上がった場合(蓋閉め判定基準を満たす場合)には蓋閉め成功と判定され、チューブXが持ち上がらずに蓋Yのみが持ち上がった場合(蓋閉め判定基準を満たさない場合)には蓋閉めが不十分(密閉性不足)として蓋閉め失敗と判定される。
蓋閉め後のチューブXはチューブラック11に戻される際に、第一アーム31の第一ハンド31aで持ち上げられる。この方法による判定は、蓋閉め後のチューブXをチューブラック11に戻す際の蓋Yを摘まみ上げる動作時に行えるため、別工程がない分、効率よく蓋閉めの判定を行うことができる。
二つ目の方法は、撮影手段14での撮影画像(以下「蓋閉め後チューブ画像」という)から判断する方法である。この方法で判定する場合、第一アーム31の第一ハンド31aでチューブXの蓋Yが摘ままれ、撮影手段14での撮影位置に移動する。第一アーム31によってチューブXが撮影位置に移動すると、撮影手段14によってチューブXが撮影される。蓋閉め後チューブ画像に蓋Yと共にチューブXが含まれていれば蓋閉めが成功したと判定され、蓋閉めチューブ画像に蓋Yのみが含まれ、チューブXが含まれていなければ蓋閉めが失敗したと判定される。蓋閉めが成功したか否かは、これ以外の方法で判定することもできる。
蓋YがチューブXに装着されているか否か、言い換えれば、チューブXが密閉しているか否かの確認は、チューブXが密閉していないことに起因するコンタミや検体の変性という弊害を防止するために行われる。蓋Yが閉まっていない場合、チューブXが倒れたり、傾いたりすることで残検体が飛散し、コンタミの要因となることがある。また、空気中の二酸化炭素が溶けてpHが変化し、残検体が変性してしまう(細胞内の核酸が変性してしまう)ことがある。
これらの不都合を防止するため、本実施形態では、蓋YがチューブXに装着されているか否かの確認を行い、蓋閉めが失敗した場合には、ロボット30が停止するようにしてある。これにより、蓋Yが閉まっていないことに起因する前記弊害を事前に回避することができる。
蓋閉め確認工程S014では、実行情報として、撮影手段14での撮影によって得られた蓋閉め後チューブ画像のほか、蓋閉めが成功したか否かの判定結果(蓋閉め判定結果)がPC40に記録される。
また、この実施形態では、蓋閉めが失敗したと判定された場合にロボット30が一時停止するようにしてある。他の工程と同様、この工程でもロボット30が一時停止したときに音や光等で報知されるようにしてある。
[収容工程]
前記収容工程S015は、蓋閉めされたチューブXをチューブバイス16から取り出し、チューブラック11の収容凹部11aに戻す工程である。この工程では、第一アーム31の第一ハンド31aによって蓋閉めされたチューブXがチューブバイス16から取り出され、取り出されたチューブXがチューブラック11の元の収容凹部11aに戻される。
[その他の工程]
図1のフローチャートでは省略しているが、この実施形態では、検体ID読み取り工程S003での読み取り後に、読み取り検体IDが既に読み取り済みの検体IDと重複していないかが判定されるようにしてある。判定の結果、検体IDが重複していると判定された場合には、当該検体IDが表示されたチューブXがロボット30の動作によって図示しない退避ボックスへ収容される。この場合、当該チューブXに表示された検体IDがPC40に記録されるようにしてある。
また、この実施形態では、検体IDが予め登録された検体IDリストから漏れていないかが判定されるようにしてある。判定の結果、検体IDが検体IDリストから漏れていると判定された場合には、当該検体IDが表示されたチューブXがロボット30の動作によって図示しない退避ボックスへ収容される。この場合も、当該チューブXに表示された検体IDがPC40に記録されるようにしてある。
前記前処理の各工程で得られた実行情報は、いずれも検体ID(読み取り検体ID)に紐づけてPC40のストレージ(記録手段)43に記録される。すなわち、検体IDごとに各実行情報が記録される。たとえば、検体ID「xxxxx」が付与された検体であれば、この検体ID「xxxxx」に関連するすべての実行情報が紐づけられて記録されることになる。
これにより、たとえば、検体ID「xxxxx」について、その吐き出し量判定結果から吐き出し量が判定基準を満たすか否かを確認すると共に、当該検体ID「xxxxx」に紐づけられた吐き出し後チップ画像を突き合わせることで、当該検体ID「xxxxx」の吐き出し量判定結果が適正なものであるか否かを照合することができる。このように、一つの処理に対して、二以上の実行情報が記録されることで、プロトコルと実行結果(実行情報)の照合及び実行結果(実行情報)同士の照合が可能となる。
前記実施形態の各工程では、蓋外しの成否やチップ装着の成否、吸い上げ量が規定容量の範囲内か否か、吐き出し量が規定容量の範囲内か否か、蓋閉めの成否等が、PC40のプロセッサ41で判定されるが、成否の基準となる各判定基準は、検体を用いた検査の仕様や使用する器具(ピペットPやチップZ、チューブX、蓋Y等)によって適宜に設定されるものである。各判定基準は、顧客側からの指定に従って、予め設定されるほか、第一アーム31や第二アーム32、第一ハンド31a、第二ハンド32a等の位置や圧力、画像処理の方法等が、前処理実行システム提供者側によって作成される場合もある。
前記実施形態では、取り出し工程S002から収容工程S015までを一連の流れの中で行う場合を一例としているが、前記各工程は、それぞれの工程単位あるいは複数の工程単位で実施することもできる。また、前記各工程はすべてが必須の工程ではなく、不要な工程は適宜省略することができる。前記実施形態は一例であり、その要旨を変更しない範囲で、適宜工程の入れ替え、変更、追加等を行うことができる。
[前処理を実行するシステムの概要]
次に、前記各工程を実施する前処理実行システムの一例を、図面を参照して説明する。この前処理実行システムは、各工程の実行時に実行情報を自動で記録する機能を備えたものであり、その一部又は全部が本願における実行情報記録装置として機能する。一例として図9及び図10に示すシステムは、設置台10、チューブラック11、蓋ラック12、読み取り手段13、撮影手段14、照明具15、チューブバイス16、蓋回収ボックス17、プレート18、チップラック19、チップリムーバ20、モニタ21、入出力ポート23、ロボット30、PC40等を備えている。
前記設置台10は、チューブラック11や蓋ラック12、読み取り手段13、撮影手段14、照明具15、チューブバイス16、プレート18、チップラック19、チップリムーバ20、モニタ21、ロボット30、PC40等の各種機器を設置する台である。設置台10にはステンレス台等を用いることができる。
この実施形態では、システムを構成する各種機器を一つの設置台10に設置することで、機能別(工程別)にモジュール化された機器を組み合わせて構成された従来のシステムに比べて設置スペースを取らないというメリットがある。
前記チューブラック11は、検体が収容されたチューブXを収容するための容器である。この実施形態では、チューブラック11として96個(縦8×横12)の有底の収容凹部11aを備えたものを用いている。チューブラック11は、チューブXを収容凹部11aに収容した際に少なくともチューブXの蓋Yがチューブラック11の上面より上側に突出する高さとしてある。
前記蓋ラック12は、検体吸い上げ後のチューブXに装着する新規の蓋Yを収容するための容器である。この実施形態では、蓋ラック12として96個(縦8×横12)の有底の蓋収容部12aを備えたものを用いている。蓋ラック12は、蓋Yを蓋収容部12aに収容した際に少なくとも蓋Yが蓋ラック12の上面より上側に突出する高さとしてある。
蓋ラック12には、たとえば、全部又は一部の蓋Yを載せたまま照射型殺菌装置(紫外線ランプを搭載した紫外線殺菌装置)に入れられる着脱式のものを用いることができる。照射型殺菌装置に入れられる着脱式のものを用いる場合、蓋Yに誤って人(たとえば、作業者)の遺伝子が付着したときにこの遺伝子を破壊することができ、コンタミネーションの防止を図ることができる。
前記読み取り手段13は、チューブXに表示された検体IDを読み取るための装置である。読み取り手段13にはバーコードリーダーやQRコードリーダー等の各種リーダーを用いることができる。この実施形態では、読み取り手段13として、一次元コード及び二次元コードの読み取りが可能な定置式のバーコードリーダーを用いている。読み取り手段13にはこれ以外のものを用いることもできる。
この実施形態では、チューブXに表示された検体IDが読み取り手段13の読み取り範囲内に到達すると、当該読み取り手段13によって当該検体IDが読み取られるようにしてある。読み取られた読み取りプレートIDはPC40に送信されてストレージ43に記録される。
前記撮影手段14は、チューブXに表示された検体IDやチップZを撮影するための装置である。撮影手段14には可変焦点レンズを備えたカメラ等を用いることができる。この実施形態では、カメラを一台用いる場合を一例としているが、撮影手段14は複数台のカメラで構成することもできる。また、撮影手段14は静止画を撮影するもののほか、動画を撮影するものや静止画と動画の双方を撮影するもの等を用いることもできる。
前記照明具15は、撮影手段14での撮影対象であるチューブX(検体ID)やチップZを照明するための装置である。照明具15には第一電源22aが接続され、当該第一電源22aから供給される電源で動作するようにしてある。この実施形態では、照明具15として高指向性の白色照明を用いている。この照明具15は薄板状であり、縦向きに立設した状態で設置台10に取り付けられている。照明具15にはこれ以外のものを用いることもできる。
この実施形態では、後述する第一アーム31によってチューブXが撮影位置に移動したときや、後述する第二アーム32によってチップZが撮影位置に移動したときに、照明具15によって当該チューブXやチップZが照明され、撮影手段14によって撮影されるようにしてある。撮影された画像(検体ID画像や装着チップ画像、吸い上げ後チップ画像、吐き出し後チップ画像、蓋閉め後チップ画像等)とは、PC40に送信されてストレージ43に記録される。
前記チューブバイス16は、チューブXを挟持する装置である。図11(a)(b)に示すように、この実施形態のチューブバイス16は、チューブXを挟持する挟持部16aと、挟持部16aを開閉させる駆動機構16bと駆動機構16bを動作させる駆動源(モータ)16Mを備えている。
この実施形態の挟持部16aは対向配置された二枚の挟持片16c、16dを備えている。一方の挟持片(以下「固定挟持片」という)16cはベース板16e上に設けられた挟持片台座16fの上に配置されたL字プレートで、他方の挟持片(以下「可動挟持片」という)16dは駆動機構16bで移動する可動式のT字プレート16nの一部(立ち上がり部分)で構成されている。両挟持片16c、16dの対向する面にはクッション材16g、16hが設けられている。
前記駆動機構16bは、カップリング16i、ボールネジ16j、ボールナット(図示しない)を備えている。ボールネジ16jにはカップリング16iを介してモータ16Mが連結され、ボールネジ16jには図示しないボールナットが設けられている。ボールネジ16jの両外側には、ボールネジ16jと平行にリニアガイド16kが一本ずつ配置されている。各リニアガイド16kは長手方向両端側がガイド支持具16mで支持されている。
前記T字プレート16nはボールナットに固定され、ボールナットの動きに連動して、可動挟持片16dが固定挟持片16cに接近又は離間する方向に移動するように構成されている。T字プレート16nの裏面の長手方向両端側には貫通孔を備えたガイドブロック16pが一つずつ設けられ、当該貫通孔にリニアガイド16kが挿通されている。これにより、T字プレート16nの移動の動作時に、T字プレート16nの横ブレが防止される。
前記蓋回収ボックス17は、チューブXから外された蓋Yを回収するための容器である。蓋回収ボックス17には既存の樹脂製容器等を用いることができる。蓋回収ボックス17は第一アーム31が届く任意の位置(この実施形態では、設置台10の側方)に設置することができる。
前記プレート18は、吸い上げられた検体を移し替えるための容器である。図示は省略しているが、各プレート18にはバーコードやQRコード等のプレートIDが表示されている。ここでいう表示にはプレートIDが印刷されたシールが貼付されることによる表示のほか、プレートIDがプレート18に直接印刷されることによる表示等も含まれる。
図12に示すように、この実施形態では、プレート18として96個(縦8×横12)の角型ウェル(プレート穴18a)を備えたものを用いている。このプレート18には、縦列(X軸)にA~Hの符号が、横列(Y軸)に1~12の番号が振られ、当該符号と番号の組み合わせでプレート穴18aを特定できるように構成されている。
プレート18の外周には後述するプレート座24の嵌合溝24cに嵌合する嵌合部18bが外向きに突設されている。ここで示したプレート18は一例であり、プレート18にはこれ以外のものを用いることもできる。プレート18は複数枚を増設することもできる。
前記プレート18は、設置台10に固定されたプレート座24に設置されている。この実施形態のプレート座24は平面視方形状の載置面24aを備えている。プレート座24にはフランジ24bが突設され、当該フランジ24bをビス等の止め具で設置台10に固定できるようにしてある。
プレート座24の載置面24aの三辺には嵌合溝24cが設けられ、当該嵌合溝24cにプレート18の嵌合部18bを嵌め込むだけで、プレート18がプレート座24に固定されるようにしてある。載置面24aの残りの一辺は開口しており、ここからプレート18の嵌合部18bを嵌合溝24c内に挿入することができる。プレート座24はプレート18の数に応じて増設することができる。
前記チップラック19は、ピペットPに装着する新規のチップZを収容するための容器である。図13(a)(b)に示すように、この実施形態では、チップラック19として、上面開口部を備えたラック本体19aと、当該ラック本体19aの上面開口部を開閉する蓋19bと、ラック本体19aの上面開口部の周縁に載置された孔開き支持部材19cを備えたものを用いている。孔開き支持部材19cは、チップZを差し込んで保持するための平板状の部材であり、チップZを差し込むための複数(この実施形態では、100個(縦10×横10))の差込み孔19dが設けられている。チップラック19にはこれ以外のものを用いることもできる。
使用前のチップZは、各差込み孔19dに一本ずつ差し込まれ、ピペットPの先端が差し込まれる装着開口部Z1が上を向いた状態で保管される。たとえば、図13(a)(b)に示すように、外周に外向きに突設された段差部Z2を備えたチップZの場合、当該段差部Z2の底面が孔開き支持部材19cの上面に当接することによって、装着開口部Z1が上を向いた状態で支持される。なお、孔開き支持部材19cは、チップZの段差部Z2が孔開き支持部材19cの上面に当接したときに、当該チップZの先端がラック本体19aの底面に接触しない位置に設けられている。
この実施形態では、チップラック19をチップラックケース25に収容して、チップラック19の位置決めや位置調整を行えるようにしてある。一例として図14に示すチップラックケース25は、設置台10に固定されるベース部25aとベース部25aに立設された立設部25bを備えている。立設部25bは四方を囲う三枚の固定壁25c及び一枚の可動壁25dで構成され、可動壁25dを適宜移動させることで立設部25bの内側の広さを調整できるようにしてある。
チップラック19は、メーカーによって大きさや形状が異なるが、この実施形態のように、移動可能な可動壁25dを設けて立設部25bの内側の広さを調整できるようにすることで、大きさや形状の異なるチップラック19にも柔軟に対応することができる。なお、移動後の可動壁25dは図示しないビス等でベース部25aに固定し、不用意に動かないようにしてある。
チップラック19をこのような構造のチップラックケース25に装着することで、チップラック19が、その四隅がチップラックケース25の四隅と一致する部分で位置決めされ、原点の位置がずれにくくなるため、ピペットPの先端へのチップZの装着を確実に行うことができる。
前記チップリムーバ20は、ピペットPの先端に装着された使用後のチップZを取り外すための治具である。この実施形態のチップリムーバ20は、設置台10に固定された固定部20aと、固定部20aから上向きに立ち上がる立ち上がり部20bと、立ち上がり部20bの中段に外向きに突設された突出部20cを備えている。
突出部20cの先端には、ピペットPとチップZの結合部分Cが収まる係止凹部20dが設けられ、当該係止凹部20dの周縁にピペットPとチップZの結合部分Cを引っ掛けた状態でピペットPを上方に移動させることで、ピペットPからチップZを取り外すことができる。
前記モニタ21は、システムの稼働状況や撮影手段14による撮影画像、読み取り手段13による読み取り信号等を表示するものである。この実施形態では、動作の開始や再開、停止、読み込み、リサンプリング等、アプリケーションを動作させるためのボタンもモニタ21に表示されるようにしてある。
前記入出力ポート23は信号の入力又は出力を行う手段である。この実施形態では、入出力ポート23として入力にも出力に使うことのできる汎用入出力(GPIO:General-purpose input/output)を用いている。GPIOでは、PC40から送信される信号を受信して、チューブバイス16を制御することができる。なお、入出力ポート23にはチューブバイス16と共通の第二電源22bが接続され、第二電源22bから供給される電源で動作するようにしてある。
入出力ポート23としてGPIOを用いることで、システムを構成する各種装置のすべてをPC40側で制御することができるというメリットがある。これにより、ロボット30側での制御が減り、ロボット30の処理速度の改善が期待できる。また、システムを構成する各種装置の制御がPC40側から可能になったことで、この実施形態で使用しているロボット30以外の各種ロボット30もシステムを構成する各種装置を利用することができ、顧客の要望に対応しやすくなるというメリットがある。
前記ロボット30は、チューブXやピペットPを取り扱うロボットである。この実施形態では、ロボット30として、第一アーム31及び第二アーム32を備えた双腕型の多関節ロボットを用いている。第一アーム31には第一ハンド31aが、第二アーム32には第二ハンド32aが設けられ、これら第一ハンド31a及び第二ハンド32aによってチューブXやピペットPが保持される。
図10に示すように、ロボット30には制御手段33が搭載(内蔵)され、その制御手段33によって第一アーム31及び第二アーム32が制御されるようにしてある。ロボットアームは適時に原点に復帰し、そこから新たな動作を開始するようにしてある。
この実施形態では、第一アーム31によって、少なくとも、チューブラック11に収容されたチューブXの把持、チューブXの読み取り位置への移動、チューブXの撮影位置への移動、チューブXのチューブバイス16への移動、チューブバイス16で挟持されたチューブXの蓋外し、外した蓋Yの蓋回収ボックス17への廃棄、チューブXの蓋閉め及び蓋閉め後のチューブXのチューブラック11への収容、ピペットPのプッシュボタンPBの操作が行われるようにしてある。
また、この実施形態では、第二アーム32によって、少なくとも、ピペットPの各種操作、ピペットPのチップ装着位置への移動、チップZの撮影位置への移動、チップZのチップリムーバ20への移動が行われるようにしてある。
なお、ロボット30には、動作始点位置や動作終点位置、動作経路、一時停止位置、動作速度、動作角度等の動作情報と、分岐方法等が登録され、これら動作情報や分岐方法等に従って、ロボット30の第一アーム31や第二アーム32、第一ハンド31a、第二ハンド32a等が動作するようにしてある。この数値等は処理対象である検体の特性等に合わせて任意に設定・変更することができる。
モニタ21には、タッチパネル対応のもの等、既存の各種液晶ディスプレイを用いることができる。なお、モニタ21に表示される情報は、顧客の要望に応じて、顧客が必要とする情報を適宜選択の上表示することができる。
前記PC40は、ロボット30の制御手段33に対して指令を飛ばすほか、読み取り手段13や撮影手段14等から送信されるデータ(実行情報)の受信や記録、判定等の各種処理や、読み取り手段13や撮影手段14、照明具15、モニタ21、電源22等の各種手段の制御、ロボット30からの質問に対して判定結果の回答等を行うものである。
図15に示すように、この実施形態のPC40は、プロセッサ41、メモリ(主記憶装置)42、ストレージ(補助記憶装置)43、通信部44、入力部45、出力部46を備えている。通信部44は送信部44aと受信部44bを備えている。これら各要素はバス47で電気的に接続されている。
前記プロセッサ41は、蓋外しの成否の判定やチップ装着の成否の判定、吸い上げ量の判定、吐き出し量の判定、蓋閉めの成否の判定する判定手段としての機能を、前記ストレージ43は、各種実行情報を記録する記録手段としての機能を、前記通信部44は後述する顧客側システム(外部機器)50との情報の送受信を行う通信手段としての機能を果たす。
また、この実施形態のプロセッサ41は、膜等Fのような吐き出し量の判定を阻害する事象が発生した場合に、この事象によって判定が阻害されないように処理する処理手段としても機能する。処理手段で実行される処理は前述のとおりである。
図10に示すように、この実施形態のシステムは顧客側システム50と通信回線Lを介して通信可能に接続されており、システムで使用する情報及びシステムでの分注作業で得られた情報を、顧客側システム50との間で授受できるように構成されている。通信回線Lは無線でも優先でもよい。この実施形態のシステムと顧客側システム50との間の通信は、図示しない記録改ざん防止装置を介して行われるようにすることもできる。
顧客側システム50の顧客側DB51からは、たとえば、顧客DB側に登録された登録検体IDが取得される。また、プレート18を複数枚利用する場合には、指定プレートIDや指定プレート穴情報も顧客側DB51から取得される。
顧客側システム50とのデータの授受は、CSV連携やAPI連携等、顧客の指定する仕様に合わせて行うことができる。また、必要な情報は顧客ごとに異なるため、顧客側システム50には、システム側で記録された実行情報の中から選択並びに設定された任意の実行情報を渡すことができる。
本前処理実行システムは、前記各処理を実行するためのソフトウェア(プログラム)によって動作する。このソフトウェアは前処理実行システムと切り離したプログラム、具体的には、コンピュータを本前処理実行システムや本願における実行情報記録装置として動作させるプログラムとして提供することもできる。ここでいうコンピュータは、プロセッサやメモリに相当する機能部を備えたものであればよく、本システムを構成するPC40のほか、ロボット30、本システム全体、本システムを構成する各機器を含む概念である。
プログラムは一つのコンピュータ(たとえば、PC40)に格納されている必要はなく、PC40とロボット30の双方や本システムを構成する各機器の一又は二以上に格納されていてもよい。要するに、ここでいうプログラムは、前記各処理を実行できるようにするプログラムを意味する。
ソフトウェアはダウンロード可能な方法で提供するほか、コンピュータで読み取り可能な形で記録した記録媒体として提供することもできる。ここでいう記録媒体には、光ディスクや光磁気ディスク、半導体メモリ等が、具体的には、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD-R、DVD-RW、DVD-RAM、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が含まれる。
前記実施形態の前処理のフローや前処理を実行するシステムでは、実行情報を検体ID(読み取り検体ID)やプレートID(読み取りプレートID)と紐づけて自動的に記録されるため、検体の二重照合を確実に行うことができる。
前記実施形態の前処理のフローや前処理を実行するシステムでは、システムが正常に動作した場合の実行情報のみならず、ロボット30が停止した場合等、プロトコルにおいて正常な動作として定められた処理手順や処理条件以外の手順や条件で実行された場合の実行情報も記録されるため、前処理の実行中や前処理の完了後において、ロボット30による前処理がプロトコル通りに行われたか否かについて検証を行うことができる。
前記実施形態の前処理のフローや前処理を実行するシステムでは、記録忘れや記録ミス、記録漏れといった人的ミスが発生しないというメリットがある。チューブX内に収容された検体は、一旦チューブXから吸い上げられると検体IDでの特定ができなくなるため、どの検体がどのプレートのどの穴に分注されたかという情報を記録しておく必要がある。
従来、この記録は作業者が手作業で行うことが多かったが、作業中は両手がふさがることがあり、作業と記録を同時に行うことは困難であった。この場合、作業完了後に記録が行われるが、記録忘れや記録ミス、記録漏れといった人的ミスが発生することがあった。
これに対し、前記実施形態の前処理のフローや前処理を実行するシステムでは、前処理の過程で得られる実行情報が自動的に記録されるようにしてあるため、作業者が手作業で記録作業を行う必要がほとんどなく、作業者が手作業で記録作業を行う場合に生じる人的ミスが発生することもなく、作業者の負担軽減にも資する。
なお、前記実施形態の前処理のフローや前処理を実行するシステムは一例であり、前記実施形態の構成に限定されるものではない、前処理のフローや前処理を実行するシステムは、その要旨を変更しない範囲で、適宜、入れ替え、省略といった変更を加えることができる。
本発明は、検体を用いた検査に先立って行われる前処理、たとえば、人や各種動物(哺乳類や魚類、鳥類、両生類、爬虫類等)、昆虫、貝類、農作物、植物、それらの種子や苗、微生物等から採取される各種検体を用いた検査に先立って行われる前処理に際し、ピペットのPの先端にチップZを装着する手段として特に好適に利用することができるほか、検体を用いた各種検査や実験に際し、ピペットPの先端にチップZを装着する手段として広く利用することができる。また、材料化学の分野でも、前処理に際して、比較的少量の液体を既定量吸い上げ、計量や移動のために他の容器に吐出させる目的でピペットPが使用されることがある。本発明は、このような材料化学の分野でも利用することができる。
10 設置台
11 チューブラック
11a 収容凹部
12 蓋ラック
12a 蓋収容部
13 読み取り手段
14 撮影手段
15 照明具
16 チューブバイス
16a 挟持部
16b 駆動機構
16c 挟持片(固定挟持片)
16d 挟持片(可動挟持片)
16e ベース板
16f 挟持片台座
16g (固定挟持片側の)クッション材
16h (可動挟持片側の)クッション材
16i カップリング
16j ボールネジ
16k リニアガイド
16m ガイド支持具
16n T字プレート
16p ガイドブロック
16M 駆動源(モータ)
17 蓋回収ボックス
18 吐き出し先容器(ディープウェルプレート(プレート))
18a プレート穴
18b 嵌合部
19 チップラック
19a ラック本体
19b 蓋
19c 孔開き支持部材
19d 差込み孔
20 チップリムーバ
20a 固定部
20b 立ち上がり部
20c 突出部
20d 係止凹部
21 モニタ
22 電源
22a 第一電源
22b 第二電源
23 入出力ポート
24 プレート座
24a 載置面
24b フランジ
24c 嵌合溝
25 チップラックケース
25a ベース部
25b 立設部
25c 固定壁
25d 可動壁
30 ロボット
31 第一のロボットアーム(第一アーム)
31a 第一アームのハンド(第一ハンド)
32 第二のロボットアーム(第二アーム)
32a 第二アームのハンド(第二ハンド)
33 制御手段
40 電子計算機(PC)
41 プロセッサ
42 メモリ(主記憶装置)
43 ストレージ(補助記憶装置)
44 通信部
44a 送信部
44b 受信部
45 入力部
46 出力部
47 バス
50 顧客側システム(外部機器)
51 顧客側データベース(顧客側DB)
C 結合部分
F 膜等
J1 ピペットの軸線方向
L 通信回線
P ピペット
PB プッシュボタン
S1 空気部分
S2 検体部分
S3 残存検体部分
X 検体容器(チューブ)
Y 蓋
Z チップ
Z1 装着開口部
Z2 段差部

Claims (12)

  1. ロボットで保持されたピペットの先端に、チップラックの孔開き支持部材に支持されたチップを装着する方法であって、
    前記ピペットの先端をチップの装着開口部に差し込む工程と、
    前記ピペットの先端が装着開口部に差し込まれたチップを前記孔開き支持部材を利用して当該ピペット側に押し込む工程を備えた、
    ことを特徴とするチップ装着方法。
  2. 請求項1記載のチップ装着方法において、
    チップの外周に外向きに突設された段差部を、孔開き支持部材に押し付けることによって、当該チップをピペット側に押し込む、
    ことを特徴とするチップ装着方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載のチップ装着方法において、
    押し込む工程を二回以上行う、
    ことを特徴とするチップ装着方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のチップ装着方法において、
    先端がチップの装着開口部に差し込まれたピペットを第一の位置に移動させたのち、当該ピペットを第一の位置から第一の位置とは異なる第二の位置に移動させ、当該ピペットの先端が差し込まれたチップを孔開き支持部材に叩打することによって当該チップをピペット側に押し込む、
    ことを特徴とするチップ装着方法。
  5. 請求項4記載のチップ装着方法において、
    ピペットを、プロトコルで規定された機器の仕様に基づいて設定された第一の位置から当該プロトコルで規定された機器の仕様に基づいて設定された第二の位置に移動させる、
    ことを特徴とするチップ装着方法。
  6. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のチップ装着方法において、
    ピペットを傾けることによって当該チップをピペット側に押し込む、
    ことを特徴とするチップ装着方法。
  7. ロボットで保持されたピペットの先端に、チップラックの孔開き支持部材に支持されたチップを装着するチップ装着装置であって、
    前記ロボットによって、前記ピペットの先端を前記チップラックに収容されたチップの装着開口部に差し込む動作と、当該ピペットの先端が差し込まれたチップを前記孔開き支持部材を利用して当該ピペット側に押し込む動作が実行される、
    ことを特徴とするチップ装着装置。
  8. 請求項7記載のチップ装着装置において、
    ロボットによって、チップの外周に外向きに突設された段差部を、孔開き支持部材に押し付けることによって、当該チップをピペット側に押し込む動作が実行される、
    ことを特徴とするチップ装着装置。
  9. 請求項7又は請求項8記載のチップ装着装置において、
    ロボットによって、押し込む動作が二回以上実行される、
    ことを特徴とするチップ装着装置。
  10. 請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のチップ装着装置において、
    ロボットによって、先端がチップの装着開口部に差し込まれたピペットを第一の位置に移動させる動作と、当該ピペットを第一の位置から第一の位置とは異なる第二の位置に移動させて当該ピペットの先端が差し込まれたチップを孔開き支持部材に叩打することによって当該チップをピペット側に押し込む動作が実行される、
    ことを特徴とするチップ装着装置。
  11. 請求項10記載のチップ装着装置において、
    ロボットによって、プロトコルで規定された機器の仕様に基づいて設定された第一の位置から当該プロトコルで規定された機器の仕様に基づいて設定された第二の位置に移動させる動作が実行される、
    ことを特徴とするチップ装着装置。
  12. 請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のチップ装着装置において、
    ロボットによって、チップを傾けることによって当該チップをピペット側に押し込む動作が実行される、
    ことを特徴とするチップ装着装置。

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