JP2023060630A - 光電変換素子及び太陽電池モジュール - Google Patents

光電変換素子及び太陽電池モジュール Download PDF

Info

Publication number
JP2023060630A
JP2023060630A JP2021170333A JP2021170333A JP2023060630A JP 2023060630 A JP2023060630 A JP 2023060630A JP 2021170333 A JP2021170333 A JP 2021170333A JP 2021170333 A JP2021170333 A JP 2021170333A JP 2023060630 A JP2023060630 A JP 2023060630A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
photoelectric conversion
porous
conductive
blocking layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021170333A
Other languages
English (en)
Inventor
晋太郎 宮西
Shintaro Miyanishi
真也 上柿
Shinya Uegaki
司 出口
Tsukasa Deguchi
康哲 中西
Yasutetsu Nakanishi
文超 戴
Wenchao Dai
篤 福井
Atsushi Fukui
裕一 一ノ瀬
Yuichi Ichinose
宇覧 佐藤
Uran Sato
賢治 木本
Kenji Kimoto
貴俊 前川
Takatoshi Maekawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2021170333A priority Critical patent/JP2023060630A/ja
Priority to US17/956,015 priority patent/US20230118192A1/en
Publication of JP2023060630A publication Critical patent/JP2023060630A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K30/00Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation
    • H10K30/30Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation comprising bulk heterojunctions, e.g. interpenetrating networks of donor and acceptor material domains
    • H10K30/353Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation comprising bulk heterojunctions, e.g. interpenetrating networks of donor and acceptor material domains comprising blocking layers, e.g. exciton blocking layers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/20Light-sensitive devices
    • H01G9/2004Light-sensitive devices characterised by the electrolyte, e.g. comprising an organic electrolyte
    • H01G9/2009Solid electrolytes
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K30/00Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation
    • H10K30/30Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation comprising bulk heterojunctions, e.g. interpenetrating networks of donor and acceptor material domains
    • H10K30/35Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation comprising bulk heterojunctions, e.g. interpenetrating networks of donor and acceptor material domains comprising inorganic nanostructures, e.g. CdSe nanoparticles
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K30/00Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation
    • H10K30/80Constructional details
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K85/00Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
    • H10K85/30Coordination compounds
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K30/00Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation
    • H10K30/40Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation comprising a p-i-n structure, e.g. having a perovskite absorber between p-type and n-type charge transport layers
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

【課題】光励起キャリアの取り出し効率を改善し、光電変換効率に優れる光電変換素子を提供する。【解決手段】光電変換素子30は、第1導電層3と、多孔質ホールブロック層5と、多孔質絶縁体層6と、多孔質ホールブロック層5の細孔中及び多孔質絶縁体層6の細孔中に設けられかつ有機系光電変換材料を含む光吸収層7と、電子ブロック層8と、電子ブロック層8上に設けられた第2導電層11とを備えることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子及び太陽電池モジュールに関する。
光電変換素子は、例えば、光センサー、複写機、及び太陽電池モジュール等に用いられている。この中で、太陽電池モジュールは、再生可能エネルギーの代表的な利用方法として本格的に普及しつつある。太陽電池モジュールとしては、無機系光電変換素子を用いた太陽電池モジュール(例えば、シリコン系太陽電池モジュール、CIGS系太陽電池モジュール、及びCdTe系太陽電池モジュール等)が普及している。
一方、太陽電池モジュールとしては、有機系光電変換素子を用いた太陽電池モジュール(例えば、有機薄膜太陽電池モジュール及び色素増感太陽電池モジュール)も検討されている。このような有機系光電変換素子を用いた太陽電池モジュールは、真空プロセスを使用せずに塗布処理で製造できるため、製造コストを大幅に低減できる可能性がある。そのため、有機系光電変換素子を用いた太陽電池モジュールは、次世代の太陽電池モジュールとして期待されている。
近年では、有機系光電変換素子として、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(以下、ペロブスカイト化合物と記載することがある)を光吸収層に用いた光電変換素子が検討されている。ペロブスカイト化合物としては、例えば鉛錯体が挙げられる。ペロブスカイト化合物を光吸収層に用いた光電変換素子は、光電変換効率に優れる。また、光の多重散乱効果やセルの生産プロセスの面で有望な、メソ多孔質多層構造に前記ペロブスカイト化合物の塗液を浸透させて光電変換素子を形成する検討が活発になっている(特許文献1、2)。
特開2015-529982号公報 特開2016-517187号公報
J.Am.Chem.Soc.,136,33,11610-11613(2014) Phys.Rev.Applied 5,014012(2016)
しかし、メソ多孔質多層構造にペロブスカイト化合物を浸透させて形成する従来の光電変換素子では、光励起キャリアの取り出し効率が低い傾向がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光励起キャリアの取り出し効率を改善し、光電変換効率に優れる光電変換素子を提供する。
本発明は、第1導電層と、第1導電層上に設けられた多孔質ホールブロック層と、前記多孔質ホールブロック層上に設けられた多孔質絶縁体層と、前記多孔質ホールブロック層の細孔中及び前記多孔質絶縁体層の細孔中に設けられかつ有機系光電変換材料を含む光吸収層と、前記多孔質絶縁体層上に設けられた電子ブロック層と、前記電子ブロック層上に設けられた第2導電層とを備えることを特徴とする光電変換素子を提供する。
本発明の光電変換素子では、多孔質ホールブロック層の細孔中及び多孔質絶縁体層の細孔中に光吸収層が設けられるため、光吸収層における光励起で発生した電子を効率よく多孔質ホールブロック層に移動させることができる。このため、優れた光電変換効率を有する。
本発明の一実施形態の光電変換素子の概略断面図である。 ペロブスカイト化合物(CH3NH3PbI3)の結晶構造を示す図である。 ペロブスカイト化合物(CH3NH3PbI3)逆格子構造とその電子構造の模式図である。 ペロブスカイト化合物(CH3NH3PbI3)の結晶構造の逆格子空間Rに対応する(111)面の関係を示す図である。 本発明の一実施形態の光電変換素子の製造過程における中間品の概略断面図である。 本発明の一実施形態の光電変換素子の製造過程における中間品の概略断面図である。 本発明の一実施形態の光電変換素子の製造過程における中間品の概略断面図である。 本発明の一実施形態の光電変換素子の製造過程における中間品の概略断面図である。 図8の電子ブロック層周辺の拡大図である。 本発明の一実施形態の光電変換素子のバンド構造を示す図である。 本発明の一実施形態の光電変換素子の概略断面図である。 本発明の一実施形態の光電変換素子の概略断面図である。 図11の電子ブロック層周辺の拡大図である。 本発明の一実施形態の太陽電池モジュールの概略断面図である。 本発明の一実施形態の太陽電池モジュールの部分断面図である。 本発明の一実施形態の太陽電池モジュールの等価回路である。
本発明の光電変換素子は、第1導電層と、第1導電層上に設けられた多孔質ホールブロック層と、前記多孔質ホールブロック層上に設けられた多孔質絶縁体層と、前記多孔質ホールブロック層の細孔中及び前記多孔質絶縁体層の細孔中に設けられかつ有機系光電変換材料を含む光吸収層と、前記多孔質絶縁体層上に設けられた電子ブロック層と、前記電子ブロック層上に設けられた第2導電層とを備えることを特徴とする。
前記有機系光電変換材料は、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物又は有機錯体であることが好ましい。
前記電子ブロック層は、多孔質絶縁体層の上面をコーティングするコーティング層と、コーティング層上に設けられたカバー層とを含むことが好ましく、前記光吸収層は、コーティング層とカバー層との間にも設けられていることが好ましい。このことにより、光吸収層と電子ブロック層との接触面積を広くすることができ、光吸収層における光励起により発生したホールを効率よく第2導電層に取り出すことができる。
前記多孔質ホールブロック層の材料の価電子帯上端のエネルギー準位は、有機系光電変換材料の価電子帯上端のエネルギー準位よりも0.5eV以上低いことが好ましい。このことにより、光吸収層の有機系光電変換材料で発生した電子をホールブロック層を介して第1導電層に移動させることができ、かつ、有機系光電変換材料で発生した電子がホールブロック層へと移動することを抑制することができる。
前記電子ブロック層の材料の伝導帯下端のエネルギー準位は、前記有機系光電変換材料の伝導帯下端のエネルギー準位よりも0.5eV以上高いことが好ましい。このことにより、光吸収層における光励起により発生した電子が電子ブロック層へと移動することをブロックすることができ、かつ、光吸収層における光励起により発生したホールを電子ブロック層を介して第2導電層へ引き出すことができる。
前記多孔質ホールブロック層の材料は、TiO2であることが好ましく、前記多孔質ホールブロック層を構成するTiO2粒子は、その表面にTiO2/TiN/TiO2の積層構造を有することが好ましい。この表面上に光電変換材料であるペロブスカイト化合物を結晶成長させることにより、界面欠陥の少ない酸化チタン-ペロブスカイト化合物界面を形成することができる。このことにより、電子の取り出し効率が改善しホールのバリア効率が改善するような内蔵電位を発生させることができる。この結果、酸化チタン層と光吸収層との界面での光励起キャリアの再結合が抑制され、高効率の光電変換素子を実現することができる。
前記電子ブロック層の材料は、Cu2O、NiO又はZnSであることが好ましい。このような材料を用いることにより、光吸収層の有機系光電変換材料において光励起された電子が電子ブロック層へと移動することを効率よくブロックすることができ、高効率太陽電池を実現することができる。
第2導電層の材料は、5.0eV以上の仕事関数を有する金属であることが好ましい。このことにより、光吸収層と第2導電層の間において、ホールの流れがスムーズになるバンド構造の曲がりを発生させることができ、光吸収層における光励起により発生したホールを効率よく第2導電層へ引き出すことができる。
また、本発明は、本発明の複数の光電変換素子と、基体と、バリア層とを含む太陽電池モジュールも提供する。本発明の太陽電池モジュールにおいて、複数の光電変換素子は、前記基体上において直列接続するように集積化され、前記バリア層は、複数の光電変換素子の上面をコーティングするように設けられ、前記バリア層の材料は、バリスタ特性を有する無機材料である。このことにより、低コストでモジュール上での影による発電効率の低下を抑止することができる。
以下、複数の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
第1実施形態
図1は本実施形態の光電変換素子の概略断面図である。
本実施形態の光電変換素子30は、第1導電層3と、第1導電層3上に設けられた多孔質ホールブロック層5と、多孔質ホールブロック層5上に設けられた多孔質絶縁体層6と、多孔質ホールブロック層5の細孔中及び多孔質絶縁体層6の細孔中に設けられかつ有機系光電変換材料を含む光吸収層7と、多孔質絶縁体層6上に設けられた電子ブロック層8と、電子ブロック層8上に設けられた第2導電層11とを備えることを特徴とする。
まず、光電変換材料であるペロブスカイト化合物を多孔質層の細孔中に有する光電変換素子の原理について説明する。
近年注目されているペロブスカイト化合物については、光励起によって生じる電子とホールが励起子を形成せずに、ペロブスカイト化合物内を自由キャリアとして運動することで、励起子結合による再結合が抑えられキャリアのライフタイムが長くなることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
ペロブスカイト化合物(CH3NH3PbI3)の結晶構造を図2に、逆格子構造とその電子構造の模式図を図3に示す。ペロブスカイト化合物では、一般的な直接遷移型の電子構造とは異なり、バンドギャップが一番狭い逆格子空間での位置が、Γ点(0,0,0)でなくR点(1,1,1)となっている。R点での伝導電子帯Ecは、Pb原子の6p電子軌道で主に構成されており、R点での価電子帯Evは、Pb原子の6s電子軌道とI原子の5p電子軌道から構成されている(例えば、非特許文献2参照)。
R点にバンドギャップがあり光励起キャリアが生成される場合、光励起キャリアは、Γ点とは異なり励起された時点で運動量を持っており、運動量保存則から励起された電子とホールは、互いに180°反転した運動量を持っていることになる。このことが、非特許文献1にもあるように電子とホールが励起子を形成せずに、ペロブスカイト化合物内を自由キャリアとして運動する所以である。R点(1,1,1)は、Γ点に対して直方体の8つの角に対応しており、夫々の点で光を吸収し、伝導電子帯Ecに電子を価電子帯Evにホールを生成することになる。
図4に、ペロブスカイト化合物(CH3NH3PbI3)の結晶構造の逆格子空間R点に対応する実結晶での結晶面方位(1,1,1)の関係を示す。図4中には、I原子6つで構成する6角形の面(中心部にはメチルアンモニウムイオンが配置)が示されており、この面が逆格子空間R点に対応する実結晶での面方位(1,1,1)に対応する。この面に対して入射光の電界ベクトルが垂直な場合に、光学遷移が起こり、伝導電子帯Ecを構成するPb原子の6p電子軌道に電子を、価電子帯Evを構成するPb原子の6s電子軌道とI原子の5p電子軌道にホールを生成する。生成した光励起キャリアは、結晶面方位(1,1,1)面に対して夫々逆方向の運動量をもって、伝導電子帯Ecと価電子帯Evを構成する電子軌道を介して伝搬していくことになる。
以上のようなペロブスカイト化合物の特異な電子構造から、多孔質積層構造に光が入射されると光散乱により、細孔中のペロブスカイト化合物の逆格子空間R点での光吸収が効率よく行われ、且つ結晶面方位(1,1,1)に沿って伝搬する夫々の光励起キャリアを、多孔質積層構造で構成される電子ブロック層、ホールブロック層を介してキャリアを効率よく取り出すことが出来る。
次に、第1実施形態の光電変換素子30の詳細について説明する。
本実施形態に係る光電変換素子30は、透明な基体2上に第1導電層3(表面電極)が形成され、その上に多孔質ホールブロック層5、多孔質絶縁体層6、電子ブロック層8の順に積層された3層メソポーラス積層構造が構成されている。多孔質層の細孔中には有機系光電変換材料を有する光吸収層7が設けられており、電子ブロック層8上には、第2導電層11(裏面電極)が設けられている。なお、光電変換素子30は、第1導電層3側から光吸収層7に光が入射するように設けられてもよく、第2導電層11側から光吸収層7に光が入射するように設けられてもよく、第1導電層3側と第2導電層側の両方から光吸収層7に光が入射するように設けられてもよい。
多孔質ホールブロック層5/多孔質絶縁体層6/電子ブロック層8からなる3層メソポーラス積層構造に有機系光電変換材料溶液を充填し光吸収層7を形成することで、光電変換素子30を作製する際に光を吸収する光吸収層7の膜厚制御が容易である。また、この構造により基体2上に形成された第1導電層3と第2導電層11との間の局所的な電流リークを抑止する効果があり、本実施形態の光電変換素子30は大面積太陽電池モジュールに適している。
また、光吸収層7に光が照射された場合に、光吸収層7と多孔質ホールブロック層5及び電子ブロック層8との接触断面積が広くなっていることから効率よく光励起キャリアを第1導電層3と第2導電層11に取り出すことができる。本実施形態の光電変換素子30は、このような光励起キャリアのセパレータを提供することで、高効率、低コスト、高剛性を実現する太陽電池を実現できる。
[基体]
基体2の形状としては、例えば、平板状、フィルム状、及び円筒形状が挙げられる。光電変換素子30の基体2側の面に光を照射する場合、基体2は透明である。この場合、基体2の材質としては、例えば、透明ガラス(より具体的には、ソーダライムガラス、及び無アルカリガラス等)、及び耐熱性を有する透明樹脂が挙げられる。光電変換素子30の第2導電層11側の面に光を照射する場合、基体2は不透明でもよい。この場合、基体2の材質としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、マグネシウム、鉄、錫、チタン、金、銀、銅、タングステン、これらの合金(例えば、ステンレス鋼)及びセラミックが挙げられる。
[第1導電層]
第1導電層3(表面電極)は、光電変換素子30の陰極に相当する。第1導電層3を構成する材料としては、例えば、透明導電性材料(特に、透明導電性酸化物(TCO))及び非透明導電性材料が挙げられる。透明導電性材料としては、例えば、ヨウ化銅(CuI)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO2)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、及びガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等が挙げられる。非透明導電性材料としては、例えば、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム-銀混合物、マグネシウム-インジウム混合物、アルミニウム-リチウム合金、アルミニウム-酸化アルミニウム混合物(Al/Al23)及びアルミニウム-フッ化リチウム混合物(Al/LiF)等が挙げられる。
第1導電層3の膜厚としては、特に限定されず、所望の特性(例えば、電子の輸送性及び透明性)を発揮し得る膜厚であればよい。
[ホールブロック層]
ホールブロック層は、光吸収層7において光励起により発生した電子を第1導電層3に輸送し、一方で光励起により発生したホールをブロックする層である。このため、ホールブロック層は、光吸収層7の有機系光電変換材料で発生した電子をホールブロック層を介して第1導電層3に移動させ易く有機系光電変換材料で発生した電子がホールブロック層へと移動しにくい材料(ホールブロック材料)を含有することが好ましい。
ホールブロック材料の価電子帯上端のエネルギー準位は、前記有機系光電変換材料の価電子帯上端のエネルギー準位よりも0.5eV以上低いことが好ましい。つまり、ホールブロック材料は、式:Ehbv≦Eopv-0.5eVを満たす材料であることが好ましい。ここで、Ehbvは、ホールブロック材料の価電子帯上端のエネルギー準位であり、Eopvは、光吸収層7に含まれる有機系光電変換材料の価電子帯上端のエネルギー準位である。具体的なホールブロック材料として酸化チタンが挙げられる。しかし、電子を伝搬し易く、ホールをブロックし易い特性を持つ、酸化亜鉛やアルミナ、酸化マグネシウムなどの材料をホールブロック材料として用いてもよく、またこれ等の物質を混合した物やコアシェル化した微粒子をホールブロック材料として用いてもよい。
ホールブロック層では電子を、第1導電層3側に伝搬させる必要があるが、この際の電気伝導は、トンネル伝導させることが考えられる。このため、キャリアの染み出し長さ(フェルミ長さλf)を長くするために、ホールブロック層のドーピング濃度が1016/cm3以下(λf>90nm)になる絶縁性の高い無機微粒子(ホールブロック材料粒子12)でホールブロック層を構成することができる。後に説明する電子ブロック層8を構成する材料についても同様の理由から絶縁性の高い無機物質が求められる。
ホールブロック層は、緻密質ホールブロック層4と、多孔質ホールブロック層5とを含むことができる。緻密質ホールブロック層4は省略することが可能である。緻密質ホールブロック層4は、第1導電層3上に設けられ、多孔質ホールブロック層5は、緻密質ホールブロック層4上に設けられる。また、緻密質ホールブロック層4と多孔質ホールブロック層5との間に、TiN層などの導電体層を設けてもよい。
緻密質ホールブロック層4は、比較的空隙率の小さいホールブロック材料層であり、多孔質ホールブロック層5は、緻密質ホールブロック層4よりも空隙率が高い多孔質のホールブロック材料層である。
多孔質ホールブロック層5は、例えば、複数のホールブロック材料粒子12がバインダーにより結合された構造又は複数のホールブロック材料粒子12が成形又は焼結された構造を有することができる。また、多孔質ホールブロック層5は、隣接するホールブロック材料粒子12の間に細孔を有することができる。また、多孔質ホールブロック層5は、メソポーラスホールブロック層であってもよい。また、多孔質ホールブロック層5の細孔中に光吸収層7が設けられる。従って、多孔質ホールブロック層5と光吸収層7とから構成される複合層が形成される。
また、多孔質ホールブロック層5は、酸化チタン等のホールブロック材料から構成される無機微粒子(ホールブロック材料粒子12)(粒径10~50nm)とバインダー樹脂で構成された多孔質構造を有してもよい。この場合、バインダー樹脂が入ることにより、有機系フィルム(基体2)上に低温で多孔質ホールブロック層5を形成することができ、多孔質ホールブロック層5中に、ホールブロック材料粒子12(粒径10~50nm)がバインダー樹脂で接続されたネットワークを形成することができる。
ホールブロック材料が酸化チタンである場合、緻密質ホールブロック層4は比較的空隙率の小さい緻密質酸化チタン層4であり、多孔質ホールブロック層5は、緻密質酸化チタン層4よりも空隙率が高い多孔質層である多孔質酸化チタン層5である。ホールブロック層を構成する緻密質酸化チタン層4及び多孔質酸化チタン層5について説明する。
(緻密質酸化チタン層)
緻密質酸化チタン層4は、空隙率が低いため、光電変換素子30の製造時に、光吸収層7の形成に用いる有機系光電変換材料溶液(ペロブスカイト化合物溶液)が緻密質酸化チタン層4の内部に浸透し難い。そのため、光電変換素子30が緻密質酸化チタン層4を備えることで、光吸収層7と第1導電層3との接触が抑制される。また、光電変換素子30が緻密質酸化チタン層4を備えることで、起電力低下の要因となる第1導電層3と第2導電層11との接触が抑制される。緻密質酸化チタン層4の膜厚としては、5nm以上200nm以下が好ましく、10nm以上100nm以下がより好ましい。また、緻密質酸化チタン層4の質量換算での充填率としては90%以上が望ましい。
緻密質酸化チタン層4は、その表面に酸化チタン/窒化チタン/酸化チタンの積層構造を有してもよい。この表面上に光電変換材料であるペロブスカイト化合物を結晶成長させることにより、界面欠陥の少ない酸化チタン-ペロブスカイト化合物界面を形成することができる。このことにより、電子の取り出し効率が改善しホールのバリア効率が改善するような内蔵電位を発生させることができる。この結果、酸化チタン層と光吸収層との界面での光励起キャリアの再結合が抑制され、高効率の光電変換素子を実現することができる。
酸化チタン/窒化チタン/酸化チタンの積層構造は、緻密質TiO2層4の表面を窒素プラズマによる表面改質処理するにより緻密質TiO2層4の表面に5~30nmの膜厚のTiN(NaCl構造)層が形成し、その後、TiN層を大気に曝すことによりTiN層の表面にTiO2層を形成することにより形成される。
(多孔質酸化チタン層)
多孔質酸化チタン層5は、空隙率が高いため、光電変換素子30の製造時に、光吸収層7の形成に用いる有機系光電変換材料溶液(ペロブスカイト化合物溶液)が多孔質酸化チタン層5の細孔に浸透し易い。そのため、光吸収層7が多孔質酸化チタン層5の細孔中に形成され、光吸収層7と多孔質酸化チタン層5とから構成される複合層が形成される。このため、光吸収層7と多孔質酸化チタン層5との接触面積が広くなり、光吸収層7において光励起により発生した電子を、効率よく多孔質酸化チタン層5に移動させることができ、かつ、光励起により発生したホールが多孔質酸化チタン層5に移動することをブロックすることができる。多孔質酸化チタン層5の膜厚としては、100nm以上500nm以下が好ましく、200nm以上300nm以下がより好ましい。また多孔質酸化チタン層5の質量換算での充填率としては30%以上70%以下が望ましい。
多孔質酸化チタン層5を構成する酸化チタン粒子(ホールブロック材料粒子12)は、その表面に酸化チタン/窒化チタン/酸化チタンの積層構造を有してもよい。この表面上に光電変換材料であるペロブスカイト化合物を結晶成長させることにより、界面欠陥の少ない酸化チタン-ペロブスカイト化合物界面を形成することができる。このことにより、電子の取り出し効率が改善しホールのバリア効率が改善するような内蔵電位を発生させることができる。この結果、酸化チタン層5と光吸収層7との界面での光励起キャリアの再結合が抑制され、高効率の光電変換素子を実現することができる。
酸化チタン/窒化チタン/酸化チタンの積層構造は、多孔質酸化チタン層5の表面を窒素プラズマによる表面改質処理するにより酸化チタン粒子の表面の表面に5~30nmの膜厚のTiN(NaCl構造)層が形成し、その後、TiN層を大気に曝すことによりTiN層の表面にTiO2層を形成することにより形成される。
[多孔質絶縁体層]
多孔質絶縁体層6は、絶縁体材料の無機微粒子(第1絶縁体粒子13)(粒径10~100nm)で構成されていている。多孔質絶縁体層6は、第1絶縁体粒子13とバインダー樹脂とで構成された多孔質構造を有してもよい。この場合、バインダー樹脂が入ることにより、有機系フィルム(基体2)上に低温で多孔質絶縁体層6を形成することができ、多孔質絶縁体層6中に、第1絶縁体粒子13(粒径10~100nm)間をバインダー樹脂で接続されたネットワークを形成することができる。本実施形態の光電変換素子30が多孔質絶縁体層6を備えることにより、多孔質ホールブロック層5と電子ブロック層8とが接触することを防止することができ、短絡電流が生じることを抑制することができる。
多孔質絶縁体層6を構成する第1絶縁体粒子13の材料としては、酸化ジルコニウムや、アルミナ、酸化シリコンなどのワイドバンドギャップの材料が望ましい。また、第1絶縁体粒子13は、これらの材料の其々がコアシェル構造になった無機微粒子であってもよい。多孔質絶縁体層6の膜厚としては、400nm以上1500nm以下が好ましく、500nm以上1000nm以下がより好ましい。また、多孔質絶縁体層6の質量換算での充填率としては30%以上70%以下が望ましい。
多孔質絶縁体層6は、例えば、複数の第1絶縁体粒子13がバインダーにより結合された構造又は複数の第1絶縁体粒子13が成形又は焼結された構造を有することができる。また、多孔質絶縁体層6は、隣接する第1絶縁体粒子13の間に細孔を有することができる。また、多孔質絶縁体層6は、メソポーラス絶縁体層であってもよい。また、多孔質絶縁体層6の細孔中に光吸収層7が設けられる。従って、多孔質絶縁体層6と光吸収層7とから構成される複合層が形成される。
図5は、基体2上に、第1導電層3、緻密質酸化チタン層4、多孔質酸化チタン層5、多孔質絶縁体層6がこの順で形成された後の中間品の概略断面図である。基体2に有機系フィルムを用いる場合は、第1導電層3をスパッタ成膜法等により製膜し、スクリーン印刷法により緻密質酸化チタン層4、多孔質酸化チタン層5、多孔質絶縁体層6を塗工し、200℃以下の低温で乾燥することでホールブロック層及び多孔質絶縁体層6を形成することができる。
[電子ブロック層]
電子ブロック層8は、光吸収層7で発生したホールを捉えて、陽極である第2導電層11に輸送し、光吸収層7で発生した電子が電子ブロック層8へと移動することをブロックする層である。電子ブロック層8は、多孔質絶縁体層6上に形成したコーティング層9と、カバー層10とにより構成される。コーティング層9は、多孔質絶縁体層6の細孔内に光吸収層7を形成する前に形成され、多孔質絶縁体層6の表面において第1絶縁体粒子13の表面をコーティングするように形成される。吸収層7は、コーティング層9上にも形成されるが、コーティング層9の一部が露出するように形成される。カバー層10は、光吸収層7を形成した後にコーティング層9上に形成される。従って、コーティング層9とカバー層10との間には光吸収層7が存在する。また、コーティング層9とカバー層10とは一部が接触・一体化している。このようなミルフィーユ状層構造により、電子ブロック層8と光吸収層7との界面での光反射を増大させる効果と電子ブロック層8層中に形成された量子井戸構造により、ホールを効率よく第2導電層11に取り出すことを可能にする。
コーティング層9の材料は、カバー層10の材料と同じ材料とすることができる。コーティング層9とカバー層10を構成する材料(電子ブロック層8の材料)としては、式:Eebc≧Eopc + 0.5eVを満たす材料とすることができる。ここで、Eebcは、電子ブロック層8の材料の伝導電子帯下端のエネルギー準位であり、Eopcは、光吸収層7の有機系光電変換材料の伝導電子帯下端のエネルギー準位である。つまり、電子ブロック層8の材料の伝導帯下端のエネルギー準位は、光吸収層7の有機系光電変換材料の伝導帯下端のエネルギー準位よりも0.5eV以上高い。このことにより、光吸収層7における光励起により発生した電子が電子ブロック層8へと移動することをブロックすることができ、かつ、光吸収層7における光励起により発生したホールを電子ブロック層8を介して第2導電層11へ引き出すことができる。
電子ブロック層8の具体的な材料として、Cu2O、NiO、ZnS等の無機化合物が挙げられる。このような材料を用いることにより、光吸収層7の有機系光電変換材料において光励起された電子が電子ブロック層8へと移動することを効率よくブロックすることができ、高効率太陽電池を実現することができる。
コーティング層9とカバー層10の膜厚は、夫々25nm以上80nm以下が望ましい。図6に緻密質ホールブロック層4、多孔質ホールブロック層5、多孔質絶縁体層6、電子ブロック層8のコーティング層9を形成した後の中間体の概略断面図を示す。コーティング層9は、スパッタ成膜法を用いて多孔質絶縁体層6上に形成することができる。コーティング層9の膜厚が25nm以上80nm以下である場合に、浸透孔をコーティング層9に形成することができる。このことにより、光吸収層7の形成に用いる有機系光電変換材料溶液(ペロブスカイト化合物溶液)がコーティング層9を通過することができ多孔質絶縁体層6及び多孔質ホールブロック層5へ有機系光電変換材料溶液を浸透させることができる。
[光吸収層]
光吸収層7は、多孔質ホールブロック層5の細孔中、多孔質絶縁体層6の細孔中、及びコーティング層9とカバー層10との間に設けられる。光吸収層7は、有機系光電変換材料を含む層である。また、光吸収層7は、有機系光電変換材料の結晶層であってもよい。
光吸収層7に含まれる有機系光電変換材料としてペロブスカイト化合物が望ましく、光電変換素子30の光電変換効率を更に向上させる観点から、一般式:ABX3・・・(1)で表される化合物(以下、ペロブスカイト化合物(1)と記載することがある)が好ましい。一般式(1)中、Aは有機分子であり、Bは金属原子であり、Xはハロゲン原子である。一般式(1)中、3つのXは、互いに同一でも異なっていてもよい。
ペロブスカイト化合物(1)は、有機無機ハイブリッド化合物である。有機無機ハイブリッド化合物とは、無機材料と有機材料とで構成される化合物である。有機無機ハイブリッド化合物であるペロブスカイト化合物(1)を用いた光電変換素子30は、有機無機ハイブリッド光電変換素子とも呼ばれる。
図2は、ペロブスカイト化合物(1)が有する結晶構造の立方晶系の基本単位格子の模式図を示す。この基本単位格子は、格子体心に配置された有機分子Aと、格子対角に配置された金属原子Bと、各辺中心に配置されたハロゲン原子Xとを備えている。
光吸収層7に含まれる有機系光電変換材料が立方晶系の基本単位格子を有することは、X線回折法を用いて確認できる。詳しくは、ガラス板上に有機系光電変換材料を含有する光吸収層を作製し、有機系光電変換材料を粉末状で回収し、粉末X線回折装置を用いて回収された粉末状の有機系光電変換材料(光吸収材料)の回折パターンを測定する。或いは、光電変換素子30から有機系光電変換材料を粉末状で回収し、粉末X線回折装置を用いて回収された粉末状の有機系光電変換材料(光吸収材料)の回折パターンを測定する。
一般式(1)中、Aで表される有機分子としては、例えば、アルキルアミン、アルキルアンモニウム、及び含窒素複素環式化合物等が挙げられる。ペロブスカイト化合物(1)において、Aで表される有機分子は、1種の有機分子のみであってもよく、2種以上の有機分子であってもよい。
アルキルアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、及びエチルブチルアミン等が挙げられる。
アルキルアンモニウムは、上述のアルキルアミンのイオン化物である。アルキルアンモニウムとしては、例えば、メチルアンモニウム(CH3NH3)、エチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ペンチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、ジペンチルアンモニウム、ジヘキシルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリペンチルアンモニウム、トリヘキシルアンモニウム、エチルメチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、ブチルメチルアンモニウム、メチルペンチルアンモニウム、ヘキシルメチルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、及びエチルブチルアンモニウム等が挙げられる。
含窒素複素環式化合物としては、例えば、イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾール、イミダゾリン、及びカルバゾール等が挙げられる。含窒素複素環式化合物は、イオン化物であってもよい。イオン化物である含窒素複素環式化合物としては、フェネチルアンモニウムが好ましい。
Aで表される有機分子としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ペンチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム又はフェネチルアンモニウムが好ましく、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、又はプロピルアンモニウムがより好ましく、メチルアンモニウムが更に好ましい。
一般式(1)中、Bで表される金属原子としては、例えば、鉛、スズ、亜鉛、チタン、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、及びユーロピウム等が挙げられる。ペロブスカイト化合物(1)において、Bで表される金属原子は、1種の金属原子のみであってもよく、2種以上の金属原子であってもよい。光吸収層7(有機系光電変換材料)の光吸収特性及び電荷発生特性を向上させる観点から、Bで表される金属原子としては、鉛原子が好ましい。
一般式(1)中、Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。ペロブスカイト化合物(1)において、Xで表されるハロゲン原子は、1種のハロゲン原子であってもよく、2種以上のハロゲン原子であってもよい。Xで表されるハロゲン原子としては、ペロブスカイト化合物(1)のエネルギーバンドギャップを狭くする観点から、ヨウ素原子が好ましい。詳しくは、3つのXのうち、少なくとも1つのXがヨウ素原子を表すことが好ましく、3つのXがヨウ素原子を表すことがより好ましい。
ペロブスカイト化合物(1)としては、一般式「CH3NH3PbX3(但し、Xはハロゲン原子を表す)」で表される化合物が好ましく、CH3NH3PbI3がより好ましい。ペロブスカイト化合物(1)として一般式「CH3NH3PbX3」で表される化合物(特に、CH3NH3PbI3)を用いることで、光吸収層7において電子とホールとをより効率良く発生させることができ、その結果、光電変換素子30の光電変換効率をより向上できる。光吸収層7を形成した後の中間品の概略断面図を図7に示す。
光吸収層7に含まれるペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト化合物は、AXで示される化合物とBX2で示される化合物を原料として用いることによって合成できる。具体的には、ペロブスカイト化合物はAX溶液とBX2溶液を混合して加熱撹拌することによって合成することができ、ペロブスカイト化合物が溶解したペロブスカイト化合物溶液を得ることができる。
このペロブスカイト化合物溶液をコーティング層9上に塗布すると、ペロブスカイト化合物溶液は、コーティング層9の浸透孔を通過して多孔質絶縁体層6中に浸透し、さらに多孔質ホールブロック層5中に浸透する。緻密質ホールブロック層4はほとんど細孔を有さないため、ペロブスカイト化合物溶液は、多孔質ホールブロック層5の底まで浸透する。この段階において、多孔質絶縁体層6の細孔及び多孔質ホールブロック層5の細孔はペロブスカイト化合物溶液で満たされている。また、コーティング層9上にも、コーティング層9の一部が露出するように、ペロブスカイト化合物溶液の塗布膜が形成されている。ペロブスカイト化合物溶液の浸透時には、エレクトロウエット法を用いて、第1導電層3とペロブスカイト化合物溶液に電界を掛け濡れ性制御しながらペロブスカイト化合物溶液を多孔質絶縁体層6及び多孔質ホールブロック層5に浸透させることができる。
その後、中間品を加熱しペロブスカイト化合物溶液を乾燥させることにより、多孔質絶縁体層6の細孔中、多孔質ホールブロック層5の細孔中、コーティング層9上に、ペロブスカイト化合物を析出・結晶化させることができ、光吸収層7を形成することができる。
ペロブスカイト化合物溶液の塗布方法としては、特に限定されないが、スクリーン印刷法、浸漬塗布法、インクジェット印刷法、スプレー塗布法、スライドホッパー塗布法等が挙げられる。
多孔質ホールブロック層5の細孔中に光吸収層7を設けることにより、多孔質ホールブロック層5と光吸収層7との接触面積を広くすることができ、光吸収層7における光励起で発生した電子を効率よく多孔質ホールブロック層5に移動させることができる。
光吸収層7を多孔質絶縁体層6の細孔中、多孔質ホールブロック層5の細孔中に形成することにより、光吸収層7が多孔質で覆われるため、光電変換素子30の耐水蒸気バリア性及び剛性を向上させることができる。このため、基体2をフレキシブルなフィルムとした場合であっても、光電変換素子30が高い信頼性を有することができる。
また、光吸収層7を多孔質絶縁体層6の細孔中、多孔質ホールブロック層5の細孔中に形成することにより、光電変換層(ホールブロック層+光吸収層+電子ブロック層)の膜厚制御が容易となる。
光吸収層7を形成した後、光吸収層7上にカバー層10(電子ブロック層8)を形成する。図8は、カバー層10を形成した後の中間品の概略断面図である。図9には図8の電子ブロック層8周辺を拡大した図を示す。コーティング層9とカバー層10に囲まれた光吸収層7のサンドイッチ部分が存在する構造が形成されており、電子ブロック層8自体が多孔構造となっている。有機系光電変換材料溶液とコーティング層9の濡れ性により一部コーティング層9がむき出しになる部位があり、その部位とカバー層10が接続されている部位が存在する。このことにより、光吸収層7で発生したホールを、コーティング層9及びカバー層10を介して第2導電層11に取り出すことができる。
また、コーティング層9とカバー層10との間に光吸収層7が形成されることにより、光吸収層7と電子ブロック層8との接触面積を広くすることができ、光吸収層7における光励起により発生したホールを効率よく第2導電層11に取り出すことができる。
ペロブスカイト化合物溶液の有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロプロパンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジベンジルエーテル、ジメトキシメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類;安息香酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジフェニルスルフィドなどの含イオウ溶剤;ヘキサフロオロイソプロパノールなどのフッ素系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;エチレングルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤;などが挙げられ、これらは単独または混合溶剤として使用できる。これらの溶剤に、水が混入していてもよい。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
また、これとは別に、ペロブスカイト化合物溶液は、酸化防止剤、粘弾性調整剤、防腐剤、硬化触媒などの添加剤を含んでもよい。
[保護膜]
光電変換素子30は、コーティング層9上に設けられた光吸収層7と、カバー層10との間に保護膜を有してもよい。保護膜の材料は、有機系樹脂とすることができる。この保護膜を設けることにより、カバー層10をスパッタ成膜法により形成する際、結晶化した有機系光電変換材料表面をプラズマダメージより保護することができる。
保護膜の材料としては、以下の有機系樹脂が用いられる。
有機系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアミド、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンオキサイドなどの熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなどの熱硬化樹脂、これらの樹脂の部分架橋物、これらの樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合樹脂(塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル―酢酸ビニル―無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル―スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂)などが挙げられる。これらの成膜性のある樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できるが、要件を満たす限りこれ以外の樹脂も使用できる。
保護膜は、有機系樹脂に加えてホール輸送材料を含んでもよい。ホール輸送材料としては、例えば、有機ホール輸送材料及び無機ホール輸送材料等が挙げられる。
有機ホール輸送材料としては、例えば、Spiro-MeOTAD(2,2’,7,7’-テトラキス「N,N-ジ-P-メトキシフェニルアミノ」-9,9’-スピロビフルオレン)、ピラゾリン化合物、アリールアミン化合物、スチルベン化合物、エナミン化合物、ポリピロール化合物、ポリビニルカルバゾール化合物、ポリシラン化合物、ブタジエン化合物、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン化合物、ポリアニリン化合物、ポリフェニレンビニレン化合物、ポリチエニネンビニレン化合物、及びポリチオフェン化合物等が挙げられる。有機ホール輸送材料としては、特にブタジエン化合物、ビスブタジエン化合物、PEDOT/PSSなどの導電性ポリマーなどが好ましい。
無機ホール輸送材料としては、例えば、カーボンナノチューブ及び銅チオシアン酸(CuSCN)等が挙げられる。カーボンナノチューブとしては、例えば、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)及び単層カーボンナノチューブ(SWCNT)等が挙げられる。ホール輸送材料としては、カーボンナノチューブが好ましく、多層カーボンナノチューブがより好ましい。
[第2導電層]
第2導電層11は、光電変換素子30の陽極に相当する。第2導電層11を構成する材料としては、例えば、金属、透明導電性無機材料、導電性微粒子及び導電性ポリマー(特に、透明導電性ポリマー)等が挙げられる。金属としては、例えば、ニッケル、金、銀、及び白金等が挙げられる。透明導電性無機材料としては、例えば、ヨウ化銅(CuI)、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO2)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)及びガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等が挙げられる。導電性微粒子としては、例えば、銀ナノワイヤー及びカーボンナノファイバー等が挙げられる。透明導電性ポリマーとしては、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸とを含むポリマー(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
有機系光電変換材料を充填した3層メソポーラス積層構造(多孔質ホールブロック層+多孔質絶縁体層+電子ブロック層)に効率よく内蔵電位を発生させるためには、第2導電層11の材料として、仕事関数Φ≧5.0eVの金属を用いることが望ましい。これにより基体2側に形成された第1導電層3から電子を、第2導電層11側からホールを取り出す構造になり、ホール取り出し側の電子ブロック層8と第2導電層11との界面でスムーズなホールの流れが実現でき高効率太陽電池が実現される。第2導電層11の材料は、例えば、金属ニッケルである。
図10に光電変換素子30の光励起時のキャリアの流れを示した素子のバンド構造を示す。図10のバンド図では、第1導電層3の材料はTCO(透明導電性酸化物)であり、ホールブロック層の材料は表面にTiO2/TiN/TiO2の積層構造を有する酸化チタンであり、多孔質絶縁体層6の材料はZrO2であり、光吸収層7の材料はペロブスカイト化合物(CH3NH3PbI3)であり、電子ブロック層8の材料はCu2O又はZnSであり、第2導電層11の材料は金属ニッケルである。
TiO2、TiN、CH3NH3PbI3、ZrO2、ZrNの結晶格子定数を表1に示す。また、TCO、TiO2、TiN、CH3NH3PbI3、ZrO2、Cu2O、ZnS、Niの仕事関数、バンドギャップ(Eg)、伝導帯の下端のエネルギー準位(Ec、LUMO)、価電子帯の上端のエネルギー準位(Ev、HOMO)を表2に示す。
なお、第3実施形態の太陽電池モジュールに含まれる光電変換素子についての記載は矛盾がない限り第1実施形態の光電変換素子についても当てはまる。
Figure 2023060630000002
Figure 2023060630000003
第2実施形態
図11、図12は第2実施形態の光電変換素子の概略断面図である。図13は、図11の電子ブロック層周辺の拡大図である。
第2実施形態の光電変換素子30に含まれる電子ブロック層8は、コアシェル構造の電子ブロック材料粒子27が複数集まって形成された多孔質層に含まれている。電子ブロック材料粒子27は、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化シリコンなどのワイドバンドギャップの材料で構成され粒径が10~50nmの第2絶縁体粒子26と、第2絶縁体粒子26の表面を被覆する電子ブロック層8とを有する。電子ブロック層8の材料はCu2O、NiO、ZnS等の無機化合物であり、電子ブロック層8の厚さは10~50nmである。第1実施形態のミルフィーユ状層構造の電子ブロック層8と同じく第2実施形態でも電子ブロック層8中にホールが伝導できる量子井戸構造が形成されることで、効率良くホールを第2導電層11に取り出すことができる。また、電子ブロック層8での光の反射効果により第2導電層11側での光吸収を抑え、効率改善が実現できる。
図12に示した光電変換素子30のように、電子ブロック材料粒子27の多孔質層と第2導電層11との間に第1実施形態と同様に、コーティング層9(電子ブロック層8)を形成してもよい。コーティング層9を形成することで一部ミルフィーユ状層構造が形成され、ホールの取り出し効率、光の反射効果の増強が実現される。
また、第3実施形態の光電変換素子30では、光吸収層7は、電子ブロック材料微粒子27の多孔質層の細孔中にも設けられる。
これらのような構成により、光吸収層7の有機系光電変換材料において光励起された電子が電子ブロック層8へと移動することを効率よくブロックすることができ、且つホールを効率よく第2導電層11に取り出すことで高効率太陽電池を実現することができる。
表3は、電子ブロック層での量子井戸形成の有無を表にしたものである。
その他の構成は第1実施形態と同様である。また、第1実施形態についての記載は矛盾がない限り第2実施形態についても当てはまる。
Figure 2023060630000004
第3実施形態
第3実施形態は、太陽電池モジュールに関する。図14は、本実施形態の太陽電池モジュールの概略断面図である。
本実施形態の太陽電池モジュール40は、複数の光電変換素子30a~30eと、基体2とを含み、複数の光電変換素子30a~30eは、基体2上において直列接続するように集積化されている。光電変換素子30a~30eのそれぞれは、第1実施形態の光電変換素子30に対応する。
光電変換素子30a~30eは、第1導電層3a~3eと、第1導電層3a~3e上に設けられた緻密質ホールブロック層4a~4e及び多孔質ホールブロック層5a~5eと、多孔質ホールブロック層5a~5e上に設けられた多孔質絶縁体層6a~6eと、多孔質ホールブロック層5a~5eの細孔中及び多孔質絶縁体層6a~6eの細孔中に設けられかつ有機系光電変換材料を含む光吸収層と、多孔質絶縁体層6a~6e上に設けられた電子ブロック層8a~8eと、電子ブロック層8a~8e上に設けられた第2導電層11a~11eとを備える。光吸収層は細孔中に設けられるため、図14では省略している。
光電変換素子30a~30eの光電変換層は、緻密質ホールブロック層4a~4e、多孔質ホールブロック層5a~5e(細孔中の光吸収層を含む)、多孔質絶縁体層6a~6e(細孔中の光吸収層を含む)及び電子ブロック層8a~8eから構成され、この光電変換層の側面を覆うように第1バリア層14が設けられている。第1バリア層14は、緻密質無機材料層である。
本実施形態の太陽電池モジュール40では、複数の光電変換素子30a~30eは直列接続され、直列接続された複数の光電変換素子30a~30eのうち一方の端の光電変換素子30aは第1端子16に接続し、他方の端の光電変換素子30eは第2端子17に接続する。直列接続される光電変換素子30a~30eの数は、複数であれば特に限定されない。
基体2は、光電変換層を形成するための基体である。太陽電池モジュールが複数の直列接続太陽電池を有する場合、複数の直列接続太陽電池は、1つの基体2上に設けられてもよい。
基体2が光入射側となる場合、基体2は透光性材料から構成される。基体2は、ガラス基板であってもよく、透明な有機フィルムであってもよい。このことにより、光電変換素子30a~30eの内部に光が入射することができる。基体2がフレキシブルな有機フィルムである場合、太陽電池モジュール40は、フレキシブル太陽電池モジュールとなる。
基体2となる有機フィルムの材料としては、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられるが、要件を満たす限りこれ以外の樹脂も使用できる。基体2となる有機フィルムの膜厚としては、50~100μmが望ましい。
基体2が透明な有機フィルムである場合、基体2の一方の主要面上に第2バリア層15を設けてもよい。第2バリア層15は、ガスバリア性の高い材料の層である。このことにより、空気中の水分や酸素などによる光電変換素子30a~30eの内部の劣化を防止することができる。また、第2バリア層15は、絶縁体材料の層である。このことにより、リーク電流が流れることを抑制することができる。第2バリア層15の膜厚は数10~100nmとすることができる。このことにより第2バリア層15が透光性を有することができる。また、太陽電池モジュール40が柔軟性を有することができる。第2バリア層15の材料としては、具体的には酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどが挙げられる。第2バリア層15がガスバリア性と絶縁性と透光性を有すれば、これ以外の酸化物質や絶縁体も第2バリア層15の材料に使用できる。第2バリア層15の主な成膜方法としては、スパッタ成膜法、真空蒸着法などが挙げられる。
第1導電層3a~3eは、基体2上(又は第2バリア層15上)に設けられ、光電変換素子30a~30eの光電変換層の光起電力により生じる電流を取り出すための電極である。基体2が光入射側となる場合、第1導電層3a~3eは透明導電膜とすることができる。透明導電膜は、例えば、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、フッ素ドーピングされた酸化錫(FTO)、インジウム錫酸化物(ITO)等の導電性透明材料から構成される。また、第1導電層3a~3eは、前記導電性透明材料等の酸化物に銀等の導電性金属の細線がパターンニングされた構成であってもよい。
第1導電層3a~3eのシート抵抗が10Ω/sq以下であるのことが好ましく、第1導電層3a~3eの光の透過率が80%以上であることが好ましい。第1導電層3a~3eの形成方法としては、スパッタ成膜方法、真空蒸着方法、導電性ペーストの塗工/印刷技術と低温焼成技術などが挙げられる。
基体2上に複数の光電変換素子30a~30eが設けられている場合、基体2上に形成された透明導電膜(第1導電層3a~3e)は、光電変換素子30a~30eごとに分割されている。例えば、図14に示した太陽電池モジュール40は5つの光電変換素子30a~30eを含むため、透明導電膜は分割され、5つの第1導電層3a~3eが形成されている。隣接する2つの第1導電層3a~3eを分割する溝は、多孔質絶縁体層6a~6eなどで満たされていてもよい。
基体2である有機フィルムには、太陽電池モジュール40の第1端子16が形成されており、第1端子16の一部が有機フィルム(基体2)と第2バリア層15を貫通し、直列接続した光電変換素子30a~30eの端の光電変換素子30aの第1導電層3aに接触又は電気的に接続している。この第1端子16を用いて、太陽電池モジュール40の光起電力により生じる電流を取り出すことができる。第1端子16の材料としては、SnZn系の半田ペーストが挙げられる。要件を満たす限りこれ以外の導電ペースト、電極材料も使用できる。
光電変換層は、光エネルギーが電気エネルギーに変換される層である。具体的には、光電変換層が受光することにより光起電力が生じる。光電変換層は、第1導電層3a~3e上に設けられ、多孔質ホールブロック層5a~5e(細孔中の光吸収層を含む)、多孔質絶縁体層6a~6e(細孔中の光吸収層を含む)、電子ブロック層8a~8e(コーティング層とカバー層との間の光吸収層を含む)を含む。
ホールブロック層は、光吸収層における光励起により生成した電子を第1導電層3a~3eに輸送する層である。従って、ホールブロック層は、光吸収層で生成した電子がホールブロック層に容易に移動することができ、ホールブロック層の電子が容易に第1導電層3a~3eに移動できるような材料からなる。ホールブロック層は、緻密質ホールブロック層4a~4eと多孔質ホールブロック層5a~5eとを含むことができる。緻密質ホールブロック層4a~4eは省略することができる。多孔質ホールブロック層5a~5eの細孔中には、有機系光電変換材料を含む光吸収層が設けられている。
また、ホールブロック層は、光吸収層に含まれる有機系光電変換材料を配向成長させるためのシード層であってもよい。このことにより、光吸収層を構成するペロブスカイト結晶構造を有する化合物の結晶品質を向上させることができる。
ホールブロック層は、例えば、酸化チタン層(TiO2層)である。また、この酸化チタン層に含まれる酸化チタンの表面には、TiN層又はTiO2-xx層が形成されていてもよい。TiN層又はTiO2-xx層が有機系光電変換材料を配向成長させるためのシード層となる。
例えば、第1導電層3となる透明導電膜上に、緻密質ホールブロック層4a~4eである緻密質TiO2層を形成し、緻密質TiO2層の表面を窒素プラズマによる表面改質処理することで、緻密質TiO2層の表面に5~30nmの膜厚のTiN(NaCl構造)層が形成されていてもよい。また、多孔質ホールブロック層5a~5eである多孔質TiO2層を形成した後、多孔質TiO2層の表面を窒素プラズマによる表面改質処理することで、多孔質TiO2層を構成するTiO2粒子の表面に5~30nmの膜厚のTiN(NaCl構造)層が形成されていてもよい。
TiO2(ルチル構造)とTiN(NaCl構造)の格子定数の整合性が比較的よく、TiO2で構成されるTiO2層とTiNで構成されるTiN層との間には欠陥の少ない良好な界面が形成される。前記界面付近で、混晶物質TiO2-xxが形成されることで、格子定数が連続的に変化し、界面欠陥の発生を抑止することができる。TiN層は窒素プラズマによる表面改質処理後に大気に曝されると表面に再酸化層(TiO2層)が厚さ数nm形成されるが、形成したTiO2層が薄いため格子定数の構造緩和が起こらず、下地のTiN層の格子定数が維持される。このような酸化チタン、窒化チタン、酸化チタンの積層構造上に、ペロブスカイト化合物の結晶を形成することで、電子の取り出し効率、ホールのバリア効率が改善されるような内蔵電位が発生し、高効率の太陽電池を実現することができる。
第2バリア層15で被覆された有機フィルム(基体2)上に透明導電膜(第1導電層)及びホールブロック層が形成された後、有機フィルム(基体2)上に光電変換素子30a~30eを分離形成するために、レーザースクライブにより、透明導電膜及びホールブロック層に切り込みを入れる。用いるレーザーの波長としては、赤外領域のものが望ましい。例えば、図14に示したように、透明導電膜に切り込みを入れ、第1導電層3a~3eが形成される。第2バリア層15には切り込みは入らない。
次に、レーザースクライブにより切り込みを入れた後の中間品のホールブロック層上に、多孔質絶縁体層6a~6eを形成する。
多孔質絶縁体層6a~6eは、絶縁体材料の無機微粒子(第1絶縁体粒子)(粒径50~200nm)で構成されていている。多孔質絶縁体層6a~6eは、第1絶縁体粒子とバインダー樹脂とで構成された多孔質構造を有することができる。多孔質絶縁体層6a~6eを構成する第1絶縁体粒子13の材料としては、酸化ジルコニウムや、アルミナ、酸化シリコンなどのワイドバンドギャップの材料が望ましい。後述するように、多孔質絶縁体層6a~6eの細孔中に光吸収層が設けられる。従って、多孔質絶縁体層6a~6eと光吸収層とから構成される複合層が形成される。なお、光吸収層は多孔質絶縁体層6a~6eの細孔中に設けられるため、図14の断面図では省略している。
多孔質絶縁体層は、スクリーン印刷法などにより形成することができる。多孔質絶縁体層を形成した後、隣接する2つの光電変換素子30(30a~30e)のうち一方の光電変換素子30の第1導電層3a~3eを、他方の光電変換素子30の電子ブロック層8a~8e及び第2導電層11a~11eに接続するために、レーザースクライブにより、多孔質絶縁体層の一部に切り込みを入れる。用いるレーザーの波長としては、可視光領域のものが望ましい。例えば、図14に示したように、多孔質絶縁体層に切り込みを入れ、多孔質絶縁体層6a~6eが形成される。このレーザースクライブでは、多孔質絶縁体層の一部が除去されるが、第1導電層3a~3e及び第2バリア層15a~15eは除去されない。
次に、多孔質絶縁体層6a~6e上に、電子ブロック層8a~8eの一部であるコーティング層を形成する。電子ブロック層8a~8eは、光吸収層で発生したホールを捉えて、陽極である第2導電層11a~11eに輸送し、光吸収層で発生した電子が電子ブロック層8a~8eへと移動することをブロックする層である。電子ブロック層8a~8eは、多孔質絶縁体層6a~6e上に形成したコーティング層と、カバー層とにより構成される。
電子ブロック層8(コーティング層及びカバー層)の具体的な材料として、Cu2O、NiO、ZnS等の無機化合物が挙げられる。このような材料を用いることにより、光吸収層の有機系光電変換材料において光励起された電子が電子ブロック層8a~8eへと移動することを効率よくブロックすることができ、高効率太陽電池を実現することができる。
コーティング層は、例えば、スパッタ成膜法を用いて多孔質絶縁体層6a~6e上に形成することができる。コーティング層の膜厚が25nm以上80nm以下である場合に、浸透孔をコーティング層に形成することができる。このことにより、光吸収層の形成に用いる有機系光電変換材料溶液(ペロブスカイト化合物溶液)がコーティング層を通過することができ多孔質絶縁体層6a~6e及び多孔質ホールブロック層5a~5eへ有機系光電変換材料溶液を浸透させることができる。
次に、光吸収層を形成する。光吸収層に含まれるペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト化合物は、AXで示される化合物とBX2で示される化合物を原料として用いることによって合成できる。具体的には、ペロブスカイト化合物はAX溶液とBX2溶液を混合して加熱撹拌することによって合成することができ、ペロブスカイト化合物が溶解したペロブスカイト化合物溶液を得ることができる。
このペロブスカイト化合物溶液をコーティング層上に塗布すると、ペロブスカイト化合物溶液は、コーティング層の浸透孔を通過して多孔質絶縁体層6a~6e中に浸透し、さらに多孔質ホールブロック層5a~5e中に浸透する。この段階において、多孔質絶縁体層6a~6eの細孔及び多孔質ホールブロック層5a~5eの細孔はペロブスカイト化合物溶液で満たされている。また、コーティング層上にも、コーティング層の一部が露出するように、ペロブスカイト化合物溶液の塗布膜が形成されている。その後、中間品を加熱しペロブスカイト化合物溶液を乾燥させることにより、多孔質絶縁体層6a~6eの細孔中、多孔質ホールブロック層5a~5eの細孔中、コーティング層上に、ペロブスカイト化合物を析出・結晶化させることができ、光吸収層を形成することができる。
光吸収層を形成した後、光吸収層上にカバー層(電子ブロック層8a~8e)を形成する。このことにより、コーティング層とカバー層とのより光吸収層が挟まれるように電子ブロック層8a~8eを形成することができる。このことにより、光吸収層と電子ブロック層との接触面積を広くすることができ、光吸収層で発生したホールを、第2導電層11a~11eから効率よく取り出すことができる。カバー層は、例えば、スパッタ成膜法を用いて形成することができる。
次に、電子ブロック層8a~8e(カバー層)上に第2導電層11a~11eを形成する。第2導電層11a~11eは、光電変換素子30a~30eの光電変換層の光起電力により生じる電流を取り出すための電極である。第2導電層11a~11eは、例えば、仕事関数が5eV以上の金属膜である。第2導電層11a~11eが仕事関数の深い(5eV以上)金属で構成されることで、光吸収層と第2導電層11a~11eの間では、ホールの流れがスムーズになるバンド構造の曲がりが発生する。第2導電層11a~11eの材料としては、例えば、Ni、Pt、Pd等の金属が挙げられる。第2導電層11a~11eの膜厚としては、50nm~150nmが望ましい。第2導電層は、スパッタ成膜法や真空蒸着法などにより形成することができる。
第2導電層が形成された後、基体2上の隣接する光電変換素子30a~30eの直列接続回路に形成するために、レーザースクライブにより、電子ブロック層8a~8eと第2導電層11a~11eの一部に切り込みを入れる。また、後述する第1バリア層14をバリスタ21として機能させるために、緻密質ホールブロック層4a~4e、多孔質ホールブロック層5a~5e、多孔質絶縁体層6a~6e、電子ブロック層8a~8e及び第2導電層に切り込みを入れる。用いるレーザーの波長としては、紫外領域のものが望ましい。例えば、図14に示したように、電子ブロック層及び第2導電層に切り込みを入れ、電子ブロック層8a~8e及び第2導電層11a~11eが形成される。また、図14に示したように、バリスタ21を形成するための切り込みを形成することができる。
第1バリア層14は、緻密質無機材料層であり、光電変換層の側部を覆うように設けることができる。また、第1バリア層14は光電変換層の周縁全体を覆うように設けることができる。また、第1バリア層14は第2導電層11a~11eの上面を覆うように設けることができる。この第1バリア層14により、光吸収層に水分(水蒸気など)が侵入することを抑制することができ、光電変換素子30a~30eが劣化することを抑制することができる。また、第1バリア層14が緻密質無機材料層であるため、第1バリア層14のバリア機能が紫外線、温度変化などにより低下することを抑制することができる。また、光電変換層を第1バリア層14、第1導電層3a~3e、基体2、第2バリア層15などで完全にコーティングすることで、水蒸気に対するバリア特性を改善することができる。
また、第1バリア層14は、バリスタ特性を示す材料から構成されてもよい。また、第1バリア層14は、第1バリア層14と光電変換層とが並列接続となるように第1導電層3a~3e及び第2導電層11a~11eと接続するように設けることができる。バリスタ特性とは、ある一定電圧で急に電流が流れ出す電圧-電流特性(電流非直線性)である。バリスタ特性を示す材料は、バリスタ素子に使用できる材料であれば特に限定されない。
第1バリア層14の厚さは、例えば、30nm以上100nm以下とすることができる。
第1バリア層14は、レーザースクライブ後の第2導電層11a~11e上に形成される。また、第1バリア層14は、切り込みを満たすように形成することができる。このことにより、光電変換層の周縁及び上面を第1バリア層14で覆うことができる。また、第1バリア層14が、第1バリア層14と光電変換層とが並列接続となるように第1導電層3a~3e及び第2導電層11a~11eと接続することができる。
第1バリア層14の一部が、バリスタ素子構造として光電変換層に対して並列接続されることで、バイパスダイオード(第1バリア層14のバリスタ)を一体的に備えた光電変換素子30a~30eを実現できる。これにより、低コストでモジュール上での影による発電効率の低下を抑止することができる。
第1バリア層14は、例えば、主な材料として酸化亜鉛(ZnO)を含み、添加材料として酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなどを含むことができる。第1導電層3a~3eと第2導電層11a~11eとの間の第1バリア層14のバリスタ特性(I=KVα、K:素子固有定数、α:電圧非直線係数)は、α=20~60で、屈曲点電圧が2V以上であることが望ましい。
裏面基板19は、第1バリア層14の上部に配置される基板であり、光電変換層は基体2と裏面基板19との間に位置する。裏面基板19は、直列接続太陽電池の基板であってもよく、太陽電池モジュールの基板であってもよい。裏面基板19は、ガラス基板であってもよく、透明な有機フィルムであってもよく、不透明な有機フィルムであってもよい。
裏面基板19が有機フィルムである場合、裏面基板19の一方の主要面上に第3バリア層18を設けてもよい。第3バリア層18は、ガスバリア性の高い材料の層である。このことにより、空気中の水分や酸素などによる光電変換素子30a~30eの内部の劣化を防止することができる。また、第3バリア層18は、絶縁体材料の層である。このことにより、リーク電流が流れることを抑制することができる。第3バリア層18の膜厚は数10~100nmとすることができる。第3バリア層18の材料としては、具体的には酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどが挙げられる。
裏面基板19である有機フィルムには、太陽電池モジュールの第2端子17が形成されており、第2端子17の一部が有機フィルム(裏面基板19)と第3バリア層18を貫通し、直列接続した光電変換素子30a~30eの端の光電変換素子30eの第2導電層11eに接触又は第1バリア層14を介して接続している。第1端子16及び第2端子17を用いて、太陽電池モジュール40の光起電力により生じる電流を取り出すことができる。第2端子17の材料としては、SnZn系の半田ペーストが挙げられる。要件を満たす限りこれ以外の導電ペースト、電極材料も使用できる。
第2導電層11a~11e上などに第1バリア層14を形成した後、第1バリア層14にラミネートシート25を介して、第2端子17が形成された有機フィルム(裏面基板19)を張り合わせて、加熱ラミネートすることで、複数の光電変換素子30a~30eが直列接続した太陽電池モジュール40が完成する。なお、第1バリア層14と裏面基板19とでサンドウィッチされるラミネートシート25の第2端子17が位置する箇所については、穴開け加工される。このため、ラミネート時に第2端子17と第1バリア層14が良好に接続する。このことにより、第2導電層11eと第2端子17の間でバリスタが形成される。発電時は高電圧が第2導電層11eと第2端子17の間に印加されるため、そのバリスタ特性から電流の取り出しの障害には成らない。また、第2導電層11eと第2端子17とが接触してもよい。ラミネートシート25としては、一般的なラミネート材でもよく、ラミネート温度が180℃以下で防水性の高い樹脂フィルムが望ましい。
図15は、太陽電池モジュール40に含まれる1つの光電変換素子30の概略断面図と、光電変換素子30の等価回路とを重ね合わせた図である。また、図16は、太陽電池モジュール40の等価回路である。
図15に示すように、光電変換層は電流源22とダイオード23で表すことができる。また、切れ込み中の第1バリア層14がバリスタ21で表され、このバリスタ21は、光電変換層と並列接続となるように第1導電層3及び第2導電層11に接続している。
なお、第1及び第2実施形態の光電変換素子についての記載は矛盾がない限り第3実施形態の太陽電池モジュールに含まれる光電変換素子についても当てはまる。
本発明の実施形態に係る光電変換素子及び太陽電池モジュールは、メガソーラーシステムのような太陽光発電システム、太陽電池、及び小型携帯機器用の電源等に利用できる。
2:基体 3、3a~3e:第1導電層 4、4a~4e:緻密質ホールブロック層(緻密質酸化チタン層) 5、5a~5e:多孔質ホールブロック層(多孔質酸化チタン層) 6、6a~6e:多孔質絶縁体層 7:光吸収層 8、8a~8e:電子ブロック層 9:コーティング層 10:カバー層 11、11a~11e:第2導電層 12:ホールブロック材料粒子 13:第1絶縁体粒子 14:第1バリア層 15:第2バリア層 16:第1端子 17:第2端子 18:第3バリア層 19:裏面基板 21:バリスタ 22:電流源 23:ダイオード 25:ラミネートシート 26:第2絶縁体粒子 27:コアシェル構造の電子ブロック材料粒子 30、30a~30e:光電変換素子 40:太陽電池モジュール

Claims (11)

  1. 第1導電層と、第1導電層上に設けられた多孔質ホールブロック層と、前記多孔質ホールブロック層上に設けられた多孔質絶縁体層と、前記多孔質ホールブロック層の細孔中及び前記多孔質絶縁体層の細孔中に設けられかつ有機系光電変換材料を含む光吸収層と、前記多孔質絶縁体層上に設けられた電子ブロック層と、前記電子ブロック層上に設けられた第2導電層とを備えることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記有機系光電変換材料は、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物又は有機錯体である請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記電子ブロック層は、前記多孔質絶縁体層の上面をコーティングする第1コーティング層と、第1コーティング層上に設けられたカバー層とを含み、
    前記光吸収層は、第1コーティング層と前記カバー層との間にも設けられている請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記電子ブロック層は、絶縁体粒子の表面を被覆するように設けられ、
    前記電子ブロック層及び前記絶縁体粒子は、コアシェル構造の粒子を構成し、
    前記コアシェル構造の粒子が複数集まって多孔質層を形成し、
    前記多孔質層は、前記多孔質絶縁体層と第2導電層との間に配置され、
    前記光吸収層は、前記多孔質層の細孔中にも設けられている請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  5. 前記電子ブロック層は、前記多孔質層の上面をコーティングする第2コーティング層を含む請求項4に記載の光電変換素子。
  6. 前記多孔質ホールブロック層の材料の価電子帯上端のエネルギー準位は、前記有機系光電変換材料の価電子帯上端のエネルギー準位よりも0.5eV以上低い請求項1~5のいずれか1つに記載の光電変換素子。
  7. 前記電子ブロック層の材料の伝導帯下端のエネルギー準位は、前記有機系光電変換材料の伝導帯下端のエネルギー準位よりも0.5eV以上高い請求項1~6のいずれか1つに記載の光電変換素子。
  8. 前記多孔質ホールブロック層の材料は、TiO2であり、
    前記多孔質ホールブロック層を構成するTiO2粒子は、その表面にTiO2/TiN/TiO2の積層構造を有する請求項1~7のいずれか1つに記載の光電変換素子。
  9. 前記電子ブロック層の材料は、Cu2O、NiO又はZnSである請求項1~8のいずれか1つに記載の光電変換素子。
  10. 第2導電層の材料は、5.0eV以上の仕事関数を有する金属である請求項1~9のいずれか1つに記載の光電変換素子。
  11. 請求項1~10のいずれか1つに記載の複数の光電変換素子と、基体と、バリア層とを含み、
    複数の光電変換素子は、前記基体上において直列接続するように集積化され、
    前記バリア層は、複数の光電変換素子の上面をコーティングするように設けられ、
    前記バリア層の材料は、バリスタ特性を有する無機材料である太陽電池モジュール。
JP2021170333A 2021-10-18 2021-10-18 光電変換素子及び太陽電池モジュール Pending JP2023060630A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021170333A JP2023060630A (ja) 2021-10-18 2021-10-18 光電変換素子及び太陽電池モジュール
US17/956,015 US20230118192A1 (en) 2021-10-18 2022-09-29 Photoelectric conversion element and solar cell module

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021170333A JP2023060630A (ja) 2021-10-18 2021-10-18 光電変換素子及び太陽電池モジュール

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023060630A true JP2023060630A (ja) 2023-04-28

Family

ID=85980876

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021170333A Pending JP2023060630A (ja) 2021-10-18 2021-10-18 光電変換素子及び太陽電池モジュール

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20230118192A1 (ja)
JP (1) JP2023060630A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024111643A1 (ja) * 2022-11-24 2024-05-30 シャープ株式会社 光電変換素子、太陽電池モジュール及び光電変換素子の製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116685155B (zh) * 2023-07-31 2023-12-01 宁德时代新能源科技股份有限公司 太阳能电池及其制备方法、光伏组件和光伏装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024111643A1 (ja) * 2022-11-24 2024-05-30 シャープ株式会社 光電変換素子、太陽電池モジュール及び光電変換素子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20230118192A1 (en) 2023-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Salah et al. A comprehensive simulation study of hybrid halide perovskite solar cell with copper oxide as HTM
US20220384527A1 (en) Multijunction photovoltaic device
Snaith Perovskites: the emergence of a new era for low-cost, high-efficiency solar cells
Nejand et al. All-inorganic large-area low-cost and durable flexible perovskite solar cells using copper foil as a substrate
AU2019257470A1 (en) A Photovoltaic Device
US20230118192A1 (en) Photoelectric conversion element and solar cell module
US20120003773A1 (en) Quantum dot sensitized wide bandgap semiconductor photovoltaic devices & methods of fabricating same
KR102295772B1 (ko) 유-무기 복합 태양전지 및 유-무기 복합 태양전지 제조방법
EP2808913A1 (en) A laminated opto-electronic device and method for manufacturing the same
EP3306691B1 (en) Organic-inorganic composite solar cell
CN113285025A (zh) 光电转换元件以及光电转换元件的制造方法
Gu et al. Stable high-performance perovskite solar cells based on inorganic electron transporting bi-layers
EP3061142B1 (en) Method of making a photovoltaic device
GB2566293A (en) Multi-junction photovoltaic device
US20200312574A1 (en) Photoelectric conversion element and manufacturing method thereof
Ramachandran et al. One-step electrodeposition of CuSCN/CuI nanocomposite and its hole transport-ability in inverted planar perovskite solar cells
Xu et al. Recent progresses in carbon counter electrode materials for perovskite solar cells and modules
US11657983B2 (en) Solar battery cell, solar battery, solar battery module, and solar battery array
KR20180010874A (ko) 유-무기 복합 태양전지용 적층체 제조방법 및 유무기 복합 태양전지 제조방법
WO2019244234A1 (ja) 層状ペロブスカイト、光吸収層、光吸収層付き基板、光電変換素子、及び太陽電池
WO2024111643A1 (ja) 光電変換素子、太陽電池モジュール及び光電変換素子の製造方法
EP3428988B1 (en) Organic-inorganic hybrid solar cell
US20210233718A1 (en) Organic/inorganic hybrid photoelectric conversion element, solar cell module using the same, and method of manufacturing organic/inorganic hybrid photoelectric conversion element
CN114256425A (zh) 光电转换元件和太阳能电池模块
JP2020053454A (ja) 太陽電池及び太陽電池の製造方法