JP2023059364A - 水道管劣化度合判別プログラム - Google Patents

水道管劣化度合判別プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】水道管の劣化度合を自動的かつ高精度に判別する。【解決手段】水道管の劣化度合を判別する水道管劣化度合判別プログラムにおいて、判別対象の水道管から検知した波動データを取得する情報取得ステップと、過去において水道管から取得した参照用波動データと、水道管の劣化度合との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した波動データに応じた参照用波動データに基づき、上記連関度のより高いものを優先させて水道管の劣化度合を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、水道管の劣化度合を判別する水道管劣化度合判別プログラムに関する。
水道管は、生活のライフラインを形成する上で欠かせないインフラである。このような水道管も長きに亘る使用を経て劣化し、何れは交換が必要な時期が到来する。このような水道管の劣化を事前に予測することができれば、効果的な水道管路の更新ができ、しかも耐震化を踏まえた水道インフラを整備する上でも効果的である。
しかしながら、従来において、このような水道管の劣化度合を自動的かつ高精度に判別できるシステムが未だ案出されていないのが現状であった。
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、特段のスキルや経験が無くても、人手に頼ることなく、水道管の劣化度合を自動的かつ高精度に判別できる水道管劣化度合判別プログラムを提供することにある。
本発明に係る水道管劣化度合判別プログラムは、水道管の劣化度合を判別する水道管劣化度合判別プログラムにおいて、判別対象の水道管から検知した波動データを取得する情報取得ステップと、過去において水道管から取得した参照用波動データと、水道管の劣化度合との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した波動データに応じた参照用波動データに基づき、上記連関度のより高いものを優先させて水道管の劣化度合を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
特段のスキルや経験が無くても、人手に頼ることなく、水道管の劣化度合を自動的かつ高精度に判別できる。
本発明を適用したシステムの全体構成を示すブロック図である。 探索装置の具体的な構成例を示す図である。 本発明の動作について説明するための図である。 本発明の動作について説明するための図である。 本発明の動作について説明するための図である。 本発明の動作について説明するための図である。 本発明の動作について説明するための図である。 本発明の動作について説明するための図である。 本発明の動作について説明するための図である。 本発明の動作について説明するための図である。 本発明の動作について説明するための図である。 本発明の動作について説明するための図である。
以下、本発明を適用した水道管劣化度合判別プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
第1実施形態
図1は、本発明を適用した水道管劣化度合判別プログラムが実装される水道管劣化度合判別システム1の全体構成を示すブロック図である。水道管劣化度合判別システム1は、情報取得部9と、情報取得部9に接続された探索装置2と、探索装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
情報取得部9は、本システムを活用する者が各種コマンドや情報を入力するためのデバイスであり、具体的にはキーボードやボタン、タッチパネル、マウス、スイッチ等により構成される。情報取得部9は、テキスト情報を入力するためのデバイスに限定されるものではなく、マイクロフォン等のような音声を検知してこれをテキスト情報に変換可能なデバイスで構成されていてもよい。また情報取得部9は、カメラ等の画像を撮影可能な撮像装置として構成されていてもよい。情報取得部9は、紙媒体の書類から文字列を認識できる機能を備えたスキャナで構成されていてもよい。また情報取得部9は、後述する探索装置2と一体化されていてもよい。情報取得部9は、検知した情報を探索装置2へと出力する。また情報取得部9は地図情報をスキャニングすることで位置情報を特定する手段により構成されていてもよい。また情報取得部9は、温度センサ、湿度センサ、風向センサ、を測るための照度センサで構成されていてもよい。また情報取得部9は、天候についてのデータを気象庁や民間の天気予報会社から取得する通信インターフェースで構成されていてもよい。また情報取得部9は身体に装着して身体のデータを検出するための身体センサで構成されていてもよく、この身体センサは、例えば体温、心拍数、血圧、歩数、歩く速度、加速度を検出するためのセンサで構成されていてもよい。また身体センサは人間のみならず動物の生体データを取得するものであってもよい。また情報取得部9は図面等の情報をスキャニングしたり、或いはデータベースから読み出すことで取得するデバイスとして構成されていてもよい。情報取得部9は、これら以外に臭気や香りを検知する臭気センサにより構成されていてもよい。
データベース3は、政策提案を行う上で必要な様々な情報が蓄積される。政策提案を行う上で必要な情報としては、後述する各参照用情報波動データ流量データが、出力データとしての水道管の劣化度合や提言すべき政策との関係において蓄積されている。
つまり、データベース3には、このような参照用情報波動データ流量データの何れか1以上と、水道管の劣化度合や提言すべき政策が互いに紐づけられて記憶されている。
探索装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この探索装置2による探索解を得ることができる。
図2は、探索装置2の具体的な構成例を示している。この探索装置2は、探索装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う判別部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、探索装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、判別部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した情報取得部9として具現化されるものであってもよい。
判別部27は、探索解を判別する。この判別部27は、判別動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この判別部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
上述した構成からなる水道管劣化度合判別システム1における動作について説明をする。
水道管劣化度合判別システム1では、例えば図3に示すように、参照用波動波動データと、水道管の劣化度合との3段階以上の連関度が予め設定されていることが前提となる。なお、水道管は、上水道、下水道、プラントを問わず、水が流れるいかなる管が含まれる。参照用波動データとは、水道管から発せられ、或いは水道管を反射してきたあらゆる電磁波、光波、音波、振動等からなるデータである。音波は、水道管からの音のデータで構成されるものであってもよい。水道管内を水が流れるときに発せられる音を時系列的に録音したものであってもよい。また水道管に取り付けられ音波を検知可能なセンサにより取得されたデータで構成されるものであってもよい。また振動は、水道管内に水が流れるときに水道管が振動する場合のその振動波である。振動波をいかなる方法で検知するかについては、例えば振動センサ、ひずみセンサ以外に、その振動が音波となって表れる場合、超音波センサ等により検知されるものであってもよい。また電磁波、光からなる波動データとしては、通常の画像データや、スペクトルデータで構成されるものであってもよい。参照用波動データは、非破壊検査において使用されるあらゆる波動を利用したデータも含まれる。
これらの参照用波動データは、年単位、月単位、週単位、日単位、時間単位、分単位等あらゆる時系列的単位で管理可能とされている。
劣化度合は、水道管の劣化の度合を例えば百分率等で示すものであってもよいが、これに限定されるものではなく、劣化の度合が、高い、普通、低い、の3段階で示されるものであってもよいし、要交換、交換の必要なし、の2段階で示されるものであってもよい。また劣化度合としては、劣化の状況に関する情報で構成されていてもよく、例えば、腐食が●%進んでいる、水道管内に固形物の塊ができている、等の状況を示す情報で構成されていてもよい。このような劣化度合の評価は、その分野の専門家や業者等により実際に判定されたものであってもよい。
図3の例では、入力データとして、参照用波動データP01、P02、P03であるものとする。このような入力データとしての参照用波動データP01、P02、P03は、出力としての劣化度合に連結している。
参照用波動データP01、P02、P03は、この出力解としての劣化度合A~Dに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。この劣化度合は、例えばAは劣化度合が95%、Bは劣化度合が60%等のように示されている。参照用波動データがこの連関度を介して左側に配列し、各劣化度合が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用波動データに対して、何れの劣化度合と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用波動データが、いかなる劣化度合に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、各参照用波動データについて最も確からしい劣化度合を選択する上での的確性を示すものである。図3の例では、連関度としてw13~w19が示されている。このw13~w19は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての劣化度合と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての劣化度合と互いに関連度合いが低いことを示している。
Figure 2023059364000002
探索装置2は、このような図3に示す3段階以上の連関度w13~w19を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用波動データと、その場合の劣化度合の何れが採用、評価されたか、過去のデータセットを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図3に示す連関度を作り上げておく。なお、参照用波動データは、例えば時系列的なデータに限定されるものではなく、FFT変換されて周波数軸に変換されたデータで構成されるものであってもよい。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、各参照用波動データと、その場合における劣化度合のデータセットを学習させる。波動データP01である場合に、劣化度合Aの事例が多い場合には、この劣化度合の評価につながる連関度をより高く設定し、劣化度合Bの事例が多い場合には、この劣化度合の評価につながる連関度をより高く設定する。例えば波動データP01についての参照用波動データの例では、劣化度合Aと、劣化度合Cにリンクしているが、以前の事例から劣化度合Aにつながるw13の連関度を7点に、劣化度合Cにつながるw14の連関度を2点に設定している。
また、この図3に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
かかる場合には、図4に示すように、入力データとして各地域の参照用波動データが入力され、出力データとして劣化度合が出力され、入力ノードと出力ノードの間に少なくとも1以上の隠れ層が設けられ、機械学習させるようにしてもよい。入力ノード又は隠れ層ノードの何れか一方又は両方において上述した連関度が設定され、これが各ノードの重み付けとなり、これに基づいて出力の選択が行われる。そして、この連関度がある閾値を超えた場合に、その出力を選択するようにしてもよい。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに劣化度合の判別を行う上で、上述した学習済みデータを利用して劣化度合を探索することとなる。劣化度合の予め類型化された分類の何れに該当するかを判別するようにしてもよい。
新たに劣化度合を探索する場合には、波動データの入力を受け付ける。波動データのデータの詳細は、上述した参照用波動データの説明を引用することにより、以下での説明を省略する。
次にこの入力された波動データを参照用波動データと照合する。かかる場合には、予め取得した図3(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した波動データがP02と同一かこれに類似するものである場合には、連関度を介して劣化度合Bがw15、劣化度合Cが連関度w16で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い劣化度合Bを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる劣化度合Cを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
ちなみに、波動データと参照用波動データの照合は、仮にこれらのデータが、ある期間の平均値で表されている場合には、その平均値が±10%の範囲内に入っているか否かで同一及び類似であるか否かを判別するようにしてもよい。また、波動データが時系列的推移グラフで示されるものであれば、その傾向の類似性に基づいて判別されるものであってもよい。
このようにして、新たに取得する波動データから、最も好適な劣化度合を探索し、ユーザに表示することができる。この探索結果を見ることにより、その地域で、今後どのような劣化度合になりえるかを事前に判別することができる。劣化度合が提案されることで、新たに政策を立案する上でそれを参考にすることができる。
図5の例では、参照用波動データと、参照用流量データとの組み合わせの連関度が形成される例である。参照用流量データとは、水道管の流量に関するデータである。水道管の流量は、水道管に取り付けられた流量計、又はその流量計によりセンシングされたデータを無線通信により取得したデータで構成されるものであってもよい。参照用流量データは、単位時間について計測された流量について各種統計処理されたデータで構成されていてもよく、平均値等で構成されていてもよいし、時系列的に測定した流量の標準偏差等で構成されていてもよい。また、時系列的に測定した流量の変化傾向そのもの、或いはこれらを類型化したもので構成されていてもよい。
劣化度合は、波動データに加え、流量データにも依拠する。このため、参照用波動データに加えて、参照用流量データを学習データに組み合わせ判断することで、劣化度合をより高精度に判別することができる。このため、参照用波動データに加えて、参照用流量データを組み合わせて上述した連関度を形成しておく。
図5の例では、入力データとして例えば参照用波動データP01~P03、参照用流量データP14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用波動データに対して、参照用流量データが組み合わさったものが、図5に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、劣化度合が表示されている。
参照用波動データと参照用流量データとの各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、劣化度合に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用波動データと参照用流量データがこの連関度を介して左側に配列し、劣化度合が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用波動データと参照用流量データに対して、劣化度合と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用波動データと参照用流量データが、いかなる劣化度合に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用波動データと参照用流量データから最も確からしい劣化度合を選択する上での的確性を示すものである。このため、これらの参照用波動データと参照用流量データの組み合わせで、最適な劣化度合を探索していくこととなる。
図5の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
探索装置2は、このような図5に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用波動データと参照用流量データ、並びにその場合の劣化度合が何れが見合うものであったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図5に示す連関度を作り上げておく。
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用波動データP01で、参照用流量データP16である場合に、その劣化度合を過去のデータから分析する。劣化度合がAの事例が多い場合には、この劣化度合Aにつながる連関度をより高く設定し、劣化度合Bの事例が多く、劣化度合Aの事例が少ない場合には、劣化度合Bにつながる連関度を高くし、劣化度合Aにつながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、劣化度合Aと劣化度合Bの出力にリンクしているが、以前の事例から劣化度合Aにつながるw13の連関度を7点に、劣化度合Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
また、この図5に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。その他、人工知能に関する構成は、図4における説明と同様である。
図5に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用波動データP01に対して、参照用流量データP14の組み合わせのノードであり、劣化度合Cの連関度がw15、劣化度合Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用波動データP02に対して、参照用流量データP15、P17の組み合わせのノードであり、劣化度合Bの連関度がw17、劣化度合Dの連関度がw18となっている。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから劣化度合を判別する際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際に劣化度合を判別しようとする地域を同様に入力する。そしてデータベース3内にある、各地域毎に整理されている波動データと流量データを取得する。
このようにして新たに取得した波動データ、流量データに基づいて、最適な劣化度合を探索する。かかる場合には、予め取得した図5(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した波動データがP02と同一かこれに類似するものである場合であって、流量データがP17と同一か類似である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、劣化度合Cがw19、劣化度合Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い劣化度合Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる劣化度合Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
また、入力から伸びている連関度w1~w12の例を以下の表2に示す。
Figure 2023059364000003
この入力から伸びている連関度w1~w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1~w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1~w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
なお、本発明によれば、上述した参照用波動データに加え、上述した参照用流量データの代わりに、過去において取得した水道管の水圧に関する参照用水圧データとの組み合わせと、当該組み合わせに対する劣化度合との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
参照用流量データの代わりに説明変数として加えられるこの参照用水圧データは、水道管の水圧の関するデータである。水道管の水圧は、水道管に取り付けられた水圧計、又はその水圧計によりセンシングされたデータを無線通信により取得したデータで構成されるものであってもよい。参照用水圧データは、単位時間について計測された水圧について各種統計処理されたデータで構成されていてもよく、平均値等で構成されていてもよいし、時系列的に測定した水圧の標準偏差等で構成されていてもよい。また、時系列的に測定した水圧の変化傾向そのもの、或いはこれらを類型化したもので構成されていてもよい。
このような水道管の水圧も劣化度合に影響を及ぼすことから、参照用波動データと組み合わせ、連関度を通じて劣化度合を判別することで、判別精度を向上させることができる。解探索時には、実際に判別対象の水道管の波動データと、水圧データとを取得する。新たに取得した波動データと、水圧データに基づいて、最適な劣化度合を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて劣化度合を探索する。
なお、本発明によれば、上述した参照用波動データに加え、上述した参照用流量データの代わりに水道管の漏水履歴に関する参照用漏水履歴情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する劣化度合との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
参照用流量データの代わりに説明変数として加えられるこの参照用漏水履歴情報は、その水道管における今までの漏水履歴に関するあらゆる情報を含むものである。漏水履歴は、その水道管が今まで一度も漏水が無かったか、又は漏水が以前において発生した場合には、漏水した日時、回数、漏水の程度等に関する情報が参照用漏水履歴情報に含まれる。
解探索時には、実際にその劣化度合の判別対象の水道管における波動データと、漏水履歴情報とを取得する。新たに取得した波動データと、漏水履歴情報に基づいて、最適な劣化度合を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて劣化度合を探索する。
なお、本発明によれば、上述した参照用波動データに加え、上述した参照用流量データの代わりに水道管が敷設されている道路の舗装状態に関する参照用舗装情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する劣化度合との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
参照用流量データの代わりに説明変数として加えられるこの参照用舗装情報は、その水道管が敷設されている道路の舗装状態に関するあらゆる情報を含むものである。水道管が敷設されている道路とは、その水道管が地中に配管されている場合、その直上の道路を含むものである。舗装状態は、その舗装がなされているか否かに加え、舗装がなされている場合には、その舗装が施された年、またその舗装が更新された場合にはその更新年で示されるものであってもよい。また舗装状態を判別するために、道路の画像をカメラにより撮像し、その画像解析を通じて判別するようにしてもよい。また画像は、スペクトルカメラにより撮像したスペクトル画像であってもよい。これらの画像解析を行う場合には、以前において学習させた特徴量に基づいて判別するようにしてもよい。このとき、人工知能を活用し、画像データと路面の荒れ具合のデータセットを学習させておき、実際に参照用舗装情報を取得する際には、これらの学習させた画像データと照らし合わせて、その舗装状態を判別するようにしてもよい。
解探索時には、実際にその劣化度合の判別対象の水道管における波動データと、その水道管が敷設されている道路の舗装状態に関する舗装情報を取得する。舗装情報の取得時には、上述した画像解析、ひいては人工知能を活用して判別するようにしてもよい。次に、新たに取得した波動データと、舗装情報に基づいて、最適な劣化度合を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて劣化度合を探索する。
なお、本発明によれば、上述した参照用波動データに加え、上述した参照用流量データの代わりに水道管が敷設されている道路の交通量に関する参照用交通量情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する劣化度合との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
参照用流量データの代わりに説明変数として加えられるこの参照用交通量情報は、その水道管が敷設されている道路の交通量に関するあらゆる情報を含むものである。参照用交通量情報は、当該道路における車両又は通行人の通行量に関する情報である。この交通量とは、単位時間当たりの車両や通行人の通行する数である。交通量が多い道路に敷設されている水道管ほど劣化が早まるので、これを説明変数に含めて判別する。
このような参照用交通量情報、交通量情報は、市区町村や国、その他の機関によって行われる交通量調査のデータをそのまま利用してもよいし、単位時間において撮像した道路上の画像に基づいて判別するようにしてもよい。かかる場合には画像に映っている車両や通行人の数を検査者が一つずつカウントしてもよいし、周知のディープラーニング技術を利用して車両や通行人を抽出して特定し、その特定した車両や通行人の単位時間あたりの数をカウントするようにしてもよい。
解探索時には、実際にその劣化度合の判別対象の水道管における波動データと、その水道管が敷設されている道路の交通量に関する交通量情報を取得する。交通量情報の取得時には、上述した画像解析、ひいてはディープラーニング技術を活用して判別するようにしてもよい。次に、新たに取得した波動データと、交通量情報に基づいて、最適な劣化度合を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて劣化度合を探索する。
なお、本発明によれば、上述した参照用波動データに加え、上述した参照用流量データの代わりに参照用属性情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する劣化度合との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
参照用流量データの代わりに説明変数として加えられるこの参照用属性情報、属性情報は、水道管が配設された建築構造物に居住し、勤務し、又は通過する人の年齢や健康状態、年収、生年月日、出身地、家庭環境、また子供が就学中であれば、その学費と今後かかる見込みの学費、当該個人が現在就職活動中か、就業中か等も含まれる。健康状態については、当該個人が全くの健康体であるか、或いは先天的に何らかの障害があるのか否かと障害の程度、また生まれた後に後天的に発生した障害があるか否かとその障害の程度、また生後に何らかの疾病にかかったか否か、現状もその疾病が継続しているか否かとその程度、アレルギーの状態、炎症の状態、怪我の状態、持病の状態、服用している薬剤の状況等、健康状態を示すあらゆる情報が含まれる。この参照用属性情報に含まれる健康状態は、心拍数や脈拍数、血液データ、心電図データ、X線画像等、医療データそのものから導かれたものであってもよい。これらは何れも各家庭からの申告や提出文書、医師の診断書等を通じて得られるものであってもよい。この参照用属性情報を上述した参照用情報P34~P36に当てはめる場合には、例えば参照用情報P34は、年齢46歳、出身地:静岡、年収〇万円、〇×企業に勤務、家庭環境:妻と長男、長女の4人家族、長男は高校性、長女は中学生、健康状態:過去に胃潰瘍で手術した経験があり、参照用情報P35は、年齢38歳、出身地:東京、年収〇万円、▲〇企業に勤務、家庭環境:妻と長女の3人家族、長女は小学生、健康状態:良好等である。
参照用属性情報、属性情報は、その建築構造物に存在する法人に関するあらゆる情報である。ここでいう属性とは、その法人の業種や技術分野、歴史、沿革、資本金、規模、従業員数、設立年数等が含まれるが、これに限定されるものでは無く、社風や従業の士気、採用者数等も含まれる。
このような参照用属性情報、属性情報は、各地域、国毎に管理しているデータベースや統計的なデータについては公開情報から取得するようにしてもよいが、路上に設置した監視カメラ等から撮像した画像に映し出されている人を画像解析することで、年齢、性別等を判別し、それを参照用属性情報、属性情報として取得するようにしてもよい。
解探索時には、実際にその劣化度合の判別対象の地域における波動データと、属性情報とを取得する。新たに取得した波動データと、属性情報に基づいて、最適な劣化度合を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて劣化度合を探索する。
上述した連関度においては、10段階評価で連関度を表現しているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の連関度で表現されていればよく、逆に3段階以上であれば100段階でも1000段階でも構わない。一方、この連関度は、2段階、つまり互いに連関しているか否か、1又は0の何れかで表現されるものは含まれない。
上述した構成からなる本発明によれば、特段のスキルや経験が無くても、誰でも手軽に水道管の劣化度合の判別・探索を行うことができる。また本発明によれば、この探索解の判断を、人間が行うよりも高精度に行うことが可能となる。更に、上述した連関度を人工知能(ニューラルネットワーク等)で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
なお、上述した入力データ、及び出力データは、学習させる過程で完全に同一のものが存在しない場合も多々あることから、これらの入力データと出力データを類型別に分類した情報であってもよい。つまり、入力データを構成する情報P01、P02、・・・・P15、16、・・・は、その情報の内容に応じて予めシステム側又はユーザ側において分類した基準で分類し、その分類した入力データと出力データとの間でデータセットを作り、学習させるようにしてもよい。
また本発明は、図6に示すように参照用情報Uと参照用情報Vという2種類以上の情報の組み合わせの連関度に基づいて劣化度合を判別するものである。この参照用情報Uが参照用波動データであり、参照用情報Vが参照用波動データ以外の他の参照用情報の何れかであるものとする。
このとき、参照用情報Uについて得られた出力をそのまま入力データとして、参照用情報Vとの組み合わせの中間ノード61を介して出力(劣化度合)と関連付けられていてもよい。例えば、参照用情報U(参照用波動データ)について、図3に示すように出力解を出した後、これをそのまま入力として、他の参照用情報Vとの間での連関度を利用し、出力(劣化度合)を探索するようにしてもよい。
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な解探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した10段階以外に、例えば0~100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいて最も確からしい劣化度合、を判別することで、探索解の可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。このように連関度の高い順にユーザに表示できれば、より確からしい探索解を優先的に表示することも可能となる。
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な探索解を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。また参照用波動データを初めとする各参照用情報を取得し、これらに対する劣化度合に関する知見、情報、データを取得した場合、これらに応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
係る場合には、その参照用波動データを初めとする各参照用情報と実際にあったか否か、またその危険度や兆候の判別結果の事例を収集し、その事例の数に応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。このとき、上述した波動データを始めとする、参照用情報に応じた情報を取得して、判別を行った際に、これらに基づいて更新を行うようにしてもよい。
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
第2実施形態
以下、第2実施形態について説明をする。この第2実施形態を実行する上では、第1実施形態において使用する劣化度合提案システム1、情報取得部9、探索装置2、データベース3を同様に使用する。これらの各構成の説明は、第1実施形態の説明を引用することで以下での説明を省略する。
第2実施形態では、一の水道管に着目してその劣化度合を判別するのではなく、判別対象領域における各水道管の劣化度合を判別するものである。判別対象領域は、いかなる広さの単位で構成されていてもよいが、例えば、ある地点を中心とした半径数m~数kmの範囲で構成されていてもよい。また判別対象領域は、市区町村単位、番地単位の領域であってもよい。判別対象領域内の地中に埋設された全ての水道管の劣化度合を判別するものに限定されるものではなく、その中の一部を判別対象とするものであってもよい。
かかる場合には、先ず参照用衛星画像情報と、劣化度合のデータセットを学習させる。参照用衛星画像情報、衛星画像情報は、その地域を含むように人工衛星から撮像した衛星画像で構成される。この参照用衛星画像情報、衛星画像情報は、衛星の画像以外に、衛星から電磁波を放射し、その反射特性を取得したデータで構成されるものであればいかなるものであってもよい。
図7の例では、入力データとして、各地域における参照用衛星画像情報P01、P02、P03であるものとする。このような入力データとしての参照用市衛星画像情報P01、P02、P03は、出力としての劣化度合に連結している。
参照用衛星画像情報P01、P02、P03は、この出力解としての劣化度合A~Bに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用衛星画像情報がこの連関度を介して左側に配列し、各劣化度合が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用衛星画像情報に対して、何れの劣化度合と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用衛星画像情報が、いかなる劣化度合に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、各参照用衛星画像情報について最も確からしい劣化度合を選択する上での的確性を示すものである。
また、この連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを、以前の各地域の参照用衛星画像情報と、劣化度合とのデータセットを通じて作った後に、実際にこれから新たに劣化度合の判別を行う上で、上述した学習済みデータを利用して劣化度合を探索することとなる。これらのデータセットは、業者が管理しているデータベースから読み出すことで作成するようにしてもよい。解探索の方法は、上述した第1実施形態と同様であることから以下での説明を省略する。
図8の例では、参照用衛星画像情報と、参照用気象情報との組み合わせの連関度が形成される例である。参照用気象情報、気象情報は、その撮影時における天気(晴、曇り、雨)、災害(台風、大雨等)、気温、湿度等の情報を示す。これ以外に、風向き、風速、雷雨、台風、旱魃等に関するあらゆるデータで構成されるものであってもよい。参照用気象情報、気象情報の取得は、その時点における天候を、気象庁のデータから取り込むようにしてもよいし、又は自ら把握した天候を入力するようにしてもよい。
判別対象領域における水道管の劣化度合は、衛星画像情報に加え、気象情報にも依拠する。このため、参照用衛星画像情報に加えて、参照用気象情報を学習データに組み合わせ判断することで、劣化度合をより高精度に判別することができる。このため、参照用衛星画像情報に加えて、参照用気象情報を組み合わせて上述した連関度を形成しておく。
図8の例では、入力データとして例えば参照用衛星画像情報P01~P03、参照用気象情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用衛星画像情報に対して、参照用気象情報が組み合わさったものが、図8に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、劣化度合が表示されている。
参照用衛星画像情報と参照用気象情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、劣化度合に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用衛星画像情報と参照用気象情報がこの連関度を介して左側に配列し、劣化度合が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用衛星画像情報と参照用気象情報に対して、劣化度合と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用衛星画像情報と参照用気象情報が、いかなる劣化度合に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用衛星画像情報と参照用気象情報から最も確からしい劣化度合を選択する上での的確性を示すものである。このため、これらの参照用衛星画像情報と参照用気象情報の組み合わせで、最適な劣化度合を探索していくこととなる。
図8の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
探索装置2は、このような図8に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用衛星画像情報と参照用気象情報、並びにその場合の劣化度合が何れが見合うものであったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図8に示す連関度を作り上げておく。
また、この図8に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。その他、人工知能に関する構成は、図4、5における説明と同様である。
図8に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用衛星画像情報P01に対して、参照用気象情報P14の組み合わせのノードであり、劣化度合Cの連関度がw15、劣化度合Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用衛星画像情報P02に対して、参照用気象情報P15、P17の組み合わせのノードであり、劣化度合Bの連関度がw17、劣化度合Dの連関度がw18となっている。
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから劣化度合を判別する際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際に劣化度合を判別しようとする地域を同様に入力する。そしてデータベース3内にある、各地域毎に整理されている衛星画像情報と気象情報を取得する。
このようにして新たに取得した衛星画像情報、気象情報に基づいて、最適な劣化度合を探索する。かかる場合には、予め取得した図8(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した衛星画像情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、気象情報がP17と同一か類似である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、劣化度合Cがw19、劣化度合Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い劣化度合Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる劣化度合Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
なお、本発明によれば、上述した参照用衛星画像情報に加え、上述した参照用気象情報の代わりに水道管が敷設されている判別対象領域の土壌に関する参照用土壌情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する劣化度合との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
参照用気象情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用土壌情報は、その水道管が敷設されている判別対象領域の土壌に関するあらゆる情報を含むものである。参照用土壌情報の例としては、土壌の成分、pH、含水量、温度等が含まれる。実際に土壌の成分を採取し、化学的分析手法に基づいて分析された結果を用いてもよいし、周知の土壌センサにより検知されたデータを用いてもよい。また土壌をカメラにより撮像した画像、更にこれを周知のディープラーニング技術を活用し、画像の特徴的な部分のみを抽出したものも用いてもよい。また参照用土壌情報は、これ以外に、地盤の硬さについて、例えばボーリング調査を行った測定値等が含められるものであってもよい。
解探索時には、実際にその劣化度合の判別対象領域における衛星画像情報と、その水道管が敷設されている判別対象領域の土壌情報を取得する。次に、新たに取得した衛星画像情報と、土壌情報に基づいて、最適な劣化度合を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて劣化度合を探索する。
なお、本発明によれば、上述した参照用衛星画像情報に加え、上述した参照用気象情報の代わりに水道管が敷設されている判別対象領域の地域に関する参照用地域情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する劣化度合との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
参照用気象情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用地域情報、地域情報は、関東地方や東京都等といった括りでもよいが、市区町村、町名、番地レベルで細分化されていてもよい。このようにグループ化、細分化された地域がある中で、各セグメント化された地域における景況感、イベント、事故、事件、災害、伝染病等がこの参照用地域情報として反映される。例えば参照用情報P34は、東京都千代田区では、〇〇事件が発生、参照用情報P35は、奈良県は景況感指数〇〇等である。
解探索時には、実際にその劣化度合の判別対象領域における衛星画像情報と、その水道管が敷設されている判別対象領域の地域情報を取得する。次に、新たに取得した衛星画像情報と、地域情報に基づいて、最適な劣化度合を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて劣化度合を探索する。
なお、この第2実施形態における参照用情報は、上述以外に、領域単位の参照用波動データ、参照用流量データ、参照用水圧データ、参照用漏水履歴情報、参照用舗装情報、参照用交通量情報等と、上述した参照用衛星画像情報との間で連関度が形成されるものであってもよい。
また、これ以外に上述した参照用衛星画像情報に加え、上述した参照用情報の代わりに参照用外部環境情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する劣化度合との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
参照用外部環境情報、外部環境情報は、外部環境に関するあらゆる情報である。ここでいう外部環境情報は、経済データ(GDP、雇用統計、鉱工業生産指数、設備投資、労働力調査、消費者物価指数、日銀短観等)、家計データ(家計消費状況調査、家計データ、1週間の平均就業時間、貯蓄額の統計データ、年収の統計データ等)、不動産データ(オフィス空室率、坪単価、賃料相場、地価、空き家データ等)、自然環境データ(災害データ、気温データ、降水量データ、風向きデータ、湿度データ等)に代表されるものである。外部環境情報は、これらのデータの一部、全部が反映されるもの以外に、政治、経済、社会、技術の進化、流行、トレンド、疫病、天災事変等、あらゆる外部環境に関する情報を含めてもよい。また参照用外部環境情報は、このような外部環境情報はテキスト情報により定義されるものであってもよいし、これらがパターン(例えば、GDPの伸び率が急激が、あるいは徐々に増加するか等のパターン)等により類型化されていてもよい。また参照用外部環境情報、環境情報は、ある特定の地域における観光客数、県内総生産等で示されるものであってもよい。
解探索時には、実際に衛星画像情報に加え、判別対象領域における外部環境情報とを取得する。新たに取得した衛星画像情報と、外部環境情報に基づいて、解探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて解探索する。
上述した実施の形態に限定されるものでは無く、例えば図9に示すように、基調となる参照用情報と、劣化度合との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた参照用情報と劣化度合との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、上述した全ての参照用情報(参照用波動データ、参照用流量データ、参照用水圧データ、参照用漏水履歴情報、参照用舗装情報、参照用交通量情報、参照用属性情報、参照用衛星画像情報、参照用気象情報、参照用土壌情報、参照用地域情報、参照用外部環境情報等)を適用可能である。
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報に該当する。
例えば、他の参照用情報の一つとして、ある参照用気象情報Fにおいて、以前において劣化度合Bが判別される経緯が多かったものとする。このような参照用気象情報Fに応じた気象情報を新たに取得したとき、劣化度合としての探索解Bに対して、重み付けを上げる処理を行い、換言すれば劣化度合の探索解Bにつながるようにする処理を行うように予め設定しておく。
例えば、他の参照用情報Gが、より劣化度合としての探索解Cを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より劣化度合としての探索解Dを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、劣化度合Cの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、劣化度合Dの重み付けを上げる処理を行う。つまり、劣化度合につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、劣化度合を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての劣化度合にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する劣化度合につながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての当該判別類型をより高く修正するようにしてもよい。
同様に、図10に示すように、基調となる参照用情報と、他の参照用情報とを有する組み合わせに対する、劣化度合との連関度を形成する場合においても、基調となる参照用情報は、いかなる参照用情報(参照用波動データ、参照用流量データ、参照用水圧データ、参照用漏水履歴情報、参照用舗装情報、参照用交通量情報、参照用属性情報、参照用衛星画像情報、参照用気象情報、参照用土壌情報、参照用地域情報、参照用外部環境情等)も適用可能である。他の参照用情報は、基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報が含まれる。
このとき、基調となる参照用情報が、参照用衛星画像情報であれば、他の参照用情報としては、これ以外のいかなる参照用情報が含まれる。
かかる場合も同様に解探索を行うことで、劣化度合を推定することができる。このとき、上述した図9に示すように、連関度を通じて得られた探索解に対して、更なる他の参照用情報(参照用情報F、G、H等)を通じて、劣化度合を修正するようにしてもよい。
このとき、他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよい。
また、図11に示すように基調となる参照用情報のみと、劣化度合との間で連関度が形成されるものであってもよい。この基調となる参照用情報は、第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用波動データ、参照用流量データ、参照用水圧データ、参照用漏水履歴情報、参照用舗装情報、参照用交通量情報、参照用属性情報、参照用衛星画像情報、参照用気象情報、参照用土壌情報、参照用地域情報、参照用外部環境情等)も適用可能である。この図11の解探索方法は、図3の説明を引用することで以下での説明を省略する。
なお、第1実施形態、第2実施形態において、探索解としては何れも劣化度合を探索する場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば、予め、各劣化度合に水道管の交換時期が紐付けられていてもよい。かかる場合には、劣化度合Aに対して水道管の交換時期pが、劣化度合Bに対して水道管の交換時期qが、劣化度合Cに対して、水道管の交換時期rがそれぞれ紐付けられて予めデータベースとして保存されている。ここでいう水道管の交換時期とは、今すぐ水道管を交換すべきか否かの情報に加えて、水道管を何日後、何週間後、何か月後、何年度に交換すべきかを示すものであってもよい。
また、第1実施形態、第2実施形態において、探索解としては劣化度合を探索する代わりに、図12に示すように、水道管の交換時期を探索するようにしてもよい。かかる場合には、参照用情報に対して劣化度合の代替として水道管の交換時期を紐付けて学習させるようにしてもよい。かかる場合には、上述した劣化度合を全て水道管の交換時期に置き換えて具現化ができる。
1 水道管劣化度合判別システム
2 探索装置
21 内部バス
23 表示部
24 制御部
25 操作部
26 通信部
27 判別部
28 記憶部
61 ノード

Claims (11)

  1. 水道管の劣化度合を判別する水道管劣化度合判別プログラムにおいて、
    判別対象の水道管から検知した波動データを取得する情報取得ステップと、
    過去において水道管から取得した参照用波動データと、水道管の劣化度合との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した波動データに応じた参照用波動データに基づき、上記連関度のより高いものを優先させて水道管の劣化度合を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させること
    を特徴とする水道管劣化度合判別プログラム。
  2. 上記情報取得ステップでは、上記水道管の音又は振動に関する波動データを取得し、
    上記判別ステップでは、過去において水道管から取得した音又は振動に関する参照用波動データと、水道管の劣化度合との3段階以上の連関度を利用すること
    を特徴とする請求項1記載の水道管劣化度合判別プログラム。
  3. 上記情報取得ステップでは、判別対象の水道管の流量に関する流量データを取得し、
    上記判別ステップでは、上記参照用波動データと、過去において取得した水道管の流量に関する参照用流量データとを有する組み合わせと、水道管の劣化度合との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した波動データに応じた参照用波動データと、流量データに応じた参照用流量データとを有する組み合わせとの間でより高い連関度が設定されている水道管の劣化度合を判別すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の水道管劣化度合判別プログラム。
  4. 上記情報取得ステップでは、判別対象の水道管の流量に関する流量データを取得し、
    上記判別ステップでは、上記連関度のより高いものを優先させるとともに、更に上記流量データに基づいて水道管の劣化度合を判別すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の水道管劣化度合判別プログラム。
  5. 上記情報取得ステップでは、判別対象の水道管の水圧に関する水圧データを取得し、
    上記判別ステップでは、上記参照用波動データと、過去において取得した水道管の水圧に関する参照用水圧データとを有する組み合わせと、水道管の劣化度合との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した波動データに応じた参照用波動データと、水圧データに応じた参照用水圧データとを有する組み合わせとの間でより高い連関度が設定されている水道管の劣化度合を判別すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の水道管劣化度合判別プログラム。
  6. 上記情報取得ステップでは、判別対象の水道管の水圧に関する水圧データを取得し、
    上記判別ステップでは、上記連関度のより高いものを優先させるとともに、更に上記水圧データに基づいて水道管の劣化度合を判別すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の水道管劣化度合判別プログラム。
  7. 上記情報取得ステップでは、判別対象の水道管の漏水履歴に関する漏水履歴情報を取得し、
    上記判別ステップでは、上記参照用波動データと、水道管の漏水履歴に関する参照用漏水履歴情報とを有する組み合わせと、水道管の劣化度合との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した波動データに応じた参照用波動データと、漏水履歴情報に応じた参照用漏水履歴情報とを有する組み合わせとの間でより高い連関度が設定されている水道管の劣化度合を判別すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の水道管劣化度合判別プログラム。
  8. 上記情報取得ステップでは、判別対象の水道管が敷設されている道路の舗装状態に関する舗装情報を取得し、
    上記判別ステップでは、上記参照用波動データと、水道管が敷設されている道路の舗装状態に関する参照用舗装情報とを有する組み合わせと、水道管の劣化度合との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した波動データに応じた参照用波動データと、舗装情報に応じた参照用舗装情報とを有する組み合わせとの間でより高い連関度が設定されている水道管の劣化度合を判別すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の水道管劣化度合判別プログラム。
  9. 上記情報取得ステップでは、判別対象の水道管が敷設されている道路の交通量に関する交通量情報を取得し、
    上記判別ステップでは、上記参照用波動データと、水道管が敷設されている道路の交通量に関する参照用交通量情報とを有する組み合わせと、水道管の劣化度合との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した波動データに応じた参照用波動データと、交通量情報に応じた参照用交通量情報とを有する組み合わせとの間でより高い連関度が設定されている水道管の劣化度合を判別すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の水道管劣化度合判別プログラム。
  10. 上記連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されること
    を特徴とする請求項1~9のうち何れか1項記載の水道管劣化度合判別プログラム。
  11. 水道管の交換時期を判別する水道管交換時期判別プログラムにおいて、
    判別対象の水道管から検知した波動データを取得する情報取得ステップと、
    過去において水道管から取得した参照用波動データと、水道管の交換時期との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した波動データに応じた参照用波動データに基づき、上記連関度のより高いものを優先させて水道管の交換時期を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させること
    を特徴とする水道管交換時期判別プログラム。
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