JP2023055061A - Dpf(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の連続再生システムと連続再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディーゼルエンジンに設置されたDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)に捕集されたPM(粒子状物質)を、触媒の働きにより連続して酸化除去するシステムと方法を提供する。【解決手段】自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、DOC(ディーゼル酸化触媒)の入口及び出口、DPF(2)の入口及び出口に温度計を設置し、エンジン(1)から排出された排気が、DOC内を通過する際のDOC出口温度がDOC入口温度よりも高くなった時の温度(DOCに担持された触媒の活性化温度)と、DPF(2)内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度よりも高くなった時の温度(DPFに担持された触媒の活性化温度)を基準として、吸気や排気の加熱及び、又は排気系統への燃料や添加剤の噴射を行う。【選択図】図1
Description
本発明は、ディーゼルエンジンの運転時において、ディーゼル酸化触媒(DOC)とディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)から構成されるPM低減装置に流入し、DOCとDPFを通過する際の排気温度を330℃以上にして、DOCにおける一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、未燃の燃料(HC)などの酸化作用を促進させるとともに、DPFにおける粒子状物質(PM)の酸化除去作用を促進させることにより、連続してDPFを再生するためのシステムと方法に関する。
自動車等のディーゼルエンジンに設置されたDPFに捕集された粒子状物質(PM)を、触媒の働きにより酸化除去することにより、連続して使用できるようにするためには、(1)まず、DOC(ディーゼル酸化触媒)において200~450℃の温度範囲で、排気中に含まれるPM成分であるSOFを酸化除去するとともに、エンジンの燃焼室において生成されたNO(一酸化窒素)を酸化させて、NO2(二酸化窒素)に変化させる必要がある。次にDPFにおいて、捕集されたPM成分であるC(炭素、すす)を、DPFに担持されたPt(白金)、CeO2(酸化セリウム)などの触媒と、排気中のO2(酸素)及びNO2の働きにより400℃以下の温度で酸化させる(炭素化合物であるCO,CO2に変化させる)ことにより、これを除去する(以後、これをDPFの再生と記す)必要がある。(2)DOCとDPFから構成されるPM低減装置において、この作用を実現するためには、DOCにおいては約200℃以上、DPFにおいては約300℃以上の温度が必要とされているが、高性能(より低い温度で活性化する)触媒の開発によってこの温度は低下傾向にある。この温度は、定常運転時(通常走行時)においては排気の温度が高いため、エンジン本体の排気のみにより達成可能であるが、エンジンの起動直後を含む低負荷運転時においては排気温度が低いため、DPFの再生に必要な温度を達成することは困難である。(3)このため、排気系統に設置した燃料噴射装置から燃料を噴射して、この燃料をDOCにおいて酸化させることにより排気の温度を上昇させて目的とする温度を得るという方法、エンジンからDOCに至る排気管の途中に電気ヒーターを設置して排気の温度を上昇させて目的とする温度を得るという方法、吸気を絞るとともに排気を吸気側に環流する方法などを用いて排気の温度を上昇させて目的とする温度を得るという方法などを用いている。
これらの方法のうち、例えば、特許文献1では、通常の圧縮行程後期の噴射に加えて排気行程での燃料噴射を行い、この燃料を酸化触媒で燃焼させることにより排気温度を上昇させている。また、必要に応じて酸化触媒に設置した電気ヒーターに通電することにより、DPFには例えば300℃以上の排気が流入・通過するため、排気中のNO2はDPFに堆積した煤と容易に反応し、煤が燃焼、除去される。また、特許文献2では、車両の減速中や停車状態のアイドリング中にけるDPFへの煤の堆積量を排気の温度と圧力などを用いて算出し、この量が設定値(例えば10g)を超えた場合、吸気絞り弁を大きく閉じるとともに、排気環流制御弁を大きく開いて触媒を通過する排気温度を上昇させている。
これらの文献において、燃料噴射の時期と量の制御、電気ヒーターへの通電の有無、吸排気の流量制御などを実施する基準としているのは、主にDOCやDPFに流入・通過する排気の温度である。DOCやDPFに担持された触媒が活性化する温度が低いほど、さまざまな使用条件(運転条件)において安定した性能が発揮できることになるが、触媒の技術改良などによりDOCやDPFに担持された触媒の活性化のために必要とする温度は今後低下していく可能性がある。例えば、特許文献3には、銀安定化セリアとコバルト安定化セリア組成が、NO2とO2の存在の下250~300℃で煤を酸化するとの記載がある。また、特許文献4には、セリウム酸化物を燃料精製、燃料貯蔵庫、給油施設において燃料に添加することにより内燃機関のための燃料の効率性を改良する方法が記載されている。
自動車等のディーゼルエンジンに設置されたDPFに捕集されたPMを、触媒の働きにより効果的に酸化除去するためには、排気温度を触媒が活性化する温度以上に上昇させる必要がある。自動車等においては、アイドリングや低負荷時においてはこの温度に達しないため、排気系統に燃料噴射装置を設置して燃料を噴射する方法、排気管の途中に電気ヒーターを設置して排気を加熱する方法などが用いられているが、地球温暖化防止や省エネルギーの観点から、燃料消費量や電力の使用量をできるだけ少なくするとともに、エンジン性能を維持しながらDPFに捕集されたPMを効果的に除去する必要がある。また、これまでよりも低温域で活性化する触媒を担持したDPFの開発や、この触媒を燃料に添加することにより低温域でも活性化できる技術にも対応していく必要があるとともに、これらの技術革新に対応したディーゼル微粒子捕集フィルターの再生システムと再生方法を開発し続ける必要がある。
そこで本発明は、DOCとDPFに担持された触媒の活性化が始まると(排気中に含まれるCO、NO、HC、PMが酸化し始めると)、熱を発生する(排気の温度が上昇する)という特性を用いて、
(1)エンジンから排出された排気が、DOC内を通過する際のDOC出口気温度がDOC入口温度よりも高くなった時の温度を、DOCに担持された触媒の活性化温度とし、
(2)エンジンから排出された排気が、DPF内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度よりも高くなった時の温度を、DPFに担持された触媒の活性化温度とすることとした。
このような方法(基準)を用いることにより、これまでは触媒の種類によって変化していた(値が異なる)触媒の活性化温度(触媒の種類によって決まる絶対値)を、触媒の化学的な特性を基準とした、触媒の種類によらない活性化温度を定義することが可能となる。
この基準を用いることにより、触媒の技術改良などによりDOCやDPFに担持された触媒の活性化温度が低下しても、燃料噴射の時期と量の制御、電気ヒーターへの通電の有無、吸排気の流量制御などを実施する基準を変える必要がないため、汎用的な制御が可能となる。
(1)エンジンから排出された排気が、DOC内を通過する際のDOC出口気温度がDOC入口温度よりも高くなった時の温度を、DOCに担持された触媒の活性化温度とし、
(2)エンジンから排出された排気が、DPF内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度よりも高くなった時の温度を、DPFに担持された触媒の活性化温度とすることとした。
このような方法(基準)を用いることにより、これまでは触媒の種類によって変化していた(値が異なる)触媒の活性化温度(触媒の種類によって決まる絶対値)を、触媒の化学的な特性を基準とした、触媒の種類によらない活性化温度を定義することが可能となる。
この基準を用いることにより、触媒の技術改良などによりDOCやDPFに担持された触媒の活性化温度が低下しても、燃料噴射の時期と量の制御、電気ヒーターへの通電の有無、吸排気の流量制御などを実施する基準を変える必要がないため、汎用的な制御が可能となる。
排気中のPMはDPFを通過する間に補足され、DPF内に堆積する。これを放置すると排気の流路が狭まり、排気圧力が上昇してエンジン性能が悪化するため定期的にこれを除去する必要がある。DPFに捕集されたPMを燃焼により除去する場合、約600℃以上の温度と酸素を必要とするが、ディーゼルエンジンにおいてこの温度を達成するのは困難である。このため、2000年頃までは電気ヒーターやバーナーなどを用いてこれを燃焼除去する方法や、空気の圧力を利用して逆洗する方法が検討されていた。その後の研究により、DPFの前にDOCを設置して触媒と空気中のO2によって、(1) 排気中に含まれる未燃の燃料や潤滑油成分からなるHCや、燃料の不完全燃焼時に生成されるCOを酸化してH2OとCO2を生成、(2) 燃焼ガス中のNOを酸化することによりNO2を生成、(3) この時の酸化反応により発生する熱により排気の温度を上昇させるという現象を同時に起こすことが可能となった。また、その後に設置されているDPFの表面にPtなどの触媒を担持することにより、DOCで生成されたNO2と排気中に残存するO2がDPFに捕集された煤(C)と反応してCO2を生成するという現象を利用することにより、これまで600℃以上の温度を必要としていた煤の燃焼除去とともに、触媒とO2とNO2による煤の酸化除去が可能となった。
これまでの研究によれば、DOCにおけるこれらの酸化反応は約200℃以上の温度が必要とされ、DPFによる煤の酸化除去には約300℃の温度が必要とされている。これらの温度は、ディーゼルエンジンの通常運転時においては達成可能であるため、通常運転時においてはDOCとDPFから構成されるPM低減装置を装着した状態でDPFに補足された煤をリアルタイムで酸化除去できるため、DOCとDPFのみで、本発明のタイトルである「DPFの連続再生」が可能と言える。これに対し、起動時を含む低負荷運転時においては、排気温度が低いため、DOC及びDPF上の触媒は機能せず、エンジンから排出されたPMはDPF上に堆積することになる。しかし、その後の通常運転において排気温度が上昇してDOCとDPF上の触媒が活性化する温度になると、低負荷運転時に堆積していたPMは順次酸化除去されて、DPFは再生されるとされている。
路線バスや市街地のみを走行する自動車などにおいては、低負荷運転が続くと、排気温度がDOCやDPFが活性化する温度に達せず、DPFに補足されたPMが堆積を繰り返すことにより、DPFに担持された触媒の表面を覆い尽くしてしまうため、DOCにおいて酸化されたNO2、排気中のO2は煤(C)の表面に達するものの、触媒との接触ができない状態になるため、触媒による酸化除去ができない状態になる。このような状態になったDPFに堆積した煤を除去するには、先に記載した600℃という温度の下でO2による燃焼除去という方法を用いることになる。しかし、DPFに堆積した煤(C)が高温下においてO2と反応する「燃焼」という現象が起こると、火炎温度は1000℃以上の高温に達するため、DPFそのものを焼損する可能性がある。また、燃焼除去という方法を用いると、排気温度を600℃以上の高温にするための余分やエネルギーを要することになり、地球温暖化防止、省エネルギーという観点からの好ましくない。
これを防止するためには、これまでのほとんどの特許文献に記載されているような、(1)ガス温度が高い(触媒の活性化に必要な温度条件に達している)通常運転時における対応と、(2)排気温度が低い(触媒の活性化に必要な温度条件に達していない)低負荷運転時における対応という条件設定を行うのではなく、最初から、「ほとんどの運転状態において、排気温度はDOC及びDPFに担持された触媒が活性化する温度に達していない」という条件を設定してPM低減装置の開発を行う必要がある。
そのためには、(1) エンジンにおいては燃焼という現象が起こっており、燃焼(火炎)温度は1000℃以上に達している(膨張による仕事により排気温度は大幅に低下)ので、排気管からPM低減装置に至る経路(排気管)において、できるだけこの温度を保持できるような構造とする。(2) PM低減装置においても装置内が外気によってできるだけ冷却されないような構造とする。(3) DOCやDPF内においては、外周が外気により冷却されやすいため温度が低下傾向となる。ことため、排気温度が触媒の活性化温度に達していても外周がそれよりも低いと、煤の酸化除去ができず煤が堆積しやすくなる。煤が堆積すると流路が狭まりますます流れが悪くなる結果、温度が低下するという悪循環を繰り返すことになる。これを防止するために、ディーゼル酸化触媒とディーゼル微粒子捕集フィルターから構成されるPM低減装置内にあるディーゼル酸化触媒及び、又はディーゼル微粒子捕集フィルターの前に、円板の周囲に複数の穴を開けた分散板を設置して、排気の流れをディーゼル酸化触媒及び、又はディーゼル微粒子捕集フィルターの外周部まで分散させることにより、ディーゼル酸化触媒及び、又はディーゼル微粒子捕集フィルター全体の温度を均一化する必要がある。これと同時に、PM低減装置に流入・通過する排気の温度を触媒が活性化できる温度以上にするためのシステムを設置して、必要に応じてこれを作動させることにより、PMがDPFに担持された触媒を覆うことにより酸化除去ができなくなるように状態になる前に、酸化除去を行う必要がある。
本発明の特徴は、最初から、「エンジンのアイドリング及び低負荷運転状態においても、排気温度をDOC及びDPFに担持された触媒が活性化する温度以上にすることにより、全ての運転状態において触媒の働きによりPMを酸化除去する」という条件を設定してPM低減装置の開発を行うことにある。このような最低条件が設定されたシステムは、全ての条件において良好に作動する汎用的なシステムとなる。
先に記載したように、通常、エンジンのアイドリング及び低負荷運転状態においては排気温度が低いため、DOC及びDPF上の触媒は機能せず、エンジンから排出されたPMはDPF上に堆積することになる。しかし、その後の通常運転において排気温度が上昇してDOCとDPF上の触媒が活性化する温度になると、低負荷運転時に堆積していたPMは順次酸化除去されて、DPFは再生されるが、煤が触媒の表面を覆ってしまうと、温度条件が整ってもNO2とO2が触媒と反応して煤を酸化除去するという反応を起こせなくなるため、その状態になる前に煤を酸化除去により取り除く必要があるといえる。また、排気温度を触媒の活性化温度以上に上昇させても、PM低減装置の周辺温度(外気温度)は通常40℃未満であるため、DOCやDPFの周辺部は外気により冷却されて酸化除去反応が起こらなくなり、煤の堆積が加速される。これにより、排気の流路が狭くなると高温の排気が流れなくなり、排気温度を600℃にしてもDOCやDPFの外周部に堆積した煤を除去することは困難となる。これを防止するためには、逐次、DPFに堆積した煤を酸化除去する必要がある。
請求項1に記載の発明は、自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、DOC(ディーゼル酸化触媒)とDPFに担持された触媒が活性化温度に達すると、エンジン(1)から排出される排気中に含まれるCO、NO、HC、PMの酸化反応によりDOCとDPFを通過する排気の温度が上昇するという特性を利用して、DOCの入口及び出口、DPF(2)の入口及び出口に温度計を設置し、エンジン(1)から排出された排気が、DOC内を通過する際のDOC出口気温度がDOC入口温度よりも高くなった時の温度(DOCに担持された触媒の活性化温度)と、DPF(2)内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度よりも高くなった時の温度(DPFに担持された触媒の活性化温度)を基準として、吸気や排気加熱及び、又は排気系統への燃料や添加剤の噴射を効果的に行うことを特徴とする。
PM低減装置はDOCとDPFから構成され、DOCとDPFには、それぞれ触媒が担持されている。
DOCの役割は、触媒の働きにより(1)有害なCOを無害なCO2に変化させ、(2)ディーゼルエンジンの排気に多く含まれるNOをDPFにおけるPMの酸化除去に有効なNO2に変化させ、(3)未燃の燃料であるHCをH2OとCO2に変化させ、(4)PMの成分であるSOFを酸化除去するなど、主に気体と液体を対象とした化学変化を担っているため、その活性化温度は約200℃以上となっている。
一方、DPFの物理的な役割は排気中のPM成分である煤(Soot)を捕集することであり、科学的な役割は担持された触媒により捕集・堆積したPM成分である煤(Soot)を酸化除去することである。煤(Soot)は炭素が集結した固体であるためこれを触媒により酸化除去するためには300℃以上の温度(触媒の活性化温度)が必要とされている。
DOCの役割は、触媒の働きにより(1)有害なCOを無害なCO2に変化させ、(2)ディーゼルエンジンの排気に多く含まれるNOをDPFにおけるPMの酸化除去に有効なNO2に変化させ、(3)未燃の燃料であるHCをH2OとCO2に変化させ、(4)PMの成分であるSOFを酸化除去するなど、主に気体と液体を対象とした化学変化を担っているため、その活性化温度は約200℃以上となっている。
一方、DPFの物理的な役割は排気中のPM成分である煤(Soot)を捕集することであり、科学的な役割は担持された触媒により捕集・堆積したPM成分である煤(Soot)を酸化除去することである。煤(Soot)は炭素が集結した固体であるためこれを触媒により酸化除去するためには300℃以上の温度(触媒の活性化温度)が必要とされている。
これに対し、自動車等に設置されているエンジンの排気温度は出力の増加とともに上昇するという特性を持っており、例えばアイドリングや低負荷運転時においては200℃以下~300℃程度であるが、通常運転(常用負荷)時においては400℃以上の高温となる。このため、本発明における「エンジンの吸気系統に設置された電気ヒーター(4)を用いて吸気を加熱することにより排気温度を上昇させるとともに、吸気を加熱するために必要な電力をエンジンに直結された発電装置(5)から供給する(エンジンの出力を上昇させる)ことにより排気温度を上昇させて、DOC(ディーゼル酸化触媒)内を通過する際の排気温度を設定値(例えば220℃)以上、DPF(2)内を通過する際の排気温度を設定値(例えば330℃)以上に保持するという機能」を必要としない。
請求項2に記載の発明は、自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、DOC(ディーゼル酸化触媒)とDPFに担持された触媒が活性化温度に達すると、エンジン(1)から排出される排気中に含まれるCO、NO、HC、PMの酸化反応によりDOCとDPFを通過する排気の温度が上昇するという特性を利用して、DOCの入口及び出口、DPF(2)の入口及び出口に温度計を設置し、エンジン(1)から排出された排気が、DOC内を通過する際のDOC出口気温度がDOC入口温度よりも高くなった時の温度と、DPF(2)内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度よりも高くなった時の温度を基準として、吸気や排気を加熱するという方法及び、又は排気系統へ燃料や添加剤の噴射を行うという方法を用いることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジンの吸気系統に設置された電気ヒーター(4)を用いて吸気を加熱することにより排気温度を上昇させるとともに、吸気を加熱するために必要な電力をエンジンに直結された発電装置(5)から供給することによりエンジンの出力を上昇させて、エンジン(1)から排出された排気が、DOC(ディーゼル酸化触媒)内を通過する際のDOC出口温度がDOC入口温度よりも高くなるまで及び、又はDPF内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度よりも高くなるまで排気温度を上昇させるという機能を有することを特徴とする。
アイドリング時や低負荷域におけるエンジン出口(過給機出口)温度は200℃以下になる場合がある。これに対し、DOCに担持された触媒が未燃の燃料を酸化できる温度(触媒の活性化温度)は、一般に200℃以上であり、DPFに担持された触媒がPMを酸化除去できる温度(触媒の活性化温度)は一般に300℃以上である。これに対し、エンジンのアイドリング時や低負荷域における排気温度は200℃以下になる場合があるため、エンジンの排気系統に燃料を噴射してもDOCにおける酸化反応が起こらないと、噴射された燃料はDOCにおいて酸化反応がおこらないため、未燃のままDOCとDPFに付着した状態となる。このような状態において排気温度がDOCに担持された触媒の活性化温度以上になると、DOCとDPFに付着していた未燃の燃料やDPFに捕集されていたPMが一度に燃焼して、DPFの損傷に至る。
これを防止するためには、排気系統に燃料を噴射する際は、DOCを通過する排気の温度をDOCに担持された触媒の活性化温度以上にする必要がある。
これを防止するためには、排気系統に燃料を噴射する際は、DOCを通過する排気の温度をDOCに担持された触媒の活性化温度以上にする必要がある。
エンジンの排気温度は吸気温度に比例して高くなる。これは、エンジンの実際の圧縮行程における圧縮始めの温度と圧縮後の温度は、ポリトロープ変化と呼ばれる状態変化を示す式により計算でき、圧縮圧力に関係なく圧縮始めの温度が高いほど圧縮後の温度は高くなる。出力が一定(燃料噴射量と燃料消費率が一定)の場合、圧縮後の温度が高いほどそれに続く燃焼温度と排気温度は高くなるためである。
また、エンジンの排気温度はエンジンの出力に比例して高くなる。これは、燃焼室において1回の燃焼に際して噴射される燃料の量は、出力に比例して増大する。同一容積の燃焼室において、燃料噴射量が多いほど発生熱量は増加するため、燃焼温度と排気温度は高くなるためである。
また、エンジンの排気温度はエンジンの出力に比例して高くなる。これは、燃焼室において1回の燃焼に際して噴射される燃料の量は、出力に比例して増大する。同一容積の燃焼室において、燃料噴射量が多いほど発生熱量は増加するため、燃焼温度と排気温度は高くなるためである。
これらのことより、吸気系統において吸気を加熱することにより排気温度は加熱量に比例して上昇し、また、吸気を加熱するためにエンジンに直結している発電装置によって発電を行うと、その分だけエンジンの出力が増加するため、これに比例して排気温度は上昇する。すなわち、エンジンに直結する発電装置によって発電される電力によって、吸気系統に設置されたヒーターを作動させることにより、負荷率の上昇と吸気の加熱という2つの作用が同時に行われることになり、その相乗効果により排気温度は上昇する。
なお、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)(2)内を通過する際の排気温度(の変化)は、PM低減装置入口、DPF入口及びPM低減装置出口の排気温度を計測することにより検出することができ、特にPM低減装置出口の排気温度の値が重要となる。
さらに、排気系統に噴射された燃料がDOCに担持された触媒によって酸化される時の温度は一般に200℃以上とされているため、本発明においては1割の余裕を持たせてDOCを通過する排気の最低温度を220℃とし、DPFに担持された触媒によってPMが酸化除去される時の温度は一般に300℃以上とされているため、本発明においては1割の余裕を持たせてDPFを通過する排気の最低温度を330℃と設定した。
なお、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)(2)内を通過する際の排気温度(の変化)は、PM低減装置入口、DPF入口及びPM低減装置出口の排気温度を計測することにより検出することができ、特にPM低減装置出口の排気温度の値が重要となる。
さらに、排気系統に噴射された燃料がDOCに担持された触媒によって酸化される時の温度は一般に200℃以上とされているため、本発明においては1割の余裕を持たせてDOCを通過する排気の最低温度を220℃とし、DPFに担持された触媒によってPMが酸化除去される時の温度は一般に300℃以上とされているため、本発明においては1割の余裕を持たせてDPFを通過する排気の最低温度を330℃と設定した。
請求項4に記載の発明は、自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジンの吸気系統に設置された電気ヒーター(4)を用いて吸気を加熱することにより排気温度を上昇させるとともに、吸気を加熱するために必要な電力をエンジンに直結された発電装置(5)から供給することによりエンジンの出力を上昇させるという方法を用いて、エンジン(1)から排出された排気が、DOC(ディーゼル酸化触媒)内を通過する際のDOC出口温度がDOC入口温度よりも高くなるまで及び、又はDPF内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度よりも高くなるまで排気温度を上昇させるという機能を持たせることを特徴とする。
排気温度を、DOCやDPFに担持された触媒の活性化温度以上に上昇させる方法としては、排気系統に加熱装置を設置する方法、排気系統(燃焼室における排気行程を含む)に設置された燃料噴射から燃料を噴射してこれをDOCにおいて酸化させることにより排気の温度を上昇させる方法などが用いられている。
排気系統に加熱装置を設置して排気を加熱する場合、排気温度は一般に200℃以上である。物質間における熱の移動量は、熱伝導率、伝熱面積、温度差に比例するため、熱源の面積と材質が同じであれば加熱量は物体間(熱源と排気)の温度差に比例するため、200℃以上の排気を加熱するにはそれよりも高温の熱源が必要になるといえる。これに対して、吸気を加熱する場合、吸気温度(外気温度)は一般に50℃以下であるため、これを加熱するための熱源の温度は、排気を加熱する場合に比べて150℃以上低い温度でも熱の移動量は同じといえる。また、気体の密度は温度に比例するため、200℃以上の排気と約50℃の空気の密度を比較した場合、大きな違いがあるため、これも考慮する必要がある同じ効果がある。
排気系統に加熱装置を設置して排気を加熱する場合、排気温度は一般に200℃以上である。物質間における熱の移動量は、熱伝導率、伝熱面積、温度差に比例するため、熱源の面積と材質が同じであれば加熱量は物体間(熱源と排気)の温度差に比例するため、200℃以上の排気を加熱するにはそれよりも高温の熱源が必要になるといえる。これに対して、吸気を加熱する場合、吸気温度(外気温度)は一般に50℃以下であるため、これを加熱するための熱源の温度は、排気を加熱する場合に比べて150℃以上低い温度でも熱の移動量は同じといえる。また、気体の密度は温度に比例するため、200℃以上の排気と約50℃の空気の密度を比較した場合、大きな違いがあるため、これも考慮する必要がある同じ効果がある。
請求項5に記載の発明は、自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジン(1)から排出された排気が、DOC(ディーゼル酸化触媒)内を通過する際のDOC出口温度がDOC入口温度よりも高い状態において、エンジンの排気系統に設置された燃料噴射装置から燃料を噴射することにより、噴射された燃料がDOC内に担持された触媒により酸化される際に発生する熱量によって、DOCを通過する排気の温度を上昇させるという機能を有することを特徴とする。
排気温度がDOCに担持された触媒の活性化温度以下の状態において排気系統に燃料を噴射した場合、これが酸化されずにDOC及びDPFに付着し、排気温度がDOCに担持された触媒の活性化温度以上になった時点で一度に酸化すると、DPFに捕集されたPMの燃焼除去に必要な温度である600℃以上になり、DOCとDPFに付着した未燃の燃料とDPFに捕集されたPMが同時に燃焼して、DPFが焼損する可能性がある。
請求項6に記載の発明は、自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジン(1)から排出された排気が、DOC(ディーゼル酸化触媒)内を通過する際のDOC出口温度がDOC入口温度よりも高い状態において、エンジンの排気系統に設置された燃料噴射装置から燃料を噴射するという方法を用いることにより、噴射された燃料がDOC内に担持された触媒により酸化される際に発生する熱量によって、DOCを通過する排気の温度を上昇させることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジン(1)から排出された排気が、DPF内を通過する際のDPF出口温度が設定された温度(例えば330℃)に達するまで、エンジンの排気系統に設置された燃料噴射装置から噴射される燃料の量を増加させ、その後、DPF内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度と同じか低くなったら、エンジンの排気系統に設置された燃料噴射装置からの燃料噴射を停止することにより、DPFに捕集・堆積したPMを効果的に酸化除去できるという機能を有することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジン(1)から排出された排気が、DPF内を通過する際のDPF出口温度が設定された温度(例えば330℃)に達するまで、エンジンの排気系統に設置された燃料噴射装置から噴射される燃料の量を増加させ、その後、DPF内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度と同じか低くなったら、エンジンの排気系統に設置された燃料噴射装置からの燃料噴射を停止するという方法を用いることにより、DPFに捕集・堆積したPMを効果的に酸化除去できるという機能を有することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、DOC(ディーゼル酸化触媒)とDPFから構成されるPM低減装置(3)を真空断熱構造にすることを特徴とする。
アイドリング時や低負荷運転時におけるエンジン出口(過給機出口)における排気温度はアイドリング時や低負荷時においては、DOCに担持された触媒の活性化温度である約200℃以下となる場合があるため、エンジンの吸気系統に設置された電気ヒーター(4)を用いて吸気を加熱することにより排気温度を上昇させるとともに、吸気を加熱するために必要な電力をエンジンに直結された発電装置(5)から供給する(エンジンの出力を上昇させる)ことにより排気温度を上昇させて、相乗効果によりDOCに担持された触媒の活性化温度である約200℃以上にすることが可能となる。しかし、エンジン出口(過給機出口)における排気温度を200℃以上にしても、エンジンとPM低減装置を連結する排気管とPM低減装置の周囲温度は50℃以下であるため、排気は排気管とPM低減装置における放熱損失により、特に排気管とPM低減装置の外周部に近い部分が冷却されて200℃以下になる。
これを防止するためには、エンジンとPM低減装置を連結する排気管及びPM低減装置を真空断熱構造として、エンジンの吸気系統に設置された電気ヒーター(4)を用いた吸気加熱と、吸気を加熱するために必要な電力をエンジンに直結された発電装置(5)から供給する(エンジンの出力を上昇させる)ことにより上昇させた排気温度、PM低減装置の出口まで維持する必要がある。
請求項10に記載の発明は、自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、DOC(ディーゼル酸化触媒)とDPFから構成されるPM低減装置(3)を真空断熱構造にするという方法を用いることを特徴とする。
熱の移動量(放熱損失)は、熱伝導率[W/ (m・K)]に大きく影響される。通常、PM低減装置の外周は金属で覆われている。金属の熱伝導率は約20~200[W/ (m・K)]であるが、その周囲を真空断熱構造(魔法瓶構造)にすることにより、熱伝導率は0(零)に近くなるため、放熱損失はほとんどなくなり、エンジン出口における排気温度をPM低減装置の出口部分まで保持できる可能性がある。
請求項11に記載の発明は、自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジンの排気系統にセリウム系触媒を含む添加剤を噴射する装置を備えることを特徴とする。
これまでの研究によれば、燃料にセリウム系触媒を含む添加剤を混合するとともに、DPF入口における排気温度を約320℃にすることにより、DPFの連続再生が可能となり、約330℃以上にすることにより、DPFに捕集・堆積していたPMの酸化除去が促進されるとの報告がある。
燃料にセリウム系触媒を含む添加剤を混合するという方法は、アイドリング時や低負荷運転時においてDPF入口の排気温度が低い場合に、エンジンの吸気系統に設置された電気ヒーター(4)を用いて吸気を加熱することにより排気温度を上昇させるとともに、吸気を加熱するために必要な電力をエンジンに直結された発電装置(5)から供給する(エンジンの出力を上昇させる)ことにより排気温度を上昇させて、その相乗効果によりDPF入口温度を330度以上にする場合には有効であるが、エンジンの通常運転時においてDPF入口温度がDPFに担持された触媒を活性化する温度に達している場合には必要ない。
燃料にセリウム系触媒を含む添加剤を混合するという方法は、アイドリング時や低負荷運転時においてDPF入口の排気温度が低い場合に、エンジンの吸気系統に設置された電気ヒーター(4)を用いて吸気を加熱することにより排気温度を上昇させるとともに、吸気を加熱するために必要な電力をエンジンに直結された発電装置(5)から供給する(エンジンの出力を上昇させる)ことにより排気温度を上昇させて、その相乗効果によりDPF入口温度を330度以上にする場合には有効であるが、エンジンの通常運転時においてDPF入口温度がDPFに担持された触媒を活性化する温度に達している場合には必要ない。
以上のような理由から、汎用性を考慮すると「燃料にセリウム系触媒を含む添加剤を混合するという方法」が適しているが、経済性的観点からすれば、DOCの入口とDPFの入口出口に温度センサーと圧力センサーを設置して、それぞれの温度が設定値よりも低い値を示し、かつDPF入口・出口の圧力差(差圧)が設定値よりも高い値を示した場合において、エンジンの吸気系統に設置された電気ヒーターを用いて吸気を加熱することにより排気温度を上昇させるとともに、吸気を加熱するために必要な電力をエンジンに直結された発電装置から供給する(エンジンの出力を上昇させる)ことにより排気温度を上昇させるとともに、エンジンの排気系統にセリウム系触媒を含む添加剤を噴射するという対応をとることにより、本発明のより効果的な運用が可能となる。
請求項12に記載の発明は、自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジンの排気系統にセリウム系触媒を含む添加剤を噴射するという方法を用いることを特徴とする。
先行技術文献によれば、DPFに捕集され堆積したPMを300℃以上の温度で酸化除去、
又は600℃以上の温度で燃焼除去する際に、排気系統に設置された燃料噴射装置から燃料を噴射して、DOCに担持された触媒を用いてこれを酸化させる際に発生する熱量を用いて排気温度をそれぞれ(DPFにおける酸化除去又は燃焼除去)に対応する温度まで上昇させる装置(技術)が多く用いられており、この装置(技術)を利用して、排気系統に噴射する燃料中にセリウム系触媒を含む添加剤を混合するという方法が記載されている。
しかし、排気系統に噴射される燃料は、通常、エンジンに噴射される高圧の燃料系統から分岐しているため、高圧管に添加剤を混合させることは困難である。
又は600℃以上の温度で燃焼除去する際に、排気系統に設置された燃料噴射装置から燃料を噴射して、DOCに担持された触媒を用いてこれを酸化させる際に発生する熱量を用いて排気温度をそれぞれ(DPFにおける酸化除去又は燃焼除去)に対応する温度まで上昇させる装置(技術)が多く用いられており、この装置(技術)を利用して、排気系統に噴射する燃料中にセリウム系触媒を含む添加剤を混合するという方法が記載されている。
しかし、排気系統に噴射される燃料は、通常、エンジンに噴射される高圧の燃料系統から分岐しているため、高圧管に添加剤を混合させることは困難である。
そこで本発明では、高圧の燃料噴射系に添加剤を混合するという方法は用いずに、大気圧よりも低圧の排気系統に噴射するという方法を用いている。この技術は、SCR装置(技術)において「排気系統に尿素水を噴射する」という形で既に用いられたおり、確立された既存の技術といえる。
本発明を用いることにより、自動車等のディーゼルエンジンに設置されたDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)に捕集されたPM(粒子状物質)を、全ての運転領域において、触媒の働きにより酸化除去し、DPFを連続して使用できるようになる。
以下に、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る本システムの基本構成を示したものである。
図において、ディーゼルエンジンの燃焼に必要な空気は、加熱装置(4)を経てエンジン(1)に吸入され、排気管(10)を経てDOCとDPFから構成されるPM低減装置(3)に流入する。エンジン(1)は発電装置(5)、車輪・その他の装置を駆動する駆動装置(8)に駆動軸(9)により連結されており、発電装置(5)はエンジン(1)により駆動される発電装置としての機能を持つ。発電装置(5)によって発電された電力はケーブルを介して蓄電装置(7)に蓄電されるとともに制御装置(6)を介して加熱装置に供給されエンジンに吸入される空気を加熱する熱源となる。
図1は、本発明の実施の形態に係る本システムの基本構成を示したものである。
図において、ディーゼルエンジンの燃焼に必要な空気は、加熱装置(4)を経てエンジン(1)に吸入され、排気管(10)を経てDOCとDPFから構成されるPM低減装置(3)に流入する。エンジン(1)は発電装置(5)、車輪・その他の装置を駆動する駆動装置(8)に駆動軸(9)により連結されており、発電装置(5)はエンジン(1)により駆動される発電装置としての機能を持つ。発電装置(5)によって発電された電力はケーブルを介して蓄電装置(7)に蓄電されるとともに制御装置(6)を介して加熱装置に供給されエンジンに吸入される空気を加熱する熱源となる。
通常運転(走行)時においては、エンジン(1)の動力は伝達装置(9)を介して、直接、駆動装置(8)に伝えられ、エンジンから排出された排気は排気管(10)を通ってPM低減装置(3)に至り、排気中のPMはDPF(2)において連続的に酸化除去される。
一方、アイドリングや低負荷運転時においては、エンジン性能が十分に発揮できない(燃焼室における燃焼状態や機械効率が悪化する)とともに、排気温度が低い(PM低減装置に担持された触媒の活性化温度に達していない)ため排気中のPMはDPF(2)に堆積するという好ましくない状態となる。
一方、アイドリングや低負荷運転時においては、エンジン性能が十分に発揮できない(燃焼室における燃焼状態や機械効率が悪化する)とともに、排気温度が低い(PM低減装置に担持された触媒の活性化温度に達していない)ため排気中のPMはDPF(2)に堆積するという好ましくない状態となる。
そこで、発電装置(5)により発電を行いその電力を蓄電装置(7)に蓄えるという動作を行わせると、エンジンの出力(負荷率)が上昇することによりエンジン性能が改善されるともに、排気温度が上昇してPMの酸化除去が可能となる。それでも排気温度が不足する場合は、同時に発電装置(5)で発電された電力を用いて加熱装置(4)を作動させることによりエンジンの出力(負荷率)はさらに上昇するため、状態は改善される。
発電装置(5)によって発電された電力を蓄電装置(7)に供給するか加熱装置(4)に供給するかの選択とその供給割合は制御装置(6)により制御される。
蓄電装置(7)に蓄えられた電力は、必要に応じてケーブルと制御装置(6)を介して加熱装置(4)に供給されてエンジンに流入する空気を加熱する。また、発電装置(5)は、自動車等においては減速時や坂道等におけるマイナス負荷の際は発電装置として機能し、エンジンからの出力がない場合でも蓄電設備に電力を供給することが可能となる。
発電装置(5)によって発電された電力を蓄電装置(7)に供給するか加熱装置(4)に供給するかの選択とその供給割合は制御装置(6)により制御される。
蓄電装置(7)に蓄えられた電力は、必要に応じてケーブルと制御装置(6)を介して加熱装置(4)に供給されてエンジンに流入する空気を加熱する。また、発電装置(5)は、自動車等においては減速時や坂道等におけるマイナス負荷の際は発電装置として機能し、エンジンからの出力がない場合でも蓄電設備に電力を供給することが可能となる。
本システムを用いることにより、小型エンジンや大型エンジンにおいても、その運転形態に合わせた発電装置(4)、蓄電設備(7)の容量と機能の選択が可能となり、効果的なハイブリッドシステムの構成が可能となる。
図2は、本発明の実施の形態に係るディーゼルエンジンに設置されたDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)に捕集されたPM(粒子状物質)を効果的・効率的に酸化除去する際の工程の一例を示したフローチャートである。
S1において、エンジンに直結された発電装置の発電量を増加させる(エンジンの負荷率を増加させる)ことにより得られた電力を、吸入空気系統に設置された電気ヒーターに供給してエンジンに吸入する空気を加熱する。これにより、
S2において、エンジンに吸入する空気が加熱されて圧縮後の温度が上昇する。
S3において、吸入空気が加熱されることにより、圧力一定の下における空気の密度(kg/m3)を小さくなり、燃焼室における燃焼において供給熱量(燃料噴射量)に対する燃焼ガスの温度上昇割合が大きくなる。
S4において、発電量の増加による負荷率の上昇により、燃焼室の燃焼における供給熱量(燃料噴射量)が増加して燃焼ガスの温度が上昇するという相乗効果が起こる。
S5において、エンジンとPM低減装置を連結する排気管及びPM低減装置を通過する排気温度の低下を防止するための装置を設置することにより、吸入空気の加熱、燃焼室における温度上昇によって得られた高温の排気の温度を、排気がPM低減装置に流入・通過するまで維持することが可能となる。
S1において、エンジンに直結された発電装置の発電量を増加させる(エンジンの負荷率を増加させる)ことにより得られた電力を、吸入空気系統に設置された電気ヒーターに供給してエンジンに吸入する空気を加熱する。これにより、
S2において、エンジンに吸入する空気が加熱されて圧縮後の温度が上昇する。
S3において、吸入空気が加熱されることにより、圧力一定の下における空気の密度(kg/m3)を小さくなり、燃焼室における燃焼において供給熱量(燃料噴射量)に対する燃焼ガスの温度上昇割合が大きくなる。
S4において、発電量の増加による負荷率の上昇により、燃焼室の燃焼における供給熱量(燃料噴射量)が増加して燃焼ガスの温度が上昇するという相乗効果が起こる。
S5において、エンジンとPM低減装置を連結する排気管及びPM低減装置を通過する排気温度の低下を防止するための装置を設置することにより、吸入空気の加熱、燃焼室における温度上昇によって得られた高温の排気の温度を、排気がPM低減装置に流入・通過するまで維持することが可能となる。
本発明は、ディーゼル微粒子捕集フィルターを連続して、効果的・効率的・経済的に再生する場合に適用可能である。
1.エンジン
2.DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)
3.PM低減装置
4.電気ヒーター
5.発電装置
6.制御装置
7.蓄電装置
8.駆動装置
9.伝達装置
10.排気管
2.DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)
3.PM低減装置
4.電気ヒーター
5.発電装置
6.制御装置
7.蓄電装置
8.駆動装置
9.伝達装置
10.排気管
Claims (12)
- 自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、DOC(ディーゼル酸化触媒)とDPFに担持された触媒が活性化温度に達すると、エンジン(1)から排出される排気中に含まれるCO、NO、HC、PMの酸化反応によりDOCとDPF(2)を通過する排気の温度が上昇するという特性を利用して、DOCの入口及び出口、DPF(2)の入口及び出口に温度計を設置し、排気が、DOC内を通過する際のDOC出口気温度がDOC入口温度よりも高くなった時の温度と、DPF(2)内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度よりも高くなった時の温度を基準にして、吸気や排気の加熱及び、又は排気系統への燃料や添加剤の噴射を効果的に行うことを特徴とする、DPFの連続再生システム。
- 自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、DOC(ディーゼル酸化触媒)とDPFに担持された触媒が活性化温度に達すると、エンジン(1)から排出される排気中に含まれるCO、NO、HC、PMの酸化反応によりDOCとDPF(2)を通過する排気の温度が上昇するという特性を利用して、DOCの入口及び出口、DPF(2)の入口及び出口に温度計を設置し、排気が、DOC内を通過する際のDOC出口気温度がDOC入口温度よりも高くなった時の温度と、DPF(2)内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度よりも高くなった時の温度を基準にするという方法を用いることにより、吸気や排気の加熱及び、又は排気系統への燃料や添加剤の噴射を効果的に行うことができることを特徴とする、DPFの連続再生システム。
- 自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジンの吸気系統に設置された電気ヒーター(4)を用いて吸気を加熱することにより排気温度を上昇させるとともに、吸気を加熱するために必要な電力をエンジンに直結された発電装置(5)から供給することによりエンジンの出力を上昇させて、エンジン(1)から排出された排気が、DOC(ディーゼル酸化触媒)内を通過する際のDOC出口温度がDOC入口温度よりも高くなるまで及び、又はDPF内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度よりも高くなるまで排気温度を上昇させるという機能を有することを特徴とする、請求項1に記載されたDPFの連続再生システム。
- 自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジンの吸気系統に設置された電気ヒーター(4)を用いて吸気を加熱することにより排気温度を上昇させるとともに、吸気を加熱するために必要な電力をエンジンに直結された発電装置(5)から供給することによりエンジンの出力を上昇させるという方法を用いて、エンジン(1)から排出された排気が、DOC(ディーゼル酸化触媒)内を通過する際のDOC出口温度がDOC入口温度よりも高くなるまで及び、又はDPF内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度よりも高くなるまで排気温度を上昇させるという機能を持たせることを特徴とする、請求項2に記載されたDPFの連続再生方法。
- 自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジン(1)から排出された排気が、DOC(ディーゼル酸化触媒)内を通過する際のDOC出口温度がDOC入口温度よりも高い状態において、エンジンの排気系統に設置された燃料噴射装置から燃料を噴射することにより、噴射された燃料がDOC内に担持された触媒により酸化される際に発生する熱量によって、DOCを通過する排気の温度を上昇させるという機能を有することを特徴とする、請求項1に記載されたDPFの連続再生システム。
- 自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジン(1)から排出された排気が、DOC(ディーゼル酸化触媒)内を通過する際のDOC出口温度がDOC入口温度よりも高い状態において、エンジンの排気系統に設置された燃料噴射装置から燃料を噴射するという方法を用いることにより、噴射された燃料がDOC内に担持された触媒により酸化される際に発生する熱量によって、DOCを通過する排気の温度を上昇させることを特徴とする、請求項2に記載されたDPFの連続再生方法。
- 自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジン(1)から排出された排気が、DPF内を通過する際のDPF出口温度が設定された温度(例えば330℃)に達するまで、エンジンの排気系統に設置された燃料噴射装置から噴射される燃料の量を増加させ、その後、DPF内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度と同じか低くなったら、エンジンの排気系統に設置された燃料噴射装置からの燃料噴射を停止することにより、DPFに捕集・堆積したPMを効果的に酸化除去できるという機能を有することを特徴とする、請求項1及び請求項5に記載されたDPFの連続再生システム。
- 自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジン(1)から排出された排気が、DPF内を通過する際のDPF出口温度が設定された温度(例えば330℃)に達するまで、エンジンの排気系統に設置された燃料噴射装置から噴射される燃料の量を増加させ、その後、DPF内を通過する際のDPF出口温度がDPF入口温度と同じか低くなったら、エンジンの排気系統に設置された燃料噴射装置からの燃料噴射を停止するという方法を用いることにより、DPFに捕集・堆積したPMを効果的に酸化除去できるという機能を有することを特徴とする、請求項2及び請求項6に記載されたDPFの連続再生方法。
- 自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、DOC(ディーゼル酸化触媒)とDPFから構成されるPM低減装置(3)を真空断熱構造にすることを特徴とする、請求項1、請求項3、請求項5又は請求項7に記載された、DPFの連続再生システム。
- 自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、DOC(ディーゼル酸化触媒)とDPFから構成されるPM低減装置(3)を真空断熱構造にするという方法を用いることを特徴とする、請求項2、請求項4、請求項6又は請求項8に記載された、DPFの連続再生方法。
- 自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジンの排気系統にセリウム系触媒を含む添加剤を噴射する装置を備えることを特徴とする、請求項1、請求項3、請求項5、請求項7又は請求項9に記載された、DPFの連続再生システム。
- 自動車などに設置されたディーゼルエンジン(1)の運転時においてDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)(2)の連続再生を行うために、エンジンの排気系統にセリウム系触媒を含む添加剤を噴射するという方法を用いることを特徴とする、請求項2、請求項4、請求項6、請求項8又は請求項10に記載された、DPFの連続再生方法。
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