JP2023051764A - 遮熱コーティングを除去するためのツール及び修復方法 - Google Patents

Abstract

【課題】遮熱コーティングを除去するためのツール及び補修方法を提供する。
【解決手段】
部品（１２６）の内面（１３０）からコーティング（１２８）を除去するためのツール（２００）は、回転装置（２１０）と、回転装置（２１０）に取付けられる研削アタッチメント（２１４Ａ）と、部品（１２６）の内面（１３０）のコーティング（１２８）の上方で回転装置（２１０）に結合した研削アタッチメント（２１４Ａ）の軸方向位置を設定し、かつ回転装置（２１０）に結合した研削アタッチメント（２１４Ａ）の半径方向位置であって部品（１２６）の内面（１３０）のコーティング（１２８）内への研削アタッチメント（２１４Ａ）の切込み深さを規定する半径方向位置を設定するように構成されたツールホルダと、部品（１２６）の内周縁の周りにツールホルダを案内するためツールホルダに結合したホイールアセンブリ（２７０，２８０，２９０）とを含む。
【選択図】図５

Description

本開示は、一般に、ターボ機械に関し、具体的には、ターボ機械の部品の表面から遮熱コーティング（ＴＢＣ）を除去するためのツール及び修復方法に関する。

ガスタービンシステムは、典型的には、圧縮機セクション、燃焼器セクション及び１以上のタービンセクションを含む。圧縮機セクションは空気を圧縮し、圧縮された空気は燃料ノズルアセンブリを介して供給される燃料と混合される。空気／燃料混合物は燃焼器セクションに供給され、次いで点火されて高温燃焼ガスを生成する。燃焼ガスはタービンセクションに送られ、そこで燃焼ガスからエネルギーが抽出され、発電機などの負荷を駆動するとともに圧縮機セクションを駆動するための有用な仕事を生成する。

燃焼器セクションは、燃焼領域を画成する燃焼ライナと、高温燃焼ガスをタービンセクションに送るため燃焼器セクションの出口端とタービンセクションの入口端とを接続するトランジションピースとを含むことがある。場合によっては、燃焼器システム内の個々の部品の数を減少させるために、燃焼器セクションの燃焼ライナとトランジションピースとを組合せてユニボディ部品とすることもある。

遮熱コーティング（ＴＢＣ）は、高温環境に暴露されるガスタービンシステムの様々な金属部品（ユニボディ部品、タービンブレードなど）を保護及び遮熱するために多用される。ＴＢＣは、腐食及び酸化に対する耐性も与える。ＴＢＣは、一般に、金属基材上（さらに典型的には接着性を高めるための金属基材上のボンドコート層上）に成膜される。

場合によっては、運転中、ガスタービンシステムの部品は高い運転温度のため膨張することがある。かかる膨張によって、部品（例えばヘッドエンド部）の一部がユニボディ部品の入口端でＴＢＣに接触することがある。これは接触点及びその下流でＴＢＣに損傷を生じかねない。

以下に挙げるすべての態様、具体例及び特徴は、技術的に可能な方法で組合せることができる。

本開示の一態様では、部品の内面からコーティングを除去するためのツールであって、回転装置と、回転装置に取付けられる研削アタッチメントと、部品の内面のコーティングの上方で回転装置に結合した研削アタッチメントの軸方向位置を設定し、かつ回転装置に結合した研削アタッチメントの半径方向位置であって部品の内面のコーティング内への研削アタッチメントの切込み深さを規定する半径方向位置を設定するように構成されたツールホルダと、部品の内周縁の周りにツールホルダを案内するためツールホルダに結合したホイールアセンブリとを含むツールを提供する。

本開示の別の態様では、ツールホルダは、台座と、回転装置を固定するために台座に結合したコレットアセンブリとを含む。

本開示の別の態様では、ツールは、コレットアセンブリを台座に取付けるための１以上の付勢部材をさらに含み、１以上の付勢部材は、コレットアセンブリを台座に向かってバネ荷重するように構成される。

本開示の別の態様では、コレットアセンブリは、上部セクションと、下部セクションと、コレットアセンブリの上部セクションをコレットアセンブリの下部セクションに向かって又は下部セクションから離れるように選択的に移動させるために、ねじ付きシャフトに結合したハンドホイールとを含む。

本開示の別の態様では、コレットアセンブリは、部品の内面のコーティング内への研削アタッチメントの切込み深さを設定するため、コレットアセンブリを台座に向かって又は台座から離れるように選択的に移動させるための、ねじ付きシャフトに結合したハンドホイールであって、ねじ付きシャフトがコレットアセンブリを貫通して台座まで延在している、ねじ付きシャフトに結合したハンドホイールと、部品の内面のコーティング内への研削アタッチメントの最大切込み深さを設定するための深さリミッタとを含む。

本開示の別の態様では、最初の切込みの軸方向位置は、部品への最大軸方向距離を規定する。

本開示の別の態様では、部品はガスタービンシステムの燃焼部品を含む。

本開示の別の態様では、燃焼部品はユニボディ部品又はライナを含む。

本開示の別の態様では、燃焼部品は、燃焼部品の内周縁の周りに延在するフランジを含んでおり、ツールホルダに結合したホイールアセンブリは、ツールホルダをフランジに沿って案内するように構成される。

本開示の別の態様では、ホイールアセンブリは、燃焼部品の内面に係合させるためにツールホルダに回転可能に取付けられた１以上の第１のホイール、フランジの外縁に係合させるためにツールホルダに回転可能に取付けられた１以上の第２のホイール、及びフランジの両側に係合させるためにツールホルダに回転可能に取付けられた１対以上の第３のホイールを含む。

本開示の別の態様では、コーティングは遮熱コーティング（ＴＢＣ）を含む。

本開示のさらに別の態様では、ガスタービンシステムの燃焼部品の内面から遮熱コーティング（ＴＢＣ）を除去する方法であって、燃焼部品の内部にツールを配置するステップであって、ツールが、回転装置、回転装置に取付けられる研削アタッチメント、回転装置に結合したツールホルダ、及び燃焼部品の内周縁の周りにツールを案内するためにツールホルダに結合したホイールアセンブリを備える、ステップと、燃焼部品の内部で回転装置の研削アタッチメントの初期軸方向位置を設定するステップと、ＴＢＣに最初の切込みを形成するために、燃焼部品の内部で回転装置の研削アタッチメントの半径方向位置を設定するステップと、ＴＢＣに追加の切り込みを形成するために、燃焼部品の内部で回転装置の研削アタッチメントの軸方向位置及び半径方向位置を調整するステップとを含む方法を提供する。

本開示の別の態様では、本方法は、ＴＢＣに最初の切込み及び追加の切込みを形成した後に、研磨アタッチメントを回転装置に取付けること、及び研磨アタッチメントを用いて追加のＴＢＣを除去することをさらに含む。

本開示の別の態様では、本方法は、最初の切込み及び追加の切込みを形成する際に、ツールを燃焼部品の内周縁の周りで移動させることも含む。

本開示の別の態様では、最初の切込みは、ＴＢＣの縁からの最大軸方向距離を規定し、追加の切込みは、最初の切込みとＴＢＣの縁との間に形成される。

本開示の別の態様では、本方法は、ＴＢＣの縁をテーパリングすることも含む。

本開示の別の態様では、燃焼部品は、燃焼部品の内周縁の周りに延在する内部特徴を含み、ホイールアセンブリは、ツールホルダを燃焼部品の内部特徴に沿って案内するように構成される。

本開示の別の態様では、本方法は、ＴＢＣに対して研削アタッチメントの一定の下向きの圧力を与えることも含む。

本開示の別の態様では、本方法は、ガスタービンシステムの運転現場で実施される。

本開示の別の態様では、燃焼部品は、ユニボディ部品又はライナを含む。

この発明の概要の欄に記載した態様も含めて、本開示に記載した２以上の態様を組合せて、本明細書に具体的に記載されていない実施態様としてもよい。

１以上の実施態様の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。その他の特徴、目的及び利点は、発明の詳細な説明、図面並びに特許請求の範囲から明らかになろう。

本開示の上記その他の特徴については、本開示の様々な実施形態について記載する添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができよう。

ガスタービンシステムの形態の例示的なターボ機械の概略図を示す。 ガスタービンシステムの燃焼器セクションの断面図である。 本開示の実施形態に従ってガスタービンシステムの部品（例えばユニボディ部品）の表面から遮熱コーティング（ＴＢＣ）を除去するためのツールを示す。 図２の矢印Ａで示す方向にみたときの、本開示の実施形態に係る図３のツールの作業時の移動を示す。 本開示の実施形態に係る図３のツールの斜視図であり、ユニボディ部品の内面に対してツールを配置したときの状態を示す。 本開示の実施形態に係る図３のツールの斜視図である。 本開示の実施形態に係るガスタービンシステムのユニボディ部品の内面からＴＢＣを選択的に除去するための例示的なプロセスの流れ図である。 本開示の実施形態に従って、ユニボディ部品内での図３のツールの位置決めを示す。 本開示の実施形態に従って、図８に記載されたツールの研削／研磨アタッチメントの軸方向位置決めを示す。 本開示の実施形態に従って、図９のツールの研削／研磨アタッチメントの半径方向位置決め、並びにツールの研削／研磨アタッチメントによるＴＢＣへの最初の切込みを示す。 本開示の実施形態に従って、ツールの研削／研磨アタッチメントによってＴＢＣに幾つかの追加の切込みを行った後の図１０のツールを示す。 本開示の実施形態に従って図１１のツールを研磨用に構成したものを示す。 本開示の実施形態に従ってＴＢＣを除去した後の図１２のユニボディ部品を示す。

なお、本開示の図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は、本開示の典型的な態様を例示するものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。複数の図面間で、同様の符号は同様の構成要素を表す。

まず、本開示の主題を明確に説明するため、ターボ機械及び／又はターボ機械ブレード内の関連する機械部品について言及及び説明する際に、用語を選択する必要がある。できるだけ、当技術分野で一般的な用語を、その通常の意味と一致するように用いる。別途記載されていない限り、かかる用語は、本願の文脈及び添付の特許請求の範囲に準じて広義に解釈すべきである。ある部品を幾つかの異なる又は重複する用語を用いて言及することが多々あることは当業者には自明であろう。本明細書において、単一の部材として記載したものであっても、別の文脈では複数の部品からなるものとして記載することもある。或いは、本明細書のある箇所で複数の部品を含むものとして記載したものであっても、別の箇所では単一の部材として記載することもある。

さらに、本明細書では幾つかの記述的用語を繰返し用いるが、本欄の冒頭でこれらの用語を定義しておくと有用であろう。これらの用語及びその定義は、別途明記しない限り、以下の通りである。本明細書で用いる「下流」及び「上流」という用語は、流体の流れ（例えばタービンエンジンを通る作動流体の流れ、燃焼器を通る空気の流れ、又はタービンの部品系の１つを通る冷却剤など）に関する方向を示す用語である。「下流」という用語は流体が流れていく方向に対応し、「上流」という用語は流れと反対の方向（すなわち、流れて来る方向）をいう。「前方」及び「後方」という用語は、それ以上は特定されない方向をいい、「前方」はエンジンの前方又は圧縮機端を示し、「後方」はターボ機械の後方セクションを示す。

中心軸に対して異なる半径方向位置に配置された部品について説明する必要が多々ある。「半径方向」という用語は、軸に垂直な運動又は位置をいう。例えば、第１の部品が第２の部品よりも軸に近い場合、本明細書では第１の部品は第２の部品の「半径方向内側」又は「中心軸近位側」と記載される。一方、第１の部品が第２の部品よりも軸から遠く位置する場合、本明細書では第１の部品は第２の部品の「半径方向外側」又は「中心軸遠位側」と記載される。「軸方向」という用語は、タービンシステムの回転軸に平行な運動又は位置、或いは翼形部の前縁と後縁の間の翼弦方向をいう。最後に、「周方向」という用語は、軸を中心とした運動又は位置をいう。自明であろうが、かかる用語は、タービンの中心軸に対して適用される。

さらに、本明細書では、以下に記載する通り、幾つかの記述的用語を繰返し用いる。「第１」、「第２」及び「第３」という用語は、ある部品を他の部品と区別するために互換的に用いられ、個々の部品の位置又は重要性を示すものではない。

本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、開示内容を限定するものではない。本明細書において、単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。本明細書において、「含む」及び／又は「備える」という用語は、記載した特徴、整数、ステップ、操作、構成要素及び／又は部品が存在することを示し、他の１以上の特徴、整数、ステップ、操作、構成要素、部品及び／又はこれらの群の存在又は追加を除外するものではない。「任意」又は「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいこと或いはその用語に続いて記載された部品又は構成要素が存在しても存在しなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象又は状況が起こる場合と起こらない場合並びにその部品又は構成要素が存在する場合と存在しない場合とを包含する。

ある構成要素又は層が別の構成要素又は層に「配置」、「係合」、「接続」又は「結合」しているという場合、その別の構成要素又は層に直接、配置、係合、接続又は結合していてもよいし、或いは介在する構成要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある構成要素が別の構成要素又は層に「直接配置」、「直接係合」、「直接接続」又は「直接結合」しているという場合、介在する構成要素又は層は存在しない。構成要素間の関係について説明するために用いられる他の用語（例えば「～の間」と「直接間」、「隣接」と「直接隣接」など）も同様に解釈される。本明細書で用いる「及び／又は」という用語は、記載されたものの１以上のあらゆるすべての組合せを包含する。

図１は、燃焼又はガスタービンシステムの形態の例示的なターボ機械１００の概略図を示す。図に示すように、ターボ機械１００は、圧縮機セクション１０２及び燃焼器セクション１０４を備える。燃焼器セクション１０４は、燃料ノズルアセンブリ１０８を含むヘッドエンド部１０６と、燃焼領域１１０とを含む。ターボ機械１００は、タービンセクション１１２及び圧縮機／タービン共通のシャフト１１４（ロータ１１４とも呼ばれる）も含む。一実施形態では、燃焼タービンシステムは、ゼネラルエレクトリック社（米国サウスカロライナ州グリーンビル）から市販されている７ＨＡ又は９ＨＡエンジンである。

本開示は、ある特定の燃焼又はガスタービンシステムに限定されるものでなく、例えばゼネラルエレクトリック社の様々なＨＡ、Ｆ、Ｂ、ＬＭ、ＧＴ、ＴＭ及びＥクラスエンジンモデル並びに他社のエンジンモデルを始めとする他のエンジンについても応用し得る。さらに、本開示の教示内容は必ずしも燃焼又はガスタービンシステムにしか適用できないわけではなく、他のタイプのターボ機械、例えば、蒸気タービン、ジェットエンジン、圧縮機などにも適用し得る。

運転中、空気は圧縮機セクション１０２を流れ、圧縮空気は燃焼器セクション１０４に供給される。具体的には、圧縮空気は、燃焼領域１１０と流れ連通した燃料ノズルアセンブリ１０８に供給される。燃料ノズルアセンブリ１０８は、燃料源（図１には図示せず）とも流れ連通しており、燃料及び空気を燃焼領域１１０に導く。燃焼器セクション１０４は、燃料／空気混合物を点火して燃焼させる。

燃焼器セクション１０４は、タービンセクション１１２と流れ連通している。燃焼器セクション１０４で生じた高温燃焼ガスは、タービンセクション１１２に導かれ、機械的回転エネルギーへと変換される。タービンセクション１１２はロータ１１４と回転可能に結合しており、ロータ１１４を駆動する。圧縮機セクション１０２もロータ１１４と回転可能に結合している。

図２は、燃焼器セクション１０４の簡略化した断面図を示す。図に示すように、燃焼器セクション１０４は、燃焼ライナ１２０と、燃焼器セクション１０４で生じた高温燃焼ガス１２４をタービンセクション１１２へと送るためのトランジションピース１２２とを含む燃焼領域１１０を含むことがある。複数の実施形態では、燃焼器セクション１０４の燃焼ライナ１２０とトランジションピース１２２は、限定されるものではないがゼネラルエレクトリック社の「ユニボディ」部品１２６を始めとする、単一燃焼部品１２６へと組合せてもよい。遮熱コーティング（ＴＢＣ）１２８は、例えばユニボディ部品１２６の内面１３０に形成し得る。

場合によっては、運転中、ガスタービンシステム１００の部品は高い作動温度のため膨張することがある。例えば、ヘッドエンド部１０６の一部が膨張して、ユニボディ部品１２６の入口端１３２（例えば前方端又は上流端）の内面１３０のＴＢＣ１２８と接触することがある。これは接触点及びその下流のＴＢＣ１２８に損傷を生じかねない。かかるＴＢＣ１２８への損傷を防ぐために、接触点又はその近傍のＴＢＣ１２８の一部を除去しなければならないことがある。従前、かかるユニボディ部品１２６の入口端１３２の内面１３０からのＴＢＣ１２８の除去は、修復又は製造現場でのユニボディ部品１２６の作業を必要とし、往々にして数ヶ月要することもあった。

以下、様々な実施形態に従って、ガスタービンシステムの部品（例えばユニボディ部品、ライナなど）の表面（例えば内面）から材料（ＴＢＣなど）の層を（例えば現場で）除去することのできるツール及び修復方法について説明する。本明細書ではガスタービンシステムのユニボディ部品での使用について説明するが、本ツール及び修復方法が、ガスタービンシステム又は他のシステム／機械の他の部品の表面からＴＢＣ又はその他の材料層を除去するのに使用し得ることは明らかである。

本ツールは、ユニボディ部品の一部に取付けて、ユニボディ部品の縁の周りに「乗って」内面のＴＢＣを所望の厚さに細心かつ一貫して機械加工又は研削することのできるカスタム取付具である。修復方法は、除去プロセス後にユニボディ部品に残るＴＢＣを保護するために、研削ホイール（ダイヤモンド研削ホイールなど）を用いてまず（例えばＴＢＣの端から最大軸方向距離で）ＴＢＣに最初の切込みを入れることを含む。最初の切込みの後、ＴＢＣの大部分を除去するため、ＴＢＣに複数の追加の切込みを形成しりことができる。次いで残りのＴＢＣを除去し、母材金属及びボンドコート表面を研磨及び平滑化するために、研削ホイールを研磨ホイール（ダイヤモンドフラップホイールなど）に交換する。

複数の実施形態に従って、ユニボディ部品１２６の内面１３０からＴＢＣ１２８の層の一部を除去するためのツール２００を、図３、図５及び図６に示す。図４は、図２の矢印Ａで示す方向（すなわち下流）にみたときのツール２００の作業時の移動を示す。

複数の実施形態では、ツール２００は、ユニボディ部品１２６の内周縁に沿って乗るように構成される。場合によっては、図３及び図４に示すように、ユニボディ部品１２６は、ユニボディ部品１２６の内周縁の周りに延在する内部フランジ２０８を含むことがある。そのような場合、ツール２００は、ユニボディ部品１２６の内周縁の周りでフランジ２０８に沿って乗るように構成してもよい。フランジ２０８が存在しない場合、ツール２００は、それに応じてユニボディ部品１２６の内周縁の周りに乗るように修正し得る。

ここで図３、図５及び図６を参照すると、ツール２００は、回転可能な研削／研磨アタッチメント２１を含む回転装置２１０を含む。図に示すように、研削／研磨アタッチメント２１２は、シャフト２１６に結合した研削ホイール２１４Ａ（例えばダイヤモンド研削ホイール、図５）又は研磨ホイール２１４Ｂ（例えばダイヤモンドフラップホイール、図６）を含んでいてもよい。他のタイプの研削／研磨ホイール及び／又は表面からＴＢＣ１２８を除去することができる回転装置アタッチメントも使用し得る。また、実施形態では、回転装置２１０は、研削／研磨アタッチメント２１２を回転させることができる空圧ダイグラインダその他の装置を備えていてもよい。

回転装置２１０は、モータ２２０（例えば空圧モータ）を収容するハンドル２１８、ハウジング２２２、及びモータ２２０によって駆動される回転可能なスピンドル２２４を含んでいてもよい。スピンドル２２４は、ハウジング２２２を貫通してその外へと延びており、研削／研磨アタッチメント２１２をスピンドル２２４に脱着可能に結合するためのコレット２２６を含む。

ツール２００は、台座２２８及び台座２２８に結合したコレットアセンブリ２３０を含むツールホルダを含んでいてもよい。コレットアセンブリ２３０は、上部セクション２３２、下部セクション２３４、及び回転装置２１０を着脱するためコレットアセンブリ２３０の上部セクション２３２を下部セクション２３４に向かって又は下部セクション２３４から離れるように選択的に移動させるためのハンドホイール２３６を含んでいてもよい。ハンドホイール２３６は、コレットアセンブリ２３０の上部セクション２３２を貫通して下部セクション２３４まで延在するねじ付きシャフト２３８に結合し得る。

コレットアセンブリ２３０は、回転装置２１０の軸方向位置（例えば図３の矢印Ｂで示すようにユニボディ部品１２６の内方又は外方）の設定に使用し得る。こうすることにより、オペレータは、研削／研磨アタッチメント２１２の軸方向位置をＴＢＣ１２８の除去すべき部分に選択的に設定することができる。場合によっては、ＴＢＣ１２８とユニボディ部品１２６の内面１３０との間に形成されたボンドコート層２０２の一部も、回転装置２１０の研削／研磨アタッチメント２１２を用いて除去し得る。

作業中、回転装置２１０及びツール２００の研削／研磨アタッチメント２１２の軸方向位置は、ハンドホイール２３６及び取付けられたねじ付きシャフト２３８を第１の方向に回転させて、コレットアセンブリ２３０の上部セクション２３２を下部セクション２３４から遠ざけて回転装置２１０を緩めることによって調整し得る。次いで、回転装置２１０及び研削／研磨アタッチメント２１２を、ツール２００上の所望の軸方向位置に再度位置決めすればよい。しかる後、ハンドホイール２３６及び取付けられたねじ付きシャフト２３８を逆の第２の方向に回転させて、コレットアセンブリ２３０の上部セクション２３２を下セクション２３４に向かって移動させてコレットアセンブリ２３０を回転装置２１０の周りで再度締め付ければよい。

複数の実施形態では、ハンドホイール２４０及び取付けられたねじ付きシャフト２４２を用いて、ツール１００の回転装置２１０及び取付けられた研削／研磨アタッチメント２１２の半径方向位置を設定することもできる（例えば図３の矢印Ｃで示すようにユニボディ部品１２６の内面１３０に近づけたり、遠ざけたりすることができる）。図３に示すように、ねじ付きシャフト２４２は、コレットアセンブリ２３０の上部セクション２３２及び下部セクション２３４を貫通して台座２２８の表面まで延在し得る。ユニボディ部品１２６の内面１３０に向かう回転装置２１０及び研削／研磨アタッチメント２１２の半径方向の変位量を制限するため、例えば、回転装置２１０の研削／研磨アタッチメント２１２がユニボディ部品１２６の金属表面（例えば内面１３０）を傷つけることがないように、深さリミッタ２４４（例えばロックノブ）を設けてもよい。

作業中、回転装置２１０及びツール２００の研削／研磨アタッチメント２１２の半径方向位置は、ハンドホイール２４０及び取付けられたねじ付きシャフト２４２を第１の方向に回転させて、コレットアセンブリ２３０を台座２２８に向かって移動させることによって調整し得る。同様に、ハンドホイール２４０及び取付けられたねじ付きシャフト２４２を逆の第２の方向に回転させれば、コレットアセンブリ２３０を台座２２８から遠ざけることができる。こうして、回転装置２１０の研削／研磨アタッチメント２１２の切込み深さを必要に応じて調整し得る。

複数の実施形態では、図３及び図５に見られるように、ツール２００は、コレットアセンブリ２３０を台座２２８に結合するとともに、コレットアセンブリ２３０（及び取付けられた回転装置２１０）を台座２２８に向かって下方にバネ荷重するための１以上の付勢部材２５０を含んでいてもよい。１以上の付勢部材２５０は、コレットアセンブリ２３０の下部セクション２３４と台座２２８との間に取付けることができ、コレットアセンブリ２３０、回転装置２１０及び研削／研磨アタッチメント２１２に対して制御された（例えば一定の）下向きの圧力を与えるように構成し得る。

ツール２００は、たとえユニボディ部品１２６が真円でなくても、ツール２００がユニボディ部品１２６の輪郭に沿って移動（例えば係合しながら移動）できるようにするための１組以上のホイールを含むホイールアセンブリを含んでいてもよい。例えば、図３、図５及び図６に示すように、ツール２００は、ツール２００の台座２２８に回転可能に取付けられ、台座２２８の前方に延在する第１の組のホイール２７０を含んでいてもよい。第１の組のホイール２７０は、ユニボディ部品１２６の内面１３０上を転動するように構成された１以上のホイール２７０を含んでいてもよい。図３、図５及び図６には、台座２２８の前端部２７２の中央に取付けられた１個のホイール２７０が示してあるが、２以上のホイール２７０を設けてもよい。

ツール２００の台座２２８の後部２７６にバックプレート２７４を結合してもよい。複数の実施形態では、第２の組のホイール２８０を、台座２２８のバックプレート２７４に回転可能に取付けてもよい。第２の組のホイール２８０は、ユニボディ部品１２６のフランジ２０８の外縁２８２に対して転動するように構成された１以上のホイール２８０を含んでいてもよい。図５及び図６に最も明瞭に示してあるように、台座２２８のバックプレート２７４の両側に一対のホイール２８０を回転可能に取付けてもよいが、１個のホイール２８０又は３個以上のホイール２８０を設けてもよい。

第３の組のホイール２９０を台座２２８のバックプレート２７４に回転可能に取付けてもよい。第３の組のホイール２９０は、ユニボディ部品１２６のフランジ２０８の対向する上側及び下側に対して転動するように構成された１対以上のオフセットホイール２９０を含んでいてもよい。図５及び図６に最も明瞭に示してあるように、２対のホイール２９０を設けてもよいが、１対のホイール２９０又は３対以上のホイール２９０を用いてもよい。

フランジ２０８が存在しない場合、第２の組のホイール２８０は必要とされないこともある。さらに、そのような場合、台座２２８のバックプレート２７４に取付けられた１以上のホイール２９０が、ユニボディ部品１２６の内面１３０に対して転動するように設けてもよい。

複数の実施形態に従ってユニボディ部品１２６の内面１３０からＴＢＣ１２８を選択的に除去するための例示的なプロセスの流れ図を図７に示す。作業中のツール２００の対応する図を図８～図１２に示す。

プロセスＰ１において、ツール２００の回転装置２１０に研削ホイール２１４Ａを取付ける。プロセスＰ２において、ツール２００を、ユニボディ部品１２６（図８）の入口端１３２（図２）の位置に移動する。

ユニボディ部品１２６が内部フランジ２０８を含んでいると仮定すると、各ホイール２７０をユニボディ部品１２６の内面１３０に配置し、各ホイール２８０をフランジ２０８の外縁２８２に対して配置し、ホイール２９０の各対をフランジ２０８の上下に配置する。しかる後、プロセスＰ３において、図９に示すように、ハンドホイール２３６を緩めて回転装置２１０及び取付けられた研削ホイール２１４Ａをコレットアセンブリ２３０内の所望の位置に移動させ、ハンドホイール２３６を再度締め付けることによって、ツール２００の回転装置２１０及び付属研削ホイール２１４Ａの軸方向位置を修正／設定することができる。

図１０に示すように、プロセスＰ４において回転装置２１０に取付けられた研削ホイール２１４Ａによって（例えばＴＢＣ１２８の縁３０２からの最大軸方向距離Ｄで）ＴＢＣ１２８に最初の切込み３００を入れて、ＴＢＣ１２８の除去すべき部分の輪郭を刻む。ハンドホイール２４０及び取付けられたねじ付きシャフト２４２を必要に応じて操作して、研削ホイール２１４ＡをＴＢＣ１２８に対して移動させ、切削プロセス中に所望の切込み深さまで及びＴＢＣ１２８内に移動させる。

プロセスＰ５において、最初の切込み３００の後、回転装置２１０及び取付けられた研削ホイール２１４Ａの軸方向及び半径方向位置を上述の通り選択的に調整して、ＴＢＣ１２８に複数の追加の切込み３０４を作成して、ユニボディ部品１２６の内面１３０からＴＢＣの大部分（例えばＴＢＣ１２８の縁３０２から最初の切込み３００によって規定される最大軸方向距離Ｄまで）を除去することができる。必要に応じて、切り込み３００，３０４をボンドコート２０２内に延ばして、ボンドコート２０２の一部を除去してもよい。

プロセスＰ６において、回転装置２１０に取付けられた研削ホイール２１４Ａを研磨ホイール２１４Ｂ（例えばダイヤモンドフラップホイール）に交換して、残存ＴＢＣ１２８を除去するとともに、母材金属（例えばユニボディ１２６の内面１３０）及び必要に応じてボンドコート２０２の表面を研磨して平滑化してもよい。回転装置２１０及び取り付けられた研磨ホイール２１４Ｂの軸方向及び半径方向位置は、上述の通り選択的に調整することができる。

図４に関して既に説明した通り、ツール２００は、ツール２００がユニボディ部品１２６の輪郭に沿って容易に移動（例えば係合しながら移動）できるようにするため１組以上のホイール２７０，２８０，２９０を含んでいてもよい。こうして、ツール２００のオペレータは、研削／研磨作業を行いながら、ユニボディ部品１２６の周りにツール２００を案内することができる。これは、例えば、ユニボディ部品１２６の内周縁全体の周りにツール２００を移動させることによって最初の切込み３００を形成することを含んでいてもよい。しかる後、オペレータは、追加の切り込み３０４を行うとき及び研磨中に、ＴＢＣ１２８の別個の弓形セクションに焦点を合わせてもよい。或いは、オペレータは、追加の切り込み３０４を行いながら、ユニボディ部品１２６の内周縁全体を中心にツール２００を移動させてもよい。もちろん、他の手法も可能である。

図１３は、ＴＢＣ１２８（及びボンドコート２０２）ｆ又はＴＢＣ１２８の元の縁３０２（図１０）からの距離Ｄを完全に除去した後のユニボディ部品１２６の内面１３０を示す。ただし、場合によっては、この領域のＴＢＣ１２８をすべて除去する必要がない場合がある。代わりに、ＴＢＣ１２８は、回転装置２１０及びツール２００の研削ホイール２１４Ａの半径方向位置を調整して、様々な深さの切り込み３００，３０４を提供することによって、図１３のファントムに示すようにテーパ状に除去し得る。可能なプロファイルが図１３に示す。他のプロファイルも可能である。

本開示の実施形態は、ターボ機械の部品（例えばユニボディ部品）からＴＢＣを除去するのに必要なダウンタイムの量を大幅に削減することができる。従来、ユニボディ部品の内面からＴＢＣを除去するには、部品を修復又は製造現場に出荷し、そこでＴＢＣを除去する必要があり、多くの場合、数か月かかることがあった。有利には、実施形態に係るツール２００は、ターボ機械の現場での組み立て中にその場で使用され得、ダウンタイムを数ヶ月から数週間又は数日にさえ短縮する。

本明細書及び特許請求の範囲で用いる近似表現は、数量の修飾語であって、その数量が関係する基本機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動し得る数量を表すために適用される。したがって、「約」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されない。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。本明細書及び特許請求の範囲において、数値限定の範囲は互いに結合及び／又は交換可能であり、かかる範囲はその上下限で規定され、前後関係等から明らかでない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を包含する。範囲の特定の値に用いられる「約」は、上下限に適用され、その値を測定する機器の精度に依存する場合を除いて、記載された数値の±１０％を示すことがある。

以下の特許請求の範囲において機能的記載によって特定された構成要素の対応する構造、材料、行為及び均等物は、特許請求の範囲に具体的に記載された他の構成要素と組合せて機能を発揮する任意の構造、材料又は行為を包含する。本開示の記載は、例示及び説明を目的としたものであり、網羅的なものでもなければ、開示した形態に限定するものでもない。本開示の技術的範囲及び技術的思想から逸脱せずに、数多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。本開示の実施形態は、本開示の原理及び実用的用途の説明として最も適しかつ当業者が様々な実施形態に関する開示内容及び特定の用途に適した様々な修正について理解できるように、選択して記載したものである。

１２６ 部品
１２８ コーティング
１３０ 内面
２００ ツール
２１０ 回転装置
２１４Ａ 研削アタッチメント
２１４Ｂ 研磨アタッチメント
２２８ 台座
２３０ コレットアセンブリ
２３２ コレットアセンブリの上部セクション
２３４ コレットアセンブリの下部セクション
２３６ ハンドホイール
２３８ ねじ付きシャフト２３８
２４０ ハンドホイール
２４２ ねじ付きシャフト
２５０ 付勢部材
２７０ 第１のホイール
２８０ 第２の組のホイール
２９０ 第３の組のホイール
３００ 最初の切込み
３０２ ＴＢＣの縁
３０４ 追加の切込み

Claims (15)

1. 部品（１２６）の内面（１３０）からコーティングを除去するためのツール（２００）であって、
   回転装置（２１０）と、
   前記回転装置（２１０）に取付けられる研削アタッチメント（２１４Ａ）と、
   前記部品（１２６）の内面（１３０）のコーティング（１２８）の上方で前記回転装置（２１０）に結合した研削アタッチメント（２１４Ａ）の軸方向位置を設定し、かつ前記回転装置（２１０）に結合した研削アタッチメント（２１４Ａ）の半径方向位置であって前記部品（１２６）の内面（１３０）のコーティング（１２８）内への前記研削アタッチメント（２１４Ａ）の切込み深さを規定する半径方向位置を設定するように構成されたツールホルダと、
   前記部品（１２６）の内周縁の周りに前記ツールホルダを案内するため前記ツールホルダに結合したホイールアセンブリ（２７０，２８０，２９０）と
   を備えるツール（２００）。
2. 前記ツールホルダが、台座（２２８）と、前記回転装置（２１０）を固定するために前記台座（２２８）に結合したコレットアセンブリ（２３０）とをさらに備える、請求項１に記載のツール（２００）。
3. 前記コレットアセンブリ（２３０）を前記台座（２２８）に取付けるための１以上の付勢部材（２５０）をさらに備え、前記１以上の付勢部材（２５０）が、前記台座（２２８）に向かって前記コレットアセンブリ（２３０）をバネ荷重するように構成される、請求項２に記載のツール（２００）。
4. 前記コレットアセンブリ（２３０）が、
   上部セクション（２３２）と、
   下部セクション（２３４）と、
   前記コレットアセンブリ（２３０）の上部セクション（２３２）を前記コレットアセンブリ（２３０）の下部セクション（２３４）に向かって又は下部セクション（２３４）から離れるように選択的に移動させるために、ねじ付きシャフト（２３８）に結合したハンドホイール（２３６）と
   をさらに備える、請求項２に記載のツール（２００）。
5. 前記コレットアセンブリ（２３０）が、
   前記部品（１２６）の内面（１３０）のコーティング（１２８）内への前記研削アタッチメント（２１４Ａ）の切込み深さを設定するため、前記コレットアセンブリ（２３０）を台座（２２８）に向かって又は台座（２２８）から離れるように選択的に移動させるための、ねじ付きシャフト（２４２）に結合したハンドホイール（２４０）であって、ねじ付きシャフト（２４２）が、コレットアセンブリ（２３０）を貫通して台座（２２８）まで延在している、ねじ付きシャフト（２４２）に結合したハンドホイール（２４０）と、
   部品（１２６）の内面（１３０）のコーティング（１２８）内への研削アタッチメント（２１４Ａ）の最大切込み深さを設定するための深さリミッタ（２４４）と
   をさらに備える、請求項２に記載のツール（２００）。
6. 最初の切込み（３００）の軸方向位置が、前記部品（１２６）への最大軸方向距離を規定する、請求項１に記載のツール（２００）。
7. 前記部品（１２６）がガスタービンシステム（１００）の燃焼部品を含む、請求項１に記載のツール（２００）。
8. 前記燃焼部品がユニボディ部品（１２６）又はライナ（１２０）を含む、請求項６に記載のツール（２００）。
9. 前記燃焼部品（１２６）が、該燃焼部品（１２６）の内周縁の周りに延在するフランジ（２０８）を含んでおり、前記ツールホルダに結合したホイールアセンブリ（２７０，２８０，２９０）が、前記ツールホルダを前記フランジ（２０８）に沿って案内するように構成されている、請求項７に記載のツール（２００）。
10. 前記ホイールアセンブリ（２７０，２８０，２９０）が、
    前記燃焼部品（１２６）の内面（１３０）に係合させるために前記ツールホルダに回転可能に取付けられた１以上の第１のホイール（２７０）と、
    前記フランジ（２０８）の外縁（２８２）に係合させるために前記ツールホルダに回転可能に取付けられた１以上の第２のホイール（２８０）と、
    前記フランジ（２０８）の両側に係合させるために前記ツールホルダに回転可能に取付けられた１対以上の第３のホイール（２９０）と
    をさらに備える、請求項９に記載のツール（２００）。
11. 前記コーティングが遮熱コーティング（ＴＢＣ）（１２８）を含む、請求項１に記載のツール（２００）。
12. ガスタービンシステム（１００）の燃焼部品（１２６）の内面（１３０）から遮熱コーティング（ＴＢＣ）（１２８）を除去する方法であって、
    前記燃焼部品（１２６）の内部にツール（２００）を配置するステップであって、前記ツール（２００）が、回転装置（２１０）、前記回転装置（２１０）に取付けられる研削アタッチメント（２１４Ａ）、前記回転装置（２１０）に結合したツールホルダ、及び前記燃焼部品（１２６）の内周縁（１３０）の周りに前記ツール（２００）を案内するために前記ツールホルダに結合したホイールアセンブリ（２７０，２８０，２９０）を備える、ステップと、
    前記燃焼部品（１２６）の内部で前記回転装置（２１０）の研削アタッチメント（２１４Ａ）の初期軸方向位置を設定するステップと、
    前記ＴＢＣ（１２８）に最初の切込み（３００）を形成するために、前記燃焼部品（１２６）の内部で前記回転装置（２１０）の研削アタッチメント（２１４Ａ）の半径方向位置を設定するステップと、
    前記ＴＢＣ（１２８）に追加の切り込み（３０４）を形成するために、前記燃焼部品（１２６）の内部で前記回転装置（２１０）の研削アタッチメント（２１４Ａ）の軸方向位置及び半径方向位置を調整するステップと
    を含む方法。
13. 前記ＴＢＣ（１２８）に最初の切込み（３００）及び追加の切込み（３０４）を形成した後に、
    研磨アタッチメント（２１４Ｂ）を回転装置（２１０）に取付けるステップと、
    研磨アタッチメント（２１４Ｂ）を用いて追加のＴＢＣ（１２８）を除去するステップと
    をさらに含む、請求項１２に記載の方法。
14. 最初の切込み（３００）及び追加の切込み（３０４）を形成する際に、前記ツール（２００）を上記燃焼部品（１２６）の内周縁の周りで移動させるステップ
    をさらに含む、請求項１２に記載の方法。
15. 最初の切込み（３００）が、ＴＢＣ（１２８）の縁（３０２）からの最大軸方向距離を規定し、追加の切込み（３０４）が、最初の切込み（３００）とＴＢＣ（１２８）の縁（３０２）との間に形成される、請求項１２に記載の方法。

Images