JP2023048353A - 超音波診断装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】実質部の輝度を一様にすることができる補正ゲインを算出すること。【解決手段】実施形態の超音波診断装置は、生成部と、導出部と、算出部とを備える。生成部は、第1の解像度を有する超音波画像データに対して多重解像度解析を行うことにより、前記第1の解像度よりも低い第2の解像度を有する高周波成分画像データ及び低周波成分画像データを生成する。導出部は、前記高周波成分画像データから構造物に関する情報を導出する。算出部は、前記構造物に関する情報に基づいて、補正ゲインに対する前記低周波成分画像データにおける前記構造物を示す画素の輝度の寄与よりも、前記補正ゲインに対する前記低周波成分画像データにおける実質部を示す画素の輝度の寄与のほうが高くなるように、前記低周波成分画像データに基づいて前記補正ゲインを算出する。【選択図】図1
Description
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断装置及びプログラムに関する。
肝臓等の実質部(実質組織)全体の輝度が一様になるように輝度を自動的に調整する機能のニーズがある。このような機能を実現させるための方法の一つとして、超音波画像データに対して多重解像度解析を行って、入力画像データである超音波画像データの低周波成分画像データを算出し、低周波成分画像データ上で輝度が一様になるように輝度を補正し、その後、輝度が補正された低周波成分画像データの解像度を元の解像度(入力画像データの解像度)に戻す手法が提案されている。低周波成分画像データ上では、構造物の情報が失われているので、構造物の輝度を変更せずに、実質部の輝度のみを変更できる。
しかしながら、上記の方法では、高輝度な構造物(例えば、腹壁、横隔膜、血管壁等)の近傍の実質部で輝度の補正がかかりにくい場合がある。これは、そもそも、実質部の輝度が、目標輝度レベルになるように補正ゲインを算出したいが、実質部の近傍の高輝度な構造物の影響で、補正される対象の実質組織の輝度が正確に算出されないいためである。このように、上記の方法では、実質部の輝度を一様にすることができる補正ゲインを算出することができない場合がある。
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、実質部の輝度を一様にすることができる補正ゲインを算出することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
実施形態の超音波診断装置は、生成部と、導出部と、算出部とを備える。生成部は、第1の解像度を有する超音波画像データに対して多重解像度解析を行うことにより、前記第1の解像度よりも低い第2の解像度を有する高周波成分画像データ及び低周波成分画像データを生成する。導出部は、前記高周波成分画像データから構造物に関する情報を導出する。算出部は、前記構造物に関する情報に基づいて、補正ゲインに対する前記低周波成分画像データにおける前記構造物を示す画素の輝度の寄与よりも、前記補正ゲインに対する前記低周波成分画像データにおける実質部を示す画素の輝度の寄与のほうが高くなるように、前記低周波成分画像データに基づいて前記補正ゲインを算出する。
以下、図面を参照しながら、超音波診断装置及びプログラムの各実施形態及び各変形例について詳細に説明する。なお、実施形態は、内容に矛盾が生じない範囲で従来技術、他の実施形態又は他の変形例との組み合わせが可能である。同様に、変形例は、内容に矛盾が生じない範囲で従来技術、他の実施形態又は他の変形例との組み合わせが可能である。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する場合がある。
(実施形態)
図1は、実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に例示するように、実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103とを有する。
図1は、実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に例示するように、実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103とを有する。
超音波プローブ101は、例えば、複数の素子(圧電振動子、圧電素子)を有する。これら複数の素子は、装置本体100が有する送受信回路110の送信回路111から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。具体的には、複数の素子は、送信回路111により電圧(送信駆動電圧)が印可されることにより送信駆動電圧に応じた波形の超音波を発生する。駆動信号が示す送信駆動電圧の波形が、複数の素子に印可される電圧の波形である。すなわち、超音波プローブ101は、印可された送信駆動電圧の大きさに応じた超音波を送信する。また、超音波プローブ101は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号である受信信号(反射波信号)に変換し、受信信号を装置本体100に出力する。また、超音波プローブ101は、例えば、素子に設けられる整合層と、素子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波として超音波プローブ101が有する複数の素子にて受信される。受信される反射波の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。そして、超音波プローブ101は、受信信号を後述する送受信回路110の受信回路112に出力する。
超音波プローブ101は、装置本体100と着脱可能に設けられる。被検体P内の2次元領域の走査(2次元走査)を行なう場合、操作者は、例えば、複数の素子が一列で配置された1Dアレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100に接続する。1Dアレイプローブの種類としては、リニア型超音波プローブ、コンベックス型超音波プローブ、セクタ型超音波プローブ等が挙げられる。また、被検体P内の3次元領域の走査(3次元走査)を行なう場合、操作者は、例えば、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100と接続する。メカニカル4Dプローブは、1Dアレイプローブのように一列で配列された複数の素子を用いて2次元走査が可能であるとともに、複数の素子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで3次元走査が可能である。また、2Dアレイプローブは、マトリックス状に配置された複数の素子により3次元走査が可能であるとともに、超音波を集束して送信することで2次元走査が可能である。
入力装置102は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等の入力手段により実現される。入力装置102は、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体100に転送する。
ディスプレイ103は、例えば、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データに基づく超音波画像等を表示したりする。ディスプレイ103は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ等によって実現される。
装置本体100は、超音波プローブ101から送信された受信信号に基づいて超音波画像データを生成する。なお、超音波画像データは、画像データの一例である。装置本体100は、超音波プローブ101から送信された被検体Pの2次元領域に対応する受信信号に基づいて2次元の超音波画像データを生成可能である。また、装置本体100は、超音波プローブ101から送信された被検体Pの3次元領域に対応する受信信号に基づいて3次元の超音波画像データを生成可能である。図1に示すように、装置本体100は、送受信回路110と、バッファメモリ120と、信号処理回路130と、画像生成回路140と、画像メモリ150と、記憶回路160と、処理回路170とを有する。
送受信回路110は、処理回路170の制御機能170fによる制御を受けて、超音波プローブ101から超音波を送信させるとともに、超音波プローブ101に超音波の反射波を受信させる。すなわち、送受信回路110は、超音波プローブ101を介して走査を実行する。なお、走査は、スキャン、超音波スキャン又は超音波走査とも称される。送受信回路110は、送受信部の一例である。送受信回路110は、送信回路111と受信回路112とを有する。送信回路111は送信部の一例であり、受信回路112は受信部の一例である。
送信回路111は、制御機能170fによる制御を受けて、超音波プローブ101から超音波を送信させる。送信回路111は、レートパルサ発生回路と、送信遅延回路と、送信パルサとを有する。送信回路111は、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。送信回路111は、被検体P内の2次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から2次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。また、送信回路111は、被検体P内の3次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から3次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。
レートパルサ発生回路は、制御機能170fによる制御を受けて、所定のレート周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波(送信ビーム)を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。レートパルスが送信遅延回路を経由することで、異なる送信遅延時間を有した状態で送信パルサに電圧が印加される。例えば、送信遅延回路は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な素子ごとの送信遅延時間を、レートパルサ発生回路により発生される各レートパルスに対して与える。送信パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を供給する。すなわち、送信パルサは、かかるレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号が示す波形の電圧(送信駆動電圧)を印可する。なお、送信遅延回路は、各レートパルスに与える送信遅延時間を変化させることで、素子面からの超音波の送信方向を任意に調整する。
駆動パルスは、送信パルサからケーブルを介して超音波プローブ101内の素子まで伝達した後に、素子において電気信号から機械的振動に変換される。すなわち、素子に電圧が印可されることによって、素子は機械的に振動する。この機械的振動によって発生した超音波は、生体内部(被検体Pの内部)に送信される。ここで、素子ごとに異なる送信遅延時間を持った超音波は、集束されて、所定方向に伝搬していく。
なお、送信回路111は、制御機能170fによる制御を受けて、所定の走査シーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有する。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間に送信駆動電圧の値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
超音波プローブ101により送信された超音波の反射波は、超音波プローブ101内部の素子まで到達した後、素子において、機械的振動から電気的信号(受信信号)に変換され、受信信号が受信回路112に入力される。受信回路112は、プリアンプと、A/D(Analog to Digital)変換器と、直交検波回路等を有し、超音波プローブ101から送信された反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データ(受信データ)を生成する。そして、受信回路112は、生成した反射波データをバッファメモリ120に格納する。
プリアンプは、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン調整(ゲイン補正)を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換することでゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。直交検波回路は、デジタル信号に変換された反射波信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。そして、直交検波回路は、I信号及びQ信号(IQ信号)を反射波データとしてバッファメモリ120に格納する。
受信回路112は、超音波プローブ101から送信された2次元の反射波信号から2次元の反射波データを生成する。また、受信回路112は、超音波プローブ101から送信された3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
本実施形態では、超音波診断装置1は、リアルタイムで各種の処理を行う。例えば、超音波プローブ101は、1フレーム分の反射波信号を次々に受信回路112に送信する。受信回路112は、超音波プローブ101から送信された1フレーム分の反射波信号を受信するたびに、1フレーム分の反射波信号から1フレーム分の反射波データを生成する。受信回路112は、1フレーム分の反射波データを生成するたびに、1フレーム分の反射波データをバッファメモリ120に格納する。
バッファメモリ120は、送受信回路110により生成された反射波データを一時的に記憶するメモリである。例えば、バッファメモリ120は、所定数のフレーム分の反射波データを記憶することが可能なように構成されている。そして、バッファメモリ120は、所定数のフレーム分の反射波データを記憶している状態で、新たに1フレーム分の反射波データが受信回路112により生成された場合、受信回路112による制御を受けて、生成された時間が最も古い1フレーム分の反射波データを破棄し、新たに生成された1フレーム分の反射波データを記憶する。例えば、バッファメモリ120は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子によって実現される。
信号処理回路130は、バッファメモリ120から反射波データを読み出し、読み出された反射波データに対して各種の信号処理を施し、各種の信号処理が施された反射波データをBモードデータ又はドプラデータとして画像生成回路140に出力する。信号処理回路130は、例えば、プロセッサにより実現される。信号処理回路130は、信号処理部の一例である。
超音波診断装置1がリアルタイムで各種の処理を行うために、信号処理回路130は、以下の処理を行う。例えば、信号処理回路130は、バッファメモリ120に、新たに1フレーム分の反射波データが格納される度に、新たにバッファメモリ120に格納された1フレーム分の反射波データを読み出す。そして、信号処理回路130は、読み出された1フレーム分の反射波データに対して各種の信号処理を施すことにより、新たに1フレーム分のBモードデータ又はドプラデータを生成する。そして、信号処理回路130は、1フレーム分のBモードデータ又はドプラデータを生成する度に、新たに生成された1フレーム分のBモードデータ又はドプラデータを画像生成回路140に出力する。以下、信号処理回路130実行する各種の信号処理の一例を説明する。
例えば、信号処理回路130は、バッファメモリ120から読み出した反射波データに対して、直交検波し、対数増幅及び包絡線検波処理等を施して、サンプル点ごとの信号強度(振幅強度)が輝度の明るさで表現されるBモードデータを生成する。そして、信号処理回路130は、生成したBモードデータを画像生成回路140に出力する。
また、信号処理回路130は、バッファメモリ120から読み出した反射波データを周波数解析することで、ドプラ効果に基づく移動体(血流や組織、造影剤エコー成分等)の運動情報を反射波データから抽出し、抽出した運動情報を示すドプラデータを生成する。例えば、信号処理回路130は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値及び平均パワー値等を多点に渡り抽出し、抽出した移動体の運動情報を示すドプラデータを生成する。そして、信号処理回路130は、生成したドプラデータを画像生成回路140に出力する。
上記の信号処理回路130の機能を用いて、超音波診断装置1は、カラーフローマッピング(CFM:Color Flow Mapping)法とも呼ばれるカラードプラ法を実行可能である。カラーフローマッピング法では、超音波の送受信が複数の走査線上で複数回行なわれる。そして、カラーフローマッピング法では、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、同一位置のデータ列から、静止している組織、或いは、動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制して、血流に由来する信号(血流信号)を抽出する。そして、カラーフローマッピング法では、この血流信号から血流の速度、血流の分散、血流のパワー等の血流情報を推定する。信号処理回路130は、カラーフローマッピング法により推定された血流情報を示すカラー画像データを画像生成回路140に出力する。なお、カラー画像データは、ドプラデータの一例である。
信号処理回路130は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方の反射波データを処理可能である。
画像生成回路140は、信号処理回路130から出力されたBモードデータ又はドプラデータから超音波画像データを生成する。画像生成回路140は、プロセッサにより実現される。
超音波診断装置1がリアルタイムで各種の処理を行うために、画像生成回路140は、以下の処理を行う。例えば、画像生成回路140は、信号処理回路130から出力された1フレーム分のデータ(Bモードデータ又はドプラデータ)を受信する度に、1フレーム分のデータから1フレーム分の超音波画像データを生成する。そして、画像生成回路140は、1フレーム分の超音波画像データを生成するたびに、1フレーム分の超音波画像データを画像メモリ150に格納する。
例えば、画像生成回路140は、信号処理回路130が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、信号処理回路130が生成した2次元のドプラデータから運動情報又は血流情報が映像化された2次元ドプラ画像データを生成する。なお、運動情報が映像化された2次元ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。
ここで、画像生成回路140は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(走査コンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路140は、信号処理回路130から出力されたデータに対して、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路140は、走査コンバート以外に種々の画像処理として、例えば、走査コンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成回路140は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
更に、画像生成回路140は、信号処理回路130により生成された3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、信号処理回路130により生成された3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成回路140は、「3次元のBモード画像データ及び3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。そして、画像生成回路140は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対して様々なレンダリング処理を行なう。
画像生成回路140が行なうレンダリング処理としては、例えば、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を用いてボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成回路140が行なうレンダリング処理としては、例えば、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。画像生成回路140は、画像生成部の一例である。
Bモードデータ及びドプラデータは、走査コンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路140が生成するデータは、走査コンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
画像メモリ150は、画像生成回路140により生成された各種の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ150は、信号処理回路130により生成されたデータも記憶する。画像メモリ150が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路140を経由して表示用の超音波画像データとなる。例えば、画像メモリ150は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
記憶回路160は、走査(超音波の送受信)、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路160は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶するデータの保管等にも使用される。例えば、記憶回路160は、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
処理回路170は、各種の処理を実行する。処理回路170は、解像度変調機能170aと、構造物特定機能170bと、補正ゲイン算出機能170cと、ゲイン補正機能170dと、解像度復調機能170eと、制御機能170fとを備える。解像度変調機能170aは、生成部の一例である。構造物特定機能170bは、導出部の一例である。補正ゲイン算出機能170cは、算出部の一例である。ゲイン補正機能170dは、ゲイン補正部の一例である。解像度復調機能170eは、生成部の一例である。制御機能170fは、制御部及び表示制御部の一例である。
ここで、例えば、図1に示す処理回路170の構成要素である解像度変調機能170a、構造物特定機能170b、補正ゲイン算出機能170c、ゲイン補正機能170d、解像度復調機能170e及び制御機能170fの各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路160に記憶されている。処理回路170は、各プログラムを記憶回路160から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路170は、図1の処理回路170内に示された各機能を有することとなる。
上述した複数の処理機能のうち制御機能170fは、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、制御機能170fは、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路160から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送信回路111、受信回路112、信号処理回路130、画像生成回路140及び処理回路170の各処理機能の処理を制御する。また、制御機能170fは、画像メモリ150に記憶された表示用の超音波画像データに基づく超音波画像を表示するようにディスプレイ103を制御する。例えば、制御機能170fは、Bモード画像データに基づくBモード画像又はカラー画像データに基づくカラー画像を表示するようにディスプレイ103を制御する。また、制御機能170fは、Bモード画像にカラー画像を重畳させて表示するようにディスプレイ103を制御する。
例えば、超音波診断装置1がリアルタイムで処理を行うために、制御機能170fは、画像生成回路140により1フレーム分の超音波画像データが画像メモリ150に格納されるたびに、1フレーム分の超音波画像データを画像メモリ150から取得する。そして、制御機能170fは、1フレーム分の超音波画像データを画像メモリ150から取得するたびに、1フレーム分の超音波画像データに基づく超音波画像をディスプレイ103に表示させる。このため、超音波プローブ101が反射波信号を出力してから、ディスプレイ103が超音波画像を表示するまでの一連の処理がリアルタイムで実行される。
処理回路170は、例えば、プロセッサにより実現される。超音波画像は、画像の一例である。
また、制御機能170fは、送受信回路110を介して超音波プローブ101を制御することで、超音波走査の制御を行なう。
なお、説明において用いられる「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、若しくは、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路160に保存されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することで機能を実現する。なお、記憶回路160にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、図1における複数の回路(例えば、信号処理回路130、画像生成回路140及び処理回路170)を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。すなわち、信号処理回路130、画像生成回路140及び処理回路170は、プロセッサにより実現される1つの処理回路に統合されてもよい。
以上、実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成について説明した。本実施形態によれば、超音波診断装置1は、実質部の輝度を一様にすることができる補正ゲインを算出することができるように、以下に説明する各種の処理を実行する。
図2は、実施形態に係る解像度変調機能170aが実行する処理の一例を説明するための図である。例えば、解像度変調機能170aは、画像生成回路140により1フレーム分の図2に示す超音波画像データ11が画像メモリ150に格納されるたびに、新たに格納された1フレーム分の超音波画像データ11を画像メモリ150から取得する。
そして、処理回路170は、画像メモリ150から1フレーム分の超音波画像データ11が取得されるたびに、取得された1フレーム分の超音波画像データ11に対して以下に説明する処理をリアルタイムで実行する。
例えば、解像度変調機能170aは、超音波画像データ11に対して多重解像度解析を行うことにより、多層の低周波成分画像データ12,14及び高周波成分画像データ13,15を生成する。このように、低周波成分画像データ12,14及び高周波成分画像データ13,15は、多重解像度解析の過程で得られる画像データである。多重解像度解析には、ガウシアンピラミッド又は離散ウェーブレット変換等が用いられる。図2に示す例では、2層(2階層)のガウシアンピラミッド又は離散ウェーブレット変換等が行われる。以下、ガウシアンピラミッドが行われる場合について説明するが、離散ウェーブレット変換等の他の方法が用いられて多重解像度解析が行われてもよい。
解像度変調機能170aは、超音波画像データ11を、ガウシアンピラミッドにより高周波成分を示す高周波成分画像データ13,15と、低周波成分を示す低周波成分画像データ12,14とに分解する。図2に示す例では、階層数が2であるため、ガウシアンピラミッドが2回繰り返される場合が示されている。ガウシアンピラミッドが行われるたびに、各方向の画素の数が半分になる。すなわち、ダウンサンプリングされる。
ここで、超音波画像データ11、低周波成分画像データ12,14及び高周波成分画像データ13,15は、2次元の画像データである。具体的には、超音波画像データ11は、行方向(例えば、画像空間におけるx軸方向)に1024個の画素が並び、行方向と直交する列方向(例えば、画像空間におけるx軸方向に直交するy軸方向)に1024個の画素が並ぶ画像データである。このように、超音波画像データ11は、1024×1024個の画素により構成される画像データである。ただし、超音波画像データ11は、N(Nは1024以外の2以上の整数)×N個の画素により構成されてもよい。以下の説明では、「a×b個の画素」は、行方向にa個の画素が並び、列方向にb個の画素が並ぶことを意味する。
低周波成分画像データ12及び高周波成分画像データ13は、超音波画像データ11をダウンサンプリングすることにより得られる画像データである。具体的には、低周波成分画像データ12及び高周波成分画像データ13は、行方向に512個の画素が並び、列方向に512個の画素が並ぶ画像データである。このように、低周波成分画像データ12及び高周波成分画像データ13は、512×512個の画素により構成される画像データである。
低周波成分画像データ14及び高周波成分画像データ15は、低周波成分画像データ12をダウンサンプリングすることにより得られる画像データである。具体的には、低周波成分画像データ14及び高周波成分画像データ15は、行方向に256個の画素が並び、列方向に256個の画素が並ぶ画像データである。このように、低周波成分画像データ14及び高周波成分画像データ15は、256×256個の画素により構成される画像データである。
したがって、低周波成分画像データ12及び高周波成分画像データ13が有する解像度は、超音波画像データ11が有する解像度よりも低い。また、低周波成分画像データ14及び高周波成分画像データ15が有する解像度は、低周波成分画像データ12及び高周波成分画像データ13が有する解像度よりも低い。超音波画像データ11が有する解像度は、第1の解像度の一例である。低周波成分画像データ14及び高周波成分画像データ15が有する解像度は、第2の解像度の一例である。
上述したように、解像度変調機能170aは、超音波画像データ11に対して多重解像度解析を行うことにより、超音波画像データ11が有する解像度よりも低い解像度を有する高周波成分画像データ15及び低周波成分画像データ14を生成する。
そして、構造物特定機能170bは、最も下の階層(最下層)の高周波成分画像データ15において構造物の画素を特定する。具体的には、構造物特定機能170bは、構造物を示す画素の位置を特定する。ここで、構造物は、例えば、腹壁、横隔膜及び血管等である。構造物を示す画素は、比較的高い輝度(画素値)を有する。
構造物特定機能170bは、高周波成分画像データ15を構成する複数の画素のうち、閾値以上の輝度を有する画素を、構造物の画素として特定する。ここで、本実施形態では、構造物特定機能170bは、構造物の画素を特定する際に用いられる閾値を適応的に決定する。
図3は、実施形態に係る構造物特定機能170bが実行する処理の一例を説明するための図である。図3には、高周波成分画像データ15を構成する複数の画素の複数の輝度値の統計分布の一例が示されている。例えば、図3には、統計分布として、横軸を輝度とし、縦軸を画素の数とするヒストグラムが示されている。
例えば、図3の例において、実質部を示す複数の画素の複数の輝度の分布20は、所定のピークを有する正規分布に類似した分布となる。すなわち、実質部を示す複数の画素の複数の輝度は、分布20のピークに対応する輝度20aを中心とする一定の幅を有する輝度の範囲内に略収まる。実質部は、例えば、肝臓等の部位である。
そして、構造物を示す複数の画素の複数の輝度の分布21は、分布20から輝度が高い方に存在する。そこで、構造物特定機能170bは、構造物を特定する際に用いられる閾値22を、分布20と分布21との間に設定する。すなわち、構造物特定機能170bは、分布20と分布21との間の輝度を閾値22として決定する。なお、構造物特定機能170bは、予め定められた閾値を閾値22として決定してもよい。
そして、構造物特定機能170bは、高周波成分画像データ15を構成する複数の画素のうち、閾値22以上の輝度を有する画素を、構造物の画素として特定する。このように、構造物特定機能170bは、高周波成分画像データ15から構造物に関する情報として構造物を示す画素(構造物の画素の位置)を導出する。
上述したように、構造物特定機能170bは、高周波成分画像データ15を構成する複数の画素の複数の輝度の統計分布に基づいて、構造物を示す画素を導出する。また、上述したように、構造物特定機能170bは、高周波成分画像データ15を構成する複数の画素の複数の輝度の統計分布に基づいて、構造物を示す画素を導出するための閾値22を決定し、閾値22に基づいて、構造物を示す画素を導出する。
そして、補正ゲイン算出機能170cは、低周波成分画像データ14において、高周波成分画像データ15において特定された構造物の画素の位置と同一の位置の画素を特定する。また、補正ゲイン算出機能170cは、低周波成分画像データ14を複数の小領域に分割する。
そして、補正ゲイン算出機能170cは、小領域毎に、低周波成分画像データ14において特定された画素以外の画素の輝度の平均値を算出する。ここで、低周波成分画像データ14において特定された画素以外の画素は、実質部を示す画素と考えられる。すなわち、補正ゲイン算出機能170cは、小領域毎に、小領域を構成する複数の画素のうち構造物を示す画素を除く実質部を構成する複数の画素の複数の輝度の平均値を算出する。
そして、補正ゲイン算出機能170cは、小領域毎に、算出された輝度の平均値を用いて、補正ゲインを算出する。例えば、補正ゲイン算出機能170cは、小領域毎に、所定の目標輝度と、算出された輝度の平均値との差を、補正ゲインとして算出する。図4Aは、実施形態に係る補正ゲイン算出機能170cが補正ゲインを算出する方法の一例を説明するための図である。例えば、図4Aに示すように、補正ゲイン算出機能170cは、ある小領域において、目標輝度25から輝度の平均値30aを減じた値31aを補正ゲイン31aとして算出する。また、補正ゲイン算出機能170cは、他の小領域において、目標輝度25から輝度の平均値30bを減じた値31bを補正ゲイン31bとして算出する。また、補正ゲイン算出機能170cは、更に他の小領域において、目標輝度25から輝度の平均値30cを減じた値31cを補正ゲイン31cとして算出する。以下の説明では、上述したある小領域を「第1の小領域」と称し、他の小領域を「第2の小領域」と称し、更に他の小領域を「第3の小領域」と称する。
上述したように、補正ゲイン算出機能170cは、低周波成分画像データ14を複数の小領域に分割し、小領域毎に、小領域から構造物を示す画素を除く領域を実質部とする。そして、補正ゲイン算出機能170cは、小領域毎に、実質部の輝度の平均値を算出し、算出された輝度の平均値と目標輝度25とに基づいて補正ゲインを算出する。小領域は領域の一例である。
また、補正ゲイン算出機能170cは、複数の小領域のうち、全画素の数に対する構造物を示す画素の割合が閾値以上となる小領域を特定してもよい。そして、補正ゲイン算出機能170cは、特定された小領域についての補正ゲインを、特定された小領域の周囲の小領域について算出された補正ゲインを用いて補完することにより算出してもよい。ここで、特定された小領域の周囲の小領域とは、例えば、特定された小領域に隣接する1つ以上の小領域である。
また、補正ゲイン算出機能170cは、別の方法により小領域毎に補正ゲインを算出してもよい。図4Bは、実施形態に係る補正ゲイン算出機能170cが補正ゲインを算出する他の方法の一例を説明するための図である。
例えば、補正ゲイン算出機能170cは、x軸、y軸及びz軸が互いに直交する3次元の直交座標系を定義する。上述した行方向がx軸方向であり、上述した列方向がy軸方向である。この場合、低周波成分画像データ14は、z=0を通るxy平面において、x軸方向に256個の画素が並び、y軸方向に256個の画素が並ぶ画像データである。
そして、z軸は、補正ゲインを示す。上記の直交座標系において、第1の小領域の中心のx軸方向の位置がx1であり、y軸方向の位置がy1である場合、第1の小領域の位置は(x1,y1,0)で表される。そして、第1の小領域において、図4Aに示すように、目標輝度25から輝度の平均値30aを減じた値31aが算出された場合、補正ゲイン算出機能170cは、(x1,y1,z1)の位置に点をプロットする。ただし、z1は、目標輝度25から輝度の平均値30aを減じた値31aである。
また、第2の小領域の中心の位置が(x2,y2,0)で表され、第2の小領域において、図4Aに示すように、目標輝度25から輝度の平均値30bを減じた値31bが算出された場合、補正ゲイン算出機能170cは、(x2,y2,z2)の位置に点をプロットする。ただし、z2は、目標輝度25から輝度の平均値30bを減じた値31bである。
また、第3の小領域の中心の位置が(x3,y3,0)で表され、第3の小領域において、図4Aに示すように、目標輝度25から輝度の平均値30cを減じた値31cが算出された場合、補正ゲイン算出機能170cは、(x3,y3,z3)の位置に点をプロットする。ただし、z3は、目標輝度25から輝度の平均値30cを減じた値31cである。
補正ゲイン算出機能170cは、上述したような処理を全ての小領域について行う。そして、補正ゲイン算出機能170cは、3次元の直交座標系においてプロットされた全ての点に対して回帰分析を行い、図4Bに示す近似曲面35cを生成する。なお、図4Bにおいて図示の簡略化のため符号「35c」が示すものは、直線となっているが、実際は近似曲面である。また、図4Bにおいて符号「33」は、z=0を通るxy平面を指す。
そして、補正ゲイン算出機能170cは、第1の小領域についての補正ゲインを算出する場合には、近似曲面においてx軸の値がx1であり、y軸の値がy1である点のz軸の値を補正ゲインとして算出する。補正ゲイン算出機能170cは、他の小領域についても同様の処理を行って、補正ゲインを算出する。
上述したように、補正ゲイン算出機能170cは、構造物を示す画素に基づいて、補正ゲインに対する低周波成分画像データ14における構造物を示す画素の輝度の寄与よりも、補正ゲインに対する低周波成分画像データ14における実質部を示す画素の輝度の寄与のほうが高くなるように、低周波成分画像データ14に基づいて補正ゲインを算出する。
このように、補正ゲイン算出機能170cは、構造物を示す画素の輝度の寄与よりも、実質部を示す画素の輝度の寄与のほうが高くなるように、補正ゲインを算出する。よって、本実施形態によれば、実質部の輝度を一様にすることができる補正ゲインを算出することができる。
具体的には、例えば、補正ゲイン算出機能170cは、低周波成分画像データ14において、構造物特定機能170bにより特定された構造物を示す画素に対応する画素を除く複数の画素により構成される領域を実質部とする。そして、補正ゲイン算出機能170cは、実質部の輝度に基づいて補正ゲインを算出する。
ゲイン補正機能170dは、補正ゲイン算出機能170cにより算出された補正ゲインを用いて、低周波成分画像データ14に対してゲイン補正をかける。例えば、ゲイン補正機能170dは、小領域毎に、小領域に対応する補正ゲインを用いて小領域に対してゲイン補正をかけることにより、ゲイン補正後の低周波成分画像データ14a(図5参照)を生成する。
本実施形態では、構造物を示す画素の輝度の寄与よりも、実質部を示す画素の輝度の寄与のほうが高くなるように補正ゲインが算出される。そして、本実施形態では、このような実質部の輝度を一様にすることができる補正ゲインが用いられて、低周波成分画像データ14に対してゲイン補正がかけられる。したがって、ゲイン補正後の低周波成分画像データ14aでは、実質部の輝度が一様となる。
解像度復調機能170eは、ゲイン補正後の低周波成分画像データ14aから、超音波画像データ11の解像度と同一の解像度を有する超音波画像データ11a(図5参照)を生成する。図5は、実施形態に係る解像度復調機能170eが実行する処理の一例を説明するための図である。
解像度復調機能170eは、図5に示す256×256個の画素により構成されるゲイン補正後の低周波成分画像データ14aを、512×512個の画素により構成される画像データIM1にアップサンプリングする。また、解像度復調機能170eは、図5に示す256×256個の画素により構成される高周波成分画像データ15を、512×512個の画素により構成される画像データIM2にアップサンプリングする。そして、解像度復調機能170eは、画像データIM1と画像データIM2を合成することにより、図5に示す512×512個の画素により構成される画像データである低周波成分画像データ12aを生成する。
そして、解像度復調機能170eは、低周波成分画像データ12aを、1024×1024個の画素により構成される画像データIM3にアップサンプリングする。また、解像度復調機能170eは、図5に示す512×512個の画素により構成される高周波成分画像データ13を、1024×1024個の画素により構成される画像データIM4にアップサンプリングする。そして、解像度復調機能170eは、画像データIM3と画像データIM4を合成することにより、図5に示す1024×1024個の画素により構成される画像データである超音波画像データ11aを生成する。
そして、制御機能170fは、超音波画像データ11aに基づく超音波画像をディスプレイ103に表示させる。
図6は、実施形態に係る超音波診断装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6に示す処理は、画像生成回路140により1フレーム分の図2に示す超音波画像データ11が画像メモリ150に格納されると実行される。すなわち、1フレーム分の図2に示す超音波画像データ11が画像メモリ150に格納される度に、図6に示す処理が実行される。このため、図6に示す処理は、リアルタイムで実行される。
図6に示すように、解像度変調機能170aは、超音波画像データ11を画像メモリ150から取得する(ステップS101)。そして、解像度変調機能170aは、超音波画像データ11に対して多重解像度解析を行うことにより、多層の低周波成分画像データ12,14及び高周波成分画像データ13,15を生成する(ステップS102)。
そして、構造物特定機能170bは、高周波成分画像データ15において構造物を示す画素(構造物を示す画素の位置)を特定する(ステップS103)。
そして、補正ゲイン算出機能170cは、小領域毎に、低周波成分画像データ14において特定された画素以外の画素の輝度の平均値を算出する(ステップS104)。
そして、補正ゲイン算出機能170cは、小領域毎に、算出された輝度の平均値を用いて、補正ゲインを算出する(ステップS105)。
そして、ゲイン補正機能170dは、小領域毎に、小領域に対応する補正ゲインを用いて小領域に対してゲイン補正をかけることにより、ゲイン補正後の低周波成分画像データ14aを生成する(ステップS106)。
解像度復調機能170eは、ゲイン補正後の低周波成分画像データ14aから、超音波画像データ11の解像度と同一の解像度を有する超音波画像データ11aを生成する(ステップS107)。
そして、制御機能170fは、超音波画像データ11aに基づく超音波画像をディスプレイ103に表示させ(ステップS108)、図6に示す処理を終了する。
図7は、従来の超音波診断装置により生成された超音波画像データに基づく超音波画像50の一例を示す図である。図8は、実施形態に係る超音波診断装置1により生成された超音波画像データに基づく超音波画像60の一例を示す図である。
図7に示す超音波画像50では、楕円の枠50c内に示されるように、構造物50aの近傍の実質部50bの領域は、補正ゲインが十分にかかっていない。このため、構造物50aの近傍の実質部50bの領域の輝度は、実質部50bの他の領域の輝度と比べて低い。これは、構造物50aの輝度が比較的高いため、構造物50aの近傍の実質部50bの領域に対応する補正ゲインが比較的小さくなってしまうからである。
一方、図8に示す超音波画像60では、楕円の枠60c内に示されるように、構造物60aの近傍の実質部60bの領域は、補正ゲインが十分にかかっている。このため、構造物60aの近傍の実質部60bの領域の輝度は、実質部60bの他の領域の輝度と同様の輝度である。これは、実施形態に係る超音波診断装置1は、構造物を示す画素の輝度の寄与よりも、実質部を示す画素の輝度の寄与のほうが高くなるように、補正ゲインを算出しているからである。このように、超音波診断装置1は、実質部の輝度が一様となるように超音波画像データを補正することができる。したがって、超音波診断装置1は、医師等のユーザにとって実質部の状態を把握しやすい超音波画像データを生成することができる。この結果、超音波診断装置1は、ユーザによる診断の信頼性を向上させることができる。
(実施形態の各種の変形例)
以下、実施形態の各種の変形例について説明する。例えば、上述した実施形態では、補正ゲイン算出機能170cは、小領域毎に、実質部の輝度の平均値を算出し、算出された輝度の平均値と目標輝度25とに基づいて補正ゲインを算出する場合について説明した。しかしながら、補正ゲイン算出機能170cは、画素毎に、実質部の輝度と目標輝度25とに基づいて補正ゲインを算出してもよい。なお、画素が構造物を示す画素である場合には、この画素の輝度を、周囲の画素の輝度を用いて補完してもよい。具体的には、補正ゲイン算出機能170cは、実質部を構成する複数の画素のそれぞれの輝度と目標輝度25とに基づいて、画素毎に補正ゲインを算出する。
以下、実施形態の各種の変形例について説明する。例えば、上述した実施形態では、補正ゲイン算出機能170cは、小領域毎に、実質部の輝度の平均値を算出し、算出された輝度の平均値と目標輝度25とに基づいて補正ゲインを算出する場合について説明した。しかしながら、補正ゲイン算出機能170cは、画素毎に、実質部の輝度と目標輝度25とに基づいて補正ゲインを算出してもよい。なお、画素が構造物を示す画素である場合には、この画素の輝度を、周囲の画素の輝度を用いて補完してもよい。具体的には、補正ゲイン算出機能170cは、実質部を構成する複数の画素のそれぞれの輝度と目標輝度25とに基づいて、画素毎に補正ゲインを算出する。
また、構造物特定機能170bは、構造物を示す画素を特定することに代えて、構造物らしさを示す値を導出してもよい。例えば、構造物特定機能170bは、高周波成分画像データ15を構成する全ての画素について、画素毎に構造物らしさを示す値を導出してもよい。そして、補正ゲイン算出機能170cは、構造物らしさを示す値を用いて補正ゲインを算出してもよい。以下、具体例について説明する。
例えば、構造物らしさを示す値は、大きくなるほど、構造物である可能性が高くなることを示す。例えば、構造物らしさを示す値が比較的高い画素は、構造物を示す画素である可能性が比較的高い。
先の図3を参照して、構造物特定機能170bが構造物らしさを示す値を導出する方法の一例について説明する。例えば、構造物特定機能170bは、画素の輝度が分布20内の輝度である場合、この画素に対応する構造物らしさを示す値に、比較的小さな値(例えば0)を設定する。
また、構造物特定機能170bは、画素の輝度が分布20よりも大きい画素については、分布20の所定の輝度(例えば、輝度20a)と、この画素の輝度との差が大きくなるほど、構造物を示す値が大きくなるように、構造物らしさを示す値を設定する。
上述したように、構造物特定機能170bは、高周波成分画像データ15を構成する複数の画素のそれぞれについて、構造物に関する情報として構造物らしさを示す値を導出する。
そして、補正ゲイン算出機能170cは、まず、高周波成分画像データ15を構成する複数の画素のそれぞれについて導出された構造物らしさを示す値を、低周波成分画像データ14を構成する複数の画素のそれぞれに設定する。なお、補正ゲイン算出機能170cは、高周波成分画像データ15を構成する複数の画素のそれぞれに対応する、低周波成分画像データ14を構成する複数の画素のそれぞれに、構造物らしさを示す値を設定する。
そして、補正ゲイン算出機能170cは、低周波成分画像データ14を構成する複数の画素のそれぞれについて、画素に設定された構造物らしさを示す値が大きくなるほど小さくなる重みwを設定する。
そして、補正ゲイン算出機能170cは、低周波成分画像データ14を構成する複数の画素のそれぞれについて、画素に設定された重みwと画素の輝度との乗算値を算出する。そして、補正ゲイン算出機能170cは、低周波成分画像データ14を構成する複数の画素について算出された複数の乗算値の和を算出する。そして、補正ゲイン算出機能170cは、複数の乗算値の和に基づいて補正ゲインを算出する。
例えば、補正ゲイン算出機能170cは、目標輝度25から、複数の乗算値の和を減じた値を補正ゲインとして算出する。このようにして算出された補正ゲインは、低周波成分画像データ14を構成する全ての画素に対応する補正ゲインである。そして、ゲイン補正機能170dは、画素毎に、補正ゲインを用いて画素の輝度に対してゲイン補正をかけることにより、ゲイン補正後の低周波成分画像データを生成する。
また、上述した実施形態では、構造物特定機能170bが構造物を示す画素を導出する際に用いられる閾値22を自動的に決定する場合について説明した。しかしながら、ユーザが閾値22を決定してもよい。例えば、構造物特定機能170bは、構造物を示す画素を導出する際に用いられる閾値22を受け付けるための受付画面をディスプレイ103に表示させる。この受付画面には、先の図3に示す分布20,21が含まれる。このため、ユーザは、分布20,21を視認しつつ、入力装置102を介して適切な閾値22を処理回路170に入力する。そして、構造物特定機能170bは、受け付けられた閾値22に基づいて、構造物を示す画素を導出する。
また、上述した実施形態では、補正ゲイン算出機能170cが、低周波成分画像データ14を構成する複数の画素のそれぞれに重みwを自動的に設定する場合について説明した。しかしながら、ユーザが画素毎に重みwを決定してもよい。例えば、補正ゲイン算出機能170cは、重みwを受け付けるための受付画面をディスプレイ103に表示させる。この受付画面には、先の図3に示す分布20,21が含まれる。このため、ユーザは、分布20,21を視認しつつ、入力装置102を介して画素毎に適切な重みwを処理回路170に入力する。
ここで、ディスプレイ103に表示される分布20,21は、低周波成分画像データ14ではなく、高周波成分画像データ15に基づく分布である。このため、処理回路170に入力される重みwは、高周波成分画像データ15の画素毎の重みwである。しかしながら、高周波成分画像データ15の各画素と、低周波成分画像データ14の各画素とは1対1で対応している。このため、補正ゲイン算出機能170cは、入力された高周波成分画像データ15の画素毎の重みwを、低周波成分画像データ14の画素毎の重みwとして扱うことができる。
そして、補正ゲイン算出機能170cは、入力された画素毎の重みwと、低周波成分画像データを構成する複数の画素のそれぞれの輝度との乗算値を算出する。これにより、複数(全画素の数)の乗算値が算出される。そして、補正ゲイン算出機能170cは、複数の乗算値の和に基づいて補正ゲインを算出する。
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることによって提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各処理機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
以上説明した少なくとも一つの実施形態又は変形例によれば、実質部の輝度を一様にすることができる補正ゲインを算出することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 超音波診断装置
170 処理回路
170a 解像度変調機能
170b 構造物特定機能
170c 補正ゲイン算出機能
170 処理回路
170a 解像度変調機能
170b 構造物特定機能
170c 補正ゲイン算出機能
Claims (11)
- 第1の解像度を有する超音波画像データに対して多重解像度解析を行うことにより、前記第1の解像度よりも低い第2の解像度を有する高周波成分画像データ及び低周波成分画像データを生成する生成部と、
前記高周波成分画像データから構造物に関する情報を導出する導出部と、
前記構造物に関する情報に基づいて、補正ゲインに対する前記低周波成分画像データにおける前記構造物を示す画素の輝度の寄与よりも、前記補正ゲインに対する前記低周波成分画像データにおける実質部を示す画素の輝度の寄与のほうが高くなるように、前記低周波成分画像データに基づいて前記補正ゲインを算出する算出部と、
を備える、超音波診断装置。 - 前記導出部は、前記高周波成分画像データから、前記構造物に関する情報として前記構造物を示す画素を導出し、
前記算出部は、前記低周波成分画像データにおいて、前記構造物の画素に対応する画素を除く複数の画素により構成される領域を前記実質部とし、前記実質部の輝度に基づいて補正ゲインを算出する、
請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記導出部は、前記高周波成分画像データを構成する複数の画素のそれぞれについて、前記構造物に関する情報として構造物らしさを示す値を導出し、
前記算出部は、前記構造物らしさを示す値が大きくなるほど小さくなる重みと、前記低周波成分画像データを構成する複数の画素のそれぞれの輝度との乗算値を算出し、複数の乗算値の和に基づいて前記補正ゲインを算出する、
請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記導出部は、前記高周波成分画像データを構成する複数の画素の複数の輝度の統計分布に基づいて、前記構造物を示す画素を導出する、請求項2に記載の超音波診断装置。
- 前記導出部は、前記統計分布に基づいて、前記構造物を示す画素を導出するための閾値を決定し、当該閾値に基づいて、前記構造物を示す画素を導出する、請求項4に記載の超音波診断装置。
- 前記導出部は、前記構造物を示す画素を導出する際に用いられる閾値を受け付けるための受付画面を表示部に表示させ、受け付けられた前記閾値に基づいて、前記構造物を示す画素を導出する、請求項4に記載の超音波診断装置。
- 前記算出部は、前記重みを受け付けるための受付画面を表示部に表示させ、受け付けられた前記重みと前記低周波成分画像データを構成する前記複数の画素のそれぞれの前記輝度との前記乗算値を算出し、前記複数の乗算値の和に基づいて前記補正ゲインを算出する、請求項3に記載の超音波診断装置。
- 前記算出部は、前記実質部を構成する複数の画素のそれぞれの輝度と目標輝度とに基づいて、画素毎に前記補正ゲインを算出する、請求項1、2、4、5、6のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
- 前記算出部は、前記低周波成分画像データを複数の領域に分割し、領域毎に、前記構造物を示す画素を除く領域を前記実質部とし当該実質部の輝度の平均値を算出し、当該輝度の平均値と目標輝度とに基づいて前記補正ゲインを算出する、請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
- 前記算出部は、前記複数の領域のうち、全画素の数に対する前記構造物を示す画素の数の割合が閾値以上となる領域の補正ゲインを、当該領域の周囲の領域について算出された補正ゲインを用いて補完する、請求項9に記載の超音波診断装置。
- コンピュータに、
第1の解像度を有する超音波画像データに対して多重解像度解析を行うことにより、前記第1の解像度よりも低い第2の解像度を有する高周波成分画像データ及び低周波成分画像データを生成し、
前記高周波成分画像データから構造物に関する情報を導出し、
前記構造物に関する情報に基づいて、補正ゲインに対する前記低周波成分画像データにおける前記構造物を示す画素の輝度の寄与よりも、前記補正ゲインに対する前記低周波成分画像データにおける実質部を示す画素の輝度の寄与のほうが高くなるように、前記低周波成分画像データに基づいて前記補正ゲインを算出する、
処理を実行させるためのプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021157622A JP2023048353A (ja) | 2021-09-28 | 2021-09-28 | 超音波診断装置及びプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021157622A JP2023048353A (ja) | 2021-09-28 | 2021-09-28 | 超音波診断装置及びプログラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2023048353A true JP2023048353A (ja) | 2023-04-07 |
Family
ID=85779919
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021157622A Pending JP2023048353A (ja) | 2021-09-28 | 2021-09-28 | 超音波診断装置及びプログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2023048353A (ja) |
-
2021
- 2021-09-28 JP JP2021157622A patent/JP2023048353A/ja active Pending
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