JP2023047223A - リチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】入力特性及び耐久特性に優れるリチウムイオン二次電池を製造可能なリチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】リチウムイオン二次電池用負極材は複合粒子を含み、前記複合粒子は、黒鉛粒子(A)と、前記黒鉛粒子(A)の表面に複合化されている黒鉛粒子(B)と、を有する。黒鉛粒子(B)の結晶性は、前記黒鉛粒(A)の結晶性よりも高い。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、他の二次電池であるニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池に比べて軽量で高い充放電容量を有することから、近年、電気自動車及びハイブリッド型電気自動車用の電源として期待されている。電気自動車及びハイブリッド型電気自動車が普及するためには、リチウムイオン二次電池の高速充電性(つまり入力特性)及び耐久特性の向上が求められている。
リチウムイオン二次電池の負極材活物質としては、黒鉛等の炭素材料が広く用いられている。黒鉛は大きく分けて天然黒鉛と人造黒鉛とに分類され、天然黒鉛は充電容量、レート特性、Li析出性等の入力特性に優れるが高温保存性、寿命特性等の耐久特性に劣り、人造黒鉛は入力特性に劣るが耐久特性に優れる性質がある。
人造黒鉛においては、特許文献1に示されるように、複数の扁平状の1次粒子を、配向面が非平行となるように集合又は結合させてなる2次粒子構造を有する黒鉛粒子を負極活物質として用いることで、入力特性の改善を図っている。
リチウムイオン二次電池は、負極の電極密度を高くすることで体積あたりのエネルギー密度を大きくすることができる。しかし、負極の電極密度を高くすると、電解液の負極材層内への浸透性が低下する傾向にあり、レート特性(入力特性)の低下、サイクル特性(耐久特性)の低下等の問題を引き起こし易い。特に、電極密度が1.7g/cmを超えるように負極に強いプレスを加えると、黒鉛結晶の異方性が大きくなる。これにより、黒鉛粒子へのリチウムイオンの吸蔵及び放出の繰り返しによる電極の厚さ方向の膨張率及び収縮率が大きくなり、黒鉛粒子間の剥離が進行し、寿命特性(耐久特性)の低下に繋がる。
天然黒鉛は剥離強度が強く、負極を強い力でプレスしても集電体から剥がれにくいという特徴を有する。しかし、天然黒鉛は球形化して利用されることが多く、球形化処理で生じた結晶欠陥部分は電解液との反応活性が高いことから、高温保存、寿命特性等の耐久特性についての改善が望まれている。また、電極密度を高めるために負極をプレスすると、黒鉛粒子が集電体に沿って配向し、電極の膨張率が大きくなる結果、寿命特性の低下に繋がる傾向にある。
ここで、特許文献2では、天然黒鉛を非晶質炭素で被覆することで、耐久特性を向上できることが報告されている。特許文献2に記載した方法では、核となる黒鉛と炭素前駆体を混合し、焼成することで、黒鉛を非晶質炭素で被覆している。
負極材として用いられる他の炭素材料として、特許文献3では、メソフェーズピッチから抽出されたメソフェーズ小球体を黒鉛化して得られた、球状で微細組織の配向が放射状又はブルックス-テーラー型の黒鉛化粒子、及び微細組織の配向がラメラ型又はブルックス-テーラー型の炭素繊維が提案されている。
特開平10-158005号公報 特開2014-44950号公報 特許第2637305号公報
特許文献2に記載した方法で天然黒鉛を非晶質炭素で被覆することは、耐久特性を向上させるうえで有効な手段であるが、この手法では人造黒鉛と同等の耐久性を得ることが難しい。
また、特許文献3に記載の、球状で微細組織の配向が放射状又はブルックス-テーラー型の黒鉛化粒子を用いる方法では、放電容量が低いという課題を有する。
そして、特許文献3に記載の、細組織の配向がラメラ型又はブルックス-テーラー型の炭素繊維を用いる方法では、負極の電極密度が1.7g/cmを超えるような高密度化が困難であり、また長繊維が混在すると、その長繊維がセパレータを貫通して短絡が起こり易いという課題を有している。
上記状況を鑑み、本発明の課題は、入力特性及び耐久特性に優れるリチウムイオン二次電池を製造可能なリチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 黒鉛粒子(A)と、
前記黒鉛粒子(A)の表面に複合化され、前記黒鉛粒子(A)よりも結晶性の高い黒鉛粒子(B)と、
を有する複合粒子を含む、リチウムイオン二次電池用負極材。
<2> 前記黒鉛粒子(B)の平均粒子径(50%D)が、0.06μm~12.0μmである、<1>に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
<3> 前記複合粒子の表面の一部又は全体に前記黒鉛粒子(B)を含む層を有する、<1>又は<2>に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
<4> 前記複合粒子は、前記黒鉛粒子(A)の平均粒子径Cと、前記黒鉛粒子(B)を含む層の平均厚みDと、の関係が下記式Iを満たす、<3>に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
(1/100)×C≦D≦(30/100)×C 式I
<5> 前記複合粒子は、CuKα線によるX線回折パターンにおける、六方晶構造の(101)面の回折ピーク(P1)と菱面体晶構造の(101)面の回折ピーク(P2)との強度比(P2/P1)が、前記黒鉛粒子(A)よりも前記黒鉛粒子(B)で大きく、前記黒鉛粒子(A)では回折ピーク(P2)が観測されなくてもよい、<1>~<4>のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
<6> 前記複合粒子の体積平均粒子径(50%D)が、6μm~40μmである、<1>~<5>のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
<7> 77Kでの窒素吸着測定より求める前記複合粒子の比表面積が、0.5m/g~30m/gである、<1>~<6>に記載のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
<8> <1>~<7>のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材を含む負極材層と、集電体と、を含む、リチウムイオン二次電池用負極。
<9> <8>に記載のリチウムイオン二次電池用負極を含むリチウムイオン二次電池。
本発明の一態様によれば、入力特性及び耐久特性に優れるリチウムイオン二次電池を製造可能なリチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池が提供される。
黒鉛粒子(A)の粒子径、及び黒鉛粒子(B)を含む層の平均厚みを説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
<リチウムイオン二次電池用負極材>
本開示のリチウムイオン二次電池用負極材(以下、単に「負極材」とも称する)は、黒鉛粒子(A)と、前記黒鉛粒子(A)の表面に複合化され前記黒鉛粒子(A)よりも結晶性の高い黒鉛粒子(B)と、を有する複合粒子を含む。複合粒子の表面の一部又は全体に黒鉛粒子(B)を含む層を有してよい。黒鉛粒子(B)を含む層は、黒鉛粒子(B)で構成される層であっても、黒鉛粒子(B)のほかに非晶質炭素等の他の成分も含む層であってもよい。
上記条件を満たす負極材を用いることで、入力特性と耐久特性に優れるリチウムイオン二次電池が得られる。この理由は明らかではないが、例えば、人造黒鉛粒子等の比較的低い結晶性を有する黒鉛粒子(A)をコア材として用いることで耐久特性に優れ、かつ、天然黒鉛等の比較的結晶性の高い黒鉛粒子(B)を黒鉛粒子(A)の表面に複合化することによって、入力特性に優れることが考えられる。
黒鉛粒子等の炭素材料の結晶性は、R値によって確認できる。R値が小さいほど結晶性が高い。
R値は、ラマン分光測定において得られたラマン分光スペクトルにおいて、1580cm-1付近の最大ピークの強度Igと、1360cm-1付近の最大ピークの強度Idの強度比(Id/Ig)と定義する。ここで、1580cm-1付近に現れるピークとは、1530cm-1~1630cm-1に観測されるピークを意味する。また1360cm-1付近に現れるピークとは、1300cm-1~1400cm-1に観測されるピークを意味する。
黒鉛粒子(A)のR値は、0.15超0.4以下であることが好ましく、0.17~0.38であることがより好ましく、0.19~0.36であることがさらに好ましい。R値が0.15以上であると、リチウムイオンの出し入れに用いられる黒鉛格子欠陥が充分存在し、入出力特性の低下が抑制される傾向にある。R値が0.4以下であると、電解液の分解反応が充分に抑制され、初回効率の低下が抑制される傾向にある。
黒鉛粒子(B)のR値は、0.15以上0.4未満であることが好ましく、0.17~0.38であることがより好ましく、0.19~0.36であることがさらに好ましい。黒鉛粒子(B)のR値は、黒鉛粒子(A)のR値よりも小さい。
R値が0.15以上であると、リチウムイオンの出し入れに用いられる黒鉛格子欠陥が充分存在し、入出力特性の低下が抑制される傾向にある。R値が0.4以下であると、電解液の分解反応が充分に抑制され、初回効率の低下が抑制される傾向にある。
本開示において、ラマン分光測定は、レーザーラマン分光光度計(型番:NRS-1000、日本分光株式会社)を用い、リチウムイオン二次電池用負極材を平らになるようにセットした試料板にレーザー光を照射して測定を行う。測定条件は以下の通りである。
レーザー光の波長:532nm
波数分解能:2.56cm-1
測定範囲:1180cm-1~1730cm-1
ピークリサーチ:バックグラウンド除去
複合粒子はイオンミリング装置により断面ミリングし、得られた断面についてラマン分光測定を行い、結晶状態分布をマッピングすることで、黒鉛粒子(A)及び黒鉛粒子(B)のR値をそれぞれ測定する。
また、黒鉛粒子等の炭素材料の結晶性は、平均面間隔(d002)によっても確認できる。平均面間隔(d002)が小さいほど、結晶性が高くなる。平均面間隔(d002)は、広角X線回折測定装置(XRD)にて、学振法に基づき算出する。
黒鉛粒子(A)の平均面間隔(d002)は、0.315nm~0.355nmであることが好ましく、0.335nm~0.345nmであることがより好ましい。
黒鉛粒子(B)の平均面間隔(d002)は、0.315nm~0.350nmであることが好ましく、0.330nm~0.340nmであることがより好ましい。黒鉛粒子(B)の平均面間隔(d002)は、黒鉛粒子(A)の平均面間隔(d002)よりも小さい。
黒鉛粒子(A)及び黒鉛粒子(B)としては、結晶性が黒鉛粒子(A)よりも黒鉛粒子(B)が高いという関係を満たせば特に限定されず、球状天然黒鉛粒子、鱗片状天然黒鉛粒子等の天然黒鉛粒子、人造黒鉛粒子などが挙げられる。メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)であってもよい。
例えば、黒鉛粒子(A)として人造黒鉛を用い、黒鉛粒子(B)として天然黒鉛を用いる態様、及び、黒鉛粒子(A)としてMCMBを用い、黒鉛粒子(B)として天然黒鉛を用いる態様が挙げられるが、この組み合わせに限定されない。
本開示において「複合化」とは、互いに異なる複数の要素が一体化していること意味する。複合化の具体的態様としては、黒鉛粒子(A)と黒鉛粒子(B)とが直接接触して黒鉛粒子(A)の表面に黒鉛粒子(B)が一体化している態様が挙げられる。
複合粒子の体積平均粒子径は、特に制限されず、例えば、6μm~40μmであることが好ましく、8μm~30μmであることがより好ましく、10μm~25μmであることがさらに好ましい。複合粒子の体積平均粒子径が6μm以上であると、他の材料と混合して負極材として使用したときの粒子同士の凝集が抑制され、良好な塗工性が得られる傾向にある。一方、複合粒子の体積平均粒子径が40μm以下であると、負極材の表面から内部へのリチウムイオンの拡散距離が長くなりすぎず、リチウムイオン二次電池の入出力特性が良好に維持される傾向にある。
本開示において、複合粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定される粒子径分布において、小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となるときの粒子径(50%D)である。負極材の体積平均粒子径は、例えば、界面活性剤を含んだ精製水に負極材を分散させた状態でレーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所のSALD-3100J)により測定することができる。
黒鉛粒子(B)の平均粒子径(50%D)は、0.20μm~5.0μmであることが好ましく、0.25μm~4.0μmであることがより好ましく、0.25μm~3.5μmであることがさらに好ましい。
黒鉛粒子(B)の平均粒子径(50%D)は次の方法で測定する。複合粒子を水中に分散させ1.5時間超音波処理を行い、超音波処理した分散液を10μmフィルターで濾過する。濾紙下の粒子は黒鉛粒子(B)に相当する。濾紙下の粒子について上記のレーザー回折・散乱法により平均粒子径(50%D)を求める。
複合粒子は、黒鉛粒子(A)の平均粒子径Cと、複合化している黒鉛粒子(B)を含む層の平均厚みDと、の関係が下記式Iを満たすことが好ましい。
(1/100)×C≦D≦(30/100)×C 式I
式Iにおける平均粒子径C及び平均厚みDは、負極材を断面処理(例えば、日本電子株式会社のIB-19500CPにより実施)した後に、走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、日本電子株式会社のJSM-IT100)の二次電子観察により測定することができる。
図1を参照しながら、複合粒子における平均粒子径C及び平均厚みDについて説明する。
黒鉛粒子(A)の粒子径は、黒鉛粒子(A)に外接する平行線のうち、平行線間距離が最大となるように選ばれる平行線の間の距離である。平均粒子径Cは、100個の黒鉛粒子(A)の粒子径を測定したときの算術平均値である。
黒鉛粒子(B)を含む層の平均厚みDは、5箇所を測定したときの算術平均値である。
平均粒子径C及び平均厚みDの関係は、式I-1を満たすことがより好ましく、式I-2を満たすことが更に好ましい。
(1.3/100)×C≦D≦(20/100)×C 式I-1
(1.5/100)×C≦D≦(19/100)×C 式I-2
平均粒子径Cは、6μm~40μmであることが好ましく、8μm~30μmであることがより好ましく、10μm~25μmであることがさらに好ましい。
平均厚みDは、0.06μm~12μmであることが好ましく、0.08μm~9.0μmであることがより好ましく、0.1μm~7.5μmであることがさらに好ましい。
平均厚みDは、黒鉛粒子(B)として用いる原料の種類及び粒子径、複合化の際の衝撃力、運転時間等により制御することができる。
複合粒子は、CuKα線によるX線回折パターンにおける、六方晶構造の(101)面の回折ピーク(P1)と菱面体晶構造の(101)面の回折ピーク(P2)との強度比(P2/P1)が、黒鉛粒子(A)よりも黒鉛粒子(B)で大きく、黒鉛粒子(A)では回折ピーク(P2)が観測されなくてもよい。
六方晶構造の(101)面の回折ピーク(P1)の強度は、回折角2θ(θはブラッグ角)が44.3度に現れる回折線から求める。
菱面体晶構造の(101)面の回折ピーク(P2)の強度は、回折角2θ(θはブラッグ角)が43.2度に現れる回折線から求める。
なお、CuKα線を用いたX線回折測定は、以下の条件で行うことができる。
-測定装置及び条件-
X線回折装置:MultiFlex、株式会社リガク製
ゴニオメーター:MultiFlexゴニオメーター(シャッターなし)
アタッチメント:標準試料ホルダー
モノクロメーター:固定モノクロメーター
走査モード:2θ/θ
走査タイプ:連続
出力:40kV、40mA
発散スリット:1度
散乱スリット:1度
受光スリット:0.30mm
モノクロ受光スリット:0.8mm
走査範囲:41度≦2θ≦47.5度
サンプリング幅:0.01度
複合粒子において、黒鉛粒子(A)の回折ピーク(P1)及び回折ピーク(P2)の強度は、次の方法で測定する。
複合粒子を水中に分散させ1.5時間超音波処理を行い、超音波処理した分散液を10μmフィルターで濾過する。濾紙上に残った粒子は黒鉛粒子(A)に相当する。濾紙上に残った粒子についてX線回折測定を行うことで、黒鉛粒子(A)に起因する回折ピーク(P1)及び回折ピーク(P2)を得る。
黒鉛粒子(B)の回折ピーク(P1)及び回折ピーク(P2)の強度の測定は、上記音波処理によって黒鉛粒子(B)が剥がれるようであれば濾過下粒子についてX線回折測定を行い、黒鉛粒子(B)が剥がれないようであれば複合化粒子のままX線回折測定を行う。
黒鉛粒子(A)のX線回折ピーク強度比(P2/P1)は、0~0.30であることが好ましく、0.06~0.25であることがより好ましく、0.12~0.20であることがさらに好ましい。
黒鉛粒子(B)のX線回折ピーク強度比(P2/P1)は、0.31~0.80であることが好ましく、0.35~0.60であることがより好ましく、0.40~0.50であることがさらに好ましい。
黒鉛粒子の原材料に天然樹脂、石炭、石油等の天然物を使用する場合、原材料は金属元素等の不純物を含有しているため、高純度化処理によって灰分が低く調整されていることが好ましい。また、原材料に天然物を使用した場合、灰分を適正量で残存させることが好ましい。適正量の灰分は、不可逆容量を発生させる負極材のサイトを不活性化させる作用があると考えられる。
具体的には、黒鉛粒子(A)の灰分は、0.00質量%~1.20質量%であることが好ましく、0.02質量%~0.15質量%であることがより好ましく、0.03質量%~0.12質量%であることがさらに好ましい。
黒鉛粒子(B)の灰分は0.01質量%~5.0質量%であることが好ましく、0.02質量%~1.0質量%であることがより好ましく、0.03質量%~0.2質量%であることがさらに好ましい。黒鉛粒子(B)の灰分が0.01質量%以上の場合、リチウムイオン二次電池の不可逆容量が小さくなる傾向がある。また、黒鉛粒子(B)の灰分が0.1質量%以下の場合、リチウムイオン二次電池の寿命特性の低下が抑制される傾向がある。
ここで、灰分は、試料を空気雰囲気中で加熱し灰化させ、灰化前の試料全体質量に対する灰化後の残渣質量の割合(百分率)として算出した値である。灰化させるための加熱温度は、黒鉛粒子の種類に応じて適宜設定すればよく、例えば、1000℃~700℃としてもよい。また、灰化させるための加熱時間は、黒鉛粒子の種類及び加熱温度に応じて適宜設定すればよく、例えば、8時間~48時間としてもよい。
77Kでの窒素吸着測定より求める複合粒子の比表面積(N比表面積)は、例えば、30m/g以下であってもよく、17m/g以下であってもよく、12m/g以下であってもよく、10m/g以下であってもよい。
また、複合粒子のN比表面積は、例えば、0.5m/g以上であってもよく、2m/g以上であってもよく、5m/g以上であってもよい。
複合粒子のN比表面積は、0.5m/g~30m/gであることが好ましく、0.5m/g~17m/gであることがより好ましい。
本開示において複合粒子のN比表面積は、77Kでの多点法による窒素吸着測定より得た吸着等温線からBET法を用いて求めることができる。
複合粒子のN比表面積は、例えば、複合粒子の粒子径、粒子形状、表面状態等によって調整することができる。複合粒子を熱処理してN比表面積を増大させてもよい。
リチウムイオン二次電池の初回効率及び放電容量をより効果的に向上させる観点から、複合粒子は、表面の少なくとも一部に非晶質炭素を有してもよい。
複合粒子は、その表面の一部又は全体に、非晶質炭素を有してもよい。
非晶質炭素は、複合粒子の表面の少なくとも一部に存在すれば、存在位置は特に制限されない。電解液の分解を効果的に抑制する観点からは、非晶質炭素は、黒鉛粒子(B)の少なくとも一部又は黒鉛粒子(A)の少なくとも一部を被覆することが好ましい。
複合粒子の表面の一部又は全体に非晶質炭素を配置する方法は、特に制限されず、例えば、熱処理によって炭素質に変化しうる有機化合物(炭素前駆体)と複合粒子との混合物を熱処理し、有機化合物を融解、蒸発又は昇華させることで行ってもよい。この混合物には他の成分を含有させてもよい。あるいは、気体状又は容易に気化可能な炭素前駆体を用いて化学蒸着法により行ってもよい。
炭素前駆体として具体的には、カルボン酸等の低分子化合物;フェノール樹脂、スチレン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリブチラール等の高分子化合物;エチレンヘビーエンドピッチ、石炭系ピッチ、石油ピッチ、コールタールピッチ、アスファルト分解ピッチ、ポリ塩化ビニル(PVC)を熱分解して生成するPVCピッチ、ナフタレン等を超強酸存在下で重合させて作製されるナフタレンピッチ等のピッチ類;澱粉、セルロース等の多糖類;などが挙げられる。炭素前駆体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
負極材は、熱重量測定において、窒素雰囲気での熱処理過程で、300℃~900℃の範囲の重量減少率が0.1%未満であることが好ましい。この条件での重量減少率が小さいほど、上述した炭素前駆体が炭素質に変化している度合いが大きく、負極材としての特性に優れていると考えられる。上記重量減少率は0.07%未満であることがより好ましく、0.03%未満であることがさらに好ましい。
<複合粒子の製造方法>
複合粒子の製造方法は特に制限されない。例えば、黒鉛粒子(a)と、黒鉛粒子(a)よりも結晶性の高い黒鉛粒子(b)とを準備し、機械的なせん断力を加えて黒鉛粒子(a)の表面に黒鉛粒子(b)を付着させる方法が挙げられる。具体的には、黒鉛粒子(a)及び黒鉛粒子(b)を分散させながら、衝撃力を主体とした力を用いて乾式で黒鉛粒子(a)の表面に黒鉛粒子(b)を複合化する方法が挙げられる。高速気流中で行ってもよい。
黒鉛粒子(a)の平均粒子径(50%D)は、6μm~40μmであることが好ましく、8μm~30μmであることがより好ましく、10μm~25μmであることがさらに好ましい。
黒鉛粒子(b)の平均粒子径(50%D)は、0.20μm~5.0μmであることが好ましく、0.25μm~4.0μmであることがより好ましく、0.25μm~3.5μmであることがさらに好ましい。
<リチウムイオン二次電池用負極>
本開示のリチウムイオン二次電池用負極は、上述したリチウムイオン二次電池用負極材を含む負極材層と、集電体と、を含む。リチウムイオン二次電池用負極は、負極材層及び集電体の他、必要に応じて他の構成要素を含んでもよい。
リチウムイオン二次電池用負極は、例えば、負極材と結着剤を溶剤とともに混練してスラリー状の負極材組成物を調製し、これを集電体上に塗布して負極材層を形成することで作製したり、負極材組成物をシート状、ペレット状等の形状に成形し、これを集電体と一体化することで作製したりすることができる。混練は、撹拌機、ボールミル、スーパーサンドミル、加圧ニーダー等の分散装置を用いて行うことができる。
負極材組成物の調製に用いる結着剤は、特に限定されない。例えば、スチレン-ブタジエン共重合体、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸などの少なくとも1種の重合体、及び、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエピクロロヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリアクリロニトリル等のイオン導電性の大きい高分子化合物が挙げられる。
負極材組成物が結着剤を含む場合、結着剤の含有量は特に制限されず、例えば、負極材と結着剤の合計100質量部に対して0.5質量部~20質量部であってもよい。
負極材組成物は、増粘剤を含んでもよい。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸又はその塩、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等を使用することができる。
負極材組成物が増粘剤を含む場合、増粘剤の含有量は特に制限されず、例えば、負極材100質量部に対して0.1質量部~5質量部であってもよい。
負極材組成物は、導電助材を含んでもよい。導電助材としては、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック等の炭素材料、導電性を示す酸化物、窒化物等の化合物などが挙げられる。
負極材組成物が導電助剤を含む場合、導電助剤の含有量は特に制限されず、例えば、負極材100質量部に対して0.5質量部~15質量部であってもよい。
集電体の材質は特に制限されず、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等から選択できる。集電体の状態は特に制限されず、箔、穴開け箔、メッシュ等から選択できる。また、ポーラスメタル(発泡メタル)等の多孔性材料、カーボンペーパーなども集電体として使用可能である。
負極材組成物を集電体に塗布して負極材層を形成する場合、その方法は特に制限されず、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、コンマコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等の公知の方法を採用できる。負極材組成物を集電体に塗布した後は、負極材組成物に含まれる溶剤を乾燥により除去する。乾燥は、例えば、熱風乾燥機、赤外線乾燥機又はこれらの装置の組み合わせを用いて行うことができる。必要に応じて圧延処理を行ってもよい。圧延処理は、平板プレス、カレンダーロール等の方法で行うことができる。
シート、ペレット等の形状に成形された負極組成物を集電体と一体化して負極材層を形成する場合、一体化の方法は特に制限されない。例えば、ロール、平板プレス又はこれらの手段の組み合わせにより行うことができる。一体化する際の圧力は、例えば、1MPa~200MPa程度であることが好ましい。
負極材層の負極密度(本開示において「電極密度」という)は、特に制限されない。例えば、1.1g/cm~1.8g/cmであることが好ましく、1.2g/cm~1.7g/cmであることがより好ましく、1.3g/cm~1.6g/cmであることが更に好ましい。負極密度を1.1
g/cm以上とすることで、電子抵抗の増加が抑制され、容量が増加する傾向にあり、1.8g/cm以下とすることで、レート特性及びサイクル特性の低下が抑制される傾向がある。
<リチウムイオン二次電池>
本開示のリチウムイオン二次電池は、上述したリチウムイオン二次電池用負極を含む。ある実施態様では、リチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極と、正極と、電解液とを含む。
正極は、上述した負極の作製方法と同様にして、集電体上に正極材層を形成することで得ることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼等の金属又は合金を、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等にしたものを用いることができる。
正極材層の形成に用いる正極材料は、特に制限されない。例えば、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能な金属化合物(金属酸化物、金属硫化物等)及び導電性高分子材料が挙げられる。より具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、これらの複酸化物(LiCoNiMn、x+y+z=1)、添加元素M’を含む複酸化物(LiCoNiMnM’、a+b+c+d=1、M’:Al、Mg、Ti、Zr又はGe)、スピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn)、リチウムバナジウム化合物、V、V13、VO、MnO、TiO、MoV、TiS、V、VS、MoS、MoS、Cr、Cr、オリビン型LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe)等のリチウム含有化合物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセン等の導電性ポリマー、多孔質炭素などが挙げられる。正極材料は、1種単独であっても2種以上であってもよい。
電解液は特に制限されず、例えば、電解質としてのリチウム塩を非水系溶媒に溶解したもの(いわゆる有機電解液)を使用することができる。
リチウム塩としては、LiClO、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSOCF等が挙げられる。リチウム塩は、1種単独でも2種以上であってもよい。
非水系溶媒としては、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、シクロペンタノン、シクロヘキシルベンゼン、スルホラン、プロパンスルトン、3-メチルスルホラン、2,4-ジメチルスルホラン、3-メチル-1,3-オキサゾリジン-2-オン、γ-ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、トリメチルリン酸エステル、トリエチルリン酸エステル等が挙げられる。非水系溶媒は、1種単独でも2種以上であってもよい。
リチウムイオン二次電池における正極及び負極の状態は、特に限定されない。例えば、正極及び負極と、必要に応じて正極及び負極の間に配置されるセパレータとを、渦巻状に巻回した状態であっても、これらを平板状として積層した状態であってもよい。
セパレータは特に制限されず、例えば、樹脂製の不織布、クロス、微孔フィルム又はそれらを組み合わせたものを使用することができる。樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とするものが挙げられる。リチウムイオン二次電池の構造上、正極と負極が直接接触しない場合は、セパレータは使用しなくてもよい。
リチウムイオン二次電池の形状は、特に制限されない。例えば、ラミネート型電池、ペーパー型電池、ボタン型電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型電池及び角型電池が挙げられる。
本開示のリチウムイオン二次電池は、入力特性及び耐久特性に優れるため、航続距離拡張が求められる、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、電気自動車(EV)、大容量産業用蓄電池等に使用されるリチウムイオン二次電池として好適である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1)負極材の作製
90質量部の鱗片状人造黒鉛(体積平均粒子径:18μm)と、10質量部の鱗片状天然黒鉛(体積平均粒子径:4μm)とを混合して混合物を得た。この混合物に対し、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムにより複合化処理を実施し、篩(350メッシュ、目開き45μm)分けした篩下分を負極材とした。
下記に示す方法により、複合粒子の体積平均粒子径(50%D)、複合粒子中の黒鉛粒子(A)の平均粒子径C及び黒鉛粒子(B)を含む層の平均厚みD、X線回折パターンにおける六方晶構造(101)面の回折ピーク(P1)と菱面体晶構造の(101)面の回折ピーク(P2)との強度比(P2/P1)、灰分、及び比表面積を測定した。結果を表1に示す。
[複合粒子の体積平均粒子径(50%D)]
複合粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱方式にて上述の条件で測定した。
[複合粒子中の平均粒子径C及び黒鉛粒子(B)を含む層の平均厚みD]
複合粒子中の黒鉛粒子(A)の平均粒子径Cと黒鉛粒子(B)を含む層の平均厚みDは、複合粒子を断面処理した後、SEMにて上述の条件で測定した。
[回折ピーク(P1)と回折ピーク(P2)との強度比(P2/P1)]
複合粒子について、X線回折パターンにおける、六方晶構造(101)面の回折ピーク(P1)と菱面体晶構造の(101)面の回折ピーク(P2)との強度比(P2/P1)は、X線回折にて上述の条件で測定した。
[灰分]
原料としての黒鉛粒子(A)と黒鉛粒子(B)の灰分は、上述の条件で測定した。
[N比表面積]
負極材のN比表面積は、高速比表面積/細孔分布測定装置(フローソープ II 2300、東海理機株式会社)を用いて、液体窒素温度(77K)での窒素吸着を多点法で測定してBET法により算出した。
(2)リチウムイオン二次電池の作製
作製した負極材98質量部に対し、増粘剤としてCMC(カルボキシメチルセルロース、第一工業製薬株式会社、セロゲンWS-C)の水溶液(CMC濃度:2質量%)を、CMCの固形分量が1質量部となるように加え、10分間混練を行った。次いで、負極材とCMCの合計の固形分濃度が40質量%~50質量%となるように精製水を加え、10分間混練を行った。続いて、結着剤としてSBR(スチレンブタジエンゴム、BM400-B、日本ゼオン株式会社)の水分散液(SBR濃度:40質量%)を、SBRの固形分量が1質量部となるように加え、10分間混合してペースト状の負極材組成物を作製した。この負極材組成物を、厚さ11μmの電解銅箔に単位面積当りの塗布量が10.0mg/cmとなるようにクリアランスを調整したコンマコーターで塗工して、負極材層を形成した。その後、ハンドプレスで1.7g/cmに電極密度を調整した。負極材層が形成された電解銅箔を直径14mmの円盤状に打ち抜き、試料電極(負極)を作製した。
作製した試料電極(負極)、セパレータ、対極(正極)の順にコイン型電池容器に入れ、電解液を注入して、コイン型のリチウムイオン二次電池を作製した。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)及びメチルエチルカーボネート(MEC)(ECとMECの体積比は3:7)の混合溶媒にLiPFを1.0mol/Lの濃度になるように溶解したものを使用した。対極(正極)としては、金属リチウムを使用した。セパレータとしては、厚み20μmのポリエチレン製微孔膜を使用した。
[レート特性の評価]
上記のリチウムイオン二次電池について、25℃環境下において0.2C容量に対する1.0C容量の割合を測定した。結果を表1に示す。
[寿命特性の評価]
上述の方法でリチウムイオン二次電池を作製し、25℃の環境下において、0.5CAで4.2Vまで定電流充電し、4.2Vに到達した時からその電圧で電流値が0.01CAになるまで定電圧充電した。その後、0.5CAの定電流放電で、2.7Vまで放電した。また、充放電間には30分の休止を入れた。これを3サイクル実施した。この状態を初期状態とした。
上記のリチウムイオン二次電池について、25℃環境下において電流値1CAで4.2Vまで定電流充電し、4.2Vに到達した時から定電圧で電流値が0.01CAになるまで定電圧充電を行い満充電状態とした後で、2.7Vまで放電させることを繰り返すサイクル試験を行った。また、充放電間には30分の休止を入れた。1サイクル目の充放電において放電容量を測定し、200サイクル目の充放電時においても放電容量を測定した。そして、1サイクル目の放電容量に対する200サイクル目の放電容量の比率を容量維持率として算出した。容量維持率が高いほど寿命特性が高いといえる。結果を寿命特性として表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、且つ複合粒子の表面に非晶質炭素を付与した以外は、実施例1と同様の方法で負極材及びリチウムイオン二次電池を作製した。
具体的には、実施例1と同様の方法で得た複合粒子100質量部とコールタールピッチ(軟化点90℃、残炭率(炭化率)50%)1質量部を混合した。次いで、混合物を窒素流通下、20℃/時間の昇温速度で1200℃まで昇温し、1200℃(焼成処理温度)にて1時間保持して、複合粒子の表面に非晶質炭素を付与した。
得られた負極材及びリチウムイオン二次電池の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1において、鱗片状人造黒鉛(体積平均粒子径:18μm)をメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)(体積平均粒子径:18μm)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で負極材及びリチウムイオン二次電池を作製した。負極材及びリチウムイオン二次電池の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例3において、複合粒子の表面に非晶質炭素を付与した以外は、実施例3と同様の方法で負極材及びリチウムイオン二次電池を作製した。複合粒子の表面への非晶質炭素の付与は、実施例2と同様の方法で行った。負極材及びリチウムイオン二次電池の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<比較例1>
90質量部の鱗片状人造黒鉛(体積平均粒子径:18μm)と10質量部の鱗片状天然黒鉛(体積平均粒子径:4μm)とを複合化処理せず、混合物を負極材として用い、実施例1と同様の方法でリチウムイオン二次電池を作製した。負極材及びリチウムイオン二次電池の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<比較例2>
90質量部のMCMB(体積平均粒子径:18μm)と10質量部の鱗片状天然黒鉛(体積平均粒子径:4μm)とを複合化処理せず、混合物を負極材として用い、実施例1と同様の方法でリチウムイオン二次電池を作製した。負極材及びリチウムイオン二次電池の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<比較例3>
90質量部の鱗片状人造黒鉛(体積平均粒子径:18μm)と10質量部の鱗片状天然黒鉛(体積平均粒子径:4μm)の混合物と、炭素前駆体として5質量部のコールタールピッチ(軟化点:98℃、残炭率:50質量%)を混合して混合物を得た。次いで混合物に対してアルゴン雰囲気において200℃/時間の昇温速度で25℃から900℃まで昇温し、900℃で1時間保持した後、自然冷却した。得られたサンプルをミキサーで解砕し、篩(350メッシュ、目開き45μm)分けした篩下分を負極材として用い、実施例1と同様の方法でリチウムイオン二次電池を作製した。負極材及びリチウムイオン二次電池の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<比較例4>
90質量部のMCMB(体積平均粒子径:18μm)と10質量部の鱗片状天然黒鉛(体積平均粒子径:4μm)の混合物と、炭素前駆体として5質量部のコールタールピッチ(軟化点:98℃、残炭率:50質量%)を混合して混合物を得た。次いで混合物に対して熱処理(Ar雰囲気において200℃/時間の昇温速度で25℃から900℃まで昇温し、900℃で1時間保持した後、自然冷却)を行った。熱処理後のサンプルをミキサーで解砕し、篩(350メッシュ、目開き45μm)分けした篩下分を負極材として、実施例1と同様の方法でリチウムイオン二次電池を作製した。負極材及びリチウムイオン二次電池の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
Figure 2023047223000001
表1の結果に示されるように、黒鉛粒子(A)の表面に黒鉛粒子(A)よりも結晶性の高い黒鉛粒子(B)が複合化される実施例の負極材を用いて作製したリチウムイオン二次電池は、黒鉛粒子(A)の表面に黒鉛粒子(B)が複合化されない比較例の負極材を用いて作製したリチウムイオン二次電池に比べ、レート特性(入力特性)に優れている。
また、実施例の負極材を用いて作製したリチウムイオン二次電池は、比較例の負極材を用いて作製したリチウムイオン二次電池と同程度に優れた寿命特性(耐久性)が維持されている。
A 黒鉛粒子(A)
B 黒鉛粒子(B)
C 複合粒子中の黒鉛粒子(A)の粒子径
D 複合粒子中の黒鉛粒子(B)の厚み

Claims (9)

  1. 黒鉛粒子(A)と、
    前記黒鉛粒子(A)の表面に複合化され、前記黒鉛粒子(A)よりも結晶性の高い黒鉛粒子(B)と、
    を有する複合粒子を含む、リチウムイオン二次電池用負極材。
  2. 前記黒鉛粒子(B)の平均粒子径(50%D)が、0.06μm~12.0μmである、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
  3. 前記複合粒子の表面の一部又は全体に前記黒鉛粒子(B)を含む層を有する、請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
  4. 前記複合粒子は、前記黒鉛粒子(A)の平均粒子径Cと、前記黒鉛粒子(B)を含む層の平均厚みDと、の関係が下記式Iを満たす、請求項3に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
    (1/100)×C≦D≦(30/100)×C 式I
  5. 前記複合粒子は、CuKα線によるX線回折パターンにおける、六方晶構造の(101)面の回折ピーク(P1)と菱面体晶構造の(101)面の回折ピーク(P2)との強度比(P2/P1)が、前記黒鉛粒子(A)よりも前記黒鉛粒子(B)で大きく、前記黒鉛粒子(A)では回折ピーク(P2)が観測されなくてもよい、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
  6. 前記複合粒子の体積平均粒子径(50%D)が、6μm~40μmである、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
  7. 77Kでの窒素吸着測定より求める前記複合粒子の比表面積が、0.5m/g~30m/gである、請求項1~請求項6に記載のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
  8. 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材を含む負極材層と、集電体と、を含む、リチウムイオン二次電池用負極。
  9. 請求項8に記載のリチウムイオン二次電池用負極を含むリチウムイオン二次電池。
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