JP2023046908A - レジスト組成物、レジストパターン形成方法、化合物及び酸拡散制御剤 - Google Patents

レジスト組成物、レジストパターン形成方法、化合物及び酸拡散制御剤 Download PDF

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Abstract

【課題】高感度化が図れ、CDUが良好なレジストパターンを形成することができるレジスト組成物の提供。【解決手段】基材成分(A)と、一般式(d0)で表される化合物(D0)とを含有する、レジスト組成物。式中、Rd0は、芳香環と脂環とが縮合した縮合環式基である。前記縮合環式基における脂環は、置換基を有し、前記置換基のうち、少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。Yd0は、2価の連結基又は単結合である。但し、Yd0は、前記縮合環式基における脂環と結合する。Mm+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。[化1]TIFF2023046908000113.tif24170【選択図】なし

Description

本発明は、レジスト組成物、レジストパターン形成方法、化合物及び酸拡散制御剤に関する。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。
このような要求を満たすレジスト材料として、従来、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分と、を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
レジストパターンの形成においては、露光により酸発生剤成分から発生する酸の挙動がリソグラフィー特性に大きな影響を与える一要素とされる。
これに対し、酸発生剤成分とともに、露光により該酸発生剤成分から発生する酸の拡散を制御する酸拡散制御剤を併有する化学増幅型レジスト組成物が提案されている。
例えば、特許文献1には、アニオン部が主として炭化水素からなる特定の嵩高い構造(ビシクロオクタン骨格)を有し、比較的に疎水性が高められた酸発生剤及び酸拡散制御剤が開示されている。特許文献1に記載の発明においては、主として、酸発生剤に比較的に疎水性が高められたアニオン部を有する化合物を採用することを手段としており、該化合物を含有するレジスト組成物によれば、レジストパターンの形成において高感度化が図れ、かつ、高解像度でラフネスが低減された良好な形状のレジストパターンを形成できることが開示されている。
特開2018-92159号公報
リソグラフィー技術のさらなる進歩、レジストパターンの微細化がますます進むなか、例えば、EUV(極端紫外線)やEB(電子線)によるリソグラフィーでは、数十nmの微細なパターン形成が目標とされる。このようにレジストパターン寸法が小さくなるほど、露光光源に対して高い感度を有しつつ、パターン寸法の面内均一性(CDU)が良好なレジストパターンが形成することのできるレジスト組成物が求められる。
また、露光光源について、特にEUVやEBは、ArFエキシマレーザーやKrFエキシマレーザーに比べて、感光に関与する光子数が少ないため、レジスト組成物の感度向上がより一層求められる。
しかしながら、上述したような特許文献1に記載の酸拡散制御剤を含有するレジスト組成物においては、アニオン部がビシクロオクタン骨格を含む多環構造であるため、疎水性向上により、酸拡散制御剤のレジスト膜中の均一性は高めることができるが、感度については、さらなる改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高感度化が図れ、CDUが良好なレジストパターンを形成することができるレジスト組成物、当該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法、当該レジスト組成物の酸拡散制御剤として有用である新規な化合物、及び当該化合物を用いた酸拡散制御剤を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)と、露光により発生する酸の拡散を制御する、酸拡散制御剤成分(D)とを含有し、前記酸拡散制御剤成分(D)は、下記一般式(d0)で表される化合物(D0)を含む、レジスト組成物である。
Figure 2023046908000001
[式中、Rdは、芳香環と脂環とが縮合した縮合環式基である。前記縮合環式基における脂環は、置換基を有し、前記置換基のうち、少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。Ydは、2価の連結基又は単結合である。但し、Ydは、前記縮合環式基における脂環と結合する。Mm+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。]
本発明の第2の態様は、支持体上に、前記第1の態様に係るレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を有するレジストパターン形成方法である。
本発明の第3の態様は、下記一般式(d0)で表される、化合物である。
Figure 2023046908000002
[式中、Rdは、芳香環と脂環とが縮合した縮合環式基である。前記縮合環式基における脂環は、置換基を有し、前記置換基のうち、少なくとも1個はヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。Ydは、2価の連結基又は単結合である。但し、Ydは、前記縮合環式基における脂環と結合する。Mm+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。]
本発明の第4の態様は、前記第3の態様に係る化合物を含む、酸拡散制御剤である。
本発明によれば、高感度化が図れ、CDUが良好なレジストパターンを形成することができるレジスト組成物、当該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法、当該レジスト組成物の酸拡散制御剤として有用である新規な化合物、及び当該化合物を用いた酸拡散制御剤を提供することができる。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有してもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、例えば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、例えばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(-SOH)等が挙げられる。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(例えばOH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
「酸解離性基」とは、(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物である。基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下「樹脂」、「高分子化合物」又は「ポリマー」という場合は、分子量が1000以上の重合体を示す。重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量を用いるものとする。
「誘導される構成単位」とは、炭素原子間の多重結合、例えば、エチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rαx)は、水素原子以外の原子又は基である。また、置換基(Rαx)がエステル結合を含む置換基で置換されたイタコン酸ジエステルや、置換基(Rαx)がヒドロキシアルキル基やその水酸基を修飾した基で置換されたαヒドロキシアクリルエステルも含むものとする。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルを、α置換アクリル酸エステルということがある。
「誘導体」とは、対象化合物のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよい対象化合物の水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよい対象化合物に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位とは、特に断りがない限り、官能基と隣接した1番目の炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、Rαxと同様のものが挙げられる。
本明細書及び本特許請求の範囲において、化学式で表される構造によっては、不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがある。その場合は一つの化学式でそれら異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
(レジスト組成物)
本実施形態のレジスト組成物は、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するものである。
かかるレジスト組成物は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下「(A)成分」ともいう)と、露光により発生する酸の拡散を制御する、酸拡散制御剤成分(D)(以下「(D)成分」ともいう)とを含有する。
本実施形態のレジスト組成物においては、(A)成分が露光により酸を発生してもよいし、(A)成分とは別に配合された添加剤成分が露光により酸を発生してもよい。
本実施形態のレジスト組成物は、具体的には、(1)露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という)をさらに含有するものであってもよく;(2)(A)成分が露光により酸を発生する成分であってもよく;(3)(A)成分が露光により酸を発生する成分であり、かつ、さらに(B)成分を含有するものであってもよい。
すなわち、上記(2)及び(3)の場合、(A)成分は、「露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分」となる。(A)成分が露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分である場合、後述する(A1)成分が、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、露光により酸を発生する構成単位を有する高分子化合物を用いることができる。露光により酸を発生する構成単位としては、公知のものを用いることができる。
本実施形態のレジスト組成物は、上記の中でも、上記(1)の場合であるものが好ましい。すなわち、本実施形態のレジスト組成物は、(A)成分と、(B)成分と、(D)成分とを含有するものであることが好ましい。
本実施形態のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、該レジスト膜の露光部では、例えば、(B)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、該レジスト膜の未露光部では(A)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため、該レジスト膜を現像すると、該レジスト組成物がポジ型の場合はレジスト膜露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンが形成され、該レジスト組成物がネガ型の場合はレジスト膜未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
本明細書においては、レジスト膜露光部が溶解除去されてポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をポジ型レジスト組成物といい、レジスト膜未露光部が溶解除去されてネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をネガ型レジスト組成物という。本実施形態のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよい。また、本実施形態のレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
<(A)成分>
本実施形態のレジスト組成物において、(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分(A1)(以下「(A1)成分」ともいう)を含むことが好ましい。(A1)成分を用いることにより、露光前後で基材成分の極性が変化するため、アルカリ現像プロセスだけでなく、溶剤現像プロセスにおいても、良好な現像コントラストを得ることができる。
(A)成分としては、該(A1)成分とともに他の高分子化合物及び/又は低分子化合物を併用してもよい。
本実施形態のレジスト組成物において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
・(A1)成分について
(A1)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂成分である。
(A1)成分としては、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有するものが好ましい。
(A1)成分は、構成単位(a1)に加え、必要に応じてその他構成単位を有するものでもよい。
≪構成単位(a1)≫
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
酸解離性基としては、これまで、化学増幅型レジスト組成物用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものが挙げられる。
化学増幅型レジスト組成物用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものとして具体的には、以下に説明する「アセタール型酸解離性基」、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」、「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」が挙げられる。
アセタール型酸解離性基:
前記極性基のうちカルボキシ基または水酸基を保護する酸解離性基としては、例えば、下記一般式(a1-r-1)で表される酸解離性基(以下「アセタール型酸解離性基」ということがある。)が挙げられる。
Figure 2023046908000003
[式中、Ra’、Ra’は水素原子またはアルキル基である。Ra’は炭化水素基であって、Ra’は、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成してもよい。]
式(a1-r-1)中、Ra’及びRa’のうち、少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、両方が水素原子であることがより好ましい。
Ra’又はRa’がアルキル基である場合、該アルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましい。具体的には、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基またはエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(a1-r-1)中、Ra’の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は環状の炭化水素基が挙げられる。
該直鎖状のアルキル基は、炭素原子数が1~5であることが好ましく、炭素原子数が1~4がより好ましく、炭素原子数1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn-ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素原子数が3~10であることが好ましく、炭素原子数3~5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、2,2-ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
Ra’が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Ra’の環状の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素原子数は5~30であることが好ましく、炭素原子数5~20がより好ましく、炭素原子数6~15がさらに好ましく、炭素原子数6~12が特に好ましい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
Ra’における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素原子数は、1~4であることが好ましく、炭素原子数1~2であることがより好ましく、炭素原子数1であることが特に好ましい。
Ra’における環状の炭化水素基は、置換基を有してもよい。この置換基としては、例えば、-RP1、-RP2-O-RP1、-RP2-CO-RP1、-RP2-CO-ORP1、-RP2-O-CO-RP1、-RP2-OH、-RP2-CN又は-RP2-COOH(以下これらの置換基をまとめて「Rax5」ともいう。)等が挙げられる。
ここで、RP1は、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基、炭素原子数3~20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基又は炭素原子数6~30の1価の芳香族炭化水素基である。また、RP2は、単結合、炭素原子数1~10の2価の鎖状飽和炭化水素基、炭素原子数3~20の2価の脂肪族環状飽和炭化水素基又は炭素原子数6~30の2価の芳香族炭化水素基である。但し、RP1及びRP2の鎖状飽和炭化水素基、脂肪族環状飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基の有する水素原子の一部又は全部はフッ素原子で置換されていてもよい。上記脂肪族環状炭化水素基は、上記置換基を1種単独で1つ以上有していてもよいし、上記置換基のうち複数種を各1つ以上有していてもよい。
炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
炭素原子数3~20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環式脂肪族飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニル基、アダマンチル基等の多環式脂肪族飽和炭化水素基が挙げられる。
炭素原子数6~30の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環から水素原子1個を除いた基が挙げられる。
Ra’が、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成する場合、該環式基としては、4~7員環が好ましく、4~6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
第3級アルキルエステル型酸解離性基:
上記極性基のうち、カルボキシ基を保護する酸解離性基としては、例えば、下記一般式(a1-r-2)で表される酸解離性基が挙げられる。
なお、下記式(a1-r-2)で表される酸解離性基のうち、アルキル基により構成されるものを、以下、便宜上「第3級アルキルエステル型酸解離性基」ということがある。
Figure 2023046908000004
[式中、Ra’~Ra’はそれぞれ炭化水素基であって、Ra’、Ra’は互いに結合して環を形成してもよい。]
Ra’の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、鎖状もしくは環状のアルケニル基、又は、環状の炭化水素基が挙げられる。
Ra’における直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、環状の炭化水素基(単環式基である脂肪族炭化水素基、多環式基である脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)は、前記Ra’と同様のものが挙げられる。
Ra’における鎖状もしくは環状のアルケニル基は、炭素原子数2~10のアルケニル基が好ましい。
Ra’、Ra’の炭化水素基としては、前記Ra’と同様のものが挙げられる。
Ra’とRa’とが互いに結合して環を形成する場合、下記一般式(a1-r2-1)で表される基、下記一般式(a1-r2-2)で表される基、下記一般式(a1-r2-3)で表される基が好適に挙げられる。
一方、Ra’~Ra’が互いに結合せず、独立した炭化水素基である場合、下記一般式(a1-r2-4)で表される基が好適に挙げられる。
Figure 2023046908000005
[式(a1-r2-1)中、Ra’10は、一部がハロゲン原子又はヘテロ原子含有基で置換されていてもよい直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1~12のアルキル基を示す。Ra’11はRa’10が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基を示す。式(a1-r2-2)中、Yaは炭素原子である。Xaは、Yaと共に環状の炭化水素基を形成する基である。この環状の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Ra101~Ra103は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基又は炭素原子数3~20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基である。この鎖状飽和炭化水素基及び脂肪族環状飽和炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Ra101~Ra103の2つ以上が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。式(a1-r2-3)中、Yaaは炭素原子である。Xaaは、Yaaと共に脂肪族環式基を形成する基である。Ra104は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。式(a1-r2-4)中、Ra’12及びRa’13は、それぞれ独立に、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基又は水素原子である。この鎖状飽和炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Ra’14は、置換基を有してもよい炭化水素基である。*は結合手を示す。]
上記の式(a1-r2-1)中、Ra’10は、一部がハロゲン原子もしくはヘテロ原子含有基で置換されていてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素原子数1~12のアルキル基である。
Ra’10における、直鎖状のアルキル基としては、炭素原子数1~12であり、炭素原子数1~10が好ましく、炭素原子数1~5が特に好ましい。
Ra’10における、分岐鎖状のアルキル基としては、前記Ra’と同様のものが挙げられる。
Ra’10におけるアルキル基は、一部がハロゲン原子もしくはヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。例えば、アルキル基を構成する水素原子の一部が、ハロゲン原子又はヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。また、アルキル基を構成する炭素原子(メチレン基など)の一部が、ヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。
ここでいうヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が挙げられる。ヘテロ原子含有基としては、(-O-)、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-O-等が挙げられる。
式(a1-r2-1)中、Ra’11(Ra’10が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族環式基)は、式(a1-r-1)におけるRa’の単環式基又は多環式基である脂肪族炭化水素基(脂環式炭化水素基)として挙げた基が好ましい。その中でも、単環式の脂環式炭化水素基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基がより好ましい。
式(a1-r2-2)中、XaがYaと共に形成する環状の炭化水素基としては、前記式(a1-r-1)中のRa’における環状の1価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基)から水素原子1個以上をさらに除いた基が挙げられる。
XaがYaと共に形成する環状の炭化水素基は、置換基を有してもよい。この置換基としては、上記Ra’における環状の炭化水素基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
式(a1-r2-2)中、Ra101~Ra103における、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
Ra101~Ra103における、炭素原子数3~20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環式脂肪族飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニル基、アダマンチル基等の多環式脂肪族飽和炭化水素基等が挙げられる。
Ra101~Ra103は、中でも、合成容易性の観点から、水素原子、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基が好ましく、その中でも、水素原子、メチル基、エチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
上記Ra101~Ra103で表される鎖状飽和炭化水素基、又は脂肪族環状飽和炭化水素基が有する置換基としては、例えば、上述のRax5と同様の基が挙げられる。
Ra101~Ra103の2つ以上が互いに結合して環状構造を形成することにより生じる炭素-炭素二重結合を含む基としては、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、シクロペンチリデンエテニル基、シクロへキシリデンエテニル基等が挙げられる。これらの中でも、合成容易性の観点から、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロペンチリデンエテニル基が好ましい。
式(a1-r2-3)中、XaaがYaaと共に形成する脂肪族環式基は、式(a1-r-1)におけるRa’の単環式基又は多環式基である脂肪族炭化水素基として挙げた基が好ましい。
式(a1-r2-3)中、Ra104における芳香族炭化水素基としては、炭素原子数5~30の芳香族炭化水素環から水素原子1個以上を除いた基が挙げられる。中でも、Ra104は、炭素原子数6~15の芳香族炭化水素環から水素原子1個以上を除いた基が好ましく、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン又はフェナントレンから水素原子1個以上を除いた基がより好ましく、ベンゼン、ナフタレン又はアントラセンから水素原子1個以上を除いた基がさらに好ましく、ベンゼン又はナフタレンから水素原子1個以上を除いた基が特に好ましく、ベンゼンから水素原子1個以上を除いた基が最も好ましい。
式(a1-r2-3)中のRa104が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
式(a1-r2-4)中、Ra’12及びRa’13は、それぞれ独立に、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基又は水素原子である。Ra’12及びRa’13における、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基としては、上記のRa101~Ra103における、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基と同様のものが挙げられる。この鎖状飽和炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。
Ra’12及びRa’13は、中でも、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記Ra’12及びRa’13で表される鎖状飽和炭化水素基が置換されている場合、その置換基としては、例えば、上述のRax5と同様の基が挙げられる。
式(a1-r2-4)中、Ra’14は、置換基を有してもよい炭化水素基である。Ra’14における炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は環状の炭化水素基が挙げられる。
Ra’14における直鎖状のアルキル基は、炭素原子数が1~5であることが好ましく、1~4がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基又はn-ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
Ra’14における分岐鎖状のアルキル基は、炭素原子数が3~10であることが好ましく、3~5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、2,2-ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
Ra’14が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Ra’14における芳香族炭化水素基としては、Ra104における芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。中でも、Ra’14は、炭素原子数6~15の芳香族炭化水素環から水素原子1個以上を除いた基が好ましく、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン又はフェナントレンから水素原子1個以上を除いた基がより好ましく、ベンゼン、ナフタレン又はアントラセンから水素原子1個以上を除いた基がさらに好ましく、ナフタレン又はアントラセンから水素原子1個以上を除いた基が特に好ましく、ナフタレンから水素原子1個以上を除いた基が最も好ましい。
Ra’14が有していてもよい置換基としては、Ra104が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
式(a1-r2-4)中のRa’14がナフチル基である場合、前記式(a1-r2-4)における第3級炭素原子と結合する位置は、ナフチル基の1位又は2位のいずれであってもよい。
式(a1-r2-4)中のRa’14がアントリル基である場合、前記式(a1-r2-4)における第3級炭素原子と結合する位置は、アントリル基の1位、2位又は9位のいずれであってもよい。
前記式(a1-r2-1)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2023046908000006
Figure 2023046908000007
Figure 2023046908000008
前記式(a1-r2-2)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2023046908000009
Figure 2023046908000010
Figure 2023046908000011
前記式(a1-r2-3)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2023046908000012
前記式(a1-r2-4)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2023046908000013
第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基:
前記極性基のうち水酸基を保護する酸解離性基としては、例えば、下記一般式(a1-r-3)で表される酸解離性基(以下便宜上「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
Figure 2023046908000014
[式中、Ra’~Ra’はそれぞれアルキル基である。]
式(a1-r-3)中、Ra’~Ra’は、それぞれ炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~3のアルキル基がより好ましい。
また、各アルキル基の合計の炭素原子数は、3~7であることが好ましく、炭素原子数3~5であることがより好ましく、炭素原子数3~4であることが最も好ましい。
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位、アクリルアミドから誘導される構成単位、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の-C(=O)-OHにおける水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、上記のなかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a1)の好ましい具体例としては、下記一般式(a1-1)又は(a1-2)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2023046908000015
[式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。Vaは、エーテル結合を有していてもよい2価の炭化水素基である。na1は、0~2の整数である。Raは、上記の一般式(a1-r-1)又は(a1-r-2)で表される酸解離性基である。Waはna2+1価の炭化水素基であり、na2は1~3の整数であり、Raは上記の一般式(a1-r-1)又は(a1-r-3)で表される酸解離性基である。]
前記式(a1-1)中、Rの炭素原子数1~5のアルキル基は、炭素原子数1~5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素原子数1~5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
前記式(a1-1)中、Vaにおける2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
Vaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が1~10であることが好ましく、炭素原子数1~6がより好ましく、炭素原子数1~4がさらに好ましく、炭素原子数1~3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]、ペンタメチレン基[-(CH-]等が挙げられる。
前記分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が2~10であることが好ましく、炭素原子数3~6がより好ましく、炭素原子数3又は4がさらに好ましく、炭素原子数3が最も好ましい。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、前記直鎖状の脂肪族炭化水素基または前記分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素原子数が3~20であることが好ましく、炭素原子数3~12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素原子数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Vaにおける2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
かかる芳香族炭化水素基は、炭素原子数が3~30であることが好ましく、5~30であることがより好ましく、5~20がさらに好ましく、6~15が特に好ましく、6~12が最も好ましい。ただし、該炭素原子数には、置換基における炭素原子数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素原子数は、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記式(a1-1)中、Raは、上記式(a1-r-1)又は(a1-r-2)で表される酸解離性基である。
前記式(a1-2)中、Waにおけるna2+1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、或いは直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と構造中に環を含む脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基が挙げられる。
前記na2+1価は、2~4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
前記式(a1-2)中、Raは、上記の一般式(a1-r-1)又は(a1-r-3)で表される酸解離性基である。
以下に前記式(a1-1)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2023046908000016
Figure 2023046908000017
Figure 2023046908000018
Figure 2023046908000019
Figure 2023046908000020
Figure 2023046908000021
Figure 2023046908000022
Figure 2023046908000023
(A1)成分が有する構成単位(a1)は、1種でもよく2種以上でもよい。
構成単位(a1)としては、電子線やEUVによるリソグラフィーでの特性(感度、形状等)をより高められやすいことから、前記式(a1-1)で表される構成単位がより好ましい。
この中でも、構成単位(a1)としては、下記一般式(a1-1-1)で表される構成単位を含むものが特に好ましい。
Figure 2023046908000024
[式中、Ra”は、一般式(a1-r2-1)、(a1-r2-3)又は(a1-r2-4)で表される酸解離性基である。*は結合手を示す。]
前記式(a1-1-1)中、R、Va及びna1は、前記式(a1-1)中のR、Va及びna1と同様である。
一般式(a1-r2-1)、(a1-r2-3)又は(a1-r2-4)で表される酸解離性基についての説明は、上述の通りである。中でも、EB用又はEUV用において反応性を高められて好適なことから、酸解離性基が環式基であるものを選択することが好ましい。
前記式(a1-1-1)中、Ra”は、上記の中でも、一般式(a1-r2-1)で表される酸解離性基であることが好ましい。
(A1)成分中の構成単位(a1)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、5~95モル%が好ましく、10~90モル%がより好ましく、30~70モル%がさらに好ましく、40~60モル%が特に好ましい。
構成単位(a1)の割合を、前記の好ましい範囲の下限値以上とすることによって、感度、CDU、解像性、ラフネス改善等のリソグラフィー特性が向上する。一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、他の構成単位とのバランスを取ることができ、種々のリソグラフィー特性が良好となる。
≪その他構成単位≫
(A1)成分は、上述した構成単位(a1)に加え、必要に応じてその他構成単位を有するものでもよい。
その他構成単位としては、例えば、後述の一般式(a10-1)で表される構成単位(a10);ラクトン含有環式基を含む構成単位(a2);後述の一般式(a8-1)で表される化合物から誘導される構成単位(a8)などが挙げられる。
構成単位(a10)について:
構成単位(a10)は、下記一般式(a10-1)で表される構成単位である。
Figure 2023046908000025
[式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。Yax1は、単結合又は2価の連結基である。Wax1は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。nax1は、1以上の整数である。]
前記式(a10-1)中、Rは、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。
Rとしては、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
前記式(a10-1)中、Yax1は、単結合又は2価の連結基である。
前記の化学式中、Yax1における2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有してもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
Yax1としては、単結合、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]、エーテル結合(-O-)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又はこれらの組合せであることが好ましく、単結合、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]がより好ましい。
前記式(a10-1)中、Wax1は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。
Wax1における芳香族炭化水素基としては、置換基を有してもよい芳香環から(nax1+1)個の水素原子を除いた基が挙げられる。ここでの芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されない。芳香環の炭素原子数は5~30であることが好ましく、炭素原子数5~20がより好ましく、炭素原子数6~15がさらに好ましく、炭素原子数6~12が特に好ましい。該芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
また、Wax1における芳香族炭化水素基としては、2以上の置換基を有してもよい芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から(nax1+1)個の水素原子を除いた基も挙げられる。
上記の中でも、Wax1としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンまたはビフェニルから(nax1+1)個の水素原子を除いた基が好ましく、ベンゼン又はナフタレンから(nax1+1)個の水素原子を除いた基がより好ましく、ベンゼンから(nax1+1)個の水素原子を除いた基がさらに好ましい。
Wax1における芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよく、有していなくてもよい。前記置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。前記置換基としてのアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基としては、Yax1における環状の脂肪族炭化水素基の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。前記置換基は、炭素原子数1~5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、エチル基又はメチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。Wax1における芳香族炭化水素基は、置換基を有していないことが好ましい。
前記式(a10-1)中、nax1は、1以上の整数であり、1~10の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1、2又は3がさらに好ましく、1又は2が特に好ましい。
以下に、前記式(a10-1)で表される構成単位(a10)の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2023046908000026
Figure 2023046908000027
Figure 2023046908000028
(A1)成分が有する構成単位(a10)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a10)を有する場合、(A1)成分中の構成単位(a10)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、5~95モル%が好ましく、10~90モル%がより好ましく、30~70モル%がさらに好ましく、40~60モル%が特に好ましい。
構成単位(a10)の割合を下限値以上とすることにより、感度がより高められやすくなる。一方、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
構成単位(a2)について:
(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を含む構成単位(a2)(但し、構成単位(a1)に該当するものを除く)を有するものでもよい。
構成単位(a2)のラクトン含有環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高める上で有効なものである。また、構成単位(a2)を有することで、例えば酸拡散長を適切に調整する、レジスト膜の基板への密着性を高める、現像時の溶解性を適切に調整する等の効果により、リソグラフィー特性等が良好となる。
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に-O-C(=O)-を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
構成単位(a2)におけるラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2023046908000029
[式中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、又は、ラクトン含有環式基であり;A”は酸素原子(-O-)もしくは硫黄原子(-S-)を含んでいてもよい炭素原子数1~5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0~2の整数であり、m’は0または1である。*は結合手を示す。]
前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)中、Ra’21におけるアルキル基としては、炭素原子数1~6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Ra’21におけるアルコキシ基としては、炭素原子数1~6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(-O-)とが連結した基が挙げられる。
Ra’21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
Ra’21におけるハロゲン化アルキル基としては、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
Ra’21における-COOR”、-OC(=O)R”において、R”はいずれも水素原子、アルキル基、又は、ラクトン含有環式基である。
R”におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、炭素原子数は1~15が好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素原子数1~10であることが好ましく、炭素原子数1~5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素原子数3~15であることが好ましく、炭素原子数4~12であることがさらに好ましく、炭素原子数5~10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
R”におけるラクトン含有環式基としては、前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基と同様のものが挙げられる。
Ra’21におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素原子数が1~6であるものが好ましく、具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
Ra’21としては、上記の中でも、それぞれ独立に水素原子又はシアノ基であることが好ましい。
前記一般式(a2-r-2)、(a2-r-3)、(a2-r-5)中、A”における炭素原子数1~5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に-O-または-S-が介在する基が挙げられ、例えば、-O-CH-、-CH-O-CH-、-S-CH-、-CH-S-CH-等が挙げられる。A”としては、炭素原子数1~5のアルキレン基または-O-が好ましく、炭素原子数1~5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
下記に一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 2023046908000030
Figure 2023046908000031
構成単位(a2)としては、なかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a2)は、下記一般式(a2-1)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2023046908000032
[式中、Rは水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。Ya21は単結合または2価の連結基である。La21は-O-、-COO-、-CON(R’)-、-OCO-、-CONHCO-又は-CONHCS-であり、R’は水素原子またはメチル基を示す。ただしLa21が-O-の場合、Ya21は-CO-にはならない。Ra21はラクトン含有環式基である。]
前記式(a2-1)中、Rは前記と同じである。Rとしては、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
前記式(a2-1)中、Ya21における2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有してもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適に挙げられる。
Ya21としては、単結合、エステル結合[-C(=O)-O-]、エーテル結合(-O-)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又はこれらの組合せであることが好ましい。
前記式(a2-1)中、Ra21はラクトン含有環式基である。
Ra21におけるラクトン含有環式基としてはそれぞれ、前述した一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基が好適に挙げられる。
中でも、前記一般式(a2-r-1)、(a2-r-2)、又は(a2-r-6)でそれぞれ表される基が好ましく、前記一般式(a2-r-2)で表される基がより好ましい。具体的には、前記化学式(r-lc-1-1)~(r-lc-1-7)、(r-lc-2-1)~(r-lc-2-18)、(r-lc-6-1)でそれぞれ表される、いずれかの基が好ましく、前記化学式(r-lc-2-1)~(r-lc-2-18)でそれぞれ表される、いずれかの基がより好ましく、前記化学式(r-lc-2-1)、(r-lc-2-12)でそれぞれ表される、いずれかの基がさらに好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a2)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、5~60モル%であることが好ましく、10~60モル%であることがより好ましく、20~60モル%であることがさらに好ましく、30~60モル%が特に好ましい。
構成単位(a2)の割合を好ましい下限値以上とすると、前述した効果によって、構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスを取ることができ、種々のリソグラフィー特性が良好となる。
構成単位(a8)について:
構成単位(a8)は、下記一般式(a8-1)で表される化合物から誘導される構成単位である。
Figure 2023046908000033
[式中、Wは、重合性基含有基である。Yax2は、単結合又は(nax2+1)価の連結基である。Yax2とWとは縮合環を形成していてもよい。Rは炭素数1~12のフッ素化アルキル基である。Rはフッ素原子を有してもよい炭素数1~12の有機基又は水素原子である。R及びYax2は、相互に結合して相互に結合して環構造を形成していてもよい。nax2は、1~3の整数である。]
の重合性基含有基における「重合性基」とは、重合性基を有する化合物がラジカル重合等により重合することを可能とする基であり、例えばエチレン性二重結合などの炭素原子間の多重結合を含む基をいう。
重合性基含有基としては、重合性基のみから構成される基でもよいし、重合性基と該重合性基以外の他の基とから構成される基でもよい。該重合性基以外の他の基としては、置換基を有してもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。
重合性基含有基としては、例えば、化学式:C(RX11)(RX12)=C(RX13)-Yax0-で表される基が好適に挙げられる。
この化学式中、RX11、RX12及びRX13は、それぞれ、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基であり、Yax0は、単結合または2価の連結基である。
Yax2とWとが形成する縮合環としては、W部位の重合性基とYax2とが形成する縮合環、W部位の重合性基以外の他の基とYax2とが形成する縮合環が挙げられる。
Yax2とWとが形成する縮合環は、置換基を有してもよい。
以下に、構成単位(a8)の具体例を示す。
下記の式中、Rαは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2023046908000034
上記例示の中でも、構成単位(a8)は、化学式(a8-1-01)~(a8-1-04)、(a8-1-06)、(a8-1-08)、(a8-1-09)、及び、(a8-1-10)でそれぞれ表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、化学式(a8-1-01)~(a8-1-04)、(a8-1-09)でそれぞれ表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a8)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a8)を有する場合、構成単位(a8)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、1~50モル%であることが好ましく、5~45モル%であることがより好ましく、5~40モル%であることがさらに好ましい。
構成単位(a8)の割合を好ましい下限値以上とすることにより、現像液、リンス液との親和性を高めることができる。一方、好ましい上限値以下であると、他の構成単位とのバランスを取ることができ、種々のリソグラフィー特性が良好となる。
レジスト組成物が含有する(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のレジスト組成物において、(A1)成分は、構成単位(a1)の繰り返し構造を有する高分子化合物が挙げられ、好ましくは構成単位(a1)と構成単位(a10)との繰り返し構造を有する高分子化合物が挙げられる。
(A1)成分としては、上記の中でも、構成単位(a1)と構成単位(a10)との繰り返し構造からなる高分子化合物が好適に挙げられる。
構成単位(a1)と構成単位(a10)との繰り返し構造を有する高分子化合物において、構成単位(a1)の割合は、該高分子化合物を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、10~90モル%が好ましく、20~80モル%がより好ましく、30~70モル%がさらに好ましく、40~60モル%が特に好ましい。
また、該高分子化合物中の構成単位(a10)の割合は、該高分子化合物を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、10~90モル%が好ましく、20~80モル%がより好ましく、30~70モル%がさらに好ましく、40~60モル%が特に好ましい。
該高分子化合物における構成単位(a1)と構成単位(a10)とのモル比(構成単位(a1):構成単位(a2))は、2:8~8:2であることが好ましく、3:7~7:3であることがより好ましく、4:6~6:4であることがさらに好ましい。
かかる(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを重合溶媒に溶解し、ここに、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチル(例えばV-601など)等のラジカル重合開始剤を加えて重合することにより製造することができる。
あるいは、かかる(A1)成分は、構成単位(a1)を誘導するモノマーと、必要に応じて構成単位(a1)以外の構成単位(例えば、構成単位(a10))を誘導するモノマーと、を重合溶媒に溶解し、ここに、上記のようなラジカル重合開始剤を加えて重合し、その後、脱保護反応を行うことにより製造することができる。
なお、重合の際に、例えば、HS-CH-CH-CH-C(CF-OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に-C(CF-OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
(A1)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000~50000が好ましく、2000~30000がより好ましく、3000~20000がさらに好ましい。
(A1)成分のMwがこの範囲の好ましい上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の好ましい下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(A1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0~4.0が好ましく、1.0~3.0がより好ましく、1.0~2.0が特に好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
・(A2)成分について
本実施形態のレジスト組成物は、(A)成分として、前記(A1)成分に該当しない、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(以下「(A2)成分」という。)を併用してもよい。
(A2)成分としては、特に限定されず、化学増幅型レジスト組成物用の基材成分として従来から知られている多数のものから任意に選択して用いればよい。
(A2)成分は、高分子化合物又は低分子化合物の1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、高感度化や解像性、ラフネス改善などの種々のリソグラフィー特性に優れたレジストパターンが形成されやすくなる。
本実施形態のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
<酸拡散制御剤成分(D)>
本実施形態のレジスト組成物は、(A)成分に加えて、さらに、酸拡散制御剤成分(D)を含有する。
(D)成分は、下記一般式(d0)で表される化合物(D0)(以下「(D0)成分」ともいう)を含む。
Figure 2023046908000035
[式中、Rdは、芳香環と脂環とが縮合した縮合環式基である。前記縮合環式基における脂環は、置換基を有し、前記置換基のうち、少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。Ydは、2価の連結基又は単結合である。但し、Ydは、前記縮合環式基における脂環と結合する。Mm+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。]
{(D0)成分のアニオン部}
上記式(d0)中、Rdは、芳香環と脂環とが縮合した縮合環式基である。
該芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素原子数は5~30であることが好ましく、炭素原子数5~20がより好ましく、炭素原子数6~15がさらに好ましく、炭素原子数6~14が特に好ましい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
該脂環は、単環式でも多環式でもよい。脂環の炭素原子数は4~30であることが好ましく、炭素原子数4~20がより好ましく、炭素原子数4~15がさらに好ましく、炭素原子数4~10が特に好ましい。
脂環として具体的には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の単環の脂肪族環;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の多環の脂肪族環;該単環又は多環の脂環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された脂肪族複素環等が挙げられる。脂肪族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。脂肪族複素環として具体的には、テトラヒドロピラン環、チアン環、ピペリジン環等が挙げられる。
Rdにおける縮合環式基は、1つの脂環に1つの芳香環が縮合していてもよく、1つの脂環に2つ以上の芳香環が縮合していてもよく、1つの芳香環に2つ以上の脂環が縮合していてもよく、脂環と芳香環とが繰返し縮合されていてもよい。また、複数の脂環及び複数の芳香環が縮合している場合には、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
Rdにおける縮合環式基は、上記の中でも、1つの脂環に1つの芳香環が縮合した縮合環式基、又は、1つの脂環に2つ以上の芳香環が縮合した縮合環式基であることが好ましく、1つの単環の脂肪族環に1つの芳香族炭化水素環が縮合した縮合環式基、又は、1つの単環の脂肪族環に2つ以上の芳香族炭化水素環が縮合した縮合環式基であることがより好ましく、1つの単環の脂肪族環に2つの芳香族炭化水素環が縮合した縮合環式基であることがさらに好ましい。
Rdにおける縮合環式基として、具体的には、フルオレン;架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンに、1個以上の芳香環が縮合したもの等が挙げられる。前記架橋環系ポリシクロアルカンの具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナン)、ビシクロ[2.2.2]オクタン等のビシクロアルカンが挙げられる。
Rdにおける縮合環式基として、より具体的には、ビシクロアルカンに2個又は3個の芳香環が縮合した縮合環式基が好ましく、ビシクロ[2.2.2]オクタンに2個又は3個の芳香環が縮合した縮合環式基がより好ましい。
Rdにおける縮合環式基の具体例としては、下記式(r-br-1)~(r-br-2)で表される基が挙げられる。式中*は、上記一般式(d0)中のYdに結合する結合手を表す。
Figure 2023046908000036
上記一般式(d0)中、Rdにおける縮合環式基は、上記の中でも、ビシクロアルカンに2個又は3個の芳香環が縮合した縮合環式基が好ましく、ビシクロ[2.2.2]オクタンに2個又は3個の芳香環が縮合した縮合環式基がより好ましく、上記式(r-br-1)~(r-br-2)で表される基がさらに好ましい。
上記一般式(d0)中、Rdの縮合環式基における脂環は、置換基を有し、前記置換基のうち、少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。
臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基における炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、環状の炭化水素基が挙げられる。
該直鎖状のアルキル基は、炭素原子数が1~5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素原子数が3~10であることが好ましく、3~5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、2,2-ジメチルブチル基等が挙げられる。
該環状の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
該環状の炭化水素基としては、上記Rdの縮合環式基における芳香環又は脂環から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。
臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基における炭化水素基としては、上記の中でも、環状の炭化水素基であることが好ましく、芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
該炭化水素基は、臭素原子、及び、ヨウ素原子以外の置換基を1種以上有してもよい。該置換基としては、アルキル基、フッ素原子、塩素原子、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、及び、ニトロ基等が挙げられる。
また、該炭化水素基は、該炭化水素基を構成する炭素原子(メチレン基など)の一部が、ヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。
ここでいうヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が挙げられる。ヘテロ原子含有基としては、(-O-)、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-O-等が挙げられる。
該炭化水素基は、臭素原子及びヨウ素原子を有するものでもよい。すなわち、Rdの縮合環式基における脂環は、臭素原子及びヨウ素原子をいずれも有する炭化水素基を有していてもよい。
該炭化水素基が有する臭素原子及びヨウ素原子の合計数は、1~3の整数であることが好ましく、2又は3であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。
該炭化水素基が有する臭素原子及びヨウ素原子の合計数が多くなるほど、レジストパターン形成において高感度化が図れる傾向がある。
Rdの縮合環式基における脂環が有する置換基として、具体的には、下記一般式(X-1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2023046908000037
[式中、X01は、単結合又は2価の連結基である。R 01は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基である。式中*は、式(d0)中のRdの縮合環式基における脂環に結合する結合手を表す。]
上記一般式(X-1)中、X01は、2価の連結基である。2価の連結基としては、酸素原子を含む2価の連結基が好適に挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、例えば、酸素原子(エーテル結合:-O-)、エステル結合(-C(=O)-O-)、オキシカルボニル基(-O-C(=O)-)、アミド結合(-C(=O)-NH-)、カルボニル基(-C(=O)-)、カーボネート結合(-O-C(=O)-O-)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。この組み合わせに、さらにスルホニル基(-SO-)が連結されていてもよい。
該アルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]、ペンタメチレン基[-(CH-]等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキレン基としては、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。
また、X01としては、-N(R)-C(=O)-、-N(R)-、-C(R)(R)-N(R)-、-C(R)(N(R)(R))-、-C(=O)-N(R)-、又は、これらの基のいずれかとアルキレン基との組み合わせの基であってもよい。なお、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。
上記一般式(X-1)中、X01は、-O-、-OCO-、-COO-、又は、これらの基のいずれかとアルキレン基との組み合わせの基であることが好ましく、-OCO-、-COO-、又は、-OCO-若しくは-COO-とアルキレン基との組み合わせの基であることがより好ましく、-COO-であることがさらに好ましい。
なお、X01の具体例について、各連結基の表記と、一般式(X-1)中の構造とは一致する。すなわち、例えば、-COO-については、-COO-中の炭素原子と結合するのが、Rdの縮合環式基における脂環の炭素原子である。また、-COO-中の酸素原子と結合するのが、一般式(X-1)中のR 01である。
上記一般式(X-1)中、R 01は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基であり、該炭化水素基は、上述した臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基における炭化水素基と同様のものが挙げられる。
上記一般式(X-1)中、R 01は、上記の中でも、臭素原子を有する芳香族炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する芳香族炭化水素基であることが好ましく、臭素原子を有するフェニル基若しくはナフチル基、又は、ヨウ素原子を有するフェニル基若しくはナフチル基であることがより好ましく、臭素原子を有するフェニル基、又は、ヨウ素原子を有するフェニル基であることがさらに好ましい。
上記一般式(X-1)中、R 01は、臭素原子及びヨウ素原子をいずれも有する炭化水素基であってもよい。
該炭化水素基が有する臭素原子及びヨウ素原子の合計数は、1~3の整数であることが好ましく、2又は3であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。
該炭化水素基が有する臭素原子及びヨウ素原子の合計数が多くなるほど、レジストパターン形成において高感度化が図れる傾向がある。
上記炭化水素基(芳香族炭化水素基)は、臭素原子及びヨウ素原子以外の置換基を有していてもよい。上記炭化水素基(芳香族炭化水素基)が、臭素原子及びヨウ素原子以外の置換基を有する場合、該置換基は、炭素原子数1~5のアルキル基、フッ素原子、又は、ヒドロキシ基であることが好ましい。
上記一般式(d0)中、Ydは、2価の連結基又は単結合である。但し、Ydは、前記縮合環式基における脂環と結合する。
Ydにおける2価の連結基としては、酸素原子を含む2価の連結基が好適に挙げられる。
Ydが酸素原子を含む2価の連結基である場合、該Ydは、酸素原子以外の原子を含んでもよい。酸素原子以外の原子としては、例えば、炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、例えば、上述したX01における酸素原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
Ydとしては、エステル結合を含む2価の連結基、又は、エーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、下記一般式(y-d0-1)又は(y-d0-2)で表される連結基がより好ましい。
Figure 2023046908000038
[式中、Yd001及びYd002は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1~6の炭化水素基である。*は、上記一般式(d0)中のRdの縮合環式基における脂環に結合する結合手を表す。**は、上記一般式(d0)中のカルボニル基の炭素原子との結合手を表す。]
上記一般式(y-d0-1)中のYd001及び上記一般式(y-d0-2)中のYd002は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1~6の炭化水素基である。
該炭化水素基は、芳香族炭化水素基であっても、脂肪族炭化水素であってもよい。
また、該炭化水素基は、置換基を有してもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、及び、ニトロ基等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニレン基が挙げられる。
該脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルカジエニレン基、アルカトリエニレン基、アルキニレン基、又は、これらの基の組み合わせの基が挙げられる。
・炭素原子数1~4のアルキレン基
炭素原子数1~4の直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、及びテトラメチレン基[-(CH-]が挙げられる。
炭素原子数2~4の分岐鎖状のアルキレン基としては、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。
・炭素原子数2~4のアルケニレン基
炭素原子数2~4のアルケニレン基は、直鎖状のアルケニレン基であっても、分岐鎖状のアルケニレン基であってもよい。
炭素原子数2~4の直鎖状のアルケニル基としては、エテニレン基(ビニレン基)、1-プロペニレン基、2-プロペニレン基、及びブチニレン基が挙げられる。
炭素原子数3又は4の分岐鎖状のアルケニル基としては、1-メチルビニレン基、1-メチルプロペニレン基、及び2-メチルプロペニレン基が挙げられる。
・アルカジエニレン基、アルカトリエニレン基
炭素原子数3又は4のアルカジエニレン基としては、プロパジニエレン基及びブタジエニレン基が挙げられ、炭素原子数4のアルカトリエニレン基としては、ブタトリエニレン基が挙げられる。
・炭素原子数2~4のアルキニレン基
炭素原子数2~4のアルキニレン基としては、エチニレン基(-C≡C-)等が挙げられる。
アルキレン基、アルケニレン基、アルカジエニレン基、アルカトリエニレン基、アルキニレン基の組み合わせの基としては、例えば、アルキレン基とアルキニレン基との組み合わせの基が好ましい。具体的には、-CH-C≡C-基が好ましい。
上記一般式(y-d0-1)中のYd001は、上記の中でも、置換基を有してもよいフェニレン基、炭素原子数1~4のアルキレン基、又は、合計の炭素原子数が1~4となるアルキレン基とアルキニレン基との組み合わせの基が好ましい。
置換基を有してもよいフェニレン基が、置換基を有する場合、該置換基は、ハロゲン原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
上記一般式(y-d0-1)中のYd002は、上記の中でも、炭素原子数1~4のアルキレン基であることが好ましい。
本実施形態において、(D0)成分のアニオン部は、感度及びCDU向上の観点から、下記一般式(d0-an0)で表されるアニオンが好ましい。
Figure 2023046908000039
[式中、Rx~Rxは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。Ry~Ryは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は相互に結合して環構造を形成していてもよい。]
Figure 2023046908000040
は二重結合又は単結合である。Rz~Rzは、それぞれ独立に、原子価が許容する場合、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。但し、Rx~Rxの2個以上、Ry~Ry、又はRz~Rzの2個以上は、相互に結合して芳香環を形成する。また、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は下記一般式(d0-r-an1)で表されるアニオン基を有し、アニオン部全体でn価のアニオンとなる。また、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち、少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。nは1以上の整数である。]
Figure 2023046908000041
[式中、Ydは、2価の連結基又は単結合である。*は結合手を示す。]
式(d0-an0)中、Rx~Rxは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。
Ry~Ryは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は相互に結合して環構造を形成していてもよい。
Rz~Rzは、それぞれ独立に、原子価が許容する場合、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。
Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzにおける炭化水素基としてはそれぞれ、脂肪族炭化水素基でもよいし芳香族炭化水素基でもよく、環状の炭化水素基でもよいし鎖状の炭化水素基でもよい。
例えば、Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzにおける、置換基を有してもよい炭化水素基としては、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基が挙げられる。
置換基を有してもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。また、Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzにおける環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。
Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzにおける芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素原子数は、3~30であることが好ましく、炭素原子数5~30であることがより好ましく、炭素原子数5~20がさらに好ましく、炭素原子数6~15が特に好ましく、炭素原子数6~12が最も好ましい。但し、該炭素原子数には、置換基における炭素原子数を含まないものとする。
Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzにおける芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzにおける芳香族炭化水素基が有する芳香環は、(A)成分との相溶性の観点から、ヘテロ原子を含まないことが好ましく、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル等の芳香環がより好ましい。
Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzにおける芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:たとえば、フェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素原子数は、1~4であることが好ましく、炭素原子数1~2であることがより好ましく、炭素原子数1であることが特に好ましい。
Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzにおける環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素原子数が3~20であることが好ましく、炭素原子数3~12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~30のものが好ましい。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が1~10であることが好ましく、炭素原子数1~6がより好ましく、炭素原子数1~4がさらに好ましく、炭素原子数1~3が最も好ましい。直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]、ペンタメチレン基[-(CH-]等が挙げられる。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が2~10であることが好ましく、炭素原子数3~6がより好ましく、炭素原子数3又は4がさらに好ましく、炭素原子数3が最も好ましい。分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzの該環式基としては、-COORXYZ、-OC(=O)RXYZについて、RXYZがラクトン含有環式基、又は-SO-含有環式基であるものも挙げられる。
「-SO-含有環式基」とは、その環骨格中に-SO-を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、-SO-における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に-SO-を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。-SO-含有環式基は、単環式基であってもよく多環式基であってもよい。
-SO-含有環式基は、特に、その環骨格中に-O-SO-を含む環式基、すなわち-O-SO-中の-O-S-が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。
-SO-含有環式基として、より具体的には、下記一般式(b5-r-1)~(b5-r-4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2023046908000042
[式中、Rb’51はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、又は、-SO-含有環式基であり;B”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素原子数1~5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0~2の整数である。*は結合手を示す。]
前記一般式(b5-r-1)~(b5-r-2)中、B”は、酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素原子数1~5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。
B”としては、炭素原子数1~5のアルキレン基または-O-が好ましく、炭素原子数1~5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
前記一般式(b5-r-1)~(b5-r-4)中、Rb’51はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり、その中でも、それぞれ独立に水素原子又はシアノ基であることが好ましい。
下記に一般式(b5-r-1)~(b5-r-4)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。式中の「Ac」は、アセチル基を示す。
Figure 2023046908000043
Figure 2023046908000044
Figure 2023046908000045
Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzの環式基における置換基としては、上述したRdにおける多環芳香族環式基が有してもよい置換基と同様の置換基が挙げられる。
Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzの環式基における置換基としては、上記の中でも、(A)成分との相溶性の観点から、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基が好ましい。
置換基を有してもよい鎖状のアルキル基:
Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzの鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素原子数が1~20であることが好ましく、炭素原子数1~15であることがより好ましく、炭素原子数1~10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素原子数が3~20であることが好ましく、炭素原子数3~15であることがより好ましく、炭素原子数3~10が最も好ましい。具体的には、例えば、1-メチルエチル基、1,1-ジメチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基などが挙げられる。
置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基:
Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzの鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素原子数が2~10であることが好ましく、炭素原子数2~5がより好ましく、炭素原子数2~4がさらに好ましく、炭素原子数3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、1-メチルプロペニル基、2-メチルプロペニル基などが挙げられる。
Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzの鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzにおける環式基等が挙げられる。中でも、Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzの鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、(A)成分との相溶性の観点から、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、上記Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzにおける環式基として挙げた基が好ましい。
前記式(d0-an0)中、Ry~Ryは、相互に結合して環構造を形成していてもよい。
かかるRy~Ryが形成する環構造は、式(d0-an0)中の六員環の一辺(Ry及びRyがそれぞれ結合している炭素原子間の結合)を共有し、この環構造は脂環式炭化水素であってもよいし芳香族炭化水素であってもよい。また、この環構造は、これ以外の環構造とからなる多環構造であってもよい。
Ry~Ryが形成する脂環式炭化水素は、多環であってもよいし単環であってもよい。単環の脂環式炭化水素としては、モノシクロアルカンが好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環の脂環式炭化水素としては、ポリシクロアルカンが好ましい。該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~30のものが好ましい。
Ry~Ryが形成する芳香族炭化水素環は、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。Ry~Ryが形成する芳香族炭化水素環は、(A)成分との相溶性の観点から、ヘテロ原子を含まないことが好ましく、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル等の芳香環がより好ましい。
Ry~Ryが形成する環構造(脂環式炭化水素、芳香族炭化水素)は、置換基を有してもよい。ここでの置換基としては、上述したRx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzの環式基における置換基(たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、ニトロ基、カルボニル基等)と同様のものが挙げられる。中でも、Ry~Ryが形成する環構造における置換基としては、(A)成分との相溶性の観点から、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基が好ましい。
Ry~Ryが形成する環構造は、中でも、置換基を有してもよい芳香族炭化水素がより好ましい。
前記式(d0-an0)中、Rz~Rzは、2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。例えば、Rzは、Rz~Rzのいずれとも環構造を形成していてもよい。具体的には、式(d0-an0)中の六員環の一辺(Rz及びRzが結合している炭素原子と、Rz及びRzが結合している炭素原子との結合)を共有する環構造、RzとRzとが結合して形成する環構造、RzとRzとが結合して形成する環構造などが挙げられる。
かかるRz~Rzのうちの2個以上が形成する環構造は、脂環式炭化水素、であってもよいし芳香族炭化水素であってもよく、芳香族炭化水素であることが好ましい。また、この環構造は、これ以外の環構造とからなる多環構造であってもよい。
Rz~Rzのうち2個以上が形成する脂環式炭化水素は、多環であってもよいし単環であってもよい。単環の脂環式炭化水素としては、モノシクロアルカンが好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環の脂環式炭化水素としては、ポリシクロアルカンが好ましい。該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~30のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された複素環構造でもよく、含窒素複素環が特に好ましく、具体的には環状イミド等が挙げられる。
Rz~Rzのうちの2個以上が形成する芳香族炭化水素環は、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。Rz~Rzのうちの2個以上が形成する芳香族炭化水素環は、(A)成分との相溶性の観点から、ヘテロ原子を含まないことが好ましく、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル等の芳香環がより好ましい。
Rz~Rzが形成する環構造(脂環式炭化水素、芳香族炭化水素)は、置換基を有してもよい。ここでの置換基としては、上述したRx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzの環式基における置換基(たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、ニトロ基、カルボニル基等)と同様のものが挙げられる。中でも、Rz~Rzが形成する環構造における置換基としては、(A)成分との相溶性の観点から、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基が好ましい。
Rz~Rzのうちの2個以上が形成する環構造は、中でも、式(d0-an0)中の六員環の一辺(Rz及びRzが結合している炭素原子と、Rz及びRzが結合している炭素原子との結合)を共有する環構造が好ましく、芳香環構造がより好ましい。
尚、前記式(d0-an0)中、「原子価が許容する場合」とは以下のとおりである。
すなわち、Rz及びRzが結合している炭素原子と、Rz及びRzが結合している炭素原子と、の結合が単結合の場合には、Rz、Rz、Rz及びRzの全てが存在する。Rz及びRzが結合している炭素原子と、Rz及びRzが結合している炭素原子と、の結合が二重結合の場合には、Rz又はRzの一方のみが存在し、かつ、Rz及びRzの一方のみが存在する。また、例えばRzとRzとが結合して芳香環構造を形成している場合には、Rz及びRzは存在しない。
前記式(d0-an0)中、Rx~Rxは、2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。例えば、Rxは、Rx~Rxのいずれとも環構造を形成していてもよい。
かかるRx~Rxのうちの2個以上が形成する環構造は、脂環式炭化水素であってもよいし芳香族炭化水素であってもよい。また、この環構造は、これ以外の環構造とからなる多環構造であってもよい。
Rx~Rxのうち2個以上が形成する脂環式炭化水素は、多環であってもよく単環であってもよい。単環の脂環式炭化水素としては、モノシクロアルカンが好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環の脂環式炭化水素としては、ポリシクロアルカンが好ましい。該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~30のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
Rx~Rxのうちの2個が形成する芳香族炭化水素環は、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。Rx~Rxのうちの2個が形成する芳香族炭化水素環は、(A)成分との相溶性の観点から、ヘテロ原子を含まないことが好ましく、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル等の芳香環がより好ましい。
Rx~Rxが形成する環構造(脂環式炭化水素、芳香族炭化水素)は、置換基を有してもよい。ここでの置換基としては、上述したRx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzの環式基における置換基(たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、ニトロ基、カルボニル基等)と同様のものが挙げられる。中でも、Rx~Rxが形成する環構造における置換基としては、(A)成分との相溶性の観点から、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基が好ましい。
Rx~Rxのうちの2個以上が形成する環構造は、中でも、脂環式炭化水素が好ましい。
また、Rx~Rxのうちの2個以上が形成する環構造は、中でも、前記Rx~Rxのうち少なくとも1個と、前記Rx~Rxのうち少なくとも1個とが、相互に結合して架橋した環構造を形成しているものが好ましく、この環構造が脂環式炭化水素であるものがより好ましい。
前記Rx~Rxのうち少なくとも1個と、前記Rx~Rxのうち少なくとも1個とが、相互に結合して環構造を形成した場合の、二環式構造(Ry、Ry、Rz及びRz、Rz及びRzがそれぞれ結合している炭素原子も含む環構造)を構成する炭素原子数は、7~16が好ましい。
前記式(d0-an0)中、Rx~Rxの2個以上、Ry~Ry、又はRz~Rzの2個以上は、相互に結合して芳香環を形成する。該芳香環としては、上記式(d0)中で説明した芳香環と同様である。
前記式(d0-an0)中、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は前記一般式(d0-r-an1)で表されるアニオン基を有し、アニオン部全体でn価のアニオンとなる。nは1以上の整数である。Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzがそれぞれ前記アニオン基であってもよい。また、Rx~Rxのうちの2個以上が相互に結合して環構造を形成する場合、当該環構造を形成する炭素原子又はこの炭素原子に結合した水素原子が前記アニオン基で置換されていてもよい。Ry~Ryのうちの2個以上が相互に結合して環構造を形成する場合、当該環構造を形成する炭素原子又はこの炭素原子に結合した水素原子が前記アニオン基で置換されていてもよい。Rz~Rzのうちの2個以上が相互に結合して環構造を形成する場合、当該環構造を形成する炭素原子又はこの炭素原子に結合した水素原子が前記アニオン基で置換されていてもよい。
前記式(d0-r-an1)中、Ydにおける2価の連結基は、前記式(d0)中のYdにおける2価の連結基と同一である。
(D0)成分中のアニオン基の数は、1個でもよいし2個以上でもよい。
(D0)成分は、アニオン部全体でn価のアニオンとなる。nは、1以上の整数であり、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
前記式(d0-an0)中、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。該臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基の好ましい態様は、上記一般式(d0)中で説明した臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基と同じである。
(D0)成分におけるアニオン部としては、感度及びCDU向上の観点から、下記一般式(d0-an1)で表されるアニオンがより好ましい。
Figure 2023046908000046
[式中、Rx~Rxはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基又は水素原子を表す。Rx~Rxは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は相互に結合して環構造を形成していてもよい。pは、1又は2であり、p=2の場合、複数のRx~Rxは相互に異なっていてもよい。Ry~Ryは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は相互に結合して環構造を形成していてもよい。
Figure 2023046908000047
は二重結合又は単結合である。Rz~Rzは、それぞれ独立に、原子価が許容する場合、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。但し、Rx~Rx、Rx~Rx、Ry~Ry、又はRz~Rzの2個以上は、相互に結合して芳香環を形成する。また、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は下記一般式(d0-r-an1)で表されるアニオン基を有し、アニオン部全体でn価のアニオンとなる。また、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。nは1以上の整数である。]
Figure 2023046908000048
[式中、Ydは、2価の連結基又は単結合である。*は結合手を示す。]
前記式(d0-an1)中、Rx~Rxはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基又は水素原子を表す。Rx~Rxにおける、置換基を有してもよい炭化水素基は、上述した前記式(d0-an0)中のRx~Rxにおける、置換基を有してもよい炭化水素基についての説明と同様である。
前記式(d0-an1)中、Rx~Rxは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は相互に結合して環構造を形成していてもよい。かかるRx~Rxは、上述した前記式(d0-an0)中のRx~Rxについての説明と同様である。
前記式(d0-an1)中、pは、1又は2であり、p=2の場合、複数のRx~Rxは相互に異なっていてもよい。一般式(d0-an1)で表されるアニオンにおいては、p=1の場合、ビシクロヘプタン環構造を有し、p=2の場合、ビシクロオクタン環構造を有する。
前記式(d0-an1)中、Ry~Ryは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は相互に結合して環構造を形成していてもよい。かかるRy~Ryは、上述した前記式(d0-an0)中のRy~Ryと同様である。
Rz~Rzは、それぞれ独立に、原子価が許容する場合、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。かかるRz~Rzは、上述した前記式(d0-an0)中のRz~Rzと同様である。
前記式(d0-an1)中、Rx~Rx、Rx~Rx、Ry~Ry、又はRz~Rzの2個以上は、相互に結合して芳香環を形成する。該芳香環としては、上記式(d0)中で説明した内容と同様である。
前記式(d0-an1)中、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は上記式(d0-r-an1)で表されるアニオン基を有し、アニオン部全体でn価のアニオンとなる。nは1以上の整数であり、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
前記式(d0-an1)中、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。該臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基の好ましい態様は、上記一般式(d0)中で説明した臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基と同じである。
上記の中でも、(D0)成分におけるアニオン部としては、前記式(d0-an1)中のp=2で表されるアニオン、すなわち、下記一般式(d0-an2)で表されるアニオンがさらに好ましい。
Figure 2023046908000049
[式中、Rx~Rxはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基又は水素原子を表す。複数のRx~Rxは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。Ry~Ryは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は相互に結合して環構造を形成していてもよい。
Figure 2023046908000050
は二重結合又は単結合である。Rz~Rzは、それぞれ独立に、原子価が許容する場合、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。但し、Rx~Rx、Rx~Rxの2個以上、Ry~Ry、又はRz~Rzの2個以上は、相互に結合して芳香環を形成する。また、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は下記一般式(d0-r-an1)で表されるアニオン基を有し、アニオン部全体でn価のアニオンとなる。また、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。nは1以上の整数である。]
Figure 2023046908000051
[式中、Ydは、2価の連結基又は単結合である。*は結合手を示す。]
前記式(d0-an2)中、Rx~Rx、Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzは、上述した前記式(d0-an1)中のRx~Rx、Rx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzとそれぞれ同様である。
前記式(d0-an2)中、Rx~Rx、Rx~Rxの2個以上、Ry~Ry、又はRz~Rzの2個以上は、相互に結合して芳香環を形成する。該芳香環としては、上記式(d0)中で説明した内容と同様である。
前記式(d0-an2)中、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は、上記式(d0-r-an1)で表されるアニオン基を有し、アニオン部全体でn価のアニオンとなる。nは1以上の整数であり、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
前記式(d0-an2)中、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は、上述した臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。該臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基の好ましい態様は、上記一般式(d0)中で説明した臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基と同じである。
前記の式(d0-an0)、式(d0-an1)、式(d0-an2)中、Ry~Ryは、相互に結合して環構造を形成していることが好ましく、形成する環構造は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素(芳香環、芳香族複素環)がより好ましい。
前記の式(d0-an0)、式(d0-an1)、式(d0-an2)中、Rz~Rzは、相互に結合して環構造を形成していることが好ましく、形成する環構造は、式中の六員環の一辺(Rz及びRzが結合している炭素原子と、Rz及びRzが結合している炭素原子との結合)を共有する環構造が好ましく、置換基を有してもよい芳香族炭化水素(芳香環、芳香族複素環)がより好ましい。
前記の式(d0-an1)、式(d0-an2)中、Rx~Rxは、相互に結合して環構造を形成していることが好ましく、形成する環構造は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素(芳香環、芳香族複素環)がより好ましい。
前記式(d0-an2)中、Rx~Rxにおいて形成する環構造は、式中の六員環の一辺(Rx及びRxが結合している同一の炭素原子間の結合)を共有する環構造が好ましく、置換基を有してもよい芳香族炭化水素(芳香環、芳香族複素環)がより好ましい。
前記の式(d0-an2)で表されるアニオン全体で、かかるRx~Rx、Ry~Ry、Rz~Rzのそれぞれにおいて、相互に結合して形成する環構造の個数は、1個でもよいし2個以上でもよく、2個又は3個が好ましい。
本実施形態において、(D0)成分のアニオン部は、感度及びCDU向上の観点から、下記一般式(d0-an3)で表されるアニオンが特に好ましい。
Figure 2023046908000052
[式中、Rx~Rxはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基又は水素原子を表す。
Figure 2023046908000053
は二重結合又は単結合である。Rz~Rzは、それぞれ独立に、原子価が許容する場合、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。但し、Rx~Rx及びRz~Rzのうち少なくとも1個は下記一般式(d0-r-an1)で表されるアニオン基を有し、アニオン部全体でn価のアニオンとなる。nは1以上の整数である。また、Rx~Rx及びRz~Rzのうち少なくとも1個は臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。R021は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基又はニトロ基である。n1は1~3の整数である。n11は0~8の整数である。R022は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基又はニトロ基である。n2は1~3の整数である。n21は0~8の整数である。]
Figure 2023046908000054
[式中、Ydは、2価の連結基又は単結合である。*は結合手を示す。]
前記式(d0-an3)中、Rx~Rx、Rz~Rzは、前記式(d0-an1)中のRx~Rx、Rz~Rzとそれぞれ同様である。
前記式(d0-an3)中、R021は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシ基、カルボニル基又はニトロ基である。
021におけるアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基がより好ましい。
021におけるアルコキシ基としては、炭素原子数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましい。
021におけるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
021におけるハロゲン化アルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
中でも、R021としては、(A)成分との相溶性の観点から、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基が好ましい。
前記式(d0-an3)中、n1は、1~3の整数であり、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
前記式(d0-an3)中、n11は、0~8の整数であり、好ましくは0~4の整数であり、より好ましくは0、1又は2であり、さらに好ましくは0又は1である。
前記式(d0-an3)中、R022は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシ基、カルボニル基又はニトロ基であり、それぞれ前記のR021と同様のものが挙げられる。中でも、R022としては、(A)成分との相溶性の観点から、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基が好ましい。
前記式(d0-an3)中、n2は、1~3の整数であり、好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
前記式(d0-an3)中、n21は、0~8の整数であり、好ましくは0~4の整数であり、より好ましくは0、1又は2であり、特に好ましくは0又は1である。
但し、前記式(d0-an3)中、Rx~Rx及びRz~Rzのうち少なくとも1個は、上記式(d0-r-an1)で表されるアニオン基を有し、アニオン部全体でn価のアニオンとなる。nは1以上の整数であり、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
前記式(d0-an3)中、Rx~Rx及びRz~Rzのうち少なくとも1個は上述した臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。該臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基の好ましい態様は、上記一般式(d0)中で説明した臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基と同じである。
前記の式(d0-an0)、式(d0-an1)、式(d0-an2)、式(d0-an3)中、本発明の効果に優れる点から、前記Rz~Rzのうち少なくとも1個は、アニオン基を有することが好ましい。前記Rz~Rzのうちの2個以上が相互に結合して環構造を形成する場合、当該環構造を形成する炭素原子又はこの炭素原子に結合した水素原子が前記アニオン基で置換されていてもよい。
前記の式(d0-an0)、式(d0-an1)、式(d0-an2)、式(d0-an3)中、本発明の効果に優れる点から、前記Rz~Rzのうち少なくとも1個は、上述した臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含むことが好ましい。前記Rz~Rzのうちの2個以上が相互に結合して環構造を形成する場合、当該環構造を形成する炭素原子に結合した水素原子が、該臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基で置換されていてもよい。
以下に、(D0)成分のアニオン部の具体例を示す。
Figure 2023046908000055
Figure 2023046908000056
Figure 2023046908000057
Figure 2023046908000058
(D0)成分のアニオン部としては、上記の中でも、化学式(d0-an-1)~(d0-an-14)、(d0-an-22)、(d0-an-23)のいずれかで表されるアニオンが好ましく、化学式(d0-an-1)~(d0-an-9)、(d0-an-22)、(d0-an-23)のいずれかで表されるアニオンがより好ましく、化学式(d0-an-1)~(d0-an-5)のいずれかで表されるアニオンがさらに好ましく、化学式(d0-an-1)又は(d0-an-5)で表されるアニオンが特に好ましい。
{(D0)成分のカチオン部}
上記一般式(d0)中、Mm+は、m価の有機カチオンを表す。この中でも、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが好ましい。
mは、1以上の整数である。
好ましいカチオン部((Mm+1/m)としては、下記の一般式(ca-1)~(ca-3)でそれぞれ表される有機カチオンが挙げられる。
Figure 2023046908000059
[式中、R201~R207は、それぞれ独立に置換基を有してもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表す。R201~R203、R206~R207は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R208~R209は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~5のアルキル基を表す。R210は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよい-SO-含有環式基である。L201は、-C(=O)-または-C(=O)-O-を表す。]
上記の一般式(ca-1)~(ca-3)中、R201~R207におけるアリール基としては、炭素原子数6~20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
201~R207におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素原子数1~30のものが好ましい。
201~R207におけるアルケニル基としては、炭素原子数が2~10であることが好ましい。
201~R207、およびR210が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、下記の一般式(ca-r-1)~(ca-r-7)でそれぞれ表される基等が挙げられる。
Figure 2023046908000060
[式中、R’201は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基である。]
置換基を有してもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
R’201における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素原子数は3~30であることが好ましく、炭素原子数5~30がより好ましく、炭素原子数5~20がさらに好ましく、炭素原子数6~15が特に好ましく、炭素原子数6~10が最も好ましい。ただし、該炭素原子数には、置換基における炭素原子数を含まないものとする。
R’201における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
R’201における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:例えばフェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えばベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素原子数は、1~4であることが好ましく、炭素原子数1~2がより好ましく、炭素原子数1が特に好ましい。
R’201における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素原子数が3~20であることが好ましく、3~12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
なかでも、R’201における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が1~10であることが好ましく、炭素原子数1~6がより好ましく、炭素原子数1~4がさらに好ましく、炭素原子数1~3が特に好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]、ペンタメチレン基[-(CH-]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、R’201における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。具体的には、前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、前記一般式(b5-r-1)~(b5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基、その他上記の化学式(r-hr-1)~(r-hr-16)でそれぞれ表される複素環式基が挙げられる。
R’201の環式基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基が最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素原子数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(-CH-)を置換する基である。
置換基を有してもよい鎖状のアルキル基:
R’201の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素原子数が1~20であることが好ましく、炭素原子数1~15であることがより好ましく、炭素原子数1~10が最も好ましい。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素原子数が3~20であることが好ましく、炭素原子数3~15であることがより好ましく、炭素原子数3~10が最も好ましい。具体的には、例えば、1-メチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基などが挙げられる。
置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基:
R’201の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素原子数が2~10であることが好ましく、炭素原子数2~5がより好ましく、炭素原子数2~4がさらに好ましく、炭素原子数3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1-メチルビニル基、2-メチルビニル基、1-メチルプロペニル基、2-メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
R’201の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R’201における環式基等が挙げられる。
R’201の置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基は、上述したものの他、置換基を有してもよい環式基又は置換基を有してもよい鎖状のアルキル基として、上述の式(a1-r-2)で表される酸解離性基と同様のものも挙げられる。
なかでも、R’201は、置換基を有してもよい環式基が好ましく、置換基を有してもよい環状の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;前記一般式(b5-r-1)~(b5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基などが好ましい。
上記の一般式(ca-1)~(ca-3)中、R201~R203、R206~R207は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、-SO-、-SO-、-SO-、-COO-、-CONH-または-N(R)-(該Rは炭素原子数1~5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3~10員環であることが好ましく、5~7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、例えばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H-チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
208~R209は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1~5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合、相互に結合して環を形成してもよい。
210は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよい-SO-含有環式基である。
210におけるアリール基としては、炭素原子数6~20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素原子数1~30のものが好ましい。
210におけるアルケニル基としては、炭素原子数が2~10であることが好ましい。
210における、置換基を有してもよい-SO-含有環式基としては、「-SO-含有多環式基」が好ましく、上記一般式(b5-r-1)で表される基がより好ましい。
前記式(ca-1)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記の化学式(ca-1-1)~(ca-1-113)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2023046908000061
Figure 2023046908000062
Figure 2023046908000063
[式中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1~5の整数であり、g2は0~20の整数であり、g3は0~20の整数である。]
Figure 2023046908000064
Figure 2023046908000065
Figure 2023046908000066
[式中、R”201は水素原子又は置換基であって、該置換基としては前記R201~R207、およびR210~R212が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。]
Figure 2023046908000067
Figure 2023046908000068
Figure 2023046908000069
前記式(ca-2)で表される好適なカチオンとして具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
前記式(ca-3)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca-3-1)~(ca-3-6)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2023046908000070
上記の中でも、カチオン部((Mm+1/m)は、一般式(ca-1)で表されるカチオンが好ましい。
また、カチオン部の分解性を向上させる観点から、一般式(ca-1)で表されるカチオンにおいて、R201~R203は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基であり、該置換基として、少なくとも1個の電子求引性基を有するか、又は、R201~R203は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基であり、R201~R203のいずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成することが好ましく、一般式(ca-1)で表されるカチオンにおいて、R201~R203は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基であり、該置換基として、少なくとも1個の電子求引性基を有することがより好ましい。
該電子求引性基は、1種でもよく、2種以上でもよい。
また、該電子求引性基は、1価の電子求引性基でもよく、2価の電子求引性基でもよい。
電子求引性基として、具体的には、アシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基等が挙げられる。
電子求引性基は、上記の中でも、高感度化の点から、フッ素原子、フッ素化アルキル基又はシクロアルキルスルホニル基が好ましく、フッ素原子又はシクロアルキルスルホニル基がより好ましく、フッ素原子がさらに好ましい。
カチオン部((Mm+1/m)としては、上記化学式(ca-1-65)~(ca-1-67)、(ca-1-70)、又は(ca-1-94)~(ca-1-106)のいずれかで表されるカチオンであることが好ましく、上記化学式(ca-1-67)、(ca-1-70)、又は(ca-1-103)のいずれかで表されるカチオンであることがより好ましく、上記化学式(ca-1-103)で表されるカチオンであることがさらに好ましい。
本実施形態のレジスト組成物において、(D0)成分は、上記の中でも、下記一般式(d0-1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2023046908000071
[式中、Rx~Rxは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。Ry~Ryは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は相互に結合して環構造を形成していてもよい。
Figure 2023046908000072
は二重結合又は単結合である。Rz~Rzは、それぞれ独立に、原子価が許容する場合、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。但し、Rx~Rxの2個以上、Ry~Ry、又はRz~Rzの2個以上の少なくとも1つは、相互に結合して芳香環を形成する。また、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は下記一般式(d0-r-an1)で表されるアニオン基を有し、アニオン部全体でn価のアニオンとなる。また、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。nは1以上の整数である。mは1以上の整数であって、Mm+は、m価の有機カチオンを表す。]
Figure 2023046908000073
[式中、Ydは、2価の連結基又は単結合である。*は結合手を示す。]
上記一般式(d0-1)で表される化合物のアニオン部は、上記一般式(d0-an0)で表されるアニオンと同一である。
上記一般式(d0-r-an1)中のYdとしては、エステル結合を含む2価の連結基、またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、上記一般式(y-d0-1)又は(y-d0-2)で表される連結基がより好ましい。
上記一般式(d0-1)で表される化合物のカチオン部は、上記一般式(d0)で表される化合物のカチオン部と同一である。
上記一般式(d0-1)で表される化合物のカチオン部は、上記一般式(d0)で表される化合物のカチオン部と同一である。その中でも、一般式(ca-1)で表されるカチオンが好ましい。
また、カチオン部の分解性を向上させる観点から、一般式(ca-1)で表されるカチオンにおいて、R201~R203は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基であり、該置換基として、少なくとも1個の電子求引性基を有するか、又は、R201~R203は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基であり、R201~R203のいずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成することが好ましく、一般式(ca-1)で表されるカチオンにおいて、R201~R203は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリール基であり、該置換基として、少なくとも1個の電子求引性基を有することがより好ましい。
(D0)成分の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されない。
Figure 2023046908000074
Figure 2023046908000075
本実施形態のレジスト組成物において、(D0)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
本実施形態のレジスト組成物中、(D0)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、3~20質量部であることがより好ましく、5~15質量部であることがさらに好ましい。
(D0)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、レジストパターン形成において、感度及びCDUがより向上する。一方、好ましい範囲の上限値以下であると、感度をより良好に維持できる。
本実施形態のレジスト組成物における(D)成分としては、上述した(D0)成分以外の塩基成分を含有してもよい。
(D0)成分以外の塩基成分としては、露光により分解して酸拡散制御性を失う光崩壊性塩基(D1)(以下「(D1)成分」という。)、該(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物(D2)(以下「(D2)成分」という。)等が挙げられる。
・(D1)成分について
(D1)成分としては、露光により分解して酸拡散制御性を失うものであれば特に限定されず、下記一般式(d1-1)で表される化合物(以下「(d1-1)成分」という。)、下記一般式(d1-2)で表される化合物(以下「(d1-2)成分」という。)及び下記一般式(d1-3)で表される化合物(以下「(d1-3)成分」という。)からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(d1-1)~(d1-3)成分は、レジスト膜の露光部においては分解して酸拡散制御性(塩基性)を失うためクエンチャーとして作用せず、レジスト膜の未露光部においてクエンチャーとして作用する。
Figure 2023046908000076
[式中、Rd~Rdは置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基である。但し、式(d1-2)中のRdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していないものとする。Ydは単結合又は2価の連結基である。mは1以上の整数であって、Mm+はそれぞれ独立にm価の有機カチオンである。]
{(d1-1)成分}
・・アニオン部
式(d1-1)中、Rdは、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ前記R’201と同様のものが挙げられる。
これらのなかでも、Rdとしては、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい脂肪族環式基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルキル基が好ましい。これらの基が有していてもよい置換基としては、水酸基、オキソ基、アルキル基、アリール基、フッ素原子、フッ素化アルキル基、上記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、エーテル結合、エステル結合、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
エーテル結合やエステル結合を置換基として含む場合、アルキレン基を介していてもよく、この場合の置換基としては、下記一般式(y-al-1)~(y-al-5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。なお、Rdにおける芳香族炭化水素基、脂肪族環式基、又は鎖状のアルキル基が、置換基として、下記一般式(y-al-1)~(y-al-7)でそれぞれ表される連結基を有する場合、下記一般式(y-al-1)~(y-al-7)において、式(d3-1)中のRdにおける芳香族炭化水素基、脂肪族環式基、又は鎖状のアルキル基を構成する炭素原子に結合するのが、下記一般式(y-al-1)~(y-al-7)中のV’101である。
Figure 2023046908000077
[式中、V’101は単結合または炭素数1~5のアルキレン基であり、V’102は炭素数1~30の2価の飽和炭化水素基である。]
V’102における2価の飽和炭化水素基は、炭素数1~30のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1~5のアルキレン基であることがさらに好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基でもよく分岐鎖状のアルキレン基でもよく、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基として、具体的には、メチレン基[-CH-];-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;エチレン基[-CHCH-];-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n-プロピレン基)[-CHCHCH-];-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[-CHCHCHCH-];-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[-CHCHCHCHCH-]等が挙げられる。
また、V’101又はV’102における前記アルキレン基における一部のメチレン基が、炭素数5~10の2価の脂肪族環式基で置換されていてもよい。当該脂肪族環式基は、前記式(a1-r-1)中のRa’の環状の脂肪族炭化水素基(単環式の脂肪族炭化水素基、多環式の脂肪族炭化水素基)から水素原子をさらに1つ除いた2価の基が好ましく、シクロへキシレン基、1,5-アダマンチレン基または2,6-アダマンチレン基がより好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビシクロオクタン骨格を含む多環構造(ビシクロオクタン骨格とこれ以外の環構造とからなる多環構造)が好適に挙げられる。
前記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
前記鎖状のアルキル基としては、炭素原子数が1~10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基;1-メチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
前記鎖状のアルキル基が置換基としてフッ素原子又はフッ素化アルキル基を有するフッ素化アルキル基である場合、フッ素化アルキル基の炭素原子数は、1~11が好ましく、1~8がより好ましく、1~4がさらに好ましい。該フッ素化アルキル基は、フッ素原子以外の原子を含有してもよい。フッ素原子以外の原子としては、例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
以下に(d1-1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2023046908000078
・・カチオン部
式(d1-1)中、Mm+は、m価の有機カチオンである。
m+の有機カチオンとしては、前記一般式(ca-1)~(ca-3)でそれぞれ表されるカチオンと同様のものが好適に挙げられ、前記一般式(ca-1)で表されるカチオンがより好ましく、前記式(ca-1-1)~(ca-1-113)でそれぞれ表されるカチオンがさらに好ましい。
(d1-1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1-2)成分}
・・アニオン部
式(d1-2)中、Rdは、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基であり、前記R’201と同様のものが挙げられる。
但し、Rdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない(フッ素置換されていない)ものとする。これにより、(d1-2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、(D)成分としてのクエンチング能が向上する。
Rdとしては、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい脂肪族環式基であることが好ましく、置換基を有してもよい脂肪族環式基であることがより好ましい。
該鎖状のアルキル基としては、炭素原子数1~10であることが好ましく、3~10であることがより好ましい。
該脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有してもよい);カンファーから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
Rdの炭化水素基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記式(d1-1)のRdにおける炭化水素基(芳香族炭化水素基、脂肪族環式基、鎖状のアルキル基)が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
(d1-2)成分のアニオン部としては、上記の中でも、カンファースルホン酸アニオンであることが好ましい。
以下に(d1-2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2023046908000079
・・カチオン部
式(d1-2)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1-1)中のMm+と同様である。
(d1-2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1-3)成分}
・・アニオン部
式(d1-3)中、Rdは置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基であり、前記R’201と同様のものが挙げられ、フッ素原子を含む環式基、鎖状のアルキル基、又は鎖状のアルケニル基であることが好ましい。中でも、フッ素化アルキル基が好ましく、前記Rdのフッ素化アルキル基と同様のものがより好ましい。
式(d1-3)中、Rdは、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基であり、前記R’201と同様のものが挙げられる。
なかでも、置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、環式基であることが好ましい。
Rdにおけるアルキル基は、炭素原子数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Rdのアルキル基の水素原子の一部が水酸基、シアノ基等で置換されていてもよい。
Rdにおけるアルコキシ基は、炭素原子数1~5のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
Rdにおけるアルケニル基は、前記R’201におけるアルケニル基と同様のものが挙げられ、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、1-メチルプロペニル基、2-メチルプロペニル基が好ましい。これらの基はさらに置換基として、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基を有していてもよい。
Rdにおける環式基は、前記R’201における環式基と同様のものが挙げられ、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた脂環式基、又は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基が好ましい。Rdが脂環式基である場合、レジスト組成物が有機溶剤に良好に溶解することにより、リソグラフィー特性が良好となる。また、Rdが芳香族基である場合、EUV等を露光光源とするリソグラフィーにおいて、該レジスト組成物が光吸収効率に優れ、感度やリソグラフィー特性が良好となる。
式(d1-3)中、Ydは、単結合または2価の連結基である。
Ydにおける2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有してもよい2価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。これらはそれぞれ、上記式(a2-1)中のYa21における2価の連結基についての説明のなかで挙げた、置換基を有してもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
Ydとしては、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、アルキレン基又はこれらの組み合わせであることが好ましい。アルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがさらに好ましい。
以下に(d1-3)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2023046908000080
Figure 2023046908000081
・・カチオン部
式(d1-3)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1-1)中のMm+と同様である。
(d1-3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D1)成分は、上記(d1-1)~(d1-3)成分のいずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(D1)成分を含有する場合、レジスト組成物中、(D1)成分の含有量は、(A1)成分100質量部に対して、0.5~10質量部が好ましく、0.5~5質量部がより好ましい。
(D1)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られやすい。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
(D1)成分の製造方法:
前記の(d1-1)成分、(d1-2)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
また、(d1-3)成分の製造方法は、特に限定されず、例えば、US2012-0149916号公報に記載の方法と同様にして製造される。
・(D2)成分について
(D)成分としては、上記の(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物成分(以下「(D2)成分」という。)を含有してもよい。
(D2)成分としては、酸拡散制御剤として作用するもので、かつ、(D1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミンが好ましく、この中でも特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンがより好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素原子数が1~12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素原子数12以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンもしくはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、n-ノニルアミン、n-デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-n-ヘプチルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、トリ-n-ヘキシルアミン、トリ-n-ヘプチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、トリ-n-ノニルアミン、トリ-n-デシルアミン、トリ-n-ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ-n-オクタノールアミン、トリ-n-オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素原子数5~10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ-n-ペンチルアミン又はトリ-n-オクチルアミンが特に好ましい。
環式アミンとしては、例えば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素原子数が6~10のものが好ましく、具体的には、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2-メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2-(2-メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(2-メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2-{2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられ、トリエタノールアミントリアセテートが好ましい。
また、(D2)成分としては、芳香族アミンを用いてもよい。
芳香族アミンとしては、4-ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、トリベンジルアミン、2,6-ジイソプロピルアニリン、N-tert-ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
上記の中でも、(D2)成分は、アルキルアミンであることが好ましく、炭素原子数5~10のトリアルキルアミンがより好ましい。
(D2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(D2)成分を含有する場合、レジスト組成物中、(D2)成分の含有量は、(A1)成分100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましく、0.5~5質量部がさらに好ましい。
(D2)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られやすい。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
本実施形態のレジスト組成物が含有する(D)成分全体のうち、(D0)成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、(D)成分は(D0)成分のみからなるものであってもよい。
<その他成分>
本実施形態のレジスト組成物は、上述した(A)成分、及び、(D)成分に加え、その他成分をさらに含有してもよい。その他成分としては、例えば以下に示す(B)成分、(E)成分、(F)成分、(S)成分などが挙げられる。
≪酸発生剤成分(B)≫
本実施形態のレジスト組成物は、さらに、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有することが好ましい。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤として提案されているものを用いることができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤;ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤;ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが挙げられる。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば、下記の一般式(b-1)で表される化合物(以下「(b-1)成分」ともいう)、一般式(b-2)で表される化合物(以下「(b-2)成分」ともいう)又は一般式(b-3)で表される化合物(以下「(b-3)成分」ともいう)が挙げられる。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば、下記の一般式(b-1)で表される化合物(以下「(b-1)成分」ともいう)、一般式(b-2)で表される化合物(以下「(b-2)成分」ともいう)又は一般式(b-3)で表される化合物(以下「(b-3)成分」ともいう)が挙げられる。
Figure 2023046908000082
[式中、R101及びR104~R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。R104とR105とは相互に結合して環構造を形成していてもよい。R102は、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Y101は、酸素原子を含む2価の連結基又は単結合である。V101~V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。L101~L102は、それぞれ独立に、単結合又は酸素原子である。L103~L105は、それぞれ独立に、単結合、-CO-又は-SO-である。mは1以上の整数であって、M’m+はm価のオニウムカチオンである。]
{アニオン部}
・(b-1)成分におけるアニオン
式(b-1)中、R101は、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基である。
置換基を有してもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
101における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素原子数は3~30であることが好ましく、5~30であることがより好ましく、5~20がさらに好ましく、6~15が特に好ましく、6~10が最も好ましい。但し、該炭素原子数には、置換基における炭素原子数を含まないものとする。
101における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
101における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:例えば、フェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素原子数は、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
101における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素原子数が3~20であることが好ましく、3~12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
なかでも、R101における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基がさらに好ましく、アダマンチル基が特に好ましい。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が1~10であることが好ましく、1~6がより好ましく、1~4がさらに好ましく、1~3が最も好ましい。直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]、ペンタメチレン基[-(CH-]等が挙げられる。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が2~10であることが好ましく、3~6がより好ましく、3又は4がさらに好ましく、3が最も好ましい。分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、R101における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。具体的には、前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、前記一般式(b5-r-1)~(b5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基、その他下記化学式(r-hr-1)~(r-hr-16)でそれぞれ表される複素環式基が挙げられる。式中*は、式(b-1)中のY101に結合する結合手を表す。
Figure 2023046908000083
101の環式基における置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基が最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素原子数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(-CH-)を置換する基である。
101における環状の炭化水素基は、脂肪族炭化水素環と芳香環とが縮合した縮合環を含む縮合環式基であってもよい。前記縮合環としては、例えば、架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンに、1個以上の芳香環が縮合したもの等が挙げられる。前記架橋環系ポリシクロアルカンの具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナン)、ビシクロ[2.2.2]オクタン等のビシクロアルカンが挙げられる。前記縮合環式としては、ビシクロアルカンに2個又は3個の芳香環が縮合した縮合環を含む基が好ましく、ビシクロ[2.2.2]オクタンに2個又は3個の芳香環が縮合した縮合環を含む基がより好ましい。R101における縮合環式基の具体例としては、上述した式(r-br-1)~(r-br-2)で表されるが挙げられる。この場合の式中*は、式(b-1)中のY101に結合する結合手を表す。
101における縮合環式基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基等が挙げられる。
前記縮合環式基の置換基としてのアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基は、上記R101における環式基の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記縮合環式基の置換基としての芳香族炭化水素基としては、芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:例えば、フェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)、上記式(r-hr-1)~(r-hr-6)でそれぞれ表される複素環式基等が挙げられる。
前記縮合環式基の置換基としての脂環式炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;前記一般式(b5-r-1)~(b5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基;前記式(r-hr-7)~(r-hr-16)でそれぞれ表される複素環式基等が挙げられる。
置換基を有してもよい鎖状のアルキル基:
101の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素原子数が1~20であることが好ましく、1~15であることがより好ましく、1~10が最も好ましい。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素原子数が3~20であることが好ましく、3~15であることがより好ましく、3~10が最も好ましい。具体的には、例えば、1-メチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基などが挙げられる。
置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基:
101の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素原子数が2~10であることが好ましく、2~5がより好ましく、2~4がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1-メチルビニル基、2-メチルビニル基、1-メチルプロペニル基、2-メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
101の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R101における環式基等が挙げられる。
上記の中でも、R101は、置換基を有してもよい環式基が好ましく、置換基を有してもよい環状の炭化水素基であることがより好ましい。環状の炭化水素基として、より具体的には、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;前記一般式(b5-r-1)~(b5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基又は前記一般式(b5-r-1)~(b5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基がより好ましく、アダマンチル基又は前記一般式(b5-r-1)で表される-SO-含有環式基がさらに好ましい。
式(b-1)中、Y101は、単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。
101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、該Y101は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、例えば炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、例えば、酸素原子(エーテル結合:-O-)、エステル結合(-C(=O)-O-)、オキシカルボニル基(-O-C(=O)-)、アミド結合(-C(=O)-NH-)、カルボニル基(-C(=O)-)、カーボネート結合(-O-C(=O)-O-)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。この組み合わせに、さらにスルホニル基(-SO-)が連結されていてもよい。かかる酸素原子を含む2価の連結基としては、例えば上述した一般式(y-al-1)~(y-al-7)でそれぞれ表される連結基が挙げられる。なお、この場合、上述した一般式(y-al-1)~(y-al-7)において、上記式(b-1)中のR101と結合するのが、上述した一般式(y-al-1)~(y-al-7)中のV’101である。
101としては、エステル結合を含む2価の連結基、またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、上記式(y-al-1)~(y-al-5)でそれぞれ表される連結基がより好ましい。
式(b-1)中、V101は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。V101におけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基は、炭素原子数1~4であることが好ましい。V101におけるフッ素化アルキレン基としては、V101におけるアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。なかでも、V101は、単結合、又は炭素原子数1~4のフッ素化アルキレン基であることが好ましい。
式(b-1)中、R102は、フッ素原子又は炭素原子数1~5のフッ素化アルキル基である。R102は、フッ素原子または炭素原子数1~5のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
前記式(b-1)で表されるアニオン部の具体例としては、例えば、Y101が単結合となる場合、トリフルオロメタンスルホネートアニオンやパーフルオロブタンスルホネートアニオン等のフッ素化アルキルスルホネートアニオンが挙げられる。
・(b-2)成分におけるアニオン
式(b-2)中、R104、R105は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b-1)中のR101と同様のものが挙げられる。ただし、R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。
104、R105は、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
該鎖状のアルキル基の炭素原子数は、1~10であることが好ましく、より好ましくは炭素原子数1~7、さらに好ましくは炭素原子数1~3である。R104、R105の鎖状のアルキル基の炭素原子数は、上記炭素原子数の範囲内において、レジスト用溶剤への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。また、R104、R105の鎖状のアルキル基においては、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また、250nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するため好ましい。前記鎖状のアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70~100%、さらに好ましくは90~100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
式(b-2)中、V102、V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基であり、それぞれ、式(b-1)中のV101と同様のものが挙げられる。
式(b-2)中、L101、L102は、それぞれ独立に単結合又は酸素原子である。
・(b-3)成分におけるアニオン
式(b-3)中、R106~R108は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b-1)中のR101と同様のものが挙げられる。
式(b-3)中、L103~L105は、それぞれ独立に、単結合、-CO-又は-SO-である。
上記の中でも、(B)成分のアニオン部としては、(b-1)成分におけるアニオンが好ましい。
{カチオン部}
前記の式(b-1)、式(b-2)、式(b-3)中、M’m+は、m価のオニウムカチオンを表す。この中でも、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが好ましい。
mは、1以上の整数である。
好ましいカチオン部((M’m+1/m)としては、前記一般式(ca-1)~(ca-3)でそれぞれ表される有機カチオンが挙げられる。
本実施形態のレジスト組成物において、(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(B)成分を含有する場合、レジスト組成物中、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、40質量部未満が好ましく、1~30質量部がより好ましく、1~25質量部がさらに好ましい。
(B)成分の含有量を、前記の好ましい範囲とすることで、パターン形成が十分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られやすく、レジスト組成物としての保存安定性が良好となるため好ましい。
≪有機カルボン酸、並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(E)≫
本実施形態のレジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という)を含有させることができる。
有機カルボン酸として、具体的には、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が挙げられ、その中でも、サリチル酸が好ましい。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、例えば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数6~15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ-n-ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸-ジ-n-ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、ホスフィン酸エステルやフェニルホスフィン酸などが挙げられる。
本実施形態のレジスト組成物において、(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(E)成分を含有する場合、(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、0.05~3質量部がより好ましい。上記範囲とすることにより、リソグラフィー特性がより向上する。
≪フッ素添加剤成分(F)≫
本実施形態のレジスト組成物は、レジスト膜に撥水性を付与するため、又はリソグラフィー特性を向上させるために、フッ素添加剤成分(以下「(F)成分」という)を含有してもよい。
(F)成分としては、例えば、特開2010-002870号公報、特開2010-032994号公報、特開2010-277043号公報、特開2011-13569号公報、特開2011-128226号公報に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記一般式(f1-1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。この重合体としては、下記式(f1-1)で表される構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);該構成単位(f1)と前記構成単位(a1)との共重合体;該構成単位(f1)とアクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と前記構成単位(a1)との共重合体であることが好ましく、該構成単位(f1)と前記構成単位(a1)との共重合体であることがより好ましい。ここで、該構成単位(f1)と共重合される前記構成単位(a1)としては、1-エチル-1-シクロオクチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位、1-メチル-1-アダマンチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位が好ましく、1-エチル-1-シクロオクチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位がより好ましい。
Figure 2023046908000084
[式中、Rは前記と同様であり、Rf102およびRf103はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基を表し、Rf102およびRf103は同じであっても異なっていてもよい。nfは0~5の整数であり、Rf101はフッ素原子を含む有機基である。]
式(f1-1)中、α位の炭素原子に結合したRは、前記と同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(f1-1)中、Rf102およびRf103のハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。Rf102およびRf103の炭素原子数1~5のアルキル基としては、上記Rの炭素原子数1~5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。Rf102およびRf103の炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、炭素原子数1~5のアルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。なかでもRf102およびRf103としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはエチル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
式(f1-1)中、nfは0~5の整数であり、0~3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
式(f1-1)中、Rf101は、フッ素原子を含む有機基であり、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、炭素原子数は1~20であることが好ましく、炭素原子数1~15であることがより好ましく、炭素原子数1~10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから特に好ましい。
なかでも、Rf101としては、炭素原子数1~6のフッ素化炭化水素基がより好ましく、トリフルオロメチル基、-CH-CF、-CH-CF-CF、-CH(CF、-CH-CH-CF、-CH-CH-CF-CF-CF-CFが特に好ましい。
(F)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000~50000が好ましく、5000~40000がより好ましく、10000~30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのにレジスト用溶剤への充分な溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、レジスト膜の撥水性が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0~5.0が好ましく、1.0~3.0がより好ましく、1.0~2.5が最も好ましい。
本実施形態のレジスト組成物において、(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(F)成分を含有する場合、(F)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5~10質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましい。
≪有機溶剤成分(S)≫
本実施形態のレジスト組成物は、レジスト材料を有機溶剤成分(以下「(S)成分」という)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
(S)成分としては、例えば、γ-ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
本実施形態のレジスト組成物において、(S)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。なかでも、PGMEA、PGME、γ-ブチロラクトン、EL、シクロヘキサノンが好ましい。
また、(S)成分としては、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶剤も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2、さらに好ましくは3:7~7:3である。さらに、PGMEAとPGMEとシクロヘキサノンとの混合溶剤も好ましい。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ-ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者との質量比が、好ましくは70:30~95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が0.1~20質量%、好ましくは0.2~15質量%の範囲内となるように(S)成分は用いられる。
本実施形態のレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
本実施形態のレジスト組成物は、上記レジスト材料を(S)成分に溶解させた後、ポリイミド多孔質膜、ポリアミドイミド多孔質膜等を用いて、不純物等の除去を行ってもよい。例えば、ポリイミド多孔質膜からなるフィルター、ポリアミドイミド多孔質膜からなるフィルター、ポリイミド多孔質膜及びポリアミドイミド多孔質膜からなるフィルター等を用いて、レジスト組成物の濾過を行ってもよい。前記ポリイミド多孔質膜及び前記ポリアミドイミド多孔質膜としては、例えば、特開2016-155121号公報に記載のもの等が例示される。
以上説明した本実施形態のレジスト組成物は、一般式(d0)で表される化合物(D0)((D0)成分)を含有する。
(D0)成分は未露光部では、(B)成分等から発生する酸の拡散を制御するが、露光部では、酸を発生し、酸発生剤として作用する。
(D0)成分は、アニオン部が特定の嵩高い構造(芳香環を1つ以上含む縮合環を含む縮合環式基)を有する。これにより、露光部で(D0)成分から発生する酸の拡散が適度に制御される。また、(D0)成分の疎水性向上により、レジスト膜内での(D0)成分の均一性が高まる。これにより、レジスト膜の露光部と未露光部との境界において、例えば、(B)成分から発生する酸が、(D0)成分により偏りなくトラップされる。
加えて、(D0)成分のアニオン部が有する臭素原子又はヨウ素原子は、EUV(極端紫外線)及びEB(電子線)の吸収効率が高い。よって、従来の臭素原子又はヨウ素原子を有さない酸拡散制御剤よりも、露光部におけるEUVやEBに対する感度を向上させることができる。
したがって、(D0)成分を含有する本実施形態のレジスト組成物は、高感度化が図れ、CDUが良好なレジストパターンを形成することができると推測される。
(レジストパターン形成方法)
本発明の第2の態様に係るレジストパターン形成方法は、支持体上に、上述した本発明の第1の態様に係るレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を有する方法である。
かかるレジストパターン形成方法の一実施形態としては、例えば以下のようにして行うレジストパターン形成方法が挙げられる。
まず、上述した実施形態のレジスト組成物を、支持体上にスピンナー等で塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、例えば80~150℃の温度条件にて40~120秒間、好ましくは60~90秒間施してレジスト膜を形成する。
次に、該レジスト膜に対し、例えば電子線描画装置、ArF露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、例えば80~150℃の温度条件にて40~120秒間、好ましくは60~90秒間施す。
次に、前記レジスト膜を現像処理する。現像処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて行う。
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、前記現像処理またはリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を、超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。
このようにして、レジストパターンを形成することができる。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や、多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)と、に分けられる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極端紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用としての有用性が高く、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用としての有用性がより高く、EBまたはEUV用としての有用性が特に高い。すなわち、本実施形態のレジストパターン形成方法は、レジスト膜を露光する工程が、前記レジスト膜に、EUV(極端紫外線)又はEB(電子線)を露光する操作を含む場合に特に有用な方法である。
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよいが、液浸露光であることが好ましい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、露光されるレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70~180℃のものが好ましく、80~160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル化合物が好ましい。パーフルオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物、パーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2-ブチル-テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
アルカリ現像プロセスで現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば0.1~10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤の中から適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
ケトン系溶剤は、構造中にC-C(=O)-Cを含む有機溶剤である。エステル系溶剤は、構造中にC-C(=O)-O-Cを含む有機溶剤である。アルコール系溶剤は、構造中にアルコール性水酸基を含む有機溶剤である。「アルコール性水酸基」は、脂肪族炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基を意味する。ニトリル系溶剤は、構造中にニトリル基を含む有機溶剤である。アミド系溶剤は、構造中にアミド基を含む有機溶剤である。エーテル系溶剤は、構造中にC-O-Cを含む有機溶剤である。
有機溶剤の中には、構造中に上記各溶剤を特徴づける官能基を複数種含む有機溶剤も存在するが、その場合は、当該有機溶剤が有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中のアルコール系溶剤、エーテル系溶剤のいずれにも該当するものとする。
炭化水素系溶剤は、ハロゲン化されていてもよい炭化水素からなり、ハロゲン原子以外の置換基を有さない炭化水素溶剤である。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
有機系現像液が含有する有機溶剤としては、上記の中でも、極性溶剤が好ましく、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤等が好ましい。
ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、メチルアミルケトン(2-ヘプタノン)等が挙げられる。これらの中でも、ケトン系溶剤としては、メチルアミルケトン(2-ヘプタノン)が好ましい。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶剤としては、酢酸ブチルが好ましい。
ニトリル系溶剤としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、バレロニトリル、ブチロニトリル等が挙げられる。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。界面活性剤としては、非イオン性の界面活性剤が好ましく、非イオン性のフッ素系界面活性剤、又は非イオン性のシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001~5質量%であり、0.005~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
現像処理は、公知の現像方法により実施することが可能であり、例えば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理後のリンス処理に用いるリンス液が含有する有機溶剤としては、例えば前記有機系現像液に用いる有機溶剤として挙げた有機溶剤のうち、レジストパターンを溶解しにくいものを適宜選択して使用できる。通常、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤およびエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を使用する。これらのなかでも、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びアミド系溶剤から選択される少なくとも1種類が好ましく、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種類がより好ましく、アルコール系溶剤が特に好ましい。
リンス液に用いるアルコール系溶剤は、炭素原子数6~8の1価アルコールが好ましく、該1価アルコールは直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。具体的には、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらのなかでも、1-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-ヘキサノールが好ましく、1-ヘキサノール、2-ヘキサノールがより好ましい。
これらの有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記以外の有機溶剤や水と混合して用いてもよい。但し、現像特性を考慮すると、リンス液中の水の配合量は、リンス液の全量に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
リンス液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、前記と同様のものが挙げられ、非イオン性の界面活性剤が好ましく、非イオン性のフッ素系界面活性剤、又は非イオン性のシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、リンス液の全量に対して、通常0.001~5質量%であり、0.005~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該リンス処理の方法としては、例えば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
以上説明した本実施形態のレジストパターン形成方法によれば、上述したレジスト組成物が用いられているため、高感度化が図れ、CDUが良好なレジストパターンを形成することができる。
上述した実施形態のレジスト組成物、及び、上述した実施形態のパターン形成方法において使用される各種材料(例えば、レジスト溶剤、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物、トップコート形成用組成物など)は、金属、ハロゲンを含む金属塩、酸、アルカリ、硫黄原子又はリン原子を含む成分等の不純物を含まないことが好ましい。ここで、金属原子を含む不純物としては、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mn、Mg、Al、Cr、Ni、Zn、Ag、Sn、Pb、Li、またはこれらの塩などを挙げることができる。これら材料に含まれる不純物の含有量としては、200ppb以下が好ましく、1ppb以下がより好ましく、100ppt(parts per trillion)以下が更に好ましく、10ppt以下が特に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が最も好ましい。
(化合物)
本発明の第3の態様に係る化合物は、下記一般式(d0)で表される、化合物である。
Figure 2023046908000085
[式中、Rdは、芳香環と脂環とが縮合した縮合環式基である。前記縮合環式基における脂環は、置換基を有し、前記置換基のうち、少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。Ydは、2価の連結基又は単結合である。但し、Ydは、前記縮合環式基における脂環と結合する。Mm+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。]
上記一般式(d0)で表される化合物は、上述した本発明の第1の態様に係るレジスト組成物中の(D0)成分と同一である。
[一般式(d0)で表される化合物の製造方法]
(D0)成分は、公知の方法を用いて製造できる。
(D0)成分の具体的な製造方法として、(D0)成分の一例である一般式(d’0)で表される化合物の製造方法を以下に示す。
まず、下記一般式(X-1)で表される化合物X1と、所望の臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基(Rbi)を有する下記一般式(Alc-1)で表される化合物(Alc-1)とを反応させ、下記一般式(D0pre)で表される化合物(D0pre)を得る(第1工程)。
次いで、化合物(D0pre)と、下記一般式(S-1)で表される化合物(S-1)とを塩基の存在下で塩交換反応を行うことで、(D0)成分の一例である一般式(d’0)で表される化合物を得ることができる(第2工程)。
なお、下記の反応式において、便宜上「RbiO-C=O-Rd00」と表しているが、「RbiO-C=O-Rd00」は、一般式(d0)中の「Rd」の一例である。
Figure 2023046908000086
[式中、Rd00は、芳香環と脂環とが縮合した縮合環式基である。Rbiは、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基である。Zは、ハロゲンイオンである。(Mm+1/mは、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。]
第1工程:
第1工程は、例えば、化合物(X-1)と、化合物(Alc-1)とを有機溶剤(THF等)に溶解し、塩基の存在下で反応を行い、化合物(D0pre)を得る工程である。
該塩基として、具体的には、水素化ナトリウム、KCO、CsCO、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
反応温度は、例えば、0~50℃であり、反応時間は、例えば、10分間以上24時間以下である。
上記式中、Rd00は、芳香環と脂環とが縮合した縮合環式基であり、上記一般式(d0)中のRdにおける芳香環と脂環とが縮合した縮合環式基と同一である。
第2工程:
第2工程は、例えば、化合物(D0pre)と、塩交換用の化合物(S-1)とを、水、ジクロロメタン、アセトニトリル、又はクロロホルム等の溶媒、及び、塩基の存在下で反応させて、(D0)成分の一例である一般式(d’0)で表される化合物を得る工程である。
該塩基として、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、水素化ナトリウム、KCO、CsCO、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
上記式中、Zとして、具体的には、臭素イオン、塩素イオン等が挙げられる。
反応温度は、例えば、0~100℃であり、反応時間は、例えば、10分間以上24時間以下である。
上記式中、(Mm+1/mは、上記一般式(d0)中の(Mm+1/mと同一である。
塩交換反応が終了した後、反応液中の化合物を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、例えば、濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等を適宜組み合わせて用いることができる。
上記のようにして得られる化合物の構造は、H-核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C-NMRスペクトル法、19F-NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により同定できる。
(D0)成分の製造方法において、上記第1工程と、第2工程との間に、化合物(D0pre)とヒドロキシ酸とを反応させて、該化合物(D0pre)とは異なる上記一般式(D0pre)で表される化合物を得る工程を有してもよい。
該ヒドロキシ酸として、具体的には、下記化学式(K-1)で表される化合物、下記化学式(K-2)で表される化合物及び下記化学式(K-3)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2023046908000087
また、(D0)成分の製造方法は、上記第1工程により得られた化合物(D0pre)とエチレングリコール等のジオールとを反応させて中間体を得て、得られた中間体とシュウ酸等のジカルボン酸とを反応させて、該化合物(D0pre)とは異なる上記一般式(D0pre)で表される化合物を得る工程を有していてもよい。
各工程で用いられる原料は、市販のものを用いてもよく、合成したものを用いてもよい。
例えば、化合物(X-1)を合成する場合は、芳香族化合物(例えば、アントラセン)と、アルケン(例えば、無水マレイン酸)とでディールス・アルダー反応を行うことで、化合物(X-1)を得ることができる。
以上説明した本発明の第3の態様に係る化合物は、上述した本発明の第1の態様に係るレジスト組成物中の酸拡散制御剤として有用な化合物である。
(酸拡散制御剤)
本発明の第4の態様に係る酸拡散制御剤は、上述した第3の態様に係る化合物を含むものである。
かかる酸拡散制御剤は、化学増幅型レジスト組成物用の酸拡散制御剤として有用である。
上述した第3の態様に係る化合物は、アニオン部にカルボキシレートアニオンを有するものであるため、化学増幅型レジスト組成物に一般的に用いられる酸発生剤のアニオン部が有するフッ素化アルキルスルホネートアニオン等よりも、比較的に弱い酸を、露光により発生するものである。
かかる酸拡散制御剤を化学増幅型レジスト組成物に用いることで、レジストパターン形成において、感度、及び、CDUがより向上する。かかる酸拡散制御剤を用いることで、特に、EB又はEUV光源を用いたレジストパターン形成において、感度、及び、CDUがより向上する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<化合物(X-1)の製造>
(製造例1-1)
300mL三口フラスコに、アントラセン(20.0g、112.2mmol)と、無水マレイン酸(16.6g、168.3mmol)と、塩化アルミニウム(1.50g、11.2mmol)と、トルエン(200g)とを投入し、撹拌下、80℃で4時間反応させた。冷却後、超純水(155g)加え、30分撹拌後、析出した固体をろ過した。ろ物をTHF(93g)と、ジクロロメタン(680g)との混合溶媒に溶解し、超純水(155g)で3回洗浄した後、有機層をロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。濃縮物を酢酸エチルで再結晶して、化合物(X-1-1)を得た。
Figure 2023046908000088
<化合物(D0pre)の製造>
(製造例2-1)
300mL三口フラスコに、水素化ナトリウム(60% in oil)(4.3g、106.0mmol)と、脱水THF(73.2g)とを投入し、10℃以下まで冷却した。懸濁液に2,4,6-トリヨードフェノール(25.0g、53.0mmol)を加えてそのまま30分撹拌した後、化合物(X-1-1)(14.6g、53.0mmol)を加え、室温(25℃)に戻した。6時間後、反応液を10℃以下まで冷却した5%塩酸(91.1g、127.2mmol)に滴下し、1時間撹拌後に分液して、有機層をロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。濃縮物にジクロロメタン(79g)を加えて、室温(25℃)で2時間撹拌し、析出した固体をろ過した。得られた固体にアセトニトリル(337g)を加えて60℃で溶解させた後室温(25℃)に戻し、超純水(337g)を加えてから10℃以下に冷却した。2時間後、析出した固体をろ過し、化合物(D0pre-01)を得た。
Figure 2023046908000089
(製造例2-2)
300mL三口フラスコに、化合物(D0pre-01)(10.9g、14.6mmol)、化合物(K-1)(1.6g、16.1mmol)、ジクロロメタン(85g)を投入し、室温(25℃)下で撹拌して溶解させた。次に、ジイソプロピルカルボジイミド(2.1g、16.1mmol)とジメチルアミノピリジン(0.028g、0.2mmol)とを投入し、室温下で5時間反応させた。反応液を濾過し、濾液を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。濃縮物をアセトニトリル(15g)で溶解した後、MTBE(90g)に滴下し、析出した固体を濾過した。濾過物を再度アセトニトリル(15g)で溶解し、MTBE(90g)に滴下し、析出した固体を濾過した。この操作を2回繰り返した後、濾過物を、減圧乾燥することにより化合物(Dpre-02)を得た。
Figure 2023046908000090
(製造例2-3)
化合物(K-1)(1.6g、16.1mmol)を化合物(K-2)(2.8g、16.1mmol)に変更したこと以外は、化合物(Dpre-02)と同様の方法で、化合物(Dpre-03)を得た。
Figure 2023046908000091
(製造例2-4)
化合物(K-1)(1.6g、16.1mmol)を化合物(K-3)(2.4g、16.1mmol)に変更したこと以外は、化合物(Dpre-02)と同様の方法で、化合物(Dpre-04)を得た。
Figure 2023046908000092
(製造例2-5)
化合物(K-1)(1.6g、16.1mmol)をエチレングリコール(1.0g、16.1mmol)に変更したこと以外は、化合物(Dpre-02)と同様の方法で、中間体1を得た。
Figure 2023046908000093
300mL三口フラスコに、中間体1(8.5g、10.7mmol)、シュウ酸(1.1g、11.7mmol)、ジクロロメタン(50g)を投入し、室温(25℃)下で撹拌して溶解させた。次に、ジイソプロピルカルボジイミド(1.5g、11.7mmol)と、ジメチルアミノピリジン(0.017g、0.2mmol)とを投入し、室温(25℃)下で5時間反応させた。反応液をろ過し、ろ液を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。濃縮物をアセトニトリル(8g)で溶解した後、MTBE(40g)に滴下し、析出した固体をろ過した。ろ物を再度アセトニトリル(8g)で溶解し、MTBE(40g)に滴下し、析出した固体をろ過した。この操作を2回繰り返した後、ろ物を、減圧乾燥することにより化合物(Dpre-05)を得た。
Figure 2023046908000094
(製造例2-6)
2,4,6-トリヨードフェノール(25.0g、53.0mmol)を、2,4-ジヨードフェノール(18.3g、52.9mmol)に変更したこと以外は、化合物(Dpre-01)と同様の方法で、化合物(Dpre-06)を得た。
Figure 2023046908000095
(製造例2-7)
2,4,6-トリヨードフェノール(25.0g、53.0mmol)を、4-ヨードフェノール(11.7g、53.2mmol)に変更したこと以外は、化合物(Dpre-01)と同様の方法で、化合物(Dpre-07)を得た。
Figure 2023046908000096
(製造例2-8)
2,4,6-トリヨードフェノール(25.0g、53.0mmol)を、2-フルオロ-4-ヨードフェノール(12.6g、52.9mmol)に変更したこと以外は、化合物(Dpre-01)と同様の方法で、化合物(Dpre-08)を得た。
Figure 2023046908000097
<化合物(D0)の製造>
(製造例3-1)
化合物(Dpre-01)(6.0g、8.0mmol)と化合物(S-1-1)(2.86g、8.4mmol)とをジクロロメタン(50g)に溶解し、5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(14.5g)を加え、室温(25℃)下で30分間反応させた。反応終了後、水層を除去し、有機層を超純水(15.0g)で5回洗浄した。有機層を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固することにより化合物(D0-01)を得た。
Figure 2023046908000098
(製造例3-2~3-11)
上記の「化合物(D0-01)の製造例」における化合物(D0pre-01)と、塩交換用化合物(S-1-1)との組み合わせを、それぞれ上述した化合物(D0pre-01)~(D0pre-08)と、下記の塩交換用化合物(S-1-1)~(S-1-4)に変更したこと以外は、上記の「化合物(D0-01)の製造例」と同様にして、以下に示す化合物(D0-02)~化合物(D0-11)を得た。
化合物(D0-01)~化合物(D0-11)の構造を以下に示す。
Figure 2023046908000099
Figure 2023046908000100
Figure 2023046908000101
なお、上述した化合物(D0-01)~(D0-11)の構造は、以下に示すH-NMR測定の分析結果から同定したものである。
化合物(D0-01):化合物(D0pre-01)と塩交換用化合物(S-1-1)との組合せ
H-NMR(DMSO,400MHz):δ(ppm)=7.99(d, I-ArH, 2H), 7.90-7.74(m, ArH, 15H), 7.48-7.43(m, ArH, 3H), 7.32-7.30(m, ArH, 1H), 7.17-7.10(m, ArH, 4H), 4.78(d, CH, 1H), 4.73(d, CH, 1H), 3.74-3.72(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 2.72-2.70(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H)
化合物(D0-02):化合物(D0pre-02)と塩交換用化合物(S-1-1)との組合せ
H-NMR(DMSO,400MHz):δ(ppm)=7.99(d, I-ArH, 2H), 7.90-7.74(m, ArH, 15H), 7.48-7.43(m, ArH, 3H), 7.32-7.30(m, ArH, 1H), 7.17-7.10(m, ArH, 4H), 5.02(d, CH, 1H), 4.84(d, CH, 1H), 3.58-3.57(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 3.42-3.40(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 2.15(s, -COO-CH2-, 2H)
化合物(D0-03):化合物(D0pre-03)と塩交換用化合物(S-1-1)との組合せ
H-NMR(DMSO,400MHz):δ(ppm)=7.99(d, I-ArH, 2H), 7.90-7.74(m, ArH, 15H), 7.48-7.43(m, ArH, 3H), 7.32-7.30(m, ArH, 1H), 7.17-7.10(m, ArH, 4H), 6.73(s, ArH, 2H), 5.02(d, CH, 1H), 4.84(d, CH, 1H), 3.58-3.57(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 3.42-3.40(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H)
化合物(D0-04):化合物(D0pre-04)と塩交換用化合物(S-1-1)との組合せ
H-NMR(DMSO,400MHz):δ(ppm)=7.99(d, I-ArH, 2H), 7.90-7.74(m, ArH, 15H), 7.48-7.43(m, ArH, 3H), 7.32-7.30(m, ArH, 1H), 7.17-7.10(m, ArH, 4H), 5.02(d, CH, 1H), 4.84(d, CH, 1H), 4.49(s, -COO-CH2-, 2H), 3.58-3.57(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 3.42-3.40(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H)
化合物(D0-05):化合物(D0pre-05)と塩交換用化合物(S-1-1)との組合せ
H-NMR(DMSO,400MHz):δ(ppm)=7.99(d, I-ArH, 2H), 7.90-7.74(m, ArH, 15H), 7.48-7.43(m, ArH, 3H), 7.32-7.30(m, ArH, 1H), 7.17-7.10(m, ArH, 4H), 5.02(d, CH, 1H), 4.84(d, CH, 1H), 3.79-3.75(m, -COO-CH2CH2-COO-, 4H), 3.58-3.57(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 3.42-3.40(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H)
化合物(D0-06):化合物(D0pre-06)と塩交換用化合物(S-1-1)との組合せ
H-NMR(DMSO,400MHz):δ(ppm)=7.98(d, I-ArH, 1H), 7.90-7.74(m, ArH, I-ArH, 16H), 7.48-7.43(m, ArH, 3H), 7.32-7.30(m, ArH, 1H), 7.17-7.10(m, ArH, 4H), 6.89(dd, I-ArH, 1H), 4.78(d, CH, 1H), 4.73(d, CH, 1H), 3.74-3.72(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 2.72-2.70(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H)
化合物(D0-07):化合物(D0pre-07)と塩交換用化合物(S-1-1)との組合せ
H-NMR(DMSO,400MHz):δ(ppm)=7.90-7.74(m, ArH, I-ArH, 17H), 7.48-7.43(m, ArH, 3H), 7.32-7.30(m, ArH, 1H), 7.17-7.10(m, ArH, 4H), 6.87(dd, I-ArH, 2H), 4.78(d, CH, 1H), 4.73(d, CH, 1H), 3.74-3.72(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 2.72-2.70(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H)
化合物(D0-08):化合物(D0pre-08)と塩交換用化合物(S-1-1)との組合せ
H-NMR(DMSO,400MHz):δ(ppm)=7.90-7.74(m, ArH, 15H), 7.48-7.39(m, ArH, I-ArH, 5H), 7.32-7.30(m, ArH, 1H), 7.17-7.10(m, ArH, 4H), 7.00-6.98(m, I-ArH, 1H), 4.78(d, CH, 1H), 4.73(d, CH, 1H), 3.74-3.72(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 2.72-2.70(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H)
化合物(D0-09):化合物(D0pre-01)と塩交換用化合物(S-1-2)との組合せ
H-NMR(DMSO,400MHz):δ(ppm)=8.50(d, ArH, 2H), 8.37(d, ArH, 2H), 7.99(d, I-ArH, 2H), 7.93(t, ArH, 2H), 7.75-7.55(m, Ar, 7H), 7.48-7.43(m, ArH, 3H), 7.32-7.30(m, ArH, 1H), 7.17-7.10(m, ArH, 4H), 4.78(d, CH, 1H), 4.73(d, CH, 1H), 3.74-3.72(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 2.72-2.70(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H)
化合物(D0-10):化合物(D0pre-01)と塩交換用化合物(S-1-3)との組合せ
H-NMR(DMSO,400MHz):δ(ppm)=8.22-7.70(m, ArH, I-ArH, 16H), 7.48-7.43(m, ArH, 3H), 7.32-7.30(m, ArH, 1H), 7.17-7.10(m, ArH, 4H), 4.78(d, CH, 1H), 4.73(d, CH, 1H), 3.74-3.72(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 2.72-2.70(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 2.77(m, cyclohexyl, 1H), 2.11-1.12(m, chclohexyl, 10H)
化合物(D0-11):化合物(D0pre-01)と塩交換用化合物(S-1-4)との組合せ
H-NMR(DMSO,400MHz):δ(ppm)=7.99-7.77(m, ArH, I-ArH 13H), 7.48-7.43(m, ArH, 3H), 7.32-7.30(m, ArH, 1H), 7.17-7.10(m, ArH, 4H), 4.78(d, CH, 1H), 4.73(d, CH, 1H), 3.74-3.72(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H), 2.72-2.70(m, -OCO-CH-CH-COO, 1H)
<レジスト組成物の調製>
(実施例1~13、比較例1~5)
表1及び2に示す各成分を混合して溶解し、各例のレジスト組成物をそれぞれ調製した。
Figure 2023046908000102
Figure 2023046908000103
表1及び2中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)-1:下記の化学式(A1)-1で表される高分子化合物。この高分子化合物(A1)-1について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は7100、分子量分散度(Mw/Mn)は1.69。13C-NMRにより求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m=50/50。
(A)-2:下記の化学式(A1)-2で表される高分子化合物。この高分子化合物(A1)-2について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は7000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.72。13C-NMRにより求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m=50/50。
Figure 2023046908000104
(B)-1:下記の化合物(B1-1)からなる酸発生剤。
(B)-2:下記の化合物(B1-2)からなる酸発生剤。
Figure 2023046908000105
(D0)-1~(D0)-11:上記の化合物(D0-01)~化合物(D0-11)からなるそれぞれの酸拡散制御剤。
(D1)-1~(D1)-5:下記の化合物(D1-1)~化合物(D1-5)からなるそれぞれの酸拡散制御剤。
(S)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=60/40(質量比)の混合溶剤。
Figure 2023046908000106
<レジストパターンの形成>
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、各例のレジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、温度110℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜に対し、電子線描画装置JEOL-JBX-9300FS(日本電子株式会社製)を用い、加速電圧100kVにて、直径32nmのホールが等間隔(ピッチ64nm)に配置されたコンタクトホールパターン(以下「CHパターン」という。)とする描画(露光)を行った。その後、110℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
次いで、23℃にて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD-3」(商品名、東京応化工業株式会社製)を用いて、60秒間のアルカリ現像を行った。
その後、純水を用いて15秒間水リンスを行った。
その結果、直径32nmのホールが等間隔(ピッチ64nm)に配置されたCHパターンが形成された。
[最適露光量(Eop)の評価]
上記<レジストパターンの形成>によってターゲットサイズのCHパターンが形成される最適露光量Eop(μC/cm)を求めた。これを「Eop(μC/cm)」として表3に示した。
[パターン寸法の面内均一性(CDU)の評価]
上記の<レジストパターンの形成>によって形成されたCHパターンについて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧500V、商品名:CG5000、日立ハイテク社製)により、CHパターン上空から観察し、各ホールのホール直径(nm)を測定した。そして、その測定結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を求めた。その結果を「CDU(nm)」として表3に示した。
このようにして求められる3σは、その値が小さいほど、該レジスト膜に形成された複数のホールの寸法(CD)均一性が高いことを意味する。
Figure 2023046908000107
表3に示す通り、実施例のレジスト組成物は、比較例のレジスト組成物に比べ、レジストパターン形成における感度が高く、かつ、CDUが良好であることが確認できた。
実施例1、6、7のレジスト組成物は、主骨格は同じ(D0)成分を含有しており、(D0)成分のアニオン部のヨウ素原子の数がそれぞれ異なる。実施例1のレジスト組成物が含有する化合物(D0-01)はヨウ素原子の数が3であり、実施例6のレジスト組成物が含有する化合物(D0-06)はヨウ素原子の数が2であり、実施例7のレジスト組成物が含有する化合物(D0-07)はヨウ素原子の数が1である。
実施例1のレジスト組成物は、実施例6、7のレジスト組成物に比べて、感度及びCDUが良好であったため、(D0)成分のアニオン部が有するヨウ素原子の数が、1から3に増えることで、感度及びCDUが向上することが確認できた。
また、実施例7のレジスト組成物と、実施例8のレジスト組成物との対比から、(D0)成分のアニオン部のフッ素原子の有無による感度及びCDUの差はないことが分かった。
実施例1、9~11のレジスト組成物は、アニオン部は同じで、カチオン部が異なる(D0)成分をそれぞれ含有する。
実施例9~11のレジスト組成物は、実施例1のレジスト組成物に比べて、感度及びCDUが良好であったため、(D0)成分のカチオン部の分解性が向上すると、感度及びCDUが向上することが分かった。
比較例3のレジスト組成物は、単環式の脂環式炭化水素基を有する化合物(D1-3)からなる酸拡散制御剤を含有する。比較例4のレジスト組成物は、架橋環系の多環式の脂環式炭化水素基を有する化合物(D1-4)からなる酸拡散制御剤を含有する。比較例5のレジスト組成物は、単環式の芳香族炭化水素基を有する化合物(D1-5)からなる酸拡散制御剤を含有する。これらのレジスト組成物は、実施例のレジスト組成物のように、芳香環と脂環とが縮合した縮合環式基を有する酸拡散制御剤を含有しないため、実施例のレジスト組成物に比べて、CDUが劣っていた。

Claims (8)

  1. 露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、
    酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)と、
    露光により発生する酸の拡散を制御する、酸拡散制御剤成分(D)とを含有し、
    前記酸拡散制御剤成分(D)は、下記一般式(d0)で表される化合物(D0)を含む、レジスト組成物。
    Figure 2023046908000108
    [式中、Rdは、芳香環と脂環とが縮合した縮合環式基である。前記縮合環式基における脂環は、置換基を有し、前記置換基のうち、少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。Ydは、2価の連結基又は単結合である。但し、Ydは、前記縮合環式基における脂環と結合する。Mm+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。]
  2. 前記Rdにおける芳香環は、ベンゼン環である、請求項1に記載のレジスト組成物。
  3. 前記酸拡散制御剤成分(D)は、下記一般式(d0-1)で表される化合物を含む、請求項1に記載のレジスト組成物。
    Figure 2023046908000109
    [式中、Rx~Rxは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。Ry~Ryは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は相互に結合して環構造を形成していてもよい。
    Figure 2023046908000110
    は二重結合又は単結合である。Rz~Rzは、それぞれ独立に、原子価が許容する場合、置換基を有してもよい炭化水素基もしくは水素原子を表すか、又は2個以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。但し、Rx~Rxの2個以上、Ry~Ry、又はRz~Rzの2個以上の少なくとも1つは、相互に結合して芳香環を形成する。また、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち少なくとも1個は下記一般式(d0-r-an1)で表されるアニオン基を有し、アニオン部全体でn価のアニオンとなる。また、Rx~Rx、Ry~Ry及びRz~Rzのうち、少なくとも1個は、臭素原子を有する炭化水素基、又は、ヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。nは1以上の整数である。mは1以上の整数であって、Mm+は、m価の有機カチオンを表す。]
    Figure 2023046908000111
    [式中、Ydは、2価の連結基又は単結合である。*は結合手を示す。]
  4. 前記臭素原子を有する炭化水素基、及び、ヨウ素原子を有する炭化水素基における炭化水素基は、芳香族炭化水素基である、請求項1~3のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
  5. さらに、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
  6. 支持体上に、請求項1~5のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を有する、レジストパターン形成方法。
  7. 下記一般式(d0)で表される、化合物。
    Figure 2023046908000112
    [式中、Rdは、芳香環と脂環とが縮合した縮合環式基である。前記縮合環式基における脂環は、置換基を有し、前記置換基のうち、少なくとも1個はヨウ素原子を有する炭化水素基を含む。Ydは、2価の連結基又は単結合である。但し、Ydは、前記縮合環式基における脂環と結合する。Mm+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。]
  8. 請求項7に記載の化合物を含む、酸拡散制御剤。
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