JP2023044613A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な転写性を維持しながら、転写部材と同時に記録材に接触する接触部材の劣化による画像弊害を抑制する。【解決手段】画像形成装置100は、像担持体10と、転写部材20と、転写部材20に電圧を出力する電源21と、電源21から転写部材20に電圧を出力した際の電流値又は電圧値の少なくとも一方を検知する検知部241と、電源を制御する制御部210と、環境検知部300と、転写部材20と同時に転写部N2以外で記録材Pに接触可能に設けられた接触部材31と、を有し、制御部210は、環境情報に基づいて得られた絶対水分量が所定の閾値以上である場合に、転写部N2に記録材Pが無い状態での検知部241の検知結果に基づいてリミット電圧Vlimitを設定し、記録材Pが転写部材20と接触部材31とに同時に接触している間に電源21から転写部材20に印加する電圧の絶対値がリミット電圧Vlimitの絶対値以下となるように、電源21を制御する構成とする。【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いたプリンター、複写機、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関するものである。
電子写真方式などを用いた画像形成装置では、像担持体上に形成されたトナー像は、像担持体と転写部材との間に形成される転写部を通過する紙などの記録材上に転写される。中間転写方式の画像形成装置では、例えば、第1の像担持体としての感光体上に形成されたトナー像は、第2の像担持体としての中間転写体上に一次転写される。その後、中間転写体上のトナー像は、中間転写体と転写部材(二次転写部材)との間に形成される転写部(二次転写部)を通過する記録材上に二次転写される。像担持体から記録材へのトナー像の転写は、転写部材に転写電圧が印加されることで行われる。転写部材としては転写ローラが広く用いられている。高品位の成果物(印刷物)を得るためには、転写部材に適切な転写電圧を印加することが重要となる。
特許文献1では、転写ローラの電気抵抗値(以下、単に「抵抗値」という。)が高い範囲においては転写電圧を定電流制御し、転写ローラの抵抗値が低い範囲においては転写電圧を定電圧制御する構成が開示されている。また、特許文献2では、定電流制御を適用する転写電圧の下限値が設定され、転写電圧が下限値を下回る場合には定電圧制御を適用する構成が開示されている。定電圧値は、使用時間の累積に伴って転写部材の抵抗値が増大し続けた場合や、記録材が吸湿して記録材の抵抗値が下がった場合でも、トナー像に流れる転写電流を一定以上確保できるように設定される。
特開平10-48965号公報 特開2010-191276号公報
しかしながら、記録材の吸湿の影響で記録材の抵抗値が低下した場合には、記録材が転写部材と同時に転写部材以外の部材に接触したタイミングで、転写電流の一部が記録材を伝ってその部材へ流れてしまうことがある。以下、この転写部材と同時に転写部以外で記録材に接触する、転写部よりも下流側や上流側に設けられた部材を、単に「接触部材」ともいう。
そのため、例えば特許文献2に記載されるようにトナー像に一定以上の転写電流が流れるように定電圧値を設定する場合、記録材の抵抗値が低下した場合でもトナー像の転写を行えるように、定電圧値を必要以上に高く設定してしまう場合がある。その場合、接触部材に流れる電流も増加し、その結果、接触部材の劣化を招く可能性がある。例えば、接触部材としては、記録材にトナー像を定着させる定着部材がある。例えば、この定着部材に長時間大きな電流が流れると、定着部材の通電劣化などの部材の劣化を招き、最終的に画像不良が発生する可能性がある。
そこで、本発明は、良好な転写性を維持しながら、転写部材と同時に記録材に接触する接触部材の劣化に伴う画像弊害を抑制することを目的とする。
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体に接触して転写部を形成し、前記像担持体から前記転写部を通過する記録材に前記トナー像を転写させる転写部材と、前記転写部材に電圧を出力する電源と、前記電源から前記転写部材に電圧を出力した際に前記転写部材に流れる電流値又は前記転写部材に印加される電圧値の少なくとも一方を検知する検知部と、前記電源を制御する制御部と、環境の温度又は湿度の少なくとも一方に関する環境情報を検知する環境検知部と、前記転写部材と同時に前記転写部以外で前記記録材に接触可能に設けられた接触部材と、を有し、前記制御部は、前記環境情報に基づいて得られた絶対水分量が所定の閾値以上である場合に、前記転写部に前記記録材が無い状態での前記検知部の検知結果に基づいてリミット電圧を設定し、前記記録材が前記転写部材と前記接触部材とに同時に接触している間に前記電源から前記転写部材に印加する電圧の絶対値が前記リミット電圧の絶対値以下となるように、前記電源を制御することを特徴とする画像形成装置である。
本発明の他の態様によると、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体に接触して転写部を形成し、前記像担持体から前記転写部を通過する記録材に前記トナー像を転写させる転写部材と、前記転写部材に電圧を出力する電源と、前記電源から前記転写部材に電圧を出力した際に前記転写部材に流れる電流値又は前記転写部材に印加される電圧値の少なくとも一方を検知する検知部と、前記電源を制御する制御部と、前記記録材に関する情報を前記制御部に入力する入力部と、前記転写部材と同時に前記転写部以外で前記記録材に接触可能に設けられた接触部材と、を有し、前記制御部は、前記入力部により入力された前記情報が予め設定された所定の条件を満たす場合に、前記転写部に前記記録材が無い状態での前記検知部の検知結果に基づいてリミット電圧を設定し、前記記録材が前記転写部材と前記接触部材とに同時に接触している間に前記電源から前記転写部材に印加する電圧の絶対値が前記リミット電圧の絶対値以下となるように、前記電源を制御することを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、良好な転写性を維持しながら、転写部材と同時に記録材に接触する接触部材の劣化に伴う画像弊害を抑制することができる。
画像形成装置の概略断面図である。 画像形成装置の制御態様を示す概略ブロック図である。 実施例1における二次転写電圧の制御のフローチャート図である。 二次転写電圧の制御における電流及び電圧の推移を示すチャート図である。 二次転写部の抵抗値と限界電圧(リミット電圧)との関係示すグラフ図である。 二次転写部と定着装置の断面図及び等価回路図である。 比較例における二次転写電圧の制御のフローチャート図である。 実施例2における二次転写電圧の制御のフローチャート図である。 画像パターンと画像不良との関係を説明するための模式図である。 実施例3の画像形成装置の一次転写部周りの構成の模式図である。 実施例3における中間転写ベルトの断面構成を示す模式図である。 実施例3における二次転写部に関する等価回路図である。
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
<画像形成装置の全体的な構成及び動作>
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、インライン方式及び中間転写方式を採用した電子写真方式のフルカラーレーザープリンターである。画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材P(例えば、記録用紙、プラスチックシートなど)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置100に設けられるか又は接続された画像読み取り装置(図示せず)、あるいは画像形成装置100に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータ199(図2)から、画像形成装置100に入力される。
画像形成装置100は、複数の画像形成部(ステーション)として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdを有する。本実施例では、第1、第2、第3、第4の画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。なお、本実施例では、第1、第2、第3、第4の画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。各画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のa、b、c、dを省略して総括的に説明することがある。画像形成部Sは、後述する感光ドラム1(1a、1b、1c、1d)、帯電ローラ2(2a、2b、2c、2d)、露光装置3(3a、3b、3c、3d)、現像装置4(4a、4b、4c、4d)、一次転写ローラ14(14a、14b、14c、14d)、ドラムクリーニング装置5(5a、5b、5c、5d)などを有して構成される。
第1の像担持体としての回転可能なドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1は、駆動手段(駆動源)としての駆動モーターにより、図1中の矢印R1方向(反時計回り方向)に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段としての露光装置(レーザースキャナーユニット)3によって画像情報に従って走査露光され、感光ドラム1上に画像情報に従う静電潜像(静電像)が形成される。露光装置3は、例えばホストコンピュータ199(図2)から入力された画像情報から後述するCPU回路部150(図2)によって演算された出力に基づいて、感光ドラム1上にレーザー光Lを照射する。感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像手段としての現像装置4によって、現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像(トナー画像、現像剤像)が形成される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性に帯電したトナーが付着する(反転現像方式)。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。
4個の感光ドラム1a~1dに対向して、第2の像担持体としての無端状のベルトで構成された中間転写体である中間転写ベルト10が配置されている。中間転写ベルト10は、複数の支持部材(張架ローラ)としての駆動ローラ11、テンションローラ12及び二次転写対向ローラ13に掛け渡されて所定の張力で張架されている。中間転写ベルト10は、二次転写対向ローラ13と駆動ローラ11との間に形成された被転写面Mにおいて、4個の感光ドラム1a~1dに当接する。駆動ローラ11は、駆動手段(駆動源)としての駆動モーターにより図1中の矢印R2方向(時計回り方向)に回転駆動される。これにより、中間転写ベルト10は、図1中の矢印R3方向(時計回り方向)に、感光ドラム1の周速度に対応する周速度(プロセススピード)で回転(周回移動、循環移動)する。中間転写ベルト10の内周面側には、各感光ドラム1a、1b、1c、1dに対応して、一次転写手段としてのローラ型の一次転写部材である一次転写ローラ14a、14b、14c、14dが配置されている。一次転写ローラ14は、中間転写ベルト10を感光ドラム1に向けて押圧し、感光ドラム1と中間転写ベルト10との接触部である一次転写部(一次転写ニップ部)N1を形成する。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ14の作用によって、回転している中間転写ベルト10上に転写(一次転写)される。一次転写時に、一次転写ローラ14には、一次転写電圧印加手段(一次転写電圧印加部)としての一次転写電源(高圧電源)15により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。例えばフルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1a、1b、1c、1d上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、中間転写ベルト10上に重ね合わされるようにして順次一次転写される。
中間転写ベルト10の外周面側において、二次転写対向ローラ(二次転写内ローラ)13に対向する位置には、二次転写手段としてのローラ型の二次転写部材である二次転写ローラ(二次転写外ローラ)20が配置されている。二次転写ローラ20は、二次転写対向ローラ13に向けて押圧され、中間転写ベルト10を介して二次転写対向ローラ13に当接し、中間転写ベルト10と二次転写ローラ20との接触部である二次転写部(二次転写ニップ部)N2を形成する。中間転写ベルト10上に形成されたトナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ20の作用によって、中間転写ベルト10と二次転写ローラ20とに挟持されて搬送されている記録材P上に転写(二次転写)される。二次転写時に、二次転写ローラ20には、二次転写電圧印加手段(二次転写電圧印加部)としての二次転写電源(高圧電源)21により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。本実施例では、二次転写対向ローラ13は、グラウンド(接地電位)に接続されている。例えばフルカラー画像の形成時には、中間転写ベルト10上の4色のトナー像は、二次転写部N2において、記録材P上に一括して転写される。記録材Pは、記録材収容部としてのカセット51に収容されている。記録材Pは、給送手段としての給送ローラ50などによってカセット51から1枚ずつ分離されて送り出され、レジストローラ対60、60まで搬送される。そして、この記録材Pは、レジストローラ対60、60によって、中間転写ベルト10上のトナー像とタイミングが合わされて二次転写部N2へと搬送される。レジストローラ対60、60による記録材Pの搬送タイミングは、記録材Pの搬送方向の先端を検知するレジストセンサ(図示せず)の検知結果などに基づいて制御される。なお、本実施例における二次転写対向ローラ13に対応する内ローラにトナーの正規の帯電極性と同極性の電圧を印加し、本実施例における二次転写ローラ20に対応する外ローラをグラウンドに接続する構成とすることもできる。
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着装置30へと搬送される。定着装置30は、熱源を備えた定着ローラ31と、定着ローラ31に圧接する加圧ローラ32と、を有する。定着装置30は、定着ローラ31と加圧ローラ32との接触部である定着部(定着ニップ部)N3において、未定着のトナー像を担持した記録材Pに熱及び圧力を加えることで、記録材P上にトナー像を定着(溶融、固着)させる。例えばフルカラー画像の形成時には、記録材P上の4色のトナー像は、定着部N3において加熱及び加圧されることにより溶融混色されて、記録材P上に固定される。トナー像が定着された記録材Pは、画像形成装置100の装置本体から排出(出力)される。
一方、一次転写後に感光ドラム1上に残留したトナー(一次転写残トナー)などの付着物は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置5によって感光ドラム1上から除去されて回収される。また、二次転写後に中間転写ベルト10上に残留したトナー(二次転写残トナー)などの付着物は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置16によって中間転写ベルト10上から除去されて回収される。
なお、画像形成装置100は、一つの画像形成部S又は幾つか(全てではない)の画像形成部Sのみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできる。
また、各画像形成部Sにおいて、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びドラムクリーニング装置5とは、一体的に画像形成装置100の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ6を構成している。プロセスカートリッジ6は、装置本体に設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、装置本体に着脱可能となっている。
また、本実施例の画像形成装置100は、プロセススピード148mm/secで、A5サイズ紙、A4サイズ紙、LTRサイズ紙などに画像を形成して出力することができる。
ここで、本実施例では、二次転写ローラ20は、中間転写ベルト10に対して、50Nの加圧力で当接し、二次転写部N2を形成する。二次転写ローラ20は、中間転写ベルト10の回転に伴い従動して回転する。紙などの記録材Pは、二次転写部N2において、中間転写ベルト10と二次転写ローラ20とに挟持されて搬送される。二次転写ローラ20は、芯金としての外径8mmのニッケルメッキ鋼棒の周囲を、弾性層としての体積抵抗率10Ω・cmに調整したNBRとエピクロルヒドリンゴムとを主成分とする厚さ5mmの発泡スポンジ体で覆った、外径18mmのローラである。なお、本実施例では、二次転写電源21は、100V~5000Vの範囲の出力が可能であり、トナーの正規の帯電極性(本実施例では負極性)とは逆極性の電圧を二次転写ローラ20に印加する。なお、本明細書において、「~」を用いて示す数値範囲は、「~」の前後の数値を含む範囲であることを意味する。
また、図6(a)を参照して定着装置30の構成について更に説明する。図6(a)は、画像形成装置100の二次転写部N2及び定着装置30の模式的な断面図である。本実施例では、定着部材としての定着ローラ31は、金属素管の周囲に、絶縁シリコーンゴムの弾性層を形成し、更に弾性層の外周を絶縁PFAチューブで被膜した、外径18mmのローラである。この定着ローラ31は、加熱手段としてハロゲンヒータ(図示せず)を内包している。ハロゲンヒータは、定着ローラ31とは非接触で、電源(図示せず)により電圧を供給されることで発熱する。また、本実施例では、加圧部材としての加圧ローラ32は、芯金の周囲に、導電性シリコーンゴムの弾性層を形成し、更に弾性層の外周を導電性PFAチューブで被膜した、外径18mmのローラである。定着ローラ31と加圧ローラ32とは、10kgfの加圧力で押圧されることで定着部N3を形成している。加圧ローラ32は、駆動手段(駆動源)としての駆動モーターにより回転駆動される。定着ローラ31は、加圧ローラ32の回転に伴い従動して回転する。記録材Pは、定着部N3において、定着ローラ31と加圧ローラ32とに挟持されて搬送される。定着ローラ31は、金属素管から470kΩの抵抗素子33を介してグラウンドに接続(電気的に接地)されている。加圧ローラ32は、芯金から1000MΩの抵抗素子34を介してグラウンドに接続(電気的に接地)されている。定着ローラ31と抵抗素子33、及び加圧ローラ32と抵抗素子34を介して、定着ローラ31や加圧ローラ32上の電荷をグラウンドに逃がすことで、定着ローラ31や加圧ローラ32の表面が帯電することを抑制することができる。
図2は、本実施例の画像形成装置100の全体の制御を行うエンジン制御部210の構成を説明するためのブロック図である。エンジン制御部210は、CPU回路部150、ROM151及びRAM152を内蔵する。CPU回路部150は、ROM151に格納されている制御プログラムに従って、一次転写制御部201、二次転写制御部202、現像制御部203、露光制御部204、帯電制御部205などを統括的に制御する。後述する二次転写電圧の制御に関する制御テーブル(環境テーブル、記録材幅/記録材厚さ対応テーブルなど)は、ROM151に格納されておりCPU回路部150が呼び出して制御に反映する。RAM152は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
一次転写制御部201、二次転写制御部202は、それぞれエンジン制御部210の制御のもとで、一次転写電源15、二次転写電源21を制御する。一次転写制御部201、二次転写制御部202は、それぞれの電流検知部(電流検知回路)が検知する電流値などに基づいて、一次転写電源15、二次転写電源21から出力する電圧をそれぞれ制御する。二次転写電圧の制御に関しては後述して詳しく説明する。
エンジン制御部210には、画像形成装置100の内部又は外部の少なくとも一方の温度又は湿度の少なくとも一方を検知する環境検知手段(環境検知部)としての環境センサ300が接続されている。本実施例では、環境センサ300は、温度検知手段(温度検知部)としての温度センサ301と、湿度検知手段(湿度検知部)としての湿度センサ302と、を内蔵しており、画像形成装置100の周囲の温度及び湿度を検知する。環境センサ300は、温度センサ301による温度の検知結果を示す信号(温度情報)及び湿度センサ302による湿度(相対湿度)の検知結果を示す信号(湿度情報)をエンジン制御部210に入力する。
また、エンジン制御部210には、コントローラ200が接続されている。コントローラ200は、外部装置であるホストコンピュータ(ホスト機器)199から印刷情報(画像情報、各種設定情報)と印刷命令(プリントジョブの開始指示)を受信する。すると、エンジン制御部210は、各制御部(一次転写制御部201、二次転写制御部202、現像制御部203、露光制御部204、帯電制御部205など)を制御してプリントジョブの動作を実行する。なお、本実施例では、エンジン制御部210は、後述する二次転写電圧の制御のために、環境情報は環境センサ300の検知結果から取得し、記録材Pに関する情報はホストコンピュータ199からの印刷情報から取得する。印刷情報は、ホストコンピュータ199にインストールされたプリンタードライバなどを介して、ホストコンピュータ199からコントローラ200に入力される。
ここで、画像形成装置100は、一つの開始指示により開始される、単一又は複数の記録材Pに画像を形成して出力する一連の動作であるプリントジョブ(印刷ジョブ、画像出力動作)を実行する。プリントジョブは、一般に、画像形成工程、前回転工程、複数の記録材Pに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。画像形成工程(プリント工程)は、実際に記録材Pに形成して出力する画像の静電潜像の形成、トナー像の形成、トナー像の一次転写、二次転写を行う期間であり、画像形成時(画像形成期間)とはこの期間のことをいう。より詳細には、これら静電潜像の形成、トナー像の形成、トナー像の一次転写、二次転写の各工程を行う位置で、画像形成時のタイミングは異なる。前回転工程は、開始指示が入力されてから実際に画像を形成し始めるまでの、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程(記録材間工程、画像間工程)は、複数の記録材Pに対する画像形成を連続して行う際(連続画像形成)の記録材Pと記録材Pとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作(準備動作)を行う期間である。非画像形成時(非画像形成期間)とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置100の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程などが含まれる。
<二次転写電圧の制御の概要>
次に、本実施例における二次転写電圧の制御の概要について説明する。
図1に示すように、二次転写電源21は、二次転写ローラ20に接続されており、二次転写電源21から出力された二次転写電圧が二次転写ローラ20に供給される。二次転写電源21から二次転写ローラ20に二次転写電圧が印加されることで、二次転写ローラ20とその対向部に設置された二次転写対向ローラ13との間に電界が形成され、中間転写ベルト10上から記録材P上にトナーが転写される。
図2に示すように、二次転写制御部202は、二次転写電源21が二次転写ローラ20に電圧を印加することで二次転写部N2(二次転写ローラ20)に流れる電流を検知する電流検知手段としての電流検知部(電流計)241を有する。二次転写制御部202は、二次転写部N2に流れる電流が目標電流値で略一定となる(目標値に近づく)ように二次転写電源21が出力する電圧値を制御することができる。画像形成時(二次転写時)には、二次転写部N2に流れる電流が、電流検知部241によって所定の周期(電流検知周期)で検知される。そして、二次転写制御部202において、次の電流検知周期で二次転写ローラ20に印加する二次転写電圧の電圧値が決定される。二次転写制御部202は、予め設定された目標電流値と、実際の出力値である電流検知部241により検知される検知電流値と、の差分を二次転写電源21にフィードバックすることで、上記次の電流検知周期での二次転写電圧の電圧値を決定する。つまり、検知電流値が目標電流値に近づくように、次の電流検知周期で二次転写ローラ20に印加する二次転写電圧の電圧値が調整される。これにより、二次転写電源21から二次転写ローラ20に印加される二次転写電圧は、二次転写部N2に流れる電流が略一定になるように制御される。ここでは、このように電流検知部241により検知される電流値が予め設定された所定の電流値で略一定となるように二次転写電源21から二次転写ローラ20に電圧を印加する制御を「定電流制御」という。
一方、図2に示すように、二次転写制御部202は、二次転写電源21が二次転写ローラ20に印加する電圧値を検知する電圧検知手段としての電圧検知部242を有する。二次転写制御部202は、二次転写電源21が出力する電圧値が目標電圧値で略一定となる(目標値に近づく)ように制御することができる。なお、電圧検知部242は、二次転写電源21に対する出力電圧値の指示値から電圧値を検知(認識)するようになっていてよい。高温高湿(高温多湿)環境などでは、記録材P、二次転写ローラ20、中間転写ベルト10などは、吸湿の影響で抵抗値が低下する。そのような状態で二次転写電圧の「定電流制御」を実施すると、目標電流値を出力するのに必要な二次転写電圧が低くなるため、トナーを記録材Pに転写するのに必要な電界が形成されず転写不良が発生する可能性がある。そこで、トナーを記録材Pに転写するのに最低必要な電圧を確保するために「定電圧制御」によって二次転写を行う。ここでは、このように二次転写電源21から二次転写ローラ20に予め設定された所定の電圧値で略一定の電圧を印加する制御(電流値に関係なく印加する電圧を略一定にする制御)を「定電圧制御」という。
本実施例では、エンジン制御部210のCPU回路部150は、環境センサ300の温度センサ301、湿度センサ302の検知結果に基づいて画像形成装置100の設置された環境の絶対水分量を算出する。そして、CPU回路部150は、算出された絶対水分量に応じて、二次転写制御部202による二次転写電圧の制御を「定電流制御」にするか、「定電圧制御」にするか決定し、二次転写制御部202に命令する。本実施例では、絶対水分量が21.7g/m以上の場合には二次転写電圧の「定電圧制御」を実施し、絶対水分量が21.7g/m未満の場合には二次転写電圧の「定電流制御」を実施する。
なお、本実施例では、絶対水分量21.7g/m未満の場合でも、後述するように、トナーを転写するのに最低必要な電圧を確保できない場合は定電圧制御を実施する。つまり、二次転写電圧の電圧値の設定に下限値が設けられており、定電流制御を行った場合に二次転写電圧がその下限値を下回る場合には、電圧値がその下限値に相当する目標電圧値で略一定となるように二次転写電圧を制御する。
<二次転写電圧の制御の詳細>
前述のように、記録材Pの抵抗値が低下した場合でもトナー像の二次転写を行えるように必要以上に二次転写電圧の定電圧値を高く設定すると、接触部材に流れる電流も増加して、接触部材の通電劣化を招く場合がある。前述のように、「接触部材」は、二次転写ローラ20と同時に二次転写部N2以外で記録材Pに接触する、二次転写部N2よりも下流側や上流側に設けられた部材である。例えば、接触部材としての定着部材に長時間大きな電流が流れると定着部材の通電劣化などの部材の劣化を招き、最終的に定着部材の抵抗値が大幅に変化して画像不良が発生する可能性がある。
本実施例の特徴は、記録材Pの抵抗値や二次転写ローラ20の抵抗値が低下する高温高湿環境において、次のようにして、二次転写電圧の定電圧制御の定電圧値を決定することである。まず、記録材Pが二次転写部N2に到達する前にテスト電流を二次転写部(二次転写ローラ20と中間転写ベルト10)に流す。テスト電流値と、テスト電流を流した際に二次転写ローラ20に印加される電圧値と、に基づいて、次の各電圧値を決定する。一つは、(i)トナー像に電流を流すために必要な二次転写電圧の下限値(以下、「下限電圧Vunder」という。)である。他の一つは、(ii)通電劣化によって接触部材の抵抗値が大幅に変化しないようにするための二次転写電圧の上限値(以下、「限界電圧(リミット電圧)Vlimit」という。)である。最後に、(iii)下限電圧Vunderと限界電圧Vlimitとを比較して、低い方を二次転写電圧(最終二次転写電圧)Vとして決定する。そして、この決定した二次転写電圧Vを、トナー像の記録材Pへの二次転写時に二次転写ローラ20に印加する。
以下、図3のフローチャート図を参照して、プリントジョブの開始から終了までの二次転写電圧の制御の流れについて説明する。また、図3のフロー中の工程である後述する「下限電圧決定ステップ」、「限界電圧決定ステップ」、「紙間電圧決定ステップ」などについては図4~図6を参照して説明する。
図3は、本実施例におけるプリントジョブの開始から終了まで(ここでは1枚の記録材Pに画像を形成するブリントジョブを例とする。)の二次転写電圧の制御の流れを示すフローチャート図である。二次転写電圧の制御は、記録材Pが二次転写部N2に到達する前の前回転工程、記録材Pにトナー像を二次転写する画像形成工程(プリント工程)、二次転写後の後回転工程の3工程に大別される。本実施例における前回転工程は更に、高圧(二次転写高圧)の立ち上げ、紙間電圧Vt0の決定、下限電圧Vunderの決定、限界電圧Vlimitの決定、二次転写電圧Vの決定、紙間制御に分けられる。なお、便宜上、プリントジョブの最初の記録材Pに対する画像形成工程の前に、後述する紙間電圧を印加する制御についても、「紙間制御」という。特に、下限電圧Vunderと限界電圧Vlimitとに基づいて二次転写電圧Vを決定することが本実施例の特徴である。
エンジン制御部(以下、単に「制御部」ともいう。)210は、プリントジョブの開始指示を受け取ると、プリントジョブを開始する(S11)。すると、まず、制御部210は、環境センサ300により取得した環境情報から環境の絶対水分量を算出し、算出された絶対水分量が21.7g/m以上であるか否かを判断する(S12)。制御部210は、S12で絶対水分量が21.7g/m未満であると判断した場合は、二次転写電圧の制御を定電流制御とすることを決定してS40の処理へ移行する。また、制御部210は、S12で絶対水分量が21.7g/m以上であると判断した場合は、二次転写電圧の制御を定電圧制御とすることを決定してS13の処理へ移行する。制御部210は、定電圧制御、定電流制御のどちらを行う場合も、高圧の立ち上げ(S13、S40)及び紙間電圧決定ステップ(S14、S41)を行う(図4)。
高圧の立ち上げは、所定電流It0(本実施例では20μA)での定電流制御を行い、二次転写電源21を安定駆動させるための工程である。高圧の立ち上げでは、開始電圧500Vから所定電流It0近傍まで粗調制御で高圧を立ち上げた後、微調制御を実施する。粗調制御は、所定の制御周期20msec、所定の電圧変化量(本実施例では100V)で、二次転写電源21の出力を変更していき、電流変化量が所定の閾値(本実施例では2μA)以下に収束するまで行う。粗調制御が収束した後に、微調制御は、所定の制御周期20msec、所定の電圧変化量(本実施例では20V)で、二次転写電源21の出力を変更していき、電流変化量が所定の閾値(本実施例では0.8μA)以下に収束するまで行う。制御部210は、以上のようにして、所定電流It0(20μA)になるように高圧を立ち上げる(S13、S40)。
高圧の立ち上げ後、制御部210は、以降の紙間制御(S30、S42)で印加する紙間電圧Vt0を決定する。この工程を、「紙間電圧決定ステップ」とする。紙間電圧決定ステップでは、制御部210は、所定時間(本実施例では1000ms)の間、所定電流It0で定電流制御を行う。そして、制御部210は、所定のサンプリング周期(本実施例では20ms)で電圧値をサンプリングすることで、所定電流It0での定電流制御中の平均電圧値Vt0を算出する。制御部210は、この制御で算出された平均電圧値Vt0を紙間電圧として決定して、紙間電圧決定ステップを完了する(S14、S41)。
制御部210は、上述の高圧の立ち上げ及び紙間電圧決定ステップの後、二次転写電圧の定電圧制御を行う場合には、トナー像の二次転写時に印加する二次転写電圧Vを決める処理に移行する(S15~S19)。以下では、まず二次転写電圧の定電圧制御を行う場合のフローについて説明する。
まず、制御部210は、下限電圧Vunderを決定する(S15)。この工程を、「下限電圧決定ステップ」とする。下限電圧決定ステップは、記録材Pの抵抗値によってトナー像に流れる電流値が変わるため、記録材Pの抵抗値が転写性に影響が及ぶことを抑制するための二次転写電圧の下限値である下限電圧Vunderを決定する工程である。下限電圧決定ステップは、記録材Pや二次転写ローラ20の抵抗値にかかわらず、記録材P上のトナーにかかる分圧を一定量確保する電圧設定値を決定することを目的としたステップである。そのため、下限電圧決定ステップでは、吸湿紙のように抵抗値が低い記録材P上であっても効率よくトナー像を転写するための下限電圧Vunderの範囲を設定する。
下限電圧決定ステップでは、制御部210は、予め決められたテスト電流である、下限電圧決定ステップの目標電流値Iunder(以下、「下限電圧電流値Iunder」という。)を流すように、高圧を立ち上げる(図4)。下限電圧電流値Iunderは、プリントモード、紙種、紙サイズなどに応じて予め決められている。また、下限電圧Vunderの設定範囲が、プリントモード、紙種、紙サイズなどに応じて予め決められている。下限電圧Vunderの設定下限を「Vunder_min」、下限電圧Vunderの設定上限を「Vunder_max」とする。制御部210は、下限電圧電流値Iunderを流すための二次転写電圧V’が上記下限電圧Vunderの設定範囲内(Vunder_min≦V’≦Vunder_max)である場合は、その二次転写電圧V’を下限電圧Vunderとして決定して、下限電圧決定ステップを終了する。また、制御部210は、下限電圧電流値Iunderを目標とした高圧の立ち上げ後の二次転写電圧V’が下限電圧Vunderの設定範囲未満(V’<Vunder_min)である場合は、Vunder_minを下限電圧Vunderと決定して、下限電圧決定ステップを終了する。また、制御部210は、下限電圧電流値Iunderを目標とした高圧の立ち上げ後の二次転写電圧V’が下限電圧Vunderの設定範囲より大きい(V’>Vunder_max)場合は、Vunder_maxを下限電圧Vunderと決定して、下限電圧決定ステップを終了する。なお、Vunder_minは、吸湿した記録材P上の孤立パッチパターンの転写性が許容範囲となるような値に予め設定されている。ここで、「孤立パッチパターン」とは、記録材Pの幅(搬送方向と略直交する幅方向の長さ)の中に高印字のトナー像のかたまりが点在している画像パターンのことを意味している。また、Vunder_maxは、吸湿した記録材P上の全面ハーフトーンや全面ベタ画像(全面ベタ黒パターン)で強抜けが発生しない値に予め設定されている。ここで、「全面ハーフトーン」とは、記録材Pの幅方向に関する画像形成可能領域の全域にハーフトーン濃度のトナー像が存在する画像パターンのことを意味している。また、「全面ベタ画像(全面ベタパターン)」とは、記録材Pの幅方向に関する画像形成可能領域の全域に最高濃度レベルのトナー像が存在する画像パターンのことを意味している。
一例として、表1に、本実施例における坪量75g/mの紙についての下限電圧Vunderの設定を示す。
Figure 2023044613000002
記録材Pの幅(紙幅サイズ)が大きいほど二次転写電流が逃げる記録材Pのトナーの無い白地部の面積が広くなる(見かけの記録材Pの抵抗値が低くなる。)。そのため、トナーへ転写電流を十分供給できるように、逃げ電流を考慮して下限電圧電流値Iunderを高く設定している。
制御部210は、以上のようにして、下限電圧決定ステップを完了する(S15)。
次に、制御部210は、限界電圧Vlimitを決定する(S16)。この工程を、「限界電圧決定ステップ」とする。限界電圧決定ステップは、後述の理由により接触部材の通電劣化を抑制するために、二次転写電圧の上限値である限界電圧Vlimitを設定することを目的としている。
高温高湿環境などにおいて、記録材Pは吸湿して低抵抗化する。この状態で、二次転写部N2において記録材Pを挟持しつつ、その記録材Pが接触部材に接触すると、二次転写電流は二次転写ローラ20の対向ローラである二次転写対向ローラ13だけでなく低抵抗の記録材Pを伝って接触部材にも流れてしまう。基本的に、記録材Pの搬送路上には、二次転写電流が流れ込まないように、絶縁部材(あるいは抵抗値の高い部材)だけが記録材Pと接触するように設けられている。しかしながら、吸湿によって記録材Pが低抵抗化し、かつ、高温高湿環境で二次転写ローラ20なども低抵抗化すると、二次転写電圧の一部が絶縁部材などで構成された接触部材に分圧(印加)される場合がある。本発明者の実験の結果、その電圧値が高い状態で画像形成装置100の使用を続けると、接触部材が通電劣化することによって接触部材の抵抗値が低下する場合があることがわかった。
接触部材の抵抗値が低下すると、二次転写電流が記録材Pを伝って流れることでトナーへ十分な転写電流を供給できず、画像不良を発生させる場合がある。そこで、二次転写電圧に上限(限界電圧Vlimit)を設けることで、接触部材に分圧される電圧が一定以上にならないようにし、接触部材の通電劣化を抑制する。なお、限界電圧Vlimitは、電源保護の観点などから、画像形成装置100の高圧素子から決まる出力限界電圧未満であることが好ましい。
接触部材に分圧される電圧は、二次転写ローラ20や中間転写ベルト10の抵抗値で決まる。つまり、定電圧制御時に流れる電流値は二次転写ローラ20や中間転写ベルト10の抵抗値で変動し、抵抗値が低いほど電流が多く流れ、接触部材に分圧される電圧も高くなる。そのため、本実施例では、限界電圧Vlimitは、ある一定値ではなく、二次転写部N2の抵抗値に応じて設定する。そこで、本実施例では、以下のようにして限界電圧Vlimitを決定する。
本実施例では、限界電圧決定ステップは、下限電圧決定ステップの仕組みを利用することで、余分なダウンタイム(画像を形成できない期間)を生じさせることなく行う(図4参照)。まず、制御部210は、下限電圧決定ステップにおける、下限電圧電流値Iunderと、印加される電圧値Vunderと、に基づいて、二次転写部N2の抵抗値Rを算出する。具体的には、制御部210は、二次転写部N2の抵抗値Rを、式(1)に基づいて算出する。
二次転写部N2の抵抗値R=Vunder/Iunder ・・・式(1)
なお、下限電圧電流値Iunderを流した際の出力電圧が、Vunder_min未満の場合、あるいはVunder_maxより大きい場合は、それぞれ式(2)、あるいは式(3)に基づいて二次転写部N2の抵抗値Rが算出される。
二次転写部N2の抵抗値R=Vunder_min/Iunder_min
・・・式(2)
二次転写部N2の抵抗値R=Vunder_max/Iunder_max
・・・式(3)
式(2)、式(3)において、Iunder_min、Iunder_maxは、それぞれVunder_min出力時の電流値、Vunder_max出力時の電流値である。
制御部210は、式(1)~(3)により二次転写部N2の抵抗値Rを算出したら、続いてこの二次転写部N2の抵抗値Rに応じた限界電圧Vlimitを決定する。二次転写部N2の抵抗値Rに応じた限界電圧Vlimitの決定方法について、図5及び図6を用いて説明する。
まず、限界電圧Vlimitの決定方法について図5を用いて説明する。表2に示すような二次転写部N2の抵抗値Rと限界電圧Vlimitとの関係を示す情報を、予めROM151に格納しておく。制御部210は、この情報を参照することで、算出した二次転写部N2の抵抗値Rに対応する限界電圧Vlimitを決定する。表2に示すような二次転写部N2の抵抗値Rと限界電圧Vlimitとの関係を示す情報は、二次転写部N2の抵抗値Rに応じて接触部材に分圧される電圧が一定以上にならないように、設計データや実験データなどに基づいて予め求められる。図5は、表2に示す二次転写部N2の抵抗値Rと限界電圧Vlimitとの関係を表したグラフ図である。図5において、横軸は下限電圧電流値Iunderと下限電圧Vunderとから式(1)に基づいて算出される二次転写部N2の抵抗値Rであり、縦軸は二次転写部N2の抵抗値Rに応じた限界電圧Vlimitである。なお、本実施例では、表2中に記載のない二次転写部N2の抵抗値Rにおける限界電圧Vlimitは、図5に示すように線形補間で決定している。
Figure 2023044613000003
この二次転写部N2の抵抗値Rと限界電圧Vlimitとの関係は、画像形成装置100の構成などによって変わる。本実施例の構成では、定着ローラ31の表面の絶縁PFAチューブが、二次転写時に記録材Pが接触する絶縁部材で構成された接触部材であり、この絶縁PFAチューブが通電劣化しないように限界電圧Vlimitを決めている。
次に、図6を用いて、二次転写部N2の抵抗値Rによって接触部材(本実施例では定着ローラ31の絶縁PFAチューブ)に分圧される電圧が変わるメカニズムについて説明する。図6(a)は、画像形成装置100の二次転写部N2及び定着装置30の模式的な断面図であり、図6(b)は、その簡略的な等価回路を表している。
図6(a)は、二次転写部N2で記録材Pを挟持搬送しつつ、その記録材Pが定着装置30の定着ローラ31に接触している状態を表している。記録材Pの抵抗値が二次転写ローラ20や中間転写ベルト10の抵抗値に比べて十分高ければ、二次転写電流は二次転写ローラ20、中間転写ベルト10、二次転写対向ローラ13、グラウンドという経路で流れる。なお、二次転写対向ローラ13は、電気的に接地されている。しかしながら、記録材Pの抵抗値が吸湿などによって二次転写ローラ20や中間転写ベルト10などと同等程度まで低下すると、二次転写電流は記録材Pを伝って流れてしまう。そのため、記録材Pの抵抗値が低下した場合でも、二次転写電流が定着ローラ31などを介してグラウンドに大量に流れ込まないように、加圧ローラ32は抵抗素子34(1000MΩ)を介して電気的に接地させている。同様に、もう一方の経路である定着ローラ31は抵抗素子33(470kΩ)を介して電気的に接地されている。これによって、過電流が抑制されている。
以上説明した構成を簡易的な等価回路にしたものが、図6(b)である。図6(b)中のRは、それぞれ下記の通りの各部材の抵抗値を表している。
・Rローラ:二次転写ローラ20の抵抗値(高温高湿環境では10~10Ω)
・Rベルト:中間転写ベルト10の抵抗値(高温高湿環境では10~10Ω)
・R対向:二次転写対向ローラ13の抵抗値(10~10Ω)
・R加圧:加圧ローラ32の抵抗値(10~10Ω)
・R絶縁PFA:定着ローラ31表面の絶縁PFAチューブの抵抗値(1012~1013Ω)
・R弾性層:定着ローラ31内面の弾性層の抵抗値(10~10Ω)
・R記録材:記録材Pの抵抗値(十分吸湿した場合で、10~10Ωを想定)
また、図6(b)中のP1~P3及びVP1~VP3は、それぞれ下記の通りの各箇所の電圧、電位を表している。
・P1:二次転写ローラ20の芯金電圧VP1(二次転写電圧)
・P2:二次転写ローラ20の表面電位VP2
・P3:定着ローラ31表面の絶縁PFAチューブの表面電位VP3
二次転写電源21から電圧VP1を印加すると、二次転写ローラ20の芯金P1では略同一の電位VP1となる。二次転写ローラ20の表面P2では、芯金の電位VP1から二次転写ローラ20の抵抗値Rローラ分だけ電圧降下した電位VP2となる。定電圧制御時のように二次転写電圧VP1が一定だとすると、二次転写ローラ20の抵抗値が高いほど電圧降下分も大きくなるため電位VP2が小さくなり、二次転写ローラ20の抵抗値が低いほど電圧降下分も小さくなるため電位VP2が大きくなる。記録材Pの先の加圧ローラ32側には抵抗素子34(1000MΩ)が設けられて電気的に接地され、定着ローラ31側には抵抗素子33(470kΩ)が設けられて電気的に接地されることによって、過電流が抑制されている。したがって、記録材Pが吸湿によって抵抗値が低下し、仮にほぼ無視できる程度になったものとすると、二次転写ローラ20の表面電位VP2は、ほぼそのまま定着ローラ31の表面P3の絶縁PFAチューブの表面電位VP3になる。実際には、記録材Pもある程度の抵抗値を持っているので、VP2>VP3ではあるものの、記録材Pの抵抗値が低くなるほどVP2とVP3との差は小さくなる。
したがって、二次転写ローラ20の抵抗値が変化すると、二次転写ローラ20の表面電位VP2も変化し、その結果、接触部材としての定着ローラ31の表面の絶縁PFAチューブにかかる電圧も変わってくる。定電圧制御時のように二次転写電圧が一定の場合は、二次転写ローラ20の抵抗値が低いほど二次転写ローラ20の表面P2における電位VP2は高くなり、さらに記録材Pの抵抗値が低いほど定着ローラ31の表面P3における電位VP3が高くなる。
高温高湿環境では二次転写ローラ20も記録材Pも吸湿によって抵抗値も低下するため、定着ローラ31の表面電位VP3が高い状態になる可能性がある。この状態で画像形成装置の使用を続けると定着ローラ31は通電劣化して抵抗値が変化する場合があった。そこで、本実施例では、定着ローラ31の表面電位VP3をコントロールして通電劣化を抑制するために、二次転写ローラ20の抵抗値が低いほど二次転写電圧の限界電圧Vlimitを小さくなるように決める。
なお、実際の画像形成装置100では、二次転写ローラ20単品の抵抗値Rローラを測定することはできない。そこで、本実施例では、二次転写ローラ20単品の抵抗値と相関がある二次転写部N2(主に二次転写ローラ20の抵抗値と中間転写ベルト10の抵抗値との合算)の抵抗値Rを下限電圧決定ステップにおいて測定する。そして、その二次転写部N2の抵抗値Rに応じて限界電圧Vlimitを決めている。
また、二次転写部N2の抵抗値Rが低いほど二次転写電流が記録材Pを伝って流れやすい(P2とP3の電位差VP2-VP3が小さくなる傾向にある)。そのため、二次転写部N2の抵抗値Rが低いほど限界電圧Vlimitを小さくしている。したがって、環境の絶対水分量が多くなるほど、また二次転写部N2の抵抗値Rが低くなるほど限界電圧Vlimitと下限電圧Vunderとの差分は小さくなる。また、記録材Pを伝って流れる電流は、オームの法則(電流は抵抗値に反比例する)に則って、二次転写部N2の抵抗値Rが低いほど抵抗値の変化に対する感度が大きい。そのため、二次転写部N2の抵抗値Rが低いほど二次転写部N2の抵抗値Rの変化に対する限界電圧Vlimitの変化も大きくなっている。
制御部210は、以上のようにして、二次転写部N2の抵抗値Rに応じた限界電圧Vlimitを決定し、限界電圧決定ステップを完了する(S16)。
制御部210は、下限電圧Vunderと限界電圧Vlimitとを決定したら、続いて二次転写電圧Vを決定する(S17~S19)。
二次転写電圧Vは、下限電圧Vunderと限界電圧Vlimitとに基づいて決定される。まず、制御部210は、下限電圧Vunderと限界電圧Vlimitとの大小を比較する(S17)。具体的には、制御部210は、限界電圧Vlimitよりも下限電圧Vunderの方が高いか否か(Vunder>Vlimitを満たすか否か)を判断する。
ここで、限界電圧Vlimitよりも下限電圧Vunderの方が高い場合、下限電圧Vunderを二次転写電圧として印加してしまうと、記録材Pの搬送路中の接触部材(本実施例では定着ローラ31の絶縁PFAチューブ)の通電劣化を招いてしまう可能性がある。したがって、制御部210は、S17で限界電圧Vlimitよりも下限電圧Vunderの方が高いと判断した場合は、二次転写電圧Vは限界電圧Vlimitとする(S18)。
一方、下限電圧Vunderが限界電圧Vlimit以下の場合、下限電圧Vunderを二次転写電圧として印加しても記録材Pの搬送路中の接触部材(本実施例では定着ローラ31の絶縁PFAチューブ)が通電劣化する可能性は少ない。したがって、制御部210は、S17で下限電圧Vunderが限界電圧Vlimit以下であると判断した場合は、二次転写電圧Vはそのまま下限電圧Vunderとする(S19)。制御部210は、以上のようにして、二次転写電圧Vを決定する。
制御部210は、二次転写電圧Vを決定した後に、紙間制御を実施する(S30)。紙間制御は、記録材Pが二次転写部N2に到達したタイミングで速やかに所望の電圧値を印加するために準備することが目的である。制御部210は、紙間電圧決定ステップ(S14)で決定した紙間電圧Vt0を印加して二次転写に備える。ここまでの工程が、記録材Pが二次転写部N2に到達する前の前回転工程になる。
その後、制御部210は、記録材Pが二次転写部N2に到達したタイミングで、二次転写電圧の定電圧制御を行うことによって、記録材Pへのトナー像の二次転写を行う(S31)。二次転写工程では、S18又はS19で決定した二次転写電圧Vを定電圧制御で二次転写ローラ20に印加する。
なお、記録材Pの先端は、紙間電圧からの高圧の立ち上げタイミングであり、かつ、記録材Pがない状態から記録材Pが徐々に二次転写部N2へ突入してインピーダンスが大きくなるタイミングである。つまり、紙間電圧Vt0から二次転写電圧Vまでの間は高圧の立ち上げ途中であり、また二次転写部N2における記録材Pの抵抗値が不定であるため、記録材Pの先端に印加される電圧値は低くなる可能性がある。そのため、記録材Pの先端(先端部、先端領域)には、紙中の二次転写電圧値V以上の電圧値(定電圧値)の別の電圧(先端電圧)を印加することが好ましい(図4参照)。同様に、記録材Pの後端は、記録材Pがある状態から記録材Pが二次転写部N2を通過してインピーダンスが急激に小さくなるタイミングである。この急激なインピーダンス低下に伴って、定電圧制御における二次転写電圧が追従せず、二次転写電圧が不足する可能性がある。そのため、記録材Pの後端(後端部、後端領域)には、記録材Pの先端と同様に、紙中の二次転写電圧値V以上の電圧値(定電圧値)の別の電圧(後端電圧)を印加することが好ましい(図4参照)。その他、定着部N3に記録材Pが突入するタイミングは、定着ローラ31の表面の絶縁PFAチューブが帯電するタイミングであり二次転写電流が定着部N3へ一瞬流れる場合がある。そのため、二次転写部N2以外へ流れてしまう電流を補間するためにも、記録材Pが定着部N3に突入するタイミングでは、二次転写電圧V以上の電圧値(定電圧値)の別の電圧(定着突入電圧)を印加することが好ましいことがある。なお、記録材Pの先端、後端は、それぞれ記録材Pの搬送方向に関する先端、後端である。また、「紙中」とは、二次転写部N2に記録材P(より詳細には記録材Pの搬送方向に関する画像形成可能領域)が存在する期間である。紙中は、二次転写部N2における画像形成時(二次転写時)に相当する期間である。後述するように、上記先端電圧、後端電圧、定着突入電圧について限界電圧Vlimitを設定することができる。
次に、S12で絶対水分量が21.7g/m未満であると判断されて、二次転写電圧の定電流制御を行う場合のフローについて説明する。前述のように、この場合も、二次転写電圧の定電圧制御を行う場合と同様の高圧の立ち上げ(S40)、紙間電圧決定ステップ(S41)、紙間制御(S42)を行う。これにより、記録材Pが二次転写部N2に到達したタイミングで速やかに所望の電流値で制御できるように備える。そして、制御部210は、記録材Pが二次転写部N2に到達したら、二次転写電圧の定電流制御を行い、トナー像の記録材Pへの二次転写を行う(S43~S45)。
まず、制御部210は、プリントモード、紙種、紙サイズ、環境センサ300により取得した環境情報(温度、湿度、絶対水分量など)に基づいて、予めROM151に格納されたテーブルから目標電流値I1を参照する。そして、制御部210は、目標電流値I1で定電流制御した際の二次転写電圧Vが所定電圧V1を下回るか否かを判断する(S43)。これは、目標電流値I1で定電流制御した際の二次転写電圧Vがトナーを転写するのに最低必要な所定電圧V1を下回って転写不良が発生することを抑制するためである。制御部210は、S43で二次転写電圧Vが所定電圧V1を下回ると判断した場合は、二次転写電圧の所定電圧V1での定電圧制御を行い(S44)、記録材Pへトナー像を二次転写する。一方、制御部210は、S43で二次転写電圧Vが所定電圧V1を下回らない(すなわち、所定電圧V1以上である)と判断した場合は、そのまま目標電流値I1で二次転写電圧の定電流制御を行い、記録材Pへトナー像を二次転写する(S45)。この場合、記録材Pの抵抗値やトナー像のパターンに応じて二次転写電圧の電圧値が変動される。
以上のようにして、画像形成工程(プリント工程)が終了する。ここでは、1枚の記録材Pに画像を形成するプリントジョブを例としているが、プリントジョブが続く場合は、紙間制御と二次転写工程が交互に続けられる。プリントジョブを終える場合は、制御部210は、最後の記録材Pへの二次転写が終了した後に後回転工程を行い(S32)、プリントジョブを終了させる。
<効果確認>
本実施例の効果を確認するため、高温高湿環境(温度30℃/相対湿度80%/絶対水分量24.0/m)において、50000枚の耐久試験を行い、10000枚ごとに画像不良の有無について検証した。記録材Pとしては、十分吸湿したXEROX Business 4200 LETTERサイズ(Xerox、商品名)(紙水分量9.5%)を用いた。試験は、本実施例の構成と、比較例の構成とについて行った。本実施例の構成における、下限電圧決定ステップや限界電圧決定ステップにおける二次転写電流と二次転写電圧の設定は、表1における紙サイズがLTR以上の設定になる。なお、紙水分量は、信明ゼネラル株式会社製のモイストレックスMX8000型のマイクロ波紙水分計を用いて測定した。
ここで、比較例の構成は、特許文献2に記載のものと同様の構成である。比較例の構成は、二次転写電圧の制御が次のように本実施例の構成と異なることを除いて、本実施例の構成と同様である。比較例の構成についても、本実施例の構成に対応する要素については、本実施例のものと同一の符号を付して説明する。図7は、比較例における二次転写電圧の制御の流れを示すフローチャート図である。比較例の構成では、制御部210は、プリントジョブを開始した後(S51)、環境の絶対水分量の判断は行わずに、本実施例と同様の、高圧の立ち上げ(S52)、紙間電圧決定ステップ(S53)及び紙間制御(S54)を行う。その後、制御部210は、記録材Pへのトナー像の二次転写を行う(S55~S57)。このとき、制御部210は、目標電流値I2で定電流制御した際の二次転写電圧Vが所定電圧V2を下回るか否かを判断する(S55)。制御部210は、S55で二次転写電圧Vが所定電圧V2を下回ると判断した場合は、二次転写電圧の所定電圧V2での定電圧制御を行う(S56)。一方、制御部210は、S55で二次転写電圧Vが所定電圧V2を下回らない(すなわち、所定電圧V2以上である)と判断した場合は、そのまま目標電流値I2で二次転写電圧の定電流制御を行う(S57)。その後、制御部210は、後回転を行って(S58)、プリントジョブを終了する。
表3は、本実施例の構成及び比較例の構成についての各耐久枚数時点での画像不良の発生有無を表した表である。表中の「〇」は画像不良の発生無し、「×」は画像不良発生を表している。なお、この耐久試験は、画像不良が発生した時点で終了し、表中の「―」は試験を行っていないことを意味する。
Figure 2023044613000004
比較例の構成では、耐久枚数が30000枚の時点までは画像不良の発生はなかった。しかし、比較例の構成では、耐久枚数が40000枚の時点で、定着ローラ31の通電劣化によって定着ローラ31の抵抗値が低下して画像不良(二次転写電流が定着ローラ31の回転周期ごとにリークすることに起因する転写不良による画像不良)が発生した。
一方、本実施例の構成では、定着ローラ31の表面に必要以上の電圧が分圧されることがなかったため、耐久試験を通して画像不良は発生しなかった。
以上説明したように、本実施例によれば、良好な二次転写性を維持しながら、二次転写ローラ20と同時に二次転写部N2以外で記録材Pが接触する接触部材の耐久劣化を抑制することができる。つまり、本実施例によれば、良好な転写性を維持しながら、転写部材と同時に記録材に接触する接触部材の劣化に伴う画像弊害を抑制することができる。
<その他の構成>
本実施例では、下限電圧決定ステップ(S14)の後に限界電圧決定ステップ(S15)を行ったが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。上記とは逆の順序で(限界電圧決定ステップ(S15)の後に下限電圧決定ステップ(S14)を)行ってもよく、本実施例と同様の効果を得ることができる。
本実施例では、絶対水分量が21.7g/m未満の場合には限界電圧決定ステップ(S16)を行っていないが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。例えば、絶対水分量が21.7g/m未満の場合でも、限界電圧決定ステップを行って本実施例と同様のフローで二次転写電圧Vを決める(限界電圧Vlimitを設定する)ことが好ましい場合がある。例えば、二次転写ローラ20や中間転写ベルト10の抵抗値に比べて十分抵抗値が低い低抵抗の記録材Pが画像形成に使用されることが予め分かる場合が挙げられる。例えば、ユーザー(操作者)が、ホストコンピュータ199、あるいは画像形成装置100に設けられた操作部における操作により、低抵抗の記録材Pが画像形成に使用されることを示す情報を制御部210に入力することができる。該情報は、低抵抗の記録材Pを直接的に指定する情報の他、「低抵抗紙モード」などの低抵抗の記録材Pと関係付けられた特定の動作設定を指定する情報などであってよい。制御部210は、該情報に応じて、限界電圧決定ステップを行って本実施例と同様のフローで二次転写電圧Vを決めることができる。なお、環境にかかわらず、上記低抵抗の記録材Pが使用されるか否かで、限界電圧決定ステップを行って限界電圧を設定するか否かを制御してもよい。ここで、二次転写電圧を定電流制御する場合でも、二次転写電圧の上限値として限界電圧を設定することができる。
上記低抵抗の記録材Pが使用されることを示す情報を制御部210に入力する入力手段(入力部)は、ユーザーによる操作に応じて制御部210に該情報を入力するものに限定されるものではない。なお、ユーザーによる操作に応じて制御部210に該情報を入力する入力手段は、例えば、ホストコンピュータから信号を受信する入出力部、操作者により操作される画像形成装置100の操作部などである。つまり、低抵抗の記録材Pが画像形成に使用されることを検知する手段を画像形成装置100に設けるなどしてもよい。例えば、記録材Pの厚みや抵抗値といった記録材Pの抵抗値に関する情報を、記録材Pの給送部から二次転写部N2までの記録材Pの搬送経路に設けられたメディアセンサによって取得する構成とすることができる。記録材Pの厚みと相関する坪量、記録材Pの表面性、更には含有水分量などを検知又は推定するのに用いることのできる、光や超音波などを用いたメディアセンサが知られている。なお、上記記録材Pの厚みに関する情報などは、記録材Pに関する情報の一例である。記録材Pに関する情報とは、普通紙、厚紙、薄紙などの一般的な特徴に基づく属性(いわゆる、紙種カテゴリー)、坪量、厚さ、サイズ、剛性などの数値や数値範囲、あるいは銘柄(メーカー、商品名、品番などを含む。)などの、記録材Pを区別することのできる任意の情報を包含するものである。記録材Pに関する情報によって区別される記録材Pごとに、記録材Pの種類を構成するものと見ることができる。また、二次転写部N2に記録材Pがあるときにテスト電流又はテスト電圧を二次転写部N2に印加して記録材Pを含む二次転写部N2の抵抗値の情報を取得し、本実施例と同様にして取得した記録材Pを含まない二次転写部N2の抵抗値を差し引くことで、記録材Pの抵抗値を検知することもできる。この場合、例えば、プリントジョブの最初の記録材Pなどの抵抗値を検知して、その後の記録材Pに対する画像形成時から二次転写電圧の制御に反映させることができる。また、上記二次転写部N2での抵抗値の検知方法と同様にして記録材Pの抵抗値を検知できる機構(導電性ローラ対及び電源など)を記録材Pの給送部から二次転写部N2までの記録材Pの搬送経路に設けてもよい。
本実施例では、二次転写部N2の抵抗値Rは、式(1)(あるいは式(2)、式(3))に基づいて求めたが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。例えば、二次転写対向ローラ13に電圧Vt1が印加され、二次転写電圧Vと二次転写対向ローラ電圧Vt1との電位差で二次転写を行う構成とすることができる。この場合には、二次転写部N2の抵抗値Rは、式(4)に基づいて求めることができる。
二次転写部N2の抵抗値R=(Vunder-Vt1)/Iunder ・・・式(4)
すなわち、本実施例の式(1)は、二次転写対向ローラ13がグラウンドに接続されているため、式(4)においてVt1=0Vとした場合に相当し、式(4)に基づく場合も本実施例と同様の効果が得られることがわかる。同様に、本実施例の式(2)の代わりに式(5)、本実施例の式(3)の代わりに式(6)に基づいて二次転写部N2の抵抗値Rを求めることができる。
二次転写部N2の抵抗値R=(Vunder_min-Vt1)/Iunder_min
・・・式(5)
二次転写部N2の抵抗値R=(Vunder_max-Vt1)/Iunder_max
・・・式(6)
本実施例では、正規の帯電極性が負極性のトナーを使用しているため、Vunder及びVlimitはそれぞれ正極性の電圧である。したがって、図3のS17において単純に大小を比較しているが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。正規の帯電極性が正極性のトナーを使用する場合であれば、Vunder及びVlimitはそれぞれ負極性の電圧になる。この場合は絶対値の大小を比較すればよい。本実施例における、その他の電圧や電位の、高低や大小についての記載についても同様である。
本実施例では、限界電圧Vlimitを決定するにあたり、記録材Pの搬送路上の絶縁部材などで構成された接触部材として、定着ローラ31の表面の絶縁PFAチューブを例として挙げたが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。例えば、記録材Pが接触するレジストローラ60(レジストローラ対60、60のうち少なくとも一方)に導電性があり電流が流れる場合などには、通電劣化によってレジストローラ60の表面の摩耗が促進され、記録材Pの搬送速度に影響が出るなどの可能性がある。そのため、レジストローラ60の摩耗を抑制する観点から本実施例の制御を適用することができる。また、定着装置30及びレジストローラ60のそれぞれに対して本実施例と同様の限界電圧Vlimitを設定する制御を適用し、それぞれに対して限界電圧Vlimitを設定することができる。そして、この場合、それぞれに対して決定される限界電圧Vlimitのうち低い(絶対値が小さい)電圧をVunderと比較することが好ましい。その他、記録材Pの搬送路上で記録材Pが接触するモールド部品なども通電劣化によって抵抗値が低下して二次転写電流が流れる場合が考えられる。したがって、これらのモールド部品などに対しても本実施例と同様の限界電圧Vlimitを設定する制御を適用することができる。
本実施例では、紙中の定電圧値に対して、VunderとVlimitとを比較したが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。前述の先端電圧に対してもVlimitと比較して本実施例と同様の制御を行ってもよい。つまり、本実施例では、通電劣化し得る部材が定着ローラ31の表面の絶縁PFAチューブであったため、二次転写部N2と定着部N3とで同時に記録材Pに接触するタイミングは紙中の定電圧制御中であった。しかし、前述の通り、搬送路上の記録材Pと接触する可能性がある部材の通電劣化がある場合は、先端電圧に対しても本実施例と同様の限界電圧Vlimitを設定する制御を実施してもよい。例えば、記録材Pは、レジストローラ対60、60に挟持搬送されながら、その先端が二次転写部N2へ突入する。そのため、先端電圧もレジストローラ60の通電劣化につながる場合がある。そのため、先端電圧などの、少なくとも記録材Pがレジストローラ対60、60と二次転写部N2との両方に同時に接触しているタイミングで二次転写部N2に印加する電圧については、本実施例と同様の制御による制限をかける(Vlimitを設定する)ことが好ましい。同様に、前述の後端電圧などの、少なくとも記録材Pが二次転写部Nと定着部N3との両方に同時に接触しているタイミングで二次転写部N2に印加する電圧については、本実施例と同様の制御による制限をかける(Vlimitを設定する)ことが好ましい。
本実施例では、環境の絶対水分量が21.7g/m以上の場合に、下限電圧Vunderを設定する制御の制御パラメータ(Iunder、Vunder_min、Vunder_max)を表1に示すように設定した。ただし、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。例えば、表4に示すように、絶対水分量に応じて制御パラメータを変更してもよい。表4は、LTRサイズ幅に対する下限電圧Vunderを設定する制御の制御パラメータを示している。環境の絶対水分量が高くなるほど記録材Pの紙水分量は多くなる。したがって、記録材Pの抵抗値も低下して、記録材P上のトナー以外の部分(白地部)への電流逃げが発生しやすくなる。そのため、トナー部への転写電流を確保して転写不良を抑制するためにも、転写電圧(下限電圧Vunder)は表4のように環境の絶対水分量が高くなるほど高くすることが好ましい。
Figure 2023044613000005
このように、本実施例では、画像形成装置100は、トナー像を担持する像担持体10と、像担持体10に接触して転写部N2を形成し、像担持体10から転写部N2を通過する記録材Pにトナー像を転写させる転写部材20と、転写部材20に電圧を出力する電源21と、電源21から転写部材20に電圧を出力した際に転写部材20に流れる電流値又は転写部材20に印加される電圧値の少なくとも一方を検知する検知部241と、電源21を制御する制御部210と、環境の温度又は湿度の少なくとも一方に関する環境情報を検知する環境検知部300と、転写部材20と同時に転写部以外で記録材Pに接触可能に設けられた接触部材31と、を有する。そして、制御部210は、上記環境情報に基づいて得られた絶対水分量が所定の閾値以上である場合に、転写部N2に記録材Pが無い状態での検知部241の検知結果に基づいてリミット電圧Vlimitを設定し、記録材Pが転写部材20と接触部材31とに同時に接触している間に電源21から転写部材20に印加する電圧の絶対値がリミット電圧Vlimitの絶対値以下となるように、電源21を制御する。なお、画像形成装置100が記録材Pに関する情報を制御部210に入力する入力部を有しており、制御部210は、該入力部により入力された情報が予め設定された所定の条件を満たす場合に、上記リミット電圧Vlimitを設定する制御を行うようにしてもよい。上記入力部は、操作者の操作に応じて上記情報を制御部210に入力するものであってよい。また、上記情報は、記録材Pの種類、所定の種類の記録材Pに対応して設けられた動作設定、又は記録材Pの電気抵抗値と相関する指標値を示す情報を含んでいてよい。また、上記入力部は、記録材Pの電気抵抗値と相関する指標値の検知結果を上記情報として制御部210に入力するセンサであってもよい。また、上記条件は、リミット電圧Vlimitを設定する制御を行う場合の記録材Pの電気抵抗値が、リミット電圧Vlimitを設定する制御を行わない場合の記録材Pの電気抵抗値よりも低いことを示すものであってよい。また、本実施例では、リミット電圧Vlimitの絶対値は、上記電源21の高圧素子の特性から決まる出力限界電圧の絶対値未満である。本実施例では、画像形成装置100は、接触部材として、記録材Pにトナー像を定着させる定着部材31を有する。また、該定着部材31は、抵抗素子を介して電気的に接地されている。また、該定着部材31は、記録材Pと接触可能な電気絶縁性の表層を有している。また、本実施例では、上記像担持体10は、別の像担持体1から一次転写されたトナー像を転写部N2で記録材Pに二次転写するために搬送する中間転写体である。
また、制御部210は、検知部241の検知結果が示す転写部N2の電気抵抗値が第1の抵抗値の場合にリミット電圧Vlimitを第1のリミット電圧とし、該電気抵抗値が第1の抵抗値よりも低い第2の抵抗値の場合のリミット電圧Vlimitを第1のリミット電圧よりも絶対値が小さい第2のリミット電圧とするように、リミット電圧Vlimitを設定することができる。また、制御部210は、検知部241の検知結果が示す転写部N2の電気抵抗値が第1の抵抗値の場合にリミット電圧Vlimitを第1のリミット電圧とし、該電気抵抗値が第1の抵抗値よりも所定の値だけ低い第2の抵抗値の場合のリミット電圧Vlimitを第1のリミット電圧よりも絶対値が小さい第2のリミット電圧とし、該電気抵抗値が第2の抵抗値よりも低い第3の抵抗値の場合にリミット電圧Vlimitを第2のリミット電圧よりも絶対値が小さい第3のリミット電圧とし、該電気抵抗値が第3の抵抗値よりも上記所定の値だけ低い第4の抵抗値の場合のリミット電圧Vlimitを第3のリミット電圧よりも絶対値が小さい第4のリミット電圧とすると共に、第1のリミット電圧と第2のリミット電圧との差分よりも、第3のリミット電圧と第4のリミット電圧との差分を大きくするように、リミット電圧Vlimitを設定することができる。また、本実施例では、リミット電圧Vlimitは、電源21から転写部材20に印加される電圧における、記録材Pを介して接触部材31に分圧される電圧を制限するように設定される。
また、本実施例では、制御部210は、転写部N2に記録材Pが無い状態での検知部241の検知結果に基づいて、転写時に電源21から転写部材20に印加する電圧の絶対値の下限値を示す下限電圧Vunderを設定し、記録材Pが転写部材20と接触部材31とに同時に接触している間に電源21から転写部材20に印加する電圧を、下限電圧Vunderとリミット電圧Vlimitとのうち絶対値が小さい方とするように、電源21を制御する。制御部210は、上記環境情報に基づいて得られた絶対水分量が第1の水分量の場合に下限電圧Vunderを第1の下限電圧とし、該絶対水分量が第1の水分量よりも多い第2の水分量の場合の下限電圧Vunderを第1の下限電圧よりも絶対値が大きい第2の下限電圧とするように、下限電圧Vunderを設定することができる。また、制御部210は、記録材Pの搬送方向と略直交する方向に関する幅が第1の幅の場合に下限電圧Vunderを第1の下限電圧とし、該幅が第1の幅よりも広い第2の幅の場合に下限電圧Vunderを第1の下限電圧よりも絶対値が大きい第2の下限電圧とするように、下限電圧Vunderを設定することができる。また、制御部210は、上記環境情報に基づいて得られた絶対水分量が第1の水分量の場合の下限電圧Vunderとリミット電圧Vlimitとの差分が第1の差分となり、該絶対水分量が第1の水分量よりも多い第2の水分量の場合の下限電圧Vunderとリミット電圧Vlimitとの差分が第1の差分よりも小さい第2の差分となるように、下限電圧Vunderとリミット電圧Vlimitとを設定することができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例1では、下限電圧Vunderと限界電圧Vlimitとを比較して、低い方を二次転写電圧Vとして二次転写ローラ20に印加した。本実施例の特徴は、下限電圧Vunderに補正を加える場合についての制御方法にある。
本実施例では、実施例1と同様の下限電圧決定ステップで決まる下限電圧をVunderとし、この下限電圧Vunderに補正を加えた後の下限電圧を補正後の下限電圧Voffsetとして区別して説明する。
図8は、本実施例におけるプリントジョブの開始から終了まで(ここでは1枚の記録材Pに画像を形成するブリントジョブを例とする。)の二次転写電圧の制御の流れを示すフローチャート図である。図8のフローにおいて、実施例1で説明した図3のフローと同一又は対応する工程には同一のステップ番号を付して、適宜、詳しい説明を省略する。
制御部210は、実施例1と同様に、プリントジョブを開始すると(S11)、環境の絶対水分量を算出し、算出された絶対水分量が21.7g/m以上であるか否かを判断する(S12)。また、制御部210は、実施例1と同様に、絶対水分量が21.7g/m未満の場合は、二次転写電圧を定電流制御するべくS40の処理へ移行し、絶対水分量が21.7g/m以上の場合は、二次転写電圧を定電圧制御するべくS13の処理へ移行する。そして、制御部210は、実施例1と同様に、定電圧制御、定電流制御のどちらを行う場合も、高圧の立ち上げ(S13、S40)及び紙間電圧決定ステップ(S14、S41)を行う。
二次転写電圧の定電圧制御を行う場合、制御部210は、その後、実施例1と同様に、下限電圧決定ステップによってVunderを決定し(S15)、限界電圧決定ステップによってVlimitを決定する(S16)。なお、S15及びS16の順番は逆でもよい。
次に、制御部210は、実施例1とは異なり、下限電圧Vunderに補正を加えたVoffsetを算出する(S20~S22)。実施例1で説明した通り、下限電圧決定ステップは、記録材Pの抵抗値によってトナー像に流れる電流値が変わるため、記録材Pの抵抗値が転写性に影響が及ぶことを抑制するための電圧(下限電圧Vunder)を決定するステップである。すなわち、下限電圧決定ステップは、記録材Pの状態によらず二次転写性を良好にする電圧を決定することを目的としている。そこで、記録材Pの状態に加えて、記録材P上のトナー量や配置状態に応じて更に転写性が適正になるように補正を加えると、より精度の高い電圧値になる。
本実施例では、一例として、トナーの量に応じた下限電圧の補正方法について説明する。トナーの量と二次転写性との関係を説明するにあたり、吸湿した記録材Pに対して孤立パッチパターンを転写した場合に発生する画像不良(以下、「パッチボソ」という。)について図9を用いて説明する。図9(a)は、孤立パッチパターンを含む画像の例であり、図9(b)は、孤立パッチパターンを含む画像の二次転写部N2の断面の模式図である。ここで「孤立パッチパターン」とは、前述のように、記録材Pの横幅の中に高印字のトナーのかたまりが点在している画像パターンのことを意味している。
高温多湿な環境では、二次転写ローラ20や記録材Pは吸湿することで抵抗値が低下する。したがって、図9(a)のような、孤立パッチパターンなどを含む、1ページ中のトナー量が少なくなる低印字画像を転写する場合は、次のようになる。つまり、図9(b)に示すように、高抵抗であるトナーTの部分(ここでは、「トナー部(あるいはパッチ部)」ともいう。)ではなく、低抵抗であるトナーTが介在していない部分(ここでは、「白地部」ともいう。)に転写電流が選択的に流れやすくなる。そして、トナーTの部分(トナー部、パッチ部)には転写電流が流れにくくなる。なお、図9(b)中の矢印は二次転写電流の経路を表しており、矢印の太さは電流の大きさを模式的に表している。定電圧制御においては、転写電流が不足して孤立パッチパターンを十分に転写できずに、トナーが部分的に転写されずに抜け落ちたようになる「パッチボソ」が発生しやすい。したがって、パッチボソを抑制するためには、白地部への転写電流の逃げ分を考慮して、二次転写電圧を高めに設定することが好ましい。
このように、画像パターン、1ページ内のトナー量、あるいは二次転写部N2内のトナー量といった、記録材Pに転写されるトナー像のトナー量に応じて転写電圧を決めると、より精度良く二次転写を行うことが可能になる。したがって、本実施例では、トナー量が少なくなることが予めわかる場合(トナー量が所定の閾値以下の場合)に下限電圧Vunderに補正ΔVを加えるように、下限電圧の補正を行う。すなわち、制御部210は、補正後の電圧Voffsetを、式(7)に基づいて算出する。
offset=Vunder+ΔV(ただし、トナー量≦X%)
offset=Vunder(ただし、トナー量>X%)
・・・式(7)
なお、本実施例では、制御部210は、例えば1ページ内のトナー量を、画像データから変換されて生成される露光装置3のレーザー駆動信号の発光回数から予測する。本実施例では、トナー量は、1ページに全面単色画像を印字した場合を100%として決定している。本実施例では、式(7)中の閾値Xは20%とした。
制御部210は、以上のようにして、補正後の下限電圧Voffsetを決定する(S20~S22)。
続いて、制御部210は、補正後の下限電圧Voffsetと限界電圧Vlimitとに基づいて、実施例1における図3のS17~S19と同様に、二次転写電圧Vを決定する(S17~S19)。つまり、まず、制御部210は、補正後の下限電圧Voffsetと限界電圧Vlimitとの大小を比較する(S17)。具体的には、制御部210は、限界電圧Vlimitよりも補正後の下限電圧Voffsetの方が高いか否か(Voffset>Vlimitを満たすか否か)を判断する。そして、制御部210は、補正後の下限電圧Voffsetの方が限界電圧Vlimitよりも高い場合は、継続的な使用によって接触部材が通電劣化する可能性があるため、限界電圧Vlimitを二次転写電圧Vとする(S18)。一方、制御部210は、補正後の下限電圧Voffsetが限界電圧Vlimit以下の場合は、補正後の下限電圧Voffsetを二次転写電圧Vとする(S19)。制御部210は、以上のようにして、二次転写電圧Vを決定する。
二次転写電圧を定電圧制御する場合のその後のS30~S32の処理、二次転写電圧を定電流制御する場合のS42~S45及びS32の処理は、それぞれ実施例1における図3の同一ステップ番号の処理と同様であるため、詳しい説明は省略する。
このように、本実施例では、制御部210は、転写部N2に記録材Pが無い状態での検知部241の検知結果と、トナー像に使用されるトナー量に関する情報と、に基づいて、下限電圧Vunderを設定する。
以上説明したように、本実施例よれば、画像形成装置100の継続的な使用に伴う接触部材の通電劣化を抑制しつつ、実施例1よりも更に良好な二次転写性を得ることができる。
<その他の構成>
本実施例では、記録材Pに転写されるトナー像のトナー量をレーザー駆動信号の回数から予測したが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。例えば、コントローラ200から制御部210にビデオ信号とともに画像情報(トナー量の情報)を送信して、制御部210がその情報に基づいて下限電圧の補正値を決定してもよい。
また、本実施例では、トナー量の算出を1ページごとに行ったが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。例えば、二次転写ローラ20の1周ごとや感光ドラム1の1周ごとなどの任意の周期で補正を行ってもよい。二次転写部N2のトナー量に応じて電圧値を変えることが好ましいため、二次転写電源の応答性が十分早い状態においては二次転写部N2のトナー量に応じて二次転写電圧を変更してもよい。
さらに、本実施例では、トナー量に基づいて二次転写ローラ20に印加する下限電圧の補正量を決定したが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。例えば、二次転写対向ローラ13に二次転写対向ローラ電圧が印加されていて、二次転写電圧と二次転写対向ローラ電圧との電位差で二次転写を行う構成においては、二次転写ローラ20に印加する電圧には補正を加えずに、二次転写対向ローラ電圧を変化させることで下限電圧の補正量を変えてもよい。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置において、実施例1、2の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1、2と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
本実施例の画像形成装置は、一次転写電源を持たない構成の画像形成装置である。一次転写電源を持たない構成として、一次転写部材がグラウンドに接続されている後述するドラム電圧構成が一例として考えられる。本実施例では、一次転写部材がグラウンドに接続されているドラム電圧構成、ドラム電圧構成において用いられる中間転写ベルト、及びドラム電圧構成に本発明を適用した場合の作用効果について説明する。
まず、ドラム電圧構成について説明する。一次転写部材がグラウンドに接続されているドラム電圧構成の画像形成装置とは、図10に示すような高圧電源構成を有する画像形成装置のことである。図10は、本実施例の画像形成装置100における一次転写部N1周りの各部の高圧電源の接続状態や接地状態を示す模式図である。本実施例では、一次転写部材としての一次転写ローラ14は、グラウンド(0V)に接続(電気的に接地)されている。また、本実施例では、画像形成時に、感光ドラム1の芯金(図示せず)には、高圧電源200からドラム電圧(基準電圧)としての-300Vの電圧が印加される。感光ドラム1の表面には、ドラム電圧の絶対値よりも絶対値が大きい画像形成電位Vl(-400V)が形成される。そして、一次転写ローラ14の電位(0V)と、感光ドラム1の表面の画像形成電位Vl(-400V)と、の差分(一次転写コントラスト)によって、感光ドラム1の画像部(画像形成電位Vlの部分)上のトナーが中間転写ベルト10上に一次転写される。
次に、ドラム電圧構成において用いられる中間転写ベルト10について説明する。本実施例のように一次転写電源を持たない構成では、一次転写コントラストを大きくすることが難しい。一次転写コントラストを大きくするためにはドラム電圧の絶対値を大きくする必要があり、装置の大型化や装置のコストアップを招く場合がある。そのため、小さな一次転写コントラストでも十分な一次転写電流を流すために、中間転写ベルト10の電気抵抗値が低いことが好ましい。
図11は、本実施例における中間転写ベルト10の断面構成を示す模式図である。本実施例では、中間転写ベルト10として、周長700mm、厚さ65μmの無端状のベルトを用いた。また、図11に示すように、本実施例では、中間転写ベルト10は、厚さ64μmの基層10eと、厚さ1μmの内面層10fと、の2層からなる。基層10e側(外周面側)が感光ドラム1に当接し、内面層10f側(内周面側)が一次転写ローラ14と接触する。本実施例では、基層10eの材料には、導電剤としてイオン導電剤を混合したポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いた。また、本実施例では、内面層10fの材料には、導電剤として電子導電剤であるカーボンを混合したポリエステル樹脂を用いた。内面層10fは、基層10eの内側に形成され、駆動ローラ11、テンションローラ12、二次転写対向ローラ13に接触する。なお、本実施例では、基層10eの材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いたが、他の材料を用いることも可能である。基層10eの材料としては、例えば、ポリエステル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)などの材料及びこれらの混合樹脂を使用することができる。また、本実施例では、内面層10fの材料としてポリエステル樹脂を用いたが、他の材料を用いることも可能であり、例えばアクリル樹脂などを用いてもよい。
本実施例では、中間転写ベルト10の基層10eの電気抵抗に比べて内面層10fの電気抵抗を低くしている。本実施例では、中間転写ベルト10体積抵抗率は、1×1010Ω・cmである。また、本実施例では、中間転写ベルト10の内面の表面抵抗率は、1.0×10Ω/□である。本実施例では、中間転写ベルト10の電気特性の測定環境は、室内温度23℃、室内湿度50%である。本実施例では、基層10eと内面層10fとの間での、電気抵抗及び厚みの関係から、実際に中間転写ベルト10について測定される体積抵抗率は、基層10eの電気抵抗値が反映されている。一方、本実施例では、実際に中間転写ベルト10について測定される内面の表面抵抗率は、内面層10fの電気抵抗値が反映されている。
なお、体積抵抗率は、測定器としての三菱化学株式会社のHiresta-UP(MCP-HT450)において、リングプローブのタイプUR(型式MCP-HTP12)を使用して測定した。また、表面抵抗率は、体積抵抗率の測定の場合と同じ測定器において、リングプローブのタイプUR100(型式MCP-HTP16)を使用して測定した。体積抵抗率の測定は、中間転写ベルト10の表面側(基層10e側)からプローブを当て、印加電圧100V、測定時間10秒の条件で行った。また、表面抵抗率の測定は、中間転写ベルト10の内面側(内面層10f側)からプローブを当て、印加電圧10V、測定時間10秒の条件で行った。本実施例では、中間転写ベルト10の体積抵抗率は、1×10Ω・cm以上、1×1010Ω・cm以下の範囲が好ましく、中間転写ベルト10の内面の表面抵抗率は、4.0×10Ω/□以下(典型的には1.0×10Ω/□以上)が好ましい。
上述のような電気抵抗域の中間転写ベルト10は、中間転写ベルト10の周方向に電流を流せる程度に電気抵抗が低いため、一次転写コントラストが小さくても十分に一次転写電流を流すことができる。そのため、本実施例のように一次転写電源を持たないドラム電圧構成においては、上述のような電気抵抗値を有する低抵抗の中間転写ベルト10を用いることが好ましい。
次に、ドラム電圧構成に本発明を適用した場合の作用効果について説明する。高温高湿環境下では、本実施例のように中間転写ベルト10の電気抵抗値が低いほど、トナー部(パッチ部)ではなく、白地部へと二次転写電流が流れやすくなる。例えば、前述した図9(a)、(b)に示すような画像をプリントする場合、二次転写部N2に関して図12に示すような等価回路を考えることができる。図12中の各記号はそれぞれ次のものを表す。
・Rr:二次転写ローラ20の電気抵抗値
・Rp:記録材Pの電気抵抗値
・Rt:孤立パッチパターンのトナーの電気抵抗値
・Ri:中間転写ベルト10の電気抵抗値
・I1:白地部を通る電流
・I2:トナー部(パッチ部)を通る電流
I1とI2との比率は、下記式(8)の通りになる。
I1/I2
=(Ri+Rt+Rp)/(Ri+Rp)
=1+Rt/(Ri+Rp) ・・・式(8)
式(8)の通り、Riが小さくなるほど、I2に比べてI1の比率が大きくなる。すなわち、中間転写ベルト10の電気抵抗値Riが小さいほど二次転写電流がトナー部(パッチ部)ではなく白地部へと流れやすい。そのため、上述のような低抵抗の中間転写ベルト10を用いた構成では、トナー量が少ない画像においてパッチボソが発生しやすくなる場合がある。これに対し、パッチボソを抑制するために必要以上に二次転写電圧の絶対値を大きく設定してしまうと、実施例1で説明した通り、二次転写電流が記録材Pを伝って搬送路上において記録材Pと接触する接触部材に流れ込んでしまう。そして、二次転写電流の流れ込みが繰り返されると、接触部材が通電劣化する場合がある。
そこで、本実施例では、上述のような低抵抗の中間転写ベルト10を用いた構成において本発明を適用する。つまり、接触部材の通電劣化の発生を抑制する限界電圧Vlimitを二次転写部の電気抵抗Rに応じて決定して、その限界電圧Vlimit以下で二次転写電圧を制御する。これにより、接触部材の通電劣化を抑制しつつ、パッチボソを抑制することができる。その結果、低抵抗の中間転写ベルト10を用いた構成であっても、接触部材の通電劣化を抑制しつつ、パッチボソのような画像不良を抑制することが可能になる。また、上述の実施例で説明したように、強抜けを抑制することもできる。これにより、本実施例のような、一次転写電源を持たない、シンプルな構成が実現できる。なお、本実施例における二次転写電圧の制御方法としては、実施例2の方法を好適に適用することができるが、実施例1の方法を適用してもよい。
このように、本実施例では、中間転写体は、無端状のベルトで構成されており、該ベルトは、周方向に電流を流すことが可能である。また、本実施例では、該ベルトの体積抵抗率は、1×10Ω・cm以上、1×1010Ω・cm以下である。
以上説明した通り、本実施例によれば、低抵抗の中間転写ベルト10を使用した場合であっても、接触部材の通電劣化の発生を抑制する限界電圧Vlimit以下で二次転写電圧を制御する方法を適用することで、接触部材の通電劣化を抑制しつつ、パッチボソ、強抜けを抑制することができる。したがって、本実施例によれば、一次転写電源を持たないシンプルな構成を実現するに際し、接触部材の通電劣化の抑制しつつ、パッチボソ、強抜けを抑制することができる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
例えば、上述の実施例では、画像形成装置は複数の画像形成部を有するカラー画像形成装置であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像形成装置は画像形成部を一つのみ有するモノクロ画像形成装置であってもよい。この場合、本発明は、像担持体としての感光体などから記録材に直接トナー像を転写する転写部に関して適用すればよい。
1 感光ドラム
3 露光装置
10 中間転写ベルト
20 二次転写ローラ
21 二次転写電源
100 画像形成装置
P 記録材

Claims (21)

  1. トナー像を担持する像担持体と、
    前記像担持体に接触して転写部を形成し、前記像担持体から前記転写部を通過する記録材に前記トナー像を転写させる転写部材と、
    前記転写部材に電圧を出力する電源と、
    前記電源から前記転写部材に電圧を出力した際に前記転写部材に流れる電流値又は前記転写部材に印加される電圧値の少なくとも一方を検知する検知部と、
    前記電源を制御する制御部と、
    環境の温度又は湿度の少なくとも一方に関する環境情報を検知する環境検知部と、
    前記転写部材と同時に前記転写部以外で前記記録材に接触可能に設けられた接触部材と、を有し、
    前記制御部は、前記環境情報に基づいて得られた絶対水分量が所定の閾値以上である場合に、前記転写部に前記記録材が無い状態での前記検知部の検知結果に基づいてリミット電圧を設定し、前記記録材が前記転写部材と前記接触部材とに同時に接触している間に前記電源から前記転写部材に印加する電圧の絶対値が前記リミット電圧の絶対値以下となるように、前記電源を制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. トナー像を担持する像担持体と、
    前記像担持体に接触して転写部を形成し、前記像担持体から前記転写部を通過する記録材に前記トナー像を転写させる転写部材と、
    前記転写部材に電圧を出力する電源と、
    前記電源から前記転写部材に電圧を出力した際に前記転写部材に流れる電流値又は前記転写部材に印加される電圧値の少なくとも一方を検知する検知部と、
    前記電源を制御する制御部と、
    前記記録材に関する情報を前記制御部に入力する入力部と、
    前記転写部材と同時に前記転写部以外で前記記録材に接触可能に設けられた接触部材と、を有し、
    前記制御部は、前記入力部により入力された前記情報が予め設定された所定の条件を満たす場合に、前記転写部に前記記録材が無い状態での前記検知部の検知結果に基づいてリミット電圧を設定し、前記記録材が前記転写部材と前記接触部材とに同時に接触している間に前記電源から前記転写部材に印加する電圧の絶対値が前記リミット電圧の絶対値以下となるように、前記電源を制御することを特徴とする画像形成装置。
  3. 前記入力部は、操作者の操作に応じて前記情報を前記制御部に入力することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記情報は、前記記録材の種類、所定の種類の前記記録材に対応して設けられた動作設定、又は前記記録材の電気抵抗値と相関する指標値を示す情報を含むことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記入力部は、前記記録材の電気抵抗値と相関する指標値の検知結果を前記情報として前記制御部に入力するセンサであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  6. 前記条件は、前記リミット電圧を設定する制御を行う場合の前記記録材の電気抵抗値が、前記リミット電圧を設定する制御を行わない場合の前記記録材の電気抵抗値よりも低いことを示すことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記リミット電圧の絶対値は、前記電源の高圧素子の特性から決まる出力限界電圧の絶対値未満であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記制御部は、前記検知部の検知結果が示す前記転写部の電気抵抗値が第1の抵抗値の場合に前記リミット電圧を第1のリミット電圧とし、該電気抵抗値が前記第1の抵抗値よりも低い第2の抵抗値の場合の前記リミット電圧を前記第1のリミット電圧よりも絶対値が小さい第2のリミット電圧とするように、前記リミット電圧を設定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記制御部は、前記検知部の検知結果が示す前記転写部の電気抵抗値が第1の抵抗値の場合に前記リミット電圧を第1のリミット電圧とし、該電気抵抗値が前記第1の抵抗値よりも所定の値だけ低い第2の抵抗値の場合の前記リミット電圧を前記第1のリミット電圧よりも絶対値が小さい第2のリミット電圧とし、該電気抵抗値が前記第2の抵抗値よりも低い第3の抵抗値の場合に前記リミット電圧を前記第2のリミット電圧よりも絶対値が小さい第3のリミット電圧とし、該電気抵抗値が前記第3の抵抗値よりも前記所定の値だけ低い第4の抵抗値の場合の前記リミット電圧を前記第3のリミット電圧よりも絶対値が小さい第4のリミット電圧とすると共に、前記第1のリミット電圧と前記第2のリミット電圧との差分よりも、前記第3のリミット電圧と前記第4のリミット電圧との差分を大きくするように、前記リミット電圧を設定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記リミット電圧は、前記電源から前記転写部材に印加される電圧における、前記記録材を介して前記接触部材に分圧される電圧を制限するように設定されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記制御部は、前記転写部に前記記録材が無い状態での前記検知部の検知結果に基づいて、前記転写時に前記電源から前記転写部材に印加する電圧の絶対値の下限値を示す下限電圧を設定し、前記記録材が前記転写部材と前記接触部材とに同時に接触している間に前記電源から前記転写部材に印加する電圧を、前記下限電圧と前記リミット電圧とのうち絶対値が小さい方とするように、前記電源を制御することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  12. 環境の温度又は湿度の少なくとも一方に関する環境情報を検知する環境検知部を有しており、
    前記制御部は、前記環境情報に基づいて得られた絶対水分量が第1の水分量の場合に前記下限電圧を第1の下限電圧とし、該絶対水分量が前記第1の水分量よりも多い第2の水分量の場合の前記下限電圧を前記第1の下限電圧よりも絶対値が大きい第2の下限電圧とするように、前記下限電圧を設定することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 前記制御部は、前記記録材の搬送方向と略直交する方向に関する幅が第1の幅の場合に前記下限電圧を第1の下限電圧とし、該幅が前記第1の幅よりも広い第2の幅の場合に前記下限電圧を前記第1の下限電圧よりも絶対値が大きい第2の下限電圧とするように、前記下限電圧を設定することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
  14. 環境の温度又は湿度の少なくとも一方に関する環境情報を検知する環境検知部を有しており、
    前記制御部は、前記環境情報に基づいて得られた絶対水分量が第1の水分量の場合の前記下限電圧と前記リミット電圧との差分が第1の差分となり、該絶対水分量が前記第1の水分量よりも多い第2の水分量の場合の前記下限電圧と前記リミット電圧との差分が前記第1の差分よりも小さい第2の差分となるように、前記下限電圧と前記リミット電圧とを設定することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
  15. 前記制御部は、前記転写部に前記記録材が無い状態での前記検知部の検知結果と、前記トナー像に使用されるトナー量に関する情報と、に基づいて、前記下限電圧を設定することを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  16. 前記接触部材として、前記記録材に前記トナー像を定着させる定着部材を有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  17. 前記定着部材は、抵抗素子を介して電気的に接地されていることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
  18. 前記定着部材は、前記記録材と接触可能な電気絶縁性の表層を有していることを特徴とする請求項16又は17に記載の画像形成装置。
  19. 前記像担持体は、別の像担持体から一次転写されたトナー像を前記転写部で前記記録材に二次転写するために搬送する中間転写体であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  20. 前記中間転写体は、無端状のベルトで構成されており、前記ベルトは、周方向に電流を流すことが可能であることを特徴とする請求項19に記載の画像形成装置。
  21. 前記ベルトの体積抵抗率は、1×10Ω・cm以上、1×1010Ω・cm以下であることを特徴とする請求項20に記載の画像形成装置。
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