JP2023043071A - 空間認知機能の評価分析システム、評価分析装置、及びそのプログラム - Google Patents

空間認知機能の評価分析システム、評価分析装置、及びそのプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】同一患者について、非探索的認知能力と探索的認知能力を分離してそれらの優劣を評価する。【解決手段】評価分析システム10は、視空間認知障害患者に対し、上半身固定時の非探索的認知能力と上半身非固定時の探索的認知能力とをそれぞれ評価分析するシステムであり、患者の回旋箇所における回旋角度を検出する検出装置13と、非探索的認知能力及び探索的認知能力に関係する指標値を求める処理装置14とを備える。処理装置14は、認知空間を特定する認知空間特定手段16と、無視症状を解析する無視症状解析手段17とを備える。無視症状解析手段17は、認知空間のサイズに対応する指標値を算出するサイズ指標算出部20と、所定位置の物体を認識する際の回旋角度に基づく指標値を算出する角度指標算出部21と、これら各指標値から患者の非探索的認知能力及び探索的認知能力を把握する症状把握部22とを備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、半側空間無視患者等の視空間認知障害を有する患者に対し、目前に存在する物体を認識するために必要となる能力について、健常者との対比による評価分析を行い、リハビリテーション方針を提案する空間認知機能の評価分析システム、評価分析装置、及びそのプログラムに関する。
脳血管障害に起因する高次脳機能障害の一つとして、脳の病巣の反対側に存在する刺激を無視する半側空間無視と呼ばれる視空間認知障害がある。例えば、右脳損傷による半側空間無視の患者は、自身の視空間のうち左側の空間に存在する対象を無視してしまい、ドアを通り抜けるときにドアの左側にぶつかり、印刷物の左側を読むことができず、食事のときに左側のおかずに気が付かない等の支障が生じる。この半側空間無視の症状としては、患者の近傍における近位空間での無視(近位空間無視)と、同遠方における遠位空間での無視(遠位空間無視)と、これら各空間双方における無視とが存在すると言われている。
半側空間無視患者に対しては、視野を拡張させるための様々なリハビリテーションがなされることになるが、当該リハビリテーションにおいては、各患者の空間無視状態(無視症状)を把握する必要がある。そのため、従来から、半側空間無視の状態把握のための検査として、行動性無視検査(BIT)と呼ばれる検査がされている。BITでは、様々な線図が描かれたテスト用紙を患者の目前に置き、患者が視覚を通じて認知できる部分を回答して貰うことで、患者における半側空間無視の状態が評価される。しかしながら、BITは、紙面を用いた机上テストであり、患者との間の一定距離における平面的且つ限定的な近位空間無視の評価しかできず、遠位空間を含めた立体空間全体における無視評価を行うことができない。従って、BITによる検査では、患者の目前の視空間において認識不能となる無視領域が、どの範囲で生じているのかが不明瞭となる。このため、患者に対するリハビリテーションを感覚的に行わざるを得ず、無視領域を減少させるためのリハビリテーションを効果的に行うことができない。また、神経心理学等の医学的知見によれば、近位空間と遠位空間では脳中枢の責任領域が異なることから、近位空間と遠位空間それぞれに特化した3次元的な無視評価が必要になる。
そこで、本発明者らは、患者の視空間内における無視領域を3次元的に定量把握できる視覚認知機能評価システムを既に提案している(特許文献1参照)。このシステムでは、患者の視空間における認知状態を定量評価するための指標値が算出される。当該指標値としては、患者の非探索的認知能力に関する指標となる認知比と、患者の探索的認知能力に関する指標となる探索比とが求められる。ここで、非探索的認知能力とは、患者の上半身の関節部を固定した上半身固定時に視空間内の物体を認識する能力を意味し、探索的認知能力とは、同上半身を非固定にした上半身非固定時に前記物体を認識する能力を意味する。
前記認知比は、前記上半身部固定時において、患者の目前に提示されるオブジェクト(疑似物体)の認知可否の回答結果から、健常者の認知角(120度)に対する患者の認知角の比とされる。なお、この認知角は、人間の視覚が作用する視空間内に存在する物体を認知可能な角度範囲を意味する。
前記探索比は、前記上半身非固定時において、前記オブジェクトの認知可否の回答結果から求められ、次の要求探索角と運動認知角との比となる。要求探索角は、上半身非固定時に健常者と同等の認知範囲を確保するように、すなわち、頭部の正面側から左右両側までの180度の角度範囲内での空間認知を可能にするために、上半身固定時における患者の非探索的認知能力下において、回旋運動に係る回旋角度が何度必要かを表す角度とされる。また、前記運動認知角は、前述の上半身固定時と上半身非固定時における各認知角の角度差とされる。
特開2020-156956号公報
広範囲における目前の物体認識には、物体の存在位置に応じて、前述の非探索的認知能力と探索的認知能力が適宜併用されるが、特許文献1のシステムでは、同一患者について、非探索的認知能力と探索的認知能力の優劣を判断することができず、また、患者間の探索的認知能力の比較ができない。つまり、前記システムでの認知比は、上半身固定時において、健常者が認識可能な視野の角度に対して、患者が認識できる視野の角度の割合である。一方、探索比は、患者の探索運動の際に、無視側の端部空間を認識しようとする場合に、当該患者が回旋させる必要がある上半身の角度に対して、どの程度の角度を探索運動でカバーできているかの割合となる。つまり、認知比は、健常者を基準とした能力値であり、探索比は、患者の必要努力量を基準とした能力値であり、相互に基準が異なるため、それらの比較による非探索的認知能力と探索的認知能力との間の優劣等の評価を行うことができない。また、探索比については、患者自身の上半身固定時における認知角がパラメータに含まれており、患者の非探索的認知能力に依存し、探索的認知能力のみについて他の患者と単純に比較することができない。
本発明の目的は、同一患者について、非探索的認知能力と探索的認知能力を分離してそれらの優劣を評価し、これら各能力の状態に応じたリハビリテーションの介入に寄与することができる空間認知機能の評価分析システム、評価分析装置、及びそのプログラムを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、主として、視空間認知障害による無視症状を有する患者に対し、上半身の関節部が固定された上半身固定時において視空間内の物体を認識する能力である非探索的認知能力と、上半身の関節部が固定されない上半身非固定時において前記物体を認識する能力である探索的認知能力とをそれぞれ評価分析する空間認知機能の評価分析システムであって、前記非探索的認知能力及び前記探索的認知能力に関係する指標値を求める処理装置を備え、前記処理装置は、前記患者の目前における3次元空間内で当該患者が前記物体を認識できる領域となる認知空間を特定する認知空間特定手段と、前記無視症状を解析する無視症状解析手段とを備え、前記認知空間特定手段では、前記上半身固定時における前記患者の前記認知空間である非探索的認知空間と、前記上半身非固定時における前記患者の前記認知空間である探索的認知空間とが分離して同定され、前記無視症状解析手段は、前記認知空間のサイズに対応する指標値を算出するサイズ指標算出部を備え、前記サイズ指標算出部では、前記非探索的認知空間及び前記探索的認知空間の体積及び/又は所定断面の面積がそれぞれ算出され、前記非探索的認知能力及び前記探索的認知能力を定量化する、という構成を採っている。
本発明によれば、非探索的認知能力と探索的認知能力について、それぞれ健常者を基準とした指標を用いて評価分析し、患者のリハビリテーション方針を提案するため、同一患者について、非探索的認知能力と探索的認知能力を分離した評価と、それら能力の優劣を判断することができるとともに、別の患者に対する探索的認知能力の比較も可能となる。また、探索的認知能力の評価として、所定の1又は複数の回旋箇所毎に、健常者との回旋動作の対比ができ、この結果、探索的認知能力を向上させるための回旋箇所の特定と訓練方針等をより明らかにすることができる。
本実施形態に係る空間認知機能の評価分析システムの概略構成を表すブロック図である。 無視症状把握部での処理手順を説明するためのフローチャートである。 非探索的認知能力と探索的認知能力からなる2次元的なステージ分類について説明するためのグラフである。 (A)、(B)は、探索的認知能力の訓練箇所の特定と訓練方針の提案に際する処理を説明するための事例の図表である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、本実施形態に係る空間認知機能の評価分析システムの概略構成を表すブロック図が示されている。この図において、前記評価分析システム10は、視空間認知障害による半側空間無視症状を有する患者に対し、上半身の関節部が固定された上半身固定時において視空間内の物体を認識する能力である非探索的認知能力と、上半身の関節部が固定されない上半身非固定時において前記物体を認識する能力である探索的認知能力とをそれぞれ評価分析し、患者へのリハビリテーション方針を提案するためのシステムである。
この評価分析システム10は、被検者となる患者若しくは当該患者に付き添う療法士等の入力者が各種情報をシステム内に入力するための入力装置11と、患者への視覚刺激となる所定のオブジェクト(疑似物体)を含む3次元のテスト画像を患者に立体的に提示可能な表示装置12と、探索的認知能力に関係する回旋動作を患者が行う際の複数の回旋箇所における各回旋角度を検出する検出装置13と、表示装置12及び検出装置13に繋がって所定の処理を行う処理装置14とを備えている。
前記入力装置11には、表示装置12から患者に提示されるテスト画像内のオブジェクトについて、患者が視覚を通じて認識できたか否かの回答を含む各種情報が入力され、当該入力された情報は、処理装置14に送信されるようになっている。なお、入力装置11としては、各種情報の入力及び送信が可能である限りにおいて、ボタン、ペダル、キーボード、タッチパネル、マウス等、入力者の身体操作により情報を入力可能な各種入力機器や、患者等の視線の動きをカメラで追跡し当該動きに応じて情報を入力する視線入力装置等を含む種々の入力デバイスの採用が可能である。
前記表示装置12は、患者の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイからなり、処理装置14から送られるテスト画像を患者の目前で立体視可能に提示する公知の構造のものが用いられる。なお、表示装置12としては、テスト画像を患者に3次元的に提示できる限りにおいて、他の機器類を採用することもできる。
前記検出装置13は、患者の体表部分の複数箇所に装着され、これら体表部分の回旋角度を計測可能な公知のセンサ類、例えば、視線計測機器、IMUセンサ、モーションキャプチャ等からなる。この検出装置13では、前記探索的認知能力に対応する回旋動作を行う際に回旋され得る患者の各箇所(回旋箇所)の回旋角度がそれぞれ計測される。本実施形態では、視線と、上半身の前記関節部として頸部、肩、胸部及び腰部とを回旋箇所とし、所定の空間位置を原点とする絶対座標系における各センサの角度情報を用いて各回旋箇所の回旋角度が検出される。
前記処理装置14は、CPU等の演算処理装置及びメモリやハードディスク等の記憶装置等からなるコンピュータからなり、当該コンピュータを以下の各手段として機能させるためのプログラムがインストールされ、空間認知機能の評価分析装置として機能する。
この処理装置14は、予め記憶されたテスト画像を表示装置12に送信し、且つ、表示装置12でのテスト画像の表示状態を制御する表示制御手段15と、入力装置11で入力された回答に基づいて、患者の目前における3次元空間内で患者が物体を認識できる領域となる認知空間を特定する認知空間特定手段16と、健常者との対比により患者の無視症状を解析する無視症状解析手段17と、認知空間特定手段16及び無視症状解析手段17で得られた各種情報を外部の装置、機器及び/又はシステムに出力する出力手段18と、を含んで構成されている。
前記表示制御手段15では、予め設定された没入型の3次元の仮想現実空間(以下、「VR空間」と称する)を一人称視点から患者が視認可能となるように、所定のオブジェクトを含むテスト画像が表示装置12に送信される。このオブジェクトは、表示装置12を通じて患者が立体視するときの3次元位置が経時的にランダムに変化するように患者に提示される。また、このオブジェクトは、所定の提示ルールに基づいて、VR空間内で予め設定された複数の表示点のうちの何れか1箇所の位置でランダムに表示され、当該位置に表示されたオブジェクトに対する認識可否の回答がなされた後で、他の異なる位置の表示点で表示されるようになっている。
前記認知空間特定手段16では、患者が視覚を通じてオブジェクトを認識できたか否かの回答に関する入力装置11への入力結果が記録され、当該回答から、患者が認識可能な認知領域と、患者が認識不可能な無視領域の境界部分の3次元位置情報が求められ、3次元空間内における認知領域の範囲である認知空間と、3次元空間内における無視領域の範囲である無視空間とが同定される。ここでの同定は、患者の上半身の関節部(体幹)を固定した状態の上半身固定時と、患者の上半身の関節部(体幹)を固定しない状態の上半身非固定時とでそれぞれ行われる。従って、ここでは、患者の上半身固定時における認知空間である非探索的認知空間と、同上半身非固定時における認知空間である探索的認知空間とが分離して同定される。
なお、表示制御手段15及び認知空間特定手段16での具体的な処理については、既に本出願人が提案している手法(特開2020-156956号公報)と実質的に同一であるため、詳細な説明は省略する。
前記無視症状解析手段17では、患者が上半身固定時に刺激を認識する能力である非探索的認知能力と、患者が上半身非固定時に刺激を認識する能力である探索的認知能力とについて、それぞれ健常者を基準とした評価を行うための指標値を求め、当該指標値に基づき、患者の無視症状に応じたリハビリテーションの介入提案を行うようになっている。
この無視症状解析手段17は、認知空間のサイズに対応する指標値を算出するサイズ指標算出部20と、所定位置でのオブジェクトを認識する際の各回旋箇所における回旋角度に基づく指標値を算出する角度指標算出部21と、これら各指標値から、患者の無視症状の原因となる非探索的認知能力及び探索的認知能力を把握し、リハビリテーションにおける訓練内容を提案する症状把握部22とを備えている。
前記サイズ指標算出部20では、先ず、認知空間特定手段16で特定された各認知空間の位置データから、患者が回旋動作を行わない上半身固定時における認知空間となる非探索的認知空間の体積と、患者が回旋動作を行える上半身非固定時における認知空間となる探索的認知空間の体積とが求められ、非探索的認知能力及び探索的認知能力が定量化される。次いで、非探索的認知空間の体積について健常者と対比した指標である非探索的正常率と、探索的認知空間の体積について健常者と対比した指標である探索的正常率とが算出される。これら非探索的正常率と探索的正常率は、非探索的認知空間、探索的認知空間の各体積を、同一条件で予め取得して記憶された健常者の認知空間の体積で除算した健常者との比率となる。なお、本実施形態では、各認知空間の体積をベースにしているが、本発明はこれに限らす、当該体積ベースとともに、又は、それに代えて、各認知空間の所定断面の面積をべースにし、各面積を求めた上で、面積ベースの非探索的正常率及び探索的正常率を算出することもできる。当該断面としては、所定の高さ位置における水平方向の平面等を例示することができる。
前記角度指標算出部21では、上半身非固定時として探索動作を行える条件で、オブジェクトの認識した瞬間における各回旋箇所の回旋角度を用いて、以下の各指標値が適宜算出される。ここでの各回旋箇所は、検出装置13で検出される箇所、すなわち、下半身の動きを考慮せずに体幹全体(胸も含む)で物体を認識するための回旋運動に関係する視線、頸部、肩、胸部、及び腰部の5箇所が対象となる。なお、ここで用いる健常者のデータは、患者の対象データ取得時と同一条件で予め取得し、処理装置14内に記憶されている。
先ず、これら視線回旋角度θ、頸部回旋角度θ、肩回旋角度θ、胸部回旋角度θ、及び、腰部回旋角度θから、健常者に対する患者の探索的認知能力の割合となる探索代償率が求められる。当該探索代償率としては、次式の通り、後述する組み合わせで抽出された複数の回旋箇所における回旋角度の総和について、患者の総和を健常者の総和で除算した合計探索代償率Rと、単一の各回旋箇所における回旋角度について、患者の値を健常者の値で除算した箇所別探索代償率Rとが算出される。

=Σθ/Σθ

/θ
上式において、*が付されている符号は、患者と同一の回旋箇所の健常者の回旋角度を意味し、iは、1~5の少なくとも2以上であり、nは、1~5の何れか一つとなる。すなわち、合計探索代償率Rは、検出装置13で検出された各回旋箇所の角度のうち、2つ、3つ、4つ及び5つの全ての組み合わせについて、それぞれ計算され記憶される。また、箇所別探索代償率Rは、前述の5箇所の全て、若しくは、任意の回旋箇所についてそれぞれ計算され記憶される。
また、角度指標算出部21では、次式の通り、対象の患者について、探索代償率を算出する際に用いた複数の回旋箇所における回旋角度の総和に対する当該回旋箇所を構成する何れか1箇所の割合である探索割合Rも求められ記憶される。なお、合計探索代償率Rと箇所別探索代償率Rは、何れか一方のみを利用することもできる。

=θ/Σθ

この探索割合Rでは、ある患者について、例えば、上半身全体、又は頸部を境にした上半身の上部とその下部等の部位単位において、その部位を構成する回旋箇所における回旋角度の割合が分かり、当該数値が健常者の同数値との間で対比される。
前記症状把握部22では、図2のフローチャートに示される手順により、患者のリハビリテーションに介入する際に、訓練を優先すべき能力や、探索的認知能力の向上のために訓練すべき回旋箇所等の訓練内容が決定される。
先ず、サイズ指標算出部20で求めた非探索的正常率と探索的正常率から、それらを2軸とする図3のグラフに模式的に示されるように、それぞれに設定された閾値A、Bを用いて、2次元的なステージ分類が行われ、各正常率の間での乖離が大きいか否かが判定される(ステップS101)。つまり、ここでは、非探索的正常率と探索的正常率とが2次元座標上にプロットされ、それぞれに予め設定された所定の閾値を用いて2次元的なステージ分類が行われる。例えば、図3のグラフでは、算出した非探索的正常率と探索的正常率が、同図中斜線部分となる左上領域若しくは右下領域に位置する場合に、それら正常率の間の乖離が大きいとして、健常者に対して著しく劣る能力の方、つまり、非探索的正常率と探索的正常率の何れか低い値の方に対応する非探索的認知能力若しくは探索的認知能力の何れかの訓練が提案される(ステップS102)。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、各正常率について、閾値を1つずつ設定しているが、本発明はこれに限らず、それぞれ複数種の閾値を設定し、これら複数の閾値を使って区分されたステージのうちの幾つかを前述の乖離の大きい範囲とすることもできる。
一方、非探索的正常率と探索的正常率の間の乖離が大きいと判定されない場合、つまり、図3の右上領域や左下領域に位置する場合には、角度指標算出部21で求められた探索代償率等の算出結果を更に用いて、優先的に訓練すべき能力や回旋箇所が決定される。基本的に、探索代償率が1以上となる場合、すなわち、健常者よりも大きい場合には、非探索的認知能力を優先して訓練し、探索代償率が1未満の場合には、探索的認知能力を優先して訓練する方針とされる。
先ず、図2に示されるように、視線、頸部、肩、胸部、及び腰部の5箇所全てを合計した合計探索代償率Rが1より大きいか否かが判定される(ステップS103)。ここでは、同じ位置を認識する場合でも周辺視野の働きによって健常者と患者との間で最終的な視線の方向が一致しないことがある。このような場合を想定し、最初に、視線を含めた患者の探索的認知能力による代償状況の確認が行われる。
次いで、5箇所を合計した合計探索代償率Rが1より大きい場合には、視線を除く4箇所を合計した合計探索代償率Rが1より大きいか否かが判定される(ステップS104)。ここでは、健常者と患者との間で最終的な視線の方向が一致するような場合を想定し、更に、視線を除く患者の探索的認知能力による代償状況の確認が行われる。
その結果、視線を除く4箇所を合計した合計探索代償率Rが1よりも大きい場合には、主として、上半身固定時における患者の視野の拡大を目指す非探索的認知能力の訓練(非探索訓練)をメインとし、探索代償率の低い回旋箇所について、上半身非固定時における回旋動作による探索的認知能力の訓練(探索訓練)を付加的に行うべきとの提案がなされる(ステップS105)。
一方、前記5箇所を合計した合計探索代償率Rが1以下である場合や、前記4箇所を合計した合計探索代償率Rが1以下である場合には、所定の区分による部位毎に、探索代償率が低い回旋箇所について探索訓練を行うべきとの提案がなされる(ステップS106)。
以上の探索訓練における回旋箇所の特定に際しては、角度指標算出部21で算出された各指標値が適宜選択され利用される。以下、図4に示される事例により説明する。
図4(A)のケースでは、検出装置13における健常者及び患者の検出値から、各回旋箇所における箇所別探索代償率Rを用いて、探索的認知能力を向上させる回旋箇所が特定される。このケースでは、患者の視線と頸部の回旋動作が健常者よりも劣っており、回旋動作による代償性が低くなっている。一方、患者の胸部の回旋動作は、健常者よりも大きく、健常者に対して不足している代償性を胸部で補完している。この結果、症状把握部22でのデータ分析により、介入時の探索的認知能力の訓練方針として、胸部による代償をさせないように注意しながら視線と頸部の代償性を向上させることが提案される。
図4(B)のケースでは、頸部から上側の部位である上部と、その下側の部位である下部とに分けたときに、合計探索代償率Rがそれぞれ1.0となり、上部と下部をそれぞれ一纏めにすると、それぞれの合計が健常者と同一の回旋角度となっている。このようなケースでは、上部、下部それぞれに分け、探索割合Rをも利用しながら、各回旋箇所の回旋角度が健常者に近づくように、各回旋箇所における探索的認知能力を訓練することが提案される。
以上のように本実施形態によれば、患者に対し、上半身固定時の非探索的認知能力に問題があるのか、それとも、上半身非固定時の探索的認知能力に問題があるのかについて、より詳細に評価分析することができ、各患者の無視症状に応じて、上半身固定状態のリハビリテーションと、上半身非固定状態のリハビリテーションとを使い分ける等の新たな個別化リハビリテーションの実現に寄与できる。また、患者同士での各種指標値の対比も可能となり、より効果的なリハビリテーションの研究や模索が期待できる。
前記実施形態では、評価分析システム10を半側空間無視患者の視覚認知評価用として用いたが、本発明はこれに限らず、他の同様の認知障害を有する患者に対する症状の評価分析とリハビリテーションの介入支援に適用することも可能である。
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
10 評価分析システム
14 処理装置(評価分析装置)
16 認知空間特定手段
17 無視症状解析手段
20 サイズ指標算出部
21 角度指標算出部
22 症状把握部

Claims (9)

  1. 視空間認知障害による無視症状を有する患者に対し、上半身の関節部が固定された上半身固定時において視空間内の物体を認識する能力である非探索的認知能力と、上半身の関節部が固定されない上半身非固定時において前記物体を認識する能力である探索的認知能力とをそれぞれ評価分析する空間認知機能の評価分析システムであって、
    前記非探索的認知能力及び前記探索的認知能力に関係する指標値を求める処理装置を備え、
    前記処理装置は、前記患者の目前における3次元空間内で当該患者が前記物体を認識できる領域となる認知空間を特定する認知空間特定手段と、前記無視症状を解析する無視症状解析手段とを備え、
    前記認知空間特定手段では、前記上半身固定時における前記患者の前記認知空間である非探索的認知空間と、前記上半身非固定時における前記患者の前記認知空間である探索的認知空間とが分離して同定され、
    前記無視症状解析手段は、前記認知空間のサイズに対応する指標値を算出するサイズ指標算出部を備え、
    前記サイズ指標算出部では、前記非探索的認知空間及び前記探索的認知空間の体積及び/又は所定断面の面積がそれぞれ算出され、前記非探索的認知能力及び前記探索的認知能力を定量化することを特徴とする空間認知機能の評価分析システム。
  2. 前記サイズ指標算出部では、前記非探索的認知空間の前記体積若しくは前記面積を健常者と対比した前記非探索的認知能力の指標である非探索的正常率と、前記探索的認知空間の前記体積若しくは前記面積を健常者と対比した前記探索的認知能力の指標である探索的正常率とが算出されることを特徴とする請求項1記載の空間認知機能の評価分析システム。
  3. 前記患者の回旋箇所における回旋角度を検出する検出装置を更に備え、
    前記無視症状解析手段は、所定位置の前記物体を認識する際の前記回旋角度に基づく指標値を算出する角度指標算出部を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の空間認知機能の評価分析システム。
  4. 前記角度指標算出部では、前記探索的認知能力に関する前記指標値となる探索代償率が求められ、当該探索代償率として、単一の前記回旋箇所での前記回旋角度における健常者との比率、及び/又は、複数の前記回旋箇所での前記各回旋角度の合計値における健常者との比率が算出されることを特徴とする請求項3記載の空間認知機能の評価分析システム。
  5. 前記患者の回旋箇所における回旋角度を検出する検出装置を更に備え、
    前記無視症状解析手段は、所定位置の前記物体を認識する際の前記回旋角度に基づく指標値を算出する角度指標算出部と、前記各指標値から前記患者の前記非探索的認知能力及び前記探索的認知能力を把握する症状把握部を更に備え、
    前記角度指標算出部では、前記探索的認知能力に関する前記指標値となる探索代償率が求められ、当該探索代償率として、単一の前記回旋箇所での前記回旋角度における健常者との比率、及び/又は、複数の前記回旋箇所での前記各回旋角度の合計値における健常者との比率が算出され、
    前記症状把握部では、前記非探索的正常率と前記探索的正常率を2次元座標上にプロットし、それぞれに予め設定された所定の閾値を用いて2次元的なステージ分類を行うことを特徴とする請求項2記載の空間認知機能の評価分析システム。
  6. 前記症状把握部では、前記患者の属する前記ステージに基づき、前記非探索的認知能力と前記探索的認知能力のうち向上させるべき能力の訓練を提案することを特徴とする請求項5記載の空間認知機能の評価分析システム。
  7. 前記症状把握部では、前記非探索的正常率と前記探索的正常率の乖離が大きいか否かが判定され、当該乖離が大きいと判定された場合に、前記非探索的認知能力と前記探索的認知能力のうち、前記各正常率の低い方に対応する能力の訓練を提案する一方、そうでない場合に、前記探索代償率に基づいて、前記非探索的認知能力及び/又は所定の前記回旋箇所での前記探索的認知能力の訓練を提案することを特徴とする請求項6記載の空間認知機能の評価分析システム。
  8. 視空間認知障害による無視症状を有する患者に対し、上半身の関節部が固定された上半身固定時において視空間内の物体を認識する能力である非探索的認知能力と、上半身の関節部が固定されない上半身非固定時において前記物体を認識する能力である探索的認知能力とに関係する指標値を求め、それら能力をそれぞれ評価分析する装置であって、
    前記患者の目前における3次元空間内で当該患者が前記物体を認識できる領域となる認知空間を特定する認知空間特定手段と、前記無視症状を解析する無視症状解析手段とを備え、
    前記認知空間特定手段では、前記上半身固定時における前記患者の前記認知空間である非探索的認知空間と、前記上半身非固定時における前記患者の前記認知空間である探索的認知空間とが分離して同定され、
    前記無視症状解析手段は、前記認知空間のサイズに対応する指標値を算出するサイズ指標算出部を備え、
    前記サイズ指標算出部では、前記非探索的認知空間及び前記探索的認知空間の体積及び/又は所定断面の面積がそれぞれ算出され、前記非探索的認知能力及び前記探索的認知能力を定量化することを特徴とする空間認知機能の評価分析装置。
  9. 視空間認知障害による無視症状を有する患者に対し、上半身の関節部が固定された上半身固定時において視空間内の物体を認識する能力である非探索的認知能力と、上半身の関節部が固定されない上半身非固定時において前記物体を認識する能力である探索的認知能力とに関係する指標値を求め、それら能力をそれぞれ評価分析する装置のプログラムであって、
    前記患者の目前における3次元空間内で当該患者が前記物体を認識できる領域となる認知空間を特定する認知空間特定手段と、前記無視症状を解析する無視症状解析手段としてコンピュータを機能させ、
    前記認知空間特定手段では、前記上半身固定時における前記患者の前記認知空間である非探索的認知空間と、前記上半身非固定時における前記患者の前記認知空間である探索的認知空間とが分離して同定され、
    前記無視症状解析手段は、前記認知空間のサイズに対応する指標値を算出するサイズ指標算出部を備え、
    前記サイズ指標算出部では、前記非探索的認知空間及び前記探索的認知空間の体積及び/又は所定断面の面積がそれぞれ算出され、前記非探索的認知能力及び前記探索的認知能力を定量化することを特徴とする空間認知機能の評価分析装置のプログラム。
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