JP2023042496A - 温度制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 コストを抑えてオーバーシュート及び温度リップルの発生を防ぐことが可能な温度制御装置を提供する。【解決手段】 一実施形態に係る温度制御装置は、温度推定部と、周波数生成部とを備える。温度生成部は、誘導加熱コイルを接続されたインバータの駆動信号の周波数に基づき温度制御対象の温度を推定する。周波数生成部は、温度推定部による温度推定結果、温度センサによる温度制御対象の温度検出結果及び温度制御対象の目標温度に基づき駆動信号の周波数を生成する。【選択図】 図2

Description

本発明の実施形態は、温度制御装置に関する。
画像形成装置は、印刷媒体に熱及び圧力を与えることにより、印刷媒体にトナー像を定着させる定着器を備える。例えば、定着器は、誘導加熱(IH:Induction Heating)方式の定着器である。誘導加熱方式の定着器は、誘導加熱コイル、定着ベルト、加圧ローラ及び温度センサ等を備える。温度センサは、定着ベルトの表面温度を検出する。
定着器を制御するコントローラは、温度センサの検出信号(温度センサ信号)に基づいて、定着ベルトの表面温度が目標値となるように制御する。
温度センサにより検出される温度と、実際の定着ベルトの表面温度との間にずれ(又はタイムラグ)が生じると、オーバーシュート、温度リップル等が生じる可能性がある。この為、オーバーシュート及び温度リップルの発生を防ぐためには、応答性の良い温度センサ(例えば、サーモパイル等)が必要になる。しかしながら、応答性の良い温度センサは、コストが高いという課題がある。
特開2014-119653号公報
本発明が解決しようとする課題は、コストを抑えてオーバーシュート及び温度リップルの発生を防ぐことが可能な温度制御装置を提供することである。
一実施形態に係る温度制御装置は、温度推定部と、周波数生成部とを備える。温度推定部は、誘導加熱コイルを接続されたインバータの駆動信号の周波数に基づき温度制御対象の温度を推定する。周波数生成部は、温度推定部による温度推定結果、温度センサによる温度制御対象の温度検出結果及び温度制御対象の目標温度に基づき駆動信号の周波数を生成する。
図1は、一実施形態に係る画像形成装置の構成の例について説明する為の図である。 図2は、一実施形態に係る温度制御回路の構成の例について説明する為の図である。 図3は、一実施形態に係る温度制御回路の動作の例について説明する為の図である。 図4は、一実施形態に係る温度制御回路の動作の例について説明する為の図である。 図5は、一実施形態に係る温度制御回路の動作の例について説明する為の図である。 図6は、一実施形態に係る温度制御回路の動作の例について説明する為の図である。 図7は、一実施形態に係る温度制御回路の周波数生成処理例について説明する為の図である。 図8は、一実施形態に係る温度制御回路の変換処理例について説明する為の図である。 図9は、一実施形態に係る温度制御回路の補正処理例について説明する為の図である。 図10は、一実施形態に係る駆動パルス信号を例示する図である。
以下、一実施形態に係る温度制御装置について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る画像形成装置1の構成例について説明する為の説明図である。画像形成装置1は、温度制御装置の一例である。
画像形成装置1は、例えば、印刷媒体Pを搬送しながら画像形成等の各種処理を行うMFP(Multifunction Peripheral)である。画像形成装置1は、例えば、印刷媒体Pを搬送しながら画像形成等の各種処理を行うLED(Light Emitting Diode)アレイを走査する固体走査方式のプリンタ(例えばLEDプリンタ)である。
例えば、画像形成装置1は、トナーカートリッジからトナーを受け取り、受け取ったトナーにより印刷媒体に画像を形成する構成を備える。トナーは、単色のトナーであってもよいし、例えば、シアン、マゼンダ、イエロー及びブラック等の色のカラートナーであってもよい。また、トナーは、熱が加えられた場合に消色する消色トナーであってもよい。
図1に示されるように、画像形成装置1は、筐体10、電力変換回路11、通信インタフェース12、システムコントローラ13、温度制御回路14、表示部15、操作インタフェース16、複数の用紙トレイ17、排紙トレイ18、搬送部19、画像形成部20及び定着器21を備える。
筐体10は、画像形成装置1の本体である。筐体10は、電力変換回路11、通信インタフェース12、システムコントローラ13、温度制御回路14、表示部15、操作インタフェース16、複数の用紙トレイ17、排紙トレイ18、搬送部19、画像形成部20及び定着器21を収容する。
まず、画像形成装置1の制御系の構成について説明する。
電力変換回路11は、画像形成装置1に電力を供給する交流電源ACの交流電圧を用いて、画像形成装置1内の種々の構成に直流電圧を供給する。
通信インタフェース12は、他の機器と通信する為のインタフェースである。通信インタフェース12は、例えば、上位装置(外部機器)との通信に用いられる。通信インタフェース12は、例えば、LAN(Local Area Network)コネクタ等として構成される。また、通信インタフェース12は、Bluetooth(登録商標)又はWi-fi(登録商標)等の規格に従って他の機器と無線通信を行うものであってもよい。
システムコントローラ13は、画像形成装置1の制御を行う。システムコントローラ13は、例えば、プロセッサ22及びメモリ23を備える。
プロセッサ22は、演算処理を実行する演算素子である。プロセッサ22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ22は、メモリ23に記憶されているプログラム等のデータに基づいて種々の処理を行う。プロセッサ22は、メモリ23に格納されているプログラムを実行することにより、種々の動作を実行する可能な制御部として機能する。
プロセッサ22は、メモリ23に記憶されているプログラムを実行することにより、種々の情報処理を行う。例えば、プロセッサ22は、通信インタフェース12を介して外部機器から取得した画像に基づいて、印刷ジョブを生成する。プロセッサ22は、生成した印刷ジョブを、メモリ23に格納する。
印刷ジョブは、印刷媒体Pに形成する画像を示す画像データを含む。画像データは、1枚の印刷媒体Pに画像を形成する為のデータであってもよいし、複数枚の印刷媒体Pに画像を形成する為のデータであってもよい。さらに、印刷ジョブは、カラー印刷かモノクロ印刷かを示す情報を含む。印刷ジョブは、印刷部数(ページセット数)、1部当たりの印刷枚数(ページ数)等の情報を含んでいてもよい。
また、プロセッサ22は、生成した印刷ジョブに基づいて、搬送部19、画像形成部20及び定着器21の動作を制御する為の印刷制御情報を生成する。印刷制御情報は、通紙のタイミングを示す情報を含む。プロセッサ22は、印刷制御情報を温度制御回路14に供給する。
また、プロセッサ22は、メモリ23に記憶されているプログラムを実行することにより、搬送部19及び画像形成部20の動作を制御するコントローラ(エンジンコントローラ)として機能する。即ち、プロセッサ22は、搬送部19による印刷媒体Pの搬送の制御及び画像形成部20による印刷媒体Pへの画像の形成の制御等を行う。
メモリ23は、プログラム及びプログラムで用いられるデータ等を記憶する記憶媒体である。また、メモリ23は、ワーキングメモリとしても機能する。すなわち、メモリ23は、プロセッサ22の処理中のデータ及びプロセッサ22が実行するプログラム等を一時的に格納する。
なお、画像形成装置1は、エンジンコントローラをシステムコントローラ13とは別に備える構成であってもよい。この場合、エンジンコントローラが、搬送部19による印刷媒体Pの搬送の制御及び画像形成部20による印刷媒体Pへの画像の形成の制御等を行う。また、この場合、システムコントローラ13は、エンジンコントローラにおける制御に必要な情報をエンジンコントローラに供給する。
温度制御回路14は、後述する定着器21の温度を制御する。温度制御回路14の詳細な説明については後述する。例えば、温度制御回路14は、プロセッサ24及びメモリ25を備える。プロセッサ24は、プロセッサ22と同様に、演算処理を実行する演算素子である。プロセッサ24は、メモリ25に記憶されているプログラム等のデータに基づいて種々の処理を行う。プロセッサ24は、メモリ25に格納されているプログラムを実行することにより後述する各部を実現し、種々の動作を実行する。メモリ25は、メモリ23と同様に、プログラム及びプログラムで用いられるデータ等を記憶する記憶媒体である。
表示部15は、システムコントローラ13又は図示されないグラフィックコントローラなどの表示制御部から入力される映像信号に応じて画面を表示するディスプレイを備える。例えば、表示部15のディスプレイには、画像形成装置1の種々の設定の為の画面が表示される。
操作インタフェース16は、図示されない操作部材に接続されている。操作インタフェース16は、操作部材の操作に応じた操作信号をシステムコントローラ13に供給する。操作部材は、例えば、タッチセンサ、テンキー、電源キー、用紙フィードキー、種々のファンクションキー又はキーボード等である。タッチセンサは、ある領域内において指定された位置を示す情報を取得する。タッチセンサは、表示部15と一体にタッチパネルとして構成されることにより、表示部15に表示された画面上のタッチされた位置を示す信号をシステムコントローラ13に入力する。
複数の用紙トレイ17は、それぞれ印刷媒体Pを収容するカセットである。用紙トレイ17は、筐体10の外部から印刷媒体Pを供給可能に構成されている。例えば、用紙トレイ17は、筐体10から引き出し可能に構成されている。
排紙トレイ18は、画像形成装置1から排出された印刷媒体Pを支持するトレイである。
次に、画像形成装置1の印刷媒体Pを搬送する構成について説明する。
搬送部19は、画像形成装置1内で印刷媒体Pを搬送する機構である。図1に示されるように、搬送部19は、複数の搬送路を備える。例えば、搬送部19は、給紙搬送路31及び排紙搬送路32を備える。
給紙搬送路31及び排紙搬送路32は、それぞれ図示されない複数のモータ、複数のローラ、及び複数のガイドにより構成される。複数のモータは、システムコントローラ13の制御に基づいて、軸を回転させることにより、軸の回転に連動するローラを回転させる。複数のローラは、回転することにより印刷媒体Pを移動させる。複数のガイドは、印刷媒体Pの搬送方向を制御する。
給紙搬送路31は、用紙トレイ17から印刷媒体Pを取り込み、取り込んだ印刷媒体Pを画像形成部20に供給する。給紙搬送路31は、各用紙トレイに対応したピックアップローラ33を備える。各ピックアップローラ33は、それぞれ用紙トレイ17の印刷媒体Pを給紙搬送路31に取り込む。
排紙搬送路32は、画像が形成された印刷媒体Pを、筐体10から排出する搬送路である。排紙搬送路32によって排出された印刷媒体Pは、排紙トレイ18により支持される。
次に、画像形成部20について説明する。
画像形成部20は、印刷媒体Pに画像を形成する構成である。具体的には、画像形成部20は、プロセッサ22により生成された印刷ジョブに基づいて、印刷媒体Pに画像を形成する。
画像形成部20は、複数のプロセスユニット41、複数の露光器42、及び転写機構43を備える。画像形成部20は、プロセスユニット41毎に、露光器42を備える。なお、複数のプロセスユニット41及び複数の露光器42は、それぞれ同じ構成である為、1つのプロセスユニット41及び1つの露光器42についてそれぞれ説明する。
まず、プロセスユニット41について説明する。
プロセスユニット41は、トナー像を形成する構成である。例えば、複数のプロセスユニット41は、トナーの種類ごとに設けられる。例えば、複数のプロセスユニット41は、シアン、マゼンダ、イエロー及びブラック等のカラートナーにそれぞれ対応する。具体的には、各プロセスユニット41には、異なる色のトナーを有するトナーカートリッジが接続される。
トナーカートリッジは、トナー収容容器及びトナー送出機構を備える。トナー収容容器は、トナーを収容する容器である。トナー送出機構は、トナー収容容器内のトナーを送り出すスクリューなどにより構成される機構である。
プロセスユニット41は、感光ドラム51、帯電チャージャ52及び現像器53を備える。
感光ドラム51は、円筒状のドラムと、ドラムの外周面に形成された感光層とを備える感光体である。感光ドラム51は、図示されない駆動機構によって一定の速度で回転する。
帯電チャージャ52は、感光ドラム51の表面を一様に帯電させる。例えば、帯電チャージャ52は、帯電ローラを用いて、感光ドラム51に電圧(現像バイアス電圧)を印加することにより、感光ドラム51を一様な負極性の電位(コントラスト電位)に帯電させる。帯電ローラは、感光ドラム51に対して所定の圧力を加えた状態で、感光ドラム51の回転によって回転する。
現像器53は、トナーを感光ドラム51に付着させる装置である。現像器53は、現像剤容器、撹拌機構、現像ローラ、ドクターブレード及びオートトナーコントロール(ATC)センサなどを備える。
現像剤容器は、トナーカートリッジから送り出されたトナーを受け取り、収容する容器である。現像剤容器内には、予めキャリアが収容されている。トナーカートリッジから送り出されたトナーは、撹拌機構によってキャリアと撹拌されることにより、トナーとキャリアとが混合された現像剤を構成する。キャリアは、現像器53の製造時に現像剤容器内に収容される。
現像ローラは、現像剤容器内で回転することにより、表面に現像剤を付着させる。ドクターブレードは、現像ローラの表面と所定の間隔を隔てて配置された部材である。ドクターブレードは、回転する現像ローラの表面に付着した現像剤の一部を除去する。これにより、現像ローラの表面に、ドクターブレードと現像ローラの表面との間隔に応じた厚さの現像剤の層が形成される。
ATCセンサは、例えば、コイルを有し、コイルに生じた電圧値を検出する磁束センサである。ATCセンサの検出電圧は、現像剤容器内のトナーからの磁束の密度により変化する。即ち、システムコントローラ13は、ATCセンサの検出電圧に基づき、現像剤容器に残っているトナーのキャリアに対する濃度比(トナー濃度比)を判断する。システムコントローラ13は、トナー濃度比に基づいて、トナーカートリッジの送出機構を駆動する図示されないモータを動作させ、トナーカートリッジから現像器53の現像剤容器にトナーを送り出させる。
次に、露光器42について説明する。
露光器42は、複数の発光素子を備える。露光器42は、発光素子から光を、帯電した感光ドラム51に照射することにより、感光ドラム51上に潜像を形成する。発光素子は、例えば発光ダイオード(LED)などである。1つの発光素子は、感光ドラム51上の1点に光を照射するように構成されている。複数の発光素子は、感光ドラム51の回転軸と平行な方向である主走査方向に配列されている。
露光器42は、主走査方向に配列された複数の発光素子により感光ドラム51上に光を照射することにより、感光ドラム51上に1ライン分の潜像を形成する。さらに、露光器42は、回転する感光ドラム51に連続して光を照射することにより、複数ラインの潜像を形成する。
上記の構成において、帯電チャージャ52により帯電された感光ドラム51の表面に、露光器42から光が照射されると、静電潜像が形成される。現像ローラの表面に形成された現像剤の層が、感光ドラム51の表面に近接すると、現像剤に含まれるトナーが、感光ドラム51の表面に形成された潜像に付着する。これにより、感光ドラム51の表面にトナー像が形成される。
次に、転写機構43について説明する。
転写機構43は、感光ドラム51の表面に形成されたトナー像を、印刷媒体Pに転写する構成である。
転写機構43は、例えば、1次転写ベルト61、2次転写対向ローラ62、複数の1次転写ローラ63及び2次転写ローラ64を備える。
1次転写ベルト61は、2次転写対向ローラ62及び複数の巻付ローラに巻き付けられた無端ベルトである。1次転写ベルト61は、内側の面(内周面)が2次転写対向ローラ62及び複数の巻付ローラに接触し、外側の面(外周面)がプロセスユニット41の感光ドラム51と対向する。
2次転写対向ローラ62は、図示されないモータによって回転する。2次転写対向ローラ62は、回転することにより、1次転写ベルト61を所定の搬送方向に搬送する。複数の巻付ローラは、自由に回転可能に構成されている。複数の巻付ローラは、2次転写対向ローラ62による1次転写ベルト61の移動に従って回転する。
複数の1次転写ローラ63は、プロセスユニット41の感光ドラム51に1次転写ベルト61を接触させる構成である。複数の1次転写ローラ63は、複数のプロセスユニット41の感光ドラム51に対応するように設けられている。具体的には、複数の1次転写ローラ63は、それぞれ対応するプロセスユニット41の感光ドラム51と、1次転写ベルト61を挟んで対向する位置に設けられている。1次転写ローラ63は、1次転写ベルト61の内周面側に接触し、1次転写ベルト61を感光ドラム51側に変位させる。これにより、1次転写ローラ63は、1次転写ベルト61の外周面を感光ドラム51に接触させる。
2次転写ローラ64は、1次転写ベルト61と対向する位置に設けられる。2次転写ローラ64は、1次転写ベルト61の外周面に接触し、且つ圧力を加える。これにより、2次転写ローラ64と1次転写ベルト61の外周面とが密着する転写ニップが形成される。2次転写ローラ64は、転写ニップを印刷媒体Pが通過する場合、転写ニップを通過する印刷媒体Pを1次転写ベルト61の外周面に押し当てる。
2次転写ローラ64及び2次転写対向ローラ62は、回転することにより、給紙搬送路31から供給された印刷媒体Pを挟んだ状態で搬送する。これにより、印刷媒体Pが転写ニップを通過する。
上記の構成において、1次転写ベルト61の外周面が感光ドラム51に接触すると、感光ドラムの表面に形成されたトナー像が1次転写ベルト61の外周面に転移する。画像形成部20が複数のプロセスユニット41を備える場合、1次転写ベルト61は、複数のプロセスユニット41の感光ドラム51からトナー像を受け取る。1次転写ベルト61の外周面に転写されたトナー像は、1次転写ベルト61によって、2次転写ローラ64と1次転写ベルト61の外周面とが密着した転写ニップまで搬送される。転写ニップに印刷媒体Pが存在する場合、1次転写ベルト61の外周面に転写されたトナー像は、転写ニップにおいて、印刷媒体Pに転写される。
次に、画像形成装置1の定着に関する構成について説明する。
定着器21は、トナー像が転写された印刷媒体Pにトナー像を定着させる誘導加熱方式の定着器である。定着器21は、システムコントローラ13又は温度制御回路14の制御に基づいて動作する。
定着器21は、加圧ローラ70、加圧パッド71、整磁合金位置調整機構72、アルミ部材73、整磁合金74、フェライトコア75、誘導加熱コイル76、定着ベルト77、フレーム78及び温度センサ79を備える。
加圧ローラ70は、定着ベルト77と互いに周上で対向するように位置する。加圧ローラ70の長手方向の幅は、搬送される印刷媒体Pの幅よりも広い。加圧ローラ70の長手方向は、加圧ローラ70の回転方向と直交する方向である。加圧ローラ70は、両端のバネにより定着ベルト77に当接する。加圧ローラ70は、金属製の部材を芯材とし、その外側にゴム層等の弾性層を有する。加圧ローラ70は、表面に離型層を有する。加圧ローラ70は、回転駆動する。加圧ローラ70は、定着ベルト77を従動させてもよい。加圧ローラ70は、定着ベルト77との速度差が出ないように、ワンウェイクラッチを有していてもよい。
加圧パッド71は、定着ベルト77の内側に位置する。加圧パッド71は、定着ベルト77を加圧ローラ70側に押圧する。定着ベルト77と加圧ローラ70との間には、定着ニップが形成される。加圧パッド71の加圧ローラ70と対向する部分の形状は、加圧ローラ70の外周形状と同じである。加圧パッド71の長手方向の幅は、搬送される印刷媒体Pの幅よりも広い。加圧パッド71の長手方向は、定着ベルト77の回転方向と直交する方向に対応する定着ベルト77の長手方向と平行な方向である。加圧パッド71は、摺動性をよくするために、加圧ローラ70との間に低摩擦シートを有する。加圧パッド71は、耐熱性の樹脂で構成される。耐熱性の樹脂は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はフェノール樹脂等である。
整磁合金位置調整機構72は、フレーム78に固定されている。整磁合金位置調整機構72は、整磁合金74の位置調整機構である。整磁合金位置調整機構72は、バネを有する。整磁合金位置調整機構72は、バネの力によって、整磁合金74の位置を調整する。
アルミ部材73は、整磁合金位置調整機構72と接続する。アルミ部材73は、誘導加熱コイル76による磁界を遮蔽する。
整磁合金74は、定着ベルト77を挟んで誘導加熱コイル76と対向する。例えば、整磁合金74の長手方向の幅は、定着ベルト77の長手方向の幅よりも大きい。整磁合金74の長手方向は、定着ベルト77の長手方向と平行な方向である。整磁合金74は、感温磁性材料で構成されたシートである。整磁合金74のインダクタンス値は、飽和温度未満ではほぼ一定であるが、飽和温度以上になると急激に低下する。
フェライトコア75は、誘導加熱コイル76よりも外側に位置する。フェライトコア75は、誘導加熱コイル76による磁界を遮蔽する。
誘導加熱コイル76は、定着ベルト77よりも外側に位置する。誘導加熱コイル76は、後述のインバータ82により電力を供給されることで、磁界を形成する。誘導加熱コイル76への供給電力は、IH電力ともいう。誘導加熱コイル76は、温度制御対象の温度制御に関連する要素の一例である。
定着ベルト77は、無端のベルトである。定着ベルト77は、図1において反時計回りに回転する。定着ベルト77の長手方向の幅は、搬送される印刷媒体Pの幅よりも広い。定着ベルト77は、複数の層を有する。定着ベルト77は、誘導加熱コイル76の磁界により発熱する導電層を有する。例えば、導電層は、鉄、ニッケル、又は銅等の導電物質から成る。定着ベルト77は、Ni層の上にCu層を積層してもよい。定着ベルト77は、導電層上に弾性層を有する。定着ベルト77は、導電層上に離型層を有する。離型層は、トナーと直接接する層である。離型層は、離型性のよいテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)等が好ましい。
フレーム78は、定着ベルト77の内側に位置する。フレーム78は、加圧パッド71を保持する。
温度センサ79は、定着ベルト77の表面温度を検出する。定着ベルト77の表面は、温度制御対象の一例である。定着ベルト77の表面温度は、定着ベルト77の温度の一例である。定着ベルト77の温度は、温度制御対象の温度の一例である。例えば、温度センサ79は、定着ベルト77の外側に位置する。温度センサ79は、定着ベルト77の長手方向の中心部に位置してもよい。温度センサ79は、定着ベルト77の長手方向の端部に位置してもよい。温度センサ79は、整磁合金74と誘導加熱コイル76とで構成される加熱部の下流側、かつ、定着ベルト77と加圧ローラ70との間に形成される定着ニップの上流側に位置してもよい。温度センサ79の数は、1つに限定されず複数であってもよい。温度センサ79は、接触式のサーミスタであってもよい。
上記の構成により、定着ベルト77及び加圧ローラ70は、定着ニップを通過する印刷媒体Pに対して、熱及び圧力を加える。印刷媒体P上のトナーは、定着ベルト77から与えられた熱によって融解し、定着ベルト77及び加圧ローラ70により与えられた圧力によって、印刷媒体P表面に塗布される。これにより、定着ニップを通過した印刷媒体Pにトナー像が定着する。定着ニップを通過した印刷媒体Pは、排紙搬送路32に導入され、筐体10の外部に排出される。
なお、定着器21は、加圧ローラ70のようなローラに代えて、加圧ローラ70と同様の機能を有するベルトで構成されてもよい。定着器21は、定着ベルト77のようなベルトに代えて、定着ベルト77と同様の機能を有するローラで構成されてもよい。
上記のように構成された定着器21に関する自動温度調節機能について説明する。
誘導加熱コイル76が後述のインバータ82により高周波駆動されると、整磁合金74、誘導加熱コイル76及び定着ベルト77の複合インダクタンスが発生する。複合インダクタンス及び後述の共振コンデンサ83による共振現象が発生する。共振周波数と誘導加熱コイル76を駆動する周波数が適切である場合、誘導加熱コイル76には、大きな電力が供給される。ここで、定着器21を幅の狭い印刷媒体Pが通過する場合を想定する。定着ベルト77のうち印刷媒体Pが通過する部分は、印刷媒体Pにより熱が奪われる。他方、定着ベルト77のうち印刷媒体Pが通過しない部分は、熱が溜まり続けるので高温になる。この際、整磁合金74は高温に反応し、インダクタンス値を変化させる。その結果、共振周波数と誘導加熱コイル76を駆動する周波数との関係が変化し、定着ベルト77の高温部分での発熱は抑えられる。その結果、定着ベルト77の長手方向の端部は、異常高温に至らない。
次に、温度制御回路14について説明する。
温度制御回路14は、定着器21の温度を制御する。
図2は、一実施形態に係る温度制御回路14の構成の例について説明する為の図である。
温度制御回路14は、コンバータ81、インバータ82及び共振コンデンサ83を備える。
コンバータ81は、交流電源ACの交流電圧を直流電圧に変換する回路である。例えば、コンバータ81は、ダイオードブリッジである。コンバータ81は、交流電源ACと接続されている。コンバータ81は、インバータ82と接続されている。
インバータ82は、コンバータ81により変換された直流電圧を交流電圧に変換する回路である。インバータ82は、誘導加熱コイル76に電力を供給し、誘導加熱コイル76を駆動する。例えば、インバータ82は、スイッチ821及びスイッチ822を含むハーフブリッジインバータである。インバータ82は、コンバータ81と接続されている。インバータ82は、共振コンデンサ83及び誘導加熱コイル76から成る直列共振回路と接続されている。直列共振回路は、インバータ82の接続点MAとGNDとの間に接続されている。接続点MAは、スイッチ821とスイッチ822との接続点である。スイッチ821及びスイッチ822のゲートに高周波の交番信号が供給されると、インバータ82の接続点MAとGNDとの間には、高周波の交番電圧が発生する。直列共振回路は、高周波と共鳴し、誘導加熱コイル76には、大電力が供給される。この大電力は、誘導加熱コイル76により形成される磁界に基づく誘導加熱に利用される。
例えば、スイッチ821及びスイッチ822は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はSiC(silicon carbide)等のパワー系半導体である。インバータ82は、ハーフブリッジインバータに限定されず、フルブリッジインバータ、半波電圧共振インバータ又は準共振インバータ等であってもよい。
温度制御回路14は、温度推定部801、推定履歴保持部802、高周波成分抽出部803、係数加算部804、目標温度出力部805、差分比較部806、周波数生成部807、変換部808、補正部809、パルス生成部810、絶縁バッファ811及び絶縁バッファ812を備える。温度制御回路14は、温度センサ79から温度検出結果Tdを取得する。温度検出結果Tdは、温度センサ79により検出された定着ベルト77の表面温度を示す。温度制御回路14は、交流電源ACの交流電圧の電圧値ACVを取得する。例えば、電圧値ACVは、実効値である。交流電源ACは一般に変動幅を有するので、電圧値ACVは、所定範囲内で変動する。電圧値ACVが変動すると、IH電力は変化する。そのため、誘導加熱コイル76の加熱動作は、電圧値ACVに依存するといえる。インバータ82に対するデューティ制御が同一であるとすると、電圧値ACVが90Vの場合における定着ベルト77の発熱量は、電圧値ACVが100Vの場合よりも少ない。他方、電圧値ACVが110Vの場合における定着ベルト77の発熱量は、電圧値ACVが100Vの場合よりも多い。
温度推定部801は、定着ベルト77の表面温度を推定する温度推定処理を行う。温度推定部801には、後述の推定履歴保持部802からの推定履歴PREV及び後述の補正部809からの電力推定結果ESTPBが入力される。推定履歴PREVは、微小時間dt毎に温度推定部801により生成された温度推定結果ESTの履歴である。温度推定結果ESTは、温度推定部801により推定された定着ベルト77の表面温度を示す。電力推定結果ESTPBは、周波数FRQに相当する電圧値ACVに応じた現在発生しているIH電力の推定値を示す。電力推定結果ESTPBは、周波数FRQに相当するIH電力の推定値を示す電力推定結果の一例である。周波数FRQは、誘導加熱コイル76を接続されたインバータ82の駆動パルス信号の周波数を示す。例えば、周波数FRQは、周波数を表すアナログ電圧又はデジタル数値である。駆動パルス信号は、駆動信号の一例である。駆動パルス信号は、交互にHighを出力する高周波の駆動パルス信号PU及び駆動パルス信号PDを含む。
温度推定部801は、推定履歴PREV及び電力推定結果ESTPBに基づき定着ベルト77の表面温度を推定する。推定履歴PREV及び電力推定結果ESTPBに基づき定着ベルト77の表面温度を推定することは、補正部809による電力推定結果ESTPBに基づき定着ベルト77の表面温度を推定することの一例である。電力推定結果ESTPBは、後述するように周波数FRQに基づいている。そのため、推定履歴PREV及び電力推定結果ESTPBに基づき定着ベルト77の表面温度を推定することは、周波数FRQに基づき定着ベルト77の表面温度を推定することの一例である。電力推定結果ESTPB及び周波数FRQは、誘導加熱コイル76への通電に関連する。そのため、推定履歴PREV及び電力推定結果ESTPBに基づき定着ベルト77の表面温度を推定することは、誘導加熱コイル76への通電に基づき定着ベルト77の表面温度を推定することの一例である。
例えば、温度推定部801は、dt毎に、現時刻における電力推定結果ESTPBに基づき定着ベルト77の表面温度の温度変化量を推定する。温度推定部801は、推定履歴PREVに含まれる現時刻よりもdt前における温度推定結果ESTに温度変化量を加算する。温度推定部801は、現時刻よりもdt前における温度推定結果ESTに対する温度変化量の加算に基づき現時刻における定着ベルト77の表面温度を推定する。温度推定部801は、現時刻よりもdt前における温度推定結果ESTを、dtだけ進んだ現時刻における温度推定結果ESTを求めるために再利用する。温度推定部801は、温度推定結果ESTを推定履歴保持部802及び高周波成分抽出部803に出力する。
推定履歴保持部802は、温度推定結果ESTの履歴を保持する。推定履歴保持部802は、推定履歴PREVを温度推定部801に出力する。
高周波成分抽出部803は、温度推定結果ESTの高周波成分を抽出するハイパスフィルタ処理を行う。例えば、高周波成分抽出部803は、温度推定結果ESTのうち直流分をキャンセルし、高周波成分のみを抽出する。高周波成分抽出部803は、抽出した高周波成分を示す信号である高周波成分HPFを係数加算部804に出力する。
係数加算部804は、温度検出結果Tdの補正である係数加算処理を行う。係数加算部804には、温度センサ79からの温度検出結果Td及び高周波成分抽出部803からの高周波成分HPFが入力される。係数加算部804は、高周波成分HPFに基づいて温度検出結果Tdを補正する。具体的には、係数加算部804は、温度検出結果Td及び高周波成分HPFに基づき補正温度値WAEを算出する。高周波成分HPFは、温度推定結果ESTに基づいている。そのため、補正温度値WAEは、温度推定結果EST及び温度検出結果Tdに基づいているといえる。係数加算部804は、補正温度値WAEを算出する算出部の一例である。係数加算部804は、補正温度値WAEを差分比較部806に出力する。
目標温度出力部805は、予め設定された目標温度TGTを差分比較部806に出力する出力処理を行う。目標温度TGTは、定着ベルト77の表面温度の目標値である。目標温度TGTは、プロセッサ22からの指令による書き換えにより変更可能である。目標温度TGTは、メモリ23に記憶されていてもよいし、メモリ25に記憶されていてもよい。
例えば、目標温度TGTは、印刷プロセス毎に設定される。
一例では、目標温度TGTは、各印刷プロセスで用いられる印刷媒体Pの質に応じて異なる。例えば、質は、厚さである。一般に、目標温度TGTは、印刷媒体Pが普通紙の場合に所定の温度を保てるように決められている。印刷媒体Pが定着器21を通過する際に印刷媒体Pによって定着ベルト77から奪われる熱量は、普通紙よりも、普通紙よりも厚い厚紙の方が増加する。定着ベルト77の表面温度は、普通紙に対する印刷よりも、厚紙に対する印刷の方が下がりやすい。印刷媒体Pが厚紙の場合、目標温度TGTは、厚紙によって定着ベルト77から奪われる熱量を考慮し、普通紙に関連付けられた目標温度TGTよりも高い。これにより、定着ベルト77の表面温度は、所定の温度を保ち易くなる。印刷媒体Pが普通紙よりも薄い場合、目標温度TGTは、普通紙に関連付けられた目標温度TGTよりも低い。
別の例では、目標温度TGTは、印刷プロセスのステータスに応じて異なる。
印刷プロセスのステータスは、印刷プロセスに関する種々のステータスを含む。例えば、印刷プロセスのステータスは、突入電流防止、起動加熱、レディ、印刷開始、印刷中、及び省エネレディ等を含むが、これらに限定されない。
突入電流防止のステータスでは、急に大電流が流れないように、目標温度TGTは段階的に上がるように設定されている。起動加熱のステータスでは、印刷に適した基準温度に早く達するように、目標温度TGTは高めに設定されている。レディのステータスでは、印刷準備が整った後の省エネのために、目標温度TGTは起動加熱のステータスの目標温度TGTよりも若干低く設定されている。印刷開始のステータスでは、印刷初頭で温度低下しないように、目標温度TGTは、印刷の少し前から、印刷中のステータスの目標温度TGTよりも高く設定されている。印刷中のステータスでは、目標温度TGTは印刷に適した基準温度に設定されている。省エネレディのステータスでは、長時間レディが続く場合、目標温度TGTはレディのステータスの目標温度TGTよりも低く設定されている。
差分比較部806は、差分計算処理を行う。差分比較部806は、目標温度出力部805からの目標温度TGTと、係数加算部804からの補正温度値WAEとを比較する。差分比較部806は、目標温度TGTと、補正温度値WAEとの比較に基づき差分DIFを算出する。差分DIFは、差分比較部806による比較結果の一例である。差分比較部806は、温度比較部の一例である。ここでは、差分DIFは、目標温度TGTから補正温度値WAEを引いた値であるものとして説明するが、逆であってもよい。補正温度値WAEが目標温度TGTよりも低い場合、差分DIFは、正の値である。補正温度値WAEが目標温度TGTよりも高い場合、差分DIFは、負の値である。差分DIFには、目標温度TGTと、補正温度値WAEとの関係が現れる。差分比較部806は、差分DIFを周波数生成部807に出力する。
周波数生成部807は、周波数FRQを生成する周波数生成処理を行う。周波数生成部807は、差分DIFに基づき周波数FRQを生成する。周波数FRQを生成することは、周波数FRQを決定することを含む。例えば、補正温度値WAEが目標温度TGTよりも高い場合、周波数生成部807は、補正温度値WAEが目標温度TGTと等しい場合よりも周波数FRQを上げる。これは、IH電力を減らすためである。補正温度値WAEが目標温度TGTよりも低い場合、周波数生成部807は、補正温度値WAEが目標温度TGTと等しい場合よりも周波数FRQを下げる。これは、IH電力を増やすためである。差分DIFは、目標温度TGT及び補正温度値WAEに基づいている。そのため、差分DIFに基づき周波数FRQを生成することは、温度推定部801による温度推定結果EST、温度センサ79による温度検出結果Td及び目標温度TGTに基づき周波数FRQを生成することの一例である。周波数生成部807は、周波数FRQを変換部808及びパルス生成部810に出力する。
変換部808は、周波数FRQを電力推定結果ESTPAに変換する変換処理を行う。電力推定結果ESTPAは、電圧値ACVを100Vと想定した場合における周波数FRQに相当する現在発生しているIH電力の推定値を示す。電力推定結果ESTPAは、周波数FRQに相当するIH電力の推定値を示す電力推定結果の一例である。周波数FRQを電力推定結果ESTPAに変換することは、周波数FRQに基づきIH電力を推定することの一例である。変換部808は、IH電力を推定する電力推定部の一例である。変換部808は、周波数FRQから電力推定結果ESTPAへの変換に基づき、電力推定結果ESTPAを補正部809に出力する。
補正部809は、電圧値ACVに基づき電力推定結果ESTPAを補正する補正処理を行う。電圧値ACVに基づき電力推定結果ESTPAを補正することは、電圧値ACVに基づき電力推定結果ESTPAを電力推定結果ESTPBに変換することを含む。電圧値ACVに基づき電力推定結果ESTPAを補正することは、電圧値ACVに基づきIH電力を推定することの一例である。補正部809は、IH電力を推定する電力推定部の一例である。補正部809は、電力推定結果ESTPBを温度推定部801に出力する。
パルス生成部810は、周波数FRQに基づきパルス信号を生成するパルス生成処理を行う。パルス信号は、交互にHighを出力する高周波の第1のパルス信号及び第2のパルス信号を含む。第2のパルス信号は、第1のパルス信号のHighとLowとを反転したパルス列である。第1のパルス信号及び第2のパルス信号は、周波数FRQに相当する所定デューティのパルス列である。第1のパルス信号及び第2のパルス信号は、所定デューティに応じたHigh期間とLow期間を繰り返すパルス列である。例えば、所定デューティは、50%である。第1のパルス信号及び第2のパルス信号がデッドタイムを含む場合、所定デューティは、50%よりも小さい値であってもよい。デッドタイムは、第1のパルス信号がHighからLowへ遷移するタイミングと第2のパルス信号がLowからHighへ遷移するタイミングとの間の第1のパルス信号及び第2のパルス信号の何れもLowとなる時間を含む。デッドタイムは、第2のパルス信号がHighからLowへ遷移するタイミングと第1のパルス信号がLowからHighへ遷移するタイミングとの間の第1のパルス信号及び第2のパルス信号の何れもLowとなる時間を含む。パルス生成部810は、第1のパルス信号を絶縁バッファ811に出力する。パルス生成部810は、第2のパルス信号を絶縁バッファ812に出力する。パルス信号は、駆動パルス信号PU及び駆動パルス信号PDを含む駆動パルス信号の元であるので、駆動信号の一例である。
絶縁バッファ811は、第1のパルス信号をインバータ82のスイッチ821のゲート電圧に変換した駆動パルス信号PUをスイッチ821のゲートに供給する。
絶縁バッファ812は、第2のパルス信号をインバータ82のスイッチ821のゲート電圧に変換した駆動パルス信号PDをスイッチのゲートに供給する。駆動パルス信号PDは、駆動パルス信号PUのHighとLowとを反転したパルス列である。駆動パルス信号PU及び駆動パルス信号PDは、周波数FRQに相当する所定デューティのパルス列である。駆動パルス信号PU及び駆動パルス信号PDは、所定デューティに応じたHigh期間とLow期間を繰り返すパルス列である。なお、ここでは、インバータ82がハーフブリッジインバータであるものとして説明しているので、インバータ82には2つの駆動信号が供給されるが、これに限定されない。インバータ82がフルブリッジインバータである場合、インバータ82には4つの駆動信号が供給される。
上記のように、温度制御回路14は、温度検出結果Td、推定履歴PREV及び周波数FRQに基づきIH電力を調整する。これにより、温度制御回路14は、誘導加熱コイル76により形成される磁界に基づく誘導加熱により、定着ベルト77の表面温度を制御する。このような制御を、Weighted Average control with Estimate temperature(WAE制御)とここでは称することにする。
なお、温度制御回路14の温度推定部801、推定履歴保持部802、高周波成分抽出部803、係数加算部804、目標温度出力部805、差分比較部806、周波数生成部807、変換部808、補正部809及びパルス生成部810は、それぞれソフトウエアにより実現されることに限定されるものではなく、電気回路によるハードウエアにより構成されていてもよい。
以下、WAE制御について詳細に説明する。
図3は、WAE制御における周波数FRQの出力について説明するためのフローチャートである。図4及び図5は、WAE制御における各信号などについて説明するための説明図である。図4及び図5の横軸は、時間を示す。図4及び図5の縦軸は、温度を示す。
温度制御回路14は、dt毎に処理を開始するためのトリガを発生する(ACT1)。ACT1では、例えば、温度制御回路14は、システムコントローラ13からのWAE制御の開始指示に基づきタイマによるカウントを開始する。温度制御回路14は、システムコントローラ13からのWAE制御の終了指示に基づきタイマによるカウントを終了する。温度制御回路14は、画像形成装置1の稼動中、タイマによるカウントに基づきdt間隔でトリガを発生する。
温度制御回路14は、温度検出結果Tdを取得する(ACT2)。ACT2では、例えば、温度制御回路14は、温度センサ79から温度検出結果Tdを取得する。
温度制御回路14は、電圧値ACVを取得する(ACT3)。ACT3では、例えば、温度制御回路14は、電圧値ACVを検出する電圧検出部から電圧値ACVを取得する。
温度制御回路14は、目標温度TGTを取得する(ACT4)。ACT4では、例えば、温度制御回路14は、システムコントローラ13からの信号に基づき目標温度TGTを取得する。
温度推定部801は、温度推定処理を行う(ACT5)。例えば、温度推定部801は、現時刻における電力推定結果ESTPBを補正部809から取得する。温度推定部801は、現時刻よりもdt前における温度推定結果ESTを推定履歴PREVとして推定履歴保持部802から取得する。温度推定部801は、推定履歴PREV及び電力推定結果ESTPBに基づき定着ベルト77の表面温度を推定する。温度推定部801は、定着ベルト77の表面温度の推定に基づき、温度推定結果ESTを推定履歴保持部802及び高周波成分抽出部803に出力する。
熱の移動は、電気回路のCR時定数で等価に表現することができる。熱容量は、コンデンサCに置き換えられる。熱伝達の抵抗は、抵抗Rに置き換えられる。熱源は、電圧源に置き換えられる。温度推定部801は、予め各素子の値が設定されたCR回路をリアルタイムでシミュレーションする。温度推定部801は、周波数FRQに基づく電力推定結果ESTPBを用いる。電力推定結果ESTPBは、CR回路に印加する電圧値に対応する。つまり、周波数FRQが低くなるにつれてIH電力は増加するため、温度推定部801は、これを模擬する手段として、CR回路に印加する電圧を高くする。他方、周波数FRQが高くなるにつれてIH電力は減少するため、温度推定部801は、これを模擬する手段として、CR回路に印加する電圧を低くする。温度推定部801は、CR回路及び電力推定結果ESTPBに基づき、定着ベルト77に与えられた熱量を推定する。温度推定部801は、定着ベルト77に与えられた熱量及び推定履歴PREVに基づき定着ベルト77の表面温度を推定する。このように、温度推定部801は、CR回路及び電力推定結果ESTPBに基づき定着ベルト77の表面温度を推定する。
図4に示されるように、温度検出結果Tdと実際の定着ベルト77の表面温度との間には差が生じている。実際の定着ベルト77の表面温度は、誘導加熱の駆動周波数が頻繁に変化するため、細かい周期で変化している。これに対し、温度センサ79は、自身の熱容量や感温素材の特性により、温度変化の応答性が悪い場合がある。特に安価な温度センサほど応答性が悪い傾向にある。その結果、温度検出結果Tdが実際の定着ベルト77の表面温度を正確に追従できていない。即ち、温度検出結果Tdは、実際の定着ベルト77の表面温度に対して遅延した状態で温度センサ79により検出される。また、温度検出結果Tdは、実際の定着ベルト77の表面温度の細かい変化が再現されず、平滑化された状態で温度センサ79により検出される。
図4に示されるように、温度推定結果ESTは、インバータ82へ供給される駆動パルス信号の周波数(又はこれに基づくIH電力)に起因する実際の定着ベルト77の表面温度の変化を適切に追従している。しかしながら、温度推定結果ESTは、シミュレーション結果であるため、条件の相違などにより絶対値が実際の定着ベルト77の表面温度と差が出る可能性がある。
高周波成分抽出部803は、ハイパスフィルタ処理を行う(ACT6)。ACT6では、例えば、高周波成分抽出部803は、温度推定結果ESTの高周波成分を抽出する。図4に示されるように、高周波成分HPFは、実際の定着ベルト77の表面温度の変化を適切に追従している。高周波成分抽出部803は、高周波成分HPFを係数加算部804に出力する。
係数加算部804は、係数加算処理を行う(ACT7)。ACT7では、例えば、係数加算部804は、ACT2において温度制御回路14が取得した温度検出結果Tdを取得する。係数加算部804は、高周波成分抽出部803から高周波成分HPFを取得する。係数加算部804は、温度検出結果Td及び高周波成分HPFに基づき補正温度値WAEを算出する。典型例では、係数加算部804は、高周波成分HPFと予め設定された係数KAとを乗算する。係数加算部804は、温度検出結果Tdに対して加算する高周波成分HPFの値を係数KAで調整する。係数加算部804は、係数KAが乗算された高周波成分HPFを温度検出結果Tdに加算する。係数加算部804は、加算処理に基づき補正温度値WAEを算出する。
例えば、係数KAが1である場合、係数加算部804は、温度検出結果Tdに高周波成分HPFをダイレクトに加算する。また、例えば、係数KAが0.1である場合、係数加算部804は、高周波成分HPFの10分の1の値を温度検出結果Tdに加算する。この場合、補正温度値WAEは、高周波成分HPFの効果がほとんど無くなり、温度検出結果Tdに近くなる。また、例えば、係数KAが1以上である場合、補正温度値WAEは、高周波成分HPFの効果をより強く表現することができる。係数加算部804において設定される係数KAは、あまり極端な値ではなく、1近傍の値が良いという結果が実験において出ている。
図5は、実際の定着ベルト77の表面温度と、温度検出結果Tdと、補正温度値WAEとの例について説明するための説明図である。WAE制御では、温度制御回路14は、温度検出結果Tdと温度推定結果ESTの高周波成分HPFとに基づき、定着ベルト77の表面温度の細かな温度の変化を推定する。この為、図5に示されるように、補正温度値WAEは、実際の定着ベルト77の表面温度を適切に追従した値となる。
差分比較部806は、差分計算処理を行う(ACT8)。例えば、ACT8では、差分比較部806は、目標温度出力部805から目標温度TGTを取得する。差分比較部806は、係数加算部804から補正温度値WAEを取得する。差分比較部806は、目標温度TGTと、補正温度値WAEとを比較する。差分比較部806は、目標温度TGTと、補正温度値WAEとの比較に基づき、目標温度TGTから補正温度値WAEを引いた差分DIFを算出する。差分比較部806は、差分DIFを周波数生成部807に出力する。
周波数生成部807は、周波数生成処理を行う(ACT9)。ACT9では、例えば、周波数生成部807は、差分比較部806から差分DIFを取得する。周波数生成部807は、差分DIFに基づき周波数FRQを生成する。周波数生成部807は、差分DIF及び電圧値ACVに基づき周波数FRQを生成してもよい。周波数生成部807による周波数生成処理例については後述する。周波数生成部807は、周波数FRQを変換部808に出力する。周波数生成部807は、周波数FRQをパルス生成部810に出力するタイミングに到達するまで、周波数FRQを保持する。
変換部808は、変換処理を行う(ACT10)。ACT10では、例えば、変換部808は、周波数生成部807から周波数FRQを取得する。変換部808は、周波数FRQを電力推定結果ESTPAに変換する。変換部808による変換処理例については後述する。変換部808は、電力推定結果ESTPAを補正部809に出力する。
補正部809は、補正処理を行う(ACT11)。ACT11では、例えば、補正部809は、変換部808から電力推定結果ESTPAを取得する。補正部809は、ACT3において温度制御回路14により取得された電圧値ACVを取得する。補正部809は、電圧値ACVに基づき電力推定結果ESTPAを補正する。補正部809は、電力推定結果ESTPAの補正に基づき電力推定結果ESTPBを取得する。補正部809による補正処理例については後述する。補正部809は、電力推定結果ESTPBを温度推定部801に出力する。
温度制御回路14は、dt経過したか否か判断する(ACT12)。dt経過しない場合(ACT12、NO)、温度制御回路14は、dt経過するまで待つ。dt経過する場合(ACT12、YES)、周波数生成部807は、周波数FRQをパルス生成部810に出力する(ACT13)。ACT12では、例えば、周波数生成部807は、dt間隔で生成した周波数FRQを、dt間隔でパルス生成部810に出力する。また、周波数生成部807が出力する周波数FRQは、次のdt間隔経過後に更新されるまで、その値を周波数生成部807によって保持される。
温度制御回路14は、WAE制御の停止処理を実行するか否かを判断する(ACT14)。ACT14では、例えば、温度制御回路14は、システムコントローラ13からのWAE制御の停止指示に基づきWAE制御を停止する。温度制御回路14がWAE制御の停止処理を実行しない場合(ACT14、NO)、処理は、ACT14からACT1へ遷移する。温度制御回路14は、画像形成装置1の稼働中、dt毎に図3に例示する処理を繰り返す。温度制御回路14がWAE制御の停止処理を実行する場合(ACT14、YES)、温度制御回路14は、図3に例示する処理を終了する。
図6は、WAE制御における駆動パルス信号の出力について説明するためのフローチャートである。
パルス生成部810は、周波数FRQを周波数生成部807から取得する(ACT14)。ACT14では、例えば、パルス生成部810は、dt間隔で周波数FRQを周波数生成部807から取得する。
パルス生成部810は、周波数FRQに基づき第1のパルス信号を生成する(ACT15)。ACT15では、例えば、パルス生成部810は、周波数FRQに相当するデューティ50%の第1のパルス信号を生成する。周波数FRQが50kHzである場合、1周期は20μsである。パルス生成部810は、1周期20μsのうち、Highとして10μs、Lowとして10μsを割り当てる。
パルス生成部810は、周波数FRQに基づき第2のパルス信号を生成する(ACT16)。ACT16では、例えば、パルス生成部810は、第1のパルス信号のHighとLowとを反転した第2のパルス信号を生成する。
パルス生成部810は、パルス信号にデッドタイムを挿入する(ACT17)。ACT17では、例えば、パルス生成部810は、デューティ50%の第1のパルス信号にデッドタイムを挿入し、デューティ48%の第1のパルス信号を生成する。パルス生成部810は、デューティ50%の第2のパルス信号にデッドタイムを挿入し、デューティ48%の第2のパルス信号を生成する。デッドタイムを設けるのは、インバータ82のスイッチ821及びスイッチ822が同時にオンとなった場合にショートすることを未然に防ぐためである。パルス生成部810は、第1のパルス信号を絶縁バッファ811に出力する。パルス生成部810は、第2のパルス信号を絶縁バッファ812に出力する。
絶縁バッファ811は、駆動パルス信号PUを出力し、絶縁バッファ812は、駆動パルス信号PDを出力する(ACT18)。例えば、ACT18では、絶縁バッファ811は、第1のパルス信号をパルス生成部810から取得する。絶縁バッファ811は、第1のパルス信号をインバータ82のスイッチ821のゲート電圧に変換した駆動パルス信号PUをスイッチ821のゲートに供給する。絶縁バッファ812は、第2のパルス信号をパルス生成部810から取得する。絶縁バッファ812は、第2のパルス信号をインバータ82のスイッチ821のゲート電圧に変換した駆動パルス信号PDをスイッチのゲートに供給する。
温度制御回路14は、WAE制御の停止処理を実行するか否かを判断する(ACT19)。ACT19では、例えば、温度制御回路14は、システムコントローラ13からのWAE制御の停止指示に基づきWAE制御を停止する。温度制御回路14がWAE制御の停止処理を実行しない場合(ACT19、NO)、処理は、ACT19からACT14へ遷移する。温度制御回路14は、画像形成装置1の稼働中、dt間隔で図6に例示する処理を繰り返す。温度制御回路14がWAE制御の停止処理を実行する場合(ACT19、YES)、温度制御回路14は、図6に例示する処理を終了する。
周波数生成部807による周波数生成処理例について説明する。
図7は、制御量とインバータ82の駆動パルス信号の周波数との関係を示す電圧値ACV毎の関数のグラフである。
横軸は、IH電力の制御量である。制御量は、IH電力の増減の程度を示す電力増減係数である。制御量は、差分DIF自体の値であっても、差分DIFと相関を有する値であってもよい。差分DIFが大きくなるにつれて、制御量も大きくなる。制御量が0であることは、補正温度値WAEが目標温度TGTと同じであるので、IH電力が現状のままで良い状況を表す。制御量が正であることは、補正温度値WAEが目標温度TGTよりも低いので、IH電力を増やす必要がある状況を表す。制御量が負であることは、補正温度値WAEが目標温度TGTよりも高いので、IH電力を減らす必要がある状況を表す。
縦軸は、周波数FRQに対応するインバータ82の駆動パルス信号の周波数である。
インバータ82は、LC共振現象を利用しているため、周波数FRQとIH電力との関係は非線形である。そこで、図7に例示するように、制御量とインバータ82の駆動パルス信号の周波数との関係を示す関数が用意される。実線は、電圧値ACVが100Vである場合の関数(FRQ100関数ともいう)のグラフを示す。破線は、電圧値ACVが110Vである場合の関数(FRQ110関数ともいう)のグラフを示す。一点鎖線は、電圧値ACVが90Vである場合の関数(FRQ90関数ともいう)のグラフを示す。図7は、電圧値ACVに応じた3つの関数を示しているが、電圧値ACVに応じた4以上の関数が用意されていてもよい。
インバータ82の特性上、制御量が正であり、IH電力を増加させる必要がある状況における周波数FRQは、制御量が0である場合の周波数FRQよりも低くする必要がある。インバータ82の特性上、制御量が負であり、IH電力を減少させる必要がある状況における周波数FRQは、制御量が0である場合の周波数FRQよりも高くする必要がある。
周波数生成部807は、以下に例示するように、差分DIF及び電圧値ACVに基づき周波数FRQを生成する。周波数生成部807は、電圧値ACVに基づき、複数の関数から電圧値ACVに関連付けられた関数を選択する。周波数生成部807は、差分DIFに基づき制御量を決定する。周波数生成部807は、選択した関数に基づき制御量に応じた周波数FRQを決定する。例えば、電圧値ACVが90Vである場合、周波数生成部807は、FRQ90関数を選択する。周波数生成部807は、FRQ90関数に基づき制御量に応じた周波数FRQを決定する。FRQ90関数に基づき制御量に応じて決定される周波数FRQは、FRQ100関数に基づき同じ制御量に応じて決定される周波数FRQよりも低い。電圧値ACVが100Vよりも低い90Vであることに伴うIH電力の減少は、電圧値ACVが90Vの場合の周波数FRQを電圧値ACVが100Vの場合の周波数FRQよりも低くすることに伴うIH電力の増加により相殺される。
周波数生成部807は、電圧値ACVに基づき周波数FRQを生成することにより、電圧値ACVの変動に応じた周波数FRQを生成することができる。これにより、周波数生成部807は、電圧値ACVが変動しても、IH電力を適切に制御するための周波数FRQを生成することができる。
なお、周波数生成部807は、差分DIF及び電圧値ACVに基づき周波数FRQを生成することが好ましいがこれに限定されない。周波数生成部807は、電圧値ACVを考慮することなく、差分DIFに基づき周波数FRQを生成してもよい。この例では、周波数生成部807は、電圧値ACVが100Vである場合のFRQ100関数を用いてもよい。
周波数生成部807は、関数に代えて、テーブルデータを参照し、周波数FRQを生成してもよい。テーブルデータは、制御量とインバータ82の駆動パルス信号の周波数とを関連付けたデータであってもよい。テーブルデータは、制御量とインバータ82の駆動パルス信号の周波数とを関連付けた電圧値ACV毎のデータを含んでもよい。テーブルデータは、メモリ25に記憶されていてもよい。
変換部808による変換処理例について説明する。
図8は、インバータ82の駆動パルス信号の周波数とIH電力との関係を示す電圧値ACV毎の関数のグラフである。
横軸は、周波数FRQに対応するインバータ82の駆動パルス信号の周波数である。縦軸は、IH電力である。
実線は、電圧値ACVが100Vである場合の関数(F2P100関数ともいう)のグラフを示す。破線は、電圧値ACVが110Vである場合の関数(F2P110関数ともいう)のグラフを示す。一点鎖線は、電圧値ACVが90Vである場合の関数(F2P90関数ともいう)のグラフを示す。
インバータ82は、LC共振現象を利用しているため、周波数FRQとIH電力との関係は非線形である。周波数FRQが低くなるにつれてIH電力は増加し、周波数FRQが高くなるにつれてIH電力は減少する。
変換部808は、以下に例示するように、周波数FRQを電力推定結果ESTPAに変換する。変換部808は、電圧値ACVが100Vである場合のF2P100関数に基づき周波数FRQに応じたIH電力を電力推定結果ESTPAとして取得する。
変換部808は、関数に代えて、テーブルデータを参照し、周波数FRQを電力推定結果ESTPAに変換してもよい。テーブルデータは、インバータ82の駆動パルス信号の周波数とIH電力とを関連付けたデータある。テーブルデータは、メモリ25に記憶されていてもよい。
補正部809による補正処理例について説明する。
図9は、補正前のIH電力と補正後のIH電力との関係を示す電圧値ACV毎の関数のグラフである。
横軸は、補正前のIH電力である。補正前のIH電力は、電力推定結果ESTPAに対応する。縦軸は、補正後のIH電力である。補正後のIH電力は、電力推定結果ESTPBに対応する。
実線は、電圧値ACVが100Vである場合の関数(傾き1の関数)のグラフを示す。破線は、電圧値ACVが110Vである場合の関数(傾き1.1の関数)のグラフを示す。一点鎖線は、電圧値ACVが90Vである場合の関数(傾き0.9の関数)のグラフを示す。図9は、電圧値ACVに応じた3つの関数を示しているが、電圧値ACVに応じた4以上の関数が用意されていてもよい。
補正部809は、以下に例示するように、電圧値ACVに基づき電力推定結果ESTPAを補正する。補正部809は、電圧値ACVに基づき、複数の関数から電圧値ACVに関連付けられた関数を選択する。補正部809は、選択した関数に基づき電力推定結果ESTPAに対応する補正前のIH電力を補正後のIH電力に変換する。補正部809は、電力推定結果ESTPAに対応する補正前のIH電力を変換した補正後のIH電力を電力推定結果ESTPBとして取得する。
例えば、電力推定結果ESTPAに対応する補正前のIH電力が1000Wである場合を想定する。電圧値ACVが90Vである場合、補正部809は、電圧値ACVに関連付けられた関数に基づき1000Wを900Wに変換する。補正部809は、900Wを電力推定結果ESTPBとして取得する。電力推定結果ESTPBは、電力推定結果ESTPAよりも減少する。他方、電圧値ACVが110Vである場合、補正部809は、電圧値ACVに関連付けられた関数に基づき1000Wを1100Wに変換する。補正部809は、1100Wを電力推定結果ESTPBとして取得する。電力推定結果ESTPBは、電力推定結果ESTPAよりも増加する。
補正部809は、電圧値ACVに基づき電力推定結果ESTPAを補正することにより、電圧値ACVの変動に応じたIH電力を推定することができる。これにより、補正部809は、電圧値ACVが変動しても、電力推定結果ESTPBが実際の発熱動作に用いられるIH電力と乖離することを防止することができる。補正部809によるIH電力の推定精度は向上するので、温度推定部801による温度推定結果ESTが実際の定着ベルト77の表面温度と乖離することは防止される。
補正前のIH電力に乗算する係数KBは、図9に例示するようなリニアな関係を表す電圧値ACVに応じた固定値に限定されない。係数KBは、電圧値ACV毎の任意の関数で表したものであってもよい。
補正部809は、関数に代えて、テーブルデータを参照し、電力推定結果ESTPAを補正してもよい。テーブルデータは、実測で得られた補正前のIH電力と電圧値ACV毎の補正後のIH電力とを関連付けたデータあってもよい。テーブルデータは、メモリ25に記憶されていてもよい。
駆動パルス信号の例について説明する。
図10は、駆動パルス信号を例示する図である。
図10は、上段に駆動パルス信号PUを示し、下段に駆動パルス信号PDを示す。
横軸は、時間である。縦軸は、電圧である。
周波数FRQが50kHzである場合、駆動パルス信号PU及び駆動パルス信号PDの1周期は20μsである。駆動パルス信号PU及び駆動パルス信号PDは、元の信号のデューティ50%からデッドタイムを差し引いたデューティ48%のパルス信号である。駆動パルス信号PU及び駆動パルス信号PDは、交互にHighを出力する。
なお、上記の例では、変換部808及び補正部809は別個の機能として示されているが、これに限定されない。温度制御回路14は、変換部808及び補正部809に代えて、周波数FRQ及び電圧値ACVに基づきIH電力を推定する電力推定部を備えていてもよい。周波数FRQ及び電圧値ACVに基づきIH電力を推定することは、周波数FRQを電圧値ACVに応じた電力推定結果ESTPBに変換することを含む。
この例では、図8に例示するように、インバータ82の駆動パルス信号の周波数とIH電力との関係を示す複数の関数が用意される。図8は、電圧値ACVに応じた3つの関数を示しているが、電圧値ACVに応じた4以上の関数が用意されていてもよい。
電力推定部は、以下に例示するように、周波数FRQ及び電圧値ACVに基づきIH電力を推定する。電力推定部は、電圧値ACVに基づき、複数の関数から電圧値ACVに関連付けられた関数を選択する。電力推定部は、選択した関数に基づき周波数FRQをIH電力に変換する。電力推定部は、選択した関数に基づき周波数FRQを変換したIH電力を、電力推定結果ESTPBとして取得する。
例えば、電圧値ACVが90Vである場合、電力推定部は、F2P90関数を選択する。電力推定部は、F2P90関数に基づき周波数FRQに応じた電力推定結果ESTPBを取得する。F2P90関数に基づき周波数FRQに応じて取得される電力推定結果ESTPBは、F2P100関数に基づき同じ周波数FRQに応じて取得される電力推定結果ESTPBよりも低い。電圧値ACVが110Vである場合、電力推定部は、F2P110関数を選択する。電力推定部は、F2P110関数に基づき周波数FRQに応じた電力推定結果ESTPBを取得する。F2P110関数に基づき周波数FRQに応じて取得される電力推定結果ESTPBは、F2P100関数に基づき同じ周波数FRQに応じて取得される電力推定結果ESTPBよりも高い。
電力推定部は、関数に代えて、テーブルデータを参照し、周波数FRQ及び電圧値ACVに基づきIH電力を推定してもよい。テーブルデータは、インバータ82の駆動パルス信号の周波数とIH電力とを関連付けた電圧値ACV毎のデータを含んでもよい。テーブルデータは、メモリ25に記憶されていてもよい。
なお、上記の例では、温度推定部801は、推定履歴PREV及び電力推定結果ESTPBに基づき定着ベルト77の表面温度を推定する例について説明したが、これに限定されない。温度推定部801は、推定履歴PREV及び電力推定結果ESTPAに基づき定着ベルト77の表面温度を推定してもよい。
なお、上記の例では、システムコントローラ13及び温度制御回路14は別個に示されているが、これに限定されない。システムコントローラ13は、温度制御回路14の機能の一部又は全部の機能を含んでもよい。この例では、プロセッサ22は、プロセッサ24により実現される上述の温度制御回路14の各部の一部又は全部を実現してもよい。メモリ23は、メモリ25に記憶されたプログラム及びプログラムで用いられるデータ等を記憶してもよい。
上述のように、実施形態に係る温度制御装置は、誘導加熱コイルを接続されたインバータの駆動信号の周波数に基づき温度制御対象の温度を推定する温度推定部を備える。温度制御装置は、温度推定部による温度推定結果、温度センサによる温度制御対象の温度検出結果及び温度制御対象の目標温度に基づき駆動信号の周波数を生成する周波数生成部を備える。
温度制御装置は、駆動信号の周波数に基づき誘導加熱コイルへの供給電力を推定する電力推定部を備えてもよい。この例では、温度推定部は、電力推定部による電力推定結果に基づき温度制御対象の温度を推定する。
温度制御装置は、温度推定結果の高周波成分を抽出する高周波成分抽出部を備えてもよい。温度制御装置は、温度検出結果及び高周波成分に基づき補正温度値を算出する算出部を備えてもよい。温度制御装置は、目標温度と、補正温度値とを比較する温度比較部を備えてもよい。この例では、周波数生成部は、温度比較部による比較結果に基づき駆動信号の周波数を生成する。
このような構成によると、温度制御装置は、温度センサによる温度制御対象の温度検出の応答性が悪い場合であっても、温度推定結果に基づいて温度制御対象の表面温度を追従することができる。これにより、温度制御装置は、温度センサのコストを抑え、且つオーバーシュート及び温度リップルなどが生じることを防ぐことができる。
プログラムは、実施形態に係る装置に記憶された状態で譲渡されてよいし、装置に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。後者の場合は、プログラムは、ネットワークを介して譲渡されてよいし、記録媒体に記録された状態で譲渡されてもよい。記録媒体は、非一時的な有形の媒体である。記録媒体は、コンピュータ可読媒体である。記録媒体は、CD-ROM、メモリカード等のプログラムを記憶可能かつコンピュータで読取可能な媒体であればよく、その形態は問わない。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…画像形成装置、10…筐体、11…電力変換回路、12…通信インタフェース、13…システムコントローラ、14…温度制御回路、15…表示部、16…操作インタフェース、17…用紙トレイ、18…排紙トレイ、19…搬送部、20…画像形成部、21…定着器、22…プロセッサ、23…メモリ、24…プロセッサ、25…メモリ、31…給紙搬送路、32…排紙搬送路、33…ピックアップローラ、41…プロセスユニット、42…露光器、43…転写機構、51…感光ドラム、52…帯電チャージャ、53…現像器、61…1次転写ベルト、62…2次転写対向ローラ、63…1次転写ローラ、64…2次転写ローラ、70…加圧ローラ、71…加圧パッド、72…整磁合金位置調整機構、73…アルミ部材、74…整磁合金、75…フェライトコア、76…誘導加熱コイル、77…定着ベルト、78…フレーム、79…温度センサ、81…コンバータ、82…インバータ、83…共振コンデンサ、801…温度推定部、802…推定履歴保持部、803…高周波成分抽出部、804…係数加算部、805…目標温度出力部、806…差分比較部、807…周波数生成部、808…変換部、809…補正部、810…パルス生成部、811…絶縁バッファ、812…絶縁バッファ、821…スイッチ、822…スイッチ。

Claims (5)

  1. 誘導加熱コイルを接続されたインバータの駆動信号の周波数に基づき温度制御対象の温度を推定する温度推定部と、
    前記温度推定部による温度推定結果、温度センサによる前記温度制御対象の温度検出結果及び前記温度制御対象の目標温度に基づき前記駆動信号の周波数を生成する周波数生成部と、
    を備える温度制御装置。
  2. 前記駆動信号の周波数に基づき前記誘導加熱コイルへの供給電力を推定する電力推定部をさらに備え、
    前記温度推定部は、前記電力推定部による電力推定結果に基づき前記温度制御対象の温度を推定する、
    請求項1に記載の温度制御装置。
  3. 前記電力推定部は、交流電圧の電圧値に基づき前記誘導加熱コイルへの供給電力を推定する、
    請求項2に記載の温度制御装置。
  4. 前記温度推定部は、CR回路及び前記電力推定結果に基づき前記温度制御対象の温度を推定する、請求項2又は3に記載の温度制御装置。
  5. 前記温度推定結果の高周波成分を抽出する高周波成分抽出部と、
    前記温度検出結果及び前記高周波成分に基づき補正温度値を算出する算出部と、
    前記目標温度と、前記補正温度値とを比較する温度比較部と、
    をさらに備え、
    前記周波数生成部は、前記温度比較部による比較結果に基づき前記駆動信号の周波数を生成する、
    請求項1から4の何れか一項に記載の温度制御装置。

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