JP2023040903A - 眼科装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 被検眼の異なる測定範囲のそれぞれについて取得される断層画像を簡易な手法により補正し、相関性の高い断層画像を取得することができる技術を提供する。【解決手段】 眼科装置は、第1の光を出力する第1の光源と、第2の光を出力する第2の光源と、第1の光の反射光から得られる第1の干渉光に基づいて、被検眼の第1の範囲の断層画像を取得する第1の干渉計と、第2の光の反射光から得られる第2の干渉光に基づいて、被検眼の第2の範囲の断層画像を取得する第2の干渉計と、制御装置と、を備える。第1の光の光路である第1光路と、第2の光の光路である第2光路と、は一部が重複している。制御装置は、被検眼に対して、第1の光と第2の光とを同一平面内で同時に走査し、得られた第1の断層画像の歪み量を算出し、得られた第2の断層画像を、算出した歪み量に基づいて補正する。【選択図】図18
Description
本明細書に開示の技術は、眼科装置に関する。
被検眼の異なる測定範囲のそれぞれについて断層画像を取得する眼科装置が開発されている。例えば、特許文献1の眼科装置は、被検眼の前眼部の断層画像と、被検眼の眼底の断層画像を取得可能となっている。この眼科装置は、前眼部用光源と、前眼部用光源とは波長が異なる眼底用光源を備えている。特許文献1では、これらの光源を測定範囲に応じて切り換えることにより、各測定範囲の断層画像を取得することができる。
被検眼内の各部位は、それぞれが固有の曲率、厚み、及び屈折率を有するため、被検眼に入射する光の位置によっては、その進行方向が屈折する場合がある。このため、取得される被検眼の断層画像に歪みが生じ得る。また、特許文献1では、被検眼の異なる測定範囲のそれぞれの断層画像が別々に取得されるため、計測中に被検眼の状態が変化することによる測定精度の低下といった問題が生じ得る。このため、各断層画像間の歪みや位置ずれを補正して、相関性の高い断層画像を取得するためには、複雑な処理を要する。
また、特許文献1において、光を走査することにより前眼部の断層画像と眼底の断層像を同時に取得しようとする場合、前眼部スキャンと眼底スキャンにおいて、光が同一の光路を通る光学系を採用すると、それぞれの光が前眼部及び眼底の広範囲をスキャンすることが難しいため、互いに異なる光路を通る光学系を採用する必要がある。具体的には、例えば、前眼部に対してはテレセントリックスキャン、眼底に対しては瞳孔でピボットを結ぶコンセントリックスキャンを採用する必要がある。この場合、前眼部と眼底のスキャンの態様の違いにより、取得された断層画像の座標軸にずれが生じ得ることに加え、被検眼内の各部位への光の入射角度の違いによる断層画像の歪みが生じ得る。本明細書は、被検眼の異なる測定範囲のそれぞれについて取得される断層画像を簡易な手法により補正し、相関性の高い断層画像を取得することができる技術を提供する。
本明細書に開示する眼科装置は、被検眼に照射される第1の光を出力する第1の光源と、前記被検眼に照射される第2の光を出力する第2の光源と、前記第1の光の反射光から得られる第1の干渉光に基づいて、前記被検眼の第1の範囲の第1の断層画像を取得する第1の干渉計と、前記第2の光の反射光から得られる第2の干渉光に基づいて、前記被検眼の前記第1の範囲とは異なる第2の範囲の第2の断層画像を取得する第2の干渉計と、制御装置と、を備える。前記第1の光の光路である第1光路と、前記第2の光の光路である第2光路と、は一部が重複している。前記制御装置は、前記被検眼に対して、前記第1の光と前記第2の光とを同一平面内で同時に走査する特定走査を実行し、前記特定走査を実行することで得られる前記第1の断層画像の歪み量を算出して前記第1の断層画像を補正し、前記特定走査を実行することで得られる前記第2の断層画像を、算出した前記歪み量に基づいて補正する。
上述したように、被検眼内の各部位には固有の曲率及び厚み、及び屈折率が存在するため、得られる断層画像は、実際の被検眼の形状とは異なる場合がある。上記の眼科装置では、制御装置が、まず、第1の断層画像の歪み量を算出して、第1の断層画像を補正する。ここで、この眼科装置では、第1の光と第2の光とが同一平面内で同時に走査される。このため、取得される第1の断層画像及び第2の断層画像のそれぞれは、被検眼の同一平面内における断面を示す画像となる。すなわち、第1の断層画像の歪み量は、第2の断層画像の補正に関連する要素となる。このため、第1の断層画像の歪み量に基づいて、第2の断層画像を補正することができる。このように、この眼科装置では、第1の断層画像の歪み量を算出することで、第1の断層画像を補正するとともに、第2の断層画像を補正することができる。
本明細書が開示する技術要素を、以下に列記する。なお、以下の各技術要素は、それぞれ独立して有用なものである。
本技術の一実施形態では、前記第1光路と前記第2光路との一部が重複する重複区間に、前記第1の光を走査するとともに前記第2の光を走査するスキャナが配置されていてもよく、前記制御装置は、前記スキャナを用いて前記特定走査を実行してもよい。
このような構成によると、第1の光を走査するためのスキャナと第2の光を走査するためのスキャナを共用することができる。このため、眼科装置内の構成が複雑化することを回避できると共に、部品点数を減らすことができる。また、第1の光と第2の光を走査するために別個のスキャナを設ける場合と比較して、被検眼の測定時にスキャナを同期する必要がなく、スキャナの制御が容易になる。
本技術の一実施形態では、前記制御装置は、前記被検眼に対して、前記第1の光と前記第2の光が前記被検眼上の特定の位置を通るように前記特定走査を複数回実行してもよい。前記特定走査のそれぞれが、前記被検眼の前記特定の位置を中心とする周方向の異なる位置で放射状に実行されてもよい。
このような構成によると、特定の位置を中心とした特定走査が複数の放射角度(すなわち、特定の位置を中心とする周方向の複数の角度位置)に亘って実行される。すなわち、複数の断面における断層画像を取得することができ、被検眼の断層画像を三次元的に取得することができる。
本技術の一実施形態では、前記第1の範囲は、前眼部を含んでもよい。前記スキャナと前記被検眼の間に配置されるレンズをさらに備えてもよい。前記スキャナは、前記第1の光源から出力される前記第1の光の前記被検眼への入射位置を変更可能であってもよい。前記第1の光が前記スキャナによって走査されるとき、前記被検眼に入射される光の進行方向が、互いに略平行になるように走査されてもよい。
このような構成によると、第1の光を被検眼の前眼部で好適に走査することができる。また、互いに略平行な光が被検眼の前眼部に入射するため、歪みの少ない第1の断層画像を取得することができる。
本技術の一実施形態では、前記第2の範囲は、眼底を含んでもよい。前記スキャナは、前記第2の光源から出力される前記第2の光の前記被検眼への入射位置及び入射角度を変更可能であってもよい。前記第2の光が前記スキャナによって走査されるとき、前記被検眼に入射される光の進行方向が、前記スキャナと前記被検眼との間で交差するとともに、前記被検眼内部において略平行となるように走査されてもよい。なお、本明細書では、「被検眼に入射される光の進行方向が、スキャナと被検眼との間で交差する」とは、第2の光が走査されるときに、スキャナによる走査位置(走査角)が異なる第2の光の進行方向のそれぞれが、スキャナと被検眼との間で互いに交差することを意味する。
このような構成によると、第2の光を被検眼の眼底で好適に走査することができる。また、被検眼内部において略平行となった光が被検眼の眼底に入射するため、歪みの少ない第2の断層画像を取得することができる。
本技術の一実施形態では、前記制御装置は、前記特定走査における、前記被検眼の前記第1の範囲に含まれる複数の部位への前記第1の光の入射位置及び入射角度を算出してもよく、前記入射位置と、前記入射角度と、前記複数の部位それぞれの屈折率とに基づいて、前記第1の断層画像の前記歪み量を算出してもよい。
前眼部に入射される光は、レンズの光軸と平行である。このため、上記の構成では、第1の範囲に含まれる複数の部位(角膜や水晶体等)に対する光の入射位置及び入射角度と、これらの屈折率とに基づいて、第1の断層画像の歪み量を精度良く算出することができる。
本技術の一実施形態では、前記制御装置は、前記被検眼に対して、前記第1の光と前記第2の光が前記被検眼上の特定の位置を通るように前記特定走査を実行してもよく、前記特定の位置に入射した前記第1の光に基づいて算出された前記第1の断層画像の前記歪み量に基づいて、前記第2の断層画像を補正してもよい。
このような構成では、特定の位置に入射するときの第1の光の光路(軸)と、特定の位置に入射するときの第2の光の光路(軸)が一致するため、特定の位置に入射した第1の光に基づいて算出された歪み量を利用して、第2の断層画像を好適に補正することができる。
本技術の一実施形態では、前記制御装置は、前記第2の断層画像から前記被検眼の特定部位の位置を算出してもよく、前記特定部位の位置に基づいて、前記被検眼の視線方向を特定してもよい。
このような構成では、第2の断層画像内の特定部位の位置を算出することにより、当該特定部位に照射された光に基づいて、被検者の視線方向を特定することができる。
本技術の一実施形態では、前記制御装置は、前記特定の位置を通る光の光軸と、特定した前記視線方向との間の角度を算出してもよい。
このような構成では、被検者の視線ずれの程度を特定することができる。
本技術の一実施形態では、前記制御装置は、補正後の第1の断層画像及び補正後の第2の断層画像に基づいて、前記被検眼の眼軸長を算出してもよい。
このような構成では、精度の高い眼軸長を算出することができる。
(実施例)
以下、実施例に係る眼科装置1について説明する。図1に示すように、眼科装置1は、被検眼Eの前眼部を断層撮影する前眼部OCT干渉計10と、被検眼Eの眼底を断層撮影する眼底OCT干渉計11を備えている。
以下、実施例に係る眼科装置1について説明する。図1に示すように、眼科装置1は、被検眼Eの前眼部を断層撮影する前眼部OCT干渉計10と、被検眼Eの眼底を断層撮影する眼底OCT干渉計11を備えている。
前眼部OCT干渉計10は、光干渉断層法により被検眼Eの前眼部の断層画像を撮影するために用いられる。前眼部OCT干渉計10では、光波の干渉をフーリエ空間で行うフーリエドメイン方式を採用しており、特に、時間的に波長を変化させて走査する波長走査光源を用いてスペクトル干渉信号を検出し、被検眼Eの前眼部を断層撮影する光周波数掃引OCT(swept-source OCT:SS-OCT)が用いられる。波長走査光源としては、例えば、回折格子やプリズム等による波長可変フィルタを用いた外部共振器型の波長掃引光源、共振器長可変のファブリペローチューナブルフィルタを用いる各種外部共振器型光源を用いることができる。また例えば、波長可変のDBR(Distributed Bragg Reflector)レーザーや、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)機構を用いた波長可変の面発光レーザー(VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser))などを用いることもできる。前眼部OCT干渉計10により撮影される断層画像から、被検眼Eの前眼部の各部(例えば、角膜、前房、水晶体等)の形状を計測することができる。なお、前眼部OCT干渉計10は、SS-OCTに限られず、例えば、フーリエドメイン方式を利用した他のOCT(例えば、スペクトルドメインOCT)や、フーリエドメイン方式以外の方式(例えば、タイムドメイン方式)であってもよい。
図1に示すように、前眼部OCT干渉計10は、前眼部用光源12と、測定光学系20と、較正光学系30と、参照光学系40と、干渉光学系50を備える。
前眼部用光源12は、波長掃引型の光源であり、出力される光の波長(波数)が所定の周期で変化する。前眼部用光源12は、長波長の光を出力し、例えば、中心波長が0.95μm以上1.80μm以下の光を出力することができる。本実施例では、前眼部用光源12は、中心波長が1.31μmの光を出力する。長波長の光を用いると、例えば、水晶体の混濁、毛様体、結膜、強膜等の強散乱組織を透過し易くなり、さらに、水の吸収が大きく眼底まで光が到達し難いため、強い光を照射可能である。このため、中心波長が0.95μm以上の光を前眼部用光源12から出力することによって、散乱物質からなる組織への到達度を高くすることができる。また、中心波長が0.95μm以上1.80μm以下の光は、水による分散が少ないため、この範囲の光を被検眼Eに照射すると、画質の良い前眼部OCT画像を取得することができる。また、中心波長が1.80μm以下の光を前眼部用光源12から出力することによって、インジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)系の受光素子によって感度良く対象部位を計測することができる。したがって、0.95μm以上1.80μm以下の光を前眼部用光源12から出力することによって、被検眼Eの前眼部の断層画像を好適に撮影することができる。
前眼部用光源12には、偏光制御装置14及び光カプラ16が接続されている。したがって、前眼部用光源12から出力される光は、偏光制御装置14を介して光カプラ16に入力され、光カプラ16において、例えば9:1の比率で測定光と参照光とに分波されて、測定光学系20及び参照光学系40のそれぞれに入力される。
測定光学系20は、光サーキュレータ22と、光カプラ24と、プローブ光学系26を備える。前眼部用光源12から測定光学系20に入力された測定光は、光サーキュレータ22に入力される。光サーキュレータ22に入力された測定光は、光カプラ24に入力され、光カプラ24において、例えば99:1の比率で分波されて、プローブ光学系26及び較正光学系30のそれぞれに入力される。
プローブ光学系26は、被検眼Eの前眼部を断層撮影する前眼部OCT光学系(図2)と、被検眼Eの眼底を断層撮影する眼底OCT光学系(図4)と、被検眼Eの屈折力を測定するレフ測定光学系(図6)と、フロントモニター光学系と、位置検出光投光光学系と、位置検出光受光光学系と、固視標光学系と、被検眼Eに対して眼科装置1を所定の位置関係にアライメントするアライメント光学系(図示省略)と、被検眼Eを観察する観察光学系(図示省略)を備える。アライメント光学系及び観察光学系は、公知の眼科装置に用いられているものを利用できるため、その詳細な説明は省略する。
図2に示すように、前眼部OCT光学系は、ファイバコリメータ102と、ダイクロイックミラー106と、2次元スキャナ108と、ダイクロイックミラー110と、全反射ミラー112と、対物レンズ114と、ダイクロイックミラー116によって構成されている。ダイクロイックミラー106、110、116は、0.90μmよりも長波長の光を反射し、0.90μmよりも短波長の光を透過するように構成されている。
光カプラ24からプローブ光学系26(すなわち、前眼部OCT光学系)に入力された光は、ファイバコリメータ102から出射される。ファイバコリメータ102は、前眼部用光源12から出力される光を平行光とする。ファイバコリメータ102で平行光となった光は、ダイクロイックミラー106で反射され、2次元スキャナ108に入射される。2次元スキャナ108は、入射する光を被検眼Eの前眼部に対してx方向及びy方向の2方向に走査する。本実施例では、2次元スキャナ108にガルバノスキャナが用いられている。なお、2次元スキャナ108には、ガルバノスキャナ以外のものを用いてもよく、例えば、2軸スキャンが可能なMEMSミラーを用いてもよい。2次元スキャナ108から出射された光は、ダイクロイックミラー110及び全反射ミラー112を介して対物レンズ114に入射する。対物レンズ114に入射した光は、対物レンズ114を透過し、ダイクロイックミラー116で反射され、被検眼Eの前眼部(例えば、角膜、前房、水晶体等)に照射される。なお、ダイクロイックミラー116と被検眼Eの間には、見口部118が配置されている。見口部118は、計測時に被検眼Eと対向する位置に配置される。見口部118は、図示しないハウジングに設けられ、このハウジング内にプローブ光学系26が収容されている。
被検眼Eの前眼部で反射された光は、上述した経路と逆の経路を進み、ファイバコリメータ102に入射される。そして、図1に示すように、再び光カプラ24を介して光サーキュレータ22に入力される。光サーキュレータ22に入力された測定光は、干渉光学系50の光カプラ52に入力される。
上記の説明から明らかなように、前眼部OCT光学系では、光路L3と、光路L4の一部(詳細には、ダイクロイックミラー106と2次元スキャナ108の間の範囲)と、光路L5と、光路L6と、光路L8(すなわち、全反射ミラー112とダイクロイックミラー116の間の範囲)と、光路L12とが、光が通過する経路となる。
測定光学系20の光カプラ24において分波された光は、上述したように、較正光学系30に入力される。図1に示すように、較正光学系30は、レンズ32、35、38と、ダイクロイックミラー34と、ミラー39と、較正用ミラー36を備える。光カプラ24から較正光学系30に入力された光は、不図示のファイバコリメータから出射され、レンズ32を介してダイクロイックミラー34を透過し、レンズ35を介して較正用ミラー36に入射される。較正用ミラー36によって反射された較正光は、上述した経路と逆の経路を進み、ファイバコリメータに入射され、光カプラ24を介して光サーキュレータ22に入力される。光サーキュレータ22に入力された較正光は、干渉光学系50の光カプラ52に入力される。なお、較正光学系30のレンズ38及びミラー39は、後述する眼底OCT干渉計11で用いられる。
一方、光カプラ16において分波された参照光は、上述したように、参照光学系40に入力される。参照光学系40は、光サーキュレータ42と、レンズ44、47と、減衰器46と、参照ミラー48を備える。前眼部用光源12から参照光学系40に入力された参照光は、光サーキュレータ42に入力される。光サーキュレータ42に入力された参照光は、不図示のファイバコリメータから出射され、レンズ44、47を介して参照ミラー48に入射される。前眼部用光源12から出力される参照光の光路長は、0点調整機構(図示省略)によって調整される。なお、0点(ゼロディレイライン又はコヒーレンスゲートとも称される)調整機構は、公知の眼科装置に用いられているものを利用することができるため、その詳細な説明は省略する。参照ミラー48によって反射された参照光は、再び、ファイバコリメータに入射され、光サーキュレータ42に入力される。光サーキュレータ42に入力された参照光は、干渉光学系50の光カプラ52に入力される。
干渉光学系50は、光カプラ52と、受光素子54と、信号処理器56を備える。光カプラ52において、被検眼Eから反射された測定光と、参照光学系40により生成された参照光とが合波され、合波された測定用干渉光が受光素子54に入力される。また、光カプラ52において、較正光学系30により生成された較正光と、参照光学系40により生成された参照光とが合波され、合波された較正用干渉光が受光素子54に入力される。受光素子54としては、例えば、InGaAs系の素子を用いることができ、受光素子54において、測定用干渉光及び較正用干渉光の波長毎の干渉が計測される。そして、計測された干渉光の強度に応じた干渉信号が信号処理器56に入力される。信号処理器56は、取得した干渉信号をサンプリングする。信号処理器56には、公知のデータ収集装置(いわゆるDAQ)を用いることができる。サンプリングされた干渉信号は、後述する演算装置200に入力される。演算装置200は、干渉信号に対するフーリエ変換等の処理を行い、走査線に沿う前眼部の断層画像が取得される。
図3を参照して、前眼部OCT光学系におけるスキャンについて説明する。図3は、ファイバコリメータ102から出射される光が被検眼Eまで照射される光路を示しており、光路上に配置された一部の光学部材(すなわち、ダイクロイックミラー106、2次元スキャナ108、対物レンズ114)のみを図示し、その他の光学部材は図示を省略している。図3に示すように、前眼部OCT光学系では、2次元スキャナ108が対物レンズ114の後側焦点に配置される。このため、2次元スキャナ108によって走査された光は、被検眼Eに対して光軸(光路L12)に対して平行に照射される。すなわち、前眼部OCT光学系では、テレセントリックスキャンとなり、被検眼Eを断層撮影した際に、歪みの少ない画像を取得できる。また、ファイバコリメータ102内部のファイバ端面が、被検眼Eの前眼部と共役な位置に配置される。これによって、ファイバコリメータ102から出射される光を被検眼Eの前眼部に集光させることができる。したがって、前眼部OCT光学系によって、被検眼Eの前眼部を好適に断層撮影することができる。
次に、眼底OCT干渉計11について説明する。眼底OCT干渉計11は、光干渉断層法により被検眼Eの眼底を撮影するために用いられる。眼底OCT干渉計11では、光波の干渉をフーリエ空間で行うフーリエドメイン方式を採用しており、特に、広帯域波長の光を出力する波長固定光源と分光器を用いてスペクトル情報を検出し、被検眼Eの眼底を断層撮影するスペクトルドメインOCT(SD-OCT)が用いられる。眼底OCT干渉計11により撮影される断層画像から、被検眼Eの眼底の各部(例えば、網膜、脈絡膜等)の形状を計測することができる。なお、眼底OCT干渉計11は、SD-OCTに限られず、例えば、フーリエドメイン方式を利用した他のOCT(例えば、SS-OCT)や、フーリエドメイン方式以外の方式(例えば、タイムドメイン方式)であってもよい。
図1に示すように、眼底OCT干渉計11は、眼底用光源62と、測定光学系66と、較正光学系30と、参照光学系70と、干渉光学系80を備える。
眼底用光源62は、波長固定型の光源である。眼底用光源62は、前眼部用光源12から出力される光とは異なる中心波長を有する光を出力し、例えば、中心波長が0.40μm以上1.15μm以下の光を出力することができる。また例えば、眼底用光源62は、前眼部用光源12が出力する光の半値幅の波長範囲とは異なる波長範囲に半値幅を有する光を出力してもよい。本実施例では、眼底用光源62は、中心波長が0.83μmの光を出力する。中心波長が0.40μm以上1.15μm以下の光は、眼球内での透過率が高い。このため、中心波長が0.40μm以上1.15μm以下の光を光源から出力することによって、当該光を被検眼Eの眼底まで十分に照射することができる。また、中心波長が0.40μm以上0.95μm以下の光は、シリコン系の受光素子の感度が高い。また、中心波長が0.95μm以上1.15μm以下の光は、水による分散が少ないため、この範囲の光を被検眼Eに照射すると、画質の良い眼底OCT画像を取得することができる。したがって、中心波長が0.40μm以上1.15μm以下の光を光源から出力することによって、被検眼Eの眼底の断層画像を好適に撮影することができる。
眼底用光源62には、光カプラ64が接続されている。したがって、眼底用光源62から出力される光は、光カプラ64に入力され、光カプラ64において、例えば9:1の比率で測定光と参照光とに分波されて、測定光学系66及び参照光学系70のそれぞれに入力される。
測定光学系66は、光カプラ68と、プローブ光学系26を備える。眼底用光源62から測定光学系66に入力された測定光は光カプラ68に入力され、光カプラ68において、例えば99:1の比率で分波されて、プローブ光学系26及び較正光学系30のそれぞれに入力される。
図4に示すように、眼底OCT光学系は、ファイバコリメータ120と、レンズ121と、レンズ122と、偏光ビームスプリッタ124と、ダイクロイックミラー106と、2次元スキャナ108と、ダイクロイックミラー110と、ダイクロイックミラー126と、対物レンズ128と、ダイクロイックミラー116によって構成されている。ダイクロイックミラー126は、0.90μmよりも長波長の光を透過し、0.90μmよりも短波長の光を反射するように構成されている。
光カプラ68からプローブ光学系26(すなわち、眼底OCT光学系)に入力された光は、ファイバコリメータ120から出射され、レンズ121、レンズ122、偏光ビームスプリッタ124、ダイクロイックミラー106を透過し、2次元スキャナ108に入射される。2次元スキャナ108は、入射する光を被検眼Eの眼底に対してx方向及びy方向の2方向に走査する。2次元スキャナ108から出射された光は、ダイクロイックミラー110を透過し、ダイクロイックミラー126で反射され、対物レンズ128に入射する。対物レンズ128に入射した光は、対物レンズ128を透過し、ダイクロイックミラー116を透過して、被検眼Eの眼底(例えば、網膜、脈絡膜等)に照射される。
被検眼Eの眼底で反射された測定光は、上述した経路とは逆の経路を進み、ファイバコリメータ120に入射される。そして、図1に示すように、再び光カプラ68を介して光カプラ64に入力される。光カプラ64に入力された測定光は、干渉光学系80に入力される。
上記の説明から明らかなように、眼底OCT光学系では、光路L4と、光路L5と、光路L9と、光路L10と、光路L12とが、光が通過する経路となる。したがって、前眼部OCT光学系と眼底OCT光学系とでは、光路L4の一部(詳細には、ダイクロイックミラー106と2次元スキャナ108の間の範囲)と、光路L5と、光路L12の部分が重複する経路となっており、光路L8と光路L6と光路L3が前眼部OCT光学系の光のみの経路となっており、光路L4の他の部分と、光路L9と、光路L10が眼底OCT光学系の光のみの経路となっている。
測定光学系66の光カプラ68において分波された光は、上述したように、較正光学系30に入力される。図1に示すように、較正光学系30に入力された光は、不図示のファイバコリメータから出射され、レンズ38、ミラー39を介してダイクロイックミラー34で反射され、レンズ35を介して較正用ミラー36に入射される。較正用ミラー36によって反射された較正光は、再び、レンズ35、ダイクロイックミラー34、ミラー39及びレンズ38を介してファイバコリメータに入射され、光カプラ68、64を介して干渉光学系80に入力される。
一方、光カプラ64において分波された参照光は、上述したように、参照光学系70に入力される。参照光学系70は、レンズ72、74と、参照ミラー76を備える。眼底用光源62から参照光学系70に入力された参照光は、不図示のファイバコリメータから出射され、レンズ72、74を介して参照ミラー76に入射される。眼底用光源62から出力される参照光の光路長は、0点調整機構(図示省略)によって調整される。参照ミラー76によって反射された参照光は、再び、ファイバコリメータに入射され、光カプラ64を介して干渉光学系80に入力される。
干渉光学系80は、レンズ82、88と、回折格子84と、プリズム86と、受光素子89を備える。干渉光学系80において、被検眼Eから反射された測定光と、参照光学系70により生成された参照光とが合波され、合波された測定用干渉光が受光素子89に入力される。また、較正光学系30により生成された較正光と、参照光学系70により生成された参照光とが合波され、合波された較正用干渉光が受光素子89に入力される。具体的には、測定用干渉光と較正用干渉光が、不図示のファイバコリメータから出射され、レンズ82を介して回折格子84を通過する。これにより、各干渉光が波長スペクトルに分離される。そして、分離された各光は、プリズム86に入射することによって、波長に対してリニアなスペクトルデータから波数に対してリニアなスペクトルデータ(波数スペクトル)へ変換される。そして、プリズム86において波数スペクトルに変換された各光は、レンズ88を介して受光素子89に入力される。受光素子としては、例えば、ラインセンサ(CCDカメラ等)を用いることができる。受光素子89において、測定用干渉光及び較正用干渉光の波数毎の干渉が計測される。そして、計測された干渉光の強度に応じた干渉信号は、後述する演算装置200に入力される。演算装置200は、干渉信号に対するフーリエ変換等の処理を行い、走査線に沿う眼底の断層画像が取得される。
図5を参照して、眼底OCT光学系におけるスキャンについて説明する。図5は、ファイバコリメータ120から出射される光が被検眼Eまで照射される光路を示しており、光路上に配置された一部の光学部材(すなわち、レンズ121、レンズ122、ダイクロイックミラー106、2次元スキャナ108、対物レンズ128)のみを図示し、その他の光学部材は図示を省略している。また、2次元スキャナ108は、被検眼Eと対物レンズ128の間の位置Pと共役な位置に配置される。このため、眼底OCT光学系では、2次元スキャナ108によって走査された光が、対物レンズ128と被検眼Eの間の範囲で眼科装置1の光軸(光路L12)と交差する。すなわち、眼底OCT光学系では、被検眼Eの手前でピボットを結ぶスキャンとなる。また、眼底OCT光学系では、対物レンズ128と被検眼Eの間で交差した光が、被検眼Eの内部に入射したときに眼科装置1の光軸に対して平行になるように、ピボットの位置Pが設定されている。すなわち、眼底OCT光学系では、当該ピボットの位置Pが、被検眼Eを1つのレンズと見做したときの当該レンズの後側焦点と一致するように設定されている。このため、眼底OCT光学系では、2次元スキャナ108によって走査された光が、眼科装置1の光軸に対して平行に眼底に到達する。すなわち、眼底OCT光学系では、テレセントリックスキャンとなり、被検眼Eを断層撮影した際に、歪みの少ない画像を取得できる。ピボットを結ぶ位置は特に限定されないが、例えば、被検眼Eの角膜前方5~25mmとすることができる。また例えば、被検眼Eの一般的な屈折力(約60D)及び焦点距離(約17mm)に対してピボットを結ぶ位置を設定する場合、角膜側の主点位置が角膜頂点から前方約2mmであることに基づいて、当該ピボットを結ぶ位置を被検眼Eの角膜前方約15mmとすることができる。
また、ファイバコリメータ120内部のファイバの端面が、被検眼Eの眼底と共役な位置に配置される。これによって、ファイバコリメータ120から出射される光を被検眼Eの眼底に集光させることができる。なお、後述の焦点調整機構142を駆動することによって、レンズ121の位置を変更することができる。これによって、被検眼Eの屈折力に応じて、ファイバコリメータ120から出射される光を被検眼Eの眼底に集光させることができる。したがって、眼底OCT光学系によって、被検眼Eの眼底を好適に断層撮影することができる。
次に、レフ測定光学系について説明する。レフ測定光学系は、被検眼Eの屈折力を計測するために用いられる光学系である。レフ測定光学系の被検眼Eに光を投光する投光系は、眼底OCT光学系の投光系と同一構成を有している。このため、レフ測定光学系の受光系について説明する。図6に示すように、レフ測定光学系の受光系は、ダイクロイックミラー116と、対物レンズ128と、ダイクロイックミラー126と、ダイクロイックミラー110と、2次元スキャナ108と、ダイクロイックミラー106と、偏光ビームスプリッタ124と、レンズ130と、ミラー132と、アパーチャ134と、レンズ136と、ドーナツレンズ138と、2次元センサ140と、焦点調整機構142と、雲霧機構(図示省略)によって構成されている。
レフ測定光学系の受光系では、被検眼Eからの反射光が、ダイクロイックミラー116、対物レンズ128、ダイクロイックミラー126、ダイクロイックミラー110、2次元スキャナ108、ダイクロイックミラー106を介して偏光ビームスプリッタ124に照射される。偏光ビームスプリッタ124では、被検眼Eの眼底で散乱した光のうちS偏光成分のみが反射され、レンズ130を介してミラー132に照射される。ミラー132に照射された光は、アパーチャ134、レンズ136、ドーナツレンズ138を透過し、2次元センサ140の検出面でリング状に結像する。2次元センサ140で結像されたリング像に基づいて、被検眼Eの屈折力が算出される。なお、本実施例では、ドーナツレンズ138を用いることで、被検眼Eの眼底で散乱した光を2次元センサ140の受光面にリング状に結像させたが、このような例に限られず、例えば、ドーナツレンズ138の代わりにレンズアレイを用い、2次元センサ140の受光面にドットパターンを結像させてもよい。2次元センサ140で検出(撮影)された画像は演算装置に入力される。
また、レフ測定光学系は、焦点調整機構142を備えている。焦点調整機構142は、レンズ121と、アパーチャ134と、レンズ136と、ドーナツレンズ138と、2次元センサ140を光軸(光路L1、L4)の方向に一体的に移動させる駆動装置(図示省略)を備えている。焦点調整機構142は、駆動装置を駆動することによって、被検眼Eの屈折力に応じて、ファイバコリメータ120内部のファイバ端面の位置と2次元センサ140の位置を被検眼Eの眼底と共役な位置に移動することができ、精度よくレフ測定を行うことができる。
また、レフ測定光学系は、2次元スキャナ108を備えている。2次元スキャナ108は、測定光束を被検眼Eの瞳孔上で光軸を中心として円状に走査させる。これにより、白内障等による混濁部位を避けて測定することが可能となると共に、可干渉性の高い光源を使用することにより発生するスペックルノイズを抑制することが可能になる。さらに、レフ測定光学系の一部は、眼底OCT光学系と同一構成を有しているため、測定光束は、被検眼Eの内部で、測定光軸から所定距離離れた位置を保ったまま円状に走査され、眼底に到達する。これにより、被検眼Eの眼軸長によらず、略一定の位置における眼底からの反射光に基づいて被検眼Eの屈折力を計測することができるため、精度良くレフ測定を行うことができる。
次に、フロントモニター光学系について説明する。図7に示すように、フロントモニター光学系は、LED144、146と、ダイクロイックミラー116と、対物レンズ114と、全反射ミラー112と、ダイクロイックミラー110と、アパーチャ148と、レンズ150と2次元センサ152によって構成されている。
LED144、146は、被検眼Eの斜め前方に配置されており、被検眼Eの前眼部を照明する。LED144、146は、中心波長が0.76μmの光を被検眼Eに照射する。被検眼Eで反射された光は、ダイクロイックミラー116で反射し、対物レンズ114を透過し、全反射ミラー112で反射し、ダイクロイックミラー110、アパーチャ148、レンズ150を透過し、2次元センサ152上で前眼部の正面画像が結像する。2次元センサ152で撮像された被検眼Eの前眼部像は、図示しない表示装置に表示される。なお、アパーチャ148は、対物レンズ114の後側焦点に配置され、前眼部画像がデフォーカスしていても画像倍率が変わらないようになっている。
次に、位置検出光投光光学系について説明する。図8に示すように、位置検出光投光光学系は、LED154と、レンズ156と、ダイクロイックミラー158と、ダイクロイックミラー126と、対物レンズ128と、ダイクロイックミラー116によって構成されている。LED154は、中心波長が0.94μmの光を出射する。LED154から出射された光は、レンズ156、ダイクロイックミラー158、126、対物レンズ128、ダイクロイックミラー116を透過し、被検眼Eの角膜を照射する。被検眼Eに照射された光は、被検眼Eの角膜表面で鏡面反射し、角膜頂点の延長線上にLED154の発光面の虚像が形成される。
次に、位置検出光受光光学系について説明する。位置検出光受光光学系は、光軸(光路L12)に直交する方向(横方向)の角膜頂点位置を検出すると共に、光軸方向(奥行き方向)の角膜頂点位置を検出する。図9に示すように、位置検出光受光光学系は、レンズ160及び2次元センサ162と、レンズ164及び2次元センサ166によって構成されている。レンズ160と2次元センサ162は、被検眼Eの斜め前方に配置されている。レンズ164と2次元センサ166も、被検眼Eの斜め前方に配置されている。レンズ164及び2次元センサ166と、レンズ160及び2次元センサ162とは、光軸(光路L12)に対して対称な位置に配置されている。被検眼Eの角膜頂点からわずかにずれた位置で反射した光は、斜め方向に反射し、レンズ160を透過し、2次元センサ162にLED154の発光面の虚像が投影される。同様に、被検眼Eの角膜頂点からわずかにずれた位置で反射した光は、レンズ164を透過し、2次元センサ166にLED154の発光面の虚像が投影される。本実施例の眼科装置では、2次元センサ162、166で検出されるLED154の発光面の虚像に基づいて、光軸(光路L12)に直交する方向(横方向)の角膜頂点位置が検出されると共に、光軸方向(奥行き方向)の角膜頂点位置が検出される。
2次元センサ162及び2次元センサ166の検出結果に基づいて、被検眼Eの角膜頂点の位置が検出されると、プローブ光学系26を収容するハウジングが図示しない駆動装置によって駆動され、被検眼Eの角膜頂点に対してハウジングを測定位置に位置決めする。これによって、被検眼Eに対して見口部118が位置決めされ、プローブ光学系26の対物レンズ114、128が位置決めされる。被検眼Eに対して見口部118(プローブ光学系26の対物レンズ114、128等)が位置決めされると、被検眼Eの前眼部の断層画像と眼底の断層画像と屈折力を取得する間、被検眼Eに対して見口部118や対物レンズ114、128等の位置が変わることはない。
次に、固視標光学系について説明する。図10に示すように、固視標光学系は、LED168と、レンズ170と、ミラー172と、ダイクロイックミラー158、126と、対物レンズ128と、ダイクロイックミラー116とによって構成されている。LED168は、白色光を出射する。LED168からの光は、被検者が固視するためのシンボルが印刷された画像フィルムを透過し、ミラー172で反射される。ミラー172で反射された光は、ダイクロイックミラー158で反射し、ダイクロイックミラー126、対物レンズ128、ダイクロイックミラー116を透過して被検眼Eに向かって照射される。なお、LED168及び画像フィルムは、光軸方向(光路L20に沿った方向)に移動可能となっており、被検眼Eの屈折力に応じて位置が調整される。
上述したように、本実施例の眼科装置1は、前眼部OCT光学系の光路と、眼底OCT光学系の光路が重複する重複光路上に、2次元スキャナ108が配置されている。すなわち、2次元スキャナ108によって、前眼部OCT光学系におけるスキャンと、眼底OCT光学系におけるスキャンの両方を行っている。このため、眼科装置1内の構成が複雑化することを回避できると共に、部品点数を減らすことができる。さらに、前眼部用光源12から出力される光と、眼底用光源62から出力される光とを走査するために別個のスキャナを設ける場合と比較して、被検眼Eの測定時にスキャナを同期する必要がなく、スキャナの制御が容易になる。
次に、図11を参照して、本実施例の眼科装置1の制御系の構成について説明する。図7に示すように、眼科装置1は演算装置200によって制御される。演算装置200は、CPU、ROM、RAM等からなるコンピュータによって構成されている。演算装置200には、前眼部OCT干渉計10内の前眼部用光源12、受光素子54及び信号処理器56と、眼底OCT干渉計11内の眼底用光源62及び受光素子89と、2次元スキャナ108と、2次元センサ140と、焦点調整機構142と、タッチパネルモニタ174が接続されている。
演算装置200は、前眼部用光源12のオン/オフを制御するとともに、2次元スキャナ108を駆動することで、被検眼Eの前眼部に照射される光を走査する。また、演算装置200には、信号処理器56でサンプリングされた干渉信号が入力される。演算装置200は、当該干渉信号をフーリエ変換することによって断層画像を生成し、被検眼Eの前眼部の各部位(例えば、角膜、前房、水晶体等)の位置を特定し、前眼部の各組織の形状を算出する。
同様に、演算装置200は、眼底用光源62のオン/オフを制御するとともに、2次元スキャナ108を駆動することで、被検眼Eの眼底に照射される光を走査する。また、演算装置200には、受光素子89で検出される干渉光の強度に応じた干渉信号が入力される。演算装置200は、受光素子89からの干渉信号をフーリエ変換することによって断層画像を生成し、被検眼Eの眼底の各部位(例えば、網膜、脈絡膜等)の位置を特定し、眼底の各組織の形状を算出する。
また、演算装置200には、2次元センサ140で検出された電気信号(撮影された画像)が入力され、演算装置200は、入力された画像に基づいて被検眼Eの屈折力を算出する。演算装置200に入力されたデータや算出結果は、メモリ(図示省略)に記憶される。なお、演算装置200は、生成した前眼部及び眼底の断層画像を補正することにより、前眼部及び眼底の形状を算出する。そして、演算装置200は、算出した各形状に基づいて、被検眼Eの眼軸長を算出する。断層画像の補正、及び、眼軸長の算出については、後述する。
さらに、演算装置200は、タッチパネルモニタ174を制御する。タッチパネルモニタ174は、被検眼Eの計測結果に関する各種の情報を検査者に提供する表示部として機能するとともに、検査者からの指示を受け付ける入力部としても機能する。例えば、タッチパネルモニタ174は、演算装置200によって生成された被検眼Eの前眼部及び眼底の断層画像、補正後の前眼部及び眼底の断層画像、算出された屈折力、その他スキャンによって取得したデータ等を表示することができる。また、例えば、タッチパネルモニタ174は、眼科装置1の各種設定を入力することができる。なお、本実施例の眼科装置1は、タッチパネルモニタ174を備えるが、上記の情報の表示及び入力が可能な構成であればよく、モニタと入力装置(例えば、マウス、キーボード等)を備える構成であってもよい。
なお、本実施例では、演算装置200は、上述した前眼部用光源12による被検眼Eの前眼部への光の照射と、眼底用光源62による被検眼Eの眼底への光の照射を同時に実行する。すなわち、演算装置200は、前眼部用光源12からの光と眼底用光源62からの光の双方が2次元スキャナ108に入射している状態で2次元スキャナ108を駆動することによって、前眼部から得られる干渉信号と眼底から得られる干渉信号を取得する。このため、本実施例では、略等しい状態の被検眼Eにおける被検眼Eの前眼部及び眼底を測定することができる。以下、図12~23を参照して、被検眼Eの前眼部、眼底、屈折力を測定する処理、前眼部及び眼底の断層画像を補正する処理、及び、眼軸長を測定する処理について説明する。
図12は、眼科装置1を用いて、被検眼Eに対する各種測定を実行する処理の一例を示すフローチャートである。図12に示すように、まず、検査者がタッチパネルモニタ174に検査開始の指示を入力すると、演算装置200は、被検眼Eと眼科装置1のアライメントを実行する(S12)。アライメントは、眼科装置1が備えるアライメント光学系(図示省略)を用いて実行される。なお、アライメント光学系を用いたアライメントは、公知の眼科装置に用いられている方法を採用することができるため、その詳細な説明は省略する。
被検眼Eと眼科装置1のアライメントが完了すると、演算装置200は、レフ測定を実行する(S14)。レフ測定は、以下の手順で実行される。まず、演算装置200は、2次元スキャナ108を調整する。このとき、演算装置200は、予め設定された値(初期設定値)に基づいて、スキャンするサークル径と被検眼Eへの照射位置を調整する。初期設定値は、例えば、被検眼Eの瞳孔径に基づいて、当該瞳孔径より小さい値に設定することができる。また、検査対象者が以前に検査を受けている場合には、当該検査時の測定結果に基づいて、2次元スキャナ108を調整してもよい。
2次元スキャナ108の調整が終わると、演算装置200は、眼底用光源62をオンにして、2次元センサ140で検出される画像を取り込み、当該画像を解析することによって屈折力を測定する。このとき、不図示の雲霧機構を用いて、被検眼Eの水晶体による屈折調節力を排除した状態で、屈折力を測定してもよい。なお、雲霧機構は、公知の眼科装置に用いられているものを採用することができるため、その詳細な説明は省略する。
レフ測定が終了すると、演算装置200は、S14のレフ測定の結果に基づいて、焦点調整機構142を調整する(S16)。例えば、被検眼Eが遠視眼や近視眼である場合には、演算装置200は、焦点調整機構142を駆動して、眼底用光源62の集光点(ビームウェスト)及び2次元センサ140の位置を被検眼Eに対して移動させ、2次元センサ140を被検眼Eの眼底と共役な位置まで移動させる。
次に、演算装置200は、前眼部OCT測定と眼底OCT測定を同時に実行する(S18)。まず、前眼部OCT測定について、図13を参照して説明する。図13に示すように、演算装置200は、2次元スキャナ108を、被検眼Eの角膜頂点を中心として放射状に予め設定された走査角の1つに設定する(S32)。すなわち、演算装置200は、被検眼Eの角膜頂点を中心とする周方向において予め設定された複数の角度位置の1つに沿って前眼部用光源12から出力された光が放射状に走査されるように2次元スキャナ108を設定する。これにより、前眼部用光源12からの光は、設定された走査角に対応した入射位置で被検眼Eに入射することになる。ここでは、放射状に走査されたすべてのBスキャンにおいて、前眼部用光源12から出力される光が、角膜頂点を通るように、2次元スキャナ108が設定される。なお、本明細書では、2次元スキャナ108の走査角を変化させることで、光源からの光の入射位置を変化させることを、「Bスキャン」という。
2次元スキャナ108の設定が終わると、演算装置200は、前眼部用光源12をオンにして、前眼部用光源12から照射される光の周波数を変化させながら、信号処理器56でサンプリングされた干渉信号を取り込む(S34)。信号処理器56でサンプリングされた干渉信号は、図14に示すように、信号強度が時間によって変化する信号となり、この信号は被検眼Eの各部(例えば、角膜の前面及び後面、水晶体の前面及び後面等)から反射された各反射光と参照光とを合成した干渉波による信号となる。そこで、演算装置200は、信号処理器56から入力される信号をフーリエ変換することで、その信号から被検眼Eの各部の深さ方向の位置を特定することができる。上記の前眼部OCT測定では、Aスキャン速度は、例えば、約100kHzに設定される。
なお、本明細書では、深さ方向の位置情報を含む干渉信号を取得することを、「Aスキャン」という。本明細書における「Aスキャン」は、本明細書に開示の眼科装置において特定の構成を動的に変化させることを必ずしも要さない。具体的には、本明細書における「Aスキャン」は、以下の態様を含む。例えば、「Aスキャン」は、SS-OCT(swept-source OCT)において、光源から出力される光の波長又は波数を掃引することにより、深さ方向における各深さの位置情報を含む干渉信号を取得する態様や、SD-OCT(Spectral-domain OCT)において、スペクトルを分光して波長毎又は波数毎に分解することにより、深さ方向における各深さの位置情報を含む干渉信号を取得する態様、TD-OCT(time-domain OCT)において、参照光の光路長を変化させることにより、被検眼の深さ方向における各深さの位置情報を含む干渉信号を取得する態様を含む。また、本明細書では、単位時間あたりに行われるAスキャンの繰り返し回数を「Aスキャン速度」という。例えば、1秒あたり10万回のAスキャンが行われる場合、Aスキャン速度は100kHzとなる。
次に、演算装置200は、S34の測定を、測定前に予め設定された全ての走査角(すなわち、全ての入射位置)に対して実施したか否かを判断する(S36)。全ての走査角についてS34の測定を実施していない場合(S36でNO)、演算装置200は、S32に戻って、S32~S36の処理を繰り返す。これにより、2次元スキャナ108を走査する各走査角について、Aスキャンにより得られる干渉信号が取得される。本実施例では、前眼部OCT測定のAスキャン速度(約100kHz)に合わせて2次元スキャナ108が走査される。前眼部OCT測定では、Bスキャン範囲(Bスキャンの幅)が、例えば、約16mmとなるように2次元スキャナ108が走査される。
全ての走査角についてS34の測定を実施した場合(S36でYES)、演算装置200は、各走査角について得られた干渉信号から、被検眼Eの各部位(例えば、角膜の前面及び後面、水晶体の前面及び後面等)の位置を特定する(S38)。具体的には、各走査角についてS34の処理を実行すると、各走査角について干渉信号の情報(Aスキャン情報)が取得される。したがって、図15に示すように、干渉信号情報(Aスキャン情報)が並んだ二次元情報が走査角の数(n個)だけ得られる。このため、演算装置200は、各干渉信号情報に含まれる被検眼Eの各部位(例えば、角膜、前房、虹彩、水晶体等)の境界線を算出することで、被検眼Eの各部位の位置を特定する。なお、前眼部OCT測定では、例えば、各Bスキャンにおいて、約800個のAスキャン情報を取得する。したがって、各Bスキャンにおいて、約800個の干渉信号情報(Aスキャン情報)が並んだ二次元情報が得られる。
本実施例において、S14における前眼部OCT測定は、図16に示すラジアルスキャンの方式により実行される。これにより、前眼部の断層画像が全領域に亘って取得される。つまり、Bスキャン方向が被検眼Eの角膜頂点から放射方向に設定され、Cスキャン方向を角膜頂点を中心とする周方向として断層画像の取り込みが行われる。演算装置200は、取得(撮影)された断層画像のデータを、メモリに取り込む。
上述したように、前眼部OCT光学系では、テレセントリックスキャンとなっている。このため、前眼部OCT測定において、歪みの少ない断層画像を取得することができる。また、前眼部OCT光学系では、ファイバコリメータ102内部のファイバ端面が被検眼Eの前眼部と共役な位置に配置されると共に、前眼部用光源12は、被検眼Eの前眼部の断層画像を撮影するために好適な波長の光を出力する。このため、前眼部OCT測定において、被検眼Eの前眼部の形状を好適に算出することができる。
次に、眼底OCT測定について説明する。上述したように、眼底OCT測定は、前眼部OCT測定と同時に実行される(S18)。したがって、眼底OCT測定も前眼部OCT測定と同様に、図13に示すフローチャートに従って実行される。具体的には、演算装置200が眼底用光源62を前眼部用光源12とともにオンすることにより、眼底用光源62からの光を、上述したS32において設定された走査角に対応した入射位置及び入射角度で被検眼Eに入射させ、波数スペクトルに分離された光の干渉信号を取り込む(S34)。眼底OCT測定では、Aスキャン速度は、例えば、約10kHzに設定される。また、眼底OCT測定では、Bスキャン範囲が、例えば、3.8mmとなるように2次元スキャナ108が走査される。なお、後述するように、本実施例では、被検眼Eの眼軸長を算出する処理や、被検者の視線方向を特定する処理において、被検眼Eの眼底の断層画像から中心窩の位置を特定する。このため、被検眼Eの眼底の黄斑部の一般的な径が約2mmであることを考慮すると、Bスキャン範囲は、2mm以上に設定してもよい。
そして、全ての走査角について測定が終了すると(S36でYES)、上述のS38と同様に、演算装置200は、各走査角について得られた干渉信号から、被検眼Eの各部位(例えば、網膜、脈絡膜等)の位置を特定する。具体的には、前眼部OCT測定と同様に、干渉信号情報(Aスキャン情報)が並んだ二次元情報が走査角の数(n個)だけ得られる。このため、図17に示すように、演算装置200は、各干渉信号情報に含まれる被検眼Eの各部位(例えば、網膜、脈絡膜等)の境界線を算出することで、被検眼Eの各部位の位置を特定する。
また、本実施例において、S14における眼底OCT測定は、前眼部OCT測定と同様、ラジアルスキャンの方式により実行される(図16参照)。これにより、眼底の断層画像が全領域に亘って取得される。本実施例では、Bスキャン方向が被検眼Eの角膜頂点を通る放射方向に設定され、Cスキャン方向を角膜頂点を中心とする周方向として断層画像の取り込みが行われる。演算装置200は、取得(撮影)された断層画像のデータを、メモリに取り込む。上述したように、眼底OCT光学系では、眼底用光源62が、被検眼Eの眼底まで照射される波長の光を照射し、眼底用光源62から照射される光が、被検眼Eの内部で眼科装置1の光軸(光路L12)に対して平行になるように各光学部材が配置されている。すなわち、眼底OCT光学系においても、テレセントリックスキャンとなり、被検眼Eを断層撮影した際に、歪みの少ない画像を取得できる。
なお、本実施例では、前眼部OCT測定と眼底OCT測定とにおけるAスキャンが同一平面内で同時に実行される。すなわち、眼底用光源62から出力される光と、前眼部用光源12から出力される光は、2次元スキャナ108により同一平面内で同時に走査される。このため、眼底OCT測定においては、各Bスキャンにおいて、約80個のAスキャン情報を取得する。また、上述したS12のアライメントでは、前眼部OCT測定におけるBスキャン範囲と、眼底OCT測定におけるBスキャン範囲のそれぞれが、上述した範囲(すなわち、それぞれ約16mm、約3.8mm)となるように、対物レンズ114及び対物レンズ128の焦点距離等に基づいて、2次元スキャナ108、対物レンズ114、128等の位置が調整される。
本実施例では、上述したように、前眼部OCT測定及び眼底OCT測定が共にテレセントリックスキャンとなっている。このため、比較的歪みの少ない断層画像を取得することができる。しかしながら、被検眼E内の各部位は、それぞれ固有の曲率、厚み及び屈折率を有している。このため、取得した断層画像は、被検眼Eの各部位の実際の形状と異なる場合がある。本実施例では、上記の事情を鑑みて、演算装置200は、前眼部及び眼底の断層画像を取得すると、前眼部の断層画像の歪み量を算出して、前眼部及び眼底の断層画像の補正を実行する(S20)。各断層画像の補正について、図18を参照して説明する。
演算装置200は、まず、各走査角において取得した前眼部及び眼底の断層画像のそれぞれに対して、それらの輝度分布に基づいてセグメンテーションを実行する(S40)。具体的には、前眼部の断層画像に対しては、角膜及び水晶体の境界面のセグメンテーションを実行し、眼底の断層画像に対しては、内境界膜及び網膜色素上皮層のセグメンテーションを実行する。これにより、図19に示すように、各部位の境界面が画定された断層画像を取得することができる。セグメンテーションの具体的な手法については、公知の手法を採用することができるため、その詳細な説明は省略する。なお、水晶体の混濁等により、前眼部の断層画像内に影が生じている場合には、混濁部位の周辺に位置する各部位の形状のセグメンテーションを実行した後、混濁部位の形状を適宜補間してもよい。
次に、演算装置200は、セグメンテーションを実行した前眼部の断層画像の歪み量を算出する(S42)。具体的には、演算装置200は、まず、図20(a)に示すように、前眼部の各部位(角膜の前面及び後面、水晶体の前面及び後面)を、幅方向(x軸)及び深さ方向(z軸)にマッピングする。前眼部OCT測定は、テレセントリックスキャンであるため、2次元スキャナ108による走査によって、m個のAスキャン光が前眼部に対して平行に入射している。また、補正前の断層画像では、各Aスキャン光が、被検眼Eの内部を直進しているように描写される。そこで、演算装置200は、補正前の前眼部の断層画像に基づいて、各Aスキャン光の前眼部の各部位への入射位置(すなわち、各Aスキャン光と前眼部の各部位の境界面との交点)の座標を算出する。そして、演算装置200は、各部位の境界面のm個の座標に基づいて、各境界面(第i面)の関数z=fi(x)を算出する。
次いで、演算装置200は、図21に示すように、角膜前面(光の屈折の影響を受けない面)を第0面(z=f0(x))として、第1面である角膜後面(z=f1(x))と、m個のAスキャン光のうちの第j番目のAスキャン光と、の実際の交点を、既知の角膜屈折率n1を用いて以下の式(1)、(2)により求める。
ここで、図21に示すように、角膜前面(z=f0(x))への第j番目のAスキャン光の入射位置において、当該Aスキャン光と、関数z=f0(x)の接線に対する垂線と、のなす角をα0
jとすると、α0
jは関数z=f0(x)のx0
jにおける傾きであることから、関数z=f0(x)の微分関数f’0(x)を用いて以下の式(3)が成立する。
また、スネルの法則より、z軸(深さ方向)に対する屈折角θ1
jは、以下の式(4)及び(5)によって求めることができる。式中、n0は、空気の屈折率を表す。
以上より、演算装置200は、第1面である角膜後面と第j番目のAスキャン光との交点(x1
j,z1
j)を求めることができる。同様に、演算装置200は、すべてのAスキャン光(すなわち、第1番目~第m番目)に対して、角膜後面との交点を求めることにより、歪み量を算出する。その後、演算装置200は、多項式近似やスプライン曲線等の公知の近似を実行することにより、図20(b)に示すように、角膜後面(第1面)の補正後の形状を表す関数z=g1(x)を求めることができる。
演算装置200は、上述した処理を、第i面と第i+1面との間で順に実行することにより、すべての面において補正後の形状を表す関数を求める。すなわち、第i面における補正後の関数を利用して第i+1面の補正後の形状を表す関数を求める処理を繰り返し実行し、すべての面において、補正後の形状を表す関数z=gi(x)を求める。これにより、演算装置200は、OCT測定において取得された前眼部の断層画像を補正する(S44)。その結果、実際の形状により近い前眼部の断層画像を取得することができる。
なお、本実施例では、深さ方向に対する屈折角をスネルの法則に関連する位相屈折率に基づいて算出したが、光の進行速度に関する群屈折率を用いてもよい。例えば、深さ方向に対する屈折角に対してはスネルの法則を適用し、Aスキャン光と被検眼Eの各部位の境界面との交点の座標の算出に対しては群屈折率を適用してもよい。このような構成では、より精度を向上させることができる。
次に、演算装置200は、補正後の前眼部の断層画像に基づいて、眼底の断層画像を補正する(S46)。ここで、上述の通り、前眼部OCT光学系及び眼底OCT光学系には、0点調整機構が設けられている。また、前眼部OCT光学系における0点の位置(測定光の光路長と参照光の光路長とが一致する位置)と、眼底OCT光学系における0点の位置と、の間の距離は、図22に示すように、固定値ΔLとなっている。したがって、図22(a)に示すように各0点が設定されている場合、眼底の断層画像における深さ方向の座標zRは、前眼部の断層画像の0点を原点とすると、zR+ΔLで表すことができる。すなわち、眼底の断層画像の座標に対して、前眼部の断層画像の座標系を適用することができる。
また、上述したように、本実施例では、放射状に走査された全てのBスキャンにおいて、前眼部用光源12及び眼底用光源62から出力される光が、角膜頂点を通過するように走査される。換言すると、前眼部OCT測定と眼底OCT測定において、Bスキャンの中心軸が一致している。すなわち、前眼部用光源12から出力される光のうちの当該中心軸を通過する光と、眼底用光源62から出力される光のうちの当該中心軸を通過する光は、同一の光路を通る。このため、Bスキャンの中心軸を通過する光の光路を追跡することにより、眼底の断層画像を補正することができる。なお、本実施例では、前眼部OCT測定と眼底OCT測定とでAスキャン速度が異なるため、各BスキャンにおけるAスキャン情報の数が異なるが、以下では便宜上、前眼部OCT測定の場合と同様に、Bスキャンの中心軸を通過する光を、m個のAスキャン光の第c番目の光として説明する。
具体的には、眼底の断層画像内の内境界膜と第c番目のAスキャン光との交点の座標は、前眼部の断層画像の歪み量を算出する処理と同様に、以下の式(6)~(10)により求めることができる。式中、n3は、水晶体の屈折率を表し、n4は、硝子体の屈折率を表す。
本実施例では、眼底OCT測定はテレセントリックスキャンとなっている。すなわち、第c番目以外のAスキャン光も、第c番目のAスキャン光に対して平行である。このため、前眼部OCT測定と眼底OCT測定眼底OCT測定により取得されたそれぞれの断層画像を合成した眼球の断層画像のうち、水晶体後面よりも眼底側の寸法を1/n4倍にした後、c番目のAスキャンの光線と水晶体後面の交点を中心として、上記で算出した角度だけ回転させることにより、図22(b)に示すように、実際の形状により近い断層画像を取得することができる。
本実施例では、前眼部用光源12と眼底用光源62の波長が異なっている。このため、厳密には被検眼Eの各部位の屈折率が波長分散により異なる。したがって、前眼部の断層画像の補正を行った後、眼底用光源62の波長に対応する屈折率に基づいて、再度第c番目のAスキャン光の光路を追跡してもよい。このような構成では、さらに精度の高い眼底の断層画像を取得することができる。
また、本実施例では、既知の値に基づいて水晶体の屈折率を設定したが、加齢や水晶体の混濁の程度により、被検眼の水晶体の屈折率は異なり得る。例えば、水晶体核は加齢により混濁が強くなり、屈折率が大きくなり得る。このため、被検者の年齢や水晶体の混濁の程度に応じて設定する屈折率を適宜変更してもよい。このような構成では、さらに高い精度で眼球の断層画像を取得することができる。さらに、本実施例では、水晶体の屈折率が水晶体内において一様であると仮定して断層画像の補正を行ったが、水晶体核を画像輝度によりセグメンテーションし、水晶体皮質と水晶体核のそれぞれに対して異なる屈折率を設定してもよい。このような構成では、より高い精度で眼球の断層画像を取得することができる。
また、本実施例では、眼底OCT光学系がテレセントリックスキャンであることから、Bスキャンの中心軸を通過する光(第c番目の光)の光路のみを追跡して眼底の断層画像を補正した。しかしながら、例えば、全てのAスキャン光に対して、光路を追跡することにより、眼底の断層画像を補正してもよい。このような構成では、さらに高い精度の眼球の断層画像を取得することができる。
以上の通り、演算装置200は、各断層画像を補正すると、眼軸長を算出する(図12のS22)。具体的には、図23に示すように、Bスキャンの中心軸に沿って、角膜から網膜色素上皮層(より詳細には、中心窩)までの距離を計測する。図23(a)は、前眼部での光の屈折が比較的小さい断面における補正後の断層画像を示しており、図23(b)は、前眼部での光の屈折が比較的大きい断面における補正後の断層画像を示している。演算装置200は、放射状に走査された全てのBスキャンにおける断層画像に対して当該距離を計測し、これらの距離の平均値を眼軸長として算出する。本実施例では、全ての走査角において、Bスキャンの中心軸を通過する光は同一の光路を通るため、全ての走査角における距離を平均化することで、セグメンテーションの誤差の影響が極めて小さい眼軸長を算出することができる。なお、水晶体の混濁等の影響により、セグメンテーションの誤差が大きい断層画像が存在する場合には、演算装置200は、他の走査角における断層画像のセグメンテーション結果に基づいて、誤差が大きい断層画像を除外してもよい。
次いで、演算装置200は、各断層画像において、水晶体後面から中心窩までの中心軸の三次元的な傾きを算出し、算出した傾きが所定の閾値よりも大きいか否かを判断する(S24)。例えば、図23(a)に示す例の断層画像においては、傾きが0°であると算出し、図23(b)に示す例の断層画像においては、傾きが3°であると算出する。演算装置200は、算出した傾きが所定の閾値(例えば、5°)よりも大きい場合(S24でYES)には、算出された眼軸長の信頼性が低く、白内障手術において意図した効果が得られないおそれがあることを警告する(S26)。当該警告は、例えば、タッチパネルモニタ174への出力によって行われる。
全ての測定(レフ測定、前眼部OCT測定、眼底OCT測定)が終了すると、演算装置200は、タッチパネルモニタ174に解析結果を出力する(S28)。本実施例の眼科装置1は、前眼部OCT測定、眼底OCT測定、レフ測定の各種測定を実施することができるため、被検眼Eの状態を総合的に解析することができる。解析結果としては、例えば、白内障手術の術前において被検眼の測定を実施することによって、眼内レンズ(Intraocular lens、IOL)度数計算、角膜収差、水晶体の混濁状態を算出することができる。また、白内障手術の術前において被検眼の測定を実施することによって、術前に予測した術後の被検眼Eの屈折力に対するエラーを評価することができ、IOL度数計算の精度向上に役立てることができる。また、緑内障である被検眼の測定を実施することによって、眼底の網膜厚分布から緑内障の進行を予測することができたり、閉塞隅角症をスクリーニングしたりできる。また、強度近視である被検眼の測定を実施することによって、被検眼の状態を詳細かつ総合的に検査することができる。
なお、図24に示すように、ラジアルスキャン角度(角膜頂点を中心とする周方向の角度位置)によって、水晶体後面と中心窩とを結ぶ直線の傾き(S24で算出した傾き)が変化する場合がある。図24に示す例では、被検眼Eに対する走査角が水平な状態を0°として表している。そこで、演算装置200は、最も傾きが大きな走査角(例えば、図24のラジアルスキャン角度0°)で取得された断層画像を抽出し、図25に示すように、当該断層画像の角膜と中心窩とを結ぶ直線の距離を眼軸長として算出してもよい。このように眼軸長を算出すると、固視ずれにより検査中に被検者の視線がずれた場合であっても、その影響を補正した(すなわち、視軸に近似する軸上での)眼軸長を算出することができる。また、IOL度数計算は、白内障手術の術後の被検眼Eの状態(例えば、IOL固定位置、眼軸長、角膜形状等)を予測して計算するため、このように算出された眼軸長は、術後の水晶体がないと仮定した状態での眼軸長に略等しく、当該眼軸長を算出することは非常に有用である。
また、眼軸長の算出においては、演算装置200は、以下に説明する通り、中心窩から角膜までの視軸に沿った距離を眼軸長として算出してもよい。演算装置200は、まず、被検眼Eの視線方向を特定する。具体的には、演算装置200は、図26に示すように、補正前の眼底の断層画像から中心窩の位置を特定する。そして、演算装置200は、特定した中心窩に対して照射されたAスキャン光が、m個のAスキャン光のうちの第何番目の光であるのかを特定する。演算装置200は、第k番目のAスキャン光が中心窩に対して照射された光であることを特定することにより、角膜前面へのAスキャン光の入射角度θk、すなわち、被検眼Eの視線方向を特定することができる。演算装置200は、被検眼Eの視線方向を特定すると、図27に示すように、補正後の眼底の断層画像から中心窩の位置を特定する。そして、演算装置200は、補正後の前眼部及び眼底の断層画像を利用して、中心窩の位置から角膜前面に向かって特定した視線方向と平行な方向に光路を逆追跡する。これにより被検眼Eの視軸を特定することができる。演算装置200は、特定した視軸に沿う中心窩から角膜前面までの距離を眼軸長として算出してもよい。
上述したように、本実施例の眼科装置1では、まず、前眼部OCT測定により取得した前眼部の断層画像の歪み量を算出して、前眼部の断層画像を補正する。ここで、本実施例では、前眼部用光源12から出力される光と、眼底用光源62から出力される光とが、同一平面内で同時に走査される。すなわち、この眼科装置1では、被検眼Eの同一平面内における断面を示す前眼部及び眼底の断層画像を取得する。したがって、前眼部の断層画像の歪み量を、眼底の断層画像の補正に利用することができる。このため、前眼部の断層画像の歪み量(すなわち、補正後の前眼部の断層画像)に基づいて、眼底の断層画像を補正することができる。このように、この眼科装置1では、前眼部の断層画像の歪み量を算出することで、複雑な処理を要することなく、前眼部の断層画像と眼底の断層画像の補正を行うことができる。
なお、被検者の固視方向が眼科装置1の光軸に対して傾斜している場合、Bスキャン方向と固視方向とが異なると、当該Bスキャン方向における断層画像に中心窩が描写されない場合があり得る。しかしながら、本実施例では、Bスキャンが角膜頂点を中心とする周方向の複数の位置で放射状に実行される。このため、全てのBスキャン方向のうち、少なくとも1つは固視方向に一致する方向となる。したがって、固視方向に一致するBスキャン方向における断層画像を取得することにより、中心窩の位置を特定することができる。この場合、中心窩が検出された断層画像のBスキャン方向と中心窩の位置とに基づいて、被検者の視線方向を特定すればよい。
(対応関係)
前眼部用光源12、眼底用光源62が、それぞれ「第1の光源」、「第2の光源」の一例である。前眼部OCT測定における測定用干渉光、眼底OCT測定における測定用干渉光が、それぞれ「第1の干渉光」、「第2の干渉光」の一例である。前眼部を含む範囲、眼底を含む範囲が、それぞれ「第1の範囲」、「第2の範囲」の一例である。Bスキャンが「特定走査」の一例である。角膜頂点、中心窩が、それぞれ「特定の位置」、「特定部位」の一例である。2次元スキャナ108が、「スキャナ」の一例である。
前眼部用光源12、眼底用光源62が、それぞれ「第1の光源」、「第2の光源」の一例である。前眼部OCT測定における測定用干渉光、眼底OCT測定における測定用干渉光が、それぞれ「第1の干渉光」、「第2の干渉光」の一例である。前眼部を含む範囲、眼底を含む範囲が、それぞれ「第1の範囲」、「第2の範囲」の一例である。Bスキャンが「特定走査」の一例である。角膜頂点、中心窩が、それぞれ「特定の位置」、「特定部位」の一例である。2次元スキャナ108が、「スキャナ」の一例である。
上述した実施例では、被検眼Eの前眼部及び眼底を含む範囲を検査する例を示したが、これに限られない。例えば、光源12、62から出力される光の中心波長を適宜調整したり、プローブ光学系26の構成を適宜変更して、被検眼Eの他の部位を含む範囲を検査してもよい。
また、上述した実施例では、前眼部OCT光学系と眼底OCT光学系とで2次元スキャナ108を共用したが、このような例に限られない。例えば、前眼部OCT光学系に専用の2次元スキャナを配置し、眼底OCT光学系に専用の他の2次元スキャナを配置してもよい。
また、上述したように、レフ測定光学系では、ドーナツレンズ138に代えてマトリクス状に配置された多数の微細なレンズを有するレンズアレイが設けられてもよい。このような構成では、レンズアレイに光が照射されると、多数の微細なレンズによって、これらのレンズと同数の光がレンズアレイから2次元センサ140に照射される。レンズアレイに歪んだ波面を有する光が照射されると、多数の微細なレンズのうち、歪んだ位置と対応する位置のレンズからは、光軸がずれた状態の光が2次元センサ140に照射される。すなわち、レンズ136と2次元センサ140との間にレンズアレイを配置することによって、レフ測定光学系に波面センサの光学系と同一の機能を付与することができる。このため、レフ測定光学系において、被検眼Eの全屈折力だけでなく、被検眼Eの全収差についても計測することができ、被検眼Eの屈折に関する情報をより詳細に計測することができる。
また、上述した実施例では、被検眼Eの屈折力の測定に、眼底用光源62から出力される光を用いた。しかしながら、被検眼Eの屈折力の測定に、眼底用光源62とは別の光源を用いてもよい。この場合、前眼部用光源12及び眼底用光源62から出力される光とは異なる波長の光を出力してもよく、例えば、中心波長が0.70μm以上0.95μm以下の波長の光を出力してもよい。0.70μm以上0.95μm以下の波長の光は、眼球内での透過率が高い。また、0.70μm以上0.95μm以下の波長の光は、被検眼Eの比視感度が低く、被検者が眩しさを感じ難い一方で、可視光に近いため視機能評価に適している。このため、屈折力の測定に、0.70μm以上0.95μm以下の波長の光を用いることによって、光源からの光を被検眼Eの眼底まで十分に照射することができると共に、被検眼Eの屈折力を計測するために好適な波長の光を出力することができる。
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
1:眼科装置
10:前眼部OCT干渉計
11:眼底OCT干渉計
12:前眼部用光源
20:測定光学系
26:プローブ光学系
30:較正光学系
40:参照光学系
50:干渉光学系
62:眼底用光源
66:測定光学系
70:参照光学系
80:干渉光学系
108:2次元スキャナ
200:演算装置
10:前眼部OCT干渉計
11:眼底OCT干渉計
12:前眼部用光源
20:測定光学系
26:プローブ光学系
30:較正光学系
40:参照光学系
50:干渉光学系
62:眼底用光源
66:測定光学系
70:参照光学系
80:干渉光学系
108:2次元スキャナ
200:演算装置
Claims (10)
- 被検眼に照射される第1の光を出力する第1の光源と、
前記被検眼に照射される第2の光を出力する第2の光源と、
前記第1の光の反射光から得られる第1の干渉光に基づいて、前記被検眼の第1の範囲の第1の断層画像を取得する第1の干渉計と、
前記第2の光の反射光から得られる第2の干渉光に基づいて、前記被検眼の前記第1の範囲とは異なる第2の範囲の第2の断層画像を取得する第2の干渉計と、
制御装置と、
を備え、
前記第1の光の光路である第1光路と、前記第2の光の光路である第2光路と、は一部が重複しており、
前記制御装置は、
前記被検眼に対して、前記第1の光と前記第2の光とを同一平面内で同時に走査する特定走査を実行し、
前記特定走査を実行することで得られる前記第1の断層画像の歪み量を算出して前記第1の断層画像を補正し、
前記特定走査を実行することで得られる前記第2の断層画像を、算出した前記歪み量に基づいて補正する、
眼科装置。 - スキャナ共用
前記第1光路と前記第2光路との一部が重複する重複区間に、前記第1の光を走査するとともに前記第2の光を走査するスキャナが配置されており、
前記制御装置は、前記スキャナを用いて前記特定走査を実行する、請求項1に記載の眼科装置。 - ラジアルスキャン
前記制御装置は、前記被検眼に対して、前記第1の光と前記第2の光が前記被検眼上の特定の位置を通るように前記特定走査を複数回実行し、
前記特定走査のそれぞれが、前記被検眼の前記特定の位置を中心とする周方向の異なる位置で放射状に実行される、請求項1又は2に記載の眼科装置。 - 前眼部テレセントリックスキャン
前記第1の範囲は、前眼部を含み、
前記スキャナと前記被検眼の間に配置されるレンズをさらに備えており、
前記スキャナは、前記第1の光源から出力される前記第1の光の前記被検眼への入射位置を変更可能であり、
前記第1の光が前記スキャナによって走査されるとき、前記被検眼に入射される光の進行方向が、互いに略平行になるように走査される、請求項1~3のいずれか一項に記載の眼科装置。 - 眼底テレセントリックスキャン
前記第2の範囲は、眼底を含み、
前記スキャナは、前記第2の光源から出力される前記第2の光の前記被検眼への入射位置及び入射角度を変更可能であり、
前記第2の光が前記スキャナによって走査されるとき、前記被検眼に入射される光の進行方向が、前記スキャナと前記被検眼との間で交差するとともに、前記被検眼内部において略平行となるように走査される、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科装置。 - 光路追跡
前記制御装置は、
前記特定走査における、前記被検眼の前記第1の範囲に含まれる複数の部位への前記第1の光の入射位置及び入射角度を算出し、
前記入射位置と、前記入射角度と、前記複数の部位それぞれの屈折率とに基づいて、前記第1の断層画像の前記歪み量を算出する、請求項3~5のいずれか一項に記載の眼科装置。 - 眼底画像補正の具体的構成
前記制御装置は、
前記被検眼に対して、前記第1の光と前記第2の光が前記被検眼上の特定の位置を通るように前記特定走査を実行し、
前記特定の位置に入射した前記第1の光に基づいて算出される前記第1の断層画像の前記歪み量に基づいて、前記第2の断層画像を補正する、請求項6に記載の眼科装置。 - 視線ずれ検出
前記制御装置は、前記第2の断層画像から前記被検眼の特定部位の位置を算出し、前記特定部位の位置に基づいて、前記被検眼の視線方向を特定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の眼科装置。 - 前記制御装置は、前記特定の位置を通る光の光軸と、特定した前記視線方向との間の角度を算出する、請求項8に記載の眼科装置。
- 前記制御装置は、補正後の第1の断層画像及び補正後の第2の断層画像に基づいて、前記被検眼の眼軸長を算出する、請求項1~9のいずれか一項に記載の眼科装置。
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