JP2023037567A - 蓄電・放電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】1つの受電地点において発電障害が発生しても電力系統全体としては、送電需要が変動しても適正な補助電力を効率的、かつ安価なコストで随時供給できる蓄電・放電システムを提供する。【解決手段】所定の電力系統から給電する交流源の受電地点を1つ以上備える蓄電・放電システムであって、所定の電力系統から給電する交流源を直流源に変換するAC/DCコンバータ2を設け、AC/DCコンバータ2が変換した直流源に基づいて二つ以上の等分可能な蓄電池群6A、6Bのいずれかの群を充電し、該充電された直流源を利用して放電資源により交流電力を放電もしくは放電し発電して、交流源の受電地点を、所定の電力系統に対して上位から下位に向うように、放電資源から放電もしくは放電し発電して系統へ並列する地点とは別に受電地点を1つ以上備える構成を特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、送電網を利用する蓄電・放電システムに関するものである。
日本の発電所は、CO2排出削減政策を受けて、自然エネルギーであるところの太陽光発電、風力発電、波力発電、水力発電等の開発も進みつつあるが、依然として火力発電および原子力発電が発電する電力供給に依存している。
ここで、水力発電の構造上の種類に着目してみると、「水路式発電所」、「ダム式発電所」、「ダム水路式発電所」の三態様あり、運用上の水力発電の種類は「流れ込み式発電所」、「調整池式発電所」、「貯水池式発電所」、「揚水式発電所」が挙げられる。この中で一日の電力需要に適応させる発電システムとして、「揚水式発電所」が重要な役割を果たしている。
具体的には、電力需要は、時間帯によって大きく異なることは周知事実であるが、夏の電力事情を考えてみると、冷房設備がフル回転する時間帯は、電力負荷が重くなる。
そこで、発電所を挟んで上部と下部に貯水池があり、夜間などの軽負荷時の余剰電力を使用することで、下部の貯水池の水を上部の貯水池に揚水し、昼間のような電力消費量がピークの際に、揚水した上部貯水池の水を下部の貯水池に流して発電する揚水式発電が注目されている(特許文献1、特許文献2参照)。
一方、下記非特許文献1には、日本における蓄電池システムとしての揚水発電のポテンシャルとコストについての懸念が開示されている。なお、下記非特許文献2~5は、本発明の技術的背景を示すものとして示し、その説明は省略する。
図10は、従来の楊水型発電システムの構成を説明する回路ブロック図である。
本例は、可逆式ポンプ水車201と、可逆式ポンプ水車201のランナー軸に直結された同期電動発電機202と、交流から直流および直流から交流への可逆変換が可能な第1の電力変換部211および第2の電力変換部212を有するとともに、電力系統に接続された第1の電力変換部211と同期電動発電機202に接続された第2の電力変換部212の間に設置された蓄電池213を有して構成された周波数変換器214と、可逆式ポンプ水車201のガイドベーンの開度を調整する調速機215と、第1の電力変換部211、第2の電力変換部212および調速機215を制御する制御装置216と、を備え、制御装置216は、外部からの無効電力指令および有効電力指令に従って第1の電力変換部211を制御する第1の周波数変換器制御部217を備える。
周波数変換器214は、発電運転時には同期電動発電機202によって発電された交流電圧を入力として、その周波数が電力系統側の周波数と一致するように変換する。
また、揚水運転時には電力系統から電力の供給を受けて同期電動発電機2を電動機として動作させるための駆動電力を生成する。周波数変換器214は、主要変圧器側に設置された第1の電力変換部211と、同期電動発電機202側に設置された第2の電力変換部212と、第1の電力変換部211と第2の電力変換部212との間に設置された蓄電池213とにより構成されている。第2の電力変換部212は同期電動発電機202の固定子巻線に接続されている。
同期電動発電機202は、その回転子が可逆式ポンプ水車201のランナー軸に直結されており、発電運転時には可逆式ポンプ水車201が水力により回転し、これに伴って回転子が回転して発電を行う。揚水運転時には周波数変換器214から駆動電力が印加されて電動機として動作し、可逆式ポンプ水車201を回転させて揚水を行う。同期電動発電機202は、回転子の回転速度を検出する回転速度検出器202Aを含んでいる。
同期電動発電機202の回転子巻線に供給される直流電流は、所内系統から供給された交流電力を整流する整流器218により生成される。この整流器218には、整流器218に対する制御信号であるゲート信号を生成する整流器制御部としてのAVR(Automatic Voltage Regulator:自動電圧制御装置)219が接続されている。
可逆式ポンプ水車201は、ケーシング201A、ランナー201Bおよびこれらの間に配置されたガイドベーンを備える。ケーシング201Aは上池につながっており、発電運転時にはガイドベーンを介してランナー201B側に水が流れる。
揚水運転時には逆方向に水が流れる。ガイドベーンの開度を変更すると、これに伴ってケーシング201Aからランナー201B側へ、または逆方向へ流れる水の量が変化する。すなわち、ガイドベーンの開度を調整することにより、発電運転時には発電量を、また、揚水運転時には揚水量を調整できる。
ただし、揚水運転時には、損失を最小限に抑えるため、同期電動発電機202の動作状態に応じた最適な開度となるようにガイドベーンは調整される。
制御装置216は、周波数変換器214および調速機215を制御する機器であり、外部から入力される無効電力指令、有効電力指令、上池水位および下池水位などの各情報に基づいて、周波数変換器214内の第1の電力変換部211および第2の電力変換部212を制御するためのゲート信号と、調速機215に対する指令信号(最適回転速度指令,最適ガイドベーン開度指令)とを生成する。
特開2015-012636号公報 特開2017-163745号公報 特開2015-19538号公報
低酸素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書日本における蓄電池システムとしての揚水発電のポテンシャルとコスト平成31年1月発行:国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター 著者岡村廸夫、電気二重層キャパシタと蓄電システム-第三版、日刊工業新聞社出版、2005年9月30日発行 編者電気化学エネルギー会議、大規模電力貯蔵用蓄電池初版、日刊工業新聞社出版、2011年3月28日発行 著者千葉幸、d-book揚水発電所、株式会社電気書院出版、2000年12月20日発行 著者萩野昭三、d-book変圧器の運転と試験株式会社電気書院出版、2000年12月12日発行
上述したように構成された揚水発電装置は、日本では約80年前から電力量の補完システムとして活躍してきた。揚水発電装置では、発電した電力を使い揚水して、その水の落下エネルギーを電力に変えて機動的にあらゆる電力の補完をしてきた。
また、揚水発電装置としての施設の広さは、上下の池が一辺100m前後の正方形相当の大きさの池が落差については貯水量に関わらず、コスト最小のためには落差を200m以上確保しなければならない等の技術的、かつ構造上の課題が指摘されていた。
さらに、揚水発電システムは常時水源を確保できる環境が必要とされ、水源から賄える水量をすべて放水してしまうと、以後発電することはできないため、補助的な発電設備としてしか機能させることができなかった。
一方、引用文献3に開示されている発電システムは、電力系統の1つの受電点に対してのみ複数の蓄電池を配置する構成を特徴としているが、発電システムそのものに何らかの発電障害が発生した場合には、障害が回復するまで当該発電システムは機能し得ないという課題も指摘されている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、所定の電力系統から給電する交流源の受電地点を1つ以上備える蓄電・放電システムにおいて、所定の電力系統から給電する交流源から変換される直流源を用いて直列化もしくは並列化される蓄電池を蓄電と放電とに交互に切替え制御して充電される直流源を利用して、放電資源により放電し、もしくは放電し発電した交流電力を所定の電力系統に連系させることで、1つの受電地点において発電障害が発生しても電力系統全体としては、送電需要が変動しても適正な補助電力を効率的、かつ安価なコストで随時供給できる蓄電・放電システムを提供することである。
本発明に係る蓄電・放電システムは、所定の電力系統から給電する交流源の受電地点を1つ以上備える蓄電・放電システムであって、前記交流源を直流源に変換され充電される複数の蓄電池群と、前記複数の蓄電池群のいずれかに充電された直流源を利用して放電もしくは、放電して発電する放電資源と、前記放電資源が放電もしくは放電に伴い発電した交流電力を前記所定の電力系統に連系させる連系手段を備え、前記交流源の受電地点は、前記所定の電力系統に対して上位から下位に向うように、前記放電資源から放電もしくは発電し系統へ並列する地点とは別に受電地点を1つ以上備える構成を特徴とする。
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
蓄電・放電システムの基本構成を説明するブロック図である。 本実施形態を示す蓄電・放電システムの基本構成を説明するブロック図である。 蓄電・放電システムの回路構成例を説明するブロック図である。 図3に示した蓄電・放電システムの要部構成を説明する回路ブロック図である。 蓄電・放電システムの回路構成例を説明するブロック図である。 図3に示した蓄電池の電池残量を検出するモニタ回路の一例を示すブロック図である。 蓄電・放電システムの放電制御方法を説明するフローチャートである。 蓄電・放電システムの放電制御方法を説明するフローチャートである。 図4に示す充電用コントローラが制御する各スイッチの状態を示す図である。 従来の揚水型発電システムの構成を説明する回路ブロック図である。
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態を示す蓄電・放電システムの基本構成を説明するブロック図である。本例は、三相交流電力を受電/送電可能な電力系統を例として説明する。また、本実施形態は蓄電・放電システムと称する。また、本明細書中において、蓄電池と記載する構成は、スーパーキャパシタやリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタ系とリチウムイオン電池などの二次電池(NAS電池などを含む)を含めた直流源として機能する蓄電池例の総称とする。また、本実施形態では、揚水型発電システムに本発明を適用する場合について説明するが、送電系統間であれば、山岳や都市といった地形的な要素に制限を受けずに本発明を適用できる。
以下、図2に示すように蓄電・放電システム500の単体構成を説明するが、本発明は、蓄電・放電システム500を所定の電力系統に複数配置する構成を特徴とするものである。
図1に示す蓄電・放電システム500において、513A、514B並びに5 15Cは、系統からの給電並びに系統連系を示す。受電点513Aは系統並列点 514Bより送電方向に対して前位にあり並列点(並列点514B)より先行して給電する。また、受電点515Cは系統並列点514B点より後位にあり並列点(並列点514B)より後に給電する。
本実施形態は系統からの受電地点を定めて受電するが、その地点については 図1では系統並列点514Bより送電方向に対して前位と受電地点515Cは系統並列地点514B点より後位にそれぞれ並列地点を基準として設定されている。
この前位後位の変更を認める。つまり受電地点から1つ以上の受電地点を後位に設けてもよいし、前位だけでも後位だけでもよい。これは放電資源7Aから並列地点の前ですべて受電すれば電気エネルギーロスにつながる場合もあり、それによって系統の周波数などが影響されるようであれば、各々前位と後位にするか、すべて後位にするかのいずれかである。受電後の回路構成は変わらない。図1は前位後位なので以後説明は図1を基準として記す。
なお、本実施形態において、受電する変圧器は2台以上が望ましく、かつ変圧器の並行運転(2台以上)を行う。これは同一定格の2台以上の変圧器を並行運転する場合、負荷が大幅に減少したときには1台で運転した方が有利になるが、その分界点を求めると、1台の変圧器の鉄損Pi、1台の変圧器の銅損Pcとするとき、変圧器2台で運転した場合、1台運転の場合の損失(Pl、Pl')をそれぞれ計算すると、
2台の場合の損失 Pl=2Pi+2Pcα2
1台の場合の損失 Pl'=Pi+Pc(2α)2
ただし、変圧器2台で並行運転している場合に、(変圧器1台が分担する負荷容量)/(変圧器1台の定格容量)=αとして、変圧器1台で運転する方が、損失が少なく済むαの範囲を求めてみると、以下の関係式をみたす。
Pl>Pl'→α<(Pi1/2/(2Pc)1/2)、ここで、Pi1/2/(2Pc)1/2)をβとおくと、
αが上記β未満になったときには1台で運転の方が有利となる。ここで、鉄損に対する銅損の割合を損失比(k=Pc/Pi)というが損失比kは、おおむね巻鉄心の場合は4~6、積層鉄心の場合は3~4程度なので、一例としてk=4とすれば、αは35.3%になる。
すなわち、負荷容量が定格負荷(変圧器2台の定格容量の合計)の35.3%未満のときは、変圧器1台で運転した方がいいことになる。
しかし、35.3%未満にならなくても充電用コントローラ3に供給される電量が少なくした方が良い場合に変圧器1台で運転しなければならない。
これは蓄電池群(蓄電池群6Aおよび蓄電池群6B)に充電するが、図5にあるように残量監視モニタ21A(21B)で個々の蓄電池を監視しており蓄電池の端子電圧が低い時(充電量が少ない時)大電流で充電し端子電圧が上がり(充電量が大きい時)極少電流で充電するのが蓄電池の耐用年数を伸ばすために充電電量を変化させるのが良いためである。
図1の3は充電用コントローラで、AC/DCコンバータ1またはAC/DCコンバータ2により交流電圧(高圧源)を直流電圧(直流源)に変換して、蓄電池群6を構成する蓄電池群6Aまたは蓄電池群6Bのいずれか一方を充電するように切替え制御する。
蓄電池群6Aまたは蓄電池群6Bは、同形式、同容量(KW)の蓄電池群で構成されている。蓄電池群6Aまたは蓄電池群6Bは、いずれか一方が充電中の状態の場合、他方が放電可能な状態、すなわち送電可能な状態となる。
より具体的には、充電用コントローラ3は直流に変換された直流源を第1の充電回路(AC/DCコンバータ1側を直流源とする)3Aと第2の充電回路(AC/DCコンバータ2側を直流源とする)3Bとから入力される直流電圧とをスイッチング部3Cを介して切り替え調整し、蓄電池群6の蓄電池群6Aまたは蓄電池群6Bのいずれかを充電する。
なお、蓄電池群6の種類により定電圧か定電電流かは、使用する蓄電池群の構成に合わせて設定充電をする。ちなみに、蓄電池群6Aまたは蓄電池群6Bがリチウムイオン電池群で構成される場合は、複数個直並列などでも違ってくるが、単体での電圧値は電池一つにつき4~5(V)である。また、第1の充電回路と、第2の充電回路とは同容量(KW)の蓄電能力を備えている。
ここで、蓄電池群を構成する蓄電池群6A、6Bの寿命はサイクル寿命として表せるが、現実問題として電池の寿命は放電の深浅により極端に影響される。ちなみにニカド電池では5%の放電深度なら120,000サイクル持つという。よって、蓄電池群6A、6Bで深い充放電を繰り返すとサイクル寿命は極端に短くなる。それに蓄電池群6A、6Bは一般に低温で容量が減少し高温で劣化が進む。またNAS電池のように内部温度が300度になるものもあり、運転する蓄電池群6A、6Bの温度管理をしながら満充電から何%電圧かを基準として設定し充電・放電を行うものとする。
一方、キャパシタを例に取ると静電容量Cファラドのキャパシタの端子電圧Vは放電により残存電力量Uモジュールとの間は、U=(CV2)/2が成立する。
これを電圧Vについてみると、V=√(2U/C)の関係を満たす。
上式において、端子電圧Vは蓄電量Uの平方根に比例して降下していくことが解る。そこで、図5の残量監視モニタ21A(21B)で正確に監視して適切に充電と放電を切り替えることとなる。
蓄電池群6A、6Bの寿命は1個体の蓄電池よりも、2個体の蓄電池群を充電と放電に切り替えて使えば1個体で充放電するよりは寿命は倍と単純計算でなるも、それ以上に寿命を伸ばすためにもモニタの監視を行う構成は必ず必要である。
また、蓄電池群の種類よりその動作など違うも、概ね化学反応で使われることから電圧ゼロまで放電しないことや、満充電まで充電しないことを守りその蓄電池群の規格に合った最適な充放電域を設定して使用する。
7は系統連系部で、蓄電池群6を利用して第1~第3の放電資源により放電し、もしくは放電し発電した交流電力を所定の電力系統に連系させる。本実施形態では、系統連系部7は、蓄電池群6が供給する直流源を利用して放電や発電する第1~第3の放電資源7A~7Cから交流電力に変換された電力を系統に連系させ、補助電力を随時供給することが可能に構成されている。なお、後述するように系統連系部7は、第1~第3の放電資源7A~7Cのいずれか、あるいはこれらの組合せを選択して放電・発電することが可能に構成されている。
第1の放電資源7Aは、水力部分を蓄電池群6に置き換え、かつ、蓄電池群6で電動機を駆動し、連系すべき系統と同期している該発電機の回転子を任意の回転速度にして発電した交流源を、変圧器を介して送電可能な電圧に昇圧(1100KV)して送電する(可変速揚水発電の電池型)である。
第2の放電資源7Bは、特許文献1に示した水力部分を蓄電池群6に置き換え、かつ、蓄電池群6で電動機108を回し、該回転力を発電機の回転子を回転駆動させて発電した交流源を、変圧器を介して、送電可能な電圧に昇圧(1100KV)して送電する。なお、各放電資源7A~7Cについては図6を参照して詳述する。
第3の放電資源7Cは、蓄電池群6A、6Bから放電される直流源をDC/ACコンバートし交流変換した後、交流電圧を変圧器で昇圧(1100KV)して送電可能な交流源(特別高圧)に変換する(系統連系回路と一体型となる)電池型である。
本実施形態に示す蓄電・放電システムは、所定の受電地点513A、515Cから主要変圧器を介して給電する交流源を直流源に変換するAC/DCコンバータ1,2を備え、直流源に基づいて充電される複数の蓄電池群6A、6Bに充電された直流源を系統連系回路として機能する第1~第3の放電資源7A~7Cに連系させ、主要変圧器を介して所定の受電地点513Aと所定の受電地点514Cとの間の系統並列地点514Bに特別高圧に昇圧させて送電する構成を特徴としている。
図2は、電力系統に対して複数の受電点毎に蓄電・放電システムを配置した補填型の蓄電・放電システムの構成を説明するブロック図である。なお、図1と同一のものには同一の符号を付して説明を省略する。また、この補填型の蓄電・放電システムを揚水発電の電池型の蓄電・放電システムと呼ぶ場合がある。
図2において、500A~500Cは揚水発電の電池型の蓄電・放電システムであって、図1に示した蓄電・放電システム500と略同様の構成を備え、かつ、同量の発電能力を備えるものとする。基幹発電所5001は、下位の電力系統に接続される間で、複数の蓄電・放電システム500A~500Cが介在して発電した電力を送電可能に構成されている。したがって、発電障害が蓄電・放電システム500Bで発生したとしても、蓄電・放電システム500A、500Cは正常に発電した電力を送電できるため、引用文献3に示すような単一の蓄電放電システムに比べて、発電効率が格段に向上させることができる。
具体的には、D地点では、基幹発電所5001で発電した電力量より、はるかに大きい電力量を下位系統に送電できる。ここで、複数の蓄電・放電システム500A~500Cの発電には、化石燃料が不要であり、かつ、原子力も不要な発電システムを採用している場合には、放射能廃棄物の処理も不要となる。
また、蓄電・放電システム500A~500C自体は、既存の電力系統に事後的に設備を増設する構成を採用できるため、電力事情、都市部、山岳部、海岸部の地域差に影響を受けず、かつ、外国で稼働している電力設備にも柔軟に設備を増設することが可能である。
このように、図2に示す蓄電・放電システムの交流源の受電地点は、所定の電力系統に対して上位から下位に向うように、放電資源から放電もしくは発電し系統へ並列する地点とは別に受電地点を1つ以上備える構成を採用することで、上述した効果を期待できる。
また、図2に示す蓄電・放電システムは、地点A~Cまで細切れにする構成を採用したのは、例えば地点Cのみ止める、または、地点Bのみ止めるということが図示しない発電量監視制御センター内に設置される発電制御ボタンを操作することで遠隔制御することができる。
つまり、地点Dで系統に連系する前段階で電力の調整が可能となるばかりか、もちろん、電力消費量に基づいて基幹発電所5001での発電量で送電することも可能となる。
以上のように、上記蓄電・放電システムを実施することで、1つの基幹発電源から発電量を容易に増量調整可能となる。
また、基幹発電所5001での発電が何らかの事故で発電できない状態に至った場合でも、蓄電・放電システム500A~500Cは発電に使っている片方の蓄電池群と、貯めてスタンバイしている蓄電池群があり、それらを使って発電することもできる。つまり、この場合は、他から電力を受けることなく自己発電のみで通常の送電量を賄うことも可能となる。
なお、蓄電・放電システム500A~500Cにも、それぞれの発電タイミングを制御しても、基幹発電所5001の一時的なバックアップ発電として機能するに留まる故、蓄電・放電システム500A~500Cは、基幹発電所5001の発電、送電が復旧するまでは十分な予備発電システムとして機能させることができる。
上述のように、蓄電・放電システムで発電した電力の用途は、単独で複数の蓄電池群を充電・放電を繰り返すことで発電するシステムに加えて、基幹発電所5001が揚水発電機の構造体である電動機に置き換えた場合に、その電動機を駆動する電力源としての用途にも適用可能である。つまり、蓄電・放電システムと、揚水発電機を利用する発電システムとは、発電システムとして直接的か、間接的かは異なるが、発電システムに連関している技術的関係を形成している。
したがって、本出願人は、蓄電・放電システムにおいて、複数の蓄電池群を利用して発電する構成と、複数の蓄電池群を利用して発電した電力の供給を受けて既存発電機を駆動させる構成との間には、一般的発明概念を形成するように連関した技術的関係を満たすものと考えている。
なお、本実施形態においては、図1に示すように、二つ以上で等分可能な蓄電池群6A、6Bを充電専用と放電専用とに等分に分けて設置し、充電用コントローラ3がそれを切り替えて、いずれか放電用の蓄電池群残量が予め決めた残量値となる場合、充電側の蓄電池群総てと放電側の蓄電池群総てを入れ替え制御している。
以下、系統連系部7を構成する第1~第3の放電資源7A~7Cの構成について詳述する。
図3は、本実施形態を示す蓄電・放電システムの回路構成例を説明するブロック図である。なお、基本的には、図10に一例を示した揚水型発電システムに本発明を適用する例を説明する。具体的には、揚水発電の水力部分を蓄電池群6に置き換え、蓄電池群6の直流源により第1の放電資源7Aを構成する電動機を駆動し、さらに電動機の回転軸と直結される電動発電機107により発電を行う。
図3に示す蓄電・放電システムは、電動発電機107と蓄電池群6の直流源で駆動する電動機108を同期させ、同期後に電動機108側から回転変化をさせ発電量および発電状態をコントロールすることを特徴とする。
ここで、電動発電機107は、特許文献1に示した揚水型発電システムの水路系を蓄電池群6に水力を使う部分などに代えて、蓄電池群6のみに置き換えた構成としている。
これにより、電動発電機(発電機)107の回転子に直結した電動機108を任意の回転速度で運転でき、周波数などの制御も可能となる。
なお、同期した電動機108の回転速度指令は、図3に示す制御装置61から変換装置62に伝えられ、電動機108の回転子107Aの回転速度を制御する。これにより、同期後の電動発電機107の発電を制御装置61から伝えられる指令に基づいた発電となり、AFG調整や系統騒乱にたいしても安定度が期待できる。なお、変換装置62は、周波数と電圧を同時に変えるVVVFインバータとして構成される。
〔第1の系統連系〕
図4は、図3に示した蓄電・放電システムの要部構成を説明する回路ブロック図である。以下、図4を参照して、第1の系統連系の要部構成を説明する。
図4において、第1の放電資源7Aを構成する電動機108の回転軸は、同期電動発電機107の回転軸に直結されている。同期電動発電機107の回転子は、三相巻線形で二次励磁装に接続される。二次励磁装置64は数(Hz)の低周波化数を出力する変換装置62と励磁用変圧器63および制御装置61で構成されている。102は主要変圧器で、一方が並列用遮断器65Aに接続され、他方が並列用遮断器65Bに接続される。
なお、本例は、可変速機のポンプ水流車部を電動機108に置き換えた構成を特徴とする。
ここで、図4に示した同期電動発電機107の固定子の回転速度をn1にすると、固定子磁界の回転速度n1と回転子の回転速度n2との差n2に相当する低い周波数(滑り周波数)で回転子巻線L1~L3を交流励磁すれば、同期電動発電機107を常に系統に同期させながら回転子を任意の回転速度に制御が可能となる。
これにより、回転子に直結した電動機108を任意の回転速度で運転でき、周波数などの制御も可能となる。
なお、同期電動発電機107の回転速度指令は、図4に示した制御装置61から変換装置62に伝えられ、電動機108の回転子の回転速度を制御する。これにより、同期後の同期電動発電機107の発電を制御装置61から伝えられる指令に基づいた発電となり、AFG調整や系統騒乱にたいしても安定度が期待できる。なお、変換装置62は、周波数と電圧を同時に変えるVVVFインバータとして構成される。
第1の系統連系によれば、可変速揚水型の発電システムの構成を大幅に変更することなく、充電された蓄電池群を構成する蓄電池群6A、6Bを直流源とする電動機で同期発電機を回転駆動するというシンプルな構成を採用しているので、揚水発電の水車部を電動機108に容易に置き換えることができる。
これにより、安価なコストと小規模なシステム構成で可変速揚水発電と同等の電力を送電することができる。以上、電動発電機の可変速型と呼ぶ。
〔第2の系統連系〕
図5は、図1に示した系統連系部7のその他の構成を説明するブロック図である。なお、図1と同一のものには同一の付してその説明を省略する。以下、図3を参照して、第2の系統連系の要部構成を説明する。
図5において、充電用コントローラ3は、図1に示した充電回路系Aと充電回路系Bとを合流させて接続され、蓄電池群を構成する蓄電池群6A、6Bの種類により定電圧回路か、定電流回路かなど機器を制御することで充電プロセスを総括的に制御する。なお、蓄電池群を構成する蓄電池群6A、6Bは残量など常に監視が必要となるので、図6に示す残量監視モニタ21A、21Bを用いて、並列接続される蓄電池群6Aまたは蓄電池群6Bの電池残量をモニタ監視している。
図6は、蓄電池群6A、6Bの電池残量を検出するモニタ回路の一例を示すブロック図である。
図6に示すモニタ回路は、蓄電池群6A、6Bの電池残量を個体ごと所定の検出方法を用いて検出し、その検出データは、充電用コントローラ3に出力されている。
なお、各蓄電池群6A、6Bの電圧をモニタする際、図3に示す充電用コントローラ3が各スイッチSW1~SW4の切り替えを制御する。また、各スイッチSW1~SW4の動作要件は図8に準ずる。
図9に示すように、ケース1並びにケース2は片方を充電しながら違う方を放電として使っている。
ケース3並びにケース4は、充電が終わり、充電スイッチが断線状態で放電のみ継続中の状態である。なお、充電が終わらずに充電スイッチを切る場合がある。放電群で個体ごとに監視している蓄電池群の一番早く残量監視モニタが少なくなっている個体があれば、それを知らせ、やむなく充放電を入れ替える場合である。これは揚水発電に例えれば、上池水位が少なくなりシステムを停止しなければならないような場合に近づいている時である。また、ケース5は全て断線状態である。これは連系系統が断線もしくは何らかの事故で系統から解列した場合、充電したまま「発電送電待ち」の状態である。
また、系統から解列した場合で充電のみを実行したい場合、別回路になるも発電側から直接蓄電池群6Aまたは蓄電池群6Bに充電するような場合は、スイッチSW1並びにスイッチSW2を通電状態とする。
そして、蓄電池群6A、6Bからインバータ回路11を経由して電動発電機110を駆動する。なお、第2の放電資源7Bを構成する電動発電機110から発電された交流源は系統連系用回路12を経て系統連系514Bへ連系するように送電される。したがって、系統連系用回路12は、系統連系514Bを介して、図5に示したように、一部が充電回路系Bへフィードバックされるように送電される構成を採用している。
第2の系統連系によれば、蓄電池群6Aまたは蓄電池群6Bからインバータ回路11を使い可変電圧可変周波数方式の変換を行い、インバータ回路11により電動発電機110を駆動するというシンプルな構成を採用しているので、第1の放電資源の構成よりも、さらに簡単な構成で揚水発電と同等の電力を送電することができる。ここで動力に使う蓄電池からの放電電量が少ないか、もしくは容量が小さい場合は、充電用・放電用の各々の蓄電池群の蓄電池個数を増やすか各々の蓄電池容量を引き上げるかで解決する。
以上、図5を基に述べたが、水力を使った揚水発電で図3に掲載の発電部分ではない発電後の系統並列前に演算装置103で、実無効電力や実有効電力もしくは実電圧など計測し、最適な速度指令をしている。
このように発電部分ではない様々な技術等は図3のような既存技術を流用する。
つまり揚水発電の電池型であり、蓄電池を使った電動発電機のことである。
〔第3の系統連系〕
第3の系統連系は、第3の放電資源7Cを構成する図4に示すインバータ回路11により変換される交流源を図示しない変圧器を介して昇圧した6600Vを所内系統に送電する構成とする。本システムは、NASシステムを用いて蓄電池群6Aまたは蓄電池群6Bを構成する場合に最適なシステムである。
第3の放電資源と、第1、第2の放電資源との構成上の相違点は、系統からの給電を直流源に変換して蓄電池群6Aまたは蓄電池群6Bを充電する構成とし、蓄電池からの放電をインバータなどのいわゆる静止系変換装置から系統に連系することで、発電機などの回転体は使わない点である。
したがって、系統からの給電などを主とすれば、副として太陽光発電や風力発電など電力を本システムと組み合わせることでさらに、太陽光発電や風力発電による発電量が期待できない天候状況に推移した場合でも、第3の放電資源により送電することで、太陽光発電や風力発電量の変動を確実に抑えて安定した送電を行うことができる。
図7は、本実施形態を示す蓄電・放電システムの発電制御方法の一例を示すフローチャートである。なお、(1)~(10)は各ステップを示す。なお、各ステップは、充電用コントローラ3が図示しないメモリ部に記憶される制御プログラムを実行することで実現される。
まず、充電用コントローラ3は、蓄電池群6Aと蓄電池群6Bとの電位を残量監視モニタ部21A,21Bから取得して、蓄電池群6Aの電位VAと、蓄電池群6Bの電位VBとを比較して、電位VA>電位VBが成立するかどうかを判断する(1)。
ここで、充電用コントローラ3は、電位VA>電位VBが成立すると判断した場合、蓄電池群6Aから給電させるように制御するとともに(2)、蓄電池群6Bを充電させるように制御する(3)。
次に、充電用コントローラ3は、蓄電池群6Bの電位VBが満充電レベルかどうかを判断する(4)。ここで、充電用コントローラ3は、蓄電池群6Bの電位VBが満充電レベルであると判断した場合、放電用の電池群を蓄電池群6Aから蓄電池群6Bに切り替える(5)。
次に、充電用コントローラ3は、蓄電池群6Aの電位VAが満充電レベルかどうかを判断する(6)。ここで、充電用コントローラ3は、蓄電池群6Aの電位VAが満充電レベルであると判断した場合、ステップ(2)へ戻り、蓄電池群6Aから給電させるように制御する。
一方、ステップ(6)で、充電用コントローラ3は、蓄電池群6Aの電位VAが満充電レベルでないと判断した場合、ステップ(5)へ戻り、蓄電池群6Bに切り替える。
一方、ステップ(1)で、充電用コントローラ3は、電位VA>電位VBが成立しないと判断した場合、蓄電池群6Bから給電させるように制御するとともに(7)、蓄電池群6Aを充電させるように制御する(8)。
次に、充電用コントローラ3は、蓄電池群6Aの電位VAが満充電レベルかどうかを判断する(9)。ここで、充電用コントローラ3は、蓄電池群6Aの電位VAが満充電レベルであると判断した場合、放電用の蓄電池群を蓄電池群6Bから蓄電池群6Aに切り替える(10)。
次に、充電用コントローラ3は、蓄電池群6Bの電位VBが満充電レベルかどうかを判断する(11)。ここで、充電用コントローラ3は、蓄電池群6Bの電位VBが満充電レベルであると判断した場合、ステップ(7)へ戻り、蓄電池群6Bから給電させるように制御する。
一方、ステップ(11)で、充電用コントローラ3は、蓄電池群6Bの電位VBが満充電レベルでないと判断した場合、ステップ(10)へ戻り、蓄電池群6Aに切り替える。
これにより、充電または放電を繰り返す蓄電池群6A、6Bを適切なタイミングで切り替えることができ、蓄電池群6A、6Bの電池寿命を延命できる。
図8は、本実施形態を示す蓄電・放電システムの放電制御方法の一例を示すフローチャートである。本玲は、図示しない制御ユニットが充電用コントローラ3を制御して系統連系の可否を判断して直流源を切り替え制御する例である。なお、(21)~(30)は各ステップを示す。なお、各ステップは、なお、図示しない制御ユニットのメモリ部に記憶される制御プログラムを実行することで実現される。
制御ユニットは、系統間で電力供給不足が発生し得る状態であるかどうかをリアルタイムで変動する電力需要指標に基づいて、系統連系を実行するべきかどうかを判断する(21)。電力需要指標とは、電力会社が夏場の電力需要動向から試算される当日の%値である。
ここで、制御ユニットが系統連系を実行しないと判断した場合、通常の発電モードを設定して(22)、通常の送電を開始し(23)、ステップ(21)へ戻る。一方、ステップ(21)で、制御ユニットが系統連系を実行すると判断した場合、送電系統を系統連系モードに設定する(24)。
次に、制御ユニットは、充電用コントローラ3から蓄電池群6からの給電が可能な状態、すなわち直流源の準備がOKかどうかを判断する(25)。
次に、制御ユニットは、充電用コントローラ3に問い合わせて、蓄電池群6Aが充電中かどうかを判断する(26)。ここで、蓄電池群6Aが充電中であると判断した場合、蓄電池群6Bから系統連系部を構成する系統連系部7へ直流源を給電する(28)。次に、制御ユニットは、系統連系を終了する状態であるかどうかを上記電力需要指標に基づいて判断する(29)。ここで、制御ユニットは、系統連系を終了する状態でないと判断した場合は、ステップ(26)へ戻る。
一方、ステップ(29)で、制御ユニットは、系統連系を終了する状態であると判断した場合、送電系統の切り替えを指示し(30)、通常の送電に戻すため、ステップ(22)へ戻る。
一方、ステップ(26)で、蓄電池群6Aが充電中でないと判断した場合、蓄電池群6Aから系統連系部を構成する系統連系部7へ直流源を給電する(27)。以下、ステップ(29)へ進み、同様の処理を繰り返す。
こうして放電用蓄電池群からインバータなどを経由して発電機などの動的機械を使わず系統へ並列し連系する。
これにより、適切なタイミングで系統連系に基づく放電を行い、電力需要を満たすように送電を行うことができる。動的な発電機を使わずインバータなどの静止系変換装置から系統に連系するもので、いわゆる電池型と表現される。
〔本実施形態の効果〕
本実施形態によれば、蓄電池群を二つ以上用意して二つに分け、片方の電池モジュール集団を充電のみ、もう一方の電池モジュール集団を放電のみとして放電部分の電圧等を常時監視し放電蓄電池残量が少なくなった時、充電と放電を入れ替えて使えるので、一定期間でみると充放電の回数を大幅に減らし蓄電池群の寿命を長くすることができる。
また、本実施形態によれば、充電側の蓄電池群6Aが満充電近くとなった時、まだ、蓄電池群6Bが放電中であれば充電側の蓄電池群6Aへの充電を止め、蓄電池群6Bからの放電のみとし、さらに、放電中の蓄電池群の残量が少なくなった時は、まだ充電側の蓄電池群が満充電状態でなくても充電側と放電側を切り替えるので、双方の蓄電池群の充放電状態に適応した送電を行える。
さらに、本実施形態によれば、電動発電機から発電された電力を系統に連系し、その一部を動力に使用する蓄電池群にフィードバックさせ、かつ系統連系前の系統から給電電力と共に蓄電池群部分の充電に使う構成としているので、蓄電された電力を充電側と放電側を入れ替えて使うので長い時間動力に使うことが可能となる。
このように各実施形態によれば、既存の揚水発電システムに比べて、複数の蓄電池群からなる電池群を交互に充電、放電を繰り返すという簡単な構成なので、揚水型発電システムと同等以上の発電量を持ちながら安定した送電を行うことができる。
また、安定した電力であれば蓄電池群に与える負荷が軽くなり、必ずしも大電力での給電が好ましくないケースにも柔軟に対応可能となる。
例えばリチウムイオン電池に大電力(大電流)で充電しようとすると火災が発生するからである。
また、本実施形態によれば、系統からの給電で、系統連系前に系統から給電する電力と、系統連系した後に系統から給電する電力とを合算して充電電力としているので、どちらか一方のみとするよりは系統への負荷軽減することができるとともに、二つの充電電力を同一に設定することで同様に負荷軽減できる。
なお、系統連系の前後では周波数などの微妙な違いがあるが、連系前後の二つの変圧器の巻数比を同一とすることで両方の給電電力はほぼ同一とすることができる。
また、上記実施形態によれば、揚水発電の発電部分を電動発電に置き換えた構成としているので、高位置から水量を落として発電機を回して発電するような大規模な施設は必要なくなり、発電コストを大幅に軽減できる。具体的には、従来の課題である揚水型発電システムにおける高コストで、占有面積が嵩むのに対して、低コストで、占有面積も格段に抑えることができる。
なお、上記実施形態では、蓄電池群6A、6Bを1セットとして直流源を構成する場合について説明したが、蓄電池群6A、6Bを複数セットと並列に接続してなるように構成してもよい。
なお、上記実施形態では、所定の電力系統から給電する交流源の受電地点を1つ以上備える蓄電・放電システムについて詳述しているが、所定の電力系統から給電を受ける構成として、図1に示したように、上位の電力系統と、下位の電力系統とが送電線を介して接続され、上位の電力系統と前記下位の電力系統との電力を利用して発電する発電システムにおいて、上位の電力系統からの上位電力と、下位の電力系統からの下位電力とをから給電されるそれぞれの交流源を直流源に変換され充電される複数の蓄電池群と、複数の蓄電池群のいずれかに充電された直流源を利用して放電もしくは発電する放電資源と、放電資源が放電もしくは放電に伴い発電した交流電力を所定の電力系統に連系させる連系手段を備え、交流源の受電地点は、所定の電力系統に対して上位から下位に向うように、放電資源から放電もしくは発電し系統へ並列する地点とは別に受電地点を1つ以上備える構成を特徴とする構成としてもよい。
また、図2に示した複数の蓄電・放電システム500A~500Cが独自に蓄電・放電する場合に限らず、いずれか1つの蓄電・放電システムが独自に蓄電・放電するシステムと、可変速揚水発電の水力部分を蓄電池群6に置き換え、蓄電池群6の直流源により第1の放電資源7Aを構成する電動機を駆動し、さらに電動機の回転軸と直結される同期電動発電機107により発電を行うシステムとを複合的に組み合わせた蓄電・放電システムとして構成してもよい。
このように既存の発電設備の構成を大幅に変更することなく、複数の蓄電池群を利用して発電した電力を利用して発電・送電させることも可能となるため、発電コストの上昇を抑えながら、かつ、効率よく発電・放電を繰り返すシステムを構築できる。
上記発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
(1)所定の電力系統から給電する交流源の受電地点を1つ以上備える蓄電・放電システムであって、前記交流源を直流源に変換され充電される複数の蓄電池群と、前記複数の蓄電池群のいずれかに充電された直流源を利用して放電もしくは発電する放電資源と、前記放電資源が放電もしくは放電に伴い発電した交流電力を前記所定の電力系統に連系させる連系手段を備え、前記交流源の受電地点は、前記所定の電力系統に対して上位から下位に向うように、前記放電資源から放電もしくは発電し系統へ並列する地点とは別に受電地点を1つ以上備える構成を特徴とする。
(2)二つ以上で等分可能な蓄電池群を充電専用と放電専用とに等分に分けて設置し、それを切り替えて、いずれか放電用の蓄電池群残量が予め決めた残量値となる場合、充電側の蓄電池群総てと放電側の蓄電池群総てを入れ替え制御する制御手段を備えることを特徴とする。
(3)前記複数の蓄電池群に充電される前記直流源を利用して放電もしくは発電する第1~第3の放電資源を備えることを特徴とする。
(4)前記第1の放電資源は、前記直流源により駆動する電動機が電動発電機の回転子を回転駆動して発電することを特徴とする。
(5)前記第2の放電資源は、前記直流源をインバータにより交流源に変換した後、電動発電機を駆動して発電することを特徴とする。
(6)前記第3の放電資源は、前記直流源をインバータで交流源に変換して発電することを特徴とする。
日本および世界の電力事情に応じて、本システムを普及することが可能であれば、豊富にある電力を使い現在より数段上の経済活動が可能となる。
つまり基幹となる原子力や火力、もしくは水力などの発電システムの下流域相当地点で本システムを多数配置発電すれば数段上の電力消費が可能となる。またこのシステムのみを表現すれば、原子力や火力、もしくは水力などはいらず燃料などといわれるものはない。
つまり、本実施形態に示す蓄電・放電システムを普及させることで、代替発電システムの領域を超えて、電力ネットワーク(系統)の中心的役割を担うことも期待できる。
さらに、本実施形態に示す蓄電・放電システムは、系統間であれば適用可能であるため、山岳地域のみならず、都市型の発電システムとしても適用可能であり、電力事情が不安定な世界各国で実施されることが望まれる。
また、先に説明したように本システムのみを見れば、CO2も放射線も出さないし巨大発電施設工事もいらない。
6A 蓄電池群
6B 蓄電池群
3 充電用コントローラ
11 インバータ回路
107 電動発電機

Claims (6)

  1. 所定の電力系統から給電する交流源の受電地点を1つ以上備える蓄電・放電システムであって、
    前記交流源を直流源に変換され充電される複数の蓄電池群と、
    前記複数の蓄電池群のいずれかに充電された直流源を利用して放電もしくは発電する放電資源と、
    前記放電資源が放電もしくは放電に伴い発電した交流電力を前記所定の電力系統に連系させる連系手段を備え、
    前記交流源の受電地点は、前記所定の電力系統に対して上位から下位に向うように、前記放電資源から放電もしくは発電し系統へ並列する地点とは別に受電地点を1つ以上備える構成を特徴とする蓄電・放電システム。
  2. 二つ以上で等分可能な蓄電池群を充電専用と放電専用とに等分に分けて設置し、それを切り替えて、いずれか放電用の蓄電池群残量が予め決めた残量値となる場合、充電側の蓄電池群総てと放電側の蓄電池群総てを入れ替え制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の蓄電・放電システム。
  3. 前記複数の蓄電池群に充電される前記直流源を利用して放電もしくは発電する第1~第3の放電資源を備えることを特徴とする請求項1に記載の蓄電・放電システム。
  4. 前記第1の放電資源は、連系すべき系統と同期する電動発電機を、前記直流源により電動部分の回転子を回転駆動して発電することを特徴とする請求項1に記載の蓄電・放電システム。
  5. 前記第2の放電資源は、前記直流源をインバータにより交流源に変換した後、電動発電機を駆動して発電することを特徴とする請求項1に記載の蓄電・放電システム。
  6. 前記第3の放電資源は、前記直流源をインバータで交流源に変換して系統に並列することを特徴とする請求項1に記載の蓄電・放電システム。

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